JP2004091952A - 製紙用填料およびこれを充填した紙 - Google Patents

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中村 充利
Haruo Konno
金野 晴男
Takashi Ochi
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、第1には、特定のシラノール基に起因する強度発現能力を有しかつ低嵩比重の新規な填料の提供と、該填料を充填した低密度かつ高紙力の紙の提供にある。
【解決手段】珪酸カルシウムまたはシリカ系の製紙用填料であって、Q0、Q1、Q2のシラノール基のうち、少なくとも1種類のシラノール基を有し、且つ、CP/MAS法による29Si−固体NMR(核磁気共鳴装置)チャートにおいて、シラノール基由来のすべてのピークの面積(Sall)に対するQ0、Q1、Q2シラノール基によるピーク面積の和(S+S+S)の比((S+S+S )/Sall)が0.5〜1であり、且つ該填料を特定の嵩比重とすることにより、新規な製紙用填料を提供する。また、該新規填料を充填することにより、従来の填料を充填した紙に比べ、嵩高で紙の強度低下が少ない紙が得られる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な填料およびこれを充填した紙に関するものであって、特定のシラノール基に起因する強度発現能力を有しかつ低嵩比重の新規な填料と、該填料を充填した低密度かつ高紙力の紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙自体のコストダウンや輸送費低減等を目的として、紙を嵩高化する傾向が強まっている。ここで、紙の嵩高化とは、紙の厚さは維持した上での軽量化、すなわち低密度化のことを指す。紙を嵩高化する従来の一般的な技術としては、▲1▼繊維が剛直なパルプを用いる方法、▲2▼パルプ繊維の叩解度を低く抑える方法、▲3▼界面活性剤等の有機化合物を使用する方法(WO98/03730号公報、特開2000−34691号公報等)、▲4▼抄紙時のプレス工程やカレンダー処理における圧力を低くする方法等がある。
【0003】
しかし、▲1▼の剛直なパルプ用いる方法、および▲2▼のパルプ繊維の叩解度を低く抑える方法では、パルプ繊維間の水素結合が充分ではなく抄紙した紙の強度が低くく、紙表面の平滑性が悪いという問題がある。▲3▼の技術も同様に、嵩高化はできるものの、界面活性剤等の有機化合物によりパルプの繊維間結合が阻害され、紙の強度や剛度が低下するという問題がある。▲4▼の方法では、処理圧力の低下により紙は嵩高となるが、紙表面の平滑性を十分に付与できず、例えば印刷不良というような紙の品質への悪影響がある。このように、従来の一般的な嵩高化技術にはいずれも欠点がある。
【0004】
通常の紙には填料が充填されている。填料の使用目的は、例えば、白色度や不透明度等の光学特性の向上、紙表面の平滑性付与、インク受理性や裏抜けなどの印刷適性向上などである。填料としては、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどの鉱物、あるいは合成無機材料が従来使用されており、これらの填料の比重はパルプ繊維に比較して大きい。従って、これらの填料を紙へ充填すると、その充填量が増加するに従い紙の密度が増加するし、填料がパルプ繊維間の水素結合を阻害するため、紙の強度が低下する問題がある。
【0005】
一方、密度を低下させることが可能な填料として、嵩高な填料、例えば中空の合成有機化合物(特公昭52−118116号公報)が提案されているが、該填料の充填により紙密度は低下するものの、やはり填料が繊維間水素結合を阻害してしまうため、紙の強度が低下することは避けられない。
【0006】
また、水素結合能力を有する填料に関する公知の従来技術としては、特表昭60−500264号公報、特表昭60−500265号公報が挙げられる。特表昭60−500264号公報は、紙やボール紙などのシートの構造安定を阻止も阻害もせず、従来の充填剤に比べてシートの構造安定性を補強あるいは明らかに好影響を及ぼすフィラーに関するものである。このフィラーの組成としては、水素結合能力を有する種々の水化段階における結晶化珪酸カルシウム(水化珪酸カルシウム)と、ファイバ又は針状結晶化した1水化又は2水化硫酸カルシウムまたは特定の拡張、膨張可能な珪酸塩が開示されている。また、該珪酸カルシウムとしては、長さに対する幅の比が10:1〜200:1のゾノトライト、水化珪灰石の記載がある。これは特定の形状の珪酸カルシウムと、もう1種類の鉱物を併用する技術であり、本願発明とは異なるものである。特表昭60−500265号公報は、紙又は厚紙などのシートの構造上の安定性が各繊維間の水素結合に依存している紙又は厚紙の関するものである。該シート製造時に加える充填剤としては、水素結合を形成できる成分を含んでおり、この充填剤は水和の各段階の結晶性珪酸カルシウムから選ばれる。該珪酸カルシウムとしては、長さに対する幅の比が10:1〜200:1で1μm以下の幅を持つものであって、キソノトライト構造の結晶性珪酸カルシウムの記載がある。本願発明の填料は、特定のシラノール基に起因する強度発現能力を有し、且つ特定の嵩比重のものであり、特表昭60−500265号公報記載の結晶性珪酸カルシウムよりも、紙の低密度化の効果および強度低下抑制の効果が大きく、異なる技術である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、第1には特定のシラノール基に起因する強度発現能力を有しかつ低嵩比重の新規な填料の提供と、第2には該填料を充填した低密度かつ高紙力の紙の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
珪酸カルシウム系またはシリカ系の製紙用填料であって、Q0、Q1、Q2のシラノール基のうち、少なくとも1種類のシラノール基を有し、且つ、CP/MAS法による29Si−固体NMR(核磁気共鳴装置)チャートにおいて、シラノール基由来のすべてのピークの面積(Sall)に対するQ0、Q1、Q2シラノール基によるピーク面積の和(S+S+S)の比((S+S+S )/Sall)が0.5〜1であり、且つ該填料を特定の嵩比重とすることにより、新規な製紙用填料を提供する。また、該新規填料を充填することにより、従来の填料を充填した紙に比べ、嵩高で紙の強度低下が少ない紙が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本願発明を具体的に説明する。
本願発明者らは、パルプ繊維と共に抄紙し乾燥された時点で強度を発現する能力を、填料に付与する技術に関して、鋭意検討した結果、水熱合成反応で得られる珪酸カルシウムのうち、シラノール基Q0、Q1、Q2の少なくとも1種類のシラノール基を有し、且つ、そのシラノール基の量が特定の範囲内にあり、かつ特定範囲の嵩比重のものが、これを填料として紙に充填した場合に、紙の嵩高化(低密度化)効果と紙の強度が極めて優れることを見出した。また、該珪酸カルシウムに特定の処理を施し、カルシウムを除去して得られるシリカが、同様な効果を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
シラノール基とは、周知のようにSiOHの化学式で表される水酸基をいう。珪酸カルシウム、シリカ中の珪酸イオンの構造には、以下の5種類があり、それぞれQ0からQ4と呼ばれている。
Q0:Si(OH)
Q1:SiO(OH)
Q2:SiO (OH)
Q3:SiOOH
Q4:SiO
さらに、珪酸イオン構造がQ0のケイ素に結合しているシラノール基をQ0シラノール基といい、珪酸イオン構造がQ1、Q2、Q3の場合はそれぞれQ1シラノール基、Q2シラノール基、Q3シラノール基という。
【0011】
珪酸カルシウム、シリカ中にQ0、Q1、Q2、Q3のシラノール基を含むか否かは、CP/MAS法による29Si−固体NMRにより確認することができる。CP/MAS法による29Si−固体NMRのチャートにおけるQ0からQ4シラノール基に由来するシグナルの位置は、珪酸カルシウム、シリカの種類によって若干異なるが、通常の方法によって同定されたものであればよい。Q0からQ4シラノール基に由来するシグナルは重なる部分がある。例えば、Q0シラノール基の山型シグナルとQ1シラノール基の山型シグナルが山型の裾で重なる。本願発明では、Q0〜Q4に由来するシグナルすなわちピーク面積を次のように規定する。
Q0:−65〜−72ppm
Q1:−72〜−80ppm
Q2:−80〜−88ppm
Q3:−88〜−105ppm
Q4:−105〜−120ppm
【0012】
パルプ繊維と共に抄紙され、乾燥後に強度を発現する能力を有するシラノール基は、Q0、Q1、Q2、Q3のシラノール基のうちのQ0、Q1、Q2の3種類のシラノール基であることを本願発明者らは見いだした。本願発明の珪酸カルシウム、シリカにはQ0、Q1、Q2のシラノール基のうち、少なくとも1種類のシラノール基が含有されていれば良い。ここで、珪酸カルシウム、シリカ中のQ0、Q1、Q2シラノール基の量は、CP/MAS法による29Si−固体NMRのチャート上で、シラノール基由来のすべてのピーク面積(S )に対するQ0、Q1、Q2シラノール基由来のピークの面積の和(S+S+S)の比により評価することができる。本発明においては、かかる比は0.5〜1の範囲である。かかる面積比が0.5未満だと強度発現能力が低く、このためシリカまたは珪酸カルシウムを充填した紙の強度低下が大きくなる。好ましくは、0.6〜1であり、更に好ましくは0.7〜1である。
【0013】
本願発明の珪酸カルシウムの具体的な結晶形態としては、オケナイト(okenite)、ゾノトライト(xonotlite)、フォシャジャイト(foshagite)、ジェナイト(jennite)、メタジェナイト(metajennite)、ヒレブランダイト(hillebrandite)、ジャイロライト(gyrolite)、トバモライト(tobermorite)、トラスコタイト(truscottite)、カルシオ−コンドロダイト(calcio−chondrodite)、キルコアナイト(kilchoanite)、オウウィライト(afwillite)、デライト(dellaite)、トリカルシウムシリケートハイドレート(tricalcium silicate hydrate)、α−ジカルシウムシリケートハイドレート(α−dicalcium silicate hydrate)、非晶質珪酸カルシウム(CSH)の群から選ばれる1種類あるいは2種類以上を含有しており、適切な(S+S+S )/Sallの範囲内であれば、本願発明の填料として使用できる。含有しているとは、他の結晶形態の珪酸カルシウムが混合していても良いという意味であるが、この場合でも適切な(S+S+S )/Sallの範囲内にあることが必要である。
【0014】
また、本願発明でいう珪酸カルシウム系の系の意味は、前記特定の結晶形態の珪酸カルシウムは、例えば炭酸カルシウム(重質、軽質)、タルク、カオリン、二酸化チタンなどの公知の填料との複合体であっても良いし、該珪酸カルシウム中のカルシウムの一部がアルミニウムに置換したAl置換型珪酸カルシウムでも良いということを指す。また、本願発明のシリカは、該珪酸カルシウムを原料として、これに特定の処理を施し、カルシウム分を除去することにより得られる。
【0015】
本願発明の珪酸カルシウムは公知の方法で製造することが出来る。前記のゾノトライト、フォシャガイトなどの結晶形態の珪酸カルシウムを製造する反応条件(Ca/Si比率、反応温度、反応時間)は、各結晶形態により最適な条件が異なることは公知である。従って、本願発明の珪酸カルシウムを得るには、該珪酸カルシウム中のカルシウムとシリカのモル比(Ca/Si)が、0.50〜3.0、好ましくは0.58〜3.0の範囲内となるように、CaO、Ca(OH)、CaCOなどのカルシウム源と、無水珪酸、石英などのシリカ源を添加して、両者を混合後、水存在下且つ加圧下で、温度100〜300℃、好ましくは125〜270℃の範囲内の、最適な反応条件の水熱反応により、目標とする結晶形態の珪酸カルシウムが得られる。
【0016】
水熱反応はオートクレーブ内で行う。珪酸カルシウムの水熱反応は、撹拌しながら行うことが好ましい。反応系を撹拌することにより、生成した結晶が凝集体を形成する。この凝集により粒子内部に多数の空隙が生じ、その分、該珪酸カルシウムの嵩比重を小さくすることができる。従って、平均粒子径と嵩比重は、撹拌速度と反応時間により調整可能である。水熱反応で生成した珪酸カルシウム凝集物をこのまま填料として使用できるし、必要に応じて、この凝集粒子を含む懸濁液を湿式粉砕して粒子径を調整後に填料として使用することもできる。填料として使用できる該珪酸カルシウムの平均粒子径は0.5〜50μmであることが望ましい。0.5μm未満では紙の嵩高化効果が劣り、50μmを超える場合は、紙の嵩高化効果は充分であるが、粒子が大きすぎて目視でも紙中に散見される状態となるので好ましくない。また粒子の嵩比重は0.01〜0.70g/mlであることが望ましい。嵩比重0.01g/ml未満のものは合成が難しく、0.70g/mlを超えるものは紙の嵩高化効果が劣るので好ましくない。好ましくは0.03〜0.60g/ml、更に好ましくは0.03〜0.50g/mlである。
【0017】
本願発明のシリカを製造する場合、前記の平均粒子径0.5〜50μmで、かつ嵩比重0.01〜0.70g/ml、好ましくは0.03〜0.60g/ml、更に好ましくは0.03〜0.50g/mlの珪酸カルシウム凝集粒子を出発原料として、公知の方法により、粒子形状を崩壊させることなくシリカを製造することができる。具体的には、特許第1106213号(閉鎖登録日:平成9年4月1日)で記載されている、珪酸カルシウムを炭酸化した後に酸処理する方法などの処理を施し、珪酸カルシウム凝集粒子からカルシウム分を除去することにより、(S+S+S )/Sallが0.5〜1、好ましくは、0.6〜1、更に好ましくは0.7〜1のシリカ粒子を得ることができる。該シリカ粒子の平均粒子径は0.5〜50μmであることが望ましい。0.5μm未満では紙の嵩高化効果が劣り、50μmを超える場合は、紙の嵩高化効果は充分であるが、粒子が大きすぎて目視でも紙中に散見される状態となるので好ましくない。また粒子の嵩比重は0.01〜0.70g/ml、好ましくは0.03〜0.60g/ml、更に好ましくは0.03〜0.50g/mlである。嵩比重0.01g/ml未満のものは合成が難しく、0.70g/mlを超えるものは紙の嵩高化効果が劣るので好ましくない。
【0018】
本願発明の新規填料を使用できる紙は、従来の填料を充填している紙であれば良く、特に限定は無い。紙のパルプ原料としては、機械パルプ(SGP、RGP、PGW、TMP、CTMP、BCTMP)、化学パルプ、古紙パルプいずれの原料も使用できる。また、紙の種類としては、包装用紙、紙容器、記録用紙(インクジェット用紙、PPC用紙、感熱記録紙、熱転写用紙、感圧記録紙)、印刷用紙(新聞用紙、上質紙、中質紙)、各種塗工用(コート紙、軽量コート紙、微塗工紙、キャストコート紙など)原紙、壁紙、繊維板、写真用原紙、含浸用原紙、再生紙、難燃紙などが挙げられる。また、中性紙、酸性紙の別も無く本願発明の填料を使用できる。
【0019】
本願発明の珪酸カルシウム系またはシリカ系填料の紙への配合量は、紙の種類によって異なるが、紙重量あたり1〜40固形分重量%である。配合量が1%未満ではその低密度化効果が十分でなく、40%より多く配合すると紙の強度低下が大きくなるためである。また、本願発明の珪酸カルシウムまたはシリカの配合量が紙重量あたり1〜40固形分重量%であれば、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の他の填料を混合して使用してもよい。
【0020】
本願発明の珪酸カルシウム系またはシリカ系填料を抄紙機で添加する方法は通常の方法で行われる。パルプ、染料、サイズ剤、他の填料などから成る混合懸濁液に、珪酸カルシウム系またはシリカ系填料の懸濁液を添加し、抄紙する。プレス、サイズプレス、キャレンダーなども通常の方法で処理できる。
【0021】
紙に要求される強度は紙の種類により異なるので、本願発明にいう紙の強度とは特に限定したものではなく、本願発明の填料のシラノール基に起因する強度であれば良い。具体的な強度としては、引張強さ、破裂強さ、耐折強さ、引裂強さなどの強度、内部結合強さ、ワックスピック試験やIGT印刷適性試験などの表面強さ、剛度等が挙げられる。本願発明の填料のシラノール基が強度を発現する理由は明らかではないが、シラノール基とパルプ繊維の間で何らかの力が作用するものと考えられる。例えば、シラノール基を介して填料とパルプ繊維が水素結合を形成することや、親水性の強いシラノール基が乾燥された場合に強い収縮力を発揮することが、その理由として考えられる。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【填料の調製】
[珪酸カルシウムの水熱反応装置]
電磁誘導式攪拌装置付きオートクレーブ(耐圧硝子工業社製)を用い、これに所定量の生石灰(宇部マテリアルズ社製)と二酸化珪素(関東化学製、試薬特級:沈降性・非晶質)および水を入れ、撹拌しながら水熱反応を行い、珪酸カルシウムを合成した。
[填料の物性値などの測定方法]
▲1▼X線回折装置を用い、合成した珪酸カルシウムの結晶形態を同定した。
▲2▼29Si−固体NMR:CP/MAS法により核磁気共鳴吸収装置(JNM−EX400:日本電子製)を用いて測定したチャートから、(S+S+S )/Sallを計算した。
▲3▼平均粒子径:生成物を水洗濾過し、水で希釈後、レーザー回折式粒度分布計(マスターサイザーS:malvern社製)で平均粒子径を測定した。
【0023】
[合成例1]
オートクレーブに、生石灰2molおよび二酸化珪素1molを入れ、これら固形分の全重量に対し固液比で15になるように水を添加し、攪拌速度200rpm、温度160℃で水熱反応を15時間行ない、珪酸カルシウムを得た。複数の珪酸カルシウムの複合体であり、非晶質(アモルファス)であった。
【0024】
[合成例2]
オートクレーブに、生石灰1molおよび二酸化珪素1molを入れ、これら固形分の全重量に対し固液比で15になるように水を添加し、攪拌速度200rpm、温度160℃で水熱反応を7時間行ない、珪酸カルシウムを得た。複数の珪酸カルシウムの複合体であり、非晶質であった。
【0025】
[合成例3]
オートクレーブに、生石灰2molおよび二酸化珪素3molを入れ、これら固形分の全重量に対し固液比で15になるように水を添加し、攪拌速度200rpm、温度160℃で水熱反応を7時間行ない、珪酸カルシウムを得た。複数の珪酸カルシウムの複合体であり、非晶質であった。
【0026】
[合成例4]
オートクレーブに、生石灰2molおよび二酸化珪素1molを入れ、これら固形分の全重量に対し固液比で15になるように水を添加し、攪拌速度200rpm、温度220℃で水熱反応を15時間行ない、珪酸カルシウムを得た。結晶形態はヒレンブランダイトであった。
【0027】
[合成例5]
オートクレーブに、生石灰1molおよび二酸化珪素1molを入れ、これら固形分の全重量に対し固液比で15になるように水を添加し、攪拌速度200rpm、温度220℃で水熱反応を7時間行ない、珪酸カルシウムを得た。結晶形態はゾノトライトであった。
【0028】
[合成例6]
オートクレーブに、生石灰2molおよび二酸化珪素3molを入れ、これら固形分の全重量に対し固液比で15になるように水を添加し、攪拌速度200rpm、温度220℃で水熱反応を7時間行ない、珪酸カルシウムを得た。結晶形態は複数の珪酸カルシウムの複合体であり、非晶質であった。
【0029】
[合成例7]
オートクレーブに、生石灰4molおよび二酸化珪素3molを入れ、これら固形分の全重量に対し固液比で15になるように水を添加し、攪拌速度200rpm、温度250℃で水熱反応を7時間行ない、珪酸カルシウムを得た。結晶形態はフォシャジャイトであった。
【0030】
【合成例8】
室温、常圧下にて、合成例4で得られた填料スラリーを撹拌しながら炭酸ガスを吹き込み炭酸化処理した。処理時間は10時間。この後、塩酸を添加して処理し、シリカ粒子を得た。
【0031】
合成例1〜8の反応条件および合成した珪酸カルシウム、シリカの物性値を表1に示した。
【表1】
Figure 2004091952
【0032】
【填料充填紙の調製】
[試験法]
▲1▼密度:JIS P8118に準拠して測定した。
▲2▼裂断長:JIS P8113に準拠して測定した。
【0033】
[上質紙の抄紙例]
パルプ分としてLBKP(濾水度CSF420ml)が紙重量当り90固形分重量%、填料が紙重量当り10固形分重量%になるように原料を配合し、配向性抄紙機にてシート坪量が60g/mの紙を抄いた。次に、4.18kg/cmで5分間、さらに4.18kg/cmで2分間プレス機によりプレス脱水し、50℃で1時間緊張乾燥して上質紙を作成した。得られた上質紙は23℃、湿度50%の条件で1日間調湿した後、紙の物性値を測定した。
【0034】
【実施例1】
合成例5で得られた珪酸カルシウムを湿式粉砕し、20.6、10.1、5.3、0.9μmの粉砕品を調製した。未粉砕品(32.1μm)、20.6、10.1、5.3、0.9μmを充填した場合を、それぞれ実施例1−1、1−2、1−3、1−4、1−5とした。抄紙した紙の引張強さを測定し、裂断長を求めた。
【0035】
【比較例1】
粗軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕し、35.1、19.9、10.5、4.9、0.9μmの粉砕品を得た。これらをそれぞれ充填した場合を比較例1−1、1−2、1−3、1−4、1−5とした。抄紙した紙の引張強さを測定し、裂断長を求めた。
【0036】
結果を表1と図1に示す。表2と図1の結果から、本願発明の珪酸カルシウムを充填したほうが、従来の填料である軽質炭酸カルシウムを充填したものに比較して、裂断長が大きく、強度が高いことがわかる。
【0037】
【表2】
Figure 2004091952
【0038】
【図1】
Figure 2004091952
【0039】
【実施例2】
合成例1〜7で得られた珪酸カルシウムと合成例8のシリカを充填し抄紙し、それぞれ実施例2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6、2−7、2−8とした。各紙の密度と裂断長を求めた。LBKP(濾水度CSF420ml)のみで抄紙した紙の密度あるいは裂断長を基準(100%)として、実施例2−1〜2−8の密度減少率と裂断長保持率を計算した。結果を表3に示した。
【0040】
【比較例2】
比較例2−1として平均粒子径1.5μmの軽質炭酸カルシウムを、比較例2−2として平均粒子径1.5μmの鱗片状シリカ(サンブラリーLFS150:洞海化学工業製、(S+S+S )/Sall=0.03)を充填し抄紙した。LBKP(濾水度CSF420ml)のみで抄紙した紙の密度あるいは裂断長を基準(100%)として、比較例2−1〜2−2の密度減少率と裂断長保持率を計算した。結果を表3に示した。
【0041】
【表3】
Figure 2004091952
【0042】
[新聞用紙の抄紙例]
SGP/C−TMP/TMP/DIP/N−BKP=5/10/15/60/10(固形分重量比)の配合で、濾水度80mlのパルプを使用し、パルプ分としてが紙重量当り95固形分重量%、填料が紙重量当り5固形分重量%になるように原料を配合し、配向性抄紙機にてシート坪量が48g/mの紙を抄いた。次に、4.18kg/cmで5分間、さらに4.18kg/cmで2分間プレス機によりプレス脱水し、50℃で1時間緊張乾燥して新聞用紙を作成した。得られた新聞用紙は23℃、湿度50%の条件で1日間調湿した後、紙の物性値を測定した。
【0043】
【実施例3】
合成例1〜7で得られた珪酸カルシウムと合成例8のシリカを湿式粉砕し、それぞれ平均粒子径3.1、3.3、3.2、3.0、3.0、3.1、3.1、3.0μmの粉砕品を調製した。これを充填し抄紙し、それぞれ実施例3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6、3−7、3−8とした。各紙の密度と裂断長を求めた。パルプのみで抄紙した紙の密度あるいは裂断長を基準(100%)として、実施例2−1〜2−8の密度減少率と裂断長保持率を計算した。結果を表4に示した。
【0044】
【比較例3】
比較例3として平均粒子径3.0μmで(S+S+S )/Sall=0.00のホワイトカーボンを充填し抄紙した。パルプのみで抄紙した紙の密度あるいは裂断長を基準(100%)として、比較例3の密度減少率と裂断長保持率を計算した。結果を表4に示した。
【0045】
【表4】
Figure 2004091952
【0046】
【発明の効果】
珪酸カルシウム系またはシリカ系の製紙用填料であって、Q0、Q1、Q2のシラノール基のうち、少なくとも1種類のシラノール基を有し、且つ、CP/MAS法による29Si−固体NMR(核磁気共鳴装置)チャートにおいて、シラノール基由来のすべてのピークの面積(Sall)に対するQ0、Q1、Q2シラノール基によるピーク面積の和(S+S+S)の比((S+S+S )/Sall)が0.5〜1であり、且つ該填料を特定の嵩比重とすることにより、新規な製紙用填料を提供する。また、該新規填料を充填することにより、従来の填料を充填した紙に比べ、嵩高で紙の強度低下が少ない紙が得られる。

Claims (4)

  1. 珪酸カルシウム系またはシリカ系の製紙用填料であって、
    (1)Q0、Q1、Q2のシラノール基のうち、少なくとも1種類のシラノール基
    を有し、
    (2)且つ、CP/MAS法による29Si−固体NMRチャートにおいて、シラノール基由来のすべてのピークの面積(Sall)に対するQ0、Q1、Q2シラノール基によるピーク面積の和(S+S+S)の比((S+S+S )/Sall)が0.5〜1である
    ことを特徴とする珪酸カルシウム系またはシリカ系の製紙用填料。
  2. 珪酸カルシウムがオケナイト、ゾノトライト、フォシャジャイト、ジェナイト、メタジェナイト、ヒレブランダイト、トバモライト、ジャイロライト、トラスコタイト、カルシオ−コンドロダイト、キルコアナイト、オウウィライト、デライト、トリカルシウムシリケートハイドレート、α−ジカルシウムシリケートハイドレート、非晶質珪酸カルシウムの群から選ばれる1種類あるいは2種類以上を含有することを特徴とする請求項1記載の製紙用填料。
  3. レーザー回折式粒度分布計による平均粒子径が0.5〜50μmであり、かつ嵩比重が0.01〜0.70g/mlであることを特徴とする請求項1または2項記載の製紙用填料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の製紙用填料を、紙重量あたり1〜40重量%配合した紙。
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