JP2004091670A - 蛍光体薄膜および発光素子 - Google Patents

蛍光体薄膜および発光素子 Download PDF

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萩原 啓
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Abstract

【課題】表示装置に用いたときに優れた解像度と高い輝度とを得ることができる蛍光体薄膜およびこの蛍光体薄膜を発光層として用いた発光素子を提供する。
【解決手段】蛍光体薄膜12は、基板10に設ける。基板10と蛍光体薄膜12との間に、または、蛍光体薄膜12の表面に、それぞれ電極14a、14bが形成される。蛍光体薄膜12は、無数の細孔16を有する多孔質膜18の、その無数の細孔16中に蛍光体粒子20が含まれた構造を有する。細孔16は、多孔質膜18を貫通する貫通孔である。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光体薄膜および発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
次世代の画像表示装置として、薄型で自発光型である、電界放出型表示装置(Field Emission Display)や薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置(Thin Film Electroluminescence  Display)等が注目を集めている。
【0003】
従来、これらの表示装置の発光層として、前者の電界放出型表示装置では蛍光体粒子が、また後者の薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置では蛍光体薄膜が、それぞれ検討されている。
【0004】
発光層として前者の蛍光体粒子を用いる場合、蛍光体粒子を樹脂バインダおよび溶剤とともに混錬してペースト化し、このペーストをスクリーン印刷法やスピンコート法等の方法を用いて基板等の上に塗布した後、焼成することにより、発光層が作製される。このとき、発光層として所定の厚みを確保して蛍光体粒子のネットワークを確実に形成し、基板に蛍光体粒子を確実に付着させるために、蛍光体粒子を数層〜数十層積重ねた形態とする。
【0005】
一方、発光層として後者の蛍光体薄膜を用いる場合、PVD法やCVD法等の成膜法を用いて材料を基板等の上に堆積させて薄膜を形成することにより、発光層が作製される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の蛍光体粒子を用いて発光層を作製する方法の場合、例えば図1に模式的に示すように、電子からの励起エネルギによって蛍光体粒子1から発光した光は、発光層2を構成する積重ねられた蛍光体粒子1間を通って基板3を通じて外部に出るまでの間に多方向に拡散してしまうおそれがある。この場合、この発光層2および基板3を用いた表示素子(発光素子)は、発光点がにじむため、解像度を大きくすることが難しい。
【0007】
また、量子サイズ効果による発光効率の向上を目的として、通常用いられるミクロンオーダーの粒径を有する蛍光体粒子に変えて、例えば数〜数十nm程度のナノオーダーの蛍光体超微粒子を用いることも検討されている。ところが、この場合、発光層を形成するための焼成工程において不可避的に超微粒子の凝集作用を生じるため、蛍光体超微粒子を用いた発光層の作製は実際には非常に困難である。
【0008】
一方、後者の蛍光体薄膜を発光層として用いる場合、発光層と、例えばこの発光層に接して設けられる基板との屈折率の違いにより、図2に示すように大きな入射角で発光層2aから基板3aに照射された光は基板3aとの界面で全反射して発光層2a内で拡散してしまうため、光の取り出し効率、すなわち、蛍光体粒子から発光した光と、最終的に外部に出た光の強度比が小さくなり、高い発光効率を得ることが難しく、高い輝度を有する画像を得ることができない。
【0009】
例えば、硫化亜鉛を母体材料とする発光層を石英ガラス製の基板上に設けた場合、硫化亜鉛の屈折率が2.4程度であるのに対して石英ガラスの屈折率が1.5程度と硫化亜鉛に比べて小さく、このときの臨界角は約39°と比較的小さい。このため、臨界角以上の角度で基板に入射する、かなりの比率の光は全反射して、発光層あるいは基板の面の延出方向に沿って横方向に拡散してしまうことになる。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、表示装置に用いたときに優れた解像度と高い輝度とを得ることができる蛍光体薄膜およびこの蛍光体薄膜を発光層として用いた発光素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る蛍光体薄膜は、多孔質薄膜の細孔中に蛍光体粒子を含んでなることを特徴とする。ここで、細孔は、多孔質薄膜を貫通するものであってもよく、また、一端を閉塞されたものであってもよい。
【0012】
これにより、蛍光体薄膜を例えば表示装置の発光素子(発光スクリーン)の発光層として用いたとき、蛍光体粒子が凝集した場合においてもその凝集状態における最大径は多孔質薄膜の細孔径を超えることがないため、量子サイズ効果による発光効率の向上を図ることができる。また、蛍光体粒子のみを積重ねた構造ではなく、蛍光体粒子が多孔質薄膜の細孔に閉じ込められた構造を有するため、発光点のにじみが軽減される。したがって、表示装置に用いたときに優れた解像度と高い輝度とを得ることができる。
【0013】
この場合、前記蛍光体粒子の平均粒径(算術平均直径)が1μm以下であると、画像のより高い解像度を得るうえで好適である。また、この場合、蛍光体粒子の平均粒径がさらに微細なナノオーダーの超微粒子であると、量子サイズ効果による発光効率の向上を図りより高い輝度を得るうえで、より好適である。
【0014】
また、この場合、前記多孔質薄膜の屈折率が前記蛍光体粒子の屈折率よりも小さいと、蛍光体粒子からの発光が細孔壁に入射したときに全反射して細孔内に止まり、拡散することなく細孔端から略そのまま外部に発光されるため、高い光の取り出し効率を確保することができ、高い輝度を有する画像を得ることができる。
【0015】
また、この場合、前記多孔質薄膜は陽極酸化法により細孔が形成されてなると、細孔の形態を容易に制御することができて好適である。
【0016】
また、本発明に係る発光素子(発光スクリーン)は、上記の蛍光体薄膜を発光層として有することを特徴とする。
【0017】
これにより、表示装置に用いたときに優れた解像度と高い輝度とを有する発光素子を得ることができる。
【0018】
この場合、基板および透明電極を含み、前記蛍光体薄膜と該基板との間に該透明電極を有し、または、基板および金属電極を含み、前記蛍光体薄膜を挟んでその両側に該基板および該金属電極を有すると、基板側から外部に発光する発光素子を好適に得ることができる。表示装置に用いた場合、前者は、例えば1kV程度の比較的低い加速電圧を印加するときに、蛍光体として酸化亜鉛のような低速電子線励起型蛍光体を用いる必要があるため、蛍光体中を通過した電子を陽極に集めるのに好ましく、後者は、例えば10kV程度の比較的高い加速電圧を印加するときに、電子は金属膜を通過することが可能で、この場合蛍光体から金属膜方向に発せられた光を基板方向に反射させることができ、光のロスを防ぐことができるため好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る蛍光体薄膜および発光素子の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
【0020】
まず、本実施の形態例に係る蛍光体薄膜について、図3を参照して説明する。
【0021】
本実施の形態例に係る蛍光体薄膜12は、図3に示すように、基板に設けたものである。図3(a)では基板10と蛍光体薄膜12との間に、図3(b)では蛍光体薄膜12の下面(表面)に、言い換えれば、蛍光体薄膜12を挟んで基板10を設けたのとは反対側の面に、それぞれ電極14a、14bが形成されている。
【0022】
蛍光体薄膜12は、無数の細孔16を有する多孔質膜(多孔質薄膜)18の、その無数の細孔16中に蛍光体粒子(以下、単に粒子ということがある。)20が含まれた構造を有する。なお、細孔16は、多孔質膜18を貫通する貫通孔である。
【0023】
蛍光体薄膜12の好ましい厚みは、発光素子の発光層として用いるときの具体的な用途によって異なる。例えば、発光素子に印加する電圧との関係では、1kV程度の比較的低い加速電圧を用いる場合には図3(a)の構造を採用し、蛍光体薄膜の厚みを例えば0.5μm程度とする。一方、10kV程度の比較的高い加速電圧を用いる場合には図3(b)の構造を採用し、蛍光体薄膜の厚みを例えば3μm程度とする。これらの蛍光体薄膜12の厚みは、それぞれの電圧で加速された電子がちょうど通過することができる程度に調製することが可能であり、これにより、電子の過大な加速によるエネルギのロスを省くことができるという利点がある。
【0024】
多孔質膜18の材料は、例えば、酸化アルミニウム(Al)等の屈折率の小さい材料を用いると、詳細を後述する理由により好適である。なお、これらの材料以外にも、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)等のバルブ金属を陽極酸化して用いてもよい。ここで、バルブ金属とは、陽極酸化により多孔質を作り易い性質をもつ金属をいう。
【0025】
多孔質膜18の細孔16の径は特に限定するものではない。但し、少なくとも粒子20の径よりも大きいことが当然に必要であり、一方、粒子20の径の例えば数倍以下の大きさであると、粒子20として超微粒子を用いた場合に、充填された粒子20が凝集したとしても、凝集後の粒子20の径が細孔16の径によって規制されるため、好適である。
【0026】
粒子20は、一般的に発光層に用いられる蛍光体の中から適宜選択して用いることができ、例えば、Y:Eu(母体材料としての酸化イットリウムに発光中心としてのユーロビウムを含む意。)等を使用することができる。
【0027】
粒子20の径は、表示装置に用いたときに高い解像度を得る観点からは、すなわち画像の高精細化を図る観点からは、1μm以下であることが好ましく、さらに、量子サイズ効果を発現させて画像の高輝度化を図る観点からは、10nm以下、特に5nm以下であることがより好ましい。粒子20の径の下限値は特に限定するものではないが、実用上は、数nm程度である。例えば、粒子20の径が5〜10nm程度の場合、上記した多孔質膜18の細孔16の径は望ましくは5〜30nm程度に調製することになる。
【0028】
基板10の材料は特に限定するものではなく、例えば、無機材料、ガラス、樹脂等の中から適宜選択して用いることができる。但し、図3(a)、(b)のように基板10の側から外部に向けて発光させるためには、基板10の材料は透明性を有することが必要である。ガラス材料を用いる場合、基板の厚みは例えば3mm程度である。一方、基板10に可撓性を付与し、また、発光素子の小型化を図る観点からは、基板10として例えば厚みが数百μm程度の薄い樹脂シート等を用いることが好適である。
【0029】
電極14a、14bの材料は、通常発光素子に用いられる電極材料の中から適宜選択して用いることができる。電極材料は良好な導電性を有することが必要であるとともに、図3(a)のように電極14aを介して基板10の側から外部に向けて発光させる場合は、電極材料が透明性を有することが必要であり、例えばITO等を好適に用いることができる。一方、図3(b)の場合は、電極14bに透明性は必要でないため、Al(アルミニウム)等の導電性に優れる不透明な金属を用いることができる。電極14a、14bの厚みは、例えば100nm程度である。
【0030】
ここで、本実施の形態例に係る蛍光体薄膜の作製方法について、図4〜図7を参照して説明する。
(多孔質膜の作製)
まず、図4に示すように、スパッタリング法により、ガラス基板22にITO電極24を成膜し、さらにITO電極24に例えば0.5μmの厚みのAl薄膜26を成膜する。この場合、成膜法として、スパッタリング法に変えて、めっき法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スクリーン印刷法等を用いてもよい。なお、フルカラーの発光素子を作製する場合は、フォトリソグラフィ法によりITO電極24をパターン化しておく。
【0031】
ついで、図5に示すように、成膜したガラス基板22をシュウ酸濃度が10質量%の電解液28中に浸漬し、ITO電極24を陽極とするとともに、別に電解液中に配置した白金板32を陰極として電圧を印加し、Al薄膜26を陽極酸化する。
【0032】
このとき、電解液28は室温とする。また、陽極酸化の条件として、1〜20mA/cmの電流密度で5〜60分程度処理する。処理過程で電解液28の温度が局部的に上昇することを防ぐために、マグネットスターラ30で電解液28を攪拌する。
【0033】
陽極酸化処理により、Al薄膜26は酸化されるとともに無数の細孔が形成され、Al(酸化アルミニウム)からなる多孔質膜34が得られる。
【0034】
ここで、Al薄膜26あるいはAlに変えてTi等のバルブ金属を材料として用いた薄膜は、陽極酸化処理中に無数の細孔を容易に形成することができて好適である。また、これらの金属材料に変えて、Si等を薄膜材料として用いフッ素酸中で陽極酸化処理してもよい。
【0035】
また、電解液として、シュウ酸に変えて、硫酸、リン酸、クロム酸等を用いてもよい。電解液の種類やその濃度を適宜選択することにより、多孔質膜34の色や形成される細孔の形状、数等を制御することができる。例えば、シュウ酸の場合は、多孔質膜34の色を黄〜無色半透明に調整することができる。また、多孔質膜34の細孔の径を5〜1000nmの範囲内で制御できるとともにこれらの細孔を例えば多孔質膜34の表面積に対する細孔の累積面積の比率として80%程度に、緻密に細孔を形成することができる。
【0036】
また、電流密度、通電時間、電流波形等を変えることにより、多孔質膜34の細孔の径の大きさや細孔の分布の緻密さを制御することができる。
【0037】
陽極酸化処理を行った後、さらに、電解液に多孔質膜34を10〜60分程度浸漬して、細孔の底部に残存するAlを除去し、ITO電極24を露出させる。
【0038】
最後に、多孔質膜34を十分に水洗した後、不活性ガス雰囲気中で乾燥することにより、図6に示すように、無数の細孔36が形成された多孔質膜34が積層されたガラス基板22が得られる。
(細孔中への粒子の形成:蛍光体薄膜の作製)
まず、蛍光体粒子の原料となる薬品を含む電析溶液を調製する。ここでは、電子線励起により赤色に発光する蛍光体粒子であるY:Euを例にとって以下説明する。この場合、YClとEuClとを5:1のモル比でN−N´ジメチルホルムアミド(DMF)を溶媒として溶解する。
【0039】
ついで、図7に示すように、上記の電析溶液38中に多孔質膜34が積層されたガラス基板22を浸漬し、ITO電極24を陰極とするとともに、別に電析溶液中に浸漬したカーボン板40を陽極として通電する。このとき、例えば、1mA/dmの電流密度で1〜2時間程度通電することにより、多孔質膜34の無数の細孔36内に蛍光体粒子(Y:Eu)42が析出する。
【0040】
さらに、電析溶液38で多孔質膜34が積層されたガラス基板22を洗浄して、余分な蛍光体粒子42を除去した後、不活性ガス雰囲気中で乾燥させることにより、蛍光体薄膜44が作製される。
【0041】
ここで、上記した細孔中へ粒子を形成する工程、すなわち、蛍光体薄膜の作製方法の他の例について説明する。
【0042】
第1の例は、粉砕法、ガス中蒸発法、ゾルゲル法、逆ミセル法、共沈法等の方法を用いて数〜数百nm程度の径の超微粒の蛍光体粒子(蛍光体微粒子)を作製し、この蛍光体粒子に樹脂バインダや溶剤等の適当な材料を加えてペースト化する。ついで、スクリーン印刷法、スピンコート法等の方法を用いて、このペーストを多孔質膜の細孔内に埋め込む。その後、多孔質膜を焼成して樹脂バインダや溶剤を除去することにより、蛍光体薄膜を得ることができる。
【0043】
第2の例は、斜め蒸着法等の周知の方法により、基板に成膜した多孔質膜の細孔を除いた表面部分にさらに金属薄膜を成膜する。ついで、EB蒸着法、スパッタリング法、MOCVD法等の周知の方法により、蛍光体粒子を成膜する。その後、リフトオフ法により、多孔質膜の上に形成された金属薄膜および金属薄膜上に成膜された蛍光体粒子の部分をエッチング除去することにより、多孔質膜の細孔内のみに蛍光体粒子が残った蛍光体薄膜を得ることができる。
【0044】
以上説明した本実施の形態例に係る蛍光体薄膜は、例えば表示素子(発光素子)の発光層として用いたとき、蛍光体粒子が凝集した場合においてもその最大径は多孔質膜の細孔径を超えることがないため、量子サイズ効果による発光効率の向上を図ることができる。また、蛍光体粒子のみを積重ねた構造ではなく、多孔質薄膜を有するため、発光点のにじみが軽減される。したがって、表示素子に用いたときに優れた解像度と高い輝度とを得ることができる。
【0045】
また、蛍光体薄膜は、多孔質薄膜の材料であるAlの屈折率が1.7〜1.8程度であり、蛍光体粒子のY:Euの屈折率の1.9よりも小さいため、蛍光体粒子からの発光が細孔壁に入射したときに全反射して細孔内に止まり、蛍光体薄膜の横方向から拡散することなく細孔端から略そのまま外部に発光されるため、高い輝度を得ることができる。
【0046】
本実施の形態例に係る蛍光体薄膜は、発光層として用いることができるが、このような発光層を用いた発光素子あるいは表示装置として、例えば、熱陰極電子銃と組み合わせてブラウン管(CRT)に、冷陰極と組み合わせて平面薄型のフィールドエミッションディスプレイ(FED)に、電子線回折現象を利用して物質構造解析を行うための測定装置(LEED)に、ガス放電により紫外線を発する素子と組み合わせてプラズマディスプレイパネル(PDP)に、あるいは陰陽電極と組み合わせて薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置(Thin Film Electroluminescence  Display)に応用することができる。
【0047】
本実施の形態例に係る蛍光体薄膜を用いた表示装置の一例として、フィールドエミッションディスプレイについて図8を参照して説明する。
【0048】
電子源として、陰極母線46、冷陰極48、絶縁層50およびゲート電極52が形成された背面板54を用意する。冷陰極48には、比較的仕事関数の低い金属材料を円錐状に形成したいわゆるスピント型冷陰極やカーボンナノチューブ等を用いることができる。
【0049】
スペーサ56を介して、上記の電子源と対向して蛍光スクリーンを設ける。蛍光スクリーンは、ITO電極(陽極)24および本実施の形態例に係る蛍光体薄膜44が形成された基板22である。
【0050】
電子源および蛍光スクリーン間の空間部分は、1×10−3〜1×10−7Pa程度の真空度に排気され、封止される。
【0051】
上記のように構成したフィールドエミッションディスプレイは、冷陰極48とゲート電極52との間に冷陰極48から電子の放出が起こるのに十分な電圧Vgを印加するとともに、冷陰極48とITO電極24との間に加速電圧Vaを印加することにより、駆動される。これにより、冷陰極48から放出された電子が真空中を加速して蛍光体薄膜44の蛍光体粒子に衝突し、励起して発光し、画像を表示させることができる。
【0052】
上記のように構成されるフィールドエミッションディスプレイは、画像の高い解像度と高い輝度とを得ることができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る蛍光体薄膜によれば、多孔質薄膜の細孔中に蛍光体粒子を含んでなるため、表示装置に用いたときに優れた解像度と高い輝度とを得ることができる。
【0054】
また、本発明に係る蛍光体薄膜によれば、蛍光体粒子の平均粒径が1μm以下であると、画像のより高い解像度を得ることができる。
【0055】
また、本発明に係る蛍光体薄膜によれば、多孔質薄膜は陽極酸化法により細孔が形成されてなるため、細孔の形態を容易に制御することができる。
【0056】
また、本発明に係る発光素子によれば、基板および透明電極を含み、前記蛍光体薄膜と基板との間に透明電極を有し、または、基板および金属電極を含み、蛍光体薄膜を挟んでその両側に基板および金属電極を有するため、これらの蛍光体薄膜の厚みは、それぞれの電圧で加速された電子がちょうど通過することができる程度に調製することが可能であり、これにより、過大な電子の加速によるエネルギのロスを省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の発光層の一例であり、発光層が蛍光体粒子を積重ねた構造を有するものを説明するための図である。
【図2】従来の発光層の他の一例であり、発光層が蛍光体薄膜構造を有するものを説明するための図である。
【図3】本実施の形態例に係る蛍光体薄膜であって、(a)は基板と蛍光体薄膜との間に電極を設けた構造を有するものを、(b)は蛍光体薄膜の表面に電極を設けた構造を有するものを、それぞれ説明するための図である。
【図4】本実施の形態例に係る蛍光体薄膜を作製する方法を説明するためのものであり、基板上にAl薄膜を形成した状態を示す図である。
【図5】本実施の形態例に係る蛍光体薄膜を作製する方法を説明するためのものであり、陽極酸化法による処理状態を示す図である。
【図6】本実施の形態例に係る蛍光体薄膜を作製する方法を説明するためのものであり、多孔質のAl薄膜を形成した状態を示す図である。
【図7】本実施の形態例に係る蛍光体薄膜を作製する方法を説明するためのものであり、蛍光体薄膜を形成した状態を示す図である。
【図8】本実施の形態例に係る蛍光体薄膜を発光層に用いたフィールドエミッションディスプレイの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
10 基板
12、44 蛍光体薄膜
14a、14b 電極
18、34 多孔質膜
20、42 蛍光体粒子
22 ガラス基板
24 ITO電極
26 Al薄膜
28 電解液
32 白金板
38 電析溶液
40 カーボン板

Claims (7)

  1. 多孔質薄膜の細孔中に蛍光体粒子を含んでなることを特徴とする蛍光体薄膜。
  2. 前記蛍光体粒子の平均粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の蛍光体薄膜。
  3. 前記多孔質薄膜の屈折率が前記蛍光体粒子の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光体薄膜。
  4. 前記多孔質薄膜は陽極酸化法により細孔が形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体薄膜。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光体薄膜を発光層として有することを特徴とする発光素子。
  6. 基板および透明電極を含み、
    前記蛍光体薄膜と該基板との間に該透明電極を有することを特徴とする請求項5記載の発光素子。
  7. 基板および金属電極を含み、
    前記蛍光体薄膜を挟んでその両側に該基板および該金属電極を有することを特徴とする請求項5記載の発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009270004A (ja) * 2008-05-07 2009-11-19 Aisin Keikinzoku Co Ltd 蛍光発光体及びその製造方法

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