JP2004090586A - ラベルプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】温度上昇を伴うことなく、ハウジングの内部の湿度を低下させることができるラベルプリンタを提供する。
【解決手段】ラベルプリンタ1aのハウジング21内部には、除湿器6が備えられている。除湿器6は、ハウジング21内部の空気を吸気し、吸気した空気を乾燥空気と水分と分離する。分離された水分はドレン管68を通じてハウジング21の外部に排出される一方、生成された乾燥空気はハウジング21内部に送風される。これにより、大きな温度上昇を伴うことなく、乾燥空気がハウジング21の内部に供給される。供給された乾燥空気はハウジング21の内部を循環するため、ハウジング21の内部の湿度を効果的に低下させることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】ラベルプリンタ1aのハウジング21内部には、除湿器6が備えられている。除湿器6は、ハウジング21内部の空気を吸気し、吸気した空気を乾燥空気と水分と分離する。分離された水分はドレン管68を通じてハウジング21の外部に排出される一方、生成された乾燥空気はハウジング21内部に送風される。これにより、大きな温度上昇を伴うことなく、乾燥空気がハウジング21の内部に供給される。供給された乾燥空気はハウジング21の内部を循環するため、ハウジング21の内部の湿度を効果的に低下させることができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はラベルプリンタに関し、特にハウジングの内部の湿度を低下させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラベルプリンタは、食品加工工場など比較的湿度が高い場所において使用されることが多い。このような高湿度な場所でラベルプリンタを使用した場合、高湿度におけるラベルの湿気の吸収やラベルあるいは内部機器への結露を原因として、内部機器の動作異常、ラベルの印刷異常あるいはラベルの搬送不能など種々の障害が発生することがある。
【0003】
このため従来より、ラベルプリンタのような印刷装置の内部の湿度を低下させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、印刷装置の内部空気をヒータにより加熱して湿度を低下させる技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−211917号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の印刷装置においては、内部温度を上昇させて相対湿度を低下させているため、絶対湿度は低下しない。このことから、電源停止後に内部温度が低下すると湿度上昇や結露が生じ、次の電源投入の直後において障害が発生する可能性がある。
【0006】
また、特許文献1の技術をラベルプリンタに適用した場合、ヒーターによる熱を原因としてラベルの粘着材等に異常が生じるおそれがある。さらに、生鮮食料品等を扱う食品加工工場などにおいては、内部温度が上昇したラベルプリンタを食品に近接して配置することは食品鮮度上好ましくない。つまり、ラベルプリンタにおいて内部温度を上昇させて湿度を低下させると、温度上昇に伴う熱を原因として種々の障害が発生しうることとなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、温度上昇を伴うことなく、ハウジングの内部の湿度を低下させることができるラベルプリンタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ラベルプリンタであって、複数のラベルを格納するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、前記ラベルに所定の情報を印刷する印刷手段と、乾燥空気を前記ハウジングの内部に供給する乾燥空気供給手段と、を備えている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のラベルプリンタにおいて、前記乾燥空気供給手段は、前記ハウジングの内部の空気を吸気する吸気手段と、吸気された前記ハウジングの内部の空気を、前記乾燥空気と水分とに分離する分離手段と、を備えている。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のラベルプリンタにおいて、前記乾燥空気供給手段は、前記分離手段により分離された前記水分を前記ハウジングの外部に排出する排出手段、を備えている。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のラベルプリンタにおいて、前記ハウジングの内部の空気の湿度を検出する検出手段と、検出された前記湿度に応じて、前記乾燥空気供給手段の能動化/非能動化を切り替える切替手段と、を備えている。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のラベルプリンタにおいて、前記乾燥空気供給手段は、前記ハウジングの内部に前記乾燥空気を送風する送風手段、を備えている。
【0013】
また、請求項6の発明は、ラベルプリンタであって、複数のラベルを格納するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、前記ラベルに所定の情報を印刷する印刷手段と、外部装置から供給される乾燥空気を前記ハウジングの内部に導く導気口、を備えている。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載のラベルプリンタにおいて、前記導気口は、前記ハウジングの内部に前記乾燥空気を送風する送風手段、を備えている。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項5または7に記載のラベルプリンタにおいて、前記送風手段は、前記ハウジングの内部と外部とを貫通する前記ハウジングの開口部の近傍に向けて前記乾燥空気を送風することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載のラベルプリンタにおいて、前記開口部は、前記ラベルを前記ハウジングの外部に送出するためのラベル発行口であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態のラベルプリンタの斜視図である。図に示すようにラベルプリンタ1aは主として、装置本体部2と、装置本体部2の上部に傾斜して配置される操作パネル3とを備えている。
【0019】
操作パネル3は、タッチパネルとしての機能を有する液晶のディスプレイ31、および、種々の情報を入力可能な入力キー32を備えている。ユーザはディスプレイ31に表示された内容を確認しつつ、適宜タッチパネルとしてのディスプレイ31や入力キー32を操作することにより、必要なデータやコマンドをラベルプリンタ1aに入力することが可能である。
【0020】
装置本体部2のハウジング21の内部には、ラベルを印刷するためのラベル印刷部5、および、装置全体を制御するための制御部4が設けられている。ラベル印刷部5にて印刷されたラベルは、装置本体部2のハウジング21の前面側に設けられるラベル発行口22から送出されて発行される。
【0021】
制御部4は、ラベルプリンタ1aの各処理部と電気的に接続され、各処理部の動作を統括的に制御する。図2は、ラベルプリンタ1aの制御部4を含む電気的構成を機能ブロックにて示す図である。制御部4はマイクロコンピュータ等によって構成され、各種演算処理を行うCPU41、制御用プログラム等を記憶するROM42、演算処理の作業領域となるRAM43、および、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM44等を備え、これらはそれぞれバスライン45に電気的に接続される。
【0022】
また、このバスライン45には、上述した操作パネル3およびラベル印刷部5等も電気的に接続されており、これらは全て制御部4の制御下にて動作することとなる。より具体的には、制御部4のCPU41が、ROM42内の制御用プログラムに従って演算処理を行うことにより、ラベルプリンタ1aの各部が統括的に制御される。また、このようなCPU41の演算処理により各種のデータ処理機能も実現されることとなる。
【0023】
図3は、ハウジング21の内部のラベル印刷部5の構成概要を示す側面図である。図3の左側が、ラベル発行口22が設けられる装置前面側に相当する。
【0024】
図に示すように、ラベル印刷部5には、長尺状のラベル台紙LMに対して複数のラベルLBが連続して貼付されたラベル用紙LPが収容される。ラベルプリンタ1aは、このラベル用紙LPを交換することにより種々のサイズのラベルLBを取り扱うことが可能である。ラベル用紙LPは、その一端がラベル供給部51に、他端がラベル台紙巻取部52にそれぞれロール状に巻き取られており、その中間部分が複数のガイドローラ53a,53b、プラテンローラ56および剥離部材57等によって案内された状態とされている。
【0025】
剥離部材57はラベルLBをラベル台紙LMから剥離するものであり、ラベル発行口22近傍に配置される。また、剥離部材57の装置背面側(図中右側)には、ラベル用紙LPの搬送経路を挟むようにして印刷ヘッド54およびプラテンローラ56が配置される。印刷ヘッド54は複数の発熱素子をライン状に備えたサーマルヘッドなどで構成され、発熱素子を選択的に加熱することでプラテンローラ56との間に供給されるラベルLBに対して必要な情報を印刷する。プラテンローラ56は、印刷中においてラベルLBをその印刷面の裏側から支持する部材として機能する。
【0026】
また、印刷ヘッド54およびプラテンローラ56の装置背面側(図中右側)には、ラベル用紙LPの搬送経路を挟むようにして、ラベルセンサ58が設けられている。ラベルセンサ58は、投光部と受光部とを有する透過型の光センサであり、その透過率の相違に基づいて、ラベル用紙LP上のラベルLBが貼付されている部分と、貼付されていないラベルLB相互の間隙部分(ラベル台紙LMのみの部分)とを識別することが可能である。このラベルセンサ58を用いることにより、各ラベルLBの搬送方向に対する先端位置および後端位置を検知することができ、印刷ヘッド54によるラベルLB上の印刷開始位置等が決定される。
【0027】
ガイドローラ53a,53bは所定位置に軸支されて回転自在とされる。また、プラテンローラ56、ラベル供給部51およびラベル台紙巻取部52にはそれぞれ、ステッピングモータ56a,51a,52aが接続される。これらステッピングモータ56a,51a,52aは、与えられる駆動パルス数に応じた角度および向きに回転駆動する。これにより、プラテンローラ56、ラベル供給部51およびラベル台紙巻取部52は正逆両方向に回転駆動することとなり、ラベル用紙LPを図中矢印AR1の向きと矢印AR2の向きとの双方の向きに搬送することができる。
【0028】
印刷中においてラベル用紙LPは、主として矢印AR1の向きに、ラベル供給部51からラベル台紙巻取部52まで搬送される。また、ラベルLBの印刷開始位置が印刷ヘッド54を過ぎている場合などにおいては、必要に応じてラベル用紙LPは矢印AR2の向きにも搬送される(バックフィードされる)。
【0029】
このバックフィード時には、ラベル用紙LPと印刷ヘッド54とが接触して、ラベルLBがラベル台紙LMから剥離する可能性がある。このようなラベルLBの剥離を防止するため、印刷ヘッド54にはブラケット55が固設されている。
【0030】
図4は、印刷ヘッド54の前面側の近傍を示す図である。ブラケット55は略L字状に屈曲された板材で構成される。そして、その一の面が印刷ヘッド54の上面に沿って配置され、他の一の面が印刷ヘッド54の前面側(バックフィード時のラベル用紙LPの進入側)に配置される。さらに、ラベル用紙LPの搬送経路に対向する対向部55aが略半円形となるように屈曲されている。この対向部55aは、印刷ヘッド54の下端部(搬送経路側の端部)よりも、さらに搬送経路側に配置されて、ラベル用紙LPと接触する。
【0031】
ここで、ブラケット55が配置されていない場合を想定すると、図4中破線で示すように、バックフィード時においてラベルLBの後部上端の角E1と、印刷ヘッド54の前面下端の角E2が接触する。この接触により、ラベルLBがラベル台紙LMから剥離する可能性がある。
【0032】
一方、本実施の形態のようにブラケット55を配置すると、ラベル用紙LPの搬送経路がブラケット55によって押し下げられる。これにより、バックフィード時においてラベルLBは、印刷ヘッド54の下面側から傾斜して進入するため、ラベルLBの角E1と、印刷ヘッド54の角E2とが接触することが無くなる。また、ラベルLBとブラケット55の対向部55aとは接触するが、対向部55aは略半円形に屈曲されているため、ラベルLBが剥離することはない。したがって、バックフィード時において、ラベルLBの剥離は生じないこととなる。
【0033】
なお、このようなブラケット55は、印刷ヘッド54に対してのみならず、ラベル用紙LPの搬送経路に隣接し、かつ、隣接箇所が角張った形状を有する部材に対してそれぞれ配置することが好ましい。例えば、図5に示すように、ラベル用紙LPを切断するロータリカッター等の切断用部材54aを設けたラベルプリンタであれば、この切断用部材54aに対してもブラケット55を配置する。この場合も、ブラケット55の対向部55aが、切断用部材54aの尖端部E3よりも前面側かつ搬送経路側となるように、ブラケット55を配置する。これにより、バックフィード時において切断用部材54aの尖端部E3によってラベルLBが剥離されることが防止される。
【0034】
なお、図5のような切断用部材54aを設けた場合において、実際にラベル用紙LPを切断するときは、切断用部材54aとラベル用紙LPとを接触させる必要がある。このときは、例えば、図6(a)に示すように、ブラケット55を固定したまま切断用部材54aのみをラベル用紙LPと接触するように移動させてもよく、また、図6(b)に示すように、持上部材54bを配置して、ブラケット55が配置される側のラベル用紙LPを上部に持ち上げるようにしてもよい。
【0035】
また、ブラケット55は、接触時にラベルLBを損傷させないように、硬質ゴムやバネ材など容易に変形可能な弾性体で構成することが好ましい。特に、図6(b)のようにする場合は、ブラケット55を弾性体とすることで、尖端部E3よりも対向部55aが上部になるように容易に変形させることができる。
【0036】
図3に戻り、ラベル印刷部5の前面側上部には、湿度計59および除湿器6が設けられている。湿度計59は、ハウジング21の内部の空気の湿度を検出し、検出した湿度を制御部4に入力する。
【0037】
また、除湿器6はハウジング21の内部へ乾燥空気を供給する。図7は、除湿器6の概略構成図である。図に示すように除湿器6内部の中央には、複数の熱電冷却素子を電気的に直列接続してユニット化したペルチェモジュール61が配置されている。ペルチェモジュール61は直流電流を流すと一面が冷却し他の一面が加熱する性質を有し、本実施の形態では図中右側の面が冷却し、図中左側の面が加熱するようになっている。
【0038】
除湿器6内部の空間は、ペルチェモジュール61によって左右に仕切られており、ペルチェモジュール61を挟んで右側に冷却フィン62、左側に放熱フィン63がそれぞれ配置される。
【0039】
冷却フィン62の右側には処理対象となる空気A1を吸気するための吸気口64が設けられ、冷却フィン62の下部には水分Wtを排出するためのドレン67が設けられている。また、このドレン67にはドレン管68が接続される。一方、放熱フィン63の下部にはファン66を備えた送出口65が設けられている。
【0040】
除湿器6をONとすると、ペルチェモジュール61に直流電流が流されるとともに、ファン66が回転駆動される。そして、ペルチェモジュール61により、冷却フィン62が冷却される一方、放熱フィン63が加熱される。また、ファン66の回転により、除湿器6内の空気が図中矢印AR3のように移動し、吸気口64から空気A1が吸気され、送出口65から空気A3が送出される。
【0041】
吸気された空気(以下、「吸気空気」という。)A1は、まず、冷却フィン62に接触して冷却される。これにより、吸気空気A1の温度が低下して、水蒸気として空気中に保有しきれなくなった水分Wtが水滴となって冷却フィン62に付着する。すなわち、結露が生じることとなり、吸気空気A1が空気A2と水分Wtとに分離される。分離された水分Wtは、ドレン67を通じて除湿器6の外部に排出され、ドレン管68に導かれる。
【0042】
一方、冷却フィン62を通過した空気A2は、除湿器6の内部上側を介して左側へ移動し、放熱フィン63に接触する。これにより、空気A2は、吸気空気A1と略同一温度まで加熱され、空気A3とされる。空気A2は、温度が比較的低く、相対湿度が比較的高い状態であるが、放熱フィン63との接触により温度が上昇され、これに伴って相対湿度が低下する。すなわち、乾燥空気A3が生成されることとなる。このようにして生成された乾燥空気A3は、送出口65からファン66によって外部に送風される。
【0043】
このような除湿器6のペルチェモジュール61、冷却フィン62および放熱フィン63の作用は、吸気空気A1を、乾燥空気A3と水分Wtとに分離することに実質的に相当する。吸気空気A1と乾燥空気A3とを比較すると、温度は略同一であるが、水分Wtが分離された分、乾燥空気A3の方が湿度が低くなる。すなわち、除湿器6は、大きな温度上昇を伴うことなく、湿度(絶対湿度)の低い乾燥空気A3を供給することができるわけである。
【0044】
なお、ラベルプリンタ1aが常温で用いられる場合、除湿器6から供給される乾燥空気A3の露点は、好ましくは10℃以下であり、さらに好ましくは5℃以下である。また、ラベルプリンタ1aが冷蔵室内で用いられる場合においては、乾燥空気A3の露点は、好ましくは0℃以下である。
【0045】
図3に戻り、除湿器6をOFFとして、ラベルプリンタ1aを放置した場合を想定する。この場合、ハウジング21の内部と外部とを貫通する開口部であるラベル発行口22から、ハウジング21の外部の湿気を含んだ空気が流入することとなる。この湿気を含む空気の流入により、ハウジング21内部の空気の湿度と、ハウジング21外部の空気の湿度とは略同一となる。
【0046】
この状態にて除湿器6をONとすると、除湿器6は、ハウジング21の内部の空気を吸気空気として用い、ハウジング21の外部の空気よりも乾燥した乾燥空気をハウジング21の内部に供給する。これにより、大きな温度上昇を伴うことなく、ハウジング21の内部の空気の湿度を低下させることができる。その結果、ラベルの湿気の吸収や、ラベルあるいは内部機器への結露の発生が防止され、これらを原因としたラベルの印刷異常などの種々の障害の発生を防止することができる。
【0047】
また、除湿器6は、ハウジング21の内部の空気を乾燥空気と水分とに分離する。すなわち、除湿器6は、ハウジング21の内部の空気から水分を分離して乾燥空気を生成するため、温度上昇によって相対湿度を低下させるわけではない。したがって、大きな温度上昇を伴うことなく、絶対湿度を低下させることができることととなる。また、除湿器6は、ハウジング21の内部の空気を用いるため、その湿度を効果的に低下させることができる。
【0048】
また、除湿器6は、ファン66によりハウジング21の内部に乾燥空気A3を送風することから、ハウジング21の内部の空気が循環し、ハウジング21の内部全体の空気の湿度を効果的に低下させることができる。
【0049】
また、除湿器6は、ファン66により開口部であるラベル発行口22の近傍に向けて乾燥空気A3を送風する。これにより、ハウジング21の外部からの湿気を含む空気の流入を効果的に抑制することができる。さらに、ラベル発行口22の近傍には、印刷するための印刷ヘッド54やラベル用紙LPを搬送するためのプラテンローラ56等が近接しているため、これら部材への結露が効果的に防止され、ラベル印刷時や搬送時における障害の発生を一層効果的に防止することができる。
【0050】
さらに、除湿器6において分離された水分は、ドレン67に接続されたドレン管68に導かれるが、図3に示すようにドレン管68の他端はハウジング21の外部に配置される。したがって、ハウジング21の内部の空気から分離された水分は、ハウジング21の外部に排出されることとなる。これにより、分離された水分によりハウジング21の内部の空気の湿度が再度上昇することを防止することができる。
【0051】
<1−2.動作>
次に、以上のように構成されるラベルプリンタ1aの動作について説明する。
【0052】
まず、図3を参照しつつ、ラベルプリンタ1aの主たる動作内容について簡単に説明する。ラベルプリンタ1aはラベルLBを発行するにあたって、ラベルLBへの印刷内容、ラベル印刷部5に収容されたラベル用紙LP上のラベルLBのサイズ(以下、「ラベルサイズ」という。)、および、発行枚数等の設定をユーザに対して要求する。そして、設定された印刷内容に必要な面積と、設定されたラベルサイズとを比較し、印刷が可能であればラベルLBの発行を開始する。
【0053】
ラベルLBの発行を開始すると、ラベル用紙LPがプラテンローラ56等により搬送される。ラベル用紙LPは、まず、ラベル供給部51からガイドローラ53aまで搬送され、ガイドローラ53aによりその搬送方向が略水平方向に変更され、ラベルセンサ58の間を通過した後、印刷ヘッド54とプラテンローラ56との間に供給される。
【0054】
印刷ヘッド54とプラテンローラ56との間に供給されたラベル用紙LP上のラベルLBには、印刷ヘッド54により必要な情報の印刷が行われる。この印刷にあたっては、まず、ラベルセンサ58によって検出されたラベルLBの先端位置の情報に基づいて、当該ラベルLB上の印刷開始位置と印刷ヘッド54の発熱素子位置とが一致するように、プラテンローラ56によりラベル用紙LPが搬送される。また、ラベルLBの印刷中においては、ラベルLB上の印刷対象箇所と印刷ヘッド54の発熱素子位置とが一致するようにプラテンローラ56によりラベル用紙LPが搬送され、必要な情報がラベルLB上の所定位置に印刷される。
【0055】
このようにして印刷が完了したラベルLBは、剥離部材57によってラベル台紙LMから剥離された後、ラベル発行口22から送出される。その一方で、ラベルLBが剥離されラベル台紙LMのみとなったラベル用紙LPは、剥離部材57からガイドローラ53bまで搬送された後、ラベル台紙巻取部52にロール状に巻き取られることとなる。
【0056】
上記のラベルサイズの設定時においては、図8に示す画面がディスプレイ31に表示される。図に示すようにディスプレイ31には、ラベルLBの天地サイズ(搬送方向に沿った長さ)を入力するテキストボックスTb1、および、幅サイズ(搬送方向に直交する長さ)を入力するテキストボックスTb2がそれぞれ表示される。通常、これらのテキストボックスTb1,Tb2に、実際のラベルサイズ値をそれぞれ入力して、「OK」と表示された決定ボタンC6に触れることで、ラベルプリンタ1aの制御部4に対してラベルサイズを入力することができる。
【0057】
ところで、ラベルサイズが相違すると、ラベル用紙LP全体としての摩擦係数、巻き取り時の厚み、搬送時に必要なトルクなどが多少相違する。そして、このような相違により、ラベルサイズによっては、ラベル用紙LPの搬送量が設計値と相違する場合がある。その結果、ラベルLB上の印刷開始位置と印刷ヘッド54の発熱素子位置とを一致させる際に位置ずれが発生し、ラベルLB上の印刷内容が所定位置からずれることがある。
【0058】
これに対応するため、本実施の形態のラベルプリンタ1aでは、この印刷開始位置の補正を行うことができるようになっている。具体的には、図8に示すように、ディスプレイ31中に表示されるテキストボックスTb3に、印刷開始位置の補正量とする値を入力する。この値は、「+」あるいは「−」と表示された2つのボタンC1,C2に触れることで変更することもできる。そして、決定ボタンC6に触れることで、このテキストボックスTb3に入力された値は補正量として制御部4に入力され、実際のラベル印刷時に反映されることとなる。
【0059】
例えば、補正量が「+1」と設定された場合は、印刷開始位置と発熱素子位置とを一致させる際に、ラベル用紙LPが設計値より1mm分多く搬送されるように、ステッピングモータ56aの回転角度が制御部4により制御される。また逆に、「−1」と入力した場合は、ラベル用紙LPが設計値より1mm分少なく搬送される。このようにラベルプリンタ1aは、入力された補正量に応じて印刷開始時におけるラベル用紙LPの搬送量を調整するため、ラベルサイズに起因する位置ずれを補正することができることとなる。
【0060】
また、図8の画面において入力するラベルサイズ(天地サイズ、幅サイズ)および補正量の各値はラベル種類名と関連付けて、ラベルプリンタ1aに記憶させることも可能となっている。これらの値を記憶させる際には、まず、ディスプレイ31中に表示されるテキストボックスTb4にラベル種類名を入力し、次に、「登録」と表示された登録ボタンC3に触れる。これにより、ラベルサイズおよび補正量の各値とラベル種類名とが関連付けられて、SRAM44に記憶される。
【0061】
一方、このようにしてラベルプリンタ1aに記憶されたラベルサイズおよび補正量の各値を呼び出す際には、「呼出」と表示された呼出ボタンC4に触れる。これにより、登録されたラベル種類名が一覧となってディスプレイ31に表示され、ユーザは表示された一覧から任意のラベル種類名を選択する。そして、ラベル種類名がユーザにより選択されると、当該ラベル種類名に関連付けられたラベルサイズおよび補正量の各値がSRAM44から読み出され、図8の画面のテキストボックスTb1〜Tb3にそれぞれ反映される。
【0062】
このように、ラベルプリンタ1aではラベルサイズおよび補正量の各値はラベル種類名と関連付けて記憶することができるため、一度、各値を設定してしまえば、再度、同一サイズのラベル用紙LPを使用する際に、煩雑な操作を伴うことなくラベルサイズおよび補正量を設定することができる。またその結果、一度使用したラベル用紙LPに対する位置ずれを意識する必要が無くなり、位置ずれに起因する印刷異常などを回避することができる。
【0063】
また、上記においては、ラベルサイズをユーザが入力していたが、図8に示す「自動取得」と表示された自動取得ボタンC5に触れることで、ラベルプリンタ1aにラベルサイズを自動的に取得させることもできるようになっている。
【0064】
図9は、印刷ヘッド54およびラベルセンサ58近傍のラベル用紙LPの搬送経路を示す上面図であり、左側が装置前面側に相当する。以下、図9を参照しながら、ラベルサイズの取得について説明する。
【0065】
天地サイズL1の検出には、ラベルセンサ58が用いられる。すなわち、天地サイズを取得する際には、まず、ラベル用紙LPが搬送され、ラベルセンサ58の投光部および受光部58aによって、一のラベルLBの先端位置P1および後端位置P2が検出される。次に、先端位置P1および後端位置P2の検出間において、ステッピングモータ56aに与えた駆動パルス数からステッピングモータ56aの回転角度が取得される。そして、この回転角度に基づくラベル用紙LPの搬送量が天地サイズL1として取得されることとなる。
【0066】
一方、幅サイズL2の検出には、印刷ヘッド54が用いられる。本実施の形態の印刷ヘッド54には、ライン状に配列される複数の発熱素子HDのそれぞれに流れ込んだ電流値を検出する検出部(図示省略)が設けられている。
【0067】
幅サイズを検出する際には、まず、印刷ヘッド54の全発熱素子HDに対して同一条件で電圧が印可され、ラベルLBに対しての印刷が行われる。このとき、ラベルLBに対して印刷できた発熱素子H1と印刷できない発熱素子H2,H3とでは、流れ込んだ電流値が相違する。このことから、電流値の相違に基づいて、全発熱素子HDのうち印刷できた発熱素子H1のみが特定される。そして、特定された発熱素子H1の数と、発熱素子HD相互間の距離とに基づいて幅サイズL2が取得されることとなる。
【0068】
以上のようにして天地サイズL1および幅サイズL2が取得されると、その値が図8の画面中のテキストボックスTb1,Tb2にそれぞれ反映されることとなる。このように、ラベルプリンタ1aでは、天地サイズおよび幅サイズを取得することができるため、煩雑な操作を伴うことなくラベルサイズを設定することができる。
【0069】
なお、印刷ヘッド54ではなく、専用のセンサによって幅サイズを取得するようにしてもよい。図10は、幅サイズを取得するためのラベルセンサ90を設けた場合の印刷ヘッド54およびラベルセンサ58近傍のラベル用紙LPの搬送経路を示す上面図である。図10は、図9と同様に左側が装置前面側に相当する。
【0070】
ラベルセンサ90は、ラベルセンサ58と同様に、ラベル用紙LPの搬送経路を挟むようにして投光部および受光部92を備えている。また、ラベルセンサ90には、ラベル用紙LPの搬送経路に直交する方向に沿ってガイドレール91が設けられている。投光部および受光部92には、ローラと無端ベルトなどで構成される駆動機構(図示省略)が接続されており、このガイドレール91に沿って移動可能とされている。
【0071】
幅サイズを取得する際には、投光部および受光部92がガイドレール91に沿って移動され、投光部および受光部92により、一のラベルLBの幅方向の2つの端部位置P3,P4が検出される。そして、2つの端部位置P3,P4の検出間に、投光部および受光部92が移動された距離が、幅サイズとして取得されることとなる。
【0072】
印刷ヘッド54を用いて幅サイズを求める場合は少なくとも1枚のラベルLBに対して印刷を行う必要があったが、このように専用のセンサを用いて幅サイズを求める場合はラベルLBの印刷は必要ないため、ラベルLBを無駄に消費することがなくなることとなる。
【0073】
またところで、前述したようにラベル印刷時においてラベル用紙LPはプラテンローラ56により搬送されるが、経年劣化等によりプラテンローラ56の径が小さくなると、ラベル用紙LPの搬送量が減少し、印刷内容が短縮するなど印刷品質が低下することがある。本実施の形態のラベルプリンタ1aでは、このようなプラテンローラ56の径の変化を示す調整パラメータを取得し、この調整パラメータに応じてラベル印刷時の搬送量等を調整することで、印刷品質を保持するようにしている。
【0074】
調整パラメータは、ユーザの操作に応答して取得される。以下、この調整パラメータの取得動作について説明する。なお、ラベル印刷部5に収容されているラベル用紙LPのラベルLBの天地サイズは予め設定されているものとする。
【0075】
まず、ラベル用紙LPが搬送され、ラベルセンサ58により一のラベルLBの先端位置および後端位置が検出される。そして、ラベルLBの先端位置および後端位置の検出間において、ステッピングモータ56aに与えた駆動パルス数(以下、「検出パルス数」といい、記号DP1を用いる。)が取得される。
【0076】
次に、設定された天地サイズを搬送するときの理論上(設計上)の駆動パルス数(以下、「理論パルス数」といい、記号DP0を用いる。)が導出される。検出対象となったラベルLBの天地サイズがX(mm)であり、プラテンローラ56の設計上の径(直径)がR0(φ)であり、1駆動パルスあたりのステッピングモータ56aの回転角度がθ(°)であるとすると、理論パルス数DP0は次式(1)により導出される。
【0077】
DP0=(360・X)/(R0・θ・π) …(1)
次に、取得された検出パルス数DP1の理論パルス数DP0に対する割合PRが、次式(2)により求められる。
【0078】
PR=DP1/DP0 …(2)
ここで、プラテンローラ56の実際の径をR1(φ)(R1<R0)とすると、検出パルス数DP1は、上記式(1)と同様に、次式(3)により導出できるはずである。
【0079】
DP1=(360・X)/(R1・θ・π) …(3)
したがって、割合PRは、(R0/R1)に相当する。すなわち、割合PRは、プラテンローラ56の径の変化を示す値に相当し、調整パラメータとされる。なお、経年劣化等によりプラテンローラ56の径は小さくなることから、調整パラメータPRは1より大となる。
【0080】
次に、この調整パラメータPRを用いてのラベル印刷時における調整について説明する。
【0081】
ラベル用紙LPの搬送量は、ステッピングモータ56aに与える駆動パルス数およびプラテンローラ56の径によって決定される。プラテンローラ56の径が小さくなると搬送量が減少するため、必要な距離を搬送するためには、駆動パルス数を増加させる必要がある。
【0082】
したがって、ラベル一枚を搬送するにあたって、設計上必要な駆動パルス数をDP2とし、実際にステッピングモータ56aに与えるべき駆動パルス数をDP3とすると、駆動パルス数DP3は調整パラメータPRを用いて次式(4)によって決定される。なお、駆動パルス数DP2は、上記式(1)と同様の演算により求められる。
【0083】
DP3=DP2・PR …(4)
このようにして求められた駆動パルス数DP3がステッピングモータ56aに与えられると、ラベル用紙LPがラベル一枚の天地サイズと同一距離搬送されることとなる。すなわち、必要な距離を搬送するように、ラベル用紙LPの搬送量が調整されることとなる。
【0084】
その一方で、このようにしてラベル用紙LPの搬送量を調整した場合、駆動パルスの発生周期が同一であるとすると、ラベル一枚あたりの搬送時間は設計上の搬送時間よりも増加する。したがって、このままでは、印刷ヘッド54による印刷内容は設計上のものよりも短縮され、印刷品質は低下してしまう。これに対応するためラベルプリンタ1aでは、搬送時間の増加に応じて、印刷ヘッド54による印刷周期が長くなるように調整される。
【0085】
駆動パルスの発生周期が同一である場合、搬送時間は駆動パルス数に比例することから、実際のラベル一枚あたりの搬送時間は、設計上の搬送時間に調整パラメータPRを乗算した時間となる。このため、設計上における印刷周期をT0とし、実際に印刷ヘッド54が印刷すべき印刷周期をT1とすると、印刷周期T1は調整パラメータPRを用いて次式(5)によって決定される。
【0086】
T1=T0・PR …(5)
このようにして求められた印刷周期T1にて印刷ヘッド54が印刷を行うと、ラベルLBの適切な位置にて印刷すべき内容が印刷され、印刷品質が保持されることとなる。
【0087】
なお、この説明においては、搬送時間の増加に対応するため印刷周期を長くなるように調整していたが、搬送時間そのものが変化しないように、駆動パルスの発生周期を短くなるように調整してもよい。具体的には、ラベル用紙LPの搬送量の調整前における駆動パルスの発生周期をTT0とし、調整後において駆動パルスを発生すべき発生周期をTT1とすると、発生周期TT1は調整パラメータを用いて次式(6)によって決定される。
【0088】
TT1=TT0/PR …(6)
このようにして求められた発生周期TT1にて駆動パルスを発生させると、ステッピングモータ56aの回転速度が増加し、ラベル用紙LPの搬送量の調整前と調整後とにおいてラベル一枚あたりの搬送時間が同一とされる。これにより、印刷ヘッド54の印刷周期を変更することなく、ラベルLBの適切な位置に印刷すべき内容を印刷することができ、印刷品質を保持することができる。
【0089】
このようにラベルプリンタ1aは、ラベルLBの印刷に関して種々の機能を有し、これら機能は制御部4の制御にて実現される。また、ラベルLBの印刷時において、制御部4は除湿器6のON/OFF(能動化/非能動化)の切り替え制御も行うようになっている。
【0090】
図11は、除湿器6のON/OFFの切り替え制御の流れを示す図である。制御部4は、湿度計59から入力されるハウジング21の内部の空気の湿度を常時監視し、この湿度に応じて除湿器6のON/OFFを切り替えることとなる。なお、以下の説明の制御開始時点においては、除湿器6はOFFとされているものとする。
【0091】
まず、湿度計59から入力された湿度が予め定められた基準値である第1閾値以上であるか否かが判定される(ステップS1)。この第1閾値としては、例えば80(%RH)が用いられる。この判定において湿度が第1閾値未満であれば、再度ステップS1に戻り、湿度計59から入力される湿度の監視が継続される。
【0092】
一方、湿度が第1閾値以上となった場合は、ラベルの湿気の吸収や結露の危険性があると判断され、除湿器6がONとされる。これにより、除湿器6からハウジング21内部への乾燥空気の供給が開始され、ハウジング21の内部の空気の湿度が低下される(ステップS2)。
【0093】
除湿器6がONとされた以降においては、湿度計59から入力される湿度が予め定められた基準値である第2閾値未満であるか否かが判定される(ステップS3)。この第2閾値としては、第1閾値以下の数値が用いられ、例えば50(%RH)が用いられる。この判定において、湿度が第2閾値以上であれば、再度ステップS3に戻り、除湿器6がONのまま湿度の監視が継続される。
【0094】
一方、湿度が第2閾値未満となった場合は、ハウジング21の内部の空気の湿度はある程度低下したと判断され、除湿器6がOFFとされる。これにより、除湿器6からの乾燥空気の供給が停止される(ステップS4)。以降は、再度ステップS1に戻り、上記の制御が繰り返されることとなる。
【0095】
このように、ラベルプリンタ1aでは、ハウジング21の内部の空気の湿度に応じて、除湿器6の能動化/非能動化が切り替えられるため、必要なときのみハウジング21の内部の空気の湿度を低下させることができ、消費電力量を抑制することができることとなる。
【0096】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態においては、除湿器6によりハウジング21の内部に乾燥空気を供給していたが、本実施の形態では、外部装置から供給される乾燥空気をハウジング21の内部に導くようにしている。
【0097】
図12は、本実施の形態のラベルプリンタ1bが配置される食品生産工場の例を示す図である。図に示すように、食品生産工場100には、食品生産室101内に複数のラベルプリンタ1bが配置されている。
【0098】
また、食品生産室101外部には、乾燥空気供給装置7が配置されている。乾燥空気供給装置7は、ハニカム構造の除湿ロータ等を備えており、比較的大量の乾燥空気を生成することが可能となっている。生成された乾燥空気は、乾燥空気供給装置7に備えられたファンにより、各ラベルプリンタ1bとの間に配置される空気導通管71内に向けて送出されるようになっている。
【0099】
ラベルプリンタ1bの外観構成および電気的構成は図1および図2に示すものとほぼ同様であるが、ハウジング21には空気導通管71を接続するための導気口80が設けられる(図13参照)。
【0100】
図13は、本実施の形態のハウジング21の内部のラベル印刷部5の構成概要を示す側面図であり、左側が装置前面側に相当する。
【0101】
図に示すように、本実施の形態のラベル印刷部5の構成は、第1の実施の形態とほぼ同様であるが、湿度計59および除湿器6は設けられてはおらず、その替わりに、ハウジング21の上部に導気口80が設けられている。また、この導気口80のハウジング21内部側には導気管81が接続され、導気管81の下端には、下方に向けて送風可能にファン82が配置されている。
【0102】
導気口80のハウジング21外部側には空気導通管71が接続されるため、乾燥空気供給装置7から供給される乾燥空気は導気口80によりハウジング21の内部に導かれることとなる。そして、導気口80により導かれた乾燥空気は、導気管81内を通過した後、ファン82によってハウジング21の開口部であるラベル発行口22の近傍に向けて送風されることとなる。
【0103】
乾燥空気供給装置7からは、ハウジング21の外部(すなわち、食品生産室101内)の空気よりも乾燥した乾燥空気が供給される。そして、導気口80により、この乾燥空気をハウジング21の内部に導くため、第1の実施の形態と同様に、大きな温度上昇を伴うことなく、ハウジング21の内部の空気の湿度を低下させることができる。その結果、ラベルの湿気の吸収や、ラベルあるいは内部機器への結露の発生が防止され、これらを原因としたラベルの印刷異常などの種々の障害の発生を防止することができる。
【0104】
また、導気管81およびファン82により、乾燥空気がハウジングの内部に送風されるため、ハウジング21の内部の空気が循環し、ハウジング21の内部全体の空気の湿度を効果的に低下させることができる。また、導気管81およびファン82により開口部であるラベル発行口22の近傍に向けて乾燥空気を送風することから、ハウジング21の外部からの湿気を含む空気の流入を効果的に抑制することができる。さらに、印刷するための印刷ヘッド54やラベル用紙LPを搬送するためのプラテンローラ56等への結露が効果的に防止され、ラベル印刷時や搬送時における障害の発生を一層効果的に防止することができることとなる。
【0105】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0106】
例えば、上記第2実施の形態では、導気口80を開閉自在かつ開閉を制御可能なバルブを導気口80の近傍に設けるとともに、ハウジング21の内部の湿度を検出する湿度計を設け、湿度計により検出される湿度に基づいて、導気口80を開閉するようにしてもよい。このようにすれば、必要に応じて乾燥空気をハウジング21の内部に供給することができる。これにより、複数台配置されているラベルプリンタ1bのうち必要となるもののみの内部の湿度を、集中的に低下させることができる。
【0107】
また、上記実施の形態における除湿器6は、空気を冷却して除湿を行う冷却除湿方式が採用されていたが、例えば、空気の圧縮により除湿を行う圧縮除湿方式や、吸湿材に水分を吸着させる吸着除湿方式など、大きな温度上昇を伴うことなく除湿を行えるものであれば、どのような除湿方式を採用してもよい。
【0108】
また、上記実施の形態ではラベルを印刷して発行する機能を有するラベルプリンタについて説明を行ったが、例えば、ラベル貼付機能を有するラベルプリンタや、ラベルの貼付対象となる商品の計量機能を有するラベルプリンタであってもよい。少なくとも、複数のラベルを格納するハウジングと、ハウジングの内部に配置されラベルに所定の情報を印刷する印刷手段とを備えるラベルプリンタであれば、どのようなものであっても本発明にかかる技術を適用することが可能である。
【0109】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明によれば、乾燥空気をハウジングの内部に供給するため、温度上昇を伴うことなく、ハウジングの内部の空気の湿度を低下させることができる。その結果、ラベルの湿気の吸収や、ラベルあるいは内部機器への結露の発生が防止され、これらを原因としたラベルの印刷異常などの障害の発生を防止することができる。
【0110】
また、請求項2の発明によれば、ハウジングの内部の空気を乾燥空気と水分とに分離するため、ハウジングの内部の空気の絶対湿度を効果的に低下させることができる。
【0111】
また、請求項3の発明によれば、分離された水分をハウジングの外部に排出することで、ハウジングの内部の空気の湿度が上昇することを防止することができる。
【0112】
また、請求項4の発明によれば、湿度に応じて乾燥空気供給手段の能動化/非能動化を切り替えるため、必要なときのみハウジングの内部の空気の湿度を低下させることができ、消費電力量を抑制することができる。
【0113】
また、請求項5の発明によれば、乾燥空気を送風することでハウジングの内部の空気が循環するため、ハウジングの内部全体の空気の湿度を効果的に低下させることができる。
【0114】
また、請求項6の発明によれば、乾燥空気をハウジングの内部に導くことで、温度上昇を伴うことなく、ハウジングの内部の空気の湿度を低下させることができる。その結果、ラベルの湿気の吸収や、ラベルあるいは内部機器への結露の発生が防止され、これらを原因としたラベルの印刷異常などの障害の発生を防止することができる。
【0115】
また、請求項7の発明によれば、乾燥空気を送風することでハウジングの内部の空気が循環するため、ハウジングの内部全体の空気の湿度を効果的に低下させることができる。
【0116】
また、請求項8の発明によれば、ハウジングの開口部の近傍に向けて乾燥空気を送風することで、ハウジングの外部からの湿気を含む空気の流入を効果的に抑制することができる。
【0117】
また、請求項9の発明によれば、ラベル発行口の近傍には、印刷手段やラベルの搬送機構等が近接しているため、ラベルの結露を原因とするラベルの印刷時や搬送時における障害を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベルプリンタの斜視図である。
【図2】ラベルプリンタの電気的構成を機能ブロックとして示す図である。
【図3】第1の実施の形態のラベル印刷部の構成概要を示す側面図である。
【図4】印刷ヘッドおよびブラケットの配置を示す図である。
【図5】切断用部材およびブラケットの配置を示す図である。
【図6】ラベル用紙切断時の切断用部材およびブラケットの配置を示す図である。
【図7】除湿器の概略構成図である。
【図8】ラベルサイズ設定時におけるディスプレイの表示の一例を示す図である。
【図9】ラベルサイズを取得する手法を説明するための図である。
【図10】ラベルサイズを取得する手法を説明するための図である。
【図11】除湿器の能動化/非能動化を切り替えるための制御の流れを示す図である。
【図12】第2の実施の形態のラベルプリンタが配置される食品生産工場の例を示す図である。
【図13】第1の実施の形態のラベル印刷部の構成概要を示す側面図である。
【符号の説明】
1a ラベルプリンタ
5 ラベル印刷部
6 除湿器
21 ハウジング
22 ラベル発行口
59 湿度計
66 ファン
68 ドレン管
80 導気口
【発明の属する技術分野】
本発明はラベルプリンタに関し、特にハウジングの内部の湿度を低下させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラベルプリンタは、食品加工工場など比較的湿度が高い場所において使用されることが多い。このような高湿度な場所でラベルプリンタを使用した場合、高湿度におけるラベルの湿気の吸収やラベルあるいは内部機器への結露を原因として、内部機器の動作異常、ラベルの印刷異常あるいはラベルの搬送不能など種々の障害が発生することがある。
【0003】
このため従来より、ラベルプリンタのような印刷装置の内部の湿度を低下させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、印刷装置の内部空気をヒータにより加熱して湿度を低下させる技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−211917号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の印刷装置においては、内部温度を上昇させて相対湿度を低下させているため、絶対湿度は低下しない。このことから、電源停止後に内部温度が低下すると湿度上昇や結露が生じ、次の電源投入の直後において障害が発生する可能性がある。
【0006】
また、特許文献1の技術をラベルプリンタに適用した場合、ヒーターによる熱を原因としてラベルの粘着材等に異常が生じるおそれがある。さらに、生鮮食料品等を扱う食品加工工場などにおいては、内部温度が上昇したラベルプリンタを食品に近接して配置することは食品鮮度上好ましくない。つまり、ラベルプリンタにおいて内部温度を上昇させて湿度を低下させると、温度上昇に伴う熱を原因として種々の障害が発生しうることとなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、温度上昇を伴うことなく、ハウジングの内部の湿度を低下させることができるラベルプリンタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ラベルプリンタであって、複数のラベルを格納するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、前記ラベルに所定の情報を印刷する印刷手段と、乾燥空気を前記ハウジングの内部に供給する乾燥空気供給手段と、を備えている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のラベルプリンタにおいて、前記乾燥空気供給手段は、前記ハウジングの内部の空気を吸気する吸気手段と、吸気された前記ハウジングの内部の空気を、前記乾燥空気と水分とに分離する分離手段と、を備えている。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のラベルプリンタにおいて、前記乾燥空気供給手段は、前記分離手段により分離された前記水分を前記ハウジングの外部に排出する排出手段、を備えている。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のラベルプリンタにおいて、前記ハウジングの内部の空気の湿度を検出する検出手段と、検出された前記湿度に応じて、前記乾燥空気供給手段の能動化/非能動化を切り替える切替手段と、を備えている。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のラベルプリンタにおいて、前記乾燥空気供給手段は、前記ハウジングの内部に前記乾燥空気を送風する送風手段、を備えている。
【0013】
また、請求項6の発明は、ラベルプリンタであって、複数のラベルを格納するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、前記ラベルに所定の情報を印刷する印刷手段と、外部装置から供給される乾燥空気を前記ハウジングの内部に導く導気口、を備えている。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載のラベルプリンタにおいて、前記導気口は、前記ハウジングの内部に前記乾燥空気を送風する送風手段、を備えている。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項5または7に記載のラベルプリンタにおいて、前記送風手段は、前記ハウジングの内部と外部とを貫通する前記ハウジングの開口部の近傍に向けて前記乾燥空気を送風することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載のラベルプリンタにおいて、前記開口部は、前記ラベルを前記ハウジングの外部に送出するためのラベル発行口であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態のラベルプリンタの斜視図である。図に示すようにラベルプリンタ1aは主として、装置本体部2と、装置本体部2の上部に傾斜して配置される操作パネル3とを備えている。
【0019】
操作パネル3は、タッチパネルとしての機能を有する液晶のディスプレイ31、および、種々の情報を入力可能な入力キー32を備えている。ユーザはディスプレイ31に表示された内容を確認しつつ、適宜タッチパネルとしてのディスプレイ31や入力キー32を操作することにより、必要なデータやコマンドをラベルプリンタ1aに入力することが可能である。
【0020】
装置本体部2のハウジング21の内部には、ラベルを印刷するためのラベル印刷部5、および、装置全体を制御するための制御部4が設けられている。ラベル印刷部5にて印刷されたラベルは、装置本体部2のハウジング21の前面側に設けられるラベル発行口22から送出されて発行される。
【0021】
制御部4は、ラベルプリンタ1aの各処理部と電気的に接続され、各処理部の動作を統括的に制御する。図2は、ラベルプリンタ1aの制御部4を含む電気的構成を機能ブロックにて示す図である。制御部4はマイクロコンピュータ等によって構成され、各種演算処理を行うCPU41、制御用プログラム等を記憶するROM42、演算処理の作業領域となるRAM43、および、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM44等を備え、これらはそれぞれバスライン45に電気的に接続される。
【0022】
また、このバスライン45には、上述した操作パネル3およびラベル印刷部5等も電気的に接続されており、これらは全て制御部4の制御下にて動作することとなる。より具体的には、制御部4のCPU41が、ROM42内の制御用プログラムに従って演算処理を行うことにより、ラベルプリンタ1aの各部が統括的に制御される。また、このようなCPU41の演算処理により各種のデータ処理機能も実現されることとなる。
【0023】
図3は、ハウジング21の内部のラベル印刷部5の構成概要を示す側面図である。図3の左側が、ラベル発行口22が設けられる装置前面側に相当する。
【0024】
図に示すように、ラベル印刷部5には、長尺状のラベル台紙LMに対して複数のラベルLBが連続して貼付されたラベル用紙LPが収容される。ラベルプリンタ1aは、このラベル用紙LPを交換することにより種々のサイズのラベルLBを取り扱うことが可能である。ラベル用紙LPは、その一端がラベル供給部51に、他端がラベル台紙巻取部52にそれぞれロール状に巻き取られており、その中間部分が複数のガイドローラ53a,53b、プラテンローラ56および剥離部材57等によって案内された状態とされている。
【0025】
剥離部材57はラベルLBをラベル台紙LMから剥離するものであり、ラベル発行口22近傍に配置される。また、剥離部材57の装置背面側(図中右側)には、ラベル用紙LPの搬送経路を挟むようにして印刷ヘッド54およびプラテンローラ56が配置される。印刷ヘッド54は複数の発熱素子をライン状に備えたサーマルヘッドなどで構成され、発熱素子を選択的に加熱することでプラテンローラ56との間に供給されるラベルLBに対して必要な情報を印刷する。プラテンローラ56は、印刷中においてラベルLBをその印刷面の裏側から支持する部材として機能する。
【0026】
また、印刷ヘッド54およびプラテンローラ56の装置背面側(図中右側)には、ラベル用紙LPの搬送経路を挟むようにして、ラベルセンサ58が設けられている。ラベルセンサ58は、投光部と受光部とを有する透過型の光センサであり、その透過率の相違に基づいて、ラベル用紙LP上のラベルLBが貼付されている部分と、貼付されていないラベルLB相互の間隙部分(ラベル台紙LMのみの部分)とを識別することが可能である。このラベルセンサ58を用いることにより、各ラベルLBの搬送方向に対する先端位置および後端位置を検知することができ、印刷ヘッド54によるラベルLB上の印刷開始位置等が決定される。
【0027】
ガイドローラ53a,53bは所定位置に軸支されて回転自在とされる。また、プラテンローラ56、ラベル供給部51およびラベル台紙巻取部52にはそれぞれ、ステッピングモータ56a,51a,52aが接続される。これらステッピングモータ56a,51a,52aは、与えられる駆動パルス数に応じた角度および向きに回転駆動する。これにより、プラテンローラ56、ラベル供給部51およびラベル台紙巻取部52は正逆両方向に回転駆動することとなり、ラベル用紙LPを図中矢印AR1の向きと矢印AR2の向きとの双方の向きに搬送することができる。
【0028】
印刷中においてラベル用紙LPは、主として矢印AR1の向きに、ラベル供給部51からラベル台紙巻取部52まで搬送される。また、ラベルLBの印刷開始位置が印刷ヘッド54を過ぎている場合などにおいては、必要に応じてラベル用紙LPは矢印AR2の向きにも搬送される(バックフィードされる)。
【0029】
このバックフィード時には、ラベル用紙LPと印刷ヘッド54とが接触して、ラベルLBがラベル台紙LMから剥離する可能性がある。このようなラベルLBの剥離を防止するため、印刷ヘッド54にはブラケット55が固設されている。
【0030】
図4は、印刷ヘッド54の前面側の近傍を示す図である。ブラケット55は略L字状に屈曲された板材で構成される。そして、その一の面が印刷ヘッド54の上面に沿って配置され、他の一の面が印刷ヘッド54の前面側(バックフィード時のラベル用紙LPの進入側)に配置される。さらに、ラベル用紙LPの搬送経路に対向する対向部55aが略半円形となるように屈曲されている。この対向部55aは、印刷ヘッド54の下端部(搬送経路側の端部)よりも、さらに搬送経路側に配置されて、ラベル用紙LPと接触する。
【0031】
ここで、ブラケット55が配置されていない場合を想定すると、図4中破線で示すように、バックフィード時においてラベルLBの後部上端の角E1と、印刷ヘッド54の前面下端の角E2が接触する。この接触により、ラベルLBがラベル台紙LMから剥離する可能性がある。
【0032】
一方、本実施の形態のようにブラケット55を配置すると、ラベル用紙LPの搬送経路がブラケット55によって押し下げられる。これにより、バックフィード時においてラベルLBは、印刷ヘッド54の下面側から傾斜して進入するため、ラベルLBの角E1と、印刷ヘッド54の角E2とが接触することが無くなる。また、ラベルLBとブラケット55の対向部55aとは接触するが、対向部55aは略半円形に屈曲されているため、ラベルLBが剥離することはない。したがって、バックフィード時において、ラベルLBの剥離は生じないこととなる。
【0033】
なお、このようなブラケット55は、印刷ヘッド54に対してのみならず、ラベル用紙LPの搬送経路に隣接し、かつ、隣接箇所が角張った形状を有する部材に対してそれぞれ配置することが好ましい。例えば、図5に示すように、ラベル用紙LPを切断するロータリカッター等の切断用部材54aを設けたラベルプリンタであれば、この切断用部材54aに対してもブラケット55を配置する。この場合も、ブラケット55の対向部55aが、切断用部材54aの尖端部E3よりも前面側かつ搬送経路側となるように、ブラケット55を配置する。これにより、バックフィード時において切断用部材54aの尖端部E3によってラベルLBが剥離されることが防止される。
【0034】
なお、図5のような切断用部材54aを設けた場合において、実際にラベル用紙LPを切断するときは、切断用部材54aとラベル用紙LPとを接触させる必要がある。このときは、例えば、図6(a)に示すように、ブラケット55を固定したまま切断用部材54aのみをラベル用紙LPと接触するように移動させてもよく、また、図6(b)に示すように、持上部材54bを配置して、ブラケット55が配置される側のラベル用紙LPを上部に持ち上げるようにしてもよい。
【0035】
また、ブラケット55は、接触時にラベルLBを損傷させないように、硬質ゴムやバネ材など容易に変形可能な弾性体で構成することが好ましい。特に、図6(b)のようにする場合は、ブラケット55を弾性体とすることで、尖端部E3よりも対向部55aが上部になるように容易に変形させることができる。
【0036】
図3に戻り、ラベル印刷部5の前面側上部には、湿度計59および除湿器6が設けられている。湿度計59は、ハウジング21の内部の空気の湿度を検出し、検出した湿度を制御部4に入力する。
【0037】
また、除湿器6はハウジング21の内部へ乾燥空気を供給する。図7は、除湿器6の概略構成図である。図に示すように除湿器6内部の中央には、複数の熱電冷却素子を電気的に直列接続してユニット化したペルチェモジュール61が配置されている。ペルチェモジュール61は直流電流を流すと一面が冷却し他の一面が加熱する性質を有し、本実施の形態では図中右側の面が冷却し、図中左側の面が加熱するようになっている。
【0038】
除湿器6内部の空間は、ペルチェモジュール61によって左右に仕切られており、ペルチェモジュール61を挟んで右側に冷却フィン62、左側に放熱フィン63がそれぞれ配置される。
【0039】
冷却フィン62の右側には処理対象となる空気A1を吸気するための吸気口64が設けられ、冷却フィン62の下部には水分Wtを排出するためのドレン67が設けられている。また、このドレン67にはドレン管68が接続される。一方、放熱フィン63の下部にはファン66を備えた送出口65が設けられている。
【0040】
除湿器6をONとすると、ペルチェモジュール61に直流電流が流されるとともに、ファン66が回転駆動される。そして、ペルチェモジュール61により、冷却フィン62が冷却される一方、放熱フィン63が加熱される。また、ファン66の回転により、除湿器6内の空気が図中矢印AR3のように移動し、吸気口64から空気A1が吸気され、送出口65から空気A3が送出される。
【0041】
吸気された空気(以下、「吸気空気」という。)A1は、まず、冷却フィン62に接触して冷却される。これにより、吸気空気A1の温度が低下して、水蒸気として空気中に保有しきれなくなった水分Wtが水滴となって冷却フィン62に付着する。すなわち、結露が生じることとなり、吸気空気A1が空気A2と水分Wtとに分離される。分離された水分Wtは、ドレン67を通じて除湿器6の外部に排出され、ドレン管68に導かれる。
【0042】
一方、冷却フィン62を通過した空気A2は、除湿器6の内部上側を介して左側へ移動し、放熱フィン63に接触する。これにより、空気A2は、吸気空気A1と略同一温度まで加熱され、空気A3とされる。空気A2は、温度が比較的低く、相対湿度が比較的高い状態であるが、放熱フィン63との接触により温度が上昇され、これに伴って相対湿度が低下する。すなわち、乾燥空気A3が生成されることとなる。このようにして生成された乾燥空気A3は、送出口65からファン66によって外部に送風される。
【0043】
このような除湿器6のペルチェモジュール61、冷却フィン62および放熱フィン63の作用は、吸気空気A1を、乾燥空気A3と水分Wtとに分離することに実質的に相当する。吸気空気A1と乾燥空気A3とを比較すると、温度は略同一であるが、水分Wtが分離された分、乾燥空気A3の方が湿度が低くなる。すなわち、除湿器6は、大きな温度上昇を伴うことなく、湿度(絶対湿度)の低い乾燥空気A3を供給することができるわけである。
【0044】
なお、ラベルプリンタ1aが常温で用いられる場合、除湿器6から供給される乾燥空気A3の露点は、好ましくは10℃以下であり、さらに好ましくは5℃以下である。また、ラベルプリンタ1aが冷蔵室内で用いられる場合においては、乾燥空気A3の露点は、好ましくは0℃以下である。
【0045】
図3に戻り、除湿器6をOFFとして、ラベルプリンタ1aを放置した場合を想定する。この場合、ハウジング21の内部と外部とを貫通する開口部であるラベル発行口22から、ハウジング21の外部の湿気を含んだ空気が流入することとなる。この湿気を含む空気の流入により、ハウジング21内部の空気の湿度と、ハウジング21外部の空気の湿度とは略同一となる。
【0046】
この状態にて除湿器6をONとすると、除湿器6は、ハウジング21の内部の空気を吸気空気として用い、ハウジング21の外部の空気よりも乾燥した乾燥空気をハウジング21の内部に供給する。これにより、大きな温度上昇を伴うことなく、ハウジング21の内部の空気の湿度を低下させることができる。その結果、ラベルの湿気の吸収や、ラベルあるいは内部機器への結露の発生が防止され、これらを原因としたラベルの印刷異常などの種々の障害の発生を防止することができる。
【0047】
また、除湿器6は、ハウジング21の内部の空気を乾燥空気と水分とに分離する。すなわち、除湿器6は、ハウジング21の内部の空気から水分を分離して乾燥空気を生成するため、温度上昇によって相対湿度を低下させるわけではない。したがって、大きな温度上昇を伴うことなく、絶対湿度を低下させることができることととなる。また、除湿器6は、ハウジング21の内部の空気を用いるため、その湿度を効果的に低下させることができる。
【0048】
また、除湿器6は、ファン66によりハウジング21の内部に乾燥空気A3を送風することから、ハウジング21の内部の空気が循環し、ハウジング21の内部全体の空気の湿度を効果的に低下させることができる。
【0049】
また、除湿器6は、ファン66により開口部であるラベル発行口22の近傍に向けて乾燥空気A3を送風する。これにより、ハウジング21の外部からの湿気を含む空気の流入を効果的に抑制することができる。さらに、ラベル発行口22の近傍には、印刷するための印刷ヘッド54やラベル用紙LPを搬送するためのプラテンローラ56等が近接しているため、これら部材への結露が効果的に防止され、ラベル印刷時や搬送時における障害の発生を一層効果的に防止することができる。
【0050】
さらに、除湿器6において分離された水分は、ドレン67に接続されたドレン管68に導かれるが、図3に示すようにドレン管68の他端はハウジング21の外部に配置される。したがって、ハウジング21の内部の空気から分離された水分は、ハウジング21の外部に排出されることとなる。これにより、分離された水分によりハウジング21の内部の空気の湿度が再度上昇することを防止することができる。
【0051】
<1−2.動作>
次に、以上のように構成されるラベルプリンタ1aの動作について説明する。
【0052】
まず、図3を参照しつつ、ラベルプリンタ1aの主たる動作内容について簡単に説明する。ラベルプリンタ1aはラベルLBを発行するにあたって、ラベルLBへの印刷内容、ラベル印刷部5に収容されたラベル用紙LP上のラベルLBのサイズ(以下、「ラベルサイズ」という。)、および、発行枚数等の設定をユーザに対して要求する。そして、設定された印刷内容に必要な面積と、設定されたラベルサイズとを比較し、印刷が可能であればラベルLBの発行を開始する。
【0053】
ラベルLBの発行を開始すると、ラベル用紙LPがプラテンローラ56等により搬送される。ラベル用紙LPは、まず、ラベル供給部51からガイドローラ53aまで搬送され、ガイドローラ53aによりその搬送方向が略水平方向に変更され、ラベルセンサ58の間を通過した後、印刷ヘッド54とプラテンローラ56との間に供給される。
【0054】
印刷ヘッド54とプラテンローラ56との間に供給されたラベル用紙LP上のラベルLBには、印刷ヘッド54により必要な情報の印刷が行われる。この印刷にあたっては、まず、ラベルセンサ58によって検出されたラベルLBの先端位置の情報に基づいて、当該ラベルLB上の印刷開始位置と印刷ヘッド54の発熱素子位置とが一致するように、プラテンローラ56によりラベル用紙LPが搬送される。また、ラベルLBの印刷中においては、ラベルLB上の印刷対象箇所と印刷ヘッド54の発熱素子位置とが一致するようにプラテンローラ56によりラベル用紙LPが搬送され、必要な情報がラベルLB上の所定位置に印刷される。
【0055】
このようにして印刷が完了したラベルLBは、剥離部材57によってラベル台紙LMから剥離された後、ラベル発行口22から送出される。その一方で、ラベルLBが剥離されラベル台紙LMのみとなったラベル用紙LPは、剥離部材57からガイドローラ53bまで搬送された後、ラベル台紙巻取部52にロール状に巻き取られることとなる。
【0056】
上記のラベルサイズの設定時においては、図8に示す画面がディスプレイ31に表示される。図に示すようにディスプレイ31には、ラベルLBの天地サイズ(搬送方向に沿った長さ)を入力するテキストボックスTb1、および、幅サイズ(搬送方向に直交する長さ)を入力するテキストボックスTb2がそれぞれ表示される。通常、これらのテキストボックスTb1,Tb2に、実際のラベルサイズ値をそれぞれ入力して、「OK」と表示された決定ボタンC6に触れることで、ラベルプリンタ1aの制御部4に対してラベルサイズを入力することができる。
【0057】
ところで、ラベルサイズが相違すると、ラベル用紙LP全体としての摩擦係数、巻き取り時の厚み、搬送時に必要なトルクなどが多少相違する。そして、このような相違により、ラベルサイズによっては、ラベル用紙LPの搬送量が設計値と相違する場合がある。その結果、ラベルLB上の印刷開始位置と印刷ヘッド54の発熱素子位置とを一致させる際に位置ずれが発生し、ラベルLB上の印刷内容が所定位置からずれることがある。
【0058】
これに対応するため、本実施の形態のラベルプリンタ1aでは、この印刷開始位置の補正を行うことができるようになっている。具体的には、図8に示すように、ディスプレイ31中に表示されるテキストボックスTb3に、印刷開始位置の補正量とする値を入力する。この値は、「+」あるいは「−」と表示された2つのボタンC1,C2に触れることで変更することもできる。そして、決定ボタンC6に触れることで、このテキストボックスTb3に入力された値は補正量として制御部4に入力され、実際のラベル印刷時に反映されることとなる。
【0059】
例えば、補正量が「+1」と設定された場合は、印刷開始位置と発熱素子位置とを一致させる際に、ラベル用紙LPが設計値より1mm分多く搬送されるように、ステッピングモータ56aの回転角度が制御部4により制御される。また逆に、「−1」と入力した場合は、ラベル用紙LPが設計値より1mm分少なく搬送される。このようにラベルプリンタ1aは、入力された補正量に応じて印刷開始時におけるラベル用紙LPの搬送量を調整するため、ラベルサイズに起因する位置ずれを補正することができることとなる。
【0060】
また、図8の画面において入力するラベルサイズ(天地サイズ、幅サイズ)および補正量の各値はラベル種類名と関連付けて、ラベルプリンタ1aに記憶させることも可能となっている。これらの値を記憶させる際には、まず、ディスプレイ31中に表示されるテキストボックスTb4にラベル種類名を入力し、次に、「登録」と表示された登録ボタンC3に触れる。これにより、ラベルサイズおよび補正量の各値とラベル種類名とが関連付けられて、SRAM44に記憶される。
【0061】
一方、このようにしてラベルプリンタ1aに記憶されたラベルサイズおよび補正量の各値を呼び出す際には、「呼出」と表示された呼出ボタンC4に触れる。これにより、登録されたラベル種類名が一覧となってディスプレイ31に表示され、ユーザは表示された一覧から任意のラベル種類名を選択する。そして、ラベル種類名がユーザにより選択されると、当該ラベル種類名に関連付けられたラベルサイズおよび補正量の各値がSRAM44から読み出され、図8の画面のテキストボックスTb1〜Tb3にそれぞれ反映される。
【0062】
このように、ラベルプリンタ1aではラベルサイズおよび補正量の各値はラベル種類名と関連付けて記憶することができるため、一度、各値を設定してしまえば、再度、同一サイズのラベル用紙LPを使用する際に、煩雑な操作を伴うことなくラベルサイズおよび補正量を設定することができる。またその結果、一度使用したラベル用紙LPに対する位置ずれを意識する必要が無くなり、位置ずれに起因する印刷異常などを回避することができる。
【0063】
また、上記においては、ラベルサイズをユーザが入力していたが、図8に示す「自動取得」と表示された自動取得ボタンC5に触れることで、ラベルプリンタ1aにラベルサイズを自動的に取得させることもできるようになっている。
【0064】
図9は、印刷ヘッド54およびラベルセンサ58近傍のラベル用紙LPの搬送経路を示す上面図であり、左側が装置前面側に相当する。以下、図9を参照しながら、ラベルサイズの取得について説明する。
【0065】
天地サイズL1の検出には、ラベルセンサ58が用いられる。すなわち、天地サイズを取得する際には、まず、ラベル用紙LPが搬送され、ラベルセンサ58の投光部および受光部58aによって、一のラベルLBの先端位置P1および後端位置P2が検出される。次に、先端位置P1および後端位置P2の検出間において、ステッピングモータ56aに与えた駆動パルス数からステッピングモータ56aの回転角度が取得される。そして、この回転角度に基づくラベル用紙LPの搬送量が天地サイズL1として取得されることとなる。
【0066】
一方、幅サイズL2の検出には、印刷ヘッド54が用いられる。本実施の形態の印刷ヘッド54には、ライン状に配列される複数の発熱素子HDのそれぞれに流れ込んだ電流値を検出する検出部(図示省略)が設けられている。
【0067】
幅サイズを検出する際には、まず、印刷ヘッド54の全発熱素子HDに対して同一条件で電圧が印可され、ラベルLBに対しての印刷が行われる。このとき、ラベルLBに対して印刷できた発熱素子H1と印刷できない発熱素子H2,H3とでは、流れ込んだ電流値が相違する。このことから、電流値の相違に基づいて、全発熱素子HDのうち印刷できた発熱素子H1のみが特定される。そして、特定された発熱素子H1の数と、発熱素子HD相互間の距離とに基づいて幅サイズL2が取得されることとなる。
【0068】
以上のようにして天地サイズL1および幅サイズL2が取得されると、その値が図8の画面中のテキストボックスTb1,Tb2にそれぞれ反映されることとなる。このように、ラベルプリンタ1aでは、天地サイズおよび幅サイズを取得することができるため、煩雑な操作を伴うことなくラベルサイズを設定することができる。
【0069】
なお、印刷ヘッド54ではなく、専用のセンサによって幅サイズを取得するようにしてもよい。図10は、幅サイズを取得するためのラベルセンサ90を設けた場合の印刷ヘッド54およびラベルセンサ58近傍のラベル用紙LPの搬送経路を示す上面図である。図10は、図9と同様に左側が装置前面側に相当する。
【0070】
ラベルセンサ90は、ラベルセンサ58と同様に、ラベル用紙LPの搬送経路を挟むようにして投光部および受光部92を備えている。また、ラベルセンサ90には、ラベル用紙LPの搬送経路に直交する方向に沿ってガイドレール91が設けられている。投光部および受光部92には、ローラと無端ベルトなどで構成される駆動機構(図示省略)が接続されており、このガイドレール91に沿って移動可能とされている。
【0071】
幅サイズを取得する際には、投光部および受光部92がガイドレール91に沿って移動され、投光部および受光部92により、一のラベルLBの幅方向の2つの端部位置P3,P4が検出される。そして、2つの端部位置P3,P4の検出間に、投光部および受光部92が移動された距離が、幅サイズとして取得されることとなる。
【0072】
印刷ヘッド54を用いて幅サイズを求める場合は少なくとも1枚のラベルLBに対して印刷を行う必要があったが、このように専用のセンサを用いて幅サイズを求める場合はラベルLBの印刷は必要ないため、ラベルLBを無駄に消費することがなくなることとなる。
【0073】
またところで、前述したようにラベル印刷時においてラベル用紙LPはプラテンローラ56により搬送されるが、経年劣化等によりプラテンローラ56の径が小さくなると、ラベル用紙LPの搬送量が減少し、印刷内容が短縮するなど印刷品質が低下することがある。本実施の形態のラベルプリンタ1aでは、このようなプラテンローラ56の径の変化を示す調整パラメータを取得し、この調整パラメータに応じてラベル印刷時の搬送量等を調整することで、印刷品質を保持するようにしている。
【0074】
調整パラメータは、ユーザの操作に応答して取得される。以下、この調整パラメータの取得動作について説明する。なお、ラベル印刷部5に収容されているラベル用紙LPのラベルLBの天地サイズは予め設定されているものとする。
【0075】
まず、ラベル用紙LPが搬送され、ラベルセンサ58により一のラベルLBの先端位置および後端位置が検出される。そして、ラベルLBの先端位置および後端位置の検出間において、ステッピングモータ56aに与えた駆動パルス数(以下、「検出パルス数」といい、記号DP1を用いる。)が取得される。
【0076】
次に、設定された天地サイズを搬送するときの理論上(設計上)の駆動パルス数(以下、「理論パルス数」といい、記号DP0を用いる。)が導出される。検出対象となったラベルLBの天地サイズがX(mm)であり、プラテンローラ56の設計上の径(直径)がR0(φ)であり、1駆動パルスあたりのステッピングモータ56aの回転角度がθ(°)であるとすると、理論パルス数DP0は次式(1)により導出される。
【0077】
DP0=(360・X)/(R0・θ・π) …(1)
次に、取得された検出パルス数DP1の理論パルス数DP0に対する割合PRが、次式(2)により求められる。
【0078】
PR=DP1/DP0 …(2)
ここで、プラテンローラ56の実際の径をR1(φ)(R1<R0)とすると、検出パルス数DP1は、上記式(1)と同様に、次式(3)により導出できるはずである。
【0079】
DP1=(360・X)/(R1・θ・π) …(3)
したがって、割合PRは、(R0/R1)に相当する。すなわち、割合PRは、プラテンローラ56の径の変化を示す値に相当し、調整パラメータとされる。なお、経年劣化等によりプラテンローラ56の径は小さくなることから、調整パラメータPRは1より大となる。
【0080】
次に、この調整パラメータPRを用いてのラベル印刷時における調整について説明する。
【0081】
ラベル用紙LPの搬送量は、ステッピングモータ56aに与える駆動パルス数およびプラテンローラ56の径によって決定される。プラテンローラ56の径が小さくなると搬送量が減少するため、必要な距離を搬送するためには、駆動パルス数を増加させる必要がある。
【0082】
したがって、ラベル一枚を搬送するにあたって、設計上必要な駆動パルス数をDP2とし、実際にステッピングモータ56aに与えるべき駆動パルス数をDP3とすると、駆動パルス数DP3は調整パラメータPRを用いて次式(4)によって決定される。なお、駆動パルス数DP2は、上記式(1)と同様の演算により求められる。
【0083】
DP3=DP2・PR …(4)
このようにして求められた駆動パルス数DP3がステッピングモータ56aに与えられると、ラベル用紙LPがラベル一枚の天地サイズと同一距離搬送されることとなる。すなわち、必要な距離を搬送するように、ラベル用紙LPの搬送量が調整されることとなる。
【0084】
その一方で、このようにしてラベル用紙LPの搬送量を調整した場合、駆動パルスの発生周期が同一であるとすると、ラベル一枚あたりの搬送時間は設計上の搬送時間よりも増加する。したがって、このままでは、印刷ヘッド54による印刷内容は設計上のものよりも短縮され、印刷品質は低下してしまう。これに対応するためラベルプリンタ1aでは、搬送時間の増加に応じて、印刷ヘッド54による印刷周期が長くなるように調整される。
【0085】
駆動パルスの発生周期が同一である場合、搬送時間は駆動パルス数に比例することから、実際のラベル一枚あたりの搬送時間は、設計上の搬送時間に調整パラメータPRを乗算した時間となる。このため、設計上における印刷周期をT0とし、実際に印刷ヘッド54が印刷すべき印刷周期をT1とすると、印刷周期T1は調整パラメータPRを用いて次式(5)によって決定される。
【0086】
T1=T0・PR …(5)
このようにして求められた印刷周期T1にて印刷ヘッド54が印刷を行うと、ラベルLBの適切な位置にて印刷すべき内容が印刷され、印刷品質が保持されることとなる。
【0087】
なお、この説明においては、搬送時間の増加に対応するため印刷周期を長くなるように調整していたが、搬送時間そのものが変化しないように、駆動パルスの発生周期を短くなるように調整してもよい。具体的には、ラベル用紙LPの搬送量の調整前における駆動パルスの発生周期をTT0とし、調整後において駆動パルスを発生すべき発生周期をTT1とすると、発生周期TT1は調整パラメータを用いて次式(6)によって決定される。
【0088】
TT1=TT0/PR …(6)
このようにして求められた発生周期TT1にて駆動パルスを発生させると、ステッピングモータ56aの回転速度が増加し、ラベル用紙LPの搬送量の調整前と調整後とにおいてラベル一枚あたりの搬送時間が同一とされる。これにより、印刷ヘッド54の印刷周期を変更することなく、ラベルLBの適切な位置に印刷すべき内容を印刷することができ、印刷品質を保持することができる。
【0089】
このようにラベルプリンタ1aは、ラベルLBの印刷に関して種々の機能を有し、これら機能は制御部4の制御にて実現される。また、ラベルLBの印刷時において、制御部4は除湿器6のON/OFF(能動化/非能動化)の切り替え制御も行うようになっている。
【0090】
図11は、除湿器6のON/OFFの切り替え制御の流れを示す図である。制御部4は、湿度計59から入力されるハウジング21の内部の空気の湿度を常時監視し、この湿度に応じて除湿器6のON/OFFを切り替えることとなる。なお、以下の説明の制御開始時点においては、除湿器6はOFFとされているものとする。
【0091】
まず、湿度計59から入力された湿度が予め定められた基準値である第1閾値以上であるか否かが判定される(ステップS1)。この第1閾値としては、例えば80(%RH)が用いられる。この判定において湿度が第1閾値未満であれば、再度ステップS1に戻り、湿度計59から入力される湿度の監視が継続される。
【0092】
一方、湿度が第1閾値以上となった場合は、ラベルの湿気の吸収や結露の危険性があると判断され、除湿器6がONとされる。これにより、除湿器6からハウジング21内部への乾燥空気の供給が開始され、ハウジング21の内部の空気の湿度が低下される(ステップS2)。
【0093】
除湿器6がONとされた以降においては、湿度計59から入力される湿度が予め定められた基準値である第2閾値未満であるか否かが判定される(ステップS3)。この第2閾値としては、第1閾値以下の数値が用いられ、例えば50(%RH)が用いられる。この判定において、湿度が第2閾値以上であれば、再度ステップS3に戻り、除湿器6がONのまま湿度の監視が継続される。
【0094】
一方、湿度が第2閾値未満となった場合は、ハウジング21の内部の空気の湿度はある程度低下したと判断され、除湿器6がOFFとされる。これにより、除湿器6からの乾燥空気の供給が停止される(ステップS4)。以降は、再度ステップS1に戻り、上記の制御が繰り返されることとなる。
【0095】
このように、ラベルプリンタ1aでは、ハウジング21の内部の空気の湿度に応じて、除湿器6の能動化/非能動化が切り替えられるため、必要なときのみハウジング21の内部の空気の湿度を低下させることができ、消費電力量を抑制することができることとなる。
【0096】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態においては、除湿器6によりハウジング21の内部に乾燥空気を供給していたが、本実施の形態では、外部装置から供給される乾燥空気をハウジング21の内部に導くようにしている。
【0097】
図12は、本実施の形態のラベルプリンタ1bが配置される食品生産工場の例を示す図である。図に示すように、食品生産工場100には、食品生産室101内に複数のラベルプリンタ1bが配置されている。
【0098】
また、食品生産室101外部には、乾燥空気供給装置7が配置されている。乾燥空気供給装置7は、ハニカム構造の除湿ロータ等を備えており、比較的大量の乾燥空気を生成することが可能となっている。生成された乾燥空気は、乾燥空気供給装置7に備えられたファンにより、各ラベルプリンタ1bとの間に配置される空気導通管71内に向けて送出されるようになっている。
【0099】
ラベルプリンタ1bの外観構成および電気的構成は図1および図2に示すものとほぼ同様であるが、ハウジング21には空気導通管71を接続するための導気口80が設けられる(図13参照)。
【0100】
図13は、本実施の形態のハウジング21の内部のラベル印刷部5の構成概要を示す側面図であり、左側が装置前面側に相当する。
【0101】
図に示すように、本実施の形態のラベル印刷部5の構成は、第1の実施の形態とほぼ同様であるが、湿度計59および除湿器6は設けられてはおらず、その替わりに、ハウジング21の上部に導気口80が設けられている。また、この導気口80のハウジング21内部側には導気管81が接続され、導気管81の下端には、下方に向けて送風可能にファン82が配置されている。
【0102】
導気口80のハウジング21外部側には空気導通管71が接続されるため、乾燥空気供給装置7から供給される乾燥空気は導気口80によりハウジング21の内部に導かれることとなる。そして、導気口80により導かれた乾燥空気は、導気管81内を通過した後、ファン82によってハウジング21の開口部であるラベル発行口22の近傍に向けて送風されることとなる。
【0103】
乾燥空気供給装置7からは、ハウジング21の外部(すなわち、食品生産室101内)の空気よりも乾燥した乾燥空気が供給される。そして、導気口80により、この乾燥空気をハウジング21の内部に導くため、第1の実施の形態と同様に、大きな温度上昇を伴うことなく、ハウジング21の内部の空気の湿度を低下させることができる。その結果、ラベルの湿気の吸収や、ラベルあるいは内部機器への結露の発生が防止され、これらを原因としたラベルの印刷異常などの種々の障害の発生を防止することができる。
【0104】
また、導気管81およびファン82により、乾燥空気がハウジングの内部に送風されるため、ハウジング21の内部の空気が循環し、ハウジング21の内部全体の空気の湿度を効果的に低下させることができる。また、導気管81およびファン82により開口部であるラベル発行口22の近傍に向けて乾燥空気を送風することから、ハウジング21の外部からの湿気を含む空気の流入を効果的に抑制することができる。さらに、印刷するための印刷ヘッド54やラベル用紙LPを搬送するためのプラテンローラ56等への結露が効果的に防止され、ラベル印刷時や搬送時における障害の発生を一層効果的に防止することができることとなる。
【0105】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0106】
例えば、上記第2実施の形態では、導気口80を開閉自在かつ開閉を制御可能なバルブを導気口80の近傍に設けるとともに、ハウジング21の内部の湿度を検出する湿度計を設け、湿度計により検出される湿度に基づいて、導気口80を開閉するようにしてもよい。このようにすれば、必要に応じて乾燥空気をハウジング21の内部に供給することができる。これにより、複数台配置されているラベルプリンタ1bのうち必要となるもののみの内部の湿度を、集中的に低下させることができる。
【0107】
また、上記実施の形態における除湿器6は、空気を冷却して除湿を行う冷却除湿方式が採用されていたが、例えば、空気の圧縮により除湿を行う圧縮除湿方式や、吸湿材に水分を吸着させる吸着除湿方式など、大きな温度上昇を伴うことなく除湿を行えるものであれば、どのような除湿方式を採用してもよい。
【0108】
また、上記実施の形態ではラベルを印刷して発行する機能を有するラベルプリンタについて説明を行ったが、例えば、ラベル貼付機能を有するラベルプリンタや、ラベルの貼付対象となる商品の計量機能を有するラベルプリンタであってもよい。少なくとも、複数のラベルを格納するハウジングと、ハウジングの内部に配置されラベルに所定の情報を印刷する印刷手段とを備えるラベルプリンタであれば、どのようなものであっても本発明にかかる技術を適用することが可能である。
【0109】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明によれば、乾燥空気をハウジングの内部に供給するため、温度上昇を伴うことなく、ハウジングの内部の空気の湿度を低下させることができる。その結果、ラベルの湿気の吸収や、ラベルあるいは内部機器への結露の発生が防止され、これらを原因としたラベルの印刷異常などの障害の発生を防止することができる。
【0110】
また、請求項2の発明によれば、ハウジングの内部の空気を乾燥空気と水分とに分離するため、ハウジングの内部の空気の絶対湿度を効果的に低下させることができる。
【0111】
また、請求項3の発明によれば、分離された水分をハウジングの外部に排出することで、ハウジングの内部の空気の湿度が上昇することを防止することができる。
【0112】
また、請求項4の発明によれば、湿度に応じて乾燥空気供給手段の能動化/非能動化を切り替えるため、必要なときのみハウジングの内部の空気の湿度を低下させることができ、消費電力量を抑制することができる。
【0113】
また、請求項5の発明によれば、乾燥空気を送風することでハウジングの内部の空気が循環するため、ハウジングの内部全体の空気の湿度を効果的に低下させることができる。
【0114】
また、請求項6の発明によれば、乾燥空気をハウジングの内部に導くことで、温度上昇を伴うことなく、ハウジングの内部の空気の湿度を低下させることができる。その結果、ラベルの湿気の吸収や、ラベルあるいは内部機器への結露の発生が防止され、これらを原因としたラベルの印刷異常などの障害の発生を防止することができる。
【0115】
また、請求項7の発明によれば、乾燥空気を送風することでハウジングの内部の空気が循環するため、ハウジングの内部全体の空気の湿度を効果的に低下させることができる。
【0116】
また、請求項8の発明によれば、ハウジングの開口部の近傍に向けて乾燥空気を送風することで、ハウジングの外部からの湿気を含む空気の流入を効果的に抑制することができる。
【0117】
また、請求項9の発明によれば、ラベル発行口の近傍には、印刷手段やラベルの搬送機構等が近接しているため、ラベルの結露を原因とするラベルの印刷時や搬送時における障害を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベルプリンタの斜視図である。
【図2】ラベルプリンタの電気的構成を機能ブロックとして示す図である。
【図3】第1の実施の形態のラベル印刷部の構成概要を示す側面図である。
【図4】印刷ヘッドおよびブラケットの配置を示す図である。
【図5】切断用部材およびブラケットの配置を示す図である。
【図6】ラベル用紙切断時の切断用部材およびブラケットの配置を示す図である。
【図7】除湿器の概略構成図である。
【図8】ラベルサイズ設定時におけるディスプレイの表示の一例を示す図である。
【図9】ラベルサイズを取得する手法を説明するための図である。
【図10】ラベルサイズを取得する手法を説明するための図である。
【図11】除湿器の能動化/非能動化を切り替えるための制御の流れを示す図である。
【図12】第2の実施の形態のラベルプリンタが配置される食品生産工場の例を示す図である。
【図13】第1の実施の形態のラベル印刷部の構成概要を示す側面図である。
【符号の説明】
1a ラベルプリンタ
5 ラベル印刷部
6 除湿器
21 ハウジング
22 ラベル発行口
59 湿度計
66 ファン
68 ドレン管
80 導気口
Claims (9)
- ラベルプリンタであって、
複数のラベルを格納するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、前記ラベルに所定の情報を印刷する印刷手段と、
乾燥空気を前記ハウジングの内部に供給する乾燥空気供給手段と、
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。 - 請求項1に記載のラベルプリンタにおいて、
前記乾燥空気供給手段は、
前記ハウジングの内部の空気を吸気する吸気手段と、
吸気された前記ハウジングの内部の空気を、前記乾燥空気と水分とに分離する分離手段と、
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。 - 請求項2に記載のラベルプリンタにおいて、
前記乾燥空気供給手段は、前記分離手段により分離された前記水分を前記ハウジングの外部に排出する排出手段、
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のラベルプリンタにおいて、
前記ハウジングの内部の空気の湿度を検出する検出手段と、
検出された前記湿度に応じて、前記乾燥空気供給手段の能動化/非能動化を切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載のラベルプリンタにおいて、
前記乾燥空気供給手段は、前記ハウジングの内部に前記乾燥空気を送風する送風手段、
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。 - ラベルプリンタであって、
複数のラベルを格納するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、前記ラベルに所定の情報を印刷する印刷手段と、
外部装置から供給される乾燥空気を前記ハウジングの内部に導く導気口、
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。 - 請求項6に記載のラベルプリンタにおいて、
前記導気口は、前記ハウジングの内部に前記乾燥空気を送風する送風手段、
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。 - 請求項5または7に記載のラベルプリンタにおいて、
前記送風手段は、前記ハウジングの内部と外部とを貫通する前記ハウジングの開口部の近傍に向けて前記乾燥空気を送風することを特徴とするラベルプリンタ。 - 請求項8に記載のラベルプリンタにおいて、
前記開口部は、前記ラベルを前記ハウジングの外部に送出するためのラベル発行口であることを特徴とするラベルプリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002258698A JP2004090586A (ja) | 2002-09-04 | 2002-09-04 | ラベルプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002258698A JP2004090586A (ja) | 2002-09-04 | 2002-09-04 | ラベルプリンタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004090586A true JP2004090586A (ja) | 2004-03-25 |
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ID=32063248
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002258698A Pending JP2004090586A (ja) | 2002-09-04 | 2002-09-04 | ラベルプリンタ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004090586A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006272843A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Sato Corp | サーマルプリンタ |
CN109228537A (zh) * | 2018-10-13 | 2019-01-18 | 安徽紫金鹏印务有限公司 | 一种防水标签补水配方及工艺 |
-
2002
- 2002-09-04 JP JP2002258698A patent/JP2004090586A/ja active Pending
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JP2006272843A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Sato Corp | サーマルプリンタ |
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