JP2004088705A - 光ネットワークシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の通信端末を安価に信頼性高く接続でき、各通信端末に搭載されたメモリを安価に共有できる光ネットワークシステムを実現すること。
【解決手段】N(2以上の任意の整数)個の入力ポート及び出力ポートを有するN×Nアレイ導波路回折格子光合分波器101と、n(2以上でN以下の任意の整数)個の通信端末201〜208と、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器101と各通信端末201〜208とを接続する光導波路とからなり、一の通信端末から送信された情報信号光が他の通信端末を経由して当該一の通信端末に戻るようなリング状の伝送パスを形成するよう、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器101の入出力ポート間の波長の相関関係、各通信端末201〜208の情報信号光の波長、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器101の入力ポート及び出力ポートと各通信端末201〜208との接続関係を設定した。
【選択図】      図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アレイ導波路回折格子の波長ルーティング特性を利用して、複数の通信端末を安価に信頼性高く接続するとともに、各通信端末に搭載されたメモリを安価に共有する光ネットワークシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスの電子化や電子行政の発展に伴い、イントラネットや組織内のネットワークにおいて、各通信端末(ノード)間で情報を共有したり、特定の通信端末に情報を配信したり、あるいは各通信端末間で特定の情報を分散処理する要望が高まってきており、これを安価で容易に、しかも安定して実現する方法が望まれている。
【0003】
これを実現する方法としては、図1に示すように、各通信端末に搭載されたメモリをネットワーク上でシリアルに接続して共有メモリとして使用する方法が考えられる。図1において、5001は先頭フレーム、7001〜700nはブロックヘッダ8001〜800n及びブロック4001〜400nからなるノードブロック、6001は終端フレームであり、これらにより共有メモリフレームが構成される。
【0004】
ここで、通信端末を接続してネットワークを構成する方法として、図2に示すようなトークンリングに代表されるいわゆるリング状のネットワークシステムがある。図2において、3001〜300nはノードである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図2に示したトークンリング方式は、各通信端末に送受信トランシーバのみ配置し、全ての通信端末を順に連鎖的に光ファイバなどの光導波路で接続するだけで、転送処理によって安価に多くの通信端末を接続できるため、手軽に構成できるネットワークとして適している。
【0006】
この方式によれば、図1に示したように、接続された全ての通信端末が有するメモリのフレームを共有させることができ、全ての通信端末間の信号の配信、回覧、あるいは分散処理などが可能となる。
【0007】
しかしながら、光ファイバの断線や通信端末の故障などの障害が発生した場合、接続された他の全ての通信端末が影響を受けてしまうという欠点がある。さらに、1つの通信端末を同一リング内に追加しようとすると、ネットワーク全体を休止させる必要がある。
【0008】
また、リング状のネットワークにおいて、一箇所の通信障害に対し、反対回りの経路により障害を回避する方法が用いられてはいるものの、その障害回避システムが極めて大掛かりになるばかりか、伝送光ファイバの冗長化構成が不可欠という問題があった。さらに、トークンリングはリングが完結されていないと共有メモリネットワークとして機能しないため、これに代わる簡便で安定な光ネットワークシステムが望まれていた。
【0009】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、複数の通信端末を安価に信頼性高く接続でき、しかも各通信端末に搭載されたメモリを安価に共有できる光ネットワークシステムを実現することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の光ネットワークシステムは、
N(2以上の任意の整数)個の入力ポート及びN個の出力ポートを有し、一の入力ポートに入力された光はその波長に応じてそれぞれ異なる出力ポートから出力され、且つ一の出力ポートから出力される光の波長は入力ポート毎に異なるN×Nアレイ導波路回折格子光合分波器と、所定の波長の情報信号光を出力するとともに入力された情報信号光の情報をそのまま又はその一部を変更して前記所定の波長の情報信号光として出力するn(2以上でN以下の任意の整数)個の通信端末と、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポートと各通信端末とを接続する光ファイバなどの光導波路とからなり、n個の通信端末のうちの全てもしくは一部について、一の通信端末から送信された情報信号光が他の通信端末を経由して当該一の通信端末に戻るようなリング状の伝送パスを形成するよう、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポート間を結ぶ波長の相関関係、各通信端末の情報信号光の波長、並びにN×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポートと各通信端末との接続関係を設定したことを特徴とする。
【0011】
また、上記光ネットワークシステムにおいて、
n個の通信端末のうちの全てもしくは一部について、一の通信端末から送信された情報信号光が他の通信端末を経由して当該一の通信端末に戻るようなリング状の伝送パスを2経路以上形成するよう、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポート間を結ぶ波長の相関関係、各通信端末の2以上の情報信号光の波長、並びにN×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポートと各通信端末との接続関係を設定したことを特徴とする。
【0012】
また、上記いずれかの光ネットワークシステムにおいて、
各通信端末は、通信端末間のリンク確認用の制御信号光が情報信号光とは逆回りのリング状の伝送パスを形成するよう、制御信号光の出力波長を設定することを特徴とし、この際、各通信端末に入力される情報信号光の一部を分岐し、リンク確認用の制御信号光として送信する、あるいは情報信号光の先頭を未変調信号で構成し、各通信端末に入力される情報信号光の未変調部分を変調し、リンク確認用の制御信号光として送信することを特徴とする。
【0013】
また、これらの光ネットワークシステムにおいて、リンク確認用の制御信号光を受信できなくなった通信端末は、情報信号光の出力波長を、少なくとも情報信号光の伝送パス上の次の通信端末を飛び越えた通信端末に対応する波長に設定することを特徴とする。
【0014】
また、これらの光ネットワークシステムにおいて、
情報信号光の伝送パスによって各通信端末のメモリフレームを共有することを特徴とする。
【0015】
また、これらの光ネットワークシステムにおいて、
各通信端末の状態を監視及び制御するための管理装置を設けたことを特徴とする。
【0016】
さらには、この光ネットワークシステムにおいて、
管理装置から各通信端末を管理するための管理信号を、当該管理装置と各通信端末との間で、情報信号光もしくはこれに加えて制御信号光とは波長の異なる光信号により送受信する、あるいは情報信号光もしくはこれに加えて制御信号光を伝送する光導波路とは別の光導波路を介して送受信する、あるいは電気信号により送受信することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態では、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器(以下、N×N−AWG)の入力ポート及び出力ポートの数N、並びに通信端末の数nとして「8」を例にとって説明しているが、これに限定されるものでなく、Nは2以上の整数であれば良く、nは2以上でN以下の整数であれば良い。
【0018】
図3は本発明の光ネットワークシステムの第1の実施の形態を示すもので、同図(a)は全体構成、同図(b)はN×N−AWGにおける入力ポート及び出力ポート間の伝送パスの一例をそれぞれ示す。
【0019】
図3において、101はN×N(ここでは8×8)−AWGであり、8個の入力ポート301〜308及び8個の出力ポート401〜408を有し、一の入力ポートに入力された光はその波長に応じてそれぞれ異なる出力ポートから出力され、且つ一の出力ポートから出力される光の波長は入力ポート毎に異なる如くなっている。図4はN×N−AWG101における入力ポート及び出力ポート間を結ぶ波長の相関関係の一例を示すもので、同図(a)は使用波長に周回性のない場合、同図(b)は使用波長に周回性のある場合をそれぞれ示す。
【0020】
また、図3において、201〜208は通信端末であり、所定の波長の情報信号光を出力するとともに、入力された情報信号光の情報をそのまま又はその一部を変更して前記所定の波長の情報信号光として出力する如くなっている。
【0021】
各通信端末201〜208は、光ファイバなどの光導波路(図示せず)を介してN×N−AWG101の入力ポート301〜308及び出力ポート401〜408にそれぞれ接続、具体的には通信端末201は入力ポート301及び出力ポート401に接続され、通信端末202は入力ポート302及び出力ポート402に接続され、……、通信端末208は入力ポート308及び出力ポート408に接続されている。
【0022】
ここで、前述したN×N−AWG101における入力ポート及び出力ポート間の波長の相関関係、並びにN×N−AWG101の入力ポート及び出力ポートと各通信端末201〜208との接続関係を踏まえて、各通信端末201〜208の情報信号光の波長を適切に選択・設定すれば、一の通信端末から送信された情報信号光が他の通信端末を経由して当該一の通信端末に戻るようなリング状の伝送パスを形成することができる。
【0023】
具体的には、各通信端末201〜208の情報信号光の波長1301〜1308を、λ2,λ4,λ6,λ8,λ10,λ12,λ14,λ8(図4(a)の場合)もしくはλ2,λ4,λ6,λ8,λ2,λ4,λ6,λ8(図4(b)の場合)に設定すれば、通信端末(♯1)201からの情報信号光が通信端末(♯2)202に送出され、通信端末(♯2)202からの情報信号光が通信端末(♯3)203に送出され、……、通信端末(♯7)207からの情報信号光が通信端末(♯7)207に送出され、通信端末(♯8)208からの情報信号光が通信端末(♯1)201に送出され、結果として、♯1→♯2→♯3→♯4→♯5→♯6→♯7→♯8→♯1という経路のリング状の伝送パス501〜508を形成することができる。
【0024】
この考え方は、前述したように、N×N−AWGに使用する波長に周回性がある場合及びない場合のいずれでも有効であり、波長の相関関係に沿って波長を選択すれば通信端末を結ぶ伝送パスを形成することができる。
【0025】
また、ここでは♯1→♯2→♯3→♯4→♯5→♯6→♯7→♯8→♯1という経路の伝送パスの例を示したが、送受信する通信端末の順番は特に意味はなく、このように通信端末を結ぶ波長を選択すれば良い。例えば、♯2→♯5→♯6→♯8→♯7→♯4→♯3→♯1→♯2でも、図4に示した波長の相関関係に沿って波長を選択・設定すれば良い。
【0026】
一方、上記の例では、伝送パスが♯1→♯2→♯3→♯4→♯5→♯6→♯7→♯8→♯1という1経路の場合を示したが、情報信号光の波長の設定によっては、複数の経路も同時に設定できる。
【0027】
図5は本発明の光ネットワークシステムの第2の実施の形態を示すもので、同図(a)は経路が1つの場合(第1の実施の形態の場合と同一)、同図(b)は経路が3つの場合をそれぞれ示す。
【0028】
即ち、図5(b)に示すように、♯1→♯2→♯3→♯4→♯5→♯6→♯7→♯8→♯1という経路の伝送パスの外、♯1→♯3→♯5→♯7→♯1という経路及び♯2→♯4→♯6→♯8→♯2という経路の新たな伝送パスを形成し、全体のパスを3倍に増加させることも可能となる。
【0029】
図6は第2の実施の形態のN×N−AWG101における入力ポート及び出力ポート間の伝送パスの例を示すもので、同図(a)は図5(a)に対応した例、同図(b)は図5(b)に対応した例をそれぞれ示す。
【0030】
また、図7は図5(b)に示した第2の実施の形態における各通信端末201〜208の情報信号光の波長1301〜1316の設定例を示すもので、同図(a)は使用波長に周回性のない場合、同図(b)は使用波長に周回性のある場合をそれぞれ示す。例えば、通信端末(♯1)201の情報信号光の波長をλ2及びλ3に設定すれば、通信端末(♯1)201からの情報信号光を通信端末(♯2)202及び通信端末(♯3)203に送信できることになる。
【0031】
次に、本光ネットワークシステムにおける障害回避の仕組みについて説明する。
【0032】
上記のように、情報信号光が一方向にのみ送信されていく光ネットワークシステムにおいて、特定の通信端末に障害が発生した場合、情報信号光が当該情報信号光を送信した通信端末に戻ってこない時、初めて本光ネットワーク上のどこかで障害が発生したことが判明する。しかし、その場合でも、どの部分で障害が発生したか判定できないため、通常、何らかの通信端末間のリンク確認用の制御信号光が必要となる場合が多い。
【0033】
図8は本発明の光ネットワークシステムの第3の実施の形態を示すもので、同図(a)は全体構成、同図(b)はN×N−AWGにおける入力ポート及び出力ポート間の伝送パスの一例をそれぞれ示す。
【0034】
ここで、各通信端末201〜208は制御信号光の出力波長を適切に選択・設定することにより、情報信号光とは逆回りの、一の通信端末から送信された制御信号光が他の通信端末を経由して当該一の通信端末に戻るようなリング状の伝送パス601〜608を形成することができる。
【0035】
図9は第3の実施の形態における各通信端末の情報信号光及び制御信号光の波長の設定例を示すもので、同図(a)は使用波長に周回性のない場合、同図(b)は使用波長に周回性のある場合をそれぞれ示す。
【0036】
即ち、各通信端末201〜208の情報信号光の波長1301〜1308については、第1の実施の形態の場合と同様に設定することにより、♯1→♯2→♯3→♯4→♯5→♯6→♯7→♯8→♯1という経路の伝送パス501〜508を形成することができ、一方、各通信端末201〜208の制御信号光の波長1401〜1408については、λ8,λ2,λ4,λ6,λ8,λ10,λ12,λ14(図9(a)の場合)もしくはλ8,λ2,λ4,λ6,λ8,λ2,λ4,λ6(図9(b)の場合)に設定すれば、♯1→♯8→♯7→♯6→♯5→♯4→♯3→♯2→♯1という逆方向のリング状の伝送パス601〜608を形成することができる。
【0037】
この場合、第1の実施の形態でも述べたように、情報信号光の伝送パスの経路は必ずしも♯1→♯2→♯3→♯4→♯5→♯6→♯7→♯8→♯1とはかぎらず、所望の順番で通信端末を通過するように波長を選択・設定することができ、制御信号光もその伝送パスとは逆方向となるように、図9に基づいて波長を選択・設定すれば良い。
【0038】
図10は各通信端末における制御信号光の送受信に関わる構成の一例をN×N−AWGとともに示すもので、ここでは情報信号光と制御信号光とを独立に送信する場合の例を示す。図中、1601〜1608は光分波器、1701〜1708は光合波器、1901〜1908は情報信号光受信器、2001〜2008は制御信号光受信器、2301〜2308は制御信号光送信器である。
【0039】
前記構成において、制御信号光送信器2301〜2308で発生した制御信号光は、光合波器1701〜1708で情報信号光と合波され、N×N−AWG101の各入力ポートへ入力され、ここでそれぞれの波長に応じた出力ポートへ伝送される。出力ポートから出力された情報信号光及び制御信号光は、光分波器1601〜1608で分波され、情報信号光受信器1901〜1908及び制御信号光受信器2001〜2008で受信される。
【0040】
ところで、図9に示した波長の相関関係を参照すれば明らかなように、同一の通信端末間で送受信される、情報信号光の波長1301〜1308と逆回りの制御信号光の波長1401〜1408とは同一波長、例えば通信端末(♯1)201から通信端末(♯2)202への情報信号光の波長と通信端末(♯2)202から通信端末(♯1)201への制御信号光の波長とは同一(λ2)である。従って、各通信端末に入力される情報信号光の一部を分岐し、これをリンク確認用の制御信号光として送信することも可能である。
【0041】
図11は各通信端末における制御信号光の送受信に関わる構成の他の例をN×N−AWGとともに示すもので、ここでは情報信号光の一部を分岐し、制御信号光として送信する場合の例を示す。図中、701〜708は戻し光用パス、1801〜1808は光分流器であり、その他の構成は図10の場合と同様である。
【0042】
前記構成において、光分波器1601〜1608で分波された情報信号光の一部を光分流器1801〜1808で分岐し、これを戻し光用パス701〜708を介して光合波器1701〜1708に入力することにより制御信号光として使用する。この場合、情報信号光の伝送方向における次の通信端末から逆方向の制御信号光が来ない時は、当該次の通信端末もしくはその間の光導波路の障害であると判断できるわけである。
【0043】
さらに、情報信号光の一部を分岐して制御信号光とする場合にも、いくつかの方法が考えられる。
【0044】
図12は各通信端末における制御信号光の送受信に関わる構成のさらに他の例をN×N−AWGとともに示すもので、ここでは図11の例と同様に情報信号光の一部を単純に分岐して入力ポートに戻す場合の例を示す。
【0045】
前記構成において、例えば通信端末(♯1)201の共有メモリフレーム801の情報信号光は通信端末(♯2)202に送出され、当該通信端末(♯2)202にてその一部が制御信号光として戻され、通信端末(♯1)201に送出され、制御信号光受信器2001に受信される。同様に、通信端末(♯8)208の共有メモリフレーム808の情報信号光も、通信端末(♯1)201に送出され、当該通信端末(♯1)201にてその一部が制御信号光として戻され、通信端末(♯8)208に送出され、制御信号光受信器2008に受信される。
【0046】
図13は各通信端末における制御信号光の送受信に関わる構成のさらに他の例をN×N−AWGとともに示すもので、ここでは予め情報信号光の先頭に未変調の直流成分を付加しておき、通信端末の状態などを反映させて変調して逆回りに送信する場合の例を示す。図中、図中、1101〜1108は光変調器、2101〜2108は逆回り情報信号光受信器、2201〜2208は逆回り情報信号光であり、その他の構成は図10の場合と同様である。
【0047】
前記構成において、例えば通信端末(♯1)201の共有メモリフレーム901の情報信号光は通信端末(♯2)202に送出され、その先頭の未変調部分が当該通信端末(♯2)202の光分流器1802で分岐され、光変調器1802で変調されてリンク確認用の逆回り情報信号光2201として戻され、通信端末(♯1)201に送出され、逆回り情報信号光受信器2101に受信される。この形態では、図11及び図12の例と同様に、情報信号光の伝送方向における次の通信端末から逆回りの信号光が来ない時は当該次の通信端末もしくはその間の光導波路の障害であると判断できるとともに、逆回りの信号光から当該次の通信端末の状態などに関する情報を得ることができる。
【0048】
いずれにせよ、上記制御信号光や逆回り情報信号光によって通信端末や光ファイバなどの光導波路の障害が判明した場合、その障害箇所をスキップすることが可能となる。
【0049】
図14は前述した第1の実施の形態において障害が発生した場合のようすを示すもので、同図(a)は全体構成、同図(b)はN×N−AWGにおける入力ポート及び出力ポート間の伝送パスの一例をそれぞれ示す。
【0050】
通信端末や光導波路に障害が発生すると、情報信号光の伝送方向において当該障害が発生した通信端末もしくは光導波路より以前の通信端末はリンク確認用の制御信号光を受信できなくなる。この際、制御信号光を受信できなくなった通信端末は、情報信号光の出力波長を、少なくとも情報信号光の伝送パス上の次の通信端末を飛び越えた通信端末に対応する波長に設定する。
【0051】
例えば、通信端末(♯2)202で障害が発生した場合、通信端末(♯1)201は、情報信号光を通信端末(♯2)202の次の通信端末(♯3)203に送信するような波長、即ちλ3で送出してやれば、障害時スキップパス1201により当該障害通信端末(♯2)202をスキップした伝送パス♯1→♯3→♯4→♯5→♯6→♯7→♯8→♯1を容易に形成できることになる。
【0052】
図15は障害が発生した場合における各通信端末の情報信号光及び制御信号光の波長の設定例を示すもので、同図(a)は使用波長に周回性のない場合、同図(b)は使用波長に周回性のある場合をそれぞれ示す。図中、1501〜1508は障害時のスキップ波長であるが、これらの波長(同図(a)の場合はλ3〜λ9、同図(b)の場合はλ3〜λ1)は通信端末♯2〜♯1(もしくはその光導波路)のいずれか1つに障害が発生した場合にそれぞれ単独で変更される波長を示しており、1つの障害発生時に全ての波長を同時に変更するという意味ではない。
【0053】
なお、この場合も、上記実施の形態の場合と同様、N×N−AWGに使用する波長に周回性がある場合及びない場合のいずれでも効果は同様であり、いずれにせよ、図15に沿って波長を設定すれば良い。
【0054】
図16は各通信端末における障害回避に関わる構成の一例をN×N−AWGとともに示すものである。図中、2401〜2408は多波長光送信器であり、それぞれ各通信端末の本来の情報信号光の波長に対応する光源とともにスキップ波長に相当する波長の光源を備え、障害発生時に、情報信号光の波長を本来の波長からスキップ波長に変化させる如くなっている。なお、その他の構成は図11又は図12の場合と同様である。
【0055】
図17は各通信端末における障害回避に関わる構成の他の例をN×N−AWGとともに示すものである。図中、2501〜2508は可変波長光送信器であり、それぞれ波長を各通信端末の本来の情報信号光の波長もしくはスキップ波長に変化させる光源を備え、障害発生時に、情報信号光の波長を本来の波長からスキップ波長に変化させる如くなっている。なお、その他の構成は図11又は図12の場合と同様である。
【0056】
また、ここでは障害が発生した通信端末(図14の例では通信端末(♯2)202)をスキップし、その次の通信端末(図14の例では通信端末(♯3)203)に情報信号光を送信する例を示したが、障害が発生した時点で、再度、光ネットワーク全体の伝送パスを設定し直しても良い。例えば、障害が発生した通信端末(♯2)202を含まない♯1→♯6→♯4→♯3→♯8→♯5→♯7→♯1などの経路の伝送パスも、情報信号光の波長の変更により容易に再設定可能である。
【0057】
従って、上記のように、本光ネットワークシステムでは、光ファイバなどの光導波路の冗長構成をとる必要もなく、簡便に障害耐性に優れた安定な光ネットワークシステムを構築できることになる。また、このネットワークに収容できる通信端末の規模はAWGのポート数によって律則され、100ノード以上の大規模ネットワークに対応できる。
【0058】
さらに、本発明では、本光ネットワークシステムを利用して、各通信端末に配置されたメモリを結合させ、共有メモリシステムを形成することができる。このシステムではメモリフレームを直接共有するため、通信プロトコルに依存せず、安定な情報共有ができる。また、このネットワークは、フレームの衝突がなく安定にデータの共有ができ、障害が発生した場合でも、冗長化構成を取る必要がなく、簡便にその障害を回避することができるという特徴がある。
【0059】
図18は本発明の光ネットワークシステムによって接続された通信端末のメモリを共有した共有メモリフレームの一例を示すもので、同図(a)は経路が1系統の場合、同図(b)は経路が3系統の場合をそれぞれ示す。
【0060】
第1の実施の形態に代表されるように、伝送パスが1経路の場合、同図(a)に示すように、メモリフレームは8個の通信端末分に割り振られた共有メモリフレームを形成する。
【0061】
これに対して、第2の実施の形態に代表されるように、伝送パスが複数経路(この例では♯1→♯2→♯3→♯4→♯5→♯6→♯7→♯8→♯1、♯1→♯3→♯5→♯7→♯1、♯2→♯4→♯6→♯8→♯2の合計3経路)設定されている場合、同図(b)に示すように、共有メモリフレームも増加し、1つの通信端末に割り振られる平均メモリブロック4001〜4008の量は3倍に増加する。ここで平均とした理由は、この各通信端末に割り振られるメモリブロック量が予め設定可能なためである。
【0062】
このように、伝送パスの経路を複数配置することにより、メモリブロックの量がそれに応じて増加するため、通信端末間で共有できるメモリフレームを自由自在に変化させることが可能となる。
【0063】
図19に本発明を含む種々の方式による光ネットワークシステムの特長を比較して示す。
【0064】
また、図20は本発明の光ネットワークシステムによる通信端末のグルーピングの一例を示すもので、同図(a)は全員が同じ情報を共有する場合(1グループの場合)、同図(b)は2つのグループに分割した場合をそれぞれ示す。
【0065】
本発明の光ネットワークシステムを用いれば、接続された通信端末をいくつかのグループ、例えば図20の(b)ではグループa及びグループbの2つに分けて接続することも可能となり、使用者に応じて、あるいは重要度に応じてグルーピングが可能となる。なお、3つ以上のグループに分けることが可能であることは言うまでもない。
【0066】
図21は本発明の光ネットワークシステムの第4の実施の形態を示すもので、ここでは第1の実施の形態において各通信端末の状態を監視及び制御するための管理装置を設けた例を示す。
【0067】
即ち、図中、9001は管理装置であり、各通信端末201〜208との間で管理信号9101〜9108を送受信することにより、各通信端末201〜208の情報信号光の送受信状態、ネットワークへの加入や離脱、グルーピング、障害発生時の回避制御などを行う。
【0068】
図22は各通信端末における管理信号の送受信に関わる構成の一例をN×N−AWGとともに示すもので、ここでは管理信号を情報信号光とは波長の異なる光信号(例えば、情報信号光の波長は1.5μm、管理信号光の波長は1.3μm)により送受信するようになした例を示す。図中、1609〜1616は光分波器、1709〜1716は光合波器、9201〜9208は管理信号光送信器、9301〜9308は前述した多波長光送信器又は可変波長光送信器からなる情報信号光送信器、9401〜9408は管理信号光受信器、9801〜9816は光導波路である。
【0069】
前記構成において、管理信号光送信器9201〜9208で発生した波長1.3μmの管理信号光及び情報信号光送信器9301〜9308で発生した波長1.5μmの情報信号光は、光合波器1701〜1708で合波され、光導波路9801〜9808を介して伝送される。合波され、伝送された管理信号光及び情報信号光は、N×N−AWG101へ入力される前に光分波器1601〜1608によって分波され、管理信号光は管理装置9001へ入力され、情報信号光はN×N−AWG101の各入力ポートへ入力される。
【0070】
管理装置9001では、管理信号光に反映された通信端末の管理情報に基づき、当該通信端末のネットワークへの加入や離脱、グルーピング、障害発生時の回避制御などの管理情報を波長1.3μmの管理信号光として各通信端末に向けて送信する。これらの管理信号光は、光合波器1709〜1716で再びN×N−AWG101からの波長1.5μmの情報信号光と合波され、光導波路9809〜9816を介して各通信端末へ伝送され、光分波器1609〜1616で分波され、情報信号光受信器1901〜1908及び管理信号光受信器9401〜9408で受信される。
【0071】
なお、管理信号光の波長としては、情報信号光もしくはこれに加えて制御信号光と合波及び分波できる波長であれば、どのような波長を選択しても良い。
【0072】
図23は各通信端末及び管理装置における管理信号の送受信に関わる構成の詳細をN×N−AWGとともに示すもので、ここではN=n=4とした場合の構成を示す。図中、1809〜1812は光分流器、9002は管理装置用送受信装置、9209〜9212は管理装置の管理信号光送信器、9409〜9412は管理装置の管理信号光受信器、9701〜9704はモニタ光受信器、9911〜9914は通信端末の送受信部である。
【0073】
前記構成において、管理装置用送受信装置9002では、各通信端末の送受信部9911〜9914と同様な管理信号光送信器9209〜9212及び管理信号光受信器9409〜9412により管理信号光の送受信を行う。また、各通信端末の送受信部9911〜9914では、情報信号光送信器9301〜9304で発生した情報信号光の一部を光分流器1809〜1812で分流し、モニタ光受信器9701〜9704で受信して、その状態をモニタする如くなっている。
【0074】
図24は各通信端末における管理信号の送受信に関わる構成の他の例をN×N−AWGとともに示すもので、ここでは管理信号を情報信号光の光導波路とは別の光導波路を介して送受信するようになした例を示す。図中、9501〜9516は光導波路9801〜9816とは別の光導波路である。
【0075】
前記構成において、管理信号光送信器9201〜9208で発生した管理信号光は、情報信号光とは別に、光導波路9501〜9508を介して伝送され、管理装置9001へ入力される。前記同様にして、管理装置9001から各通信端末に向けて送信された管理信号光は、光導波路9509〜9516を介して各通信端末へ伝送され、管理信号光受信器9401〜9408で受信される。
【0076】
なお、この時、管理信号光送信器9201〜9208からの管理信号光の波長は、情報信号光送信器9301〜9308からの情報信号光の波長と同じで良い。また、管理信号を光導波路でなく、電気信号線を介して電気信号によって送受信するようになしても良い。
【0077】
また、第4の実施の形態では、第1の実施の形態に管理装置を設けた例を示したが、第2あるいは第3の実施の形態に管理装置を設けても良いことは言うまでもない。
【0078】
また、これまでの説明では、各通信端末がそれぞれ共有すべきメモリと、各種の信号光の送信器及び受信器(あるいはこれに加えて光合波器、光分波器、光分流器など)とを備えている場合を示したが、各通信端末のこれらの部分のみを一箇所、例えばN×N−AWG付近に集中させて配置し、これらと各通信端末とをさらに別の光信号又は電気信号の伝送路で接続して各種の信号をやりとりするように構成することも可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の通信端末(ノード)を安価に信頼性高く接続でき、各通信端末(ノード)のメモリ共有を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】共有メモリフレームの一例を示す説明図
【図2】トークンリング方式による光ネットワークシステムの一例を示す構成図
【図3】本発明の光ネットワークシステムの第1の実施の形態を示す構成図
【図4】N×N−AWGにおける入力ポート及び出力ポート間を結ぶ波長の相関関係の一例を示す説明図
【図5】本発明の光ネットワークシステムの第2の実施の形態を示す構成図
【図6】第2の実施の形態のN×N−AWGにおける入力ポート及び出力ポート間の伝送パスの例を示す説明図
【図7】第2の実施の形態における各通信端末の情報信号光の波長の設定例を示す説明図
【図8】本発明の光ネットワークシステムの第3の実施の形態を示す構成図
【図9】第3の実施の形態における各通信端末の情報信号光及び制御信号光の波長の設定例を示す説明図
【図10】各通信端末における制御信号光の送受信に関わる構成の一例を示す説明図
【図11】各通信端末における制御信号光の送受信に関わる構成の他の例を示す説明図
【図12】各通信端末における制御信号光の送受信に関わる構成のさらに他の例を示す説明図
【図13】各通信端末における制御信号光の送受信に関わる構成のさらに他の例を示す説明図
【図14】本発明の光ネットワークシステムにおいて障害が発生した場合のようすを示す構成図
【図15】障害が発生した場合における各通信端末の情報信号光及び制御信号光の波長の設定例を示す説明図
【図16】各通信端末における障害回避に関わる構成の一例を示す説明図
【図17】各通信端末における障害回避に関わる構成の他の例を示す説明図
【図18】本発明の光ネットワークシステムによる共有メモリフレームの一例を示す説明図
【図19】種々の光ネットワークシステムの特長を比較して示す説明図
【図20】本発明の光ネットワークシステムによる通信端末のグルーピングの一例を示す説明図
【図21】本発明の光ネットワークシステムの第4の実施の形態を示す構成図
【図22】各通信端末における管理信号の送受信に関わる構成の一例を示す説明図
【図23】各通信端末及び管理装置における管理信号の送受信に関わる構成の詳細を示す説明図
【図24】各通信端末における管理信号の送受信に関わる構成の他の例を示す説明図
【符号の説明】
101:N×N−AWG、201〜208:通信端末、301〜308:N×N−AWGの入力ポート、401〜408:N×N−AWGの出力ポート、501〜516:情報信号光(もしくはその伝送パス)、601〜608:制御信号光(もしくはその伝送パス)、701〜708:戻し光用パス、801,808,901:共有メモリフレーム、1101〜1108:光変調器、1201:障害時スキップパス、1301〜1308:情報信号光波長、1401〜1408:制御信号光波長、1501〜1508:障害時のスキップ波長、1601〜1616:光分波器、1701〜1716:光合波器、1801〜1812:光分流器、1901〜1908:情報信号光受信器、2001〜2008:制御信号光受信器、2101〜2108:逆回り情報信号光受信器、2201〜2208:逆回り情報信号光、2301〜2308:制御信号光送信器、2401〜2408:多波長光送信器、2501〜2508:可変波長光送信器、3001〜300n:ノード、4001〜4008:ブロック、5001:先頭フレーム、6001:終端フレーム、7001〜700n:ノードブロック、8001〜8008:ブロックヘッダ、9001:管理装置、9002:管理装置用送受信装置、9101〜9108:管理信号(もしくはその伝送路)、9201〜9212:管理信号光送信器、9301〜9308:情報信号光送信器、9401〜9412:管理信号光受信器、9701〜9704:モニタ光受信器、9501〜9516,9801〜9816:光導波路、9911〜9914:通信端末の送受信部。

Claims (9)

  1. N(2以上の任意の整数)個の入力ポート及びN個の出力ポートを有し、一の入力ポートに入力された光はその波長に応じてそれぞれ異なる出力ポートから出力され、且つ一の出力ポートから出力される光の波長は入力ポート毎に異なるN×Nアレイ導波路回折格子光合分波器と、所定の波長の情報信号光を出力するとともに入力された情報信号光の情報をそのまま又はその一部を変更して前記所定の波長の情報信号光として出力するn(2以上でN以下の任意の整数)個の通信端末と、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポートと各通信端末とを接続する光ファイバなどの光導波路とからなり、n個の通信端末のうちの全てもしくは一部について、一の通信端末から送信された情報信号光が他の通信端末を経由して当該一の通信端末に戻るようなリング状の伝送パスを形成するよう、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポート間を結ぶ波長の相関関係、各通信端末の情報信号光の波長、並びにN×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポートと各通信端末との接続関係を設定した
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
  2. 請求項1に記載の光ネットワークシステムにおいて、
    n個の通信端末のうちの全てもしくは一部について、一の通信端末から送信された情報信号光が他の通信端末を経由して当該一の通信端末に戻るようなリング状の伝送パスを2経路以上形成するよう、N×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポート間を結ぶ波長の相関関係、各通信端末の2以上の情報信号光の波長、並びにN×Nアレイ導波路回折格子光合分波器の入力ポート及び出力ポートと各通信端末との接続関係を設定した
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
  3. 請求項1又は2に記載の光ネットワークシステムにおいて、
    各通信端末は、通信端末間のリンク確認用の制御信号光が情報信号光とは逆回りのリング状の伝送パスを形成するよう、制御信号光の出力波長を設定する
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
  4. 請求項3に記載の光ネットワークシステムにおいて、
    各通信端末に入力される情報信号光の一部を分岐し、リンク確認用の制御信号光として送信する
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
  5. 請求項3に記載の光ネットワークシステムにおいて、
    情報信号光の先頭を未変調信号で構成し、各通信端末に入力される情報信号光の未変調部分を変調し、リンク確認用の制御信号光として送信する
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
  6. 請求項3乃至5のいずれかに記載の光ネットワークシステムにおいて、
    リンク確認用の制御信号光を受信できなくなった通信端末は、情報信号光の出力波長を、少なくとも情報信号光の伝送パス上の次の通信端末を飛び越えた通信端末に対応する波長に設定する
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の光ネットワークシステムにおいて、
    情報信号光の伝送パスによって各通信端末のメモリフレームを共有する
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の光ネットワークシステムにおいて、
    各通信端末の状態を監視及び制御するための管理装置を設けた
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
  9. 請求項8に記載の光ネットワークシステムにおいて、
    管理装置から各通信端末を管理するための管理信号を、当該管理装置と各通信端末との間で、情報信号光もしくはこれに加えて制御信号光とは波長の異なる光信号により送受信する、あるいは情報信号光もしくはこれに加えて制御信号光を伝送する光導波路とは別の光導波路を介して送受信する、あるいは電気信号により送受信する
    ことを特徴とする光ネットワークシステム。
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