以下、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の参考実施例を示すブロック図である。図1において、1は情報記録媒体であるところの光ディスクであり、図示しないスピンドルモータの駆動によって所定の速度で回転する。光ディスク1には、予めトラックのランドとグルーブのいずれか一方に情報を記録するディスクであるのか、ランドとグルーブの両方に情報を記録するディスクであるのかを示す種別情報が付与されている。本参考実施例では、この種別情報はディスクのコントロールトラックなどの所定記録領域に記録されている。
光ディスク1の下面には、情報記録用の光ビーム、情報再生用の光ビームを照射する光ヘッド2が設けられている。光ヘッド2は、光源である半導体レーザ(図示せず)、半導体レーザから射出されたレーザビームを絞り込み、光ディスク1に微小光スポットとして照射する対物レンズ3、対物レンズ3を光ディスク1のトラッキング方向及びフォーカス方向に移動させるアクチュエータ4、光ディスク1から反射したレーザビームを受光する光センサ(図示せず)などから構成されている。アクチュエータ4は、対物レンズ3をフォーカス方向に移動させるフォーカスアクチュエータと、対物レンズ3をトラッキング方向に移動させるトラッキングアクチュエータからなっている。
フォーカスエラー信号生成回路5は光ヘッド2内の光センサの受光信号をもとに図6に示したようなフォーカスエラー信号を生成する回路である。フォーカスエラー信号の検出方式としては、例えば非点収差法などが用いられる。フォーカスエラー信号生成回路5で生成されたフォーカスエラー信号は、フォーカスサーボを安定化するためのフォーカス位相補償回路6、フォーカスサーボループをオン、オフするスイッチ7を経由してフォーカスドライバー8に供給される。そして、フォーカスドライバー8により光ヘッド2内のフォーカスアクチュエータを駆動し、対物レンズ3をフォーカス方向に変位させることで、光ディスク1に照射された光ビームが回転しているディスクの媒体面に焦点を結ぶようにフォーカス制御が行われる。また、本参考実施例では、フォーカスエラー信号を所定の基準電圧と比較してデフォーカスやフォーカス外れを検出するフォーカス異常検出回路が設けられている。即ち、光ディスクの種別に応じて通常の光ディスクを用いる場合はフォーカス外れを検出し、ランドグルーブ記録用の光ディスクを用いる場合は、前述のように少しでもデフォーカスを生じると記録再生に影響を与えるので、デフォーカスを検出するようになっている。
デフォーカスやフォーカス外れを検出する場合、フォーカスエラー信号の振幅を各々の所定電圧範囲と比較し、フォーカスエラー信号の振幅が各々の所定電圧範囲から外れたときにデフォーカスやフォーカス外れを検出するのであるが、本参考実施例では、使用する光ディスクに応じてデフォーカスあるいはフォーカス外れと判断する所定電圧範囲を切り換えるように構成されている。具体的に説明すると、まず、基準電圧発生回路9,10はランド部とグルーブ部の両方に情報を記録するランドグルーブ記録用の光ディスクに対応し、基準電圧発生回路9は所定電圧範囲の上限の基準電圧、基準電圧発生回路10は所定電圧範囲の下限の基準電圧を発生する。
基準電圧発生回路9の上限の基準電圧としては、図6に示すように所定電圧のVLFに設定され、基準電圧発生回路10の下限の基準電圧としては、−VLFに設定されている。つまり、本参考実施例では、ランドグルーブ記録の場合、図6に示すように情報の記録や再生に重大な影響を与えるフォーカスの両方向のデフォーカス量をνL としており、これにフォーカスエラー信号の上限の基準電圧VLF、下限の基準電圧−VLFが対応している。なお、この場合、デフォーカス量νL はフォーカスずれによる記録マークの幅がランド部またはグルーブ部の幅よりも大きくなる量に対応している。
また、基準電圧発生回路11,12はトラックのランド部かグルーブ部のいずれか一方に情報を記録する通常の光ディスクに対応し、基準電圧発生回路11は所定電圧範囲の上限の基準電圧、基準電圧発生回路12は所定電圧範囲の下限の基準電圧を発生する。基準電圧発生回路11の上限の基準電圧としては、図6に示すようにフォーカスエラー信号の最大値よりもやや小さいVNFに設定され、基準電圧発生回路12の下限の基準電圧としてはフォーカスエラー信号の最小値よりもやや大きい−VNFに設定されている。
各々所定電圧範囲の上限の基準電圧を発生する基準電圧発生回路9,11の出力電圧はスイッチ13でいずれか一方が選択され、比較器14でフォーカスエラー信号と比較される。また、各々所定電圧範囲の下限の基準電圧を発生する基準電圧発生回路10,12の出力電圧はスイッチ15でいずれか一方が選択され、比較器16でフォーカスエラー信号と比較される。比較器14ではフォーカスエラー信号が上限の基準電圧よりも大きくなるとハイレベルの出力信号を、比較器16でもフォーカスエラー信号が下限の基準電圧よりも小さくなるとハイレベルの出力信号をそれぞれ出力し、これらの比較器14,16の出力信号はオア回路17で論理和をとってシステム処理部18へ出力される。オア回路17からハイレベルの信号が出力されると、詳しく後述するように記録あるいは再生動作を中止するようになっている。
トラッキングエラー信号生成回路19は光ヘッド2内の光センサの受光信号をもとにトラッキングエラー信号を生成する回路である。生成されたトラッキングエラー信号は、トラッキングサーボを安定化するためのトラッキング位相補償回路20、トラッキングサーボループをオン、オフするためのスイッチ21を経由してトラッキングドライバー22へ供給される。トラッキングドライバー22では光ヘッド2内のトラッキングアクチュエータを駆動し、対物レンズ3をトラッキング方向に変位させることで、光ヘッド2から照射された光ビームが回転している光ディスク1の情報トラックに追従して走査するようにトラッキング制御が行われる。また、本参考実施例では、トラッキングエラー信号を所定の基準電圧と比較して光ビームのデトラックやトラック飛びを検出するトラッキング異常検出回路が設けられている。これも、光ディスクの種別に応じて通常の光ディスクを用いる場合はトラック飛びを検出し、ランドグルーブ記録用の光ディスクを用いる場合は、少しでも光ビームがトラックずれを生じるとデータ破壊などを生じるので、デトラックを検出するようになっている。
具体的に説明すると、まず、基準電圧発生回路23及び24はランドグルーブ記録用の光ディスクを用いる場合、デトラックを検出する際の所定電圧範囲の上限と下限の基準電圧を発生する回路である。基準電圧発生回路23は所定電圧範囲の上限の基準電圧を、基準電圧発生回路24は下限の基準電圧をそれぞれ発生する。本参考実施例では、図5に示すように上限の基準電圧はVLTに、下限の基準電圧は−VLTに設定されている。即ち、ランドグルーブ記録を行う場合、図5に示すように情報の記録や再生に重大な影響を及ぼすデトラック量をλL としている。デトラック量λLは図5に示すようにトラックのランド部またはグルーブ部の幅と記録マーク幅の差の1/2に相当し、光スポットがランド部またはグルーブ部の中心からλL だけずれると、前述のようにデータ破壊を生じる。従って、所定電圧範囲の上限及び下限の基準電圧VLT,−VLTは光スポットがランド部またはグルーブ部の中心から左右の両方向にλL だけずれたときのトラッキングエラー信号の振幅に対応している。
基準電圧発生回路25、26は、通常の光ディスクを用いる場合、トラック飛びを検出する際の所定電圧範囲の上限と下限の基準電圧を発生する回路である。基準電圧発生回路25は所定電圧範囲の上限の基準電圧を発生し、基準電圧発生回路26は下限の基準電圧を発生する。上限の基準電圧は図5に示すようにトラッキングエラー信号の振幅の最大値よりもやや小さいVNTに、下限の基準電圧はトラッキングエラー信号の最小値よりもやや大きい−VNTに設定されている。この場合、トラック飛びを検出する際の光スポットのトラックずれ量は隣接するランド部の中心間(図5のb,d間)の距離の約1/4、または隣接するグルーブ部の中心間(図5のa,c間)の距離の約1/4に相当している。従って、トラック飛びを検出する際の所定電圧範囲の上限、下限の基準電圧VLT,−VLTは光スポットがトラックのランド部またはグルーブ部の中心から左右の両方向に先の1/4の距離だけずれたときのトラッキングエラー信号の振幅に対応している。
但し、実際には図5のように1/4の距離よりも小さくトラッキングエラー信号の最大値よりも小さい値、最小値よりもやや大きい値の範囲でトラック飛びを検出している。
各々所定電圧範囲の上限の基準電圧を発生する基準電圧発生回路23及び25の出力電圧はスイッチ27で選択され、比較器28でトラッキングエラー信号と比較される。同様に、各々所定電圧範囲の下限の基準電圧を発生する基準電圧発生回路24及び26の出力電圧はスイッチ29で選択され、比較器30でトラッキングエラー信号と比較される。比較器28ではトラッキングエラー信号の振幅が上限の基準電圧よりも大きくなるとハイレベルの出力信号を出力し、比較器30ではトラッキングエラー信号の振幅が下限の基準電圧よりも小さくなるとハイレベルの出力信号を出力する。比較器28と30の出力信号はオア回路31で論理和をとってシステム処理部18に出力される。システム処理部18では、詳しく後述するようにオア回路31からハイレベルの信号が出力されると、記録あるいは再生動作を中止するようになっている。
システム処理部18は、本参考実施例の光学的情報記録再生装置の主制御回路であり、装置内の各部を制御して情報の記録や再生を行う。具体的には、システム処理部18ではスイッチ7やスイッチ21を制御してフォーカスサーボループやトラッキングサーボループの開閉制御、記録再生回路32を制御して光ディスク1に情報を記録したり、光ディスク1の記録情報を再生したりする制御を行う。記録再生回路32内には、システム処理部18から送られた記録データを変調して記録に適した記録信号を生成する回路、記録信号に応じて光ヘッド2内の半導体レーザを駆動するレーザ駆動回路などが設けられていて、半導体レーザの光ビームを光ディスク1に照射することで情報の記録を行う。
また、記録再生回路32内には、光ヘッド2内の光センサの受光信号をもとに再生信号を生成したり、復調したりする回路などが設けられ、システム処理部18の制御に基づいて光ヘッド2から再生用の光ビームを光ディスク1に照射し、このときのディスクからの反射光から記録情報が再生される。更に、システム処理部18では、装置にセットされた光ディスクの種別に応じてスイッチ13と15及びスイッチ27と29を切り換える制御を行う。
次に、本参考実施例の具体的な動作について説明する。まず、光ディスク1が装置内にセットされると、システム処理部18ではスイッチ7をオンし、フォーカスサーボを起動する。次いで、スイッチ21をオンし、トラッキングサーボを起動する。これで、装置はディスク上の情報を読み出すことが可能な状態となる。システム処理部18では、図示しないシーク制御回路を制御し、光ヘッド2を前述のようにディスクの種別情報が記録されたコントロールトラックにアクセスする。続いて、システム処理部18では記録再生回路32を制御してコントロールトラックを再生し、ディスクの種別情報を読み出してディスクの種別を判別し、それに応じてスイッチ13,15及びスイッチ27,29の接続を切り換える制御を行う。
例えば、種別情報によりランドグルーブ記録用の光ディスクであると判別した場合は、システム処理部18ではスイッチ13,15及びスイッチ27,29をそれぞれX端子側に接続する。これにより、比較器14に基準電圧発生回路9のVLF、比較器16に基準電圧発生回路10の−VLFが入力され、以後、フォーカスエラー信号の振幅がVLF〜−VLFの範囲内にあるかどうかを監視することによってデフォーカスの発生が検出される。また、比較器28に基準電圧発生回路23のVLT、比較器30に基準電圧発生回路24の−VLTが入力され、以後、トラッキングエラー信号の振幅がVLT〜−VLTの範囲にあるかどうかを監視することによってデトラックの発生が検出される。こうしてディスクの種別に応じてスイッチの設定が行われ、セットされたディスクに対して情報の記録あるいは記録情報の再生が可能な状態となる。
ここで、ディスクに情報の記録を行っているときに外部振動が加わり、光ヘッド2から照射された光ビームがトラックずれを生じてトラッキングエラー信号の振幅がVLTよりも大きくなると、比較器28の出力信号はハイレベルとなる。また、トラッキングエラー信号が−VLTよりも小さくなると、比較器30の出力信号がハイレベルとなる。このように外部振動などによりトラッキングエラー信号がVLT〜−VLTの範囲から外れると、比較器28または比較器30の出力信号がハイレベルとなり、デトラック検出信号としてオア回路17を介しシステム処理部18へ送られる。システム処理部18では、デトラックが検出されると、直ちに記録再生回路32を制御して変調動作を中止するなどして記録動作を中止し、また記録再生回路32内のレーザ駆動回路を制御して半導体レーザの光出力を記録ができない程度の光出力に低下させる。このようにして記録動作を中止する制御を行う。また、情報を再生しているときに外部振動などによりデトラックが検出されると、システム処理部18は記録時の制御と同様に再生動作を中止する制御を行う。
一方、情報の記録時に外部振動が加わり、フォーカスエラー信号がVLFよりも大きくなると、比較器14の出力信号がハイレベルとなり、フォーカスエラー信号が−VLFよりも小さくなると、比較器16の出力信号がハイレベルとなる。このようにフォーカスエラー信号がVLF〜−VLFの範囲から外れると、比較器14または比較器16の出力信号がハイレベルとなり、デフォーカス検出信号としてオア回路17を介しシステム処理部18に送られる。システム処理部18では、デフォーカスが検出されると、先の説明と同様に半導体レーザの光出力を低下させるなどして記録動作を中止する制御を行う。また、情報の再生時にデフォーカスが検出された場合も、システム処理部18は同様に再生動作を中止する制御を行う。
次に、通常の光ディスクがセットされた場合の動作について説明する。装置にセットされたディスクが通常の光ディスクであると判別した場合は、システム処理部18はスイッチ13,15及びスイッチ27,29をそれぞれY端子側に接続する。これにより、比較器14にVNF、比較器16に−VNFが入力され、フォーカスエラー信号がVNF〜−VNFの範囲内にあるかどうかを監視することによってフォーカス外れの発生を検出する状態となる。また、比較器28にVNT、比較器30に−VNTが入力され、トラッキングエラー信号がVNT〜−VNTの範囲内にあるかどうかを監視することによってトラッキング飛びの発生を検出する状態となる。以上でスイッチの設定が終了し、ディスクに情報の記録、あるいは記録情報の再生が可能な状態となる。
ここで、情報の記録中に外部振動などが加わり、トラッキングエラー信号の振幅がVLTよりも大きくなると、比較器28の出力信号がハイレベルとなり、トラッキングエラー信号が−VLTよりも小さくなると、比較器30の出力信号がハイレベルとなる。このようにトラッキングエラー信号がVLT〜−VLTの範囲から外れると、比較器28または比較器30の出力信号がハイレベルとなり、トラック飛び検出信号としてシステム処理部18に送られる。システム処理部18ではトラック飛びが検出されると、前述のように直ちに半導体レーザの光出力を低下させるなどして記録動作を中止する制御を行い、同時にスイッチ7と21をオフしてトラッキングサーボとフォーカスサーボをオフする制御を行う。情報の再生中にトラック飛びが検出された場合も、システム処理部18は再生動作を中止し、トラッキングサーボとフォーカスサーボをオフする制御を行う。
一方、情報の記録中に外部振動などが加わり、フォーカスエラー信号がVNFよりも大きくなると比較器14の出力信号はハイレベルとなり、フォーカスエラー信号が−VNFよりも小さくなると、比較器16の出力信号はハイレベルとなる。このようにフォーカスエラー信号がVNF〜−VNFの範囲から外れると、比較器14または比較器16の出力信号がハイレベルとなり、フォーカス外れ検出信号としてシステム処理部18へ送られる。システム処理部18ではフォーカス外れが検出されると、先の説明と同様に半導体レーザの光出力を低下させるなどして情報の記録動作を中止する制御を行う。また、スイッチ7と21をオフしてトラッキングサーボとフォーカスサーボを中断する制御を行う。情報の再生中にフォーカス外れが検出された場合も、システム処理部18は再生動作を中止し、トラッキングサーボとフォーカスサーボをオフする制御を行う。
以上のように本参考実施例では、ランドグルーブ記録用のディスクを用いる場合は、光スポットのトラックずれを検出する基準電圧範囲をVLT〜−VLTに、光スポットのフォーカスずれを検出する基準電圧範囲をVLF〜−VLFにそれぞれ設定し、デトラック及びデフォーカスを検出して記録や再生動作を中止するので、記録や消去を行うときは隣接トラックへの誤記録や誤消去を行うことがなく、データの破壊を防止することができる。また、情報を再生する場合も、隣接トラックからのクロストークにより再生信号の品位が低下することによって生じる情報の誤再生を防止することができる。
一方、通常のディスクを用いる場合は、トラックずれを検出する基準電圧範囲をVNT〜−VNTに、フォーカスずれを検出する基準電圧範囲をVNF〜−VNFに設定してトラック飛びやフォーカス外れを検出することにより、同様に隣接トラックのデータ破壊や隣接トラックからのクロストークによる誤再生を防止することができる。また、通常のディスクを用いた場合、これに応じてトラックずれやフォーカスずれを検出する検出レベルを設定するので、外部振動が加わったときなどわずかな振動で記録や再生動作を中止することがなく、必要以上に装置の動作が停止するという事態を防止することができる。従って、ディスクの種別に応じてトラックずれやフォーカスずれを検出する検出レベルを最適設定することにより、異なる種別のディスクであっても装置との互換性をとることが可能となり、1つの装置で通常のディスク及びランドグルーブ記録用のディスクの両方に対して各々最適条件で記録や再生を行うことができる。また、通常のディスクを用いた場合、トラック飛びやフォーカス外れが検出されたときに、トラッキングサーボとフォーカスサーボをオフすることにより、ディスクの損傷や装置の破損などを防止することができる。
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。図2は本実施形態の構成を示したブロック図である。この実施形態は、装置の制御をデジタル信号処理によって行うという例である。なお、図2では図1と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。図2において、マイクロプロセッサ33は図1のシステム処理部18の機能、フォーカスサーボの機能、トラッキングサーボの機能、あるいは光ヘッド2のシーク制御の機能などを担うプロセッサ回路である。装置の制御は全てマイクロプロセッサ33によるデジタル信号処理によって行う。フォーカスエラー信号生成回路5で得られたフォーカスエラー信号はA/Dコンバータ34により所定のサンプリング周期でマイクロプロセッサ33に取り込まれる。また、トラッキングエラー信号生成回路19で得られたトラッキングエラー信号もA/Dコンバータ34で所定のサンプリング周期でマイクロプロセッサ33に取り込まれる。
マイクロプロセッサ33では、予め決められた制御プログラムに従い、フォーカスエラー信号の値に対して位相補償演算処理を行うことで、フォーカスサーボを安定化する。次いで、位相補償演算処理後のフォーカスエラー信号の値に所定の定数を乗算する。この所定の定数は、フォーカスサーボループのループゲインを決定するものである。こうして処理されたフォーカスエラー信号の値はD/Aコンバータ35でアナログ信号に変換され、フォーカスドライバー8に供給される。後は先の説明と同じで、フォーカスドライバー8によりフォーカスアクチュエータを駆動し、対物レンズ3をフォーカス方向に移動させることで、光ビームのフォーカス位置が制御される。
また、マイクロプロセッサ33では、トラッキングエラー信号の値に対しても同様に位相補償演算処理を行い、続いて所定の定数を乗算する処理を行う。この処理後のフォーカスエラー値はD/Aコンバータ35を介してトラッキングドライバー22に供給される。トラッキングドライバー22はトラッキングアクチュエータを駆動し、対物レンズ3をトラッキング方向に移動させることで、光ビームのトラッキング位置が制御される。マイクロプロセッサ33では、所定のサンプリング周期ごとに以上のような処理を行うことにより、光ヘッド2から照射された光ビームが回転しているディスクの記録層に合焦するように、また、光ビームがトラックに追従して走査するようにフォーカス制御とトラッキング制御を行う。なお、メモリ部36はマイクロプロセッサ33の制御に必要な定数などを記憶するメモリであり、上記参考実施例で説明したデフォーカスやフォーカス外れを検出する際の基準電圧となるVNF,VLF、デトラックやトラック飛びを検出する際の基準電圧となるVNT,VLTなどもメモリ部36に記憶されている。
次に、本実施形態の具体的な動作を図3に基づいて説明する。まず、光ディスクが装置にセットされると、マイクロプロセッサ33は先に説明したようなフォーカスサーボとトラッキングサーボの処理を開始する。ディスクの情報の読み出しが可能な状態になると、マイクロプロセッサ33はシーク制御を行い、光ヘッド2をディスクの種別情報が記録されているコントロールトラックにアクセスする。次いで、記録再生回路32を制御してディスクの種別情報を読み出して通常のディスクであるのか、ランドグルーブ記録用のディスクであるのかを判別し、判別結果をメモリ部36に記憶させておく。こうして装置はディスクに情報の記録、あるいは記録情報の再生が可能な状態となり、以後フォーカス制御やトラッキング制御と並行して図3のフローチャートの処理を行う。
そこで、図3の処理について説明する。図3において、まずA/Dコンバータ34からトラッキングエラー信号が出力されると、マイクロプロセッサ33はその値を変数(レジスタ)VTEに書き込み(S1)、A/Dコンバータ34からフォーカスエラー信号が出力されると、その値を変数(レジスタ)VFEに書き込む(S2)。次いで、マイクロプロセッサ33は現在装着されているディスクの種別を判別する(S3)。これは、前述のようにディスクがセットされたときにディスクの種別情報がメモリ部36に記憶されているので、それを読み出してディスクの種別を判別する。
もし、ディスクの種別がランドグルーブ記録用のディスクであった場合は、S4に進み、変数VTEのトラッキングエラー信号の値とメモリ部36に記憶されているVLTを比較し、|VTE|>VLTであるかどうかを判断する。即ち、VLTの値は図5に示すようにデトラックを検出する際の基準電圧であり、|VTE|とVLTを比較することによってトラッキングエラー信号が図5のVLT〜−VLTの範囲内にあるかどうかを判断する。|VTE|<VLTであれば、トラッキングエラー信号は所定範囲内に入っており、デトラックは生じていないので、S5に進み、変数VFEのフォーカスエラー信号の値とメモリ部36に記憶されているVLFを比較して|VFE|>VLFであるかどうかを判断する。
この場合、VLFは図6に示すようにデフォーカスを検出する際の基準電圧であり、|VFE|とVLFを比較することによってフォーカスエラー信号の値がVLF〜−VLFの範囲内にあるかどうかを判断する。|VFE|<VLFであれば、フォーカスエラー信号は所定範囲内に入っており、デフォーカスは生じていないので、S7に進んで次の処理を行う。一方、S4の判断の結果、|VTE|>VLTである場合は、光スポットがデトラックが生じていると判断し、直ちに記録または再生動作を中止する制御を行う(S6)。記録中であるときは、併せてレーザ駆動回路を制御し、半導体レーザの光出力を低下させる制御を行う。また、S5の判断の結果、|VFE|>VLFであった場合は、デフォーカスが生じていると判断し、同様にS6で記録または再生動作を中止し、記録中であるときは半導体レーザの光出力を低下させる。
以上でランドグルーブ記録用のディスクに対してデトラック及びデフォーカスの検出を終了するのであるが、トラック飛びやフォーカス外れの可能性があるので、続けてS7以降の処理を行う。具体的に説明すると、まず|VTE|とVNTを比較することによって光スポットのトラック飛びを検出する(S7)。VNTは図5のようにトラック飛びを検出する際の基準電圧である。S7で|VTE|<VNTであった場合は、トラッキングエラー信号はVNT〜−VNTの範囲内に入っているので、トラッキング制御は正常と判断する。トラッキング制御が正常であれば、S8に進み、|VFE|とVNFを比較することによってフォーカス外れの検出を行う。VNFは図6のようにフォーカス外れを検出する際の基準電圧であり、|VFE|<VNFであれば、フォーカスエラー信号は−VNF〜VNFの範囲に入っているので、フォーカス制御は正常であると判断し、処理を終了する。
一方、S7で|VTE|>VNTであった場合は、トラッキングエラー信号が所定範囲から外れているので、トラック飛びが発生したと判断し、直ちに記録または再生動作を中止する制御を行う(S9)。記録中であったときは、併せて半導体レーザの光出力を低下させる。但し、この場合、S6で既に記録または再生動作を中止しているときは、何も行わないものとする。次いで、トラッキングサーボをオフし(S10)、フォーカスサーボをオフし(S11)、その後エラー処理を行う。エラー処理においては、装置を再起動し、記録できなかった情報を再度記録したり、再生できなかった情報を再度再生したりする処理を行う。以上で1回の処理が終了し、次のサンプリング周期でトラッキングエラー信号とフォーカスエラー信号が取り込まれると、全く同様の処理を行い、以下所定のサンプリング周期ごとに図3の処理を繰り返し行う。
次に、S3において、セットされたディスクの種別が通常のディスクと判別した場合は、S7に進んでトラック飛びとフォーカス外れを検出する処理を行う。S7以降の処理については先に詳しく説明したので簡単に説明する。まず|VTE|とVNTを比較してトラック飛びが発生していないかどうかを判断し(S7)、トラック飛びが生じていなければ、|VFE|とVNFを比較してフォーカス外れが発生していないかどうかを判断する(S8)。トラック飛びやフォーカス外れが生じてなければ、その時点で処理を終了する。一方、トラック飛びやフォーカス外れを検出した場合は、記録または再生動作を中止(S9)、トラッキングサーボをオフし(S10)、フォーカスサーボをオフし(S11)、エラー処理を行う。以上で1回の処理が終了し、以下所定のサンプリング周期で同様の処理を繰り返し行う。
本実施形態においても、上記参考実施例と全く同様の効果を得られるばかりでなく、デジタル信号処理による構成としたので、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号の比較回路、スイッチ、あるいはオア回路などの回路部品が不要となり、装置の構成を簡単化することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、通常の光ディスクやランドグルーブ記録用の光ディスクに加えて、ランド部とグルーブ部の両方に記録または再生を行う領域とランド部とグルーブ部のいずれか一方に記録または再生を行う領域が混在した光ディスクを用いるようにした例である。第2の実施形態の構成は図2と同じである。また、通常、ディスクのトラックは複数のセクタに分割され、各セクタの先頭位置に記録、再生に必要なアドレス情報や同期パターンなどが記録されたプリフォーマット部が設けられているが、本実施形態では、このプリフォーマット部でディスクの種別がわかるようにしておく。一部にランドグルーブ記録用のセクタを含むディスクでは、プリフォーマット部でそのセクタが通常の記録領域であるのか、ランドグルーブ記録領域であるのかがわかるようにしておく。例えば、プリフォーマット部にディスクの種別やセクタの種別を示す情報を記録しておくものとする。更に、記録再生回路32はディスクのプリフォーマット部を再生する場合、プリフォーマット部を光スポットが通過中であることを示す情報、及びそのディスクやセクタの種別情報をマイクロプロセッサ33に出力するものとする。
本実施形態の具体的な動作を図4に基づいて説明する。本実施形態では、ディスクが装置にセットされると、マイクロプロセッサ33はフォーカスサーボ、トラッキングサーボを開始し、記録や再生が可能な状態とする。この後、マイクロプロセッサ33はフォーカスサーボやトラッキングサーボと並行して図4の処理を行う。なお、ここでは、前述のように通常の記録領域とランドグルーブ記録領域が混在したディスクが装置にセットされたものとする。図4において、まず、マイクロプロセッサ33は記録再生回路32からの情報に基づいてセクタの先頭に設けられているプリフォーマット部を再生中であるかどうかを判断する(S1)。プリフォーマット部を再生中であれば、マイクロプロセッサ33はそのセクタが通常の記録領域であるのか、ランドグルーブ記録領域であるのか、セクタの種別を判断する(S2)。これは、前述のようにプリフォーマット部に予めそのセクタの種別を示す情報を記録するなどしてセクタの種別がわかるようにしているので、それをもとに判断する。
もし、セクタの種別がランドグルーブ記録用であれば、メモリ部36に設けられたDフラグ(セクタの種別を示すフラグ)をランドグルーブ記録領域であることを示す値にセットし(S3)、通常のセクタであれば、Dフラグを通常のセクタであることを示す値にセットする(S4)。次いで、マイクロプロセッサ33ではプリフォーマット部の再生を終了すると、A/Dコンバータ34で取り込まれたトラッキングエラー信号の値を変数VTEに書き込み(S5)、フォーカスエラー信号の値を変数VFEに書き込む(S6)。続いて、メモリ部36のDフラグの内容に基づいてそのセクタがランドグルーブ記録領域であるかどうかを判別し(S7)、判別結果に応じてデトラックとデフォーカスの検出、あるいはトラック飛びとフォーカス外れを検出する処理を行う。
S7の判別結果に応じた処理は図3と全く同じであるので、簡単に説明する。まず、そのセクタがランドグルーブ記録用のセクタと判別した場合は、マイクロプロセッサ33ではS5で得られたトラッキングエラー信号の値|VTE|とメモリ部36に記憶されているVLTの値を比較し、光スポットのデトラックを検出する(S8)。また、S6で得られたフォーカスエラー信号の値|VFE|とメモリ部36に記憶されているVLFの値を比較し、光スポットのデフォーカスを検出する(S9)。ここで、もしデトラックまたはデフォーカスが生じていれば、直ちに記録または再生動作を中止し(S10)、デトラックやデフォーカスが生じていなければそのままS11以降の処理を行う。
S11以降の処理は、前述のようにトラック飛びやフォーカス外れが発生している可能性があるので、デトラックやデフォーカスの検出に引き続いて行う。まず、マイクロプロセッサ33は|VTE|とメモリ部36に記憶されているVNTを比較してトラック飛びが発生していないかどうかを判断する(S11)。また、|VFE|とメモリ部36に記憶されているVNFを比較してフォーカス外れが発生していないかどうかを判断する(S12)。トラック飛びやフォーカス外れが発生していなければ処理を終了し、もしトラック飛びまたはフォーカス外れが発生していれば、直ちに記録または再生動作を中止する(S13)。但し、この場合先にデトラックやデフォーカスが発生し、S10で記録または再生動作を中止している場合は、何も行わないものとする。次いで、トラッキングサーボをオフし(S14)、フォーカスサーボをオフし(S15)、その後、前述のようなエラー処理を行う。
一方、S7において、そのセクタを通常のセクタと判別した場合は、直接S11に進み、トラック飛びとフォーカス外れを検出する。即ち、S11で前述のようにトラック飛びが発生していないかどうかを判断し、S12でフォーカス外れ発生していないかどうかを判断する。トラック飛びやフォーカス外れが発生していなければそのまま処理を終了し、もしトラック飛びまたはフォーカス外れが発生していれば、直ちに記録または再生動作を中止する(S13)。続いて、トラッキングサーボをオフし(S14)、フォーカスサーボをオフし(S15)、その後エラー処理を行う。以上で1回の処理が終了し、以下所定のサンプリング周期ごとに同様の処理を繰り返し行う。なお、通常のディスクやランドグルーブ記録用のディスクがセットされた場合においても、セクタの先頭のプリフォーマット部でディスクの種別が判別できるので、図4の処理を行うことによってディスクの種別に応じてトラックずれやフォーカスずれを検出する検出レベルを設定することができる。
本実施形態では、プリフォーマット部にディスクの種別やセクタの種別を付与し、それに基づいてトラックずれやフォーカスずれの検出レベルを切り換えるようにしたので、1つの装置で通常のディスク、ランドグルーブ記録用のディスク及び通常の記録領域トランドグルーブ記録領域の混在したディスクの3つのディスクの互換性をとることができる。従って、このような3種類の記録媒体に対して上記参考実施例や第1の実施形態と全く同様に各々最適な検出レベルの条件で光スポットのトラックずれやフォーカスずれを検出でき、必要以上に装置の動作が停止するという事態を防止することができる。
なお、第2の実施形態において、通常記録や再生を行わない待機状態のときはトラッキングサーボやフォーカスサーボはオンしているのであるが、このような場合、Dフラグを通常の記録領域を示す値にセットしておくのが望ましい。こうすることにより、待機状態であるときに、振動などの外乱が加わったとしても、図4のS14,S15でトラッキングサーボとフォーカスサーボがオフされるので、ディスクの損傷や装置の破壊などを防止することができる。