JP3971331B2 - 光波長分割多重伝送ネットワーク装置、波長ルータおよび送受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光波長分割多重された複数の光信号を複数の送受信装置間において伝送する光波長分割多重伝送ネットワーク装置、波長ルータおよび送受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の光信号を異なる光周波数に割り当てて、これらを1本の光ファイバで伝送するものに光波長分割多重(WDM)伝送システムがある。この光波長分割多重伝送システムは、伝送容量を大幅に増大するだけでなく、波長自体に信号の行き先情報を割り当てる波長アドレッシングが可能である。さらに、N個の送受信装置を、周期的な入出力関係の分波特性を有する波長ルータを中心としてこれに配置接続するものに、スター型の光波長分割多重伝送ネットワークシステムがある。この光波長分割多重伝送システムでは、N波長の光信号を用いるだけで、送受信装置間を相互接続するN×Nの信号路を独立にフルメッシュ接続することが可能なネットワーク装置を実現できる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、このような従来の光波長分割多重伝送ネットワーク装置を示す概略図である。図中、符号401〜407は波長多重信号λ1〜λNを相互に送受信する送受信装置、408はN個の入出力ポートを持ち、周期的な入出力関係の分波特性を有するN×N波長ルータである。この波長ルータ408として例えばアレイ導波路回折格子型合分波回路(AWG)が用いられている。ここで、波長ルータ408と各送受信装置401〜407とはそれぞれ上りと下りの2本ずつの光ファイバで相互に接続されている。
【0004】
このような従来の光波長分割多重ネットワーク装置では、例えば送受信装置401から一方の光ファイバを介して送信された所定波長の光信号が、波長ルータ408の入力ポートに導かれる。波長ルータ408はこの光信号を波長に応じてスイッチし、出力ポートから例えば送受信装置402へ送信する。一方、この送受信装置402から送信された返信信号は波長ルータ408および他方の光ファイバを経由して送受信装置401に送られる。また、送受信装置401から送信された別の波長の光信号は、対応する例えば他の送受信装置403、405などへ自動的に配信される。
【0005】
図5は、図4に示す光波長分割多重伝送ネットワーク装置の具体的なブロック図である。同図において、501〜504は送受信装置、505は波長多重信号λ1〜λNを受信する受信回路、506は波長多重信号λ1〜λNを送信する送信回路、507は1本の光ファイバに波長多重された波長多重信号を分波するための光分波器、508は送信回路506からの波長の異なる複数の光信号を1本の光ファイバに合波するための光合波器である。
【0006】
また、符号509は波長ルータ(AWG)、510〜513は送受信装置501〜504と波長ルータ509の入出力ポートとを光学的に接続する光ファイバである。なお、送受信装置502〜504の構成は送受信装置501と同じである。前記のように1台ごとの送受信装置501〜504と波長ルータ509とは上りと下りを合わせて、それぞれ2本ずつの光ファイバ510〜513によって接続されている。
【0007】
このネットワーク装置では、例えば送受信装置501の送信回路506から出力された異なる波長の光信号を光合波器508で合波し、これを波長多重信号として1本の光ファイバ510を通して波長ルータ509へ送信する。一方、波長ルータ509を介して、他方の例えば送受信装置504から送信された波長多重信号が、別の1本の光ファイバ510を通して送受信装置501へ送られる。この送受信装置501ではその波長多重信号を光分波器507で分波し、各波長の信号を受信回路505で受信する。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−201112号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の光波長分割多重伝送ネットワーク装置では、波長ルータと送受信ノードの接続には上りと下りの2本の光ファイバを用いているため、ノード数(送受信装置数)M(Mは2以上N以下の整数)のネットワークを構築する場合、2M本の光ファイバを用意する必要があり、光ファイバの使用量および管理コストがネットワークの運用コストを高めてしまうという問題があった。
【0010】
また、光波長を管理するために、半導体レーザや、波長ルータ、光合波器、光分波器に素子温度管理のための温度センサや温度調整機構を備える必要があり、従って装置コストを高めてしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、波長ルータと複数の送受信装置とをそれぞれ1本ずつの光ファイバで接続した場合でも、光信号のやりとりを行えるようにし、これにより線路の運用、管理コストおよび装置コストを低減できる光波長分割多重ネットワーク装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明にかかる光波長分割多重伝送ネットワーク装置は、N本(Nは複数)の接続ポートを備えた波長ルータと、波長ルータの所定の接続ポートと光学的に接続されたM台(Mは2以上N以下の整数)の送受信装置とから構成されるスター型の光波長分割多重伝送ネットワーク装置であって、ITU−T勧告G.694.2のCWDMに適用され、前記波長ルータは、前記接続ポートとなるN本の入力ポートとN本の出力ポートを備え、周期的な入出力関係の分波特性を有するアレイ導波路回折格子型分波回路からなる波長ルーティング回路と、波長ルーティング回路の所定の入力ポートと出力ポートとを他の1本のポートに接続するN個の第1の光サーキュレータとを備え、前記送受信装置は、自身の入力ポートに入力された波長多重された光信号をM波長に分波し、分波した光信号をM本の出力ポートから出力する光分波器と、光分波器からのM波長の光信号をM本の入力ポートに受信する受信回路と、M波長の光信号をM本の出力ポートから送信する送信回路と、送信回路のM本の出力ポートから出力されたM波長の光信号を合波し、自身の出力ポートから波長多重信号として送出する光合波器と、前記光分波器の入力ポートと前記光合波器の出力ポートとを他の1本のポートに接続する第2の光サーキュレータとを具備し、前記波長ルータ、光分波器、光合波器の透過帯域があらかじめ9nm以上であって、かつ前記透過帯域の中心波長をあらかじめITU−Tグリッド波長より1nm長波長側にずらし、かつ、前記波長ルータおよび前記各送受信装置における前記他の1本のポート同士を1本の光ファイバで接続したことを特徴とする。
【0013】
これにより、第1の光サーキュレータでは、送受信装置からの合波された波長多重信号を1本の光ファイバを介して波長ルータに取り込み、波長ルータからの波長多重信号をその1本の光ファイバを介して送受信装置へ送出することができる。また、第2の光サーキュレータでは、波長ルータからの波長多重信号を前記1本の光ファイバを介して光分波器へ取り込み、光合波器から送出された波長多重信号をその1本の光ファイバを介して波長ルータへ送出できる。従って、光ファイバの使用数を従来の2本から1本に半減することができる。また、前記透過帯域の中心波長を長波長側にずらせることにより、温度制御装置や波長安定化制御部などを必要としない安価な光波長分割多重伝送ネットワークシステムを構築することができる。
【0018】
また、請求項2の発明にかかる波長ルータは、光波長分割多重伝送ネットワーク装置内で複数の送受信装置に光学的に接続される接続ポートを持った波長ルータであって、ITU−T勧告G.694.2のCWDMに適用され、前記接続ポートとなるN本の入力ポートとN本の出力ポートを備え、周期的な入出力関係の分波特性を有するアレイ導波路回折格子型分波回路からなる波長ルーティング回路と、波長ルーティング回路の所定の入力ポートと出力ポートとを、他の1本のポートに接続するN個の光サーキュレータとを備え、送受信装置の光分波器及び光合波器とともにその透過帯域があらかじめ9nm以上であって、かつ前記透過帯域の中心波長をあらかじめITU−Tグリッド波長より1nm長波長側にずらしたことを特徴とする。これにより、N本の入力ポートおよび出力ポートを持つ波長ルーティング回路ごとに1つの光サーキュレータを付加するのみで、1本の光ファイバにて各一の送受信装置との間の波長多重信号の送受信を安価に実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。
【0021】
図1は、本発明の光波長分割多重伝送ネットワーク装置を示す概略図である。図中、符号101〜107は波長多重信号λ1〜λNを送受信する送受信装置、108はN本の入出力ポートを持ち、周期的な入出力関係の分波特性を有するN×N波長ルータである。この実施の形態では波長ルータ108としてアレイ導波路回折格子型分波回路(AWG)を用いている。ここで、図1は図4に示した従来例と違って、送受信装置101〜107と波長ルータ108との間は1本ずつの光ファイバで接続されている。
【0022】
図2は、本発明にかかる光波長分割多重伝送ネットワーク装置の実施の形態を具体的に示すブロック図である。図中、符号201〜204は送受信装置、205は波長多重信号λ1〜λNを受信する受信回路、206は波長多重信号λ1〜λNを送信する送信回路である。
【0023】
また、符号208は波長の異なる複数の光信号を1本の光ファイバに合波するための光合波器、207は1本の光ファイバからの波長多重された波長多重信号を分波するための光分波器、209は送受信装置201〜204を相互に接続する波長ルータ、209aは波長ルータ209内の波長ルーティング回路、210〜213は送受信装置201〜204と波長ルータ209とを光学的に接続する光ファイバ、214、215は光合流回路としての3ポートの光サーキュレータである。本実施の形態では、波長ルータ209としては、例えばN×Nアレイ導波路回折格子型合分波回路(AWG)が用いられる。なお、送受信装置202〜204の構成は、送受信装置201と同様である。
【0024】
ここで、各送受信装置201〜204において、光分波器507の入力ポートと光合波器508の出力ポートと光ファイバとが光サーキュレータ214の3つのポートに、光合波器508からの出力が光ファイバに入力され、光ファイバからの出力が光分波器507に入力されるように接続される。また、波長ルータ209において、波長ルーティング回路209aの各番目の入力ポート及び出力ポートと1本の光ファイバとが各光サーキュレータ215の3つのポートに、光ファイバからの出力が波長ルーティング回路209aに入力され、波長ルーティング回路209aからの出力が光ファイバに入力されるように接続される。
【0025】
この実施の形態では、送受信装置201〜204のそれぞれと波長ルータ209とを接続する光ファイバはそれぞれ1本である。従って、光ファイバの使用量を大幅に低減でき、光波長分割多重伝送装置および光通信サービスを廉価に提供できる。
【0026】
このような光波長分割多重伝送ネットワーク装置において、例えば送受信装置201の送信回路206から出力された異なる波長の光信号は光合波器208で合波され、波長多重信号として光サーキュレータ214および1本の光ファイバ210を通して波長ルータ209へ送信される。この1本の光ファイバ210を通して波長ルータ209へ送信された波長多重信号は、光サーキュレータ215を介して波長ルーティング回路209aの、例えば1番目の入力ポートへ送られ、波長毎に各出力ポートへ出力される。
【0027】
一方、他の送受信装置から波長ルータ209へ送信され、その波長によって波長ルーティング回路209aの1番目の出力ポートへ出力され、波長多重された光信号は前記光サーキュレータ215を介して、送信時にも共用される前記1本の光ファイバ210を通して送受信装置201へ送られる。送受信装置201ではこの波長多重信号を光サーキュレータ214を通して光分波器207で分波し、各波長の信号を受信回路205で受信する。
【0028】
図3は、本実施の形態の動作を説明するための説明図である。温度制御機構の無いCWDM用半導体レーザは、一般に、20nm間隔のITU−Tグリッド波長に対し、一定の波長ばらつきを持つ状態で製造検査されて出荷される。図3ではその波長ばらつきを±2nmとした。ところが、実際の使用状態では、これら半導体レーザを駆動回路と共に装置に組み込み、信号を入力して動作状態にするため、ドライバ回路や半導体レーザに数十〜数百mAの電流を流す。
【0029】
その結果、素子温度が10〜15℃程度上昇し、半導体レーザの発振波長は1〜1.5nm長波長側にシフトする。さらに、装置の設置環境温度が50℃まで上昇した場合、素子温度は65℃程度まで上昇するため、レーザの発振波長は、初期波長のばらつきを考慮すると、最大6nm長波長側にシフトすることがわかる。同様に、装置の設置環境温度が0℃程度まで下降した場合、半導体レーザの発振波長は最大3nm短波長側にシフトする。
【0030】
従って、図3に示すように、光分波器207、光合波器208や波長ルータ209の透過帯域の中心波長を長波長側に1nmずらし、透過帯域幅を9nm以上に設定することで、波長シフトをカバーできる。その結果、装置の設置場所の環境温度が0〜50℃の間で変化し、半導体レーザの発振波長がシフトしても、波長ルータ109において波長ルーティング機能を保持することが可能になる。
【0031】
この結果、従来実施されてきた半導体レーザの温度制御のための温度センサや温度制御素子を用意する必要がなくなり、温度変動を許容しながら透過帯域幅を必要最低限に抑えられるとともに、装置コストの低減を図ることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば波長ルーティング回路の所定の入力ポートと出力ポートとを他の1本のポートに接続するN個の第1の光合流回路と、送受信装置の光分波器の入力ポートと光分波器の出力ポートとを別の1本のポートに接続する第2の光合流回路とを設けることで、第1の光合流回路では、送受信装置からの合波された波長多重信号を、上りと下りで共通の1本の光ファイバを介して波長ルータに取り込み、波長ルータからの波長多重信号をその1本の光ファイバを介して送受信装置へ送出することができる。一方、第2の光合流回路では、波長ルータからの波長多重信号を前記1本の光ファイバを介して光分波器へ取り込み、光合波器から送出された波長多重信号をその1本の光ファイバを介して波長ルータへ送出することができる。従って、波長ルータと各一の送受信装置とを結ぶ光ファイバの使用数(配線数)を従来の2本から1本に減らすことができ、装置コストを低減することができる。また、前記波長ルータ、光分波器、光合波器の透過帯域の中心波長を長波長側にずらせることで、従来は半導体レーザの温度変化による発振波長のシフト防止のために用いられた温度制御装置や波長安定化制御部などを省略でき、結果として安価な光波長分割多重伝送ネットワークシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による光波長分割多重伝送ネットワーク装置の概略を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態による光波長分割多重伝送ネットワーク装置の具体例を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態の動作を示す動作説明図
【図4】従来の波長分割多重伝送ネットワーク装置の概略を示すブロック図
【図5】図4の波長分割多重伝送ネットワーク装置を示すブロック図
【符号の説明】
101〜107:送受信装置、108:波長ルータ、201〜204:送受信回路、205:受信回路、206:送信回路、207:光分波器、208:光合波器、209:波長ルータ、209a:波長ルーティング回路、210〜213:光ファイバ、214,215:サーキュレータ(光合流回路)。
Claims (2)
- N本(Nは複数)の接続ポートを備えた波長ルータと、波長ルータの所定の接続ポートと光学的に接続されたM台(Mは2以上N以下の整数)の送受信装置とから構成されるスター型の光波長分割多重伝送ネットワーク装置であって、
ITU−T勧告G.694.2のCWDMに適用され、
前記波長ルータは、
前記接続ポートとなるN本の入力ポートとN本の出力ポートを備え、周期的な入出力関係の分波特性を有するアレイ導波路回折格子型分波回路からなる波長ルーティング回路と、
波長ルーティング回路の所定の入力ポートと出力ポートとを他の1本のポートに接続するN個の第1の光サーキュレータとを備え、
前記送受信装置は、
自身の入力ポートに入力された波長多重された光信号をM波長に分波し、分波した光信号をM本の出力ポートから出力する光分波器と、
光分波器からのM波長の光信号をM本の入力ポートに受信する受信回路と、
M波長の光信号をM本の出力ポートから送信する送信回路と、
送信回路のM本の出力ポートから出力されたM波長の光信号を合波し、自身の出力ポートから波長多重信号として送出する光合波器と、
前記光分波器の入力ポートと前記光合波器の出力ポートとを他の1本のポートに接続する第2の光サーキュレータとを具備し、
前記波長ルータ、光分波器、光合波器の透過帯域があらかじめ9nm以上であって、かつ前記透過帯域の中心波長をあらかじめITU−Tグリッド波長より1nm長波長側にずらし、
かつ、前記波長ルータおよび前記各送受信装置における前記他の1本のポート同士を1本の光ファイバで接続した
ことを特徴とする光波長分割多重伝送ネットワーク装置。 - 光波長分割多重伝送ネットワーク装置内で複数の送受信装置に光学的に接続される接続ポートを持った波長ルータであって、
ITU−T勧告G.694.2のCWDMに適用され、
前記接続ポートとなるN本の入力ポートとN本の出力ポートを備え、周期的な入出力関係の分波特性を有するアレイ導波路回折格子型分波回路からなる波長ルーティング回路と、
波長ルーティング回路の所定の入力ポートと出力ポートとを、他の1本のポートに接続するN個の光サーキュレータとを備え、
送受信装置の光分波器及び光合波器とともにその透過帯域があらかじめ9nm以上であって、かつ前記透過帯域の中心波長をあらかじめITU−Tグリッド波長より1nm長波長側にずらした
ことを特徴とする波長ルータ。
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