JP2004085839A - 揺動装置、それを用いた光偏向器、画像表示装置、画像形成装置、及びその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー効率が良く、変位が大きい揺動が可能な構成とできる揺動装置である。
【解決手段】揺動装置101は、支持基板106に対して回転軸を中心に揺動可能な可動板105を有する。回転軸の方向と角度を成す所定方向に着磁された硬磁性体109が可動板105と支持基板106の一方に設けられ、硬磁性体109と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段107が可動板105と支持基板106の他方に設けられている。軟磁性体121、122が、硬磁性体109の磁極に近接した磁気発生手段107の部分を除いて、磁気発生手段107を少なくとも部分的に覆う様に設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】揺動装置101は、支持基板106に対して回転軸を中心に揺動可能な可動板105を有する。回転軸の方向と角度を成す所定方向に着磁された硬磁性体109が可動板105と支持基板106の一方に設けられ、硬磁性体109と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段107が可動板105と支持基板106の他方に設けられている。軟磁性体121、122が、硬磁性体109の磁極に近接した磁気発生手段107の部分を除いて、磁気発生手段107を少なくとも部分的に覆う様に設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁アクチュエータを用いた揺動装置、それを用いた光偏向器、画像表示装置、画像形成装置、及びその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体プロセスを利用して、シリコン等の基板上に電磁アクチュエータを作製する試みがなされている。電磁アクチュエータを半導体プロセスを用いて作製すると、固定子と可動子と電磁コイルとを一括で作製でき、接合や接着をする工程が不要であり、固定子と可動子と電磁コイルとを高精度にアライメントできる。また、一度に大量に作製可能な為、低コスト化が見込める。
【0003】
基板上に作製される電磁アクチュエータの応用例の一つとして光偏向器がある。光偏向器はレーザビームプリンタ等の画像形成装置やヘッドマウントディスプレイ等の画像表示装置や、バーコードリーダ等の画像入力装置に用いられる。1つの光偏向器で2軸の偏向が可能なものも見受けられる。
【0004】
基板上に作製される電磁アクチュエータを光偏向器に応用したものの例として、特開2000−235152号公報に開示のものがある。図9は、特開2000−235152号公報に実施例の1つとして記載されている光偏向器を示す上面図である。これは、トーションビーム光偏向器であり、レーザ光を2次元走査する偏向器として用いられる。このトーションビーム光偏向器は、内側のy軸方向偏向部1003と外側のx軸方向偏向部1004とから構成されている。内側のy軸方向偏向部1003は、溝部1002を有する基板1001と、軸部1005によって揺動可能に支持され表面に硬磁性を示す薄膜が成膜されている可動板1006と、可動板1006を揺動させる一対の薄膜電磁石部1007と、可動板1006上に設けられたミラー1008から構成されている。可動板1006と薄膜電磁石部1007の形成面は厚み方向に僅かにずらしてある。薄膜電磁石部1007にy軸方向偏向部1003の構造的な共振周波数である60kHzの交流を通電することで生じる磁界と、可動板1006に形成された硬磁性薄膜に生ずる磁界との間に生ずるクーロン力で可動板1006を揺動させ、照射された光をミラー1008により偏向させる。機械的な共振を利用した駆動方法のため、低消費電力を実現することができる。外側のx軸方向偏向部1004は、y軸方向偏向部1003と同様の構造であり、駆動方法も同様である。この光偏向器の駆動周波数は60kHz(y軸)、60Hz(x軸)、可動板1006の変形角度は±13.67°(y方向)である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した光偏向器は以下に示すような問題点を有している。
図9に示した特開2000−235152号公報の光偏向器においては、2軸の回りの高速動作を実現しているが、薄膜電磁石部1007を構成するコアがスパッタで成膜される薄膜であるため、断面積を大きくすることには限界がある。そのため、薄膜電磁石部1007に大きな電流を流すと磁束が飽和することは必至であり、変形角度をさらに大きくすることが難しい。また、可動板1006と薄膜電磁石部1007の形成面の厚み方向のずれが僅かであり、この点からも変形角度をさらに大きくすることが難しい。また、薄膜電磁石部1007が有する軟磁性体の形状が帯状であり、磁束の漏れが大きく、エネルギー効率の向上は難しい。
【0006】
本発明の目的は、上記従来のものにおける問題を解決し、エネルギー効率が良く、変位が大きい揺動が可能な構成とできる揺動装置、揺動装置を用いた光偏向器、及び光偏向器を用いた画像表示装置、画像形成装置、並びにその製法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の揺動装置は、支持基板に対して回転軸を中心に揺動可能な可動板を有する揺動装置であって、前記回転軸の方向と角度を成す所定方向に着磁された硬磁性体が前記可動板と支持基板の一方側に設けられ、前記硬磁性体と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段が前記可動板と支持基板の他方側に設けられ、軟磁性体が、前記硬磁性体の磁極に近接した前記磁気発生手段の部分を除いて、前記磁気発生手段を少なくとも部分的に覆う様に設けられていることを特徴とする。この構成のように、軟磁性体が磁気発生手段を少なくとも部分的に覆う様に設けられていることで、発生する磁束の多くが軟磁性体によって遮蔽され、軟磁性体から漏れる磁束を、軟磁性体が無い場合と比較して、効果的に永久磁石すなわち着磁硬磁性体に作用させられる。また、永久磁石の着磁方向と回転軸の方向とが角度を成しているので、可動板に対して回転軸を中心としたトルクを発生させられる。
【0008】
上記基本構成に基づいて、以下の様な態様が可能である。
前記軟磁性体が、硬磁性体ないし永久磁石の磁極に近接した磁気発生手段の部分を除いて、磁気発生手段を少なくとも部分的に覆う一つの形態として、第一軟磁性体と第二軟磁性体とが、前記磁気発生手段を上下から挟んで設けられる形態がある。このように、軟磁性体が磁気発生手段を挟んで設けられることで、発生する磁束の大部分が軟磁性体によって遮蔽され、軟磁性体から漏れる磁束を、軟磁性体が無い場合と比較して、効果的に永久磁石に作用させられる。
【0009】
前記磁気発生手段は、典型的には、平面コイルなどのコイルである。この構成のように、磁気発生手段にコイルを用いる場合、コイルに流す電流を変化させることにより可動板の動作を制御できる。コイルはどの様なものでも良いが、平面コイルやこれを積層させたコイルを用いれば、装置を軽量化、小型化できる。
【0010】
前記コイルが、永久磁石が設置される可動板の面と略平行な面上で、前記可動板を周回している様にできる。このように、コイルが可動板を周回することで、効果的に磁束を可動板上の永久磁石に作用させられる。そのため、発生力が大きくなり、エネルギー効率が向上する。また、可動板の変位を大きくできる。
【0011】
前記第一軟磁性体と第二軟磁性体の少なくとも1つが開口を有し、この開口の周部が可動板を周回している様にもできる。この構成のように、軟磁性体に開口を設け、その周部が可動板を周回していることで、コイルから発生する磁束が軟磁性体によって導かれ、軟磁性体の開口部に集中する。そのため、軟磁性体の内周部に設置される可動板上の永久磁石に磁束を効果的に作用させられる。よって、発生力が大きくなり、エネルギー効率が向上し、可動板の変位を大きくできる。更に、可動板が揺動する時に、可動板と軟磁性体との干渉が無いため、可動板の変位を大きくとれる。また、可動板と軟磁性体との間の空気の粘性抵抗を最小限に抑えられて、より大きなQ値を得ることができる。また、可動板上に偏向部を設置し、揺動装置を光偏向器として用いる場合、上記開口を通して光を偏向部に入射させ、偏向させられる。
【0012】
前記開口の周部が、前記硬磁性体の磁極に近接する部分を有する様にもできる。この構成のように、開口の周部が永久磁石の磁極に近接する部分を有することで、コイルから発生する磁束を、極めて効果的に永久磁石に作用させられる。そのため、発生力が大きくなり、エネルギー効率が向上する。また、可動板の変位を大きくできる。
【0013】
前記第一軟磁性体の外周部と第二軟磁性体の外周部とが、磁気的に接続している部分を有する様にもできる。この構成のように、上側の軟磁性体と下側の軟磁性体とが外周部で磁気的に接続している部分を有することで、永久磁石にはほぼ作用しない外周部における磁束の漏れを最小限に抑えられる。そのため、エネルギー効率が向上する。
【0014】
前記第一軟磁性体の開口の内周部と第二軟磁性体の開口の内周部とが、前記硬磁性体の磁極に近接しない部分において、磁気的に接続している部分を有する様にもできる。この構成のようにすることで、永久磁石の磁極にはほぼ作用しない部分における磁束の漏れを最小限に抑えられ、エネルギー効率が向上する。
【0015】
前記硬磁性体が、前記第一軟磁性体の最上面と第二軟磁性体の最下面との間に設置される形態にもできる。この構成のように、永久磁石が上側の軟磁性体と下側の軟磁性体との間に設置されることで、特に磁気発生手段から発生する磁束の密度が比較的大きい領域に、永久磁石を配置させられる。そのため、発生力を大きくでき、エネルギー効率を向上できる。また、可動板の変位を大きくできる。また、所望される可動体の変位に応じて、上側の軟磁性体と下側の軟磁性体との間隔を最適化することができる。
【0016】
前記硬磁性体の磁界の方向と前記可動体の回転軸の方向とが互いに略直交している形態にもできる。このように、永久磁石の磁極と回転軸との位置関係を工夫することにより、効果的に回転軸を中心に可動体を揺動させる方向の発生力を得ることができ、エネルギー効率が向上する。また、下側の軟磁性体の上面と上側の軟磁性体の下面とから等間隔の面上で、軟磁性体に近接している部分に磁束が集中するため、永久磁石の磁極を、コイルから発生する磁束の密度が非常に高い領域に配置することができる。
【0017】
また、前記可動板を揺動可能に支持する弾性支持部と弾性支持部を固定する支持基板とを有する揺動装置において、可動板と弾性支持部と支持基板との何れか2つ以上が同一部材から形成されている様にできる。この構成のように、例えば、可動板と弾性支持部と支持基板とを同一部材から形成することで、組み立て工程が不要にでき、低コスト化を図れる。また、可動板と支持基板とのアライメントが不要になり、ロット間のばらつきが少なくなる。
【0018】
前記可動板と弾性支持部と支持基板との少なくとも1つが、単結晶シリコンよりなる様にできる。この構成のように、例えば、可動板と弾性支持部とに単結晶シリコンを用いることで、弾性支持部の減衰係数が小さくなるため、共振周波数で駆動した場合に大きなQ値を得ることができる。また、金属材料のように繰り返し変形による疲労破壊が起きないので、長寿命の光偏向器等を構成可能となる。
【0019】
前記コイルと第一軟磁性体と第二軟磁性体との少なくとも1つが前記支持基板上に形成されている様にもできる。このように、コイルと軟磁性体とを支持基板上に形成することで、組み立て工程が不要であり、低コストである。また、コイルと軟磁性体と支持基板とのアライメントが不要となり、ロット間のばらつきが少なくなる。
【0020】
前記第一軟磁性体と第二軟磁性体との少なくとも1つが強磁性体よりなる様にできる。このように、軟磁性体が強磁性体よりなることで、より効果的に磁束を所望の領域に導くことができる。
【0021】
前記コイルに、主に可動板の共振周波数の周波数成分を含む電流が印加される様に構成できる。この構成のように、可動板を共振周波数で駆動することにより、大きな可動板の変位が得られる。また、外乱振動の影響を受けにくく、より安定した駆動が可能になる。
【0022】
また、上記課題を解決する本発明の光偏向器は、上記揺動装置を用いた光偏向器であって、前記可動板には入射光を偏向させる偏向部が設けられていることを特徴とする。この構成のように、可動板が偏向部を有することで、揺動装置を光偏向器として用いることができる。よって、エネルギー効率が良く、偏向角が大きい光偏向器を提供できる。偏向部は、例えば、ミラー、レンズ、或いは回折格子を有する。偏向部をミラーで構成する場合、作製が容易で、可動部分の質量が小さい光偏向器を提供できる。偏向部をレンズで構成する場合、偏向角の大きい透過型の光偏向器を提供できると共に、光の入射方向に対して光の偏向範囲を光偏向器の反対側に持って来られるので、装置各部の設計配置上の自由度が高まる。また、偏向部を回折格子で構成する場合は、入射光を複数のビームとして偏向することができる。
【0023】
偏向部を持つ可動体が1つの回転軸を中心に揺動可能に支持される上記構成の内側の光偏向器と、該光偏向器から離間した位置に配置される永久磁石を有して該光偏向器全体を可動体として別の回転軸を中心に揺動可能に支持する外側の光偏向器とを含む構成にもできる(図4参照)。この構成では、内側の光偏向器において、硬磁性体が可動板に設けられ、この硬磁性体と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段が該可動板の支持基板上に設けられ、外側の光偏向器において、別の硬磁性体が別の支持基板に設けられ、この硬磁性体と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段が前記可動板の支持基板上に設けられる。2つの磁気発生手段は共通でもよいし、別個に設けられてもよい。この構成のように、光偏向器を揺動可能に支持し、離間した位置に永久磁石を設けることで、1つのコイル(磁気発生手段)で入射光を2次元に偏向する光偏向器を実現できる。非常に簡単な構成のため、小型化が見込め、安価である。また、エネルギー効率の向上も見込める。
【0024】
上記光偏向器の支持基板が上記揺動装置の可動板として構成され、光偏向器の回転軸と揺動装置の回転軸とが互いに略直交している様にもできる(図6参照)。この構成では、内外の支持基板にコイル(磁気発生手段)が夫々設置され、可動板に永久磁石が設置され、内側の支持基板には更に永久磁石も設置される。このように、複数の揺動装置を入れ子構造にすることで、入射光を2次元に偏向する光偏向器を実現できる。
【0025】
また、上記課題を解決する本発明の画像表示装置は、光源と、光源から発せられた光を偏向させる上記光偏向器と、光偏向器により偏向された光が投影される画像表示面とを有することを特徴とする。光はレンズ、ミラー、回折格子などの光学素子を介して投影される。この構成のように、上記光偏向器を画像表示装置に応用することで、エネルギー効率が良く、偏向角が大きい画像表示装置を提供できる。
【0026】
また、上記課題を解決する本発明の画像形成装置は、光源と、光源から発せられた光を偏向させる上記光偏向器と、光偏向器により偏向された光が投影される画像形成面(感光性材料)とを有することを特徴とする。光はレンズ、ミラー、回折格子などの光学素子を介して投影される。この構成のように、上記光偏向器を画像形成装置に応用することで、エネルギー効率が良く、偏向角が大きい画像形成装置を提供できる。
【0027】
また、上記課題を解決する本発明の揺動装置または光偏向器を作製する方法は、基板から可動板と弾性支持部と支持基板を形成する工程と、可動板または支持基板に硬磁性体を形成する工程と、支持基板または可動板に磁気発生手段を形成する工程、前記第一軟磁性体と第二軟磁性体とを形成する工程とを少なくとも有することを特徴とする。更に、可動板に偏向部を形成する工程を有してもよい。これにより、エネルギー効率が良く、偏向角が大きい光偏向器等の揺動装置を作製することができる。また、可動板と弾性支持部とを一度に作製することができる。更に、可動板と支持基板とのアライメントが不要であり、ロット間のばらつきが少なくなる。
【0028】
上記作製方法において、基板を用いて可動板と弾性支持部と支持基板とを形成する工程は、反応性イオンエッチング、またはアルカリ溶液を用いたエッチングを含んでなされ得る。前者のように、反応性イオンエッチングを行うことで、精度良く、安定して可動板と弾性支持部の形状を形成することができる。後者のように、アルカリ溶液を用いたシリコン結晶面のエッチング速度差による異方性エッチングを行うことで、精度良く、安定して可動板と弾性支持部の形状を形成することができ、また、エッチングレートが反応性イオンエッチングと比較して速いため、時間を短縮でき、コストダウンに繋がる。
【0029】
また、可動板または支持基板に硬磁性体を形成する工程が、メッキによりなされ得る。このように硬磁性体(永久磁石)をメッキで作製することにより、組み立て工程が不要となり、低コスト化を図れる。また、可動板と支持基板とのアライメントが不要となり、ロット間のばらつきが少なくなる。更に、蒸着やスパッタリングと比較して、厚く、高速に磁界発生手段を形成することもできる。
【0030】
前記第一軟磁性体を形成する工程と第二軟磁性体を形成する工程との少なくとも1つが、メッキによりなされ得る。このように、軟磁性体をメッキで作製することにより、膜厚を数μm〜数百μm程度にできる。また、軟磁性体の組み立て工程が不要となり、低コスト化を図れる。また、コイル(磁界発生手段)と軟磁性体とのアライメントが不要となり、ロット間のばらつきが少なくなる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を明らかにすべく実施例を図面を参照しながら説明する。
【0032】
[実施例1]
図1、図2及び図3を用いて本発明の実施例1である光偏向器を説明する。まず、構造について説明する。図1及び図2は本実施例の光偏向器の構成を示し、図1は主部の分解図であり、図2(a)は上面図であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A’断面図である。図1に層毎に分解して示すように、光偏向器101は主に支持基板106と第一軟磁性体121とコイル(磁気発生手段)107と第二軟磁性体122とから成り、支持基板106と一体的に可動板105が一対のネジリばね103(弾性支持部)と共に形成されている。本実施例は、コイル107の下側と上側に、第一軟磁性体121と第二軟磁性体122を夫々有していることを特徴としている。
【0033】
図2(a)、(b)を用いて構造について詳しく説明する。但し、図2(a)においては分かり易くするために、第二軟磁性体122を示していない。光偏向器101の寸法は(a)に示す通りである。支持基板106はネジリばね103を介して可動板105を揺動可能に支持している。可動板105の大きさは1mm□である。支持基板106とネジリばね103と可動板105とは、半導体プロセスにより一体で形成されている。可動板105の下面には偏向部108が、上面には永久磁石109が夫々設置されている。永久磁石109の磁極は、磁極の方向がネジリばね103の回転軸(長手方向軸)に略直交していればよく、図2に示す通りでなくてもよい。永久磁石109は、サマリウムコバルト、ネオジウム鉄ボロン等の硬磁性体を着磁した材料から構成される。コイル107は、銅やアルミニウムのように低抵抗な金属で構成される。
【0034】
コイル107の上面と下面とには、絶縁膜118と絶縁膜119とが夫々設置され、コイル107と第一軟磁性体121及び第二軟磁性体122とは、電気的に絶縁されている。ここでは、簡単のため、コイル107の巻き数を少なく示しているが、実際の巻き数は数回〜数百回程度である。図1においては単層のコイル107を示しているが、多層のコイルであってもよい。コイル107から発生する磁束の密度は、軟磁性体の開いた領域123において比較的大きいため、永久磁石109の磁極である端部を領域123内に配置するとよい。第一軟磁性体121と第二軟磁性体122は、それらの外周部において磁気的に結合しており、鉄、ニッケル、コバルト又はそれらの合金等の強磁性体から成る。図2(b)において、第一軟磁性体121と第二軟磁性体122の間隔dは、所望される可動板105の変位に応じて最適化を行う。すなわち、変位が大きければ間隔dもそれに応じて大きくできる。偏向部108はミラー、レンズ、回折格子等の光学素子で構成される。コイル107には電流源111が電気的に直列に接続されている。
【0035】
次に動作について説明する。
y軸、つまりねじりバネ103を中心に揺動する可動板105の動作について説明する。電流源111から矢印の方向にコイル107に電流を流すと、コイル107の上面及び下面にコイル107に流れる電流に対応した磁極(上面がN極、下面がS極)が発生する。発生する磁界Hは、コイル107を流れる電流Iとコイル107の巻数Nとの積に比例する。磁界Hは永久磁石109の磁極に作用し、可動板105がねじりバネ103を中心に揺動する。発生するトルクTは永久磁石109の磁化mと磁界Hの積として表される。従って、発生するトルクTはコイル107を流れる電流Iに比例することが分かる。
【0036】
一方、可動板105が揺動することによりねじりバネ103が捩じられ、これによって発生するねじりバネ103のバネ反力F’と可動板105の変位角ψとの関係は、
ψ=((F’・L)・l)/(2・G・Ip) (1)
で与えられる。ここでGは横弾性係数、Lはねじりバネ103の中心軸から力点までの距離、lはねじりバネ部103の長さ、Ipは断面二次極モーメントである。そして、発生するトルクTとF’・Lとが釣り合う位置まで可動板105が揺動する。従って、可動板105の変位角ψはコイル107に流れる電流Iに比例することが分かる。従って、コイル107に流す電流を制御することにより、可動板105の変位角ψを制御できる。
【0037】
こうして、コイル107に電流を流すことで、偏向部108を有する可動板105を駆動することができる。駆動方法は、コイル107に電流源111を用いて交流を流すことで、可動板105を連続的に揺動させる。可動板105の共振周波数で駆動することにより、大きな変位角が得られる。また、変位角センサ(不図示)を用いて可動板105の変位角を検知し、電流源111から流す電流を変化させて、可動板105の動きを制御することも可能である。
【0038】
次に、図2(a)におけるO−A’断面を表す図3を用いて作製プロセスを説明する。但し、プロセスを分かり易くするために、図3では寸法(特に厚さ方向の寸法)は誇張して示してある。
先ず、図3(a)に示す如く、材料が単結晶シリコンである支持基板106(厚さ:500μm程度)の両面に、熱酸化炉等を用いて二酸化シリコン115を1μm程度成膜し、フッ化水素酸等によるウェットエッチング又はフッ素系ガスによる反応性イオンエッチング等を用いてパターニングする。
【0039】
次に、図3(b)に示す如く、表面から、二酸化シリコン115をエッチングマスクとして、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングにより支持基板106を50μm程度エッチングする。そして、図3(c)に示す如く、二酸化シリコン115を含む全表面上に電気メッキのシード電極112として、チタンを50Å程度成膜した後、金、銅等を1000Å程度、蒸着、スパッタ等で成膜する。その上にフォトレジスト113を30μm程度成膜後、パターニングし、メッキのマスクとする。ここでは、フォトレジスト113に、膜厚に適したフォトレジストであるAZ P4620(Hoechst製)を用いた。
【0040】
次に、図3(d)に示す如く、ニッケルメッキ又はパーマロイメッキ等を行い、ニッケル又はパーマロイ等を20μm程度成膜し、第一軟磁性体121を形成する。メッキの方法は電気メッキでも無電解メッキでもよい。その後、フォトレジスト113を除去し、露出したシード電極112の部分を反応性イオンエッチング又はイオンミーリングを用いて除去する。
【0041】
次に、図3(e)に示す如く、ポリイミド、ベンゾシクロブテン等の絶縁膜118を成膜し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等の強アルカリ溶液によるウェットエッチング又は反応性イオンエッチング等を用いてパターニングする。
【0042】
次に、図3(f)に示す如く、シード電極114として、チタンを50Å程度成膜した後、金、銅等を1000Å程度、蒸着、スパッタ等で成膜する。その上にフォトレジスト116を60μm程度成膜後、パターニングし、メッキのマスクとする。ここでは、フォトレジスト116に、膜厚に適したフォトレジストであるSU−8(MICROCHEM CORP.製)を用いた。
【0043】
次に、図3(g)に示す如く、電気銅メッキ又は無電解銅メッキを行い、銅を50μm程度成膜し、コイル107を形成する。ここで、コイル107の幅は30μm程度である。その後、フォトレジスト116を、加熱したN−メチルピロリドンを用いて除去する。そして、露出したシード電極114を反応性イオンエッチング又はイオンミーリングを用いて除去する。
【0044】
次に、図3(h)に示す如く、絶縁膜119を成膜してパターニングし、(c)〜(d)と同様の工程を行い、第二軟磁性体122を形成する。その後、裏面にフォトレジスト117を30μm程度成膜後、パターニングし、エッチングのマスクとする。ここでは、フォトレジスト117に、膜厚に適したフォトレジストであるAZ P4620(Hoechst製)を用いた。
【0045】
次に、図3(i)に示す如く、裏面から誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングを行い、支持基板106を300μm程度エッチングする。その後、フォトレジスト117を除去する。
【0046】
次に、図3(j)に示す如く、裏面から、さらに誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングを行い、支持基板106を部分的に貫通するまでエッチングする。この際、可動板105が所望の厚さとなるように、エッチングを続けてもよい。続いて、表面の二酸化シリコン115をフッ化水素酸等によるウェットエッチング又はフッ素系ガスによる反応性イオンエッチング等を用いて除去する。
【0047】
次に、図3(k)に示す如く、偏向部108を形成する。スパッタ等の手段によりアルミニウム等の金属を成膜してミラーとしてもよいし、所望の偏向素子を接着してもよい。そして、永久磁石109を表面に形成する。メッキ、スパッタ等の手段により硬磁性体を成膜し、さらに磁化することで永久磁石109とする。また、所望の大きさの永久磁石を接着する方法や、希土類磁石の粉末をペースト状の接着剤に混ぜたものを塗布して固化する方法によって形成してもよい。
【0048】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について説明する。図4及び図5は本発明の実施例2の光偏向器を説明する図である。図4(a)は上面図を、図4(b)は図4(a)におけるA−A’断面図を、図5は図4(a)におけるB−B’断面図を夫々示している。基本的な構成、駆動方法、作製方法は前述の実施例1とほぼ同じである。図4及び図5において、201は光偏向器、202は第1ねじりバネ、203は第2ねじりバネ、204は第1可動板(第2可動板の支持基板を兼ねる)、205は第2可動板、206は第1可動板204の支持基板、207は第1可動板204上に形成されたコイル、208は第2可動板205上に設置された偏向部、209a、209bは支持基板206上に設置された第1永久磁石、210は第2可動板205上に設置された第2永久磁石、211は電流源、221はコイル207を下面において覆う第一軟磁性体、222はコイル207を上面において覆う第二軟磁性体、223は磁束密度の比較的大きい領域(軟磁性体が開いた部分である)を夫々示している。本実施例では、第一軟磁性体221と第二軟磁性体222は全く分離していて接続部分を持たない様に描いてあるが、永久磁石209a、209b、210の磁極に近接する部分を除いて、磁束の遮蔽部分を更に広範囲にする為にこれら軟磁性体221、222の内周部及び/または外周部が磁気的に接続されていてもよい。図4(a)では、構造が分かり易いように、第一軟磁性体221、第二軟磁性体222を描いていない。
【0049】
実施例2は、実施例1における光偏向器101にあたる構造を第1ねじりバネ202によってその回転軸を中心に揺動可能に支持し、第1ねじりバネ202を固定する支持基板206上に、別の磁気発生手段として、第1永久磁石209a、209bが配置されていることを特徴としている。コイル207から発生する磁束の密度は領域223において比較的大きいため、永久磁石209a、209bの磁極である端部は領域223内に配置するとよい。
【0050】
次に、動作について説明する。
y軸周り、つまり第2ねじりバネ203中心の駆動原理は実施例1のy軸周りに関する場合と同じである。x軸周り、つまり第1ねじりバネ202中心の駆動原理も、第1永久磁石209a、209bの配置形態は若干異なるが、実施例1のy軸周りに関する場合と基本的に同様である。すなわち、第1永久磁石209a、209bを図4(a)と図5の様に第1可動板204の支持基板206側に配置し、コイル207を第1可動板204側に配置することで(この配置関係がy軸周りに関する揺動構造と逆になっている)、第1可動板204に第1ねじりバネ202中心のトルクを与えることができる。
【0051】
本実施例では、電流源211を用いてコイル207に電流を流すことにより第1可動板204が第1ねじりバネ202の周りで支持基板206に対して揺動すると共に第2可動板205が第2ねじりバネ203の周りで第1可動板204に対して揺動するので、偏向部208を有する第2可動板205を2軸に揺動することができる。また、第1可動板204及び第2可動板205の共振周波数の周波数成分を有する交流電流で駆動することにより、大きな変位角が得られる。更に、第1可動板204の共振周波数と第2可動板205の共振周波数が大きく異なるように設計することで、第1可動板204と第2可動板205をほぼ独立に駆動できる。
【0052】
以上のように、本実施例の光偏向器は、図4及び図5に示すように永久磁石209a、209b、210及びコイル207とを配置することで、簡単な構成で光ビームを2軸に偏向することが可能となる。また、可動板と永久磁石とが機械的に干渉しない様に工夫されているため、可動板の変位角を大きくとることが可能となる。
【0053】
[実施例3]
図6は本発明の実施例3の光偏向器を説明する上面図である。実施例3の光偏向器は、実施例1に述べた構造に夫々あたる2つの光偏向器(大)401a及び光偏向器(小)401bを有している。光偏向器(小)401bは、光偏向器(大)401aの可動板405a上に配置される入れ子構造となっている。但し、光偏向器(大)401aは偏向部を有していない。また、可動板405a上には2本の永久磁石409が光偏向器(小)401bを挟んで設置されている。光偏向器(小)401bの可動板405bの表面にも永久磁石410が設置され、裏面にはミラー(不図示)が設置されている。電流源411は、光偏向器(大)401aのコイル(光偏向器(大)401aの支持基板上に永久磁石409を周回するように設けられている)と光偏向器(小)401bのコイル(光偏向器(小)401bの支持基板(光偏向器(大)401aの可動板405aでもある)上に永久磁石410を周回するように設けられている)に直列に接続されており、1つの電流源411で可動板405bを2軸に駆動することができる。電流源411を2つ設け、光偏向器(大)401aと光偏向器(小)401bとを独立に駆動してもよい。本実施例でも、軟磁性体が、光偏向器(大)401aのコイルと光偏向器(小)401bのコイルを覆って上記実施例で述べたように夫々設けられている。半導体レーザ等の光源から発生した光を可動板405b上のミラー(不図示)に当てることで、光を2次元に偏向できる。ミラーの代わりにレンズや回折格子のような光学素子を設置してもよい。
【0054】
以上のように構成された本実施例の光偏向器も、上記実施例1に述べた光偏向器を入れ子構造で用いることで、エネルギー効率が良く、偏向角が大きくでき、2次元の偏向ができる光偏向器を実現できる。
【0055】
[実施例4]
図7は本発明の光偏向器を用いた光学機器である本発明による画像表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図7において、501は上記実施例に示された光偏向器(実施例1のものを2つ組合わせて用いてもよいし、実施例2または3のものを用いてもよい)であり、本実施例では、水平・垂直方向に入射光をラスタスキャンする光スキャナ装置として作用する。502はレーザ光源である。503はレンズ或いはレンズ群であり、504は書き込みレンズまたはレンズ群であり、505は投影面(画像表示面)である。2つのレンズ或いはレンズ群503、504の間に、光偏向器501が配置されている。
【0056】
ここにおいて、レーザ光源502から入射されたレーザ光は、光走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けており、光偏向器501により2次元的に走査されることで、投影面505上に画像を形成する。
【0057】
[実施例5]
図8は本発明の光偏向器を用いた光学機器である本発明による画像形成装置の基本的な構成を示す模式図である。図8において、601は上記実施例1に示された光偏向器における可動板にミラー、レンズ、回折格子等の光学素子を設けて構成されている光偏向器であり、本実施例ではドラム状感光体(画像形成面)606の回転中心と平行な一次元方向に光を走査する光スキャナ装置として機能する。602はレーザ光源であり、603はレンズ或いはレンズ群であり、604は書き込みレンズまたはレンズ群である。2つのレンズ或いはレンズ群603、604の間に、光偏向器601が配置されている。
【0058】
ここにおいて、レーザ光源602から入射されたレーザ光は、光走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けており、光偏向器601により一次元的に走査される。一方、ドラム状感光体606は回転中心の回りで所要の回転速度で回転している。そして、感光体606は図示しない帯電器により表面が一様に帯電されている。従って、光偏向器601による走査と感光体606の回転とに基づき、感光体606の表面に光がパターン状に入射されることになり、その光入射部分と光非入射部分とで静電潜像が形成される。図示しない現像器により、感光体606の表面の静電潜像に対応したパターンのトナー像が形成され、これを例えば図示しない用紙に転写・定着することで可視画像が形成される。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明した通り、本発明の揺動装置及び光偏向器によると、従来の光偏向器に比べて、エネルギー効率が良く、また、可動板の変位を大きくしやすい。また、本発明の画像表示装置、画像形成装置によると、従来の画像表示装置、画像形成装置に比べて、エネルギー効率が良く、偏向角が大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の光偏向器の実施例1を説明する主部の分解図である。
【図2】図2は本発明の光偏向器の実施例1を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A’断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の作製プロセスを説明する断面図である。
【図4】図4は本発明の光偏向器の実施例2を説明する図であり、(a)は上面図であり、(b)は(a)におけるA−A’断面図である。
【図5】図5は図4(a)におけるB−B’断面図である。
【図6】図6は本発明の光偏向器の実施例3を説明する上面図である。
【図7】図7は本発明の画像表示装置の実施例を説明する模式図である。
【図8】図8は本発明の画像形成装置の実施例を説明する模式図である。
【図9】図9は従来技術を説明する上面図である。
【符号の説明】
101、201、601:光偏向器
103:ねじりバネ
105、405a、405b:可動板
106、206:支持基板
107、207:コイル
108、208:偏向部
109、409、410:永久磁石
111、211:電流源
112、114:シード電極
113、116、117:フォトレジスト
115:二酸化シリコン
118、119:絶縁膜
121、221:第一軟磁性体
122、222:第二軟磁性体
123、223:磁束密度の比較的大きい領域
202:第1ねじりバネ
203:第2ねじりバネ
204:第1可動板
205:第2可動板
209a、209b:第1永久磁石
210:第2永久磁石
401a:光偏向器(大)
401b:光偏向器(小)
501:光偏向器群
502、602:レーザ光源
503、603:レンズ或いはレンズ群
504、604書き込みレンズまたはレンズ群
505:投影面
606:感光体
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁アクチュエータを用いた揺動装置、それを用いた光偏向器、画像表示装置、画像形成装置、及びその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体プロセスを利用して、シリコン等の基板上に電磁アクチュエータを作製する試みがなされている。電磁アクチュエータを半導体プロセスを用いて作製すると、固定子と可動子と電磁コイルとを一括で作製でき、接合や接着をする工程が不要であり、固定子と可動子と電磁コイルとを高精度にアライメントできる。また、一度に大量に作製可能な為、低コスト化が見込める。
【0003】
基板上に作製される電磁アクチュエータの応用例の一つとして光偏向器がある。光偏向器はレーザビームプリンタ等の画像形成装置やヘッドマウントディスプレイ等の画像表示装置や、バーコードリーダ等の画像入力装置に用いられる。1つの光偏向器で2軸の偏向が可能なものも見受けられる。
【0004】
基板上に作製される電磁アクチュエータを光偏向器に応用したものの例として、特開2000−235152号公報に開示のものがある。図9は、特開2000−235152号公報に実施例の1つとして記載されている光偏向器を示す上面図である。これは、トーションビーム光偏向器であり、レーザ光を2次元走査する偏向器として用いられる。このトーションビーム光偏向器は、内側のy軸方向偏向部1003と外側のx軸方向偏向部1004とから構成されている。内側のy軸方向偏向部1003は、溝部1002を有する基板1001と、軸部1005によって揺動可能に支持され表面に硬磁性を示す薄膜が成膜されている可動板1006と、可動板1006を揺動させる一対の薄膜電磁石部1007と、可動板1006上に設けられたミラー1008から構成されている。可動板1006と薄膜電磁石部1007の形成面は厚み方向に僅かにずらしてある。薄膜電磁石部1007にy軸方向偏向部1003の構造的な共振周波数である60kHzの交流を通電することで生じる磁界と、可動板1006に形成された硬磁性薄膜に生ずる磁界との間に生ずるクーロン力で可動板1006を揺動させ、照射された光をミラー1008により偏向させる。機械的な共振を利用した駆動方法のため、低消費電力を実現することができる。外側のx軸方向偏向部1004は、y軸方向偏向部1003と同様の構造であり、駆動方法も同様である。この光偏向器の駆動周波数は60kHz(y軸)、60Hz(x軸)、可動板1006の変形角度は±13.67°(y方向)である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した光偏向器は以下に示すような問題点を有している。
図9に示した特開2000−235152号公報の光偏向器においては、2軸の回りの高速動作を実現しているが、薄膜電磁石部1007を構成するコアがスパッタで成膜される薄膜であるため、断面積を大きくすることには限界がある。そのため、薄膜電磁石部1007に大きな電流を流すと磁束が飽和することは必至であり、変形角度をさらに大きくすることが難しい。また、可動板1006と薄膜電磁石部1007の形成面の厚み方向のずれが僅かであり、この点からも変形角度をさらに大きくすることが難しい。また、薄膜電磁石部1007が有する軟磁性体の形状が帯状であり、磁束の漏れが大きく、エネルギー効率の向上は難しい。
【0006】
本発明の目的は、上記従来のものにおける問題を解決し、エネルギー効率が良く、変位が大きい揺動が可能な構成とできる揺動装置、揺動装置を用いた光偏向器、及び光偏向器を用いた画像表示装置、画像形成装置、並びにその製法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の揺動装置は、支持基板に対して回転軸を中心に揺動可能な可動板を有する揺動装置であって、前記回転軸の方向と角度を成す所定方向に着磁された硬磁性体が前記可動板と支持基板の一方側に設けられ、前記硬磁性体と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段が前記可動板と支持基板の他方側に設けられ、軟磁性体が、前記硬磁性体の磁極に近接した前記磁気発生手段の部分を除いて、前記磁気発生手段を少なくとも部分的に覆う様に設けられていることを特徴とする。この構成のように、軟磁性体が磁気発生手段を少なくとも部分的に覆う様に設けられていることで、発生する磁束の多くが軟磁性体によって遮蔽され、軟磁性体から漏れる磁束を、軟磁性体が無い場合と比較して、効果的に永久磁石すなわち着磁硬磁性体に作用させられる。また、永久磁石の着磁方向と回転軸の方向とが角度を成しているので、可動板に対して回転軸を中心としたトルクを発生させられる。
【0008】
上記基本構成に基づいて、以下の様な態様が可能である。
前記軟磁性体が、硬磁性体ないし永久磁石の磁極に近接した磁気発生手段の部分を除いて、磁気発生手段を少なくとも部分的に覆う一つの形態として、第一軟磁性体と第二軟磁性体とが、前記磁気発生手段を上下から挟んで設けられる形態がある。このように、軟磁性体が磁気発生手段を挟んで設けられることで、発生する磁束の大部分が軟磁性体によって遮蔽され、軟磁性体から漏れる磁束を、軟磁性体が無い場合と比較して、効果的に永久磁石に作用させられる。
【0009】
前記磁気発生手段は、典型的には、平面コイルなどのコイルである。この構成のように、磁気発生手段にコイルを用いる場合、コイルに流す電流を変化させることにより可動板の動作を制御できる。コイルはどの様なものでも良いが、平面コイルやこれを積層させたコイルを用いれば、装置を軽量化、小型化できる。
【0010】
前記コイルが、永久磁石が設置される可動板の面と略平行な面上で、前記可動板を周回している様にできる。このように、コイルが可動板を周回することで、効果的に磁束を可動板上の永久磁石に作用させられる。そのため、発生力が大きくなり、エネルギー効率が向上する。また、可動板の変位を大きくできる。
【0011】
前記第一軟磁性体と第二軟磁性体の少なくとも1つが開口を有し、この開口の周部が可動板を周回している様にもできる。この構成のように、軟磁性体に開口を設け、その周部が可動板を周回していることで、コイルから発生する磁束が軟磁性体によって導かれ、軟磁性体の開口部に集中する。そのため、軟磁性体の内周部に設置される可動板上の永久磁石に磁束を効果的に作用させられる。よって、発生力が大きくなり、エネルギー効率が向上し、可動板の変位を大きくできる。更に、可動板が揺動する時に、可動板と軟磁性体との干渉が無いため、可動板の変位を大きくとれる。また、可動板と軟磁性体との間の空気の粘性抵抗を最小限に抑えられて、より大きなQ値を得ることができる。また、可動板上に偏向部を設置し、揺動装置を光偏向器として用いる場合、上記開口を通して光を偏向部に入射させ、偏向させられる。
【0012】
前記開口の周部が、前記硬磁性体の磁極に近接する部分を有する様にもできる。この構成のように、開口の周部が永久磁石の磁極に近接する部分を有することで、コイルから発生する磁束を、極めて効果的に永久磁石に作用させられる。そのため、発生力が大きくなり、エネルギー効率が向上する。また、可動板の変位を大きくできる。
【0013】
前記第一軟磁性体の外周部と第二軟磁性体の外周部とが、磁気的に接続している部分を有する様にもできる。この構成のように、上側の軟磁性体と下側の軟磁性体とが外周部で磁気的に接続している部分を有することで、永久磁石にはほぼ作用しない外周部における磁束の漏れを最小限に抑えられる。そのため、エネルギー効率が向上する。
【0014】
前記第一軟磁性体の開口の内周部と第二軟磁性体の開口の内周部とが、前記硬磁性体の磁極に近接しない部分において、磁気的に接続している部分を有する様にもできる。この構成のようにすることで、永久磁石の磁極にはほぼ作用しない部分における磁束の漏れを最小限に抑えられ、エネルギー効率が向上する。
【0015】
前記硬磁性体が、前記第一軟磁性体の最上面と第二軟磁性体の最下面との間に設置される形態にもできる。この構成のように、永久磁石が上側の軟磁性体と下側の軟磁性体との間に設置されることで、特に磁気発生手段から発生する磁束の密度が比較的大きい領域に、永久磁石を配置させられる。そのため、発生力を大きくでき、エネルギー効率を向上できる。また、可動板の変位を大きくできる。また、所望される可動体の変位に応じて、上側の軟磁性体と下側の軟磁性体との間隔を最適化することができる。
【0016】
前記硬磁性体の磁界の方向と前記可動体の回転軸の方向とが互いに略直交している形態にもできる。このように、永久磁石の磁極と回転軸との位置関係を工夫することにより、効果的に回転軸を中心に可動体を揺動させる方向の発生力を得ることができ、エネルギー効率が向上する。また、下側の軟磁性体の上面と上側の軟磁性体の下面とから等間隔の面上で、軟磁性体に近接している部分に磁束が集中するため、永久磁石の磁極を、コイルから発生する磁束の密度が非常に高い領域に配置することができる。
【0017】
また、前記可動板を揺動可能に支持する弾性支持部と弾性支持部を固定する支持基板とを有する揺動装置において、可動板と弾性支持部と支持基板との何れか2つ以上が同一部材から形成されている様にできる。この構成のように、例えば、可動板と弾性支持部と支持基板とを同一部材から形成することで、組み立て工程が不要にでき、低コスト化を図れる。また、可動板と支持基板とのアライメントが不要になり、ロット間のばらつきが少なくなる。
【0018】
前記可動板と弾性支持部と支持基板との少なくとも1つが、単結晶シリコンよりなる様にできる。この構成のように、例えば、可動板と弾性支持部とに単結晶シリコンを用いることで、弾性支持部の減衰係数が小さくなるため、共振周波数で駆動した場合に大きなQ値を得ることができる。また、金属材料のように繰り返し変形による疲労破壊が起きないので、長寿命の光偏向器等を構成可能となる。
【0019】
前記コイルと第一軟磁性体と第二軟磁性体との少なくとも1つが前記支持基板上に形成されている様にもできる。このように、コイルと軟磁性体とを支持基板上に形成することで、組み立て工程が不要であり、低コストである。また、コイルと軟磁性体と支持基板とのアライメントが不要となり、ロット間のばらつきが少なくなる。
【0020】
前記第一軟磁性体と第二軟磁性体との少なくとも1つが強磁性体よりなる様にできる。このように、軟磁性体が強磁性体よりなることで、より効果的に磁束を所望の領域に導くことができる。
【0021】
前記コイルに、主に可動板の共振周波数の周波数成分を含む電流が印加される様に構成できる。この構成のように、可動板を共振周波数で駆動することにより、大きな可動板の変位が得られる。また、外乱振動の影響を受けにくく、より安定した駆動が可能になる。
【0022】
また、上記課題を解決する本発明の光偏向器は、上記揺動装置を用いた光偏向器であって、前記可動板には入射光を偏向させる偏向部が設けられていることを特徴とする。この構成のように、可動板が偏向部を有することで、揺動装置を光偏向器として用いることができる。よって、エネルギー効率が良く、偏向角が大きい光偏向器を提供できる。偏向部は、例えば、ミラー、レンズ、或いは回折格子を有する。偏向部をミラーで構成する場合、作製が容易で、可動部分の質量が小さい光偏向器を提供できる。偏向部をレンズで構成する場合、偏向角の大きい透過型の光偏向器を提供できると共に、光の入射方向に対して光の偏向範囲を光偏向器の反対側に持って来られるので、装置各部の設計配置上の自由度が高まる。また、偏向部を回折格子で構成する場合は、入射光を複数のビームとして偏向することができる。
【0023】
偏向部を持つ可動体が1つの回転軸を中心に揺動可能に支持される上記構成の内側の光偏向器と、該光偏向器から離間した位置に配置される永久磁石を有して該光偏向器全体を可動体として別の回転軸を中心に揺動可能に支持する外側の光偏向器とを含む構成にもできる(図4参照)。この構成では、内側の光偏向器において、硬磁性体が可動板に設けられ、この硬磁性体と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段が該可動板の支持基板上に設けられ、外側の光偏向器において、別の硬磁性体が別の支持基板に設けられ、この硬磁性体と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段が前記可動板の支持基板上に設けられる。2つの磁気発生手段は共通でもよいし、別個に設けられてもよい。この構成のように、光偏向器を揺動可能に支持し、離間した位置に永久磁石を設けることで、1つのコイル(磁気発生手段)で入射光を2次元に偏向する光偏向器を実現できる。非常に簡単な構成のため、小型化が見込め、安価である。また、エネルギー効率の向上も見込める。
【0024】
上記光偏向器の支持基板が上記揺動装置の可動板として構成され、光偏向器の回転軸と揺動装置の回転軸とが互いに略直交している様にもできる(図6参照)。この構成では、内外の支持基板にコイル(磁気発生手段)が夫々設置され、可動板に永久磁石が設置され、内側の支持基板には更に永久磁石も設置される。このように、複数の揺動装置を入れ子構造にすることで、入射光を2次元に偏向する光偏向器を実現できる。
【0025】
また、上記課題を解決する本発明の画像表示装置は、光源と、光源から発せられた光を偏向させる上記光偏向器と、光偏向器により偏向された光が投影される画像表示面とを有することを特徴とする。光はレンズ、ミラー、回折格子などの光学素子を介して投影される。この構成のように、上記光偏向器を画像表示装置に応用することで、エネルギー効率が良く、偏向角が大きい画像表示装置を提供できる。
【0026】
また、上記課題を解決する本発明の画像形成装置は、光源と、光源から発せられた光を偏向させる上記光偏向器と、光偏向器により偏向された光が投影される画像形成面(感光性材料)とを有することを特徴とする。光はレンズ、ミラー、回折格子などの光学素子を介して投影される。この構成のように、上記光偏向器を画像形成装置に応用することで、エネルギー効率が良く、偏向角が大きい画像形成装置を提供できる。
【0027】
また、上記課題を解決する本発明の揺動装置または光偏向器を作製する方法は、基板から可動板と弾性支持部と支持基板を形成する工程と、可動板または支持基板に硬磁性体を形成する工程と、支持基板または可動板に磁気発生手段を形成する工程、前記第一軟磁性体と第二軟磁性体とを形成する工程とを少なくとも有することを特徴とする。更に、可動板に偏向部を形成する工程を有してもよい。これにより、エネルギー効率が良く、偏向角が大きい光偏向器等の揺動装置を作製することができる。また、可動板と弾性支持部とを一度に作製することができる。更に、可動板と支持基板とのアライメントが不要であり、ロット間のばらつきが少なくなる。
【0028】
上記作製方法において、基板を用いて可動板と弾性支持部と支持基板とを形成する工程は、反応性イオンエッチング、またはアルカリ溶液を用いたエッチングを含んでなされ得る。前者のように、反応性イオンエッチングを行うことで、精度良く、安定して可動板と弾性支持部の形状を形成することができる。後者のように、アルカリ溶液を用いたシリコン結晶面のエッチング速度差による異方性エッチングを行うことで、精度良く、安定して可動板と弾性支持部の形状を形成することができ、また、エッチングレートが反応性イオンエッチングと比較して速いため、時間を短縮でき、コストダウンに繋がる。
【0029】
また、可動板または支持基板に硬磁性体を形成する工程が、メッキによりなされ得る。このように硬磁性体(永久磁石)をメッキで作製することにより、組み立て工程が不要となり、低コスト化を図れる。また、可動板と支持基板とのアライメントが不要となり、ロット間のばらつきが少なくなる。更に、蒸着やスパッタリングと比較して、厚く、高速に磁界発生手段を形成することもできる。
【0030】
前記第一軟磁性体を形成する工程と第二軟磁性体を形成する工程との少なくとも1つが、メッキによりなされ得る。このように、軟磁性体をメッキで作製することにより、膜厚を数μm〜数百μm程度にできる。また、軟磁性体の組み立て工程が不要となり、低コスト化を図れる。また、コイル(磁界発生手段)と軟磁性体とのアライメントが不要となり、ロット間のばらつきが少なくなる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を明らかにすべく実施例を図面を参照しながら説明する。
【0032】
[実施例1]
図1、図2及び図3を用いて本発明の実施例1である光偏向器を説明する。まず、構造について説明する。図1及び図2は本実施例の光偏向器の構成を示し、図1は主部の分解図であり、図2(a)は上面図であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A’断面図である。図1に層毎に分解して示すように、光偏向器101は主に支持基板106と第一軟磁性体121とコイル(磁気発生手段)107と第二軟磁性体122とから成り、支持基板106と一体的に可動板105が一対のネジリばね103(弾性支持部)と共に形成されている。本実施例は、コイル107の下側と上側に、第一軟磁性体121と第二軟磁性体122を夫々有していることを特徴としている。
【0033】
図2(a)、(b)を用いて構造について詳しく説明する。但し、図2(a)においては分かり易くするために、第二軟磁性体122を示していない。光偏向器101の寸法は(a)に示す通りである。支持基板106はネジリばね103を介して可動板105を揺動可能に支持している。可動板105の大きさは1mm□である。支持基板106とネジリばね103と可動板105とは、半導体プロセスにより一体で形成されている。可動板105の下面には偏向部108が、上面には永久磁石109が夫々設置されている。永久磁石109の磁極は、磁極の方向がネジリばね103の回転軸(長手方向軸)に略直交していればよく、図2に示す通りでなくてもよい。永久磁石109は、サマリウムコバルト、ネオジウム鉄ボロン等の硬磁性体を着磁した材料から構成される。コイル107は、銅やアルミニウムのように低抵抗な金属で構成される。
【0034】
コイル107の上面と下面とには、絶縁膜118と絶縁膜119とが夫々設置され、コイル107と第一軟磁性体121及び第二軟磁性体122とは、電気的に絶縁されている。ここでは、簡単のため、コイル107の巻き数を少なく示しているが、実際の巻き数は数回〜数百回程度である。図1においては単層のコイル107を示しているが、多層のコイルであってもよい。コイル107から発生する磁束の密度は、軟磁性体の開いた領域123において比較的大きいため、永久磁石109の磁極である端部を領域123内に配置するとよい。第一軟磁性体121と第二軟磁性体122は、それらの外周部において磁気的に結合しており、鉄、ニッケル、コバルト又はそれらの合金等の強磁性体から成る。図2(b)において、第一軟磁性体121と第二軟磁性体122の間隔dは、所望される可動板105の変位に応じて最適化を行う。すなわち、変位が大きければ間隔dもそれに応じて大きくできる。偏向部108はミラー、レンズ、回折格子等の光学素子で構成される。コイル107には電流源111が電気的に直列に接続されている。
【0035】
次に動作について説明する。
y軸、つまりねじりバネ103を中心に揺動する可動板105の動作について説明する。電流源111から矢印の方向にコイル107に電流を流すと、コイル107の上面及び下面にコイル107に流れる電流に対応した磁極(上面がN極、下面がS極)が発生する。発生する磁界Hは、コイル107を流れる電流Iとコイル107の巻数Nとの積に比例する。磁界Hは永久磁石109の磁極に作用し、可動板105がねじりバネ103を中心に揺動する。発生するトルクTは永久磁石109の磁化mと磁界Hの積として表される。従って、発生するトルクTはコイル107を流れる電流Iに比例することが分かる。
【0036】
一方、可動板105が揺動することによりねじりバネ103が捩じられ、これによって発生するねじりバネ103のバネ反力F’と可動板105の変位角ψとの関係は、
ψ=((F’・L)・l)/(2・G・Ip) (1)
で与えられる。ここでGは横弾性係数、Lはねじりバネ103の中心軸から力点までの距離、lはねじりバネ部103の長さ、Ipは断面二次極モーメントである。そして、発生するトルクTとF’・Lとが釣り合う位置まで可動板105が揺動する。従って、可動板105の変位角ψはコイル107に流れる電流Iに比例することが分かる。従って、コイル107に流す電流を制御することにより、可動板105の変位角ψを制御できる。
【0037】
こうして、コイル107に電流を流すことで、偏向部108を有する可動板105を駆動することができる。駆動方法は、コイル107に電流源111を用いて交流を流すことで、可動板105を連続的に揺動させる。可動板105の共振周波数で駆動することにより、大きな変位角が得られる。また、変位角センサ(不図示)を用いて可動板105の変位角を検知し、電流源111から流す電流を変化させて、可動板105の動きを制御することも可能である。
【0038】
次に、図2(a)におけるO−A’断面を表す図3を用いて作製プロセスを説明する。但し、プロセスを分かり易くするために、図3では寸法(特に厚さ方向の寸法)は誇張して示してある。
先ず、図3(a)に示す如く、材料が単結晶シリコンである支持基板106(厚さ:500μm程度)の両面に、熱酸化炉等を用いて二酸化シリコン115を1μm程度成膜し、フッ化水素酸等によるウェットエッチング又はフッ素系ガスによる反応性イオンエッチング等を用いてパターニングする。
【0039】
次に、図3(b)に示す如く、表面から、二酸化シリコン115をエッチングマスクとして、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングにより支持基板106を50μm程度エッチングする。そして、図3(c)に示す如く、二酸化シリコン115を含む全表面上に電気メッキのシード電極112として、チタンを50Å程度成膜した後、金、銅等を1000Å程度、蒸着、スパッタ等で成膜する。その上にフォトレジスト113を30μm程度成膜後、パターニングし、メッキのマスクとする。ここでは、フォトレジスト113に、膜厚に適したフォトレジストであるAZ P4620(Hoechst製)を用いた。
【0040】
次に、図3(d)に示す如く、ニッケルメッキ又はパーマロイメッキ等を行い、ニッケル又はパーマロイ等を20μm程度成膜し、第一軟磁性体121を形成する。メッキの方法は電気メッキでも無電解メッキでもよい。その後、フォトレジスト113を除去し、露出したシード電極112の部分を反応性イオンエッチング又はイオンミーリングを用いて除去する。
【0041】
次に、図3(e)に示す如く、ポリイミド、ベンゾシクロブテン等の絶縁膜118を成膜し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等の強アルカリ溶液によるウェットエッチング又は反応性イオンエッチング等を用いてパターニングする。
【0042】
次に、図3(f)に示す如く、シード電極114として、チタンを50Å程度成膜した後、金、銅等を1000Å程度、蒸着、スパッタ等で成膜する。その上にフォトレジスト116を60μm程度成膜後、パターニングし、メッキのマスクとする。ここでは、フォトレジスト116に、膜厚に適したフォトレジストであるSU−8(MICROCHEM CORP.製)を用いた。
【0043】
次に、図3(g)に示す如く、電気銅メッキ又は無電解銅メッキを行い、銅を50μm程度成膜し、コイル107を形成する。ここで、コイル107の幅は30μm程度である。その後、フォトレジスト116を、加熱したN−メチルピロリドンを用いて除去する。そして、露出したシード電極114を反応性イオンエッチング又はイオンミーリングを用いて除去する。
【0044】
次に、図3(h)に示す如く、絶縁膜119を成膜してパターニングし、(c)〜(d)と同様の工程を行い、第二軟磁性体122を形成する。その後、裏面にフォトレジスト117を30μm程度成膜後、パターニングし、エッチングのマスクとする。ここでは、フォトレジスト117に、膜厚に適したフォトレジストであるAZ P4620(Hoechst製)を用いた。
【0045】
次に、図3(i)に示す如く、裏面から誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングを行い、支持基板106を300μm程度エッチングする。その後、フォトレジスト117を除去する。
【0046】
次に、図3(j)に示す如く、裏面から、さらに誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングを行い、支持基板106を部分的に貫通するまでエッチングする。この際、可動板105が所望の厚さとなるように、エッチングを続けてもよい。続いて、表面の二酸化シリコン115をフッ化水素酸等によるウェットエッチング又はフッ素系ガスによる反応性イオンエッチング等を用いて除去する。
【0047】
次に、図3(k)に示す如く、偏向部108を形成する。スパッタ等の手段によりアルミニウム等の金属を成膜してミラーとしてもよいし、所望の偏向素子を接着してもよい。そして、永久磁石109を表面に形成する。メッキ、スパッタ等の手段により硬磁性体を成膜し、さらに磁化することで永久磁石109とする。また、所望の大きさの永久磁石を接着する方法や、希土類磁石の粉末をペースト状の接着剤に混ぜたものを塗布して固化する方法によって形成してもよい。
【0048】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について説明する。図4及び図5は本発明の実施例2の光偏向器を説明する図である。図4(a)は上面図を、図4(b)は図4(a)におけるA−A’断面図を、図5は図4(a)におけるB−B’断面図を夫々示している。基本的な構成、駆動方法、作製方法は前述の実施例1とほぼ同じである。図4及び図5において、201は光偏向器、202は第1ねじりバネ、203は第2ねじりバネ、204は第1可動板(第2可動板の支持基板を兼ねる)、205は第2可動板、206は第1可動板204の支持基板、207は第1可動板204上に形成されたコイル、208は第2可動板205上に設置された偏向部、209a、209bは支持基板206上に設置された第1永久磁石、210は第2可動板205上に設置された第2永久磁石、211は電流源、221はコイル207を下面において覆う第一軟磁性体、222はコイル207を上面において覆う第二軟磁性体、223は磁束密度の比較的大きい領域(軟磁性体が開いた部分である)を夫々示している。本実施例では、第一軟磁性体221と第二軟磁性体222は全く分離していて接続部分を持たない様に描いてあるが、永久磁石209a、209b、210の磁極に近接する部分を除いて、磁束の遮蔽部分を更に広範囲にする為にこれら軟磁性体221、222の内周部及び/または外周部が磁気的に接続されていてもよい。図4(a)では、構造が分かり易いように、第一軟磁性体221、第二軟磁性体222を描いていない。
【0049】
実施例2は、実施例1における光偏向器101にあたる構造を第1ねじりバネ202によってその回転軸を中心に揺動可能に支持し、第1ねじりバネ202を固定する支持基板206上に、別の磁気発生手段として、第1永久磁石209a、209bが配置されていることを特徴としている。コイル207から発生する磁束の密度は領域223において比較的大きいため、永久磁石209a、209bの磁極である端部は領域223内に配置するとよい。
【0050】
次に、動作について説明する。
y軸周り、つまり第2ねじりバネ203中心の駆動原理は実施例1のy軸周りに関する場合と同じである。x軸周り、つまり第1ねじりバネ202中心の駆動原理も、第1永久磁石209a、209bの配置形態は若干異なるが、実施例1のy軸周りに関する場合と基本的に同様である。すなわち、第1永久磁石209a、209bを図4(a)と図5の様に第1可動板204の支持基板206側に配置し、コイル207を第1可動板204側に配置することで(この配置関係がy軸周りに関する揺動構造と逆になっている)、第1可動板204に第1ねじりバネ202中心のトルクを与えることができる。
【0051】
本実施例では、電流源211を用いてコイル207に電流を流すことにより第1可動板204が第1ねじりバネ202の周りで支持基板206に対して揺動すると共に第2可動板205が第2ねじりバネ203の周りで第1可動板204に対して揺動するので、偏向部208を有する第2可動板205を2軸に揺動することができる。また、第1可動板204及び第2可動板205の共振周波数の周波数成分を有する交流電流で駆動することにより、大きな変位角が得られる。更に、第1可動板204の共振周波数と第2可動板205の共振周波数が大きく異なるように設計することで、第1可動板204と第2可動板205をほぼ独立に駆動できる。
【0052】
以上のように、本実施例の光偏向器は、図4及び図5に示すように永久磁石209a、209b、210及びコイル207とを配置することで、簡単な構成で光ビームを2軸に偏向することが可能となる。また、可動板と永久磁石とが機械的に干渉しない様に工夫されているため、可動板の変位角を大きくとることが可能となる。
【0053】
[実施例3]
図6は本発明の実施例3の光偏向器を説明する上面図である。実施例3の光偏向器は、実施例1に述べた構造に夫々あたる2つの光偏向器(大)401a及び光偏向器(小)401bを有している。光偏向器(小)401bは、光偏向器(大)401aの可動板405a上に配置される入れ子構造となっている。但し、光偏向器(大)401aは偏向部を有していない。また、可動板405a上には2本の永久磁石409が光偏向器(小)401bを挟んで設置されている。光偏向器(小)401bの可動板405bの表面にも永久磁石410が設置され、裏面にはミラー(不図示)が設置されている。電流源411は、光偏向器(大)401aのコイル(光偏向器(大)401aの支持基板上に永久磁石409を周回するように設けられている)と光偏向器(小)401bのコイル(光偏向器(小)401bの支持基板(光偏向器(大)401aの可動板405aでもある)上に永久磁石410を周回するように設けられている)に直列に接続されており、1つの電流源411で可動板405bを2軸に駆動することができる。電流源411を2つ設け、光偏向器(大)401aと光偏向器(小)401bとを独立に駆動してもよい。本実施例でも、軟磁性体が、光偏向器(大)401aのコイルと光偏向器(小)401bのコイルを覆って上記実施例で述べたように夫々設けられている。半導体レーザ等の光源から発生した光を可動板405b上のミラー(不図示)に当てることで、光を2次元に偏向できる。ミラーの代わりにレンズや回折格子のような光学素子を設置してもよい。
【0054】
以上のように構成された本実施例の光偏向器も、上記実施例1に述べた光偏向器を入れ子構造で用いることで、エネルギー効率が良く、偏向角が大きくでき、2次元の偏向ができる光偏向器を実現できる。
【0055】
[実施例4]
図7は本発明の光偏向器を用いた光学機器である本発明による画像表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図7において、501は上記実施例に示された光偏向器(実施例1のものを2つ組合わせて用いてもよいし、実施例2または3のものを用いてもよい)であり、本実施例では、水平・垂直方向に入射光をラスタスキャンする光スキャナ装置として作用する。502はレーザ光源である。503はレンズ或いはレンズ群であり、504は書き込みレンズまたはレンズ群であり、505は投影面(画像表示面)である。2つのレンズ或いはレンズ群503、504の間に、光偏向器501が配置されている。
【0056】
ここにおいて、レーザ光源502から入射されたレーザ光は、光走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けており、光偏向器501により2次元的に走査されることで、投影面505上に画像を形成する。
【0057】
[実施例5]
図8は本発明の光偏向器を用いた光学機器である本発明による画像形成装置の基本的な構成を示す模式図である。図8において、601は上記実施例1に示された光偏向器における可動板にミラー、レンズ、回折格子等の光学素子を設けて構成されている光偏向器であり、本実施例ではドラム状感光体(画像形成面)606の回転中心と平行な一次元方向に光を走査する光スキャナ装置として機能する。602はレーザ光源であり、603はレンズ或いはレンズ群であり、604は書き込みレンズまたはレンズ群である。2つのレンズ或いはレンズ群603、604の間に、光偏向器601が配置されている。
【0058】
ここにおいて、レーザ光源602から入射されたレーザ光は、光走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受けており、光偏向器601により一次元的に走査される。一方、ドラム状感光体606は回転中心の回りで所要の回転速度で回転している。そして、感光体606は図示しない帯電器により表面が一様に帯電されている。従って、光偏向器601による走査と感光体606の回転とに基づき、感光体606の表面に光がパターン状に入射されることになり、その光入射部分と光非入射部分とで静電潜像が形成される。図示しない現像器により、感光体606の表面の静電潜像に対応したパターンのトナー像が形成され、これを例えば図示しない用紙に転写・定着することで可視画像が形成される。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明した通り、本発明の揺動装置及び光偏向器によると、従来の光偏向器に比べて、エネルギー効率が良く、また、可動板の変位を大きくしやすい。また、本発明の画像表示装置、画像形成装置によると、従来の画像表示装置、画像形成装置に比べて、エネルギー効率が良く、偏向角が大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の光偏向器の実施例1を説明する主部の分解図である。
【図2】図2は本発明の光偏向器の実施例1を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A’断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の作製プロセスを説明する断面図である。
【図4】図4は本発明の光偏向器の実施例2を説明する図であり、(a)は上面図であり、(b)は(a)におけるA−A’断面図である。
【図5】図5は図4(a)におけるB−B’断面図である。
【図6】図6は本発明の光偏向器の実施例3を説明する上面図である。
【図7】図7は本発明の画像表示装置の実施例を説明する模式図である。
【図8】図8は本発明の画像形成装置の実施例を説明する模式図である。
【図9】図9は従来技術を説明する上面図である。
【符号の説明】
101、201、601:光偏向器
103:ねじりバネ
105、405a、405b:可動板
106、206:支持基板
107、207:コイル
108、208:偏向部
109、409、410:永久磁石
111、211:電流源
112、114:シード電極
113、116、117:フォトレジスト
115:二酸化シリコン
118、119:絶縁膜
121、221:第一軟磁性体
122、222:第二軟磁性体
123、223:磁束密度の比較的大きい領域
202:第1ねじりバネ
203:第2ねじりバネ
204:第1可動板
205:第2可動板
209a、209b:第1永久磁石
210:第2永久磁石
401a:光偏向器(大)
401b:光偏向器(小)
501:光偏向器群
502、602:レーザ光源
503、603:レンズ或いはレンズ群
504、604書き込みレンズまたはレンズ群
505:投影面
606:感光体
Claims (14)
- 支持基板に対して回転軸を中心に揺動可能な可動板を有する揺動装置であって、前記回転軸の方向と角度を成す所定方向に着磁された硬磁性体が前記可動板と支持基板の一方側に設けられ、前記硬磁性体と離間した位置に、磁束を発生する磁気発生手段が前記可動板と支持基板の他方側に設けられ、軟磁性体が、前記硬磁性体の磁極に近接した前記磁気発生手段の部分を除いて、前記磁気発生手段を少なくとも部分的に覆う様に設けられていることを特徴とする揺動装置。
- 前記軟磁性体として、第一軟磁性体と第二軟磁性体とが前記磁気発生手段を挟んで設けられていることを特徴とする請求項1記載の揺動装置。
- 前記磁気発生手段がコイルであることを特徴とする請求項1または2に記載の揺動装置。
- 前記コイルが、前記硬磁性体が設置される前記可動板の面と略平行な面上で、前記可動板を周回していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の揺動装置。
- 前記第一軟磁性体と第二軟磁性体との少なくとも1つが開口を有し、開口の周部が、前記可動板を周回していることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の揺動装置。
- 前記第一軟磁性体の外周部と前記第二軟磁性体の外周部とが、磁気的に接続している部分を有することを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の揺動装置。
- 前記第一軟磁性体の開口の周部と前記第二軟磁性体の開口の周部とが、前記硬磁性体の磁極に近接しない部分において、磁気的に接続している部分を有することを特徴とする請求項5または6に記載の揺動装置。
- 前記硬磁性体が、前記第一軟磁性体の最上面と前記第二軟磁性体の最下面との間に設置されていることを特徴とする請求項2乃至7の何れかに記載の揺動装置。
- 前記コイルに、主に前記可動板の共振周波数の周波数成分を含む電流が印加される様に構成されていることを特徴とする請求項3乃至8の何れかに記載の揺動装置。
- 請求項1乃至9の何れかに記載の揺動装置を用いた光偏向器であって、前記可動板には入射光を偏向させる偏向部が設けられていることを特徴とする光偏向器。
- 光源と、前記光源から発せられた光を偏向させる請求項10に記載の光偏向器と、前記光偏向器により偏向された光が投影される画像表示面とを有することを特徴とする画像表示装置。
- 光源と、前記光源から発せられた光を偏向させる請求項10に記載の光偏向器と、前記光偏向器により偏向された光が投影される画像形成面とを有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至9の何れかに記載の揺動装置または請求項10に記載の光偏向器を作製する方法であって、基板から可動板と弾性支持部と支持基板を形成する工程と、可動板と支持基板の一方側に着磁された硬磁性体を形成する工程と、可動板と支持基板の他方側にコイルと軟磁性体を形成する工程とを少なくとも有することを特徴とする揺動装置または光偏向器の作製方法。
- 前記基板から可動板と弾性支持部と支持基板を形成する工程は、反応性イオンエッチング或いはアルカリ溶液を用いたエッチングを含んでなされることを特徴とする請求項13に記載の揺動装置または光偏向器の作製方法。
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2002
- 2002-08-26 JP JP2002246009A patent/JP2004085839A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014041234A (ja) * | 2012-08-22 | 2014-03-06 | Seiko Epson Corp | アクチュエーター、光スキャナー、画像表示装置、ヘッドマウントディスプレイ |
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