JP2004076456A - 掘削方法及び掘削装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、大型の作業用ピットを設けることなく、地上から地下埋設管の接続部近傍へ下穴を非開削で掘削し、供給管を敷設するための大きさに拡径することが可能で、特に、一般家庭など供給管を引き込む側に推進機を設置して曲線状の下穴を形成し、引き込み側からその下穴に沿う地中穴を形成できる掘削方法及び掘削装置を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の掘削方法は、地表面に設定した始端部と地中に設定した至端部とを連結する地中穴を形成する掘削方法において、始端部より下穴掘削体を推進して下穴を掘削し、始端部より拡径掘削体を推進して該下穴の軸心に沿い該下穴を拡径し、地中穴を形成することを特徴としている。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非開削で地中穴を形成するための掘削方法及び掘削装置に関し、特に、ガス、上下水道などの地下埋設管から分岐する供給管を敷設する地中穴を形成するのに好適な掘削方法及び掘削装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスや上下水道などの地下埋設管から供給管を分岐させるには、地下埋設管部分と供給管敷設部分を地上から掘削して土砂を取り除いた上で作業を進めることが普通であるが、地上からの開削作業が必要であり、作業量が増えるだけでなく、工期も長くなって不経済であり、また道路等を掘り返すことによる地域への影響も無視できない。これを解決するために、非開削で地中穴を形成し、供給管を敷設する非開削工法が提案されている。非開削工法において直径が100mm程度以上の地中穴を掘削する場合には、例えば直径が50mm程度の下穴を掘削した後その下穴を拡径して地中穴を形成することが多い。
【0003】
下穴を掘削した後、拡大リーマで下穴内面を拡径して地中穴を形成する工法が、例えば特開平5−149084号公報に開示されている。特開平5−149084号公報に開示されている工法は、発進立抗及び到達立抗の間に地中穴を形成するもので、例えば発進立抗から到達立抗に向けて推進ユニットを推進して下穴を掘削し、到達立抗において、推進ユニットを貫通して設けられている駆動軸の先端に拡大リーマを取付け、駆動軸を駆動させて拡大リーマを回転させながら推進ユニットを発進立抗側に引抜くことにより、地中穴を形成するものである。
【0004】
また、雑誌「月間下水道」(1993年発行、Vol.16、No.11)には、地上から地下の下水道本管へ取り付け管敷設用地中穴を掘り下げる工法が記載されている。雑誌「月間下水道」(1993年発行、Vol.16、No.11)には、「SDスピーダ工法」と「TPH工法」の2つが説明されているが、類似した工法である。前者は、「奈良市における小口径管推進工法による取り付け管工事について」と題した記事中に記載されており、下水道管を敷設する際に用いられて、地中の本管に向けて直線状ガイドロッドを推進した後、ガイドロッドに貫通するオーガビットとオーガを連結セットし、オーガを回転、推進し、オーガビットにより掘削するものである。掘削により発生する土砂は、オーガで地表へと搬出する。後者は「ハウスコネクションに威力を発揮するTPH工法」と題した記事に記載されており、前記工法におけるオーガの代わりに、シールドパイプを用いるものであり、シールドパイプ先端に掘削用のビットを取り付け、シールドパイプを回転、推進し、掘削用ビットで掘削していくものである。この工法は、シールドパイプに水を流し込んで、戻り水で排土する。
【0005】
加えて地上発進型推進機により非開削で地中穴を形成する工法が、例えば特開平11−223277号公報に開示されている。特開平11−223277号公報に開示されている工法は、予め設けられた発進立抗の近傍の地表面上に設置された推進機と、その発進立抗の対向する内壁を押圧する固定用切ばりと、推進機と固定用切ばりの連結部材からなるものであり、掘削時に推進機へ働く反力を固定用切ばりで受け、反力による推進機の振動を防止し、安定した掘削作業を行うことができるようにするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
非開削工法においては、できるだけ地上からの開削作業を行わないことが望ましいが、特開平5−149084号公報に記載されている工法では推進機が内設できるような大型の作業用ピットを設ける必要があり好ましくない。
また、一般家庭へのガスや上水道の供給管のように、ポリエチレン管等可撓性を有する配管を用いる場合、敷設経路途中に他の埋設管等の障害物があっても、これを避けて曲げることができる。従って、敷設用の地中穴は、他の配管等の障害物を回避して迂回し、かつできるだけ小さい曲げ半径で形成することが望ましい。しかし、雑誌「月間下水道」(1993年発行、Vol.16、No.11)に記載されている工法では、ガイドロッドは直線状であり、拡径して形成される地中穴は直線状のものに限定されるという問題がある。
加えて、ガスや上水道の供給管の引き込み側である例えば一般家庭の敷地は通常狭隘であり、その引き込み側に設置する推進機の据付面積はごく少ないことが望ましい。しかしながら、特開平11−223277号公報に記載されている工法では、発進立抗、連結部材および推進機を設ける面積が必要となるため実質的に推進機を設置できなくなるという問題が発生する。
【0007】
本発明は、上述した問題を鑑みてなされたものであり、大型の作業用ピットを設けることなく、地上から地下埋設管の接続部近傍へ下穴を非開削で掘削し、供給管を敷設するための大きさに拡径することが可能で、特に、一般家庭など供給管を引き込む側に推進機を設置して曲線状の下穴を形成し、引き込み側からその下穴に沿う地中穴を形成できる掘削方法及び掘削装置を提供することを目的としている。加えて、本発明は、ごく少ない据付面積で推進機を設置できる掘削方法及び掘削装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の掘削方法は、地表面に設定した始端部と地中に設定した至端部とを連結する地中穴を形成する掘削方法において、始端部より下穴掘削体を推進して下穴を掘削し、始端部より拡径掘削体を推進して該下穴の軸心に沿い該下穴を拡径し、地中穴を形成することを特徴としている。また本発明の掘削方法は、前記下穴は弧状部を有することを特徴としている。加えて本発明の掘削方法は、前記地中穴は流体を供給又は排出する管体の敷設用地中穴であり、前記始端部は管体を引き込む側に設定することを特徴としている。
【0009】
本発明の掘削装置は、下穴を掘削する下穴掘削手段と該下穴掘削手段へ連結すると共に下穴掘削手段へ回転力と推力を伝達し可撓性を有する駆動手段を備えた下穴掘削体と、該駆動手段により回転可能になされた拡径手段と該拡径手段へ連結すると共に拡径手段へ推力を伝達し可撓性を有する推進手段を備えた拡径掘削体とを有する掘削装置であって、(1)地表面に配置する本体部と、(2)本体部に配設すると共に推進方向に沿う案内部を設けた案内手段と、(3)ロッドユニットを連結する回転手段と案内部に嵌装できる案内部材を設けると共に推進ユニットが連結される駆動部と、(4)駆動部に連結し駆動部を推進する推進手段とを備えた推進機を有し、前記駆動手段により回転可能になされた前記拡径手段を回転すると共に、該駆動手段と該拡径手段を同期して推進することを特徴としている。よって、下穴掘削体で形成した下穴を拡径掘削体で拡径して下穴の軸心に沿う地中穴を形成することができる。
【0010】
また本発明の掘削装置は、前記推進手段が連結し、前記駆動手段を軸心方向に貫通できる挿通部と前記案内部に嵌装できる案内部材を設けた推進具を備えた推進機を有し、該推進具と前記駆動部は、推進具を駆動部の前方に、それぞれの案内部材が案内部に嵌装するよう前記案内手段へ設け、前記回転手段に連結された駆動手段が軸心方向に推進具の挿通部を貫通するよう配設することを特徴としている。なお、前記推進具に連結し推進具を推進する第2の推進手段を有し、前記拡径手段を回転させつつ、第2の推進手段により拡径手段を推進するようにすれば、より掘削作業を効率的に行うことができるので好ましい。
【0011】
加えて、本発明の掘削装置の前記推進手段は、連接された前記推進部材及び該推進部材と前記駆動手段を掛止する掛止部材からなり、該推進部材及び/又は該掛止部材には地中穴の内径と略同一な外径を有する支持部を設けることを特徴としている。よって、駆動手段を支持部により支持することができる。
【0012】
更に加えて本発明の掘削装置は、前記拡径手段に設けられる圧力流体供給手段と連通する圧力流体噴出口と、該拡径手段の後方に設けられる流体吸引手段と連通する流体吸引口とを有していることを特徴としている。よって、圧密状態の土砂を高圧水で緩和しつつ地中穴を形成することができる。
【0013】
また本発明の掘削装置は、下穴を掘削する下穴掘削手段と該下穴掘削手段へ連結すると共に下穴掘削手段へ回転力と推力を伝達し可撓性を有する駆動手段を備えた下穴掘削体と、該駆動手段により回転可能になされた拡径手段と該拡径手段へ連結すると共に拡径手段へ推力を伝達し可撓性を有する推進手段を備えた拡径掘削体とを有する掘削装置において、下穴掘削体と拡径掘削体が連結し地表面に設置する推進機と、その推進機の地表面に対向する面に垂設し、地表面に設けられた縦穴の壁面を利用して推進機を固定する固定装置とを有することを特徴としている。よって、ごく少ない設置面積で推進機を固定することができる。
なお前記固定装置は、リンク機構からなり、そのリンク機構に連結し前記縦穴の壁面に対向する外周面を形成した固定部材を備え、そのリンク機構により固定部材が拡張して壁面を押圧する一対の固定手段と、一端部がその固定手段に連結する駆動部材と、その駆動部材の他端部が連結し前記リンク機構を駆動する直動手段とを有するようにすれば、固定装置をコンパクトにすることができるので好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係わる掘削装置1の概略構成図である。図1において、掘削装置1は、下穴を掘削する下穴掘削手段と該下穴掘削手段へ連結すると共に下穴掘削手段へ回転力と推力を伝達し、可撓性を有する駆動手段を備えた下穴掘削体2と、該駆動手段で回転可能になされた拡径手段と該拡径手段へ連結すると共に拡径手段へ推力を伝達し、可撓性を有する推進手段を備えた拡径掘削体3と、掘削ヘッド21と拡径ビット31へ該回転力と該推力を付与する推進機4とを有している。
【0015】
そして掘削装置1は、地表面5に設置した推進機4から発進する下穴掘削体2により下穴52を掘削し、推進機4から発進する拡径掘削体3により該下穴軸心に沿い下穴52を拡径し、例えば供給管を引き込む地中穴53または供給管と地下埋設管を接続する接続手段を挿入する地中穴53を形成するものである。以下、下穴掘削体2、拡径掘削体3及び推進機4それぞれについて説明する。
【0016】
[下穴掘削体]
下穴掘削体2について図7〜図9に基づいて説明する。
下穴掘削体2は、図7に示すように、下穴を形成する掘削ヘッド21(下穴掘削手段)と回転力と推力を掘削ヘッド21へ伝達するロッドユニット22(駆動手段)を有している。
【0017】
全体が略円柱状の掘削ヘッド21には、先端側が先鋭になるように傾斜面211を形成し、後端側に雄ネジ212を形成している。傾斜面211の傾斜角度θは、30°±15°の範囲で、掘削する土質や、曲線状穴の曲率を考慮して定めればよい。ロッドユニット22は、同一の基本構造を有する3種類のロッド部材を一列に接続して組立てたものである。即ち、図8に示すように、ロッドユニット22は、連結された複数(図8では15個)の中間ロッド部材23(23a、23b、…)の一端側に前部ロッド部材24を連結し、他端側に後部ロッド部材25を連結した構造を有するものである。
【0018】
図9は、中間ロッド部材23の断面図である。中間ロッド部材23は、軸部231とフランジ状の胴部232を持つ段付き円筒形状部材である。胴部232の外径は、掘削ヘッド21の外径と同じか、それより小さくする。胴部232の中心部には、軸部231の外径dよりやや大きい内径Dの軸部装着穴233を形成する。軸部装着穴233の端面側にはOリング装着溝234を設ける。胴部232には、軸心Xと直交する方向(紙面に対して垂直)に、連結用ピン237を装着するための胴ピン穴235を設ける。軸部231には、胴ピン穴235と直交する方向に、後述する連結用ピン237を装着するための軸ピン穴236を設ける。中間ロッド部材23は、図7及び図8に示すように、隣接する中間ロッド部材23の軸部装着穴233と軸部231とが嵌装し、ピン237を介して連結する。
【0019】
前部ロッド部材24は、中間ロッド部材23の、軸部装着穴233の内径に雌ネジ245を形成したものである。後部ロッド部材25は、同じく軸部231の外径に雄ネジ256を形成したものである。前記掘削ヘッド21の雄ネジ212と、後部ロッド部材の雄ネジ256を同一仕様とし、前部ロッド部材24の雌ネジ245にねじ込み可能とすることにより、掘削ヘッド21は、前部ロッド部材24にネジで結合することができる。また、ロッドユニット22どうしもネジ締結で連結することができ、下穴掘削体2の長さを容易に調整することができる。
【0020】
前部ロッド部材24、中間ロッド部材23、後部ロッド部材25を相互に組み付けて形成されたロッドユニット22には、軸心Z(図7、図8参照)が形成される。各ロッド部材は隣接して嵌装した軸部231と軸部装着穴233をOリング238で圧着しているので、軸心Zと同心に保持することができる。また、各ロッド部材間にはゴムシート26を密接的に装着しているため、ロッドユニット22にはゴムシート26の弾性等で定まる所定の曲げ剛性を付与することができる。一方、隣接する中間ロッド部材23は、軸心Z方向と直交した方向で互いに90度方向が異なる軸方向回りに揺動することができる。従って、ロッドユニット22は、軸心Zから360度の範囲で向きを変えて進むことができるとともに、所定の曲げ力が作用した場合は所定の曲率で曲がることができる。
【0021】
上述した下穴掘削体2によれば、次のようにして直進穴、曲進穴又は直進穴と曲進穴を掘削することができる。
直進穴を掘削する場合は、後部ロッド部材25に回転力と推力を作用する。回転力及び推力を、ロッド部材を連結しているピン237を介して掘削ヘッド21へ伝達する。これにより、掘削ヘッド21先端の傾斜面211は回転するので、傾斜面211が受ける推進反力の向きは軸心Zまわりに順次移動し、ロッドユニット22には曲がりは発生しない。従って、ロッドユニット22は真直状態を維持して推進し、直進穴を形成することとなる。
【0022】
曲進穴を掘削する場合は、掘削進行方向と逆向きに掘削ヘッド21先端の傾斜面211を位置決めし、回転させずに掘削体を推し進める。この時は、掘削ヘッド21先端が傾斜面211からの一方向の反力を受けて、ロッドユニット22に曲げモーメントが作用する。これにより、中間ロッド部材は、ピン237を中心にゴムシート26の材質や圧縮代等により定まる曲げ剛性に応じた角度だけ傾き、ロッドユニット22は曲進し、曲率を有する穴を形成することとなる。
下穴掘削体2は、曲進穴を形成した後でも、再度直進穴をあけることができる。これは、ロッドユニット22が、その特徴的構造により、曲がった掘削穴中でも軸心Z回りに回転することができるからである。
【0023】
[拡径掘削体]
次に拡径掘削体3について、図2に基づいて説明する。
本実施態様の拡径掘削体3は、ロッドユニット22の外周面に沿い移動可能なように嵌合する拡径ビット31(拡径手段)と拡径ビット31に一端部が連結する推進ユニット35(推進手段)とを備えている。
【0024】
図2に断面で示すように、拡径ビット31は非回転部33と回転部34を有しており、各々の中央部には、ロッドユニット22が貫通できる穴部が形成されてている。非回転部33は、ロッドユニット22の外周部とは非接触でロッドユニット22が挿通される穴部を有する段付き円筒形状部材である。非回転部33の小径側外周部には、円筒状の回転部34を、ラジアル軸受け342とスラスト軸受け343を介して回転可能に装着しており、半径方向にセットされた複数本のピン344により軸方向への移動を阻止している。回転部34の端部には、複数の拡径用刃具32を、回転半径が回転部34及び非回転部33の外径より大きくなるように、ピン321等で固着している。
【0025】
回転部34の貫通穴部341は、ロッドユニット22の外周部と回転力伝達可能な嵌合い形状に形成されている。後述するように、ロッドユニット22の外周部断面形状は基本的には円であるが、拡径ビット31を装着して拡径する工法に用いるには、回転力伝達部を形成するための、軸方向に沿った溝や平面部を加工しておく必要がある。図3にロッドユニット2の半径方向断面図を示しているが、本実施態様においては外周部に2対の平面を設けている。このロッドユニット22を用いる場合、回転部34の貫通穴部341は、少なくとも1対の平面には嵌合する形状で、かつ軸方向にはスライドできる寸法とする。
【0026】
推進ユニット35は、図4に示すように、同一の基本構造を有する複数の推進部材36(本図では36a、36b、35cの3本)を一列に接続して組立てたもので、先端の推進部材36aは拡径ビット31の非回転部33に連接し、後端の推進部材36cは後述の推進具42に連接するように、ロッドユニット22に沿って配設する。
【0027】
推進部材36は、ロッドユニット22を半径方向から抱き込んで接続でき、かつロッドユニット22の回転時に回転力が伝達しないように構成する。即ち、推進部材36の内周部は、図3に断面図で示すように、例えばロッドユニット22の外径寸法より大きな内径寸法を有する半円形部と、平行な延長線部からなる壁部を有し一方が開放された略U字形状とする。また、図4及び図5に示すように、推進部材36の軸心方向の一端面には先端が円弧状の突起361を、また他端面には円弧状溝362を、半円形部と延長線部の境界箇所で180°対向する位置に設けている。よって、例えば一つの推進部材36bの突起361bと別の推進部材36aの円弧状溝362aは、嵌め合って、円弧状溝廻りに回転可能な関節を形成することができる。複数の推進部材36は、ロッドユニット22に沿って節で連接することとなる。
【0028】
前記したように、前端の推進部材36aは拡径ビット31の非回転部33と連接し、後端の推進部材36cは推進具42と連接する。従って、前述の推進部材同士の連接におけると同様、非回転部33には、推進部材36aの突起361aと嵌め合って関節をなすような円弧状の溝331を形成する。また推進具42には、推進部材36cの円弧状の溝362cと嵌め合って関節をなすような、先端が円弧状の突起421を形成する。隣接する推進部材36間、或いは推進部材36aと拡径ビット31間には、関節が外れないように圧縮力を作用させる。その圧縮力は、例えば、各部材に設けたピン363にゴム等の弾性部材364を係止して付与するようにする。
【0029】
また、推進部材36には、図5に示すように、例えば関節に、ロッドユニット22を推進部材36とは逆方向から抱き込むように掛止する掛止部材365を装着し、推進ユニット36がロッドユニット22から浮上がって外れないようにする。従って、突起361は、掛止部材365を挿入しても関節機能を果すために必要な隙間を確保できるような長さとする。また、掛止部材365やピン363等は、刃具32の回転直径の範囲に収まる寸法や構造とする。
【0030】
前述したように構成される関節は、推進部材36を通じて拡径ビット31の非回転部33に推進機4から付与される推力を伝達するとともに、図6に示すように、推進部材36をロッドユニット22の曲がりに合せて傾かせることができる。図6は、関節が円弧状溝廻りに回転する方向に推進ユニット35が曲がっている場合を示しているが、関節は、円弧状溝廻りに直交する方向にも溝内で傾くことができる。よって推進ユニット35は、ロッドユニット22の曲がりに沿い曲折することが可能である。なお、関節は、前記180°対向する位置に設けるだけでなく、半円形部頂点である中間位置にも設ければ、関節回転中心が確保されて、推進部材36が半径方向にずれることがなく好ましい。
【0031】
図11に示すように、掛止部材365の外径を拡径ビット31で掘削された地中穴53の内径と略同一として支持部366となし、支持部366により拡径ビット31が通過後のロッドユニット22を支えるようにしてもよい。支持部366の軸心方向の長さ、形状は、支持部366により上述した関節の動作を妨害しないよう適宜設定し、例えば図11に示すように凸でR状となっていれば好適である。なお支持部366は、推進部材36の長手方向の一部に設けても良い。支持部366を設けることにより、例えば掘削長さが長くなった場合にも、ロッドユニット22の撓みや座屈を防止することができ、安定して掘削作業を行うことができる。
【0032】
[推進機]
推進機4について図1に基づいて説明する。
推進機4は、(1)地表面5に配置する本体部43と、(2)本体部43に配設すると共に推進方向に沿う案内部461を備えた案内手段46と、(3)ロッドユニット22が連結される回転手段411と案内部461に嵌装できる案内部材412を備えた駆動部41と、(4)推進ユニット35が連結され、ロッドユニット22を軸心方向に貫通できる挿通部422と前記案内部材412と同様な案内部材423を備えた推進具42と、(5)駆動部41に連結し駆動部41を推進方向に沿い移動させる推進手段47と、推進機4の動作を制御する制御部45とを有し、推進具42と駆動部41は、推進具42を駆動部41の前方に、それぞれの案内部材412、423が案内部461に嵌装するように案内手段46へ設けると共に、前記回転手段411に連結されたロッドユニット22が軸心方向に推進具42の挿通部422を貫通するよう配設するものである。
【0033】
また、前記下穴掘削体2と拡径掘削体3を連結し地表面5に設置する推進機4は、推進機4の地表面5に対向する面に垂設し、地表面5に形成した縦穴51の壁面を利用して推進機4を固設する固定装置6を有するものである。
【0034】
本体部43は、案内手段46を上面に配設する傾動板431と、下面が地表面5に接地する底板432と、傾動板431を傾動する傾動部材433とを有している。傾動板431と底板432は蝶番状に連結したものである。すなわち、傾動板431と底板432の一方端部には共通に軸434を挿着しており傾動板431は傾動可能となっている。それぞれの他方端部の内側には、例えばジャッキなどからなる傾動部材433が、傾動板431と底板432を連結するように配設している。上述のように構成される本体部43により、傾動板431の地表面5に対する傾き量を調整し、推進具42及び駆動部41に連結する下穴掘削体2及び拡径掘削体3を所定の角度で地中に進入することが可能となる。
【0035】
案内手段46は、図1において矢印Dで示すように、紙面上で右上から左下の推進方向に沿い配置した、例えばリニアスライドレールなどからなる案内部461を有している。案内手段46には、本体部43の傾動板431へ案内手段46を固定するための推進方向に沿う長穴(図示せず)が設けられている。
【0036】
駆動部41は、ロッドユニット22の後部ロッド部材25の雄ネジ256が嵌合する雌ネジ414を備えた回転手段411と、案内部461に嵌装できる案内部材412を有している。回転手段411は、ロッドユニット22を介して掘削ヘッド21と拡径ビット31へ回転力を付与するものである。駆動部41は、その案内部材412が案内部461へ嵌装されると共に案内手段46の後方に配設する。
駆動部41には、推進手段47を連結する。推進手段47は、駆動部41を推進し、掘削ヘッド21と拡径ビット31へ推力を付与するものである。すなわち、推進手段47の推力は、回転手段411を介して駆動部41へ連結するロッドユニット22を通じ掘削ヘッド21へ伝達されると共に、下記で説明するように推進具42に連結する推進ユニット35を介して拡径ビット31へも伝達できる。
前記回転手段411の駆動方法としては例えば電動モータやエアモータ、推進手段47の駆動方法としては例えば電動シリンダー、エアシリンダーまたは送りネジとモータを使用した送り機構などの部材を使用することができるが、比較的大きな駆動力を得られる油圧モータや油圧シリンダーを使用することが望ましい。
【0037】
推進具42は、ロッドユニット22を軸心方向に貫通できる挿通部422と、推進部材36の円弧状溝362と嵌め合って関節をなすような先端が円弧状の突起421と、案内部461に嵌装できる案内部材423を有している。推進具42は、案内部材423が案内部461に嵌装されると共に駆動部41の前方に配設する。また推進具2は、回転手段411に連結されたロッドユニット22が挿通部422を貫通するように配設する。
【0038】
以上のように駆動部41、推進具42及び推進手段47を配設することにより、下穴52を掘削する際には掘削ヘッド21を単独に、下穴52を拡径して地中穴53を掘削する際にはロッドユニット21とそれに嵌合する拡径ビット31を協調して推進することが可能となる。
すなわち、下穴52を掘削する際には、前方に配設された推進具2へ駆動部4が当接しないように、例えば案内手段46の推進方向の端部に推進具42を位置決めし、推進手段47により駆動部41のみを前進して掘削ヘッド21を単独に推進する。
下穴52を拡径して地中穴53を掘削する際には、例えば駆動部41に当接するよう推進具42を位置決めし、または結合部材(図示せず)により駆動部41と推進具42を結合するなどして、駆動部41が推進具42を押圧し、それぞれが一体に推進できるようにする。推進手段47により前進する駆動部41は、推進具42を押圧し、推進手段47の推力を推進具42へ伝達する。その推力は、推進ユニット35を介して拡径ビット31へ作用し、拡径ビット31を推進する。よって、駆動部41に連結するロッドユニット22と推進ユニット35を介し推進具42に連結する拡径ビット31は、推進手段47により同期して推進することが可能となる。
【0039】
上述のように、掘削ヘッド21と拡径ビット31は、回転手段411に連結したロッドユニット22を介して回転可能であり、掘削ヘッド21は単独にあるいはロッドユニット22と拡径ビット31は協調して推進手段47が連結した駆動部41を介し推進可能であるので、掘削ヘッド21により下穴52を掘削できると共に、拡径ビット31により下穴軸心に沿い下穴52を拡径して地中穴53を形成することが可能となる。
【0040】
次に、固定装置6について図12に基づいて説明する。図12(a)は、固定装置6の正面図、図12(b)はC−C断面を示したものである。
固定装置6は、図12(a)、(b)に示すように、固定部材641、651を収納した状態(実線)で、固定装置6を縦穴51へ挿入し、その後、固定部材641、651を拡張し(点線)て縦穴51の内壁を押圧し、推進機4を固定するものである。なお図1に示すように、本実施態様の縦穴51は略円筒形状をなし、推進機4の直下の地表面5に形成したものである。
【0041】
固定装置6は、一軸方向に移動可能な直動部材611を備えた例えば油圧シリンダーである直動手段61と、略円柱形状の駆動部材62と、駆動部材62を嵌挿できる孔部を備えた案内部材63と、一対の固定手段64、65とを有している。直動手段61は、底板432の下面と直動部材611の軸心が略直交すると共に直動部材611が下方を向くように配設する。駆動部材62は、直動部材611の先端部にそれぞれの軸心を合せ連結する。案内部材63は、直動手段61の下部に設けると共に駆動部材62を孔部に嵌通するよう配設する。固定手段64、65は、駆動部材62の軸心に対し対称になるようその下部に配設する。固定手段64、65の構造は同一であるので、以下固定手段64についてのみ説明する。
【0042】
固定手段64は、駆動部材62より操作されるリンク機構である。すなわち、固定手段64は、図12(b)に示すように、縦穴51の壁面の曲率と略同一の曲率で形成された外周面を備えた円環の一部をなす断面形状で、半径方向においては駆動部材62に対し大略同心円状に、軸心方向においては外周面と縦穴51の壁面が略平行に対向するように配置される固定部材644と、図12(a)に示すように、駆動部材62の先端部に上下の位置関係となるよう設けられる一対の第1のリンク642及び643と、案内部材63の先端部に設けられる第2のリンク646を有している。
【0043】
第1のリンク641、642は、その一方端部がピン643によりシャフト62の先端部に、その他方端部がピン645により固定部材644の内周部に回動可能なよう連結する。よって、第1のリンク641、642は、ピン643を支点とし、ピン645を作用点として回動することが可能となっている。
同様に第2のリンク646は、その一方端部がピン647により案内部材63の先端部に、その他方端部がピン648により上側のリンク641に回動可能なよう連結する。よって、第2のリンク646は、ピン647を支点とし、ピン648を作用点として回動することが可能となっている。
【0044】
固定装置6を縦穴51に挿入する際には、図12(a)において実線で示すように、直動部材61の直動部材611はストローク端にあり、よって前記固定部材644は収納された状態にある。
固定装置6を縦穴51に装入した後、直動部材61の直動部611を引き戻し、駆動部材62を上方に移動させる。上側の第1のリンク641には上方に向かう力が作用し、その力は、上側のリンク641と第2のリンク646を接合しているピン648を介して第2のリンク646へ伝達される。その力により、第2のリンク646は、図12(a)において点線で示すように、支点であるピン647を中心として反時計回りに回動し、それに伴い上側のリンク641も支点であるピン643を中心として時計周りに回動する。その上側のリンク641の一端が連結している固定部材644は縦穴51の壁面側へ移動する。同時に、その上側のリンク641の下方で固定部材644と連結している下側のリンク642も支点であるピン643を中心として同様に時計回りに回動する。よって、固定部材644は収納時の姿勢を保ちつつ拡張し、その外周面は縦穴51の壁面に当接し、直動手段61の引き戻し力により縦穴51の壁面を大きさEの力で押圧し、推進機4を固定する。
【0045】
上述したようにリンク機構を用いて固定手段64を構成することにより、例えば押圧を付与する手段として固定用切ばりやシリンダーを用いた場合に比べ、固定装置6をコンパクトにすることができる。また、固定装置6を挿入する縦穴51は、推進機4の直下の地面に形成すればよく、よって推進機4の据付には推進機4を設置できる面積があれば足りる。
【0046】
上記本実施態様の説明では、縦穴51は略円筒形状のものとしたが、大略直方体形状に形成されたものでも良く、その際には固定装置6の固定部材644、654の外周面の形状は平坦面とする。
また固定手段64、65は3式以上設けてもよく、例えばシャフト62の外周部に90°、60°などのピッチで複数個設ければ、押圧力を等分に分散されることができ、例えば縦穴51の壁部の地耐力が低い場合でも壁の崩壊を防止しつつ推進機4を固定することが可能となる。
固定装置6は複数個設けることもでき、例えば推進方向において底板432の前後に固定装置6を設ければ、推進方向に発生するモーメント荷重を受けることができ、より確実に推進機4を固定することが可能となる。
【0047】
次に、本実施態様の掘削方法について、地中穴53は、例えばガスや水などの流体を供給、排出する管体の敷設用地中穴であり、始端部は管体を引き込む側である例えば一般家庭など民地に設定し、至端部は管体の他端側を接続する例えば地下埋設管9に設定し、その民地から地下埋設管9へ地中穴53を形成する場合を例として説明する。
【0048】
図10、図7、図1を参照しながら、まず下穴掘削について説明する。
まず、図1に示すように、供給管引込み側の地表面5の掘削開始地点の近傍に、推進機4の固定装置6を挿入できる大きさの略円筒形状の縦穴51を形成し、上述したように推進機4を固設する。
【0049】
次に、図7に示すように、掘削ヘッド21に最初のロッドユニット22aを接続した下穴掘削体2を組立て、設置した推進機4の駆動部41の回転手段411に挿着する。ここで図1に示すように、下穴掘削体2が所定の進入角度で地中に推進できるよう傾動部材433で上板431の傾き量を調整する。また、駆動部41をストローク端まで移動させた際に、回転手段411に連結しているロッドユニット22の後部が、拡径掘削体3の拡径ビット31の長さ以上で地表から出るように案内手段46の位置を調整する。その後案内手段46は、案内手段46に設けられた長穴により傾動板431へ固定する。下穴掘削の際には、推進具42は案内手段46の前部に配置する。
【0050】
次に、図10に示すように、推進機4の駆動部41を操作して下穴掘削体2を地中へ発進し、掘削ヘッド21を回転させつつ斜め下方へ推進する。駆動部41がストローク端まで押し込まれたら、ロッドユニット22aと回転手段411の結合を外し、駆動部41をストローク分後退させる。次いで、新たなロッドユニット22bの前部ロッドユニット24bを、既挿入のロッドユニット22aの後部ロッドユニット25aにネジ込んで結合するとともに、後部ロッドユニット25bを回転手段411に挿着し、駆動部41の操作を再開する。前記操作を、計画した斜め直進区間S1の終端部に掘削ヘッド21が達するまで繰り返す。
【0051】
水平掘削のための遷移区間としての曲進区間S2では、下穴掘削体2は掘削ヘッド21の傾斜面211の向きを所定方向に固定して推進のみを行う。例えば掘削方向を斜め下方向から水平方向に修正する場合は、傾斜面211を下に向けた状態で、下穴掘削体2を回転させずに推進する。直進区間S3開始点に達し、掘削ヘッド21が水平方向になると、下穴掘削体2を再度回転させながら前進させ、目標地下埋設管9の方向に掘削ヘッド21を推し進める。
【0052】
ここで、例えば目標地下埋設管9への掘削区間S3の途中に他の埋設管等障害物があった場合、前記曲進区間及び再直進区間における操作と同様操作をすることにより、迂回することができる。
なお、掘削ヘッド21の深さおよび傾斜面211の向きは、例えば電磁波を発するゾンデ(図示せず)を掘削ヘッド21に組み込み、その磁界を受信機器で計測することにより検出することができる。
【0053】
また、ロッドユニット22は、ロッド部材が円筒形状で、嵌装している軸部と軸部装着穴とはOリング238を圧着しているため、内部に水、空気等の圧力流体を流すことができる。従って、掘削ヘッド21に、先端に通じる貫通穴を設ければ、ロッドユニット22内部に供給された例えば圧力水を掘削ヘッド先端から噴出しながら推進することができ、土質等の状態に応じて適用することにより、掘削を容易にすることができる。
【0054】
次に、拡径動作について図4、図10及び図11により説明する。
前述したようにして、所定長さの下穴掘削を終了すると、ロッドユニット22と回転手段411の結合を外し、駆動部41をストローク分後退させる。次いで、地表に出ているロッドユニット22に拡径ビット31を通し、駆動部41をストローク端まで前進させてロッドユニット22と回転手段411を結合し、ロッドユニット22をストローク分だけ引き戻す。これにより、地中に推進していた下穴掘削体2は、ストローク分地上に引き戻される。
【0055】
上記の状態で、図4に示すように、推進具42を後退させ、駆動部41の前方の所定位置にセットし、所定数の推進部材36を、地上に引戻されたロッドユニット22に沿って軸方向に連接する。最初にセットした推進部材36aは、拡径ビット31の非回転部33と関節を介して連接し、その後推進部材36同士を順次同様に関節を介して連接し、最後にセットする推進部材36cの端部に拡径ビット推進部42を連接する。図4には推進部材36は3本だけしか示していないが、推進部材36の長さ、推進手段47のストローク等の条件に応じてその適宜本数を定めることができる。
【0056】
拡径は、推進機4より拡径掘削体3を地中へ発進し、駆動部41の回転手段411を回転しつつ駆動部41を推進して行う。回転手段411に連結されているロッドユニット22は回転しながら軸方向に移動し、同時に駆動部41により押圧される推進具42に連結した推進ユニット35もロッドユニット22と軸方向相対位置を保ちながら移動する。よって、拡径ビット31は、推進ユニット35を介して軸方向に移動するとともに、回転部34はロッドユニット22からの回転力が伝達されて回転する。即ち、拡径用刃具32は回転しながらロッドユニット22と共に推進するので、下穴を拡径することができる。
【0057】
下穴掘削体2は、ロッドユニット22が自由度高く変形するので、直進穴だけでなく曲進穴も掘削できるものであり、拡径される穴は、変形したロッドユニット22に沿って掘削されなければならない。前記拡径時には、ロッドユニット22は、1ストローク分後退した位置から回転しながら前進するが、この時は下穴掘削時と異なり、既に掘削した穴中を移動するので、掘削ヘッド21には掘削反力は作用せず、ロッドユニット22は掘削済みの下穴が曲線状であっても、下穴に沿って移動しながら軸心Zまわりに回転する。前述したように、推進ユニット35を構成している推進部材36は関節で連接されているので、ロッドユニット22の曲がりに合せて推進部材36を傾けることができ、拡径ビット31はロッドユニット22に沿って移動することができる。
【0058】
上述のようにして1ストローク分の拡径された地中穴53を形成した後、駆動部41と推進具42を1ストローク分だけ引戻す。次いで、前述したと同様に、再び所定数の推進部材36を連接して、駆動部41と推進具42を作動させ、さらに地中穴53を1ストローク分の長さ延長する。以降、同様な操作を繰返し、地中穴53を所定長さだけ形成する。図1は、地中を推進した拡径ビット31が、ロッドユニット22先端の掘削ヘッド21の直前まで到達した状態を示している。掘削ヘッド21の外径をロッドユニット22の外径より大きくしておけば、拡径ビット31は掘削ヘッド21に当接するので、それ以上は進まなくなる。又、ロッドユニット22の回収時、拡径ビット31を掘削ヘッド21で引っかけて引戻すことができるので、掘削ヘッド21と拡径ビット31を同時に地中から回収することができる。
【0059】
以上、圧密で拡径する場合について説明したが、高圧水を噴射しながら拡径することもできる。この場合の拡径ビットを図2に示すが、拡径ビットの非回転部33に噴出口332を設け、継手37で地上の放水ポンプに連なるホース38と接続する。また泥水吸引用ホース39を、拡径ビット非回転部33の後方に吸引口391が開口するように設け、地表の吸引ポンプと接続する。この状態で地表の吐出ポンプを動作させると、噴出口332から矢印A方向へと放水され、拡径ビット31で切り崩した土砂を泥水状態とすることができる。吸引ポンプを動作させると、泥水状態となった土砂を吸引口391から矢印B方向へと吸引し、地表へと排出することができる。
例えば浅い穴を圧密で拡径する場合には、拡径の圧力が地表面5まで達し、拡径された地中穴53から地表面5までの土質はその圧力でボロボロとなり拡径直後から地中穴53の崩落が始まる。しかし、上記のように切り崩した土砂を排土して圧密状態を緩和させると、地中穴53が崩落する危険性は減少する。
【0060】
上述した掘削装置は、(1)地表面に配置する本体部43と、(2)本体部43に配設すると共に推進方向に沿う案内部461を設けた案内手段46と、(3)ロッドユニット22が連結される回転手段411と案内部461に嵌装できる案内部材412を設けると共に推進ユニット35が連結される駆動部41と、(4)駆動部41に連結し駆動部41を推進させる推進手段47とを備えた推進機4を有するようにしてもよい。すなわち、前記推進具42に設ける、後端の推進部材36cの円弧状の溝362cと嵌め合って関節をなすような先端が円弧状の突起421と同様な突起を駆動部41に形成し、推進ユニット35が駆動部41へ連結できるようにする。よって上述の説明と同様に、ロッドユニット22に嵌合した拡径ビット31は回転することができ、そのロッドユニット22と拡径ビット31を同期して推進することができ、下穴軸心に沿い下穴52を拡径し、地中穴53を形成することが可能となる。
【0061】
また、前述の拡径動作においては、駆動部41に設けた回転手段411により回転動作と推進手段47により推進動作を付与したが、回転手段411は回転動作のみを行わせ、推進具42への推進動作は、駆動部41とは別の第2の推進手段で行わせることもできる。即ち、駆動部41は軸方向に移動せず、推進具42だけが第2の推進手段により移動するので、移動しないロッドユニット22に沿って、推進ユニット35と拡径ビット31が地中に推し進められることになる。このため、地中穴を延長するために、推進部材36を継ぎ足すに際し、ロッドユニット22を地中から引き抜かなくてもよく、作業能率がよくなる。
【0062】
また、掘削穴が直線状であれば、拡径は必ずしも下穴を掘削した後に行うようにする必要はなく、同時に掘削することができる。即ち、下穴開け当初の段階、又はソケットの1ストローク分掘削した段階から、拡径掘削体3を下穴掘削体3に組合せ、回転手段411を回転させながら推進すれば、直進状下穴が掘削されるすぐ後ろから拡径していくことができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、
1)下穴掘削と同様な方向から拡径掘削して、供給管の敷設や接続装置を挿入するための弧状に曲がった地中穴を形成することができ、また下穴掘削体及び拡径掘削体は地上に設置する推進機より発進するので大型の発進立抗や到達立抗の掘削やその復旧といった作業が不要となり、もって能率的に地中穴を形成することができると共に道路などの公共施設を掘り返す必要もないことから地域への影響を極めて少なくすることが可能である。
2)拡径掘削体の推進ユニットに支持部を設けることにより、掘削長さが長くなった場合でも安定して掘削作業を行うことができ、もって一様な大きさの地中穴を能率よく形成することが可能となる。
3)圧密状態の土砂を高圧水で緩和しつつ地中穴を形成することにより、拡径ビットを駆動させる回転力や推力を低減することができ、更にその泥水を地中穴外に吸引排出するので地中穴の崩落が発生し難く、安定した掘削作業を行うことが可能となる。
4)推進機は、下穴掘削体と拡径掘削体を同期又は個別に推進することができるので、掘削状況に応じて掘削作業を行うことが可能である。
5)推進機の固定部を推進機の下面に設けたことにより、推進機の据付には推進機を設置できる面積があれば良く、もって狭隘な民地などからも掘削作業が可能となる。
6)リンク機構により固定手段を形成することによりコンパクトな固定部とすることができ、もって固定部を挿入する縦穴を形成する際にも大掛かりな土木工事をする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の掘削装置の一例を示す断面図である。
【図2】拡径掘削体の拡径ビットを示す断面図である。
【図3】推進部材とロッド部材の配置関係を示す断面図である。
【図4】拡径掘削体の一例を示す側面図である。
【図5】抜け止め具の装着状態を示す断面図である。
【図6】ロッドユニットに沿って推進ユニットが曲がっている時の状態を示す図である。
【図7】下穴掘削体の一例を示す側面図である。
【図8】ロッドユニットの一部断面を含む側面図である。
【図9】ロッドユニットに用いる中間ロッド部材の軸方向断面図である。
【図10】下穴掘削体を用いた穴掘削の一例を示す図である。
【図11】支持部の構造の一例を示す図である。
【図12】固定部の構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:掘削装置
2:下穴掘削体、21:掘削ヘッド、22:ロッドユニット
3:拡径掘削体、31:拡径ビット、35:推進ユニット
4:推進機、41:駆動部、42拡径ビット推進部、
43:本体部、45:制御部
46:案内手段
5:地表面、51:縦穴、52:下穴、53:地中穴
6:固定装置
9:埋設管

Claims (10)

  1. 地表面に設定した始端部と地中に設定した至端部とを連結する地中穴を形成する掘削方法において、始端部より下穴掘削体を推進して下穴を掘削し、始端部より拡径掘削体を推進して該下穴の軸心に沿い該下穴を拡径し、地中穴を形成することを特徴とする掘削方法。
  2. 請求項1に記載の掘削方法において、前記下穴は弧状部を有することを特徴とする掘削方法。
  3. 請求項1又は2に記載の掘削方法において、前記地中穴は流体を供給又は排出する管体の敷設用地中穴であり、前記始端部は管体を引き込む側に設定することを特徴とする掘削方法。
  4. 下穴を掘削する下穴掘削手段と該下穴掘削手段へ連結すると共に下穴掘削手段へ回転力と推力を伝達し可撓性を有する駆動手段を備えた下穴掘削体と、該駆動手段により回転可能になされた拡径手段と該拡径手段へ連結すると共に拡径手段へ推力を伝達し可撓性を有する推進手段を備えた拡径掘削体とを有する掘削装置であって、
    (1)地表面に配置する本体部と、(2)本体部に配設すると共に推進方向に沿う案内部を設けた案内手段と、(3)ロッドユニットを連結する回転手段と案内部に嵌装できる案内部材を設けると共に推進ユニットが連結される駆動部と、(4)駆動部に連結し駆動部を推進する推進手段とを備えた推進機を有し、
    前記駆動手段により回転可能になされた前記拡径手段を回転すると共に、該駆動手段と該拡径手段を同期して推進することを特徴とする掘削装置。
  5. 請求項4に記載の掘削装置であって
    前記推進手段が連結し、前記駆動手段を軸心方向に貫通できる挿通部と前記案内部に嵌装できる案内部材を設けた推進具を備えた推進機を有し、該推進具と前記駆動部は、推進具を駆動部の前方に、それぞれの案内部材が案内部に嵌装するよう前記案内手段へ設け、前記回転手段に連結された駆動手段が軸心方向に推進具の挿通部を貫通するよう配設することを特徴とする掘削装置。
  6. 請求項5に記載の掘削装置であって、
    前記推進具に連結し推進具を推進する第2の推進手段を有し、前記拡径手段を回転させつつ、第2の推進手段により拡径手段を推進することを特徴とする掘削装置。
  7. 請求項4乃至6のいずれかに記載の掘削装置であって、
    前記推進手段は、連接された前記推進部材及び該推進部材と前記駆動手段を掛止する掛止部材からなり、該推進部材及び/又は該掛止部材には地中穴の内径と略同一な外径を有する支持部を設けることを特徴とする掘削装置。
  8. 請求項4乃至7のいずれかに記載の掘削装置であって、
    前記拡径手段に設けられる圧力流体供給手段と連通する圧力流体噴出口と、前記拡径手段の後方に設けられる流体吸引手段と連通する流体吸引口とを有していることを特徴とする掘削装置。
  9. 下穴を掘削する下穴掘削手段と該下穴掘削手段へ連結すると共に下穴掘削手段へ回転力と推力を伝達し可撓性を有する駆動手段を備えた下穴掘削体と、該駆動手段により回転可能になされた拡径手段と該拡径手段へ連結すると共に拡径手段へ推力を伝達し可撓性を有する推進手段を備えた拡径掘削体とを有する掘削装置であって、
    下穴掘削体と拡径掘削体が連結し地表面に設置する推進機と、
    その推進機の地表面に対向する面に垂設し、地表面に設けた縦穴の壁面を利用して推進機を固設する固定装置とを有することを特徴とする掘削装置。
  10. 請求項9に記載の掘削装置であって、
    前記固定装置は、リンク機構とそのリンク機構に連結し前記縦穴の壁面に対向する外周面を形成した固定部材とを備え、そのリンク機構により固定部材が拡張して壁面を押圧する一対の固定手段と、
    一端部がそのリンク機構に連結する駆動部材と、
    その駆動部材の他端部が連結し前記リンク機構を駆動する直動手段と
    を有することを特徴とする掘削装置。
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