JP2004086174A - 感光性平版印刷版及びその処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性平版印刷版に関するもので、詳しくは感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れた感光性平版印刷版及びその処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、親水化表面処理を行った支持体上に、光重合性層及び保護層を積層した感光性平版印刷版(以下、平版印刷版ともいう)が知られている。また、特に近年は、迅速に高解像度の平版印刷版を得るため、また、フィルムレス化を目的として、レーザーを使用する画像情報に基づくデジタル露光を行い、これを現像して平版印刷版を製造する方法が汎用化されている。
【0003】
例えば、電子製版システムや画像処理システム等からの出力信号ないしは通信回線等により伝送された画像信号により、光源を変調し、感光性材料に直接走査露光をして、印刷版を形成するシステムが知られている。
【0004】
光重合性層は、一般的にアクリル系単量体、アルカリ可溶性樹脂及び光重合性開始剤、更に必要に応じて(特にレーザー書き込みを行う際)波長に適合させるために増感色素を含有することが知られている。
【0005】
光重合型の平版印刷版を露光・製版する光源としては、Arレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)のような長波長の可視光源が用いられている。さらに近年では、例えば、InGaN系やZnSe系の材料を用い、350nmから450nm域で連続発振可能な半導体レーザーが実用段階となっている。これらの短波光源を用いた走査露光システムは、半導体レーザーが構造上、安価に製造できるため、十分な出力を有しながら、経済的なシステムを構築できるといった長所を有する。さらに、従来のFD−YAGやArレーザーを使用するシステムに比較して、より明るいセーフライト下での作業が可能な感光域が短波な感光材料が使用できる可能性がある。
【0006】
これらにおいて最も大きな課題は、光線に対する感材感度の向上である。通常、光重合開始系の活性ラジカル発生能力は、450nm以上の光線に対しては急激に感応性が減少することがよく知られている。このような可視光領域の光線に感応することのできる光重合型感光材料については、従来、多くの提案がなされてきた。例えば、ある種の感応性染料(例えば、特許文献1参照。)、染料とアミンの複合開始系(例えば、特許文献2参照。)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(例えば、特許文献3参照。)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(例えば、特許文献4、5参照。)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(例えば、特許文献6参照。)、置換トリアジンとメロシアニン色素の系(例えば、特許文献7参照。)、3−ケトクマリンと活性剤の系(例えば、特許文献8、9参照。)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(例えば、特許文献10参照。)、有機過酸化物と色素の系(例えば、特許文献11、12参照。)、ローダニン骨格の色素とラジカル発生剤の系(例えば、特許文献13参照。)、脂肪族アミノ酸塩とピロメテンボレート系増感色素の系(例えば、特許文献14参照。)等が挙げられる。
【0007】
また、チタノセンが光重合開始剤として有効であることは、多数記載されて(例えば、特許文献15〜19参照。)おり、併用系としての使用例としては、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(例えば、特許文献20参照。)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(例えば、特許文献21、22参照。
)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(例えば、特許文献23、24参照。)等を挙げることができる。
【0008】
しかしながら、これらの従来技術は確かに可視光線に対し有効であるが、感度が十分でない等の問題があり、実用に供することができなかった。
【0009】
また、光重合型の平版印刷版では通常、画像露光、必要に応じ加熱処理を行った後、保護層除去のための水洗、未露光部分を溶解除去するための現像処理、水洗処理、非画像部の親水化のためのフィニッシャーガム処理を行い、平版印刷版を得ている。このとき、保護層成分が感光層の露光部から十分に除去されない場合、また、画像部にフィニッシャーガム成分が強固に形成された場合、印刷開始時に、インキの着肉が悪く、損紙が増加してしまうことがあり、保護層の塗布を行う前の感光層の残留溶剤量を制御する技術を開示して(例えば、特許文献25参照。)いるが、これらの方法では不十分であった。
【0010】
一方、平版印刷版の現像液としては、非画像部の感光層を完全に除去するため、即ち現像を行うために、通常、水系アルカリ現像液として、pH12.5以上で用いられることが一般的であった。しかしながら、近年に至り、作業性、安全性、環境適性等の観点からより低いpHのアルカリ現像液での処理が望まれる様になってきている。
【0011】
こうした中で、従来の光重合型の平版印刷版について、係る低いpHのアルカリ現像液での現像において、現像性や現像スラッジ量が増加する等の問題が明らかとなり、また一方、低いpHの現像液での現像で感光性重合層の現像性を高めようとすると、耐刷性及びインキ着肉性が悪くなるという問題が発生してしまうという課題があった。
【0012】
また、光重合型の平版印刷版を製造する際は、一般に有機溶剤に塗布材料を溶解または分散させ、ワイヤーバーコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング等で塗布し、所定の乾燥条件で乾燥し、平版印刷版として仕上げる。その際、使用する塗布溶剤としては、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等(例えば、特許文献26参照。)、またはジエトキシメタン(例えば、特許文献27参照。)、またはエタノール、ブタノール、シクロペンタノン、アセトン等(例えば、特許文献28参照。)の有機溶剤が知られている。
【0013】
しかしながら、このようにして製造された平版印刷版をレーザー露光し、現像処理を行う際、特に長期にわたって現像液を交換せず、適宜補充することでランニング処理する場合、現像液中に沈殿物(スラッジ)が発生し、しばしば印刷において非画線部にスポット状の汚れ、非画線部のうす汚れ、あるいは網点部のインクのからみを生じて印刷上でのトラブルを引き起こしていた。また同様に、長期のランニングにおいて、網点の変化、特に小点、シャドー部の網点再現の変化、細線部の再現の変化を引き起こし、安定した品質の印刷物が得られない状態であった。特に、環境対応として石油系の揮発性有機化合物を使用しない印刷インキを使用して印刷した場合、特にその傾向が強い。
【0014】
【特許文献1】
米国特許2,850,445号明細書 (第1欄第46〜55行)
【0015】
【特許文献2】
特公昭44−20189号公報
【0016】
【特許文献3】
特公昭45−37377号公報
【0017】
【特許文献4】
特公昭47−2528号公報
【0018】
【特許文献5】
特開昭54−155292号公報
【0019】
【特許文献6】
特開昭48−84183号公報
【0020】
【特許文献7】
特開昭54−151024号公報
【0021】
【特許文献8】
特開昭52−112681号公報
【0022】
【特許文献9】
特開昭58−15503号公報
【0023】
【特許文献10】
特開昭59−140203号公報
【0024】
【特許文献11】
特開昭59−140203号公報
【0025】
【特許文献12】
特開昭59−189340号公報
【0026】
【特許文献13】
特開平2−244050号公報
【0027】
【特許文献14】
特開2000−250206号公報 (第7〜9頁)
【0028】
【特許文献15】
特開昭59−152396号公報
【0029】
【特許文献16】
特開昭61−151197号公報
【0030】
【特許文献17】
特開昭63−10602号公報
【0031】
【特許文献18】
特開昭63−41484号公報
【0032】
【特許文献19】
特開平3−12403号公報
【0033】
【特許文献20】
特開昭63−221110号公報
【0034】
【特許文献21】
特開平4−221958号公報
【0035】
【特許文献22】
特開平4−219756号公報
【0036】
【特許文献23】
特開平6−295061号公報 (第1〜24頁)
【0037】
【特許文献24】
特開平9−328505号公報 (第1〜24頁)
【0038】
【特許文献25】
特開平10−315598号公報 (第7頁)
【0039】
【特許文献26】
特開平8−272085号公報 (第2頁)
【0040】
【特許文献27】
特開平9−132738号公報 (第2頁)
【0041】
【特許文献28】
特開平10−315598号公報 (第2及び第7頁)
【0042】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れた感光性平版印刷版及びその処理方法を提供することである。
【0043】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、以下の構成によって達成された。
【0044】
1.親水性表面を有する支持体上に、光重合性感光層を有する感光性平版印刷版において、前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種と前記一般式(3)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
【0045】
2.親水性表面を有する支持体上に、光重合性感光層を有する感光性平版印刷版において、該光重合性感光層に前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種と前記一般式(4)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
【0046】
3.310nm以上450nm以下に吸収極大を有する増感色素を光重合性感光層に含有することを特徴とする前記1あるいは2記載の感光性平版印刷版。
【0047】
4.前記1〜3のいずれか1項記載の感光性平版印刷版を、疎水基部分の飽和アルキル基の分子量が、疎水基全体の分子量の25%以下である界面活性剤の存在下で処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
【0048】
本発明を更に詳しく説明する。まず、本発明に用いられる前記一般式(1)で表されるエチレン性二重結合含有単量体について説明する。
【0049】
一般式(1)において、R4で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ドコサデシル基等が挙げられる。
【0050】
一般式(1)において、R4で表されるヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシペンチル基等が挙げられる。
【0051】
一般式(1)において、R4で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0052】
一般式(1)において、R1及びR2で表されるアルキル基は、前記R4で表されるアルキル基と同義である。
【0053】
一般式(1)において、R1及びR2で表されるアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、プロポキシエチル基等が挙げられる。
【0054】
一般式(1)において、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基としては、例えば、飽和炭化水素基、アリーレン基、不飽和炭化水素基、複素環基等が挙げられ、好ましくはアリーレン基、不飽和炭化水素基である。
【0055】
一般式(1)において、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する飽和炭化水素基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等が挙げられる。
【0056】
一般式(1)において、X1で表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0057】
一般式(1)において、X2で表される2価の基は、前記X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基として挙げられる、飽和炭化水素基、アリーレン基等を用いることができるが、更に、前記飽和炭化水素基の中の5個までのメチレン基が酸素原子によって置換されたものを用いることが出来る。
【0058】
一般式(1)において、X2で表される3価の基は、上記のX2で表される2価の基(飽和炭化水素基、アリーレン基等)に更にひとつ結合基がついたものであり、例えば、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ウンデカントリイル基、ドデカントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロペンタントリイル基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基等が挙げられる。
【0059】
一般式(1)において、X2で表される4価の基は、上記のX2で表される3価の基に更にひとつ結合基がついたものであり、例えば、プロパンジイリデン基、1,3−プロパンジイル−2−イリデン基、ブタンジイリデン基、ペンタンジイリデン基、ヘキサンジイリデン基、ヘプタンジイリデン基、オクタンジイリデン基、ノナンジイリデン基、デカンジイリデン基、ウンデカンジイリデン基、ドデカンジイリデン基、シクロヘキサンジイリデン基、シクロペンタンジイリデン基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基等が挙げられる。
【0060】
一般式(1)のX2において、Zで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
【0061】
一般式(1)のX2において、Zで表されるアルケニル基としては、例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0062】
一般式(1)のX2において、Zで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、m−クロロフェニル基、p−トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0063】
一般式(1)のX2において、Zで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
【0064】
一般式(1)のX2において、Zで表されるアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0065】
一般式(1)のX2において、Zで表される複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピロリル基、2−メチルピロリル基、インドリル基、イミダゾリル基、フリル基、チアゾリル基、ピリミジニル基等が挙げられる。
【0066】
一般式(1)において、D1及びD2で表される、1〜5個の炭素原子を有する2価の基としては、メチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基等が挙げられる。
【0067】
一般式(1)において、Eで表される、2〜12個の炭素原子を有する2価の基は、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基と同義である。
【0068】
一般式(1)において、Eで表される、5員環〜7員環であり、且つ、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる2つまでの原子を含む複素環を置換基として有する脂肪族基を構成する複素環としては、例えば、ピリジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラン環、チオフェン環、イソオキサゾール環、ピロリン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、キヌクリジン環等が挙げられる。
【0069】
前記の脂肪族基としては、上記記載の複素環を有する炭素数2〜12の2価の基が挙げられ、前記2価の基は、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基と同義である。
【0070】
一般式(1)において、Eで表される、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0071】
一般式(1)において、Eで表される5員環または6員環を有する芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等が挙げられる。
【0072】
ここで、上記記載の一般式(1)で表される各々の置換基は、更に置換基を有していてもよい。
【0073】
本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、当該業者周知の方法、例えば、特許第2509288号等に記載の方法を参照して合成できる。
【0074】
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0075】
【化8】
【0076】
【化9】
【0077】
【化10】
【0078】
【化11】
【0079】
次に、本発明に用いられる前記一般式(2)で表される化合物(エチレン性二重結合含有単量体)について説明する。
【0080】
前記一般式(2)において、R8は(g−f)が2以上の場合は、互いに異なってもよい。gとfが同じ値である化合物が好ましい。R8がアルキル基、ヒドロキシアルキル基の場合は、炭素数は2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。R8がアリール基の場合は、単環または2環が好ましく、単環がより好ましく、かつ炭素数5個までのアルキル基、アルコキシアルキル基またはハロゲン原子で置換されてもよい。
【0081】
R5及びR6がアルキル基またはアルコキシアルキル基の場合は、炭素数は1〜5が好ましい。
【0082】
R7はメチル基が好ましい。
D3及びD4は同一または異なってもよく、かつ2個の窒素原子を含む6員の飽和複素環が好ましい。
【0083】
Fが飽和炭化水素基の場合は2〜6個の炭素原子を有することが好ましく、Fがアリーレン基の場合はフェニレン基が好ましく、環状脂肪族基の場合はシクロヘキシレン基が好ましく、複素環芳香族基の場合は窒素原子または硫黄原子を含む5〜6員環が好ましい。
【0084】
一般式(2)で表される化合物を得るには、Q2がNであり、nとmが同じ値の場合は、グリシジルアクリレートまたはアルキルアクリレートをヒドロキシアルキルアミンと反応させる。他の化合物も同様にして得ることができる。
【0085】
本発明の一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0086】
【化12】
【0087】
一般式(1)、(2)で表される化合物の添加量は光重合性感光層の不揮発成分の30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
【0088】
有機系ボレート塩化合物としては、特開昭62−143044号、特開平9−188685号、同9−188686号、同9−188710号等に記載の有機ボレート化合物(以下、「ボレート化合物」という場合がある。)、又はカチオン性色素から得られる分光増感色素系ボレート化合物等が挙げられる。本発明の一般式(3)で示される化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
【化13】
【0090】
【化14】
【0091】
【化15】
【0092】
【化16】
【0093】
【化17】
【0094】
【化18】
【0095】
【化19】
【0096】
本発明の一般式(3)で示される化合物の添加量は、光重合性感光層の不揮発成分当たり0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。
【0097】
本発明の一般式(4)で表される化合物は、具体的には(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロアルセネート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロポレート、(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アントラセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ピレン)(η5−シクロペンタジェニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−トルエン)(η5−アセチルシクロペンタジニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート、(η6−ベンゼン)(η5ーカルボエトキシシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−1,3−ジクロルシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−シアノベンゼン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アセトフェノン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−メチルベンゾエ−ト)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼンスルホンアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート、(η6−ベンズアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−シアノベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート(η6−クロルナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アントラセン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレートなどがあげられる。これらの化合物は、Dokl.Akd.Nauk SSSR 149 615(1963)に記載された方法により合成できる。
【0098】
本発明の一般式(4)で示される化合物の添加量は、光重合性感光層の不揮発成分当たり0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。
【0099】
本発明の感光性平版印刷版は、光重合性感光層に増感色素を含有することが好ましい。可視光から近赤外まで波長増感させる化合物としては、例えばシアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に欧州特許568,993号、米国特許4,508,811号、同5,227,227号、特開2001−125255、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。より好ましくは、一般式(3)を含有する系では、カチオン色素、一般式(4)を含有する系では、アニオン色素である。
【0100】
310nm以上450nm以下に吸収極大を有する増感色素としては、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0101】
【化20】
【0102】
式中、R14は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。R15、R16は連結して環を形成しうる置換基を表す。X11、X12はそれぞれ独立に、−CR17R18−、−O−、−S−、−NR19−を表す。R17、R18、R19はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0103】
R14で表される置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基などを挙げることができ、R14で表される置換基を有していてもよいアルケニル基としては、例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基などを挙げることができ、R14で表される置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基など、アラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基などを挙げることができ、またR14で表される置換基を有していてもよい複素環基としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環、クロマン環、クマリン環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、スルホラン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環などの5員又は6員の複素環より誘導される複素環基を挙げることができる。
【0104】
また、R17、R18、R19で表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環基としては、上記R14で記載のと同じ各基を挙げることができる。
【0105】
本発明の一般式(5)で表される増感色素は、当業者で従来公知の方法に準じて合成して得ることができる。
【0106】
一般式(5)で表される増感色素の一例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
【化21】
【0108】
本発明の増感色素として、クマリン系の色素を用いる事ができる。好ましいクマリンの構造は、下記一般式(6)で表される。
【0109】
【化22】
【0110】
式中、R21〜R26は、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、等が挙げられる。
【0111】
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0112】
この中で、特に好ましいのは、R25にアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基を有するクマリンである。この場合、アミノ基に置換したアルキル基が、R24、R26の置換基と環を形成しているものも好ましく用いることができる。
【0113】
さらに、R21、R22のいずれか、あるいは両方が、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基等)であると更に好ましい。
【0114】
好ましいクマリン系の色素具体例として、下記の化合物が挙げられるが、これに限定するものではない。
【0115】
【化23】
【0116】
【化24】
【0117】
上記具体例の他に、特開平8−129258号公報のB−1からB−22のクマリン誘導体、特開2003−21901号公報のD−1からD−32のクマリン誘導体、特開2002−363206号公報の1から21のクマリン誘導体、特開2002−363207号公報の1から40のクマリン誘導体、特開2002−363208号公報の1から34のクマリン誘導体、特開2002−363209号公報の1から56のクマリン誘導体等も好ましく使用可能である。
【0118】
本発明において、増感色素の添加方法としては、水又は有機溶媒等の適当な溶媒を選択し、それらに溶解して添加することができ、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0119】
本発明において、増感色素の添加量は、一概には規定できないが、好ましくは溶媒を除く感光性組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0120】
本発明の増感色素として使用するクマリン系の色素の、感光層中への添加量は、記録光源波長における、版面の反射濃度が、0.1から1.2の範囲となる量であることが好ましい。この範囲となる、該色素の感光層中における質量比率は、各色素の分子吸光係数と、感光層中における結晶性の程度により、大幅に異なるが、一般的には、0.5質量パーセントから、10質量パーセントの範囲であることが多い。
【0121】
増感色素の吸収極大の測定は、HITACHI社製 Spectrophotometer U−3300を用いて測定した。測定スピードは600nm/minで、増感色素はメタノールに溶解し、吸光度が0.4以上3.0以下になるよう濃度を調整した。メタノールに溶解しずらく吸光度が0.4未満の化合物については適宜、MEK、DMF等の溶剤を加えて測定した。
【0122】
以下に本発明の増感色素として使用するクマリン系の色素の吸収極大を示す。
【0123】
【表1】
【0124】
本発明の処理の際用いる疎水基部分の飽和アルキル基の分子量が、疎水基全体の分子量の25%以下である化合物(以後化合物Aともいう)は、4.0〜10.0質量%の範囲で使用する。さらに、4.5〜7.0質量%の範囲で使用することがなお好ましい。化合物Aでの疎水基中の飽和アルキル基の割合は、0〜5質量%であることがもっとも好ましい。また疎水基部分の分子量はある程度大きいことが好ましく、120以上であることが好ましい。疎水基の割合が小さいと感光層の溶解性が悪くスラッジを生じる。化合物Aの添加量が少ないと感光層の溶解性が悪くスラッジを生じる。多すぎると発泡性が大きくなりすぎたり、感光層の膜減りが発生したりする為、好ましくない。以下に化合物Aの例を示す。
【0125】
【化25】
【0126】
【化26】
【0127】
本発明の平版印刷版に係る支持体は、例えばアルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、また、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムに前述の金属薄膜をラミネートまたは蒸着したもの、また、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等が使用できるが、アルミニウム板が好ましく使用され、この場合、純アルミニウム板及びアルミニウム合金板等であってもかまわない。
【0128】
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
【0129】
本発明に係る支持体は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。また、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
【0130】
粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
【0131】
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力をかけ射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。また、例えば、支持体表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を、100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを張り合わせ、圧力をかけてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
【0132】
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0133】
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば、特公昭48−28123号公報、英国特許第896,563号公報、特開昭53−67507号公報に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。この粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
【0134】
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、20〜100A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
【0135】
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2、更には200〜1000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
【0136】
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。また、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0137】
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、また、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
【0138】
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/または燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許第1,412,768号公報に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、同3,511,661号公報に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、シュウ酸、マロン酸等を一種または二種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は、1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。
陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
【0139】
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
【0140】
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体及び共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0141】
支持体としては上述の様に各種のものが使用でき、また例えば、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等も使用することができ、プラスチックフィルムの親水化処理方法としては、硫酸処理、酸素プラズマエッチング処理、コロナ放電処理、水溶性樹脂層塗布層を設ける等が好ましく用いられる。本発明の実施においては、表面を粗面化処理、陽極酸化処理、封孔処理、及び下塗り処理を施したアルミニウム板が特に好ましい。
【0142】
本発明に係る光重合性感光層は高分子結合剤(バインダー)を含有する。高分子結合材は、下記(1)〜(17)に記載のモノマー(単量体)の少なくとも1種からなるビニル系共重合体を含有することが好ましい。
【0143】
(1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(またはp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(またはp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0144】
(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
【0145】
(3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(またはp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(またはp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0146】
(4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
【0147】
(5)α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等。
【0148】
(6)置換または無置換のアルキルアクリレート、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等。
【0149】
(7)置換または無置換のアルキルメタクリレート、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等。
【0150】
(8)アクリルアミドまたはメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
【0151】
(9)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
【0152】
(10)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
【0153】
(11)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
【0154】
(12)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
【0155】
(13)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
【0156】
(14)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
【0157】
(15)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0158】
(16)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(またはm−,p−)シアノスチレン等。
【0159】
(17)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0160】
上記高分子結合剤には、必要に応じてポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等、他の任意の高分子結合剤が、上記の本発明に係るビニル系共重合体と併用されてもよい。
【0161】
光重合性感光層中における上記高分子結合剤の含有量は、光重合性感光層の10〜90質量%が好ましく、15〜70質量%が更に好ましく、20〜50質量で使用することが感度の面から特に好ましい。更に、上記のビニル系共重合体は、該高分子結合剤において、50〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。
【0162】
本発明に係る高分子結合剤に含まれる重合体の酸価については、10〜150が好ましく、30〜120がより好ましく、50〜90が、感光層全体の極性のバランスをとる観点から特に好ましく、これにより感光層塗布液での顔料の凝集を防ぐこと等ができる。
【0163】
本発明に係る光重合性感光層の塗布組成物には、上記した成分の他に、平版印刷版の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合単量体の不要な重合を阻止するために、重合防止剤を添加することが望ましい。適当な重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等があげられる。
【0164】
重合防止剤の添加量は、上記組成物の全固形分の質量に対して、約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加したり、塗布後の乾燥の過程で感光性層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0165】
また、着色剤も使用することができ、着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用できる。例えば、改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられているものが挙げられる。
【0166】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
【0167】
これらの中でも、使用する露光レーザーに対応した増感色素の吸収波長域に実質的に吸収を持たない顔料を選択して使用することが好ましく、この場合、使用するレーザー波長での積分球を用いた顔料の反射吸収が0.05以下であることが好ましい。また、顔料の添加量としては、上記組成物の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
【0168】
露光光源として、アルゴンレーザー(488nm)またはSHG−YAGレーザー(532nm)を使用する場合には、上記の感光波長領域での顔料吸収及び現像後の可視画性の観点から、紫色顔料、青色顔料を用いるのが好ましい。このようなものとしては、例えばコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、フォナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーファストスカイブルー、インダンスレンブルー、インジコ、ジオキサンバイオレット、イソビオランスロンバイオレット、インダンスロンブルー、インダンスロンBC等を挙げることができる。これらの中で、より好ましくはフタロシアニンブルー、ジオキサンバイオレットである。
【0169】
また、上記組成物は、本発明の性能を損わない範囲で、界面活性剤を塗布性改良剤として含有することができる。その中でも好ましいのはフッ素系界面活性剤である。
【0170】
また、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全固形分の10%以下が好ましい。
【0171】
本発明に係る光重合性感光層の感光性組成物を調製する際に使用する溶剤としては、例えば、アルコール:多価アルコールの誘導体類では、sec−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、またエーテル類:プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、またケトン類、アルデヒド類:ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、またエステル類:乳酸エチル、乳酸ブチル、シュウ酸ジエチル、安息香酸メチル等が好ましく挙げられる。
【0172】
調製された感光性組成物(感光層塗布液)は、従来公知の方法で支持体上に塗布し、乾燥し、平版印刷版を作製することができる。塗布液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押し出しコータ法等を挙げることができる。
【0173】
感光層の乾燥温度は、低いと十分な耐刷性を得ることができず、また高過ぎるとマランゴニーを生じてしまうばかりか、非画線部のカブリを生じてしまう。好ましい乾燥温度範囲としては、60〜160℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、特に好ましくは、90〜120℃の範囲で乾燥することが好ましい。
【0174】
本発明に係る光重合性感光層の上側には、保護層を設けることが好ましい。該保護層(酸素遮断層)は、後述する現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましい。
【0175】
該保護層を構成する素材として好ましい例は、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等が挙げられる。これらの化合物を単独または2種以上併用し塗布組成物とし用いることができる。特に好ましい化合物としてはポリビニルアルコールが挙げられる。
【0176】
保護層塗布組成物を調製するには、上記の素材を適当な溶剤に溶解して塗布液とすることができ、この塗布液を本発明に係る光重合性感光層上に塗布し、乾燥して保護層を形成することができる。保護層の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。保護層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。
【0177】
保護層の塗布方法としても、上記例に挙げた公知の方法を好適に用いることができる。保護層の乾燥温度は、感光層の乾燥温度よりも低い方がより好ましい。
好ましくは感光層乾燥温度との差が10℃以上、より好ましくは20℃以上である場合が好ましく、その場合の上限はせいぜい50℃程度が好ましい。
【0178】
また、保護層の乾燥温度が、感光層が含有するバインダーのガラス転移温度(Tg)より低いことが好ましい。保護層の乾燥温度と、感光層が含有するバインダーのガラス転移温度(Tg)の差は20℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上であり、その差の上限はせいぜい60℃程度が好ましい。
【0179】
本発明の平版印刷版材料に画像露光する光源としては、例えばレーザー、発光ダイオード、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、高圧水銀ランプ、無電極光源等を挙げることができる。
【0180】
一括露光する場合には、光重合性感光層上に、所望の露光画像のネガパターンを遮光性材料で形成したマスク材料を重ね合わせ、露光すればよい。
【0181】
発光ダイオードアレイ等のアレイ型光源を使用する場合や、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ等の光源を、液晶、PLZT等の光学的シャッター材料で露光制御する場合には、画像信号に応じたデジタル露光をすることが可能であり好ましい。この場合は、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うことができる。
【0182】
レーザー露光の場合には、光をビーム状に絞り画像データに応じた走査露光が可能なので、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うのに適している。また、レーザーを光源として用いる場合には、露光面積を微小サイズに絞ることが容易であり、高解像度の画像形成が可能となる。
【0183】
レーザー光源としては、アルゴンレーザー、He−Neガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー等を何れも好適に用いることが可能である。レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査等がある。円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部または全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部または全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
【0184】
画像露光した光重合性感光層は露光部が硬化する。これをアルカリ現像液で現像処理することにより、未露光部が除去され画像形成が可能となる。このような現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば珪酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;第二燐酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤を使用するアルカリ現像液が挙げられる。
【0185】
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−i−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−i−プロパノールアミン、ジ−i−プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いることができる。
【0186】
これらのアルカリ剤は、単独または2種以上組み合わせて用いられる。また、該現像液には、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性活性剤やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
【0187】
本発明に係る現像では、珪酸アルカリを含有するpH12.5未満の現像液で現像することが好ましく、より好ましくはpH10.5〜12.4の範囲である。係る現像により、本発明の効果が特異的に奏されるものである。即ち、従来不十分であった現像性や感度を十分な性能として引き出すこともさることながら、現像スラッジ性能の改良、耐刷性の改良等の性能も同時に改善できるものである。
【0188】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0189】
実施例1
(バインダーの合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸12部、メタクリル酸メチル70部、アクリロニトリル8部、メタクリル酸エチル10部、エタノール500部及びα,α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート2部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。GPCを用いて測定した質量平均分子量は約50,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。
【0190】
(支持体の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、0.3質量%の硝酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下に交流電流により60秒間、電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を、15%硫酸溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行った。
【0191】
この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
陽極酸化処理をしたアルミニウム板をポリビニルホスホン酸1.5%及びビニルホスホン酸0.2%の80℃の溶液中に30秒間通し、乾燥した。
【0192】
(支持体への下引き層設置)
上記支持体上に、下記組成の下引き層塗工液を乾燥時0.1g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥し、更に110℃で3分間の加熱処理を行って、下引き済み支持体を作製した。
【0193】
下引き層塗工液
γ−メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン 1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 19部
(感光性平版印刷版の作製)
上記下引き済み支持体上に、下記組成の光重合性感光層塗工液を乾燥時1.4g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥した。その後、更に該感光層上に、下記組成のオーバーコート層塗工液を乾燥時2.0g/m2になるようにアプリケーターで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上にオーバーコート層を有する感光性平版印刷版を作製した。
【0194】
光重合性感光層塗工液
アクリル系共重合体1(合成バインダー,分子量Mw=5万) 35.0部
増感色素(表2に示す色素) 4.0部
表2に示す一般式(3)の化合物もしくは比較開始剤1 4.0部
表2に示す一般式(1)もしくは(2)の化合物もしくは比較1 50.0部
フタロシアニン顔料(MHI#454:御国色素社製) 4.5部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート
(スミライザーGS:住友3M社製) 0.5部
サノールLS−770(三共社製) 0.5部
弗素系界面活性剤(メガファックF−178K;住友スリーエム社製)0.5部
トリアジン化合物 1.0部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
オーバーコート層塗工液
ポリビニルアルコール(GL−03:日本合成化学社製) 89部
水溶性ポリアミド(P−70:東レ社製) 10部
界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業) 1.0部
水 900部
【0195】
【化27】
【0196】
(画像形成)
このようにして作製した光重合型平版印刷版材料について、FD−YAGレーザー光源(532nm)を搭載したCTP露光装置(Tigercat:ECRM社製)を用いて2540dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で画像露光を行った。次いで、現像前にオーバーコート層を除去する前水洗部、下記組成の現像液を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)を備えたCTP自動現像機(PHW32−V:Technigraph社製)でプレヒート/現像処理を行い、平版印刷版を得た。
【0197】
現像液組成(下記添加剤を含有する水溶液)
Aケイ酸カリ 8.0質量%
表2に示す界面活性剤 3.0質量%
苛性カリ pH=12.3となる添加量
(平版印刷版の評価)
上記のようにして得られた平版印刷版について、以下の評価をした。
【0198】
《感度》
画像部の膜減りが観察されず、かつ、175線・50%の網点露光部が、作製した平版印刷版面上で50%に再現できる版面上での露光量とした。
【0199】
《耐刷性》
175線の画像を適性露光量(画像部の膜減りが観察されず、かつ、175線・50%の網点露光部が、作製した平版印刷版面上で50%に再現できる露光量の2倍の光量)で露光、現像して作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業(株)製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(東洋インク(株)製トーヨーキングハイエコーM紅)及び湿し水(東京インク(株)製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行い、1000枚連続印刷後、クリーナーで版面をふき、ハイライト部の点細り、シャドウ部の絡みの発生する印刷枚数を耐刷力の指標とした。耐刷性1回は1000枚連続印刷後クリーナーでふく作業を指す。多いほど好ましい。
【0200】
《汚し回復》
1000枚連続印刷後クリーナーでふき、15分後に印刷を再開し、非画線部の地汚れがなくなる枚数とした。少ないほど良好。
【0201】
《90%アミ点再現性》
上記レーザー描画パワーでリニアリティ未補正でアミ点を描画して、90%に再現されるはずのアミ点領域を500倍の光学顕微鏡で撮影し、2mm×2mmの範囲の画像部の面積を算出してアミ点%とした。
【0202】
《スラッジ》
各試料を1.5m2用意し、100mlの上記現像液に28℃30秒間浸漬し、無補充で1.5m2処理した。現像液を濾過水洗し70℃で1日間乾燥し残さをスラッジ量とした。
【0203】
【表2】
【0204】
【化28】
【0205】
【化29】
【0206】
表2から明らかなように、本発明の試料は、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れていることが判る。
【0207】
実施例2
実施例1の一般式(3)で表される化合物を一般式(4)で表される化合物とし、増感色素を変更したことを除き、実施例1と同様に試料を作製し、結果を表3に示す。
【0208】
尚、表3で用いた活性剤b及び化合物4−1〜4−3は以下の通り。
活性剤b:ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル:疎水基中の飽和アルキル部の比:100質量%
4−1:(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
4−2:(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロフェート
4−3:(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
【0209】
【表3】
【0210】
【化30】
【0211】
表3から明らかなように、本発明の試料は、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れていることが判る。
【0212】
実施例3
実施例1の増感色素を一般式(5)又は一般式(6)で表される化合物としたことと露光をFD−YAGレーザー光源(532nm)を搭載したCTP露光装置(Tigercat:ECRM社製)からバイオレットレーザー光源(408nm)を搭載したCOBALT−8(Escher−Grad Technologies Inc.)にしたことを除き、実施例1と同様に試料を作製し、結果を表4に示す。
【0213】
【表4】
【0214】
表4から明らかなように、本発明の試料は、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れていることが判る。
【0215】
【発明の効果】
本発明により、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れた感光性平版印刷版及びその処理方法を得た。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性平版印刷版に関するもので、詳しくは感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れた感光性平版印刷版及びその処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、親水化表面処理を行った支持体上に、光重合性層及び保護層を積層した感光性平版印刷版(以下、平版印刷版ともいう)が知られている。また、特に近年は、迅速に高解像度の平版印刷版を得るため、また、フィルムレス化を目的として、レーザーを使用する画像情報に基づくデジタル露光を行い、これを現像して平版印刷版を製造する方法が汎用化されている。
【0003】
例えば、電子製版システムや画像処理システム等からの出力信号ないしは通信回線等により伝送された画像信号により、光源を変調し、感光性材料に直接走査露光をして、印刷版を形成するシステムが知られている。
【0004】
光重合性層は、一般的にアクリル系単量体、アルカリ可溶性樹脂及び光重合性開始剤、更に必要に応じて(特にレーザー書き込みを行う際)波長に適合させるために増感色素を含有することが知られている。
【0005】
光重合型の平版印刷版を露光・製版する光源としては、Arレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)のような長波長の可視光源が用いられている。さらに近年では、例えば、InGaN系やZnSe系の材料を用い、350nmから450nm域で連続発振可能な半導体レーザーが実用段階となっている。これらの短波光源を用いた走査露光システムは、半導体レーザーが構造上、安価に製造できるため、十分な出力を有しながら、経済的なシステムを構築できるといった長所を有する。さらに、従来のFD−YAGやArレーザーを使用するシステムに比較して、より明るいセーフライト下での作業が可能な感光域が短波な感光材料が使用できる可能性がある。
【0006】
これらにおいて最も大きな課題は、光線に対する感材感度の向上である。通常、光重合開始系の活性ラジカル発生能力は、450nm以上の光線に対しては急激に感応性が減少することがよく知られている。このような可視光領域の光線に感応することのできる光重合型感光材料については、従来、多くの提案がなされてきた。例えば、ある種の感応性染料(例えば、特許文献1参照。)、染料とアミンの複合開始系(例えば、特許文献2参照。)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(例えば、特許文献3参照。)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(例えば、特許文献4、5参照。)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(例えば、特許文献6参照。)、置換トリアジンとメロシアニン色素の系(例えば、特許文献7参照。)、3−ケトクマリンと活性剤の系(例えば、特許文献8、9参照。)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(例えば、特許文献10参照。)、有機過酸化物と色素の系(例えば、特許文献11、12参照。)、ローダニン骨格の色素とラジカル発生剤の系(例えば、特許文献13参照。)、脂肪族アミノ酸塩とピロメテンボレート系増感色素の系(例えば、特許文献14参照。)等が挙げられる。
【0007】
また、チタノセンが光重合開始剤として有効であることは、多数記載されて(例えば、特許文献15〜19参照。)おり、併用系としての使用例としては、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(例えば、特許文献20参照。)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(例えば、特許文献21、22参照。
)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(例えば、特許文献23、24参照。)等を挙げることができる。
【0008】
しかしながら、これらの従来技術は確かに可視光線に対し有効であるが、感度が十分でない等の問題があり、実用に供することができなかった。
【0009】
また、光重合型の平版印刷版では通常、画像露光、必要に応じ加熱処理を行った後、保護層除去のための水洗、未露光部分を溶解除去するための現像処理、水洗処理、非画像部の親水化のためのフィニッシャーガム処理を行い、平版印刷版を得ている。このとき、保護層成分が感光層の露光部から十分に除去されない場合、また、画像部にフィニッシャーガム成分が強固に形成された場合、印刷開始時に、インキの着肉が悪く、損紙が増加してしまうことがあり、保護層の塗布を行う前の感光層の残留溶剤量を制御する技術を開示して(例えば、特許文献25参照。)いるが、これらの方法では不十分であった。
【0010】
一方、平版印刷版の現像液としては、非画像部の感光層を完全に除去するため、即ち現像を行うために、通常、水系アルカリ現像液として、pH12.5以上で用いられることが一般的であった。しかしながら、近年に至り、作業性、安全性、環境適性等の観点からより低いpHのアルカリ現像液での処理が望まれる様になってきている。
【0011】
こうした中で、従来の光重合型の平版印刷版について、係る低いpHのアルカリ現像液での現像において、現像性や現像スラッジ量が増加する等の問題が明らかとなり、また一方、低いpHの現像液での現像で感光性重合層の現像性を高めようとすると、耐刷性及びインキ着肉性が悪くなるという問題が発生してしまうという課題があった。
【0012】
また、光重合型の平版印刷版を製造する際は、一般に有機溶剤に塗布材料を溶解または分散させ、ワイヤーバーコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング等で塗布し、所定の乾燥条件で乾燥し、平版印刷版として仕上げる。その際、使用する塗布溶剤としては、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等(例えば、特許文献26参照。)、またはジエトキシメタン(例えば、特許文献27参照。)、またはエタノール、ブタノール、シクロペンタノン、アセトン等(例えば、特許文献28参照。)の有機溶剤が知られている。
【0013】
しかしながら、このようにして製造された平版印刷版をレーザー露光し、現像処理を行う際、特に長期にわたって現像液を交換せず、適宜補充することでランニング処理する場合、現像液中に沈殿物(スラッジ)が発生し、しばしば印刷において非画線部にスポット状の汚れ、非画線部のうす汚れ、あるいは網点部のインクのからみを生じて印刷上でのトラブルを引き起こしていた。また同様に、長期のランニングにおいて、網点の変化、特に小点、シャドー部の網点再現の変化、細線部の再現の変化を引き起こし、安定した品質の印刷物が得られない状態であった。特に、環境対応として石油系の揮発性有機化合物を使用しない印刷インキを使用して印刷した場合、特にその傾向が強い。
【0014】
【特許文献1】
米国特許2,850,445号明細書 (第1欄第46〜55行)
【0015】
【特許文献2】
特公昭44−20189号公報
【0016】
【特許文献3】
特公昭45−37377号公報
【0017】
【特許文献4】
特公昭47−2528号公報
【0018】
【特許文献5】
特開昭54−155292号公報
【0019】
【特許文献6】
特開昭48−84183号公報
【0020】
【特許文献7】
特開昭54−151024号公報
【0021】
【特許文献8】
特開昭52−112681号公報
【0022】
【特許文献9】
特開昭58−15503号公報
【0023】
【特許文献10】
特開昭59−140203号公報
【0024】
【特許文献11】
特開昭59−140203号公報
【0025】
【特許文献12】
特開昭59−189340号公報
【0026】
【特許文献13】
特開平2−244050号公報
【0027】
【特許文献14】
特開2000−250206号公報 (第7〜9頁)
【0028】
【特許文献15】
特開昭59−152396号公報
【0029】
【特許文献16】
特開昭61−151197号公報
【0030】
【特許文献17】
特開昭63−10602号公報
【0031】
【特許文献18】
特開昭63−41484号公報
【0032】
【特許文献19】
特開平3−12403号公報
【0033】
【特許文献20】
特開昭63−221110号公報
【0034】
【特許文献21】
特開平4−221958号公報
【0035】
【特許文献22】
特開平4−219756号公報
【0036】
【特許文献23】
特開平6−295061号公報 (第1〜24頁)
【0037】
【特許文献24】
特開平9−328505号公報 (第1〜24頁)
【0038】
【特許文献25】
特開平10−315598号公報 (第7頁)
【0039】
【特許文献26】
特開平8−272085号公報 (第2頁)
【0040】
【特許文献27】
特開平9−132738号公報 (第2頁)
【0041】
【特許文献28】
特開平10−315598号公報 (第2及び第7頁)
【0042】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れた感光性平版印刷版及びその処理方法を提供することである。
【0043】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、以下の構成によって達成された。
【0044】
1.親水性表面を有する支持体上に、光重合性感光層を有する感光性平版印刷版において、前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種と前記一般式(3)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
【0045】
2.親水性表面を有する支持体上に、光重合性感光層を有する感光性平版印刷版において、該光重合性感光層に前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種と前記一般式(4)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
【0046】
3.310nm以上450nm以下に吸収極大を有する増感色素を光重合性感光層に含有することを特徴とする前記1あるいは2記載の感光性平版印刷版。
【0047】
4.前記1〜3のいずれか1項記載の感光性平版印刷版を、疎水基部分の飽和アルキル基の分子量が、疎水基全体の分子量の25%以下である界面活性剤の存在下で処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
【0048】
本発明を更に詳しく説明する。まず、本発明に用いられる前記一般式(1)で表されるエチレン性二重結合含有単量体について説明する。
【0049】
一般式(1)において、R4で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ドコサデシル基等が挙げられる。
【0050】
一般式(1)において、R4で表されるヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシペンチル基等が挙げられる。
【0051】
一般式(1)において、R4で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0052】
一般式(1)において、R1及びR2で表されるアルキル基は、前記R4で表されるアルキル基と同義である。
【0053】
一般式(1)において、R1及びR2で表されるアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、プロポキシエチル基等が挙げられる。
【0054】
一般式(1)において、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基としては、例えば、飽和炭化水素基、アリーレン基、不飽和炭化水素基、複素環基等が挙げられ、好ましくはアリーレン基、不飽和炭化水素基である。
【0055】
一般式(1)において、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する飽和炭化水素基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等が挙げられる。
【0056】
一般式(1)において、X1で表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0057】
一般式(1)において、X2で表される2価の基は、前記X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基として挙げられる、飽和炭化水素基、アリーレン基等を用いることができるが、更に、前記飽和炭化水素基の中の5個までのメチレン基が酸素原子によって置換されたものを用いることが出来る。
【0058】
一般式(1)において、X2で表される3価の基は、上記のX2で表される2価の基(飽和炭化水素基、アリーレン基等)に更にひとつ結合基がついたものであり、例えば、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ウンデカントリイル基、ドデカントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロペンタントリイル基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基等が挙げられる。
【0059】
一般式(1)において、X2で表される4価の基は、上記のX2で表される3価の基に更にひとつ結合基がついたものであり、例えば、プロパンジイリデン基、1,3−プロパンジイル−2−イリデン基、ブタンジイリデン基、ペンタンジイリデン基、ヘキサンジイリデン基、ヘプタンジイリデン基、オクタンジイリデン基、ノナンジイリデン基、デカンジイリデン基、ウンデカンジイリデン基、ドデカンジイリデン基、シクロヘキサンジイリデン基、シクロペンタンジイリデン基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基等が挙げられる。
【0060】
一般式(1)のX2において、Zで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
【0061】
一般式(1)のX2において、Zで表されるアルケニル基としては、例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0062】
一般式(1)のX2において、Zで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、m−クロロフェニル基、p−トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0063】
一般式(1)のX2において、Zで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
【0064】
一般式(1)のX2において、Zで表されるアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0065】
一般式(1)のX2において、Zで表される複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピロリル基、2−メチルピロリル基、インドリル基、イミダゾリル基、フリル基、チアゾリル基、ピリミジニル基等が挙げられる。
【0066】
一般式(1)において、D1及びD2で表される、1〜5個の炭素原子を有する2価の基としては、メチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基等が挙げられる。
【0067】
一般式(1)において、Eで表される、2〜12個の炭素原子を有する2価の基は、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基と同義である。
【0068】
一般式(1)において、Eで表される、5員環〜7員環であり、且つ、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる2つまでの原子を含む複素環を置換基として有する脂肪族基を構成する複素環としては、例えば、ピリジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラン環、チオフェン環、イソオキサゾール環、ピロリン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、キヌクリジン環等が挙げられる。
【0069】
前記の脂肪族基としては、上記記載の複素環を有する炭素数2〜12の2価の基が挙げられ、前記2価の基は、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基と同義である。
【0070】
一般式(1)において、Eで表される、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0071】
一般式(1)において、Eで表される5員環または6員環を有する芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等が挙げられる。
【0072】
ここで、上記記載の一般式(1)で表される各々の置換基は、更に置換基を有していてもよい。
【0073】
本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、当該業者周知の方法、例えば、特許第2509288号等に記載の方法を参照して合成できる。
【0074】
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0075】
【化8】
【0076】
【化9】
【0077】
【化10】
【0078】
【化11】
【0079】
次に、本発明に用いられる前記一般式(2)で表される化合物(エチレン性二重結合含有単量体)について説明する。
【0080】
前記一般式(2)において、R8は(g−f)が2以上の場合は、互いに異なってもよい。gとfが同じ値である化合物が好ましい。R8がアルキル基、ヒドロキシアルキル基の場合は、炭素数は2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。R8がアリール基の場合は、単環または2環が好ましく、単環がより好ましく、かつ炭素数5個までのアルキル基、アルコキシアルキル基またはハロゲン原子で置換されてもよい。
【0081】
R5及びR6がアルキル基またはアルコキシアルキル基の場合は、炭素数は1〜5が好ましい。
【0082】
R7はメチル基が好ましい。
D3及びD4は同一または異なってもよく、かつ2個の窒素原子を含む6員の飽和複素環が好ましい。
【0083】
Fが飽和炭化水素基の場合は2〜6個の炭素原子を有することが好ましく、Fがアリーレン基の場合はフェニレン基が好ましく、環状脂肪族基の場合はシクロヘキシレン基が好ましく、複素環芳香族基の場合は窒素原子または硫黄原子を含む5〜6員環が好ましい。
【0084】
一般式(2)で表される化合物を得るには、Q2がNであり、nとmが同じ値の場合は、グリシジルアクリレートまたはアルキルアクリレートをヒドロキシアルキルアミンと反応させる。他の化合物も同様にして得ることができる。
【0085】
本発明の一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0086】
【化12】
【0087】
一般式(1)、(2)で表される化合物の添加量は光重合性感光層の不揮発成分の30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
【0088】
有機系ボレート塩化合物としては、特開昭62−143044号、特開平9−188685号、同9−188686号、同9−188710号等に記載の有機ボレート化合物(以下、「ボレート化合物」という場合がある。)、又はカチオン性色素から得られる分光増感色素系ボレート化合物等が挙げられる。本発明の一般式(3)で示される化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
【化13】
【0090】
【化14】
【0091】
【化15】
【0092】
【化16】
【0093】
【化17】
【0094】
【化18】
【0095】
【化19】
【0096】
本発明の一般式(3)で示される化合物の添加量は、光重合性感光層の不揮発成分当たり0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。
【0097】
本発明の一般式(4)で表される化合物は、具体的には(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロアルセネート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロポレート、(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アントラセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ピレン)(η5−シクロペンタジェニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−トルエン)(η5−アセチルシクロペンタジニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート、(η6−ベンゼン)(η5ーカルボエトキシシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−1,3−ジクロルシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−シアノベンゼン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アセトフェノン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−メチルベンゾエ−ト)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼンスルホンアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート、(η6−ベンズアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−シアノベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート(η6−クロルナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アントラセン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレートなどがあげられる。これらの化合物は、Dokl.Akd.Nauk SSSR 149 615(1963)に記載された方法により合成できる。
【0098】
本発明の一般式(4)で示される化合物の添加量は、光重合性感光層の不揮発成分当たり0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。
【0099】
本発明の感光性平版印刷版は、光重合性感光層に増感色素を含有することが好ましい。可視光から近赤外まで波長増感させる化合物としては、例えばシアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に欧州特許568,993号、米国特許4,508,811号、同5,227,227号、特開2001−125255、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。より好ましくは、一般式(3)を含有する系では、カチオン色素、一般式(4)を含有する系では、アニオン色素である。
【0100】
310nm以上450nm以下に吸収極大を有する増感色素としては、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0101】
【化20】
【0102】
式中、R14は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。R15、R16は連結して環を形成しうる置換基を表す。X11、X12はそれぞれ独立に、−CR17R18−、−O−、−S−、−NR19−を表す。R17、R18、R19はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
【0103】
R14で表される置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基などを挙げることができ、R14で表される置換基を有していてもよいアルケニル基としては、例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基などを挙げることができ、R14で表される置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基など、アラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基などを挙げることができ、またR14で表される置換基を有していてもよい複素環基としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環、クロマン環、クマリン環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、スルホラン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環などの5員又は6員の複素環より誘導される複素環基を挙げることができる。
【0104】
また、R17、R18、R19で表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい複素環基としては、上記R14で記載のと同じ各基を挙げることができる。
【0105】
本発明の一般式(5)で表される増感色素は、当業者で従来公知の方法に準じて合成して得ることができる。
【0106】
一般式(5)で表される増感色素の一例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
【化21】
【0108】
本発明の増感色素として、クマリン系の色素を用いる事ができる。好ましいクマリンの構造は、下記一般式(6)で表される。
【0109】
【化22】
【0110】
式中、R21〜R26は、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、等が挙げられる。
【0111】
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0112】
この中で、特に好ましいのは、R25にアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基を有するクマリンである。この場合、アミノ基に置換したアルキル基が、R24、R26の置換基と環を形成しているものも好ましく用いることができる。
【0113】
さらに、R21、R22のいずれか、あるいは両方が、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基等)であると更に好ましい。
【0114】
好ましいクマリン系の色素具体例として、下記の化合物が挙げられるが、これに限定するものではない。
【0115】
【化23】
【0116】
【化24】
【0117】
上記具体例の他に、特開平8−129258号公報のB−1からB−22のクマリン誘導体、特開2003−21901号公報のD−1からD−32のクマリン誘導体、特開2002−363206号公報の1から21のクマリン誘導体、特開2002−363207号公報の1から40のクマリン誘導体、特開2002−363208号公報の1から34のクマリン誘導体、特開2002−363209号公報の1から56のクマリン誘導体等も好ましく使用可能である。
【0118】
本発明において、増感色素の添加方法としては、水又は有機溶媒等の適当な溶媒を選択し、それらに溶解して添加することができ、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0119】
本発明において、増感色素の添加量は、一概には規定できないが、好ましくは溶媒を除く感光性組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0120】
本発明の増感色素として使用するクマリン系の色素の、感光層中への添加量は、記録光源波長における、版面の反射濃度が、0.1から1.2の範囲となる量であることが好ましい。この範囲となる、該色素の感光層中における質量比率は、各色素の分子吸光係数と、感光層中における結晶性の程度により、大幅に異なるが、一般的には、0.5質量パーセントから、10質量パーセントの範囲であることが多い。
【0121】
増感色素の吸収極大の測定は、HITACHI社製 Spectrophotometer U−3300を用いて測定した。測定スピードは600nm/minで、増感色素はメタノールに溶解し、吸光度が0.4以上3.0以下になるよう濃度を調整した。メタノールに溶解しずらく吸光度が0.4未満の化合物については適宜、MEK、DMF等の溶剤を加えて測定した。
【0122】
以下に本発明の増感色素として使用するクマリン系の色素の吸収極大を示す。
【0123】
【表1】
【0124】
本発明の処理の際用いる疎水基部分の飽和アルキル基の分子量が、疎水基全体の分子量の25%以下である化合物(以後化合物Aともいう)は、4.0〜10.0質量%の範囲で使用する。さらに、4.5〜7.0質量%の範囲で使用することがなお好ましい。化合物Aでの疎水基中の飽和アルキル基の割合は、0〜5質量%であることがもっとも好ましい。また疎水基部分の分子量はある程度大きいことが好ましく、120以上であることが好ましい。疎水基の割合が小さいと感光層の溶解性が悪くスラッジを生じる。化合物Aの添加量が少ないと感光層の溶解性が悪くスラッジを生じる。多すぎると発泡性が大きくなりすぎたり、感光層の膜減りが発生したりする為、好ましくない。以下に化合物Aの例を示す。
【0125】
【化25】
【0126】
【化26】
【0127】
本発明の平版印刷版に係る支持体は、例えばアルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、また、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムに前述の金属薄膜をラミネートまたは蒸着したもの、また、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等が使用できるが、アルミニウム板が好ましく使用され、この場合、純アルミニウム板及びアルミニウム合金板等であってもかまわない。
【0128】
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
【0129】
本発明に係る支持体は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。また、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
【0130】
粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
【0131】
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力をかけ射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。また、例えば、支持体表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を、100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを張り合わせ、圧力をかけてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
【0132】
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0133】
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば、特公昭48−28123号公報、英国特許第896,563号公報、特開昭53−67507号公報に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。この粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
【0134】
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、20〜100A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
【0135】
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2、更には200〜1000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸等を加えることができる。
【0136】
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。また、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0137】
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、また、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
【0138】
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/または燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許第1,412,768号公報に記載されている硫酸中で高電流密度で電解する方法や、同3,511,661号公報に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、シュウ酸、マロン酸等を一種または二種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は、1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。
陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
【0139】
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
【0140】
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体及び共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0141】
支持体としては上述の様に各種のものが使用でき、また例えば、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの等も使用することができ、プラスチックフィルムの親水化処理方法としては、硫酸処理、酸素プラズマエッチング処理、コロナ放電処理、水溶性樹脂層塗布層を設ける等が好ましく用いられる。本発明の実施においては、表面を粗面化処理、陽極酸化処理、封孔処理、及び下塗り処理を施したアルミニウム板が特に好ましい。
【0142】
本発明に係る光重合性感光層は高分子結合剤(バインダー)を含有する。高分子結合材は、下記(1)〜(17)に記載のモノマー(単量体)の少なくとも1種からなるビニル系共重合体を含有することが好ましい。
【0143】
(1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(またはp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(またはp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0144】
(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
【0145】
(3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(またはp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(またはp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0146】
(4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
【0147】
(5)α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等。
【0148】
(6)置換または無置換のアルキルアクリレート、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等。
【0149】
(7)置換または無置換のアルキルメタクリレート、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等。
【0150】
(8)アクリルアミドまたはメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
【0151】
(9)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
【0152】
(10)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
【0153】
(11)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
【0154】
(12)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
【0155】
(13)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
【0156】
(14)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
【0157】
(15)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0158】
(16)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(またはm−,p−)シアノスチレン等。
【0159】
(17)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0160】
上記高分子結合剤には、必要に応じてポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等、他の任意の高分子結合剤が、上記の本発明に係るビニル系共重合体と併用されてもよい。
【0161】
光重合性感光層中における上記高分子結合剤の含有量は、光重合性感光層の10〜90質量%が好ましく、15〜70質量%が更に好ましく、20〜50質量で使用することが感度の面から特に好ましい。更に、上記のビニル系共重合体は、該高分子結合剤において、50〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。
【0162】
本発明に係る高分子結合剤に含まれる重合体の酸価については、10〜150が好ましく、30〜120がより好ましく、50〜90が、感光層全体の極性のバランスをとる観点から特に好ましく、これにより感光層塗布液での顔料の凝集を防ぐこと等ができる。
【0163】
本発明に係る光重合性感光層の塗布組成物には、上記した成分の他に、平版印刷版の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合単量体の不要な重合を阻止するために、重合防止剤を添加することが望ましい。適当な重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等があげられる。
【0164】
重合防止剤の添加量は、上記組成物の全固形分の質量に対して、約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加したり、塗布後の乾燥の過程で感光性層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0165】
また、着色剤も使用することができ、着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用できる。例えば、改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられているものが挙げられる。
【0166】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
【0167】
これらの中でも、使用する露光レーザーに対応した増感色素の吸収波長域に実質的に吸収を持たない顔料を選択して使用することが好ましく、この場合、使用するレーザー波長での積分球を用いた顔料の反射吸収が0.05以下であることが好ましい。また、顔料の添加量としては、上記組成物の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
【0168】
露光光源として、アルゴンレーザー(488nm)またはSHG−YAGレーザー(532nm)を使用する場合には、上記の感光波長領域での顔料吸収及び現像後の可視画性の観点から、紫色顔料、青色顔料を用いるのが好ましい。このようなものとしては、例えばコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、フォナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーファストスカイブルー、インダンスレンブルー、インジコ、ジオキサンバイオレット、イソビオランスロンバイオレット、インダンスロンブルー、インダンスロンBC等を挙げることができる。これらの中で、より好ましくはフタロシアニンブルー、ジオキサンバイオレットである。
【0169】
また、上記組成物は、本発明の性能を損わない範囲で、界面活性剤を塗布性改良剤として含有することができる。その中でも好ましいのはフッ素系界面活性剤である。
【0170】
また、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全固形分の10%以下が好ましい。
【0171】
本発明に係る光重合性感光層の感光性組成物を調製する際に使用する溶剤としては、例えば、アルコール:多価アルコールの誘導体類では、sec−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、またエーテル類:プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、またケトン類、アルデヒド類:ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、またエステル類:乳酸エチル、乳酸ブチル、シュウ酸ジエチル、安息香酸メチル等が好ましく挙げられる。
【0172】
調製された感光性組成物(感光層塗布液)は、従来公知の方法で支持体上に塗布し、乾燥し、平版印刷版を作製することができる。塗布液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押し出しコータ法等を挙げることができる。
【0173】
感光層の乾燥温度は、低いと十分な耐刷性を得ることができず、また高過ぎるとマランゴニーを生じてしまうばかりか、非画線部のカブリを生じてしまう。好ましい乾燥温度範囲としては、60〜160℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、特に好ましくは、90〜120℃の範囲で乾燥することが好ましい。
【0174】
本発明に係る光重合性感光層の上側には、保護層を設けることが好ましい。該保護層(酸素遮断層)は、後述する現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましい。
【0175】
該保護層を構成する素材として好ましい例は、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等が挙げられる。これらの化合物を単独または2種以上併用し塗布組成物とし用いることができる。特に好ましい化合物としてはポリビニルアルコールが挙げられる。
【0176】
保護層塗布組成物を調製するには、上記の素材を適当な溶剤に溶解して塗布液とすることができ、この塗布液を本発明に係る光重合性感光層上に塗布し、乾燥して保護層を形成することができる。保護層の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。保護層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。
【0177】
保護層の塗布方法としても、上記例に挙げた公知の方法を好適に用いることができる。保護層の乾燥温度は、感光層の乾燥温度よりも低い方がより好ましい。
好ましくは感光層乾燥温度との差が10℃以上、より好ましくは20℃以上である場合が好ましく、その場合の上限はせいぜい50℃程度が好ましい。
【0178】
また、保護層の乾燥温度が、感光層が含有するバインダーのガラス転移温度(Tg)より低いことが好ましい。保護層の乾燥温度と、感光層が含有するバインダーのガラス転移温度(Tg)の差は20℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上であり、その差の上限はせいぜい60℃程度が好ましい。
【0179】
本発明の平版印刷版材料に画像露光する光源としては、例えばレーザー、発光ダイオード、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、高圧水銀ランプ、無電極光源等を挙げることができる。
【0180】
一括露光する場合には、光重合性感光層上に、所望の露光画像のネガパターンを遮光性材料で形成したマスク材料を重ね合わせ、露光すればよい。
【0181】
発光ダイオードアレイ等のアレイ型光源を使用する場合や、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ等の光源を、液晶、PLZT等の光学的シャッター材料で露光制御する場合には、画像信号に応じたデジタル露光をすることが可能であり好ましい。この場合は、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うことができる。
【0182】
レーザー露光の場合には、光をビーム状に絞り画像データに応じた走査露光が可能なので、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うのに適している。また、レーザーを光源として用いる場合には、露光面積を微小サイズに絞ることが容易であり、高解像度の画像形成が可能となる。
【0183】
レーザー光源としては、アルゴンレーザー、He−Neガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー等を何れも好適に用いることが可能である。レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査等がある。円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部または全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部または全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
【0184】
画像露光した光重合性感光層は露光部が硬化する。これをアルカリ現像液で現像処理することにより、未露光部が除去され画像形成が可能となる。このような現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば珪酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;第二燐酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤を使用するアルカリ現像液が挙げられる。
【0185】
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−i−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−i−プロパノールアミン、ジ−i−プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いることができる。
【0186】
これらのアルカリ剤は、単独または2種以上組み合わせて用いられる。また、該現像液には、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性活性剤やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
【0187】
本発明に係る現像では、珪酸アルカリを含有するpH12.5未満の現像液で現像することが好ましく、より好ましくはpH10.5〜12.4の範囲である。係る現像により、本発明の効果が特異的に奏されるものである。即ち、従来不十分であった現像性や感度を十分な性能として引き出すこともさることながら、現像スラッジ性能の改良、耐刷性の改良等の性能も同時に改善できるものである。
【0188】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0189】
実施例1
(バインダーの合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸12部、メタクリル酸メチル70部、アクリロニトリル8部、メタクリル酸エチル10部、エタノール500部及びα,α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート2部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。GPCを用いて測定した質量平均分子量は約50,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。
【0190】
(支持体の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、0.3質量%の硝酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下に交流電流により60秒間、電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を、15%硫酸溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行った。
【0191】
この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
陽極酸化処理をしたアルミニウム板をポリビニルホスホン酸1.5%及びビニルホスホン酸0.2%の80℃の溶液中に30秒間通し、乾燥した。
【0192】
(支持体への下引き層設置)
上記支持体上に、下記組成の下引き層塗工液を乾燥時0.1g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、90℃で1分間乾燥し、更に110℃で3分間の加熱処理を行って、下引き済み支持体を作製した。
【0193】
下引き層塗工液
γ−メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン 1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 19部
(感光性平版印刷版の作製)
上記下引き済み支持体上に、下記組成の光重合性感光層塗工液を乾燥時1.4g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥した。その後、更に該感光層上に、下記組成のオーバーコート層塗工液を乾燥時2.0g/m2になるようにアプリケーターで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上にオーバーコート層を有する感光性平版印刷版を作製した。
【0194】
光重合性感光層塗工液
アクリル系共重合体1(合成バインダー,分子量Mw=5万) 35.0部
増感色素(表2に示す色素) 4.0部
表2に示す一般式(3)の化合物もしくは比較開始剤1 4.0部
表2に示す一般式(1)もしくは(2)の化合物もしくは比較1 50.0部
フタロシアニン顔料(MHI#454:御国色素社製) 4.5部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート
(スミライザーGS:住友3M社製) 0.5部
サノールLS−770(三共社製) 0.5部
弗素系界面活性剤(メガファックF−178K;住友スリーエム社製)0.5部
トリアジン化合物 1.0部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
オーバーコート層塗工液
ポリビニルアルコール(GL−03:日本合成化学社製) 89部
水溶性ポリアミド(P−70:東レ社製) 10部
界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業) 1.0部
水 900部
【0195】
【化27】
【0196】
(画像形成)
このようにして作製した光重合型平版印刷版材料について、FD−YAGレーザー光源(532nm)を搭載したCTP露光装置(Tigercat:ECRM社製)を用いて2540dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で画像露光を行った。次いで、現像前にオーバーコート層を除去する前水洗部、下記組成の現像液を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)を備えたCTP自動現像機(PHW32−V:Technigraph社製)でプレヒート/現像処理を行い、平版印刷版を得た。
【0197】
現像液組成(下記添加剤を含有する水溶液)
Aケイ酸カリ 8.0質量%
表2に示す界面活性剤 3.0質量%
苛性カリ pH=12.3となる添加量
(平版印刷版の評価)
上記のようにして得られた平版印刷版について、以下の評価をした。
【0198】
《感度》
画像部の膜減りが観察されず、かつ、175線・50%の網点露光部が、作製した平版印刷版面上で50%に再現できる版面上での露光量とした。
【0199】
《耐刷性》
175線の画像を適性露光量(画像部の膜減りが観察されず、かつ、175線・50%の網点露光部が、作製した平版印刷版面上で50%に再現できる露光量の2倍の光量)で露光、現像して作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業(株)製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(東洋インク(株)製トーヨーキングハイエコーM紅)及び湿し水(東京インク(株)製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行い、1000枚連続印刷後、クリーナーで版面をふき、ハイライト部の点細り、シャドウ部の絡みの発生する印刷枚数を耐刷力の指標とした。耐刷性1回は1000枚連続印刷後クリーナーでふく作業を指す。多いほど好ましい。
【0200】
《汚し回復》
1000枚連続印刷後クリーナーでふき、15分後に印刷を再開し、非画線部の地汚れがなくなる枚数とした。少ないほど良好。
【0201】
《90%アミ点再現性》
上記レーザー描画パワーでリニアリティ未補正でアミ点を描画して、90%に再現されるはずのアミ点領域を500倍の光学顕微鏡で撮影し、2mm×2mmの範囲の画像部の面積を算出してアミ点%とした。
【0202】
《スラッジ》
各試料を1.5m2用意し、100mlの上記現像液に28℃30秒間浸漬し、無補充で1.5m2処理した。現像液を濾過水洗し70℃で1日間乾燥し残さをスラッジ量とした。
【0203】
【表2】
【0204】
【化28】
【0205】
【化29】
【0206】
表2から明らかなように、本発明の試料は、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れていることが判る。
【0207】
実施例2
実施例1の一般式(3)で表される化合物を一般式(4)で表される化合物とし、増感色素を変更したことを除き、実施例1と同様に試料を作製し、結果を表3に示す。
【0208】
尚、表3で用いた活性剤b及び化合物4−1〜4−3は以下の通り。
活性剤b:ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル:疎水基中の飽和アルキル部の比:100質量%
4−1:(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
4−2:(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロフェート
4−3:(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
【0209】
【表3】
【0210】
【化30】
【0211】
表3から明らかなように、本発明の試料は、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れていることが判る。
【0212】
実施例3
実施例1の増感色素を一般式(5)又は一般式(6)で表される化合物としたことと露光をFD−YAGレーザー光源(532nm)を搭載したCTP露光装置(Tigercat:ECRM社製)からバイオレットレーザー光源(408nm)を搭載したCOBALT−8(Escher−Grad Technologies Inc.)にしたことを除き、実施例1と同様に試料を作製し、結果を表4に示す。
【0213】
【表4】
【0214】
表4から明らかなように、本発明の試料は、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れていることが判る。
【0215】
【発明の効果】
本発明により、感度、耐刷性、汚し回復、網点再現性及びスラッジに優れた感光性平版印刷版及びその処理方法を得た。
Claims (4)
- 親水性表面を有する支持体上に、光重合性感光層を有する感光性平版印刷版において、該光重合性感光層に下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種と下記一般式(3)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
- 親水性表面を有する支持体上に、光重合性感光層を有する感光性平版印刷版において、該光重合性感光層に前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種と下記一般式(4)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする感光性平版印刷版。
- 310nm以上450nm以下に吸収極大を有する増感色素を光重合性感光層に含有することを特徴とする請求項1あるいは2記載の感光性平版印刷版。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の感光性平版印刷版を、疎水基部分の飽和アルキル基の分子量が、疎水基全体の分子量の25%以下である界面活性剤の存在下で処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
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