JP2004091675A - 低復元性を有するアクリル系発泡体、及びその製造方法 - Google Patents

低復元性を有するアクリル系発泡体、及びその製造方法 Download PDF

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JP2004091675A
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Masayuki Takada
高田 正行
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Soken Kagaku KK
Soken Chemical and Engineering Co Ltd
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Soken Kagaku KK
Soken Chemical and Engineering Co Ltd
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Abstract

【課題】均一なセル構造を有し、応力吸収性、低復元性に優れたアクリル系発泡体、及び、その製造方法を提供する。
【解決手段】(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ 100重量部、(B)充填材 10〜50重量部、(C)架橋剤 0.01〜5重量部、(D)低温分解性アゾ系ガス発泡剤 1〜30重量部、(E)過酸化物系重合開始剤、及び、(F)還元剤を含有する(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物を25℃〜80℃の温度領域で重合、架橋、及び、発泡させて得られることを特徴とするアクリル系発泡体。及び、前記(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物を、25〜80℃の温度領域で、重合、架橋、及び、発泡を同時に進行させるアクリル系発泡体の製造法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、アクリル系発泡体に関し、より詳細には、均一なセル構造を有し、低復元性および衝撃吸収性に優れた、靴中敷き等のクッション材や、自動車の内装材、マットレス、壁材などに好適に用いられる、アクリル系発泡体、及び、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、様々な民生品や様々な産業分野の工業製品として、各種のポリマーからなる発泡体素材が広汎に使用されている。また、その発泡体素材においても、近年、とくに復元力(反発弾性)の低い発泡体が望まれている。例えば、靴の中敷き用としては、足の形に合わせて形状を変えその形を安定に維持するクッション材、自動車においては、衝突時の安全を考えてヘッドレストなどの内装材やチャイルドシートなどに低復元性発泡体を用いることもある。医療、福祉分野では、ベッドのマットレスに用いることにより、体圧を分散させ、長時間の就寝による疲労や床ずれを防止する試みがなされている。また、シール材などの分野では、ある程度自由な変形と、その形状の保持が必要となることから復元性の低い発泡体が望まれている。
【0003】
そのような発泡体において、従来から特開昭56−145931号、特開昭48−99283号及び特開昭49−27559号公開公報には、樹脂中に発泡剤を分散させ、加熱により重合、架橋、及び、発泡を行うことで得られるアクリル系発泡体が提案されている。例えば、特開昭56−145931、特開昭48−99283によれば、アクリル系部分重合物中にアゾ系ガス発泡剤のような加熱分解型発泡剤を分散させ、発泡剤の分解温度以下で重合を行い、その後、分解温度以上に加熱することによって発泡させて得られるアクリル系発泡体が記載されている。また、特開昭49−27559には、メチルメタクリレートを主成分とするモノマー混合物に、開始剤及び発泡剤として2種類のアゾ系化合物、発泡調整剤としてシリコンオイルを添加して、鋳型で段階的に重合架橋させたあと170℃で発泡させて得られる、発泡樹脂板が記載されている
【0004】
しかしながら、従来技術においては、発泡体中の気泡を均一に調製することが難しく、そのため均一な応力吸収性が得られなかったり、外観形状を損ねるなどの問題点があった。特開昭56−145931、特開昭48−99283の方法では、重合と発泡を分けて2段階の反応としていることから、重合架橋後の発泡剤の分散の度合いによっては、発泡体の気泡が不均一になることがあり、均一な応力吸収性が得られず、外観も悪くなってしまうことがあった。
また、特開昭56−145931、特開昭48−99283、特開昭49−27559記載のアクリル系発泡体は耐候性に優れるものの、反発弾性が高く低復元性を有さない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、均一なセル構造を有し、応力吸収性、低復元性に優れた、靴の中敷き、ベッドのマットレス、車の内装材など低復元性を要する様々な用途に好適に用いることができるアクリル系発泡体、及び、その製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、低温分解性アゾ系ガス発泡剤、過酸化物系重合開始剤及び還元剤を含有する(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物を用いて得られる発泡体が、応力吸収性、低復元性に優れていることを見いだした。
【0007】
すなわち本発明は、
(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ 100重量部
(B)充填材 10〜50重量部
(C)架橋剤 0.01〜5重量部
(D)低温分解性アゾ系ガス発泡剤 1〜30重量部
(E)過酸化物系重合開始剤
(F)還元剤
を含有する(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物を25℃〜80℃の温度領域で重合、架橋、及び、発泡させて得られるアクリル系発泡体を提供するものである。
【0008】
さらに、本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ(A)を調製し、
架橋剤(B)と、充填剤(C)と、低温分解性アゾ系ガス発泡剤(D)、過酸化物系重合開始剤(E)と、還元剤(F)とを添加、混合し、
25〜80℃の温度領域で、重合、架橋、及び、発泡を、同時に進行させるアクリル系発泡体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ(A)を構成する主モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル等、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
なかでも、良好な低復元性を得るためには、(メタ)アクリル系シロップ(A)のポリマー部分、及び、モノマー部分の重合によって得られるポリマーのガラス転移温度(Tg)が−20℃以下であることが好ましい。前記Tgは、下記のFOXの式より算出される値を意味する。
〔FOXの式〕
1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb+・・・
(式中、Tgは重合体のガラス転移温度(K)、Tga,Tgb,・・・は単量体a,単量体b,・・・のホモポリマーのガラス転移温度、Wa,Wb,・・・は単量体a,単量体b,・・・の重量分率を示す。また、後述する架橋剤(B)において多官能モノマーを用いた場合には、多官能モノマーはTgの計算には加えないものとする。)
【0010】
(メタ)アクリル系シロップ(A)に用いられるモノマーとして、好ましくはホモポリマーのTgが−20℃以下(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは1種単独、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させるモノマーとして、官能基含有モノマーが挙げられる。官能基含有モノマーの官能基は、後述する架橋剤(B)として多官能化合物が用いられた時に架橋点として作用する。
官能基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリジコール又はポリプロピレングリコールとのモノエステル等などの水酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ構造を持つビニルモノマーなどが挙げられる。これら官能基含有モノマーは、(A)100重量部中に、0.1〜20重量部用いられる。
【0012】
また、その他共重合可能なモノマーを用いてもよい。共重合可能なモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アリルエステル類、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのメタクリル酸アルコキシアルキルエステル類、フッ素含有ビニル単量体や塩素含有ビニル単量体などのハロゲン含有ビニル単量体類などが挙げられる。
【0013】
本発明で用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ(A)は、上記モノマーを混合し、部分的に重合するか、もしくは上記モノマーの重合体を、該重合体を溶解可能なモノマーに溶解することによって得られる。
また、発泡を均一に進行させるために、樹脂にある程度の流動性を持たせることが好ましく、(メタ)アクリル系シロップ(A)のポリマー分を30〜60%の範囲に、該ポリマー部分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量を1万〜60万の範囲に調製することが好ましい。
【0014】
本発明で用いられる架橋剤(B)成分としては、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属架橋剤などの多官能化合物や、不飽和二重結合を2個以上有する多官能モノマーが挙げられる。多官能化合物は、(メタ)アクリル系シロップ(A)中の官能基と反応し架橋構造を形成する。一方、多官能モノマーは(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物の重合時に共重合されることによって架橋構造を形成する。
【0015】
イソシアネート架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、クロルフェニレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体などが挙げられる。
エポキシ架橋剤としては、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリンなどが挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−ジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネートなどが挙げられる。
金属架橋剤としては、塩化第二銅、塩化アルミニウム、塩化第二鉄などの金属塩、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、アルミニウム、鉄、チタン、錫、銅、亜鉛などの金属キレート化合物
重合性多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
架橋剤(B)は、(A)100重量部中に、0.01〜5重量部用いられる。0.01重量部より少ないと、架橋が不十分となり発泡剤の分解により発生したガスが抜けてしまい充分な発泡が得られず、5重量部より多いと架橋が過剰に進行して樹脂の延伸性が不足してしまい、発泡剤の分解によりガスが発生しても充分な発泡が得られない。
【0016】
充填材(C)としては、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーン、チタニア、水酸化アルミニウム、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機充填材、シリコンビーズ、、ナイロンビーズ、アクリルビーズなどの有機充填材が挙げられる。これらの充填材は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物を得るためには、(A)100重量部に対して、充填材(C)10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部用いられる。充填材(C)の量が10重量部より少ないと、発泡体成形後に所望の低復元性が得られず、50重量部より多いと発泡体の成形性が悪くなる。
【0017】
低温分解性アゾ系ガス発泡剤(D)としては、2,2′−アゾビス(4−メトキシ2,4′−ジメチルバレロニトリル)(30℃)、アゾビスイソブチロニトリル(65℃)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(67℃)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(51℃)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート、4,4′−アゾビス(4−シアノバレリック酸)(69℃)、2,2′−アゾビス(2−ヒドロキシ−メチルプロピオニトリル)(77℃)などが挙げられる。
低温分解性アゾ系ガス発泡剤(C)は、(A)100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは3〜15重量部用いられる。低温分解性アゾ系ガス発泡剤(D)が1重量部より少ないと発泡体に成形したときに応力吸収性に劣り、30重量部より多いと成形した発泡体の機械的強度が低くなる。
【0018】
また、発泡体の成形時に重合、架橋及び発泡を同時に進行させるために、低温分解性アゾ系ガス発泡剤(D)の10時間半減期温度が80℃以下であることが好ましい。10時間半減期温度が80℃以上であると、25℃〜80℃の温度領域において、発泡剤が分解せずセルの形成が行われなかったり、発泡剤の分解前に重合と架橋が進み、発泡剤の分解時に樹脂の柔軟性が悪くなり発泡が十分に行われなわれず気泡の形が均一でなくなる恐れがある。
【0019】
過酸化物系重合開始剤(E)としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、クメルパーオキシオクトエイト、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエイト)、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレイト等が挙げられる。
これらの重合開始剤は1種または2種以上を併用して用いてもよい。
【0020】
還元剤としては、N,N−ジメチルパラトルイジン、トリエチルアミン、チオ化合物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、酒石酸、クエン酸、シュウ酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら還元剤(F)を過酸化物系重合開始剤(E)と併用する酸化還元処方によって、25℃〜80℃の範囲で重合、架橋及び発泡を同時に進行させることにより、均一な気泡を有する発泡体となる。
さらに、気泡を安定化するためのシリコーン系や含フッ素系などの整泡剤、発泡体の難燃性を高めるための水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃剤、その他目的に応じて着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを含有してもよい。
【0021】
上記(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物を用いて得られる発泡体は、低復元性を要する用途で好適に用いられる物性を示す。JIS K6400記載の圧縮残留ひずみ試験において、アクリル系発泡体の初期厚みの75%まで荷重をかけて圧縮し、その荷重を除去して10分後の復元率が10%以下であり、且つ、除去1時間後の復元率が80%以上である。10分後の復元率が10%以上であると、低復元性を要する用途においては反発弾性が強すぎ、使用感が悪くなる。また、1時間後の復元率が80%より小さいと、繰り返し使用によってへたりが生じ、耐久性に劣る。
【0022】
さらに、本発明のアクリル系発泡体の製造方法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ(A)を調製し、該(メタ)アクリル系シロップと架橋反応可能な架橋剤(B)と、充填剤(C)と、低温分解性アゾ系ガス発泡剤(D)と、過酸化物系重合開始剤(E)と、還元剤(F)とを添加、混合し、25〜80℃の温度領域で、重合、架橋、及び、発泡を、同時に進行させるアクリル系発泡体の製造方法である。アクリル系発泡体の製造方法において、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、上記アクリル系発泡体で挙げた物質を用いることができる。
【0023】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ(A)は、ポリマー分30〜60%、該ポリマー部分のGPCによる重量平均分子量を1万〜60万の範囲に調製することが好ましく、前記シロップを調製する方法として、部分重合法、ポリマー溶解法が挙げられる。
【0024】
部分重合法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー溶液に光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤を添加し、熱及び/又は紫外線などの光によってアクリル系モノマーを部分的に重合し(メタ)アクリル系シロップを得る方法であり、照射する光量、重合温度を調節することによって、分子量、ポリマー分を調整することができ、また、重合後にモノマーを添加することによって粘度の調整を行うことができる。部分重合法によるシロップは溶剤を含有していてもかまわないが、特開平11−49811、特開2000−313704に記載の方法によれば実質的に溶剤を含有しないシロップの調整が可能であり、本発明においては溶剤を含有しない処方でシロップを調製することが好ましい。
【0025】
ポリマー溶解法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーを該ポリマーを溶解可能なモノマーに溶解し、ポリマー分、粘度を調整することによって(メタ)アクリル系シロップを得る方法である。前記(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は特に限定されず、溶剤を含んでいてもかまわないが、好ましくは塊状重合によって重合し、溶剤を含有しない方が好ましい。
【0026】
本発明において、部分重合法、ポリマー溶解法いずれの方法によってシロップを調製してもかまわないが、作業性の面からは部分重合法を用いた方が好ましい。
【0027】
本発明のアクリル系発泡体の製造法においては、過酸化物系重合開始剤(E)と、還元剤(F)とを併用し、25〜80℃で重合を開始する。さらに、発泡剤として低温分解性アゾ系ガス発泡剤(D)を用いることにより、重合熱で該低温分解性アゾ系ガス発泡剤(D)の分解が起こり、重合、架橋及び発泡が25〜80℃の温度範囲で同時に進捗する。重合温度が25℃より低いと、重合反応は極めて遅く、架橋反応が進行せず、発泡剤の分解も起こらない。また、80℃より高いと、重合と架橋が十分でないうちに発泡剤の分解が進み、樹脂中に発生したガスを内包することができない。重合、架橋及び発泡を同時に進行させることにより、気泡の形が均一になり、応力吸収性に優れた発泡体が得られる。
【0028】
本発明の重合、架橋及び発泡を同時に進行させる発泡体の成型には従来公知の方法が用いられる。例えば、コーティング成型、スプレー成型、注型成型などが挙げられる。これらの成型法は、目的とする発泡体の形状、使用目的にあわせて適宜選択される。
【0029】
【発明の効果】
本発明のアクリル系発泡体は、均一な気泡構造を有し、応力吸収性に優れ、低復元性を併せ持っている。
また、本発明のアクリル系発泡体はJIS K6400記載の圧縮残留ひずみ試験において、アクリル系発泡体の初期厚みの75%まで荷重をかけて圧縮し、その荷重を除去して10分後の復元率が10%以下、且つ、除去1時間後の復元率が80%以上の物性を満たすので、靴の中敷きにおいては各個人の足の形に合わせて形状を変えて足を安定に維持し、ベッドのマットレスにおいては長時間の就寝による疲労や床ずれを防止、車の内装材においては衝突時の衝撃吸収効果に優れるなど様々な用途に好適に用いることができる。
【0030】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
ここで、発泡体の密度の測定は、アクリル系発泡体を、およそ1cm×10cm×10cmの直方体の試料にカットし、ノギスにより各辺の正確な長さを求め、それより体積を算出、上記試料の重量を秤量し、算出した体積で除すことによって求めた。
また、圧縮残留ひずみ試験はJIS K6400記載に則って行い、アクリル系発泡体の初期厚みの75%まで、荷重をかけて圧縮し、その荷重を除去して10分後、及び、1時間後の復元率を測定した。
【0031】
【製造例】シロップの調製
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管及び冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、アクリル酸−2−エチルヘキシル(以下2−EHAとする)850g、アクリル酸(以下AAとする)150g、n−ドデシルメルカプタン1.0gを投入し、フラスコ内の空気を窒素に置換しながら、55℃まで加熱した。
ついで、重合開始剤として2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)0.025gを撹拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤投入後、反応系の温度は上昇したが、冷却を行わずに重合反応を続けたところ、反応系の温度が120℃に達し、その後徐々に下がり始めた。反応系の温度が115℃まで下がったところで、2−EHA170g、AA30g、n−ドデシルメルカプタン2.0gを添加して強制冷却を行い、55℃まで冷却後、その温度を保持して30分間窒素置換しながら攪拌した。
【0032】
ついで、重合開始剤(V−70)0.05gを撹拌下に投入して均一に混合した。重合開始剤投入後、反応系の温度は上昇して120℃に達し、その後徐々に下がり始めた。反応系の温度が115℃まで下がったところで、2−EHA170g、AA30gを添加して強制冷却を行い、ついで、粘度調整用としてアクリル酸エチル(以下EAとする)200g、アクリル酸t−ブチル(以下t−BAとする)100gを添加してアクリルシロップAを得た。このシロップは、モノマー濃度60%、ポリマー濃度40%で、ポリマー分の重量平均分子量が15万であった。
【0033】
【実施例1】
【0034】
アクリルシロップAの100重量部に対して、架橋剤としてN,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(T−X)0.6部、充填材として中空ガラス粒子(Z−36)15部及び、水酸化アルミニウム粉体(H−42)15部、アゾ系ガス発泡剤として10時間半減期温度30℃の2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)5部、シリコーン系整泡剤(SH190)2部を添加・混合して重合発泡性アクリルシロップ組成物を得た。ついで、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)を1.25部、還元剤としてN,N−ジメチルパラトルイジンを0.1部添加して、混合後に型に流し込み、40℃雰囲気下に30分間静置して、重合、発泡及び硬化を進行させて、アクリル系発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0035】
【実施例2】
充填材(Z−36)を7.5部、充填剤(H−42)を7.5部とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0036】
【実施例3】
充填材(Z−36)を20部、充填剤(H−42)を20部とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0037】
【実施例4】
低温分解性アゾ系発泡剤(V−70)を2部とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0038】
【実施例5】
低温分解性アゾ系発泡剤(V−70)を20部とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0039】
【実施例6】
低温分解性アゾ系発泡剤(V−70)を、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)5部とした以外は、実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0040】
【比較例1】
充填剤(Z−36)を40部、充填剤(H−42)を40部添加した以外は実施例1と同様の方法で発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0041】
【比較例2】
充填剤(Z−36)を3部、充填剤(H−42)を3部添加した以外は実施例1と同様の方法で発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0042】
【比較例3】
アゾ系ガス発泡剤(V−70)を0.5部とした以外は実施例1と同様の方法で発泡体を得た。得られた発泡体の密度、及び、圧縮残留ひずみ試験における10分後の復元率、及び、1時間後の復元率を表1に示す。
【0043】
【比較例4】
アゾ系ガス発泡剤(V−70)を40部とした以外は実施例1と同様の方法で発泡体を得た。得られた発泡体はセルの合一やガス抜けが起こり、機械的な強度が著しく不足しており、圧縮残留ひずみ試験では圧縮時に発泡体が破壊してしまうものであった。
【0044】
【比較例5】
発泡体製造温度を120℃とした以外は実施例1と同様の方法で発泡体製造を試みた。発泡剤の分解が早すぎて、発生したガスを樹脂中に内封できず、発泡体として扱えるものではなかった。
【0045】
【比較例6】
発泡体製造温度を5℃とした以外は実施例1と同様の方法で発泡体製造を試みた。重合反応と硬化反応が進行せず、また発泡剤の分解が起きず、(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物は、液状を保っている状態であった。
【0046】
【比較例7】
還元剤であるN,N−ジメチルパラトルイジンを無添加とした以外は実施例1と同様の方法で発泡体製造を試みた。重合反応及び硬化反応が進行せず、(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物は液状を保っている状態であった。
【0047】
【比較例8】
アゾ系ガス発泡剤(V−70)を分解温度(ガス発生温度)195〜202℃の高温ガス発泡剤であるアゾジカルボンアミドの3重量部とした以外は実施例1と同様の方法で発泡体製造を試みた。発泡剤の分解によるガスの発生が起こらず、発泡体は得られなかった。
【0048】
【比較例9】
アゾ系ガス発泡剤(V−70)を、10時間半減期温度114℃の高温ガス発泡剤である2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド(V−30)5重量部とした以外は実施例1と同様の方法で発泡体製造を試みた。重合反応及び硬化反応が進行しすぎて発泡剤の分解で発生したガスを樹脂中に内包することができず、発泡体は得られなかった。
【0049】
【表1】
Figure 2004091675

Claims (2)

  1. (A)(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ 100重量部
    (B)充填材 10〜50重量部
    (C)架橋剤 0.01〜5重量部
    (D)低温分解性アゾ系ガス発泡剤 1〜30重量部
    (E)過酸化物系重合開始剤
    (F)還元剤
    を含有する(メタ)アクリル系発泡性樹脂組成物を25℃〜80℃の温度領域で重合、架橋、及び、発泡させて得られることを特徴とするアクリル系発泡体。
  2. (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系シロップ(A)を調製し、
    架橋剤(B)と、充填剤(C)と、低温分解性アゾ系ガス発泡剤(D)と、過酸化物系重合開始剤(E)と、還元剤(F)とを添加、混合し、
    25〜80℃の温度領域で、重合、架橋、及び、発泡を、同時に進行させることを特徴とするアクリル系発泡体の製造法。
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