JP2004079447A - 偏向コイルの製造方法及び偏向コイル用巻線機 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻線金型の巻線空間に対して偏向コイルのコイル線材を高い巻線密度でしかも精度良く整列させて巻線できるようにする。
【解決手段】巻線金型によって形成される巻線空間にコイル線材を巻き付けるにあたって、巻線空間に所定数のコイル線材を巻き付けた段階で、そのコイル線材よりも手前寄りの位置で押圧ピン13を巻線空間に突出させるとともに、この押圧ピン13を巻線空間の奥側に移動させることにより、所定数のコイル線材を巻線空間の手前側から奥側に押し込み、その後、押圧ピン13によるコイル線材の押し込み状態を維持しながら巻線空間にコイル線材を巻き付けることにより、偏向コイルの巻線状態を安定化させる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管用の偏向ヨークの構成部品となる偏向コイルの製造方法と、この製造方法を実施する際に用いて好適な偏向コイル用巻線機に関する。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管に用いられる偏向ヨークには偏向コイルが組み込まれている。偏向コイルは、電子ビームを偏向するための偏向磁界を形成するもの、その素材となるコイル線材を所定の形状に巻線することによって得られる。偏向コイルの巻線方式としては金型巻き方式が知られている。金型巻き方式を用いたコイル巻線工程では、図5(A)に示すような巻線金型1が用いられる。巻線金型1は、凹金型(雌型)2と凸金型(雄型)3によって構成されるものである。この巻線金型1を用いて偏向コイルを巻線する場合は、凹金型2の左右端に一対の巻線ガイド4,4を連結するとともに、凸金型3の上下端に一対の巻線ガイド5,5を連結し、この状態で互いに凹凸面を向かい合わせて凹金型2と凸金型3を組み合わせる。このとき、巻線金型1の内部に偏向コイルの形状や厚み寸法に対応した巻線空間(隙間)が形成される。
【0003】
そこで実際のコイル巻線工程では、図5(B)に示すように、筒状のノズル6からコイル線材7を送り出しながら、一対の巻線ガイド4,4及び5,5とともに巻線金型1を矢印方向に回転させる。そうすると、ノズル6から送り出されたコイル線材7が、各々の巻線ガイド4,5に順に案内されて巻線金型1の巻線空間に巻き付けられる。このコイル線材の巻き付けは所要の巻線ターン数に応じて行われる。所要の巻線ターン数とは、一つの偏向コイルを作製するうえで必要とされるトータルの巻線ターン数をいう。したがって、所要の巻線ターン数がNターンであるとすると、これに合わせて巻線金型1の回転動作回数もN回に設定される。
【0004】
その後、巻線金型1への巻き付けが完了したコイル線材の両端部に電流を流し、線材自身の抵抗で生じるジュール熱により、コイル線材の最外層の融着ワニスを溶かす。次いで、巻線金型1の巻線空間に巻き付けられたコイル線材をプレス工程で加圧することにより、偏向コイルを所望の形状及び寸法に成形した状態でコイル全体を固着(一体化)させる。このプレス工程では、図5(C)に示すように、巻線金型1の巻線空間に巻き付けられたコイル線材を、一対の成形パンチ部品8により巻線空間の奥側に押し込むように加圧する。これにより、偏向ヨークの内周面(陰極線管の外周面)に沿うようにコイル線材を巻線した主コイル部と、この主コイル部の両端部(先端部、後端部)でコイル線材を円周方向に渡らせたベンド部(渡り線部)とを一体に有するサドル形の偏向コイルが得られる。
【0005】
ところで、上述のように巻線金型1の巻線空間にコイル線材を巻き付けるにあたっては、図6に示すように、偏向コイル9のベンド部9Aに対応する巻線部位にそれぞれ所定のタイミングでガイドピン10を突出させ、このガイドピン10にコイル線材を巻き付けることにより、コイル線材の巻線位置を規制して所望の巻線分布を得るようにしている。
【0006】
一方、偏向コイル9の主コイル部9Bについては、偏向コイル前後のベンド部9Aの間に所定の張力で架け渡されるだけの支持構造となる。したがって、主コイル部9Bの巻線部位では巻線位置を規制しないままコイル線材が順に積み重ねられるため、偏向コイルの巻線を終えた段階(プレス工程前の段階)では、図7(A)に示すように、主コイル部9Bを構成するコイル線材が巻線空間の手前側(入口側)に大きく膨らんだ状態となる。このように膨らんだコイル線材は、図7(B)に示すように、プレス工程で一対の成形パンチ部品8により巻線空間の奥側に強制的に押し込まれることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらプレス工程でコイル線材を押し込んだ場合、偏向コイル全体の形状や寸法は規定できるものの、巻線空間内でのコイル線材の細かな位置関係は、融着時の発生ジュール熱、巻線金型1の表面状態、巻線時のコイル線材の張力、さらには巻線金型1の巻線空間(間隙)の設計値等に左右されるため、巻線分布や巻線密度などの点で必ずしも安定した巻線状態が得られない。偏向コイルの巻線状態が不安定になると、この偏向コイルを用いて偏向ヨークを構成した場合に、電子ビームを精度良く偏向するという本来の機能を妨げる要因となる。
【0008】
そこで、上述した偏向コイル9のベンド部9Aと同様に、主コイル部9Bの巻線部位に対しても図8に示すようにガイドピン11を突出させ、このガイドピンでコイル線材7の巻線位置を規制しつつ巻線する方法も考えられる。この方法では、巻線金型1の巻線空間にコイル線材をある程度巻き付けた段階でガイドピン11を突出させ、その後に巻き付けられるコイル線材の位置をガイドピン11で規制するために、ガイドピンを突出する前と後でコイル線材が分離されることになる。したがって、ガイドピン11を突出させた後に巻き付けたコイル線材については、プレス工程でガイドピン11と成形パンチ部品8の間に挟み込まれた状態となるため、安定した巻線状態が得られる。
【0009】
しかしながら、ガイドピン11を突出させる前に巻き付けたコイル線材については、プレス工程で成型パンチ部品8の押し込み力が作用しないため、コイル線材の巻線密度が低い状態(以下、粗状態)となり、巻線位置の精度も不十分なものとなる。また、巻線金型1の内部ではコイル線材が巻線空間の手前側に膨らんだ状態で巻線されるため、この膨らんだコイル線材をガイドピン11で挟み込んでダメージを与えないよう、コイル線材の膨らみやこれによる巻線位置のずれを考慮してガイドピン11の位置を決める必要がある。そうした場合、ガイドピン11の位置は巻線空間の手前側に寄った位置に設定せざるを得ず、偏向コイルの特性調整との両立が困難になる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る偏向コイルの製造方法は、巻線金型によって形成される巻線空間にコイル線材を巻き付けるコイル巻線工程を有するものであって、このコイル巻線工程は、巻線空間に所定数のコイル線材を巻き付ける第1の巻き付けステップと、この第1の巻き付けステップで巻き付けた所定数のコイル線材を、巻線空間の手前側から奥側に押し込む押し込みステップと、この押し込みステップによるコイル線材の押し込み状態を維持しながら巻線空間にコイル線材を巻き付ける第2の巻き付けステップとを含むものである。
【0011】
上記偏向コイルの製造方法においては、巻線金型の巻線空間に所定数のコイル線材を巻き付けた段階で、このコイル線材を巻線空間の手前側から奥側に押し込むことにより、巻線空間の内部でコイル線材が密に整列した状態となり、さらにその押し込み状態を維持しながら巻線空間にコイル線材を巻き付けることにより、先に巻線したコイル線材の整列状態を乱すことなく、それよりも手前側の巻線空間にコイル線材を巻き付けることが可能となる。
【0012】
本発明に係る偏向コイル用巻線機は、偏向コイルのコイル線材を巻き付けるための巻線空間を形成する巻線金型と、この巻線金型の内部に設けられるとともに、巻線空間に対して出没可能で、かつ、巻線空間の奥行き方向に移動可能な押圧部を有するコイル押し込み手段とを備えたものである。
【0013】
上記偏向コイル用巻線機においては、巻線金型の巻線空間にコイル線材を巻き付けるにあたり、巻線途中でコイル押し込み手段の押圧部を巻線空間に突出させるとともに、この押圧部を巻線空間の奥行き方向に沿って手前側から奥側に移動させることにより、それまで巻き付けたコイル線材を押圧部によって巻線空間の奥側に押し込み、かつその押し込み状態を維持しつつコイル線材の巻き付けを再開することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態においては、上記従来技術で挙げた構成要素と同様の部分に同じ符合を付し、重複する説明は極力省略する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る偏向コイル用巻線機が備える巻線金型の凹金型の構成を示す斜視半断面図である。図示した凹金型2は、凸金型と組み合わせたときに巻線空間を形成する凹面部21と、サドル形の偏向コイルの窓部(非巻線部)を形成する突出部22とを一体に有するものである。突出部22には凸金型との位置合わせのために上下一対のガイド孔23が設けられている。ちなみに、凸金型には、突出部22に係合する凹部と、一対のガイド孔23に係合する一対の位置決めピンとが設けられる。
【0016】
また、凹金型2の内部にはコイル押し込み機構部12が組み込まれている。コイル押し込み機構部12は、図2に示すように、押圧ピン13と、この押圧ピン13を軸方向に移動させるシリンダ(第1の駆動部)14と、このシリンダ14をスライドさせるスライドガイドユニット(第2の駆動部)15とを用いて構成されている。
【0017】
押圧ピン13は、シリンダ14の出力ロッドに一体に形成されるか、この出力ロッドの先端に取り付けられるものである。シリンダ14は、例えばエアーシリンダによって構成されるもので、圧縮エアーの供給をオンオフすることにより出力ロッドと一体に押圧ピン13を軸方向に移動させるものである。
【0018】
スライドガイドユニット15は、スライドブロック15Aとスライドレール15Bを用いて構成されている。スライドブロック15Aはスライドレール15Bに移動自在に支持されている。また、スライドブロック15Aにはシリンダ14が固定状態で搭載されている。よって、スライドレール15Bに沿ってスライドブロック15Aを矢印方向に移動させると、スライドブロック15Aと一体にシリンダ14が移動する。その際、スライドブロック15Aの移動はモータ、シリンダ等の駆動源を用いて行われる。また、スライドブロック15Aの移動範囲(移動始点、移動終点)は、例えばガイドレール15Bに設けられたストッパー(不図示)にスライドブロック15Aを突き当てることにより規制される。
【0019】
一方、凹金型2の凹面部21には、巻線空間に露出する状態でガイド孔24が形成されている。このガイド孔24は、凹面部21を形成する金型の内壁部を厚み方向に貫通する状態で形成されている。また、ガイド孔24は、偏向コイルの主コイル部に対応する巻線部位で、巻線空間の奥行き方向に沿って細長状に形成されている。
【0020】
これに対して、上述した押圧ピン13は、凹金型2の内部でガイド孔24と対向する位置に配置されている。また、ガイド孔24の孔径は押圧ピン13をスムーズに嵌挿し得る大きさに設定されている。これにより、押圧ピン13は上述したシリンダ14の駆動によりガイド孔24を通して巻線空間に出没可能に構成されている。さらに、スライドガイドユニット15によるシリンダ14の移動方向はガイド孔24と同じ方向(巻線空間の奥行き方向に沿う方向)に設定されている。これにより、押圧ピン13はスライドガイドユニット15の駆動によりガイド孔24に案内されて巻線空間の奥行き方向に移動可能に構成されている。
【0021】
続いて、本発明の実施形態に係る偏向コイルの製造方法について説明する。この製造方法は、上記構成の凹金型2を用いて実施されるもので、大きくはコイル巻線工程とプレス工程からなる。先ず、コイル巻線工程では、先の図5(A),(B)で示したように、凹金型2と凸金型3を組み合わせた状態で形成される巻線空間にコイル線材を巻き付けることになるが、このコイル線材の巻き付けに際して本実施形態では次のような巻線手順を採用する。
【0022】
すなわち、コイル線材の巻線を開始してからの巻線ターン数(巻線金型1の回転動作回数)が、例えば所要の巻線ターン数の1/2(半分)に達したら、シリンダ14の駆動によって図3(A)に示すように押圧ピン13を巻線空間に突出させる。このとき、押圧ピン13は、ガイド孔24の一端からコイル線材と交差する向き(換言すると、巻線空間を横切る状態)で突出する。また、押圧ピン13は、巻線空間に巻き付けられたコイル線材を挟み込まないよう、巻線空間の奥行き方向でその中間点よりも手前側に寄った位置で巻線空間に突出する。特に、偏向コイルの主コイル部を形成するコイル線材は巻線空間の手前側に膨らんで巻き付けられるため、このコイル線材を押圧ピン13で挟み込まないように、コイル線材から十分に離れた位置(例えば、巻線空間の入口近傍の位置)で押圧ピン13を突出させる。
【0023】
次いで、スライドガイドユニット15(図2参照)の駆動によりスライドブロック15Aをシリンダ14と一体にスライドレール15Bに沿って移動させることにより、上述のように巻線空間に押圧ピン13を突出させた状態のまま、押圧ピン13をガイド孔24の一端から他端(巻線空間の手前側から奥側)に向けて移動させる。このとき、スライドガイドユニット15は、図4(A)の状態を初期状態(コイル巻線開始時の状態)とし、この初期状態から図4(B)に示すようにスライドレール15Bに沿ってスライドブロック15AをR方向に移動させることにより、押圧ピン13をガイド孔24に沿って移動させる。そうすると、押圧ピン13を突出させる前に巻き付けられたコイル線材7Aに押圧ピン13が当接し、そのまま駆動源の駆動力をもって押圧ピン13がコイル線材7Aを押圧する。
【0024】
これにより、押圧ピン13を突出させる前に巻き付けられたコイル線材7Aは、押圧ピン13の移動によって巻線空間の奥側に押し込まれる。そのため、コイル巻線途中でコイル線材7Aの膨らみが解消し、かつ巻線密度も高い状態(以下、密状態)となる。これにより、巻線空間の内部でコイル線材が密に配列した状態となる。この状態で、例えば押圧ピン13を元の位置に戻したり、巻線空間から引っ込めたりすると、これに伴う押し込み力の解放によってコイル線材7Aが元の膨らんだ状態に復元し、巻線密度も粗状態に戻ってしまう。
【0025】
そこで本実施形態においては、上述のように押圧ピン13の移動によってコイル線材7Aを巻線空間の奥側に押し込んだら、この押圧ピン13によるコイル線材7Aの押し込み状態を維持しながら、図3(B)に示すように、巻線空間にコイル線材7Bを巻き付ける。このとき、押圧ピン13を突出させた後に巻き付けられるコイル線材7Bの巻線位置は押圧ピン13によって規制される。すなわち、巻線空間の内部では、コイル線材7Bの奥側への移動が押圧ピン13との接触によって阻止される。そのため、押圧ピン13の突出前に巻き付けられたコイル線材7Aと突出後に巻き付けられたコイル線材7Bとが巻線空間の奥行き方向で分離した状態となる。その後、コイル線材の巻線を開始してからの巻線ターン数(コイル線材7A,7Bを合わせた巻線ターン数)が所要の巻線ターン数に達すると、巻線金型1の回転動作が停止する。これにより、コイル巻線工程が終了となる。
【0026】
なお、上記のコイル巻線工程においては、偏向コイルの巻線を開始してから終了するまでの間に、押圧ピン13の突出及び移動による押し込み動作を1回だけ行うようにしたが、これ以外にも、凹金型2の内部に複数の押し込み機構部12を組み込むことにより、図3中の二点鎖線の矢印で示すように、それぞれ異なる押圧ピン13を用いて上記同様の押し込み動作を複数回繰り返すことも可能である。
【0027】
具体例として、凹金型2の内部に3つの押し込み機構部12を設けたものでは、コイル線材の巻線を開始してからの巻線ターン数が、所要の巻線ターン数の1/4に達したところで1番目の押し込み機構部12の押圧ピン13の突出及び移動によってコイル線材を押し込み、その後のコイル線材の巻線によって所要の巻線ターン数の1/2に達したら2番目の押し込み機構部12の押圧ピン13の突出及び移動によってコイル線材を押し込み、その後のコイル線材の巻線によって所要の巻線ターン数の3/4に達したら3番目の押し込み機構部12の押圧ピン13の突出及び移動によってコイル線材を押し込み、その後、残り1/4のコイル線材の巻線を行う。
【0028】
このような手順でコイル巻線工程が終了したら、押圧ピン13によるコイル線材の押し付け状態と成形パンチ部品8によるコイル線材の押し付け状態を維持したまま、次のような処理を行う。すなわち、巻線始め部分と巻き終わり部分に対応するコイル線材の両端に適正電流を流し、線材自身の抵抗で生じるジュール熱により、コイル線材の最外層の融着ワニスを溶かす。次いで、巻線金型1の巻線空間に巻き付けられたコイル線材をプレス工程で一対の成形パンチ部品8(図5(B)参照)で加圧することにより、偏向コイルを所望の形状及び寸法に成形した状態でコイル全体を固着(一体化)させる。その後、成形済みの偏向コイルを巻線金型1から取り出すために、コイル巻線中に偏向コイルのベンド部の巻線部位に突出させたガイドピン10(図7参照)を引き込み動作させるとともに、偏向コイルの主コイル部の巻線部位に突出させた上記の押圧ピン13を引き込み動作させたのち、次の巻線処理に備えて押し込み機構部12を初期状態に戻すべく、押圧ピン13をガイド孔24の他端から一端(巻線空間の奥側から手前側)に移動させる。
【0029】
このように本実施形態においては、コイル巻線工程での巻線手順として、巻線金型1の巻線空間に所定数(上記の例では所要の巻線ターン数の半分)のコイル線材を巻き付けた段階で、コイル押し込み機構部12の押圧ピン13の突出及び移動によってコイル線材を巻線空間の手前側から奥側へと押し込み、その後、押圧ピン13によるコイル線材の押し込み状態を維持しながら巻線空間にコイル線材を巻き付けるようにしたので、偏向コイルの主コイル部を形成するコイル線材の巻線状態(巻線分布、巻線密度)が非常に安定したものとなる。また、コイル線材の押し込みは押圧ピン13と成形パンチ部品8の両方で行われるため、巻線空間の全体にわたってコイル線材の巻線密度が均一でしかも密状態となり、巻線位置の精度も高まる。さらに、巻線空間に巻き付けられたコイル線材から離れた位置で押圧ピン13を突出させ、この突出位置から押圧ピン13を巻線空間の奥側に移動させてコイル線材を押し付けるため、突出時に押圧ピン13でコイル線材を挟み込んでダメージを与える恐れがないことは勿論、コイル線材を押し込んだ状態での押圧ピン13の位置を偏向コイルの特性調整を考慮して任意に設定することができる。
【0030】
その結果、コイル線材の巻線密度の向上により、電子ビームを偏向するのに必要な消費電力を削減して省電力化を図ることが可能となる。また、偏向コイルの主コイル部を含めたコイル全体の巻線状態が安定するため、偏向コイルの特性のばらつきを低減することが可能となる。また、押圧ピン13の挟み込みによってコイル線材にダメージを与える恐れがないため、巻線の信頼性を向上させることができる。また、コイル線材を押し込んだ状態での押圧ピン13の位置を調整することで巻線分布を変えることができるため、偏向コイルの特性調整を自由に行うことができる。
【0031】
なお、上記実施形態においては、1回のコイル線材の押し込み動作を一つの押圧ピン13で行うようにしたが、これ以外にも2つの押圧ピンを並行移動させてコイル線材を押し込むようにしてもよい。また、押圧ピン13のようなピン構造部材以外にも、例えば巻線空間の奥行き方向にスペースをとらない薄板状の構造部材を用いてコイル線材を押し付けるようにしてもよい。また、巻線金型1の巻線空間に対して押圧ピン13等の押圧部を出没させるための駆動系として、シリンダ14の他に電磁式のプランジャなどを採用してもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、巻線金型を用いてサドル形の偏向コイルを製造する場合に、巻線金型に所定数のコイル線材を巻き付けた段階で、この所定数のコイル線材を巻線空間の手前側から奥側に押し込み、さらにこの押し込み状態を維持しながら巻線空間にコイル線材を巻き付けることにより、巻線空間の内部でコイル線材を高い巻線密度でしかも高精度に整列させた状態で偏向コイルの巻線状態を安定させることができる。その結果、偏向コイルの特性のばらつきを低減することができる。また、かかる製造方法によって得られた偏向コイルを用いて偏向ヨークを構成することにより、電子ビームを精度良く偏向することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る偏向コイル用巻線機が備える巻線金型の凹金型の構成を示す斜視半断面図である。
【図2】本発明の実施形態で採用したコイル押し付け機構部の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る偏向コイルの製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態で採用したコイル押し付け機構部の動作を示す図である。
【図5】偏向コイルの基本的な製造過程を説明する図である。
【図6】巻線位置を規制するためのガイドピンの配置状態を示す図である。
【図7】巻線工程後のコイル形状とプレス工程時のコイル形状を示す図である。
【図8】コイル巻線方法の一例を説明する図である。
【符号の説明】
1…巻線金型、2…凹金型、3…凸金型、4,5…巻線ガイド、7,7A,7B…コイル線材、9…偏向コイル、12…コイル押し付け機構部、13…押圧ピン、14…シリンダ、15…スライドガイドユニット

Claims (4)

  1. 巻線金型によって形成される巻線空間にコイル線材を巻き付けるコイル巻線工程を有する偏向コイルの製造方法であって、
    前記コイル巻線工程は、
    前記巻線空間に所定数のコイル線材を巻き付ける第1の巻き付けステップと、
    前記第1の巻き付けステップで巻き付けた前記所定数のコイル線材を、前記巻線空間の手前側から奥側に押し込む押し込みステップと、
    前記押し込みステップによる前記コイル線材の押し込み状態を維持しながら前記巻線空間にコイル線材を巻き付ける第2の巻き付けステップとを含む
    ことを特徴とする偏向コイルの製造方法。
  2. 偏向コイルのコイル線材を巻き付けるための巻線空間を形成する巻線金型と、
    前記巻線金型の内部に設けられるとともに、前記巻線空間に対して出没可能で、かつ、前記巻線空間の奥行き方向に移動可能な押圧部を有するコイル押し込み手段と
    を備えることを特徴とする偏向コイル用巻線機。
  3. 前記コイル押し込み手段は、前記巻線空間に対して前記押圧部を出没させる第1の駆動部と、前記押圧部を前記巻線空間の奥行き方向に移動させる第2の駆動部とを有する
    ことを特徴とする請求項2記載の偏向コイル用巻線機。
  4. 前記巻線空間を形成する前記巻線金型の凹面部に前記巻線空間の奥行き方向に沿う細長状のガイド孔を形成し、このガイド孔を通して前記押圧部を前記巻線空間に出没させる
    ことを特徴とする請求項2記載の偏向コイル用巻線機。
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