JP2004080444A - ビタビ復号装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに相関のあるべき要素を含む入力信号系列をビタビ復号する際に、枝メトリックの計算精度を向上させる。
【解決手段】符号化率が1/N(Nは2以上の整数)であり、Nビットの出力のうち、少なくとも2ビットの値の間に互いに相関があるよう畳み込み符号化されて送信された信号系列を最尤復号するビタビ復号装置であって、入力信号の相関関係があるべき要素のうち、少なくとも1つの要素の値を、その相関関係を用いて補正する入力補正部10と、期待値生成部11からの期待値と入力補正部10からの補正後の入力信号とに基づいて枝メトリックを計算する枝メトリック計算部13とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】符号化率が1/N(Nは2以上の整数)であり、Nビットの出力のうち、少なくとも2ビットの値の間に互いに相関があるよう畳み込み符号化されて送信された信号系列を最尤復号するビタビ復号装置であって、入力信号の相関関係があるべき要素のうち、少なくとも1つの要素の値を、その相関関係を用いて補正する入力補正部10と、期待値生成部11からの期待値と入力補正部10からの補正後の入力信号とに基づいて枝メトリックを計算する枝メトリック計算部13とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、畳み込み符号化された信号系列を最尤復号にて復号するビタビ(Viterbi)復号装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
畳み込み符号化されたデータ系列を効率よく復号する手段として、従来よりビタビ復号がよく用いられている。図8は、欧州電気通信標準化機構(ETSI)にてETSI300401として規格化されている欧州DAB(Digital Audio Broadcasting)放送(以下、DABとする)の送信時の符号化において用いられている畳み込み符号器であり、その符号化率は1/4で、入力1ビットに対して上から順にx1、x2、x3、x4の4ビットの信号を出力する。ここで、x1とx4は同じ値となる。DABではこれら畳み込み符号化後の4ビットの値が、さらにパンクチャ処理され、インターリーブ処理され、OFDM変調されて伝送される。受信側では受信信号を復調し、デインターリーブ処理を行い、デパンクチャ処理を経てビタビ復号を行い、復号信号系列を得る。
【0003】
以下、従来のビタビ復号について、図面を参照しながら説明する。
図9は、図8に示す畳み込み符号器にて符号化された畳み込み符号をビタビ復号する従来のビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
図9において、従来のビタビ復号装置は、期待値生成部11と、パスメトリック記憶部12と、枝メトリック計算部13と、ACS(Add Compare Select)部14と、パス選択情報記憶部15と、最尤状態判定部16と、復号出力部17とを備える。
【0004】
期待値生成部11は、畳み込み符号器のとり得る各状態について、2つ存在する直前状態からの状態遷移に対応する2つの期待値を生成して出力する。パスメトリック記憶部12は、畳み込み符号器のとり得る各状態に対応するパスメトリックを記憶する。枝メトリック計算部13は、期待値生成部11から出力された2つの期待値について、入力信号とそれぞれの期待値との差を計算することにより、各状態について2つの枝メトリックを計算する。ACS部14は、パスメトリック記憶部12から読み出したパスメトリックと、枝メトリック計算部13から出力された枝メトリックとを入力とし、パスメトリックと枝メトリックとを加算することにより各状態について2つの新しいパスメトリックを求める。そして、その2つの新しいパスメトリックを比較し、パスメトリックの小さいパスを生き残りパスとして各状態について選択し、パス選択後の各状態ごとのパスメトリックを最尤状態判定部16に出力するとともにパスメトリック記憶部12に記憶させる。また、各状態についての2つの直前状態のうち、いずれを選択したか、すなわち選択後の生き残りパスを示すパス選択情報をパス選択情報記憶部15に記憶させる。パス選択情報記憶部15は、ACS部14からのパス選択情報を記憶する。最尤状態判定部16は、ACS部14によるパス選択後の各状態ごとのパスメトリックに基づいて、最も尤度の高い状態、すなわちパスメトリックが最小となる状態を最尤状態と判定する。復号出力部17は、最尤状態判定部16による判定結果と、パス選択情報記憶部15に記憶されているパス選択情報とに基づいて、復号処理を行い、復号信号系列を出力する。
【0005】
次に、従来のビタビ復号装置の動作について説明する。
受信信号は、復調処理、デインターリーブ処理を施されて、枝メトリック計算部13に入力信号として入力される。ここで、枝メトリック計算部13において、メトリックは軟判定により求められることとする。そして、その動作の理解を容易にするため、入力信号の各要素はそれぞれ4ビットに量子化されており、0から15までの整数値をとるとする。本来、デジタル信号では0と1しか値をとり得ないため、ノイズの重畳により受信側で0と1との間の値を受信した場合には、一般には“0”か“1”を受信したと判断されるが、4ビットに量子化されている場合には、0から15までのいずれかの整数値を受信したと判断されることとなる。なお、畳み込み符号器の期待値は、0か1であるが、入力信号の各要素が4ビットに量子化されていることにあわせ、畳み込み符号器の出力が0の場合は期待値0とし、畳み込み符号器の出力が1の場合は期待値15とする。
【0006】
また、畳み込み符号器の出力を{x1,x2,x3,x4}、対応する入力信号を<y1,y2,y3,y4>、期待値を[z1,z2,z3,z4]と表記する。さらに、パスメトリック記憶部12で記憶されている各状態のパスメトリックの初期値はすべて0であるとする。
【0007】
以下、送信側の畳み込み後の信号が{0,0,0,0}であり、伝送路でノイズが重畳され、ビタビ復号装置への入力信号が<2,3,2,8>となった場合を考える。
図10は、直前状態から状態0、1への遷移を示すトレリス線図である。
まず、状態0に対する処理が行われる。状態0の直前状態は状態0と状態1の2状態であるので、期待値生成部11は畳み込み符号器の出力から期待値を求め、次のように出力する。状態0から状態0への遷移の場合には、図8で示される畳み込み符号器の各遅延器のタップはすべて0であるため、畳み込み符号器の出力は{0,0,0,0}となる。したがって、状態0から状態0への遷移の場合の第1の期待値として[0,0,0,0]が出力される。一方、状態1から状態0への遷移の場合には、畳み込み符号器の各遅延器のうち、一番右側の遅延器の出力のみが1であり、それ以外のタップはすべて0であるため、畳み込み符号器の出力は{1,1,1,1}となる。したがって、状態1から状態0への遷移の場合の第2の期待値として[15,15,15,15]が出力される。
【0008】
次に、枝メトリック計算部13において、入力信号<2,3,2,8>と第1の期待値[0,0,0,0]との差が集計され、枝メトリックとしてbm0=|2−0|+|3−0|+|2−0|+|8−0|=15 が出力される。また、入力信号<2,3,2,8>と第2の期待値[15,15,15,15]との差が集計され、枝メトリックとしてbm1=|15−2|+|15−3|+|15−2|+|15−8|=45 が出力される。
【0009】
枝メトリック計算部13から出力された枝メトリックbm0、bm1は、ACS部14に入力され、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態0及び状態1のパスメトリックであるpm0、pm1とそれぞれ加算される。いま、処理開始直後であるためpm0=pm1=0である。そして、bm0とpm0の和をpmb0とし、bm1とpm1の和をpmb1として、両者を比較して直前状態を選択する。pmb0=15であり、pmb1=45であるのでpmb0<pmb1となり、状態0の直前状態としてメトリック値の小さい状態0の方が確からしいと判断される。その結果、状態0の直前状態として状態0を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、pmb0が状態0の新しいパスメトリックとして最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。ここで、パス選択情報記憶部15に書き込まれるパス選択情報としては、例えば、選択した直前状態の最下位ビット(LSB、すなわち図8の一番右側の遅延器の出力)が用いられる。ある状態に対する2つの直前状態は、最下位ビットが異なるだけであるため、その最下位ビットのみを記憶しておけば、どのパスを選択したかを判別できるからである。
【0010】
次に、状態1について、状態0における処理と同様の処理を行う。
まず、2つの直前状態から状態1への遷移におけるそれぞれの期待値が期待値生成部11で求められる。図10で示すように、状態1の直前状態としては状態2と状態3がある。それぞれの状態から状態1への状態遷移に対応する畳み込み符号器の出力値は{1,0,0,1}と{0,1,1,0}であるので、状態2、状態3から状態1への遷移の期待値として、それぞれ[15,0,0,15]と、[0,15,15,0]が出力される。
【0011】
次に、枝メトリック計算部13において、状態2からの遷移の枝メトリックbm2と、状態3からの遷移の枝メトリックbm3とが計算され、bm2=|15−2|+|0−3|+|0−2|+|15−8|=25と、bm3=|0−2|+|15−3|+|15−2|+|0−8|=35 とが出力される。その枝メトリックbm2とbm3は、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態2、状態3に対応するパスメトリックpm2、pm3とそれぞれ加算される。pm2、pm3はともに初期値0であるため、新しいパスメトリック候補はpmb2=pm2+bm2=25、pmb3=pm3+bm3=35となる。両者を比較すると、pmb2<pmb3であるので、状態1の直前状態として状態2の方が確からしいと判断され、状態2を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、pmb2が状態1の新しいパスメトリックとして最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。
【0012】
このようにして、図10のトレリス線図における実線で示されるように、状態0、状態1の直前状態として、それぞれ状態0、状態2が選択される。この一連の処理が、畳み込み符号器の取りうる状態である状態2から状態63までに対して同様に行なわれ、全状態(状態0〜63)のパスメトリックがパスメトリック記憶部12に記憶される。さらに、この処理が繰り返されることにより、各状態のそれぞれのパスメトリックが累計されていく。
【0013】
ACS部14から出力される各状態のパスメトリックは最尤状態判定部16により監視されており、ある時点で最もパスメトリックの小さい状態が最尤状態として判定され、最尤状態を示す情報、すなわち状態0〜63のうち、どの状態が最尤状態であるかを示す情報が出力される。
【0014】
最尤状態判定部16から出力された最尤状態を示す情報は復号出力部17に入力され、復号出力部17において、その最尤状態に対応する生き残りパスがパス選択情報記憶部15に記憶されているパス選択情報に基づいて求められる。そして、求められたパスに対応する信号系列が、復号信号系列として出力される。例えば、パス選択情報記憶部15に、各状態ごとに選択した直前状態の最下位ビットが記録されている場合には、該最下位ビットは、畳み込み符号器の入力信号が該畳み込み符号器に含まれる遅延器の個数だけ遅延された信号であるので、パス選択情報記憶部15に記憶されているデータのうち、最尤状態に対応して記憶されている信号系列が、そのまま最尤状態へ至る状態遷移における入力信号系列であり、この信号系列を復号信号系列として出力することができる。このようにしてビタビ復号が行われる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ビタビ復号では、入力信号と期待値との差である枝メトリックの値が累積されて最尤状態の判定に用いられるため、枝メトリックの計算精度が復号精度に大きく影響する。ここで、伝送路においてノイズが重畳された入力信号は、0から15までの範囲に一様に分布するのではなく、図11に示すように元の値に近いほど発生する確率が高くなるように分布する傾向がある。さらに畳み込み符号化された信号のうち、x1とx4のように同一となる要素については双方とも同様の分布を示す。
【0016】
しかしながら、上述した従来のビタビ復号装置では、枝メトリックの計算時に、本来同一であるべき要素x1と要素x4との関係を考慮せずに入力信号の値をそのまま用いて期待値との差を計算するため、重畳されたノイズ成分が補正されずに用いられてしまい、復号精度が悪いという問題があった。
【0017】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、入力信号のうち、所定の要素間に存在すべき相関関係を考慮してビタビ復号処理を行うことにより、精度の高い復号処理を行うことができるビタビ復号装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によるビタビ復号装置は、符号化率が1/N(Nは2以上の整数)であり、Nビットの符号化出力のうち少なくとも2ビットの値の間に互いに相関があるよう畳み込み符号化されたNビットの入力信号よりなる信号系列を最尤復号するビタビ復号装置であって、上記入力信号のNビットの値のうち、相互に相関があるべき要素の少なくとも1つを、その相関関係を用いて補正する入力補正部と、その補正後の入力信号に対して、ビタビ復号処理を行うビタビ復号処理部とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記ビタビ復号処理部は、畳み込み符号器のとり得る各状態に関する遷移ごとに期待値を生成する期待値生成部と、前記期待値生成部からの期待値と前記入力補正部からの補正後の入力信号とに基づいて枝メトリックを計算する枝メトリック計算部と、畳み込み符号器のとり得る各状態に対応するパスメトリックを記憶するパスメトリック記憶部と、前記パスメトリック記憶部から読み出したパスメトリックと、前記枝メトリック計算部により計算された枝メトリックとを加算し、その加算結果を比較することにより各状態ごとの生き残りパスを選択し、パス選択後の各状態ごとのパスメトリックを出力するとともに前記パスメトリック記憶部に記憶させ、パス選択後の生き残りパスを示すパス選択情報を出力するACS部と、前記ACS部から出力されたパス選択情報を記憶するパス選択情報記憶部と、前記ACS部から出力されたパスメトリックに基づいて、最尤状態を判定する最尤状態判定部と、前記最尤状態判定部による判定結果と、前記パス選択情報記憶部に記憶されているパス選択情報とに基づいて、復号信号系列を出力する復号出力部とを有することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記入力補正部は、前記期待値生成部により生成された期待値を受け取り、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、対応する期待値の要素に一番近い要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、前記入力補正部は、前記入力信号の第1の要素から、期待値の第1の要素を減算する第1の減算器と、前記入力信号の第2の要素から、期待値の第1の要素を減算する第2の減算器と、前記第1及び第2の減算器による減算結果を比較する比較器と、該比較器による比較結果に基づいて、前記第1及び第2の要素のうち、期待値の第1の要素に近い方を選択し、該選択した要素の値を、前記第1及び第2の要素の共通の値として出力する選択器とを有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記入力補正部は、入力信号の相関のあるべき各要素が、期待値のうち小さい方の値以上であり、第1のしきい値未満である第1の範囲、あるいは該第1のしきい値以上の値である第2のしきい値より大きく、期待値のうち大きい方の値以下である第2の範囲のどちらかに、それぞれ含まれる場合、前記第1の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち小さい方の値に補正し、前記第2の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち大きい方の値に補正して出力することを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記第1のしきい値と、前記第2のしきい値とが等しいことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、前記入力補正部は、前記入力信号の第1及び第2の要素と、前記第1のしきい値とを比較する第1の比較器と、前記入力信号の第1及び第2の要素と、前記第2のしきい値とを比較する第2の比較器と、前記第1の比較器による比較の結果、前記第1及び第2の要素が前記第1のしきい値より小さいときには、期待値のうち小さい方の値を選択して補正後の第1及び第2の要素として出力し、前記第2の比較器による比較の結果、前記第1及び第2の要素が前記第2のしきい値より大きいときには、期待値のうち大きい方の値を選択して補正後の第1及び第2の要素として出力し、それ以外のときには、前記入力信号の第1及び第2の要素をそのまま出力する選択器とを有することを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、入力信号の各要素のうち、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入し、そのダミー挿入後の入力信号と、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとを出力するデパンクチャ部をさらに備え、前記入力補正部は、前記デパンクチャ部によりダミーの挿入された入力信号と、前記パンクチャパターンとを入力とし、該パンクチャパターンに基づいて、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、ダミーである要素を、ダミーでない要素を用いて補正するものであり、前記枝メトリック計算部は、前記入力補正部からの補正後の入力信号のうち、ダミーである要素は考慮に入れないで枝メトリックを計算するものであることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、前記入力補正部は、前記パンクチャパターンに基づいて、入力信号の第1及び第2の要素がダミーであるか否かを判断し、入力信号の第1の要素がダミーでなく、入力信号の第2の要素がダミーのときには、該第2の要素を該第1の要素で置き換えて出力し、入力信号の第2の要素がダミーでなく、入力信号の第1の要素がダミーのときには、該第1の要素を該第2の要素で置き換えて出力することを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、該第1の要素はパンクチャ処理されずに送信されるものであり、前記入力補正部は、前記パンクチャパターンに基づいて、入力信号の第2の要素がダミーであるか否かを判断し、入力信号の第2の要素がダミーのときには、入力信号の第1の要素を選択し、入力信号の第2の要素がダミーでないときには、入力信号の第2の要素を選択して、その選択した要素を補正後の信号の第2の要素として出力することを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1によるビタビ復号装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態1によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施の形態1によるビタビ復号装置は、入力補正部10と、期待値生成部11と、パスメトリック記憶部12と、枝メトリック計算部13と、ACS部14と、パス選択情報記憶部15と、最尤状態判定部16と、復号出力部17とを備える。なお、入力補正部10以外の構成は従来例と同様であり、その説明を省略する。
【0029】
図2は、本実施の形態1による入力補正部10の構成を示すブロック図である。
入力補正部10は、入力信号の相関のあるべき要素のうち、対応する期待値の要素に一番近い要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正するものであり、入力信号の2つの要素のそれぞれと、期待値生成部11からの所定の期待値との減算を行う減算器21、22と、減算器21、22におけるそれぞれの減算結果の絶対値の大小を比較する比較器23と、比較器23の比較結果に基づいて、入力信号の2つの要素のうち、どちらかを選択するセレクタ24とを有する。
【0030】
以上のように構成された本実施の形態1によるビタビ復号装置について、以下、その動作を説明する。
入力信号については、従来例と同様にDABにおける畳み込み符号を想定する。したがって、畳み込み符号器の出力のうち、第1の要素と第4の要素とは同一となる。さらに畳み込み符号器の出力を{x1,x2,x3,x4}、入力信号を<y1,y2,y3,y4>、期待値を[z1,z2,z3,z4]と表記する点についても、従来例と同様とする。送信側の畳み込み後のデータが{0,0,0,0}であり、伝送路でノイズが重畳され、ビタビ復号装置への入力信号として<y1,y2,y3,y4>=<2,3,2,8>が与えられた場合を考える。
【0031】
状態0の直前状態は状態0と状態1の2状態であるので、状態0及び状態1から状態0への遷移における各期待値として、従来例と同様に第1の期待値[0,0,0,0]と、第2の期待値[15,15,15,15]とが期待値生成部11から出力される。
【0032】
入力補正部10の動作について説明する。まず、第1の期待値を用いて入力信号の補正が行われる。入力信号<2,3,2,8>のうち、同一となるべき要素である第1の要素y1=2と、第4の要素y4=8が、それぞれ減算器21、22に入力される。そして、減算器21、22において、それぞれの要素の値と第1の期待値[0,0,0,0]の第1の要素e1=0との差、及び第1の期待値[0,0,0,0]の第4の要素e4=0との差がそれぞれ計算され、第1の要素と期待値との差である“2”、及び第4の要素と期待値との差である“8”が出力される。ここで、DAB規格では期待値の第1の要素e1と第4の要素e4とは等しいため、減算器22では、第4の要素e4の代わりに、第1の要素e1を用いている。
【0033】
次に、比較器23において、減算器21、22からの出力“2”と“8”のそれぞれの絶対値の大小が比較され、減算器21からの出力“2”の方が、減算器22からの出力“8”よりも小さいという結果が出力される。この場合、図11から分かるように、入力信号の第1の要素の方が第4の要素よりも確からしいと判断されるため、その比較器23の比較結果に基づいて、セレクタ24は、第1及び第4の要素のうち、対応する期待値の要素に近い方の要素、すなわち期待値との差の小さい方の要素を選択する。したがって、第1の要素y1=2がセレクタ24により選択され、補正後の第1の要素z1、及び第4の要素z4として出力される。このようにして、第4の要素の値が第1の要素の値である2に置き換えられて、第1の補正入力信号として<2,3,2,2>が出力される。
【0034】
次に、入力補正部10において、同様にして第2の期待値を用いて入力信号の補正が行われる。入力信号<2,3,2,8>のうち、同一となるべき要素である第1の要素y1=2と、第4の要素y4=8とのそれぞれと、第2の期待値[15,15,15,15]の第1の要素e1=15との差が計算され、第1の要素と期待値との差である“−13”及び第4の要素と期待値との差である“−7”が出力される。次に、これら2つの出力の絶対値の大小が比較される。この場合、第4の要素と期待値との差の絶対値の方が小さいので、セレクタ24で第4の要素“8”が選択される。この結果、第1の要素の値が第4の要素の値である8に置き換えられ、第2の補正入力信号として<8,3,2,8>が出力される。
【0035】
次に、枝メトリック計算部13において、入力補正部10から出力された第1の補正入力信号<2,3,2,2>と第1の期待値[0,0,0,0]とから、第1の枝メトリック値bm0=|2−0|+|3−0|+|2−0|+|2−0|=9が計算され、出力される。また、第2の補正入力信号<8,3,2,8>と第2の期待値[15,15,15,15]とから、第2の枝メトリック値bm1=|15−8|+|15−3|+|15−2|+|15−8|=39が計算され、出力される。
【0036】
その枝メトリックbm0、bm1は、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態0及び状態1のパスメトリックであるpm0、pm1とそれぞれ加算される。いま、処理開始直後であるためpm0=pm1=0である。したがって、pm0とbm0の和pmb0は、pmb0=9となり、pm1とbm1の和pmb1は、pmb1=39となる。両者を比較すると、pmb0<pmb1となり、状態0の直前状態として状態0の方が確からしいと判断され、直前状態として状態0を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、状態0に対する新しいパスメトリックとしてpmb0=9が最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。
【0037】
以上で状態0に対する処理が終わり、次に状態1に対する処理が行われる。状態1の直前状態は状態2と状態3であり、状態2、状態3からの遷移の期待値は、それぞれ第1の期待値[15,0,0,15]と、第2の期待値[0,15,15,0]となる。
【0038】
入力信号<2,3,2,8>の第1の要素2と、第1の期待値の第1の要素15との差は“−13”であり、入力信号<2,3,2,8>の第4の要素8と、第1の期待値の第1の要素15との差は“−7”である。同様に入力信号<2,3,2,8>の第1の要素2と、第2の期待値の第1の要素0との差は“2”であり、入力信号<2,3,2,8>の第4の要素8と、第2の期待値の第1の要素0との差は“8”である。したがって、第1の補正入力信号として<8,3,2,8>が出力され、第2の補正入力信号として<2,3,2,2>が出力される。
【0039】
次に、枝メトリック計算部13において、第1の補正入力信号、及び第2の補正入力信号のそれぞれと、第1の期待値、及び第2の期待値との差の絶対値の和である枝メトリックbm2=|15−8|+|0−3|+|0−2|+|15−8|=19、bm3=|0−2|+|15−3|+|15−2|+|0−2|=29 が計算され、出力される。
【0040】
その枝メトリックbm2、bm3は、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態2及び状態3のパスメトリックであるpm2、pm3とそれぞれ加算される。いま、処理開始直後であるためpm2=pm3=0である。したがって、pm2とbm2の和pmb2は、pmb2=19となり、pm3とbm3の和pmb3は、pmb3=29となる。両者を比較すると、pmb2<pmb3となり、状態1の直前状態として状態2の方が確からしいと判断され、直前状態として状態2を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、状態1に対する新しいパスメトリックとしてpmb0=19が最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。
【0041】
この一連の処理が、畳み込み符号器の取りうる状態である状態2から状態63までに対して同様に行われ、全状態(状態0〜63)のパスメトリックがパスメトリック記憶部12に記憶される。さらにこの処理を繰り返すことにより、各状態それぞれのパスメトリックが累計されていく。
【0042】
ACS部14から出力される各状態のパスメトリックに対してなされる最尤状態の判定、及びその判定結果に基づいてなされる復号信号系列の出力については、従来例と同様であり、その説明を省略する。
【0043】
以上のように、本実施の形態1によるビタビ復号装置によれば、入力信号の第1の要素から、期待値の第1の要素を減算する減算器21と、入力信号の第4の要素から、期待値の第1の要素を減算する減算器22と、減算器21、22による減算結果を比較する比較器23と、その比較結果に基づいて、第1及び第4の要素のうち、期待値の第1の要素に近い方を選択し、その選択した要素の値を、第1及び第4の要素の共通の値として出力するセレクタ24とを有する入力補正部10を備え、入力信号の第1及び第4の要素の相関関係を用いて、そのどちらかの要素を補正し、その補正後の入力信号に基づいて枝メトリックを計算することで、枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0044】
なお、補正入力信号の計算において、差の絶対値を比較器23で比較すると説明したが、差の絶対値と同様の大小関係を有する計算方法、例えば二乗誤差の計算などを用い、その計算結果を比較器23で比較するようにしてもよい。
また、入力補正部10を2つ備えるようにすることで、ある状態に対して存在する2つの直前状態(例えば、状態0の直前状態である状態0と状態1)に関する補正入力信号の計算を並列して行うようにしてもよい。
【0045】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2によるビタビ復号装置について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態2によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
図3において、本実施の形態2によるビタビ復号装置は、期待値生成部11と、パスメトリック記憶部12と、枝メトリック計算部13と、ACS部14と、パス選択情報記憶部15と、最尤状態判定部16と、復号出力部17と、入力補正部20とを備える。なお、入力補正部20以外の構成は実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0046】
図4は、本実施の形態2による入力補正部20の構成を示すブロック図である。
入力補正部20は、入力信号の相関のあるべき各要素が、期待値のうち小さい方の値e1=0以上であり、しきい値s1未満である第1の範囲、あるいはしきい値s2より大きく、期待値のうち大きい方の値e2=15以下である第2の範囲のどちらかに、それぞれ含まれる場合、しきい値s1未満である各要素をe1に補正し、しきい値s2より大きい各要素をe2に補正して出力するものであり、比較器301〜304と、AND回路305、306と、セレクタ307〜310とを有する。ここで、第1のしきい値s1と、第2のしきい値s2との間には、s1≦s2の関係があるものとする。
【0047】
比較器301は、入力信号の第1の要素y1としきい値s1との大小を比較する。そして、y1<s1のときにはHレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。比較器302は、入力信号の第4の要素y4としきい値s1との大小を比較する。そして、y4<s1のときにはHレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。
【0048】
比較器303は、入力信号の第1の要素y1としきい値s2との大小を比較する。そして、y1>s2のときにはHレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。比較器304は、入力信号の第4の要素y4としきい値s2との大小を比較する。そして、y4>s2のときにはHレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。
【0049】
セレクタ307は、AND回路305からの選択信号がHレベルのときには第1の補正値候補e1を選択し、選択信号がLレベルのときには入力信号の第1の要素y1を選択する。セレクタ308は、AND回路305からの選択信号がHレベルのときには第1の補正値候補e1を選択し、選択信号がLレベルのときには入力信号の第4の要素y4を選択する。
【0050】
セレクタ309は、AND回路306からの選択信号がHレベルのときには第2の補正値候補e2を選択し、選択信号がLレベルのときにはセレクタ307の出力を選択する。セレクタ310は、AND回路306からの選択信号がHレベルのときには第2の補正値候補e2を選択し、選択信号がLレベルのときにはセレクタ308の出力を選択する。ここで、第1の補正値候補e1と、第2の補正値候補e2との間には、e1<e2の関係があり、第1の補正値候補e1は期待値のとり得る小さい方の値であり、第2の補正値候補e2は期待値のとり得る大きい方の値であるとする。したがって、本実施の形態2では、e1=0であり、e2=15である。
【0051】
以上のように構成された本実施の形態2によるビタビ復号装置について、以下、その動作を説明する。
入力信号は、実施の形態1と同様にDABにおける畳み込み符号の場合を想定し、各信号の表記は実施の形態1の説明で用いたものと同様とする。また、入力信号は<y1,y2,y3,y4>=<1,3,2,2>とし、第1のしきい値s1を3、第2のしきい値s2を12とする。
【0052】
まず、実施の形態1と同様に、状態0の直前状態である状態0及び状態1から状態0への遷移における各期待値として、第1の期待値[0,0,0,0]と、第2の期待値[15,15,15,15]とが期待値生成部11から出力される。
【0053】
次に、入力補正部20の動作について説明する。入力信号<1,3,2,2>のうち、同一となるべき要素である第1の要素y1=1、及び第4の要素y4=2について、第1のしきい値s1、及び第2のしきい値s2との比較が比較器301〜304により行われる。その比較の結果、y1、y4はともに第1のしきい値s1=3より小さいため、比較器301、302の出力はHレベルとなり、AND回路305の出力もHレベルとなる。また、y1、y4はともに第2のしきい値s2=12より小さいため、比較器303、304の出力はLレベルとなり、AND回路306の出力もLレベルとなる。
【0054】
したがって、セレクタ307、308は、それぞれ第1の補正値候補e1=0を選択して出力する。また、セレクタ309、310は、それぞれセレクタ307、308の出力する第1の補正値候補e1=0を選択して出力する。なお、入力信号のうち互いの要素と同一となるべき関係がない第2の要素y2と、第3の要素y3はそのまま出力される。このように、上記の場合、y1、y4はともに第1のしきい値s1よりも期待値(第1の補正値候補)e1に近いことから、畳み込み符号器の出力は両者ともにe1=0であったことが確からしいと判断されるため、補正入力信号として<z1,z2,z3,z4>=<0,3,2,0>が入力補正部20から出力される。
【0055】
次に、枝メトリック計算部13において、入力補正部20から出力された補正入力信号<0,3,2,0>と、第1の期待値[0,0,0,0]とから、第1の枝メトリック値bm0=|0−0|+|3−0|+|2−0|+|0−0|=5が計算され、補正入力信号<0,3,2,0>と、第2の期待値[15,15,15,15]とから、第2の枝メトリック値bm1=|15−0|+|15−3|+|15−2|+|15−0|=55が計算され、それぞれ出力される。
【0056】
その枝メトリックbm0、bm1は、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態0及び状態1のパスメトリックであるpm0、pm1とそれぞれ加算される。いま処理開始直後であるためpm0=pm1=0である。したがって、pm0とbm0の和pmb0は、pmb0=5となり、pm1とbm1の和pmb1は、pmb1=55となる。両者を比較すると、pmb0<pmb1となり、状態0の直前状態として状態0の方が確からしいと判断され、直前状態として状態0を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、状態0に対する新しいパスメトリックとしてpmb0=5が最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。
【0057】
この一連の処理が、畳み込み符号器の取りうる状態である状態1から状態63までに対して同様に行われ、全状態(状態0〜63)のパスメトリックがパスメトリック記憶部12に記憶される。さらにこの処理が繰り返されることにより、各状態それぞれのパスメトリックが累計されていく。
【0058】
ACS部14から出力される各状態のパスメトリックに対してなされる最尤状態の判定、及びその判定結果に基づいてなされる復号信号系列の出力については、従来例と同様であり、その説明を省略する。
【0059】
以上のように、本実施の形態2によるビタビ復号装置によれば、入力信号の第1及び第4の要素と、しきい値s1、s2とを比較する比較器301〜304と、比較器301〜304による比較の結果、第1及び第4の要素がしきい値s1より小さいときには、第1の補正値候補e1を選択して補正後の第1及び第4の要素として出力し、第1及び第4の要素がしきい値s2より大きいときには、第2の補正値候補e2を選択して補正後の第1及び第4の要素として出力し、それ以外のときには、入力信号の第1及び第4の要素をそのまま補正後の第1及び第4の要素として出力するセレクタ307〜310とを有する入力補正部20を備えたことで、入力信号の第1及び第4の要素に関する相関関係を用いて枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0060】
なお、入力信号の補正において、第1のしきい値と第2のしきい値とが異なる値である場合について説明したが、第1のしきい値と第2のしきい値とは共通の値であってもよい。両者を共通の値とすることで、入力補正部における比較器及びAND回路の個数を半分にすることができ、回路規模を減少させることができる。
【0061】
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3によるビタビ復号装置について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態3によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【0062】
図5において、本実施の形態3によるビタビ復号装置は、期待値生成部11と、パスメトリック記憶部12と、ACS部14と、パス選択情報記憶部15と、最尤状態判定部16と、復号出力部17と、デパンクチャ部40と、入力補正部41と、枝メトリック計算部42とを備える。なお、デパンクチャ部40、入力補正部41、及び枝メトリック計算部42以外の構成は実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0063】
デパンクチャ部40は、パンクチャ処理された信号系列を入力とし、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入する。そして、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとともに、ダミーを挿入した信号を出力する。
【0064】
入力補正部41は、デパンクチャ部40からの入力信号を受け取り、その入力信号のうち同一となるべき各要素の一部がダミーである場合に、ダミーでない要素を用いてダミーである要素の値を補正し、その補正にあわせてパンクチャパターンも補正し、その補正後の補正入力信号と補正パンクチャパターンとを出力する。
【0065】
ここで、本実施の形態3においても、畳み込み符号化はDAB規格に基づいて、第1の要素と第4の要素とが同一となるように行われているものとする。また、パンクチャルールについても、同様にDAB規格に基づいているものとする。すなわち、第1の要素はパンクチャ処理されずに送信されるものとする。また、パンクチャパターンは、その各要素の値が0の場合には対応する入力信号の要素がダミーであり、1の場合にはダミーでないものとする。
【0066】
このようにDAB規格に準拠している場合には、入力信号の第1の要素がダミーであることはないため、入力補正部41の構成は、図6で示されるようになる。図6において、入力補正部41は、第4の要素のパンクチャパターンp4に基づいて、第4の要素y4がダミーであるとき(すなわち、p4=0のとき)には入力信号の第1の要素y1を選択し、第4の要素y4がダミーでないとき(すなわち、p4=1のとき)には第4の要素y4を選択するセレクタ51を有する。
【0067】
枝メトリック計算部42は、期待値生成部11からの期待値と、入力補正部41からの補正入力信号と、補正パンクチャパターンとを入力とし、補正入力信号の各要素のうち、ダミーである要素については、その要素と期待値との差が0であるとし、ダミーでない要素については、実施の形態1で説明したように、その要素と期待値との差の絶対値を求め、それらを加算することにより枝メトリックを計算する。
【0068】
以上のように構成された本実施の形態3によるビタビ復号装置について、以下、その動作を説明する。なお、各信号の表記は、実施の形態1の説明で用いたものと同様とする。
デパンクチャ部40に信号が入力されると、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーが挿入され、4つの要素を有する信号として出力される。また、デパンクチャ部40からは、その信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンも出力される。
【0069】
以下、デパンクチャ部40から出力された信号が<y1,y2,y3,y4>=<10,3,0,0>であり、パンクチャパターンが<p1,p2,p3,p4>=<1,1,0,0>である場合について説明する。すなわち、この場合には第3の要素y3と、第4の要素y4とがダミーである。そのデパンクチャ処理後の信号とパンクチャパターンとは、入力補正部41に入力される。
【0070】
まず、実施の形態1と同様に、状態0の直前状態である状態0及び1から状態0への遷移の場合の期待値として、第1の期待値[0,0,0,0]と第2の期待値[15,15,15,15]とが期待値生成部11から出力される。
【0071】
次に、入力補正部41の動作について説明する。デパンクチャ部40からの入力信号<y1,y2,y3,y4>と、パンクチャパターン<p1,p2,p3,p4>との各要素うち、同一となるべき関係のない要素であるy2,y3は、それぞれ対応するパンクチャパターンの要素p2,p3とともにそのまま出力される。一方、同一となるべき要素に該当する第1の要素y1と第4の要素y4のうち、DAB規格では、y1は必ずパンクチャされていない要素であるので、y1は対応するパンクチャパターンの要素p1とともにそのまま出力される。最後に、ダミーである可能性があるy4は、ダミーであるか否かによって出力が変化する。いま、第4の要素y4に対応するパンクチャパターンp4の値が0であるので、その結果、セレクタ51はy1=10を選択し、セレクタ51の出力z4は10となる。
【0072】
したがって、入力補正部41からは、補正入力信号として<z1,z2,z3,z4>=<10,3,0,10>が出力され、補正パンクチャパターンとして<p1b,p2b,p3b,p4b>=<1,1,0,1>が出力される。
【0073】
次に、枝メトリック計算部42において、入力補正部41から出力された補正入力信号<10,3,0,10>と、補正パンクチャパターン<1,1,0,1>とを用いて、次のように枝メトリックが計算される。対応するパンクチャパターンの要素の値が1の要素については、期待値との差の絶対値が求められ、対応するパンクチャパターンの要素の値が0の要素については、期待値との差の絶対値が常に0であるとされる。具体的には、第1の期待値[0,0,0,0]から第1の枝メトリックbm0=|10−0|+|3−0|+0+|10−0|=23が計算され、第2の期待値[15,15,15,15]から第2の枝メトリックbm1=|15−10|+|15−3|+0+|15−10|=22が計算され、それぞれ出力される。
その後、枝メトリック計算部42の出力する枝メトリックを用いて、実施の形態1と同様にビタビ復号処理が行われる。
【0074】
以上のように、本実施の形態3によるビタビ復号装置によれば、入力信号の各要素のうち、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入し、そのダミー挿入後の入力信号と、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとを出力するデパンクチャ部40と、デパンクチャ部40によりダミーの挿入された入力信号と、パンクチャパターンとを入力とし、そのパンクチャパターンに基づいて、入力信号の相関のあるべき要素のうち、ダミーである要素を、ダミーでない要素を用いて補正する入力補正部41と、入力補正部41からの補正後の入力信号のうち、ダミーである要素は考慮に入れないで枝メトリックを計算する枝メトリック計算部42とを備えたことで、枝メトリックの計算に寄与しないダミーである要素を、枝メトリックの計算に寄与しうるダミーでない要素に置き換える補正を行うことができ、枝メトリックの精度を向上させることができ、結果として、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0075】
なお、上記説明では、入力信号の第1の要素がダミーとはならないDAB規格の場合について説明したが、入力信号の第1及び第4の要素は同一の値となる関係を有しているが、第1の要素がダミーとなりうる場合についても、図7で示すように入力補正部41を構成することで、入力信号の補正を行うことができる。図7において、セレクタ61及び62は、AND回路から入力される選択信号がHレベルのときにそれぞれy1、y4を選択し、Lレベルのときにそれぞれy4、y1を選択する。したがって、この入力補正部41では、入力信号の第1の要素y1がダミーでなく、第4の要素y4がダミーのときには、y4をy1で置き換えて出力し、入力信号の第4の要素y4がダミーでなく、第1の要素y1がダミーのときには、y1をy4で置き換えて出力することとなる。
【0076】
また、本実施の形態3では、入力信号において同一の値となるべき要素の個数が2個であり、一方がダミーでなく他方がダミーとなりうる場合について説明したが、入力信号において同一の値となるべき要素の個数が3個以上であってもよい。すなわち、その同一の値となるべき要素の少なくとも1つがダミーでなく、残りの要素のうち少なくとも1つがデパンクチャ処理に起因するダミーである場合に、そのダミーである要素の値をダミーでない要素の代表値で置き換えるように入力信号の要素を補正するようにしてもよい。ここで、ダミーでない要素が1つの場合には、その要素の値をダミーでない要素の代表値として用いるが、ダミーでない要素が複数ある場合には、それらの要素の平均値、最大値、最小値などをその代表値としてもよく、あるいはダミーでない複数の要素と期待値との関係に基づいて、その代表値を求めてもよい。
【0077】
また、上記各実施の形態において、畳み込み符号に存在する相関関係として互いに同一の値となる場合について説明したが、互いに逆の関係である場合(例えば、一方が“0”であれば、他方が“1”となる場合)や、同一と逆の関係を交互に繰り返す場合などについても、その相関関係に応じて入力補正部を構成することで、同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、上記各実施の形態によるビタビ復号装置のうち、プログラム制御により実現可能な構成については、ハードウェアで構成してもよく、あるいはプログラム制御のソフトウェアで構成してもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によるビタビ復号装置によれば、符号化率が1/N(Nは2以上の整数)であり、Nビットの符号化出力のうち少なくとも2ビットの値の間に互いに相関があるよう畳み込み符号化されたNビットの入力信号よりなる信号系列を最尤復号するビタビ復号装置であって、上記Nビットの入力信号の相関があるべき要素のうち、少なくとも1つの要素を、その相関関係を用いて補正する入力補正部と、その補正後の入力信号に対して、ビタビ復号処理を行うビタビ復号処理部とを備えたことで、入力信号の各要素間に存在する相関関係を用いて入力信号を補正することにより枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0080】
また、本発明によるビタビ復号装置によれば、前記ビタビ復号装置において、前記入力補正部が、前記期待値生成部により生成された期待値を受け取り、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、対応する期待値の要素に一番近い要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正することで、入力信号の相関のあるべき要素のうち、その分布状況と期待値との関係により最も確からしいと判断される要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正することとなり、枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0081】
また、本発明によるビタビ復号装置によれば、前記ビタビ復号装置において、前記入力補正部は、入力信号の相関のあるべき各要素が、期待値のうち小さい方の値以上であり、第1のしきい値未満である第1の範囲、あるいは該第1のしきい値以上の値である第2のしきい値より大きく、期待値のうち大きい方の値以下である第2の範囲のどちらかに、それぞれ含まれる場合、前記第1の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち小さい方の値に補正し、前記第2の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち大きい方の値に補正して出力することで、入力信号の相関のあるべき要素としきい値とを比較して、それら相関のあるべき要素を確からしい期待値に補正することとなり、枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0082】
また、本発明によるビタビ復号装置によれば、前記ビタビ復号装置において、前記第1のしきい値と、前記第2のしきい値とを等しくすることで、前記入力補正部の回路規模を削減することができる効果が得られる。
【0083】
また、本発明によるビタビ復号装置によれば、前記ビタビ復号装置において、入力信号の各要素のうち、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入し、そのダミー挿入後の入力信号と、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとを出力するデパンクチャ部をさらに備え、前記入力補正部は、前記デパンクチャ部によりダミーの挿入された入力信号と、前記パンクチャパターンとを入力とし、該パンクチャパターンに基づいて、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、ダミーである要素を、ダミーでない要素を用いて補正するものであり、前記枝メトリック計算部は、前記入力補正部からの補正後の入力信号のうち、ダミーである要素は考慮に入れないで枝メトリックを計算するものであることで、入力信号の各要素間に存在する相関関係を用いて、入力信号のダミーである要素をダミーでない要素を用いて補正することとなり、枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるビタビ復号装置における入力補正部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態2によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2によるビタビ復号装置における入力補正部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態3によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態3によるビタビ復号装置における入力補正部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態3によるビタビ復号装置における入力補正部の構成を示すブロック図である。
【図8】欧州DAB規格の畳み込み符号器の構成を示す図である。
【図9】従来のビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【図10】直前状態から状態0、1への遷移を示すトレリス線図である。
【図11】入力信号の分布の一例を示す図である。
【符号の説明】
10、20、41 入力補正部
11 期待値生成部
12 パスメトリック記憶部
13、42 枝メトリック計算部
14 ACS部
15 パス選択情報記憶部
16 最尤状態判定部
17 復号出力部
21、22 減算器
23、301〜304 比較器
24、51、61、62、307〜310 セレクタ
40 デパンクチャ部
305、306 AND回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、畳み込み符号化された信号系列を最尤復号にて復号するビタビ(Viterbi)復号装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
畳み込み符号化されたデータ系列を効率よく復号する手段として、従来よりビタビ復号がよく用いられている。図8は、欧州電気通信標準化機構(ETSI)にてETSI300401として規格化されている欧州DAB(Digital Audio Broadcasting)放送(以下、DABとする)の送信時の符号化において用いられている畳み込み符号器であり、その符号化率は1/4で、入力1ビットに対して上から順にx1、x2、x3、x4の4ビットの信号を出力する。ここで、x1とx4は同じ値となる。DABではこれら畳み込み符号化後の4ビットの値が、さらにパンクチャ処理され、インターリーブ処理され、OFDM変調されて伝送される。受信側では受信信号を復調し、デインターリーブ処理を行い、デパンクチャ処理を経てビタビ復号を行い、復号信号系列を得る。
【0003】
以下、従来のビタビ復号について、図面を参照しながら説明する。
図9は、図8に示す畳み込み符号器にて符号化された畳み込み符号をビタビ復号する従来のビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
図9において、従来のビタビ復号装置は、期待値生成部11と、パスメトリック記憶部12と、枝メトリック計算部13と、ACS(Add Compare Select)部14と、パス選択情報記憶部15と、最尤状態判定部16と、復号出力部17とを備える。
【0004】
期待値生成部11は、畳み込み符号器のとり得る各状態について、2つ存在する直前状態からの状態遷移に対応する2つの期待値を生成して出力する。パスメトリック記憶部12は、畳み込み符号器のとり得る各状態に対応するパスメトリックを記憶する。枝メトリック計算部13は、期待値生成部11から出力された2つの期待値について、入力信号とそれぞれの期待値との差を計算することにより、各状態について2つの枝メトリックを計算する。ACS部14は、パスメトリック記憶部12から読み出したパスメトリックと、枝メトリック計算部13から出力された枝メトリックとを入力とし、パスメトリックと枝メトリックとを加算することにより各状態について2つの新しいパスメトリックを求める。そして、その2つの新しいパスメトリックを比較し、パスメトリックの小さいパスを生き残りパスとして各状態について選択し、パス選択後の各状態ごとのパスメトリックを最尤状態判定部16に出力するとともにパスメトリック記憶部12に記憶させる。また、各状態についての2つの直前状態のうち、いずれを選択したか、すなわち選択後の生き残りパスを示すパス選択情報をパス選択情報記憶部15に記憶させる。パス選択情報記憶部15は、ACS部14からのパス選択情報を記憶する。最尤状態判定部16は、ACS部14によるパス選択後の各状態ごとのパスメトリックに基づいて、最も尤度の高い状態、すなわちパスメトリックが最小となる状態を最尤状態と判定する。復号出力部17は、最尤状態判定部16による判定結果と、パス選択情報記憶部15に記憶されているパス選択情報とに基づいて、復号処理を行い、復号信号系列を出力する。
【0005】
次に、従来のビタビ復号装置の動作について説明する。
受信信号は、復調処理、デインターリーブ処理を施されて、枝メトリック計算部13に入力信号として入力される。ここで、枝メトリック計算部13において、メトリックは軟判定により求められることとする。そして、その動作の理解を容易にするため、入力信号の各要素はそれぞれ4ビットに量子化されており、0から15までの整数値をとるとする。本来、デジタル信号では0と1しか値をとり得ないため、ノイズの重畳により受信側で0と1との間の値を受信した場合には、一般には“0”か“1”を受信したと判断されるが、4ビットに量子化されている場合には、0から15までのいずれかの整数値を受信したと判断されることとなる。なお、畳み込み符号器の期待値は、0か1であるが、入力信号の各要素が4ビットに量子化されていることにあわせ、畳み込み符号器の出力が0の場合は期待値0とし、畳み込み符号器の出力が1の場合は期待値15とする。
【0006】
また、畳み込み符号器の出力を{x1,x2,x3,x4}、対応する入力信号を<y1,y2,y3,y4>、期待値を[z1,z2,z3,z4]と表記する。さらに、パスメトリック記憶部12で記憶されている各状態のパスメトリックの初期値はすべて0であるとする。
【0007】
以下、送信側の畳み込み後の信号が{0,0,0,0}であり、伝送路でノイズが重畳され、ビタビ復号装置への入力信号が<2,3,2,8>となった場合を考える。
図10は、直前状態から状態0、1への遷移を示すトレリス線図である。
まず、状態0に対する処理が行われる。状態0の直前状態は状態0と状態1の2状態であるので、期待値生成部11は畳み込み符号器の出力から期待値を求め、次のように出力する。状態0から状態0への遷移の場合には、図8で示される畳み込み符号器の各遅延器のタップはすべて0であるため、畳み込み符号器の出力は{0,0,0,0}となる。したがって、状態0から状態0への遷移の場合の第1の期待値として[0,0,0,0]が出力される。一方、状態1から状態0への遷移の場合には、畳み込み符号器の各遅延器のうち、一番右側の遅延器の出力のみが1であり、それ以外のタップはすべて0であるため、畳み込み符号器の出力は{1,1,1,1}となる。したがって、状態1から状態0への遷移の場合の第2の期待値として[15,15,15,15]が出力される。
【0008】
次に、枝メトリック計算部13において、入力信号<2,3,2,8>と第1の期待値[0,0,0,0]との差が集計され、枝メトリックとしてbm0=|2−0|+|3−0|+|2−0|+|8−0|=15 が出力される。また、入力信号<2,3,2,8>と第2の期待値[15,15,15,15]との差が集計され、枝メトリックとしてbm1=|15−2|+|15−3|+|15−2|+|15−8|=45 が出力される。
【0009】
枝メトリック計算部13から出力された枝メトリックbm0、bm1は、ACS部14に入力され、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態0及び状態1のパスメトリックであるpm0、pm1とそれぞれ加算される。いま、処理開始直後であるためpm0=pm1=0である。そして、bm0とpm0の和をpmb0とし、bm1とpm1の和をpmb1として、両者を比較して直前状態を選択する。pmb0=15であり、pmb1=45であるのでpmb0<pmb1となり、状態0の直前状態としてメトリック値の小さい状態0の方が確からしいと判断される。その結果、状態0の直前状態として状態0を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、pmb0が状態0の新しいパスメトリックとして最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。ここで、パス選択情報記憶部15に書き込まれるパス選択情報としては、例えば、選択した直前状態の最下位ビット(LSB、すなわち図8の一番右側の遅延器の出力)が用いられる。ある状態に対する2つの直前状態は、最下位ビットが異なるだけであるため、その最下位ビットのみを記憶しておけば、どのパスを選択したかを判別できるからである。
【0010】
次に、状態1について、状態0における処理と同様の処理を行う。
まず、2つの直前状態から状態1への遷移におけるそれぞれの期待値が期待値生成部11で求められる。図10で示すように、状態1の直前状態としては状態2と状態3がある。それぞれの状態から状態1への状態遷移に対応する畳み込み符号器の出力値は{1,0,0,1}と{0,1,1,0}であるので、状態2、状態3から状態1への遷移の期待値として、それぞれ[15,0,0,15]と、[0,15,15,0]が出力される。
【0011】
次に、枝メトリック計算部13において、状態2からの遷移の枝メトリックbm2と、状態3からの遷移の枝メトリックbm3とが計算され、bm2=|15−2|+|0−3|+|0−2|+|15−8|=25と、bm3=|0−2|+|15−3|+|15−2|+|0−8|=35 とが出力される。その枝メトリックbm2とbm3は、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態2、状態3に対応するパスメトリックpm2、pm3とそれぞれ加算される。pm2、pm3はともに初期値0であるため、新しいパスメトリック候補はpmb2=pm2+bm2=25、pmb3=pm3+bm3=35となる。両者を比較すると、pmb2<pmb3であるので、状態1の直前状態として状態2の方が確からしいと判断され、状態2を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、pmb2が状態1の新しいパスメトリックとして最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。
【0012】
このようにして、図10のトレリス線図における実線で示されるように、状態0、状態1の直前状態として、それぞれ状態0、状態2が選択される。この一連の処理が、畳み込み符号器の取りうる状態である状態2から状態63までに対して同様に行なわれ、全状態(状態0〜63)のパスメトリックがパスメトリック記憶部12に記憶される。さらに、この処理が繰り返されることにより、各状態のそれぞれのパスメトリックが累計されていく。
【0013】
ACS部14から出力される各状態のパスメトリックは最尤状態判定部16により監視されており、ある時点で最もパスメトリックの小さい状態が最尤状態として判定され、最尤状態を示す情報、すなわち状態0〜63のうち、どの状態が最尤状態であるかを示す情報が出力される。
【0014】
最尤状態判定部16から出力された最尤状態を示す情報は復号出力部17に入力され、復号出力部17において、その最尤状態に対応する生き残りパスがパス選択情報記憶部15に記憶されているパス選択情報に基づいて求められる。そして、求められたパスに対応する信号系列が、復号信号系列として出力される。例えば、パス選択情報記憶部15に、各状態ごとに選択した直前状態の最下位ビットが記録されている場合には、該最下位ビットは、畳み込み符号器の入力信号が該畳み込み符号器に含まれる遅延器の個数だけ遅延された信号であるので、パス選択情報記憶部15に記憶されているデータのうち、最尤状態に対応して記憶されている信号系列が、そのまま最尤状態へ至る状態遷移における入力信号系列であり、この信号系列を復号信号系列として出力することができる。このようにしてビタビ復号が行われる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ビタビ復号では、入力信号と期待値との差である枝メトリックの値が累積されて最尤状態の判定に用いられるため、枝メトリックの計算精度が復号精度に大きく影響する。ここで、伝送路においてノイズが重畳された入力信号は、0から15までの範囲に一様に分布するのではなく、図11に示すように元の値に近いほど発生する確率が高くなるように分布する傾向がある。さらに畳み込み符号化された信号のうち、x1とx4のように同一となる要素については双方とも同様の分布を示す。
【0016】
しかしながら、上述した従来のビタビ復号装置では、枝メトリックの計算時に、本来同一であるべき要素x1と要素x4との関係を考慮せずに入力信号の値をそのまま用いて期待値との差を計算するため、重畳されたノイズ成分が補正されずに用いられてしまい、復号精度が悪いという問題があった。
【0017】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、入力信号のうち、所定の要素間に存在すべき相関関係を考慮してビタビ復号処理を行うことにより、精度の高い復号処理を行うことができるビタビ復号装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によるビタビ復号装置は、符号化率が1/N(Nは2以上の整数)であり、Nビットの符号化出力のうち少なくとも2ビットの値の間に互いに相関があるよう畳み込み符号化されたNビットの入力信号よりなる信号系列を最尤復号するビタビ復号装置であって、上記入力信号のNビットの値のうち、相互に相関があるべき要素の少なくとも1つを、その相関関係を用いて補正する入力補正部と、その補正後の入力信号に対して、ビタビ復号処理を行うビタビ復号処理部とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記ビタビ復号処理部は、畳み込み符号器のとり得る各状態に関する遷移ごとに期待値を生成する期待値生成部と、前記期待値生成部からの期待値と前記入力補正部からの補正後の入力信号とに基づいて枝メトリックを計算する枝メトリック計算部と、畳み込み符号器のとり得る各状態に対応するパスメトリックを記憶するパスメトリック記憶部と、前記パスメトリック記憶部から読み出したパスメトリックと、前記枝メトリック計算部により計算された枝メトリックとを加算し、その加算結果を比較することにより各状態ごとの生き残りパスを選択し、パス選択後の各状態ごとのパスメトリックを出力するとともに前記パスメトリック記憶部に記憶させ、パス選択後の生き残りパスを示すパス選択情報を出力するACS部と、前記ACS部から出力されたパス選択情報を記憶するパス選択情報記憶部と、前記ACS部から出力されたパスメトリックに基づいて、最尤状態を判定する最尤状態判定部と、前記最尤状態判定部による判定結果と、前記パス選択情報記憶部に記憶されているパス選択情報とに基づいて、復号信号系列を出力する復号出力部とを有することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記入力補正部は、前記期待値生成部により生成された期待値を受け取り、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、対応する期待値の要素に一番近い要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、前記入力補正部は、前記入力信号の第1の要素から、期待値の第1の要素を減算する第1の減算器と、前記入力信号の第2の要素から、期待値の第1の要素を減算する第2の減算器と、前記第1及び第2の減算器による減算結果を比較する比較器と、該比較器による比較結果に基づいて、前記第1及び第2の要素のうち、期待値の第1の要素に近い方を選択し、該選択した要素の値を、前記第1及び第2の要素の共通の値として出力する選択器とを有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記入力補正部は、入力信号の相関のあるべき各要素が、期待値のうち小さい方の値以上であり、第1のしきい値未満である第1の範囲、あるいは該第1のしきい値以上の値である第2のしきい値より大きく、期待値のうち大きい方の値以下である第2の範囲のどちらかに、それぞれ含まれる場合、前記第1の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち小さい方の値に補正し、前記第2の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち大きい方の値に補正して出力することを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記第1のしきい値と、前記第2のしきい値とが等しいことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、前記入力補正部は、前記入力信号の第1及び第2の要素と、前記第1のしきい値とを比較する第1の比較器と、前記入力信号の第1及び第2の要素と、前記第2のしきい値とを比較する第2の比較器と、前記第1の比較器による比較の結果、前記第1及び第2の要素が前記第1のしきい値より小さいときには、期待値のうち小さい方の値を選択して補正後の第1及び第2の要素として出力し、前記第2の比較器による比較の結果、前記第1及び第2の要素が前記第2のしきい値より大きいときには、期待値のうち大きい方の値を選択して補正後の第1及び第2の要素として出力し、それ以外のときには、前記入力信号の第1及び第2の要素をそのまま出力する選択器とを有することを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、入力信号の各要素のうち、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入し、そのダミー挿入後の入力信号と、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとを出力するデパンクチャ部をさらに備え、前記入力補正部は、前記デパンクチャ部によりダミーの挿入された入力信号と、前記パンクチャパターンとを入力とし、該パンクチャパターンに基づいて、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、ダミーである要素を、ダミーでない要素を用いて補正するものであり、前記枝メトリック計算部は、前記入力補正部からの補正後の入力信号のうち、ダミーである要素は考慮に入れないで枝メトリックを計算するものであることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、前記入力補正部は、前記パンクチャパターンに基づいて、入力信号の第1及び第2の要素がダミーであるか否かを判断し、入力信号の第1の要素がダミーでなく、入力信号の第2の要素がダミーのときには、該第2の要素を該第1の要素で置き換えて出力し、入力信号の第2の要素がダミーでなく、入力信号の第1の要素がダミーのときには、該第1の要素を該第2の要素で置き換えて出力することを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明によるビタビ復号装置は、前記ビタビ復号装置において、前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、該第1の要素はパンクチャ処理されずに送信されるものであり、前記入力補正部は、前記パンクチャパターンに基づいて、入力信号の第2の要素がダミーであるか否かを判断し、入力信号の第2の要素がダミーのときには、入力信号の第1の要素を選択し、入力信号の第2の要素がダミーでないときには、入力信号の第2の要素を選択して、その選択した要素を補正後の信号の第2の要素として出力することを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1によるビタビ復号装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態1によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施の形態1によるビタビ復号装置は、入力補正部10と、期待値生成部11と、パスメトリック記憶部12と、枝メトリック計算部13と、ACS部14と、パス選択情報記憶部15と、最尤状態判定部16と、復号出力部17とを備える。なお、入力補正部10以外の構成は従来例と同様であり、その説明を省略する。
【0029】
図2は、本実施の形態1による入力補正部10の構成を示すブロック図である。
入力補正部10は、入力信号の相関のあるべき要素のうち、対応する期待値の要素に一番近い要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正するものであり、入力信号の2つの要素のそれぞれと、期待値生成部11からの所定の期待値との減算を行う減算器21、22と、減算器21、22におけるそれぞれの減算結果の絶対値の大小を比較する比較器23と、比較器23の比較結果に基づいて、入力信号の2つの要素のうち、どちらかを選択するセレクタ24とを有する。
【0030】
以上のように構成された本実施の形態1によるビタビ復号装置について、以下、その動作を説明する。
入力信号については、従来例と同様にDABにおける畳み込み符号を想定する。したがって、畳み込み符号器の出力のうち、第1の要素と第4の要素とは同一となる。さらに畳み込み符号器の出力を{x1,x2,x3,x4}、入力信号を<y1,y2,y3,y4>、期待値を[z1,z2,z3,z4]と表記する点についても、従来例と同様とする。送信側の畳み込み後のデータが{0,0,0,0}であり、伝送路でノイズが重畳され、ビタビ復号装置への入力信号として<y1,y2,y3,y4>=<2,3,2,8>が与えられた場合を考える。
【0031】
状態0の直前状態は状態0と状態1の2状態であるので、状態0及び状態1から状態0への遷移における各期待値として、従来例と同様に第1の期待値[0,0,0,0]と、第2の期待値[15,15,15,15]とが期待値生成部11から出力される。
【0032】
入力補正部10の動作について説明する。まず、第1の期待値を用いて入力信号の補正が行われる。入力信号<2,3,2,8>のうち、同一となるべき要素である第1の要素y1=2と、第4の要素y4=8が、それぞれ減算器21、22に入力される。そして、減算器21、22において、それぞれの要素の値と第1の期待値[0,0,0,0]の第1の要素e1=0との差、及び第1の期待値[0,0,0,0]の第4の要素e4=0との差がそれぞれ計算され、第1の要素と期待値との差である“2”、及び第4の要素と期待値との差である“8”が出力される。ここで、DAB規格では期待値の第1の要素e1と第4の要素e4とは等しいため、減算器22では、第4の要素e4の代わりに、第1の要素e1を用いている。
【0033】
次に、比較器23において、減算器21、22からの出力“2”と“8”のそれぞれの絶対値の大小が比較され、減算器21からの出力“2”の方が、減算器22からの出力“8”よりも小さいという結果が出力される。この場合、図11から分かるように、入力信号の第1の要素の方が第4の要素よりも確からしいと判断されるため、その比較器23の比較結果に基づいて、セレクタ24は、第1及び第4の要素のうち、対応する期待値の要素に近い方の要素、すなわち期待値との差の小さい方の要素を選択する。したがって、第1の要素y1=2がセレクタ24により選択され、補正後の第1の要素z1、及び第4の要素z4として出力される。このようにして、第4の要素の値が第1の要素の値である2に置き換えられて、第1の補正入力信号として<2,3,2,2>が出力される。
【0034】
次に、入力補正部10において、同様にして第2の期待値を用いて入力信号の補正が行われる。入力信号<2,3,2,8>のうち、同一となるべき要素である第1の要素y1=2と、第4の要素y4=8とのそれぞれと、第2の期待値[15,15,15,15]の第1の要素e1=15との差が計算され、第1の要素と期待値との差である“−13”及び第4の要素と期待値との差である“−7”が出力される。次に、これら2つの出力の絶対値の大小が比較される。この場合、第4の要素と期待値との差の絶対値の方が小さいので、セレクタ24で第4の要素“8”が選択される。この結果、第1の要素の値が第4の要素の値である8に置き換えられ、第2の補正入力信号として<8,3,2,8>が出力される。
【0035】
次に、枝メトリック計算部13において、入力補正部10から出力された第1の補正入力信号<2,3,2,2>と第1の期待値[0,0,0,0]とから、第1の枝メトリック値bm0=|2−0|+|3−0|+|2−0|+|2−0|=9が計算され、出力される。また、第2の補正入力信号<8,3,2,8>と第2の期待値[15,15,15,15]とから、第2の枝メトリック値bm1=|15−8|+|15−3|+|15−2|+|15−8|=39が計算され、出力される。
【0036】
その枝メトリックbm0、bm1は、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態0及び状態1のパスメトリックであるpm0、pm1とそれぞれ加算される。いま、処理開始直後であるためpm0=pm1=0である。したがって、pm0とbm0の和pmb0は、pmb0=9となり、pm1とbm1の和pmb1は、pmb1=39となる。両者を比較すると、pmb0<pmb1となり、状態0の直前状態として状態0の方が確からしいと判断され、直前状態として状態0を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、状態0に対する新しいパスメトリックとしてpmb0=9が最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。
【0037】
以上で状態0に対する処理が終わり、次に状態1に対する処理が行われる。状態1の直前状態は状態2と状態3であり、状態2、状態3からの遷移の期待値は、それぞれ第1の期待値[15,0,0,15]と、第2の期待値[0,15,15,0]となる。
【0038】
入力信号<2,3,2,8>の第1の要素2と、第1の期待値の第1の要素15との差は“−13”であり、入力信号<2,3,2,8>の第4の要素8と、第1の期待値の第1の要素15との差は“−7”である。同様に入力信号<2,3,2,8>の第1の要素2と、第2の期待値の第1の要素0との差は“2”であり、入力信号<2,3,2,8>の第4の要素8と、第2の期待値の第1の要素0との差は“8”である。したがって、第1の補正入力信号として<8,3,2,8>が出力され、第2の補正入力信号として<2,3,2,2>が出力される。
【0039】
次に、枝メトリック計算部13において、第1の補正入力信号、及び第2の補正入力信号のそれぞれと、第1の期待値、及び第2の期待値との差の絶対値の和である枝メトリックbm2=|15−8|+|0−3|+|0−2|+|15−8|=19、bm3=|0−2|+|15−3|+|15−2|+|0−2|=29 が計算され、出力される。
【0040】
その枝メトリックbm2、bm3は、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態2及び状態3のパスメトリックであるpm2、pm3とそれぞれ加算される。いま、処理開始直後であるためpm2=pm3=0である。したがって、pm2とbm2の和pmb2は、pmb2=19となり、pm3とbm3の和pmb3は、pmb3=29となる。両者を比較すると、pmb2<pmb3となり、状態1の直前状態として状態2の方が確からしいと判断され、直前状態として状態2を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、状態1に対する新しいパスメトリックとしてpmb0=19が最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。
【0041】
この一連の処理が、畳み込み符号器の取りうる状態である状態2から状態63までに対して同様に行われ、全状態(状態0〜63)のパスメトリックがパスメトリック記憶部12に記憶される。さらにこの処理を繰り返すことにより、各状態それぞれのパスメトリックが累計されていく。
【0042】
ACS部14から出力される各状態のパスメトリックに対してなされる最尤状態の判定、及びその判定結果に基づいてなされる復号信号系列の出力については、従来例と同様であり、その説明を省略する。
【0043】
以上のように、本実施の形態1によるビタビ復号装置によれば、入力信号の第1の要素から、期待値の第1の要素を減算する減算器21と、入力信号の第4の要素から、期待値の第1の要素を減算する減算器22と、減算器21、22による減算結果を比較する比較器23と、その比較結果に基づいて、第1及び第4の要素のうち、期待値の第1の要素に近い方を選択し、その選択した要素の値を、第1及び第4の要素の共通の値として出力するセレクタ24とを有する入力補正部10を備え、入力信号の第1及び第4の要素の相関関係を用いて、そのどちらかの要素を補正し、その補正後の入力信号に基づいて枝メトリックを計算することで、枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0044】
なお、補正入力信号の計算において、差の絶対値を比較器23で比較すると説明したが、差の絶対値と同様の大小関係を有する計算方法、例えば二乗誤差の計算などを用い、その計算結果を比較器23で比較するようにしてもよい。
また、入力補正部10を2つ備えるようにすることで、ある状態に対して存在する2つの直前状態(例えば、状態0の直前状態である状態0と状態1)に関する補正入力信号の計算を並列して行うようにしてもよい。
【0045】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2によるビタビ復号装置について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態2によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
図3において、本実施の形態2によるビタビ復号装置は、期待値生成部11と、パスメトリック記憶部12と、枝メトリック計算部13と、ACS部14と、パス選択情報記憶部15と、最尤状態判定部16と、復号出力部17と、入力補正部20とを備える。なお、入力補正部20以外の構成は実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0046】
図4は、本実施の形態2による入力補正部20の構成を示すブロック図である。
入力補正部20は、入力信号の相関のあるべき各要素が、期待値のうち小さい方の値e1=0以上であり、しきい値s1未満である第1の範囲、あるいはしきい値s2より大きく、期待値のうち大きい方の値e2=15以下である第2の範囲のどちらかに、それぞれ含まれる場合、しきい値s1未満である各要素をe1に補正し、しきい値s2より大きい各要素をe2に補正して出力するものであり、比較器301〜304と、AND回路305、306と、セレクタ307〜310とを有する。ここで、第1のしきい値s1と、第2のしきい値s2との間には、s1≦s2の関係があるものとする。
【0047】
比較器301は、入力信号の第1の要素y1としきい値s1との大小を比較する。そして、y1<s1のときにはHレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。比較器302は、入力信号の第4の要素y4としきい値s1との大小を比較する。そして、y4<s1のときにはHレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。
【0048】
比較器303は、入力信号の第1の要素y1としきい値s2との大小を比較する。そして、y1>s2のときにはHレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。比較器304は、入力信号の第4の要素y4としきい値s2との大小を比較する。そして、y4>s2のときにはHレベルの信号を出力し、それ以外のときにはLレベルの信号を出力する。
【0049】
セレクタ307は、AND回路305からの選択信号がHレベルのときには第1の補正値候補e1を選択し、選択信号がLレベルのときには入力信号の第1の要素y1を選択する。セレクタ308は、AND回路305からの選択信号がHレベルのときには第1の補正値候補e1を選択し、選択信号がLレベルのときには入力信号の第4の要素y4を選択する。
【0050】
セレクタ309は、AND回路306からの選択信号がHレベルのときには第2の補正値候補e2を選択し、選択信号がLレベルのときにはセレクタ307の出力を選択する。セレクタ310は、AND回路306からの選択信号がHレベルのときには第2の補正値候補e2を選択し、選択信号がLレベルのときにはセレクタ308の出力を選択する。ここで、第1の補正値候補e1と、第2の補正値候補e2との間には、e1<e2の関係があり、第1の補正値候補e1は期待値のとり得る小さい方の値であり、第2の補正値候補e2は期待値のとり得る大きい方の値であるとする。したがって、本実施の形態2では、e1=0であり、e2=15である。
【0051】
以上のように構成された本実施の形態2によるビタビ復号装置について、以下、その動作を説明する。
入力信号は、実施の形態1と同様にDABにおける畳み込み符号の場合を想定し、各信号の表記は実施の形態1の説明で用いたものと同様とする。また、入力信号は<y1,y2,y3,y4>=<1,3,2,2>とし、第1のしきい値s1を3、第2のしきい値s2を12とする。
【0052】
まず、実施の形態1と同様に、状態0の直前状態である状態0及び状態1から状態0への遷移における各期待値として、第1の期待値[0,0,0,0]と、第2の期待値[15,15,15,15]とが期待値生成部11から出力される。
【0053】
次に、入力補正部20の動作について説明する。入力信号<1,3,2,2>のうち、同一となるべき要素である第1の要素y1=1、及び第4の要素y4=2について、第1のしきい値s1、及び第2のしきい値s2との比較が比較器301〜304により行われる。その比較の結果、y1、y4はともに第1のしきい値s1=3より小さいため、比較器301、302の出力はHレベルとなり、AND回路305の出力もHレベルとなる。また、y1、y4はともに第2のしきい値s2=12より小さいため、比較器303、304の出力はLレベルとなり、AND回路306の出力もLレベルとなる。
【0054】
したがって、セレクタ307、308は、それぞれ第1の補正値候補e1=0を選択して出力する。また、セレクタ309、310は、それぞれセレクタ307、308の出力する第1の補正値候補e1=0を選択して出力する。なお、入力信号のうち互いの要素と同一となるべき関係がない第2の要素y2と、第3の要素y3はそのまま出力される。このように、上記の場合、y1、y4はともに第1のしきい値s1よりも期待値(第1の補正値候補)e1に近いことから、畳み込み符号器の出力は両者ともにe1=0であったことが確からしいと判断されるため、補正入力信号として<z1,z2,z3,z4>=<0,3,2,0>が入力補正部20から出力される。
【0055】
次に、枝メトリック計算部13において、入力補正部20から出力された補正入力信号<0,3,2,0>と、第1の期待値[0,0,0,0]とから、第1の枝メトリック値bm0=|0−0|+|3−0|+|2−0|+|0−0|=5が計算され、補正入力信号<0,3,2,0>と、第2の期待値[15,15,15,15]とから、第2の枝メトリック値bm1=|15−0|+|15−3|+|15−2|+|15−0|=55が計算され、それぞれ出力される。
【0056】
その枝メトリックbm0、bm1は、ACS部14において、パスメトリック記憶部12から読み出された状態0及び状態1のパスメトリックであるpm0、pm1とそれぞれ加算される。いま処理開始直後であるためpm0=pm1=0である。したがって、pm0とbm0の和pmb0は、pmb0=5となり、pm1とbm1の和pmb1は、pmb1=55となる。両者を比較すると、pmb0<pmb1となり、状態0の直前状態として状態0の方が確からしいと判断され、直前状態として状態0を選択するデータがパス選択情報記憶部15に書き込まれる。また、状態0に対する新しいパスメトリックとしてpmb0=5が最尤状態判定部16に出力されるとともに、パスメトリック記憶部12に書き込まれる。
【0057】
この一連の処理が、畳み込み符号器の取りうる状態である状態1から状態63までに対して同様に行われ、全状態(状態0〜63)のパスメトリックがパスメトリック記憶部12に記憶される。さらにこの処理が繰り返されることにより、各状態それぞれのパスメトリックが累計されていく。
【0058】
ACS部14から出力される各状態のパスメトリックに対してなされる最尤状態の判定、及びその判定結果に基づいてなされる復号信号系列の出力については、従来例と同様であり、その説明を省略する。
【0059】
以上のように、本実施の形態2によるビタビ復号装置によれば、入力信号の第1及び第4の要素と、しきい値s1、s2とを比較する比較器301〜304と、比較器301〜304による比較の結果、第1及び第4の要素がしきい値s1より小さいときには、第1の補正値候補e1を選択して補正後の第1及び第4の要素として出力し、第1及び第4の要素がしきい値s2より大きいときには、第2の補正値候補e2を選択して補正後の第1及び第4の要素として出力し、それ以外のときには、入力信号の第1及び第4の要素をそのまま補正後の第1及び第4の要素として出力するセレクタ307〜310とを有する入力補正部20を備えたことで、入力信号の第1及び第4の要素に関する相関関係を用いて枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0060】
なお、入力信号の補正において、第1のしきい値と第2のしきい値とが異なる値である場合について説明したが、第1のしきい値と第2のしきい値とは共通の値であってもよい。両者を共通の値とすることで、入力補正部における比較器及びAND回路の個数を半分にすることができ、回路規模を減少させることができる。
【0061】
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3によるビタビ復号装置について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態3によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【0062】
図5において、本実施の形態3によるビタビ復号装置は、期待値生成部11と、パスメトリック記憶部12と、ACS部14と、パス選択情報記憶部15と、最尤状態判定部16と、復号出力部17と、デパンクチャ部40と、入力補正部41と、枝メトリック計算部42とを備える。なお、デパンクチャ部40、入力補正部41、及び枝メトリック計算部42以外の構成は実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0063】
デパンクチャ部40は、パンクチャ処理された信号系列を入力とし、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入する。そして、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとともに、ダミーを挿入した信号を出力する。
【0064】
入力補正部41は、デパンクチャ部40からの入力信号を受け取り、その入力信号のうち同一となるべき各要素の一部がダミーである場合に、ダミーでない要素を用いてダミーである要素の値を補正し、その補正にあわせてパンクチャパターンも補正し、その補正後の補正入力信号と補正パンクチャパターンとを出力する。
【0065】
ここで、本実施の形態3においても、畳み込み符号化はDAB規格に基づいて、第1の要素と第4の要素とが同一となるように行われているものとする。また、パンクチャルールについても、同様にDAB規格に基づいているものとする。すなわち、第1の要素はパンクチャ処理されずに送信されるものとする。また、パンクチャパターンは、その各要素の値が0の場合には対応する入力信号の要素がダミーであり、1の場合にはダミーでないものとする。
【0066】
このようにDAB規格に準拠している場合には、入力信号の第1の要素がダミーであることはないため、入力補正部41の構成は、図6で示されるようになる。図6において、入力補正部41は、第4の要素のパンクチャパターンp4に基づいて、第4の要素y4がダミーであるとき(すなわち、p4=0のとき)には入力信号の第1の要素y1を選択し、第4の要素y4がダミーでないとき(すなわち、p4=1のとき)には第4の要素y4を選択するセレクタ51を有する。
【0067】
枝メトリック計算部42は、期待値生成部11からの期待値と、入力補正部41からの補正入力信号と、補正パンクチャパターンとを入力とし、補正入力信号の各要素のうち、ダミーである要素については、その要素と期待値との差が0であるとし、ダミーでない要素については、実施の形態1で説明したように、その要素と期待値との差の絶対値を求め、それらを加算することにより枝メトリックを計算する。
【0068】
以上のように構成された本実施の形態3によるビタビ復号装置について、以下、その動作を説明する。なお、各信号の表記は、実施の形態1の説明で用いたものと同様とする。
デパンクチャ部40に信号が入力されると、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーが挿入され、4つの要素を有する信号として出力される。また、デパンクチャ部40からは、その信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンも出力される。
【0069】
以下、デパンクチャ部40から出力された信号が<y1,y2,y3,y4>=<10,3,0,0>であり、パンクチャパターンが<p1,p2,p3,p4>=<1,1,0,0>である場合について説明する。すなわち、この場合には第3の要素y3と、第4の要素y4とがダミーである。そのデパンクチャ処理後の信号とパンクチャパターンとは、入力補正部41に入力される。
【0070】
まず、実施の形態1と同様に、状態0の直前状態である状態0及び1から状態0への遷移の場合の期待値として、第1の期待値[0,0,0,0]と第2の期待値[15,15,15,15]とが期待値生成部11から出力される。
【0071】
次に、入力補正部41の動作について説明する。デパンクチャ部40からの入力信号<y1,y2,y3,y4>と、パンクチャパターン<p1,p2,p3,p4>との各要素うち、同一となるべき関係のない要素であるy2,y3は、それぞれ対応するパンクチャパターンの要素p2,p3とともにそのまま出力される。一方、同一となるべき要素に該当する第1の要素y1と第4の要素y4のうち、DAB規格では、y1は必ずパンクチャされていない要素であるので、y1は対応するパンクチャパターンの要素p1とともにそのまま出力される。最後に、ダミーである可能性があるy4は、ダミーであるか否かによって出力が変化する。いま、第4の要素y4に対応するパンクチャパターンp4の値が0であるので、その結果、セレクタ51はy1=10を選択し、セレクタ51の出力z4は10となる。
【0072】
したがって、入力補正部41からは、補正入力信号として<z1,z2,z3,z4>=<10,3,0,10>が出力され、補正パンクチャパターンとして<p1b,p2b,p3b,p4b>=<1,1,0,1>が出力される。
【0073】
次に、枝メトリック計算部42において、入力補正部41から出力された補正入力信号<10,3,0,10>と、補正パンクチャパターン<1,1,0,1>とを用いて、次のように枝メトリックが計算される。対応するパンクチャパターンの要素の値が1の要素については、期待値との差の絶対値が求められ、対応するパンクチャパターンの要素の値が0の要素については、期待値との差の絶対値が常に0であるとされる。具体的には、第1の期待値[0,0,0,0]から第1の枝メトリックbm0=|10−0|+|3−0|+0+|10−0|=23が計算され、第2の期待値[15,15,15,15]から第2の枝メトリックbm1=|15−10|+|15−3|+0+|15−10|=22が計算され、それぞれ出力される。
その後、枝メトリック計算部42の出力する枝メトリックを用いて、実施の形態1と同様にビタビ復号処理が行われる。
【0074】
以上のように、本実施の形態3によるビタビ復号装置によれば、入力信号の各要素のうち、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入し、そのダミー挿入後の入力信号と、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとを出力するデパンクチャ部40と、デパンクチャ部40によりダミーの挿入された入力信号と、パンクチャパターンとを入力とし、そのパンクチャパターンに基づいて、入力信号の相関のあるべき要素のうち、ダミーである要素を、ダミーでない要素を用いて補正する入力補正部41と、入力補正部41からの補正後の入力信号のうち、ダミーである要素は考慮に入れないで枝メトリックを計算する枝メトリック計算部42とを備えたことで、枝メトリックの計算に寄与しないダミーである要素を、枝メトリックの計算に寄与しうるダミーでない要素に置き換える補正を行うことができ、枝メトリックの精度を向上させることができ、結果として、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0075】
なお、上記説明では、入力信号の第1の要素がダミーとはならないDAB規格の場合について説明したが、入力信号の第1及び第4の要素は同一の値となる関係を有しているが、第1の要素がダミーとなりうる場合についても、図7で示すように入力補正部41を構成することで、入力信号の補正を行うことができる。図7において、セレクタ61及び62は、AND回路から入力される選択信号がHレベルのときにそれぞれy1、y4を選択し、Lレベルのときにそれぞれy4、y1を選択する。したがって、この入力補正部41では、入力信号の第1の要素y1がダミーでなく、第4の要素y4がダミーのときには、y4をy1で置き換えて出力し、入力信号の第4の要素y4がダミーでなく、第1の要素y1がダミーのときには、y1をy4で置き換えて出力することとなる。
【0076】
また、本実施の形態3では、入力信号において同一の値となるべき要素の個数が2個であり、一方がダミーでなく他方がダミーとなりうる場合について説明したが、入力信号において同一の値となるべき要素の個数が3個以上であってもよい。すなわち、その同一の値となるべき要素の少なくとも1つがダミーでなく、残りの要素のうち少なくとも1つがデパンクチャ処理に起因するダミーである場合に、そのダミーである要素の値をダミーでない要素の代表値で置き換えるように入力信号の要素を補正するようにしてもよい。ここで、ダミーでない要素が1つの場合には、その要素の値をダミーでない要素の代表値として用いるが、ダミーでない要素が複数ある場合には、それらの要素の平均値、最大値、最小値などをその代表値としてもよく、あるいはダミーでない複数の要素と期待値との関係に基づいて、その代表値を求めてもよい。
【0077】
また、上記各実施の形態において、畳み込み符号に存在する相関関係として互いに同一の値となる場合について説明したが、互いに逆の関係である場合(例えば、一方が“0”であれば、他方が“1”となる場合)や、同一と逆の関係を交互に繰り返す場合などについても、その相関関係に応じて入力補正部を構成することで、同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、上記各実施の形態によるビタビ復号装置のうち、プログラム制御により実現可能な構成については、ハードウェアで構成してもよく、あるいはプログラム制御のソフトウェアで構成してもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によるビタビ復号装置によれば、符号化率が1/N(Nは2以上の整数)であり、Nビットの符号化出力のうち少なくとも2ビットの値の間に互いに相関があるよう畳み込み符号化されたNビットの入力信号よりなる信号系列を最尤復号するビタビ復号装置であって、上記Nビットの入力信号の相関があるべき要素のうち、少なくとも1つの要素を、その相関関係を用いて補正する入力補正部と、その補正後の入力信号に対して、ビタビ復号処理を行うビタビ復号処理部とを備えたことで、入力信号の各要素間に存在する相関関係を用いて入力信号を補正することにより枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0080】
また、本発明によるビタビ復号装置によれば、前記ビタビ復号装置において、前記入力補正部が、前記期待値生成部により生成された期待値を受け取り、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、対応する期待値の要素に一番近い要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正することで、入力信号の相関のあるべき要素のうち、その分布状況と期待値との関係により最も確からしいと判断される要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正することとなり、枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0081】
また、本発明によるビタビ復号装置によれば、前記ビタビ復号装置において、前記入力補正部は、入力信号の相関のあるべき各要素が、期待値のうち小さい方の値以上であり、第1のしきい値未満である第1の範囲、あるいは該第1のしきい値以上の値である第2のしきい値より大きく、期待値のうち大きい方の値以下である第2の範囲のどちらかに、それぞれ含まれる場合、前記第1の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち小さい方の値に補正し、前記第2の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち大きい方の値に補正して出力することで、入力信号の相関のあるべき要素としきい値とを比較して、それら相関のあるべき要素を確からしい期待値に補正することとなり、枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【0082】
また、本発明によるビタビ復号装置によれば、前記ビタビ復号装置において、前記第1のしきい値と、前記第2のしきい値とを等しくすることで、前記入力補正部の回路規模を削減することができる効果が得られる。
【0083】
また、本発明によるビタビ復号装置によれば、前記ビタビ復号装置において、入力信号の各要素のうち、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入し、そのダミー挿入後の入力信号と、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとを出力するデパンクチャ部をさらに備え、前記入力補正部は、前記デパンクチャ部によりダミーの挿入された入力信号と、前記パンクチャパターンとを入力とし、該パンクチャパターンに基づいて、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、ダミーである要素を、ダミーでない要素を用いて補正するものであり、前記枝メトリック計算部は、前記入力補正部からの補正後の入力信号のうち、ダミーである要素は考慮に入れないで枝メトリックを計算するものであることで、入力信号の各要素間に存在する相関関係を用いて、入力信号のダミーである要素をダミーでない要素を用いて補正することとなり、枝メトリックの計算精度を向上させることができ、その結果、ビタビ復号処理の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるビタビ復号装置における入力補正部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態2によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2によるビタビ復号装置における入力補正部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態3によるビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態3によるビタビ復号装置における入力補正部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態3によるビタビ復号装置における入力補正部の構成を示すブロック図である。
【図8】欧州DAB規格の畳み込み符号器の構成を示す図である。
【図9】従来のビタビ復号装置の構成を示すブロック図である。
【図10】直前状態から状態0、1への遷移を示すトレリス線図である。
【図11】入力信号の分布の一例を示す図である。
【符号の説明】
10、20、41 入力補正部
11 期待値生成部
12 パスメトリック記憶部
13、42 枝メトリック計算部
14 ACS部
15 パス選択情報記憶部
16 最尤状態判定部
17 復号出力部
21、22 減算器
23、301〜304 比較器
24、51、61、62、307〜310 セレクタ
40 デパンクチャ部
305、306 AND回路
Claims (10)
- 符号化率が1/N(Nは2以上の整数)であり、Nビットの符号化出力のうち少なくとも2ビットの値の間に互いに相関があるよう畳み込み符号化されたNビットの入力信号よりなる信号系列を最尤復号するビタビ復号装置であって、
上記入力信号のNビットの値のうち、相互に相関があるべき要素の少なくとも1つを、その相関関係を用いて補正する入力補正部と、
その補正後の入力信号に対して、ビタビ復号処理を行うビタビ復号処理部と、
を備えたことを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項1記載のビタビ復号装置において、
前記ビタビ復号処理部は、
畳み込み符号器のとり得る各状態に関する遷移ごとに期待値を生成する期待値生成部と、
前記期待値生成部からの期待値と前記入力補正部からの補正後の入力信号とに基づいて枝メトリックを計算する枝メトリック計算部と、
畳み込み符号器のとり得る各状態に対応するパスメトリックを記憶するパスメトリック記憶部と、
前記パスメトリック記憶部から読み出したパスメトリックと、前記枝メトリック計算部により計算された枝メトリックとを加算し、その加算結果を比較することにより各状態ごとの生き残りパスを選択し、パス選択後の各状態ごとのパスメトリックを出力するとともに前記パスメトリック記憶部に記憶させ、パス選択後の生き残りパスを示すパス選択情報を出力するACS部と、
前記ACS部から出力されたパス選択情報を記憶するパス選択情報記憶部と、
前記ACS部から出力されたパスメトリックに基づいて、最尤状態を判定する最尤状態判定部と、
前記最尤状態判定部による判定結果と、前記パス選択情報記憶部に記憶されているパス選択情報とに基づいて、復号信号系列を出力する復号出力部と、
を有することを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項2記載のビタビ復号装置において、
前記入力補正部は、前記期待値生成部により生成された期待値を受け取り、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、対応する期待値の要素に一番近い要素に基づいて、その要素と相関のあるべき他の要素を補正する、
ことを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項3記載のビタビ復号装置において、
前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、
前記入力補正部は、
前記入力信号の第1の要素から、期待値の第1の要素を減算する第1の減算器と、
前記入力信号の第2の要素から、期待値の第1の要素を減算する第2の減算器と、
前記第1及び第2の減算器による減算結果を比較する比較器と、
該比較器による比較結果に基づいて、前記第1及び第2の要素のうち、期待値の第1の要素に近い方を選択し、該選択した要素の値を、前記第1及び第2の要素の共通の値として出力する選択器と、を有する、
ことを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項2記載のビタビ復号装置において、
前記入力補正部は、入力信号の相関のあるべき各要素が、期待値のうち小さい方の値以上であり、第1のしきい値未満である第1の範囲、あるいは該第1のしきい値以上の値である第2のしきい値より大きく、期待値のうち大きい方の値以下である第2の範囲のどちらかに、それぞれ含まれる場合、前記第1の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち小さい方の値に補正し、前記第2の範囲に含まれる各要素を前記期待値のうち大きい方の値に補正して出力する、
ことを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項5記載のビタビ復号装置において、
前記第1のしきい値と、前記第2のしきい値とが等しい、
ことを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項5記載のビタビ復号装置において、
前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、
前記入力補正部は、
前記入力信号の第1及び第2の要素と、前記第1のしきい値とを比較する第1の比較器と、
前記入力信号の第1及び第2の要素と、前記第2のしきい値とを比較する第2の比較器と、
前記第1の比較器による比較の結果、前記第1及び第2の要素が前記第1のしきい値より小さいときには、期待値のうち小さい方の値を選択して補正後の第1及び第2の要素として出力し、前記第2の比較器による比較の結果、前記第1及び第2の要素が前記第2のしきい値より大きいときには、期待値のうち大きい方の値を選択して補正後の第1及び第2の要素として出力し、それ以外のときには、前記入力信号の第1及び第2の要素をそのまま出力する選択器と、を有する、
ことを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項2記載のビタビ復号装置において、
入力信号の各要素のうち、パンクチャ処理により間引かれた要素にダミーを挿入し、そのダミー挿入後の入力信号と、信号の各要素がダミーであるか否かを示すパンクチャパターンとを出力するデパンクチャ部をさらに備え、
前記入力補正部は、前記デパンクチャ部によりダミーの挿入された入力信号と、前記パンクチャパターンとを入力とし、該パンクチャパターンに基づいて、前記入力信号の相関のあるべき要素のうち、ダミーである要素を、ダミーでない要素を用いて補正するものであり、
前記枝メトリック計算部は、前記入力補正部からの補正後の入力信号のうち、ダミーである要素は考慮に入れないで枝メトリックを計算するものである、
ことを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項8記載のビタビ復号装置において、
前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、
前記入力補正部は、前記パンクチャパターンに基づいて、入力信号の第1及び第2の要素がダミーであるか否かを判断し、入力信号の第1の要素がダミーでなく、入力信号の第2の要素がダミーのときには、該第2の要素を該第1の要素で置き換えて出力し、入力信号の第2の要素がダミーでなく、入力信号の第1の要素がダミーのときには、該第1の要素を該第2の要素で置き換えて出力する、
ことを特徴とするビタビ復号装置。 - 請求項8記載のビタビ復号装置において、
前記Nビットの出力のうち、第1の要素と第2の要素とは互いに同一の値となる関係を有しており、該第1の要素はパンクチャ処理されずに送信されるものであり、
前記入力補正部は、前記パンクチャパターンに基づいて、入力信号の第2の要素がダミーであるか否かを判断し、入力信号の第2の要素がダミーのときには、入力信号の第1の要素を選択し、入力信号の第2の要素がダミーでないときには、入力信号の第2の要素を選択して、その選択した要素を補正後の信号の第2の要素として出力する、
ことを特徴とするビタビ復号装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002238585A JP2004080444A (ja) | 2002-08-19 | 2002-08-19 | ビタビ復号装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002238585A JP2004080444A (ja) | 2002-08-19 | 2002-08-19 | ビタビ復号装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004080444A true JP2004080444A (ja) | 2004-03-11 |
Family
ID=32021958
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002238585A Pending JP2004080444A (ja) | 2002-08-19 | 2002-08-19 | ビタビ復号装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004080444A (ja) |
-
2002
- 2002-08-19 JP JP2002238585A patent/JP2004080444A/ja active Pending
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