JP2004078620A - 真正性識別方法および真正性識別装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来技術における真正性識別方法が、隠しパターンの有無を確認するに止まっていたのを、内容の検証をも可能化する、新たな真正性識別方法を提供すること、および、そのような真正性識別方法に適した真正性識別装置を提供することを課題とする。
【解決手段】隠しパターンを有する情報記録体1のパターン部を光源24で照明し、反射光を確認パターン27およびレンズ系26を介して光センサ25で読み取り、モアレパターンを発生させ、記憶手段29に記憶された標準パターンとの異同の判定を行なうことにより、課題を解決した。
【選択図】 図7
【解決手段】隠しパターンを有する情報記録体1のパターン部を光源24で照明し、反射光を確認パターン27およびレンズ系26を介して光センサ25で読み取り、モアレパターンを発生させ、記憶手段29に記憶された標準パターンとの異同の判定を行なうことにより、課題を解決した。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真正性の識別が可能な情報記録体の真正性識別方法、およびそのための真正性識別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報が記録された情報記録体には、(1)預貯金用カードもしくはクレジットカード等のカード類、(2)紙幣、証券、商品券のように額面記載の価値を有する金券、(3)株券、抽選券、もしくは馬券等、および(4)パスポート、もしくは身分証明書、等があり、直接的、間接的に、経済的もしくはその他の価値を有しているため、不正な意図でこれらを製造する偽造や、本物や使用済みで廃棄すべきものを利用し、作り変える変造が後を絶たない。
【0003】
偽造・変造の防止策としては種々の方策が講じられているが、製造の困難性のあるホログラムシール等を貼り、貼る対象物の真正性を保証し、偽造を防止していることが多い。
しかし、ホログラムシールの原理そのものはよく知られており、製造技術が高度であると言えども、技術の習得により、偽造され得るものであり、ホログラムシールの改良を進める傍ら、さらにホログラムの真正性識別機能を高める努力がなされている。
【0004】
例えば、特開平11−277962号公開公報には、ホログラム形成層と、網点または万線で隠しパターンが構成された隠しパターンが構成された画像形成体が記載されており、確認の手段として、画像形成体とは別体の、網点または万線で構成された確認パターンを重ねることにより、モアレパターンの発生を確認することができる。
【0005】
しかし、上記公開公報に記載された発明では、単に、目視でモアレパターンが発生したことを観察するのみであり、確認パターンを重ねると、隠しパターンが顕像化されるので、通常の状態では隠しパターンの判別がつかない利点はあるものの、真正性識別方法としては、隠しパターンの内容の検証は行なわれず、真正性識別のための要素の存在を確認するに止まっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、上記の従来技術における真正性識別方法が、隠しパターンの有無を確認するに止まっていたのを、内容の検証をも可能化する、新たな真正性識別方法を提供することを課題とする。
また、本発明の他の課題は、そのような新たな真正性識別方法に適した真正性識別装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決する手段】
従来技術において、隠しパターンを有する画像形成体上に確認パターンを有する確認具を重ねていて目視観察していたのに替え、情報記録体上の隠しパターンを確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、このモアレパターンと標準パターンとを比較して異同を判定することにより、真正性識別方法をより確実なものとすることができた。
また、隠しパターンを光学的に読取って、隠しパターン情報としてから、確認パターンの情報とにより、モアレパターンを発生させても、真正性識別方法をより確実なものとすることができた。
いずれにおいても、対象となる情報記録体上に、隠しパターンのみならず、確認パターンを伴なっていてもよいし、隠しパターンも、一層のものに限られることなく、二層以上の多層でもよい。
また、試料を照明する光源、レンズ系、光センサを有し、さらに演算装置、記憶装置を備えたもの、あるいは、これらに加えて、光路中に設置された確認パターンのフィルターを備えたもの、さらには、隠しパターンと確認パターンとが重なっているか、もしくは隠しパターンが複数重なっている情報記録体を試料とする場合に、さらに、パターンに焦点を合わせるための焦点調節機構を備えたものとすることにより、上記したような真正性識別方法の実現に有効な真正性識別装置とすることができた。
【0008】
第1の発明は、情報記録体の基材上に形成された情報記録体上の前記隠しパターンを、前記隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第2の発明は、隠しパターンが基材上に形成された情報記録体上の前記隠しパターンを、光学的に読み取って隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとを比較して異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第3の発明は、互いに干渉しあう隠しパターンおよび確認パターンが基材上に重なって形成された情報記録体上の前記隠しパターンに焦点を合わせ、前記確認パターンとは別の確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第4の発明は、互いに干渉しあう隠しパターンおよび確認パターンが基材上に重なって形成されたパターン部を有する情報記録体上の前記隠しパターンに焦点を合わせ、光学的に読み取って、隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記確認パターンとは別の確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとを比較して、前記標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第5の発明は、二以上の隠しパターンが基材上に重なって形成された情報記録体に対して、前記二以上の隠しパターンのいずれかに焦点を合わせ、前記焦点を合わせた隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとの異同の判定を行なうことからなる真正性識別プロセスを行ない、その後、焦点を合わせる前記二以上の隠しパターンを変えて隠しパターン毎に、前記真正性識別プロセスを繰り返すことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第6の発明は、二以上の隠しパターンが基材上に重なって形成された情報記録体に対して、前記二以上の隠しパターンのいずれかに焦点を合わせ、光学的に読み取って、隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記焦点を合わせた隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとの異同の判定を行なうことからなる真正性識別プロセスを行ない、その後、焦点を合わせる前記二以上の隠しパターンを変えて隠しパターン毎に、前記真正性識別プロセスを繰り返すことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第7の発明は、試料を載置し固定する試料台、前記試料台上の前記試料を照明する光源、前記反射光の光路上に設置された光センサ、前記パターン部からの反射光を光センサに導入するためのレンズ系、前記光センサで検出した光の画像情報への変換および記憶、標準パターン情報の記憶、並びに前記画像情報と前記標準パターン情報の異同の比較を行なう演算装置、並びに記憶装置からなることを特徴とする真正性識別装置に関するものである。
第8の発明は、試料を載置し固定する試料台、前記試料台上の前記試料を照明する光源、隠し前記試料からの反射光の光路に設置された確認パターンを有するフィルター、前記反射光の光路上に設置された光センサ、前記パターン部からの反射光を前記フィルターを経由して光センサに導入するためのレンズ系、前記光センサで検出した光の画像情報への変換および記憶、標準パターン情報の記憶、並びに前記画像情報と前記標準パターン情報の異同の比較を行なう演算装置からなることを特徴とする真正性識別装置に関するものである。
第9の発明は、第7または第8の発明において、前記試料台と前記レンズ系との相対的な距離を調節可能とする焦点調節機構を備えることを特徴とする真正性識別装置に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明の真正性識別方法の対象となる真正性識別体1は、基材2上の少なくとも一部にパターン部3が積層したものであり、このパターン部3は、パターン層が一層で構成されたもの(図1(a))、またはパターン層3a上にパターン層3bが積層して構成された二層で構成されたもの、もしくは三層以上で構成されたものである。
これらは基本的な構造であるので、基材2とパターン部3との間や、パターン層どうしの間等に、他の層が介在することもある。例えば、各層の積層に当たって、必要に応じて、接着剤層を介在させることができる。
【0010】
パターン部3は、パターン層が一層で構成されているときは、そのパターン層は、隠しパターンを有するものである。
パターン部3が、二層のパターン層から構成されているときは、いずれもが隠しパターンを有するものであるか、もしくは、いずれか一方が隠しパターンを有し、他方が確認パターンを有するものとすることが好ましい。
【0011】
即ち、パターン部3は、少なくとも一層の隠しパターンを有するパターン層から構成されているが、この理由は、本発明においては、隠しパターンを確認パターンを用いて判別可能としているからである。
ただし、隠しパターンと確認パターンとを相互に入れ替えることは可能であるので、その場合には、パターン部3は、少なくとも一層の確認パターンを有するパターン層から構成されることになる。
【0012】
図2は、本発明の真正性識別体1の具体例である商品券に適用した例を示し、図2(a)に示すように、紙等の基材2上に、通常の印刷4と、パターン部3を有しており、確認パターン(図示せず。)を重ねると、パターン部3において、図2(b)に示すように、「壱千円」の額面表示が、モアレパターン13として現われるものである。
【0013】
本発明における隠しパターンと確認パターンとは、互いに干渉しあう関係を有するもので、その形状は、具体的には、以降に、図2〜図5を引用して説明するようなものである。
【0014】
隠しパターンおよび確認パターンは印刷で表現するほか、ホログラム等を用いても表現することができ、隠しパターンおよび確認パターンのいずれも印刷もしくはホログラムで表現するか、いずれか一方を印刷で表現し、他方をホログラム等で表現する等してもよい。
【0015】
図3(a)は、隠しパターン11を例示する図であって、隠しパターン11は、中央部の横長の長方形のパターン部11a、パターン部11aの四周に接した枠状のパターン部11b、および背景部11cの三つの部分とからなっており、三つの部分のいずれもが万線によって構成されている。ここで、万線とは、一定幅wの線が2wのピッチで等間隔に配列した集合体を指す。
これら三つの部分のうち、パターン部11aおよびパターン部11bが、同じ右上がりの万線で構成されたものであり、ただし、両パターン部において、万線どうしが1/2ピッチずれている。残る背景は11cは、右下がりの万線で構成されている。ここで使用されている向き(角度)の異なる二種類の万線どうしは直交するものとする。
【0016】
図3(b)は、図3(a)の隠しパターン11を確認するための確認パターン12を例示するもので、右上がりの万線で構成され、この確認パターン12を構成する万線と、図2(a)を用いて説明した隠しパターン11の中央部およびその周囲を取り巻くパターン部11aおよび11bを構成する万線とはピッチおよび向き(角度)が同一であり、背景部11cを構成する万線とはピッチが同一であるが、向きが互いに直交する。
【0017】
上記の例の隠しパターン11と確認パターン12を重ねた状態を図4に示す。図3(a)に示す隠しパターン11上に、図3(b)に示す確認パターン12を重ねると、確認パターン12を構成する万線が、隠しパターン11の中央部のパターン部11aを構成する万線上にちょうど重なるとき、図4(a)に示すように、中央部のパターン部11aは、元の万線の状態と同様に見えるが、周囲の枠状のパターン部11b中、線ではない部分を、確認パターン12の万線が埋めるので、結果として、枠状のパターン部11bの部分は、塗りつぶされて見える(図4(a)中、モアレパターン13の符号で示す。)。
【0018】
また、隠しパターン11上に確認パターン12を重ねた上記の状態から、隠しパターン11と確認パターン12とを相対的にずらし、確認パターン12を構成する万線が、隠しパターン11の枠状のパターン部11bを構成する万線上にちょうど重なるようにすると、図4(b)に示すように、枠状のパターン部11bは、元の万線の状態と同様に見えるが、中央部のパターン部11a中、線ではない部分を、確認パターン12の万線が埋めるので、中央部のパターン部11aの部分は、塗りつぶされて見える(図4(b)中、モアレパターン13の符号で示す。)。
【0019】
隠しパターン11のパターン部11aおよび11b以外の部分、即ち、隠しパターンの背景部11cは、上記のいずれの場合においても、万線どうしが直交している状態が変化しないので、一様に見える。
【0020】
図3(a)において、隠しパターン11は、拡大して図示したために、中央部およびその周囲を取り巻くパターン部11aおよび11bの両パターン部は、あたかも、背景部11cから区別して見えるように感じられるが、実際には、万線の線幅、ピッチが小さく、しかも、両パターン部分11aおよび11bと、背景部11cとは、単位面積中に線の部分が占める割合が等しく(図2(a)の例では、いずれの場所においても50%である。)、濃度差を生じないため、隠しパターン11の肉眼判定は非常に困難である。
【0021】
しかし、上記の例において示すように、隠しパターン11上に確認パターン12を重ねることにより、パターン部分11aおよび11bは、線の部分の割合が、50%か100%のいずれかになるから、背景部の線の割合である75%との差が生じる。
【0022】
図5および図6は、隠しパターンおよび確認パターンの別の組み合わせを示す図である。いずれの図においても(a)は隠しパターンを示す図で、いずれも正方形の網点で構成され、隠しパターン自体は図5および図6で共通である。(b)はいずれも確認パターンを示す図であり、(c)は、いずれも、隠しパターン上に、確認パターンを重ねた状態を示す図である。
【0023】
隠しパターン11は、各々は外形が正方形の網点から構成されたもので、縦横の格子線は、各網点の位置が格子状配列から、意図的にずらされていることを示すための補助線であり、実際には存在せず、従って、隠しパターン11を構成するものではない。格子線どうしは縦横共、等間隔であり、縦線と横線とは互いに直交している。
【0024】
まず、各網点の左右方向(一般的なグラフで言えば、x軸方向)の配置については、隠しパターン11の、最も左の縦の列(第1列とする。)の網点は、いずれも各格子点の右上に、網点の左辺と下辺とが格子線に接して配置されている。また、最も上の横の行(第1行とする。)と最下行の網点は各格子に網点の左辺が接するように配置されている。
そのほかの各網点は、左右方向については、格子間の中央にある、ただし、第4列および第5列の第4行および第5行の四つの網点の左辺は、格子線に接している。
また、各網点は、第1列の網点を除き、後列に行くほど、上側(グラフで言えば、y軸の正方向側)に少しずつずれて配置され、この結果、最後列である8列目の網点は、y軸方向については、格子間の中央に配置されている。
【0025】
上記の隠しパターン11を確認し得る確認パターン12としては、各線がx軸方向を向いて配列したもの(図5(b))、もしくは各線がy軸方向を向いて配列したもの(図6(b))であり、両者は互いに他を90°回転した関係にある。
いずれの確認パターンも万線で構成され、万線の線の幅は、隠しパターンの網点の一辺と等しくなるよう形成されている。
【0026】
まず、図5(a)で示す隠しパターン11上に、図5(b)で示す確認パターン12を重ねる。ここでは、隠しパターン11の格子線のうちの横線に確認パターン12を構成する万線の各線の下辺が接するように重ねるものとする。
こうすることにより、第1列の網点は、万線によって覆われるために見えなくなるが、第2列以降の列の網点は、配置されている位置の格子からの変位に基づき、後列にいくほど、次第に万線の各線よりはみ出して見えるようになり、全体としては、右側に行くほど濃度が濃くなる、グラデーションを有する視覚パターンを与える。
【0027】
また、図6(a)で示す隠しパターン11上に、図6(b)で示す確認パターン12を重ねる。ここでは、隠しパターン11の格子線のうちの縦線に確認パターン12を構成する万線の各線の左辺が接するように重ねるものとする。
こうすることにより、格子線に接して配置されていた第1列の網点、第1行および最下行の網点、並びに第4列および第5列の第4行および第5行の四つの網点は、万線によって覆われるために見えなくなるが、そのほかの網点は配置されている位置の格子から、いずれも同じだけ右側にずれているので、網点の右側半分が万線の各線よりはみ出して見えるようになり、全体としては、ほぼ枠状の外形を有する視覚パターンを与える。
【0028】
以上の例では、万線により構成された隠しパターンと万線により構成された確認パターン、および、網点により構成された隠しパターンと万線により構成された確認パターンの組み合わせを説明したが、これら以外の、網点により構成された隠しパターンと網点により構成された確認パターン、および、万線により構成された隠しパターンと網点により構成された確認パターンの組み合わせも可能である。
【0029】
また、図を引用して説明した例では、万線どうし、網点と万線の重ね合わせにおいては、ほぼ平行な重なりにより、干渉を起こさせて、隠しパターンを見えるようにしたが、平行でなくても、比較的平行に近い小さい角度、例えば20°以下、もしくは15°以下の角度で交差させて重ねてもよい。
いずれの場合においても、網点もしくは万線がぴったり重なるか、上に重なった物のほうが大きい場合には、下になった方は、上からは全く見えないが、下になる方が、上になる物からはみ出して居る場合には、その部分が視覚的に強め合う干渉効果が生じる。即ち、本発明における、網点もしくは万線によって構成された隠しパターンは、網点もしくは万線によって構成された確認パターンと干渉しあうものである。なお、干渉により見えるパターンをしばしばモアレパターンと呼ぶので、この明細書においては、確認パターンにより見える状態となった視覚パターンをモアレパターンと呼び、さらに隠しパターンの情報と確認パターンの情報から発生するモアレパターン、もしくはモアレパターンの情報も含めてMモアレパターンと称する。
【0030】
さらに、ここで言う網点は、四角形や円形等の通常の網点形状以外の形状、例えば、記号や文字等の形状で構成されていてもよい。また、網点は直線上に配列したものでも、もしくは曲線やサインカーブのような波線上に配列したものであってもよく、万線も直線状のものでも、曲線やサインカーブのような波線状のものであってもよい。
なお、線幅に対して数倍以上の長さを有する形状のものは網点とも、万線ともつかないが、いずれであるかは別として、本発明における「網点もしくは万線によって構成された」の範囲に含めるものとする。
加えて、隠しパターン、および確認パターンを構成する網点もしくは万線は、一定なものでなくても、隠しパターン、および確認パターンの両方において、互いに同調しながら変化したものであってもよい。
【0031】
以上においては、一つの層には隠しパターン、もしくは確認パターンのいずれか一方のみが形成されていることを前提に説明したが、一つの層に隠しパターンと確認パターンの両方を並べて形成することもできる。
【0032】
上記のような隠しパターン、場合によっては隠しパターンと確認パターンとをパターン部に有する真正性識別体1の基材2は、従来技術の説明において挙げた種々の用途に合せた情報記録体の種々の形態であり得る。
また、基材2は、用途に合わせ、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、もしくはポリオレフィンビニルアルコールなどの樹脂のほか、アルミニウム、銅などの金属、紙、そして、樹脂またはラテックス等の含浸紙などの単独、或いは複合体シートなどの素材で構成することができる。
耐熱性が要求される場合、基材2の素材として、非晶質ポリエステル樹脂、非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のブレンド樹脂等のシートも用いることができる。
基材2の厚さは、材質によっても異なるが、通常、10μm〜5mm程度の範囲である。特に磁気カードの場合、基材シートをISO規格に準拠したものとする場合には、その厚さは0.76mmである。
【0033】
隠しパターンおよび確認パターンはホログラムで構成することができ、ホログラムとしては、種々のものが利用できるが、合成樹脂の層に光回折構造(代表的なものがホログラムである。)が形成されたホログラム層とすることが普通である。
【0034】
合成樹脂の層へのホログラムの形成は、既知の方法によって行なうことができ、ホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。また、フォトポリマーを用いる場合は、フォトポリマー層上に、前記原版を重ねてレーザー光を照射することにより複製することができる。あるいは、二光束干渉法によっても形成できる。
ホログラム層は、層形成のために用いられる透明基材フィルムもしくはシートで裏打ちされていてもよい。
【0035】
上記のようにホログラム層の表面に凹凸のレリーフとして干渉縞を記録した場合には、その回折効率を高めるために、反射層をレリーフ面に形成してあることが好ましい。反射層としては、光を反射するアルミニウム、もしくはその他の金属の薄膜で構成し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの薄膜形成法によって形成する。
【0036】
反射層としては、ホログラム層とは屈折率の異なる物質の透明薄膜も挙げられる。ホログラム層より屈折率が大きい、ZnS、TiO2、Al2 O3 、Sb2 S3 、SiO、TiO、SiO2 など、もしくはホログラム層より屈折率が小さいLiF、MgF2 、AlF3 などで構成する。
ホログラム層がパターン層として使用され、さらにその下にパターン層がある場合等、ホログラム層に透明性が要求されるときは、上記のホログラム層とは屈折率の異なる透明薄膜を伴なうか、もしくは金属薄膜であっても、厚みがごく薄く、透明性のあるものを伴なうことが好ましい。
【0037】
真正性識別体の真正性識別方法としては、幾つかの方法を採ることができる。まず、真正性識別体1をパターン部3を上にして所定の試料台上に載せ、適当な光源を用いてパターン部3を照明する。パターン部3が隠しパターンを有するものであれば、生じた反射光を、確認パターンを有する光透過性のフィルターを用いて読み取ることにより、モアレパターンを発生させることができる。
発生したモアレパターンを検出し、標準パターンと比較し、例えば90%(この数値は一例である。) 以上の一致があれば、モアレパターンと標準パターンとが同一であるとみなし、真正性識別体1が真正であるものとする。もしも、一致する部分が90%未満の場合には、不同一とみなし、真正性識別体1が真正ではないものとする。
【0038】
ところで、上記の真正性識別方法を適用できる真正性識別体2のパターン部3には、種々のタイプがあり、例えば、パターン部3としては、隠しパターンを有する隠しパターン層の一層から構成されているもの、および二層以上から構成されているものが有り得る。
【0039】
また、真正性識別方法を適用できる真正性識別体1のパターン部3は、上記の一層もしくは二層以上のパターン層に加えて、さらに、確認パターンを有していてもよい。確認パターンは、隠しパターンを顕像化するから、格別の手段を有していなくても、隠しパターンを見ることが可能になる。
勿論、確認パターンを有していなくても、別体の確認パターンを使用することにより、パターン部の隠しパターンを顕像化することができる。
【0040】
なお、パターン部3が確認パターンを有している場合、パターン部3の確認パターンと、別体(真正性識別体1とは別個に存在する意味である。)の確認パターンとを、異なるパターンで構成しておけば、真正性識別体2単独を観察したときに生じているモアレパターンと、別体の確認パターンを用いたときに発生するモアレパターンを異なるものとすることができる。
例えば、図5(a)の隠しパターンと図5(b)の確認パターンを真正性識別体1上に重ねて設けておき、図6(b)の確認パターンを別体の確認パターンとするようにである。このようにすることにより、一方の確認パターンを用いたときのモアレパターンにのみ注意が向けられ、他方の確認パターンを用いたときのモアレパターンの存在に気付きにくい効果がある。
【0041】
標準パターンは、目で見える現物で準備して、その都度、識別すべき真正性識別体1と同様に、確認パターンを有する光透過性のフィルターを用いて読み取ってもよいが、標準パターンと確認パターンとのモアレパターンの情報として記憶させておいて使用してもよい。
【0042】
真正性識別体1のパターン部3を照明することにより生じた反射光を、確認パターンを有する光透過性のフィルターを用いずに、そのまま読取って、隠しパターン情報として一旦記憶させ、演算処理によりモアレパターンを発生させてもよい。この場合、確認パターンの情報も記憶させておき、隠しパターン情報と確認パターンの情報を読み出し、両パターンで重複した部分を消去して重複しない部分のパターンを生成するか、もしくは両パターンで重複した部分を、その周囲も含めて、線や点を太らせる等によりモアレパターンを生成する。確認パターンを情報として取り扱うことにより、確認パターンが人目に触れないので、確認パターンの偽造を防止できる利点がある。
【0043】
生成したパターンは標準パターンと比較し、異同の判定を行なう。
やはり、モアレパターンと標準パターンとが、例えば、90% 以上一致することをもって、同一とみなし、真正性識別体1が真正であるものとする。もしも、一致する部分が90%未満の場合には、不同一とみなし、真正性識別体1が真正ではないものとする。
【0044】
上記したような、真正性識別体の真正性識別方法を実施する際には、次のような真正性識別装置を使用して行なうことが好ましい。
図7は、そのような真正性識別装置21を例示する図であって、試料を載置し固定するための試料台22、試料台22上を覆って設けられたカバー23を有しており、カバー23内の左上方には、試料を照明するための光源24が設けられており、試料上で反射した反射光の光路上には、試料からの反射光を検出する光センサ25と、光センサ25に反射光を導入するためのレンズ系26とを有している。
【0045】
さらに、真正性識別装置21は、演算装置30を備えており、演算装置21は、光センサが反射光を受けて生じる電気信号を受けて情報に変換する手段、変換された情報を記憶手段に記憶させるための手段、および記憶された情報を読み出し、情報どうしを比較して異同を判断する演算手段28、並びに記憶手段29等から構成されている。
【0046】
真正性識別装置21には、真正性識別体1のパターン部を確認パターンを介して光学的に読み取るため、試料からの反射光の光路上に確認パターンを有するフィルター27が設けられていてもよい。
また、試料台22は、試料台22とレンズ系26とは、互いの相対的な距離を調節可能とする焦点調節機構を備えていてもよく、このようにすることにより、隠しパターンが重なっている場合に、特定の隠しパターンからの反射光を取出すことができ、あるいは、隠しパターンが確認パターンと重なっていても、隠しパターンからの反射光を取出すことができる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、隠しパターンを確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、標準パターンとの異同の判定を行なうので、単に隠しパターンの有無を確認するのみでなく、モアレパターンの内容を検証可能な、精度の高い識別が可能な真正性識別方法を提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明とほぼ同様な効果に加え、隠しパターンを光学的に読み取って隠しパターン情報とし、確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させるので、確認パターンの存在が分かりにくく、偽造を防止しやすい真正性識別方法を提供することができる。
請求項3の発明によれば、情報記録体上で、すでにモアレパターンが生じているので、そのモアレパターンの模倣は可能であっても、別の確認パターンによるモアレパターンの存在が分かりにくく、偽造防止性があり、しかも偽造をたやすく見分けることが可能な、真正性識別方法を提供することができる。
請求項4の発明によれば、請求項2の発明とほぼ同様な効果に加え、別の確認パターンによるモアレパターンの存在がより一層分かりにくく、従って、偽造防止性がより高く、しかも偽造をたやすく見分けることが可能な、真正性識別方法を提供することができる。
請求項5の発明によれば、請求項3の発明におけるのと同様な効果に加え、隠しパターンが二以上形成されているので、隠しパターンがカモフラージュされていて、隠しパターンの存在が分かりにくく、しかも、読取り時には、焦点を合わせることにより、それぞれの隠しパターンを読み取ることができるので、偽造防止性がより向上した、真正性識別方法を提供することができる。
請求項6の発明によれば、請求項5の発明とほぼ同様な効果に加え、確認パターンの存在がより一層分かりにくく、偽造防止性がさらに向上した、真正性識別方法を提供することができる。
請求項7の発明によれば、試料の反射光を検出して、情報としてとらえることができ、標準パターンとの比較により異同の比較を行なうことが可能な真正性識別装置を提供することができる。
請求項8の発明によれば、確認パターンを有するフィルターを介して読み取ることができるので、読み取った時点でモアレパターンが発生し、標準パターンとの比較により異同の比較を行なうことが、より簡易に行なえる真正性識別装置を提供することができる。
請求項9の発明によれば、請求項7または請求項8の発明の効果に加え、焦点調節を行なってパターン毎の読み取りができるので、隠しパターンどうし、もしくは隠しパターンと確認パターンとの重なって、隠しパターンがカモフラージュされたパターン部の特定のパターン層を読み取って、標準パターンとの異同の判定を行なうことが可能な、真正性識別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真正性識別体の構造を示す図である。
【図2】商品券に応用した真正性識別体を示す図である。
【図3】隠しパターンと確認パターンを示す図である。
【図4】隠しパターンと確認パターンを重ねて生じるモアレパターンを示す図である。
【図5】別の隠しパターンと確認パターンを示す図である。
【図6】確認パターンの向きを変えた例である。
【図7】真正性識別装置の概念図である。
【符号の説明】
1 真正性識別体
2 基材
3 パターン部
11 隠しパターン
12 確認パターン
13 モアレパターン
21 真正性識別装置
22 試料台
23 カバー
24 光源
25 光センサ、
26 レンズ系
27 確認パターンを有するフィルター
28 演算手段
29 記憶手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、真正性の識別が可能な情報記録体の真正性識別方法、およびそのための真正性識別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報が記録された情報記録体には、(1)預貯金用カードもしくはクレジットカード等のカード類、(2)紙幣、証券、商品券のように額面記載の価値を有する金券、(3)株券、抽選券、もしくは馬券等、および(4)パスポート、もしくは身分証明書、等があり、直接的、間接的に、経済的もしくはその他の価値を有しているため、不正な意図でこれらを製造する偽造や、本物や使用済みで廃棄すべきものを利用し、作り変える変造が後を絶たない。
【0003】
偽造・変造の防止策としては種々の方策が講じられているが、製造の困難性のあるホログラムシール等を貼り、貼る対象物の真正性を保証し、偽造を防止していることが多い。
しかし、ホログラムシールの原理そのものはよく知られており、製造技術が高度であると言えども、技術の習得により、偽造され得るものであり、ホログラムシールの改良を進める傍ら、さらにホログラムの真正性識別機能を高める努力がなされている。
【0004】
例えば、特開平11−277962号公開公報には、ホログラム形成層と、網点または万線で隠しパターンが構成された隠しパターンが構成された画像形成体が記載されており、確認の手段として、画像形成体とは別体の、網点または万線で構成された確認パターンを重ねることにより、モアレパターンの発生を確認することができる。
【0005】
しかし、上記公開公報に記載された発明では、単に、目視でモアレパターンが発生したことを観察するのみであり、確認パターンを重ねると、隠しパターンが顕像化されるので、通常の状態では隠しパターンの判別がつかない利点はあるものの、真正性識別方法としては、隠しパターンの内容の検証は行なわれず、真正性識別のための要素の存在を確認するに止まっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、上記の従来技術における真正性識別方法が、隠しパターンの有無を確認するに止まっていたのを、内容の検証をも可能化する、新たな真正性識別方法を提供することを課題とする。
また、本発明の他の課題は、そのような新たな真正性識別方法に適した真正性識別装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決する手段】
従来技術において、隠しパターンを有する画像形成体上に確認パターンを有する確認具を重ねていて目視観察していたのに替え、情報記録体上の隠しパターンを確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、このモアレパターンと標準パターンとを比較して異同を判定することにより、真正性識別方法をより確実なものとすることができた。
また、隠しパターンを光学的に読取って、隠しパターン情報としてから、確認パターンの情報とにより、モアレパターンを発生させても、真正性識別方法をより確実なものとすることができた。
いずれにおいても、対象となる情報記録体上に、隠しパターンのみならず、確認パターンを伴なっていてもよいし、隠しパターンも、一層のものに限られることなく、二層以上の多層でもよい。
また、試料を照明する光源、レンズ系、光センサを有し、さらに演算装置、記憶装置を備えたもの、あるいは、これらに加えて、光路中に設置された確認パターンのフィルターを備えたもの、さらには、隠しパターンと確認パターンとが重なっているか、もしくは隠しパターンが複数重なっている情報記録体を試料とする場合に、さらに、パターンに焦点を合わせるための焦点調節機構を備えたものとすることにより、上記したような真正性識別方法の実現に有効な真正性識別装置とすることができた。
【0008】
第1の発明は、情報記録体の基材上に形成された情報記録体上の前記隠しパターンを、前記隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第2の発明は、隠しパターンが基材上に形成された情報記録体上の前記隠しパターンを、光学的に読み取って隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとを比較して異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第3の発明は、互いに干渉しあう隠しパターンおよび確認パターンが基材上に重なって形成された情報記録体上の前記隠しパターンに焦点を合わせ、前記確認パターンとは別の確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第4の発明は、互いに干渉しあう隠しパターンおよび確認パターンが基材上に重なって形成されたパターン部を有する情報記録体上の前記隠しパターンに焦点を合わせ、光学的に読み取って、隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記確認パターンとは別の確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとを比較して、前記標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第5の発明は、二以上の隠しパターンが基材上に重なって形成された情報記録体に対して、前記二以上の隠しパターンのいずれかに焦点を合わせ、前記焦点を合わせた隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとの異同の判定を行なうことからなる真正性識別プロセスを行ない、その後、焦点を合わせる前記二以上の隠しパターンを変えて隠しパターン毎に、前記真正性識別プロセスを繰り返すことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第6の発明は、二以上の隠しパターンが基材上に重なって形成された情報記録体に対して、前記二以上の隠しパターンのいずれかに焦点を合わせ、光学的に読み取って、隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記焦点を合わせた隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとの異同の判定を行なうことからなる真正性識別プロセスを行ない、その後、焦点を合わせる前記二以上の隠しパターンを変えて隠しパターン毎に、前記真正性識別プロセスを繰り返すことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
第7の発明は、試料を載置し固定する試料台、前記試料台上の前記試料を照明する光源、前記反射光の光路上に設置された光センサ、前記パターン部からの反射光を光センサに導入するためのレンズ系、前記光センサで検出した光の画像情報への変換および記憶、標準パターン情報の記憶、並びに前記画像情報と前記標準パターン情報の異同の比較を行なう演算装置、並びに記憶装置からなることを特徴とする真正性識別装置に関するものである。
第8の発明は、試料を載置し固定する試料台、前記試料台上の前記試料を照明する光源、隠し前記試料からの反射光の光路に設置された確認パターンを有するフィルター、前記反射光の光路上に設置された光センサ、前記パターン部からの反射光を前記フィルターを経由して光センサに導入するためのレンズ系、前記光センサで検出した光の画像情報への変換および記憶、標準パターン情報の記憶、並びに前記画像情報と前記標準パターン情報の異同の比較を行なう演算装置からなることを特徴とする真正性識別装置に関するものである。
第9の発明は、第7または第8の発明において、前記試料台と前記レンズ系との相対的な距離を調節可能とする焦点調節機構を備えることを特徴とする真正性識別装置に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本発明の真正性識別方法の対象となる真正性識別体1は、基材2上の少なくとも一部にパターン部3が積層したものであり、このパターン部3は、パターン層が一層で構成されたもの(図1(a))、またはパターン層3a上にパターン層3bが積層して構成された二層で構成されたもの、もしくは三層以上で構成されたものである。
これらは基本的な構造であるので、基材2とパターン部3との間や、パターン層どうしの間等に、他の層が介在することもある。例えば、各層の積層に当たって、必要に応じて、接着剤層を介在させることができる。
【0010】
パターン部3は、パターン層が一層で構成されているときは、そのパターン層は、隠しパターンを有するものである。
パターン部3が、二層のパターン層から構成されているときは、いずれもが隠しパターンを有するものであるか、もしくは、いずれか一方が隠しパターンを有し、他方が確認パターンを有するものとすることが好ましい。
【0011】
即ち、パターン部3は、少なくとも一層の隠しパターンを有するパターン層から構成されているが、この理由は、本発明においては、隠しパターンを確認パターンを用いて判別可能としているからである。
ただし、隠しパターンと確認パターンとを相互に入れ替えることは可能であるので、その場合には、パターン部3は、少なくとも一層の確認パターンを有するパターン層から構成されることになる。
【0012】
図2は、本発明の真正性識別体1の具体例である商品券に適用した例を示し、図2(a)に示すように、紙等の基材2上に、通常の印刷4と、パターン部3を有しており、確認パターン(図示せず。)を重ねると、パターン部3において、図2(b)に示すように、「壱千円」の額面表示が、モアレパターン13として現われるものである。
【0013】
本発明における隠しパターンと確認パターンとは、互いに干渉しあう関係を有するもので、その形状は、具体的には、以降に、図2〜図5を引用して説明するようなものである。
【0014】
隠しパターンおよび確認パターンは印刷で表現するほか、ホログラム等を用いても表現することができ、隠しパターンおよび確認パターンのいずれも印刷もしくはホログラムで表現するか、いずれか一方を印刷で表現し、他方をホログラム等で表現する等してもよい。
【0015】
図3(a)は、隠しパターン11を例示する図であって、隠しパターン11は、中央部の横長の長方形のパターン部11a、パターン部11aの四周に接した枠状のパターン部11b、および背景部11cの三つの部分とからなっており、三つの部分のいずれもが万線によって構成されている。ここで、万線とは、一定幅wの線が2wのピッチで等間隔に配列した集合体を指す。
これら三つの部分のうち、パターン部11aおよびパターン部11bが、同じ右上がりの万線で構成されたものであり、ただし、両パターン部において、万線どうしが1/2ピッチずれている。残る背景は11cは、右下がりの万線で構成されている。ここで使用されている向き(角度)の異なる二種類の万線どうしは直交するものとする。
【0016】
図3(b)は、図3(a)の隠しパターン11を確認するための確認パターン12を例示するもので、右上がりの万線で構成され、この確認パターン12を構成する万線と、図2(a)を用いて説明した隠しパターン11の中央部およびその周囲を取り巻くパターン部11aおよび11bを構成する万線とはピッチおよび向き(角度)が同一であり、背景部11cを構成する万線とはピッチが同一であるが、向きが互いに直交する。
【0017】
上記の例の隠しパターン11と確認パターン12を重ねた状態を図4に示す。図3(a)に示す隠しパターン11上に、図3(b)に示す確認パターン12を重ねると、確認パターン12を構成する万線が、隠しパターン11の中央部のパターン部11aを構成する万線上にちょうど重なるとき、図4(a)に示すように、中央部のパターン部11aは、元の万線の状態と同様に見えるが、周囲の枠状のパターン部11b中、線ではない部分を、確認パターン12の万線が埋めるので、結果として、枠状のパターン部11bの部分は、塗りつぶされて見える(図4(a)中、モアレパターン13の符号で示す。)。
【0018】
また、隠しパターン11上に確認パターン12を重ねた上記の状態から、隠しパターン11と確認パターン12とを相対的にずらし、確認パターン12を構成する万線が、隠しパターン11の枠状のパターン部11bを構成する万線上にちょうど重なるようにすると、図4(b)に示すように、枠状のパターン部11bは、元の万線の状態と同様に見えるが、中央部のパターン部11a中、線ではない部分を、確認パターン12の万線が埋めるので、中央部のパターン部11aの部分は、塗りつぶされて見える(図4(b)中、モアレパターン13の符号で示す。)。
【0019】
隠しパターン11のパターン部11aおよび11b以外の部分、即ち、隠しパターンの背景部11cは、上記のいずれの場合においても、万線どうしが直交している状態が変化しないので、一様に見える。
【0020】
図3(a)において、隠しパターン11は、拡大して図示したために、中央部およびその周囲を取り巻くパターン部11aおよび11bの両パターン部は、あたかも、背景部11cから区別して見えるように感じられるが、実際には、万線の線幅、ピッチが小さく、しかも、両パターン部分11aおよび11bと、背景部11cとは、単位面積中に線の部分が占める割合が等しく(図2(a)の例では、いずれの場所においても50%である。)、濃度差を生じないため、隠しパターン11の肉眼判定は非常に困難である。
【0021】
しかし、上記の例において示すように、隠しパターン11上に確認パターン12を重ねることにより、パターン部分11aおよび11bは、線の部分の割合が、50%か100%のいずれかになるから、背景部の線の割合である75%との差が生じる。
【0022】
図5および図6は、隠しパターンおよび確認パターンの別の組み合わせを示す図である。いずれの図においても(a)は隠しパターンを示す図で、いずれも正方形の網点で構成され、隠しパターン自体は図5および図6で共通である。(b)はいずれも確認パターンを示す図であり、(c)は、いずれも、隠しパターン上に、確認パターンを重ねた状態を示す図である。
【0023】
隠しパターン11は、各々は外形が正方形の網点から構成されたもので、縦横の格子線は、各網点の位置が格子状配列から、意図的にずらされていることを示すための補助線であり、実際には存在せず、従って、隠しパターン11を構成するものではない。格子線どうしは縦横共、等間隔であり、縦線と横線とは互いに直交している。
【0024】
まず、各網点の左右方向(一般的なグラフで言えば、x軸方向)の配置については、隠しパターン11の、最も左の縦の列(第1列とする。)の網点は、いずれも各格子点の右上に、網点の左辺と下辺とが格子線に接して配置されている。また、最も上の横の行(第1行とする。)と最下行の網点は各格子に網点の左辺が接するように配置されている。
そのほかの各網点は、左右方向については、格子間の中央にある、ただし、第4列および第5列の第4行および第5行の四つの網点の左辺は、格子線に接している。
また、各網点は、第1列の網点を除き、後列に行くほど、上側(グラフで言えば、y軸の正方向側)に少しずつずれて配置され、この結果、最後列である8列目の網点は、y軸方向については、格子間の中央に配置されている。
【0025】
上記の隠しパターン11を確認し得る確認パターン12としては、各線がx軸方向を向いて配列したもの(図5(b))、もしくは各線がy軸方向を向いて配列したもの(図6(b))であり、両者は互いに他を90°回転した関係にある。
いずれの確認パターンも万線で構成され、万線の線の幅は、隠しパターンの網点の一辺と等しくなるよう形成されている。
【0026】
まず、図5(a)で示す隠しパターン11上に、図5(b)で示す確認パターン12を重ねる。ここでは、隠しパターン11の格子線のうちの横線に確認パターン12を構成する万線の各線の下辺が接するように重ねるものとする。
こうすることにより、第1列の網点は、万線によって覆われるために見えなくなるが、第2列以降の列の網点は、配置されている位置の格子からの変位に基づき、後列にいくほど、次第に万線の各線よりはみ出して見えるようになり、全体としては、右側に行くほど濃度が濃くなる、グラデーションを有する視覚パターンを与える。
【0027】
また、図6(a)で示す隠しパターン11上に、図6(b)で示す確認パターン12を重ねる。ここでは、隠しパターン11の格子線のうちの縦線に確認パターン12を構成する万線の各線の左辺が接するように重ねるものとする。
こうすることにより、格子線に接して配置されていた第1列の網点、第1行および最下行の網点、並びに第4列および第5列の第4行および第5行の四つの網点は、万線によって覆われるために見えなくなるが、そのほかの網点は配置されている位置の格子から、いずれも同じだけ右側にずれているので、網点の右側半分が万線の各線よりはみ出して見えるようになり、全体としては、ほぼ枠状の外形を有する視覚パターンを与える。
【0028】
以上の例では、万線により構成された隠しパターンと万線により構成された確認パターン、および、網点により構成された隠しパターンと万線により構成された確認パターンの組み合わせを説明したが、これら以外の、網点により構成された隠しパターンと網点により構成された確認パターン、および、万線により構成された隠しパターンと網点により構成された確認パターンの組み合わせも可能である。
【0029】
また、図を引用して説明した例では、万線どうし、網点と万線の重ね合わせにおいては、ほぼ平行な重なりにより、干渉を起こさせて、隠しパターンを見えるようにしたが、平行でなくても、比較的平行に近い小さい角度、例えば20°以下、もしくは15°以下の角度で交差させて重ねてもよい。
いずれの場合においても、網点もしくは万線がぴったり重なるか、上に重なった物のほうが大きい場合には、下になった方は、上からは全く見えないが、下になる方が、上になる物からはみ出して居る場合には、その部分が視覚的に強め合う干渉効果が生じる。即ち、本発明における、網点もしくは万線によって構成された隠しパターンは、網点もしくは万線によって構成された確認パターンと干渉しあうものである。なお、干渉により見えるパターンをしばしばモアレパターンと呼ぶので、この明細書においては、確認パターンにより見える状態となった視覚パターンをモアレパターンと呼び、さらに隠しパターンの情報と確認パターンの情報から発生するモアレパターン、もしくはモアレパターンの情報も含めてMモアレパターンと称する。
【0030】
さらに、ここで言う網点は、四角形や円形等の通常の網点形状以外の形状、例えば、記号や文字等の形状で構成されていてもよい。また、網点は直線上に配列したものでも、もしくは曲線やサインカーブのような波線上に配列したものであってもよく、万線も直線状のものでも、曲線やサインカーブのような波線状のものであってもよい。
なお、線幅に対して数倍以上の長さを有する形状のものは網点とも、万線ともつかないが、いずれであるかは別として、本発明における「網点もしくは万線によって構成された」の範囲に含めるものとする。
加えて、隠しパターン、および確認パターンを構成する網点もしくは万線は、一定なものでなくても、隠しパターン、および確認パターンの両方において、互いに同調しながら変化したものであってもよい。
【0031】
以上においては、一つの層には隠しパターン、もしくは確認パターンのいずれか一方のみが形成されていることを前提に説明したが、一つの層に隠しパターンと確認パターンの両方を並べて形成することもできる。
【0032】
上記のような隠しパターン、場合によっては隠しパターンと確認パターンとをパターン部に有する真正性識別体1の基材2は、従来技術の説明において挙げた種々の用途に合せた情報記録体の種々の形態であり得る。
また、基材2は、用途に合わせ、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、もしくはポリオレフィンビニルアルコールなどの樹脂のほか、アルミニウム、銅などの金属、紙、そして、樹脂またはラテックス等の含浸紙などの単独、或いは複合体シートなどの素材で構成することができる。
耐熱性が要求される場合、基材2の素材として、非晶質ポリエステル樹脂、非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のブレンド樹脂等のシートも用いることができる。
基材2の厚さは、材質によっても異なるが、通常、10μm〜5mm程度の範囲である。特に磁気カードの場合、基材シートをISO規格に準拠したものとする場合には、その厚さは0.76mmである。
【0033】
隠しパターンおよび確認パターンはホログラムで構成することができ、ホログラムとしては、種々のものが利用できるが、合成樹脂の層に光回折構造(代表的なものがホログラムである。)が形成されたホログラム層とすることが普通である。
【0034】
合成樹脂の層へのホログラムの形成は、既知の方法によって行なうことができ、ホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。また、フォトポリマーを用いる場合は、フォトポリマー層上に、前記原版を重ねてレーザー光を照射することにより複製することができる。あるいは、二光束干渉法によっても形成できる。
ホログラム層は、層形成のために用いられる透明基材フィルムもしくはシートで裏打ちされていてもよい。
【0035】
上記のようにホログラム層の表面に凹凸のレリーフとして干渉縞を記録した場合には、その回折効率を高めるために、反射層をレリーフ面に形成してあることが好ましい。反射層としては、光を反射するアルミニウム、もしくはその他の金属の薄膜で構成し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの薄膜形成法によって形成する。
【0036】
反射層としては、ホログラム層とは屈折率の異なる物質の透明薄膜も挙げられる。ホログラム層より屈折率が大きい、ZnS、TiO2、Al2 O3 、Sb2 S3 、SiO、TiO、SiO2 など、もしくはホログラム層より屈折率が小さいLiF、MgF2 、AlF3 などで構成する。
ホログラム層がパターン層として使用され、さらにその下にパターン層がある場合等、ホログラム層に透明性が要求されるときは、上記のホログラム層とは屈折率の異なる透明薄膜を伴なうか、もしくは金属薄膜であっても、厚みがごく薄く、透明性のあるものを伴なうことが好ましい。
【0037】
真正性識別体の真正性識別方法としては、幾つかの方法を採ることができる。まず、真正性識別体1をパターン部3を上にして所定の試料台上に載せ、適当な光源を用いてパターン部3を照明する。パターン部3が隠しパターンを有するものであれば、生じた反射光を、確認パターンを有する光透過性のフィルターを用いて読み取ることにより、モアレパターンを発生させることができる。
発生したモアレパターンを検出し、標準パターンと比較し、例えば90%(この数値は一例である。) 以上の一致があれば、モアレパターンと標準パターンとが同一であるとみなし、真正性識別体1が真正であるものとする。もしも、一致する部分が90%未満の場合には、不同一とみなし、真正性識別体1が真正ではないものとする。
【0038】
ところで、上記の真正性識別方法を適用できる真正性識別体2のパターン部3には、種々のタイプがあり、例えば、パターン部3としては、隠しパターンを有する隠しパターン層の一層から構成されているもの、および二層以上から構成されているものが有り得る。
【0039】
また、真正性識別方法を適用できる真正性識別体1のパターン部3は、上記の一層もしくは二層以上のパターン層に加えて、さらに、確認パターンを有していてもよい。確認パターンは、隠しパターンを顕像化するから、格別の手段を有していなくても、隠しパターンを見ることが可能になる。
勿論、確認パターンを有していなくても、別体の確認パターンを使用することにより、パターン部の隠しパターンを顕像化することができる。
【0040】
なお、パターン部3が確認パターンを有している場合、パターン部3の確認パターンと、別体(真正性識別体1とは別個に存在する意味である。)の確認パターンとを、異なるパターンで構成しておけば、真正性識別体2単独を観察したときに生じているモアレパターンと、別体の確認パターンを用いたときに発生するモアレパターンを異なるものとすることができる。
例えば、図5(a)の隠しパターンと図5(b)の確認パターンを真正性識別体1上に重ねて設けておき、図6(b)の確認パターンを別体の確認パターンとするようにである。このようにすることにより、一方の確認パターンを用いたときのモアレパターンにのみ注意が向けられ、他方の確認パターンを用いたときのモアレパターンの存在に気付きにくい効果がある。
【0041】
標準パターンは、目で見える現物で準備して、その都度、識別すべき真正性識別体1と同様に、確認パターンを有する光透過性のフィルターを用いて読み取ってもよいが、標準パターンと確認パターンとのモアレパターンの情報として記憶させておいて使用してもよい。
【0042】
真正性識別体1のパターン部3を照明することにより生じた反射光を、確認パターンを有する光透過性のフィルターを用いずに、そのまま読取って、隠しパターン情報として一旦記憶させ、演算処理によりモアレパターンを発生させてもよい。この場合、確認パターンの情報も記憶させておき、隠しパターン情報と確認パターンの情報を読み出し、両パターンで重複した部分を消去して重複しない部分のパターンを生成するか、もしくは両パターンで重複した部分を、その周囲も含めて、線や点を太らせる等によりモアレパターンを生成する。確認パターンを情報として取り扱うことにより、確認パターンが人目に触れないので、確認パターンの偽造を防止できる利点がある。
【0043】
生成したパターンは標準パターンと比較し、異同の判定を行なう。
やはり、モアレパターンと標準パターンとが、例えば、90% 以上一致することをもって、同一とみなし、真正性識別体1が真正であるものとする。もしも、一致する部分が90%未満の場合には、不同一とみなし、真正性識別体1が真正ではないものとする。
【0044】
上記したような、真正性識別体の真正性識別方法を実施する際には、次のような真正性識別装置を使用して行なうことが好ましい。
図7は、そのような真正性識別装置21を例示する図であって、試料を載置し固定するための試料台22、試料台22上を覆って設けられたカバー23を有しており、カバー23内の左上方には、試料を照明するための光源24が設けられており、試料上で反射した反射光の光路上には、試料からの反射光を検出する光センサ25と、光センサ25に反射光を導入するためのレンズ系26とを有している。
【0045】
さらに、真正性識別装置21は、演算装置30を備えており、演算装置21は、光センサが反射光を受けて生じる電気信号を受けて情報に変換する手段、変換された情報を記憶手段に記憶させるための手段、および記憶された情報を読み出し、情報どうしを比較して異同を判断する演算手段28、並びに記憶手段29等から構成されている。
【0046】
真正性識別装置21には、真正性識別体1のパターン部を確認パターンを介して光学的に読み取るため、試料からの反射光の光路上に確認パターンを有するフィルター27が設けられていてもよい。
また、試料台22は、試料台22とレンズ系26とは、互いの相対的な距離を調節可能とする焦点調節機構を備えていてもよく、このようにすることにより、隠しパターンが重なっている場合に、特定の隠しパターンからの反射光を取出すことができ、あるいは、隠しパターンが確認パターンと重なっていても、隠しパターンからの反射光を取出すことができる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、隠しパターンを確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、標準パターンとの異同の判定を行なうので、単に隠しパターンの有無を確認するのみでなく、モアレパターンの内容を検証可能な、精度の高い識別が可能な真正性識別方法を提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明とほぼ同様な効果に加え、隠しパターンを光学的に読み取って隠しパターン情報とし、確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させるので、確認パターンの存在が分かりにくく、偽造を防止しやすい真正性識別方法を提供することができる。
請求項3の発明によれば、情報記録体上で、すでにモアレパターンが生じているので、そのモアレパターンの模倣は可能であっても、別の確認パターンによるモアレパターンの存在が分かりにくく、偽造防止性があり、しかも偽造をたやすく見分けることが可能な、真正性識別方法を提供することができる。
請求項4の発明によれば、請求項2の発明とほぼ同様な効果に加え、別の確認パターンによるモアレパターンの存在がより一層分かりにくく、従って、偽造防止性がより高く、しかも偽造をたやすく見分けることが可能な、真正性識別方法を提供することができる。
請求項5の発明によれば、請求項3の発明におけるのと同様な効果に加え、隠しパターンが二以上形成されているので、隠しパターンがカモフラージュされていて、隠しパターンの存在が分かりにくく、しかも、読取り時には、焦点を合わせることにより、それぞれの隠しパターンを読み取ることができるので、偽造防止性がより向上した、真正性識別方法を提供することができる。
請求項6の発明によれば、請求項5の発明とほぼ同様な効果に加え、確認パターンの存在がより一層分かりにくく、偽造防止性がさらに向上した、真正性識別方法を提供することができる。
請求項7の発明によれば、試料の反射光を検出して、情報としてとらえることができ、標準パターンとの比較により異同の比較を行なうことが可能な真正性識別装置を提供することができる。
請求項8の発明によれば、確認パターンを有するフィルターを介して読み取ることができるので、読み取った時点でモアレパターンが発生し、標準パターンとの比較により異同の比較を行なうことが、より簡易に行なえる真正性識別装置を提供することができる。
請求項9の発明によれば、請求項7または請求項8の発明の効果に加え、焦点調節を行なってパターン毎の読み取りができるので、隠しパターンどうし、もしくは隠しパターンと確認パターンとの重なって、隠しパターンがカモフラージュされたパターン部の特定のパターン層を読み取って、標準パターンとの異同の判定を行なうことが可能な、真正性識別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真正性識別体の構造を示す図である。
【図2】商品券に応用した真正性識別体を示す図である。
【図3】隠しパターンと確認パターンを示す図である。
【図4】隠しパターンと確認パターンを重ねて生じるモアレパターンを示す図である。
【図5】別の隠しパターンと確認パターンを示す図である。
【図6】確認パターンの向きを変えた例である。
【図7】真正性識別装置の概念図である。
【符号の説明】
1 真正性識別体
2 基材
3 パターン部
11 隠しパターン
12 確認パターン
13 モアレパターン
21 真正性識別装置
22 試料台
23 カバー
24 光源
25 光センサ、
26 レンズ系
27 確認パターンを有するフィルター
28 演算手段
29 記憶手段
Claims (9)
- 隠しパターンが基材上に形成された情報記録体上の前記隠しパターンを、前記隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法。
- 隠しパターンが基材上に形成された情報記録体上の前記隠しパターンを、光学的に読み取って隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法。
- 互いに干渉しあう隠しパターンおよび確認パターンが基材上に重なって形成された情報記録体上の前記隠しパターンに焦点を合わせ、前記確認パターンとは別の確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法。
- 互いに干渉しあう隠しパターンおよび確認パターンが基材上に重なって形成されたパターン部を有する情報記録体上の前記隠しパターンに焦点を合わせ、光学的に読み取って、隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記確認パターンとは別の確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法。
- 二以上の隠しパターンが基材上に重なって形成された情報記録体に対して、前記二以上の隠しパターンのいずれかに焦点を合わせ、前記焦点を合わせた隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンを介して光学的に読み取ることにより、モアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンとを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことからなる真正性識別プロセスを、焦点を合わせる前記二以上の隠しパターンを変えて隠しパターン毎に、前記真正性識別プロセスを繰り返すことを特徴とする真正性識別方法。
- 二以上の隠しパターンが基材上に重なって形成された情報記録体に対して、前記二以上の隠しパターンのいずれかに焦点を合わせ、光学的に読み取って、隠しパターン情報として記憶させ、前記隠しパターン情報と、前記焦点を合わせた隠しパターンと互いに干渉しあう確認パターンの情報とに基づいてモアレパターンを発生させ、発生した前記モアレパターンと標準パターンとの異同の判定を行なうことからなる真正性識別プロセスを、焦点を合わせる前記二以上の隠しパターンを変えて隠しパターン毎に、前記真正性識別プロセスを繰り返すことを特徴とする真正性識別方法。
- 試料を載置し固定する試料台、前記試料台上の前記試料を照明する光源、前記反射光の光路上に設置された光センサ、前記パターン部からの反射光を光センサに導入するためのレンズ系、前記光センサで検出した光の画像情報への変換および記憶、標準パターン情報の記憶、並びに前記画像情報と前記標準パターン情報の異同の比較を行なう演算装置、並びに記憶装置からなることを特徴とする真正性識別装置。
- 試料を載置し固定する試料台、前記試料台上の前記試料を照明する光源、隠し前記試料からの反射光の光路に設置された確認パターンを有するフィルター、前記反射光の光路上に設置された光センサ、前記パターン部からの反射光を前記フィルターを経由して光センサに導入するためのレンズ系、前記光センサで検出した光の画像情報への変換および記憶、標準パターン情報の記憶、並びに前記画像情報と前記標準パターン情報の異同の比較を行なう演算装置からなることを特徴とする真正性識別装置。
- 前記試料台と前記レンズ系との相対的な距離を調節可能とする焦点調節機構を備えることを特徴とする請求項7または8記載の真正性識別装置。
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