JP2004092251A - 煙突の解体工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な作業で、煙突の解体を容易に行うことができる煙突の解体工法を提供する。
【解決手段】コンクリート製煙突1の略同一高さの外面に沿って所定間隔で外面から内面方向の孔4を形成し、これらの孔4に膨張材5を充填し、この膨張材5の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突1の躯体1aにクラック6を発生させ、このクラック6を発生した箇所でコンクリート製煙突1の躯体1aを切断し、該切断部分1bを除去してからコンクリート製煙突1の上部側から下部側に順次切断部分1bを移動しながらコンクリート製煙突1を解体する工法。
【選択図】 図5
【解決手段】コンクリート製煙突1の略同一高さの外面に沿って所定間隔で外面から内面方向の孔4を形成し、これらの孔4に膨張材5を充填し、この膨張材5の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突1の躯体1aにクラック6を発生させ、このクラック6を発生した箇所でコンクリート製煙突1の躯体1aを切断し、該切断部分1bを除去してからコンクリート製煙突1の上部側から下部側に順次切断部分1bを移動しながらコンクリート製煙突1を解体する工法。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業能率の向上を図り得る煙突の解体工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ごみ焼却炉の煙突などに用いられている50ないし60mのコンクリート製煙突の解体に際しては、掘削機の一種であるニブラーによる解体、あるいはワイヤーソーによる解体が知られている。
ニブラーによる解体は、図14に示すように、コンクリート製煙突100の周囲に足場101を組立て、次に、クレーン102に取り付けられたニブラー103によってコンクリート製煙突100を徐々に崩していく、崩した煙突の破片は、煙突内部に落とし込んでいく。コンクリート製煙突100の解体とともに足場101も順次、解体し(図15参照)、最後に、解体した破片を取り出して(図16参照)、廃棄場所に搬送する。
この解体方法によると、ニブラー103による解体時に騒音、および粉塵が発生する不具合がある。
【0003】
一方、ワイヤーソーによる解体方法は、足場に設置されたワイヤーソーによってコンクリート製煙突を切断し、切断した躯体の一部をクレーンによって吊り上げ、順次下ろしていくものである。
この解体方法は、切断に時間がかかるため、長時間の解体作業を行わなければならなかった。また、重量のある設備を高所に上げて長時間の作業を行うため、作業に細心の注意を必要とする。
【0004】
そこで、無人化によって、作業を行うことができる解体装置が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1の装置によると、昇降シリンダによって昇降し、煙突の外面にジャッキによって固着および解放する固定バンドを備え、切断カッターによって煙突に切り目を入れて解体するものである。
また、特許文献2の装置によると、ストッパによって煙突の外面に固定されるステージを有し、カッターによって煙突に切り目を入れて順次解体していくものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−17543号公報(3−4頁、図1)
【特許文献2】
特開平5−195636号公報(2−3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1,2に記載した従来技術によると、シリンダによって煙突の周囲を昇降させるとともに、複数のカッターで切断するため、作業者の安全は確保されるが、大型の装置を煙突の上方に移動させることから、固定が不充分だと、落下する虞がある。また、大型の装置を無人で操作するため、装置が複雑でかつ高価となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決し、簡単な作業で、煙突の解体を容易に行うことができる煙突の解体工法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、コンクリート製煙突の略同一高さの外面に沿って所定間隔で外面から内面方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することにある。
また、本発明は、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することにある。
さらに、本発明は、コンクリート製煙突の周面をワイヤーソーによって切断し、解体する工法において、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体をワイヤーソーによって切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することにある。
またさらに、本発明は、コンクリート製煙突の解体に際して煙突内に配設された鉄筋を避けて上記孔を形成することにある。
また、本発明は、上記孔を外面から内面に向けて斜め下方に形成したことにある。
さらに、本発明は、上記孔を外面から内面に向けて徐々に細くなる円錐形状に形成したことにある。
またさらに、上記孔を内面まで貫通させずに内面の手前まで形成したことにある。
また、本発明は、内面を耐火物で形成された煙突の解体工法において、内面を構成する耐火物の内筒に、略同一高さの内面に沿って所定間隔で内面から外方に向けて孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後に内筒の躯体にクラックを発生させ、クラック発生箇所から解体することにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図9は、本発明の煙突の解体工法を示したものである。
図1は、コンクリート製煙突1の周囲に足場2を立てる工程を示したものである。足場2が構築されたら、コンクリート製煙突1の周面、切断箇所に円周方向のマーキング3を施す(図2参照)。次に、マーキング3に基づき、所定間隔で穿孔作業を行う(図3参照)。穿孔作業は、図4に示すようにコンクリート製煙突1の躯体1aの周面に、円周方向に付けられたマーキング3に沿って所定間隔で外面から内面に向けて半径方向の孔4を形成する。穿孔作業に際しては、コンクリート製煙突1の配筋箇所を避けて穿孔を行う。
【0010】
次に、この孔4に図5に示すように膨張セメント等の膨張材5を順次、充填していく。
そして、例えば6ないし12時間程度の一定時間が経過すると、図6に示すように、膨張材5の膨張作用により、コンクリート製煙突1の躯体1aにクラック6が発生する。
こうして、クラック6の発生により脆くなったコンクリート製煙突1の躯体1aを図7に示すようにクレーン7によって吊りながらワイヤーソー8によって、マーキング3部分を切断する。
ワイヤーソー8は、図8に示すように、本体9を足場2に設置、あるいはクレーンによって吊り下げて、ワイヤーソー8をコンクリート製煙突1の躯体1aの周囲に回して摺動させながら切断する。ワイヤーソー8は、コンクリート製煙突1の躯体1aとともに鉄筋も切断する。
【0011】
コンクリート製煙突1の躯体1aが切断されたら、図9に示すように、クレーン7によって切断部分1bを吊り下げて下に降ろす。
降ろされた切断部分1bは、処分場などに搬送して廃棄処分あるいは再利用される。
【0012】
上記実施の形態によれば、膨張材5の膨張作用により、コンクリート製煙突1の躯体1aにクラック6を発生させてから、ワイヤーソー8によって、マーキング3部分を切断するので、切断作業を短縮することができる。
【0013】
図10ないし図12は、膨張材5を充填する孔4の他の実施の形態で、この場合、図10に示したものは、孔44の方向が外面から内面に向けて下向きの斜め下方向に形成したものである。これにより、充填材5の充填が容易となる。
図11に示したものは、孔45を外面から内面に向けて徐々に細くなる円錐形状に形成したもので、膨張材5の充填を容易にしたものである。
また、図12に示したものは、孔46をコンクリート製煙突1の躯体1aの内面まで貫通させずに内面の手前まで形成したものである。これにより、膨張材5の流出を防ぐものである。
【0014】
図13に示したものは、本発明の他の実施の形態で、内筒10部分を耐火物で円筒状に形成され、内筒10の外周面には強度のある補強材で形成された外筒11を設けた煙突12の解体工法である。この場合、内筒10の耐火物を、本発明の解体工法によって解体することができる。
解体に際しては、煙突12の内筒10部分に、略同一高さの内面に沿って所定間隔で内面から外方に向けて多数の孔13を形成する。そして、これらの孔13に膨張材14を充填し、一定時間放置して、耐火物にクラックを発生させる。こうして、クラック発生箇所から耐火物を解体し、順次、内筒10部分を解体する。
内筒10部分の解体に合わせて、外筒11部分を何らかの切断手段によって切断し、順次、煙突12を解体する。
この実施の形態の場合も、前記実施の形態と同様に、孔13の形状を内面から外面に向けて円錐形状に形成しても良く、あるいは、内面から外面に向けて下向きに形成しても良い。また、孔13を外面の手前で止めるように形成しても良い。また、耐火物としては、コンクリート、レンガ、その他、各種のものに適用することができる。
【0015】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、孔4の大きさ、あるいは間隔は、コンクリート製煙突1の大きさ、躯体1aの厚さなどに応じて適宜選定すればよく、また、膨張材5の種類についても膨張作用があるものであれば、特にその種類を限定されるものではない。コンクリート製煙突1の形状は、円筒状のものに限らず、四角あるいは三角などの角筒状のものでも良い。さらに、コンクリート製煙突1は、外側の外筒部分がコンクリート製のものでも、内側の内筒部分がコンクリート製のものでも良い。など、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【0016】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による、煙突の解体工法によれば、以下の効果を奏することができる。
請求項1において、コンクリート製煙突の略同一高さの外面に沿って所定間隔で外面から内面方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体するので、切断作業を短縮して、解体作業を容易に行うことができる。
請求項2において、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体するので、切断作業を短縮して、解体作業を容易に行うことができる。
請求項3において、コンクリート製煙突の周面をワイヤーソーによって切断し、解体する工法において、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体をワイヤーソーによって切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体するので、切断作業を短縮して、解体作業を容易に行うことができる。
請求項4において、コンクリート製煙突の解体に際して煙突内に配設された鉄筋を避けて上記孔を形成するので、孔を内面に向けて確実に形成することができる。
請求項5において、上記孔を外面から内面に向けて斜め下方に形成したので、膨張材の充填を確実に行うことができる。
請求項6において、上記孔を外面から内面に向けて徐々に細くなる円錐形状に形成したので、膨張材の充填が容易である。
請求項7において、上記孔を内面まで貫通させずに内面の手前まで形成したので、膨張材の流出を防ぐことができる。
請求項8において、内面を耐火物で形成された煙突の解体工法において、内面を構成する耐火物の内筒に、略同一高さの内面に沿って所定間隔で内面から外方に向けて孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後に内筒の躯体にクラックを発生させ、クラック発生箇所から解体するので、内面を耐火物で形成された煙突の解体についても、解体時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の煙突の解体工法の実施の形態による足場を立てる状態を示す概念図である。
【図2】本発明の煙突の解体工法の実施の形態による切断部のマーキング作業を示す概念図である。
【図3】本発明の煙突の解体工法の実施の形態による穿孔作業を示す概念図である。
【図4】図3の穿孔作業を示す斜視図である。
【図5】図4の孔に膨張材を充填した状態を示す断面図である。
【図6】膨張材によるクラックの発生を示す断面図である。
【図7】コンクリート製煙突の躯体をクレーンによって吊りながらワイヤーソーによって、切断する状態を示す概念図である。
【図8】ワイヤーソーによって、切断する状態を示す斜視図である。
【図9】切断箇所をクレーンによって除去する作業を示す概念図である。
【図10】本発明の他の実施の形態による孔の形状を示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態による孔の形状を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施の形態による孔の形状を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施の形態による煙突の躯体工法を示す断面図である。
【図14】従来の解体工法を示す概念図である。
【図15】図14に続く解体工法を示す概念図である。
【図16】図15に続く解体工法を示す概念図である。
【符号の説明】
1 コンクリート製煙突
2 足場
3 マーキング
4 孔
5 膨張材
6 クラック
7 クレーン
8 ワイヤーソー
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業能率の向上を図り得る煙突の解体工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ごみ焼却炉の煙突などに用いられている50ないし60mのコンクリート製煙突の解体に際しては、掘削機の一種であるニブラーによる解体、あるいはワイヤーソーによる解体が知られている。
ニブラーによる解体は、図14に示すように、コンクリート製煙突100の周囲に足場101を組立て、次に、クレーン102に取り付けられたニブラー103によってコンクリート製煙突100を徐々に崩していく、崩した煙突の破片は、煙突内部に落とし込んでいく。コンクリート製煙突100の解体とともに足場101も順次、解体し(図15参照)、最後に、解体した破片を取り出して(図16参照)、廃棄場所に搬送する。
この解体方法によると、ニブラー103による解体時に騒音、および粉塵が発生する不具合がある。
【0003】
一方、ワイヤーソーによる解体方法は、足場に設置されたワイヤーソーによってコンクリート製煙突を切断し、切断した躯体の一部をクレーンによって吊り上げ、順次下ろしていくものである。
この解体方法は、切断に時間がかかるため、長時間の解体作業を行わなければならなかった。また、重量のある設備を高所に上げて長時間の作業を行うため、作業に細心の注意を必要とする。
【0004】
そこで、無人化によって、作業を行うことができる解体装置が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1の装置によると、昇降シリンダによって昇降し、煙突の外面にジャッキによって固着および解放する固定バンドを備え、切断カッターによって煙突に切り目を入れて解体するものである。
また、特許文献2の装置によると、ストッパによって煙突の外面に固定されるステージを有し、カッターによって煙突に切り目を入れて順次解体していくものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−17543号公報(3−4頁、図1)
【特許文献2】
特開平5−195636号公報(2−3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1,2に記載した従来技術によると、シリンダによって煙突の周囲を昇降させるとともに、複数のカッターで切断するため、作業者の安全は確保されるが、大型の装置を煙突の上方に移動させることから、固定が不充分だと、落下する虞がある。また、大型の装置を無人で操作するため、装置が複雑でかつ高価となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決し、簡単な作業で、煙突の解体を容易に行うことができる煙突の解体工法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、コンクリート製煙突の略同一高さの外面に沿って所定間隔で外面から内面方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することにある。
また、本発明は、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することにある。
さらに、本発明は、コンクリート製煙突の周面をワイヤーソーによって切断し、解体する工法において、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体をワイヤーソーによって切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することにある。
またさらに、本発明は、コンクリート製煙突の解体に際して煙突内に配設された鉄筋を避けて上記孔を形成することにある。
また、本発明は、上記孔を外面から内面に向けて斜め下方に形成したことにある。
さらに、本発明は、上記孔を外面から内面に向けて徐々に細くなる円錐形状に形成したことにある。
またさらに、上記孔を内面まで貫通させずに内面の手前まで形成したことにある。
また、本発明は、内面を耐火物で形成された煙突の解体工法において、内面を構成する耐火物の内筒に、略同一高さの内面に沿って所定間隔で内面から外方に向けて孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後に内筒の躯体にクラックを発生させ、クラック発生箇所から解体することにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図9は、本発明の煙突の解体工法を示したものである。
図1は、コンクリート製煙突1の周囲に足場2を立てる工程を示したものである。足場2が構築されたら、コンクリート製煙突1の周面、切断箇所に円周方向のマーキング3を施す(図2参照)。次に、マーキング3に基づき、所定間隔で穿孔作業を行う(図3参照)。穿孔作業は、図4に示すようにコンクリート製煙突1の躯体1aの周面に、円周方向に付けられたマーキング3に沿って所定間隔で外面から内面に向けて半径方向の孔4を形成する。穿孔作業に際しては、コンクリート製煙突1の配筋箇所を避けて穿孔を行う。
【0010】
次に、この孔4に図5に示すように膨張セメント等の膨張材5を順次、充填していく。
そして、例えば6ないし12時間程度の一定時間が経過すると、図6に示すように、膨張材5の膨張作用により、コンクリート製煙突1の躯体1aにクラック6が発生する。
こうして、クラック6の発生により脆くなったコンクリート製煙突1の躯体1aを図7に示すようにクレーン7によって吊りながらワイヤーソー8によって、マーキング3部分を切断する。
ワイヤーソー8は、図8に示すように、本体9を足場2に設置、あるいはクレーンによって吊り下げて、ワイヤーソー8をコンクリート製煙突1の躯体1aの周囲に回して摺動させながら切断する。ワイヤーソー8は、コンクリート製煙突1の躯体1aとともに鉄筋も切断する。
【0011】
コンクリート製煙突1の躯体1aが切断されたら、図9に示すように、クレーン7によって切断部分1bを吊り下げて下に降ろす。
降ろされた切断部分1bは、処分場などに搬送して廃棄処分あるいは再利用される。
【0012】
上記実施の形態によれば、膨張材5の膨張作用により、コンクリート製煙突1の躯体1aにクラック6を発生させてから、ワイヤーソー8によって、マーキング3部分を切断するので、切断作業を短縮することができる。
【0013】
図10ないし図12は、膨張材5を充填する孔4の他の実施の形態で、この場合、図10に示したものは、孔44の方向が外面から内面に向けて下向きの斜め下方向に形成したものである。これにより、充填材5の充填が容易となる。
図11に示したものは、孔45を外面から内面に向けて徐々に細くなる円錐形状に形成したもので、膨張材5の充填を容易にしたものである。
また、図12に示したものは、孔46をコンクリート製煙突1の躯体1aの内面まで貫通させずに内面の手前まで形成したものである。これにより、膨張材5の流出を防ぐものである。
【0014】
図13に示したものは、本発明の他の実施の形態で、内筒10部分を耐火物で円筒状に形成され、内筒10の外周面には強度のある補強材で形成された外筒11を設けた煙突12の解体工法である。この場合、内筒10の耐火物を、本発明の解体工法によって解体することができる。
解体に際しては、煙突12の内筒10部分に、略同一高さの内面に沿って所定間隔で内面から外方に向けて多数の孔13を形成する。そして、これらの孔13に膨張材14を充填し、一定時間放置して、耐火物にクラックを発生させる。こうして、クラック発生箇所から耐火物を解体し、順次、内筒10部分を解体する。
内筒10部分の解体に合わせて、外筒11部分を何らかの切断手段によって切断し、順次、煙突12を解体する。
この実施の形態の場合も、前記実施の形態と同様に、孔13の形状を内面から外面に向けて円錐形状に形成しても良く、あるいは、内面から外面に向けて下向きに形成しても良い。また、孔13を外面の手前で止めるように形成しても良い。また、耐火物としては、コンクリート、レンガ、その他、各種のものに適用することができる。
【0015】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、孔4の大きさ、あるいは間隔は、コンクリート製煙突1の大きさ、躯体1aの厚さなどに応じて適宜選定すればよく、また、膨張材5の種類についても膨張作用があるものであれば、特にその種類を限定されるものではない。コンクリート製煙突1の形状は、円筒状のものに限らず、四角あるいは三角などの角筒状のものでも良い。さらに、コンクリート製煙突1は、外側の外筒部分がコンクリート製のものでも、内側の内筒部分がコンクリート製のものでも良い。など、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【0016】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による、煙突の解体工法によれば、以下の効果を奏することができる。
請求項1において、コンクリート製煙突の略同一高さの外面に沿って所定間隔で外面から内面方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体するので、切断作業を短縮して、解体作業を容易に行うことができる。
請求項2において、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体するので、切断作業を短縮して、解体作業を容易に行うことができる。
請求項3において、コンクリート製煙突の周面をワイヤーソーによって切断し、解体する工法において、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体をワイヤーソーによって切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体するので、切断作業を短縮して、解体作業を容易に行うことができる。
請求項4において、コンクリート製煙突の解体に際して煙突内に配設された鉄筋を避けて上記孔を形成するので、孔を内面に向けて確実に形成することができる。
請求項5において、上記孔を外面から内面に向けて斜め下方に形成したので、膨張材の充填を確実に行うことができる。
請求項6において、上記孔を外面から内面に向けて徐々に細くなる円錐形状に形成したので、膨張材の充填が容易である。
請求項7において、上記孔を内面まで貫通させずに内面の手前まで形成したので、膨張材の流出を防ぐことができる。
請求項8において、内面を耐火物で形成された煙突の解体工法において、内面を構成する耐火物の内筒に、略同一高さの内面に沿って所定間隔で内面から外方に向けて孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後に内筒の躯体にクラックを発生させ、クラック発生箇所から解体するので、内面を耐火物で形成された煙突の解体についても、解体時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の煙突の解体工法の実施の形態による足場を立てる状態を示す概念図である。
【図2】本発明の煙突の解体工法の実施の形態による切断部のマーキング作業を示す概念図である。
【図3】本発明の煙突の解体工法の実施の形態による穿孔作業を示す概念図である。
【図4】図3の穿孔作業を示す斜視図である。
【図5】図4の孔に膨張材を充填した状態を示す断面図である。
【図6】膨張材によるクラックの発生を示す断面図である。
【図7】コンクリート製煙突の躯体をクレーンによって吊りながらワイヤーソーによって、切断する状態を示す概念図である。
【図8】ワイヤーソーによって、切断する状態を示す斜視図である。
【図9】切断箇所をクレーンによって除去する作業を示す概念図である。
【図10】本発明の他の実施の形態による孔の形状を示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態による孔の形状を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施の形態による孔の形状を示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施の形態による煙突の躯体工法を示す断面図である。
【図14】従来の解体工法を示す概念図である。
【図15】図14に続く解体工法を示す概念図である。
【図16】図15に続く解体工法を示す概念図である。
【符号の説明】
1 コンクリート製煙突
2 足場
3 マーキング
4 孔
5 膨張材
6 クラック
7 クレーン
8 ワイヤーソー
Claims (8)
- コンクリート製煙突の略同一高さの外面に沿って所定間隔で外面から内面方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することを特徴とする煙突の解体工法。
- コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体を切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することを特徴とする煙突の解体工法。
- コンクリート製煙突の周面をワイヤーソーによって切断し、解体する工法において、コンクリート製煙突の周面に円周方向に沿って所定間隔で半径方向の孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後にコンクリート製煙突の躯体にクラックを発生させ、このクラックを発生した箇所でコンクリート製煙突の躯体をワイヤーソーによって切断し、該切断部分を除去してからコンクリート製煙突の上部側から下部側に順次切断部分を移動しながらコンクリート製煙突を解体することを特徴とする煙突の解体工法。
- コンクリート製煙突の解体に際して煙突内に配設された鉄筋を避けて上記孔を形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の煙突の解体工法。
- 上記孔を外面から内面に向けて斜め下方に形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の煙突の解体工法。
- 上記孔を外面から内面に向けて徐々に細くなる円錐形状に形成したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の煙突の解体工法。
- 上記孔を内面まで貫通させずに内面の手前まで形成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の煙突の解体工法。
- 内面を耐火物で形成された煙突の解体工法において、内面を構成する耐火物の内筒に、略同一高さの内面に沿って所定間隔で内面から外方に向けて孔を形成し、これらの孔に膨張材を充填し、この膨張材の膨張作用を利用して、一定時間経過後に内筒の躯体にクラックを発生させ、クラック発生箇所から解体することを特徴とする煙突の解体工法。
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- 2002-09-02 JP JP2002256576A patent/JP2004092251A/ja not_active Withdrawn
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