JP2004082461A - 硫黄モールド成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナトリウム−硫黄電池(NAS電池)の陽極活物質である硫黄を含浸させた円筒状の硫黄モールドの離型性、金型キャビティ面の耐久性、及びメンテナンスの作業性に優れた硫黄モールド成形用金型を提供する。
【解決手段】上金型2と下金型3とから構成され、この上金型2と下金型3との、対向する表面を構成する円弧状の金型キャビティ面11の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層4及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層5がこの順に積層されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型1。
【選択図】 図1
【解決手段】上金型2と下金型3とから構成され、この上金型2と下金型3との、対向する表面を構成する円弧状の金型キャビティ面11の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層4及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層5がこの順に積層されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型1。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫黄モールド成形用金型に関する。さらに詳しくは、ナトリウム−硫黄電池(NAS電池)の陽極活物質である硫黄を含浸させた円筒状の硫黄モールドの離型性、金型キャビティ面の耐久性、及びメンテナンスの作業性に優れた硫黄モールド成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】ナトリウム−硫黄電池は、一方に陰極活物質である溶融金属ナトリウム、他方には陽極活物質である溶融硫黄を配し、両者をナトリウムイオンに対して選択的な透過性を有するβ−アルミナ固体電解質で隔離し、290〜360℃で動作させる高温二次電池である。
【0003】図4に示すように、このようなナトリウム−硫黄電池の構造としては、例えば、カーボンフェルト等の導電素材に溶融硫黄(S)を含浸させた硫黄モールド29を収容する有底円筒状の正極容器31と、溶融金属ナトリウム(Na)を収容するカートリッジ(ナトリウム保護管)36と、このカートリッジ36を内部に収納し、ナトリウムイオン(Na+)を選択的に透過させる機能を有する有底円筒状の固体電解質管35と、カートリッジ36と固体電解質管35との間の間隙部に、そのカートリッジ36及び固体電解質管35からそれぞれ所定の間隔をおいて配設された有底円筒状の隔壁管28からなるものを挙げることができる。
【0004】固体電解質管35はその開口端にガラス接合されたα−アルミナ製の絶縁リング34及び正極筒状金具33を介して正極容器31と結合されている。また、絶縁リング34の上端面には負極金具38が熱圧接合され、この負極金具38に負極蓋39が溶接固定されている。正極容器31の側面と負極蓋39の上面には、それぞれ正極端子32と負極端子30とが取り付けられている。カートリッジ36の上部空間には、不活性ガス(G)が所定の圧力で封入され、この不活性ガス(G)によりカートリッジ36内のナトリウム(Na)がカートリッジ36底部に設けられた小孔37から流出する方向へ加圧されている。
【0005】従来、このようなナトリウム−硫黄電池に用いられる硫黄モールド29の製作に際しては、例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、カーボンフェルト等の導電素材44を、上金型42と下金型43とに分割された部分金型から構成された硫黄モールド成形用金型41を用いて成形した後に、金型キャビティ内に、下金型43に形成された注入孔45から溶融硫黄を流し込み、成形した導電素材44に溶融硫黄を含浸させていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように構成された硫黄モールド成形用金型においては、得られた硫黄モールドが、金型キャビティ面に固着してしまうために、連続して成形を行うことができないという問題があった。また、硫黄モールドを硫黄モールド成形用金型から取り外す際に、導電素材に含浸させた硫黄の一部が剥がれてしまうという問題があった。
【0007】また、この金型キャビティ面等にフッ素樹脂をコーティングした硫黄モールド成形用金型も用いられているが、金型キャビティ面とフッ素樹脂との接着性が弱いために、成形した硫黄モールドを、硫黄モールド成形用金型から取り外す際に、このフッ素樹脂が剥がれてしまうという問題があった。
【0008】また、このような硫黄モールド成形用金型は、金型キャビティ内に射出した溶融硫黄の漏洩防止のために、部分金型の対向する表面を構成する型合わせ面の面上に、シリコン樹脂を所定形状になるように加熱埋込成形したものをシール材として用いていたが、部分金型を組み合わせて成形を行う際に、このシリコン樹脂からなるシール材に硫黄の破片等が食い込み、金型キャビティの気密性を確保することができず、金型キャビティに注入した溶融硫黄が外部に漏洩するという問題があった。
【0009】また、このシリコン樹脂からなるシール材を交換する際には、硫黄モールド成形用金型を、一旦成形機から取り外さなければならないために、極めて工数の掛かる作業とならざるを得ないという問題があった。
【0010】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ナトリウム−硫黄電池(NAS電池)の陽極活物質である硫黄を含浸させた円筒状の硫黄モールドの離型性、金型キャビティ面の耐久性、及びメンテナンスの作業性に優れた硫黄モールド成形用金型を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、本発明は、以下の硫黄モールド成形用金型を提供するものである。
【0012】
[1] 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、少なくとも一の前記部分金型の、前記対向する表面を構成する金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層がこの順に積層されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型(以下、「第一の発明」ということがある)。
【0013】
[2] 前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面が、その面粗さを増大させるための微小凹凸構造を備えてなり、前記微小凹凸構造を備えた前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、前記下地層及び前記表面層が積層されてなる前記[1]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0014】
[3] 前記下地層の厚さが、5〜20μmであり、かつ表面層の厚さが、10〜20μmである前記[1]又は[2]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0015】
[4] 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、少なくとも一の前記部分金型の前記対向する表面を構成する型合わせ面の面上に、前記金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリングが配設されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型(以下、「第二の発明」ということがある)。
【0016】
[5] 前記型合わせ面が溝を有し、前記溝に、前記Oリングが配設されてなる前記[4]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0017】
[6] 前記フッ素系樹脂が、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムである前記[4]又は[5]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0018】
[7] 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、少なくとも一の前記部分金型の、前記対向する表面を構成する金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層がこの順に積層されてなるとともに、少なくとも一の前記部分金型の前記型合わせ面の面上に、前記金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリングが配設されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型(以下、「第三の発明」ということがある)。
【0019】
[8] 前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面が、その面粗さを増大させるための微小凹凸構造を備えてなり、前記微小凹凸構造を備えた前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、前記下地層及び前記表面層が積層されてなる前記[7]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0020】
[9] 前記下地層の厚さが、5〜20μmであり、かつ前記表面層の厚さが、10〜20μmである前記[7]又は[8]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0021】
[10] 前記型合わせ面が溝を有し、前記溝に、前記Oリングが配設されてなる前記[7]〜[9]のいずれかに記載の硫黄モールド成形用金型。
【0022】
[11] 前記フッ素系樹脂が、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムである前記[7]〜[10]のいずれかに記載の硫黄モールド成形用金型。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の硫黄モールド成形用金型の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0024】まず、本発明(第一の発明)の硫黄モールド成形用金型の一の実施の形態について、図1を用いて説明する。本実施の形態の硫黄モールド成形用金型1は、二以上に分割された部分金型(図1においては、固定型としての下金型3と、下金型3上に上下動可能に対向配置された上金型2とからなる場合を示す)から構成され、この上金型2と下金型3との、対向する表面を構成する円弧状の金型キャビティ面11の面上には、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層4及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層5がこの順に積層されてなることを特徴とする。
【0025】上金型2と下金型3とを構成する材料としては、特に限定されることはないが、例えば、各種鋼材、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属又はこの金属を含む合金を好適に用いることができる。
【0026】また、本実施の形態に用いられる下金型3には、金型キャビティ内で所定形状に成形されたカーボンフェルト等の導電素材6に、溶融硫黄を流し込むための注入孔7が形成されている。
【0027】このように構成された硫黄モールド成形用金型1は、次のようにして用いることができる。まず、下金型3の金型キャビティ面11の面上に導電素材6を配設し、この導電素材6に対して垂直に上金型2を降下させて、金型キャビティ内で導電素材6を所定形状に成形する。本実施の形態においては、導電素材6を、円筒を軸方向に3分割した形状に成形する。この後、金型キャビティ内に注入孔7から、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を、例えば、140℃に溶解したものを注入し、成形した導電素材6に含浸させて硫黄モールドを成形する。本実施の形態によれば、このようにして得られる硫黄モールドを、硫黄モールド成形用金型1から破損させることなく容易に取り外すことができる。
【0028】下地層4として用いられるフッ化エチレンプロピレン樹脂は、硫黄モールド成形用金型1の材料として用いられる前述した金属や合金と密着性が良好であり、かつ表面層5として用いるパーフルオロアルコキシ樹脂との密着性も良好であることから、この下地層4を、表面層5と金型キャビティ面11との間に介在させることで、成形された硫黄モールドを取り外す際に、表面層5が剥離することを防止することができる。下地層4と表面層5との密着性が向上する理由は、フッ化エチレンプロピレン樹脂は、表面層5として用いるパーフルオロアルコキシ樹脂と比較すると融点が低いために、硫黄モールド成形用金型1を製造するに際し、硫黄モールド成形用金型1の金型キャビティ面11の面上に、溶融フッ化エチレンプロピレン樹脂を用いて下地層4を形成し、得られた下地層4の上に溶融パーフルオロアルコキシ樹脂を用いて表面層5を形成すると、溶融パーフルオロアルコキシ樹脂からの熱により、下地層4の表面が軟化して、表面層5と下地層4とが強固に固着するからである。
【0029】表面層5として用いられるパーフルオロアルコキシ樹脂は、樹脂の結晶サイズが小さく、得られる表面層5にはポア(気泡)や欠陥等がほとんど形成されず、化学的な耐久性にも優れているために、この表面層5と金型キャビティ内に流し込んだ溶融硫黄とが固着することを有効に防止することができる。表面層5として、その他のフッ素樹脂、例えば、テトラフルオロエチレン樹脂を用いたとすると、得られる表面層5にはポア(気泡)や欠陥等が多く形成され、このポア(気泡)や欠陥に溶融硫黄が入り込み、成形した硫黄モールドの離型性が低下する。
【0030】本実施の形態においては、下地層4及び表面層5が、金型キャビティ面11の面上に積層された構成となっているが、上金型2と下金型3とが直接接触する型合わせ面12の面上まで延長して積層されていてもよい。
【0031】また、本実施の形態においては、上金型2と下金型3との金型キャビティ面11は、その面粗さを増大させるための微小凹凸構造を備えてなり、この微小凹凸構造を備えた金型キャビティ面11の面上に、前述した下地層4及び表面層5が積層されてなることが好ましい。微小凹凸構造は、例えば、上金型2と下金型3の金型キャビティ面11に、軟鋼、珪砂、又はアルミナ等をメディアとするブラスト加工を施すことによって形成することができる。このように構成することによって、金型キャビティ面11と、下地層4とをさらに強固に固着することができる。
【0032】また、本実施の形態においては、下地層4の厚さが、5〜20μmであり、かつ表面層5の厚さが、10〜20μmであることが好ましい。下地層4の厚さが5μm未満であると、表面層5との密着性を向上させる効果を得ることができず、下地層4の厚さが20μmを超えると、下地層4が金型キャビティに対して保温材となり、金型キャビティに注入された溶融硫黄が凝固するまでに時間が掛かり、ランニングコストが嵩んでしまうことがある。また、表面層5の厚さが10μm未満であると、金型キャビティ面11や下地層4の表面粗さに対して薄すぎるために、滑らかな表面を有する表面層5を得ることができず、表面層5の厚さが20μmを超えると、表面層5が金型キャビティに対して保温材となり、金型キャビティに注入された溶融硫黄が凝固するまでに時間が掛かり、ランニングコストが嵩んでしまうことがある。
【0033】次に、本発明(第二の発明)の硫黄モールド成形用金型の一の実施の形態について説明する。図2に示すように、本実施の形態の硫黄モールド成形用金型1は、二以上に分割された部分金型(図2においては、固定型としての下金型3と、下金型3上に上下動可能に対向配置された上金型2とからなる場合を示す)から構成され、この上金型2と下金型3との、対向する表面を構成する型合わせ面12の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリング13が配設されてなることを特徴とする。本実施の形態のにおいては、2個のOリング13が、金型キャビテイを囲撓するように配設されている。また、図2において、6は導電素材を示す。
【0034】このように構成することによって、硫黄モールド成形用金型1のメンテナンスの作業性を向上させることができる。フッ素系樹脂を含有したOリング13は、従来用いられていたシリコン樹脂を所定形状になるように加熱埋込成形したシール材と比較して弾力性が高いために、硫黄の破片等が食い込んだとしても、金型キャビティの気密性を確保することができる。また、Oリング13に食い込んだ硫黄の破片等を取り除くことで、変形したOリング13の形状が容易に復元することから、その交換周期を長くすることができる。
【0035】また、従来用いられていたシール材を交換する際は、硫黄モールド成形用金型を一旦成形機から取り外し、型合わせ面12に配設されたシール材を取り除き、このシール材が形成されていた部位にシリコン樹脂を配設し、硫黄モールド成形用金型ごと電気炉等に入れて、このシリコン樹脂が所望の形状となるように加熱埋込成形しなければならなかったが、本実施の形態の硫黄モールド成形用金型1によれば、その形状が合致するのであれば、市販のフッ素系樹脂を含有したOリング13を用いることができ、また、交換作業も成形機に取り付けたままで行うことができる。
【0036】上金型2と下金型3とを構成する材料としては、特に限定されることはないが、例えば、各種鋼材、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属又はこの金属を含む合金を好適に用いることができる。
【0037】また、本実施の形態においては、上金型2の型合わせ面12が溝8を有し、この溝8にOリング13が配設されてなることが好ましい。このように構成することによって、Oリング13を上金型2の型合わせ面12に容易に配設することができる。また、下金型3の型合わせ面12が溝8を有し、この溝8にOリングが配設されてなる構成としてもよい。
【0038】また、本実施の形態に用いられるOリング13が含有するフッ素系樹脂は、硫黄モールド成形用金型1の使用温度において安定した特性を有し、硫黄との反応性も低いことから、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムであることが好ましい。また、金型キャビティの気密性を確保することができるものであれば、Oリング13の形状及び大きさは、どのようなものであってもよい。
【0039】次に、本発明(第三の発明)の硫黄モールド成形用金型の一の実施の形態について説明する。本実施の形態の硫黄モールド成形用金型は、図3に示すように、二以上に分割された部分金型(図3においては、固定型としての下金型3と、下金型3上に上下動可能に対向配置された上金型2とからなる場合を示す)から構成され、この上金型2と下金型3との、対向する表面を構成する円弧状の金型キャビティ面11の面上には、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層4及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層5がこの順に積層されてなるとともに、型合わせ面12の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリング13が配設されてなることを特徴とする。
【0040】本実施の形態においては、金型キャビティ面11の面上に積層された下地層4及び表面層5は、図1に示した硫黄モールド成形用金型1に積層されたものと同様に構成されたものを好適に用いることができ、また、型合わせ面12の面上に配設されたフッ素系樹脂を含有したOリング13は、図2に示した硫黄モールド成形用金型1に配設されたものと同様に構成されたものを好適に用いることができる。
【0041】このように構成された硫黄モールド成形用金型1は、金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材6に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形した後に、成形した硫黄モールドを、この硫黄モールド成形用金型1から破損させることなく容易に取り外すことができるとともに、硫黄モールド成形用金型1のメンテナンスの作業性を向上させることができる。
【0042】上金型2と下金型3とを構成する材料としては、特に限定されることはないが、例えば、各種鋼材、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属又はこの金属を含む合金を好適例としてあげることができる。
【0043】本実施の形態においては、下地層4及び表面層5が、金型キャビティ面11の面上に積層された構成となっているが、上金型2と下金型3とが直接接触する型合わせ面12の面上まで延長して積層されていてもよい。
【0044】また、本実施の形態においては、下地層4の厚さが、5〜20μmであり、かつ表面層5の厚さが、10〜20μmであることが好ましい。下地層4の厚さが5μm未満であると、表面層5との密着性を向上させる効果を得ることができず、下地層4の厚さが20μmを超えると、下地層4が金型キャビティに対して保温材となり、金型キャビティに注入された溶融硫黄が凝固するまでに時間が掛かり、ランニングコストが嵩んでしまうことがある。また、表面層5の厚さが10μm未満であると、金型キャビティ面11や下地層4の表面粗さに対して薄すぎるために、滑らかな表面を有する表面層5を得ることができず、表面層5の厚さが20μmを超えると、表面層5が金型キャビティに対して保温材となり、金型キャビティに注入された溶融硫黄が凝固するまでに時間が掛かり、ランニングコストが嵩んでしまうことがある。
【0045】また、本実施の形態においては、下金型3の型合わせ面12が溝8を有し、この溝8にOリング13が配設されてなることが好ましい。このように構成することによって、Oリング13を下金型3の型合わせ面12に容易に配設することができる。
【0046】また、本実施の形態に用いられるOリング13が含有するフッ素系樹脂は、硫黄モールド成形用金型1の使用温度において安定した特性を有し、硫黄との反応性も低いことから、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムであることが好ましい。
【0047】これまでに、本発明(第一の発明〜第三の発明)の各実施の形態においては上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型について説明したが、上下2個に分割された構成に限定されることはなく、本発明の硫黄モールド成形用金型は、二以上に分割された部分金型から構成されたものであればよい。また、金型キャビテイの形状も、円弧状に限定されることはなく、ナトリウム−硫黄電池の硫黄モールドを成形するためのものであれば、どのような形状であってもよい。さらに、本発明の硫黄モールド成形用金型は、金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、下地層と表面層以外のものが積層されてなるものであってもよい。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】(実施例1)
プラスチック金型用鋼を材料とし、上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型を形成し、その金型キャビティ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる厚さ15μmの下地層、及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる厚さ15μmの表面層をこの順に積層した。また、型合わせ面の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂(フッ化ビニリデン系フッ素ゴム)製のOリング(JIS規格 Pシリーズ)を配設した。
【0050】このようにして構成された硫黄モールド成形用金型を用い、下金型の金型キャビティ面の面上に、導電素材としてカーボンフェルトを配設し、このカーボンフェルトに対して垂直に上金型を降下させて、金型キャビティ内でカーボンフェルトを成形した。この後、金型キャビティ内に、下金型に形成した注入孔から、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である、140℃に溶解した硫黄を注入し、成形したカーボンフェルトに含浸させて硫黄モールドを成形した。注入した硫黄の温度が80℃以下になったところで、金型キャビティから硫黄モールドを取り外した。本実施例の硫黄モールド成形用金型は、欠陥品を形成することなく約11000個の硫黄モールドを成形するまで、表面層に固着することがなく、金型からの硫黄の漏れだしもなかった。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】(実施例2)
プラスチック金型用鋼を材料とし、上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型を形成し、その金型キャビティ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる厚さ15μmの下地層、及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる厚さ15μmの表面層をこの順に積層した。また、型合わせ面の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、シリコン樹脂を埋込成形したシール材を配設した。
【0053】このようにして構成された硫黄モールド成形用金型を用い、実施例1と同様の方法で硫黄モールドを成形した。本実施例の硫黄モールド成形用金型は、欠陥品を形成することなく約5000個の硫黄モールドを成形したときにシール材部分から硫黄の漏れだしが発生した。しかしながら表面層に固着することはなかった。結果を表1に示す。
【0054】(比較例1)
プラスチック金型用鋼を材料とし、上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型を形成し、その金型キャビティ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる厚さ15μmの下地層、及びテトラフルオロエチレン樹脂からなる厚さ15μmの表面層をこの順に積層した。また、型合わせ面の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、シリコン樹脂を埋込成形したシール材を配設した。
【0055】このようにして構成された硫黄モールド成形用金型を用い、実施例1と同様の方法で硫黄モールドを成形した。本比較例の硫黄モールド成形用金型は、欠陥品を形成することなく約2000個の硫黄モールドを成形した時点で、表面層に硫黄モールドが固着し、さらに表面層が剥離してしまった。結果を表1に示す。
【0056】(比較例2)
プラスチック金型用鋼を材料とし、上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型を形成し、その金型キャビティ面の面上に、テトラフルオロエチレン樹脂からなる厚さ15μmの下地層、及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる厚さ15μmの表面層をこの順に積層した。また、型合わせ面の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、シリコン樹脂を埋込成形したシール材を配設した。
【0057】このようにして構成された硫黄モールド成形用金型を用い、実施例1と同様の方法で硫黄モールドを成形した。本比較例の硫黄モールド成形用金型は、欠陥品を形成することなく約3000個の硫黄モールドを成形した時点で、表面層に硫黄モールドが固着し、さらに表面層が剥離してしまった。結果を表1に示す。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、ナトリウム−硫黄電池(NAS電池)の陽極活物質である硫黄を含浸させた円筒状の硫黄モールドの離型性、金型キャビティ面の耐久性、及びメンテナンスの作業性に優れた硫黄モールド成形用金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(第一の発明)の一の実施の形態の硫黄モールド成形用金型を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明(第二の発明)の一の実施の形態の硫黄モールド成形用金型を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明(第三の発明)の一の実施の形態の硫黄モールド成形用金型を模式的に示す断面図である。
【図4】ナトリウム−硫黄電池の構造を模式的に示す断面図である。
【図5】従来の硫黄モールド成形用金型を用いて硫黄モールドを成形する工程を模式的に示す断面図(a)及び(b)である。
【符号の説明】
1…硫黄モールド成形用金型、2…上金型、3…下金型、4…下地層、5…表面層、6…導電素材、7…注入孔、8…溝、11…金型キャビティ面、12…型合わせ面、13…Oリング、28…隔壁管、29…硫黄モールド、30…負極端子、31…正極容器、32…正極端子、33…正極筒状金具、34…絶縁リング、35…固体電解質管、36…カートリッジ(ナトリウム保護管)、37…小孔、38…負極金具、39…負極蓋、41…硫黄モールド成形用金型、42…上金型、43…下金型、44…導電素材、45…注入孔。
【発明の属する技術分野】本発明は、硫黄モールド成形用金型に関する。さらに詳しくは、ナトリウム−硫黄電池(NAS電池)の陽極活物質である硫黄を含浸させた円筒状の硫黄モールドの離型性、金型キャビティ面の耐久性、及びメンテナンスの作業性に優れた硫黄モールド成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】ナトリウム−硫黄電池は、一方に陰極活物質である溶融金属ナトリウム、他方には陽極活物質である溶融硫黄を配し、両者をナトリウムイオンに対して選択的な透過性を有するβ−アルミナ固体電解質で隔離し、290〜360℃で動作させる高温二次電池である。
【0003】図4に示すように、このようなナトリウム−硫黄電池の構造としては、例えば、カーボンフェルト等の導電素材に溶融硫黄(S)を含浸させた硫黄モールド29を収容する有底円筒状の正極容器31と、溶融金属ナトリウム(Na)を収容するカートリッジ(ナトリウム保護管)36と、このカートリッジ36を内部に収納し、ナトリウムイオン(Na+)を選択的に透過させる機能を有する有底円筒状の固体電解質管35と、カートリッジ36と固体電解質管35との間の間隙部に、そのカートリッジ36及び固体電解質管35からそれぞれ所定の間隔をおいて配設された有底円筒状の隔壁管28からなるものを挙げることができる。
【0004】固体電解質管35はその開口端にガラス接合されたα−アルミナ製の絶縁リング34及び正極筒状金具33を介して正極容器31と結合されている。また、絶縁リング34の上端面には負極金具38が熱圧接合され、この負極金具38に負極蓋39が溶接固定されている。正極容器31の側面と負極蓋39の上面には、それぞれ正極端子32と負極端子30とが取り付けられている。カートリッジ36の上部空間には、不活性ガス(G)が所定の圧力で封入され、この不活性ガス(G)によりカートリッジ36内のナトリウム(Na)がカートリッジ36底部に設けられた小孔37から流出する方向へ加圧されている。
【0005】従来、このようなナトリウム−硫黄電池に用いられる硫黄モールド29の製作に際しては、例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、カーボンフェルト等の導電素材44を、上金型42と下金型43とに分割された部分金型から構成された硫黄モールド成形用金型41を用いて成形した後に、金型キャビティ内に、下金型43に形成された注入孔45から溶融硫黄を流し込み、成形した導電素材44に溶融硫黄を含浸させていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように構成された硫黄モールド成形用金型においては、得られた硫黄モールドが、金型キャビティ面に固着してしまうために、連続して成形を行うことができないという問題があった。また、硫黄モールドを硫黄モールド成形用金型から取り外す際に、導電素材に含浸させた硫黄の一部が剥がれてしまうという問題があった。
【0007】また、この金型キャビティ面等にフッ素樹脂をコーティングした硫黄モールド成形用金型も用いられているが、金型キャビティ面とフッ素樹脂との接着性が弱いために、成形した硫黄モールドを、硫黄モールド成形用金型から取り外す際に、このフッ素樹脂が剥がれてしまうという問題があった。
【0008】また、このような硫黄モールド成形用金型は、金型キャビティ内に射出した溶融硫黄の漏洩防止のために、部分金型の対向する表面を構成する型合わせ面の面上に、シリコン樹脂を所定形状になるように加熱埋込成形したものをシール材として用いていたが、部分金型を組み合わせて成形を行う際に、このシリコン樹脂からなるシール材に硫黄の破片等が食い込み、金型キャビティの気密性を確保することができず、金型キャビティに注入した溶融硫黄が外部に漏洩するという問題があった。
【0009】また、このシリコン樹脂からなるシール材を交換する際には、硫黄モールド成形用金型を、一旦成形機から取り外さなければならないために、極めて工数の掛かる作業とならざるを得ないという問題があった。
【0010】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ナトリウム−硫黄電池(NAS電池)の陽極活物質である硫黄を含浸させた円筒状の硫黄モールドの離型性、金型キャビティ面の耐久性、及びメンテナンスの作業性に優れた硫黄モールド成形用金型を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、本発明は、以下の硫黄モールド成形用金型を提供するものである。
【0012】
[1] 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、少なくとも一の前記部分金型の、前記対向する表面を構成する金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層がこの順に積層されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型(以下、「第一の発明」ということがある)。
【0013】
[2] 前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面が、その面粗さを増大させるための微小凹凸構造を備えてなり、前記微小凹凸構造を備えた前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、前記下地層及び前記表面層が積層されてなる前記[1]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0014】
[3] 前記下地層の厚さが、5〜20μmであり、かつ表面層の厚さが、10〜20μmである前記[1]又は[2]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0015】
[4] 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、少なくとも一の前記部分金型の前記対向する表面を構成する型合わせ面の面上に、前記金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリングが配設されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型(以下、「第二の発明」ということがある)。
【0016】
[5] 前記型合わせ面が溝を有し、前記溝に、前記Oリングが配設されてなる前記[4]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0017】
[6] 前記フッ素系樹脂が、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムである前記[4]又は[5]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0018】
[7] 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、少なくとも一の前記部分金型の、前記対向する表面を構成する金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層がこの順に積層されてなるとともに、少なくとも一の前記部分金型の前記型合わせ面の面上に、前記金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリングが配設されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型(以下、「第三の発明」ということがある)。
【0019】
[8] 前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面が、その面粗さを増大させるための微小凹凸構造を備えてなり、前記微小凹凸構造を備えた前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、前記下地層及び前記表面層が積層されてなる前記[7]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0020】
[9] 前記下地層の厚さが、5〜20μmであり、かつ前記表面層の厚さが、10〜20μmである前記[7]又は[8]に記載の硫黄モールド成形用金型。
【0021】
[10] 前記型合わせ面が溝を有し、前記溝に、前記Oリングが配設されてなる前記[7]〜[9]のいずれかに記載の硫黄モールド成形用金型。
【0022】
[11] 前記フッ素系樹脂が、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムである前記[7]〜[10]のいずれかに記載の硫黄モールド成形用金型。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の硫黄モールド成形用金型の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0024】まず、本発明(第一の発明)の硫黄モールド成形用金型の一の実施の形態について、図1を用いて説明する。本実施の形態の硫黄モールド成形用金型1は、二以上に分割された部分金型(図1においては、固定型としての下金型3と、下金型3上に上下動可能に対向配置された上金型2とからなる場合を示す)から構成され、この上金型2と下金型3との、対向する表面を構成する円弧状の金型キャビティ面11の面上には、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層4及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層5がこの順に積層されてなることを特徴とする。
【0025】上金型2と下金型3とを構成する材料としては、特に限定されることはないが、例えば、各種鋼材、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属又はこの金属を含む合金を好適に用いることができる。
【0026】また、本実施の形態に用いられる下金型3には、金型キャビティ内で所定形状に成形されたカーボンフェルト等の導電素材6に、溶融硫黄を流し込むための注入孔7が形成されている。
【0027】このように構成された硫黄モールド成形用金型1は、次のようにして用いることができる。まず、下金型3の金型キャビティ面11の面上に導電素材6を配設し、この導電素材6に対して垂直に上金型2を降下させて、金型キャビティ内で導電素材6を所定形状に成形する。本実施の形態においては、導電素材6を、円筒を軸方向に3分割した形状に成形する。この後、金型キャビティ内に注入孔7から、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を、例えば、140℃に溶解したものを注入し、成形した導電素材6に含浸させて硫黄モールドを成形する。本実施の形態によれば、このようにして得られる硫黄モールドを、硫黄モールド成形用金型1から破損させることなく容易に取り外すことができる。
【0028】下地層4として用いられるフッ化エチレンプロピレン樹脂は、硫黄モールド成形用金型1の材料として用いられる前述した金属や合金と密着性が良好であり、かつ表面層5として用いるパーフルオロアルコキシ樹脂との密着性も良好であることから、この下地層4を、表面層5と金型キャビティ面11との間に介在させることで、成形された硫黄モールドを取り外す際に、表面層5が剥離することを防止することができる。下地層4と表面層5との密着性が向上する理由は、フッ化エチレンプロピレン樹脂は、表面層5として用いるパーフルオロアルコキシ樹脂と比較すると融点が低いために、硫黄モールド成形用金型1を製造するに際し、硫黄モールド成形用金型1の金型キャビティ面11の面上に、溶融フッ化エチレンプロピレン樹脂を用いて下地層4を形成し、得られた下地層4の上に溶融パーフルオロアルコキシ樹脂を用いて表面層5を形成すると、溶融パーフルオロアルコキシ樹脂からの熱により、下地層4の表面が軟化して、表面層5と下地層4とが強固に固着するからである。
【0029】表面層5として用いられるパーフルオロアルコキシ樹脂は、樹脂の結晶サイズが小さく、得られる表面層5にはポア(気泡)や欠陥等がほとんど形成されず、化学的な耐久性にも優れているために、この表面層5と金型キャビティ内に流し込んだ溶融硫黄とが固着することを有効に防止することができる。表面層5として、その他のフッ素樹脂、例えば、テトラフルオロエチレン樹脂を用いたとすると、得られる表面層5にはポア(気泡)や欠陥等が多く形成され、このポア(気泡)や欠陥に溶融硫黄が入り込み、成形した硫黄モールドの離型性が低下する。
【0030】本実施の形態においては、下地層4及び表面層5が、金型キャビティ面11の面上に積層された構成となっているが、上金型2と下金型3とが直接接触する型合わせ面12の面上まで延長して積層されていてもよい。
【0031】また、本実施の形態においては、上金型2と下金型3との金型キャビティ面11は、その面粗さを増大させるための微小凹凸構造を備えてなり、この微小凹凸構造を備えた金型キャビティ面11の面上に、前述した下地層4及び表面層5が積層されてなることが好ましい。微小凹凸構造は、例えば、上金型2と下金型3の金型キャビティ面11に、軟鋼、珪砂、又はアルミナ等をメディアとするブラスト加工を施すことによって形成することができる。このように構成することによって、金型キャビティ面11と、下地層4とをさらに強固に固着することができる。
【0032】また、本実施の形態においては、下地層4の厚さが、5〜20μmであり、かつ表面層5の厚さが、10〜20μmであることが好ましい。下地層4の厚さが5μm未満であると、表面層5との密着性を向上させる効果を得ることができず、下地層4の厚さが20μmを超えると、下地層4が金型キャビティに対して保温材となり、金型キャビティに注入された溶融硫黄が凝固するまでに時間が掛かり、ランニングコストが嵩んでしまうことがある。また、表面層5の厚さが10μm未満であると、金型キャビティ面11や下地層4の表面粗さに対して薄すぎるために、滑らかな表面を有する表面層5を得ることができず、表面層5の厚さが20μmを超えると、表面層5が金型キャビティに対して保温材となり、金型キャビティに注入された溶融硫黄が凝固するまでに時間が掛かり、ランニングコストが嵩んでしまうことがある。
【0033】次に、本発明(第二の発明)の硫黄モールド成形用金型の一の実施の形態について説明する。図2に示すように、本実施の形態の硫黄モールド成形用金型1は、二以上に分割された部分金型(図2においては、固定型としての下金型3と、下金型3上に上下動可能に対向配置された上金型2とからなる場合を示す)から構成され、この上金型2と下金型3との、対向する表面を構成する型合わせ面12の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリング13が配設されてなることを特徴とする。本実施の形態のにおいては、2個のOリング13が、金型キャビテイを囲撓するように配設されている。また、図2において、6は導電素材を示す。
【0034】このように構成することによって、硫黄モールド成形用金型1のメンテナンスの作業性を向上させることができる。フッ素系樹脂を含有したOリング13は、従来用いられていたシリコン樹脂を所定形状になるように加熱埋込成形したシール材と比較して弾力性が高いために、硫黄の破片等が食い込んだとしても、金型キャビティの気密性を確保することができる。また、Oリング13に食い込んだ硫黄の破片等を取り除くことで、変形したOリング13の形状が容易に復元することから、その交換周期を長くすることができる。
【0035】また、従来用いられていたシール材を交換する際は、硫黄モールド成形用金型を一旦成形機から取り外し、型合わせ面12に配設されたシール材を取り除き、このシール材が形成されていた部位にシリコン樹脂を配設し、硫黄モールド成形用金型ごと電気炉等に入れて、このシリコン樹脂が所望の形状となるように加熱埋込成形しなければならなかったが、本実施の形態の硫黄モールド成形用金型1によれば、その形状が合致するのであれば、市販のフッ素系樹脂を含有したOリング13を用いることができ、また、交換作業も成形機に取り付けたままで行うことができる。
【0036】上金型2と下金型3とを構成する材料としては、特に限定されることはないが、例えば、各種鋼材、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属又はこの金属を含む合金を好適に用いることができる。
【0037】また、本実施の形態においては、上金型2の型合わせ面12が溝8を有し、この溝8にOリング13が配設されてなることが好ましい。このように構成することによって、Oリング13を上金型2の型合わせ面12に容易に配設することができる。また、下金型3の型合わせ面12が溝8を有し、この溝8にOリングが配設されてなる構成としてもよい。
【0038】また、本実施の形態に用いられるOリング13が含有するフッ素系樹脂は、硫黄モールド成形用金型1の使用温度において安定した特性を有し、硫黄との反応性も低いことから、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムであることが好ましい。また、金型キャビティの気密性を確保することができるものであれば、Oリング13の形状及び大きさは、どのようなものであってもよい。
【0039】次に、本発明(第三の発明)の硫黄モールド成形用金型の一の実施の形態について説明する。本実施の形態の硫黄モールド成形用金型は、図3に示すように、二以上に分割された部分金型(図3においては、固定型としての下金型3と、下金型3上に上下動可能に対向配置された上金型2とからなる場合を示す)から構成され、この上金型2と下金型3との、対向する表面を構成する円弧状の金型キャビティ面11の面上には、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層4及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層5がこの順に積層されてなるとともに、型合わせ面12の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリング13が配設されてなることを特徴とする。
【0040】本実施の形態においては、金型キャビティ面11の面上に積層された下地層4及び表面層5は、図1に示した硫黄モールド成形用金型1に積層されたものと同様に構成されたものを好適に用いることができ、また、型合わせ面12の面上に配設されたフッ素系樹脂を含有したOリング13は、図2に示した硫黄モールド成形用金型1に配設されたものと同様に構成されたものを好適に用いることができる。
【0041】このように構成された硫黄モールド成形用金型1は、金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材6に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形した後に、成形した硫黄モールドを、この硫黄モールド成形用金型1から破損させることなく容易に取り外すことができるとともに、硫黄モールド成形用金型1のメンテナンスの作業性を向上させることができる。
【0042】上金型2と下金型3とを構成する材料としては、特に限定されることはないが、例えば、各種鋼材、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属又はこの金属を含む合金を好適例としてあげることができる。
【0043】本実施の形態においては、下地層4及び表面層5が、金型キャビティ面11の面上に積層された構成となっているが、上金型2と下金型3とが直接接触する型合わせ面12の面上まで延長して積層されていてもよい。
【0044】また、本実施の形態においては、下地層4の厚さが、5〜20μmであり、かつ表面層5の厚さが、10〜20μmであることが好ましい。下地層4の厚さが5μm未満であると、表面層5との密着性を向上させる効果を得ることができず、下地層4の厚さが20μmを超えると、下地層4が金型キャビティに対して保温材となり、金型キャビティに注入された溶融硫黄が凝固するまでに時間が掛かり、ランニングコストが嵩んでしまうことがある。また、表面層5の厚さが10μm未満であると、金型キャビティ面11や下地層4の表面粗さに対して薄すぎるために、滑らかな表面を有する表面層5を得ることができず、表面層5の厚さが20μmを超えると、表面層5が金型キャビティに対して保温材となり、金型キャビティに注入された溶融硫黄が凝固するまでに時間が掛かり、ランニングコストが嵩んでしまうことがある。
【0045】また、本実施の形態においては、下金型3の型合わせ面12が溝8を有し、この溝8にOリング13が配設されてなることが好ましい。このように構成することによって、Oリング13を下金型3の型合わせ面12に容易に配設することができる。
【0046】また、本実施の形態に用いられるOリング13が含有するフッ素系樹脂は、硫黄モールド成形用金型1の使用温度において安定した特性を有し、硫黄との反応性も低いことから、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムであることが好ましい。
【0047】これまでに、本発明(第一の発明〜第三の発明)の各実施の形態においては上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型について説明したが、上下2個に分割された構成に限定されることはなく、本発明の硫黄モールド成形用金型は、二以上に分割された部分金型から構成されたものであればよい。また、金型キャビテイの形状も、円弧状に限定されることはなく、ナトリウム−硫黄電池の硫黄モールドを成形するためのものであれば、どのような形状であってもよい。さらに、本発明の硫黄モールド成形用金型は、金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、下地層と表面層以外のものが積層されてなるものであってもよい。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】(実施例1)
プラスチック金型用鋼を材料とし、上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型を形成し、その金型キャビティ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる厚さ15μmの下地層、及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる厚さ15μmの表面層をこの順に積層した。また、型合わせ面の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂(フッ化ビニリデン系フッ素ゴム)製のOリング(JIS規格 Pシリーズ)を配設した。
【0050】このようにして構成された硫黄モールド成形用金型を用い、下金型の金型キャビティ面の面上に、導電素材としてカーボンフェルトを配設し、このカーボンフェルトに対して垂直に上金型を降下させて、金型キャビティ内でカーボンフェルトを成形した。この後、金型キャビティ内に、下金型に形成した注入孔から、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である、140℃に溶解した硫黄を注入し、成形したカーボンフェルトに含浸させて硫黄モールドを成形した。注入した硫黄の温度が80℃以下になったところで、金型キャビティから硫黄モールドを取り外した。本実施例の硫黄モールド成形用金型は、欠陥品を形成することなく約11000個の硫黄モールドを成形するまで、表面層に固着することがなく、金型からの硫黄の漏れだしもなかった。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】(実施例2)
プラスチック金型用鋼を材料とし、上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型を形成し、その金型キャビティ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる厚さ15μmの下地層、及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる厚さ15μmの表面層をこの順に積層した。また、型合わせ面の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、シリコン樹脂を埋込成形したシール材を配設した。
【0053】このようにして構成された硫黄モールド成形用金型を用い、実施例1と同様の方法で硫黄モールドを成形した。本実施例の硫黄モールド成形用金型は、欠陥品を形成することなく約5000個の硫黄モールドを成形したときにシール材部分から硫黄の漏れだしが発生した。しかしながら表面層に固着することはなかった。結果を表1に示す。
【0054】(比較例1)
プラスチック金型用鋼を材料とし、上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型を形成し、その金型キャビティ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる厚さ15μmの下地層、及びテトラフルオロエチレン樹脂からなる厚さ15μmの表面層をこの順に積層した。また、型合わせ面の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、シリコン樹脂を埋込成形したシール材を配設した。
【0055】このようにして構成された硫黄モールド成形用金型を用い、実施例1と同様の方法で硫黄モールドを成形した。本比較例の硫黄モールド成形用金型は、欠陥品を形成することなく約2000個の硫黄モールドを成形した時点で、表面層に硫黄モールドが固着し、さらに表面層が剥離してしまった。結果を表1に示す。
【0056】(比較例2)
プラスチック金型用鋼を材料とし、上金型と下金型とから構成された硫黄モールド成形用金型を形成し、その金型キャビティ面の面上に、テトラフルオロエチレン樹脂からなる厚さ15μmの下地層、及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる厚さ15μmの表面層をこの順に積層した。また、型合わせ面の面上には、金型キャビティの気密性を向上させるための、シリコン樹脂を埋込成形したシール材を配設した。
【0057】このようにして構成された硫黄モールド成形用金型を用い、実施例1と同様の方法で硫黄モールドを成形した。本比較例の硫黄モールド成形用金型は、欠陥品を形成することなく約3000個の硫黄モールドを成形した時点で、表面層に硫黄モールドが固着し、さらに表面層が剥離してしまった。結果を表1に示す。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、ナトリウム−硫黄電池(NAS電池)の陽極活物質である硫黄を含浸させた円筒状の硫黄モールドの離型性、金型キャビティ面の耐久性、及びメンテナンスの作業性に優れた硫黄モールド成形用金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(第一の発明)の一の実施の形態の硫黄モールド成形用金型を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明(第二の発明)の一の実施の形態の硫黄モールド成形用金型を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明(第三の発明)の一の実施の形態の硫黄モールド成形用金型を模式的に示す断面図である。
【図4】ナトリウム−硫黄電池の構造を模式的に示す断面図である。
【図5】従来の硫黄モールド成形用金型を用いて硫黄モールドを成形する工程を模式的に示す断面図(a)及び(b)である。
【符号の説明】
1…硫黄モールド成形用金型、2…上金型、3…下金型、4…下地層、5…表面層、6…導電素材、7…注入孔、8…溝、11…金型キャビティ面、12…型合わせ面、13…Oリング、28…隔壁管、29…硫黄モールド、30…負極端子、31…正極容器、32…正極端子、33…正極筒状金具、34…絶縁リング、35…固体電解質管、36…カートリッジ(ナトリウム保護管)、37…小孔、38…負極金具、39…負極蓋、41…硫黄モールド成形用金型、42…上金型、43…下金型、44…導電素材、45…注入孔。
Claims (11)
- 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、
少なくとも一の前記部分金型の、前記対向する表面を構成する金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層がこの順に積層されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型。 - 前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面が、その面粗さを増大させるための微小凹凸構造を備えてなり、前記微小凹凸構造を備えた前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、前記下地層及び前記表面層が積層されてなる請求項1に記載の硫黄モールド成形用金型。
- 前記下地層の厚さが、5〜20μmであり、かつ前記表面層の厚さが、10〜20μmである請求項1又は2に記載の硫黄モールド成形用金型。
- 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、
少なくとも一の前記部分金型の前記対向する表面を構成する型合わせ面の面上に、前記金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリングが配設されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型。 - 前記型合わせ面が溝を有し、前記溝に、前記Oリングが配設されてなる請求項4に記載の硫黄モールド成形用金型。
- 前記フッ素系樹脂が、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムである請求項4又は5に記載の硫黄モールド成形用金型。
- 二以上に分割された部分金型から構成され、それぞれの前記部分金型を型合わせしたときにそれぞれの対向する表面によって形成される金型キャビティ内で、ナトリウム−硫黄電池の陽極活物質である硫黄を導電素材に含浸させた所定形状の硫黄モールドを成形するために用いられる硫黄モールド成形用金型であって、
少なくとも一の前記部分金型の、前記対向する表面を構成する金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、フッ化エチレンプロピレン樹脂からなる下地層及びパーフルオロアルコキシ樹脂からなる表面層がこの順に積層されてなるとともに、少なくとも一の前記部分金型の前記型合わせ面の面上に、前記金型キャビティの気密性を向上させるための、フッ素系樹脂を含有したOリングが配設されてなることを特徴とする硫黄モールド成形用金型。 - 前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面が、その面粗さを増大させるための微小凹凸構造を備えてなり、前記微小凹凸構造を備えた前記金型キャビティ面及び/又は型合わせ面の面上に、前記下地層及び前記表面層が積層されてなる請求項7に記載の硫黄モールド成形用金型。
- 前記下地層の厚さが、5〜20μmであり、かつ前記表面層の厚さが、10〜20μmである請求項7又は8に記載の硫黄モールド成形用金型。
- 前記型合わせ面が溝を有し、前記溝に、前記Oリングが配設されてなる請求項7〜9のいずれか一項に記載の硫黄モールド成形用金型。
- 前記フッ素系樹脂が、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、及びテトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を原料とするフッ素ゴムである請求項7〜10のいずれか一項に記載の硫黄モールド成形用金型。
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