JP2004092481A - 可変容量タービン及びこれを備えた可変容量ターボチャージャ - Google Patents

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横山 隆雄
Takeshi Osako
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Abstract

【課題】低コスト、高信頼性、および高性能を実現することのできる可変容量タービン及びこれを備えた可変容量ターボチャージャを提供すること。
【解決手段】渦巻状のスクロール11が内部に形成されたタービンケーシング12と、前記スクロール11の内周側に回転自在に設けられたタービンホイール13と、前記スクロール11から前記タービンホイール13に流入する流体の量を制御する制御手段と、を備え、前記流体を前記スクロール11から前記タービンホイール13へと半径方向に流入させて当該タービンホイール13を回転駆動するように構成された可変容量タービン100において、前記制御手段は、流体の通路となる前記スクロール11の延在方向に沿って設けられたプレート101からなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流量特性を変化させる機能を有する可変容量タービンに関し、特に、低コストで高い信頼性を有し、かつ流量切り替えによる性能低下を抑えることのできる可変容量タービン及びこれを備えた可変容量ターボチャージャに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンの出力を増し燃費を低減させる目的でターボ型過給器(ターボチャージャ)が用いられている。このようなターボチャージャは、主としてタービンとコンプレッサとから構成され、エンジンの排気(流体)によってタービンが回転し、それによりコンプレッサが回転して大気を高圧空気としてエンジンへ送り込むものである。
【0003】
そして、エンジンの様々な運転状態に適した過給を行うために、エンジンの運転条件に応じてターボチャージャの流量特性(一定の圧力条件において流れる作動ガス(流体))を変えることのできるターボチャージャが望まれており、従来から、かかる流量特性を変化させる機能を有するターボチャージャが提案されている。
【0004】
図11は、かかる機能を有する従来のターボチャージャに用いられるタービンを例示した図であり、従来の可変容量タービン(以下、VG(Variable Geometry)タービンという)の軸直角断面を示す図である。
このVGタービン10は一般のタービンと同様、渦巻状のスクロール11が内部に形成されたタービンケーシング12と、スクロール11の内周側に回転自在に設けられたタービンホイール13と、スクロール11内に設けられた複数枚の可動ノズル(制御手段)14とを主たる要素として構成されたものである。
【0005】
このVGタービン10では、エンジンの排気がタービン入口10aからスクロール11に流れ込み(図11の矢印イ)、その後スクロール11内を流れながら順次可動ノズル14と可動ノズル14との間を通って(図11の矢印ロ)タービンホイール13へ流れる。図示した状態は、可動ノズル14と可動ノズル14との間の面積(矢印ロの部分の面積)が広い状態であり、タービンホイール13に流れる作動ガスの流量を大きくしている場合である。
かかる作動ガスの流量を小さくするには、これら可動ノズル14を図の矢印ハの方向へ動かし、可動ノズル14と可動ノズル14との間の面積を小さくすることにより、タービンに流れる作動ガスの量を制御する。
このように、従来のVGタービン10では、複数の可動ノズル14を動かすことにより、タービンホイール13に流れ込む作動ガスの量を変化させるようにしている(たとえば、特許文献1,2参照)。
【0006】
〔特許文献1〕
特開平11−311124号公報(図2ないし図6)
〔特許文献2〕
特開平10−141074号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなVGタービン10では、流量の切り替え特性は良いものの、複数枚の可動ノズル14とこれら可動ノズル14を動かす機構が必要となるため、構造が複雑になり、部品点数が多くなってしまう。したがって、コスト的に高くなるとともに、部品集積誤差によるガタ、ノズル開閉操作でのヒステリシス、ノズルにかかる力の方向の逆転等の課題により信頼性が低下するという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、低コスト、高信頼性、および高性能を実現することのできる可変容量タービン及びこれを備えた可変容量ターボチャージャを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の可変容量タービン及びこれを備えた可変容量ターボチャージャでは、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1記載の可変容量タービンによれば、渦巻状のスクロールが内部に形成されたタービンケーシングと、前記スクロールの内周側に回転自在に設けられたタービンホイールと、前記スクロールから前記タービンホイールに流入する流体の量を制御する制御手段と、を備え、前記流体を前記スクロールから前記タービンホイールへと半径方向に流入させて当該タービンホイールを回転駆動するように構成された可変容量タービンにおいて、前記制御手段は、流体の通路となる前記スクロールの延在方向に沿って設けられたプレートからなることを特徴とする。
【0010】
この可変容量タービンにおいては、スクロールからタービンホイールに流入する流体の量が、プレートにより制御されることとなる。
【0011】
請求項2に記載の可変容量タービンによれば、前記プレートは、前記スクロールの内周側と外周側とを分離するように設けられていることを特徴とする。
【0012】
この可変容量タービンにおいては、プレートの両表面がそれぞれ、スクロールの内周側壁面およびスクロールの外周側壁面と対向するように、プレートが配置され、これによりスクロールが2つの空間に仕切られるようになっている。
すなわち、プレートによりスクロール内に内周側通路と外周側通路の2つの通路が形成されることとなる。
また、内周側通路はタービンホイールの入口部と連通するようになっているが、外周側通路とタービンホイールの入口部とは不通状態となっている。
したがって、タービン入口からスクロールに流入してきた流体の内、内周側通路に導入された流体のみがタービンホイールの方に導かれるようになっている。このとき、外周側通路は完全に閉じられた空間(すなわち出口のない閉鎖空間)となっており、タービン入口から流入してきた流体は内周側通路のみを通ってタービンホイールに導かれるようになっている。言い換えれば、絞り効果が得られるようになっているのである。
【0013】
請求項3に記載の可変容量タービンによれば、前記プレートは、前記スクロールのハブ側に沿って移動可能とされていることを特徴とする。
【0014】
この可変容量タービンにおいては、プレートがスクロールのハブ側に沿って移動可能に構成されており、プレートが移動することによりプレートとスクロールのシュラウド側壁面との間に隙間が形成されて、プレートとスクロールの外周側壁面とで形成される外周側通路内から、プレートとスクロールの内周側壁面とで形成される内周側通路内に流体が導かれることとなる。
すなわち、タービン入口からスクロールに流入してきた流体すべてが、タービンホイールの方に導かれるようになっている。
【0015】
請求項4に記載の可変容量タービンによれば、前記プレートは、前記スクロールのシュラウド側に沿って移動可能とされていることを特徴とする。
【0016】
この可変容量タービンにおいては、プレートがスクロールのシュラウド側に沿って移動可能に構成されており、プレートが移動することによりプレートとスクロールのハブ側壁面との間に隙間が形成されて、プレートとスクロールの外周側壁面とで形成される外周側通路内から、プレートとスクロールの内周側壁面とで形成される内周側通路内に流体が導かれることとなる。
すなわち、タービン入口からスクロールに流入してきた流体すべてが、タービンホイールの方に導かれるようになっている。
【0017】
請求項5に記載の可変容量タービンによれば、前記プレートは、前記スクロールのシュラウド側とハブ側とを分離するように設けられていることを特徴とする。
【0018】
この可変容量タービンにおいては、プレートの両表面がそれぞれ、スクロールのシュラウド側壁面およびスクロールのハブ側壁面と対向するように、プレートが配置され、これによりスクロールが2つの空間に仕切られるようになっている。
すなわち、プレートによりスクロール内にシュラウド側通路とハブ側通路の2つの通路が形成されることとなる。
また、ハブ側通路はタービンホイールの入口部と連通するようになっているが、シュラウド側通路とタービンホイールの入口部とは不通状態となっている。
したがって、タービン入口からスクロールに流入してきた流体の内、ハブ側通路に導入された流体のみがタービンホイールの方に導かれるようになっている。このとき、シュラウド側通路は完全に閉じられた空間(すなわち出口のない閉鎖空間)となっており、タービン入口から流入してきた流体はハブ側通路のみを通ってタービンホイールに導かれるようになっている。言い換えれば、絞り効果が得られるようになっているのである。
【0019】
請求項6に記載の可変容量タービンによれば、前記プレートは、前記スクロールの内周側に沿って移動可能とされていることを特徴とする。
【0020】
この可変容量タービンにおいては、プレートがスクロールの内周側に沿って移動可能に構成されており、プレートが移動することによりプレートとスクロールの外周側壁面との間に隙間が形成されて、プレートとスクロールのシュラウド側壁面とで形成されるシュラウド側通路内から、プレートとスクロールのハブ側壁面とで形成されるハブ側通路内に流体が導かれることとなる。
すなわち、タービン入口からスクロールに流入してきた流体すべてが、タービンホイールの方に導かれるようになっている。
【0021】
請求項7に記載の可変容量タービンによれば、前記プレートは、前記スクロールの外周側に沿って移動可能とされていることを特徴とする。
【0022】
この可変容量タービンにおいては、プレートがスクロールの外周側に沿って移動可能に構成されており、プレートが移動することによりプレートとスクロールの内周側壁面との間に隙間が形成されて、プレートとスクロールのシュラウド側壁面とで形成されるシュラウド側通路内から、プレートとスクロールのハブ側壁面とで形成されるハブ側通路内に流体が導かれることとなる。
すなわち、タービン入口からスクロールに流入してきた流体すべてが、タービンホイールの方に導かれるようになっている。
【0023】
請求項8に記載の可変容量ターボチャージャによれば、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の可変容量タービンと、前記タービンホイールの駆動によりシリンダ内に吸気過給するコンプレッサと、を具備することを特徴とする。
【0024】
この可変容量ターボチャージャにおいては、スクロールの延在方向に沿ってスクロール内に設けられたプレートにより、スクロールからタービンホイールに流入する流体の量が制御され、この流体によりタービンホイールが回転駆動されるとともにコンプレッサが駆動されるようになっている。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る可変容量タービン(以下、VG(Variable Geometry)タービンという)の第1実施形態を図1ないし図6に基づいて説明する。なお、上述した従来技術と同一の部材には同一の符号を付して説明する。
図1は、前述した図11と同様の図であり、本発明を適用した第1実施形態を示す軸直角断面図である。
【0026】
VGタービン100は、渦巻状のスクロール11が内部に形成されたタービンケーシング12と、スクロール11の内周側に回転自在に設けられたタービンホイール13と、スクロール11内に設けられた1枚のプレート(制御手段)101とを主たる要素として構成されたものである。
タービンケーシング12は、タービンホイール13を収容するとともに、タービン入口10aとタービン出口(図示せず)とを、タービンホイール13を介して連通し、その断面積が漸次減少するスクロール11を有するものである。
【0027】
図1に示すように、スクロール11は内周側壁面11a、外周側壁面11b、ハブ側壁面11c、およびシュラウド側壁面11dにより形成されている。図中における符号15は、スクロール11からタービンホイール13に流体が流入する入口部を示している。前述した従来のVGタービン10では、この部分に可動ノズル14が周方向に沿って設けられていたことになる。また、符号16はタービンケーシング12の舌部である。これら入口部15及び舌部16の高さhは、タービンホイール13の翼の高さと略同じとされている(前述した従来の場合においては、さらに可動ノズル14の高さとも略同じとなる)。
【0028】
プレート101は、流体の通路となるスクロール11の延在方向に沿ってスクロール11内に設けられているとともに、スクロール11の内周側と外周側とを均等に分離する(あるいは仕切る)ように設けられたものである。すなわち、プレート101の両表面がそれぞれ、内周側壁面11aおよび外周側壁面11bと対向するように配置されている。
【0029】
図2は図1に示すプレート101を展開した状態(スクロール11の延在方向に沿ってスクロール11とプレート101とを展開した状態)の図である。
図2に示すように、プレート101は平面視直角台形(内角の2つがそれぞれ直角とされた台形)を有する薄板部材である。
【0030】
さて、図1および図2はプレート101によりスクロール11の内周側と外周側とを完全に分離した状態、すなわちスクロール11の内周側通路IPを通過した流体のみがタービンホイール13に流入する(供給される)状態を示す図である。
このとき、図1に示すように、プレート101の先端101a(台形における上底の部分)とタービンケーシング12の舌部16とが当接するとともに、プレート101の一辺(斜辺)101bとスクロール11のシュラウド側壁面11dとが当接し、かつプレート101の他辺101cとスクロール11のハブ側壁面11cとが当接した状態となっている。
このように、外周側通路OPは完全に閉じられた空間(すなわち出口のない閉鎖空間)となっており、タービン入口10aから流入してきた流体は内周側通路IPを通ってタービンホイール13に導かれるようになっている。言い換えれば、ここで絞り効果が得られるようになっているのである。
これにより、低流量においても流体の速度を速めることができるので、速度の速い流体がタービンホイール13に導かれることとなって、低流量でのタービンの効率を上昇させることができる。
【0031】
つぎに、プレート駆動機構(図示せず)によりプレート101を図3および図4のように移動させる。すなわち、プレート101が全体的にタービン入口10aの側に移動するようにプレート駆動機構によりプレート101を移動させる。言い換えれば、スクロール11のハブ側壁面11cにプレート101の他辺101cを沿わせるようにしてプレート101をタービン入口10aの側に移動させる。
プレート101を図3および図4に示すように移動させると、プレート101によりスクロール11の内周側と外周側とが部分的に分離される状態となって、スクロール11の内周側通路IPおよび外周側通路OPを通過した流体がタービンホイール13に流入する(供給される)ようになっている。
このとき、図1および図2において当接していた、プレート101の先端101aとタービンケーシング12の舌部16との間、およびプレート101の一辺101bとスクロール11のシュラウド側壁面11dとの間に隙間が形成されることとなる。なお、プレート101の他辺101cとスクロール11のハブ側壁面11cとは当接したままである。
【0032】
このように、プレート101をハブ側壁面11cに沿ってタービン入口10aの側に移動させることにより、プレート101の先端101aとタービンケーシング12の舌部16との間、およびプレート101の一辺101bとスクロール11のシュラウド側壁面11dとの間が離間して隙間が形成され、この隙間を通って外周側通路OP内の流体が内周側通路IP内に流入した後、タービンホイール13の方に流入していくようになっている。
これにより、タービンホイール13に流入する流体の量を増加させることができることとなる。
なお、プレート101の移動量により流体量を調節できることはいうまでもないことである。
【0033】
また、図3に示すように、プレート101の一辺101bとスクロール11のシュラウド側壁面11dとの間を通って外周側通路OP内の流体が内周側通路IP内に流入するようになる、すなわち外周側通路OPのハブ側壁面11c→プレート101の一辺101bとシュラウド側壁面11dとの間→入口部15という一続きの流れを形成させることができるので、流体の流れを円滑にすることができて、外周側通路OP内の流体を効率よく内周側通路IP内に導くことができ、タービン効率を向上させることができる。
【0034】
一方、上述したようにハブ側壁面11cに沿わせてプレート101をタービン入口10aの側に移動させる(図3および図4参照)代わりに、スクロール11のシュラウド側壁面11dにプレート101の一辺101bを沿わせるようにしてプレート101をタービン入口10aの側に移動させる(図5および図6参照)ように構成することもできる。
このようにシュラウド側壁面11dに沿ってプレート101が移動すると、プレート101によりスクロール11の内周側と外周側とが部分的に分離されるとともに、スクロール11の内周側通路IPおよび外周側通路OPを通過した流体がタービンホイール13に流入する(供給される)ようになっている。
このとき、図1および図2において当接していた、プレート101の先端101aとタービンケーシング12の舌部16との間、およびプレート101の他辺101cとスクロール11のハブ側壁面11cとの間に隙間が形成されることとなる。なお、プレート101の一辺101bとスクロール11のシュラウド側壁面11dとは当接したままである。
【0035】
このように、プレート101をシュラウド側壁面11dに沿ってタービン入口10aの側に移動させることにより、プレート101の先端101aとタービンケーシング12の舌部16との間、およびプレート101の他辺101cとスクロール11のハブ側壁面11cとの間が離間して隙間が形成され、この隙間を通って外周側通路OP内の流体が内周側通路IP内に流入した後、タービンホイール13の方に流入していくようになっている。
これにより、タービンホイール13に流入する流体の量を増加させることができることとなる。
この場合も、プレート101の移動量により流体量を調節できることはいうまでもない。
【0036】
また、図5に示すように、プレート101の他辺101cとスクロール11のハブ側壁面11cとの間を通って外周側通路OP内の流体が内周側通路IP内に流入するようになる、すなわち外周側通路OPのハブ側壁面11c→プレート101の他辺101cとハブ側壁面11cとの間→入口部15という最も短い経路で外周側通路OP内の流体を内周側通路IP内に導くことができるので、損失を最も低く抑えることができて、タービン効率を向上させることができる。
【0037】
以上説明してきたように、プレート101によりスクロール11の内周側と外周側とを完全に分離した状態(図1および図2参照)にして、スクロール11の内周側通路IPを通過した流体のみがタービンホイール13に流入するようにすることができ、またプレート101によりスクロール11の内周側と外周側とを部分的に分離した状態(図3ないし図6参照)にして、スクロール11の内周側通路IPおよび外周側通路OPを通過した流体がタービンホイール13に流入するようにすることができる。
すなわち、プレート101によりスクロール11からタービンホイール13に流入する流体の量を制御(変更)することができる。
【0038】
本発明ではプレート101によりスクロール11からタービンホイール13に流入する流体の量を制御(変更)することができるので、部品点数が少なくなり、低コストかつ高信頼性を達成することができる。
【0039】
本発明に係る可変容量タービンの第2実施形態を図7ないし図10に基づいて説明する。なお、上述した従来技術と同一の部材には同一の符号を付して説明する。
図7は、前述した図1と同様の図であり、本発明を適用した第2実施形態を示す軸直角断面図である。
【0040】
VGタービン200は、渦巻状のスクロール11が内部に形成されたタービンケーシング12と、スクロール11の内周側に回転自在に設けられたタービンホイール13と、スクロール11内に設けられた1枚のプレート(制御手段)201とを主たる要素として構成されたものである。
タービンケーシング12は、タービンホイール13を収容するとともに、タービン入口10aとタービン出口(図示せず)とを、タービンホイール13を介して連通し、その断面積が漸次減少するスクロール11を有するものである。
【0041】
図7に示すように、スクロール11は内周側壁面11a、外周側壁面11b、ハブ側壁面11c、およびシュラウド側壁面11dにより形成されている。図中における符号15は、スクロール11からタービンホイール13に流体が流入する入口部を示している。前述した従来のVGタービン10では、この部分に可動ノズル14が周方向に沿って設けられていたことになる。また、符号16はタービンケーシング12の舌部である。これら入口部15及び舌部16の高さhは、タービンホイール13の翼の高さと略同じとされている(前述した従来の場合においては、さらに可動ノズル14の高さとも略同じとなる)。
【0042】
プレート201は、流体の通路となるスクロール11の延在方向に沿ってスクロール11内に設けられているとともに、スクロール11のシュラウド側とハブ側とを均等に分離する(あるいは仕切る)ように設けられたものである。すなわち、プレート201の両表面がそれぞれ、シュラウド側壁面11dおよびハブ側壁面11cと対向するように配置されている。
【0043】
図7に示すように、プレート201はその平面視形状がスクロール11の横断面形状と合致する形状を有する薄板部材である。
【0044】
さて、図7はプレート201によりスクロール11のシュラウド側とハブ側とを完全に分離した状態、すなわちスクロール11のハブ側通路HPを通過した流体のみがタービンホイール13に流入する(供給される)状態を示す図である。
このとき、図7に示すように、プレート201の先端201aとタービンケーシング12の舌部16とが当接するとともに、プレート201の内周端201bとスクロール11の内周側壁面11aとが当接し、かつプレート201の外周端201cとスクロール11の外周側壁面11bとが当接した状態となっている。このように、シュラウド側通路SPは完全に閉じられた空間(すなわち出口のない糞詰まりの状態)となっており、タービン入口10aから流入してきた流体はハブ側通路HPを通ってタービンホイール13に導かれるようになっている。言い換えれば、ここで絞り効果が得られるようになっているのである。
これにより、低流量においても流体の速度を速めることができるので、速度の速い流体がタービンホイール13に導かれることとなって、低流量でのタービンの効率を上昇させることができる。
【0045】
つぎに、プレート駆動機構(図示せず)によりプレート201を実線矢印の方向に(図8のように)移動させる。すなわち、プレート201が全体的にタービン入口10aの側に移動するようにプレート駆動機構によりプレート201を移動させる。言い換えれば、スクロール11の内周側壁面11aにプレート201の内周端201bを沿わせるようにしてプレート201をタービン入口10aの側に移動させる。
プレート201を図8に示すように移動させると、プレート201によりスクロール11のシュラウド側とハブ側とが部分的に分離される状態となって、スクロール11のシュラウド側通路SPおよびハブ側通路HPを通過した流体がタービンホイール13に流入する(供給される)ようになっている。
このとき、図7において当接していた、プレート201の先端201aとタービンケーシング12の舌部16との間、およびプレート201の外周端201cとスクロール11の外周側壁面11bとの間に隙間が形成されることとなる。なお、プレート201の内周端201bとスクロール11の内周側壁面11aとは当接したままである。
【0046】
このように、プレート201をスクロール11の内周側壁面11aに沿ってタービン入口10aの側に移動させることにより、プレート201の先端201aとタービンケーシング12の舌部16との間、およびプレート201の外周端201cとスクロール11の外周側壁面11bとの間が離間して隙間が形成され、この隙間を通ってシュラウド側通路SP内の流体がハブ側通路HP内に流入した後、タービンホイール13の方に流入していくようになっている。
これにより、タービンホイール13に流入する流体の量を増加させることができることとなる。
この場合も、プレート201の移動量により流体量を調節できることはいうまでもない。
【0047】
また、図8に示すように、プレート201の外周端201cとスクロール11の外周側壁面11bとの間を通ってシュラウド側通路SP内の流体がハブ側通路HP内に流入するようになる、すなわちシュラウド側通路SPの内周側壁面11a→プレート201の外周端201cとスクロール11の外周側壁面11bとの間→入口部15という一続きの流れを形成させることができるので、流体の流れを円滑にすることができて、シュラウド側通路SP内の流体を効率よくハブ側通路HP内に導くことができ、タービン効率を向上させることができる。
【0048】
一方、上述したように内周側壁面11aに沿わせてプレート201をタービン入口10aの側に移動させる(図8参照)代わりに、スクロール11の外周側壁面11bにプレート201の外周端201cを沿わせるようにしてプレート201をタービン入口10aの側に移動させる(図9および図10参照)ように構成することもできる。
このように内周側壁面11aに沿ってプレート201が移動すると、プレート201によりスクロール11のシュラウド側とハブ側とが部分的に分離されるとともに、スクロール11のシュラウド側通路SPおよびハブ側通路HPを通過した流体がタービンホイール13に流入する(供給される)ようになっている。
このとき、図7において当接していた、プレート201の先端201aとタービンケーシング12の舌部16との間、およびプレート201の内周端201bとスクロール11の内周側壁面11aとの間に隙間が形成されることとなる。なお、プレート201の外周端201cとスクロール11の外周側壁面11bとは当接したままである。
【0049】
このように、プレート201を内周側壁面11aに沿ってタービン入口10aの側に移動させることにより、プレート201の先端201aとタービンケーシング12の舌部16との間、およびプレート201の内周端201bとスクロール11の内周側壁面11aとの間が離間して隙間が形成され、この隙間を通ってシュラウド側通路SP内の流体がハブ側通路HP内に流入した後、タービンホイール13の方に流入していくようになっている。
これにより、タービンホイール13に流入する流体の量を増加させることができることとなる。
この場合も、プレート210の移動量により流体量を調節できることはいうまでもない。
【0050】
また、図10に示すように、プレート201の内周端201bとスクロール11の内周側壁面11aとの間を通ってシュラウド側通路SP内の流体がハブ側通路HP内に流入するようになる、すなわちシュラウド側通路SPの内周側壁面11a→プレート201の内周端201bとスクロール11の内周側壁面11aとの間→入口部15という最も短い経路でシュラウド側通路SP内の流体をハブ側通路HP内に導くことができるので、損失を最も低く抑えることができて、タービン効率を向上させることができる。
【0051】
以上説明してきたように、プレート201によりスクロール11のシュラウド側とハブ側とを完全に分離した状態(図7および図9参照)にして、スクロール11のハブ側通路HPを通過した流体のみがタービンホイール13に流入するようにすることができ、またプレート201によりスクロール11のシュラウド側とハブ側とを部分的に分離した状態(図8および図10参照)にして、スクロール11のシュラウド側通路SPおよびハブ側通路HPを通過した流体がタービンホイール13に流入するようにすることができる。
すなわち、プレート201によりスクロール11からタービンホイール13に流入する流体の量を制御(変更)することができる。
【0052】
本発明ではプレート201によりスクロール11からタービンホイール13に流入する流体の量を制御(変更)することができるので、部品点数が少なくなり、低コストかつ高信頼性を達成することができる。
【0053】
なお、上述した実施形態においては、プレートを完全に閉じたときに、スクロールの容積(ボリューム:Volume)を均等に分離(2分)するようにプレートが配置されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえばスクロールの容積を1:2,1:3,2:1,3:1など、必要に応じていかようにも分離することができる。
【0054】
また、上述した実施形態において、スクロールの断面形状を矩形形状(たとえば図1の下方に示す図参照)として説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、いかなる形状のものにも適用することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の可変容量タービンおよびこれを備えた可変容量ターボチャージャによれば、以下の効果を奏する。
請求項1に記載の可変容量タービンによれば、スクロールからタービンホイールに流入する流体の量が、プレートにより制御されることとなるので、構造を簡略して部品点数を少なくすることができるとともに、部品集積誤差によるガタ、ノズル開閉操作でのヒステリシス、ノズルにかかる力の方向の逆転等の課題を解消することができて、低コストかつ高信頼性を達成することができる。
【0056】
請求項2に記載の可変容量タービンによれば、タービン入口からスクロールに流入してきた流体の内、内周側通路に導入された流体のみがタービンホイールの方に導かれるようになっているので、絞り効果により低流量においても速度の速い流体をタービンホイールに導くことができて、低流量でのタービンの効率を上昇させることができる。
【0057】
請求項3に記載の可変容量タービンによれば、プレートがスクロールのハブ側に沿って移動可能に構成されており、プレートが移動することによりプレートとスクロールのシュラウド側壁面との間に隙間が形成されて、外周側通路のハブ側壁面→プレートの一辺とシュラウド側壁面との間→入口部という一続きの流れを形成させることができるので、流体の流れを円滑にすることができて、外周側通路内の流体を効率よく内周側通路内に導くことができ、タービン効率を向上させることができる。
【0058】
請求項4に記載の可変容量タービンによれば、プレートがスクロールのシュラウド側に沿って移動可能に構成されており、プレートが移動することによりプレートとスクロールのハブ側壁面との間に隙間が形成されて、外周側通路のハブ側壁面→プレートの他辺とハブ側壁面との間→入口部という最も短い経路で外周側通路内の流体を内周側通路内に導くことができるので、損失を最も低く抑えることができて、タービン効率を向上させることができる。
【0059】
請求項5に記載の可変容量タービンによれば、タービン入口からスクロールに流入してきた流体の内、ハブ側通路に導入された流体のみがタービンホイールの方に導かれるようになっているので、絞り効果により低流量においても速度の速い流体をタービンホイールに導くことができて、低流量でのタービンの効率を上昇させることができる。
【0060】
請求項6に記載の可変容量タービンによれば、プレートがスクロールの内周側に沿って移動可能に構成されており、プレートが移動することによりプレートとスクロールの外周側壁面との間に隙間が形成されて、シュラウド側通路の内周側壁面→プレートの内周端とスクロールの内周側壁面との間→入口部という最も短い経路でシュラウド側通路内の流体をハブ側通路内に導くことができるので、損失を最も低く抑えることができて、タービン効率を向上させることができる。
【0061】
請求項7に記載の可変容量タービンによれば、プレートがスクロールの外周側に沿って移動可能に構成されており、プレートが移動することによりプレートとスクロールの内周側壁面との間に隙間が形成されて、シュラウド側通路の内周側壁面→プレートの内周端とスクロールの内周側壁面との間→入口部という最も短い経路でシュラウド側通路内の流体をハブ側通路内に導くことができるので、損失を最も低く抑えることができて、タービン効率を向上させることができる。
【0062】
請求項8に記載の可変容量ターボチャージャによれば、スクロールの延在方向に沿ってスクロール内に設けられたプレートにより、スクロールからタービンホイールに流入する流体の量が制御され、この流体によりタービンホイールが回転駆動されるとともにコンプレッサが駆動されるようになっているので、構造を簡略して部品点数を少なくすることができるとともに、部品集積誤差によるガタ、ノズル開閉操作でのヒステリシス、ノズルにかかる力の方向の逆転等の課題を解消することができて、低コストかつ高信頼性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による可変容量タービンの第1実施形態を示す軸直角断面図である。
【図2】図1に示すプレートを展開した状態(スクロールの延在方向に沿ってスクロールとプレートとを展開した状態)の図である。
【図3】図1と同様の図であって、プレートをスクロールのハブ側に沿ってタービン入口の方に移動させた状態を示す図である。
【図4】図3に示すプレートを展開した状態(スクロールの延在方向に沿ってスクロールとプレートとを展開した状態)の図である。
【図5】図1と同様の図であって、プレートをスクロールのシュラウド側に沿ってタービン入口の方に移動させた状態を示す図である。
【図6】図5に示すプレートを展開した状態(スクロールの延在方向に沿ってスクロールとプレートとを展開した状態)の図である。
【図7】本発明による可変容量タービンの第2実施形態を示す軸直角断面図である。
【図8】図7と同様の図であって、プレートをスクロールの内周側に沿ってタービン入口の方に移動させた状態を示す図である。
【図9】プレートをスクロールの外周側に沿ってタービン入口の方に移動させることを説明するための図であって、図7と同様の図である。
【図10】図9と同様の図であって、プレートをスクロールの外周側に沿ってタービン入口の方に移動させた状態を示す図である。
【図11】従来の可変容量タービンを示す軸直角断面図である。
【符号の説明】
10 可変容量タービン
11 スクロール
12 タービンケーシング
13 タービンホイール
14 可動ノズル(制御手段)
100 可変容量タービン
101 プレート(制御手段)
200 可変容量タービン
201 プレート(制御手段)

Claims (8)

  1. 渦巻状のスクロールが内部に形成されたタービンケーシングと、
    前記スクロールの内周側に回転自在に設けられたタービンホイールと、
    前記スクロールから前記タービンホイールに流入する流体の量を制御する制御手段と、を備え、
    前記流体を前記スクロールから前記タービンホイールへと半径方向に流入させて当該タービンホイールを回転駆動するように構成された可変容量タービンにおいて、
    前記制御手段は、流体の通路となる前記スクロールの延在方向に沿って設けられたプレートからなることを特徴とする可変容量タービン。
  2. 前記プレートは、前記スクロールの内周側と外周側とを分離するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量タービン。
  3. 前記プレートは、前記スクロールのハブ側に沿って移動可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の可変容量タービン。
  4. 前記プレートは、前記スクロールのシュラウド側に沿って移動可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の可変容量タービン。
  5. 前記プレートは、前記スクロールのシュラウド側とハブ側とを分離するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量タービン。
  6. 前記プレートは、前記スクロールの内周側に沿って移動可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の可変容量タービン。
  7. 前記プレートは、前記スクロールの外周側に沿って移動可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の可変容量タービン。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の可変容量タービンと、前記タービンホイールの駆動によりシリンダ内に吸気過給するコンプレッサと、を具備することを特徴とする可変容量ターボチャージャ。
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