JP2004082006A - 液体消臭剤、その製造方法及び廃水管路の消臭方法 - Google Patents

液体消臭剤、その製造方法及び廃水管路の消臭方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004082006A
JP2004082006A JP2002247630A JP2002247630A JP2004082006A JP 2004082006 A JP2004082006 A JP 2004082006A JP 2002247630 A JP2002247630 A JP 2002247630A JP 2002247630 A JP2002247630 A JP 2002247630A JP 2004082006 A JP2004082006 A JP 2004082006A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wastewater
concentration
deodorizing
aqueous solution
ferric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002247630A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4098584B2 (ja
Inventor
Noriteru Ishii
石井 典輝
Yuji Tanimura
谷村 裕次
Taikaku Igarashi
五十嵐 太覚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nittetsu Mining Co Ltd
Original Assignee
Nittetsu Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nittetsu Mining Co Ltd filed Critical Nittetsu Mining Co Ltd
Priority to JP2002247630A priority Critical patent/JP4098584B2/ja
Publication of JP2004082006A publication Critical patent/JP2004082006A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4098584B2 publication Critical patent/JP4098584B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)

Abstract

【課題】廃棄物の鉄含有中和スラッジを原料とする消臭性能及び該持続性に優れ、全窒素量(T−N)が環境基準値を遙かに下回ることができる液体消臭剤、その製造方法及び消臭方法の提供。
【解決手段】濃度20wt%以上の硝酸で、温度60〜90℃において水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを溶解して、第2鉄がFe換算で7.1〜17wt%含有されており、NO/Feのモル比が2.3から3.0未満の範囲にある水溶液を調製し、これを浄化水中の全窒素含有量が10mg/L未満となる量で下水等の廃水中にポンプ場等で添加する。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第2鉄含有含水中和スラッジを鉄原料として活用する下水管路等の廃水管路用液体消臭剤、その製造方法及びそれを下水管路等に添加する廃水管路の消臭方法に関する。より詳しくは、製鉄所等の酸洗設備を備える各種工場又は鉄鉱山等からも排出される第2鉄含有含水中和スラッジを鉄原料として活用する、都市下水あるいはパルプ工場廃水等の硫黄化合物を含有する廃水を移送する配管あるいはその途中にある付帯施設等において、嫌気性雰囲気が形成され、硫化水素等が生成することにより発生する悪臭を抑制する廃水管路用液体消臭剤、その製造方法及びそれを廃水管路に添加する廃水管路の消臭方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸洗設備を備える製鉄所、焼き入れ工場、あるいは製線工場等の各種工場又は鉄鉱山等においては、第2鉄含有酸性廃水が発生し、これをそのまま排出放流することは、河川、海洋等を汚染し、また厳しい廃水規制も存在することから不可能である。そのため、この廃水は単独あるいは合併されて中和されるが、生成した鉄含有含水中和スラッジは、現状においては特に利用されることもなく通常廃棄物として処理されている。
【0003】
この廃棄処理されているスラッジは処理量も多く、また有害物等の廃棄処理は、規制も非常に厳しくなっており、その処分場の確保も一段と困難となっている。そのため、スラッジ中の鉄を有効活用し廃棄処理する量を少しでも低減させる技術の開発が望まれている。そのような中において、本発明者が所属する企業は下水処理の凝集剤であり、鉄を主成分とするポリ硫酸第2鉄を製造販売している。本発明者らは、このポリ硫酸第2鉄の製造に鉄または鉄化合物の廃物を活用し、低コストで製造し、低価額で販売提供することを既に提案しており、第2鉄含有中和スラッジについても同様の手法の採用を探るべくこの点に着目した。
【0004】
また、鉄の化合物である、第1鉄イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンの存在下で第1鉄イオンを第2鉄イオンに酸化して生成される、第2鉄イオン、硝酸イオン及び硫酸イオンから形成される液状複合体が、悪臭の原因物質の一つである硫化水素の発生抑制能が優れていることを本発明者らが見出し、既に脱臭剤として提案している(特開平11−206863号公報)。本発明者らは、この視点から該中和スラッジを活用する路を開拓する可能性について着目し検討した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、利用者の利便性及び簡便性と、製造の簡便性から第2鉄イオンと、1種の鉱酸イオンを含有する液状の消臭剤の製造を試みることにした。そのために、まず第2鉄含有含水中和スラッジに関し各種鉱酸による溶解を検討したところ、高濃度の硝酸については、常温では時間を要し溶解し難いが60℃以上の温度、好ましくは70以上の温度では、比較的短時間で溶解することが判明した。
【0006】
また、水酸化第2鉄の沈殿の古くなったものあるいは乾燥したものは、硝酸には溶け難いとされており(産業図書(株)発行、千谷利三著、「新版 無機化学(下巻)」、1188頁)、かつ硝酸第2鉄は鉄を20〜30%の硝酸で溶解することにより通常製造され(産業図書(株)発行、千谷利三著、「新版 無機化学(下巻)」、1203頁)、本発明者らが知る限り、硝酸で水酸化第2鉄を溶解することにより硝酸第2鉄を製造することが既知であるとの事実はない。以上のとおりではあるが、本発明者らの検討により、第2鉄含有含水中和スラッジは、高濃度の硝酸であっても60℃以上の温度では、比較的短時間で溶解することが前記したとおり判明した。
【0007】
さらに、その溶解度を検討したところ、常温においてはFeで15.4wt%であることが確認でき、ポリ硫酸第2鉄に匹敵する十分に実用性のある溶解度を有することが判明した。また消臭能についても検討したところ、少量でも充分な消臭性能を有し、かつ長時間持続することも確認できた。したがって、本発明は、従来効果的に利用されることがなく、廃棄処分も次第に難しくなっている第2鉄含有含水中和スラッジを有効利用して、廃水管路用液体消臭剤、その製造方法及び該消臭剤を使用する廃水管路の消臭方法を提供することを発明の解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
【0008】
【解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために廃水管路用液体消臭剤、その製造方法及び廃水管路の消臭方法を提供するものであり、その廃水管路用液体消臭剤は、濃度20wt%以上の硝酸で、温度60〜90℃において水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを溶解した、第2鉄がFe換算で7.1〜17wt%含有されており、NO/Feのモル比が2.3から3.0未満の範囲にある水溶液であることを特徴とする消臭性能の持続性に優れたものである。
【0009】
また、その製造方法は、濃度20wt%以上の硝酸で、温度60〜90℃において水酸化第2鉄含有中和含水スラッジを溶解する、第2鉄がFe換算で7.1〜17wt%含有されており、NO/Feのモル比が2.3から3.0未満の範囲にある水溶液であることを特徴とするものであり、得られた液体消臭剤は消臭性能の持続性に優れたものである。
【0010】
さらに、本発明の廃水管路の消臭方法は、濃度20wt%以上の硝酸で、温度60〜90℃において水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを溶解した、第2鉄がFe換算で7.1〜17wt%含有されており、NO/Feのモル比が2.3から3.0未満の範囲にある水溶液を、廃水管路に添加することを特徴とするものであり、それは消臭性能の持続性に優れたものである。
【0011】
そして、本発明では、製造原料が水酸化第2鉄含有含水中和スラッジであって、それを有効利用するものであるから、原料購入費用は不要であり、かつ廃棄物処分に伴う処分場確保等の各種問題を解消することができるので、製造コストを低減することができる。しかも、製造手段は加熱による溶解及び簡易な固液分離手段であるろ過のみであるから、簡便でかつ製造コストも極めて低いものである。
【0012】
また、製造された消臭剤は液体であるから、地方自治体等が管理する下水処理場で利用されており、本出願人企業が製造販売する凝集剤のポリ硫酸第2鉄と同様に溶解操作が不要であり簡便に利用することができる。しかも、その消臭剤は、硫化水素及びメチルメルカプタン等による悪臭の発生を抑制でき、特に強腐食性の悪臭ガスで、かつ人体にも悪影響を与える硫化水素の発生を長期間抑制することができる。その結果一度投入することにより長い距離の下水流路において失活することがないので頻繁に投入する必要もなく利用性に優れたものである。
【0013】
この硫化水素は、嫌気性雰囲気(水中に酸素分子も硝酸イオンも存在しない状態)において、下水中に溶存している硫酸塩が硫酸塩還元菌により還元され生成するものであり、また生成した硫化水素は水中においてHS(分子状態)、HS、S2−(イオン状態)の状態で存在し、気中への放散はすべて分子状態で起こり、その存在比はpHが低くなると高くなる。最近では、下水管路に圧送管も普及してきており、この圧送管及びポンプますでは、特に滞留時間も長く、腐蝕が激しく、その対策が望まれており、本発明の消臭剤は存続時間も長く有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態及びその詳細について説明するが、本発明は、それらによって限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0015】
本発明における製造原料は、水酸化第2鉄含有含水中和スラッジであり、水酸化第2鉄が存在する含水中和スラッジであれば特に制限されることなく使用できる。それには、酸洗設備を備える製鉄所、焼き入れ工場、あるいは製線工場等の各種工場又は鉄鉱山等において発生する各種の第2鉄含有酸性廃水を中和する際に副生するものがある。
【0016】
これらの工場あるいは鉄鉱山等においては、スケールの除去工程で発生する酸洗排水あるいは鉄鉱山排水等の酸性排水中には、第2鉄が含有され、かつ酸性であることから、そのまま排出放流することは、河川、海洋等を汚染し、また厳しい廃水規制も存在することから不可能である。そのため、これらの廃水は単独あるいは合併されて中和処理されるが、生成した鉄含有中和スラッジは、水酸化第2鉄を含有するものであり、これが本発明の製造原料として利用できる。
【0017】
本発明では、この中和スラッジは、温度60〜90℃において溶解するものであり、この温度で溶解処理することにより、2〜4時間程度の比較的短時間で溶解することができる。その理由は、60℃未満で溶解を行うと同じ溶解時間では溶解率の低下により残渣が多く生じ高濃度の鉄溶液が得られないためであり、90℃を超える温度になると加熱によるNOの発生が急激に増大する場合があるからである。また本発明では、溶解は温度75〜85℃で行うのが好ましく、この範囲で溶解を行うことにより2時間程度の短時間で溶解できると同時に加熱によるNOの発生も回避できるからである。
【0018】
この溶解に使用する装置については、特に制限されることはなく、各種のものが使用でき、それにはステンレスあるいはガラス製で攪拌機付きの溶解装置等が例示できる。また、溶解の際の加熱についても、特に制限されることはなく、各種のものが使用でき、それには投げ込み式の電気ヒータ、溶解槽への蒸気投入ジャケット付設、あるいはチューブ型熱交換器付設等が例示できる。
【0019】
この水酸化第2鉄の硝酸による溶解に関しては、該第2鉄の沈殿の古くなったものあるいは乾燥したものは溶け難いとされており、かつ硝酸第2鉄の製造は鉄を20〜30%の硝酸で溶解することにより通常行われていることからして、本発明者らが知る限り、硝酸で水酸化第2鉄を溶解することにより硝酸第2鉄を製造することが既知であるとの事実はない。以上のとおりではあるが、本発明者らが鋭意努力した結果、第2鉄含有含水中和スラッジが高濃度の硝酸であっても60℃以上の温度では比較的短時間で溶解することが前記したとおり判明した。
【0020】
この硝酸による水酸化第2鉄の溶解量に関しては、ポリ硫酸第2鉄に匹敵する十分実用性のある溶解度を有することが判明した。具体的には、濃度60wt%硝酸の硝酸を使用して溶解した場合のFeの常温における溶解量は161g/Lであることが確認できた。さらに、中和スラッジを硝酸で溶解した水溶液中の硝酸根と鉄のモル比、すなわちNO/Feのモル比が2.74であることが確認でき、かつ使用した硝酸濃度が15%〜60%の間では2.47〜2.74であることも確認できた。これらの結果は、表1及び表2に示すとおりであるが、それのことに関して後に詳記する。
【0021】
本発明で製造された液体消臭剤は、第2鉄濃度がFe換算で7.1〜17wt%含有されていることが必要であり、またNO/Feのモル比が2.3から3.0未満の範囲にあることが必要であり、好ましくは2.5〜2.8の範囲にあるのがよい。前者の理由は、常温付近では第2鉄がFe換算で17wt%を超える濃度では溶解しないからであり、かりに多少温度を上昇させて無理に溶解させても温度低下した場合には沈殿が発生するからである。逆に下限の7.1未満ではFeの濃度が低く、有効成分である鉄の単位量当たりの輸送コストが高くなり実用性に欠けるからである。
【0022】
また、NO/Feのモル比を2.3から3.0未満の範囲としたのは、この範囲であれば十分溶解可能で、かつ実用上差し支えないからである。上限の3.0を超えると硝酸の量が過剰となり酸性度が強くなり過ぎるからである。逆に下限の2.3未満となると、鉄の量が過剰になって沈殿が生じ易くなり溶液が不安定となるためである。また、前記した2.5〜2.8の範囲が好ましいのは、溶液の安定性及び添加時のpH低下を小さくするのに適当だからである。なお、このモル比が硝酸第2鉄のモル比である3未満であることは意外であった。
【0023】
本発明で製造された液体消臭剤は、下水等の廃水管路に添加されて使用されるものであり、本願明細書において下水管路あるいは廃水管路とは、下水管あるいは廃水管本体を意味することは勿論であるが、それに付帯するそれら管の途中に設置されている圧送ポンプ、ポンプマス、あるいはポンプ場施設全体等も含む意味のものである。
【0024】
使用する対象の廃水については、都市下水、製紙(パルプ)工場廃水、食品工場廃水、屎尿処理場あるいは化学工場廃水等が例示できるが、これらに限られるものではなく、要は硫黄化合物を含有する廃水を移送する配管あるいはその途中にある付帯施設等において、嫌気性雰囲気になった際に硫酸塩還元菌の働きにより発生し、悪臭及び腐蝕の原因となる硫化水素又はメチルメルカプタンの発生する廃水なら区別なく使用できる。
【0025】
なお、廃水中における硫化水素の発生は、嫌気性雰囲気(水中に酸素分子も硝酸イオンも存在しない状態)において、下水中に溶存している硫酸塩が硫酸塩還元菌により還元され生成するとされている。また、生成した硫化水素は、水中においてHS(分子状態)、HS、S2−(イオン状態)の状態で存在し、気中への放散はすべて分子状態でおこり、その存在比はpHが低くなると高くなるとされている。
【0026】
その液体消臭剤の添加量については、下水等の廃水にポンプ場等での添加後の全窒素濃度が1〜200mg/Lになるようにして使用するのがよく、好ましくは3〜70mg/Lになるように添加するのがよい。この程度の添加量では、終末処理場で浄化処理されるまでには雨水等で希釈されるので、浄化処理後浄化水が放出される際には、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素等の全窒素濃度は、環境基準値の10mg/L以下となっており、この消臭剤の添加は何等不利益を及ぼさない。
【0027】
本発明で製造された液体消臭剤は、消臭性能が持続性に優れており、24時間以上消臭能を維持できることを本発明者らは確認している。下水管路の長さには50km以上の例もあるが、その持続性は、多くの場合一旦ポンプ場で添加すれば、終末処理場まで消臭性能を存続することができるものであり、優れたものである。
【0028】
【実施例】
以下に、本発明の実施例にも該当する溶解試験及び消臭性能試験を示すが、本発明は、これら試験によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって把握されるものであることはいうまでもない。
【0029】
[溶解試験]
亜酸化窒素触媒酸化法を用いた排水処理を行っている硫化鉄鉱山において、酸化処理法により生じた排水中の第2鉄(Fe3+)を凝集・中和沈殿することにより排出された水酸化第2鉄含有中和スラッジを用いて溶解を行った。その際には温度75〜80℃にされた各種濃度の硝酸に該スラッジを撹拌しながら添加し、添加後も該温度を維持すると共に撹拌を継続した。溶解開始から2時間経過後直ちに濾過を行った。溶液と残渣とを分離し、Fe及びNOを含有する水溶液を得た。またその水溶液の成分分析を行い、各濃度の硝酸による水酸化第2鉄含有含水中和スラッジの溶解量を測定した。なお、前記濾別時の溶液温度は約60℃であり、前記成分分析時及び測定時の温度は常温であった。また残渣は水洗後乾燥重量を測定して溶解率を測定した。
【0030】
その際の硝酸の使用量は300gであり、水酸化第2鉄含有含水中和スラッジ中のFe含有量は23wt%である。また、溶解に使用した硝酸の重量%濃度及びモル濃度、並びに水酸化第2鉄含有含水中和スラッジの使用重量及び該スラッジ中のFeのモル量は表1に示すとおりである。この表1のNo.1は、濃度60wt%の硝酸に、鉄含有量23wt%の水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを231.5g(鉄の含有モル量0.95モル)添加して溶解実験を行ったことを示すものである。
【0031】
【表1】
Figure 2004082006
【0032】
前記水溶液の成分分析の結果は表2に示すとおりであり、溶解率の測定結果は表3に示すとおりである。その成分分析の結果によれば、No.1の溶解実験では、第2鉄は161g/L(Fe)溶解し、溶解液中のFe換算濃度は15.2wt%であることがわかる。さらに、その溶解率が99.51wt%であることも表3から把握できる。また、その溶液中の硝酸根(NO)の濃度は表2から、489g/Lで、かつ32.3wt%であることがわかる。
【0033】
【表2】
Figure 2004082006
【0034】
【表3】
Figure 2004082006
【0035】
そして、得られた水溶液中のNOとFeのモル比、すなわちNO/Feのモル比は、使用した硝酸15%から60%の範囲の広範な濃度範囲において、約2.4〜2.8の値となることも判明した。この値は硝酸第2鉄におけるNO/Feのモル比の3より低い値であり、意外であった。このモル比が3未満であることからすると、得られた水溶液はポリ硫酸第2鉄の場合のような特殊な化合物となっていることを予測させるが現在のところ確認するには至っていない。なお、表2におけるNO/Feのモル比は、前記水溶液中のNOとFeの各モル量を測定し、その両モル量から算出したものである。
【0036】
これらの結果に基づいて、常温における水酸化第2鉄含有含水中和スラッジの最大溶解量を求めるべく、濃度60wt%の硝酸を前記No.1の使用量より多量の480gを用い、かつ該スラッジの採取量より多量の370gを採取して実施例1と同様に溶解実験を行った。その際には加熱温度は実施例1と同様に75〜80℃に加熱し、溶解時間は十分に溶解するように、実施例1の2時間より長い4時間とした。溶解後常温(20℃)に冷却した後、未溶解残渣及び溶解後析出した沈殿を濾別した。その結果、硝酸による水酸化第2鉄の最大溶解量は、鉄量で196g/Lであり、Fe換算で17wt%であることが判明した。
【0037】
[消臭性能試験]
本発明の液体消臭剤を用いて硫化水素及びメチルメルカプタンに対する消臭性能試験を行った。比較のために消臭能を有することが既知の化合物であるポリ硫酸第2鉄及び硝酸カルシウムについても、本発明の液体消臭剤と同様の試験を実施した。その試験は300mLの三角フラスコに下水汚泥100mLを採取し、以下のとおり行った。
【0038】
すなわち、そのフラスコ中の前記汚泥に、本発明の液体消臭剤、ポリ硫酸第2鉄及び硝酸カルシウムの3物質の水溶液を添加量が500ppmになるように添加する。該添加後密閉し1分間振とうする。各物質の水溶液を添加した試料は、各物質毎に同一のものを複数個形成し、一定時間経過毎にガス検知管にて三角フラスコ中のガス濃度を測定する。
【0039】
その際使用した3物質の水溶液の有効成分の濃度は、以下のとおりである。
本発明の液体消臭剤:161g/L(T−Fe)
ポリ硫酸第2鉄:160g/L(T−Fe)
硝酸カルシウム:180g/L(Ca)
なお、比較のために無添加のものについても消臭性能試験を行った。
【0040】
消臭性能試験の結果は表4及び表5に示すとおりである。これらの表によれば、本発明の液体消臭剤は、消臭能力及びその持続性の両者において、他の物質を使用した場合に比し極めて優れていることがわかる。本発明の液体消臭剤は、硫化水素及びメチルメルカプタンの両臭気化合物に対する消臭能力及びその持続性の両者において優れているが、特に硫化水素に対する消臭性能及び持続性が他の物質を使用した場合に比し極端に優れていることがわかる。
【0041】
【表4】
Figure 2004082006
【0042】
【表5】
Figure 2004082006
【0043】
すなわち、本発明の液体消臭剤の硫化水素に対する消臭性能についてみると、硫化水素濃度は添加直後240ppmであり、2時間後に7ppmに激減し、12時間後にはゼロになり、24時間後もゼロが維持されていることがわかる。それに対し、無添加では当初から本発明の消臭剤の場合の2倍の480ppmであり、2時間後に倍増し、その後の12時間後及び24時間後もほぼ同程度の濃度を維持していることがわかる。
【0044】
ポリ硫酸第2鉄を使用した場合には、硫化水素濃度は添加直後220ppmで本発明の消臭剤を使用した場合より低く、2時間後には添加直後より30%程度減少するが、12時間後には添加直後より増加し、24時間後には更に増加している。また、硝酸カルシウムを使用した場合には、硫化水素濃度は添加直後390ppmで本発明の消臭剤を使用した場合より相当高いものの、ポリ硫酸第2鉄を使用した場合とは異なり時間が経過するに従い次第に該濃度は低下する。
【0045】
メチルメルカプタンに対する消臭性能についてみると、表5によれば、メチルメルカプタンは、後に詳記するとおり硫化水素に比較すると、もともと発生量が極端に少ないが、本発明の液体消臭剤を使用した場合には、添加直後からメチルメルカプタン濃度が次第に低下することがわかる。それに対して硝酸カルシウムを使用した場合には該濃度に変化がなく一定であり、ポリ硫酸第2鉄を使用した場合及び無添加の場合には時間が経過すると共に増加することがわかる。
【0046】
前記したとおり、表5によれば、メチルメルカプタンについては、ブランクすなわち前記各物質の無添加の場合には、測定開始直後のメチルメルカプタンの濃度は5ppmであり、硫化水素の無添加の同様の場合の約1/100であり、下水汚泥からのメチルメルカプタンの発生量は、硫化水素の発生量に比し、もともと極端に低いことがわかる。
【0047】
本発明の液体消臭剤が、窒素規制の環境基準許容値未満で十分に消臭性能を発現するものであることを以下に詳記する。
長野市の下水処理設備において、本発明の液体消臭剤をポンプ場で添加した場合を例にして、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素等の全窒素濃度の環境基準値10mg/Lを充分にクリアできることを述べる。
【0048】
平成12年度版「下水道統計」((社)日本下水道協会発行)によれば、長野市の下水処理設備において下水管に設置されたポンプ場は7カ所であり、その年間圧送実績は1,500,000m/年で、ここから圧送された下水等を処理する下水処理場である東部浄化センターの処理実績は85,000m/日であり、これを年間処理実績に換算すると31,025,000m/年(85000m/日×365=31,025,000)となる。
【0049】
これは前記ポンプ場における年間圧送実績の約20倍であり(20.68倍=31,025,000m/日÷1,500,000m/年)、ポンプ場で添加された本発明の液体消臭剤は、下水処理場で処理された後の浄化水中では約20倍に希釈されていることになる。前記した処理実績に基づいて、前記表2のNo.1の本発明の液体消臭剤(T−Fe161g/L、NO489g/L)をポンプ場で各種濃度となるように添加した場合の浄化水中における全窒素濃度を算出すると表7に示すとおりである。なお前記No.1の各種成分濃度は表6に示すとおりである。
【0050】
【表6】
Figure 2004082006
【0051】
【表7】
Figure 2004082006
【0052】
その表7によれば、前記No.1の本発明の液体消臭剤を下水に対して500mg/Lの濃度となるように添加した場合には、全窒素量(T−N)は、ポンプ場における下水中では36.4mg/Lで、下水処理で浄化処理された後の浄化水中では、1.8mg/Lであり、環境基準値を遙かに下回ることがわかる。該液体消臭剤の添加量が増加するに従い浄化水中における全窒素量(T−N)が次第に増加するが、2500mg/Lでも、環境基準値未満の8.8mg/Lであることがわかる。
【0053】
そして、前記した消臭性能試験によれば、前記No.1(T−Fe161g/L、NO489g/)の本発明の液体消臭剤を下水に対して500mg/Lの濃度となるよう添加すれば、硫化水素及びメチルメルカプタンに対し充分な消臭性能を有することが示されており、かつその5倍のもの量をポンプ場で下水に添加しても、浄化処理後の浄化水中における全窒素量は環境基準値内のものである。したがって、本発明は充分に実用性のある液体消臭剤を提供することができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、第2鉄含有中和スラッジを鉄原料として利用するものであるから、廃棄物の有効利用を図りかつ製造コストの低減を図ることができる。しかも廃棄物の処分場確保などの各種問題も解消することができる。さらに、製造された消臭剤は液体であるから、地方自治体等が管理する下水処理場で利用する際にポリ硫酸第2鉄と同様に溶解操作が不要であり簡便に利用することができる。
【0055】
そして、本発明の消臭剤は、悪臭の原因である硫化水素及びメチルメルカプタンの発生を少量で抑制することができ、かつ持続することできる。特に悪臭の原因で人体にも悪影響を与える強腐食性のガスである硫化水素の発生を少量で抑制でき、かつ長期間持続することができる。そのため一度投入することにより長い距離の下水流路において失活することがないので頻繁に投入する必要もなく利用性に優れたものである。
【0056】
また、本発明の液体消臭剤(T−Fe161g/L、NO489g/)は、悪臭の発生しやすい環境であるポンプ場で下水に対して500mg/Lの濃度となるように添加すれば、消臭能が十分あり、かつ24時間持続するものである。しかも、この程度の量のポンプ場における添加では、下水処理で浄化処理された後の浄化水中では、全窒素量(T−N)は、1.8mg/Lであり、環境基準値を遙かに下回ることができる優れたものである。

Claims (8)

  1. 濃度20wt%以上の硝酸で、温度60〜90℃において水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを溶解した、第2鉄がFe換算で7.1〜17wt%含有されており、NO/Feのモル比が2.3から3.0未満の範囲にある水溶液であることを特徴とする消臭性能の持続性に優れた廃水管路用液体消臭剤。
  2. 前記水溶液が廃水添加直後において廃水中での全窒素濃度が1〜200mg/Lになるように添加されるものである請求項1記載の廃水管路用液体消臭剤。
  3. 前記水溶液が浄化水中の全窒素含有量が10mg/L未満となるように廃水中に添加されるものである請求項1又は2記載の廃水管路用液体消臭剤。
  4. 濃度20wt%以上の硝酸で、温度60〜90℃において水酸化第2鉄含有中和含水スラッジを溶解する、第2鉄がFe換算で7.1〜17wt%含有されており、NO/Feのモル比が2.3から3.0未満の範囲にある水溶液であることを特徴とする消臭性能の持続性に優れた廃水管路用液体消臭剤の製造方法。
  5. 前記溶解後の残渣を分離する請求項4記載の廃水管路用液体消臭剤の製造方法。
  6. 濃度20wt%以上の硝酸で、温度60〜90℃において水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを溶解した、第2鉄がFe換算で7.1〜17wt%含有されており、NO/Feのモル比が2.3から3.0未満の範囲にある水溶液を廃水管路に添加することを特徴とする消臭性能の持続性に優れた廃水管路の消臭方法。
  7. 前記水溶液が廃水添加直後において廃水中での全窒素濃度が1〜200mg/Lになるように添加される請求項6記載の廃水管路の消臭方法。
  8. 前記水溶液が浄化水中の全窒素含有量が10mg/L未満となるように添加される請求項6又は7記載の廃水管路の消臭方法。
JP2002247630A 2002-08-27 2002-08-27 液体消臭剤、その製造方法及び廃水管路の消臭方法 Expired - Lifetime JP4098584B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002247630A JP4098584B2 (ja) 2002-08-27 2002-08-27 液体消臭剤、その製造方法及び廃水管路の消臭方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002247630A JP4098584B2 (ja) 2002-08-27 2002-08-27 液体消臭剤、その製造方法及び廃水管路の消臭方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004082006A true JP2004082006A (ja) 2004-03-18
JP4098584B2 JP4098584B2 (ja) 2008-06-11

Family

ID=32055226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002247630A Expired - Lifetime JP4098584B2 (ja) 2002-08-27 2002-08-27 液体消臭剤、その製造方法及び廃水管路の消臭方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4098584B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011212537A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Nittetsu Mining Co Ltd 水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを製造原料とする消臭剤及びその製造方法
CN115259562A (zh) * 2022-08-04 2022-11-01 恩格拜(武汉)生态科技有限公司 一种气浮浮渣污泥调理方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011212537A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Nittetsu Mining Co Ltd 水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを製造原料とする消臭剤及びその製造方法
CN115259562A (zh) * 2022-08-04 2022-11-01 恩格拜(武汉)生态科技有限公司 一种气浮浮渣污泥调理方法
CN115259562B (zh) * 2022-08-04 2024-01-23 恩格拜(武汉)生态科技有限公司 一种气浮浮渣污泥调理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4098584B2 (ja) 2008-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5948269A (en) Process for the removal and suppression of dissolved hydrogen sulfide and other malodorous compounds and reduction of acidity in liquid and sludge wastewater systems
US4108771A (en) Elimination of odors from organic wastes
JPH0655183A (ja) 硫化物含有水の臭気抑制用の組成物及び方法
US10835860B2 (en) Treatment of hydrogen sulfide gas under aerobic conditions
Yin et al. Simultaneous removal of hydrogen sulfide, phosphate and emerging organic contaminants, and improvement of sludge dewaterability by oxidant dosing in sulfide-iron-laden sludge
JP6172838B2 (ja) 汚水の処理方法
JP2008184470A (ja) 低温安定性に優れる重金属処理剤およびそれを用いた重金属処理方法
Othman et al. Suppressing dissolved hydrogen sulfide in a sewer network using chemical methods
WO2004080562A2 (en) Chemical treatment for control of sulfide odors in waste materials
CA1062447A (en) Elimination of odors from organic wastes
JP4098584B2 (ja) 液体消臭剤、その製造方法及び廃水管路の消臭方法
CN114555531A (zh) 用于处理废水的组合物和方法
Einarsen et al. Biological prevention and removal of hydrogen sulphide in sludge at Lillehammer wastewater treatment plant
JP4813609B2 (ja) 水酸化第2鉄含有含水中和スラッジを製造原料とする消臭剤及びその製造方法
Hao et al. Development of cost-effective and long-lasting integrated technology for H 2 S control from sludge in wastewater treatment plants
JP2000185290A (ja) 消臭方法
JP2004216252A (ja) 汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法
JP3842421B2 (ja) 脱臭剤及び脱臭性凝集剤
KR100495764B1 (ko) 펜톤산화처리용 철 촉매의 제조방법 및 이에 의해 제조된산화철 촉매의 용도
JP2000140893A (ja) 汚泥の処理方法および装置
JP2004077169A (ja) 液体中の残留物質算出方法とそれを用いる処理方法及び薬剤注入制御装置
JP3889507B2 (ja) 消臭機能を有する凝集剤
JP2006326587A (ja) 液状複合体の製造方法
JP3685230B2 (ja) 汚泥処理方法
Wang et al. Halogenation and disinfection

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080311

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080313

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4098584

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140321

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term