JP2004086061A - 分散補償器および光通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】偏波モード分散に因る信号光波形劣化を充分に抑制することができ製造が容易な分散補償器を提供する.
【解決手段】分散補償器30は、ボビン33の胴部に巻かれた分散補償光ファイバ31と、複屈折媒質としての複屈折光ファイバ32とが、各々の端面で融着接続されたものである。分散補償光ファイバ31は、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させることができ、信号光波長において波長分散が負である。分散補償光ファイバ31の偏波モード分散は、複屈折光ファイバ32の偏波モード分散と同量である。分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続点において、分散補償光ファイバ31の速軸と複屈折光ファイバ32の遅軸とは互いに平行であり、分散補償光ファイバ31の遅軸と複屈折光ファイバ32の速軸とは互いに平行である。
【選択図】 図2
【解決手段】分散補償器30は、ボビン33の胴部に巻かれた分散補償光ファイバ31と、複屈折媒質としての複屈折光ファイバ32とが、各々の端面で融着接続されたものである。分散補償光ファイバ31は、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させることができ、信号光波長において波長分散が負である。分散補償光ファイバ31の偏波モード分散は、複屈折光ファイバ32の偏波モード分散と同量である。分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続点において、分散補償光ファイバ31の速軸と複屈折光ファイバ32の遅軸とは互いに平行であり、分散補償光ファイバ31の遅軸と複屈折光ファイバ32の速軸とは互いに平行である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムにおいて信号光を伝送する光ファイバ伝送路の波長分散を補償するのに好適な分散補償器、および、この分散補償器を含む光通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムは、光ファイバ伝送路により信号光を伝送することで、大容量の情報を高速に送受信することができる。光ファイバ伝送路の累積波長分散の絶対値が大きいと、この累積波長分散に因り信号光の波形が劣化して、信号光伝送品質が劣化する。そこで、光通信システムにおいて高品質の信号光伝送を行う為には、光ファイバ伝送路の累積波長分散の絶対値が小さいことが重要である。しかし、一般に用いられる光ファイバ伝送路は信号光波長において波長分散の絶対値が大きいことから、この光ファイバ伝送路の波長分散を補償する分散補償器が挿入される。分散補償器の波長分散は、光ファイバ伝送路の波長分散と符号が異なる。そして、光ファイバ伝送路および分散補償器の全体の累積波長分散の絶対値が小さくされ、これに因り、高品質の信号光伝送を可能としている。
【0003】
例えば、特開平8−54524号公報に開示された分散補償器は、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させ波長分散が負である分散補償光ファイバと、この分散補償光ファイバへ入射させるべき光を直線偏光とする偏波調整手段と、この偏波調整手段により直線偏光とされた光の偏光方位を分散補償光ファイバの速軸または遅軸に一致させて該光を分散補償光ファイバへ入射させる軸合わせ手段とを備えるものである。
【0004】
この分散補償器では、分散補償されるべき信号光は、偏波調整手段により直線偏光とされ、軸合わせ手段により偏光方位が調整されて、偏光方位が分散補償光ファイバの速軸または遅軸に一致するように分散補償光ファイバへ入射する。分散補償光ファイバへ入射した信号光は、波長分散が負である分散補償光ファイバを伝搬することで、分散補償される。また、直線偏光の信号光が偏光方位を保持しまま分散補償光ファイバを伝搬するので、分散補償光ファイバが小径のコイル状に巻かれた場合にも、偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制されるというものである。
【0005】
また、特開平8−43657号公報に開示されている分散補償器は、分散補償ファイバに複屈折ファイバをそれぞれの速軸と遅軸を逆にするかたちで接続し、分散補償ファイバにおいて発生する偏波モード分散を複屈折ファイバにおいて補償するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平8−54524号公報に開示された分散補償器では、分散補償光ファイバへ入射されるべき光は、偏波調整手段により直線偏光とされ、軸合わせ手段により偏光方位が調整されて、偏光方位が分散補償光ファイバの速軸または遅軸に一致するように調整されなければならない。分散補償光ファイバを伝搬する直線偏光の信号光の偏光方位が速軸および遅軸の何れとも一致していないと、偏波モード分散に因る信号光波形劣化が生じる。それ故、この分散補償器では、分散補償光ファイバ,偏波調整手段および軸合わせ手段の三者の光学軸調整が重要であるが、その調整は困難である。
【0007】
また、上記特開平8−43657号公報に開示されている分散補償器は、分散補償ファイバにおいて偏波結合が生じてしまうため、分散補償ファイバにおいて発生する偏波分散値を、複屈折ファイバを用いて確実に補償することが困難である。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、偏波モード分散に因る信号光波形劣化を充分に抑制することができ製造が容易な分散補償器、および、この分散補償器を含み高品質の信号光伝送をすることができる光通信システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る分散補償器は、(1) 互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させ信号波長の所定波長において波長分散が負である分散補償光ファイバと、(2) 分散補償光ファイバの速軸と平行な遅軸を有するとともに、分散補償光ファイバの遅軸と平行な速軸を有するように、分散補償光ファイバと接続され、分散補償光ファイバの偏波モード分散と同量の偏波モード分散を有する複屈折媒体とを備えることを特徴とする。
【0010】
この分散補償器は、波長分散が負である分散補償光ファイバにより、この分散補償器とともに用いられる光ファイバ伝送路の正の波長分散を補償することができる。分散補償光ファイバおよび複屈折媒体それぞれの偏波モード分散が互いに相殺されるので、分散補償器の全体の偏波モード分散が小さい。また、このような分散補償器を製造する際には、接続点において分散補償光ファイバおよび複屈折媒体の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように、両者を接続すればよい。
【0011】
また、他の本発明に係る分散補償器は、(1) 互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させ、信号波長の所定波長において波長分散が負である複数の分散補償光ファイバが全体として偏波分散値をキャンセルするように接続されており、(2) 複数の分散補償光ファイバの全体の偏波モード分散と同量の偏波モード分散を有し、複数の分散補償光ファイバの全体の偏波モード分散を補償する複屈折媒体が前記複数の分散補償光ファイバによって残留した偏波分散値をキャンセルするように接続されていることを特徴とする。
【0012】
この分散補償器は、波長分散が負である複数の分散補償光ファイバにより、この分散補償器とともに用いられる光ファイバ伝送路の正の波長分散を補償することができる。複数の分散補償光ファイバおよび複屈折媒体それぞれの偏波モード分散が互いに相殺されるので、分散補償器の全体の偏波モード分散が小さい。また、このような分散補償器を製造する際には、分散補償光ファイバと複屈折媒体との接続の際に、分散補償器の全体の偏波モード分散が小さくなるように、両者を融着接続すればよい。
【0013】
本発明に係る分散補償器では、分散補償光ファイバの偏波クロストークは、好適には−10dB以下であり、より好適には−20dB以下であり、更に好適には−30dB以下である。このように偏波クロストークが小さいことにより、分散補償光ファイバは、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させる上で好適である。
【0014】
本発明に係る分散補償器では、分散補償光ファイバの複屈折率は5×10−7以上5×10−5以下であるのが好適である。分散補償ファイバの複屈折が5×10−7以上の場合、偏波間の光結合が抑制され分散補償ファイバで生じた偏波分散値を確実に補償することができる。また、複屈折が5×10−5以下の場合、分散補償ファイバによって生じた偏波分散値を補償する複屈折媒体の所要長が短くて済む。
【0015】
本発明に係る分散補償器では、分散補償光ファイバの捻り回数が1ターン/m以下であるのが好適である。また、分散補償光ファイバが導波光の偏光方位を保持し得る形態で収納されているのも好適である。このようにすることにより、偏波間の光結合が抑制され、分散補償光ファイバの偏波モード分散が複屈折媒体により確実に補償される。
【0016】
本発明に係る分散補償器では、分散補償光ファイバがコイル状に巻かれており、当該コイルの少なくとも外周面が樹脂で被覆されているの好適である。このように収納されることにより、分散補償光ファイバは、側圧が緩和され、また、偏波間の光結合が抑制されて、分散補償光ファイバの偏波モード分散が複屈折媒体により確実に補償される。
【0017】
また、本発明に係る光通信システムは、(1) 信号光を伝送する光ファイバ伝送路と、(2) この光ファイバ伝送路の波長分散を補償する請求項1または2に記載の分散補償器とを備えることを特徴とする。この光通信システムでは、光ファイバ伝送路の正の波長分散が分散補償器の負の波長分散により補償されるので、累積波長分散に因る信号光波形劣化が抑制され、また、分散補償器においては偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制され、これにより、高品質の信号光伝送が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。この図に示される光通信システム1は、光送信器10、光ファイバ伝送路20、分散補償器30および光受信器40を備えている。光送信器10は信号光を光ファイバ伝送路20へ送出する。光ファイバ伝送路20は、光送信器10より出力された信号光を分散補償器30へ向けて伝送する。分散補償器30は、光ファイバ伝送路20の波長分散と異なる符号の波長分散を有しており、光ファイバ伝送路20により伝送されて到達した信号光を入力し分散補償する。光受信器40は、分散補償器30により分散補償されて出力された信号光を受信する。光ファイバ伝送路20は信号光波長において正の波長分散を有し、分散補償器30は負の波長分散を有する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る分散補償器30の構成図である。この図に示される分散補償器30は、ボビン33の胴部に巻かれた分散補償光ファイバ31と、複屈折媒質としての複屈折光ファイバ32とが、各々の端面で融着接続されたものである。分散補償光ファイバ31は、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させることができ、信号光波長において波長分散が負である。分散補償光ファイバ31の偏波モード分散は、複屈折光ファイバ32の偏波モード分散と同量である。また、分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続点において、分散補償光ファイバ31の速軸と複屈折光ファイバ32の遅軸とは互いに平行であり、分散補償光ファイバ31の遅軸と複屈折光ファイバ32の速軸とは互いに平行である。したがって、この分散補償器30では、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32それぞれの偏波モード分散が互いに相殺される。
【0021】
図3は、本実施形態に係る分散補償器30に含まれる分散補償光ファイバ31の断面構造の一例を示す図である。この図に示されるように、分散補償光ファイバ31は、光軸中心にあるコア領域31aと、このコア領域31aを取り囲むクラッド領域31bと、このクラッド領域31b内にコア領域31aを挟むように設けられた1対の応力付与領域31c,31dとを有する。
【0022】
この分散補償光ファイバ31は石英系ガラスを主成分とするものであり、コア領域31aは屈折率上昇剤(例えばGeO2)または屈折率下降剤(例えばF元素)が添加されて所定の屈折率プロファイルとされている。これにより、分散補償光ファイバ31は、信号光波長における分散補償光ファイバ31の波長分散が負となっている。
【0023】
また、応力付与領域31c,31dそれぞれはB2O3が添加されている。このような分散補償光ファイバ31では、光ファイバ母材を加熱線引きすることで製造される際の残留応力に因り、光軸に垂直であって1対の応力付与領域を互いに結ぶ第1方位と、光軸および第1方位の双方に垂直な第2方位とで、互いに異なる応力がコア領域31aに作用する。分散補償光ファイバ31は、このような応力の非軸対称性に因り、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位の導波光の伝搬定数が異なり、偏光方位を保持したまま光を伝搬させることができ、また、その非軸対称性の程度に応じた偏波モード分散を有する。
【0024】
なお、分散補償光ファイバ31は、コア断面が非円しているものであってもよい。
【0025】
分散補償光ファイバ31は、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させることができるものであって、偏波クロストークが小さいほど好ましい。分散補償光ファイバ31の偏波クロストークは、好適には−10dB以下であり、より好適には−20dB以下であり、更に好適には−30dB以下である。
【0026】
また、分散補償光ファイバ31の複屈折率は5×10−7以上5×10−5以下であるのが好適である。分散補償光ファイバ31の複屈折率が5×10−7未満であると、偏波間の光結合が生じ易くなる。一方、分散補償光ファイバ31の複屈折率が5×10−5超であると、この分散補償光ファイバ31の偏波モード分散を補償する複屈折光ファイバ32の所要長が長くなる。分散補償ファイバの複屈折が5×10−7以上の場合、偏波間の光結合が抑制され分散補償ファイバで生じた偏波分散値を確実に補償することができる。また、複屈折が5×10−5以下の場合、分散補償ファイバによって生じた偏波分散値を補償する複屈折媒体の所要長が短くて済む。
【0027】
また、分散補償光ファイバ31は、捻り回数が少ないほど好ましく、捻り回数が1ターン/m以下であるのが好適である。また、分散補償光ファイバ31が導波光の偏光方位を保持し得る形態で収納されているのが好適である。このようにすることにより、偏波間の光結合が抑制され、分散補償光ファイバ31の偏波モード分散が複屈折光ファイバ32により容易に補償される。
【0028】
図4は、本実施形態に係る分散補償器30に含まれる複屈折光ファイバ32の断面構造の一例を示す図である。この図に示される複屈折光ファイバ32は、断面形状が楕円形であるコア領域32aと、このコア領域32aを取り囲むクラッド領域32bとを有する。この複屈折光ファイバ32は石英系ガラスを主成分とするものであり、コア領域32aは屈折率上昇剤(例えばGeO2)または屈折率下降剤(例えばF元素)が添加されて所定の屈折率プロファイルとされている。
【0029】
また、この複屈折光ファイバ32は、コア領域32aの断面形状が楕円形であることにより、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位の導波光の伝搬定数が異なり、その楕円率に応じた偏波モード分散を有する。複屈折光ファイバ32の偏波モード分散は、分散補償光ファイバ31の偏波モード分散と同量とされている。
【0030】
なお、複屈折光ファイバ32は、図3に示されるようなコア領域を挟んで設けられた1対の応力付与領域を有する断面構造のものであってもよい。
【0031】
図5は、本実施形態に係る分散補償器30における分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続態様を説明する図である。同図(a)は、分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続点Aの近傍の正面図である。同図(b)は、接続点Aでの分散補償光ファイバ31の断面における速軸Fおよび遅軸Sそれぞれの方位を示す図である。同図(c)は、接続点Aでの複屈折光ファイバ32の断面における速軸Fおよび遅軸Sそれぞれの方位を示す図である。これらの図には説明の便宜の為にxyz直交座標系が示されている。
【0032】
同図(a)に示されるように、接続点Aの近傍では、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32それぞれの光軸はz軸に平行であるとする。同図(b)に示されるように、接続点Aでの分散補償光ファイバ31の断面において、速軸Fはx軸に平行であり、遅軸Sはy軸に平行である。同図(c)に示されるように、接続点Aでの複屈折光ファイバ32の断面において、速軸Fはy軸に平行であり、遅軸Sはx軸に平行である。すなわち、接続点Aにおいて分散補償光ファイバ31の速軸Fと複屈折光ファイバ32の遅軸Sとは互いに平行である。また、接続点Aにおいて分散補償光ファイバ31の遅軸Fと複屈折光ファイバ32の速軸Fとは互いに平行である。
【0033】
図6は、本実施形態に係る分散補償器30に含まれる分散補償光ファイバ31の収納形態の他の例を示す図である。この図に示される分散補償光ファイバ31は、ボビンに巻かれることなくコイル状に巻かれており、当該コイルが筐体34内に容れられて、当該コイルの少なくとも外周面が樹脂35で被覆されている。この樹脂35は、巻かれた分散補償光ファイバ31の間にも入り込んでいるのが好ましい。また、この分散補償光ファイバ31の両端面は、融着部36により他の光ファイバ37と接続されている。このように収納されることにより、分散補償光ファイバ31は、側圧が緩和され、また、偏波間の光結合が抑制されて、分散補償光ファイバ31の偏波モード分散が複屈折光ファイバ32により容易に補償される。
【0034】
以上のように構成される光通信システム1および分散補償器30は以下のように動作する。光通信システム1では、光送信器10より送出された信号光は、正の波長分散を有する光ファイバ伝送路20により伝送された後、負の波長分散を有する分散補償器30(特に分散補償光ファイバ31)により分散補償されて、光受信器40により受信される。光送信器10から光受信器20へ至るまでの信号光伝送経路の累積波長分散の絶対値は、分散補償器30が挿入されることにより低減される。これにより、光受信器40に到達する信号光の波形劣化が抑制され、高品質の信号光伝送が可能となる。
【0035】
また、分散補償器30では、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32それぞれの偏波モード分散が互いに同量であって、接続点Aにおいて分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸Fと他方の遅軸Fとが互いに平行であるので、分散補償光ファイバ31の偏波モード分散が複屈折光ファイバ32により補償される。これにより、偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制されるので、この点でも高品質の信号光伝送が可能となる。
【0036】
また、分散補償器30を製造する際には、接続点Aにおいて分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸Fと他方の遅軸Sとが互いに平行となるように、両者を融着接続すればよい。特開平8−43657号では分散補償ファイバにおいて、偏波結合が生じてしまい、偏波モード分散が確実に補償されないが、本分散補償器では確実に補償できる。特開平8−54524号では、偏波調整手段を用いて毎回直線偏光として分散補償定偏波光ファイバに入射する必要があるが、本分散補償器では分散補償ファイバの速軸と遅軸と複屈折媒体の速軸と遅軸を一度逆にして接続しさえすれば、毎回直線偏光として分散補償ファイバの特定の軸に入射する必要はなくなる。
【0037】
図7は、他の実施形態に係る分散補償器30Aの構成図である。この図に示される分散補償器30Aは、分散補償光ファイバ311〜314および複屈折光ファイバ32が順に接続されたものであり、分散補償光ファイバ311がボビン331の胴部に巻かれ、分散補償光ファイバ312がボビン332の胴部に巻かれ、分散補償光ファイバ313がボビン333の胴部に巻かれ、また、分散補償光ファイバ314がボビン334の胴部に巻かれている。分散補償光ファイバ311〜314それぞれは、既に説明した分散補償光ファイバ31と同様のものである。
【0038】
分散補償光ファイバ311〜314それぞれは、全体の偏波モード分散が小さくなるように、各々の速軸および遅軸が平行に接続されているのが好適である。また、複屈折光ファイバ32は、分散補償光ファイバ311〜314の全体の偏波モード分散と同量の偏波モード分散を有しており、分散補償光ファイバ311〜314の全体の偏波モード分散を補償するように接続されている。この分散補償器30Aでは、以上のように構成されているので、分散補償光ファイバ311〜314の全体の偏波モード分散が複屈折光ファイバ32により補償される。これにより、偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制されるので、この点でも高品質の信号光伝送が可能となる。
【0039】
また、分散補償器30Aを製造する際には、分散補償光ファイバ314と複屈折光ファイバ32との接続の際に、分散補償器30Aの全体の偏波モード分散が小さくなるように、両者を融着接続すればよい。特開平8−43657号では分散補償ファイバにおいて、偏波結合が生じてしまい、偏波モード分散が確実に補償されないが、本分散補償器では確実に補償できる。特開平8−54524号では、偏波調整手段を用いて毎回直線偏光として分散補償定偏波光ファイバに入射する必要があるが、本分散補償器では分散補償ファイバの速軸と遅軸と複屈折媒体の速軸と遅軸を一度逆にして接続しさえすれば、毎回直線偏光として分散補償ファイバの特定の軸に入射する必要はなくなる。
【0040】
次に、本実施形態に係る分散補償器30(または30A)の具体的な実施例について説明する。
【0041】
実施例1の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。実施例1では、分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて波長分散が−120ps/nm/kmであり、長さが11kmであって、捻られていない状態でボビン33に巻かれた。このとき、この分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて、偏波クロストークが−30dBであり、偏波モード分散が1466psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが916.65mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように接続された。その結果、この実施例1の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.027psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0042】
実施例2の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。−120ps/nm/kmの波長分散特性を有しており、かつ捻られていないファイバ11kmをボビンにコイル巻きしたときの偏波クロストークが−20dBである特徴を有する分散補償ファイバがある。この分散補償ファイバの偏波分散値は1650psである。その分散補償ファイバの速軸と遅軸と、複屈折4.8×10−4、ファイバ長985.4mである複屈折媒体の速軸と遅軸が互いに逆になる形で接続され収納されている分散補償器の偏波分散値は0.026psとなり、十分に偏波分散が低減される。
【0043】
実施例3の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。−120ps/nm/kmの波長分散特性を有しており、かつ捻られていないファイバ11kmをボビンにコイル巻きしたときの偏波クロストークが−10dBである特徴を有する分散補償ファイバがある。この分散補償ファイバの偏波分散値は1833psである。その分散補償ファイバの速軸と遅軸と、複屈折4.8×10−4、ファイバ長1145.8mである複屈折媒体の速軸と遅軸が互いに逆になる形で接続され収納されている分散補償器の偏波分散値は0.053psとなり、十分に偏波分散が低減される。
【0044】
実施例4の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。実施例4では、分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて波長分散が−120ps/nm/kmであり、長さが11kmであって、捻られていない状態でボビン33に巻かれた。このとき、この分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて、複屈折率が5.0×10−5であり、偏波モード分散が1833psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが1145.82mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように接続された。その結果、この実施例4の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.021psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0045】
実施例5の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。実施例5では、分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて波長分散が−120ps/nm/kmであり、捻り回数が1ターン/mであるようなファイバ1kmがボビン33に巻かれた。このとき、この分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて、偏波モード分散が1100psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが687mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように接続された。その結果、この実施例5の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.016psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0046】
実施例6の分散補償器は、図2に示された構成のものと略同様であるが、分散補償光ファイバ31が図6に示される形態で収納された。実施例6では、分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて波長分散が−80ps/nm/kmであり、長さが12kmであって、捻られていない状態でコイル状に巻かれ、当該コイルの外周面が樹脂で覆われた。このとき、この分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて、複屈折率が8.1×10−6であり、偏波モード分散が324psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが202.48mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように接続された。その結果、この実施例6の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.032psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0047】
実施例7の分散補償器は、図7に示された構成のものであった。実施例7では、4つの分散補償光ファイバ311〜314それぞれは、波長1.55μmにおいて波長分散が−120ps/nm/kmであり、長さが11kmであって、捻られていない状態でボビン331〜334に巻かれた。このとき、分散補償光ファイバ311〜314それぞれは、波長1.55μmにおいて、偏波クロストークが−30dBであった。また、分散補償光ファイバ311〜314の全体は、波長1.55μmにおいて、偏波モード分散が2933psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが202.48mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ311〜314および複屈折光ファイバ32は、全体の偏波モード分散が小さくなるように順に接続された。その結果、この実施例7の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.04psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0048】
以上のように、何れの実施例の分散補償器も、全体の偏波モード分散が充分に低減された。このような分散補償器を含む光通信システムでは、光ファイバ伝送路の正の波長分散が分散補償器の負の波長分散により補償されるので、累積波長分散に因る信号光波形劣化が抑制され、また、分散補償器においては偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制され、これにより、高品質の信号光伝送が可能となる。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、波長分散が負である分散補償光ファイバにより、この分散補償器とともに用いられる光ファイバ伝送路の正の波長分散を補償することができる。分散補償光ファイバおよび複屈折媒体それぞれの偏波モード分散が互いに相殺されるので、分散補償器の全体の偏波モード分散が小さい。また、このような分散補償器を製造する際には、接続点において分散補償光ファイバの偏波分散値をキャンセルする形で複屈折媒体と分散補償ファイバとを接続すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。
【図2】本実施形態に係る分散補償器30の構成図である。
【図3】本実施形態に係る分散補償器30に含まれる分散補償光ファイバ31の断面構造の一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る分散補償器30に含まれる複屈折光ファイバ32の断面構造の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る分散補償器30における分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続態様を説明する図である。
【図6】本実施形態に係る分散補償器30に含まれる分散補償光ファイバ31の収納形態の他の例を示す図である。
【図7】他の実施形態に係る分散補償器30Aの構成図である。
【符号の説明】
1…光通信システム、10…光送信器、20…光ファイバ伝送路、30…分散補償器、31…分散補償光ファイバ、32…複屈折光ファイバ、33…ボビン、40…光受信器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムにおいて信号光を伝送する光ファイバ伝送路の波長分散を補償するのに好適な分散補償器、および、この分散補償器を含む光通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムは、光ファイバ伝送路により信号光を伝送することで、大容量の情報を高速に送受信することができる。光ファイバ伝送路の累積波長分散の絶対値が大きいと、この累積波長分散に因り信号光の波形が劣化して、信号光伝送品質が劣化する。そこで、光通信システムにおいて高品質の信号光伝送を行う為には、光ファイバ伝送路の累積波長分散の絶対値が小さいことが重要である。しかし、一般に用いられる光ファイバ伝送路は信号光波長において波長分散の絶対値が大きいことから、この光ファイバ伝送路の波長分散を補償する分散補償器が挿入される。分散補償器の波長分散は、光ファイバ伝送路の波長分散と符号が異なる。そして、光ファイバ伝送路および分散補償器の全体の累積波長分散の絶対値が小さくされ、これに因り、高品質の信号光伝送を可能としている。
【0003】
例えば、特開平8−54524号公報に開示された分散補償器は、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させ波長分散が負である分散補償光ファイバと、この分散補償光ファイバへ入射させるべき光を直線偏光とする偏波調整手段と、この偏波調整手段により直線偏光とされた光の偏光方位を分散補償光ファイバの速軸または遅軸に一致させて該光を分散補償光ファイバへ入射させる軸合わせ手段とを備えるものである。
【0004】
この分散補償器では、分散補償されるべき信号光は、偏波調整手段により直線偏光とされ、軸合わせ手段により偏光方位が調整されて、偏光方位が分散補償光ファイバの速軸または遅軸に一致するように分散補償光ファイバへ入射する。分散補償光ファイバへ入射した信号光は、波長分散が負である分散補償光ファイバを伝搬することで、分散補償される。また、直線偏光の信号光が偏光方位を保持しまま分散補償光ファイバを伝搬するので、分散補償光ファイバが小径のコイル状に巻かれた場合にも、偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制されるというものである。
【0005】
また、特開平8−43657号公報に開示されている分散補償器は、分散補償ファイバに複屈折ファイバをそれぞれの速軸と遅軸を逆にするかたちで接続し、分散補償ファイバにおいて発生する偏波モード分散を複屈折ファイバにおいて補償するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平8−54524号公報に開示された分散補償器では、分散補償光ファイバへ入射されるべき光は、偏波調整手段により直線偏光とされ、軸合わせ手段により偏光方位が調整されて、偏光方位が分散補償光ファイバの速軸または遅軸に一致するように調整されなければならない。分散補償光ファイバを伝搬する直線偏光の信号光の偏光方位が速軸および遅軸の何れとも一致していないと、偏波モード分散に因る信号光波形劣化が生じる。それ故、この分散補償器では、分散補償光ファイバ,偏波調整手段および軸合わせ手段の三者の光学軸調整が重要であるが、その調整は困難である。
【0007】
また、上記特開平8−43657号公報に開示されている分散補償器は、分散補償ファイバにおいて偏波結合が生じてしまうため、分散補償ファイバにおいて発生する偏波分散値を、複屈折ファイバを用いて確実に補償することが困難である。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、偏波モード分散に因る信号光波形劣化を充分に抑制することができ製造が容易な分散補償器、および、この分散補償器を含み高品質の信号光伝送をすることができる光通信システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る分散補償器は、(1) 互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させ信号波長の所定波長において波長分散が負である分散補償光ファイバと、(2) 分散補償光ファイバの速軸と平行な遅軸を有するとともに、分散補償光ファイバの遅軸と平行な速軸を有するように、分散補償光ファイバと接続され、分散補償光ファイバの偏波モード分散と同量の偏波モード分散を有する複屈折媒体とを備えることを特徴とする。
【0010】
この分散補償器は、波長分散が負である分散補償光ファイバにより、この分散補償器とともに用いられる光ファイバ伝送路の正の波長分散を補償することができる。分散補償光ファイバおよび複屈折媒体それぞれの偏波モード分散が互いに相殺されるので、分散補償器の全体の偏波モード分散が小さい。また、このような分散補償器を製造する際には、接続点において分散補償光ファイバおよび複屈折媒体の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように、両者を接続すればよい。
【0011】
また、他の本発明に係る分散補償器は、(1) 互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させ、信号波長の所定波長において波長分散が負である複数の分散補償光ファイバが全体として偏波分散値をキャンセルするように接続されており、(2) 複数の分散補償光ファイバの全体の偏波モード分散と同量の偏波モード分散を有し、複数の分散補償光ファイバの全体の偏波モード分散を補償する複屈折媒体が前記複数の分散補償光ファイバによって残留した偏波分散値をキャンセルするように接続されていることを特徴とする。
【0012】
この分散補償器は、波長分散が負である複数の分散補償光ファイバにより、この分散補償器とともに用いられる光ファイバ伝送路の正の波長分散を補償することができる。複数の分散補償光ファイバおよび複屈折媒体それぞれの偏波モード分散が互いに相殺されるので、分散補償器の全体の偏波モード分散が小さい。また、このような分散補償器を製造する際には、分散補償光ファイバと複屈折媒体との接続の際に、分散補償器の全体の偏波モード分散が小さくなるように、両者を融着接続すればよい。
【0013】
本発明に係る分散補償器では、分散補償光ファイバの偏波クロストークは、好適には−10dB以下であり、より好適には−20dB以下であり、更に好適には−30dB以下である。このように偏波クロストークが小さいことにより、分散補償光ファイバは、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させる上で好適である。
【0014】
本発明に係る分散補償器では、分散補償光ファイバの複屈折率は5×10−7以上5×10−5以下であるのが好適である。分散補償ファイバの複屈折が5×10−7以上の場合、偏波間の光結合が抑制され分散補償ファイバで生じた偏波分散値を確実に補償することができる。また、複屈折が5×10−5以下の場合、分散補償ファイバによって生じた偏波分散値を補償する複屈折媒体の所要長が短くて済む。
【0015】
本発明に係る分散補償器では、分散補償光ファイバの捻り回数が1ターン/m以下であるのが好適である。また、分散補償光ファイバが導波光の偏光方位を保持し得る形態で収納されているのも好適である。このようにすることにより、偏波間の光結合が抑制され、分散補償光ファイバの偏波モード分散が複屈折媒体により確実に補償される。
【0016】
本発明に係る分散補償器では、分散補償光ファイバがコイル状に巻かれており、当該コイルの少なくとも外周面が樹脂で被覆されているの好適である。このように収納されることにより、分散補償光ファイバは、側圧が緩和され、また、偏波間の光結合が抑制されて、分散補償光ファイバの偏波モード分散が複屈折媒体により確実に補償される。
【0017】
また、本発明に係る光通信システムは、(1) 信号光を伝送する光ファイバ伝送路と、(2) この光ファイバ伝送路の波長分散を補償する請求項1または2に記載の分散補償器とを備えることを特徴とする。この光通信システムでは、光ファイバ伝送路の正の波長分散が分散補償器の負の波長分散により補償されるので、累積波長分散に因る信号光波形劣化が抑制され、また、分散補償器においては偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制され、これにより、高品質の信号光伝送が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。この図に示される光通信システム1は、光送信器10、光ファイバ伝送路20、分散補償器30および光受信器40を備えている。光送信器10は信号光を光ファイバ伝送路20へ送出する。光ファイバ伝送路20は、光送信器10より出力された信号光を分散補償器30へ向けて伝送する。分散補償器30は、光ファイバ伝送路20の波長分散と異なる符号の波長分散を有しており、光ファイバ伝送路20により伝送されて到達した信号光を入力し分散補償する。光受信器40は、分散補償器30により分散補償されて出力された信号光を受信する。光ファイバ伝送路20は信号光波長において正の波長分散を有し、分散補償器30は負の波長分散を有する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る分散補償器30の構成図である。この図に示される分散補償器30は、ボビン33の胴部に巻かれた分散補償光ファイバ31と、複屈折媒質としての複屈折光ファイバ32とが、各々の端面で融着接続されたものである。分散補償光ファイバ31は、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させることができ、信号光波長において波長分散が負である。分散補償光ファイバ31の偏波モード分散は、複屈折光ファイバ32の偏波モード分散と同量である。また、分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続点において、分散補償光ファイバ31の速軸と複屈折光ファイバ32の遅軸とは互いに平行であり、分散補償光ファイバ31の遅軸と複屈折光ファイバ32の速軸とは互いに平行である。したがって、この分散補償器30では、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32それぞれの偏波モード分散が互いに相殺される。
【0021】
図3は、本実施形態に係る分散補償器30に含まれる分散補償光ファイバ31の断面構造の一例を示す図である。この図に示されるように、分散補償光ファイバ31は、光軸中心にあるコア領域31aと、このコア領域31aを取り囲むクラッド領域31bと、このクラッド領域31b内にコア領域31aを挟むように設けられた1対の応力付与領域31c,31dとを有する。
【0022】
この分散補償光ファイバ31は石英系ガラスを主成分とするものであり、コア領域31aは屈折率上昇剤(例えばGeO2)または屈折率下降剤(例えばF元素)が添加されて所定の屈折率プロファイルとされている。これにより、分散補償光ファイバ31は、信号光波長における分散補償光ファイバ31の波長分散が負となっている。
【0023】
また、応力付与領域31c,31dそれぞれはB2O3が添加されている。このような分散補償光ファイバ31では、光ファイバ母材を加熱線引きすることで製造される際の残留応力に因り、光軸に垂直であって1対の応力付与領域を互いに結ぶ第1方位と、光軸および第1方位の双方に垂直な第2方位とで、互いに異なる応力がコア領域31aに作用する。分散補償光ファイバ31は、このような応力の非軸対称性に因り、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位の導波光の伝搬定数が異なり、偏光方位を保持したまま光を伝搬させることができ、また、その非軸対称性の程度に応じた偏波モード分散を有する。
【0024】
なお、分散補償光ファイバ31は、コア断面が非円しているものであってもよい。
【0025】
分散補償光ファイバ31は、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させることができるものであって、偏波クロストークが小さいほど好ましい。分散補償光ファイバ31の偏波クロストークは、好適には−10dB以下であり、より好適には−20dB以下であり、更に好適には−30dB以下である。
【0026】
また、分散補償光ファイバ31の複屈折率は5×10−7以上5×10−5以下であるのが好適である。分散補償光ファイバ31の複屈折率が5×10−7未満であると、偏波間の光結合が生じ易くなる。一方、分散補償光ファイバ31の複屈折率が5×10−5超であると、この分散補償光ファイバ31の偏波モード分散を補償する複屈折光ファイバ32の所要長が長くなる。分散補償ファイバの複屈折が5×10−7以上の場合、偏波間の光結合が抑制され分散補償ファイバで生じた偏波分散値を確実に補償することができる。また、複屈折が5×10−5以下の場合、分散補償ファイバによって生じた偏波分散値を補償する複屈折媒体の所要長が短くて済む。
【0027】
また、分散補償光ファイバ31は、捻り回数が少ないほど好ましく、捻り回数が1ターン/m以下であるのが好適である。また、分散補償光ファイバ31が導波光の偏光方位を保持し得る形態で収納されているのが好適である。このようにすることにより、偏波間の光結合が抑制され、分散補償光ファイバ31の偏波モード分散が複屈折光ファイバ32により容易に補償される。
【0028】
図4は、本実施形態に係る分散補償器30に含まれる複屈折光ファイバ32の断面構造の一例を示す図である。この図に示される複屈折光ファイバ32は、断面形状が楕円形であるコア領域32aと、このコア領域32aを取り囲むクラッド領域32bとを有する。この複屈折光ファイバ32は石英系ガラスを主成分とするものであり、コア領域32aは屈折率上昇剤(例えばGeO2)または屈折率下降剤(例えばF元素)が添加されて所定の屈折率プロファイルとされている。
【0029】
また、この複屈折光ファイバ32は、コア領域32aの断面形状が楕円形であることにより、互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位の導波光の伝搬定数が異なり、その楕円率に応じた偏波モード分散を有する。複屈折光ファイバ32の偏波モード分散は、分散補償光ファイバ31の偏波モード分散と同量とされている。
【0030】
なお、複屈折光ファイバ32は、図3に示されるようなコア領域を挟んで設けられた1対の応力付与領域を有する断面構造のものであってもよい。
【0031】
図5は、本実施形態に係る分散補償器30における分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続態様を説明する図である。同図(a)は、分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続点Aの近傍の正面図である。同図(b)は、接続点Aでの分散補償光ファイバ31の断面における速軸Fおよび遅軸Sそれぞれの方位を示す図である。同図(c)は、接続点Aでの複屈折光ファイバ32の断面における速軸Fおよび遅軸Sそれぞれの方位を示す図である。これらの図には説明の便宜の為にxyz直交座標系が示されている。
【0032】
同図(a)に示されるように、接続点Aの近傍では、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32それぞれの光軸はz軸に平行であるとする。同図(b)に示されるように、接続点Aでの分散補償光ファイバ31の断面において、速軸Fはx軸に平行であり、遅軸Sはy軸に平行である。同図(c)に示されるように、接続点Aでの複屈折光ファイバ32の断面において、速軸Fはy軸に平行であり、遅軸Sはx軸に平行である。すなわち、接続点Aにおいて分散補償光ファイバ31の速軸Fと複屈折光ファイバ32の遅軸Sとは互いに平行である。また、接続点Aにおいて分散補償光ファイバ31の遅軸Fと複屈折光ファイバ32の速軸Fとは互いに平行である。
【0033】
図6は、本実施形態に係る分散補償器30に含まれる分散補償光ファイバ31の収納形態の他の例を示す図である。この図に示される分散補償光ファイバ31は、ボビンに巻かれることなくコイル状に巻かれており、当該コイルが筐体34内に容れられて、当該コイルの少なくとも外周面が樹脂35で被覆されている。この樹脂35は、巻かれた分散補償光ファイバ31の間にも入り込んでいるのが好ましい。また、この分散補償光ファイバ31の両端面は、融着部36により他の光ファイバ37と接続されている。このように収納されることにより、分散補償光ファイバ31は、側圧が緩和され、また、偏波間の光結合が抑制されて、分散補償光ファイバ31の偏波モード分散が複屈折光ファイバ32により容易に補償される。
【0034】
以上のように構成される光通信システム1および分散補償器30は以下のように動作する。光通信システム1では、光送信器10より送出された信号光は、正の波長分散を有する光ファイバ伝送路20により伝送された後、負の波長分散を有する分散補償器30(特に分散補償光ファイバ31)により分散補償されて、光受信器40により受信される。光送信器10から光受信器20へ至るまでの信号光伝送経路の累積波長分散の絶対値は、分散補償器30が挿入されることにより低減される。これにより、光受信器40に到達する信号光の波形劣化が抑制され、高品質の信号光伝送が可能となる。
【0035】
また、分散補償器30では、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32それぞれの偏波モード分散が互いに同量であって、接続点Aにおいて分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸Fと他方の遅軸Fとが互いに平行であるので、分散補償光ファイバ31の偏波モード分散が複屈折光ファイバ32により補償される。これにより、偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制されるので、この点でも高品質の信号光伝送が可能となる。
【0036】
また、分散補償器30を製造する際には、接続点Aにおいて分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸Fと他方の遅軸Sとが互いに平行となるように、両者を融着接続すればよい。特開平8−43657号では分散補償ファイバにおいて、偏波結合が生じてしまい、偏波モード分散が確実に補償されないが、本分散補償器では確実に補償できる。特開平8−54524号では、偏波調整手段を用いて毎回直線偏光として分散補償定偏波光ファイバに入射する必要があるが、本分散補償器では分散補償ファイバの速軸と遅軸と複屈折媒体の速軸と遅軸を一度逆にして接続しさえすれば、毎回直線偏光として分散補償ファイバの特定の軸に入射する必要はなくなる。
【0037】
図7は、他の実施形態に係る分散補償器30Aの構成図である。この図に示される分散補償器30Aは、分散補償光ファイバ311〜314および複屈折光ファイバ32が順に接続されたものであり、分散補償光ファイバ311がボビン331の胴部に巻かれ、分散補償光ファイバ312がボビン332の胴部に巻かれ、分散補償光ファイバ313がボビン333の胴部に巻かれ、また、分散補償光ファイバ314がボビン334の胴部に巻かれている。分散補償光ファイバ311〜314それぞれは、既に説明した分散補償光ファイバ31と同様のものである。
【0038】
分散補償光ファイバ311〜314それぞれは、全体の偏波モード分散が小さくなるように、各々の速軸および遅軸が平行に接続されているのが好適である。また、複屈折光ファイバ32は、分散補償光ファイバ311〜314の全体の偏波モード分散と同量の偏波モード分散を有しており、分散補償光ファイバ311〜314の全体の偏波モード分散を補償するように接続されている。この分散補償器30Aでは、以上のように構成されているので、分散補償光ファイバ311〜314の全体の偏波モード分散が複屈折光ファイバ32により補償される。これにより、偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制されるので、この点でも高品質の信号光伝送が可能となる。
【0039】
また、分散補償器30Aを製造する際には、分散補償光ファイバ314と複屈折光ファイバ32との接続の際に、分散補償器30Aの全体の偏波モード分散が小さくなるように、両者を融着接続すればよい。特開平8−43657号では分散補償ファイバにおいて、偏波結合が生じてしまい、偏波モード分散が確実に補償されないが、本分散補償器では確実に補償できる。特開平8−54524号では、偏波調整手段を用いて毎回直線偏光として分散補償定偏波光ファイバに入射する必要があるが、本分散補償器では分散補償ファイバの速軸と遅軸と複屈折媒体の速軸と遅軸を一度逆にして接続しさえすれば、毎回直線偏光として分散補償ファイバの特定の軸に入射する必要はなくなる。
【0040】
次に、本実施形態に係る分散補償器30(または30A)の具体的な実施例について説明する。
【0041】
実施例1の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。実施例1では、分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて波長分散が−120ps/nm/kmであり、長さが11kmであって、捻られていない状態でボビン33に巻かれた。このとき、この分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて、偏波クロストークが−30dBであり、偏波モード分散が1466psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが916.65mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように接続された。その結果、この実施例1の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.027psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0042】
実施例2の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。−120ps/nm/kmの波長分散特性を有しており、かつ捻られていないファイバ11kmをボビンにコイル巻きしたときの偏波クロストークが−20dBである特徴を有する分散補償ファイバがある。この分散補償ファイバの偏波分散値は1650psである。その分散補償ファイバの速軸と遅軸と、複屈折4.8×10−4、ファイバ長985.4mである複屈折媒体の速軸と遅軸が互いに逆になる形で接続され収納されている分散補償器の偏波分散値は0.026psとなり、十分に偏波分散が低減される。
【0043】
実施例3の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。−120ps/nm/kmの波長分散特性を有しており、かつ捻られていないファイバ11kmをボビンにコイル巻きしたときの偏波クロストークが−10dBである特徴を有する分散補償ファイバがある。この分散補償ファイバの偏波分散値は1833psである。その分散補償ファイバの速軸と遅軸と、複屈折4.8×10−4、ファイバ長1145.8mである複屈折媒体の速軸と遅軸が互いに逆になる形で接続され収納されている分散補償器の偏波分散値は0.053psとなり、十分に偏波分散が低減される。
【0044】
実施例4の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。実施例4では、分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて波長分散が−120ps/nm/kmであり、長さが11kmであって、捻られていない状態でボビン33に巻かれた。このとき、この分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて、複屈折率が5.0×10−5であり、偏波モード分散が1833psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが1145.82mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように接続された。その結果、この実施例4の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.021psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0045】
実施例5の分散補償器は、図2に示された構成のものであった。実施例5では、分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて波長分散が−120ps/nm/kmであり、捻り回数が1ターン/mであるようなファイバ1kmがボビン33に巻かれた。このとき、この分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて、偏波モード分散が1100psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが687mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように接続された。その結果、この実施例5の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.016psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0046】
実施例6の分散補償器は、図2に示された構成のものと略同様であるが、分散補償光ファイバ31が図6に示される形態で収納された。実施例6では、分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて波長分散が−80ps/nm/kmであり、長さが12kmであって、捻られていない状態でコイル状に巻かれ、当該コイルの外周面が樹脂で覆われた。このとき、この分散補償光ファイバ31は、波長1.55μmにおいて、複屈折率が8.1×10−6であり、偏波モード分散が324psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが202.48mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ31および複屈折光ファイバ32の一方の速軸と他方の遅軸とが互いに平行となるように接続された。その結果、この実施例6の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.032psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0047】
実施例7の分散補償器は、図7に示された構成のものであった。実施例7では、4つの分散補償光ファイバ311〜314それぞれは、波長1.55μmにおいて波長分散が−120ps/nm/kmであり、長さが11kmであって、捻られていない状態でボビン331〜334に巻かれた。このとき、分散補償光ファイバ311〜314それぞれは、波長1.55μmにおいて、偏波クロストークが−30dBであった。また、分散補償光ファイバ311〜314の全体は、波長1.55μmにおいて、偏波モード分散が2933psであった。複屈折率が4.8×10−4であり、長さが202.48mである複屈折ファイバを、分散補償光ファイバ311〜314および複屈折光ファイバ32は、全体の偏波モード分散が小さくなるように順に接続された。その結果、この実施例7の分散補償器は、波長1.55μmにおいて全体の偏波モード分散が0.04psであり、偏波分散が十分に低減される。
【0048】
以上のように、何れの実施例の分散補償器も、全体の偏波モード分散が充分に低減された。このような分散補償器を含む光通信システムでは、光ファイバ伝送路の正の波長分散が分散補償器の負の波長分散により補償されるので、累積波長分散に因る信号光波形劣化が抑制され、また、分散補償器においては偏波モード分散に因る信号光波形劣化が抑制され、これにより、高品質の信号光伝送が可能となる。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、波長分散が負である分散補償光ファイバにより、この分散補償器とともに用いられる光ファイバ伝送路の正の波長分散を補償することができる。分散補償光ファイバおよび複屈折媒体それぞれの偏波モード分散が互いに相殺されるので、分散補償器の全体の偏波モード分散が小さい。また、このような分散補償器を製造する際には、接続点において分散補償光ファイバの偏波分散値をキャンセルする形で複屈折媒体と分散補償ファイバとを接続すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光通信システム1の構成図である。
【図2】本実施形態に係る分散補償器30の構成図である。
【図3】本実施形態に係る分散補償器30に含まれる分散補償光ファイバ31の断面構造の一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る分散補償器30に含まれる複屈折光ファイバ32の断面構造の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る分散補償器30における分散補償光ファイバ31と複屈折光ファイバ32との接続態様を説明する図である。
【図6】本実施形態に係る分散補償器30に含まれる分散補償光ファイバ31の収納形態の他の例を示す図である。
【図7】他の実施形態に係る分散補償器30Aの構成図である。
【符号の説明】
1…光通信システム、10…光送信器、20…光ファイバ伝送路、30…分散補償器、31…分散補償光ファイバ、32…複屈折光ファイバ、33…ボビン、40…光受信器。
Claims (10)
- 互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させ信号波長の所定波長において波長分散が負である分散補償光ファイバと、
前記分散補償光ファイバの速軸と平行な遅軸を有するとともに、前記分散補償光ファイバの遅軸と平行な速軸を有するように、前記分散補償光ファイバと接続され、前記分散補償光ファイバの偏波モード分散と同量の偏波モード分散を有する複屈折媒体と
を備えることを特徴とする分散補償器。 - 互いに直交する速軸および遅軸それぞれの偏光方位を保持したまま光を導波させ、信号波長の所定波長において波長分散が負である複数の分散補償光ファイバが全体として偏波分散値をキャンセルするように接続されており、
前記複数の分散補償光ファイバの全体の偏波モード分散と同量の偏波モード分散を有し、前記複数の分散補償光ファイバの全体の偏波モード分散を補償する複屈折媒体が前記複数の分散補償光ファイバによって残留した偏波分散値をキャンセルするように接続されている
ことを特徴とする分散補償器。 - 前記分散補償光ファイバの偏波クロストークが−10dB以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の分散補償器。
- 前記分散補償光ファイバの偏波クロストークが−20dB以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の分散補償器。
- 前記分散補償光ファイバの偏波クロストークが−30dB以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の分散補償器。
- 前記分散補償光ファイバの複屈折率が5×10−7以上5×10−5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の分散補償器。
- 前記分散補償光ファイバの捻り回数が1ターン/m以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の分散補償器。
- 前記分散補償光ファイバが導波光の偏光方位を保持し得る形態で収納されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分散補償器。
- 前記分散補償光ファイバがコイル状に巻かれており、当該コイルの少なくとも外周面が樹脂で被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分散補償器。
- 信号光を伝送する光ファイバ伝送路と、
この光ファイバ伝送路の波長分散を補償する請求項1または2に記載の分散補償器と
を備えることを特徴とする光通信システム。
Priority Applications (1)
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JP2002249534A JP2004086061A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 分散補償器および光通信システム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014082753A (ja) * | 2012-08-18 | 2014-05-08 | Ofs Fitel Llc | 海底の長距離伝送システムおよびファイバ |
-
2002
- 2002-08-28 JP JP2002249534A patent/JP2004086061A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014082753A (ja) * | 2012-08-18 | 2014-05-08 | Ofs Fitel Llc | 海底の長距離伝送システムおよびファイバ |
JP2016007038A (ja) * | 2012-08-18 | 2016-01-14 | オーエフエス ファイテル,エルエルシー | 海底の長距離伝送システムおよびファイバ |
JP2017188923A (ja) * | 2012-08-18 | 2017-10-12 | オーエフエス ファイテル,エルエルシー | 海底の長距離伝送システムおよびファイバ |
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