JP2004087714A - ハイブリッド熱電変換材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱電変換材料の性能を向上させる。
【解決手段】熱電変換材料に、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加する。
【選択図】 なし
【解決手段】熱電変換材料に、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換材料は、熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することができる材料であり、例えば排熱を利用して電気エネルギーに変換するシステムへの利用が検討されている。
【0003】
この熱電変換材料はゼーベック効果を利用して熱電変換を行うものであるが、その熱電変換性能は、性能指数と呼ばれる下式で表される。
Z=α2(σ/κ)
(上式中、Zは性能指数(K−1)であり、αはゼーベック係数(VK−1)であり、σは電気伝導度(Scm−1)であり、κは熱伝導度(Wcm−1K−1)である)
【0004】
従って、熱電変換材料の熱電変換性能を高めるためには、ゼーベック係数を高くし、電気伝導度を高くし、熱伝導度を低くすればよいことがわかる。しかしながら、これらの物理量は1つの材料において個別に改良できるものではなく、1つの向上させると他の2つは低下する関係にある。例えば、電気伝導度を高くすればそれに伴って熱伝導度も高くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、複数種の材料を組み合わせることにより、電気伝導度を高めると共に、熱伝導度を低下させることを可能にする、熱電変換性能の高い熱電変換材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために1番目の発明によれば、熱電変換材料と、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含むハイブリッド熱電変換材料が提供される。
【0007】
上記問題点を解決するために2番目の発明によれば、上記1番目の発明において、前記熱電変換材料と、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種とが一方向に配向されている。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記のように、本発明のハイブリッド熱電変換材料は、従来より用いられている熱電変換材料にポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加していることを特徴としている。
【0009】
熱電変換材料としては、ビスマステルル(Bi2Te2)、鉛テルル(PbTe)、シリコンゲリウム(SiGe)等の金属半導体、カルシウムコバルト酸化物(CaCoO)、ナトリウムコバルト酸化物(NaCoO)等の酸化物、スクッテルダイト(CoSb)、その他(ZnSb、FeSi)等の従来公知の熱電変換材料を用いることができる。またこれらの熱電変換材料の複合体、例えばFeSiとYb2O3の複合材料も用いることができる。
【0010】
カーボンナノチューブは、直径が約1nm〜数十nmで、長さが数μmである円筒状の炭素物質である。また、カーボンナノファイバーは、炭素繊維とカーボンナノチューブの中間の繊維径、すなわち繊維径が10〜1000nmで、長さが数μm程度の繊維状炭素物質である。このカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーはいずれも電気抵抗率が10−2μΩm以下の電気伝導性に優れた材料であり、熱電材料と組み合わせることにより熱電性能を向上させることが期待される。しかしながら、一方、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーはいずれも熱伝導率が10−2W/mKと大きいため、そのまま熱電材料に添加したのでは熱電変換性能の向上は望めない。
【0011】
そこで本発明では、このカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーをポリマー膜で被覆することによって、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーの電気伝導性を低下させることなく熱伝導性を低下させている。このポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリビニリデンフルオライド、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド等を用いることができる。また、ポリマー膜の厚さは数μm程度とすることが好ましい。
【0012】
カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーをポリマーで被覆する方法としては、例えば、まずポリマーをテトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解し、この溶液中にカーボンナノチューブ等を混合する。次いで、これを撹拌機で混合し、溶媒の沸点以上の温度で加熱して溶媒を除去し、数μm厚のポリマー被覆を形成する。
【0013】
このポリマー被覆カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーの添加量は、得られるハイブリッド熱電変換材料全体の1〜20wt%であることが好ましい。ポリマー被覆被覆カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーは、酸化物系熱電変換材料のような、電気伝導性の低い材料への添加が効果的である。
【0014】
また、このポリマー被覆カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーのほかに、導電性ポリマーを熱電変換材料に添加することも有効である。導電性ポリマーは電気伝導性に優れた材料であり、一方樹脂であるため熱伝導性が低い。この導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、ポリピロール等を用いることができる。
【0015】
この導電性ポリマーの添加量は、得られるハイブリッド熱電変換材料全体の1〜10wt%であることが好ましい。導電性ポリマーは、スクッテルダイトや半導体系熱電変換材料のような、酸化物系以外の電気伝導性は高いが熱伝導性も高い材料への添加が効果的である。
【0016】
これらのポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーは熱電変換材料中にナノレベルで分散していることが必要である。この「ナノレベルで分散している」とはナノサイズの粒子同志で分散していることを意味する。このようにポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーを熱電変換材料中にナノレベルで分散させるには、例えば、ボールミル等で0.5〜2時間撹拌する。
【0017】
さらに本発明においては、熱電変換材料と、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーは一方向に配向されていることが好ましい。一方向に配向させることにより、その配向している一定方向にのみ熱電性能が優れた材料となるからである。この配向方法としては、押出し成形法、ホットフォージング法等の量産技術を用いることができる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、熱電変換材料にポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することにより、得られるハイブリッド熱電変換材料の電気伝導度を高め、熱伝導度を低くすることができ、熱電変換性能を高めることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換材料は、熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することができる材料であり、例えば排熱を利用して電気エネルギーに変換するシステムへの利用が検討されている。
【0003】
この熱電変換材料はゼーベック効果を利用して熱電変換を行うものであるが、その熱電変換性能は、性能指数と呼ばれる下式で表される。
Z=α2(σ/κ)
(上式中、Zは性能指数(K−1)であり、αはゼーベック係数(VK−1)であり、σは電気伝導度(Scm−1)であり、κは熱伝導度(Wcm−1K−1)である)
【0004】
従って、熱電変換材料の熱電変換性能を高めるためには、ゼーベック係数を高くし、電気伝導度を高くし、熱伝導度を低くすればよいことがわかる。しかしながら、これらの物理量は1つの材料において個別に改良できるものではなく、1つの向上させると他の2つは低下する関係にある。例えば、電気伝導度を高くすればそれに伴って熱伝導度も高くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、複数種の材料を組み合わせることにより、電気伝導度を高めると共に、熱伝導度を低下させることを可能にする、熱電変換性能の高い熱電変換材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために1番目の発明によれば、熱電変換材料と、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含むハイブリッド熱電変換材料が提供される。
【0007】
上記問題点を解決するために2番目の発明によれば、上記1番目の発明において、前記熱電変換材料と、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種とが一方向に配向されている。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記のように、本発明のハイブリッド熱電変換材料は、従来より用いられている熱電変換材料にポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加していることを特徴としている。
【0009】
熱電変換材料としては、ビスマステルル(Bi2Te2)、鉛テルル(PbTe)、シリコンゲリウム(SiGe)等の金属半導体、カルシウムコバルト酸化物(CaCoO)、ナトリウムコバルト酸化物(NaCoO)等の酸化物、スクッテルダイト(CoSb)、その他(ZnSb、FeSi)等の従来公知の熱電変換材料を用いることができる。またこれらの熱電変換材料の複合体、例えばFeSiとYb2O3の複合材料も用いることができる。
【0010】
カーボンナノチューブは、直径が約1nm〜数十nmで、長さが数μmである円筒状の炭素物質である。また、カーボンナノファイバーは、炭素繊維とカーボンナノチューブの中間の繊維径、すなわち繊維径が10〜1000nmで、長さが数μm程度の繊維状炭素物質である。このカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーはいずれも電気抵抗率が10−2μΩm以下の電気伝導性に優れた材料であり、熱電材料と組み合わせることにより熱電性能を向上させることが期待される。しかしながら、一方、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーはいずれも熱伝導率が10−2W/mKと大きいため、そのまま熱電材料に添加したのでは熱電変換性能の向上は望めない。
【0011】
そこで本発明では、このカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーをポリマー膜で被覆することによって、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーの電気伝導性を低下させることなく熱伝導性を低下させている。このポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリビニリデンフルオライド、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド等を用いることができる。また、ポリマー膜の厚さは数μm程度とすることが好ましい。
【0012】
カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーをポリマーで被覆する方法としては、例えば、まずポリマーをテトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解し、この溶液中にカーボンナノチューブ等を混合する。次いで、これを撹拌機で混合し、溶媒の沸点以上の温度で加熱して溶媒を除去し、数μm厚のポリマー被覆を形成する。
【0013】
このポリマー被覆カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーの添加量は、得られるハイブリッド熱電変換材料全体の1〜20wt%であることが好ましい。ポリマー被覆被覆カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーは、酸化物系熱電変換材料のような、電気伝導性の低い材料への添加が効果的である。
【0014】
また、このポリマー被覆カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーのほかに、導電性ポリマーを熱電変換材料に添加することも有効である。導電性ポリマーは電気伝導性に優れた材料であり、一方樹脂であるため熱伝導性が低い。この導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、ポリピロール等を用いることができる。
【0015】
この導電性ポリマーの添加量は、得られるハイブリッド熱電変換材料全体の1〜10wt%であることが好ましい。導電性ポリマーは、スクッテルダイトや半導体系熱電変換材料のような、酸化物系以外の電気伝導性は高いが熱伝導性も高い材料への添加が効果的である。
【0016】
これらのポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーは熱電変換材料中にナノレベルで分散していることが必要である。この「ナノレベルで分散している」とはナノサイズの粒子同志で分散していることを意味する。このようにポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーを熱電変換材料中にナノレベルで分散させるには、例えば、ボールミル等で0.5〜2時間撹拌する。
【0017】
さらに本発明においては、熱電変換材料と、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーは一方向に配向されていることが好ましい。一方向に配向させることにより、その配向している一定方向にのみ熱電性能が優れた材料となるからである。この配向方法としては、押出し成形法、ホットフォージング法等の量産技術を用いることができる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、熱電変換材料にポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することにより、得られるハイブリッド熱電変換材料の電気伝導度を高め、熱伝導度を低くすることができ、熱電変換性能を高めることができる。
Claims (2)
- 熱電変換材料と、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含むハイブリッド熱電変換材料。
- 前記熱電変換材料と、ポリマー被覆カーボンナノチューブ、ポリマー被覆カーボンファイバー及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種とが一方向に配向されている、請求項1記載のハイブリッド熱電変換材料。
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JP2002245592A JP2004087714A (ja) | 2002-08-26 | 2002-08-26 | ハイブリッド熱電変換材料 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002245592A JP2004087714A (ja) | 2002-08-26 | 2002-08-26 | ハイブリッド熱電変換材料 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004087714A true JP2004087714A (ja) | 2004-03-18 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2002245592A Pending JP2004087714A (ja) | 2002-08-26 | 2002-08-26 | ハイブリッド熱電変換材料 |
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KR101144888B1 (ko) | 2010-08-30 | 2012-05-14 | 한국과학기술연구원 | 유연성을 갖는 열전 변환재, 이의 제조 방법 및 이를 포함하는 열전 소자 |
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WO2012121133A1 (ja) | 2011-03-04 | 2012-09-13 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 熱電変換材料及び該材料を用いたフレキシブル熱電変換素子 |
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-
2002
- 2002-08-26 JP JP2002245592A patent/JP2004087714A/ja active Pending
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