JP2004089753A - ガス分解装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電極を備え、筒体と軸の間のガスが流動する空間にみかけのプラズマ放電面を形成することで、ガスの分解効率が高く、また分解量を制御でき、圧力損失の少ないガス分解装置を提供すること。
【解決手段】第2の電極を兼ね備えた筒体1と、筒体1内に同軸上に配置された軸2と、軸2を回転する回転装置3(回転手段)と、筒体1と軸2の間で被処理物質であるガスが流動する空間4と、回転装置3により回転する軸2に空間4に突出して固設した第1の電極である回転電極5と、回転電極5と第2の電極を兼ね備えた筒体1に電位差を付与して空間4にプラズマ放電を発生する電源装置6とからなる。
【選択図】 図1
【解決手段】第2の電極を兼ね備えた筒体1と、筒体1内に同軸上に配置された軸2と、軸2を回転する回転装置3(回転手段)と、筒体1と軸2の間で被処理物質であるガスが流動する空間4と、回転装置3により回転する軸2に空間4に突出して固設した第1の電極である回転電極5と、回転電極5と第2の電極を兼ね備えた筒体1に電位差を付与して空間4にプラズマ放電を発生する電源装置6とからなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電極を備え、筒体と軸の間のガスが流動する空間にみかけのプラズマ放電面を形成し、ガスを分解するガス分解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の背景を述べると、大気環境改善技術として放電技術が、従来の触媒法や石灰法などの化学処理技術に加え研究されるようになった。始まりは20世紀初頭の電気集じん技術であり、電子あるいは一部イオンなどのエネルギーと分子のエネルギーが異なる非平衡状態が実現できることから従来の化学反応の促進、あるいは反応の高速化が期待できることからガス状汚染物質処理への応用が注目され、現実に研究されるようになった。プラズマの形態は、プラズマトーチやアークで代表される高温プラズマ、コロナ放電、無声放電、沿面放電などの低温プラズマに分けられる。高温プラズマを使った分解は、フロン分解などで実用化され、また、アルミナセラミックを利用した沿面放電型リアクタが高濃度オゾン発生に用いられている。放電による有害物質分解の実用化のための要件は、分解反応の高効率化、低コスト化、有害な副生成物がない、コンパクト化などであり、産学において盛んに技術開発が行われている。ここで、分解反応の高効率化のための方策のひとつは、被処理ガスを、電極間で放電によりプラズマ化した領域に確実に接触させることであり、電極間への整流作用を持つ誘電体の挿入、スパイラル流れの形成による滞留時間の長時間化などが実施されている。
【0003】
本発明に関する第1の従来技術として、特開2001−314751号公報に開示されたものがある。図9の第1の従来技術では、相対向する第1の金属平板型電極111及び第2の金属平板型電極112と、第1及び第2の電極111、112間に介装される誘電体113と前記第1及び第2の電極111、112間に高電圧を印加して、導入したガス114を電極111、112間のプラズマ分解領域115で分解するプラズマ反応器において、第1及び第2の電極111、112と誘電体113とをドーナツ円盤状にして積層配置すると共に、これらドーナツ円盤状の前記第1及び第2の電極111、112の間の隙間の内周側及び外周側にそれぞれ流通するガス流路を設けたものである。これにより、反応容器のコンパクト化と同時に容器内を通過するガスの流速分布を均一にすることができ、反応の効率化が図れる。
【0004】
また、本発明に関する第2の従来技術として、特開2001−314752号公報に開示されたものがある。図10の第2の従来技術では、相対向する第1の平板型電極121及び第2の平板型電極122と、これら第1及び第2の電極121、122間に介装される誘電体123と、第1及び第2の電極121、122間に電位差を付与する電位差付与手段とを備えてなり、第1及び第2の電極121、122間に高電圧を印加して導入したガスを電極121、122間のプラズマ分解領域で分解するプラズマ反応容器において、誘電体123の表面の両面またはいずれか一方に凸状部を複数形成するもので、反応容器内を通過するガス124の流速分布を均一とし、高流速部(空間中心部)のプラズマ中におけるガスの滞留時間を長くすることによって反応の高効率化が図れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
第1、2の従来技術は、プラズマ化された電極間を通過するガスの反応効率を上げるものであり、電極111、112、121、122間に整流および分散放電を可能とする形状の誘電体113、123を配するものである。誘電体113、123が電極111、112、121、122間に密に配され、且つ、流量を確保するためには、通常ガス供給圧力を上げる必要があり、例えばコンプレッサなどの昇圧装置が必要になる。また、実際には誘電体113、123を隙間無く詰め込むことは圧力損失の問題から困難であるが、仮にできたとしても放電は電極間を点や線で結ぶ放電プラズマであり、その間をすり抜けるガスは存在することから、効率を上げるためには、ガス流量に適合した電極長が不可欠となり、大きさに制約がある場合、流量も制約を受けることになる。
【0006】
本発明は、回転電極を備え、筒体と軸の間のガスが流動する空間にみかけのプラズマ放電面を形成することで、ガスの分解効率が高く、また分解量を制御でき、圧力損失の少ないガス分解装置を提供することを発明の課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、「筒体と、前記筒体内に同軸上に配置された軸と、前記筒体又は前記軸のいずれかを回転する回転手段と、前記筒体と前記軸の間で被処理物質であるガスが流動する空間と、前記回転手段により回転する前記筒体または前記軸のいずれかに前記空間に突出して固設した第1の電極である回転電極と、前記回転電極と相対向して他方の電極を成す前記筒体または前記軸に備えられた第2の電極と、前記回転電極と前記第2の電極に電位差を付与して前記空間にプラズマ放電を発生する電源装置とからなること」を特徴とする。
【0008】
請求項1の発明では、プラズマ放電が線(放電線)から面(みかけのプラズマ放電面)になるよう、回転電極(第1の電極)を回転させたことである。回転電極の回転数を増加すると、プラズマ放電が放電線からみかけのプラズマ放電面に移行し、そこを通過する被処理物質であるガスはプラズマ放電と確実に接触するため、プラズマ放電エネルギーにより誘起される化学反応により高効率で分解される。尚、本発明は低温プラズマまたは高温プラズマのいずれにも適用できる。
【0009】
また、上記課題を解決するための請求項2の発明は、「前記回転手段により回転する前記回転電極の回転速度によりガスの分解量を制御すること」を特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、回転電極の回転数によりガスの分解量を変化させることができる。したがって、ガスの分解処理量が多いときには、回転電極の回転数を増加することで対応できる。従来技術の特徴である、放電領域への誘電体を挿入することによる圧力損失上昇を防止できると同時に、装置の小型化が可能になる。
【0011】
また、上記課題を解決するための請求項3の発明は、「ガスを前記空間に送風するための送風ファンを備えること」を特徴とする。
【0012】
回転する筒体又は軸に送風能力をもつ送風ファンを取り付けることで、被処理物質であるガスの強制吸排気ができ、且つ、例えば自動車等の排ガス処理に適用する場合、従来技術では圧力損失が高いためエンジンの吸排気バランスが悪くなり運転能力低下を引き起こす恐れがあるが、回転電極に送風ファンを装備しエンジンに悪影響を与えない条件で稼動させることで、筒体と軸の間のガスが流動する空間の圧力損失を相殺することができる。
【0013】
また、上記課題を解決するための請求項4の発明は、「前記回転電極は送風ファンを兼ね備えること」を特徴とする。
【0014】
また、回転電極の電極形状をファンの形状とすることで、ガスの強制吸排気ができ、且つ、装置の小型化が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回転電極を有するガス分解装置を詳述する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の回転電極を有するガス分解装置である。第2の電極を兼ね備えた筒体1と、筒体1内に同軸上に配置された軸2と、軸2を回転する回転装置3(回転手段)と、筒体1と軸2の間で被処理物質であるガスが流動する空間4と、回転装置3により回転する軸2に空間4に突出して固設した第1の電極である回転電極5と、回転電極5と第2の電極を兼ね備えた筒体1に電位差を付与して空間4にプラズマ放電を発生する電源装置6とからなる。
【0017】
回転電極5は腐食しない導電性の合金等からなる針状の第1の電極である。針状以外にも棒状または筒状の形状がある。回転電極5は軸2に溶接等で固定され回転制御される。筒体1は、腐食しない導電性の合金等からなり、第2の電極を兼ね備える。第1実施形態においては、筒体1に第2の電極としての機能を具備させたが、第2の電極を別体として設けてもよい。また、第1の電極である回転電極5と第2の電極である筒体1の表面にTiO2などの触媒を担持させることで、電極表面での被処理物質であるガスの分解効果を高めることができる。電源装置6は回転電極5と第2の電極を兼ね備えた筒体1に電位差を付与して空間4にプラズマ放電を発生させるが、プラズマ放電の形態に応じて、直流または交流電圧が供給できる。本発明では、回転装置3はガス分解装置の内部に設けられるが、外部に直結並びにベルト等の伝達機構を介して設けてもよい。さらに、自動車の排ガスの分解においては、排ガスのエネルギーを利用して送風ファン9(図4)を回すことで、回転電極5を回転すための回転装置3の省略、及び省へエネルギー化が可能である。
【0018】
図2は、ガス分解装置のX−X断面における空間4での停止から高速回転までのプラズマ放電の状態である。(a)は停止状態で、回転電極5と筒体1(第2の電極)で線状の線放電7が発生する。しかし、被処理対象のガスが線放電7により分解される範囲は僅かであり処理効率は低い。(b)は回転電極5の低速回転状態で、線状の線放電7が空間4の全周に渡り発生する。(c)は回転電極5の高速回転状態で、空間4にみかけのプラズマ放電面8が形成される。このみかけのプラズマ放電面8の領域に、被処理物質のガスを導入することでプラズマ放電とガスが接触して、高効率にガスを分解処理できる。
【0019】
図3は、第1実施形態でアンモニアを分解した試験結果である。被処理物質のアンモニア10ppm(バランスガスは窒素)で、ガスの流量は10L/分である。また電源装置6の電圧は4kVで、周波数20kHzである。ガスの分解量(分解率)は回転電極5の回転数の増加と共に向上する。
【0020】
本発明の第1実施形態では、プラズマ放電が線放電7からみかけのプラズマ放電面8になることで、回転電極5の回転数の増加に伴い、そこを通過する被処理物質であるガスはプラズマ放電と確実に接触し、プラズマ放電エネルギーにより誘起される化学反応により高効率で分解される。尚、本発明は低温プラズマまたは高温プラズマのいずれにも適用できる。
【0021】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態で、第1実施形態との違いは軸2と一体の送風ファン9を設けたことである。その他の部分については第1実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0022】
第2実施形態では、被処理物質であるガスを強制送風する装置を別体で設けていない場合に有用である。回転装置3により回転する軸2に送風能力をもつ送風ファン9を取り付けることで、被処理物質であるガスの強制吸排気ができる。また、外部に別体で送風ファンを設ける場合と比べてガス分解装置をコンパクトにできる。
【0023】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態で、第2実施形態との違いは回転電極5及び送風ファン9の回転にモータ以外の動力を用いることである。その他の部分については第2実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0024】
自動車等排ガスを強制的に排出できる機構をもつ装置からの排ガスを処理する場合において、軸2に一体に付加された送風ファン9をエンジンからの排ガスのエネルギーを用いて回転することで、モータで回転させるためには必要であった電力を消費することなく回転電極5を回転できる。従来技術では誘電体による圧力損失が大きいためエンジンの吸排気バランスが悪くなり運転能力低下を引き起こす恐れがあるが、回転電極5に送風ファン9を装備しエンジンに悪影響を与えない条件で稼動させることで、空間4での圧力損失を相殺することができる。
【0025】
(第4実施形態)
図6は本発明の第4実施形態で、第1実施形態との違いは軸2に付加した回転電極5を複数段設けたことである。その他の部分については第1実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0026】
軸2に回転電極5a、5b、5cを各段に設けると、被処理物質であるガスは第1段のみかけのプラズマ放電面8aで分解され、残りのガスが第2段、第3段のみかけのプラズマ放電面8b、8cで分解される。したがって、複数段のみかけのプラズマ放電面8a、8b、8cを通過することで、ほぼ100%に近い被処理物質のガスを分解することが可能になる。
【0027】
(第5実施形態)
図7は本発明の第5実施形態で、第2実施形態との違いは送風ファンの機能を兼ね備えた回転電極5aを用いたことである。その他の部分については第2実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0028】
回転電極5aの形状を送付ファンの形状とすることで、送風ファンを別途設けなくてもガスの強制吸排気ができ、且つ、装置の小型化が可能になる。尚、この回転電極5aのファン形状、回転電極5aの数等の仕様は被処理物質であるガスの量により適合される。
【0029】
(第6実施形態)
図8は本発明の第6実施形態で、第1実施形態との違いは筒体1に固設した回転電極5を回転装置3により回転することである。その他の部分については第1実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0030】
筒体1aに固設した第1の電極の回転電極5は回転装置3により筒体1aと共に回転する。軸2は第2の電極の働きをする。第6実施形態は第1実施形態の軸2に固設した回転電極5を筒体1aに変更したのものであり、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0031】
【発明の効果】
本発明では、回転電極を備え、筒体と軸の間のガスが流動する空間にみかけのプラズマ放電面を形成することで、ガスの分解効率が高く、また分解量を制御でき、圧力損失の少ないガス分解装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の回転電極を有するガス分解装置である。
【図2】図2は、ガス分解装置のX−X断面における空間4での停止から高速回転までのプラズマ放電の状態である。
【図3】図3は、第1実施形態のアンモニアを分解した試験結果である。
【図4】図4は本発明の第2実施形態で、軸と一体の送風ファンを設けたものである。
【図5】図5は本発明の第3実施形態で、回転電極及び送風ファンの回転にモータ以外のエネルギーを使うものである。
【図6】図6は本発明の第4実施形態で、軸に付加した回転電極を複数段設けたものである。
【図7】図7は本発明の第5実施形態で、送風ファンの機能を兼ね備えた回転電極を用いたものである。
【図8】図8は本発明の第6実施形態で、筒体に固設した回転電極を回転装置により回転するものである。
【図9】図9は、第1の従来技術である。
【図10】図10は、第2の従来技術である。
【符号の説明】
1 筒体(第2の電極)
2 軸
3 回転装置(回転手段)
4 空間
5 回転電極(第1の電極)
6 電源装置
7 プラズマ放電(線放電)
8 みかけのプラズマ放電面
9 送風ファン
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電極を備え、筒体と軸の間のガスが流動する空間にみかけのプラズマ放電面を形成し、ガスを分解するガス分解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の背景を述べると、大気環境改善技術として放電技術が、従来の触媒法や石灰法などの化学処理技術に加え研究されるようになった。始まりは20世紀初頭の電気集じん技術であり、電子あるいは一部イオンなどのエネルギーと分子のエネルギーが異なる非平衡状態が実現できることから従来の化学反応の促進、あるいは反応の高速化が期待できることからガス状汚染物質処理への応用が注目され、現実に研究されるようになった。プラズマの形態は、プラズマトーチやアークで代表される高温プラズマ、コロナ放電、無声放電、沿面放電などの低温プラズマに分けられる。高温プラズマを使った分解は、フロン分解などで実用化され、また、アルミナセラミックを利用した沿面放電型リアクタが高濃度オゾン発生に用いられている。放電による有害物質分解の実用化のための要件は、分解反応の高効率化、低コスト化、有害な副生成物がない、コンパクト化などであり、産学において盛んに技術開発が行われている。ここで、分解反応の高効率化のための方策のひとつは、被処理ガスを、電極間で放電によりプラズマ化した領域に確実に接触させることであり、電極間への整流作用を持つ誘電体の挿入、スパイラル流れの形成による滞留時間の長時間化などが実施されている。
【0003】
本発明に関する第1の従来技術として、特開2001−314751号公報に開示されたものがある。図9の第1の従来技術では、相対向する第1の金属平板型電極111及び第2の金属平板型電極112と、第1及び第2の電極111、112間に介装される誘電体113と前記第1及び第2の電極111、112間に高電圧を印加して、導入したガス114を電極111、112間のプラズマ分解領域115で分解するプラズマ反応器において、第1及び第2の電極111、112と誘電体113とをドーナツ円盤状にして積層配置すると共に、これらドーナツ円盤状の前記第1及び第2の電極111、112の間の隙間の内周側及び外周側にそれぞれ流通するガス流路を設けたものである。これにより、反応容器のコンパクト化と同時に容器内を通過するガスの流速分布を均一にすることができ、反応の効率化が図れる。
【0004】
また、本発明に関する第2の従来技術として、特開2001−314752号公報に開示されたものがある。図10の第2の従来技術では、相対向する第1の平板型電極121及び第2の平板型電極122と、これら第1及び第2の電極121、122間に介装される誘電体123と、第1及び第2の電極121、122間に電位差を付与する電位差付与手段とを備えてなり、第1及び第2の電極121、122間に高電圧を印加して導入したガスを電極121、122間のプラズマ分解領域で分解するプラズマ反応容器において、誘電体123の表面の両面またはいずれか一方に凸状部を複数形成するもので、反応容器内を通過するガス124の流速分布を均一とし、高流速部(空間中心部)のプラズマ中におけるガスの滞留時間を長くすることによって反応の高効率化が図れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
第1、2の従来技術は、プラズマ化された電極間を通過するガスの反応効率を上げるものであり、電極111、112、121、122間に整流および分散放電を可能とする形状の誘電体113、123を配するものである。誘電体113、123が電極111、112、121、122間に密に配され、且つ、流量を確保するためには、通常ガス供給圧力を上げる必要があり、例えばコンプレッサなどの昇圧装置が必要になる。また、実際には誘電体113、123を隙間無く詰め込むことは圧力損失の問題から困難であるが、仮にできたとしても放電は電極間を点や線で結ぶ放電プラズマであり、その間をすり抜けるガスは存在することから、効率を上げるためには、ガス流量に適合した電極長が不可欠となり、大きさに制約がある場合、流量も制約を受けることになる。
【0006】
本発明は、回転電極を備え、筒体と軸の間のガスが流動する空間にみかけのプラズマ放電面を形成することで、ガスの分解効率が高く、また分解量を制御でき、圧力損失の少ないガス分解装置を提供することを発明の課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、「筒体と、前記筒体内に同軸上に配置された軸と、前記筒体又は前記軸のいずれかを回転する回転手段と、前記筒体と前記軸の間で被処理物質であるガスが流動する空間と、前記回転手段により回転する前記筒体または前記軸のいずれかに前記空間に突出して固設した第1の電極である回転電極と、前記回転電極と相対向して他方の電極を成す前記筒体または前記軸に備えられた第2の電極と、前記回転電極と前記第2の電極に電位差を付与して前記空間にプラズマ放電を発生する電源装置とからなること」を特徴とする。
【0008】
請求項1の発明では、プラズマ放電が線(放電線)から面(みかけのプラズマ放電面)になるよう、回転電極(第1の電極)を回転させたことである。回転電極の回転数を増加すると、プラズマ放電が放電線からみかけのプラズマ放電面に移行し、そこを通過する被処理物質であるガスはプラズマ放電と確実に接触するため、プラズマ放電エネルギーにより誘起される化学反応により高効率で分解される。尚、本発明は低温プラズマまたは高温プラズマのいずれにも適用できる。
【0009】
また、上記課題を解決するための請求項2の発明は、「前記回転手段により回転する前記回転電極の回転速度によりガスの分解量を制御すること」を特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、回転電極の回転数によりガスの分解量を変化させることができる。したがって、ガスの分解処理量が多いときには、回転電極の回転数を増加することで対応できる。従来技術の特徴である、放電領域への誘電体を挿入することによる圧力損失上昇を防止できると同時に、装置の小型化が可能になる。
【0011】
また、上記課題を解決するための請求項3の発明は、「ガスを前記空間に送風するための送風ファンを備えること」を特徴とする。
【0012】
回転する筒体又は軸に送風能力をもつ送風ファンを取り付けることで、被処理物質であるガスの強制吸排気ができ、且つ、例えば自動車等の排ガス処理に適用する場合、従来技術では圧力損失が高いためエンジンの吸排気バランスが悪くなり運転能力低下を引き起こす恐れがあるが、回転電極に送風ファンを装備しエンジンに悪影響を与えない条件で稼動させることで、筒体と軸の間のガスが流動する空間の圧力損失を相殺することができる。
【0013】
また、上記課題を解決するための請求項4の発明は、「前記回転電極は送風ファンを兼ね備えること」を特徴とする。
【0014】
また、回転電極の電極形状をファンの形状とすることで、ガスの強制吸排気ができ、且つ、装置の小型化が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回転電極を有するガス分解装置を詳述する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の回転電極を有するガス分解装置である。第2の電極を兼ね備えた筒体1と、筒体1内に同軸上に配置された軸2と、軸2を回転する回転装置3(回転手段)と、筒体1と軸2の間で被処理物質であるガスが流動する空間4と、回転装置3により回転する軸2に空間4に突出して固設した第1の電極である回転電極5と、回転電極5と第2の電極を兼ね備えた筒体1に電位差を付与して空間4にプラズマ放電を発生する電源装置6とからなる。
【0017】
回転電極5は腐食しない導電性の合金等からなる針状の第1の電極である。針状以外にも棒状または筒状の形状がある。回転電極5は軸2に溶接等で固定され回転制御される。筒体1は、腐食しない導電性の合金等からなり、第2の電極を兼ね備える。第1実施形態においては、筒体1に第2の電極としての機能を具備させたが、第2の電極を別体として設けてもよい。また、第1の電極である回転電極5と第2の電極である筒体1の表面にTiO2などの触媒を担持させることで、電極表面での被処理物質であるガスの分解効果を高めることができる。電源装置6は回転電極5と第2の電極を兼ね備えた筒体1に電位差を付与して空間4にプラズマ放電を発生させるが、プラズマ放電の形態に応じて、直流または交流電圧が供給できる。本発明では、回転装置3はガス分解装置の内部に設けられるが、外部に直結並びにベルト等の伝達機構を介して設けてもよい。さらに、自動車の排ガスの分解においては、排ガスのエネルギーを利用して送風ファン9(図4)を回すことで、回転電極5を回転すための回転装置3の省略、及び省へエネルギー化が可能である。
【0018】
図2は、ガス分解装置のX−X断面における空間4での停止から高速回転までのプラズマ放電の状態である。(a)は停止状態で、回転電極5と筒体1(第2の電極)で線状の線放電7が発生する。しかし、被処理対象のガスが線放電7により分解される範囲は僅かであり処理効率は低い。(b)は回転電極5の低速回転状態で、線状の線放電7が空間4の全周に渡り発生する。(c)は回転電極5の高速回転状態で、空間4にみかけのプラズマ放電面8が形成される。このみかけのプラズマ放電面8の領域に、被処理物質のガスを導入することでプラズマ放電とガスが接触して、高効率にガスを分解処理できる。
【0019】
図3は、第1実施形態でアンモニアを分解した試験結果である。被処理物質のアンモニア10ppm(バランスガスは窒素)で、ガスの流量は10L/分である。また電源装置6の電圧は4kVで、周波数20kHzである。ガスの分解量(分解率)は回転電極5の回転数の増加と共に向上する。
【0020】
本発明の第1実施形態では、プラズマ放電が線放電7からみかけのプラズマ放電面8になることで、回転電極5の回転数の増加に伴い、そこを通過する被処理物質であるガスはプラズマ放電と確実に接触し、プラズマ放電エネルギーにより誘起される化学反応により高効率で分解される。尚、本発明は低温プラズマまたは高温プラズマのいずれにも適用できる。
【0021】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態で、第1実施形態との違いは軸2と一体の送風ファン9を設けたことである。その他の部分については第1実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0022】
第2実施形態では、被処理物質であるガスを強制送風する装置を別体で設けていない場合に有用である。回転装置3により回転する軸2に送風能力をもつ送風ファン9を取り付けることで、被処理物質であるガスの強制吸排気ができる。また、外部に別体で送風ファンを設ける場合と比べてガス分解装置をコンパクトにできる。
【0023】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態で、第2実施形態との違いは回転電極5及び送風ファン9の回転にモータ以外の動力を用いることである。その他の部分については第2実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0024】
自動車等排ガスを強制的に排出できる機構をもつ装置からの排ガスを処理する場合において、軸2に一体に付加された送風ファン9をエンジンからの排ガスのエネルギーを用いて回転することで、モータで回転させるためには必要であった電力を消費することなく回転電極5を回転できる。従来技術では誘電体による圧力損失が大きいためエンジンの吸排気バランスが悪くなり運転能力低下を引き起こす恐れがあるが、回転電極5に送風ファン9を装備しエンジンに悪影響を与えない条件で稼動させることで、空間4での圧力損失を相殺することができる。
【0025】
(第4実施形態)
図6は本発明の第4実施形態で、第1実施形態との違いは軸2に付加した回転電極5を複数段設けたことである。その他の部分については第1実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0026】
軸2に回転電極5a、5b、5cを各段に設けると、被処理物質であるガスは第1段のみかけのプラズマ放電面8aで分解され、残りのガスが第2段、第3段のみかけのプラズマ放電面8b、8cで分解される。したがって、複数段のみかけのプラズマ放電面8a、8b、8cを通過することで、ほぼ100%に近い被処理物質のガスを分解することが可能になる。
【0027】
(第5実施形態)
図7は本発明の第5実施形態で、第2実施形態との違いは送風ファンの機能を兼ね備えた回転電極5aを用いたことである。その他の部分については第2実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0028】
回転電極5aの形状を送付ファンの形状とすることで、送風ファンを別途設けなくてもガスの強制吸排気ができ、且つ、装置の小型化が可能になる。尚、この回転電極5aのファン形状、回転電極5aの数等の仕様は被処理物質であるガスの量により適合される。
【0029】
(第6実施形態)
図8は本発明の第6実施形態で、第1実施形態との違いは筒体1に固設した回転電極5を回転装置3により回転することである。その他の部分については第1実施形態と同一であり、共通する部分については同一の符号を用いる。
【0030】
筒体1aに固設した第1の電極の回転電極5は回転装置3により筒体1aと共に回転する。軸2は第2の電極の働きをする。第6実施形態は第1実施形態の軸2に固設した回転電極5を筒体1aに変更したのものであり、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0031】
【発明の効果】
本発明では、回転電極を備え、筒体と軸の間のガスが流動する空間にみかけのプラズマ放電面を形成することで、ガスの分解効率が高く、また分解量を制御でき、圧力損失の少ないガス分解装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の回転電極を有するガス分解装置である。
【図2】図2は、ガス分解装置のX−X断面における空間4での停止から高速回転までのプラズマ放電の状態である。
【図3】図3は、第1実施形態のアンモニアを分解した試験結果である。
【図4】図4は本発明の第2実施形態で、軸と一体の送風ファンを設けたものである。
【図5】図5は本発明の第3実施形態で、回転電極及び送風ファンの回転にモータ以外のエネルギーを使うものである。
【図6】図6は本発明の第4実施形態で、軸に付加した回転電極を複数段設けたものである。
【図7】図7は本発明の第5実施形態で、送風ファンの機能を兼ね備えた回転電極を用いたものである。
【図8】図8は本発明の第6実施形態で、筒体に固設した回転電極を回転装置により回転するものである。
【図9】図9は、第1の従来技術である。
【図10】図10は、第2の従来技術である。
【符号の説明】
1 筒体(第2の電極)
2 軸
3 回転装置(回転手段)
4 空間
5 回転電極(第1の電極)
6 電源装置
7 プラズマ放電(線放電)
8 みかけのプラズマ放電面
9 送風ファン
Claims (4)
- 筒体と、前記筒体内に同軸上に配置された軸と、前記筒体又は前記軸のいずれかを回転する回転手段と、前記筒体と前記軸の間で被処理物質であるガスが流動する空間と、前記回転手段により回転する前記筒体または前記軸のいずれかに前記空間に突出して固設した第1の電極である回転電極と、前記回転電極と相対向して他方の電極を成す前記筒体または前記軸に備えられた第2の電極と、前記回転電極と前記第2の電極に電位差を付与して前記空間にプラズマ放電を発生する電源装置とからなること、を特徴とする回転電極を有するガス分解装置。
- 前記回転手段により回転する前記回転電極の回転速度により被処理物質であるガスの分解量を制御すること、を特徴とする請求項1に記載の回転電極を有するガス分解装置。
- ガスを前記空間に送風するための送風ファンを備えること、を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の回転電極を有するガス分解装置。
- 前記回転電極は送風ファンを兼ね備えること、を特徴とする請求項3に記載の回転電極を備えるガス分解装置。
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