JP2004077526A - ヒューマンマシンインタフェース評価分析装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒューマンエラーを誘発する要因についての高度な知識を必要とせず、各評価者の恣意的な評価を除くことができるHMI評価分析装置を提供する。
【解決手段】評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を評価値情報として格納する記憶部11と、評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を評価者に提示する評価情報提示処理部6と、評価者によって複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部11に格納する入力処理部5と、分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じた重み付けを加えた評価指標の評価結果をヒューマンエラー危険度として算出するヒューマンインタフェース分析部8とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を評価値情報として格納する記憶部11と、評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を評価者に提示する評価情報提示処理部6と、評価者によって複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部11に格納する入力処理部5と、分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じた重み付けを加えた評価指標の評価結果をヒューマンエラー危険度として算出するヒューマンインタフェース分析部8とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は作業者と作業設備の接点部分であるヒューマンマシンインタフェース(以下、HMIと略す)における人為的な誤りであるヒューマンエラーの起こりやすさを分析するHMI評価分析装置及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のHMI評価分析では、モックアップを用いた被験者実験や計算機シミュレーションを利用して被験者実験を模擬して、作業状況を観察、分析していた。この計算機を利用するHMI評価分析システムとしては、例えば特開平6−282218号公報に開示されるものがある。
【0003】
図25は上述した特開平6−282218号公報に開示される従来のHMI評価分析システムの構成を示す図である。このHMI評価分析システムは、プラント設備の異常状態に対して運転員の振舞いを模擬してマンマシンシステム(以下、MMSと略す)を評価し、当該評価結果により設計内容の具体的な修正を喚起するものである。図において、101は状況シナリオ解析器であって、マンマシンインタフェース(以下、MMIと略す)運転情報ファイル102から運転手順の模擬情報を読み込み、実施すべき事故シミュレーションのストーリーを示す運転シナリオを解析して個々の運転タスクに分解する。
【0004】
102はMMI運転情報ファイルで、MMI運転情報解析器116が生成した運転手順の模擬情報を計算機が処理し易い形態で記述したものである。103は外乱事象シミュレーション条件発生器であって、入力条件ゲート回路108を介して所定プラントの挙動を模擬するための諸条件をプラントシミュレータ107に設定する。104はインタフェースシステムエラー要因分析器で、状況シナリオ解析器101からの運転タスク情報に応じて所定プラントの模擬を認知行動推論システム105及びインタフェース情報発生器106に指示することによってシステム全体を制御する。
【0005】
105は認知行動推論システムであって、各運転手順の模擬情報と状況シナリオ解析器101からの運転シナリオに基づいて運転員の行動を模擬し、その結果を示す行動模擬情報によりMMSを運転する。106はインタフェース情報発生器で、プラントシミュレータ107が模擬したプラントの状態データに基づいて実際のプラントのMMSからの出力を模擬する。107はプラントシミュレータであって、所定プラントの挙動を模擬する。108は入力条件ゲート回路で、プラントシミュレータ107に対する入力条件を運転タスクごとに制御する。
【0006】
109はヒューマンエラー要因推論用知識データベースであって、運転員の行動模擬情報とMMI設備情報によってヒューマンエラー要因を推論するために必要なデータを格納する。110は潜在的エラー要因リストで、認知行動推論システム105からの運転員の行動模擬情報に含まれる潜在的エラー要因で構成される。111はアクションモード分析表であって、認知行動推論システム105が模擬した個々の運転タスクの実行過程を監視して当該運転員が現在実施している行動内容を分析して結果を蓄積する。
【0007】
112は定量的信頼性評価器で、人間信頼性データベース113及びMMS機器信頼性データベース114に基づいて潜在的エラー要因リスト110に抽出された個々の行動に対するヒューマンエラー発生確率やプラント設備の定量的な事故発生確率を検索する。また、定量的信頼性評価器112は、総合的に操作が完了するまでのプロセスの成功率を定量的に導出し、MMIに対する最終分析評価として定量的信頼性評価リスト115を出力する。113は人間信頼性データベースであって、ヒューマンエラー発生確率が記述される。
【0008】
114はMMS機器信頼性データベースで、評価対象となるMMSで使用されるマンマシン機器及びプラント設備の故障発生確率をデータベース化したものに相当する。115は定量的信頼性評価リストであって、MMIに対する最終分析評価値から構成される。116はMMI運転情報解析器で、MMI運転情報入力データ117を解析して事故発生時の運転員の各種運転手順の模擬情報を生成する。117はMMI運転情報入力データであって、事故を規定する外乱事象セット、タスク変遷図、階層的タスク分析図及び運転員構成図などによって事故発生時の運転員の標準的運転手順を記述したものである。
【0009】
次に動作について説明する。
先ず、状況シナリオ解析器101は、MMI運転情報解析器116によってMMI運転情報入力データ117をデータベース化したMMI運転情報ファイル102を読み込んで、事故シミュレーションとして実行すべき運転タスクを数個のフェーズに分解する。これにより、運転タスクごとに運転信頼性を確認できるようにする。また、状況シナリオ解析器101は、上記運転タスクの内容に従って外乱事象などの初期条件を指示する。
【0010】
この外乱事象などの初期条件に応じて、外乱事象シミュレーション条件発生器103は、各運転タスクごとに初期データ及び事故事象設定データを生成し、入力条件ゲート回路108を介してプラントシミュレータ107に出力する。プラントシミュレータ107では、上記入力条件に応じてプラントの挙動を模擬し、プラント挙動状態を示すプロセスパラメータ値及び機器動作状況データをインタフェース情報発生器106に出力する。
【0011】
インタフェース情報発生器106は、プラントシミュレータ107からのプロセスパラメータ値及び機器動作状況データに基づいて、実際のプラントのMMI機器における表示を仮想的に出力する。認知行動推論システム105では、上記仮想表示出力及び所定の行動モデルに基づいて運転員と同様の運転タスクを実行する。このとき、認知行動推論システム105は、運転員の行動模擬情報をインタフェースシステムエラー要因分析器104に出力する。
【0012】
インタフェースシステムエラー要因分析器104では、ヒューマンエラー要因推論用知識データベース109に基づいて、インタフェース情報発生器106の設備情報から上記行動模擬情報に含まれる潜在的エラー要因を抽出し、これとその対策案を示す内部情報である潜在的エラー要因リスト110を作成する。さらに、インタフェースシステムエラー要因分析器104は、潜在的エラー要因リスト110に対応する実行過程を監視して、運転員が現在実施している行動内容を分析し、その定性的分析結果としてアクションモード分析表111を出力する。以上の動作により、定性的な分析評価が実施される。
【0013】
定量的な分析評価としては、定量的信頼性評価器112が、インタフェースシステムエラー要因分析器104を介して認知行動推論システム105からの運転員の行動タスク詳細シーケンスと、潜在的エラー要因リスト110とに基づいて、人間信頼性データベース113から検索した運転員の行動に対するヒューマンエラー発生確率を導出する。
【0014】
さらに、定量的信頼性評価器112は、上記ヒューマンエラー発生確率と、上記行動タスク詳細シーケンスで使用された機器情報に基づいてMMS機器信頼性データベース114を照合して得た各種機器の故障発生確率とから、運転タスクの定量的信頼性評価リスト115を導出する。
【0015】
また、上述した他のヒューマンエラー分析評価方法として、例えば特開平11−353301号公報に開示されるものがある。
図26は特開平11−353301号公報に開示される従来のヒューマンエラー分析評価方法に使用される分析評価表を示す図である。図に示すように、この分析評価方法では、ヒューマンエラーを引き起こす要因として、「本人」、「ハードウエア」、「ソフトウエア」、「環境」、周囲の「人」及び「管理」をそれぞれ項目として規定している。
【0016】
具体的には、項目「本人」について、能力、慣れ、心理的及び精神的状況、身体的状況が規定される。また、「ハードウエア」については、MMI、機器の設計、機器の配管の配置が規定される。「ソフトウエア」については、情報、マニアルや標準、教育や訓練資料が規定される。「環境」としては、作業、温湿度、照明、騒音、作業物性が規定される。周囲の「人」については、コミュニケーション、チームワークが規定される。「管理」としては、組織や管理体制、職場の雰囲気作り、品質意識の醸成が規定され、全てのヒューマンエラーの要因が漏れなく網羅される。
【0017】
これに対するヒューマンエラーの防止策として、作業の「排除」、物理的な「制限」、「認知負担軽減」、「身体負担軽減」、「検知」及び「影響緩和」をそれぞれ項目として規定しておく。「排除」という第1の壁で防止できないエラー要因に対しては、「制限」という第2の壁で防止し、それでも困難な場合には順次いずれかの壁で防止するようにしている。
【0018】
上述したように、分析評価表は、黒枠の太線内の(B)を付した「エラーを引き起こす要因」と、(C)を付した(1)〜(6)の「防止策」が予め記入されており、あらゆる分野のヒューマンエラーの分析に共通に使用される。この分析評価表を用いてヒューマンエラーを分析し、防止策を立案する場合には、先ずエラー発生の状況、経緯を時系列的に整理してエラーモードを抽出し、(A)欄に記入する。
【0019】
次に、(A)欄に記入されたエラーモードに対して、(B)欄のB−1〜B−6の各欄の要因の1つ1つがエラーの発生の要因になっていないかを順次チェックする。このとき、エラー発生の要因となっていれば、(A)欄の該当項目に丸印とその番号を付し、全てのエラー要因を漏れなく抽出する。続いて、丸印を付して抽出したB−1〜B−6の各エラー要因に対し、その直下の(C)欄の(1)〜(6)の各防止策を(1)から順に防止策となり得るか否かを検討する。このとき、防止策としてふさわしい場合には更に詳細な内容を記入し、防止策を立案してゆく。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
従来のHMI評価分析システムは以上のように構成されているので、モックアップの作成やシミュレーションを実施するのに必要な手順データや設計データの作成など、評価前に用意すべき事項が非常に多く、実際の現場での利用には適していないという課題があった。
【0021】
具体的に説明すると、特開平6−282218号公報に開示されるようなHMI評価分析システムでは、被験者実験を計算機シミュレーションによって模擬するにあたり、例えば事故を規定する外乱事象セット、タスク変遷図、階層的タスク分析図及び運転員構成図などによって事故発生時の運転員の標準的運転手順を記述したデータ(MMI運転情報入力データ117)を用意しておく必要がある。このようなデータは、運転員の構成から当該運転員が操作するプラント設備についての専門的な知識を有するものでなければ作成することができない。
【0022】
また、運用中のシステムを改善する場合、ヒューマンエラーの発生確率やエラー発生による影響が大きい順に防止策を施して改善してゆくのが効率的である。しかしながら、特開平11−353301号公報に開示されるような分析評価表を用いる方法では、ヒューマンエラーの発生確率やエラー発生による影響が大きさに応じてヒューマンエラーの防止策の優先順位を決定することが困難である。
【0023】
つまり、当該分析評価表では、どのエラー発生要因がよりエラーを起こしやすいのかという定量的な判断ができない。このため、ヒューマンエラーの発生確率やエラー発生による影響が大きさの指標を設定することができず、防止策の優先順位を決定することが困難となる。
【0024】
さらに、上述したいずれの従来例も、大量の評価者による評価データを収集するものでなく、他の評価者との比較による新たな危険認知の効果や作業理解度の把握などの効果を得ることができない。
【0025】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、現場作業における各作業工程に対して共通した評価指標を規定し、さらに当該評価指標について簡単な評価点の選択肢を予め設定しておき、当該選択肢中から評価値を評価者に選択させることで、ヒューマンエラーを誘発する要因についての高度な知識を必要とせず、各評価者の恣意的な評価を除くことができるHMI評価分析装置及びプログラムを得ることを目的とする。
【0026】
また、この発明は、エラー誘発要因に関する各評価指標にヒューマンエラーに対する寄与度を表す重要度を付与し、この重要度を利用してヒューマンエラーに対する寄与度が分析結果をより強調することで、ヒューマンエラーに対する寄与度が高い分析結果をより管理者に認識させることができ、HMI上の問題点に対する管理者の認知度を向上させることができるHMI評価分析装置及びプログラムを得ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るHMI評価分析装置は、評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて格納する記憶部と、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示すると共に、複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部に格納する情報収集部と、分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じた重み付けをヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に加える分析部とを備えるものである。
【0028】
この発明に係るHMI評価分析装置は、情報収集部が、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価を行った評価者の評価能力に関する評価指標の評価結果を収集し、評価結果と関連付けて記憶部に格納するものである。
【0029】
この発明に係るHMI評価分析装置は、情報収集部が、ヒューマンエラーが発生した場合における影響の度合いを評価指標として提示し、分析部が、当該評価指標の評価結果に応じた重み付けを分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に加えるものである。
【0030】
この発明に係るHMI評価分析装置は、情報収集部が、各評価点候補ごとにヒューマンエラー要因に関する評価の基準となる評価基準情報を付与し、当該評価基準情報と共に評価点候補を評価者に提示するものである。
【0031】
この発明に係るHMI評価分析装置は、情報収集部が、電気通信回線を介して評価者が管理するコンピュータ装置と情報を送受するものである。
【0032】
この発明に係るHMI評価分析装置は、分析部が、複数の評価者による同一評価指標に対する評価結果のうち他の評価者と有意に異なる評価値が存在する否かを判定し、有意に異なる評価値を与えた評価者を作業の管理者側に通知するものである。
【0033】
この発明に係るプログラムは、評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて格納する記憶部、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示すると共に、複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部に格納する情報収集部、分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じた重み付けをヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に加える分析部としてコンピュータを機能させるものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。図において、1は実施の形態1によるHMI評価分析装置であって、後述する構成部を具現化するプログラムを実行するコンピュータ装置によって構成される。2は評価者に提示すべき情報を表示する表示装置で、危険度情報表示処理部4や評価情報提示処理部6からの情報を適宜表示するCRTやLCDなどにより構成される。また、図示の例では、表示装置2はHMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に搭載されているが、電気通信回線を介してHMI評価分析装置1と情報の送受が可能な他のコンピュータ装置の表示装置であってもよい。
【0035】
3は評価者が装置1に設定すべき情報を入力する入力装置であって、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に搭載されているマウスやキーボードなどが考えられる。また、この入力装置3も、電気通信回線を介してHMI評価分析装置1と情報の送受が可能な他のコンピュータ装置に標準的に搭載されたものであってもよい。4は危険度情報表示処理部で、ヒューマンエラー危険度情報を表示装置2で表示可能な形態で、且つ所定の書式の表示情報に変換し表示装置2に表示させる。
【0036】
5は入力処理部(情報収集部)であって、表示装置2に表示された評価指標情報や作業内容情報に対する入力情報を評価値情報に変換して記憶部11に格納する。6は評価情報提示処理部(情報収集部)で、評価指標情報や作業内容情報を表示装置2で表示可能な形態で、且つ所定の書式の表示情報に変換し表示装置2に表示させる。なお、危険度情報表示処理部4、入力処理部5及び評価情報提示処理部6は、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に実行されるプログラムより具現化される。
【0037】
7はヒューマンエラー危険度情報を格納する記憶部であって、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置やCD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。また、ヒューマンエラー危険度情報とは、どの作業対象に対してどの作業者が作業してもヒューマンエラーの起こりやすさに関する基準が同じである要因に対する評価値(基本的な誤りやすさに関する指標値)と、作業対象や作業者によってヒューマンエラーの起こりやすさが異なる要因に対する評価値(基本的な誤りやすさ以外に関する指標値)を用いて、ヒューマンエラーが発生する危険度を指標化した情報である。
【0038】
8はヒューマンインタフェース分析部(分析部)で、評価値情報から抽出した評価結果を分析して、各作業内容に対するヒューマンエラーの起こりやすさを定量的に示す危険度を求める。また、ヒューマンインタフェース分析部8は、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に実行されるプログラムより具現化される。
【0039】
9は評価指標情報を格納する記憶部であって、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置や、CD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。10は作業内容情報を格納する記憶部で、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置や、CD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。11は評価値情報を格納する記憶部であって、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置や、CD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。
【0040】
図2は図1中のヒューマンインタフェース分析部の構成を示す図である。図において、12は情報入力部であって、記憶部11から評価値情報としてまとめられた評価指標情報及び作業内容情報の各評価結果を読み込む。13は情報抽出部で、情報入力部12が読み込んだ評価指標情報及び作業内容情報の各評価結果から基本的な誤りやすさに関する指標値、エラー誘発要因の評価値及び要因の重要度を抽出する。14はエラー補正因子算出部であって、情報抽出部13が抽出したエラー誘発要因の評価値及び要因の重要度を用いてエラー補正因子を算出する。15はヒューマンエラー危険度算出部で、基本的な誤りやすさに関する指標値及びエラー補正因子の値を用いてヒューマンエラー危険度を算出する。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
図3は実施の形態1によるHMI評価分析装置が格納する情報を示す図であり、(a)は図1中の評価指標情報の内容、(b)は図1中の作業内容情報の内容、(c)は図1中の評価値情報の内容を示している。(a)に示す評価指標情報の書式は、例えば評価指標の「名称」に関する項目、及び、所定の数値で規定した評価値を選択させる「選択肢」に関する項目から構成される。また、評価指標としては、「作業量」、「設備」、「要領書」、「環境」、「負担」、「ストレス」及び「連携」などが挙げられる。当該書式にて評価指標情報は、表示装置2を介して評価者に提示される。
【0042】
このように、本発明の評価指標情報は、「作業量」、「設備」、「要領書」や「環境」などに対応する評価対象の作業環境に関する評価指標のみならず、「負担」、「ストレス」や「連携」などの作業者に関する評価指標をも評価項目として有している。また、各評価指標には、基本的な誤りやすさに関する指標とした「作業量」については1から10までの数値、基本的な誤りやすさ以外に関する指標となる他の評価指標については0から4までの数値が予め設定されている。評価者は、各評価指標に規定された数値(評価点候補)の中から適当な数値を選択することで、各評価指標についての定量的な評価を行うことができる。
【0043】
また、(b)に示す作業内容情報の書式は、例えば「作業の名称」、「作業対象」、「作業内容」、「要領書のハードコピー」、及び「作業現場の写真」に関する項目から構成される。当該書式にて作業内容情報は、表示装置2を介して評価者に提示される。
【0044】
本発明では、HMIが評価すべき作業を、その作業工程に応じたステップごとに分割して内容を詳細に評価者に提示するよう構成している。例えば、評価者が理解しやすいように、「作業対象」、「要領書のハードコピー」、及び「作業現場の写真」などは、これらに該当する写真の画像データやPDFファイルなどを表示画面上に表示する。
【0045】
評価者は、HMI評価分析装置1側から作業内容情報として示される1ステップごとの作業(作業の名称)に対して、(a)に示す評価指標情報中の評価指標についての評価を実行する。
【0046】
(c)に示す評価値情報の書式は、例えば「作業の名称」、「各評価者による評価値」、及び「代表値」に関する項目から構成される。具体的に説明すると、例えば「作業の名称」項目には、評価されるべき1ステップごとの作業(作業の名称)が入力され、「各評価者による評価値」項目に、(a)に示す評価指標情報中の1つの評価指標についての評価者ごとの評価値が評価結果として入力される。そして、「代表値」項目には、当該評価されるべき1ステップごとの作業に対する複数の評価者による代表値(複数の評価者による評価値の平均値など)が評価結果として入力される。
【0047】
なお、評価値情報としてまとめられる評価結果としては、評価指標情報中の評価指標に対する評価値の他に、これらから求めたHMIに対するヒューマンエラーの起こりやすさに関する危険度、作業者に応じたエラーの起こりやすさに関する危険度、評価対象の設備に用いた機器に対するヒューマンエラーの起こりやすさに関する危険度なども含むものとする。
【0048】
次に動作について説明する。
図4は実施の形態1によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図であり、この図に沿ってHMI評価分析装置1による評価処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部10から図3(b)に示すような作業内容情報を読み込んで、評価すべき作業の1ステップごとの「作業の名称」を取得する。同時に、評価情報提示処理部6は、記憶部9から図3(a)に示すような評価指標情報を読み込んで、上記1ステップごとの「作業の名称」と共に、各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を生成する。当該情報は、表示装置2に表示した評価指標の選択肢項目に対して、入力装置3を用いて評価者が評価値を選択することができるように構成されている。
【0049】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記1ステップごとの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1)。ここで、上記情報を提示すべき評価者は、1人に限らない。つまり、電気通信回線を介してHMI評価分析装置1と情報の送受が可能な、他の評価者が管理する複数のコンピュータ装置の表示装置に上記情報を同時に表示して複数の評価者による評価を実行する。このとき、評価情報提示処理部6は、個々の評価者を識別するためのID情報を求めるように構成しておく。このID情報を参照することで、評価情報提示処理部6は、評価者ごとに評価結果を処理する。
【0050】
評価者は、表示装置2を介して提示された上記1ステップごとの「作業の名称」に対して、入力装置3を用いて評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力する(ステップST2)。入力された評価値の選択情報は、入力処理部5に送出される。入力処理部5では、上記評価値の選択情報、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標を、不図示のRAMなどに一時記憶する。ここで、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標は、評価者ごとに分類して記憶する。
【0051】
続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から読み込んだ作業内容情報を参照して、上述のようにして評価者からの評価を受けた作業が、評価すべき作業の最後の工程に対応するものであるか否かを判定する(ステップST3)。このとき、最後の工程に対応する作業でなければ、ステップST1からの処理に戻る。つまり、評価情報提示処理部6は、当該作業の次のステップの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる。このあとの評価工程は、上述した内容と同一である。
【0052】
一方、ステップST3において、最後の工程に対応する作業であると判定すると、評価情報提示処理部6は、評価すべき作業を全て評価し終えたと判断し、RAMなどに一時記憶しておいた、各ステップごとの「作業の名称」とその各評価指標に対する評価値からなる評価結果を読み出す。続いて、評価情報提示処理部6は、評価者ごとの上記評価結果を用いて、図3(c)に示すような評価値情報を生成して記憶部11に格納する(ステップST4)。このあと、評価情報提示処理部6は、上記評価すべき作業の評価結果を記憶部11に格納すると、当該評価処理を終了する。
【0053】
ここで、評価値情報について詳細に説明する。
図5は評価値情報の構成を概略的に説明する図である。図において、11aは評価者ごとの評価結果であって、評価すべき作業の作業ステップごとの各評価指標に対する評価値からなる。図に示すように、1人の評価者による評価値情報は、作業内容情報中に含まれる作業ステップ数と同じ数の評価結果11aから構成される。また、上述のようにして、複数の評価者によって評価を実行すると、1人の評価者による評価結果11a群が評価者の数だけ得られることとなる。
【0054】
図6は図1中の記憶部に格納した評価値情報の内容を示す図であり、この図を用いて記憶部11に対する評価値情報の読み出し・書き込みの管理方法について説明する。図示の例では、評価すべき作業として作業a、作業bを挙げ、それぞれ3ステップ(ステップa−1〜ステップa−3)、2ステップ(ステップb−1、ステップb−2)で構成されるものと仮定する。また、評価者A,B,Cの3人で評価を実行した場合を考える。
【0055】
これらの条件で作業a,bの評価が実行されると、評価情報提示処理部6は、図に示すような行列で管理される評価値情報を生成して記憶部11に格納する。具体的には、行要素として評価者を規定し、列要素として作業ステップを規定しておく。そして、当該行列要素によって各作業ステップごとの評価結果11aが特定されるように、記憶部11内の記憶領域に対するアドレス情報を設定する。
【0056】
これにより、後述するエラー補正因子の算出処理やHMI分析における検索処理を容易に行うことができる。例えば、ある特定の作業を評価した評価者による評価結果11a群をまとめて読み出すことができる。具体的には、作業aに対する評価結果11a群は、1行1列から3行3列までの範囲に応じたアドレス情報によって容易に読み出すことができる。
【0057】
また、作業aに対する評価結果11a群を特定する1行1列から3行3列までの中から、任意の1行に応じた情報を取り出せば、ある評価者による各作業ステップごとの評価結果11aを読み出すことができる。この場合、1行ごとに情報を取り出して、各評価者が評価した評価結果11aを作業ステップごとに比較することも可能である。
【0058】
さらに、任意の1列に応じた情報を取り出せば、同じ作業ステップに対する評価者A,B,Cによる評価結果11aを読み出すことができ、これらの比較も容易である。図示の例で説明すると、作業aにおける2列目の情報を取り出すことで、評価者A,B,Cによる作業ステップa−2についての評価結果11aを読み出すことができる。
【0059】
次にヒューマンインタフェース分析処理について説明する。
図7は実施の形態1のHMI評価分析装置による分析処理を示すフロー図であり、この図に沿ってHMI評価分析装置1によるヒューマンインタフェース分析処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部10から作業内容情報を読み込んで、当該作業内容情報に記述された全ての作業に関する情報を一覧表とした表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に表示した「作業の名称」項目に対して、入力装置3を用いて利用者が「作業の名称」を選択することができるように構成されている。
【0060】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記表示情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1a)。ここで、利用者は、表示装置2を介して提示された上記表示情報に対して、入力装置3を用いて分析対象作業に関する「作業の名称」を選択・入力する。分析対象の作業を特定する「作業の名称」の選択情報は、入力処理部5を介してヒューマンインタフェース分析部8に送出される。
【0061】
ヒューマンインタフェース分析部8は、上記「作業の名称」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する評価値情報を取得する。続いて、ヒューマンインタフェース分析部8は、上記評価値情報の内容を分析して当該作業におけるヒューマンエラーの危険度を計算する(ステップST2a)。
【0062】
分析が終了すると、ヒューマンインタフェース分析部8は、当該分析結果をヒューマンエラー危険度情報として記憶部7に送出する。このあと、危険度情報表示処理部4は、記憶部7に格納された上記分析対象の作業に関する分析結果の表示情報を生成し、表示装置2に送出して表示させる(ステップST3a)。また、評価者が自身の評価結果を装置1に分析させることも可能である。
【0063】
ここで、上述したステップST2aにおける分析処理は、評価値情報からヒューマンエラー危険度を算出するもので、利用者が選択した作業におけるHMI上の問題点を強調する処理が施される。以下に、当該ステップST2aにおける分析処理を詳細に説明する。
【0064】
図8は図7中の分析処理の詳細を示すフロー図であり、この図及び図2を用いてHMI分析処理の詳細を説明する。
先ず、情報入力部12は、入力処理部5から入力した「作業の名称」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」を特定する作業に関する評価値情報を取得する(ステップST2a−1)。続いて、情報入力部12は、予め設定した評価指標に応じて、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値を、基本的な誤りやすさに関する評価値及びエラー誘発要因の評価値にそれぞれ分類する。
【0065】
ここで、基本的な誤りやすさに関する評価値を与える評価指標とは、評価指標情報に記述された評価指標のうち、標準的な作業環境における誤りやすさに寄与する評価指標に相当するものである。なお、標準的な作業環境における誤りやすさとは、作業者がエラーを引き起こす要因として作業環境に依存しないものを意味する。例えば、評価指標「作業量」や「作業時間」などがある。
【0066】
つまり、作業を行う作業場が高温多湿である場合と、そうでなく標準温湿度である場合とで、「作業量」が多かったり、「作業時間」が長かったりすれば、作業環境に違いがあっても作業者が誤りを犯す共通した要因となり得る。このように、本発明では、作業環境に依存しないエラー要因に対応する評価指標が予め設定されている。
【0067】
また、エラー誘発要因に関する評価指標とは、上述した基本的な誤りやすさに関する評価値を与える評価指標以外のものに相当する。例えば、作業環境の設備に関する評価指標である「設備」や、作業環境の温湿度などに関する評価指標である「環境」などの作業環境に依存する評価指標に加え、作業者の精神状態に関する評価指標である「ストレス」や、作業者間のコミュニケーションの評価指標である「連携」などの作業者自身の評価指標も含まれる。
【0068】
さらに、情報入力部12は、上記評価値情報中のエラー誘発要因に関する各評価指標に対して、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値化した重要度を付与する。当該重要度は、エラー誘発要因に関する各評価指標の内容に応じて、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値として予め設定したものである。なお、情報入力部12が重要度を設定するのではなく、評価項目の1つとして「要因の重要度」を設けて評価者に提示し、評価者に上記重要度を設定させるようにしてもよい。
【0069】
図9は実施の形態1のHMI評価分析装置による分析処理に使用される情報内容を示す図であり、(a)は重要度を付与した評価指標情報を示し、(b)は5段階の数値で重要度を付与した評価指標情報を示し、(c)はある作業ステップの評価結果を示している。(a)に示すように、情報入力部12によって図3(a)中の評価指標情報の他に、基本的な誤りやすさに関する評価指標や、エラー誘発要因に関する各評価指標にHMI上の重要度(あるいは、ヒューマンエラーに対する寄与度)が付与されている。
【0070】
(b)に示す例では、エラー誘発要因に関する各評価指標に対して、1から5までの5段階の重要度が付されている。例えば、作業設備の善し悪しは、作業者に依らずヒューマンエラーに対する寄与が大きいと考えられることから、評価指標「設備」に対して最大の重要度5が付与されている。
【0071】
また、作業環境の温湿度などに関する評価指標である「環境」は、作業者によって快不快の感じ方が異なり、作業者に依存するものである。よって、必ずしもヒューマンエラーに対する寄与が大きくなるとは言えないことから、評価指標「環境」に対しては重要度2が付与される。また、(c)に示すある作業ステップに対する評価結果は、図4で示した処理にて得られたものである。
【0072】
上述のようにして、情報入力部12による処理が完了すると、当該評価値情報は、情報抽出部13に送出される。情報抽出部13では、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値から、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値、及び、エラー誘発要因に関する評価指標に対する重要度をそれぞれ抽出する(ステップST2a−2)。このあと、情報抽出部13は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及び重要度をエラー補正因子算出部14に送出し、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値をヒューマンエラー危険度算出部15に送出する。
【0073】
続いて、エラー補正因子算出部14は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及びその重要度から、「1」が標準的な状態で、「1以下」がHMI上の好条件、「1以上」がHMI上の悪条件を意味するようにエラー補正因子を計算する(ステップST2a−3)。
【0074】
例えば、エラー補正因子を1/3から3までであると定義する。また、基本的な誤りやすさ以外に関する評価指標の標準状態を1、重要度の標準的な状態を2として、図9(b)のように、1から5までの5段階で表現する。このとき、Σ(エラー誘発要因の評価値×要因の重要度)は、最大4×5×6=120、最小0×1×6=0、標準的な状態1×2×6=12となる。これを最大3、最小1/3、標準的な状態1となるように補正を行う。例えば、下記式(1)を用いてエラー補正因子を算出する。
【数1】
【0075】
ここで、図3(c)に示す各評価者の評価値情報に格納されている、ある評価者の評価結果が図9(c)のようになった場合、エラー補正因子算出部14は、上記式(1)を用いて当該評価結果に関するエラー補正因子を算出する。
つまり、エラー補正因子=3((2 × 5+3 × 4+4 × 2+0 × 3+1 × 2+2 × 3)−12)/108
=3(38−12)/108≒1.30
となる。
【0076】
上述のようにしてエラー補正因子を求めることにより、重要度の低い評価指標の評価値が高い場合、エラー補正因子が比較的小さくなる。一方、重要度の高い評価指標の評価指標の評価値が高い場合はエラー補正因子をより大きくすることができ、HMI上の問題点をより強調した分析結果を得ることができる。
このあと、エラー補正因子算出部14は、エラー補正因子を算出すると、ヒューマンエラー危険度算出部15に送出する。
【0077】
続いて、ヒューマンエラー危険度算出部15は、情報抽出部13からの基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、及び、エラー補正因子算出部14からのエラー補正因子を用いて、ヒューマンエラー危険度を算出する(ステップST2a−4)。ここで、ヒューマンエラーの危険度の求め方として、作業の基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値(数値)を一定の範囲で増減させるという方法が知られている。
【0078】
本発明においても当該方法を採用し、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値を一定の範囲で増減させる基準値として、上述したエラー補正因子を用いて基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値とエラー補正因子の計算結果からヒューマンエラー危険度を算出する。例えば、ヒューマンエラー危険度=基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値×エラー補正因子で定義する。
【0079】
図9(c)の例で説明すると、ヒューマンエラー危険度算出部15は、基本的な誤りやすさに関する評価指標である「作業量」の評価値7を読み出し、上述したようにエラー補正因子算出部14が算出したエラー補正因子1.30を用いて、ヒューマンエラー危険度を7×1.30=9.10と算出する。
【0080】
上述した処理を各評価者による評価結果について実施する。
また、評価値情報に記述された評価者全体の評価値を集約する代表値についても分析を行う。具体的には、ヒューマンエラー危険度算出部15は、評価指標ごとに評価者全体の評価値を集約する代表値を求める。ここで、代表値としては、例えば評価者全体の評価値の平均値や中央値などを利用する。この代表値に対して、上述したステップST2aの処理を実施して分析を行う。
【0081】
次に、ステップST3aにおける表示処理について詳細に説明する。
図10は図1中の危険度情報表示処理部が生成する表示データを示す図であり、(a)は評価指標リスト画面を示し、(b)は(a)の評価指標リスト画面で選択した評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフを示している。例えば、危険度情報表示処理部4は、(a)に示すような評価指標リスト画面2Aに関する表示データを作成して表示装置2に表示させる。
【0082】
この評価指標リスト画面2Aは、分析結果を表示すべき作業の「作業名」を表示する作業名表示欄16、作業名表示欄16に表示された作業の各評価指標を提示する評価指標リスト欄17、作業の分析結果の表示を中断する中止ボタン18、及び、分析結果を表示させる結果表示ボタン19から構成される。
【0083】
利用者は、表示装置2に表示された評価指標リスト欄17から(b)に示すようなグラフ表示を行う評価指標を、入力装置3を用いて選択する。ここで、(b)のように1つの評価指標についてのみ分析結果を表示する場合、評価指標リスト欄17のチェックボタンは、チェックボックスではなく、複数の選択項目の中からただ1つだけをオンにするラジオボタンとしてもよい。
【0084】
また、例えばエラー誘発要因のように複数の評価指標が存在する場合、評価指標リスト欄17のチェックボタンをクリックするごとに非表示/展開が切り替わるような形式にする。これにより、評価指標が多数ある場合でも、一覧しやすいという効果がある。ここで、中止ボタン18を押下すると、このダイアログが消滅して分析結果の表示は行わない。表示ボタン19を押すと、(b)に示すような分析結果が表示される。
【0085】
(b)に示す分析結果の表示画面2Bは、(a)に示す評価指標リスト欄17で選択した評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフを利用者に提示する。表示画面2B中の評価指標名表示欄20には、評価指標リスト欄17で選択した評価指標名が表示される。また、評価結果グラフ表示欄21には、上述した評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフが表示される。
【0086】
このグラフは、折れ線グラフ、棒グラフなど作業ごとの評価指標値の推移が把握できる形式で表記する。作業選択ボタン22は、詳細表示を要求する作業(各作業ステップ)を選択するボタンである。(b)の例では、作業選択ボタン22のうち「3」の作業が白黒反転表示されている。この作業選択ボタン22としては、他の形式でもよく、選択していることが明確にできる形式であればよい。
【0087】
また、(b)の例では、作業選択ボタン22がグラフのX軸を兼ねている。この形式の他に、「作業名」又は「作業番号」が一覧でき、評価結果グラフ表示欄21の作業と対応がつき、一覧の中から少なくとも1つ以上の作業を選択することができれば、他の作業選択手段を別途用意してもよい。
【0088】
(b)において、作業選択ボタン22で作業を選択し、作業参照ボタン23を押下すると、要領書のコピーや作業現場の写真など、作業内容情報の詳細な作業内容が表示されるように構成する。また、閉じるボタン24を押下すると、分析結果の表示ウィンドウが閉じる。このように分析結果をグラフ表示することにより、どの作業が改善を要する作業であるかが一目瞭然となる。
【0089】
図11は図1中の危険度情報表示処理部が生成する他の表示データを示す図であり、(a)は図10(a)の評価指標リスト画面で選択した評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフを示し、(b)は分析結果の一覧表示画面を示している。なお、図10と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。例えば、危険度情報表示処理部4は、(a)に示すような評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフ表示画面2Cに関する表示データを作成して表示装置2に表示させる。
【0090】
(a)に示す評価結果グラフ表示欄25には、図10(a)に示す評価指標リスト欄17で選択した評価指標のグラフが表示される。当該グラフは、折れ線グラフ、棒グラフなど作業ごとの評価指標値の推移が把握でき、複数の評価指標を同一画面上に表示して評価指標間の評価値の比較をすることができる形式で表記する。
【0091】
このように複数の評価指標を1つのグラフに表示することによって、評価指標間の評価値の比較を行うことができる。例えば、(a)中のグラフ線表示欄26に示すように、基本的な誤りやすさに関する評価指標(図中、破線で表記)とヒューマンエラー危険度(図中、実線で表記)を1つのグラフに表示する。この場合、ヒューマンエラー危険度が高い作業について、基本的な誤りやすさに関する評価指標が原因となっているのか、あるいはエラー補正因子が原因となっているのかを把握することができる。
【0092】
また、分析結果を提示するにあたり、例えばヒューマンエラー危険度と作業者への影響度の評価結果を1つのグラフに表示する。これによって、作業者への影響度が大きい場合に、ヒューマンエラー危険度を低減する対策を行うべきなのか、作業者への影響を軽減する対策を行うべきなのかを容易に知ることができる。
【0093】
さらに、エラー補正因子が大きいためにヒューマンエラー危険度が高くなっている場合には、複数のエラー誘発要因を選択し、グラフ表示を行うようにする。これによって、どの要因がエラー補正因子に最も影響を与えているのかという指標を利用者に提示することができる。
【0094】
(b)に示す分析結果の一覧表示画面2Dは、図10(a)に示す評価指標リスト欄17で選択された評価指標ごとに1つの分析結果一覧を表示した例である。(b)中の分析結果一覧27は、分析結果を示す評価値としてヒューマンエラー危険度が大きい順にソートして表示したものである。また、この一覧には、評価値の大きい順を表す順位、作業の順番を表す作業番号、作業内容、評価値が表示されている。
【0095】
上述した分析結果一覧は、(a)や図10(b)に示す作業選択ボタン22と同様の機能を有している。つまり、利用者は、当該分析結果一覧中から1つ以上の作業を選択して、詳細な作業内容の表示を要求することができる。
【0096】
このように作業ごとの評価値の推移または評価値の順位を把握できるような形式で分析結果を表示する。これにより、評価対象とする作業のうち、どの作業を優先的に改善すべきかを容易に把握することができる。また、管理者は費用対効果を考慮して、より効率的に改善を実行することもできる。
【0097】
また、図10(a)のように複数の評価指標の分析結果を比較することにより、ある評価指標に対する他の評価指標の寄与度を知ることができる。例えば、作業自体の基本的な誤りやすさに関する評価指標とヒューマンエラー危険度を同一のグラフ上に表示すれば、ヒューマンエラー危険度が高い場合に、作業自体の基本的な誤りやすさに関する評価指標とHMIのいずれが影響しているのかを把握することができる。また、複数のエラー誘発要因を同一のグラフに表示することにより、どのエラー要因が作業環境を悪化させる重要な要因となっているのかが一目瞭然になる。
【0098】
従って、ヒューマンエラー対策や作業改善を行うときに、作業自体の難しさや作業量を改善すべきなのか、HMIを改善してエラー誘発要因を排除すべきなのか、あるいはその両方を改善すべきなのかを容易に知ることができる。
【0099】
以上のように、この実施の形態1によれば、評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて評価値情報として格納する記憶部11と、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示する評価情報提示処理部6と、複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部11に格納する入力処理部5と、分析対象の作業におけるHMIについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じた重み付けをHMIに関する評価指標の評価結果に加えてヒューマンエラー危険度として算出するヒューマンインタフェース分析部8とを備えるので、評価指標に対して評価するにあたり、簡単な数値として提示された評価点候補を評価値として選択・入力するだけで評価結果が得られることから、ヒューマンエラーを誘発させる要因に関する専門的知識を必要とせず、ヒューマンエラー危険度を計算することができる。また、ヒューマンエラーを誘発させる原因となるHMI上の問題点も発見することができる。
【0100】
さらに、この実施の形態1によれば、エラー誘発要因に関する各評価指標にヒューマンエラーに対する寄与度を表す重要度を付与し、この重要度を利用して求めたエラー補正因子によって、ヒューマンエラーに対する寄与度に応じた重み付けを評価結果に加えた分析結果を求めるので、ヒューマンエラーに対する寄与度が高い分析結果をより管理者に認識させることができ、HMI上の問題点に対する管理者の認知度を向上させることができる。
【0101】
実施の形態2.
この実施の形態2は、評価者の経験や理解度によって評価値に重み付けをすることによって正確さを向上させた評価値をHMIの分析に利用するものである。
【0102】
図12はこの発明の実施の形態2によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。図において、1aは実施の形態2によるHMI評価分析装置であって、後述する構成部を具現化するプログラムを実行するコンピュータ装置によって構成される。8aは実施の形態2によるヒューマンインタフェース分析部(分析部)で、評価者情報及び評価値情報から抽出した評価結果を分析して、各作業内容に対するヒューマンエラーの起こりやすさを定量的に示す危険度を求める。
【0103】
また、ヒューマンインタフェース分析部8aは、HMI評価分析装置1aを構成するコンピュータ装置に実行されるプログラムより具現化される。28は評価者情報を格納する記憶部であって、HMI評価分析装置1aを構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置や、CD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0104】
図13は図12中のヒューマンインタフェース分析部の構成を示す図である。図において、29は評価値情報補正部であって、作業の理解度や信頼度などの評価者情報により評価値情報を重み付けして補正した評価結果を生成する。また、評価値情報補正部29も、HMI評価分析装置1aを構成するコンピュータ装置に実行されるプログラムより具現化される。なお、図2と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0105】
図14は図12中の記憶部に格納される評価者情報の構成を示す図である。図に示すように、評価者情報の書式は、例えば評価者の「氏名」を設定する項目、評価者が属する機関を設定する「所属」項目、評価者の「役職」項目、評価者が既に評価した作業を設定する「評価した作業」項目、及び、評価者の「作業経験年数」に関する項目に加え、評価者の「作業の理解度」項目や、評価者の「信頼度」に関する項目から構成される。
【0106】
ここで、「作業の理解度」や「信頼度」については、管理者が分析を行う前に予め各評価者について主観的に評価しておく方法や理解度テストなどがある場合は、その得点に応じて客観的な数値を入力しておく方法がある。当該書式にて評価指標情報は、表示装置2を介して評価者に提示される。
【0107】
次に動作について説明する。
図15は実施の形態2によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図であり、この図に沿ってHMI評価分析装置1aによる評価処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部28から評価者情報を読み込んで、図14に示すような書式の評価者情報を表示する評価者情報の入力画面情報を生成する。当該入力画面情報は、表示装置2に表示した各項目に対して、入力装置3を用いて評価者が所定内容を設定することができるように構成されている。
【0108】
次に、評価情報提示処理部6は、上記入力画面情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1b)。このあと、評価者は、表示装置2を介して提示された上記入力画面情報に対して、入力装置3を用いて評価者自身に関する「氏名」項目、「所属」項目、「役職」項目、「評価した作業」項目、及び、「経験年数」項目を入力する(ステップST2b)。このとき、「作業の理解度」や「信頼度」項目については、管理者が分析を行う前に予め各評価者について主観的に評価しておくか、理解度テストなどを実施した結果を入力しておく。
【0109】
評価者による上記設定情報は、入力処理部5を介して評価者情報として記憶部28に送出され、記憶される(ステップST3b)。続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から図3(b)に示すような作業内容情報を読み込んで、評価すべき作業の1ステップごとの「作業の名称」を取得する。同時に、評価情報提示処理部6は、記憶部9から図3(a)に示すような評価指標情報を読み込んで、上記1ステップごとの「作業の名称」と共に、各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を生成する。当該情報は、上記実施の形態1と同様に、表示装置2に表示した評価指標の選択肢項目に対して、入力装置3を用いて評価者が評価値を選択することができるように構成されている。
【0110】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記1ステップごとの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST4b)。評価者は、表示装置2を介して提示された上記1ステップごとの「作業の名称」に対して、入力装置3を用いて評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力する(ステップST5b)。
【0111】
入力された評価値の選択情報は、入力処理部5に送出される。入力処理部5では、上記評価値の選択情報、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標を、不図示のRAMなどに一時記憶する。ここで、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標は、評価者ごとに分類して記憶する。
【0112】
続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から読み込んだ作業内容情報を参照して、上述のようにして評価者からの評価を受けた作業が、評価すべき作業の最後の工程に対応するものであるか否かを判定する(ステップST6b)。このとき、最後の工程に対応する作業でなければ、ステップST4bからの処理に戻る。
【0113】
一方、ステップST6bにおいて、最後の工程に対応する作業であると判定すると、評価情報提示処理部6は、評価すべき作業を全て評価し終えたと判断し、RAMなどに一時記憶しておいた、各ステップごとの「作業の名称」とその各評価指標に対する評価値からなる評価結果を読み出す。続いて、評価情報提示処理部6は、評価者ごとの上記評価結果を用いて、図3(c)に示すような評価値情報を生成して記憶部11に格納する(ステップST7b)。このあと、評価情報提示処理部6は、上記評価すべき作業の評価結果を記憶部11に格納すると、当該評価処理を終了する。
【0114】
図16は実施の形態2によるHMI評価分析装置の分析処理を示すフロー図であり、この図に沿ってHMI分析処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部28から評価者情報を読み込んで、図14に示すような書式の評価者情報を表示する表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に表示した「氏名」項目に対して、入力装置3を用いて利用者が「氏名」を選択することができるように構成されている。
【0115】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記表示情報を表示装置2に送出し表示させる。ここで、利用者は、表示装置2を介して提示された上記表示情報に対して、入力装置3を用いて分析対象評価者の「氏名」を選択・入力する(ステップST1c)。この分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報は、入力処理部5を介して評価情報提示処理部6及びヒューマンインタフェース分析部8aに送出される。
【0116】
分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を受けると、評価情報提示処理部6は、記憶部10から作業内容情報を読み込んで、当該作業内容情報に記述された全ての作業に関する情報を一覧表とした表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に表示した「作業の名称」項目に対して、入力装置3を用いて利用者が「作業の名称」を選択することができるように構成されている。
【0117】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記表示情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST2c)。ここで、利用者は、表示装置2を介して提示された上記表示情報に対して、入力装置3を用いて分析対象作業に関する「作業の名称」を選択・入力する。分析対象の作業を特定する「作業の名称」の選択情報は、入力処理部5を介してヒューマンインタフェース分析部8aに送出される。
【0118】
ヒューマンインタフェース分析部8aは、上記「作業の名称」の選択情報及び上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部11及び記憶部28を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する上記分析対象評価者の評価値情報と当該評価者の評価者情報を取得する。このあと、ヒューマンインタフェース分析部8aは、図14に示した評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値によって評価値情報中の評価値を重み付けし、評価結果の補正を行う(ステップST3c)。当該補正後の評価結果は、代表値からなる評価値情報として記憶部11に格納される。
【0119】
次に、ヒューマンインタフェース分析部8aは、入力処理部5から入力した「作業の名称」の選択情報及び上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、上記代表値からなる評価値情報を取得する(ステップST4c)。続いて、ヒューマンインタフェース分析部8a内の情報入力部12は、予め設定した評価指標に応じて、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値を、基本的な誤りやすさに関する評価値及びエラー誘発要因の評価値にそれぞれ分類する。
【0120】
ここで、基本的な誤りやすさに関する評価値を与える評価指標とは、評価指標情報に記述された評価指標のうち、標準的な作業環境における誤りやすさに寄与する評価指標に相当するものである。なお、標準的な作業環境における誤りやすさとは、作業者がエラーを引き起こす要因として作業環境に依存しないものを意味する。例えば、評価指標「作業量」や「作業時間」などがある。
【0121】
また、エラー誘発要因に関する評価指標とは、上述した基本的な誤りやすさに関する評価値を与える評価指標以外のものに相当する。例えば、作業環境の設備に関する評価指標である「設備」や、作業環境の温湿度などに関する評価指標である「環境」などの作業環境に依存する評価指標に加え、作業者の精神状態に関する評価指標である「ストレス」や、作業者間のコミュニケーションの評価指標である「連携」などの作業者自身の評価指標も含まれる。
【0122】
さらに、情報入力部12は、上記評価値情報中のエラー誘発要因に関する各評価指標に対して、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値化した重要度を付与する。当該重要度は、エラー誘発要因に関する各評価指標の内容に応じて、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値として予め設定したものである。なお、情報入力部12が重要度を設定するのではなく、評価項目の1つとして「要因の重要度」を設けて評価者に提示し、評価者に上記重要度を設定させるようにしてもよい。
【0123】
上述のようにして、情報入力部12による処理が完了すると、当該評価値情報は、情報抽出部13に送出される。情報抽出部13では、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値から、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値、及び、エラー誘発要因に関する評価指標に対する重要度をそれぞれ抽出する(ステップST5c)。このあと、情報抽出部13は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及び重要度をエラー補正因子算出部14に送出し、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値をヒューマンエラー危険度算出部15に送出する。
【0124】
続いて、エラー補正因子算出部14は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及びその重要度から、上記実施の形態1と同様にしてエラー補正因子を計算する(ステップST6c)。算出されたエラー補正因子は、エラー補正因子算出部14からヒューマンエラー危険度算出部15に送出される。
【0125】
続いて、ヒューマンエラー危険度算出部15は、情報抽出部13からの基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、及び、エラー補正因子算出部14からのエラー補正因子を用いて、ヒューマンエラー危険度を算出する(ステップST7c)。
【0126】
分析が終了すると、ヒューマンインタフェース分析部8aは、当該分析結果をヒューマンエラー危険度情報として記憶部7に送出する。このあと、危険度情報表示処理部4は、記憶部7に格納された上記分析対象の作業に関する分析結果の表示情報を生成し、表示装置2に送出して表示させる(ステップST8c)。
【0127】
図17は図16中の代表値算出処理の詳細を示すフロー図であり、この図及び図13を用いてHMI分析処理の詳細を説明する。
ヒューマンインタフェース分析部8a内の評価値情報補正部29は、上記「作業の名称」の選択情報及び上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する上記分析対象評価者の評価値情報を取得する(ステップST3c−1)。
【0128】
さらに、評価値情報補正部29は、上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部28を検索し、当該評価者の評価者情報を取得する(ステップST3c−2)。
【0129】
このあと、評価値情報補正部29は、図14に示した評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値によって評価値情報中の評価値を重み付けし、評価結果の補正を行う(ステップST3c−3)。評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値としては、例えば上記実施の形態1と同様に評価値の数値の選択肢で管理者に評価させたものや、理解度テストの得点などの数値を用いる。
【0130】
以上のように、この実施の形態2によれば、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価を行った評価者の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価能力に応じた評価値を収集し、評価結果と関連付けて記憶部11に格納するので、作業をよく理解していない評価者による評価を排除あるいは軽視することができ、代表値への信頼度が向上すると共に、HMI上の問題点に関してより正確な情報を抽出することができる。
【0131】
また、複数の評価者を分析対象として選択することで、評価者間で評価値にばらつきがある場合に、どの評価者の値がどの程度信用できるのかを知ることができる。
【0132】
実施の形態3.
この実施の形態3によるHMI評価分析装置は、上記実施の形態1若しくは上記実施の形態2の構成と基本的に同様である。ただ、エラーの影響度を表す評価指標を含む評価指標情報を使用してHMIの危険度を分析する処理が異なる。よって、当該相違点について主に説明する。
【0133】
図18はこの発明の実施の形態3によるHMI評価分析装置が使用する評価指標情報の内容を示す図である。図に示すように、実施の形態3による評価指標情報の書式では、上記実施の形態1と同様に、例えば評価指標の「名称」に関する項目、及び、所定の数値で規定した評価値を選択させる「選択肢」に関する項目から構成される。図示の例では、評価指標「作業量」について1から10までの数値、それ以外のエラー誘発要因に関する評価指標について0から4までの数値を「選択肢」として、これらの数値の中から評価値を選択する。また、評価指標としては、「作業量」、「設備」や「要領書」などの他に、エラーの影響度を表す評価指標が含まれている。例えば、エラーの影響度を表す評価指標としては、評価者である作業者に与える影響の程度を意味する「作業者影響度係数」や、機器に与える影響の程度を意味する「機器影響度係数」などがある。以下、これらをエラーの影響度係数と称する。
【0134】
次に動作について説明する。
図19は実施の形態3によるHMI評価分析装置の分析処理を示すフロー図であり、この図に沿って本実施の形態を上記実施の形態1によるHMI評価分析装置1に適用した場合のHMI分析処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部10から作業内容情報を読み込んで、当該作業内容情報に記述された全ての作業に関する情報を一覧表とした表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に表示した「作業の名称」項目に対して、入力装置3を用いて利用者が「作業の名称」を選択することができるように構成されている。
【0135】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記表示情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1d)。ここで、利用者は、表示装置2を介して提示された上記表示情報に対して、入力装置3を用いて分析対象作業に関する「作業の名称」を選択・入力する。分析対象の作業を特定する「作業の名称」の選択情報は、入力処理部5を介してヒューマンインタフェース分析部8に送出される。
【0136】
ヒューマンインタフェース分析部8は、上記「作業の名称」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する評価値情報を取得する。(ステップST2d)。
【0137】
次に、ヒューマンインタフェース分析部8内の情報入力部12は、予め設定した評価指標に応じて、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値を、基本的な誤りやすさに関する評価値、エラー誘発要因の評価値及びエラーの影響度係数に関する評価値にそれぞれ分類する。
【0138】
さらに、情報入力部12は、上記評価値情報中のエラー誘発要因に関する各評価指標に対して、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値化した重要度を付与する。当該重要度は、エラー誘発要因に関する各評価指標の内容に応じて、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値として予め設定したものである。なお、情報入力部12が重要度を設定するのではなく、評価項目の1つとして「要因の重要度」を設けて評価者に提示し、評価者に上記重要度を設定させるようにしてもよい。
【0139】
上述のようにして、情報入力部12による処理が完了すると、当該評価値情報は、情報抽出部13に送出される。情報抽出部13では、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値から、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値、エラー誘発要因に関する評価指標に対する重要度、及び、「作業者影響度係数」や「機器影響度係数」などのエラー影響度係数の評価値をそれぞれ抽出する(ステップST3d)。このあと、情報抽出部13は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及び重要度をエラー補正因子算出部14に送出し、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値及びエラー影響度係数の評価値をヒューマンエラー危険度算出部15に送出する。
【0140】
続いて、エラー補正因子算出部14は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及びその重要度から、上記実施の形態1と同様にしてエラー補正因子を計算する(ステップST4d)。算出されたエラー補正因子は、エラー補正因子算出部14からヒューマンエラー危険度算出部15に送出される。
【0141】
ヒューマンエラー危険度算出部15では、情報抽出部13からの基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、及び、エラー補正因子算出部14からのエラー補正因子を用いて、ヒューマンエラー危険度を算出する(ステップST5d)。なお、ヒューマンエラー危険度の算出方法は、上記実施の形態1で示したような方法でも良いし、評価者がヒューマンエラー危険度を直接入力して評価値情報に保存しておき、これを適宜読み込むようにしても良い。
【0142】
このあと、ヒューマンエラー危険度算出部15は、ヒューマンエラー危険度とエラー影響度係数の評価値からエラー影響度を算出する(ステップST6d)。ここで、「エラー影響度」とは、エラーが発生した場合に、他の系(例えば装置やプラント設備の他に、人間(作業者等)も含めた概念を考える)にどの程度の影響があるかを示す指標である。そこで、このエラー影響度の算出方法として、例えばエラー影響度係数を強調するように、エラーの影響度=2エラー の影響度係数なる式を用いて求める。
【0143】
また、エラーの影響度に基づき、上記他の系に影響を及ぼす危険度として、ヒューマンエラー危険度とエラーの影響度の関数から求められる「エラー危険度」を定義する。このエラー危険度は、例えばエラー危険度=ヒューマンエラー危険度×エラーの影響度という関係式から求める。
【0144】
分析が終了すると、ヒューマンインタフェース分析部8は、当該分析結果(「ヒューマンエラー危険度」、「エラーの影響度」や「エラー危険度」など)をヒューマンエラー危険度情報として記憶部7に送出する。このあと、危険度情報表示処理部4は、記憶部7に格納された上記分析対象の作業に関する分析結果の表示情報を生成し、表示装置2に送出して表示させる(ステップST7d)。
【0145】
以上のように、この実施の形態3によれば、ヒューマンエラーが発生したときに与える影響の大きさを数値化したもの、またはその数値から計算される値を影響度係数として規定し、評価者が評価を行う指標の中に、この影響度係数が含まれるようにしておき、ヒューマンエラーの危険度と組み合わせて、ヒューマンエラーが周囲に及ぼす危険度を求めるので、ヒューマンエラーが発生する確率が低くても、ヒューマンエラーが発生したときに影響が出やすい、あるいは影響の大きい危険な設備や作業を抽出することができる。
【0146】
実施の形態4.
この実施の形態4によるHMI評価分析装置は、上記実施の形態1若しくは上記実施の形態2の構成と基本的に同様である。ただ、評価者が評価するときに評価の基準となる情報を提供する処理が異なる。よって、当該相違点について主に説明する。
【0147】
図20はこの発明の実施の形態4によるHMI評価分析装置が使用する評価指標情報の内容を示す図である。図に示すように、実施の形態4による評価指標情報は、図3(a)に示した評価指標情報の他に、評価値を選択する「評価の基準」が記述されている。
【0148】
次に動作について説明する。
図21は実施の形態4によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図であり、この図に沿って本実施の形態を上記実施の形態1に適用した場合について説明する。
先ず、実施の形態4による評価情報提示処理部6は、記憶部10から図3(b)に示すような作業内容情報を読み込んで、評価すべき作業の1ステップごとの「作業の名称」を取得する。同時に、評価情報提示処理部6は、記憶部9から図3(a)に示すような評価指標情報を読み込んで、上記1ステップごとの「作業の名称」と共に、各評価指標、その評価値の選択肢、及び、評価支援の有無に関する選択肢を提示する情報を生成する。
【0149】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記1ステップごとの「作業の名称」と各評価指標、その評価値の選択肢、及び、評価支援の有無に関する選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1)。ここまでの動作は、上記実施の形態1と同様である。
【0150】
評価者は、表示装置2を介して提示された評価支援の有無に関する選択肢に対して、入力装置3を用いて評価支援を求めるか否かを選択・入力する(ステップST1e−1)。このとき、評価支援を求める場合、評価情報提示処理部6は、上述した図3(a)に示すような評価指標情報の代わりに、図20に示すような「評価の基準」項目を加えた評価指標情報を記憶部9から読み込んで表示装置2に表示させる(ステップST1e−2)。これにより、評価者は、「評価の基準」項目に記述された情報を参照しながら、入力装置3を用いて評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力することとなる(ステップST2)。
【0151】
一方、評価支援を求めない場合、上記実施の形態1と同様に図3(a)に示す評価指標情報を参照しながら、評価者は、表示装置2を介して提示された上記1ステップごとの「作業の名称」に対して、入力装置3を用いて評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力する(ステップST2)。
【0152】
入力された評価値の選択情報は、入力処理部5に送出される。入力処理部5では、上記評価値の選択情報、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標を、不図示のRAMなどに一時記憶する。ここで、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標は、評価者ごとに分類して記憶する。
【0153】
続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から読み込んだ作業内容情報を参照して、上述のようにして評価者からの評価を受けた作業が、評価すべき作業の最後の工程に対応するものであるか否かを判定する(ステップST3)。このとき、最後の工程に対応する作業でなければ、ステップST1からの処理に戻る。つまり、評価情報提示処理部6は、当該作業の次のステップの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる。このあとの評価工程は、上述した内容と同一である。
【0154】
一方、ステップST3において、最後の工程に対応する作業であると判定すると、評価情報提示処理部6は、評価すべき作業を全て評価し終えたと判断し、RAMなどに一時記憶しておいた、各ステップごとの「作業の名称」とその各評価指標に対する評価値からなる評価結果を読み出す。続いて、評価情報提示処理部6は、評価者ごとの上記評価結果を用いて、図3(c)に示すような評価値情報を生成して記憶部11に格納する(ステップST4)。このあと、評価情報提示処理部6は、上記評価すべき作業の評価結果を記憶部11に格納すると、当該評価処理を終了する。
【0155】
以上のように、この実施の形態4によれば、評価基準を表示して評価支援を行うので、評価者は、評価値の与え方に関して専門的な知識を持っていなくても評価することができる。また、共通の基準を与えることにより、評価者の主観による評価値のばらつきを抑えることができる。
【0156】
実施の形態5.
図22はこの発明の実施の形態5によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。図において、1Aは上記実施の形態1若しくは上記実施の形態2によるHMI評価分析装置を構成するサーバコンピュータであって、ヒューマンエラー危険度情報を格納する記憶部7、ヒューマンインタフェース分析部8、評価指標情報を格納する記憶部9、作業内容情報を格納する記憶部10及び評価値情報を格納する記憶部11、若しくは、評価者情報を格納する記憶部28を有する。また、サーバコンピュータ1A内の危険度情報表示処理部4、入力処理部5及び評価情報提示処理部6は、ネットワーク(電気通信回線)32を介してクライアントコンピュータ31と情報の送受信を行う。
【0157】
30はネットワーク32に接続する管理者用のクライアントコンピュータ、即ち作業責任者や生産現場の品質管理部門担当者などが利用するコンピュータであって、ネットワーク32を介してサーバコンピュータ1A内の評価指標情報、作業内容情報や評価者情報を設定・変更する。31はネットワーク32に接続する評価者用のクライアントコンピュータ、即ち実際に作業を行う作業者などで作業を評価する作業者が利用するコンピュータで、ネットワーク32を介して図1や図12に示す表示装置2及び入力装置3として機能する構成部を有する。なお、ネットワークの形態としては、インターネットであっても専用線であってもよく、それらが混在していてもよい。
【0158】
次に動作について説明する。
ここでは、説明の簡単のため上記実施の形態1に本実施の形態を適用した場合を考える。最初に評価処理について説明する。
先ず、サーバコンピュータ1A内の評価情報提示処理部6は、記憶部10から図3(b)に示すような作業内容情報を読み込んで、評価すべき作業の1ステップごとの「作業の名称」を取得する。同時に、評価情報提示処理部6は、記憶部9から図3(a)に示すような評価指標情報を読み込んで、上記1ステップごとの「作業の名称」と共に、各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を生成する。
【0159】
このあと、ネットワーク32を介して、評価情報提示処理部6は、上記1ステップごとの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報をクライアントコンピュータ31に送出し表示させる。このとき、ネットワーク32を介してサーバコンピュータ1Aと情報の送受が可能な複数のクライアントコンピュータ31の表示装置に上記情報を同時に表示して複数の評価者による評価を実行する。
【0160】
評価者は、クライアントコンピュータ31を介して提示された上記1ステップごとの「作業の名称」に対して、評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力する。入力された評価値の選択情報は、ネットワーク32を介して入力処理部5に送出される。入力処理部5では、上記評価値の選択情報、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標を、不図示のRAMなどに一時記憶する。ここで、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標は、評価者ごとに分類して記憶する。
【0161】
続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から読み込んだ作業内容情報を参照して、上述のようにして評価者からの評価を受けた作業が、評価すべき作業の最後の工程に対応するものであるか否かを判定する。このとき、最後の工程に対応する作業でなければ、当該作業の次のステップの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を、ネットワーク32を介してクライアントコンピュータ31に送出し表示させる。このあとの評価工程は、上述した内容と同一である。
【0162】
一方、最後の工程に対応する作業であると判定すると、評価情報提示処理部6は、評価すべき作業を全て評価し終えたと判断し、RAMなどに一時記憶しておいた、各ステップごとの「作業の名称」とその各評価指標に対する評価値からなる評価結果を読み出す。
【0163】
続いて、評価情報提示処理部6は、評価者ごとの上記評価結果を用いて、図3(c)に示すような評価値情報を生成して記憶部11に格納する。このあと、評価情報提示処理部6は、上記評価すべき作業の評価結果を記憶部11に格納すると、当該評価処理を終了する。
【0164】
次にヒューマンインタフェース分析処理について説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部10から作業内容情報を読み込んで、当該作業内容情報に記述された全ての作業に関する情報を一覧表とした表示情報を生成する。このあと、評価情報提示処理部6は、ネットワーク32を介して上記表示情報をクライアントコンピュータ31に送出し表示させる。ここで、利用者は、クライアントコンピュータ31を介して提示された上記表示情報に対して、分析対象作業に関する「作業の名称」を選択・入力する。分析対象の作業を特定する「作業の名称」の選択情報は、入力処理部5を介してヒューマンインタフェース分析部8に送出される。
【0165】
ヒューマンインタフェース分析部8は、上記「作業の名称」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する評価値情報を取得する。続いて、ヒューマンインタフェース分析部8は、上記評価値情報の内容を分析して当該作業におけるヒューマンエラーの危険度を計算する。
【0166】
分析が終了すると、ヒューマンインタフェース分析部8は、当該分析結果をヒューマンエラー危険度情報として記憶部7に送出する。このあと、危険度情報表示処理部4は、記憶部7に格納された上記分析対象の作業に関する分析結果の表示情報を生成し、ネットワーク32を介してクライアントコンピュータ31に送出して表示させる。
【0167】
また、管理者用のクライアントコンピュータ30とサーバコンピュータ1A内の危険度情報表示処理部4、入力処理部5及び評価情報提示処理部6とは、ネットワーク32を介して情報の送受が可能である。これによって、サーバコンピュータ1Aに格納される評価指標情報、作業内容情報や評価者情報などは、管理者用のクライアントコンピュータ30によってネットワーク32を介して適宜変更される。さらに、サーバコンピュータ1Aからヒューマンエラー危険度情報をクライアントコンピュータ30に提示することも可能である。
【0168】
以上のように、この実施の形態5によれば、評価指標情報や作業内容情報などの情報の格納とヒューマンインタフェースの分析処理を実行するサーバコンピュータ1Aと、上記情報の変更や更新を管理する管理者用クライアントコンピュータ30や、評価処理や分析要求を行う評価者が管理するクライアントコンピュータ31を、ネットワーク32で接続して1つのHMI評価分析装置として構成したので、作業内容情報や評価結果の情報を共有して、複数の評価者が同時に遠隔からでも評価することができる。このため、より多くの評価者による評価が可能になる。
【0169】
また、評価者が評価した結果を収集してサーバコンピュータ1Aにまとめて格納することによって、同じ作業内容を複数の評価者が評価した結果を容易に比較することができる。つまり、複数の評価者による評価結果を比較することで、これらの間の評価結果のばらつきを見ることができる。また、評価者が増えたときにも再評価が容易にできる。
【0170】
さらに、複数の評価者のそれぞれにも分析結果を表示することによって、自身の危険に関して認識するだけでなく、他の評価者の評価分析結果と比較することによって、新たな危険を認識する「気づき」の効果がある。これは、KYT(危険予知訓練)のツールとしても有効である。このように作業環境の定量的評価を行い、分析を実施して、不備な点を抽出することにより、HMIの具体的な修正を喚起することができる。
【0171】
実施の形態6.
この実施の形態6によるHMI評価分析装置は、上記実施の形態2の構成と基本的に同様である。ただ、任意の評価者が他の評価者と有意に異なる評価を行った場合、当該評価結果を表示する処理が異なる。よって、当該相違点について主に説明する。
【0172】
次に動作について説明する。
図23はこの発明の実施の形態6によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図であり、図中のステップST3fは図16中のC−D間におけるステップST3cに対応するものである。よって、本実施の形態6によるHMI評価分析装置の評価処理では、図16中のC−D間におけるステップST3cの代わりに、図23中のステップST3fを実行するものである。
【0173】
先ず、ステップST1cからステップST2cまでの処理は、上記実施の形態2と同様であり、重複する説明を省略する。続いて、ヒューマンインタフェース分析部8a内の評価値情報補正部29は、上記「作業の名称」の選択情報及び上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する上記分析対象評価者の評価値情報を取得する(ステップST3f−1)。
【0174】
さらに、評価値情報補正部29は、上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部28を検索し、当該評価者の評価者情報を取得する(ステップST3f−2)。このあと、評価値情報補正部29は、評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値によって評価値情報中の評価値を重み付けし、評価結果の補正を行う(ステップST3f−3)。評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値としては、例えば上記実施の形態2と同様に評価値の数値の選択肢で管理者に評価させたものや、理解度テストの得点などの数値を用いる。
【0175】
続いて、評価値情報補正部29は、記憶部11から上記「作業の名称」で特定される作業に関する各評価者の評価値情報を取得し、各評価者の評価値情報における評価結果と、ステップST3f−3において評価者情報によって補正した評価結果である代表値とを比較して、有意に異なる評価値が存在するか否かを判定する(ステップST3f−4)。
【0176】
ここで、ステップST3f−4における判定処理の具体例を説明する。
先ず、複数の評価者による同一評価指標に対する評価結果が正規分布に基づくと仮定して、複数の評価者による同一評価指標に対する評価値の平均値及び分散からその正規分布を求める。当該正規分布の棄却域に属する評価値を「他の評価者とは有意に異なる評価値」であると判定する。この棄却域としては、片側検定を実施する場合、例えば上記正規分布の上側5%や3%を設定する。この棄却域の値自体は、任意に設定することができる。
【0177】
また、正規分布の棄却域の選び方としては、上側がより危険な評価になると推測される評価対象である場合は、上側を棄却域とする。反対に、下側がより危険な評価になると推測される評価対象である場合は下側を棄却域とする。但し、一般的には、上側、下側を棄却域とする両側検定を採用する場合が多い。また、これらの方法のいずれを採用しても良く、評価対象に応じて任意に選択することも可能である。
【0178】
ステップST3f−4において、代表値と有意に異なる評価値が存在した場合、当該評価値を選択した評価者による評価結果を抽出し、当該評価結果及び/又は評価者を提示する表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に送出され表示される(ステップST3f−5)。
【0179】
このようにすることによって、当該作業の管理者は、上記表示情報に基づいて信頼度の高い評価者が有意に異なる評価を行った場合は、他の評価者が気づいていない危険を抽出することができる。一方、信頼度の低い評価者が有意に異なる評価を行った場合は、作業をよく理解しておらず、再教育が必要な作業者の判断材料として用いることができる。
【0180】
また、上述した説明では、代表値と有意に異なる評価値の存在の有無を判定したが、上記実施の形態1の構成に本実施の形態6を適用したような場合では、複数の評価者による各評価結果をそれぞれ比較して、有意に他の評価者と異なる評価値が存在するか否かを判定するようにしてもよい。
【0181】
次に、ステップST3f−5における表示処理について詳細に説明する。
図24は実施の形態6によるHMI評価分析装置が生成する表示データを示す図である。図において、2Eは評価値情報の表示画面であって、図23中のステップST3f−3において代表値を含む評価値情報を表示する。16は作業名表示欄で、表示すべき作業の「作業名」を表示する。33は評価指標選択表示欄であって、対象とする評価指標を選択できるような形式のコントロールであればよい。
【0182】
この評価指標選択表示欄33によって、利用者(管理者)は、参照する評価指標を選択する。34は評価値リスト欄で、作業番号とこれにより特定される作業内容、評価者及びその評価値、並びに、図23中のステップST3f−3において求めた代表値を表示する。なお、図10と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0183】
利用者である管理者に入力装置3を用いて評価指標が選択されると、その評価指標について他の評価者とは有意に異なる評価値を与えた評価者のリストが評価値リスト欄34に表示される。この評価値リスト欄34では、入力装置3を用いてリスト中の作業を選択することができるよう構成されている。具体的には、上記リスト上で作業を選択したうえで、作業参照ボタン23を押下すると、作業内容情報を参照し、その作業を記述した要領書のコピーや作業現場の写真などが表示される。また、閉じるボタン24を押下すると、この作業内容情報の詳細画面の表示を終了する。
【0184】
以上のように、この実施の形態6によれば、他の評価者あるいは代表値と有意に異なる評価値及びそれを選択した評価者を抽出しその一覧を表示するので、管理者が特異な評価を行った評価者を把握することができる。この場合、有意に異なる評価を与えた評価者は、作業をよく理解していないか、他の評価者が注目していない危険に気付いていると考えられる。
【0185】
なお、上記実施の形態1から6までにおいて、表示装置2に表示された評価指標情報や作業内容情報に対して評価値を入力するにあたり、評価者などが評価値に対応する数値を直接入力しなくとも、感覚的に当該数値を設定できるように構成しても良い。例えば、各評価指標について予め設定した数値をスライダによって選択するGUIを提供する。入力処理部5では、当該スライダによって選択された表示画面上の位置情報と評価値が関連付けて設定されており、当該位置情報を評価値に変換して記憶部11に格納する。これにより、評価者は、直接数値を入力しなくとも、入力装置3であるマウスなどを利用してスライダを移動させ、表示装置2に表示させた数値を選択するだけで評価値を設定することができる。
【0186】
また、この他にも、入力装置3であるキーボード内の特定の複数のキーに予め評価値を対応させておく。これにより、評価者が、当該特定のキーを押下することで、直接数値を入力しなくとも評価値を設定することができる。このように、本発明には、上述した構成以外にも、評価者などが評価値に対応する数値を直接入力しなくとも感覚的に当該数値を設定できるインタフェースを提供する既存の技術を適宜適用することができる。
【0187】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて格納する記憶部と、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示すると共に、複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部に格納する情報収集部と、分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じて上記ヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に重み付けを加えてなるヒューマンエラー危険度を算出する分析部とを備えるので、ヒューマンエラーを誘発する要因についての高度な知識を必要とせず、各評価者の恣意的な評価を除くことができると共に、ヒューマンエラーに対する寄与度が高い分析結果をより管理者に認識させることができ、HMI上の問題点に対する管理者の認知度を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。
【図2】図1中のヒューマンインタフェース分析部の構成を示す図である。
【図3】実施の形態1によるHMI評価分析装置が格納する情報を示す図である。
【図4】実施の形態1によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図である。
【図5】評価値情報の構成を概略的に説明する図である。
【図6】図1中の記憶部に格納した評価値情報の内容を示す図である。
【図7】実施の形態1のHMI評価分析装置による分析処理を示すフロー図である。
【図8】図7中の分析処理の詳細を示すフロー図である。
【図9】実施の形態1のHMI評価分析装置による分析処理に使用される情報内容を示す図である。
【図10】図1中の危険度情報表示処理部が生成する表示データを示す図である。
【図11】図1中の危険度情報表示処理部が生成する他の表示データを示す図である。
【図12】この発明の実施の形態2によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。
【図13】図12中のヒューマンインタフェース分析部の構成を示す図である。
【図14】図12中の記憶部に格納される評価者情報の構成を示す図である。
【図15】実施の形態2によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図である。
【図16】実施の形態2によるHMI評価分析装置の分析処理を示すフロー図である。
【図17】図16中の代表値算出処理の詳細を示すフロー図である。
【図18】この発明の実施の形態3によるHMI評価分析装置が使用する評価指標情報の内容を示す図である。
【図19】実施の形態3によるHMI評価分析装置の分析処理を示すフロー図である。
【図20】この発明の実施の形態4によるHMI評価分析装置が使用する評価指標情報の内容を示す図である。
【図21】実施の形態4によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図である。
【図22】この発明の実施の形態5によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。
【図23】この発明の実施の形態6によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図である。
【図24】実施の形態6によるHMI評価分析装置が生成する表示データを示す図である。
【図25】従来のHMI評価分析システムの構成を示す図である。
【図26】従来のヒューマンエラー分析評価方法に使用される分析評価表を示す図である。
【符号の説明】
1,1a HMI評価分析装置、1A サーバコンピュータ、2 表示装置、2A 評価指標リスト画面、2B 分析結果の表示画面、2C グラフ表示画面、2D 分析結果の一覧表示画面、2E 評価値情報の表示画面、3 入力装置、4 危険度情報表示処理部、5 入力処理部(情報収集部)、6 評価情報提示処理部(情報収集部)、7,9,10,11,28 記憶部、8,8a ヒューマンインタフェース分析部(分析部)、11a 評価結果、12 情報入力部、13 情報抽出部、14 エラー補正因子算出部、15 ヒューマンエラー危険度算出部、16 作業名表示欄、17 評価指標リスト欄、18 中止ボタン、19 結果表示ボタン、20 評価指標名表示欄、21 評価結果グラフ表示欄、22 作業選択ボタン、23 作業参照ボタン、24 閉じるボタン、25評価結果グラフ表示欄、26 グラフ線表示欄、27 分析結果一覧、29 評価値情報補正部、30,31 クライアントコンピュータ、32 ネットワーク(電気通信回線)、33 評価指標選択表示欄、34 評価値リスト欄。
【発明の属する技術分野】
この発明は作業者と作業設備の接点部分であるヒューマンマシンインタフェース(以下、HMIと略す)における人為的な誤りであるヒューマンエラーの起こりやすさを分析するHMI評価分析装置及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のHMI評価分析では、モックアップを用いた被験者実験や計算機シミュレーションを利用して被験者実験を模擬して、作業状況を観察、分析していた。この計算機を利用するHMI評価分析システムとしては、例えば特開平6−282218号公報に開示されるものがある。
【0003】
図25は上述した特開平6−282218号公報に開示される従来のHMI評価分析システムの構成を示す図である。このHMI評価分析システムは、プラント設備の異常状態に対して運転員の振舞いを模擬してマンマシンシステム(以下、MMSと略す)を評価し、当該評価結果により設計内容の具体的な修正を喚起するものである。図において、101は状況シナリオ解析器であって、マンマシンインタフェース(以下、MMIと略す)運転情報ファイル102から運転手順の模擬情報を読み込み、実施すべき事故シミュレーションのストーリーを示す運転シナリオを解析して個々の運転タスクに分解する。
【0004】
102はMMI運転情報ファイルで、MMI運転情報解析器116が生成した運転手順の模擬情報を計算機が処理し易い形態で記述したものである。103は外乱事象シミュレーション条件発生器であって、入力条件ゲート回路108を介して所定プラントの挙動を模擬するための諸条件をプラントシミュレータ107に設定する。104はインタフェースシステムエラー要因分析器で、状況シナリオ解析器101からの運転タスク情報に応じて所定プラントの模擬を認知行動推論システム105及びインタフェース情報発生器106に指示することによってシステム全体を制御する。
【0005】
105は認知行動推論システムであって、各運転手順の模擬情報と状況シナリオ解析器101からの運転シナリオに基づいて運転員の行動を模擬し、その結果を示す行動模擬情報によりMMSを運転する。106はインタフェース情報発生器で、プラントシミュレータ107が模擬したプラントの状態データに基づいて実際のプラントのMMSからの出力を模擬する。107はプラントシミュレータであって、所定プラントの挙動を模擬する。108は入力条件ゲート回路で、プラントシミュレータ107に対する入力条件を運転タスクごとに制御する。
【0006】
109はヒューマンエラー要因推論用知識データベースであって、運転員の行動模擬情報とMMI設備情報によってヒューマンエラー要因を推論するために必要なデータを格納する。110は潜在的エラー要因リストで、認知行動推論システム105からの運転員の行動模擬情報に含まれる潜在的エラー要因で構成される。111はアクションモード分析表であって、認知行動推論システム105が模擬した個々の運転タスクの実行過程を監視して当該運転員が現在実施している行動内容を分析して結果を蓄積する。
【0007】
112は定量的信頼性評価器で、人間信頼性データベース113及びMMS機器信頼性データベース114に基づいて潜在的エラー要因リスト110に抽出された個々の行動に対するヒューマンエラー発生確率やプラント設備の定量的な事故発生確率を検索する。また、定量的信頼性評価器112は、総合的に操作が完了するまでのプロセスの成功率を定量的に導出し、MMIに対する最終分析評価として定量的信頼性評価リスト115を出力する。113は人間信頼性データベースであって、ヒューマンエラー発生確率が記述される。
【0008】
114はMMS機器信頼性データベースで、評価対象となるMMSで使用されるマンマシン機器及びプラント設備の故障発生確率をデータベース化したものに相当する。115は定量的信頼性評価リストであって、MMIに対する最終分析評価値から構成される。116はMMI運転情報解析器で、MMI運転情報入力データ117を解析して事故発生時の運転員の各種運転手順の模擬情報を生成する。117はMMI運転情報入力データであって、事故を規定する外乱事象セット、タスク変遷図、階層的タスク分析図及び運転員構成図などによって事故発生時の運転員の標準的運転手順を記述したものである。
【0009】
次に動作について説明する。
先ず、状況シナリオ解析器101は、MMI運転情報解析器116によってMMI運転情報入力データ117をデータベース化したMMI運転情報ファイル102を読み込んで、事故シミュレーションとして実行すべき運転タスクを数個のフェーズに分解する。これにより、運転タスクごとに運転信頼性を確認できるようにする。また、状況シナリオ解析器101は、上記運転タスクの内容に従って外乱事象などの初期条件を指示する。
【0010】
この外乱事象などの初期条件に応じて、外乱事象シミュレーション条件発生器103は、各運転タスクごとに初期データ及び事故事象設定データを生成し、入力条件ゲート回路108を介してプラントシミュレータ107に出力する。プラントシミュレータ107では、上記入力条件に応じてプラントの挙動を模擬し、プラント挙動状態を示すプロセスパラメータ値及び機器動作状況データをインタフェース情報発生器106に出力する。
【0011】
インタフェース情報発生器106は、プラントシミュレータ107からのプロセスパラメータ値及び機器動作状況データに基づいて、実際のプラントのMMI機器における表示を仮想的に出力する。認知行動推論システム105では、上記仮想表示出力及び所定の行動モデルに基づいて運転員と同様の運転タスクを実行する。このとき、認知行動推論システム105は、運転員の行動模擬情報をインタフェースシステムエラー要因分析器104に出力する。
【0012】
インタフェースシステムエラー要因分析器104では、ヒューマンエラー要因推論用知識データベース109に基づいて、インタフェース情報発生器106の設備情報から上記行動模擬情報に含まれる潜在的エラー要因を抽出し、これとその対策案を示す内部情報である潜在的エラー要因リスト110を作成する。さらに、インタフェースシステムエラー要因分析器104は、潜在的エラー要因リスト110に対応する実行過程を監視して、運転員が現在実施している行動内容を分析し、その定性的分析結果としてアクションモード分析表111を出力する。以上の動作により、定性的な分析評価が実施される。
【0013】
定量的な分析評価としては、定量的信頼性評価器112が、インタフェースシステムエラー要因分析器104を介して認知行動推論システム105からの運転員の行動タスク詳細シーケンスと、潜在的エラー要因リスト110とに基づいて、人間信頼性データベース113から検索した運転員の行動に対するヒューマンエラー発生確率を導出する。
【0014】
さらに、定量的信頼性評価器112は、上記ヒューマンエラー発生確率と、上記行動タスク詳細シーケンスで使用された機器情報に基づいてMMS機器信頼性データベース114を照合して得た各種機器の故障発生確率とから、運転タスクの定量的信頼性評価リスト115を導出する。
【0015】
また、上述した他のヒューマンエラー分析評価方法として、例えば特開平11−353301号公報に開示されるものがある。
図26は特開平11−353301号公報に開示される従来のヒューマンエラー分析評価方法に使用される分析評価表を示す図である。図に示すように、この分析評価方法では、ヒューマンエラーを引き起こす要因として、「本人」、「ハードウエア」、「ソフトウエア」、「環境」、周囲の「人」及び「管理」をそれぞれ項目として規定している。
【0016】
具体的には、項目「本人」について、能力、慣れ、心理的及び精神的状況、身体的状況が規定される。また、「ハードウエア」については、MMI、機器の設計、機器の配管の配置が規定される。「ソフトウエア」については、情報、マニアルや標準、教育や訓練資料が規定される。「環境」としては、作業、温湿度、照明、騒音、作業物性が規定される。周囲の「人」については、コミュニケーション、チームワークが規定される。「管理」としては、組織や管理体制、職場の雰囲気作り、品質意識の醸成が規定され、全てのヒューマンエラーの要因が漏れなく網羅される。
【0017】
これに対するヒューマンエラーの防止策として、作業の「排除」、物理的な「制限」、「認知負担軽減」、「身体負担軽減」、「検知」及び「影響緩和」をそれぞれ項目として規定しておく。「排除」という第1の壁で防止できないエラー要因に対しては、「制限」という第2の壁で防止し、それでも困難な場合には順次いずれかの壁で防止するようにしている。
【0018】
上述したように、分析評価表は、黒枠の太線内の(B)を付した「エラーを引き起こす要因」と、(C)を付した(1)〜(6)の「防止策」が予め記入されており、あらゆる分野のヒューマンエラーの分析に共通に使用される。この分析評価表を用いてヒューマンエラーを分析し、防止策を立案する場合には、先ずエラー発生の状況、経緯を時系列的に整理してエラーモードを抽出し、(A)欄に記入する。
【0019】
次に、(A)欄に記入されたエラーモードに対して、(B)欄のB−1〜B−6の各欄の要因の1つ1つがエラーの発生の要因になっていないかを順次チェックする。このとき、エラー発生の要因となっていれば、(A)欄の該当項目に丸印とその番号を付し、全てのエラー要因を漏れなく抽出する。続いて、丸印を付して抽出したB−1〜B−6の各エラー要因に対し、その直下の(C)欄の(1)〜(6)の各防止策を(1)から順に防止策となり得るか否かを検討する。このとき、防止策としてふさわしい場合には更に詳細な内容を記入し、防止策を立案してゆく。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
従来のHMI評価分析システムは以上のように構成されているので、モックアップの作成やシミュレーションを実施するのに必要な手順データや設計データの作成など、評価前に用意すべき事項が非常に多く、実際の現場での利用には適していないという課題があった。
【0021】
具体的に説明すると、特開平6−282218号公報に開示されるようなHMI評価分析システムでは、被験者実験を計算機シミュレーションによって模擬するにあたり、例えば事故を規定する外乱事象セット、タスク変遷図、階層的タスク分析図及び運転員構成図などによって事故発生時の運転員の標準的運転手順を記述したデータ(MMI運転情報入力データ117)を用意しておく必要がある。このようなデータは、運転員の構成から当該運転員が操作するプラント設備についての専門的な知識を有するものでなければ作成することができない。
【0022】
また、運用中のシステムを改善する場合、ヒューマンエラーの発生確率やエラー発生による影響が大きい順に防止策を施して改善してゆくのが効率的である。しかしながら、特開平11−353301号公報に開示されるような分析評価表を用いる方法では、ヒューマンエラーの発生確率やエラー発生による影響が大きさに応じてヒューマンエラーの防止策の優先順位を決定することが困難である。
【0023】
つまり、当該分析評価表では、どのエラー発生要因がよりエラーを起こしやすいのかという定量的な判断ができない。このため、ヒューマンエラーの発生確率やエラー発生による影響が大きさの指標を設定することができず、防止策の優先順位を決定することが困難となる。
【0024】
さらに、上述したいずれの従来例も、大量の評価者による評価データを収集するものでなく、他の評価者との比較による新たな危険認知の効果や作業理解度の把握などの効果を得ることができない。
【0025】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、現場作業における各作業工程に対して共通した評価指標を規定し、さらに当該評価指標について簡単な評価点の選択肢を予め設定しておき、当該選択肢中から評価値を評価者に選択させることで、ヒューマンエラーを誘発する要因についての高度な知識を必要とせず、各評価者の恣意的な評価を除くことができるHMI評価分析装置及びプログラムを得ることを目的とする。
【0026】
また、この発明は、エラー誘発要因に関する各評価指標にヒューマンエラーに対する寄与度を表す重要度を付与し、この重要度を利用してヒューマンエラーに対する寄与度が分析結果をより強調することで、ヒューマンエラーに対する寄与度が高い分析結果をより管理者に認識させることができ、HMI上の問題点に対する管理者の認知度を向上させることができるHMI評価分析装置及びプログラムを得ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るHMI評価分析装置は、評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて格納する記憶部と、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示すると共に、複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部に格納する情報収集部と、分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じた重み付けをヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に加える分析部とを備えるものである。
【0028】
この発明に係るHMI評価分析装置は、情報収集部が、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価を行った評価者の評価能力に関する評価指標の評価結果を収集し、評価結果と関連付けて記憶部に格納するものである。
【0029】
この発明に係るHMI評価分析装置は、情報収集部が、ヒューマンエラーが発生した場合における影響の度合いを評価指標として提示し、分析部が、当該評価指標の評価結果に応じた重み付けを分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に加えるものである。
【0030】
この発明に係るHMI評価分析装置は、情報収集部が、各評価点候補ごとにヒューマンエラー要因に関する評価の基準となる評価基準情報を付与し、当該評価基準情報と共に評価点候補を評価者に提示するものである。
【0031】
この発明に係るHMI評価分析装置は、情報収集部が、電気通信回線を介して評価者が管理するコンピュータ装置と情報を送受するものである。
【0032】
この発明に係るHMI評価分析装置は、分析部が、複数の評価者による同一評価指標に対する評価結果のうち他の評価者と有意に異なる評価値が存在する否かを判定し、有意に異なる評価値を与えた評価者を作業の管理者側に通知するものである。
【0033】
この発明に係るプログラムは、評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて格納する記憶部、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示すると共に、複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部に格納する情報収集部、分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じた重み付けをヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に加える分析部としてコンピュータを機能させるものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。図において、1は実施の形態1によるHMI評価分析装置であって、後述する構成部を具現化するプログラムを実行するコンピュータ装置によって構成される。2は評価者に提示すべき情報を表示する表示装置で、危険度情報表示処理部4や評価情報提示処理部6からの情報を適宜表示するCRTやLCDなどにより構成される。また、図示の例では、表示装置2はHMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に搭載されているが、電気通信回線を介してHMI評価分析装置1と情報の送受が可能な他のコンピュータ装置の表示装置であってもよい。
【0035】
3は評価者が装置1に設定すべき情報を入力する入力装置であって、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に搭載されているマウスやキーボードなどが考えられる。また、この入力装置3も、電気通信回線を介してHMI評価分析装置1と情報の送受が可能な他のコンピュータ装置に標準的に搭載されたものであってもよい。4は危険度情報表示処理部で、ヒューマンエラー危険度情報を表示装置2で表示可能な形態で、且つ所定の書式の表示情報に変換し表示装置2に表示させる。
【0036】
5は入力処理部(情報収集部)であって、表示装置2に表示された評価指標情報や作業内容情報に対する入力情報を評価値情報に変換して記憶部11に格納する。6は評価情報提示処理部(情報収集部)で、評価指標情報や作業内容情報を表示装置2で表示可能な形態で、且つ所定の書式の表示情報に変換し表示装置2に表示させる。なお、危険度情報表示処理部4、入力処理部5及び評価情報提示処理部6は、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に実行されるプログラムより具現化される。
【0037】
7はヒューマンエラー危険度情報を格納する記憶部であって、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置やCD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。また、ヒューマンエラー危険度情報とは、どの作業対象に対してどの作業者が作業してもヒューマンエラーの起こりやすさに関する基準が同じである要因に対する評価値(基本的な誤りやすさに関する指標値)と、作業対象や作業者によってヒューマンエラーの起こりやすさが異なる要因に対する評価値(基本的な誤りやすさ以外に関する指標値)を用いて、ヒューマンエラーが発生する危険度を指標化した情報である。
【0038】
8はヒューマンインタフェース分析部(分析部)で、評価値情報から抽出した評価結果を分析して、各作業内容に対するヒューマンエラーの起こりやすさを定量的に示す危険度を求める。また、ヒューマンインタフェース分析部8は、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に実行されるプログラムより具現化される。
【0039】
9は評価指標情報を格納する記憶部であって、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置や、CD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。10は作業内容情報を格納する記憶部で、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置や、CD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。11は評価値情報を格納する記憶部であって、HMI評価分析装置1を構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置や、CD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。
【0040】
図2は図1中のヒューマンインタフェース分析部の構成を示す図である。図において、12は情報入力部であって、記憶部11から評価値情報としてまとめられた評価指標情報及び作業内容情報の各評価結果を読み込む。13は情報抽出部で、情報入力部12が読み込んだ評価指標情報及び作業内容情報の各評価結果から基本的な誤りやすさに関する指標値、エラー誘発要因の評価値及び要因の重要度を抽出する。14はエラー補正因子算出部であって、情報抽出部13が抽出したエラー誘発要因の評価値及び要因の重要度を用いてエラー補正因子を算出する。15はヒューマンエラー危険度算出部で、基本的な誤りやすさに関する指標値及びエラー補正因子の値を用いてヒューマンエラー危険度を算出する。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
図3は実施の形態1によるHMI評価分析装置が格納する情報を示す図であり、(a)は図1中の評価指標情報の内容、(b)は図1中の作業内容情報の内容、(c)は図1中の評価値情報の内容を示している。(a)に示す評価指標情報の書式は、例えば評価指標の「名称」に関する項目、及び、所定の数値で規定した評価値を選択させる「選択肢」に関する項目から構成される。また、評価指標としては、「作業量」、「設備」、「要領書」、「環境」、「負担」、「ストレス」及び「連携」などが挙げられる。当該書式にて評価指標情報は、表示装置2を介して評価者に提示される。
【0042】
このように、本発明の評価指標情報は、「作業量」、「設備」、「要領書」や「環境」などに対応する評価対象の作業環境に関する評価指標のみならず、「負担」、「ストレス」や「連携」などの作業者に関する評価指標をも評価項目として有している。また、各評価指標には、基本的な誤りやすさに関する指標とした「作業量」については1から10までの数値、基本的な誤りやすさ以外に関する指標となる他の評価指標については0から4までの数値が予め設定されている。評価者は、各評価指標に規定された数値(評価点候補)の中から適当な数値を選択することで、各評価指標についての定量的な評価を行うことができる。
【0043】
また、(b)に示す作業内容情報の書式は、例えば「作業の名称」、「作業対象」、「作業内容」、「要領書のハードコピー」、及び「作業現場の写真」に関する項目から構成される。当該書式にて作業内容情報は、表示装置2を介して評価者に提示される。
【0044】
本発明では、HMIが評価すべき作業を、その作業工程に応じたステップごとに分割して内容を詳細に評価者に提示するよう構成している。例えば、評価者が理解しやすいように、「作業対象」、「要領書のハードコピー」、及び「作業現場の写真」などは、これらに該当する写真の画像データやPDFファイルなどを表示画面上に表示する。
【0045】
評価者は、HMI評価分析装置1側から作業内容情報として示される1ステップごとの作業(作業の名称)に対して、(a)に示す評価指標情報中の評価指標についての評価を実行する。
【0046】
(c)に示す評価値情報の書式は、例えば「作業の名称」、「各評価者による評価値」、及び「代表値」に関する項目から構成される。具体的に説明すると、例えば「作業の名称」項目には、評価されるべき1ステップごとの作業(作業の名称)が入力され、「各評価者による評価値」項目に、(a)に示す評価指標情報中の1つの評価指標についての評価者ごとの評価値が評価結果として入力される。そして、「代表値」項目には、当該評価されるべき1ステップごとの作業に対する複数の評価者による代表値(複数の評価者による評価値の平均値など)が評価結果として入力される。
【0047】
なお、評価値情報としてまとめられる評価結果としては、評価指標情報中の評価指標に対する評価値の他に、これらから求めたHMIに対するヒューマンエラーの起こりやすさに関する危険度、作業者に応じたエラーの起こりやすさに関する危険度、評価対象の設備に用いた機器に対するヒューマンエラーの起こりやすさに関する危険度なども含むものとする。
【0048】
次に動作について説明する。
図4は実施の形態1によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図であり、この図に沿ってHMI評価分析装置1による評価処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部10から図3(b)に示すような作業内容情報を読み込んで、評価すべき作業の1ステップごとの「作業の名称」を取得する。同時に、評価情報提示処理部6は、記憶部9から図3(a)に示すような評価指標情報を読み込んで、上記1ステップごとの「作業の名称」と共に、各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を生成する。当該情報は、表示装置2に表示した評価指標の選択肢項目に対して、入力装置3を用いて評価者が評価値を選択することができるように構成されている。
【0049】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記1ステップごとの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1)。ここで、上記情報を提示すべき評価者は、1人に限らない。つまり、電気通信回線を介してHMI評価分析装置1と情報の送受が可能な、他の評価者が管理する複数のコンピュータ装置の表示装置に上記情報を同時に表示して複数の評価者による評価を実行する。このとき、評価情報提示処理部6は、個々の評価者を識別するためのID情報を求めるように構成しておく。このID情報を参照することで、評価情報提示処理部6は、評価者ごとに評価結果を処理する。
【0050】
評価者は、表示装置2を介して提示された上記1ステップごとの「作業の名称」に対して、入力装置3を用いて評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力する(ステップST2)。入力された評価値の選択情報は、入力処理部5に送出される。入力処理部5では、上記評価値の選択情報、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標を、不図示のRAMなどに一時記憶する。ここで、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標は、評価者ごとに分類して記憶する。
【0051】
続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から読み込んだ作業内容情報を参照して、上述のようにして評価者からの評価を受けた作業が、評価すべき作業の最後の工程に対応するものであるか否かを判定する(ステップST3)。このとき、最後の工程に対応する作業でなければ、ステップST1からの処理に戻る。つまり、評価情報提示処理部6は、当該作業の次のステップの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる。このあとの評価工程は、上述した内容と同一である。
【0052】
一方、ステップST3において、最後の工程に対応する作業であると判定すると、評価情報提示処理部6は、評価すべき作業を全て評価し終えたと判断し、RAMなどに一時記憶しておいた、各ステップごとの「作業の名称」とその各評価指標に対する評価値からなる評価結果を読み出す。続いて、評価情報提示処理部6は、評価者ごとの上記評価結果を用いて、図3(c)に示すような評価値情報を生成して記憶部11に格納する(ステップST4)。このあと、評価情報提示処理部6は、上記評価すべき作業の評価結果を記憶部11に格納すると、当該評価処理を終了する。
【0053】
ここで、評価値情報について詳細に説明する。
図5は評価値情報の構成を概略的に説明する図である。図において、11aは評価者ごとの評価結果であって、評価すべき作業の作業ステップごとの各評価指標に対する評価値からなる。図に示すように、1人の評価者による評価値情報は、作業内容情報中に含まれる作業ステップ数と同じ数の評価結果11aから構成される。また、上述のようにして、複数の評価者によって評価を実行すると、1人の評価者による評価結果11a群が評価者の数だけ得られることとなる。
【0054】
図6は図1中の記憶部に格納した評価値情報の内容を示す図であり、この図を用いて記憶部11に対する評価値情報の読み出し・書き込みの管理方法について説明する。図示の例では、評価すべき作業として作業a、作業bを挙げ、それぞれ3ステップ(ステップa−1〜ステップa−3)、2ステップ(ステップb−1、ステップb−2)で構成されるものと仮定する。また、評価者A,B,Cの3人で評価を実行した場合を考える。
【0055】
これらの条件で作業a,bの評価が実行されると、評価情報提示処理部6は、図に示すような行列で管理される評価値情報を生成して記憶部11に格納する。具体的には、行要素として評価者を規定し、列要素として作業ステップを規定しておく。そして、当該行列要素によって各作業ステップごとの評価結果11aが特定されるように、記憶部11内の記憶領域に対するアドレス情報を設定する。
【0056】
これにより、後述するエラー補正因子の算出処理やHMI分析における検索処理を容易に行うことができる。例えば、ある特定の作業を評価した評価者による評価結果11a群をまとめて読み出すことができる。具体的には、作業aに対する評価結果11a群は、1行1列から3行3列までの範囲に応じたアドレス情報によって容易に読み出すことができる。
【0057】
また、作業aに対する評価結果11a群を特定する1行1列から3行3列までの中から、任意の1行に応じた情報を取り出せば、ある評価者による各作業ステップごとの評価結果11aを読み出すことができる。この場合、1行ごとに情報を取り出して、各評価者が評価した評価結果11aを作業ステップごとに比較することも可能である。
【0058】
さらに、任意の1列に応じた情報を取り出せば、同じ作業ステップに対する評価者A,B,Cによる評価結果11aを読み出すことができ、これらの比較も容易である。図示の例で説明すると、作業aにおける2列目の情報を取り出すことで、評価者A,B,Cによる作業ステップa−2についての評価結果11aを読み出すことができる。
【0059】
次にヒューマンインタフェース分析処理について説明する。
図7は実施の形態1のHMI評価分析装置による分析処理を示すフロー図であり、この図に沿ってHMI評価分析装置1によるヒューマンインタフェース分析処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部10から作業内容情報を読み込んで、当該作業内容情報に記述された全ての作業に関する情報を一覧表とした表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に表示した「作業の名称」項目に対して、入力装置3を用いて利用者が「作業の名称」を選択することができるように構成されている。
【0060】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記表示情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1a)。ここで、利用者は、表示装置2を介して提示された上記表示情報に対して、入力装置3を用いて分析対象作業に関する「作業の名称」を選択・入力する。分析対象の作業を特定する「作業の名称」の選択情報は、入力処理部5を介してヒューマンインタフェース分析部8に送出される。
【0061】
ヒューマンインタフェース分析部8は、上記「作業の名称」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する評価値情報を取得する。続いて、ヒューマンインタフェース分析部8は、上記評価値情報の内容を分析して当該作業におけるヒューマンエラーの危険度を計算する(ステップST2a)。
【0062】
分析が終了すると、ヒューマンインタフェース分析部8は、当該分析結果をヒューマンエラー危険度情報として記憶部7に送出する。このあと、危険度情報表示処理部4は、記憶部7に格納された上記分析対象の作業に関する分析結果の表示情報を生成し、表示装置2に送出して表示させる(ステップST3a)。また、評価者が自身の評価結果を装置1に分析させることも可能である。
【0063】
ここで、上述したステップST2aにおける分析処理は、評価値情報からヒューマンエラー危険度を算出するもので、利用者が選択した作業におけるHMI上の問題点を強調する処理が施される。以下に、当該ステップST2aにおける分析処理を詳細に説明する。
【0064】
図8は図7中の分析処理の詳細を示すフロー図であり、この図及び図2を用いてHMI分析処理の詳細を説明する。
先ず、情報入力部12は、入力処理部5から入力した「作業の名称」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」を特定する作業に関する評価値情報を取得する(ステップST2a−1)。続いて、情報入力部12は、予め設定した評価指標に応じて、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値を、基本的な誤りやすさに関する評価値及びエラー誘発要因の評価値にそれぞれ分類する。
【0065】
ここで、基本的な誤りやすさに関する評価値を与える評価指標とは、評価指標情報に記述された評価指標のうち、標準的な作業環境における誤りやすさに寄与する評価指標に相当するものである。なお、標準的な作業環境における誤りやすさとは、作業者がエラーを引き起こす要因として作業環境に依存しないものを意味する。例えば、評価指標「作業量」や「作業時間」などがある。
【0066】
つまり、作業を行う作業場が高温多湿である場合と、そうでなく標準温湿度である場合とで、「作業量」が多かったり、「作業時間」が長かったりすれば、作業環境に違いがあっても作業者が誤りを犯す共通した要因となり得る。このように、本発明では、作業環境に依存しないエラー要因に対応する評価指標が予め設定されている。
【0067】
また、エラー誘発要因に関する評価指標とは、上述した基本的な誤りやすさに関する評価値を与える評価指標以外のものに相当する。例えば、作業環境の設備に関する評価指標である「設備」や、作業環境の温湿度などに関する評価指標である「環境」などの作業環境に依存する評価指標に加え、作業者の精神状態に関する評価指標である「ストレス」や、作業者間のコミュニケーションの評価指標である「連携」などの作業者自身の評価指標も含まれる。
【0068】
さらに、情報入力部12は、上記評価値情報中のエラー誘発要因に関する各評価指標に対して、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値化した重要度を付与する。当該重要度は、エラー誘発要因に関する各評価指標の内容に応じて、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値として予め設定したものである。なお、情報入力部12が重要度を設定するのではなく、評価項目の1つとして「要因の重要度」を設けて評価者に提示し、評価者に上記重要度を設定させるようにしてもよい。
【0069】
図9は実施の形態1のHMI評価分析装置による分析処理に使用される情報内容を示す図であり、(a)は重要度を付与した評価指標情報を示し、(b)は5段階の数値で重要度を付与した評価指標情報を示し、(c)はある作業ステップの評価結果を示している。(a)に示すように、情報入力部12によって図3(a)中の評価指標情報の他に、基本的な誤りやすさに関する評価指標や、エラー誘発要因に関する各評価指標にHMI上の重要度(あるいは、ヒューマンエラーに対する寄与度)が付与されている。
【0070】
(b)に示す例では、エラー誘発要因に関する各評価指標に対して、1から5までの5段階の重要度が付されている。例えば、作業設備の善し悪しは、作業者に依らずヒューマンエラーに対する寄与が大きいと考えられることから、評価指標「設備」に対して最大の重要度5が付与されている。
【0071】
また、作業環境の温湿度などに関する評価指標である「環境」は、作業者によって快不快の感じ方が異なり、作業者に依存するものである。よって、必ずしもヒューマンエラーに対する寄与が大きくなるとは言えないことから、評価指標「環境」に対しては重要度2が付与される。また、(c)に示すある作業ステップに対する評価結果は、図4で示した処理にて得られたものである。
【0072】
上述のようにして、情報入力部12による処理が完了すると、当該評価値情報は、情報抽出部13に送出される。情報抽出部13では、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値から、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値、及び、エラー誘発要因に関する評価指標に対する重要度をそれぞれ抽出する(ステップST2a−2)。このあと、情報抽出部13は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及び重要度をエラー補正因子算出部14に送出し、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値をヒューマンエラー危険度算出部15に送出する。
【0073】
続いて、エラー補正因子算出部14は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及びその重要度から、「1」が標準的な状態で、「1以下」がHMI上の好条件、「1以上」がHMI上の悪条件を意味するようにエラー補正因子を計算する(ステップST2a−3)。
【0074】
例えば、エラー補正因子を1/3から3までであると定義する。また、基本的な誤りやすさ以外に関する評価指標の標準状態を1、重要度の標準的な状態を2として、図9(b)のように、1から5までの5段階で表現する。このとき、Σ(エラー誘発要因の評価値×要因の重要度)は、最大4×5×6=120、最小0×1×6=0、標準的な状態1×2×6=12となる。これを最大3、最小1/3、標準的な状態1となるように補正を行う。例えば、下記式(1)を用いてエラー補正因子を算出する。
【数1】
【0075】
ここで、図3(c)に示す各評価者の評価値情報に格納されている、ある評価者の評価結果が図9(c)のようになった場合、エラー補正因子算出部14は、上記式(1)を用いて当該評価結果に関するエラー補正因子を算出する。
つまり、エラー補正因子=3((2 × 5+3 × 4+4 × 2+0 × 3+1 × 2+2 × 3)−12)/108
=3(38−12)/108≒1.30
となる。
【0076】
上述のようにしてエラー補正因子を求めることにより、重要度の低い評価指標の評価値が高い場合、エラー補正因子が比較的小さくなる。一方、重要度の高い評価指標の評価指標の評価値が高い場合はエラー補正因子をより大きくすることができ、HMI上の問題点をより強調した分析結果を得ることができる。
このあと、エラー補正因子算出部14は、エラー補正因子を算出すると、ヒューマンエラー危険度算出部15に送出する。
【0077】
続いて、ヒューマンエラー危険度算出部15は、情報抽出部13からの基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、及び、エラー補正因子算出部14からのエラー補正因子を用いて、ヒューマンエラー危険度を算出する(ステップST2a−4)。ここで、ヒューマンエラーの危険度の求め方として、作業の基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値(数値)を一定の範囲で増減させるという方法が知られている。
【0078】
本発明においても当該方法を採用し、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値を一定の範囲で増減させる基準値として、上述したエラー補正因子を用いて基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値とエラー補正因子の計算結果からヒューマンエラー危険度を算出する。例えば、ヒューマンエラー危険度=基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値×エラー補正因子で定義する。
【0079】
図9(c)の例で説明すると、ヒューマンエラー危険度算出部15は、基本的な誤りやすさに関する評価指標である「作業量」の評価値7を読み出し、上述したようにエラー補正因子算出部14が算出したエラー補正因子1.30を用いて、ヒューマンエラー危険度を7×1.30=9.10と算出する。
【0080】
上述した処理を各評価者による評価結果について実施する。
また、評価値情報に記述された評価者全体の評価値を集約する代表値についても分析を行う。具体的には、ヒューマンエラー危険度算出部15は、評価指標ごとに評価者全体の評価値を集約する代表値を求める。ここで、代表値としては、例えば評価者全体の評価値の平均値や中央値などを利用する。この代表値に対して、上述したステップST2aの処理を実施して分析を行う。
【0081】
次に、ステップST3aにおける表示処理について詳細に説明する。
図10は図1中の危険度情報表示処理部が生成する表示データを示す図であり、(a)は評価指標リスト画面を示し、(b)は(a)の評価指標リスト画面で選択した評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフを示している。例えば、危険度情報表示処理部4は、(a)に示すような評価指標リスト画面2Aに関する表示データを作成して表示装置2に表示させる。
【0082】
この評価指標リスト画面2Aは、分析結果を表示すべき作業の「作業名」を表示する作業名表示欄16、作業名表示欄16に表示された作業の各評価指標を提示する評価指標リスト欄17、作業の分析結果の表示を中断する中止ボタン18、及び、分析結果を表示させる結果表示ボタン19から構成される。
【0083】
利用者は、表示装置2に表示された評価指標リスト欄17から(b)に示すようなグラフ表示を行う評価指標を、入力装置3を用いて選択する。ここで、(b)のように1つの評価指標についてのみ分析結果を表示する場合、評価指標リスト欄17のチェックボタンは、チェックボックスではなく、複数の選択項目の中からただ1つだけをオンにするラジオボタンとしてもよい。
【0084】
また、例えばエラー誘発要因のように複数の評価指標が存在する場合、評価指標リスト欄17のチェックボタンをクリックするごとに非表示/展開が切り替わるような形式にする。これにより、評価指標が多数ある場合でも、一覧しやすいという効果がある。ここで、中止ボタン18を押下すると、このダイアログが消滅して分析結果の表示は行わない。表示ボタン19を押すと、(b)に示すような分析結果が表示される。
【0085】
(b)に示す分析結果の表示画面2Bは、(a)に示す評価指標リスト欄17で選択した評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフを利用者に提示する。表示画面2B中の評価指標名表示欄20には、評価指標リスト欄17で選択した評価指標名が表示される。また、評価結果グラフ表示欄21には、上述した評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフが表示される。
【0086】
このグラフは、折れ線グラフ、棒グラフなど作業ごとの評価指標値の推移が把握できる形式で表記する。作業選択ボタン22は、詳細表示を要求する作業(各作業ステップ)を選択するボタンである。(b)の例では、作業選択ボタン22のうち「3」の作業が白黒反転表示されている。この作業選択ボタン22としては、他の形式でもよく、選択していることが明確にできる形式であればよい。
【0087】
また、(b)の例では、作業選択ボタン22がグラフのX軸を兼ねている。この形式の他に、「作業名」又は「作業番号」が一覧でき、評価結果グラフ表示欄21の作業と対応がつき、一覧の中から少なくとも1つ以上の作業を選択することができれば、他の作業選択手段を別途用意してもよい。
【0088】
(b)において、作業選択ボタン22で作業を選択し、作業参照ボタン23を押下すると、要領書のコピーや作業現場の写真など、作業内容情報の詳細な作業内容が表示されるように構成する。また、閉じるボタン24を押下すると、分析結果の表示ウィンドウが閉じる。このように分析結果をグラフ表示することにより、どの作業が改善を要する作業であるかが一目瞭然となる。
【0089】
図11は図1中の危険度情報表示処理部が生成する他の表示データを示す図であり、(a)は図10(a)の評価指標リスト画面で選択した評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフを示し、(b)は分析結果の一覧表示画面を示している。なお、図10と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。例えば、危険度情報表示処理部4は、(a)に示すような評価指標に関する評価値と各作業ステップとの関係を表すグラフ表示画面2Cに関する表示データを作成して表示装置2に表示させる。
【0090】
(a)に示す評価結果グラフ表示欄25には、図10(a)に示す評価指標リスト欄17で選択した評価指標のグラフが表示される。当該グラフは、折れ線グラフ、棒グラフなど作業ごとの評価指標値の推移が把握でき、複数の評価指標を同一画面上に表示して評価指標間の評価値の比較をすることができる形式で表記する。
【0091】
このように複数の評価指標を1つのグラフに表示することによって、評価指標間の評価値の比較を行うことができる。例えば、(a)中のグラフ線表示欄26に示すように、基本的な誤りやすさに関する評価指標(図中、破線で表記)とヒューマンエラー危険度(図中、実線で表記)を1つのグラフに表示する。この場合、ヒューマンエラー危険度が高い作業について、基本的な誤りやすさに関する評価指標が原因となっているのか、あるいはエラー補正因子が原因となっているのかを把握することができる。
【0092】
また、分析結果を提示するにあたり、例えばヒューマンエラー危険度と作業者への影響度の評価結果を1つのグラフに表示する。これによって、作業者への影響度が大きい場合に、ヒューマンエラー危険度を低減する対策を行うべきなのか、作業者への影響を軽減する対策を行うべきなのかを容易に知ることができる。
【0093】
さらに、エラー補正因子が大きいためにヒューマンエラー危険度が高くなっている場合には、複数のエラー誘発要因を選択し、グラフ表示を行うようにする。これによって、どの要因がエラー補正因子に最も影響を与えているのかという指標を利用者に提示することができる。
【0094】
(b)に示す分析結果の一覧表示画面2Dは、図10(a)に示す評価指標リスト欄17で選択された評価指標ごとに1つの分析結果一覧を表示した例である。(b)中の分析結果一覧27は、分析結果を示す評価値としてヒューマンエラー危険度が大きい順にソートして表示したものである。また、この一覧には、評価値の大きい順を表す順位、作業の順番を表す作業番号、作業内容、評価値が表示されている。
【0095】
上述した分析結果一覧は、(a)や図10(b)に示す作業選択ボタン22と同様の機能を有している。つまり、利用者は、当該分析結果一覧中から1つ以上の作業を選択して、詳細な作業内容の表示を要求することができる。
【0096】
このように作業ごとの評価値の推移または評価値の順位を把握できるような形式で分析結果を表示する。これにより、評価対象とする作業のうち、どの作業を優先的に改善すべきかを容易に把握することができる。また、管理者は費用対効果を考慮して、より効率的に改善を実行することもできる。
【0097】
また、図10(a)のように複数の評価指標の分析結果を比較することにより、ある評価指標に対する他の評価指標の寄与度を知ることができる。例えば、作業自体の基本的な誤りやすさに関する評価指標とヒューマンエラー危険度を同一のグラフ上に表示すれば、ヒューマンエラー危険度が高い場合に、作業自体の基本的な誤りやすさに関する評価指標とHMIのいずれが影響しているのかを把握することができる。また、複数のエラー誘発要因を同一のグラフに表示することにより、どのエラー要因が作業環境を悪化させる重要な要因となっているのかが一目瞭然になる。
【0098】
従って、ヒューマンエラー対策や作業改善を行うときに、作業自体の難しさや作業量を改善すべきなのか、HMIを改善してエラー誘発要因を排除すべきなのか、あるいはその両方を改善すべきなのかを容易に知ることができる。
【0099】
以上のように、この実施の形態1によれば、評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて評価値情報として格納する記憶部11と、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示する評価情報提示処理部6と、複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部11に格納する入力処理部5と、分析対象の作業におけるHMIについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じた重み付けをHMIに関する評価指標の評価結果に加えてヒューマンエラー危険度として算出するヒューマンインタフェース分析部8とを備えるので、評価指標に対して評価するにあたり、簡単な数値として提示された評価点候補を評価値として選択・入力するだけで評価結果が得られることから、ヒューマンエラーを誘発させる要因に関する専門的知識を必要とせず、ヒューマンエラー危険度を計算することができる。また、ヒューマンエラーを誘発させる原因となるHMI上の問題点も発見することができる。
【0100】
さらに、この実施の形態1によれば、エラー誘発要因に関する各評価指標にヒューマンエラーに対する寄与度を表す重要度を付与し、この重要度を利用して求めたエラー補正因子によって、ヒューマンエラーに対する寄与度に応じた重み付けを評価結果に加えた分析結果を求めるので、ヒューマンエラーに対する寄与度が高い分析結果をより管理者に認識させることができ、HMI上の問題点に対する管理者の認知度を向上させることができる。
【0101】
実施の形態2.
この実施の形態2は、評価者の経験や理解度によって評価値に重み付けをすることによって正確さを向上させた評価値をHMIの分析に利用するものである。
【0102】
図12はこの発明の実施の形態2によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。図において、1aは実施の形態2によるHMI評価分析装置であって、後述する構成部を具現化するプログラムを実行するコンピュータ装置によって構成される。8aは実施の形態2によるヒューマンインタフェース分析部(分析部)で、評価者情報及び評価値情報から抽出した評価結果を分析して、各作業内容に対するヒューマンエラーの起こりやすさを定量的に示す危険度を求める。
【0103】
また、ヒューマンインタフェース分析部8aは、HMI評価分析装置1aを構成するコンピュータ装置に実行されるプログラムより具現化される。28は評価者情報を格納する記憶部であって、HMI評価分析装置1aを構成するコンピュータ装置に標準的に搭載されたハードディスク装置や、CD−ROMなどの記憶媒体を用いるディスク装置によって実現される。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0104】
図13は図12中のヒューマンインタフェース分析部の構成を示す図である。図において、29は評価値情報補正部であって、作業の理解度や信頼度などの評価者情報により評価値情報を重み付けして補正した評価結果を生成する。また、評価値情報補正部29も、HMI評価分析装置1aを構成するコンピュータ装置に実行されるプログラムより具現化される。なお、図2と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0105】
図14は図12中の記憶部に格納される評価者情報の構成を示す図である。図に示すように、評価者情報の書式は、例えば評価者の「氏名」を設定する項目、評価者が属する機関を設定する「所属」項目、評価者の「役職」項目、評価者が既に評価した作業を設定する「評価した作業」項目、及び、評価者の「作業経験年数」に関する項目に加え、評価者の「作業の理解度」項目や、評価者の「信頼度」に関する項目から構成される。
【0106】
ここで、「作業の理解度」や「信頼度」については、管理者が分析を行う前に予め各評価者について主観的に評価しておく方法や理解度テストなどがある場合は、その得点に応じて客観的な数値を入力しておく方法がある。当該書式にて評価指標情報は、表示装置2を介して評価者に提示される。
【0107】
次に動作について説明する。
図15は実施の形態2によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図であり、この図に沿ってHMI評価分析装置1aによる評価処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部28から評価者情報を読み込んで、図14に示すような書式の評価者情報を表示する評価者情報の入力画面情報を生成する。当該入力画面情報は、表示装置2に表示した各項目に対して、入力装置3を用いて評価者が所定内容を設定することができるように構成されている。
【0108】
次に、評価情報提示処理部6は、上記入力画面情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1b)。このあと、評価者は、表示装置2を介して提示された上記入力画面情報に対して、入力装置3を用いて評価者自身に関する「氏名」項目、「所属」項目、「役職」項目、「評価した作業」項目、及び、「経験年数」項目を入力する(ステップST2b)。このとき、「作業の理解度」や「信頼度」項目については、管理者が分析を行う前に予め各評価者について主観的に評価しておくか、理解度テストなどを実施した結果を入力しておく。
【0109】
評価者による上記設定情報は、入力処理部5を介して評価者情報として記憶部28に送出され、記憶される(ステップST3b)。続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から図3(b)に示すような作業内容情報を読み込んで、評価すべき作業の1ステップごとの「作業の名称」を取得する。同時に、評価情報提示処理部6は、記憶部9から図3(a)に示すような評価指標情報を読み込んで、上記1ステップごとの「作業の名称」と共に、各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を生成する。当該情報は、上記実施の形態1と同様に、表示装置2に表示した評価指標の選択肢項目に対して、入力装置3を用いて評価者が評価値を選択することができるように構成されている。
【0110】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記1ステップごとの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST4b)。評価者は、表示装置2を介して提示された上記1ステップごとの「作業の名称」に対して、入力装置3を用いて評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力する(ステップST5b)。
【0111】
入力された評価値の選択情報は、入力処理部5に送出される。入力処理部5では、上記評価値の選択情報、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標を、不図示のRAMなどに一時記憶する。ここで、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標は、評価者ごとに分類して記憶する。
【0112】
続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から読み込んだ作業内容情報を参照して、上述のようにして評価者からの評価を受けた作業が、評価すべき作業の最後の工程に対応するものであるか否かを判定する(ステップST6b)。このとき、最後の工程に対応する作業でなければ、ステップST4bからの処理に戻る。
【0113】
一方、ステップST6bにおいて、最後の工程に対応する作業であると判定すると、評価情報提示処理部6は、評価すべき作業を全て評価し終えたと判断し、RAMなどに一時記憶しておいた、各ステップごとの「作業の名称」とその各評価指標に対する評価値からなる評価結果を読み出す。続いて、評価情報提示処理部6は、評価者ごとの上記評価結果を用いて、図3(c)に示すような評価値情報を生成して記憶部11に格納する(ステップST7b)。このあと、評価情報提示処理部6は、上記評価すべき作業の評価結果を記憶部11に格納すると、当該評価処理を終了する。
【0114】
図16は実施の形態2によるHMI評価分析装置の分析処理を示すフロー図であり、この図に沿ってHMI分析処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部28から評価者情報を読み込んで、図14に示すような書式の評価者情報を表示する表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に表示した「氏名」項目に対して、入力装置3を用いて利用者が「氏名」を選択することができるように構成されている。
【0115】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記表示情報を表示装置2に送出し表示させる。ここで、利用者は、表示装置2を介して提示された上記表示情報に対して、入力装置3を用いて分析対象評価者の「氏名」を選択・入力する(ステップST1c)。この分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報は、入力処理部5を介して評価情報提示処理部6及びヒューマンインタフェース分析部8aに送出される。
【0116】
分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を受けると、評価情報提示処理部6は、記憶部10から作業内容情報を読み込んで、当該作業内容情報に記述された全ての作業に関する情報を一覧表とした表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に表示した「作業の名称」項目に対して、入力装置3を用いて利用者が「作業の名称」を選択することができるように構成されている。
【0117】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記表示情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST2c)。ここで、利用者は、表示装置2を介して提示された上記表示情報に対して、入力装置3を用いて分析対象作業に関する「作業の名称」を選択・入力する。分析対象の作業を特定する「作業の名称」の選択情報は、入力処理部5を介してヒューマンインタフェース分析部8aに送出される。
【0118】
ヒューマンインタフェース分析部8aは、上記「作業の名称」の選択情報及び上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部11及び記憶部28を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する上記分析対象評価者の評価値情報と当該評価者の評価者情報を取得する。このあと、ヒューマンインタフェース分析部8aは、図14に示した評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値によって評価値情報中の評価値を重み付けし、評価結果の補正を行う(ステップST3c)。当該補正後の評価結果は、代表値からなる評価値情報として記憶部11に格納される。
【0119】
次に、ヒューマンインタフェース分析部8aは、入力処理部5から入力した「作業の名称」の選択情報及び上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、上記代表値からなる評価値情報を取得する(ステップST4c)。続いて、ヒューマンインタフェース分析部8a内の情報入力部12は、予め設定した評価指標に応じて、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値を、基本的な誤りやすさに関する評価値及びエラー誘発要因の評価値にそれぞれ分類する。
【0120】
ここで、基本的な誤りやすさに関する評価値を与える評価指標とは、評価指標情報に記述された評価指標のうち、標準的な作業環境における誤りやすさに寄与する評価指標に相当するものである。なお、標準的な作業環境における誤りやすさとは、作業者がエラーを引き起こす要因として作業環境に依存しないものを意味する。例えば、評価指標「作業量」や「作業時間」などがある。
【0121】
また、エラー誘発要因に関する評価指標とは、上述した基本的な誤りやすさに関する評価値を与える評価指標以外のものに相当する。例えば、作業環境の設備に関する評価指標である「設備」や、作業環境の温湿度などに関する評価指標である「環境」などの作業環境に依存する評価指標に加え、作業者の精神状態に関する評価指標である「ストレス」や、作業者間のコミュニケーションの評価指標である「連携」などの作業者自身の評価指標も含まれる。
【0122】
さらに、情報入力部12は、上記評価値情報中のエラー誘発要因に関する各評価指標に対して、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値化した重要度を付与する。当該重要度は、エラー誘発要因に関する各評価指標の内容に応じて、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値として予め設定したものである。なお、情報入力部12が重要度を設定するのではなく、評価項目の1つとして「要因の重要度」を設けて評価者に提示し、評価者に上記重要度を設定させるようにしてもよい。
【0123】
上述のようにして、情報入力部12による処理が完了すると、当該評価値情報は、情報抽出部13に送出される。情報抽出部13では、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値から、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値、及び、エラー誘発要因に関する評価指標に対する重要度をそれぞれ抽出する(ステップST5c)。このあと、情報抽出部13は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及び重要度をエラー補正因子算出部14に送出し、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値をヒューマンエラー危険度算出部15に送出する。
【0124】
続いて、エラー補正因子算出部14は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及びその重要度から、上記実施の形態1と同様にしてエラー補正因子を計算する(ステップST6c)。算出されたエラー補正因子は、エラー補正因子算出部14からヒューマンエラー危険度算出部15に送出される。
【0125】
続いて、ヒューマンエラー危険度算出部15は、情報抽出部13からの基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、及び、エラー補正因子算出部14からのエラー補正因子を用いて、ヒューマンエラー危険度を算出する(ステップST7c)。
【0126】
分析が終了すると、ヒューマンインタフェース分析部8aは、当該分析結果をヒューマンエラー危険度情報として記憶部7に送出する。このあと、危険度情報表示処理部4は、記憶部7に格納された上記分析対象の作業に関する分析結果の表示情報を生成し、表示装置2に送出して表示させる(ステップST8c)。
【0127】
図17は図16中の代表値算出処理の詳細を示すフロー図であり、この図及び図13を用いてHMI分析処理の詳細を説明する。
ヒューマンインタフェース分析部8a内の評価値情報補正部29は、上記「作業の名称」の選択情報及び上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する上記分析対象評価者の評価値情報を取得する(ステップST3c−1)。
【0128】
さらに、評価値情報補正部29は、上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部28を検索し、当該評価者の評価者情報を取得する(ステップST3c−2)。
【0129】
このあと、評価値情報補正部29は、図14に示した評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値によって評価値情報中の評価値を重み付けし、評価結果の補正を行う(ステップST3c−3)。評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値としては、例えば上記実施の形態1と同様に評価値の数値の選択肢で管理者に評価させたものや、理解度テストの得点などの数値を用いる。
【0130】
以上のように、この実施の形態2によれば、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価を行った評価者の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価能力に応じた評価値を収集し、評価結果と関連付けて記憶部11に格納するので、作業をよく理解していない評価者による評価を排除あるいは軽視することができ、代表値への信頼度が向上すると共に、HMI上の問題点に関してより正確な情報を抽出することができる。
【0131】
また、複数の評価者を分析対象として選択することで、評価者間で評価値にばらつきがある場合に、どの評価者の値がどの程度信用できるのかを知ることができる。
【0132】
実施の形態3.
この実施の形態3によるHMI評価分析装置は、上記実施の形態1若しくは上記実施の形態2の構成と基本的に同様である。ただ、エラーの影響度を表す評価指標を含む評価指標情報を使用してHMIの危険度を分析する処理が異なる。よって、当該相違点について主に説明する。
【0133】
図18はこの発明の実施の形態3によるHMI評価分析装置が使用する評価指標情報の内容を示す図である。図に示すように、実施の形態3による評価指標情報の書式では、上記実施の形態1と同様に、例えば評価指標の「名称」に関する項目、及び、所定の数値で規定した評価値を選択させる「選択肢」に関する項目から構成される。図示の例では、評価指標「作業量」について1から10までの数値、それ以外のエラー誘発要因に関する評価指標について0から4までの数値を「選択肢」として、これらの数値の中から評価値を選択する。また、評価指標としては、「作業量」、「設備」や「要領書」などの他に、エラーの影響度を表す評価指標が含まれている。例えば、エラーの影響度を表す評価指標としては、評価者である作業者に与える影響の程度を意味する「作業者影響度係数」や、機器に与える影響の程度を意味する「機器影響度係数」などがある。以下、これらをエラーの影響度係数と称する。
【0134】
次に動作について説明する。
図19は実施の形態3によるHMI評価分析装置の分析処理を示すフロー図であり、この図に沿って本実施の形態を上記実施の形態1によるHMI評価分析装置1に適用した場合のHMI分析処理を説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部10から作業内容情報を読み込んで、当該作業内容情報に記述された全ての作業に関する情報を一覧表とした表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に表示した「作業の名称」項目に対して、入力装置3を用いて利用者が「作業の名称」を選択することができるように構成されている。
【0135】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記表示情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1d)。ここで、利用者は、表示装置2を介して提示された上記表示情報に対して、入力装置3を用いて分析対象作業に関する「作業の名称」を選択・入力する。分析対象の作業を特定する「作業の名称」の選択情報は、入力処理部5を介してヒューマンインタフェース分析部8に送出される。
【0136】
ヒューマンインタフェース分析部8は、上記「作業の名称」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する評価値情報を取得する。(ステップST2d)。
【0137】
次に、ヒューマンインタフェース分析部8内の情報入力部12は、予め設定した評価指標に応じて、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値を、基本的な誤りやすさに関する評価値、エラー誘発要因の評価値及びエラーの影響度係数に関する評価値にそれぞれ分類する。
【0138】
さらに、情報入力部12は、上記評価値情報中のエラー誘発要因に関する各評価指標に対して、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値化した重要度を付与する。当該重要度は、エラー誘発要因に関する各評価指標の内容に応じて、ヒューマンエラーに対する寄与の度合いを数値として予め設定したものである。なお、情報入力部12が重要度を設定するのではなく、評価項目の1つとして「要因の重要度」を設けて評価者に提示し、評価者に上記重要度を設定させるようにしてもよい。
【0139】
上述のようにして、情報入力部12による処理が完了すると、当該評価値情報は、情報抽出部13に送出される。情報抽出部13では、上記評価値情報中の各評価指標に対応する評価値から、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値、エラー誘発要因に関する評価指標に対する重要度、及び、「作業者影響度係数」や「機器影響度係数」などのエラー影響度係数の評価値をそれぞれ抽出する(ステップST3d)。このあと、情報抽出部13は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及び重要度をエラー補正因子算出部14に送出し、基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値及びエラー影響度係数の評価値をヒューマンエラー危険度算出部15に送出する。
【0140】
続いて、エラー補正因子算出部14は、エラー誘発要因に関する評価指標の評価値及びその重要度から、上記実施の形態1と同様にしてエラー補正因子を計算する(ステップST4d)。算出されたエラー補正因子は、エラー補正因子算出部14からヒューマンエラー危険度算出部15に送出される。
【0141】
ヒューマンエラー危険度算出部15では、情報抽出部13からの基本的な誤りやすさに関する評価指標の評価値、及び、エラー補正因子算出部14からのエラー補正因子を用いて、ヒューマンエラー危険度を算出する(ステップST5d)。なお、ヒューマンエラー危険度の算出方法は、上記実施の形態1で示したような方法でも良いし、評価者がヒューマンエラー危険度を直接入力して評価値情報に保存しておき、これを適宜読み込むようにしても良い。
【0142】
このあと、ヒューマンエラー危険度算出部15は、ヒューマンエラー危険度とエラー影響度係数の評価値からエラー影響度を算出する(ステップST6d)。ここで、「エラー影響度」とは、エラーが発生した場合に、他の系(例えば装置やプラント設備の他に、人間(作業者等)も含めた概念を考える)にどの程度の影響があるかを示す指標である。そこで、このエラー影響度の算出方法として、例えばエラー影響度係数を強調するように、エラーの影響度=2エラー の影響度係数なる式を用いて求める。
【0143】
また、エラーの影響度に基づき、上記他の系に影響を及ぼす危険度として、ヒューマンエラー危険度とエラーの影響度の関数から求められる「エラー危険度」を定義する。このエラー危険度は、例えばエラー危険度=ヒューマンエラー危険度×エラーの影響度という関係式から求める。
【0144】
分析が終了すると、ヒューマンインタフェース分析部8は、当該分析結果(「ヒューマンエラー危険度」、「エラーの影響度」や「エラー危険度」など)をヒューマンエラー危険度情報として記憶部7に送出する。このあと、危険度情報表示処理部4は、記憶部7に格納された上記分析対象の作業に関する分析結果の表示情報を生成し、表示装置2に送出して表示させる(ステップST7d)。
【0145】
以上のように、この実施の形態3によれば、ヒューマンエラーが発生したときに与える影響の大きさを数値化したもの、またはその数値から計算される値を影響度係数として規定し、評価者が評価を行う指標の中に、この影響度係数が含まれるようにしておき、ヒューマンエラーの危険度と組み合わせて、ヒューマンエラーが周囲に及ぼす危険度を求めるので、ヒューマンエラーが発生する確率が低くても、ヒューマンエラーが発生したときに影響が出やすい、あるいは影響の大きい危険な設備や作業を抽出することができる。
【0146】
実施の形態4.
この実施の形態4によるHMI評価分析装置は、上記実施の形態1若しくは上記実施の形態2の構成と基本的に同様である。ただ、評価者が評価するときに評価の基準となる情報を提供する処理が異なる。よって、当該相違点について主に説明する。
【0147】
図20はこの発明の実施の形態4によるHMI評価分析装置が使用する評価指標情報の内容を示す図である。図に示すように、実施の形態4による評価指標情報は、図3(a)に示した評価指標情報の他に、評価値を選択する「評価の基準」が記述されている。
【0148】
次に動作について説明する。
図21は実施の形態4によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図であり、この図に沿って本実施の形態を上記実施の形態1に適用した場合について説明する。
先ず、実施の形態4による評価情報提示処理部6は、記憶部10から図3(b)に示すような作業内容情報を読み込んで、評価すべき作業の1ステップごとの「作業の名称」を取得する。同時に、評価情報提示処理部6は、記憶部9から図3(a)に示すような評価指標情報を読み込んで、上記1ステップごとの「作業の名称」と共に、各評価指標、その評価値の選択肢、及び、評価支援の有無に関する選択肢を提示する情報を生成する。
【0149】
このあと、評価情報提示処理部6は、上記1ステップごとの「作業の名称」と各評価指標、その評価値の選択肢、及び、評価支援の有無に関する選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる(ステップST1)。ここまでの動作は、上記実施の形態1と同様である。
【0150】
評価者は、表示装置2を介して提示された評価支援の有無に関する選択肢に対して、入力装置3を用いて評価支援を求めるか否かを選択・入力する(ステップST1e−1)。このとき、評価支援を求める場合、評価情報提示処理部6は、上述した図3(a)に示すような評価指標情報の代わりに、図20に示すような「評価の基準」項目を加えた評価指標情報を記憶部9から読み込んで表示装置2に表示させる(ステップST1e−2)。これにより、評価者は、「評価の基準」項目に記述された情報を参照しながら、入力装置3を用いて評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力することとなる(ステップST2)。
【0151】
一方、評価支援を求めない場合、上記実施の形態1と同様に図3(a)に示す評価指標情報を参照しながら、評価者は、表示装置2を介して提示された上記1ステップごとの「作業の名称」に対して、入力装置3を用いて評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力する(ステップST2)。
【0152】
入力された評価値の選択情報は、入力処理部5に送出される。入力処理部5では、上記評価値の選択情報、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標を、不図示のRAMなどに一時記憶する。ここで、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標は、評価者ごとに分類して記憶する。
【0153】
続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から読み込んだ作業内容情報を参照して、上述のようにして評価者からの評価を受けた作業が、評価すべき作業の最後の工程に対応するものであるか否かを判定する(ステップST3)。このとき、最後の工程に対応する作業でなければ、ステップST1からの処理に戻る。つまり、評価情報提示処理部6は、当該作業の次のステップの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を表示装置2に送出し表示させる。このあとの評価工程は、上述した内容と同一である。
【0154】
一方、ステップST3において、最後の工程に対応する作業であると判定すると、評価情報提示処理部6は、評価すべき作業を全て評価し終えたと判断し、RAMなどに一時記憶しておいた、各ステップごとの「作業の名称」とその各評価指標に対する評価値からなる評価結果を読み出す。続いて、評価情報提示処理部6は、評価者ごとの上記評価結果を用いて、図3(c)に示すような評価値情報を生成して記憶部11に格納する(ステップST4)。このあと、評価情報提示処理部6は、上記評価すべき作業の評価結果を記憶部11に格納すると、当該評価処理を終了する。
【0155】
以上のように、この実施の形態4によれば、評価基準を表示して評価支援を行うので、評価者は、評価値の与え方に関して専門的な知識を持っていなくても評価することができる。また、共通の基準を与えることにより、評価者の主観による評価値のばらつきを抑えることができる。
【0156】
実施の形態5.
図22はこの発明の実施の形態5によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。図において、1Aは上記実施の形態1若しくは上記実施の形態2によるHMI評価分析装置を構成するサーバコンピュータであって、ヒューマンエラー危険度情報を格納する記憶部7、ヒューマンインタフェース分析部8、評価指標情報を格納する記憶部9、作業内容情報を格納する記憶部10及び評価値情報を格納する記憶部11、若しくは、評価者情報を格納する記憶部28を有する。また、サーバコンピュータ1A内の危険度情報表示処理部4、入力処理部5及び評価情報提示処理部6は、ネットワーク(電気通信回線)32を介してクライアントコンピュータ31と情報の送受信を行う。
【0157】
30はネットワーク32に接続する管理者用のクライアントコンピュータ、即ち作業責任者や生産現場の品質管理部門担当者などが利用するコンピュータであって、ネットワーク32を介してサーバコンピュータ1A内の評価指標情報、作業内容情報や評価者情報を設定・変更する。31はネットワーク32に接続する評価者用のクライアントコンピュータ、即ち実際に作業を行う作業者などで作業を評価する作業者が利用するコンピュータで、ネットワーク32を介して図1や図12に示す表示装置2及び入力装置3として機能する構成部を有する。なお、ネットワークの形態としては、インターネットであっても専用線であってもよく、それらが混在していてもよい。
【0158】
次に動作について説明する。
ここでは、説明の簡単のため上記実施の形態1に本実施の形態を適用した場合を考える。最初に評価処理について説明する。
先ず、サーバコンピュータ1A内の評価情報提示処理部6は、記憶部10から図3(b)に示すような作業内容情報を読み込んで、評価すべき作業の1ステップごとの「作業の名称」を取得する。同時に、評価情報提示処理部6は、記憶部9から図3(a)に示すような評価指標情報を読み込んで、上記1ステップごとの「作業の名称」と共に、各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を生成する。
【0159】
このあと、ネットワーク32を介して、評価情報提示処理部6は、上記1ステップごとの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報をクライアントコンピュータ31に送出し表示させる。このとき、ネットワーク32を介してサーバコンピュータ1Aと情報の送受が可能な複数のクライアントコンピュータ31の表示装置に上記情報を同時に表示して複数の評価者による評価を実行する。
【0160】
評価者は、クライアントコンピュータ31を介して提示された上記1ステップごとの「作業の名称」に対して、評価指標ごとに選択肢中の評価値を選択・入力する。入力された評価値の選択情報は、ネットワーク32を介して入力処理部5に送出される。入力処理部5では、上記評価値の選択情報、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標を、不図示のRAMなどに一時記憶する。ここで、上記1ステップごとの「作業の名称」及びその評価値に対応する評価指標は、評価者ごとに分類して記憶する。
【0161】
続いて、評価情報提示処理部6は、記憶部10から読み込んだ作業内容情報を参照して、上述のようにして評価者からの評価を受けた作業が、評価すべき作業の最後の工程に対応するものであるか否かを判定する。このとき、最後の工程に対応する作業でなければ、当該作業の次のステップの「作業の名称」と各評価指標及びその評価値の選択肢を提示する情報を、ネットワーク32を介してクライアントコンピュータ31に送出し表示させる。このあとの評価工程は、上述した内容と同一である。
【0162】
一方、最後の工程に対応する作業であると判定すると、評価情報提示処理部6は、評価すべき作業を全て評価し終えたと判断し、RAMなどに一時記憶しておいた、各ステップごとの「作業の名称」とその各評価指標に対する評価値からなる評価結果を読み出す。
【0163】
続いて、評価情報提示処理部6は、評価者ごとの上記評価結果を用いて、図3(c)に示すような評価値情報を生成して記憶部11に格納する。このあと、評価情報提示処理部6は、上記評価すべき作業の評価結果を記憶部11に格納すると、当該評価処理を終了する。
【0164】
次にヒューマンインタフェース分析処理について説明する。
先ず、評価情報提示処理部6は、記憶部10から作業内容情報を読み込んで、当該作業内容情報に記述された全ての作業に関する情報を一覧表とした表示情報を生成する。このあと、評価情報提示処理部6は、ネットワーク32を介して上記表示情報をクライアントコンピュータ31に送出し表示させる。ここで、利用者は、クライアントコンピュータ31を介して提示された上記表示情報に対して、分析対象作業に関する「作業の名称」を選択・入力する。分析対象の作業を特定する「作業の名称」の選択情報は、入力処理部5を介してヒューマンインタフェース分析部8に送出される。
【0165】
ヒューマンインタフェース分析部8は、上記「作業の名称」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する評価値情報を取得する。続いて、ヒューマンインタフェース分析部8は、上記評価値情報の内容を分析して当該作業におけるヒューマンエラーの危険度を計算する。
【0166】
分析が終了すると、ヒューマンインタフェース分析部8は、当該分析結果をヒューマンエラー危険度情報として記憶部7に送出する。このあと、危険度情報表示処理部4は、記憶部7に格納された上記分析対象の作業に関する分析結果の表示情報を生成し、ネットワーク32を介してクライアントコンピュータ31に送出して表示させる。
【0167】
また、管理者用のクライアントコンピュータ30とサーバコンピュータ1A内の危険度情報表示処理部4、入力処理部5及び評価情報提示処理部6とは、ネットワーク32を介して情報の送受が可能である。これによって、サーバコンピュータ1Aに格納される評価指標情報、作業内容情報や評価者情報などは、管理者用のクライアントコンピュータ30によってネットワーク32を介して適宜変更される。さらに、サーバコンピュータ1Aからヒューマンエラー危険度情報をクライアントコンピュータ30に提示することも可能である。
【0168】
以上のように、この実施の形態5によれば、評価指標情報や作業内容情報などの情報の格納とヒューマンインタフェースの分析処理を実行するサーバコンピュータ1Aと、上記情報の変更や更新を管理する管理者用クライアントコンピュータ30や、評価処理や分析要求を行う評価者が管理するクライアントコンピュータ31を、ネットワーク32で接続して1つのHMI評価分析装置として構成したので、作業内容情報や評価結果の情報を共有して、複数の評価者が同時に遠隔からでも評価することができる。このため、より多くの評価者による評価が可能になる。
【0169】
また、評価者が評価した結果を収集してサーバコンピュータ1Aにまとめて格納することによって、同じ作業内容を複数の評価者が評価した結果を容易に比較することができる。つまり、複数の評価者による評価結果を比較することで、これらの間の評価結果のばらつきを見ることができる。また、評価者が増えたときにも再評価が容易にできる。
【0170】
さらに、複数の評価者のそれぞれにも分析結果を表示することによって、自身の危険に関して認識するだけでなく、他の評価者の評価分析結果と比較することによって、新たな危険を認識する「気づき」の効果がある。これは、KYT(危険予知訓練)のツールとしても有効である。このように作業環境の定量的評価を行い、分析を実施して、不備な点を抽出することにより、HMIの具体的な修正を喚起することができる。
【0171】
実施の形態6.
この実施の形態6によるHMI評価分析装置は、上記実施の形態2の構成と基本的に同様である。ただ、任意の評価者が他の評価者と有意に異なる評価を行った場合、当該評価結果を表示する処理が異なる。よって、当該相違点について主に説明する。
【0172】
次に動作について説明する。
図23はこの発明の実施の形態6によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図であり、図中のステップST3fは図16中のC−D間におけるステップST3cに対応するものである。よって、本実施の形態6によるHMI評価分析装置の評価処理では、図16中のC−D間におけるステップST3cの代わりに、図23中のステップST3fを実行するものである。
【0173】
先ず、ステップST1cからステップST2cまでの処理は、上記実施の形態2と同様であり、重複する説明を省略する。続いて、ヒューマンインタフェース分析部8a内の評価値情報補正部29は、上記「作業の名称」の選択情報及び上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部11を検索し、当該「作業の名称」で特定される作業に関する上記分析対象評価者の評価値情報を取得する(ステップST3f−1)。
【0174】
さらに、評価値情報補正部29は、上記分析対象評価者を特定する「氏名」の選択情報を用いて記憶部28を検索し、当該評価者の評価者情報を取得する(ステップST3f−2)。このあと、評価値情報補正部29は、評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値によって評価値情報中の評価値を重み付けし、評価結果の補正を行う(ステップST3f−3)。評価者情報中の「作業の理解度」や「信頼度」に関する評価値としては、例えば上記実施の形態2と同様に評価値の数値の選択肢で管理者に評価させたものや、理解度テストの得点などの数値を用いる。
【0175】
続いて、評価値情報補正部29は、記憶部11から上記「作業の名称」で特定される作業に関する各評価者の評価値情報を取得し、各評価者の評価値情報における評価結果と、ステップST3f−3において評価者情報によって補正した評価結果である代表値とを比較して、有意に異なる評価値が存在するか否かを判定する(ステップST3f−4)。
【0176】
ここで、ステップST3f−4における判定処理の具体例を説明する。
先ず、複数の評価者による同一評価指標に対する評価結果が正規分布に基づくと仮定して、複数の評価者による同一評価指標に対する評価値の平均値及び分散からその正規分布を求める。当該正規分布の棄却域に属する評価値を「他の評価者とは有意に異なる評価値」であると判定する。この棄却域としては、片側検定を実施する場合、例えば上記正規分布の上側5%や3%を設定する。この棄却域の値自体は、任意に設定することができる。
【0177】
また、正規分布の棄却域の選び方としては、上側がより危険な評価になると推測される評価対象である場合は、上側を棄却域とする。反対に、下側がより危険な評価になると推測される評価対象である場合は下側を棄却域とする。但し、一般的には、上側、下側を棄却域とする両側検定を採用する場合が多い。また、これらの方法のいずれを採用しても良く、評価対象に応じて任意に選択することも可能である。
【0178】
ステップST3f−4において、代表値と有意に異なる評価値が存在した場合、当該評価値を選択した評価者による評価結果を抽出し、当該評価結果及び/又は評価者を提示する表示情報を生成する。当該表示情報は、表示装置2に送出され表示される(ステップST3f−5)。
【0179】
このようにすることによって、当該作業の管理者は、上記表示情報に基づいて信頼度の高い評価者が有意に異なる評価を行った場合は、他の評価者が気づいていない危険を抽出することができる。一方、信頼度の低い評価者が有意に異なる評価を行った場合は、作業をよく理解しておらず、再教育が必要な作業者の判断材料として用いることができる。
【0180】
また、上述した説明では、代表値と有意に異なる評価値の存在の有無を判定したが、上記実施の形態1の構成に本実施の形態6を適用したような場合では、複数の評価者による各評価結果をそれぞれ比較して、有意に他の評価者と異なる評価値が存在するか否かを判定するようにしてもよい。
【0181】
次に、ステップST3f−5における表示処理について詳細に説明する。
図24は実施の形態6によるHMI評価分析装置が生成する表示データを示す図である。図において、2Eは評価値情報の表示画面であって、図23中のステップST3f−3において代表値を含む評価値情報を表示する。16は作業名表示欄で、表示すべき作業の「作業名」を表示する。33は評価指標選択表示欄であって、対象とする評価指標を選択できるような形式のコントロールであればよい。
【0182】
この評価指標選択表示欄33によって、利用者(管理者)は、参照する評価指標を選択する。34は評価値リスト欄で、作業番号とこれにより特定される作業内容、評価者及びその評価値、並びに、図23中のステップST3f−3において求めた代表値を表示する。なお、図10と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0183】
利用者である管理者に入力装置3を用いて評価指標が選択されると、その評価指標について他の評価者とは有意に異なる評価値を与えた評価者のリストが評価値リスト欄34に表示される。この評価値リスト欄34では、入力装置3を用いてリスト中の作業を選択することができるよう構成されている。具体的には、上記リスト上で作業を選択したうえで、作業参照ボタン23を押下すると、作業内容情報を参照し、その作業を記述した要領書のコピーや作業現場の写真などが表示される。また、閉じるボタン24を押下すると、この作業内容情報の詳細画面の表示を終了する。
【0184】
以上のように、この実施の形態6によれば、他の評価者あるいは代表値と有意に異なる評価値及びそれを選択した評価者を抽出しその一覧を表示するので、管理者が特異な評価を行った評価者を把握することができる。この場合、有意に異なる評価を与えた評価者は、作業をよく理解していないか、他の評価者が注目していない危険に気付いていると考えられる。
【0185】
なお、上記実施の形態1から6までにおいて、表示装置2に表示された評価指標情報や作業内容情報に対して評価値を入力するにあたり、評価者などが評価値に対応する数値を直接入力しなくとも、感覚的に当該数値を設定できるように構成しても良い。例えば、各評価指標について予め設定した数値をスライダによって選択するGUIを提供する。入力処理部5では、当該スライダによって選択された表示画面上の位置情報と評価値が関連付けて設定されており、当該位置情報を評価値に変換して記憶部11に格納する。これにより、評価者は、直接数値を入力しなくとも、入力装置3であるマウスなどを利用してスライダを移動させ、表示装置2に表示させた数値を選択するだけで評価値を設定することができる。
【0186】
また、この他にも、入力装置3であるキーボード内の特定の複数のキーに予め評価値を対応させておく。これにより、評価者が、当該特定のキーを押下することで、直接数値を入力しなくとも評価値を設定することができる。このように、本発明には、上述した構成以外にも、評価者などが評価値に対応する数値を直接入力しなくとも感覚的に当該数値を設定できるインタフェースを提供する既存の技術を適宜適用することができる。
【0187】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて格納する記憶部と、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示すると共に、複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として記憶部に格納する情報収集部と、分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じて上記ヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に重み付けを加えてなるヒューマンエラー危険度を算出する分析部とを備えるので、ヒューマンエラーを誘発する要因についての高度な知識を必要とせず、各評価者の恣意的な評価を除くことができると共に、ヒューマンエラーに対する寄与度が高い分析結果をより管理者に認識させることができ、HMI上の問題点に対する管理者の認知度を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。
【図2】図1中のヒューマンインタフェース分析部の構成を示す図である。
【図3】実施の形態1によるHMI評価分析装置が格納する情報を示す図である。
【図4】実施の形態1によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図である。
【図5】評価値情報の構成を概略的に説明する図である。
【図6】図1中の記憶部に格納した評価値情報の内容を示す図である。
【図7】実施の形態1のHMI評価分析装置による分析処理を示すフロー図である。
【図8】図7中の分析処理の詳細を示すフロー図である。
【図9】実施の形態1のHMI評価分析装置による分析処理に使用される情報内容を示す図である。
【図10】図1中の危険度情報表示処理部が生成する表示データを示す図である。
【図11】図1中の危険度情報表示処理部が生成する他の表示データを示す図である。
【図12】この発明の実施の形態2によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。
【図13】図12中のヒューマンインタフェース分析部の構成を示す図である。
【図14】図12中の記憶部に格納される評価者情報の構成を示す図である。
【図15】実施の形態2によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図である。
【図16】実施の形態2によるHMI評価分析装置の分析処理を示すフロー図である。
【図17】図16中の代表値算出処理の詳細を示すフロー図である。
【図18】この発明の実施の形態3によるHMI評価分析装置が使用する評価指標情報の内容を示す図である。
【図19】実施の形態3によるHMI評価分析装置の分析処理を示すフロー図である。
【図20】この発明の実施の形態4によるHMI評価分析装置が使用する評価指標情報の内容を示す図である。
【図21】実施の形態4によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図である。
【図22】この発明の実施の形態5によるHMI評価分析装置の構成を示す図である。
【図23】この発明の実施の形態6によるHMI評価分析装置の評価処理を示すフロー図である。
【図24】実施の形態6によるHMI評価分析装置が生成する表示データを示す図である。
【図25】従来のHMI評価分析システムの構成を示す図である。
【図26】従来のヒューマンエラー分析評価方法に使用される分析評価表を示す図である。
【符号の説明】
1,1a HMI評価分析装置、1A サーバコンピュータ、2 表示装置、2A 評価指標リスト画面、2B 分析結果の表示画面、2C グラフ表示画面、2D 分析結果の一覧表示画面、2E 評価値情報の表示画面、3 入力装置、4 危険度情報表示処理部、5 入力処理部(情報収集部)、6 評価情報提示処理部(情報収集部)、7,9,10,11,28 記憶部、8,8a ヒューマンインタフェース分析部(分析部)、11a 評価結果、12 情報入力部、13 情報抽出部、14 エラー補正因子算出部、15 ヒューマンエラー危険度算出部、16 作業名表示欄、17 評価指標リスト欄、18 中止ボタン、19 結果表示ボタン、20 評価指標名表示欄、21 評価結果グラフ表示欄、22 作業選択ボタン、23 作業参照ボタン、24 閉じるボタン、25評価結果グラフ表示欄、26 グラフ線表示欄、27 分析結果一覧、29 評価値情報補正部、30,31 クライアントコンピュータ、32 ネットワーク(電気通信回線)、33 評価指標選択表示欄、34 評価値リスト欄。
Claims (7)
- 評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて格納する記憶部と、
上記評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示すると共に、上記複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として上記記憶部に格納する情報収集部と、
分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じて上記ヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に重み付けを加えてなるヒューマンエラー危険度を算出する分析部と
を備えたヒューマンマシンインタフェース評価分析装置。 - 情報収集部は、評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価を行った評価者の評価能力に関する評価指標の評価結果を収集し、評価結果と関連付けて記憶部に格納することを特徴とする請求項1記載のヒューマンマシンインタフェース評価分析装置。
- 情報収集部は、ヒューマンエラーが発生した場合における影響の度合いを評価指標として提示し、
分析部は、当該評価指標の評価結果に応じた重み付けを分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に加えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のヒューマンマシンインタフェース評価分析装置。 - 情報収集部は、評価点候補ごとにヒューマンエラー要因に関する評価の基準となる評価基準情報を付与し、当該評価基準情報と共に評価点候補を提示することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のヒューマンマシンインタフェース評価分析装置。
- 情報収集部は、電気通信回線を介して評価者が管理するコンピュータ装置と情報を送受することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のヒューマンマシンインタフェース評価分析装置。
- 分析部は、複数の評価者による同一評価指標に対する評価結果のうち他の評価者と有意に異なる評価値が存在する否かを判定し、有意に異なる評価値を与えた評価者を作業の管理者側に通知することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のヒューマンマシンインタフェース評価分析装置。
- 評価対象の作業における作業工程ごとに予め設定した評価指標の評価結果を、当該評価を行った評価者に関連付けて格納する記憶部、
上記評価指標の評価結果に関する情報を収集するにあたり、当該評価指標ごとに予め設定した複数の評価点候補を提示すると共に、上記複数の評価点候補から選択された評価点候補を当該評価指標に対する評価結果として上記記憶部に格納する情報収集部、
分析対象の作業におけるヒューマンマシンインタフェースについてのヒューマンエラーに対する寄与度を評価指標ごとに設定し、当該寄与度に応じて上記ヒューマンマシンインタフェースに関する評価指標の評価結果に重み付けを加えてなるヒューマンエラー危険度を算出する分析部
としてコンピュータを機能させるプログラム。
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2002
- 2002-08-09 JP JP2002233659A patent/JP2004077526A/ja active Pending
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