JP2004082531A - インクジェットプリンタ及び画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体とプラテンとの間の密着性を極めて高め、高精細な画像を形成することのできるインクジェットプリンタ及び画像記録方法を提供する。
【解決手段】搬送される記録媒体Rがプラテン103上に導入される直前に、記録媒体Rが接触することによって、該記録媒体Rをプラテン103に対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体Rをプラテン103側に押圧するガイドローラ104aを備える。記録媒体Rとガイドローラ104aとが最初に接触する第1の接触面Kの延長部分と、プラテン103上に導入された記録媒体Rとプラテン103とが接触する第2の接触面Lの延長部分とによってなす接触角度Mが15°以上270°以下とする。
【選択図】 図2
【解決手段】搬送される記録媒体Rがプラテン103上に導入される直前に、記録媒体Rが接触することによって、該記録媒体Rをプラテン103に対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体Rをプラテン103側に押圧するガイドローラ104aを備える。記録媒体Rとガイドローラ104aとが最初に接触する第1の接触面Kの延長部分と、プラテン103上に導入された記録媒体Rとプラテン103とが接触する第2の接触面Lの延長部分とによってなす接触角度Mが15°以上270°以下とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ及び画像記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、小部数ごとの画像形成を前提としてオン・デマンド印刷に適用可能な画像記録方法であり、専用紙を必要としないことから近年注目されている。活性エネルギ線硬化インクジェット方式は、紫外線(UV)等の活性エネルギ線の照射によって硬化する活性エネルギ線硬化性化合物を含んだインクをインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に着弾させた後、この記録媒体に活性エネルギ線を照射することでインクを硬化させるという画像記録方式である。
活性エネルギ線硬化インクジェット方式の1種であるUVインクジェット方式は、活性エネルギ線の1種である紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化性化合物を有するUVインクをインクとして用いる画像記録方式である。
【0003】
このようなUVインクジェット方式を利用したインクジェットプリンタは、例えば、印刷時に記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体にUVインクを吐出し着弾させる記録ヘッドと、インクが着弾された記録媒体に紫外線を照射するUV光源等を備えて概略構成されている。搬送手段は、画像印刷前の記録媒体がロール状に巻かれている供給部と、画像印刷後の記録媒体をロール状に巻取る巻取り部と、供給部と巻取り部との間で略水平に配置され、上面で記録媒体の下面を支持するとともに搬送方向にガイドするプラテンとから構成されている。
印刷の際には、記録媒体は、巻取り部で巻取られることによって供給部からプラテン上に沿って搬送され、記録ヘッドによってインクが吐出されて着弾される。着弾されたインクは、液滴の状態から記録媒体の表面に沿って拡がりドットを形成する。その後、ドットが形成された記録媒体は、UV光源によって紫外線が照射され、ドットが硬化することにより画像形成が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、記録媒体を搬送方向に沿ってプラテン上で搬送する場合は、記録媒体とプラテンとの間の密着性が重要とされている。すなわち、記録媒体と、該記録媒体にインクを吐出す記録ヘッドとの間には、ある所定の間隔を保つことによって、所望の濃度で記録媒体に印刷でき、これにより高精細な画像を形成している。
【0005】
しかしながら、巻取り部に巻取られることによって搬送される記録媒体は、プラテン上に支持される際に、プラテンの搬送方向下流側先端部からプラテンに対して略水平な状態で導入されるので、プラテンと記録媒体との間に気泡が入りやすく、これによって記録媒体がプラテンから浮いたり、記録媒体にしわが発生することがあった。また、特に、使用される記録媒体が、食品包装をはじめとする軟包装用のプラスチックフィルムや裏面が樹脂コートされた紙等である場合には、できたしわや気泡をとるのが困難であった。したがって、記録媒体と記録ヘッドとの間の間隔が不均一となり、印刷される画像に歪みが生じたり、ヘッドが記録媒体によって擦れて汚れてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、記録媒体とプラテンとの間の密着性を極めて高め、高精細な画像を形成することのできるインクジェットプリンタ及び画像記録方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、インクを吐出する記録ヘッドと、搬送される記録媒体を前記記録ヘッドの対向位置に支持するプラテンとを備え、前記プラテン上に支持された記録媒体に、前記記録ヘッドから前記インクを吐出し画像形成を行うインクジェットプリンタであって、
搬送される前記記録媒体が前記プラテン上に導入される直前に、記録媒体が接触することによって該記録媒体を前記プラテンに対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体を前記プラテン側に押圧するガイドローラを備え、
前記記録媒体と前記ガイドローラとが最初に接触する第1の接触面の延長部分と、前記プラテン上に導入された記録媒体と前記プラテンとが接触する第2の接触面の延長部分とによってなす接触角度が15°以上270°以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、記録媒体がプラテン上に導入される直前に、記録媒体がガイドローラに沿って接触することによって、該記録媒体をプラテンに対して傾斜して導入するとともに、ガイドローラはプラテン上に導入した記録媒体をプラテン側に押圧する。そして、第1の接触面の延長部分と第2の接触面の延長部分とによってなす接触角度が15°以上270°以下とされる。すなわち、記録媒体は、予めガイドローラに沿って接触することにより、プラテン上にスムーズに導入される。このため、プラテンと記録媒体との間の密着性を高めることができ、プラテンの上面と記録媒体の裏面との間に気泡が入りにくく、記録媒体がプラテンから浮いたり、しわが発生するのを防げる。したがって、印刷される画像に歪みが生じたり、ヘッドが記録媒体によって擦れて汚れてしまうという問題もなく、高精細な画像を形成することができる。
ここで、接触角度を15°以上270°以下としたのは、15°より小さい場合には、記録媒体をプラテンに対してほとんど傾斜角度をつけて導入することができず、記録媒体とプラテンとの間に気泡が入りやすいためであり、270°より大きくした場合には、その装置の構造が複雑となりコスト高となるとともに、プラテン上に記録媒体を導入するのに手間がかかるためである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンがドラム形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、記録媒体がドラム形状のプラテンに沿って搬送され、かつ、プラテンに連動して搬送される。よって、記録媒体とプラテンとの間の密着性をより高めることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンの記録媒体を支持する側の面が、凸の曲面となっていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によれば、記録媒体がプラテンの凸の曲面に沿って搬送される。よって、記録媒体とプラテンとの間の密着性をより高めることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンが記録媒体を搬送するベルトであることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明によれば、記録媒体がベルトに連動して搬送される。よって、記録媒体とプラテンとの間の密着性をより一層高めることができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記ガイドローラが、前記記録媒体を搬送する動力源であるか、あるいは、動力源と連動して回転するものであることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明によれば、ガイドローラが、記録媒体を搬送する動力源あるいは、動力源と連動して回転するものであるので、ガイドローラと記録媒体とが同期することによって、記録媒体とプラテンとの間の密着性をより高めることができる。
また、ガイドローラが、その他に設けられた動力源と連動して回転することによって、動力源を1つとすることができるので、装置の簡略化を図れコストの削減につながる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンの記録媒体搬送方向上流側に配設されて、前記記録媒体を搬送方向に繰り出す供給部を備えており、
前記供給部と前記プラテンとの間に、前記記録媒体を挟み込んで緊張させた状態で前記ガイドローラに接触させる押さえローラが設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明によれば、押さえローラによって記録媒体を挟み込んで緊張させた状態でガイドローラに接触させることにより、供給部とプラテンとの間で記録媒体がたわむことなく、容易にプラテン上に記録媒体を導入することができ、記録媒体の搬送のばらつきを抑えることができる。また、記録媒体とプラテンとの間の密着性を高めることができる。
【0019】
請求項7の発明は、インクを吐出する記録ヘッドと、搬送される記録媒体を前記記録ヘッドの対向位置に支持するプラテンとを備え、前記プラテン上に支持された記録媒体に、前記記録ヘッドから前記インクを吐出し画像形成を行うインクジェットプリンタであって、
搬送される前記記録媒体が前記プラテン上に導入される直前に、記録媒体が接触することによって該記録媒体を前記プラテンに対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体を前記プラテン側に押圧するガイドローラと、前記プラテンの記録媒体搬送方向上流側に配設されて、前記記録媒体を搬送方向に繰り出す供給部とを備え、
前記供給部と前記プラテンとの間に、前記記録媒体を外周に沿って係止することによって緊張させた状態で前記ガイドローラに接触させる係止ローラが設けられており、
前記記録媒体が前記係止ローラに接触する円弧部分の中心角が60°以上270°以下であることを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明によれば、係止ローラによって記録媒体を外周に沿って係止し緊張させた状態でガイドローラに接触させる。そして、記録媒体が係止ローラに接触する円弧部分の中心角が60°以上270°以下とされる。これにより、供給部とプラテンとの間で記録媒体がたわむことなく、容易にプラテン上に記録媒体を導入することができ、記録媒体の搬送のばらつきを抑えることができる。また、記録媒体とプラテンとの間の密着性を高めることができる。
ここで、前記中心角を60°以上270°以下としたのは、60°より小さい場合には、記録媒体が係止ローラに確実に係止させることができず、記録媒体を緊張した状態でガイドローラに接触させることが難しいためであり、270°より大きくした場合には、その装置の構造が複雑となりコスト高となるためである。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、プラスチックフィルムあるいは裏面に樹脂がコートされた紙であることを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項8に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラスチックフィルムは、軟質包装用フィルムであることを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の厚みが9μm以上150μm以下であることを特徴とする。
【0024】
請求項10の発明によれば、記録媒体の厚みを9μm以上150μm以下とすることによって、適度な厚さのため、プラテンと記録媒体との間に気泡が入りにくく、記録媒体がプラテンから浮いたり、しわが発生しにくい。
ここで、記録媒体の厚みを9μm以上150μm以下としたのは、9μmより薄くすると、気泡が入りやすく、プラテンから浮いたりしわが発生することがあり、また、強度が低いために破れやすいためで、厚みを150μmより厚くすると、プラテンとガイドローラとの間に記録媒体を挟み込みにくく、搬送するのが困難となるためである。
【0025】
請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、活性エネルギ線の照射により硬化可能な活性エネルギ線硬化化合物を含有することを特徴とする。
【0026】
請求項12の発明は、請求項11に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記活性エネルギ線硬化化合物がカチオン重合性化合物であることを特徴とする。
【0027】
請求項12の発明によれば、活性エネルギ線硬化化合物がカチオン重合性化合物であるので、軟質包装用のプラスチックフィルムや裏面に樹脂コートされた紙等においても、画像形成時の収縮を防止できる。
【0028】
請求項13の発明は、請求項11又は12に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記活性エネルギ線硬化化合物を硬化するための活性エネルギ線を、前記記録媒体に照射する活性エネルギ線照射手段を備えることを特徴とする。
【0029】
請求項13の発明によれば、活性エネルギ線照射手段が記録媒体に活性エネルギ線を照射することによって、インクに含有された活性エネルギ線硬化化合物が硬化して、記録媒体にインクを着弾させることができる。
【0030】
請求項14の発明は、請求項13に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の搬送経路近傍に設けられ、前記記録媒体が前記活性エネルギ線照射手段によって前記活性エネルギ線の照射を受ける照射時あるいは照射後の少なくとも一方で、前記記録媒体の温度を所定の温度範囲内に調節するメディア温度調節機構を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項14の発明によれば、メディア温度調節機構によって、活性エネルギ線の照射時あるいは照射後の少なくとも一方で記録媒体の温度が所定の温度範囲内に調節される。ここで、カチオン重合性化合物を含有したインクの場合には、活性エネルギ線が照射される際に、空気中の湿気によって重合が阻害されやすいという性質があるが、上述のように記録媒体の温度が調節されることによって、インクは湿気によって阻害されることなく効率的に重合することができ、インクが記録媒体上で滲むことなく、記録媒体に高精細な画像を形成することができる。また、記録媒体がプラスチックフィルムのような熱収縮しやすい材質の場合でも、記録媒体にしわやカールが発生することを防止できる。
【0032】
請求項15の発明は、請求項13又は14に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の搬送経路の、該記録媒体が前記活性エネルギ線照射手段によって前記活性エネルギ線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度を調節する湿度調節手段を備えることを特徴とする。
【0033】
請求項15の発明によれば、湿度調節手段によって活性エネルギ線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度が調節される。これにより、記録媒体に着弾したインクが活性エネルギ線の照射を受ける際に、空気中の湿気に阻害されることなく、効率的に硬化することができ、インクが記録媒体上で滲むこともなく、記録媒体に高精細な画像を形成することができる。
【0034】
請求項16の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドから前記インクが吐出される吐出口近傍に設けられ、前記吐出口における前記インクの温度を30°以上120°以下に調節するヘッド温度調節機構を備えることを特徴とする。
【0035】
請求項16の発明によれば、ヘッド温度調節機構によって、記録ヘッドから吐出される時のインクの温度が30℃以上120℃以下に調節される。ここで、記録媒体にインクを着弾させて画像形成する際に、周囲の湿度の影響により活性エネルギ線を照射しても十分にインクが硬化しないということがあるが、上述のように、ヘッド温度調節機構がインクの温度を30℃以上120℃以下に調節することによって、吐出されたインクは、記録媒体に着弾してインクドットを形成後、活性エネルギ線が照射されるまで効率的に硬化可能な温度に容易に維持される。したがって、活性エネルギ線の照射を受けて速やかに硬化し、記録媒体に高精細な画像を形成することができる。
ここで、インクの温度を30℃以上120℃以下としたのは、30℃より低くすると、インクが高粘性であるので、吐出口から吐出されにくくインク詰まりが発生するためで、120℃より高くすると、記録ヘッドの寿命が短くなるためである。
【0036】
請求項17の発明は、請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタを用いて記録媒体にインクを吐出することによって画像形成を行うことを特徴とする。
【0037】
請求項17の発明によれば、プラテンと記録媒体との間の密着性を高めることができ、プラテンの上面と記録媒体の裏面との間に気泡が入りにくく、記録媒体がプラテンから浮いたり、しわが発生するのを防げる。したがって、記録媒体にインクを吐出することによって形成される画像に歪みが生じたり、ヘッドが記録媒体によって擦れて汚れてしまうという問題もなく、高精細な画像を形成することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェットプリンタに係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態のインクジェットプリンタとして、紫外線(UV)の照射により硬化する性質を有するUVインクを記録媒体に吐出して画像形成を行うタイプのインクジェットプリンタを例に挙げて説明するが、本発明のインクジェットプリンタはUVインクを用いるものに限らない。
【0039】
例えば、赤外線、可視光線、電子線、X線といった活性エネルギ線の照射により硬化する性質のインクを用いるものとしても良い。なお、ここで活性エネルギ線とは、空気を電離させる能力を有するものだけを指すのではなく、上述のように赤外線、可視光線、紫外線、電子線といった電磁波を含むものである。
【0040】
図1は、記録媒体への画像形成工程をわかりやすく説明するためのインクジェットプリンタの要部断面図である。
【0041】
図1に示すように、インクジェットプリンタAは、長尺なウェッブ状のプラスチックフィルム、裏面に樹脂コートされた紙等の記録媒体Rを搬送する搬送手段1と、該搬送手段1により搬送された記録媒体Rに画像形成を行う前に前処理を行う前処理部4と、前処理された記録媒体Rに画像形成を行う画像形成部2と、該画像形成部2でインクの付着した記録媒体RにUVを照射するUVランプ(活性エネルギ線照射手段)3等を備えて概略構成されている。
そして、搬送手段1により搬送された記録媒体Rが画像形成部2を経て、さらに搬送手段1により搬送されるような搬送経路が搬送方向Fに沿って確立されている。
【0042】
まず、本発明の特徴部分の搬送手段1の構成について説明する。
【0043】
搬送手段1は、画像印刷前の記録媒体Rがロール状に巻かれ、搬送方向Fに繰り出される供給部101と、画像印刷後の記録媒体Rをロール状に巻取る巻取り部102と、供給部101と巻取り部102との間に配置され上面で記録媒体Rの下面を支持するプラテン103と、プラテン103上に支持された記録媒体Rをプラテン103側に押圧するガイドローラ(以下、搬送方向F上流側のガイドローラを上流側ガイドローラ104a、搬送方向F下流側のガイドローラを下流側ガイドローラ104bと言う)と、図示しないが上流側ガイドローラ104aを駆動する駆動部とを備えて概略構成されている。
なお、本発明の特徴部分であるガイドローラとは、上流側ガイドローラ104aのことを言う。
【0044】
そして、印刷の際に、駆動部によって駆動した上流側ガイドローラ104aが回転することにより、供給部101、巻取り部102及び下流側ガイドローラ104bが上流側ガイドローラ104aと同じ方向に回転し、供給部101から記録媒体Rが搬送方向Fに送り出されて巻取り部102に巻き取られるようになっている。
このように上流側ガイドローラ104aが動力源であるので、記録媒体Rと上流側ガイドローラ104aとが同期することによって、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性がより高められる。なお、記録媒体Rは、その上面が印刷面となっている。
【0045】
プラテン103は、記録媒体Rの幅と同じ又はその幅より大きな幅を有し、上面が平面とされた板状の部材である。このプラテン103は、画像形成部2に対向して配置されて画像形成により画像形成が行われる記録媒体Rを非画像形成面側から支持し、かつ、記録媒体Rを搬送方向Fにガイドするものである。なお、「非画像形成面」とは、記録媒体Rの画像形成面の反対側の面、すなわち画像形成が行われない面である。
【0046】
上流側ガイドローラ104aは、搬送される記録媒体Rがプラテン103上に導入される直前に、記録媒体Rが接触することによって該記録媒体Rをプラテン103に対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体Rをプラテン103側に押圧するものである。
そして、図2に示すように、記録媒体Rと上流側ガイドローラ104aとが最初に接触する第1の接触面Kの延長部分と、プラテン103上に導入された記録媒体Rとプラテン103とが接触する第2の接触面Lの延長部分とによってなす接触角度Mが15°以上270°以下とされている。
【0047】
このように上流側ガイドローラ104aを設けることによって、記録媒体Rは予め上流側ガイドローラ104aに沿って接触することにより、プラテン103上にスムーズに導入される。このため、プラテン103と記録媒体Rとの間の密着性が高められる。
ここで、接触角度Mを15°以上270°以下としたのは、接触角度Mが15°よりも小さい場合には、記録媒体Rをプラテン103に対してほとんど傾斜角度をつけて導入することができず、記録媒体Rとプラテン103との間に気泡が入りやすいためである。一方、接触角度Mが270°よりも大きい場合には、その装置の構造が複雑となりコスト高となるとともに、プラテン103上に記録媒体Rを導入するのに手間がかかるためである。
【0048】
下流側ガイドローラ104bは、搬送される記録媒体Rをプラテン103に対して押圧するとともに、記録媒体Rが接触することによってプラテン103上から傾斜して記録媒体Rを搬出するものである。
【0049】
また、供給部101とプラテン103との間には、記録媒体Rを挟み込んで緊張させた状態で上流側ガイドローラ104aに接触させるための一対の押さえローラ105が配置されている。
この押さえローラ105と上流側ガイドローラ104aとの間隔は、押さえローラ105と記録媒体Rとが接触する接点と、記録媒体Rが上流側ガイドローラ104aに最初に接触する接点との間の距離が0.5cm以上50cm以下であることが好ましい。前記間隔が50cmより広い場合には、記録媒体Rとプラテン103との間に発生する気泡やしわを抑える効果が小さくなるためで、0.5cmより狭い場合には、上流側ガイドローラ104a及び押さえローラ105の設置が困難となるためである。
【0050】
ここで、本発明の特徴部分である搬送手段1の変形例について説明する。
[変形例]
上述した図1の搬送手段1においては、供給部101とプラテン103との間には一対の押さえローラ105が配置されていたが、図3の搬送手段1においては、供給部101とプラテン103との間に、記録媒体Rを外周に沿って係止することによって緊張させた状態で上流側ガイドローラ104aに接触させるための係止ローラ106が配置されている。
そして、記録媒体Rが係止ローラ106に接触する円弧部分の中心角Nが60°以上270°以下とされている。
【0051】
このように、係止ローラ106を設けることによって、供給部101とプラテン103との間で記録媒体Rがたわむことなく、容易にプラテン103上に記録媒体Rを導入することができ、記録媒体Rの搬送のばらつきを抑えることができる。また、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性を高めることができる。
前記中心角Nを60°以上270°以下としたのは、中心角Nが60°より小さい場合には、記録媒体Rが係止ローラ106に確実に係止させることができず、記録媒体Rを緊張した状態で上流側ガイドローラ104aに接触させることが難しいためである。一方、中心角Nを270°より大きくした場合には、その装置の構造が複雑となりコスト高となるためである。
【0052】
なお、図1及び図3に示す搬送手段1のプラテン103は、図4に示すようにドラム形状のプラテン103aであっても良いし、図5に示すように上面が上に凸の曲面とされた蒲鉾型のプラテン103bであっても良いし、また、図6及び図7に示すように記録媒体Rを搬送するベルト103cであっても良い。なお、図6では、供給部101とベルト103cとの間に一対の押さえローラ105が配置されており、図7では、係止ローラ106が配置されている。さらには、図示しないが図4のドラム形状の部材上にベルトが設けられたプラテンや、図5の蒲鉾型の部材上にベルトが設けられたプラテンとしても良い。
【0053】
また、図1の上流側ガイドローラ104aは、記録媒体Rを搬送する動力源であったが、例えば、供給部101、巻取り部102、押さえローラ105等を駆動する動力源を1つ設け、この動力源が駆動することで上流側ガイドローラ104が連動して回転する構成としても良い。この場合、動力源を1つとすることができるので、装置の簡略化を図れコストの削減につながる。
【0054】
さらに、上記押さえローラ105や係合ローラ106の他に記録媒体Rの搬送効率を向上させるためのローラを複数備えた構成としても良い。
なお、図3及び図4は、搬送手段1の要部を示す拡大図であり、図5〜図7は、搬送手段1のみを示すインクジェットプリンタAの概略図である。
【0055】
次に、上述したインクジェットプリンタAを構成するその他の構成について説明する。
【0056】
図1に示すように、前処理部4は、画像形成部2によって記録媒体Rに画像形成を行う前にコロナ処理等の処理を行う。該コロナ処理により、記録媒体Rの印刷面(表面)に付着しているゴミ等を除去し、画像形成部2においてインクを付着し易い状態とする。
【0057】
画像形成部2には、インクジェット方式の記録ヘッド21と、該記録ヘッド21を備えるキャリッジ22と、該キャリッジ22の移動を案内するキャリッジレール23とが備えられている。
【0058】
記録ヘッド21には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブ
ラック(K)等のインクが不図示のチューブやインクカートリッジによって供給される。このインクは、常温において高粘性を有し、加熱により低粘性を有し、さらにUVを照射すると硬化する性質をもっている。以下、このインクを「UVインク」として称することにする。なお、この実施の形態では、カチオン硬化型のUVインクを使用することが好ましく、UVインクの詳細については後述する。
【0059】
キャリッジ22は記録ヘッド21を備え、連結部22aを介してキャリッジレール23に接続されている。キャリッジレール23は、記録媒体Rの搬送方向Fに略直交して延在するレールであって、搬送方向Fと略直交する方向(図1紙面において表側から裏側若しくは裏側から表側に向かう方向)にキャリッジ22を案内するものである。なお、このキャリッジレール23の延在する方向を「走査方向」と称して、以下の説明を行う。
【0060】
記録媒体Rに画像形成が行われる場合には、キャリッジ22がキャリッジレール23に案内されるとともに走査方向に移動しながら、記録ヘッド21から記録媒体RにUVインクが吐出されるようになっている。
【0061】
UVランプ(活性エネルギ線照射手段)3は、画像形成部2での工程の後に、UVインクの付着した記録媒体Rの画像形成面にUVを照射するものである。UVを照射することにより記録媒体Rに付着したUVインクは硬化するようになっている。ここで、図1では、このUVランプ3は、連結部3aを介して前述したキャリッジレール23に固定される形態で、記録ヘッド21、21、…より搬送方向F下流側に1ヶ所だけ設置されている場合を例に取って描図を行っているが、この他にも、記録ヘッド21の走査方向に隣接した位置に、記録ヘッド21と共に走査する形態で記録ヘッド21、21、…の数に応じて設置することとしても良い。
【0062】
そして、上記した各構成要素を組み合わせることにより、搬送された記録媒体Rが非画像形成面側からプラテン103により支持された状態で、キャリッジ22が走査方向に移動しながら、記録ヘッド21からUVインクが記録媒体Rの画像形成面に吐出されて、画像形成が行われるのである。
【0063】
また、本発明のインクジェットプリンタAには、図8に示すメディア温度調節機構5、ヘッド温度調節機構6及び湿度調節機構7が備えられている。
【0064】
メディア温度調節機構5は、記録媒体Rの搬送経路近傍に設けられ、記録媒体RがUVランプ3によって紫外線の照射を受ける照射時あるいは照射後の少なくとも一方で、記録媒体Rの温度を、所定の温度範囲内に調節するものである。本実施の形態では、記録ヘッド21の直下からUVランプ3までにかけての領域についての記録媒体Rの温度を制御するものとしている。このように記録媒体Rに着弾したUVインクの温度を制御することによって、UVインクとして、例えばカチオン硬化型を使用した場合には、湿度の影響を受けずに、カチオン硬化型のUVインクを速やかに硬化することができる。
【0065】
図8に示すように、メディア温度調節機構5は、概略して、メディア温度調節手段51と、メディア温度検出手段52と、入力手段53と、メディア温度制御手段(ここでは制御部30が相当する)とを備えている。なお、メディア温度調節手段51、メディア温度検出手段52及び入力手段53と、メディア温度制御手段(制御部30)との間は、インターフェイス31を介して互いに接続されている。
【0066】
メディア温度調節手段51は、搬送手段1により搬送される記録媒体Rの搬送経路の少なくとも一部の近傍に備えられ、記録媒体Rの加熱を行うものである。具体的には、図1に示すように、メディア温度調節手段51は、記録ヘッド21により画像形成が行われる前の記録媒体Rの画像形成面側に配置されており、ヒータ51aと、リフレクタ51bとを備えている。
【0067】
なお、温度制御中、加熱により記録媒体Rの温度が上がりすぎた場合や、記録媒体R周囲の温度が高くなりすぎたような場合に、メディア温度調節手段51に加熱機能だけではなく冷却機能を持たせ、記録媒体Rの温度を制御するものとしても良い。
【0068】
ヒータ51aは、記録媒体Rの幅方向(図1紙面において表側から裏側又は裏側から表側に向かう方向)に延在する熱源として機能を有するものである。
リフレクタ51bは、記録媒体Rの画像形成面側が開放された状態でヒータ51aを覆って配置され、ヒータ51aを作動させることにより生じるヒータ51aからの輻射熱を反射するものである。
従って、これらヒータ51a及びリフレクタ51bが、記録媒体Rを画像形成面側から加熱するメディア温度調節手段51としての機能を有する。
【0069】
メディア温度検出手段52は、図1において搬送手段1により搬送される記録媒体Rの搬送経路の少なくとも一部の近傍に配置され、記録媒体Rの温度を検出するものである。具体的には、メディア温度検出手段52は、記録ヘッド21により画像形成が行われる前の記録媒体Rの画像形成面側に配置されており、図1に示す温度センサ52aに相当するものである。
【0070】
図1に示すように、温度センサ52aは前述のリフレクタ51bに固定されるとともに、記録媒体Rの表面には直接接触しない非接触型センサとなっている。この温度センサ52aにより、記録媒体Rの温度を検出するようになっている。そして、この温度検出手段52としての温度センサ52aは、図8に示すように、検出結果としての記録媒体Rの温度情報(以下、”検出温度情報”と称する)を制御部30に入力する。
【0071】
入力手段53は、操作盤、キーボード等であり、記録媒体Rの種類(形態、材質、厚み等)に関する情報(以下、”設定情報”と称する)を制御部30に入力するものである。この入力手段53は、オペレータの手動操作により操作盤、キーボード等に設定情報が打ち込まれると、打ち込まれた設定情報を制御部30に入力する。なお、具体的には、設定情報は、形態:フィルム,材質:樹脂,厚み:0.05mm等の記録媒体Rが有する性質に関する情報となっている。
【0072】
制御部30は、本実施形態ではメディア温度制御手段と、後述するヘッド温度制御手段及び湿度制御手段とを兼ねた構成要素として形成され、メモリ33と、CPU32と、インターフェイス31と、を備えている。
【0073】
インターフェイス31は、インクジェットプリンタAの各構成要素と接続されている。インターフェイス31は上記したメディア温度調節手段51、メディア温度検出手段52又は入力手段53と、制御部30との間で行われる各種情報及び信号の転送を媒介するものである。
【0074】
メモリ33は、記憶媒体Rに形成される画像データ等の各種データを記憶する記憶領域や、CPU32が演算を行う際、プログラムやデータを一時格納する
ための作業領域等もが備えられている。
【0075】
メモリ33は記憶領域に、メディア温度検出手段52から出力された検出温度情報、入力手段53から出力された設定情報等を記憶する。また、メモリ33は、設定情報に対応する設定温度の情報(以下、”設定温度情報”と称する)をデータテーブルとして記憶している。従って、メモリ33では、入力手段53による設定情報に応じて目標温度情報が切り替えられるようになっている。具体的には、形態:ウェッブ状フィルム,材質:樹脂,厚み:0.05mm等といった設定情報から、形態:ロール紙,材質:紙,厚み:0.01mm等といった設定情報に変更されると、設定温度も30℃から35℃に切り替わるといったように設定温度情報が切り替えられるようになっている。
【0076】
なお、前記設定温度は、入力手段53による手動の設定情報の変更に基づいて変更される他、センサ等により設定情報や他の条件を取得して、自動的に設定温度を変更する場合もある。
【0077】
CPU32は、メモリ33に格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをメモリ33の作業領域に展開し、各センサからの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0078】
CPU32は、メモリ33に記憶された検出温度情報及び設定温度情報を読み出し、これら情報の比較をする等の各種演算を行うとともに、この演算結果に基づいてメディア温度調節手段51を制御して記録媒体RのUVインクが着弾する時から紫外線の照射を受ける時にかけての温度を調節する。
【0079】
次に、ヘッド温度調節機構6について説明する。
【0080】
ヘッド温度調節機構6は、記録ヘッド21内の後述する吐出口15におけるUVインクの温度を調節することにより、UVインクを安定した低粘度状態で吐出できるようにする。それに加えて、吐出口におけるUVインクの温度を調節することで、UVインクの、記録媒体Rに着弾した時から紫外線の照射を受ける時にかけての温度の制御を確実にさせる。
【0081】
すなわち、ヘッド温度調節機構6は、メディア温度調節機構5で温度制御された記録媒体Rに着弾するインクの温度を記録ヘッド21内において、紫外線照射により効率的に硬化する温度で、かつ、安定吐出が可能な粘度にUVインク粘度を下げる温度で、さらに、環境条件等によって温度変化せずにほぼ一定の温度となるように制御するものである。
【0082】
ここで、UVインクの吐出口15における温度は、UVインクの粘度が最適となるように設定され、ヘッド温度調節機構6によって調節されるが、その温度は30℃以上120℃以下の範囲内であることが好ましい。
【0083】
ここで、UVインクの吐出口15における温度が30℃を下回る場合、UVインクは高粘性であるので、吐出口15から制御通りに吐出されなかったり、吐出口15や後述するインクノズル12でUVインク詰まりが発生したりするという問題が生じる。
【0084】
一方、UVインクの吐出口15における温度が120℃を超える場合、記録ヘッド21の寿命が短くなるという問題が生じる。UVインクを吐出口15から吐出させるための駆動力を発生するための後述する吐出手段は耐熱性が低く、120℃を超える高温に維持されると制御通りにUVインクを吐出できなくなる。そのために上記温度が120℃を超えると記録ヘッド21の寿命が短くなり、インクジェットプリンタAの維持管理を困難にすることとなる。
【0085】
図8に示すように、ヘッド温度調節機構6は、概略して、ヘッド温度調節手段(面ヒーター16及びヘッドヒーター13)61と、ヘッド温度検出手段(ヘッド温度センサ)19と、ヘッド温度制御手段(ここでは制御部30が相当する)とを備えている。なお、ヘッド温度調節手段61、ヘッド温度検出手段19と、ヘッド温度制御手段(制御部30)との間は、インターフェイス31を介して互いに接続されている。
【0086】
記録ヘッド21には、図9または図10に示すように、インクが注入されるインク入口部17と、インクを吐出する複数の吐出口15と、インク入口部17から吐出口15までインクを導くヘッド内供給路11と、ヘッド内供給路11のインク温度を検出するヘッド温度センサ(ヘッド温度検出手段)19と、ヘッド内供給路11の外部の少なくとも一部からインクを加熱する面ヒーター(ヘッド温度調節手段)16と、ヘッド内供給路11の内部の少なくとも一部でインクを加熱するヘッドヒーター(ヘッド温度調節手段)13とが設けられている。
【0087】
インク入口部17は、図10(a)、(b)に示すように、記録ヘッド21の側部から内部に向かって先細る漏斗形状に形成されている。このインク入口部17は、インク供給路(図示省略)と接続されており、インクタンク(図示省略)からインク供給路を介してインクが供給される。
【0088】
吐出口15は、記録ヘッド21の下面(ノズル面15a)に備えられており、この下面のセンターラインに沿って等間隔に並ぶよう配置されている。
【0089】
ヘッド内供給路11は、インク入口部17から吐出口15までインクを導く過程で、一旦インクを収納するインク収納部18と、インク収納部18から吐出口15までインクを導くインクノズル12と、インクを吐出する駆動力を発生するための例えばピエゾ素子からなる吐出手段(図示省略)を備えている。
【0090】
インク収納部18は、先方(図10(a)では左)に向かって細くなる側面視台形形状に形成されている。このインク収納部18には、インク入口部17の先端が後面に接続され、インク収納部18とインク入口部の両者を連通している。
【0091】
また、このインク収納部18には、吐出口15までインクを導くインクノズル12が、各吐出口に対応するように複数、ノズル面15aと対向する下面に設けられている。つまり、インクノズル12は、インク入口部17から流れ込むインクの流れ方向に沿うように、等間隔で並んで配置されている。
【0092】
このように、インクの流れ方向に沿うようにインクノズル12を配置した場合、インク入口部17から離れた位置にあるインクノズル12に流れ込むインクの圧力が弱まってしまい、安定した吐出を行えないおそれがある。このため、本実施の形態では、インク収納部18の形状を先方に向かって細くなる側面視台形形状に形成することで、各インクノズルに流れ込むインクの圧力がばらつくことを防止している。
【0093】
ヘッド温度センサ(ヘッド温度検出手段)19は、インク入口部17から流入してきたインクの温度を検出するために、インク入口部17近傍、つまりインク収納部18の後面から内部に向かって延出した状態に設けられている。
【0094】
面ヒーター16は、記録ヘッド21内部でヘッド内供給路11を覆うようにコ字状に形成されており、この面ヒーター16が、ヘッド内供給路11のインクを加熱し低粘度化する。
【0095】
ヘッドヒーター13は、円柱形状に形成され、インク収納部18下部でインクノズル12の並びに沿った状態となるように、インク収納部18の先端から後端に掛け渡されている。そして、このヘッドヒーター13によって、各吐出口から吐出されるインクの各温度が所定温度範囲内となるように、インクは加熱される。
【0096】
このように、ヘッドヒーター13は、インク収納部18下部でインクノズル12の並びに沿った状態であるため、各インクノズル12に流入する前のインクの各温度がばらつくことなく加熱することができる。
【0097】
ヘッド温度制御手段(ここでは制御部30が相当する)は、図8に示すように、インターフェイス31、CPU32、メモリ33等から構成され、メモリ33中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイス31に接続された各種機器を制御するようになっている。
【0098】
インターフェイス31には、面ヒーター(ヘッド温度調節手段)16と、ヘッドヒーター(ヘッド温度調節手段)13と、ヘッド温度センサ(ヘッド温度検出手段)19などが電気的に接続されている。
【0099】
メモリ33には、インク供給における各種データや、インクジェットプリンタAの各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
CPU32は、メモリ33に書き込まれた各種データや、ヘッド温度センサ19が検知する温度に基づいて演算を行い、吐出口15におけるUVインクの温
度が上述の範囲に収まり、且つUVインクの粘度が最適となるよう、面ヒーター16やヘッドヒーター13を制御して吐出口15におけるUVインクの温度を制御する。
【0100】
次に、湿度調節機構7について説明する。
【0101】
湿度調節機構7は、記録媒体Rが搬送手段1により搬送される搬送経路の、UVランプ3の直下の領域近傍の湿度を制御することで、記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度を調節する。
【0102】
ここで、記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度は、例えば、5%以上40%以下に制御することが好ましい。
記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度が5%を下回る場合には、上記湿度を制御するために、インクジェットプリンタAの各構成要素を気密性の高いシャーシに収納する等の必要が生じるため、インクジェットプリンタAが高価になるという問題が生じる。
【0103】
一方、記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度が40%を超える場合には、記録媒体Rに着弾したインクが紫外線照射によって効率的に硬化しないという問題が生じる。記録媒体Rにしわやカールが生じることを防ぐため、メディア温度調節機構5は記録媒体Rが紫外線照射を受けるときの温度を40℃以下に調節している。
【0104】
この温度で、例えば、カチオン硬化性であるUVインクに紫外線を照射する場合、UVインクは空気中の湿気による反応阻害を受けやすいので、湿度が40%を超える環境ではUVインクは速やかに硬化できない。このとき、記録媒体R上のインクドット形状を制御できなかったり、互いに隣接した色の異なるインクドットが交じり合ったりするという問題が生じるため、記録媒体Rに画像を高画質では印刷できなくなる。
【0105】
湿度調節機構7は、該略して、図1に示すように、送風管71と、送風ファン(湿度調節手段)72と、乾燥カラム(湿度調節手段)73と、湿度センサ(湿度検知手段)74と、湿度制御手段(ここでは制御部30が相当する)とを備えている。
【0106】
送風管71は、インクジェットプリンタAから導入され、乾燥カラム73により湿度が調節された空気を記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置まで導く。送風管71の一端はインクジェットプリンタA外部に露出して設置される。送風管71の他端は記録媒体Rの幅に対応した形状に形成され、UVランプ3近傍に、UVランプ3と記録媒体Rとの間の空間に向けて空気を送出できる形態で設置される。
【0107】
送風管71内部には、送風ファン72、乾燥カラム73、湿度センサ74等が設置されている。
送風ファン72は制御部30の制御により、インクジェットプリンタA外部からUVランプ3側までの送風と、UVランプ側3からインクジェットプリンタA外部までの送風とを行う。ここで、インクジェットプリンタA外部からUVランプ3側までの送風の際の風速は、UVランプ3と記録媒体Rとの間の空間の湿度を上述の範囲に維持できるとともに、記録ヘッド21から記録媒体Rに向けてUVインクが吐出される時のUVインクの飛行経路に影響を与えないことを条件に決定される。
【0108】
乾燥カラム73は、送風管71内部に、例えばシリカゲルやゼオライトといった可逆的に吸湿可能な乾燥剤を、通気自在な形態で充填することで形成される。さらに、乾燥カラム73には、上記乾燥剤の吸湿能力が低下した際、この乾燥剤を加熱して再活性化させるための活性化ヒータ73aが備えられている。
湿度センサ74は、送風管71内部の乾燥カラム73よりUVランプ3側の部位に設置される。湿度センサ74は湿度を検知するとともに、検知した湿度データを制御部30に送信する。
【0109】
制御部30は、湿度センサ74が検知した湿度に基づいて送風ファン72及び活性化ヒータ73aを制御して記録媒体Rが紫外線の照射を受ける部位及び該部位近傍の湿度を調節する。
記録ヘッド21からのUVインクの吐出と、それに引き続くUVランプ3による紫外線照射によって記録媒体Rへの画像形成を行っている時は、制御部30は送風ファン72によりインクジェットプリンタA外部からUVランプ3側に向けての送風を行うことで、UVランプ3と記録媒体Rとの間の空間に、乾燥カラム73で湿気が除去された空気を送り込む。このとき、湿度センサ74はUVランプ側向けて送られる空気の湿度を検知して制御部30に送る。
【0110】
上記湿度が上昇し、記録媒体Rが紫外線照射を受ける位置及び該位置の湿度が、インクを紫外線照射によって速やかに硬化させることのできる上限の値に達すると、制御部30は画像形成にインクジェットプリンタAの各構成要素の、画像形成に係る一連の動作を停止させる。
【0111】
各構成要素が停止した後、制御部30は活性化ヒータ73a及び送風ファン72を制御して、乾燥カラム73に充填された乾燥剤の再活性化を行う。乾燥剤の再活性化は、送風ファン72でUVランプ3側からインクジェットプリンタAに向けて送風しながら乾燥剤を活性化ヒータ73aで加熱することにより、乾燥剤が吸収した水をインクジェットプリンタA外部に拡散させることで行う。上記再活性化動作を所定時間行って乾燥剤の再活性化を行った後、制御部30は引き続いて各構成要素による画像形成のための動作を再開する。
【0112】
なお、制御部30が乾燥剤再活性化の終了を判定する方法としては、上述の様な所定時間の経過により行う他に、湿度センサ74を乾燥カラム73よりインクジェットプリンタA外部側に設置し、この湿度センサ74で排気される空気の湿度を検知する方法等がある。
【0113】
次に、本発明のインクジェットプリンタAで使用されるインクについて説明する。
【0114】
本発明に係るUVインクは、少なくとも2μm以下、好ましくは1μm以下のフィルターサイズでろ過を行い、粗大粒子を除去した状態で記録ヘッド21に供給することが好ましい。
【0115】
UVインクは、上述の物性を具備するとともに、UVランプ3から紫外線を照射されることで重合反応を起こして硬化するよう、発色のための色材の他に重合性組成物(活性エネルギ線硬化性化合物)及び開始剤を含んで組成される。さらに、UVインクは必用に応じて、開始助剤、界面活性剤、重合禁止剤、帯電防止剤などを含む。さらに、照射される紫外線の波長によっては増感色素を開始助剤としてUVインクに添加することが好ましい。以下、UVインクの具体的な組成について説明する。
【0116】
重合性組成物は、紫外線の照射によって重合してポリマーを形成することにより、UVインクを硬化させる物質である。重合性組成物としては、光照射の際ラジカル反応によって重合する光ラジカル重合性組成物や、カチオン化学種が反応活性種となって重合するカチオン重合系のカチオン重合性組成物が知られており、これらは例えば特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各号公報に記載されている。また、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の重合性組成物も例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137等に公開されている。
【0117】
ラジカル重合性組成物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性組成物は1種のみ用いてもよい。また、2種以上のラジカル重合性組成物を任意の比率で2種類以上併用してもよい。
【0118】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性組成物が挙げられる。
【0119】
上述のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合系組成物としては、具体的には、例えば下記のメタクリル誘導体が挙げられる。
そのメタクリル誘導体とは、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体である。
【0120】
その他のラジカル重合系化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載された市販品もしくは周知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0121】
ラジカル重合性組成物のUVインクに対する添加量は1〜97質量%とすることが好ましい。ラジカル重合性組成物の添加量が1質量%を下回る場合、紫外線の照射によってUVインクが速やかに硬化せず、ドット系等の制御を阻害する。また、ラジカル重合性組成物の添加量が97質量%を上回る場合には、色材による発色が十分になされず、記録媒体R上の画像における色再現性を低下させる。また、ラジカル重合性組成物のUVインクに対する添加量は30〜95質量%とするのがより好ましい。
【0122】
カチオン重合系の重合性組成物としては、カチオン重合により高分子化の起こるタイプである例えばエポキシタイプの紫外線硬化性プレポリマーや1分子内にエポキシ基を2個以上含有するモノマーを適用することができる。
このようなプレポリマーとしては、例えば、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物類及びエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらの重合性組成物は、その一種を単独で使用することもできるし、又その二種以上を混合して使用することもできる。
【0123】
カチオン重合系光硬化樹脂中に含有されるカチオン重合性組成物としては、他に例えば下記の(1)スチレン誘導体、(2)ビニルナフタレン誘導体、(3)ビニルエーテル類及び(4)N−ビニル化合物類を挙げることができる。
(1)スチレン誘導体
例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン等
(2)ビニルナフタレン誘導体
例えば、2−ビニルナフタレン、α−メチル−2−ビニルナフタレン、β−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メトキシ−2−ビニルナフタレン等
(3)ビニルエーテル類
例えば、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、α−メチルフェニルビニルエーテル、β−メチルイソブチルビニルエーテル、β−クロロイソブチルビニルエーテル等
(4)N−ビニル化合物類
例えばN−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール等
【0124】
上記カチオン重合系の重合性組成物中の含有量は1〜97質量%が好ましい。カチオン重合性組成物の添加量が1質量%を下回る場合、紫外線の照射によってUVインクが速やかに硬化せず、ドット系等の制御を阻害する。一方、カチオン性重合組成物の添加量が97質量%を上回る場合には、色材による発色が十分になされず、記録媒体R上の画像における色再現性を低下させる。
また、カチオン重合性組成物のUVインクに対する添加量は30〜95質量%とすることがより好ましい。
【0125】
本発明においては、UVインク中に、光重合開始剤及び光酸発生剤の少なくとも1つを含有することが好ましい。
特に、硬化反応をより効率的に行うために、公知の光重合開始剤を添加して硬化させることが好ましい。光重合開始剤としては、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
【0126】
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
【0127】
一方、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。
光重合開始剤を使用する場合の配合量は、活性エネルギ線硬化性組成物の0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
【0128】
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0129】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4−、PF6−、AsF6−、SbF6−、CF3SO3−塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【化1】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【化2】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【化3】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【化4】
また、本発明のインクは、紫外線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行うために光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号、米国特許第4,508,811号、同第5,227,227号、特開2001−125255、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。
光増感剤の使用量は、活性エネルギ線硬化性組成物中0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
【0130】
本発明に係るインク組成物には、さらに様々な性能改良のため、本来の特性を変えない範囲で、例えば、着色剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤等の材料を添加することもできる。
【0131】
着色剤としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ジケトピロロピロール系等の各種の有彩色有機顔料、カーボンブラック、チタンホワイト、シリカ、マイカ、酸化亜鉛等の無機顔料等が挙げられる。
【0132】
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0133】
重合禁止剤としては、例えば、メトキノン、メチル・ハイドロキノン、ベンゾキノン等が挙げられる。又、レベリング剤としては、例えば、モダフロー(モンサント社製;登録商標)、FC−430(3M社製)等が挙げられる。
これらの各種添加剤の使用量は、それぞれ、組成物の0を越えて20質量%の範囲が好ましい。
【0134】
本発明に係るインク組成物を得るには、上記した各成分を混合すればよく、混合の順序や方法は特に限定されない。
以上の様にして調製されたインク組成物の物理的特性として、50℃における粘度が5〜30mPa・sであることが好ましい。
【0135】
また、本発明に係るインク組成物には、必要に応じて溶剤を含有させることができる。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルの如き酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテルの如きアルコール類、水などその他の一般によく用いられる有機溶剤によって本発明の活性エネルギ線硬化性化合物を希釈して使用することも可能である。
【0136】
本発明に係るインク組成物は、インク中にマイクロカプセルを含有することが好ましい。
マイクロカプセルは、例えば、最新マイクロカプセル化技術(1987年12月21日発行、近藤 保 監修、株式会社総合技術センター)、光硬化技術(2000年3月発行、株式会社技術情報協会編)、日本印刷学会誌(Vol.37、p.28、2000)等や特開平5−24362号、特開平5−220384号、特開平6−192068号、特開平7−304968号、特開平7−316261号、特開平9−132524号、特開平11−188257号等の公報に記載の公知の方法で調製することができる。
また、色材協会誌、72巻、第3号、p.184(1999)に記載のリポソーム等もマイクロカプセルの一種として用いることができる。
【0137】
また、マイクロカプセル中に、インク中に発生した重合阻害物質を、熱によりクエンチする化合物を含有することが好ましい。
本発明で用いることのできる熱によりインク中に発生した重合阻害物質をクエンチする化合物としては、重合阻害物質の種類により異なるが、発生種がラジカルの場合は、ラジカルクエンチ剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、チオール、チオ酸、ジチオ酸、ホスフェート、チオホスフェート、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ジニトロベンゼン、p−キノン、メチレンブルー、β−ナフトール、N−ニトロソアミン、ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、ホスフォン酸エステル、亜リン酸トリフェニル、N−ニトロソ−シクロヘキシル−ヒドロキシアミンの塩、とりわけアルカリ及びアルミニウム塩等が用いられる。
【0138】
発生種が酸の場合は、酸をクエンチできる、例えば、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、若しくはピペリジン等の環状アミン系化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素系化合物、ナトリウムジエチルチオホスフェート若しくは芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物、N,N′−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物、トリ−n−ブチルホスフィン若しくはナトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物等が使用できる。
【0139】
また、熱塩基発生剤として、例えば、加熱により脱炭酸して分解する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位、ベックマン転位等の反応により分解してアミン類を放出する化合物や、加熱により何らかの反応を起こして塩基を放出するものも好ましく用いられる。
【0140】
具体的には、英国特許第998,949号記載のトリクロロ酢酸の塩、米国特許第4,060,420号に記載のアルファースルホニル酢酸の塩、特開昭59−157637号に記載のプロピール酸類の塩、2−カルボキシカルボキサミド誘導体、特開昭59−168440号に記載の塩基成分に有機塩基の他にアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いた熱分解性酸との塩、特開昭59−180537号に記載のロッセン転位を利用したヒドロキサムカルバメート類、加熱によりニトリルを生成する特開昭59−195237号に記載のアルドキシムカルバメート類等が挙げられる。
その他、英国特許第998,945号、米国特許第3,220,846号、英国特許第279,480号、特開昭50−22625号、同61−32844号、同61−51139号、同61−52638号、同61−51140号、同61−53634号〜同61−53640号、同61−55644号、同61−55645号等に記載の熱塩基発生剤が有用である。
【0141】
更に具体的な例を挙げると、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウムがある。
上記の熱塩基発生剤は広い範囲で用いることができる。
【0142】
上述のようなインクは、インクジェット記録方式により記録媒体R上に吐出、描画し、次いで紫外線(活性エネルギ線)を照射してインクを硬化させることになる。
本発明で用いることのできる活性エネルギ線の光源としては、波長180nm〜500nmの紫外線又は可視光線を発生する光源が有効である。例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が挙げられる。
【0143】
本発明において、紫外線による照射を行う場合、インクの吸収波長におけるピーク照度が1〜500mw/cm2である光源が好ましい。かかる光源は、十分な硬化反応を行うことができるため、比較的安価で、小型の紫外線照射装置を用いることができ、コスト的にも有利である。
【0144】
本発明に用いられる記録媒体Rは、金属、ガラス、プラスチック、裏面に樹脂をコートした紙等が挙げられる。上記材料のうち、裏面に樹脂をコートした紙や、軟包装材料用のプラスチックフィルムが、安価かつ耐久性、耐候性を具備し、広告媒体や包装材料に適用が容易な点で好ましい。
【0145】
上記記録媒体Rの具体的な材質としては、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
また、包装の費用や生産コスト等の記録媒体Rのコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺なウェッブ状であることが好ましい。
【0146】
さらに、記録媒体Rの厚みは、9μm以上15μm以下であることが好ましい。
ここで、記録媒体Rの厚みを9μm以上150μm以下とするのは、9μmより薄くすると、気泡が入りやすく、プラテン103から記録媒体Rが浮いたり、しわが発生することがあり、また、強度が低いために破れやすいためで、厚みを150μmより厚くすると、プラテン103と上流側ガイドローラ104aとの間に記録媒体Rを挟み込みにくく、搬送するのが困難となるためである。
【0147】
次に、本発明のインクジェットプリンタAによる記録媒体Rへの画像形成(画像記録方法)について説明する。
【0148】
インクジェットプリンタAにおいては、インクカートリッジ、記録媒体R等をセットし、電源を投入することにより、画像形成可能な状態となる。
インクカートリッジからインクの供給が行われると、制御部30は、ヘッド温度センサ19の検知結果に基づいて、インク収納部18内のインク温度を検知する。そして、制御部30は、この検知された温度に対応した加熱温度データを選択し、その選択された加熱温度データに基づいて面ヒーター16及びヘッドヒ
ーター13の出力状態を制御して、ヘッド内供給路11のインクが所定温度範囲内(例えば、ヘッド目標設定温度の上下1℃の範囲内)となるように加熱を行う。
【0149】
まず、オペレータの手動操作により、操作盤、キーボード等の入力手段53に設定情報が打ち込まれる。この場合、設定情報は、形態:ウェッブ状のフィルム、材質:PET、厚み:0.05mm等の記録媒体R等が有する性質に関する情報となっている。これにより、入力手段53はインターフェース31を介して設定情報を制御部30に入力する。この設定情報は、制御部30のメモリ33に記憶される。
【0150】
インクジェットプリンタA内では、図示しない駆動部により上流側ガイドローラ104aが駆動し回転することによって、供給部101にセットされた記録媒体Rの先端が、押さえローラ105及び上流側ガイドローラ104aに沿って搬送され、プラテン103に対して接触角度15°〜270°で傾斜した状態でプラテン103上に導入されて、記録媒体R先端の位置合わせが行われる。
【0151】
位置合わせされた記録媒体Rは、さらに上流側ガイドローラ104aにより前処理部4に搬送される。前処理部4にて記録媒体Rの表面のコロナ処理が施された後、画像形成部2へ搬送される。
この間、メディア温度検出手段52としての温度センサ52aは、記録ヘッド21により画像形成が行われるべき記録媒体Rの温度を検出する。温度センサ52aは、検出温度情報を、インターフェイス31を介して制御部30に入力する。この検出温度情報は制御部30のメモリ33に記憶される。
【0152】
そして、制御部30のCPU32は、メモリ33に記憶された検出温度情報と、設定情報に対応する設定温度とを読み出し、比較演算する。そして、CPU32は、その演算結果に伴い記録媒体Rの温度の上昇又は下降が必要であると判断した場合には、作動信号をメディア温度調節手段51にインターフェイス31を介して入力する。すると、メディア温度調節手段51は作動する。この場合、ヒータ51aが作動してヒータ51aから輻射熱が発生し、記録媒体Rを画像形成面側から加熱する。
【0153】
また、当該演算結果に伴い記録媒体Rの温度の上昇又は下降が不必要であると判断した場合には、CPU32は、作動信号をメディア温度調節手段51に入力しない。従って、メディア温度調節手段51としてのヒータ51aは作動せず、記録媒体Rの加熱は行われない。
【0154】
このようにして、メディア温度調節機構5は、メディア温度検出手段52による検出温度情報に基づいて、記録媒体Rのインクが着弾する時から紫外線の照射を受ける時までの温度を、インクが紫外線の照射によって速やかに硬化するよう制御する。
【0155】
引き続き、メディア温度調節機構5により温度が制御された状態で、記録媒体Rは、プラテン103により非画像形成面側が支持されるとともに搬送方向Fにガイドされ、搬送経路上を搬送される。
【0156】
そして、非画像形成面が支持されている記録媒体Rの画像形成面に、記録ヘッド21により画像形成が行われる。詳しくは、記録媒体Rの非画像形成面がプラテン103により保持された状態で、キャリッジ22の動作に付随して記録ヘッド21が走査方向に移動しながら記録媒体Rの画像形成面にUVインクを吐出し、画像形成が行われるのである。画像形成が行われた後の記録媒体Rは、記録ヘッド21より搬送方向Fの下流側、すなわちUVランプ3の直下へと搬送される。
【0157】
引き続き、UVランプ3の直下に搬送された記録媒体R、言い換えればUVインクが付着した記録媒体Rに、UVランプ3からUVが照射され、記録媒体Rに付着したUVインクが硬化することになる。
そして、以上の工程を経た記録媒体Rは、下流側ガイドローラ104bに沿って搬送されることによりプラテン103上から傾斜して搬出されて、巻取り部102に巻取られるのである。
【0158】
なお、インクジェットプリンタAによる画像形成中は、吐出口15におけるインクの温度はヘッド温度調節機構6により制御されている。この制御により、吐出口15におけるインクの温度は、UVインクが最適の粘度を具備し、且つ記録媒体RのUVインクが着弾してから紫外線照射を受けるまでの間の温度よりも高い温度に調整されている。
【0159】
また、インクジェットプリンタAによる画像形成中は、乾燥剤により湿度が減じられた空気が湿度調節機構7によってUVランプ3と記録媒体Rとの間の空間に供給されている。このことで、記録媒体Rが紫外線照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度はUVインクが紫外線照射によって速やかに硬化できる湿度に調整される。
【0160】
なお、この実施の形態においては、ヘッド温度調節機構6のヘッド温度調節手段61、メディア温度調節機構5のメディア温度調節手段51、湿度調節機構7の湿度調節手段72、73いずれもが共通の制御装置で構成されている。これにより、インクジェットプリンタの構成要素が少なくて済むと共に、双方の制御を連動させて効率的にヘッド内のUVインクの温度制御と、UV照射前の記録媒体Rの温度制御と、UVインクに紫外線が照射される場所での湿度制御とを行うことができる。
【0161】
【実施例】
以下、上述の実施形態に係るインクジェットプリンタAの実施例について説明する。
【0162】
《顔料分散物の調製》
以下に記載の各組成物を加圧ニーダーにより配合し、粘度を106mPa・s以上とした。次いで、2本ロールミルによって練肉、分散を行い、各顔料分散物を調製した。なお、これらの工程においては温度が80℃を越えないよう制御した。
【0163】
(ブラック顔料分散物1の調製)
ピグメントブラック7(カーボンブラック) 70質量部
スチレン・アクリル酸エステル共重合体(酸価<1) 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 20質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0164】
(イエロー顔料分散物1の調製)
ピグメントイエロー93 70質量部
ノニオン系分散剤 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 20質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0165】
(マゼンタ顔料分散物1の調製)
ピグメントバイオレット19 70質量部
ノニオン系分散剤 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 20質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0166】
(シアン顔料分散物1の調製)
ピグメントブルー15:3 70質量部
ノニオン系分散剤 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 20質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0167】
(ホワイト顔料分散物1の調製)
ピグメントホワイト(酸化チタン) 85質量部
ノニオン系分散剤 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 10質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0168】
《インクの調製》
上記調製した各顔料分散物を用い、表1に記載の構成により、各色インクを調製した。
すなわち、まず、顔料分散物以外の全ての添加剤を配合し、十分に溶解したことを確認してから、液温を50℃とし、上記各顔料分散物を少しづつ添加し、ディゾルバーを用い十分に攪拌した後、0.8μmのフィルターで濾過を行った。なお、前処理として10μmのフィルターによるプレ濾過を行った。上記濾過工程では圧損の発生も少なく、十分な濾過速度が得られた。
次いで、得られた溶液を50℃に加温、攪拌しながら、減圧することにより、溶解している空気及び水分を取り除き、各インクを調製した。各インクの25℃における粘度は12〜22mPa・sの範囲にあり、また表面張力は24〜30dyn/cm、顔料の平均粒径は0.08〜0.3μm、含水率は0.7〜1.2%の範囲であった。
【0169】
【表1】
表1に記載の各添加剤の詳細な内容は、以下の通りである。
DPCA60:日本火薬製、KAYARAD DPCA(カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
TEGDA:大阪有機製、ビスコート#335HP(テトラエチレングリコールジアクリレート)
PO−A:共栄社化学製、ライトアクリレートPO−A(フェノキシエチル
アクリレート)
I369:チバ・スペシャリティ・ケミカル製、Irgacure369
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
【0170】
《インクジェットプリンタAによる画像形成》
次に、インクジェットプリンタAによる記録媒体Rに対する画像形成を行った。インクジェットプリンタAにおいて、記録ヘッド21にUVインクを供給するインク供給系は、インクタンク、供給パイプ、前室インクタンク及びフィルター付き配管で形成した。さらに、上記インク供給系は、ほぼ全経路にわたって断熱材とヒータとを備え、供給パイプ内部でUVインクの温度が60±2℃となるよう温度制御した。インクノズル12は、その径が23μm、128ノズルのピエゾ型のものを使用した。
記録ヘッド21の吐出口15からの一回あたりの吐出量は約7plとし、かつ、720×720dpi(尚、dpiとは2.54cmあたりのドットの数をいう)の解像度で射出できるよう、駆動周波数10kHzにて駆動した。画像はマゼンタベタ上にシアンにて文字画像を記録して評価した。
【0171】
シリアルタイプのキャリッジ22にブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ホワイト(W)の5色ヘッドを搭載した5色フルカラープリンターにて評価を行った。キャリッジ22の両端には、UV−A光を発する低圧水銀ランプ3を搭載し、記録ヘッド21を走査することで、インク着弾後1000ms以内にUV光を照射できるようにした。
露光面照度は1000mW/cm2とした。露光エネルギは記録ヘッド21のスピードを変更することによって行い、全インクに照射される、積算光量が50〜600mJ/cm2まで調整可能とし、表面タッキネスが無くなるポイントを感度とした。以上により得られた各色インクの感度は100〜170mJ/cm2であった。
記録媒体Rとしては、OPSの表面を濡れ指数が46dyn/cmになるようプラズマ処理したものを用いた。
【0172】
[第1の実施例]
上述した条件下で、プラテン103の形状(平面(図1参照)、ドラム(図4参照)、蒲鉾(図5参照)、ベルト(図6参照))及び接触角度Mをそれぞれ変更して(実施例1〜25、比較例1〜4)、記録媒体Rに画像を形成し、しわの発生、印字品質を評価し、その結果を表2に示した。
(しわの評価)
20m連続印字したときのしわの発生を目視で評価した。
○:しわの発生なし。
△:わずかなしわが5本以下みられる。
×:強いしわが発生しているか、わずかなしわが5本以上みられる。
(印字品質の評価)
8ポイント文字の印字をし、文字に歪みや印字位置のずれをルーペで拡大評価した。
○:文字の歪み、位置ずれがみられない。
△:文字の歪み、位置ずれがわずかにみられる。
×:文字の歪み、位置ずれがみられる。
【0173】
【表2】
表2の結果より、接触角度Mを15°以上270°以下に設定し、かつ、プラテン103の形状が平面、ドラム、蒲鉾であり、ベルトを使用しない実施例1〜15では、しわの項目及び印字品質の項目において△の評価のものがあった。
また、接触角度Mを15°以上270°以下に設定し、かつ、プラテン103の形状がドラム、蒲鉾であり、ベルトを使用した実施例16〜25では、しわの項目及び印字品質の項目において全て○の評価であった。
一方、プラテン103の形状にかかわらず、接触角度Mが15°よりも小さい、あるいは、270°よりも大きい比較例1〜4では、しわの項目及び印字品質の項目においてともに×の評価であった。
したがって、接触角度Mを15°以上270°以下にすることによって、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性が高められ、記録媒体Rとプラテン103との間に気泡が入り記録媒体Rがプラテン103から浮いたり、しわが発生することがなく、高精細な画像が形成されることが確認された。
また、特に、プラテン103の形状がドラム又は蒲鉾形状で、かつ、ベルトを設けることにより、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性がより一層高められることが認められた。
【0174】
[第2の実施例]
平面形状のプラテン103で、係合ローラ106を使用した図3に示すインクジェットプリンタAを使用し、係合ローラ106の中心角N及びガイドローラ104aの接触角度Mをそれぞれ変更して(実施例26〜36、比較例5)、記録媒体Rに画像を形成し、第1の実施例と同様にしてしわの発生、印字品質を評価し、その結果を表3に示した。
【0175】
【表3】
表3の結果より、接触角度M(15°以上270°以下)又は中心角N(60°以上270°以下)の少なくとも一方を前記範囲に設定した実施例26〜36では、しわの項目及び印字品質の項目において、○又は△の評価であった。
一方、接触角度M及び中心角Nのいずれも前記範囲外に設定した比較例5では、しわの項目及び印字品質の項目において、×の評価であった。
したがって、接触角度M(15°以上270°以下)又は中心角N(60°以上270°以下)の少なくとも一方を前記範囲に設定することによって、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性が高められ、記録媒体Rとプラテン103との間に気泡が入り記録媒体Rがプラテン103から浮いたり、しわが発生することがなく、高精細な画像が形成されることが確認された。
【0176】
【発明の効果】
本発明によれば、ガイドローラを備え、記録媒体とガイドローラとが最初に接触する第1の接触面の延長部分と、プラテン上に導入された記録媒体とプラテンとが接触する第2の接触面の延長部分とによってなす接触角度が15°以上270°以下であるので、記録媒体とプラテンとの間の密着性が極めて高くなり、高精細な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの概略を示す要部側面図である。
【図2】図1の要部を示す拡大図である。
【図3】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図4】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図5】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図6】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図7】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図8】本発明に係るインクジェットプリンタの概略を示す要部ブロック図である。
【図9】本発明に係るインクジェットプリンタに適用される記録ヘッドの斜視図である。
【図10】本発明に係るインクジェットプリンタに適用される記録ヘッドの正断面図(a)及び側断面図(b)である。
【符号の説明】
3 UVランプ(活性エネルギ線照射手段)
5 メディア温度調節機構
6 ヘッド温度調節機構
7 湿度温度調節手段
21 記録ヘッド
101 供給部
103、103a、103b、103c プラテン
104a 上流側ガイドローラ(ガイドローラ)
105 押さえローラ
106 係止ローラ
A インクジェットプリンタ
F 搬送方向
K 第1の接触面
L 第2の接触面
M 接触角度
N 中心角
R 記録媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ及び画像記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、小部数ごとの画像形成を前提としてオン・デマンド印刷に適用可能な画像記録方法であり、専用紙を必要としないことから近年注目されている。活性エネルギ線硬化インクジェット方式は、紫外線(UV)等の活性エネルギ線の照射によって硬化する活性エネルギ線硬化性化合物を含んだインクをインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に着弾させた後、この記録媒体に活性エネルギ線を照射することでインクを硬化させるという画像記録方式である。
活性エネルギ線硬化インクジェット方式の1種であるUVインクジェット方式は、活性エネルギ線の1種である紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化性化合物を有するUVインクをインクとして用いる画像記録方式である。
【0003】
このようなUVインクジェット方式を利用したインクジェットプリンタは、例えば、印刷時に記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体にUVインクを吐出し着弾させる記録ヘッドと、インクが着弾された記録媒体に紫外線を照射するUV光源等を備えて概略構成されている。搬送手段は、画像印刷前の記録媒体がロール状に巻かれている供給部と、画像印刷後の記録媒体をロール状に巻取る巻取り部と、供給部と巻取り部との間で略水平に配置され、上面で記録媒体の下面を支持するとともに搬送方向にガイドするプラテンとから構成されている。
印刷の際には、記録媒体は、巻取り部で巻取られることによって供給部からプラテン上に沿って搬送され、記録ヘッドによってインクが吐出されて着弾される。着弾されたインクは、液滴の状態から記録媒体の表面に沿って拡がりドットを形成する。その後、ドットが形成された記録媒体は、UV光源によって紫外線が照射され、ドットが硬化することにより画像形成が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、記録媒体を搬送方向に沿ってプラテン上で搬送する場合は、記録媒体とプラテンとの間の密着性が重要とされている。すなわち、記録媒体と、該記録媒体にインクを吐出す記録ヘッドとの間には、ある所定の間隔を保つことによって、所望の濃度で記録媒体に印刷でき、これにより高精細な画像を形成している。
【0005】
しかしながら、巻取り部に巻取られることによって搬送される記録媒体は、プラテン上に支持される際に、プラテンの搬送方向下流側先端部からプラテンに対して略水平な状態で導入されるので、プラテンと記録媒体との間に気泡が入りやすく、これによって記録媒体がプラテンから浮いたり、記録媒体にしわが発生することがあった。また、特に、使用される記録媒体が、食品包装をはじめとする軟包装用のプラスチックフィルムや裏面が樹脂コートされた紙等である場合には、できたしわや気泡をとるのが困難であった。したがって、記録媒体と記録ヘッドとの間の間隔が不均一となり、印刷される画像に歪みが生じたり、ヘッドが記録媒体によって擦れて汚れてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、記録媒体とプラテンとの間の密着性を極めて高め、高精細な画像を形成することのできるインクジェットプリンタ及び画像記録方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、インクを吐出する記録ヘッドと、搬送される記録媒体を前記記録ヘッドの対向位置に支持するプラテンとを備え、前記プラテン上に支持された記録媒体に、前記記録ヘッドから前記インクを吐出し画像形成を行うインクジェットプリンタであって、
搬送される前記記録媒体が前記プラテン上に導入される直前に、記録媒体が接触することによって該記録媒体を前記プラテンに対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体を前記プラテン側に押圧するガイドローラを備え、
前記記録媒体と前記ガイドローラとが最初に接触する第1の接触面の延長部分と、前記プラテン上に導入された記録媒体と前記プラテンとが接触する第2の接触面の延長部分とによってなす接触角度が15°以上270°以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、記録媒体がプラテン上に導入される直前に、記録媒体がガイドローラに沿って接触することによって、該記録媒体をプラテンに対して傾斜して導入するとともに、ガイドローラはプラテン上に導入した記録媒体をプラテン側に押圧する。そして、第1の接触面の延長部分と第2の接触面の延長部分とによってなす接触角度が15°以上270°以下とされる。すなわち、記録媒体は、予めガイドローラに沿って接触することにより、プラテン上にスムーズに導入される。このため、プラテンと記録媒体との間の密着性を高めることができ、プラテンの上面と記録媒体の裏面との間に気泡が入りにくく、記録媒体がプラテンから浮いたり、しわが発生するのを防げる。したがって、印刷される画像に歪みが生じたり、ヘッドが記録媒体によって擦れて汚れてしまうという問題もなく、高精細な画像を形成することができる。
ここで、接触角度を15°以上270°以下としたのは、15°より小さい場合には、記録媒体をプラテンに対してほとんど傾斜角度をつけて導入することができず、記録媒体とプラテンとの間に気泡が入りやすいためであり、270°より大きくした場合には、その装置の構造が複雑となりコスト高となるとともに、プラテン上に記録媒体を導入するのに手間がかかるためである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンがドラム形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、記録媒体がドラム形状のプラテンに沿って搬送され、かつ、プラテンに連動して搬送される。よって、記録媒体とプラテンとの間の密着性をより高めることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンの記録媒体を支持する側の面が、凸の曲面となっていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によれば、記録媒体がプラテンの凸の曲面に沿って搬送される。よって、記録媒体とプラテンとの間の密着性をより高めることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンが記録媒体を搬送するベルトであることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明によれば、記録媒体がベルトに連動して搬送される。よって、記録媒体とプラテンとの間の密着性をより一層高めることができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記ガイドローラが、前記記録媒体を搬送する動力源であるか、あるいは、動力源と連動して回転するものであることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明によれば、ガイドローラが、記録媒体を搬送する動力源あるいは、動力源と連動して回転するものであるので、ガイドローラと記録媒体とが同期することによって、記録媒体とプラテンとの間の密着性をより高めることができる。
また、ガイドローラが、その他に設けられた動力源と連動して回転することによって、動力源を1つとすることができるので、装置の簡略化を図れコストの削減につながる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンの記録媒体搬送方向上流側に配設されて、前記記録媒体を搬送方向に繰り出す供給部を備えており、
前記供給部と前記プラテンとの間に、前記記録媒体を挟み込んで緊張させた状態で前記ガイドローラに接触させる押さえローラが設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明によれば、押さえローラによって記録媒体を挟み込んで緊張させた状態でガイドローラに接触させることにより、供給部とプラテンとの間で記録媒体がたわむことなく、容易にプラテン上に記録媒体を導入することができ、記録媒体の搬送のばらつきを抑えることができる。また、記録媒体とプラテンとの間の密着性を高めることができる。
【0019】
請求項7の発明は、インクを吐出する記録ヘッドと、搬送される記録媒体を前記記録ヘッドの対向位置に支持するプラテンとを備え、前記プラテン上に支持された記録媒体に、前記記録ヘッドから前記インクを吐出し画像形成を行うインクジェットプリンタであって、
搬送される前記記録媒体が前記プラテン上に導入される直前に、記録媒体が接触することによって該記録媒体を前記プラテンに対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体を前記プラテン側に押圧するガイドローラと、前記プラテンの記録媒体搬送方向上流側に配設されて、前記記録媒体を搬送方向に繰り出す供給部とを備え、
前記供給部と前記プラテンとの間に、前記記録媒体を外周に沿って係止することによって緊張させた状態で前記ガイドローラに接触させる係止ローラが設けられており、
前記記録媒体が前記係止ローラに接触する円弧部分の中心角が60°以上270°以下であることを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明によれば、係止ローラによって記録媒体を外周に沿って係止し緊張させた状態でガイドローラに接触させる。そして、記録媒体が係止ローラに接触する円弧部分の中心角が60°以上270°以下とされる。これにより、供給部とプラテンとの間で記録媒体がたわむことなく、容易にプラテン上に記録媒体を導入することができ、記録媒体の搬送のばらつきを抑えることができる。また、記録媒体とプラテンとの間の密着性を高めることができる。
ここで、前記中心角を60°以上270°以下としたのは、60°より小さい場合には、記録媒体が係止ローラに確実に係止させることができず、記録媒体を緊張した状態でガイドローラに接触させることが難しいためであり、270°より大きくした場合には、その装置の構造が複雑となりコスト高となるためである。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、プラスチックフィルムあるいは裏面に樹脂がコートされた紙であることを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項8に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラスチックフィルムは、軟質包装用フィルムであることを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の厚みが9μm以上150μm以下であることを特徴とする。
【0024】
請求項10の発明によれば、記録媒体の厚みを9μm以上150μm以下とすることによって、適度な厚さのため、プラテンと記録媒体との間に気泡が入りにくく、記録媒体がプラテンから浮いたり、しわが発生しにくい。
ここで、記録媒体の厚みを9μm以上150μm以下としたのは、9μmより薄くすると、気泡が入りやすく、プラテンから浮いたりしわが発生することがあり、また、強度が低いために破れやすいためで、厚みを150μmより厚くすると、プラテンとガイドローラとの間に記録媒体を挟み込みにくく、搬送するのが困難となるためである。
【0025】
請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、活性エネルギ線の照射により硬化可能な活性エネルギ線硬化化合物を含有することを特徴とする。
【0026】
請求項12の発明は、請求項11に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記活性エネルギ線硬化化合物がカチオン重合性化合物であることを特徴とする。
【0027】
請求項12の発明によれば、活性エネルギ線硬化化合物がカチオン重合性化合物であるので、軟質包装用のプラスチックフィルムや裏面に樹脂コートされた紙等においても、画像形成時の収縮を防止できる。
【0028】
請求項13の発明は、請求項11又は12に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記活性エネルギ線硬化化合物を硬化するための活性エネルギ線を、前記記録媒体に照射する活性エネルギ線照射手段を備えることを特徴とする。
【0029】
請求項13の発明によれば、活性エネルギ線照射手段が記録媒体に活性エネルギ線を照射することによって、インクに含有された活性エネルギ線硬化化合物が硬化して、記録媒体にインクを着弾させることができる。
【0030】
請求項14の発明は、請求項13に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の搬送経路近傍に設けられ、前記記録媒体が前記活性エネルギ線照射手段によって前記活性エネルギ線の照射を受ける照射時あるいは照射後の少なくとも一方で、前記記録媒体の温度を所定の温度範囲内に調節するメディア温度調節機構を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項14の発明によれば、メディア温度調節機構によって、活性エネルギ線の照射時あるいは照射後の少なくとも一方で記録媒体の温度が所定の温度範囲内に調節される。ここで、カチオン重合性化合物を含有したインクの場合には、活性エネルギ線が照射される際に、空気中の湿気によって重合が阻害されやすいという性質があるが、上述のように記録媒体の温度が調節されることによって、インクは湿気によって阻害されることなく効率的に重合することができ、インクが記録媒体上で滲むことなく、記録媒体に高精細な画像を形成することができる。また、記録媒体がプラスチックフィルムのような熱収縮しやすい材質の場合でも、記録媒体にしわやカールが発生することを防止できる。
【0032】
請求項15の発明は、請求項13又は14に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の搬送経路の、該記録媒体が前記活性エネルギ線照射手段によって前記活性エネルギ線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度を調節する湿度調節手段を備えることを特徴とする。
【0033】
請求項15の発明によれば、湿度調節手段によって活性エネルギ線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度が調節される。これにより、記録媒体に着弾したインクが活性エネルギ線の照射を受ける際に、空気中の湿気に阻害されることなく、効率的に硬化することができ、インクが記録媒体上で滲むこともなく、記録媒体に高精細な画像を形成することができる。
【0034】
請求項16の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドから前記インクが吐出される吐出口近傍に設けられ、前記吐出口における前記インクの温度を30°以上120°以下に調節するヘッド温度調節機構を備えることを特徴とする。
【0035】
請求項16の発明によれば、ヘッド温度調節機構によって、記録ヘッドから吐出される時のインクの温度が30℃以上120℃以下に調節される。ここで、記録媒体にインクを着弾させて画像形成する際に、周囲の湿度の影響により活性エネルギ線を照射しても十分にインクが硬化しないということがあるが、上述のように、ヘッド温度調節機構がインクの温度を30℃以上120℃以下に調節することによって、吐出されたインクは、記録媒体に着弾してインクドットを形成後、活性エネルギ線が照射されるまで効率的に硬化可能な温度に容易に維持される。したがって、活性エネルギ線の照射を受けて速やかに硬化し、記録媒体に高精細な画像を形成することができる。
ここで、インクの温度を30℃以上120℃以下としたのは、30℃より低くすると、インクが高粘性であるので、吐出口から吐出されにくくインク詰まりが発生するためで、120℃より高くすると、記録ヘッドの寿命が短くなるためである。
【0036】
請求項17の発明は、請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタを用いて記録媒体にインクを吐出することによって画像形成を行うことを特徴とする。
【0037】
請求項17の発明によれば、プラテンと記録媒体との間の密着性を高めることができ、プラテンの上面と記録媒体の裏面との間に気泡が入りにくく、記録媒体がプラテンから浮いたり、しわが発生するのを防げる。したがって、記録媒体にインクを吐出することによって形成される画像に歪みが生じたり、ヘッドが記録媒体によって擦れて汚れてしまうという問題もなく、高精細な画像を形成することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェットプリンタに係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態のインクジェットプリンタとして、紫外線(UV)の照射により硬化する性質を有するUVインクを記録媒体に吐出して画像形成を行うタイプのインクジェットプリンタを例に挙げて説明するが、本発明のインクジェットプリンタはUVインクを用いるものに限らない。
【0039】
例えば、赤外線、可視光線、電子線、X線といった活性エネルギ線の照射により硬化する性質のインクを用いるものとしても良い。なお、ここで活性エネルギ線とは、空気を電離させる能力を有するものだけを指すのではなく、上述のように赤外線、可視光線、紫外線、電子線といった電磁波を含むものである。
【0040】
図1は、記録媒体への画像形成工程をわかりやすく説明するためのインクジェットプリンタの要部断面図である。
【0041】
図1に示すように、インクジェットプリンタAは、長尺なウェッブ状のプラスチックフィルム、裏面に樹脂コートされた紙等の記録媒体Rを搬送する搬送手段1と、該搬送手段1により搬送された記録媒体Rに画像形成を行う前に前処理を行う前処理部4と、前処理された記録媒体Rに画像形成を行う画像形成部2と、該画像形成部2でインクの付着した記録媒体RにUVを照射するUVランプ(活性エネルギ線照射手段)3等を備えて概略構成されている。
そして、搬送手段1により搬送された記録媒体Rが画像形成部2を経て、さらに搬送手段1により搬送されるような搬送経路が搬送方向Fに沿って確立されている。
【0042】
まず、本発明の特徴部分の搬送手段1の構成について説明する。
【0043】
搬送手段1は、画像印刷前の記録媒体Rがロール状に巻かれ、搬送方向Fに繰り出される供給部101と、画像印刷後の記録媒体Rをロール状に巻取る巻取り部102と、供給部101と巻取り部102との間に配置され上面で記録媒体Rの下面を支持するプラテン103と、プラテン103上に支持された記録媒体Rをプラテン103側に押圧するガイドローラ(以下、搬送方向F上流側のガイドローラを上流側ガイドローラ104a、搬送方向F下流側のガイドローラを下流側ガイドローラ104bと言う)と、図示しないが上流側ガイドローラ104aを駆動する駆動部とを備えて概略構成されている。
なお、本発明の特徴部分であるガイドローラとは、上流側ガイドローラ104aのことを言う。
【0044】
そして、印刷の際に、駆動部によって駆動した上流側ガイドローラ104aが回転することにより、供給部101、巻取り部102及び下流側ガイドローラ104bが上流側ガイドローラ104aと同じ方向に回転し、供給部101から記録媒体Rが搬送方向Fに送り出されて巻取り部102に巻き取られるようになっている。
このように上流側ガイドローラ104aが動力源であるので、記録媒体Rと上流側ガイドローラ104aとが同期することによって、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性がより高められる。なお、記録媒体Rは、その上面が印刷面となっている。
【0045】
プラテン103は、記録媒体Rの幅と同じ又はその幅より大きな幅を有し、上面が平面とされた板状の部材である。このプラテン103は、画像形成部2に対向して配置されて画像形成により画像形成が行われる記録媒体Rを非画像形成面側から支持し、かつ、記録媒体Rを搬送方向Fにガイドするものである。なお、「非画像形成面」とは、記録媒体Rの画像形成面の反対側の面、すなわち画像形成が行われない面である。
【0046】
上流側ガイドローラ104aは、搬送される記録媒体Rがプラテン103上に導入される直前に、記録媒体Rが接触することによって該記録媒体Rをプラテン103に対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体Rをプラテン103側に押圧するものである。
そして、図2に示すように、記録媒体Rと上流側ガイドローラ104aとが最初に接触する第1の接触面Kの延長部分と、プラテン103上に導入された記録媒体Rとプラテン103とが接触する第2の接触面Lの延長部分とによってなす接触角度Mが15°以上270°以下とされている。
【0047】
このように上流側ガイドローラ104aを設けることによって、記録媒体Rは予め上流側ガイドローラ104aに沿って接触することにより、プラテン103上にスムーズに導入される。このため、プラテン103と記録媒体Rとの間の密着性が高められる。
ここで、接触角度Mを15°以上270°以下としたのは、接触角度Mが15°よりも小さい場合には、記録媒体Rをプラテン103に対してほとんど傾斜角度をつけて導入することができず、記録媒体Rとプラテン103との間に気泡が入りやすいためである。一方、接触角度Mが270°よりも大きい場合には、その装置の構造が複雑となりコスト高となるとともに、プラテン103上に記録媒体Rを導入するのに手間がかかるためである。
【0048】
下流側ガイドローラ104bは、搬送される記録媒体Rをプラテン103に対して押圧するとともに、記録媒体Rが接触することによってプラテン103上から傾斜して記録媒体Rを搬出するものである。
【0049】
また、供給部101とプラテン103との間には、記録媒体Rを挟み込んで緊張させた状態で上流側ガイドローラ104aに接触させるための一対の押さえローラ105が配置されている。
この押さえローラ105と上流側ガイドローラ104aとの間隔は、押さえローラ105と記録媒体Rとが接触する接点と、記録媒体Rが上流側ガイドローラ104aに最初に接触する接点との間の距離が0.5cm以上50cm以下であることが好ましい。前記間隔が50cmより広い場合には、記録媒体Rとプラテン103との間に発生する気泡やしわを抑える効果が小さくなるためで、0.5cmより狭い場合には、上流側ガイドローラ104a及び押さえローラ105の設置が困難となるためである。
【0050】
ここで、本発明の特徴部分である搬送手段1の変形例について説明する。
[変形例]
上述した図1の搬送手段1においては、供給部101とプラテン103との間には一対の押さえローラ105が配置されていたが、図3の搬送手段1においては、供給部101とプラテン103との間に、記録媒体Rを外周に沿って係止することによって緊張させた状態で上流側ガイドローラ104aに接触させるための係止ローラ106が配置されている。
そして、記録媒体Rが係止ローラ106に接触する円弧部分の中心角Nが60°以上270°以下とされている。
【0051】
このように、係止ローラ106を設けることによって、供給部101とプラテン103との間で記録媒体Rがたわむことなく、容易にプラテン103上に記録媒体Rを導入することができ、記録媒体Rの搬送のばらつきを抑えることができる。また、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性を高めることができる。
前記中心角Nを60°以上270°以下としたのは、中心角Nが60°より小さい場合には、記録媒体Rが係止ローラ106に確実に係止させることができず、記録媒体Rを緊張した状態で上流側ガイドローラ104aに接触させることが難しいためである。一方、中心角Nを270°より大きくした場合には、その装置の構造が複雑となりコスト高となるためである。
【0052】
なお、図1及び図3に示す搬送手段1のプラテン103は、図4に示すようにドラム形状のプラテン103aであっても良いし、図5に示すように上面が上に凸の曲面とされた蒲鉾型のプラテン103bであっても良いし、また、図6及び図7に示すように記録媒体Rを搬送するベルト103cであっても良い。なお、図6では、供給部101とベルト103cとの間に一対の押さえローラ105が配置されており、図7では、係止ローラ106が配置されている。さらには、図示しないが図4のドラム形状の部材上にベルトが設けられたプラテンや、図5の蒲鉾型の部材上にベルトが設けられたプラテンとしても良い。
【0053】
また、図1の上流側ガイドローラ104aは、記録媒体Rを搬送する動力源であったが、例えば、供給部101、巻取り部102、押さえローラ105等を駆動する動力源を1つ設け、この動力源が駆動することで上流側ガイドローラ104が連動して回転する構成としても良い。この場合、動力源を1つとすることができるので、装置の簡略化を図れコストの削減につながる。
【0054】
さらに、上記押さえローラ105や係合ローラ106の他に記録媒体Rの搬送効率を向上させるためのローラを複数備えた構成としても良い。
なお、図3及び図4は、搬送手段1の要部を示す拡大図であり、図5〜図7は、搬送手段1のみを示すインクジェットプリンタAの概略図である。
【0055】
次に、上述したインクジェットプリンタAを構成するその他の構成について説明する。
【0056】
図1に示すように、前処理部4は、画像形成部2によって記録媒体Rに画像形成を行う前にコロナ処理等の処理を行う。該コロナ処理により、記録媒体Rの印刷面(表面)に付着しているゴミ等を除去し、画像形成部2においてインクを付着し易い状態とする。
【0057】
画像形成部2には、インクジェット方式の記録ヘッド21と、該記録ヘッド21を備えるキャリッジ22と、該キャリッジ22の移動を案内するキャリッジレール23とが備えられている。
【0058】
記録ヘッド21には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブ
ラック(K)等のインクが不図示のチューブやインクカートリッジによって供給される。このインクは、常温において高粘性を有し、加熱により低粘性を有し、さらにUVを照射すると硬化する性質をもっている。以下、このインクを「UVインク」として称することにする。なお、この実施の形態では、カチオン硬化型のUVインクを使用することが好ましく、UVインクの詳細については後述する。
【0059】
キャリッジ22は記録ヘッド21を備え、連結部22aを介してキャリッジレール23に接続されている。キャリッジレール23は、記録媒体Rの搬送方向Fに略直交して延在するレールであって、搬送方向Fと略直交する方向(図1紙面において表側から裏側若しくは裏側から表側に向かう方向)にキャリッジ22を案内するものである。なお、このキャリッジレール23の延在する方向を「走査方向」と称して、以下の説明を行う。
【0060】
記録媒体Rに画像形成が行われる場合には、キャリッジ22がキャリッジレール23に案内されるとともに走査方向に移動しながら、記録ヘッド21から記録媒体RにUVインクが吐出されるようになっている。
【0061】
UVランプ(活性エネルギ線照射手段)3は、画像形成部2での工程の後に、UVインクの付着した記録媒体Rの画像形成面にUVを照射するものである。UVを照射することにより記録媒体Rに付着したUVインクは硬化するようになっている。ここで、図1では、このUVランプ3は、連結部3aを介して前述したキャリッジレール23に固定される形態で、記録ヘッド21、21、…より搬送方向F下流側に1ヶ所だけ設置されている場合を例に取って描図を行っているが、この他にも、記録ヘッド21の走査方向に隣接した位置に、記録ヘッド21と共に走査する形態で記録ヘッド21、21、…の数に応じて設置することとしても良い。
【0062】
そして、上記した各構成要素を組み合わせることにより、搬送された記録媒体Rが非画像形成面側からプラテン103により支持された状態で、キャリッジ22が走査方向に移動しながら、記録ヘッド21からUVインクが記録媒体Rの画像形成面に吐出されて、画像形成が行われるのである。
【0063】
また、本発明のインクジェットプリンタAには、図8に示すメディア温度調節機構5、ヘッド温度調節機構6及び湿度調節機構7が備えられている。
【0064】
メディア温度調節機構5は、記録媒体Rの搬送経路近傍に設けられ、記録媒体RがUVランプ3によって紫外線の照射を受ける照射時あるいは照射後の少なくとも一方で、記録媒体Rの温度を、所定の温度範囲内に調節するものである。本実施の形態では、記録ヘッド21の直下からUVランプ3までにかけての領域についての記録媒体Rの温度を制御するものとしている。このように記録媒体Rに着弾したUVインクの温度を制御することによって、UVインクとして、例えばカチオン硬化型を使用した場合には、湿度の影響を受けずに、カチオン硬化型のUVインクを速やかに硬化することができる。
【0065】
図8に示すように、メディア温度調節機構5は、概略して、メディア温度調節手段51と、メディア温度検出手段52と、入力手段53と、メディア温度制御手段(ここでは制御部30が相当する)とを備えている。なお、メディア温度調節手段51、メディア温度検出手段52及び入力手段53と、メディア温度制御手段(制御部30)との間は、インターフェイス31を介して互いに接続されている。
【0066】
メディア温度調節手段51は、搬送手段1により搬送される記録媒体Rの搬送経路の少なくとも一部の近傍に備えられ、記録媒体Rの加熱を行うものである。具体的には、図1に示すように、メディア温度調節手段51は、記録ヘッド21により画像形成が行われる前の記録媒体Rの画像形成面側に配置されており、ヒータ51aと、リフレクタ51bとを備えている。
【0067】
なお、温度制御中、加熱により記録媒体Rの温度が上がりすぎた場合や、記録媒体R周囲の温度が高くなりすぎたような場合に、メディア温度調節手段51に加熱機能だけではなく冷却機能を持たせ、記録媒体Rの温度を制御するものとしても良い。
【0068】
ヒータ51aは、記録媒体Rの幅方向(図1紙面において表側から裏側又は裏側から表側に向かう方向)に延在する熱源として機能を有するものである。
リフレクタ51bは、記録媒体Rの画像形成面側が開放された状態でヒータ51aを覆って配置され、ヒータ51aを作動させることにより生じるヒータ51aからの輻射熱を反射するものである。
従って、これらヒータ51a及びリフレクタ51bが、記録媒体Rを画像形成面側から加熱するメディア温度調節手段51としての機能を有する。
【0069】
メディア温度検出手段52は、図1において搬送手段1により搬送される記録媒体Rの搬送経路の少なくとも一部の近傍に配置され、記録媒体Rの温度を検出するものである。具体的には、メディア温度検出手段52は、記録ヘッド21により画像形成が行われる前の記録媒体Rの画像形成面側に配置されており、図1に示す温度センサ52aに相当するものである。
【0070】
図1に示すように、温度センサ52aは前述のリフレクタ51bに固定されるとともに、記録媒体Rの表面には直接接触しない非接触型センサとなっている。この温度センサ52aにより、記録媒体Rの温度を検出するようになっている。そして、この温度検出手段52としての温度センサ52aは、図8に示すように、検出結果としての記録媒体Rの温度情報(以下、”検出温度情報”と称する)を制御部30に入力する。
【0071】
入力手段53は、操作盤、キーボード等であり、記録媒体Rの種類(形態、材質、厚み等)に関する情報(以下、”設定情報”と称する)を制御部30に入力するものである。この入力手段53は、オペレータの手動操作により操作盤、キーボード等に設定情報が打ち込まれると、打ち込まれた設定情報を制御部30に入力する。なお、具体的には、設定情報は、形態:フィルム,材質:樹脂,厚み:0.05mm等の記録媒体Rが有する性質に関する情報となっている。
【0072】
制御部30は、本実施形態ではメディア温度制御手段と、後述するヘッド温度制御手段及び湿度制御手段とを兼ねた構成要素として形成され、メモリ33と、CPU32と、インターフェイス31と、を備えている。
【0073】
インターフェイス31は、インクジェットプリンタAの各構成要素と接続されている。インターフェイス31は上記したメディア温度調節手段51、メディア温度検出手段52又は入力手段53と、制御部30との間で行われる各種情報及び信号の転送を媒介するものである。
【0074】
メモリ33は、記憶媒体Rに形成される画像データ等の各種データを記憶する記憶領域や、CPU32が演算を行う際、プログラムやデータを一時格納する
ための作業領域等もが備えられている。
【0075】
メモリ33は記憶領域に、メディア温度検出手段52から出力された検出温度情報、入力手段53から出力された設定情報等を記憶する。また、メモリ33は、設定情報に対応する設定温度の情報(以下、”設定温度情報”と称する)をデータテーブルとして記憶している。従って、メモリ33では、入力手段53による設定情報に応じて目標温度情報が切り替えられるようになっている。具体的には、形態:ウェッブ状フィルム,材質:樹脂,厚み:0.05mm等といった設定情報から、形態:ロール紙,材質:紙,厚み:0.01mm等といった設定情報に変更されると、設定温度も30℃から35℃に切り替わるといったように設定温度情報が切り替えられるようになっている。
【0076】
なお、前記設定温度は、入力手段53による手動の設定情報の変更に基づいて変更される他、センサ等により設定情報や他の条件を取得して、自動的に設定温度を変更する場合もある。
【0077】
CPU32は、メモリ33に格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをメモリ33の作業領域に展開し、各センサからの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0078】
CPU32は、メモリ33に記憶された検出温度情報及び設定温度情報を読み出し、これら情報の比較をする等の各種演算を行うとともに、この演算結果に基づいてメディア温度調節手段51を制御して記録媒体RのUVインクが着弾する時から紫外線の照射を受ける時にかけての温度を調節する。
【0079】
次に、ヘッド温度調節機構6について説明する。
【0080】
ヘッド温度調節機構6は、記録ヘッド21内の後述する吐出口15におけるUVインクの温度を調節することにより、UVインクを安定した低粘度状態で吐出できるようにする。それに加えて、吐出口におけるUVインクの温度を調節することで、UVインクの、記録媒体Rに着弾した時から紫外線の照射を受ける時にかけての温度の制御を確実にさせる。
【0081】
すなわち、ヘッド温度調節機構6は、メディア温度調節機構5で温度制御された記録媒体Rに着弾するインクの温度を記録ヘッド21内において、紫外線照射により効率的に硬化する温度で、かつ、安定吐出が可能な粘度にUVインク粘度を下げる温度で、さらに、環境条件等によって温度変化せずにほぼ一定の温度となるように制御するものである。
【0082】
ここで、UVインクの吐出口15における温度は、UVインクの粘度が最適となるように設定され、ヘッド温度調節機構6によって調節されるが、その温度は30℃以上120℃以下の範囲内であることが好ましい。
【0083】
ここで、UVインクの吐出口15における温度が30℃を下回る場合、UVインクは高粘性であるので、吐出口15から制御通りに吐出されなかったり、吐出口15や後述するインクノズル12でUVインク詰まりが発生したりするという問題が生じる。
【0084】
一方、UVインクの吐出口15における温度が120℃を超える場合、記録ヘッド21の寿命が短くなるという問題が生じる。UVインクを吐出口15から吐出させるための駆動力を発生するための後述する吐出手段は耐熱性が低く、120℃を超える高温に維持されると制御通りにUVインクを吐出できなくなる。そのために上記温度が120℃を超えると記録ヘッド21の寿命が短くなり、インクジェットプリンタAの維持管理を困難にすることとなる。
【0085】
図8に示すように、ヘッド温度調節機構6は、概略して、ヘッド温度調節手段(面ヒーター16及びヘッドヒーター13)61と、ヘッド温度検出手段(ヘッド温度センサ)19と、ヘッド温度制御手段(ここでは制御部30が相当する)とを備えている。なお、ヘッド温度調節手段61、ヘッド温度検出手段19と、ヘッド温度制御手段(制御部30)との間は、インターフェイス31を介して互いに接続されている。
【0086】
記録ヘッド21には、図9または図10に示すように、インクが注入されるインク入口部17と、インクを吐出する複数の吐出口15と、インク入口部17から吐出口15までインクを導くヘッド内供給路11と、ヘッド内供給路11のインク温度を検出するヘッド温度センサ(ヘッド温度検出手段)19と、ヘッド内供給路11の外部の少なくとも一部からインクを加熱する面ヒーター(ヘッド温度調節手段)16と、ヘッド内供給路11の内部の少なくとも一部でインクを加熱するヘッドヒーター(ヘッド温度調節手段)13とが設けられている。
【0087】
インク入口部17は、図10(a)、(b)に示すように、記録ヘッド21の側部から内部に向かって先細る漏斗形状に形成されている。このインク入口部17は、インク供給路(図示省略)と接続されており、インクタンク(図示省略)からインク供給路を介してインクが供給される。
【0088】
吐出口15は、記録ヘッド21の下面(ノズル面15a)に備えられており、この下面のセンターラインに沿って等間隔に並ぶよう配置されている。
【0089】
ヘッド内供給路11は、インク入口部17から吐出口15までインクを導く過程で、一旦インクを収納するインク収納部18と、インク収納部18から吐出口15までインクを導くインクノズル12と、インクを吐出する駆動力を発生するための例えばピエゾ素子からなる吐出手段(図示省略)を備えている。
【0090】
インク収納部18は、先方(図10(a)では左)に向かって細くなる側面視台形形状に形成されている。このインク収納部18には、インク入口部17の先端が後面に接続され、インク収納部18とインク入口部の両者を連通している。
【0091】
また、このインク収納部18には、吐出口15までインクを導くインクノズル12が、各吐出口に対応するように複数、ノズル面15aと対向する下面に設けられている。つまり、インクノズル12は、インク入口部17から流れ込むインクの流れ方向に沿うように、等間隔で並んで配置されている。
【0092】
このように、インクの流れ方向に沿うようにインクノズル12を配置した場合、インク入口部17から離れた位置にあるインクノズル12に流れ込むインクの圧力が弱まってしまい、安定した吐出を行えないおそれがある。このため、本実施の形態では、インク収納部18の形状を先方に向かって細くなる側面視台形形状に形成することで、各インクノズルに流れ込むインクの圧力がばらつくことを防止している。
【0093】
ヘッド温度センサ(ヘッド温度検出手段)19は、インク入口部17から流入してきたインクの温度を検出するために、インク入口部17近傍、つまりインク収納部18の後面から内部に向かって延出した状態に設けられている。
【0094】
面ヒーター16は、記録ヘッド21内部でヘッド内供給路11を覆うようにコ字状に形成されており、この面ヒーター16が、ヘッド内供給路11のインクを加熱し低粘度化する。
【0095】
ヘッドヒーター13は、円柱形状に形成され、インク収納部18下部でインクノズル12の並びに沿った状態となるように、インク収納部18の先端から後端に掛け渡されている。そして、このヘッドヒーター13によって、各吐出口から吐出されるインクの各温度が所定温度範囲内となるように、インクは加熱される。
【0096】
このように、ヘッドヒーター13は、インク収納部18下部でインクノズル12の並びに沿った状態であるため、各インクノズル12に流入する前のインクの各温度がばらつくことなく加熱することができる。
【0097】
ヘッド温度制御手段(ここでは制御部30が相当する)は、図8に示すように、インターフェイス31、CPU32、メモリ33等から構成され、メモリ33中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイス31に接続された各種機器を制御するようになっている。
【0098】
インターフェイス31には、面ヒーター(ヘッド温度調節手段)16と、ヘッドヒーター(ヘッド温度調節手段)13と、ヘッド温度センサ(ヘッド温度検出手段)19などが電気的に接続されている。
【0099】
メモリ33には、インク供給における各種データや、インクジェットプリンタAの各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
CPU32は、メモリ33に書き込まれた各種データや、ヘッド温度センサ19が検知する温度に基づいて演算を行い、吐出口15におけるUVインクの温
度が上述の範囲に収まり、且つUVインクの粘度が最適となるよう、面ヒーター16やヘッドヒーター13を制御して吐出口15におけるUVインクの温度を制御する。
【0100】
次に、湿度調節機構7について説明する。
【0101】
湿度調節機構7は、記録媒体Rが搬送手段1により搬送される搬送経路の、UVランプ3の直下の領域近傍の湿度を制御することで、記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度を調節する。
【0102】
ここで、記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度は、例えば、5%以上40%以下に制御することが好ましい。
記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度が5%を下回る場合には、上記湿度を制御するために、インクジェットプリンタAの各構成要素を気密性の高いシャーシに収納する等の必要が生じるため、インクジェットプリンタAが高価になるという問題が生じる。
【0103】
一方、記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度が40%を超える場合には、記録媒体Rに着弾したインクが紫外線照射によって効率的に硬化しないという問題が生じる。記録媒体Rにしわやカールが生じることを防ぐため、メディア温度調節機構5は記録媒体Rが紫外線照射を受けるときの温度を40℃以下に調節している。
【0104】
この温度で、例えば、カチオン硬化性であるUVインクに紫外線を照射する場合、UVインクは空気中の湿気による反応阻害を受けやすいので、湿度が40%を超える環境ではUVインクは速やかに硬化できない。このとき、記録媒体R上のインクドット形状を制御できなかったり、互いに隣接した色の異なるインクドットが交じり合ったりするという問題が生じるため、記録媒体Rに画像を高画質では印刷できなくなる。
【0105】
湿度調節機構7は、該略して、図1に示すように、送風管71と、送風ファン(湿度調節手段)72と、乾燥カラム(湿度調節手段)73と、湿度センサ(湿度検知手段)74と、湿度制御手段(ここでは制御部30が相当する)とを備えている。
【0106】
送風管71は、インクジェットプリンタAから導入され、乾燥カラム73により湿度が調節された空気を記録媒体Rが紫外線の照射を受ける位置まで導く。送風管71の一端はインクジェットプリンタA外部に露出して設置される。送風管71の他端は記録媒体Rの幅に対応した形状に形成され、UVランプ3近傍に、UVランプ3と記録媒体Rとの間の空間に向けて空気を送出できる形態で設置される。
【0107】
送風管71内部には、送風ファン72、乾燥カラム73、湿度センサ74等が設置されている。
送風ファン72は制御部30の制御により、インクジェットプリンタA外部からUVランプ3側までの送風と、UVランプ側3からインクジェットプリンタA外部までの送風とを行う。ここで、インクジェットプリンタA外部からUVランプ3側までの送風の際の風速は、UVランプ3と記録媒体Rとの間の空間の湿度を上述の範囲に維持できるとともに、記録ヘッド21から記録媒体Rに向けてUVインクが吐出される時のUVインクの飛行経路に影響を与えないことを条件に決定される。
【0108】
乾燥カラム73は、送風管71内部に、例えばシリカゲルやゼオライトといった可逆的に吸湿可能な乾燥剤を、通気自在な形態で充填することで形成される。さらに、乾燥カラム73には、上記乾燥剤の吸湿能力が低下した際、この乾燥剤を加熱して再活性化させるための活性化ヒータ73aが備えられている。
湿度センサ74は、送風管71内部の乾燥カラム73よりUVランプ3側の部位に設置される。湿度センサ74は湿度を検知するとともに、検知した湿度データを制御部30に送信する。
【0109】
制御部30は、湿度センサ74が検知した湿度に基づいて送風ファン72及び活性化ヒータ73aを制御して記録媒体Rが紫外線の照射を受ける部位及び該部位近傍の湿度を調節する。
記録ヘッド21からのUVインクの吐出と、それに引き続くUVランプ3による紫外線照射によって記録媒体Rへの画像形成を行っている時は、制御部30は送風ファン72によりインクジェットプリンタA外部からUVランプ3側に向けての送風を行うことで、UVランプ3と記録媒体Rとの間の空間に、乾燥カラム73で湿気が除去された空気を送り込む。このとき、湿度センサ74はUVランプ側向けて送られる空気の湿度を検知して制御部30に送る。
【0110】
上記湿度が上昇し、記録媒体Rが紫外線照射を受ける位置及び該位置の湿度が、インクを紫外線照射によって速やかに硬化させることのできる上限の値に達すると、制御部30は画像形成にインクジェットプリンタAの各構成要素の、画像形成に係る一連の動作を停止させる。
【0111】
各構成要素が停止した後、制御部30は活性化ヒータ73a及び送風ファン72を制御して、乾燥カラム73に充填された乾燥剤の再活性化を行う。乾燥剤の再活性化は、送風ファン72でUVランプ3側からインクジェットプリンタAに向けて送風しながら乾燥剤を活性化ヒータ73aで加熱することにより、乾燥剤が吸収した水をインクジェットプリンタA外部に拡散させることで行う。上記再活性化動作を所定時間行って乾燥剤の再活性化を行った後、制御部30は引き続いて各構成要素による画像形成のための動作を再開する。
【0112】
なお、制御部30が乾燥剤再活性化の終了を判定する方法としては、上述の様な所定時間の経過により行う他に、湿度センサ74を乾燥カラム73よりインクジェットプリンタA外部側に設置し、この湿度センサ74で排気される空気の湿度を検知する方法等がある。
【0113】
次に、本発明のインクジェットプリンタAで使用されるインクについて説明する。
【0114】
本発明に係るUVインクは、少なくとも2μm以下、好ましくは1μm以下のフィルターサイズでろ過を行い、粗大粒子を除去した状態で記録ヘッド21に供給することが好ましい。
【0115】
UVインクは、上述の物性を具備するとともに、UVランプ3から紫外線を照射されることで重合反応を起こして硬化するよう、発色のための色材の他に重合性組成物(活性エネルギ線硬化性化合物)及び開始剤を含んで組成される。さらに、UVインクは必用に応じて、開始助剤、界面活性剤、重合禁止剤、帯電防止剤などを含む。さらに、照射される紫外線の波長によっては増感色素を開始助剤としてUVインクに添加することが好ましい。以下、UVインクの具体的な組成について説明する。
【0116】
重合性組成物は、紫外線の照射によって重合してポリマーを形成することにより、UVインクを硬化させる物質である。重合性組成物としては、光照射の際ラジカル反応によって重合する光ラジカル重合性組成物や、カチオン化学種が反応活性種となって重合するカチオン重合系のカチオン重合性組成物が知られており、これらは例えば特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各号公報に記載されている。また、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の重合性組成物も例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137等に公開されている。
【0117】
ラジカル重合性組成物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性組成物は1種のみ用いてもよい。また、2種以上のラジカル重合性組成物を任意の比率で2種類以上併用してもよい。
【0118】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性組成物が挙げられる。
【0119】
上述のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合系組成物としては、具体的には、例えば下記のメタクリル誘導体が挙げられる。
そのメタクリル誘導体とは、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体である。
【0120】
その他のラジカル重合系化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載された市販品もしくは周知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0121】
ラジカル重合性組成物のUVインクに対する添加量は1〜97質量%とすることが好ましい。ラジカル重合性組成物の添加量が1質量%を下回る場合、紫外線の照射によってUVインクが速やかに硬化せず、ドット系等の制御を阻害する。また、ラジカル重合性組成物の添加量が97質量%を上回る場合には、色材による発色が十分になされず、記録媒体R上の画像における色再現性を低下させる。また、ラジカル重合性組成物のUVインクに対する添加量は30〜95質量%とするのがより好ましい。
【0122】
カチオン重合系の重合性組成物としては、カチオン重合により高分子化の起こるタイプである例えばエポキシタイプの紫外線硬化性プレポリマーや1分子内にエポキシ基を2個以上含有するモノマーを適用することができる。
このようなプレポリマーとしては、例えば、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物類及びエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらの重合性組成物は、その一種を単独で使用することもできるし、又その二種以上を混合して使用することもできる。
【0123】
カチオン重合系光硬化樹脂中に含有されるカチオン重合性組成物としては、他に例えば下記の(1)スチレン誘導体、(2)ビニルナフタレン誘導体、(3)ビニルエーテル類及び(4)N−ビニル化合物類を挙げることができる。
(1)スチレン誘導体
例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン等
(2)ビニルナフタレン誘導体
例えば、2−ビニルナフタレン、α−メチル−2−ビニルナフタレン、β−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メトキシ−2−ビニルナフタレン等
(3)ビニルエーテル類
例えば、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、α−メチルフェニルビニルエーテル、β−メチルイソブチルビニルエーテル、β−クロロイソブチルビニルエーテル等
(4)N−ビニル化合物類
例えばN−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール等
【0124】
上記カチオン重合系の重合性組成物中の含有量は1〜97質量%が好ましい。カチオン重合性組成物の添加量が1質量%を下回る場合、紫外線の照射によってUVインクが速やかに硬化せず、ドット系等の制御を阻害する。一方、カチオン性重合組成物の添加量が97質量%を上回る場合には、色材による発色が十分になされず、記録媒体R上の画像における色再現性を低下させる。
また、カチオン重合性組成物のUVインクに対する添加量は30〜95質量%とすることがより好ましい。
【0125】
本発明においては、UVインク中に、光重合開始剤及び光酸発生剤の少なくとも1つを含有することが好ましい。
特に、硬化反応をより効率的に行うために、公知の光重合開始剤を添加して硬化させることが好ましい。光重合開始剤としては、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
【0126】
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
【0127】
一方、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。
光重合開始剤を使用する場合の配合量は、活性エネルギ線硬化性組成物の0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
【0128】
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0129】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4−、PF6−、AsF6−、SbF6−、CF3SO3−塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【化1】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【化2】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【化3】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【化4】
また、本発明のインクは、紫外線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行うために光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号、米国特許第4,508,811号、同第5,227,227号、特開2001−125255、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。
光増感剤の使用量は、活性エネルギ線硬化性組成物中0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
【0130】
本発明に係るインク組成物には、さらに様々な性能改良のため、本来の特性を変えない範囲で、例えば、着色剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤等の材料を添加することもできる。
【0131】
着色剤としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ジケトピロロピロール系等の各種の有彩色有機顔料、カーボンブラック、チタンホワイト、シリカ、マイカ、酸化亜鉛等の無機顔料等が挙げられる。
【0132】
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0133】
重合禁止剤としては、例えば、メトキノン、メチル・ハイドロキノン、ベンゾキノン等が挙げられる。又、レベリング剤としては、例えば、モダフロー(モンサント社製;登録商標)、FC−430(3M社製)等が挙げられる。
これらの各種添加剤の使用量は、それぞれ、組成物の0を越えて20質量%の範囲が好ましい。
【0134】
本発明に係るインク組成物を得るには、上記した各成分を混合すればよく、混合の順序や方法は特に限定されない。
以上の様にして調製されたインク組成物の物理的特性として、50℃における粘度が5〜30mPa・sであることが好ましい。
【0135】
また、本発明に係るインク組成物には、必要に応じて溶剤を含有させることができる。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルの如き酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテルの如きアルコール類、水などその他の一般によく用いられる有機溶剤によって本発明の活性エネルギ線硬化性化合物を希釈して使用することも可能である。
【0136】
本発明に係るインク組成物は、インク中にマイクロカプセルを含有することが好ましい。
マイクロカプセルは、例えば、最新マイクロカプセル化技術(1987年12月21日発行、近藤 保 監修、株式会社総合技術センター)、光硬化技術(2000年3月発行、株式会社技術情報協会編)、日本印刷学会誌(Vol.37、p.28、2000)等や特開平5−24362号、特開平5−220384号、特開平6−192068号、特開平7−304968号、特開平7−316261号、特開平9−132524号、特開平11−188257号等の公報に記載の公知の方法で調製することができる。
また、色材協会誌、72巻、第3号、p.184(1999)に記載のリポソーム等もマイクロカプセルの一種として用いることができる。
【0137】
また、マイクロカプセル中に、インク中に発生した重合阻害物質を、熱によりクエンチする化合物を含有することが好ましい。
本発明で用いることのできる熱によりインク中に発生した重合阻害物質をクエンチする化合物としては、重合阻害物質の種類により異なるが、発生種がラジカルの場合は、ラジカルクエンチ剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、チオール、チオ酸、ジチオ酸、ホスフェート、チオホスフェート、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ジニトロベンゼン、p−キノン、メチレンブルー、β−ナフトール、N−ニトロソアミン、ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、ホスフォン酸エステル、亜リン酸トリフェニル、N−ニトロソ−シクロヘキシル−ヒドロキシアミンの塩、とりわけアルカリ及びアルミニウム塩等が用いられる。
【0138】
発生種が酸の場合は、酸をクエンチできる、例えば、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、若しくはピペリジン等の環状アミン系化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素系化合物、ナトリウムジエチルチオホスフェート若しくは芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物、N,N′−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物、トリ−n−ブチルホスフィン若しくはナトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物等が使用できる。
【0139】
また、熱塩基発生剤として、例えば、加熱により脱炭酸して分解する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位、ベックマン転位等の反応により分解してアミン類を放出する化合物や、加熱により何らかの反応を起こして塩基を放出するものも好ましく用いられる。
【0140】
具体的には、英国特許第998,949号記載のトリクロロ酢酸の塩、米国特許第4,060,420号に記載のアルファースルホニル酢酸の塩、特開昭59−157637号に記載のプロピール酸類の塩、2−カルボキシカルボキサミド誘導体、特開昭59−168440号に記載の塩基成分に有機塩基の他にアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いた熱分解性酸との塩、特開昭59−180537号に記載のロッセン転位を利用したヒドロキサムカルバメート類、加熱によりニトリルを生成する特開昭59−195237号に記載のアルドキシムカルバメート類等が挙げられる。
その他、英国特許第998,945号、米国特許第3,220,846号、英国特許第279,480号、特開昭50−22625号、同61−32844号、同61−51139号、同61−52638号、同61−51140号、同61−53634号〜同61−53640号、同61−55644号、同61−55645号等に記載の熱塩基発生剤が有用である。
【0141】
更に具体的な例を挙げると、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウムがある。
上記の熱塩基発生剤は広い範囲で用いることができる。
【0142】
上述のようなインクは、インクジェット記録方式により記録媒体R上に吐出、描画し、次いで紫外線(活性エネルギ線)を照射してインクを硬化させることになる。
本発明で用いることのできる活性エネルギ線の光源としては、波長180nm〜500nmの紫外線又は可視光線を発生する光源が有効である。例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が挙げられる。
【0143】
本発明において、紫外線による照射を行う場合、インクの吸収波長におけるピーク照度が1〜500mw/cm2である光源が好ましい。かかる光源は、十分な硬化反応を行うことができるため、比較的安価で、小型の紫外線照射装置を用いることができ、コスト的にも有利である。
【0144】
本発明に用いられる記録媒体Rは、金属、ガラス、プラスチック、裏面に樹脂をコートした紙等が挙げられる。上記材料のうち、裏面に樹脂をコートした紙や、軟包装材料用のプラスチックフィルムが、安価かつ耐久性、耐候性を具備し、広告媒体や包装材料に適用が容易な点で好ましい。
【0145】
上記記録媒体Rの具体的な材質としては、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
また、包装の費用や生産コスト等の記録媒体Rのコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺なウェッブ状であることが好ましい。
【0146】
さらに、記録媒体Rの厚みは、9μm以上15μm以下であることが好ましい。
ここで、記録媒体Rの厚みを9μm以上150μm以下とするのは、9μmより薄くすると、気泡が入りやすく、プラテン103から記録媒体Rが浮いたり、しわが発生することがあり、また、強度が低いために破れやすいためで、厚みを150μmより厚くすると、プラテン103と上流側ガイドローラ104aとの間に記録媒体Rを挟み込みにくく、搬送するのが困難となるためである。
【0147】
次に、本発明のインクジェットプリンタAによる記録媒体Rへの画像形成(画像記録方法)について説明する。
【0148】
インクジェットプリンタAにおいては、インクカートリッジ、記録媒体R等をセットし、電源を投入することにより、画像形成可能な状態となる。
インクカートリッジからインクの供給が行われると、制御部30は、ヘッド温度センサ19の検知結果に基づいて、インク収納部18内のインク温度を検知する。そして、制御部30は、この検知された温度に対応した加熱温度データを選択し、その選択された加熱温度データに基づいて面ヒーター16及びヘッドヒ
ーター13の出力状態を制御して、ヘッド内供給路11のインクが所定温度範囲内(例えば、ヘッド目標設定温度の上下1℃の範囲内)となるように加熱を行う。
【0149】
まず、オペレータの手動操作により、操作盤、キーボード等の入力手段53に設定情報が打ち込まれる。この場合、設定情報は、形態:ウェッブ状のフィルム、材質:PET、厚み:0.05mm等の記録媒体R等が有する性質に関する情報となっている。これにより、入力手段53はインターフェース31を介して設定情報を制御部30に入力する。この設定情報は、制御部30のメモリ33に記憶される。
【0150】
インクジェットプリンタA内では、図示しない駆動部により上流側ガイドローラ104aが駆動し回転することによって、供給部101にセットされた記録媒体Rの先端が、押さえローラ105及び上流側ガイドローラ104aに沿って搬送され、プラテン103に対して接触角度15°〜270°で傾斜した状態でプラテン103上に導入されて、記録媒体R先端の位置合わせが行われる。
【0151】
位置合わせされた記録媒体Rは、さらに上流側ガイドローラ104aにより前処理部4に搬送される。前処理部4にて記録媒体Rの表面のコロナ処理が施された後、画像形成部2へ搬送される。
この間、メディア温度検出手段52としての温度センサ52aは、記録ヘッド21により画像形成が行われるべき記録媒体Rの温度を検出する。温度センサ52aは、検出温度情報を、インターフェイス31を介して制御部30に入力する。この検出温度情報は制御部30のメモリ33に記憶される。
【0152】
そして、制御部30のCPU32は、メモリ33に記憶された検出温度情報と、設定情報に対応する設定温度とを読み出し、比較演算する。そして、CPU32は、その演算結果に伴い記録媒体Rの温度の上昇又は下降が必要であると判断した場合には、作動信号をメディア温度調節手段51にインターフェイス31を介して入力する。すると、メディア温度調節手段51は作動する。この場合、ヒータ51aが作動してヒータ51aから輻射熱が発生し、記録媒体Rを画像形成面側から加熱する。
【0153】
また、当該演算結果に伴い記録媒体Rの温度の上昇又は下降が不必要であると判断した場合には、CPU32は、作動信号をメディア温度調節手段51に入力しない。従って、メディア温度調節手段51としてのヒータ51aは作動せず、記録媒体Rの加熱は行われない。
【0154】
このようにして、メディア温度調節機構5は、メディア温度検出手段52による検出温度情報に基づいて、記録媒体Rのインクが着弾する時から紫外線の照射を受ける時までの温度を、インクが紫外線の照射によって速やかに硬化するよう制御する。
【0155】
引き続き、メディア温度調節機構5により温度が制御された状態で、記録媒体Rは、プラテン103により非画像形成面側が支持されるとともに搬送方向Fにガイドされ、搬送経路上を搬送される。
【0156】
そして、非画像形成面が支持されている記録媒体Rの画像形成面に、記録ヘッド21により画像形成が行われる。詳しくは、記録媒体Rの非画像形成面がプラテン103により保持された状態で、キャリッジ22の動作に付随して記録ヘッド21が走査方向に移動しながら記録媒体Rの画像形成面にUVインクを吐出し、画像形成が行われるのである。画像形成が行われた後の記録媒体Rは、記録ヘッド21より搬送方向Fの下流側、すなわちUVランプ3の直下へと搬送される。
【0157】
引き続き、UVランプ3の直下に搬送された記録媒体R、言い換えればUVインクが付着した記録媒体Rに、UVランプ3からUVが照射され、記録媒体Rに付着したUVインクが硬化することになる。
そして、以上の工程を経た記録媒体Rは、下流側ガイドローラ104bに沿って搬送されることによりプラテン103上から傾斜して搬出されて、巻取り部102に巻取られるのである。
【0158】
なお、インクジェットプリンタAによる画像形成中は、吐出口15におけるインクの温度はヘッド温度調節機構6により制御されている。この制御により、吐出口15におけるインクの温度は、UVインクが最適の粘度を具備し、且つ記録媒体RのUVインクが着弾してから紫外線照射を受けるまでの間の温度よりも高い温度に調整されている。
【0159】
また、インクジェットプリンタAによる画像形成中は、乾燥剤により湿度が減じられた空気が湿度調節機構7によってUVランプ3と記録媒体Rとの間の空間に供給されている。このことで、記録媒体Rが紫外線照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度はUVインクが紫外線照射によって速やかに硬化できる湿度に調整される。
【0160】
なお、この実施の形態においては、ヘッド温度調節機構6のヘッド温度調節手段61、メディア温度調節機構5のメディア温度調節手段51、湿度調節機構7の湿度調節手段72、73いずれもが共通の制御装置で構成されている。これにより、インクジェットプリンタの構成要素が少なくて済むと共に、双方の制御を連動させて効率的にヘッド内のUVインクの温度制御と、UV照射前の記録媒体Rの温度制御と、UVインクに紫外線が照射される場所での湿度制御とを行うことができる。
【0161】
【実施例】
以下、上述の実施形態に係るインクジェットプリンタAの実施例について説明する。
【0162】
《顔料分散物の調製》
以下に記載の各組成物を加圧ニーダーにより配合し、粘度を106mPa・s以上とした。次いで、2本ロールミルによって練肉、分散を行い、各顔料分散物を調製した。なお、これらの工程においては温度が80℃を越えないよう制御した。
【0163】
(ブラック顔料分散物1の調製)
ピグメントブラック7(カーボンブラック) 70質量部
スチレン・アクリル酸エステル共重合体(酸価<1) 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 20質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0164】
(イエロー顔料分散物1の調製)
ピグメントイエロー93 70質量部
ノニオン系分散剤 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 20質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0165】
(マゼンタ顔料分散物1の調製)
ピグメントバイオレット19 70質量部
ノニオン系分散剤 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 20質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0166】
(シアン顔料分散物1の調製)
ピグメントブルー15:3 70質量部
ノニオン系分散剤 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 20質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0167】
(ホワイト顔料分散物1の調製)
ピグメントホワイト(酸化チタン) 85質量部
ノニオン系分散剤 10質量部
フェノキシポリエチレングリコールアクリレート 10質量部
重合禁止剤(住友化学製、Sumilizer GS) 0.1質量部
【0168】
《インクの調製》
上記調製した各顔料分散物を用い、表1に記載の構成により、各色インクを調製した。
すなわち、まず、顔料分散物以外の全ての添加剤を配合し、十分に溶解したことを確認してから、液温を50℃とし、上記各顔料分散物を少しづつ添加し、ディゾルバーを用い十分に攪拌した後、0.8μmのフィルターで濾過を行った。なお、前処理として10μmのフィルターによるプレ濾過を行った。上記濾過工程では圧損の発生も少なく、十分な濾過速度が得られた。
次いで、得られた溶液を50℃に加温、攪拌しながら、減圧することにより、溶解している空気及び水分を取り除き、各インクを調製した。各インクの25℃における粘度は12〜22mPa・sの範囲にあり、また表面張力は24〜30dyn/cm、顔料の平均粒径は0.08〜0.3μm、含水率は0.7〜1.2%の範囲であった。
【0169】
【表1】
表1に記載の各添加剤の詳細な内容は、以下の通りである。
DPCA60:日本火薬製、KAYARAD DPCA(カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
TEGDA:大阪有機製、ビスコート#335HP(テトラエチレングリコールジアクリレート)
PO−A:共栄社化学製、ライトアクリレートPO−A(フェノキシエチル
アクリレート)
I369:チバ・スペシャリティ・ケミカル製、Irgacure369
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
【0170】
《インクジェットプリンタAによる画像形成》
次に、インクジェットプリンタAによる記録媒体Rに対する画像形成を行った。インクジェットプリンタAにおいて、記録ヘッド21にUVインクを供給するインク供給系は、インクタンク、供給パイプ、前室インクタンク及びフィルター付き配管で形成した。さらに、上記インク供給系は、ほぼ全経路にわたって断熱材とヒータとを備え、供給パイプ内部でUVインクの温度が60±2℃となるよう温度制御した。インクノズル12は、その径が23μm、128ノズルのピエゾ型のものを使用した。
記録ヘッド21の吐出口15からの一回あたりの吐出量は約7plとし、かつ、720×720dpi(尚、dpiとは2.54cmあたりのドットの数をいう)の解像度で射出できるよう、駆動周波数10kHzにて駆動した。画像はマゼンタベタ上にシアンにて文字画像を記録して評価した。
【0171】
シリアルタイプのキャリッジ22にブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ホワイト(W)の5色ヘッドを搭載した5色フルカラープリンターにて評価を行った。キャリッジ22の両端には、UV−A光を発する低圧水銀ランプ3を搭載し、記録ヘッド21を走査することで、インク着弾後1000ms以内にUV光を照射できるようにした。
露光面照度は1000mW/cm2とした。露光エネルギは記録ヘッド21のスピードを変更することによって行い、全インクに照射される、積算光量が50〜600mJ/cm2まで調整可能とし、表面タッキネスが無くなるポイントを感度とした。以上により得られた各色インクの感度は100〜170mJ/cm2であった。
記録媒体Rとしては、OPSの表面を濡れ指数が46dyn/cmになるようプラズマ処理したものを用いた。
【0172】
[第1の実施例]
上述した条件下で、プラテン103の形状(平面(図1参照)、ドラム(図4参照)、蒲鉾(図5参照)、ベルト(図6参照))及び接触角度Mをそれぞれ変更して(実施例1〜25、比較例1〜4)、記録媒体Rに画像を形成し、しわの発生、印字品質を評価し、その結果を表2に示した。
(しわの評価)
20m連続印字したときのしわの発生を目視で評価した。
○:しわの発生なし。
△:わずかなしわが5本以下みられる。
×:強いしわが発生しているか、わずかなしわが5本以上みられる。
(印字品質の評価)
8ポイント文字の印字をし、文字に歪みや印字位置のずれをルーペで拡大評価した。
○:文字の歪み、位置ずれがみられない。
△:文字の歪み、位置ずれがわずかにみられる。
×:文字の歪み、位置ずれがみられる。
【0173】
【表2】
表2の結果より、接触角度Mを15°以上270°以下に設定し、かつ、プラテン103の形状が平面、ドラム、蒲鉾であり、ベルトを使用しない実施例1〜15では、しわの項目及び印字品質の項目において△の評価のものがあった。
また、接触角度Mを15°以上270°以下に設定し、かつ、プラテン103の形状がドラム、蒲鉾であり、ベルトを使用した実施例16〜25では、しわの項目及び印字品質の項目において全て○の評価であった。
一方、プラテン103の形状にかかわらず、接触角度Mが15°よりも小さい、あるいは、270°よりも大きい比較例1〜4では、しわの項目及び印字品質の項目においてともに×の評価であった。
したがって、接触角度Mを15°以上270°以下にすることによって、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性が高められ、記録媒体Rとプラテン103との間に気泡が入り記録媒体Rがプラテン103から浮いたり、しわが発生することがなく、高精細な画像が形成されることが確認された。
また、特に、プラテン103の形状がドラム又は蒲鉾形状で、かつ、ベルトを設けることにより、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性がより一層高められることが認められた。
【0174】
[第2の実施例]
平面形状のプラテン103で、係合ローラ106を使用した図3に示すインクジェットプリンタAを使用し、係合ローラ106の中心角N及びガイドローラ104aの接触角度Mをそれぞれ変更して(実施例26〜36、比較例5)、記録媒体Rに画像を形成し、第1の実施例と同様にしてしわの発生、印字品質を評価し、その結果を表3に示した。
【0175】
【表3】
表3の結果より、接触角度M(15°以上270°以下)又は中心角N(60°以上270°以下)の少なくとも一方を前記範囲に設定した実施例26〜36では、しわの項目及び印字品質の項目において、○又は△の評価であった。
一方、接触角度M及び中心角Nのいずれも前記範囲外に設定した比較例5では、しわの項目及び印字品質の項目において、×の評価であった。
したがって、接触角度M(15°以上270°以下)又は中心角N(60°以上270°以下)の少なくとも一方を前記範囲に設定することによって、記録媒体Rとプラテン103との間の密着性が高められ、記録媒体Rとプラテン103との間に気泡が入り記録媒体Rがプラテン103から浮いたり、しわが発生することがなく、高精細な画像が形成されることが確認された。
【0176】
【発明の効果】
本発明によれば、ガイドローラを備え、記録媒体とガイドローラとが最初に接触する第1の接触面の延長部分と、プラテン上に導入された記録媒体とプラテンとが接触する第2の接触面の延長部分とによってなす接触角度が15°以上270°以下であるので、記録媒体とプラテンとの間の密着性が極めて高くなり、高精細な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの概略を示す要部側面図である。
【図2】図1の要部を示す拡大図である。
【図3】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図4】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図5】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図6】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図7】変形例を示すインクジェットプリンタの要部側面図である。
【図8】本発明に係るインクジェットプリンタの概略を示す要部ブロック図である。
【図9】本発明に係るインクジェットプリンタに適用される記録ヘッドの斜視図である。
【図10】本発明に係るインクジェットプリンタに適用される記録ヘッドの正断面図(a)及び側断面図(b)である。
【符号の説明】
3 UVランプ(活性エネルギ線照射手段)
5 メディア温度調節機構
6 ヘッド温度調節機構
7 湿度温度調節手段
21 記録ヘッド
101 供給部
103、103a、103b、103c プラテン
104a 上流側ガイドローラ(ガイドローラ)
105 押さえローラ
106 係止ローラ
A インクジェットプリンタ
F 搬送方向
K 第1の接触面
L 第2の接触面
M 接触角度
N 中心角
R 記録媒体
Claims (17)
- インクを吐出する記録ヘッドと、搬送される記録媒体を前記記録ヘッドの対向位置に支持するプラテンとを備え、前記プラテン上に支持された記録媒体に、前記記録ヘッドから前記インクを吐出し画像形成を行うインクジェットプリンタであって、
搬送される前記記録媒体が前記プラテン上に導入される直前に、記録媒体が接触することによって該記録媒体を前記プラテンに対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体を前記プラテン側に押圧するガイドローラを備え、
前記記録媒体と前記ガイドローラとが最初に接触する第1の接触面の延長部分と、前記プラテン上に導入された記録媒体と前記プラテンとが接触する第2の接触面の延長部分とによってなす接触角度が15°以上270°以下であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンがドラム形状であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンの記録媒体を支持する側の面が、凸の曲面となっていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンが記録媒体を搬送するベルトであることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記ガイドローラが、前記記録媒体を搬送する動力源であるか、あるいは、動力源と連動して回転するものであることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラテンの記録媒体搬送方向上流側に配設されて、前記記録媒体を搬送方向に繰り出す供給部を備えており、
前記供給部と前記プラテンとの間に、前記記録媒体を挟み込んで緊張させた状態で前記ガイドローラに接触させる押さえローラが設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - インクを吐出する記録ヘッドと、搬送される記録媒体を前記記録ヘッドの対向位置に支持するプラテンとを備え、前記プラテン上に支持された記録媒体に、前記記録ヘッドから前記インクを吐出し画像形成を行うインクジェットプリンタであって、
搬送される前記記録媒体が前記プラテン上に導入される直前に、記録媒体が接触することによって該記録媒体を前記プラテンに対して傾斜して導入するとともに、導入した記録媒体を前記プラテン側に押圧するガイドローラと、前記プラテンの記録媒体搬送方向上流側に配設されて、前記記録媒体を搬送方向に繰り出す供給部とを備え、
前記供給部と前記プラテンとの間に、前記記録媒体を外周に沿って係止することによって緊張させた状態で前記ガイドローラに接触させる係止ローラが設けられており、
前記記録媒体が前記係止ローラに接触する円弧部分の中心角が60°以上270°以下であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体は、プラスチックフィルムあるいは裏面に樹脂がコートされた紙であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項8に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記プラスチックフィルムは、軟質包装用フィルムであることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の厚みが9μm以上150μm以下であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、活性エネルギ線の照射により硬化可能な活性エネルギ線硬化化合物を含有することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項11に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記活性エネルギ線硬化化合物がカチオン重合性化合物であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項11又は12に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記活性エネルギ線硬化化合物を硬化するための活性エネルギ線を、前記記録媒体に照射する活性エネルギ線照射手段を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項13に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の搬送経路近傍に設けられ、前記記録媒体が前記活性エネルギ線照射手段によって前記活性エネルギ線の照射を受ける照射時あるいは照射後の少なくとも一方で、前記記録媒体の温度を所定の温度範囲内に調節するメディア温度調節機構を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項13又は14に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録媒体の搬送経路の、該記録媒体が前記活性エネルギ線照射手段によって前記活性エネルギ線の照射を受ける位置及び該位置近傍の湿度を調節する湿度調節手段を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜15のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドから前記インクが吐出される吐出口近傍に設けられ、前記吐出口における前記インクの温度を30°以上120°以下に調節するヘッド温度調節機構を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタを用いて記録媒体にインクを吐出することによって画像形成を行うことを特徴とする画像記録方法。
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