JP2004091672A - 高分子ワニス - Google Patents
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Abstract
【課題】成膜性の向上した高分子ワニスを提供し、さらにそれを用いて得られる、フィルム、樹脂付き金属箔、硬化性複合材料、硬化複合材料、および積層体を提供する。
【解決手段】ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物と有機過酸化物とを芳香族系溶媒に溶解し、次いで熱処理することにより高分子ワニスを製造する。
【選択図】 選択図なし。
【解決手段】ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物と有機過酸化物とを芳香族系溶媒に溶解し、次いで熱処理することにより高分子ワニスを製造する。
【選択図】 選択図なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜性、加熱時の流動性に優れた高分子ワニス、およびこれを硬化して得られる硬化体に関する。さらに、本発明は、高分子ワニスと基材からなる硬化性複合材料、その硬化体、硬化体と金属箔からなる積層体、樹脂付き金属箔、およびフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性が要求されつつある。例えば、プリント配線基板としては、従来からフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を材料とする銅張り積層板が用いられてきた。これらは各種の性能をバランスよく有するものの、電気特性、特に高周波領域での誘電特性が悪いという欠点を持っている。
【0003】
この問題を解決する新しい材料としてポリフェニレンエーテルが最近注目を浴び、銅張り積層板を始めとする電子材料への応用が試みられている。
ここに用いられるポリフェニレンエーテルは、電子材料に用いるときに溶媒に溶解して使用されるが、成膜性が乏しく表面にクラックが発生し取り扱いが困難であった。また高分子であるため、加熱時の流動性が悪かった。
また、工業的に入手可能なポリフェニレンエーテルの分子量が限定されているために、分子量の小さいポリフェニレンエーテルを使用するのが困難であった。このため、ポリフェニレンエーテルの加熱時の流動性を向上させるための技術が提供されることが望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、ポリフェニレンエーテルと有機過酸化物とフェノール性化合物とを芳香族系溶媒に溶解し、次いで熱処理することにより、成膜性の向上した高分子ワニスを提供することを目的とし、さらにそれを用いて得られる、フィルム、樹脂付き金属箔、硬化性複合材料、硬化複合材料、および積層体を提供することも目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、下記(式1)の構造単位からなるポリフェニレンエーテル(A)100質量部、有機過酸化物0.1〜10質量部およびフェノール性化合物0.1〜10質量部とを芳香族系溶媒100〜2000質量部に溶解または分散させ、次いで25℃以上、300℃以下の温度で熱処理することにより製造されることを特徴とする高分子ワニスを提供する。
【0006】
【化2】
【0007】
〔R1、R4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わし、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
【0008】
第2に、第1の高分子ワニスに、さらに架橋剤が含まれることを特徴とする高分子ワニスを提供する。
第3に、第1または第2の高分子ワニスを製膜して得られるフィルムを提供する。
第4に、金属箔の片面に第2の高分子ワニスを製膜して得られる樹脂付き金属箔を提供する。
第5に、第2の高分子ワニスに基材を含浸して、次いで溶媒を乾燥して得られる硬化性複合材料であって、基材が5〜90質量%含まれることを特徴とする硬化性複合材料を提供する。
第6に、第5の硬化性複合材料を硬化して得られる硬化複合材料を提供する
第7に、第6の硬化複合材料と金属箔からなる積層体を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で言うポリフェニレンエーテル(A)とは、下記(式1)の構造を持ち、溶融射出成形法や溶融押出成形法などの成形方法により所望の形状の製品・部品を生産でき、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野の製品・部品用の材料として幅広く用いられているプラスチック材料である。
【0010】
【化3】
【0011】
本発明に用いられる(式1)で示されるポリフェニレンエーテル(A)において、R1、R4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わし、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。
【0012】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)は、好ましくは、0.5g/dl,クロロホルム溶液を用いて30℃で測定される還元粘度が、0.04〜1.0dl/gの範囲、より好ましくは0.10〜0.70dl/gの範囲にある重合体または共重合体である。
このような本発明のポリフェニレンエーテル(A)の具体的例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フ ェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられる。
【0013】
また、ポリフェニレンエーテル(A)の他の具体的例としては、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
本発明においては、上記のポリフェニレンエーテル(A)のうち、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体を使用することが好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を使用することが最も好ましい。
【0014】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)の製造方法は、特に限定されないが、その例として、米国特許第3306874号明細書に記載された、第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6− キシレノールを酸化重合する方法がある。米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテル(A)の好ましい製造方法として挙げられる。
【0015】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)の末端構造は、下記(式2)の構造であることが好ましい。
【0016】
【化4】
【0017】
〔式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ前記(式1)におけるR1、R2、R3、R4と同様に定義される。〕
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)の末端構造は、下記(式2’)の構造であることがさらに好ましい。
【0018】
【化5】
【0019】
〔式中、R1は、前記(式1)におけるR1と同様に定義され、R5、R5´はアルキル基を表わす。〕
【0020】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)には、目的に応じ、所望の添加剤を添加しても良い。このような添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、界面活性剤、滑剤、充填剤、ポリマー添加剤等が挙げられる。
本発明におけるポリフェニレンエーテル(A)としては、融点を持つ結晶性ポリフェニレンエーテルが用いられる。このような結晶性ポリフェニレンエーテルとその融点の関係を示した文献としては、例えば、Journal of Polymer Science,P art A‐2(6)1141‐1148頁(1968 年)、European Polymer Journal(9)293‐300頁(1973年)、Poly mer(19)81‐84頁(1978年)などが挙げられる。
【0021】
本発明では、ポリフェニレンエーテル(A)の融点は、(A)に対する示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピークトップ温度で定義される。また、ピークトップ温度が複数ある場合には、ポリフェニレンエーテル(A)の融点は、その内の最高の温度で定義される。
本発明において、ポリフェニレンエーテル(A)は、溶液より沈殿して得られるパウダー状のもので、融点が240℃〜255℃のポリフェニレンエーテルであることが好ましい。
また、本発明において、ポリフェニレンエーテルの製造に用いられるポリフェニレンエーテル(A)は、溶液より沈殿して得られるパウダー状のもので、DSC測定に おけるピークから得られる比熱差(ΔH)が2J/g以上であることが好ましい。
【0022】
本発明に用いられる芳香族系溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられ、その中でトルエンがより好ましい。
本発明に用いられる有機過酸化物の例としては、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。これらの中でより好ましいのはジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類であり、その例として、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが挙げられる。
【0023】
本発明に用いられるフェノール性化合物は、次の式で示されるフェノール性化合物(すなわち、1以上のフェノール性ヒドロキシル基を含有する化合物)である。
【0024】
【化6】
【0025】
[式中、Dは炭素数6〜10のアリール基であり、任意には炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルキルチオ、炭素数6〜10のアリールオキシ、炭素数6〜10のアリールチオ、炭素数6〜10のアリールスルホニル、又は炭素数6〜20の混合芳香族−脂肪族炭化水素で置換されていてもよく、nは1〜5の整数を表す。]
【0026】
本発明に用いられるフェノール性化合物としては、例えば、2−又は3−又は4−メチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−アリルフェノール、2−又は3−又は4−メトキシフェノール、2−メトキシ−4−アリルフェノール、2−アリルフェノール、並びにビスフェノール類、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、並びにフェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられ、好ましくは2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、ビスフェノール類、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックである。
【0027】
本発明において使用される芳香族系溶媒の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、100〜2000質量部である。この量が2000質量部を越えると成膜性向上効果が不十分であり、この量が100質量部未満ではゲルが生成する。
本発明で、使用する有機過酸化物の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1〜10質量部である。この量が0.1質量部未満では成膜性向上効果が不十分であり、この量が10質量部を越えるとゲルが生成する。
本発明で、使用するフェノール性化合物の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1〜10質量部である。この量が0.1質量部未満では加熱時の流動性向上効果が不十分であり、この量が10質量部を越えると成形性が劣る。
【0028】
本発明において、ポリフェニレンエーテルと有機過酸化物とフェノール性化合物とを芳香族系溶媒に溶解または分散させ、次いで熱処理する際の温度は、25℃以上、300℃以下、好ましくは30℃以上、150℃以下である。この温度が25℃未満では生産性が悪く、この温度が300℃を越えるとポリフェニレンエーテルの架橋反応が進む。
【0029】
本発明に用いられる架橋剤の例としては、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、多官能性アクリロイル化合物、多官能性メタクリロイル化合物、多官能性イソシアネート、多官能性マレイミド、不飽和ポリエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン等の多官能性不飽和結合含有化合物を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0030】
また、他の架橋剤としては、エポキシ樹脂を用いることもできる。このようなエポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を含有するものであればよく、一種のみもしくは二種以上組み合わせて用いられる。さらに、エポキシ樹脂と先に述べた多官能性不飽和結合含有化合物を併せて用いることもできる。このようなエポキシ樹脂の代表的な例としては、フェノール類またはアルコール類とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、アミン類またはシアヌル酸とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジル型エポキシ樹脂、二重結合の酸化によって得られる内部エポキシ樹脂等が挙げられる[これらの詳細については、例えば新保正樹編、「エポキシ樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1987)を参照のこと)]。
【0031】
これらエポキシ樹脂は硬化剤とともに用いることができる。このような硬化剤の例としては、通常エポキシ樹脂の硬化に使用されている化合物、例えば、アミン系として、ジシアンジアミド、芳香族アミン等が、フェノール硬化系として、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、アニリン変性・メラミン変性・グアニジン変性・ポリアミド変性等の窒素変性フェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0032】
ポリフェニレンエーテル、架橋剤に対して、硬化剤とともに硬化促進剤を使用することもできる。このような硬化促進剤の例としては、通常エポキシ樹脂に使用される硬化促進剤やラジカル開始剤が挙げられ、前者として、例えばイミダゾール化合物が、後者として、例えば、パーヘキシン25Bのような通常の過酸化物が挙げられる。
本発明において、架橋剤として好ましく用いられるのはトリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレートであり、これらを用いることにより、誘電特性並びに耐熱性に優れた硬化体を得ることができる。
【0033】
また本発明の高分子ワニスには、上記に加え、その用途に応じて所望の性能を付与する目的で、本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤を配合して用いることができる。
このような充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、チタン酸バリウム、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。また、添加剤としては、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等を挙げることができる。
【0034】
添加剤の具体的な例としては、三酸化アンチモン、SAYTEX(登録商標)8010(アルベマール浅野株式会社製)、SAYTEX(登録商標)BT−93W(アルベマール浅野株式会社製)、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、ビスフェニル(ヒドロキシフェニル)ホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(ブチルフェニル)ホスフェート、ビスフェニル(シアナトフェニル)ホスフェート、ビスフェニル(マレイミドフェニル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、TPP(大八化学社製)、TCP(大八化学社製)、TXP(大八化学社製)、CDP(大八化学社製)、PX−110(大八化学社製)、MR−260(大八化学社製)、フォスフレックス(登録商標)31P(アクゾノーベル社製)、
【0035】
フォスフレックス(登録商標)41P(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)11P(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)21P(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)61B(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)71B(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)72B(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)370(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)390(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)179A(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)TPP(アクゾノーベル社製)、リンドール(登録商標、アクゾノーベル社製)、レオフォス(登録商標)35(グレート レイクス ケミカル社製)、レオフォス(登録商標)50(グレート レイクス ケミカル社製)、レオフォス(登録商標)65(グレート レイクス ケミカル社製)、レオフォス(登録商標)95(グレート レイクスケミカル社製)、レオフォス(登録商標)110(グレート レイクス ケミカル社製)、
【0036】
レオフォス(登録商標)TPP(グレート レイクス ケミカル社製)、クロニテックス(登録商標)CDP(FMC社製)、クロニテックス(登録商標)TCP(FMC社製)、クロニテックス(登録商標)TXP(登録商標、FMC社製)、DVP507(FMC社製)、DVP492(FMC社製)、反応性RDP(FMC社製)、 レゾルシノールビス(ジ−2−アリルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2−メチル−4−アリルフェニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジ−2−アリルフェニルホスフェート)、2,2′−ジアリルビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ヒドロキシフェニルホスフェート)、
【0037】
レゾルシノールビス(シアナトフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(マレイミドフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4′−ビフェニルビス(ジフェニルホスフェート)、2,6−ナフタレンジオールビス(ジフェニルホスフェート)、CR−733S(大八化学社製)、CR−741(大八化学社製)、CR−747(大八化学社製)、PX−200(大八化学社製)、
【0038】
PX−201(大八化学社製)、PX−202(大八化学社製)、ファイロールフレックス(登録商標)RDP(アクゾノーベル社製)、ファイロールフレックス(登録商標)BDP(アクゾノーベル社製)、レオフォス(登録商標)RDP(FMC社製)、BPA−DP(FMC社製)、 レゾルシノールビス(ジ−2−アリルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2−メチル−4−アリルフェニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジ−2−アリルフェニルホスフェート)、2,2′−ジアリルビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ヒドロキシフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(シアナトフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(マレイミドフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、
【0039】
ヒドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4′−ビフェニルビス(ジフェニルホスフェート)、2,6−ナフタレンジオールビス(ジフェニルホスフェート)、CR−733S(大八化学社製)、CR−741(大八化学社製)、CR−747(大八化学社製)、PX−200(大八化学社製)、PX−201(大八化学社製)、PX−202(大八化学社製)、ファイロールフレックス(登録商標)RDP(アクゾノーベル社製)、ファイロールフレックス(登録商標)BDP(アクゾノーベル社製)、
【0040】
レオフォス(登録商標)RDP(FMC社製)、BPA−DP(FMC社製)、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸アリル、ジフェニルホスフィン酸(ヒドロキシフェニル)、ジフェニルホスフィン酸(シアナトフェニル)、ジフェニルホスフィン酸(マレイミドフェニル)、ジクレジルホスフィン酸フェニル、ジキシレニルホスフィン酸フェニル、ジアリルホスフィン酸フェニル等、9、10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体、 9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(アリルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(メタリルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(1−ブテニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(アリルホスファ)(2,7−ジメチルフェナントレン)−10−オキシド、
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(アリルホスファ)(1,3,6,8−テトラメチルフェナントレン)−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ビニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ヒドロキノニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ビスシアナトフェニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ビスマレイミドフェニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ベンジルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ナフトキノニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、 ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ビス(2−メトキシ−4−アリルフェノキシ)ホスファゼン、フェノキシアリルホスファゼン、ジフェノキシホスファゼン、
【0041】
ビス(ヒドロキシフェニル)ホスファゼン、ビス(シアナトフェニル)ホスファゼン、ビス(マレイミドフェニル)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン、ジキシレニルホスファゼン、フェノキシイソプロポキシホスファゼン、クレジルイソプロポキシホスファゼン、ビニルジフェニルホスフィンオキシド、アリルジフェニルホスフィンオキシド、メタリルジフェニルホスフィンオキシド、1−ブテニルジフェニルホスフィンオキシド、ビニルジトリルホスフィンオキシド、アリルジトリルホスフィンオキシド、メタリルジトリルホスフィンオキシド、1−ブテニルジトリルホスフィンオキシド、アリルフェニルトリルホスフィンオキシド、ビニルジキシレニルホスフィンオキシド、アリルジキシレニルホスフィンオキシド、メタリルジキシレニルホスフィンオキシド、1−ブテニルジキシレニルホスフィンオキシド、ビニルジナフチルホスフィンオキシド、アリルジナフチルホスフィンオキシド、メタリルジナフチルホスフィンオキシド、1−ブテニルジナフチルホスフィンオキシド、アリルフェニルナフチルホスフィンオキシド等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
【0042】
さらに、ポリフェニレンエーテル以外の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を1種あるいは2種以上配合することも可能である。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の例としてはGPPS(汎用ポリスチレン)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ポリブタジエン、スチレンブタジエンブロックコポリマー等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
上記の成分を混合する方法としては、各成分を溶媒中に均一に溶解または分散させる溶液混合法が利用できる。溶液混合に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、テトラヒドロフランが単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0043】
本発明の高分子ワニスは、あらかじめその用途に応じて所望の形に成形してもよい。その成形方法は特に限定されないが、通常は、樹脂組成物を上述した溶媒に溶解または分散させて高分子ワニスとした後、キャストして好みの形に成形するキャスト法、または高分子ワニスから得られる樹脂組成物を加熱溶融して好みの形に成形する加熱溶融法が用いられる。
本発明の高分子ワニスの硬化体は、上述したポリフェニレンエーテルの高分子ワニスを硬化することにより得られるものである。硬化の方法は任意であり、熱、光、電子線等による方法を採用することができる。
【0044】
加熱により硬化を行う場合その温度は、ラジカル開始剤の種類によっても異なるが、80〜300℃、より好ましくは120〜250℃の範囲で選ばれる。また時間は、1分〜10時間程度、より好ましくは1分〜5時間である。また、この樹脂ワニスから得られるフィルムは、後述する硬化複合材料と同様、金属箔及び/または金属板と張り合わせて用いることができる。
【0045】
次に、本発明の硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性複合材料は、本発明の高分子ワニスと基材から得られることを特徴とする。ここで用いられる基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布およびその他合成もしくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維等の液晶繊維から得られる織布または不織布、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維から得られる織布または不織布、綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布、カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙ーガラス混繊紙などの天然セルロース系布などがそれぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられる。
【0046】
本発明の硬化性複合材料において基材の占める割合は、5〜90質量%、好ましくは、10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%である。この基材の量が5質量%より少なくなると、複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、この基材の量が90質量%より多くなると、複合材料の誘電特性が劣り好ましくない。
本発明の高分子ワニスから得られる硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善することを目的として、カップリング剤を用いることができる。このようなカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等が使用できる。
【0047】
本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、例えば、本発明の高分子ワニスと必要に応じて他の成分を前述の芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解または分散させ、基材に含浸させた後乾燥する方法が挙げられる。
このような含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、また、この際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成および樹脂量に調整することも可能である。
【0048】
本発明の硬化複合材料は、このようにして得た硬化性複合材料を加熱等の方法により硬化することによって得られるものである。その製造方法としては、例えば、該硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの硬化複合材料を得る方法を挙げることができる。また、一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも可能である。
【0049】
積層成形と硬化については、通常熱プレス等を用いて同時に行うことができるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理または別の方法で処理することによって硬化させることができる。
また、成形および硬化の条件としては、温度:80〜300℃、圧力:0.1〜1000kg/cm2、時間:1分〜10時間の範囲が好ましく、より好ましくは、温度:150〜250℃、圧力:1〜500kg/cm2、時間:1分〜5時間の範囲である。
【0050】
本発明の積層体とは、本発明の高分子ワニスの硬化複合材料と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは3〜105μmの範囲である。
本発明の積層体を製造する方法としては、例えば、上で説明した本発明の硬化性樹複合材料と、金属箔および/または金属板を目的に応じた層構成で積層し、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の積層体においては、硬化性複合材料と金属箔が任意の層構成で積層される。この際、金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
【0051】
また、本発明の積層体において、金属箔の接着には接着剤を用いることもできる。このような接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の積層成形と硬化は、本発明の硬化複合材料と同様の条件で行うことができる。
次いで、本発明の高分子ワニスと金属箔から得られる本発明の樹脂付き金属箔について説明する。ここで用いられる金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
【0052】
本発明の樹脂付き金属箔を製造する方法としては、例えば、高分子ワニスと必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解または分散させ、金属箔に塗布した後乾燥する方法が挙げられる。このような塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、また、この際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望する樹脂組成および樹脂量に調整することも可能である。
【0053】
最後に、本発明のフィルムについて説明する。本発明の高分子ワニスより得られるものである。その厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜150μmの範囲である。
本発明のフィルムを製造する方法としては、例えば、高分子ワニスと必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解または分散させ、ドクターブレード法等によってフィルム化する方法が挙げられる。このような塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望する樹脂組成および樹脂量に調整することも可能である。
【0054】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本願発明の実施形態の例を具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例では、次の方法で融点を評価する。
ポリフェニレンエーテルに対し、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定を行い、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフのピークトップ温度を融点とする。実施例及び比較例に用いたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)ポリフェニレンエーテルの温度−熱流量グラフは、単一のピークを示し、融点は250℃である。
【0055】
また、加熱時の流動性の評価方法には、プレス時の樹脂のはみ出し量測定、溶融粘度測定などがあるが、本願で用いる樹脂のはみ出し量とは、以下の方法で定義されるものである。
10cm角に切り取ったプリプレグ3枚の質量を測定し、圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした後、10cm角外にはみ出た樹脂を切り取り残った基板の質量を測定し、以下の式で求める。
樹脂のはみ出し量(%)=(プレス前のプリプレグ質量−プレス後に角外にはみ出
た樹脂を切り取った後の基板質量)/プレス前のプリプレグ質量*100
樹脂のはみ出し量が大きいほど、加熱時の流動性が良く、20%以上50%以下が好ましい。20%未満では多層板積層時のパターン埋め込み性が悪く、50%を越えると板厚精度が低下する。
【0056】
(実施例1)
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.41(ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量は1.8万、重量平均分子量は3.8万。)のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)ポリフェニレンエーテル100質量部にトルエン245質量部を加え、80℃1時間撹拌して溶解した。この溶解液に2,6−キシレノール0.4質量部、パーロイルTCP(日本油脂社製)0.725質量部を加え、80℃2時間撹拌して高分子ワニスを調製した。
得られた高分子ワニスを温度63℃に降温し30分間放置した後、温度60℃の塗工台にて厚さ60μmの透明でクラックの見られないフィルムを作成した。
【0057】
(実施例2)
実施例1において、2,6−キシレノールを0.8質量部、パーロイルTCP(日本油脂社製)を1.45質量部を用いること以外は、実施例1と同様の方法で高分子ワニスを調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ80μmの透明でクラックの見られないフィルムが得られた。
【0058】
(実施例3)
実施例1において、2,6−キシレノールを1.6質量部、パーロイルTCP(日本油脂社製)を2.90質量部を用いること以外は、実施例1と同様の方法で高分子ワニスを調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ110μmの透明でクラックの見られないフィルムが得られた。
【0059】
(実施例4)
実施例1記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部を加えて、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ30μmのクラックの見られないフィルムが得られた。
【0060】
(実施例5)
実施例2記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部を加えて、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ40μmのクラックの見られないフィルムが得られた。
【0061】
(実施例6)
実施例3記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部を加えて、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ50μmのクラックの見られないフィルムが得られた。
【0062】
(実施例7)
実施例1記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部、GPPS(重量平均分子量27万)8質量部、パーヘキサ25B(日本油脂社製)6質量部、SAYTEX8010(アルベマール浅野株式会社製)50質量部を加えて、トルエンに溶解もしくは分散させて高分子ワニスを作製し、これに目付71g/m2のガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させプリプレグを得た。
次に、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように8枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの銅箔をおいて180℃、10kg/cm2で90分間プレス成形機を用いて成形、硬化させた。
【0063】
ここで得られた積層体について、290℃のハンダ浴への2分間の浸漬による耐熱性試験を行ったところ、積層体の表面に異常は見られなかった。この積層体は誘電率:3.6(1MHz)、誘電正接:0.003(1MHz)、吸湿率:0.2%、ガラス転移温度:160℃(TMAによる測定)で、誘電特性、低吸湿性、耐熱性に優れていた。
さらに10cm角の目付71g/m2のガラスクロスプリプレグを3枚重ねて圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした結果、10cm角外に21%の樹脂がはみ出た。
【0064】
(実施例8)
実施例2記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部、 GPPS(重量平均分子量27万)8質量部、パーヘキサ25B(日本油脂社製)6質量部、SAYTEX8010(アルベマール浅野株式会社製)50質量部を加えて、トルエンに溶解もしくは分散させて高分子ワニスを調製し、これに目付71g/m2のガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させプリプレグを得た。
次に、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように8枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの銅箔をおいて180℃、10kg/cm2で90分間プレス成形機を用いて成形、硬化させた。
【0065】
ここで得られた積層体について、290℃のハンダ浴への2分間の浸漬による耐熱性試験を行ったところ、積層体の表面に異常は見られなかった。この積層体は誘電率:3.6(1MHz)、誘電正接:0.003(1MHz)、吸湿率:0.2%、ガラス転移温度:160℃(TMAによる測定)で、誘電特性、低吸湿性、耐熱性に優れていた。
さらに10cm角の目付71g/m2のガラスクロスプリプレグを3枚重ねて圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした結果、10cm角外に23%の樹脂がはみ出た。
【0066】
(実施例9)
実施例3記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部、 GPPS(重量平均分子量27万)8質量部、パーヘキサ25B(日本油脂社製)6質量部、SAYTEX8010(アルベマール浅野株式会社製)50質量部を加えて、トルエンに溶解もしくは分散させて高分子ワニスを作製し、これに目付71g/m2のガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させプリプレグを得た。
【0067】
次に、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように8枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの銅箔をおいて180℃、10kg/cm2で90分間プレス成形機を用いて成形、硬化させた。ここで得られた積層体について、290℃のハンダ浴への2分間の浸漬による耐熱性試験を行った所、積層体の表面に異常は見られなかった。
この積層体は誘電率:3.6(1MHz)、誘電正接:0.003(1MHz)、吸湿率:0.2%、ガラス転移温度:160℃(TMAによる測定)で、誘電特性、低吸湿性、耐熱性に優れていた。
さらに10cm角の目付71g/m2のガラスクロスプリプレグを3枚重ねて圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした結果、10cm角外に35%の樹脂がはみ出た。
【0068】
(実施例10)
実施例7記載の高分子ワニスを銅箔に塗布した後に溶媒を乾燥して樹脂付き銅箔を得た。この材料はビルドアップ用材料として好適に用いることができる。
【0069】
(実施例11)
実施例7記載の高分子ワニスをPETフィルムに塗布した後に溶媒を乾燥してフィルムを得た。この材料はビルドアップ用材料として好適に用いることができる。
【0070】
(比較例1)
実施例1において、パーロイルTCP(日本油脂社製)を0質量部として高分子ワニスを調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ50μmのフィルムでクラックが発生した。
【0071】
(比較例2)
実施例3において、パーロイルTCP(日本油脂社製)を0質量部として高分子ワニスを調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ20μmのフィルムでクラックが発生した。
【0072】
(比較例3)
比較例1記載の条件で作製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部、 GPPS(重量平均分子量27万)8質量部、パーヘキサ25B(日本油脂社製)6質量部、SAYTEX8010(アルベマール浅野株式会社製)50質量部を加えて、トルエンに溶解もしくは分散させて高分子ワニスを作製し、これに目付71g/m2のガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させプリプレグを得た。
次に、10cm角の目付71g/m2のガラスクロスプリプレグを3枚重ねて圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした結果、10cm角外に18%の樹脂がはみ出た。
【0073】
【発明の効果】
本発明により、成膜性と加熱時の流動性の向上した高分子ワニスが提供され、さらにそれを用いて、性能の優れたフィルム、樹脂付き金属箔、硬化性複合材料、硬化複合材料、および積層体が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜性、加熱時の流動性に優れた高分子ワニス、およびこれを硬化して得られる硬化体に関する。さらに、本発明は、高分子ワニスと基材からなる硬化性複合材料、その硬化体、硬化体と金属箔からなる積層体、樹脂付き金属箔、およびフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性が要求されつつある。例えば、プリント配線基板としては、従来からフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を材料とする銅張り積層板が用いられてきた。これらは各種の性能をバランスよく有するものの、電気特性、特に高周波領域での誘電特性が悪いという欠点を持っている。
【0003】
この問題を解決する新しい材料としてポリフェニレンエーテルが最近注目を浴び、銅張り積層板を始めとする電子材料への応用が試みられている。
ここに用いられるポリフェニレンエーテルは、電子材料に用いるときに溶媒に溶解して使用されるが、成膜性が乏しく表面にクラックが発生し取り扱いが困難であった。また高分子であるため、加熱時の流動性が悪かった。
また、工業的に入手可能なポリフェニレンエーテルの分子量が限定されているために、分子量の小さいポリフェニレンエーテルを使用するのが困難であった。このため、ポリフェニレンエーテルの加熱時の流動性を向上させるための技術が提供されることが望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、ポリフェニレンエーテルと有機過酸化物とフェノール性化合物とを芳香族系溶媒に溶解し、次いで熱処理することにより、成膜性の向上した高分子ワニスを提供することを目的とし、さらにそれを用いて得られる、フィルム、樹脂付き金属箔、硬化性複合材料、硬化複合材料、および積層体を提供することも目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、下記(式1)の構造単位からなるポリフェニレンエーテル(A)100質量部、有機過酸化物0.1〜10質量部およびフェノール性化合物0.1〜10質量部とを芳香族系溶媒100〜2000質量部に溶解または分散させ、次いで25℃以上、300℃以下の温度で熱処理することにより製造されることを特徴とする高分子ワニスを提供する。
【0006】
【化2】
【0007】
〔R1、R4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わし、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
【0008】
第2に、第1の高分子ワニスに、さらに架橋剤が含まれることを特徴とする高分子ワニスを提供する。
第3に、第1または第2の高分子ワニスを製膜して得られるフィルムを提供する。
第4に、金属箔の片面に第2の高分子ワニスを製膜して得られる樹脂付き金属箔を提供する。
第5に、第2の高分子ワニスに基材を含浸して、次いで溶媒を乾燥して得られる硬化性複合材料であって、基材が5〜90質量%含まれることを特徴とする硬化性複合材料を提供する。
第6に、第5の硬化性複合材料を硬化して得られる硬化複合材料を提供する
第7に、第6の硬化複合材料と金属箔からなる積層体を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で言うポリフェニレンエーテル(A)とは、下記(式1)の構造を持ち、溶融射出成形法や溶融押出成形法などの成形方法により所望の形状の製品・部品を生産でき、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野の製品・部品用の材料として幅広く用いられているプラスチック材料である。
【0010】
【化3】
【0011】
本発明に用いられる(式1)で示されるポリフェニレンエーテル(A)において、R1、R4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わし、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。
【0012】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)は、好ましくは、0.5g/dl,クロロホルム溶液を用いて30℃で測定される還元粘度が、0.04〜1.0dl/gの範囲、より好ましくは0.10〜0.70dl/gの範囲にある重合体または共重合体である。
このような本発明のポリフェニレンエーテル(A)の具体的例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フ ェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられる。
【0013】
また、ポリフェニレンエーテル(A)の他の具体的例としては、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
本発明においては、上記のポリフェニレンエーテル(A)のうち、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体を使用することが好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を使用することが最も好ましい。
【0014】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)の製造方法は、特に限定されないが、その例として、米国特許第3306874号明細書に記載された、第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6− キシレノールを酸化重合する方法がある。米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテル(A)の好ましい製造方法として挙げられる。
【0015】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)の末端構造は、下記(式2)の構造であることが好ましい。
【0016】
【化4】
【0017】
〔式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ前記(式1)におけるR1、R2、R3、R4と同様に定義される。〕
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)の末端構造は、下記(式2’)の構造であることがさらに好ましい。
【0018】
【化5】
【0019】
〔式中、R1は、前記(式1)におけるR1と同様に定義され、R5、R5´はアルキル基を表わす。〕
【0020】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル(A)には、目的に応じ、所望の添加剤を添加しても良い。このような添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、界面活性剤、滑剤、充填剤、ポリマー添加剤等が挙げられる。
本発明におけるポリフェニレンエーテル(A)としては、融点を持つ結晶性ポリフェニレンエーテルが用いられる。このような結晶性ポリフェニレンエーテルとその融点の関係を示した文献としては、例えば、Journal of Polymer Science,P art A‐2(6)1141‐1148頁(1968 年)、European Polymer Journal(9)293‐300頁(1973年)、Poly mer(19)81‐84頁(1978年)などが挙げられる。
【0021】
本発明では、ポリフェニレンエーテル(A)の融点は、(A)に対する示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピークトップ温度で定義される。また、ピークトップ温度が複数ある場合には、ポリフェニレンエーテル(A)の融点は、その内の最高の温度で定義される。
本発明において、ポリフェニレンエーテル(A)は、溶液より沈殿して得られるパウダー状のもので、融点が240℃〜255℃のポリフェニレンエーテルであることが好ましい。
また、本発明において、ポリフェニレンエーテルの製造に用いられるポリフェニレンエーテル(A)は、溶液より沈殿して得られるパウダー状のもので、DSC測定に おけるピークから得られる比熱差(ΔH)が2J/g以上であることが好ましい。
【0022】
本発明に用いられる芳香族系溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられ、その中でトルエンがより好ましい。
本発明に用いられる有機過酸化物の例としては、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。これらの中でより好ましいのはジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類であり、その例として、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが挙げられる。
【0023】
本発明に用いられるフェノール性化合物は、次の式で示されるフェノール性化合物(すなわち、1以上のフェノール性ヒドロキシル基を含有する化合物)である。
【0024】
【化6】
【0025】
[式中、Dは炭素数6〜10のアリール基であり、任意には炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルキルチオ、炭素数6〜10のアリールオキシ、炭素数6〜10のアリールチオ、炭素数6〜10のアリールスルホニル、又は炭素数6〜20の混合芳香族−脂肪族炭化水素で置換されていてもよく、nは1〜5の整数を表す。]
【0026】
本発明に用いられるフェノール性化合物としては、例えば、2−又は3−又は4−メチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−アリルフェノール、2−又は3−又は4−メトキシフェノール、2−メトキシ−4−アリルフェノール、2−アリルフェノール、並びにビスフェノール類、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、並びにフェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられ、好ましくは2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、ビスフェノール類、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックである。
【0027】
本発明において使用される芳香族系溶媒の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、100〜2000質量部である。この量が2000質量部を越えると成膜性向上効果が不十分であり、この量が100質量部未満ではゲルが生成する。
本発明で、使用する有機過酸化物の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1〜10質量部である。この量が0.1質量部未満では成膜性向上効果が不十分であり、この量が10質量部を越えるとゲルが生成する。
本発明で、使用するフェノール性化合物の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、0.1〜10質量部である。この量が0.1質量部未満では加熱時の流動性向上効果が不十分であり、この量が10質量部を越えると成形性が劣る。
【0028】
本発明において、ポリフェニレンエーテルと有機過酸化物とフェノール性化合物とを芳香族系溶媒に溶解または分散させ、次いで熱処理する際の温度は、25℃以上、300℃以下、好ましくは30℃以上、150℃以下である。この温度が25℃未満では生産性が悪く、この温度が300℃を越えるとポリフェニレンエーテルの架橋反応が進む。
【0029】
本発明に用いられる架橋剤の例としては、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、多官能性アクリロイル化合物、多官能性メタクリロイル化合物、多官能性イソシアネート、多官能性マレイミド、不飽和ポリエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン等の多官能性不飽和結合含有化合物を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0030】
また、他の架橋剤としては、エポキシ樹脂を用いることもできる。このようなエポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を含有するものであればよく、一種のみもしくは二種以上組み合わせて用いられる。さらに、エポキシ樹脂と先に述べた多官能性不飽和結合含有化合物を併せて用いることもできる。このようなエポキシ樹脂の代表的な例としては、フェノール類またはアルコール類とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、アミン類またはシアヌル酸とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジル型エポキシ樹脂、二重結合の酸化によって得られる内部エポキシ樹脂等が挙げられる[これらの詳細については、例えば新保正樹編、「エポキシ樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1987)を参照のこと)]。
【0031】
これらエポキシ樹脂は硬化剤とともに用いることができる。このような硬化剤の例としては、通常エポキシ樹脂の硬化に使用されている化合物、例えば、アミン系として、ジシアンジアミド、芳香族アミン等が、フェノール硬化系として、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、アニリン変性・メラミン変性・グアニジン変性・ポリアミド変性等の窒素変性フェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0032】
ポリフェニレンエーテル、架橋剤に対して、硬化剤とともに硬化促進剤を使用することもできる。このような硬化促進剤の例としては、通常エポキシ樹脂に使用される硬化促進剤やラジカル開始剤が挙げられ、前者として、例えばイミダゾール化合物が、後者として、例えば、パーヘキシン25Bのような通常の過酸化物が挙げられる。
本発明において、架橋剤として好ましく用いられるのはトリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレートであり、これらを用いることにより、誘電特性並びに耐熱性に優れた硬化体を得ることができる。
【0033】
また本発明の高分子ワニスには、上記に加え、その用途に応じて所望の性能を付与する目的で、本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤を配合して用いることができる。
このような充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、チタン酸バリウム、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。また、添加剤としては、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等を挙げることができる。
【0034】
添加剤の具体的な例としては、三酸化アンチモン、SAYTEX(登録商標)8010(アルベマール浅野株式会社製)、SAYTEX(登録商標)BT−93W(アルベマール浅野株式会社製)、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、ビスフェニル(ヒドロキシフェニル)ホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(ブチルフェニル)ホスフェート、ビスフェニル(シアナトフェニル)ホスフェート、ビスフェニル(マレイミドフェニル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、TPP(大八化学社製)、TCP(大八化学社製)、TXP(大八化学社製)、CDP(大八化学社製)、PX−110(大八化学社製)、MR−260(大八化学社製)、フォスフレックス(登録商標)31P(アクゾノーベル社製)、
【0035】
フォスフレックス(登録商標)41P(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)11P(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)21P(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)61B(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)71B(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)72B(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)370(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)390(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)179A(アクゾノーベル社製)、フォスフレックス(登録商標)TPP(アクゾノーベル社製)、リンドール(登録商標、アクゾノーベル社製)、レオフォス(登録商標)35(グレート レイクス ケミカル社製)、レオフォス(登録商標)50(グレート レイクス ケミカル社製)、レオフォス(登録商標)65(グレート レイクス ケミカル社製)、レオフォス(登録商標)95(グレート レイクスケミカル社製)、レオフォス(登録商標)110(グレート レイクス ケミカル社製)、
【0036】
レオフォス(登録商標)TPP(グレート レイクス ケミカル社製)、クロニテックス(登録商標)CDP(FMC社製)、クロニテックス(登録商標)TCP(FMC社製)、クロニテックス(登録商標)TXP(登録商標、FMC社製)、DVP507(FMC社製)、DVP492(FMC社製)、反応性RDP(FMC社製)、 レゾルシノールビス(ジ−2−アリルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2−メチル−4−アリルフェニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジ−2−アリルフェニルホスフェート)、2,2′−ジアリルビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ヒドロキシフェニルホスフェート)、
【0037】
レゾルシノールビス(シアナトフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(マレイミドフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4′−ビフェニルビス(ジフェニルホスフェート)、2,6−ナフタレンジオールビス(ジフェニルホスフェート)、CR−733S(大八化学社製)、CR−741(大八化学社製)、CR−747(大八化学社製)、PX−200(大八化学社製)、
【0038】
PX−201(大八化学社製)、PX−202(大八化学社製)、ファイロールフレックス(登録商標)RDP(アクゾノーベル社製)、ファイロールフレックス(登録商標)BDP(アクゾノーベル社製)、レオフォス(登録商標)RDP(FMC社製)、BPA−DP(FMC社製)、 レゾルシノールビス(ジ−2−アリルフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2−メチル−4−アリルフェニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジ−2−アリルフェニルホスフェート)、2,2′−ジアリルビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ヒドロキシフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(シアナトフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(マレイミドフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、
【0039】
ヒドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ヒドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4′−ビフェニルビス(ジフェニルホスフェート)、2,6−ナフタレンジオールビス(ジフェニルホスフェート)、CR−733S(大八化学社製)、CR−741(大八化学社製)、CR−747(大八化学社製)、PX−200(大八化学社製)、PX−201(大八化学社製)、PX−202(大八化学社製)、ファイロールフレックス(登録商標)RDP(アクゾノーベル社製)、ファイロールフレックス(登録商標)BDP(アクゾノーベル社製)、
【0040】
レオフォス(登録商標)RDP(FMC社製)、BPA−DP(FMC社製)、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸アリル、ジフェニルホスフィン酸(ヒドロキシフェニル)、ジフェニルホスフィン酸(シアナトフェニル)、ジフェニルホスフィン酸(マレイミドフェニル)、ジクレジルホスフィン酸フェニル、ジキシレニルホスフィン酸フェニル、ジアリルホスフィン酸フェニル等、9、10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体、 9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(アリルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(メタリルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(1−ブテニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(アリルホスファ)(2,7−ジメチルフェナントレン)−10−オキシド、
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(アリルホスファ)(1,3,6,8−テトラメチルフェナントレン)−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ビニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ヒドロキノニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ビスシアナトフェニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ビスマレイミドフェニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ベンジルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−(ナフトキノニルホスファ)フェナントレン−10−オキシド、 ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ビス(2−メトキシ−4−アリルフェノキシ)ホスファゼン、フェノキシアリルホスファゼン、ジフェノキシホスファゼン、
【0041】
ビス(ヒドロキシフェニル)ホスファゼン、ビス(シアナトフェニル)ホスファゼン、ビス(マレイミドフェニル)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン、ジキシレニルホスファゼン、フェノキシイソプロポキシホスファゼン、クレジルイソプロポキシホスファゼン、ビニルジフェニルホスフィンオキシド、アリルジフェニルホスフィンオキシド、メタリルジフェニルホスフィンオキシド、1−ブテニルジフェニルホスフィンオキシド、ビニルジトリルホスフィンオキシド、アリルジトリルホスフィンオキシド、メタリルジトリルホスフィンオキシド、1−ブテニルジトリルホスフィンオキシド、アリルフェニルトリルホスフィンオキシド、ビニルジキシレニルホスフィンオキシド、アリルジキシレニルホスフィンオキシド、メタリルジキシレニルホスフィンオキシド、1−ブテニルジキシレニルホスフィンオキシド、ビニルジナフチルホスフィンオキシド、アリルジナフチルホスフィンオキシド、メタリルジナフチルホスフィンオキシド、1−ブテニルジナフチルホスフィンオキシド、アリルフェニルナフチルホスフィンオキシド等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
【0042】
さらに、ポリフェニレンエーテル以外の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を1種あるいは2種以上配合することも可能である。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の例としてはGPPS(汎用ポリスチレン)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ポリブタジエン、スチレンブタジエンブロックコポリマー等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
上記の成分を混合する方法としては、各成分を溶媒中に均一に溶解または分散させる溶液混合法が利用できる。溶液混合に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、テトラヒドロフランが単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0043】
本発明の高分子ワニスは、あらかじめその用途に応じて所望の形に成形してもよい。その成形方法は特に限定されないが、通常は、樹脂組成物を上述した溶媒に溶解または分散させて高分子ワニスとした後、キャストして好みの形に成形するキャスト法、または高分子ワニスから得られる樹脂組成物を加熱溶融して好みの形に成形する加熱溶融法が用いられる。
本発明の高分子ワニスの硬化体は、上述したポリフェニレンエーテルの高分子ワニスを硬化することにより得られるものである。硬化の方法は任意であり、熱、光、電子線等による方法を採用することができる。
【0044】
加熱により硬化を行う場合その温度は、ラジカル開始剤の種類によっても異なるが、80〜300℃、より好ましくは120〜250℃の範囲で選ばれる。また時間は、1分〜10時間程度、より好ましくは1分〜5時間である。また、この樹脂ワニスから得られるフィルムは、後述する硬化複合材料と同様、金属箔及び/または金属板と張り合わせて用いることができる。
【0045】
次に、本発明の硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性複合材料は、本発明の高分子ワニスと基材から得られることを特徴とする。ここで用いられる基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布およびその他合成もしくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維等の液晶繊維から得られる織布または不織布、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維から得られる織布または不織布、綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布、カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙ーガラス混繊紙などの天然セルロース系布などがそれぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられる。
【0046】
本発明の硬化性複合材料において基材の占める割合は、5〜90質量%、好ましくは、10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%である。この基材の量が5質量%より少なくなると、複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、この基材の量が90質量%より多くなると、複合材料の誘電特性が劣り好ましくない。
本発明の高分子ワニスから得られる硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善することを目的として、カップリング剤を用いることができる。このようなカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等が使用できる。
【0047】
本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、例えば、本発明の高分子ワニスと必要に応じて他の成分を前述の芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解または分散させ、基材に含浸させた後乾燥する方法が挙げられる。
このような含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、また、この際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成および樹脂量に調整することも可能である。
【0048】
本発明の硬化複合材料は、このようにして得た硬化性複合材料を加熱等の方法により硬化することによって得られるものである。その製造方法としては、例えば、該硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの硬化複合材料を得る方法を挙げることができる。また、一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも可能である。
【0049】
積層成形と硬化については、通常熱プレス等を用いて同時に行うことができるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理または別の方法で処理することによって硬化させることができる。
また、成形および硬化の条件としては、温度:80〜300℃、圧力:0.1〜1000kg/cm2、時間:1分〜10時間の範囲が好ましく、より好ましくは、温度:150〜250℃、圧力:1〜500kg/cm2、時間:1分〜5時間の範囲である。
【0050】
本発明の積層体とは、本発明の高分子ワニスの硬化複合材料と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは3〜105μmの範囲である。
本発明の積層体を製造する方法としては、例えば、上で説明した本発明の硬化性樹複合材料と、金属箔および/または金属板を目的に応じた層構成で積層し、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の積層体においては、硬化性複合材料と金属箔が任意の層構成で積層される。この際、金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
【0051】
また、本発明の積層体において、金属箔の接着には接着剤を用いることもできる。このような接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の積層成形と硬化は、本発明の硬化複合材料と同様の条件で行うことができる。
次いで、本発明の高分子ワニスと金属箔から得られる本発明の樹脂付き金属箔について説明する。ここで用いられる金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
【0052】
本発明の樹脂付き金属箔を製造する方法としては、例えば、高分子ワニスと必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解または分散させ、金属箔に塗布した後乾燥する方法が挙げられる。このような塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、また、この際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望する樹脂組成および樹脂量に調整することも可能である。
【0053】
最後に、本発明のフィルムについて説明する。本発明の高分子ワニスより得られるものである。その厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜150μmの範囲である。
本発明のフィルムを製造する方法としては、例えば、高分子ワニスと必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解または分散させ、ドクターブレード法等によってフィルム化する方法が挙げられる。このような塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望する樹脂組成および樹脂量に調整することも可能である。
【0054】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本願発明の実施形態の例を具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例では、次の方法で融点を評価する。
ポリフェニレンエーテルに対し、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定を行い、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフのピークトップ温度を融点とする。実施例及び比較例に用いたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)ポリフェニレンエーテルの温度−熱流量グラフは、単一のピークを示し、融点は250℃である。
【0055】
また、加熱時の流動性の評価方法には、プレス時の樹脂のはみ出し量測定、溶融粘度測定などがあるが、本願で用いる樹脂のはみ出し量とは、以下の方法で定義されるものである。
10cm角に切り取ったプリプレグ3枚の質量を測定し、圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした後、10cm角外にはみ出た樹脂を切り取り残った基板の質量を測定し、以下の式で求める。
樹脂のはみ出し量(%)=(プレス前のプリプレグ質量−プレス後に角外にはみ出
た樹脂を切り取った後の基板質量)/プレス前のプリプレグ質量*100
樹脂のはみ出し量が大きいほど、加熱時の流動性が良く、20%以上50%以下が好ましい。20%未満では多層板積層時のパターン埋め込み性が悪く、50%を越えると板厚精度が低下する。
【0056】
(実施例1)
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.41(ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量は1.8万、重量平均分子量は3.8万。)のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)ポリフェニレンエーテル100質量部にトルエン245質量部を加え、80℃1時間撹拌して溶解した。この溶解液に2,6−キシレノール0.4質量部、パーロイルTCP(日本油脂社製)0.725質量部を加え、80℃2時間撹拌して高分子ワニスを調製した。
得られた高分子ワニスを温度63℃に降温し30分間放置した後、温度60℃の塗工台にて厚さ60μmの透明でクラックの見られないフィルムを作成した。
【0057】
(実施例2)
実施例1において、2,6−キシレノールを0.8質量部、パーロイルTCP(日本油脂社製)を1.45質量部を用いること以外は、実施例1と同様の方法で高分子ワニスを調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ80μmの透明でクラックの見られないフィルムが得られた。
【0058】
(実施例3)
実施例1において、2,6−キシレノールを1.6質量部、パーロイルTCP(日本油脂社製)を2.90質量部を用いること以外は、実施例1と同様の方法で高分子ワニスを調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ110μmの透明でクラックの見られないフィルムが得られた。
【0059】
(実施例4)
実施例1記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部を加えて、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ30μmのクラックの見られないフィルムが得られた。
【0060】
(実施例5)
実施例2記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部を加えて、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ40μmのクラックの見られないフィルムが得られた。
【0061】
(実施例6)
実施例3記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部を加えて、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ50μmのクラックの見られないフィルムが得られた。
【0062】
(実施例7)
実施例1記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部、GPPS(重量平均分子量27万)8質量部、パーヘキサ25B(日本油脂社製)6質量部、SAYTEX8010(アルベマール浅野株式会社製)50質量部を加えて、トルエンに溶解もしくは分散させて高分子ワニスを作製し、これに目付71g/m2のガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させプリプレグを得た。
次に、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように8枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの銅箔をおいて180℃、10kg/cm2で90分間プレス成形機を用いて成形、硬化させた。
【0063】
ここで得られた積層体について、290℃のハンダ浴への2分間の浸漬による耐熱性試験を行ったところ、積層体の表面に異常は見られなかった。この積層体は誘電率:3.6(1MHz)、誘電正接:0.003(1MHz)、吸湿率:0.2%、ガラス転移温度:160℃(TMAによる測定)で、誘電特性、低吸湿性、耐熱性に優れていた。
さらに10cm角の目付71g/m2のガラスクロスプリプレグを3枚重ねて圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした結果、10cm角外に21%の樹脂がはみ出た。
【0064】
(実施例8)
実施例2記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部、 GPPS(重量平均分子量27万)8質量部、パーヘキサ25B(日本油脂社製)6質量部、SAYTEX8010(アルベマール浅野株式会社製)50質量部を加えて、トルエンに溶解もしくは分散させて高分子ワニスを調製し、これに目付71g/m2のガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させプリプレグを得た。
次に、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように8枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの銅箔をおいて180℃、10kg/cm2で90分間プレス成形機を用いて成形、硬化させた。
【0065】
ここで得られた積層体について、290℃のハンダ浴への2分間の浸漬による耐熱性試験を行ったところ、積層体の表面に異常は見られなかった。この積層体は誘電率:3.6(1MHz)、誘電正接:0.003(1MHz)、吸湿率:0.2%、ガラス転移温度:160℃(TMAによる測定)で、誘電特性、低吸湿性、耐熱性に優れていた。
さらに10cm角の目付71g/m2のガラスクロスプリプレグを3枚重ねて圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした結果、10cm角外に23%の樹脂がはみ出た。
【0066】
(実施例9)
実施例3記載の条件で調製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部、 GPPS(重量平均分子量27万)8質量部、パーヘキサ25B(日本油脂社製)6質量部、SAYTEX8010(アルベマール浅野株式会社製)50質量部を加えて、トルエンに溶解もしくは分散させて高分子ワニスを作製し、これに目付71g/m2のガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させプリプレグを得た。
【0067】
次に、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように8枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの銅箔をおいて180℃、10kg/cm2で90分間プレス成形機を用いて成形、硬化させた。ここで得られた積層体について、290℃のハンダ浴への2分間の浸漬による耐熱性試験を行った所、積層体の表面に異常は見られなかった。
この積層体は誘電率:3.6(1MHz)、誘電正接:0.003(1MHz)、吸湿率:0.2%、ガラス転移温度:160℃(TMAによる測定)で、誘電特性、低吸湿性、耐熱性に優れていた。
さらに10cm角の目付71g/m2のガラスクロスプリプレグを3枚重ねて圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした結果、10cm角外に35%の樹脂がはみ出た。
【0068】
(実施例10)
実施例7記載の高分子ワニスを銅箔に塗布した後に溶媒を乾燥して樹脂付き銅箔を得た。この材料はビルドアップ用材料として好適に用いることができる。
【0069】
(実施例11)
実施例7記載の高分子ワニスをPETフィルムに塗布した後に溶媒を乾燥してフィルムを得た。この材料はビルドアップ用材料として好適に用いることができる。
【0070】
(比較例1)
実施例1において、パーロイルTCP(日本油脂社製)を0質量部として高分子ワニスを調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ50μmのフィルムでクラックが発生した。
【0071】
(比較例2)
実施例3において、パーロイルTCP(日本油脂社製)を0質量部として高分子ワニスを調製し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した結果、厚さ20μmのフィルムでクラックが発生した。
【0072】
(比較例3)
比較例1記載の条件で作製した高分子ワニスに、さらにトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)92質量部、 GPPS(重量平均分子量27万)8質量部、パーヘキサ25B(日本油脂社製)6質量部、SAYTEX8010(アルベマール浅野株式会社製)50質量部を加えて、トルエンに溶解もしくは分散させて高分子ワニスを作製し、これに目付71g/m2のガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させプリプレグを得た。
次に、10cm角の目付71g/m2のガラスクロスプリプレグを3枚重ねて圧力10Kg/cm2、170℃、10分間プレスした結果、10cm角外に18%の樹脂がはみ出た。
【0073】
【発明の効果】
本発明により、成膜性と加熱時の流動性の向上した高分子ワニスが提供され、さらにそれを用いて、性能の優れたフィルム、樹脂付き金属箔、硬化性複合材料、硬化複合材料、および積層体が提供される。
Claims (7)
- 下記(式1)の構造単位からなるポリフェニレンエーテル(A)100質量部、有機過酸化物0.1〜10質量部およびフェノール性化合物0.1〜10質量部とを芳香族系溶媒100〜2000質量部に溶解または分散させ、次いで25℃以上、300℃以下の温度で熱処理することにより製造されることを特徴とする高分子ワニス。
- 請求項1の高分子ワニスに、さらに架橋剤が含まれることを特徴とする高分子ワニス。
- 請求項1または2記載の高分子ワニスを成膜して得られるフィルム。
- 金属箔の片面に請求項2記載の高分子ワニスを成膜して得られる樹脂付き金属箔。
- 請求項2記載の高分子ワニスに基材を含浸して、次いで溶媒を乾燥して得られる硬化性複合材料であって、基材が5〜90質量%含まれることを特徴とする硬化性複合材料。
- 請求項5記載の硬化性複合材料を硬化して得られる硬化複合材料。
- 請求項6記載の硬化複合材料と金属箔からなる積層体。
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JP2007245734A (ja) * | 2007-07-02 | 2007-09-27 | Matsushita Electric Works Ltd | 樹脂の片付き評価方法及び複合材料の製造方法 |
JP2007246925A (ja) * | 2007-07-02 | 2007-09-27 | Matsushita Electric Works Ltd | 樹脂の片付き評価方法及び複合材料の製造方法 |
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2002
- 2002-08-30 JP JP2002255371A patent/JP2004091672A/ja active Pending
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JP4665946B2 (ja) * | 2007-07-02 | 2011-04-06 | パナソニック電工株式会社 | 樹脂の片付き評価方法及び複合材料の製造方法 |
JP4665947B2 (ja) * | 2007-07-02 | 2011-04-06 | パナソニック電工株式会社 | 樹脂の片付き評価方法及び複合材料の製造方法 |
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