JP2004077845A - 液晶素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カイラルスメクチック液晶を用いた液晶表示装置において、主に大判化した際に顕著となる、面内電位ムラ起因の焼付き現象を軽減する。
【解決手段】対向基板に対する電荷供給ポイント及び面積を、少なくともアクティブ素子を有するもう一方の基板における中央より走査信号供給端側に多くする。
【選択図】 図1
【解決手段】対向基板に対する電荷供給ポイント及び面積を、少なくともアクティブ素子を有するもう一方の基板における中央より走査信号供給端側に多くする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子はPCのモニタを初めとしてビデオカムコーダのビューファインダ、プロジェクタ等々様々な分野で製品化が果たされており、これらにの多くにはツイストネマチック液晶を用いている。しかしながら、ツイストネマチック液晶を用いた液晶表示素子には、応答速度の遅さ、視野角の狭さといった問題が存在している。
【0003】
一方、カラー液晶表示素子の新たな方式としてカラーフィルタを用いないフィールドシーケンシャル方式が提案されている。これは赤(R)、緑(G)、青(B)の光源を順次点灯させて、これに合わせた画像を液晶パネルに表示させることで時間混色によってカラー表示を行うものである。フィールドシーケンシャル方式の場合は各色フィールドの間に確実に液晶応答が完了していなければ所望の色が表示出来なくなる為、液晶応答速度にはこれまで以上の高速性が求められる。
【0004】
これらの問題を解決する液晶モードとして、例えば特開2000−10076号公報や特開2000−338464号公報で浅尾らが単安定モードの強誘電性液晶とアクティブマトリクス素子を組み合わせた方法を提案している。この単安定モード強誘電性液晶は、図7に示す片極性の電気光学特性を有する。両極性の電気光学特性を有するツイストネマチック液晶や特開平9−50049号公報で提案されている液晶は正極性電圧にも負極性電圧にもほぼ同様の光学応答を示し、このV−Tカーブの形からV字型と称されている。これに対して単安定モードの強誘電性液晶はV字を半分に切った形に見えることから片側V字液晶(モード)と称されている。以降、片側V字液晶と称する。
【0005】
片側V字液晶の配向処理において、液晶材料のコレステリック(Ch)相からカイラルスメクチックC(Sm−C*)相に転移する過程においてセル内の内部電位に偏りを持たせるような処理を施す必要があり、その中の一方法として、Ch−SmC*相転移の際に一対の基板間に正負いずれかのDC電圧を印加する方法がある。この時印加する電圧の極性によって、片側V字液晶の電気光学特性は図3に示す関係になる。すなわち、Ch−SmC*相転移の際に負極性の電圧を印加した時には、正極性電圧を印加した時に大きくチルトし、負極性電圧を印加したときには小さくチルトする。Ch−SmC*相転移の際に正極性の電圧を印加した時には、正極性電圧を印加した時に小さくチルトし、負極性電圧を印加したときには大きくチルトする。
【0006】
従って、Ch−SmC*相転移の際に全ての画素に同一極性の電圧を印加すれば、すべての画素の電気光学特性は略同一となり、特開2000−275684号公報に記載されているように画素によってCh−SmC*相転移の際に印加する電圧の極性を変えれば、各画素にSmC*相転移の際に印加した電圧の極性によって各画素の電気光学特性は極性が異なる状態を得る。
【0007】
ところで、TFT液晶表示装置においては、フィードスルー電圧(または突き抜け電圧)や、対向基板電極の抵抗値、対向基板電極への給電点(トランスファー)の位置や数等々によって、ドレイン−対向基板電位(Vcom)間、すなわち液晶への印加電圧にパネル内で分布が存在する。
【0008】
図2は、ドレイン−Vcom間のパネル内の電圧分布を説明する模式図である。図2は、ソース線に0Vを印加した時にドレイン−Vcom間の電圧が0VになるときのVcomの電圧値の分布を示している。
【0009】
例えば、図2に示すようなドレイン−Vcom間電圧の面内分布が存在する場合、液晶に印加される電圧が面内で分布を持ち、ひいては面内での透過率分布を生じさせる。つまり、例えばパネルの中心部に対し、対向電位を調整して合わせこんだ場合、パネルの中心部と、周辺部において、およそ±100mV程度のDC成分が印加される事となる。
【0010】
そこで、これらの問題を生じさせない為に、ドレイン−Vcom間の電圧を面内で完全に同一にする事が考えられる。しかしながら、パネル面内におけるドレイン−Vcom間の電圧を完全に同一にする為には、面内でVcomの電圧値を変える必要がある。しかしながら、Vcomの電圧を面内で変えることは困難である為、パネル面内において同一構成とした際に、ドレイン−Vcom間の電圧は例えば、図2に示す面内分布が生じる。
【0011】
液晶は一般に交流駆動が行われ、理想的には正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が等しく印加される。しかしながら図2に示すようなドレイン−Vcom間電圧の面内分布が存在すると、正極性電圧と負極性電圧の絶対値にズレが生じ、かつ、そのズレ量は面内で分布を持つ。これによりパネル周辺部においていわゆる焼付き現象が生じてしまう。
【0012】
図3は、両側V字液晶の駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。両側V字液晶では1/60sec毎に駆動電圧の極性が異なる。正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が異なった場合、正極性フレームと負極性フレームで透過率が異なってしまい、30Hzのフリッカを生じさせてしまう。しかも、図2に示すようなドレイン−Vcom間電圧の面内分布が存在する為、フリッカの程度にも面内分布が生じる。また、正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が異なるということは、液晶にDC成分が乗ってしまうということも意味する。液晶にDC成分が乗ってしまうと、焼き付き等の問題が発生する。
【0013】
図4は、片側V字液晶の駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。片側V字液晶では、両側V字液晶の60Hz交流駆動と同等のフレーム周波数で駆動・表示する為には1つのフレームを表示フィールドと非表示フィールドに分け120Hzのフィールド周波数で駆動するのが一般的である。この時、観察者には表示フィールドの絵(透過率)が60Hzのフレームレートで観察されるので、正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が異なったとしても、いわゆる両側V字液晶で見られるような正極性フレームの透過率と負極性フレームの透過率との差によるフリッカは生じない。
【0014】
ただし、正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が異なった場合、液晶にDC成分が乗ってしまうことについては片側V字液晶においても同様である。
【0015】
とくに、ネマチック液晶に対し、自発分極を有するスメクチック液晶の場合、内部電位の偏りにより発生するイオンの偏在による影響が顕著であり焼き付き現象が発生しやすい事が検討により明らかになっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、スメクチック液晶を用いた表示素子において、中でも特に1Frame内において同一極性表示を行う、片側V字液晶において、液晶表示パネルを大型化した再に発生する、DC成分に起因する周辺部の焼付き現象を、簡単な変更により軽減するものである。
【0017】
【課題を解決する為の手段】
本発明における、パネル面内におけるDC成分発生及び、DC成分発生分布低減方法は、カイラルスメクチック液晶と、該液晶に電圧を印加する一対の電極と、該液晶を挟持して対向すると共に少なくとも一方の対向面に該液晶を配向させるための一軸性配向処理が施された一対の基板であって少なくとも一方の基板に各画素に対応する電極に接続したアクティブ素子を有するものと、少なくとも一方の基板側に配置された偏光板とを備え、前記アクティブ素子を駆動する駆動回路によってアクティブマトリクス駆動されることによりアナログ階調表示を行う液晶素子において、Vcom電圧(対向電位)の給電方法は、
前記アクティブ素子を駆動せしめる走査信号給電端と、対じするもう一方のパネル端において、少なくともその給電能力を走査信号給電側の方が高くなるように、Vcom電圧給電点及び、給電面の接続抵抗値を調整し、パネル面内におけるDC成分の発生を低減するものである。
【0018】
つまり、幾つかの事が考えられるが、例えば、図3、及び図4に示されるように、走査信号として入力される駆動電圧により発生するフィードスルー分布が、走査信号給電点から離れるにつれ、小さくなった場合、例えば、Vcom電位に分布が無かった場合にパネルのほぼ中心で、走査信号によるフィードスルーをキャンセルすべく調整を施した場合、パネル中心部より走査信号給電点に近い部分においては、負極方向のDC成分が印加され、反対に、パネル中心部より走査信号給電点から遠い部分においては、正極側のDC成分が印加されることが予想される。
【0019】
そこで、Vcom電圧(対向電位)の給電を、走査信号給電端と、対じするもう一方のパネル端において、少なくともその給電能力を走査信号給電側の方が高くなるように、Vcom電圧給電点及び、給電面の接続抵抗値を調整することにより、例えば、走査信号として入力される駆動電圧により発生するフィードスルー分布と傾向の近い面内電圧分布を作りだし、その結果として、それぞれの面内電位ムラが相殺される事によりパネル面内におけるDC成分の発生を低減する事が可能になるものと考える。
【0020】
【発明の実施の形態】
本実施例においては、図5及び図6に示すアクティブマトリクス型液晶パネル(液晶素子)Pを作成した。
【0021】
なお、基板1a,1bには厚さ1.1mmのガラス基板を用い、それらには透明電極3a,3bを700□厚のITOにて形成した。また、一方のガラス基板1aにはRGBのカラーフィルター(不図示)を形成した。そして、画面サイズは14インチとし、画素数(すなわち、RGBの色画素(サブピクセル)によって構成される画素の数)は1024(横)×748(縦)とした。なおこのときサブピクセル数は3072(横)×768(縦)であった。(ゲートラインが横、ソースラインが縦)
さらに、アクティブ素子4にはa−SiTFTを用い、該TFT4のゲート絶縁膜5bには窒化シリコン膜3bを用いた。
【0022】
また、配向制御膜6a,6bは、ポリイミド膜にて形成した。具体的には、市販のTFT用配向膜(日産化学社製のSE7992)をスピンコート法により透明電極3a,3bを覆うように塗布し、その後、80℃の温度で5分間の前乾燥を行い、さらに200℃の温度で1時間の加熱焼成を施すことによって形成し、その膜厚を150Åとした。なお、これらの配向制御膜6a,6bには、コットン布によるラビング処理(一軸配向処理)を施した。このラビング処理には、外周面にコットン布を貼り合わせた径10cmのラビングロールを用い、押し込み量を0.7mm、送り速度を10cm/secとし、回転数を1000rpm、送り回数を4回とした。なお、このときのラビング方向はゲート線に平行とした。
【0023】
続いて、一方の基板上には、平均粒径1.5μmのシリカビーズ(スペーサー)を散布し、さらに、図1に示されるように、対向電圧供給用の導電ペーストを走査信号給電端側の供給能力が高くなるよう、ペーストの数を調整した。
【0024】
そして、各基板のラビング処理方向が互いにアンチパラレルとなるように貼り合わせ、均一な基板間隙のセルを得た。このとき、図1に示される、対向電圧供給用の導電ペーストの走査信号給電端側の直径は約1.5mmであり、走査信号給電端から最も離れた導電ペーストの直径は約半分であった。
【0025】
このようなプロセスで作製したセルに液晶組成物LC−1をCh相の温度で注入し、液晶がカイラルスメクチック液晶相を示す温度まで冷却し(但し、冷却速度は1℃/minとした)、液晶がCh相からSmC*相に相転移する際に(Tc−2℃〜Tc+2℃の温度範囲内で)パネル全面に対して−2Vのオフセット電圧(直流電圧)を印加して、液晶パネルP1を作製した。
【0026】
こうして得られた液晶パネルP1の配向状態を偏光顕微鏡観測したところ、全面で一方向に揃った層方向(明細書中で述べた一つの層方向に単安定状態)に揃った状態が得られていた。
【0027】
次に、液晶パネルP1を実際に駆動して動画質の評価を行った。なおこのときの駆動法は図4に示されるように1フレームを前半後半の2フィールドに分割し、前半フィールドではパネル全面に対して液晶層には正極性の電圧を印加し、後半フィールドではパネル全面に対して液晶層には負極性の電圧を印加するというフィールド反転駆動によって駆動した。
【0028】
【発明の効果】
上記した図4に示される駆動条件で、特定の画像(白黒のチャートなどの固定パターン)を5時間程度連続表示させ焼付き耐久試験を行った。結果として、従来のパネル構成においては、パネル周辺部においては、一階調程度の焼付き現象が観測されたのに対し、パネル周辺部においても焼き付き現象は観測されなかった。
【0029】
つまり、従来の構成においては、焼付き試験直後では、パネル周辺部においては、DC成分が発生した事による電圧−透過率特性のシフトが発生し、表示階調にズレが生じたが、パネル構成を最適化することで、パネル面内に発生していたDC成分の発生を抑制した結果、パネルが大型化した際においても電圧−透過率特性のシフトが完全無くなり安定状態を保つ事が可能となり焼付き現象が抑制され信頼性が大きく向上したものと考えられる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第一の実施例の液晶素子の対向基板に対する、給電点を示す模式図である。
【図2】ドレイン−Vcom間のパネル内の電圧分布を説明する模式図である。
【図3】両側V字液晶の駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。
【図4】片側V字液晶の駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。
【図5】発明に係る第一の実施例の液晶パネル構造を示す模式図である。
【図6】本発明に係る第一の実施例の液晶パネルの画素を示す模式図である。
【図7】本発明に係る第一の実施例の液晶素子の電気光学特性を示す図である。
【符号の説明】
1a、1b 基板
3a、3b 透明電極
6a、6b 配向制御膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子はPCのモニタを初めとしてビデオカムコーダのビューファインダ、プロジェクタ等々様々な分野で製品化が果たされており、これらにの多くにはツイストネマチック液晶を用いている。しかしながら、ツイストネマチック液晶を用いた液晶表示素子には、応答速度の遅さ、視野角の狭さといった問題が存在している。
【0003】
一方、カラー液晶表示素子の新たな方式としてカラーフィルタを用いないフィールドシーケンシャル方式が提案されている。これは赤(R)、緑(G)、青(B)の光源を順次点灯させて、これに合わせた画像を液晶パネルに表示させることで時間混色によってカラー表示を行うものである。フィールドシーケンシャル方式の場合は各色フィールドの間に確実に液晶応答が完了していなければ所望の色が表示出来なくなる為、液晶応答速度にはこれまで以上の高速性が求められる。
【0004】
これらの問題を解決する液晶モードとして、例えば特開2000−10076号公報や特開2000−338464号公報で浅尾らが単安定モードの強誘電性液晶とアクティブマトリクス素子を組み合わせた方法を提案している。この単安定モード強誘電性液晶は、図7に示す片極性の電気光学特性を有する。両極性の電気光学特性を有するツイストネマチック液晶や特開平9−50049号公報で提案されている液晶は正極性電圧にも負極性電圧にもほぼ同様の光学応答を示し、このV−Tカーブの形からV字型と称されている。これに対して単安定モードの強誘電性液晶はV字を半分に切った形に見えることから片側V字液晶(モード)と称されている。以降、片側V字液晶と称する。
【0005】
片側V字液晶の配向処理において、液晶材料のコレステリック(Ch)相からカイラルスメクチックC(Sm−C*)相に転移する過程においてセル内の内部電位に偏りを持たせるような処理を施す必要があり、その中の一方法として、Ch−SmC*相転移の際に一対の基板間に正負いずれかのDC電圧を印加する方法がある。この時印加する電圧の極性によって、片側V字液晶の電気光学特性は図3に示す関係になる。すなわち、Ch−SmC*相転移の際に負極性の電圧を印加した時には、正極性電圧を印加した時に大きくチルトし、負極性電圧を印加したときには小さくチルトする。Ch−SmC*相転移の際に正極性の電圧を印加した時には、正極性電圧を印加した時に小さくチルトし、負極性電圧を印加したときには大きくチルトする。
【0006】
従って、Ch−SmC*相転移の際に全ての画素に同一極性の電圧を印加すれば、すべての画素の電気光学特性は略同一となり、特開2000−275684号公報に記載されているように画素によってCh−SmC*相転移の際に印加する電圧の極性を変えれば、各画素にSmC*相転移の際に印加した電圧の極性によって各画素の電気光学特性は極性が異なる状態を得る。
【0007】
ところで、TFT液晶表示装置においては、フィードスルー電圧(または突き抜け電圧)や、対向基板電極の抵抗値、対向基板電極への給電点(トランスファー)の位置や数等々によって、ドレイン−対向基板電位(Vcom)間、すなわち液晶への印加電圧にパネル内で分布が存在する。
【0008】
図2は、ドレイン−Vcom間のパネル内の電圧分布を説明する模式図である。図2は、ソース線に0Vを印加した時にドレイン−Vcom間の電圧が0VになるときのVcomの電圧値の分布を示している。
【0009】
例えば、図2に示すようなドレイン−Vcom間電圧の面内分布が存在する場合、液晶に印加される電圧が面内で分布を持ち、ひいては面内での透過率分布を生じさせる。つまり、例えばパネルの中心部に対し、対向電位を調整して合わせこんだ場合、パネルの中心部と、周辺部において、およそ±100mV程度のDC成分が印加される事となる。
【0010】
そこで、これらの問題を生じさせない為に、ドレイン−Vcom間の電圧を面内で完全に同一にする事が考えられる。しかしながら、パネル面内におけるドレイン−Vcom間の電圧を完全に同一にする為には、面内でVcomの電圧値を変える必要がある。しかしながら、Vcomの電圧を面内で変えることは困難である為、パネル面内において同一構成とした際に、ドレイン−Vcom間の電圧は例えば、図2に示す面内分布が生じる。
【0011】
液晶は一般に交流駆動が行われ、理想的には正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が等しく印加される。しかしながら図2に示すようなドレイン−Vcom間電圧の面内分布が存在すると、正極性電圧と負極性電圧の絶対値にズレが生じ、かつ、そのズレ量は面内で分布を持つ。これによりパネル周辺部においていわゆる焼付き現象が生じてしまう。
【0012】
図3は、両側V字液晶の駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。両側V字液晶では1/60sec毎に駆動電圧の極性が異なる。正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が異なった場合、正極性フレームと負極性フレームで透過率が異なってしまい、30Hzのフリッカを生じさせてしまう。しかも、図2に示すようなドレイン−Vcom間電圧の面内分布が存在する為、フリッカの程度にも面内分布が生じる。また、正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が異なるということは、液晶にDC成分が乗ってしまうということも意味する。液晶にDC成分が乗ってしまうと、焼き付き等の問題が発生する。
【0013】
図4は、片側V字液晶の駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。片側V字液晶では、両側V字液晶の60Hz交流駆動と同等のフレーム周波数で駆動・表示する為には1つのフレームを表示フィールドと非表示フィールドに分け120Hzのフィールド周波数で駆動するのが一般的である。この時、観察者には表示フィールドの絵(透過率)が60Hzのフレームレートで観察されるので、正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が異なったとしても、いわゆる両側V字液晶で見られるような正極性フレームの透過率と負極性フレームの透過率との差によるフリッカは生じない。
【0014】
ただし、正極性電圧の絶対値と負極性電圧の絶対値が異なった場合、液晶にDC成分が乗ってしまうことについては片側V字液晶においても同様である。
【0015】
とくに、ネマチック液晶に対し、自発分極を有するスメクチック液晶の場合、内部電位の偏りにより発生するイオンの偏在による影響が顕著であり焼き付き現象が発生しやすい事が検討により明らかになっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、スメクチック液晶を用いた表示素子において、中でも特に1Frame内において同一極性表示を行う、片側V字液晶において、液晶表示パネルを大型化した再に発生する、DC成分に起因する周辺部の焼付き現象を、簡単な変更により軽減するものである。
【0017】
【課題を解決する為の手段】
本発明における、パネル面内におけるDC成分発生及び、DC成分発生分布低減方法は、カイラルスメクチック液晶と、該液晶に電圧を印加する一対の電極と、該液晶を挟持して対向すると共に少なくとも一方の対向面に該液晶を配向させるための一軸性配向処理が施された一対の基板であって少なくとも一方の基板に各画素に対応する電極に接続したアクティブ素子を有するものと、少なくとも一方の基板側に配置された偏光板とを備え、前記アクティブ素子を駆動する駆動回路によってアクティブマトリクス駆動されることによりアナログ階調表示を行う液晶素子において、Vcom電圧(対向電位)の給電方法は、
前記アクティブ素子を駆動せしめる走査信号給電端と、対じするもう一方のパネル端において、少なくともその給電能力を走査信号給電側の方が高くなるように、Vcom電圧給電点及び、給電面の接続抵抗値を調整し、パネル面内におけるDC成分の発生を低減するものである。
【0018】
つまり、幾つかの事が考えられるが、例えば、図3、及び図4に示されるように、走査信号として入力される駆動電圧により発生するフィードスルー分布が、走査信号給電点から離れるにつれ、小さくなった場合、例えば、Vcom電位に分布が無かった場合にパネルのほぼ中心で、走査信号によるフィードスルーをキャンセルすべく調整を施した場合、パネル中心部より走査信号給電点に近い部分においては、負極方向のDC成分が印加され、反対に、パネル中心部より走査信号給電点から遠い部分においては、正極側のDC成分が印加されることが予想される。
【0019】
そこで、Vcom電圧(対向電位)の給電を、走査信号給電端と、対じするもう一方のパネル端において、少なくともその給電能力を走査信号給電側の方が高くなるように、Vcom電圧給電点及び、給電面の接続抵抗値を調整することにより、例えば、走査信号として入力される駆動電圧により発生するフィードスルー分布と傾向の近い面内電圧分布を作りだし、その結果として、それぞれの面内電位ムラが相殺される事によりパネル面内におけるDC成分の発生を低減する事が可能になるものと考える。
【0020】
【発明の実施の形態】
本実施例においては、図5及び図6に示すアクティブマトリクス型液晶パネル(液晶素子)Pを作成した。
【0021】
なお、基板1a,1bには厚さ1.1mmのガラス基板を用い、それらには透明電極3a,3bを700□厚のITOにて形成した。また、一方のガラス基板1aにはRGBのカラーフィルター(不図示)を形成した。そして、画面サイズは14インチとし、画素数(すなわち、RGBの色画素(サブピクセル)によって構成される画素の数)は1024(横)×748(縦)とした。なおこのときサブピクセル数は3072(横)×768(縦)であった。(ゲートラインが横、ソースラインが縦)
さらに、アクティブ素子4にはa−SiTFTを用い、該TFT4のゲート絶縁膜5bには窒化シリコン膜3bを用いた。
【0022】
また、配向制御膜6a,6bは、ポリイミド膜にて形成した。具体的には、市販のTFT用配向膜(日産化学社製のSE7992)をスピンコート法により透明電極3a,3bを覆うように塗布し、その後、80℃の温度で5分間の前乾燥を行い、さらに200℃の温度で1時間の加熱焼成を施すことによって形成し、その膜厚を150Åとした。なお、これらの配向制御膜6a,6bには、コットン布によるラビング処理(一軸配向処理)を施した。このラビング処理には、外周面にコットン布を貼り合わせた径10cmのラビングロールを用い、押し込み量を0.7mm、送り速度を10cm/secとし、回転数を1000rpm、送り回数を4回とした。なお、このときのラビング方向はゲート線に平行とした。
【0023】
続いて、一方の基板上には、平均粒径1.5μmのシリカビーズ(スペーサー)を散布し、さらに、図1に示されるように、対向電圧供給用の導電ペーストを走査信号給電端側の供給能力が高くなるよう、ペーストの数を調整した。
【0024】
そして、各基板のラビング処理方向が互いにアンチパラレルとなるように貼り合わせ、均一な基板間隙のセルを得た。このとき、図1に示される、対向電圧供給用の導電ペーストの走査信号給電端側の直径は約1.5mmであり、走査信号給電端から最も離れた導電ペーストの直径は約半分であった。
【0025】
このようなプロセスで作製したセルに液晶組成物LC−1をCh相の温度で注入し、液晶がカイラルスメクチック液晶相を示す温度まで冷却し(但し、冷却速度は1℃/minとした)、液晶がCh相からSmC*相に相転移する際に(Tc−2℃〜Tc+2℃の温度範囲内で)パネル全面に対して−2Vのオフセット電圧(直流電圧)を印加して、液晶パネルP1を作製した。
【0026】
こうして得られた液晶パネルP1の配向状態を偏光顕微鏡観測したところ、全面で一方向に揃った層方向(明細書中で述べた一つの層方向に単安定状態)に揃った状態が得られていた。
【0027】
次に、液晶パネルP1を実際に駆動して動画質の評価を行った。なおこのときの駆動法は図4に示されるように1フレームを前半後半の2フィールドに分割し、前半フィールドではパネル全面に対して液晶層には正極性の電圧を印加し、後半フィールドではパネル全面に対して液晶層には負極性の電圧を印加するというフィールド反転駆動によって駆動した。
【0028】
【発明の効果】
上記した図4に示される駆動条件で、特定の画像(白黒のチャートなどの固定パターン)を5時間程度連続表示させ焼付き耐久試験を行った。結果として、従来のパネル構成においては、パネル周辺部においては、一階調程度の焼付き現象が観測されたのに対し、パネル周辺部においても焼き付き現象は観測されなかった。
【0029】
つまり、従来の構成においては、焼付き試験直後では、パネル周辺部においては、DC成分が発生した事による電圧−透過率特性のシフトが発生し、表示階調にズレが生じたが、パネル構成を最適化することで、パネル面内に発生していたDC成分の発生を抑制した結果、パネルが大型化した際においても電圧−透過率特性のシフトが完全無くなり安定状態を保つ事が可能となり焼付き現象が抑制され信頼性が大きく向上したものと考えられる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第一の実施例の液晶素子の対向基板に対する、給電点を示す模式図である。
【図2】ドレイン−Vcom間のパネル内の電圧分布を説明する模式図である。
【図3】両側V字液晶の駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。
【図4】片側V字液晶の駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。
【図5】発明に係る第一の実施例の液晶パネル構造を示す模式図である。
【図6】本発明に係る第一の実施例の液晶パネルの画素を示す模式図である。
【図7】本発明に係る第一の実施例の液晶素子の電気光学特性を示す図である。
【符号の説明】
1a、1b 基板
3a、3b 透明電極
6a、6b 配向制御膜
Claims (4)
- カイラルスメクチック液晶と、該液晶に電圧を印加する一対の電極と、該液晶を挟持して対向すると共に少なくとも一方の対向面に該液晶を配向させるための一軸性配向処理が施された一対の基板であって少なくとも一方の基板に各画素に対応する電極に接続したアクティブ素子を有するものと、少なくとも一方の基板側に配置された偏光板とを備え、前記アクティブ素子を駆動する駆動回路によってアクティブマトリクス駆動されることによりアナログ階調表示を行う液晶素子の製造方法において、
該対向基板電位は、該アクティブ素子を有するもう一方の基板の駆動におけるフィードスルーにおける電圧分布と等しい、面内電位ムラを有することを、特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1に記載の液晶表示装置において、該対向基板に対する電圧供給方法は、該アクティブ素子を有するもう一方の基板の走査信号給電端側が電圧供給能力が高く成るべく、少なくとも、パネル中心部より走査信号給電端側に近い方が、該対向基板に対する給電点、及び給電面の接続抵抗が低くなる事を特徴とする液晶表示装置。
- 請求項1に記載の液晶表示装置において、該対向基板に対する電圧供給方法は、該アクティブ素子を有するもう一方の基板の走査信号給電端側が電圧供給能力が高く成るべく、走査信号給電端側より給電すべく、該対向基板に対する給電点、及び給電面を配置する事を特徴とする液晶表示装置。
- 請求項1に記載の液晶表示装置において、該液晶表示素子は、
電圧無印加時では、該液晶の平均分子軸が単安定化された第一の状態を示し、第一の極性の電圧印加時には、該液晶の平均分子軸は印加電圧の大きさに応じた角度で該単安定化された位置から一方の側にチルトし、該第一の極性とは逆極性の第二の極性の電圧印加時には、該液晶の平均分子軸は該単安定化された位置から第一の極性の電圧を印加したときとは逆側に、該第一の極性に対し小さい角度でチルトする液晶素子で有ることを特徴とする液晶表示装置。
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