【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用サスペンション部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用サスペンション部品(以下、単にサスペンション部品という)は、軽量で高い強度や疲労強度が要求される反面、高い耐衝撃性も必要とされることから、アルミニウム鍛造品が多く用いられている。そして、その製造において、鍛造加工に用いられる金型は、鍛造性および金型製作の容易化を考慮して、上型と下型の2つの金型が用いられ、その型割り線がサスペンション部品の上端面または反対側の下端面の近傍の側面に形成されている。
【0003】
また、この型割り線の部分からは、鍛造時に余剰のアルミニウム合金がバリとして排出され、このバリは鍛造品を熱間あるいは冷間でトリミングされる。よって、このように製造されたサスペンション部品には、型割り線(パーティングライン)が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなパーティングラインは、トリミングにより生じた凹凸形状を有し表面粗さが粗くなっているので、凹凸形状表面(表層部)の応力分布が局部的に大きくなる。具体的には、パーティングラインの応力が、パーティングライン以外の一般部に比べて、局部的に約300%程度の大きさになる。このように応力集中する部分は、疲労破壊の起点となりやすく、他の部分に比べて疲労強度が15%程度低いことがわかっている。
【0005】
つまり、パーティングラインを有する部分の疲労強度はパーティングラインにより15%だけ低くなり、この部分の実際の許容応力は15%低下していることになる。許容応力が15%低下するため、パーティングラインを有する部分の設計応力を他の部分よりも15%低く見積もった上で疲労強度計算を行い、肉厚を厚くする等の必要があった。
【0006】
このように、サスペンション部品を疲労強度(許容応力)の低い部分に合わせて設計した場合には、パーティングラインのない場合に比べて、肉厚の増加により、その断面積が大きくなり、その重量も増加してしまうという問題があった。
【0007】
さらに、断面積を大きくすると、パーティングライン以外の鍛造肌の部分である一般部は、本来必要とされている疲労強度より15%も高い強度を有することになるが、これを活用する術がないことから、過剰品質となっていた。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、サスペンション部品の設計において、高い疲労強度を採用することができ、従来設計に比較して肉厚が減肉され、重量が軽量化されたサスペンション部品およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車輪と車体とを連結させるための複数の取付部と、この取付部を端部に設けるアーム部とを備えた鍛造品からなる自動車用サスペンション部品において、鍛造時に前記アーム部および前記取付部に亘って発生したバリのトリミング面であるパーティングラインを有し、このパーティングラインの表面粗さが、最大高さ粗さ(Rmax)で10〜40μm、かつ中心線平均粗さ(Ra)で1〜2μmである自動車用サスペンション部品として構成したものである。
【0010】
前記の構成において、前記パーティングラインの表面粗さが、最大高さ粗さ(Rmax)で10〜40μm、かつ中心線平均粗さ(Ra)で1〜2μmであることにより、パーティングラインへの応力集中が軽減され、その疲労強度低下が軽減される。
【0011】
また、請求項2または請求項3に記載の発明は、車輪と車体とを連結させるための複数の取付部と、この取付部を端部に設けるアーム部とを備えた鍛造品からなる自動車用サスペンション部品の製造方法において、鍛造時に前記アーム部および前記取付部に亘って発生したバリを、所定長のバリを残してトリミングする工程と、さらに、トリミング後のバリをしごき加工する工程とを含む、または、鍛造時に前記アーム部および前記取付部に亘って発生したバリを、所定長のバリを残してトリミングする工程と、さらに、トリミング後のバリを切削加工する工程とを含む自動車用サスペンション部品の製造方法として構成したものである。
【0012】
前記構成により、バリのトリミング面(パーティングライン)における剪断により生じた凹凸形状が平坦になり、表面粗さが最大高さ粗さ(Rmax)で10〜40μm、かつ中心線平均粗さ(Ra)で1〜2μmの範囲内になり、パーティングラインへの応力集中が軽減され、その疲労強度低下が軽減される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1(a)は自動車用サスペンション部品の平面図、(b)は(a)の側面図、図2は図1(a)のA−A線断面図、図3はトリミング後のパーティングラインを示す模式図、図4(a)は図3のC−C線断面の模式図、(b)は(a)のしごき加工後の断面の模式図である。
【0014】
自動車用サスペンション部品(以下、単にサスペンション部品という)は、JISH4140に定められたA6061合金やその改善材等の6000系のアルミニウム合金を鍛造することにより成形されている。
【0015】
図1(a)、(b)に示すように、サスペンション部品1は、取付部2、3、4とを有し、これがアーム部5で連結された構成を有している。また、アーム部5の側面11には、鍛造時に発生するバリのトリミング面であるパーティングライン12が形成されている。さらに、アーム部5は、中央部分に凹部6を有すると共に、図1(b)に示すように取付部2から取付部3(4)に至る中間において平面Bに対して湾曲させたオフセット部7を有している。なお、平面Bとは、取付部2、取付部3および取付部4を結ぶ平面である。なお、このようなサスペンション部品1は、自動車のサスペンションのアッパーアーム、または、ロアアームとして活用される。
【0016】
前記したアーム部5の凹部6は、軽量設計を目指すために形成されており、図2に示すように外端面となる上端面8が閉じ、同じく外端面となる下端面9が開放された略コ字状の断面形状を有する。また、アーム部5の上端面8から下端面9に至る側面11が、上端面8から下端面9にかけて断面の幅が減少するような傾斜面であってもよく。この傾斜面は、サスペンション部品の鍛造における金型の抜き勾配に相当する傾斜を有する。
【0017】
ここで、このようなサスペンション部品1が自動車に取り付けられると、取付部2、3、4に荷重が作用し、オフセット部7に応力が発生する。このような応力のうち、図2に示すX軸まわりのモーメントを発生させる応力σは、上端面8および下端面9が最大値となり、断面の応力中立点10にかけて逓減するような線形分布をしている。なお、応力中立点10よりも上側にかかる応力と、応力中立点10よりも下側にかかる応力とは、正対する方向に作用している。また、応力中立点10の位置は、オフセット部7の断面形状により決定されるものであり、必ずしも図2の位置にくるものではない。
【0018】
このようなオフセット部7は、上端面8、下端面9に発生する最大応力を許容応力として強度計算を行い、その断面積を決定する。また、上端面8または下端面9には、パーティングライン12が形成され、このパーティングライン12の表面粗さが他の一般部11Aの表面粗さに比べて粗くなっているため、その表面粗さにより応力集中に起因した疲労強度および許容応力の低下が発生する。したがって、サスペンション部品1の設計に際し、その部分の応力集中による疲労強度(許容応力)の低下を加味して強度計算がなされる。ここで、疲労強度(許容応力)の低下が大きいほど、その部分での強度不足を回避するために、サスペンション部品1の断面積(肉厚)を大きくする必要があり、サスペンション部品1の重量が増加することとなる。
【0019】
本発明においては、パーティングライン12の表面粗さを以下に示す特定の範囲に限定することにより、その部分での応力集中を軽減し、その結果、その部分での疲労強度低下を軽減させることができた。したがって、サスペンション部品1の設計に際して、従来より高い疲労強度(許容応力)が採用でき、従来設計に比較してサスペンション部品1の断面積を小さくすることができる(肉厚を減肉することができる)ことから軽量化が可能になった。
【0020】
前記に基づいて、本発明においては、パーティングライン12の表面粗さを、最大高さ粗さ(Rmax)10〜40μm、かつ中心線平均粗さ(Ra)1〜2μmの範囲に特定した。パーティングライン12が、この範囲内の表面粗さを有することにより、この部分への応力集中が軽減され、この部分での疲労強度低下率が5%以下となり、従来の疲労強度低下率15%に比べ疲労強度低下率が軽減される。ここで、最大高さ粗さ40μmを超え、かつ中心線平均粗さ2μmを超える表面粗さでは、疲労強度低下率の軽減が認められない。また、最大高さ粗さ10μm未満、かつ中心線平均粗さ1μm未満の表面粗さでは、疲労強度低下率の軽減効果が飽和するとともに、その粗さへの加工が、後記するしごき加工または切削加工等の汎用手段では長時間を要し、作業性が悪いものとなる。
【0021】
次に、このようなサスペンション部品1の製造工程を簡単に説明する。
第1の方法として、
(1)鋳造されたアルミニウム合金素材を所定形状に切断し、所定温度まで加熱してから、熱間鍛造する。
(2)そして、鍛造により形成されたバリを、所定長のバリが残るように熱間または冷間でトリミングする。また、所定長(バリ残長)は、続いて行なうしごき加工の作業性、および加工後の表面粗さを考慮して、0.8〜1.5mmが好ましい。これにより、図3に示すように、トリミング金型による切断面12Aと強制破断面12B(前記のバリ残長)の組み合わさったバリのトリミング面であるパーティングライン12が得られる。
(3)そのパーティングライン12の強制破断面12Bを熱間または冷間でしごき加工し、特定範囲の表面粗さを有するパーティングライン12を備えた図1、図2に示すサスペンション部品1が完成する。また、しごき加工の作業性を考慮して、強制破断面12Bだけでなく、切断面12Aを含めてしごき加工を施しても良い。
【0022】
また、しごき加工に用いる金型は、トリミング金型に類似した金型を用い、図4(a)、(b)に示すように、作業性、および加工後の表面粗さを考慮してバリ残長0.5〜1.0mmで行うことが好ましい。これにより、バリ残長の0.3〜0.5mmがパーティングライン12に寝るように曲げ加工されて、表面粗さが改善される。
【0023】
第2の方法として、
(A)鋳造されたアルミニウム合金素材を所定形状に切断し、所定温度まで加熱してから、熱間鍛造する。
(B)そして、鍛造により形成されたバリを、所定長のバリが残るように熱間または冷間でトリミングする。また、所定長(バリ残長)は、続いて行なう切削加工の作業性、および加工後の表面粗さを考慮して、0.8〜1.5mmが好ましい。これにより、図3に示すように、トリミング金型による切断面12Aと強制破断面12Bの組み合わさったパーティングライン12が得られる。
(C)そのパーティングライン12の強制破断面12Bを切削加工し、特定範囲の表面粗さを有するパーティングライン12を備えた図1、図2に示すサスペンション部品1が完成する。なお、切削加工としてはロ−タリーカッタが好適に使用される。また、切削加工の作業性を考慮して、強制破断面12Bだけでなく、切断面12Aを含めて切削加工を施しても良い。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明について実施例を用いてさらに説明する。
アルミニウム合金鍛造素材(A6061合金、外径70mm)を、300mmの長さに切断したものを400℃まで加熱後、図1、図2に示すようなサスペンション部品1の形状に熱間鍛造した。
【0025】
(実施例1)
前記の鍛造品を、バリ残長0.8〜1.5mmのトリミング金型により400℃以下で(熱間または冷間)トリミングする。その後、バリ残長0.5〜1.0mmの金型を用いて、トリミングされた鍛造品のバリのトリミング面を400℃以下で(熱間または冷間)しごき加工し、表面粗さが本発明の範囲内の平滑なパーティングライン12を有するサスペンション部品1を試作した。このサスペンション部品1のパーティングライン12の表面粗さ、局部応力集中率、疲労強度低下率を後記する方法で測定、算出した。その結果を表1に記載した。次に、疲労強度低下率を考慮して設計変更(減肉)を行い、再度、前記鍛造品からトリミング、しごき加工により、サスペンション部品1を作製した。
【0026】
(実施例2)
前記鍛造品を、バリ残長0.8〜1.5mmのトリミング金型により400℃以下で(熱間または冷間)トリミングする。その後、トリミングされた鍛造品のバリのトリミング面をロ−タリーカッタで切削加工し、表面粗さが本発明の範囲内の平滑なパーティングライン12を有するサスペンション部品1を試作した。このサスペンション部品1のパーティングライン12の表面粗さ、局部応力集中率、疲労強度低下率を後記する方法で測定、算出した。その結果を表1に記載した。次に、疲労強度低下率を考慮して設計変更(減肉)を行い、再度、前記鍛造品からトリミング、切削加工により、サスペンション部品1を作製した。
【0027】
(比較例1)
前記実施例の比較対照として、前記鍛造品を、バリ残長0.8〜1.5mmのトリミング金型により400℃以下で(熱間または冷間)トリミングしただけの、凹凸なパーティングラインを有する従来のサスペンション部品を作製した。このサスペンション部品のパーティングラインの表面粗さ、局部応力集中率、疲労強度低下率を後記する方法で測定、算出した。その結果を表1に記載した。
【0028】
(表面粗さ)
表面粗さ測定器((株)小阪研究所製:サーフコーダSE−40)を用いてJISB0601に規定されている最大高さ粗さ(Rmax)、中心線平均粗さ(Ra)を測定した。
【0029】
(局部応力集中率)
バリ部断面の拡大写真から局部形状のプロファイルを抽出し、弾性有限要素法による応力解析を行い、下式(1)で局部応力集中率を算出した。
F=(P/K)×100 (1)
F:局部応力集中率(%)
P:パーティングラインの応力(N)
K:一般部の応力(N)
【0030】
(疲労強度低下率)
板厚さ方向に加工代を設けた板状試験片を、サスペンション部品から機械加工により切り出して、疲労強度試験片とした。その試験片で疲労強度を測定し、下式(2)で疲労強度低下率を算出した。なお、パーティングライン部の疲労強度の測定に使用する試験片は、パーティングラインが試験片の端面に配置されるように切り出した。
H={(H0−H1)/H0}×100 (2)
H :疲労強度低下率(%)
H0:一般部の疲労強度(N)
H1:パーティングラインの疲労強度(N)
【0031】
【表1】
【0032】
表1の結果から、実施例1、2は比較例1(従来例)に比べて、パーティングライン12での局部応力集中が軽減され、疲労強度低下が軽減されることが確認された。
【0033】
さらに、実施例1および実施例2の設計変更後のサスぺンション部品1は、比較例1のサスペンション部品と比較して、その肉厚が減肉でき、その重量が約6〜15%軽量化された。
【0034】
本発明は前記の実施形態に限定されずに広く応用することができる。例えば、サスペンション部品はアルミニウム合金で製造することが好ましいが、その他の合金や、鉄鋼材料から製造することも可能である。また、アーム部が凹部を有する替わりに、貫通穴を有するなど、サスペンション部品の形状は適宜変更することが可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上の通り、本発明においては、パーティングラインの表面粗さを最大高さ粗さ(Rmax)で10〜40μm、かつ中心線平均粗さ(Ra)で1〜2μmの範囲内にすることにより、自動車用サスペンション部品の設計において、高い疲労強度を採用することができ、従来設計に比較して肉厚が減肉され、重量が軽量化された自動車用サスペンション部品を提供することが可能となる。
【0036】
また、本発明においては、鍛造時に前記アーム部および前記取付部に亘って発生したバリを所定長のバリを残してトリミングする工程と、トリミング後のバリをしごき加工する工程とを含む、または、鍛造時に前記アーム部および前記取付部に亘って発生したバリを所定長のバリを残してトリミングする工程と、トリミング後のバリを切削加工する工程とを含むことにより、自動車用サスペンション部品の設計において、高い疲労強度を採用することができ、従来設計に比較して肉厚が減肉され、重量が軽量化された自動車用サスペンション部品の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の自動車用サスペンション部品の平面図、(b)は(a)の側面図である。
【図2】図1(a)のA−A線断面図である。
【図3】本発明のトリミング後のパーティングラインを示す模式図である。
【図4】(a)は図3のC−C線断面の模式図、(b)は(a)のしごき加工後の断面の模式図である。
【符号の説明】
1 自動車用サスペンション部品
2、3、4 取付部
5 アーム部
6 凹部
7 オフセット部
8 上端面
9 下端面
10 応力中立点
11 側面
11A 一般部
12 パーティングライン
12A 切断面
12B 強制破断面[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a vehicle suspension component and a method for manufacturing the same.
[0002]
[Prior art]
BACKGROUND ART For automotive suspension components (hereinafter simply referred to as suspension components), aluminum forgings are often used because they are required to be lightweight and have high strength and fatigue strength, but also require high impact resistance. In the manufacture, two dies, an upper die and a lower die, are used in consideration of forgeability and easiness of die production, and a mold parting line is used for a suspension part. Is formed on the side surface near the upper end surface or the lower end surface on the opposite side.
[0003]
In addition, excess aluminum alloy is discharged as burrs from the parting wire during forging, and the burrs are used to hot or cold trim the forged product. Therefore, a parting line (parting line) is formed in the suspension component manufactured as described above.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, since such a parting line has an uneven shape caused by trimming and has a rough surface roughness, the stress distribution on the uneven surface (surface layer portion) locally increases. Specifically, the stress of the parting line locally becomes approximately 300% larger than that of the general part other than the parting line. It is known that a portion where the stress is concentrated tends to be a starting point of the fatigue fracture, and the fatigue strength is lower by about 15% than other portions.
[0005]
That is, the fatigue strength of the part having the parting line is reduced by 15% due to the parting line, and the actual allowable stress of this part is reduced by 15%. Since the allowable stress is reduced by 15%, it is necessary to estimate the design stress of the part having the parting line by 15% lower than the other parts, calculate the fatigue strength, and increase the wall thickness.
[0006]
As described above, when a suspension component is designed for a portion having a low fatigue strength (allowable stress), its cross-sectional area increases due to an increase in wall thickness as compared with a case without a parting line, and its weight increases. Also increased.
[0007]
Furthermore, when the cross-sectional area is increased, the general part, which is the part of the forged skin other than the parting line, has a strength 15% higher than the originally required fatigue strength. Because of the lack, the quality was excessive.
[0008]
Therefore, the present invention has been made in order to solve such a problem, and an object of the present invention is to adopt a high fatigue strength in the design of a suspension component, and to increase a wall thickness as compared with a conventional design. It is an object of the present invention to provide a suspension part whose thickness is reduced and whose weight is reduced, and a method of manufacturing the same.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problem, the invention according to claim 1 comprises a forged product including a plurality of mounting portions for connecting a wheel and a vehicle body, and an arm portion having the mounting portion at an end. A suspension part for an automobile has a parting line which is a trimming surface of burrs generated over the arm portion and the mounting portion during forging, and the surface roughness of the parting line is a maximum height roughness (Rmax). ) And a center line average roughness (Ra) of 1 to 2 μm.
[0010]
In the above configuration, the surface roughness of the parting line is 10 to 40 μm in maximum height roughness (Rmax) and 1 to 2 μm in center line average roughness (Ra). Is reduced, and the decrease in fatigue strength is reduced.
[0011]
According to a second or third aspect of the present invention, there is provided a forged vehicle comprising a plurality of mounting portions for connecting a wheel and a vehicle body, and an arm portion having the mounting portion at an end. The method for manufacturing a suspension component includes a step of trimming a burr generated over the arm portion and the attachment portion during forging while leaving a burr of a predetermined length, and further, a step of ironing the burr after the trimming. Or an automotive suspension component including: a step of trimming a burr generated over the arm portion and the mounting portion during forging while leaving a burr of a predetermined length; and a step of cutting the burr after trimming. Is manufactured as a manufacturing method.
[0012]
According to the above configuration, the unevenness generated by the shearing on the trimming surface (parting line) of the burr becomes flat, the surface roughness is 10 to 40 μm in maximum height roughness (Rmax), and the center line average roughness (Ra) )), The stress concentration on the parting line is reduced, and the decrease in fatigue strength is reduced.
[0013]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. 1A is a plan view of an automobile suspension component, FIG. 1B is a side view of FIG. 1A, FIG. 2 is a cross-sectional view taken along line AA of FIG. 1A, and FIG. 3 is a parting line after trimming. FIG. 4A is a schematic view of a cross section taken along line CC of FIG. 3, and FIG. 4B is a schematic view of a cross section after ironing of FIG.
[0014]
Automotive suspension parts (hereinafter simply referred to as suspension parts) are formed by forging a 6000 series aluminum alloy such as an A6061 alloy specified in JIS H4140 and its improving material.
[0015]
As shown in FIGS. 1A and 1B, the suspension component 1 has a configuration in which mounting portions 2, 3, and 4 are connected to each other by an arm portion 5. A parting line 12, which is a trimming surface of burrs generated during forging, is formed on the side surface 11 of the arm portion 5. Further, the arm portion 5 has a concave portion 6 in the center portion and an offset portion 7 which is curved with respect to the plane B in the middle from the mounting portion 2 to the mounting portion 3 (4) as shown in FIG. have. In addition, the plane B is a plane that connects the mounting part 2, the mounting part 3, and the mounting part 4. Such a suspension component 1 is used as an upper arm or a lower arm of an automobile suspension.
[0016]
The concave portion 6 of the arm portion 5 is formed for the purpose of a lightweight design. As shown in FIG. 2, an upper end surface 8 serving as an outer end surface is closed, and a lower end surface 9 also serving as an outer end surface is opened. It has a U-shaped cross section. Further, the side surface 11 from the upper end surface 8 to the lower end surface 9 of the arm portion 5 may be an inclined surface such that the width of the cross section decreases from the upper end surface 8 to the lower end surface 9. This slope has a slope corresponding to the draft of the mold in forging suspension components.
[0017]
Here, when such a suspension component 1 is mounted on an automobile, a load acts on the mounting portions 2, 3, and 4, and a stress is generated on the offset portion 7. Among these stresses, the stress σ that generates a moment about the X axis shown in FIG. 2 has a linear distribution such that the upper end face 8 and the lower end face 9 have maximum values and gradually decrease toward the stress neutral point 10 of the cross section. ing. Note that the stress applied above the stress neutral point 10 and the stress applied below the stress neutral point 10 act in opposite directions. Further, the position of the stress neutral point 10 is determined by the cross-sectional shape of the offset portion 7, and does not always come to the position shown in FIG.
[0018]
Such an offset part 7 performs strength calculation using the maximum stress generated on the upper end face 8 and the lower end face 9 as an allowable stress, and determines the cross-sectional area thereof. Further, a parting line 12 is formed on the upper end surface 8 or the lower end surface 9, and the surface roughness of the parting line 12 is larger than the surface roughness of the other general portion 11A. The roughness causes a reduction in fatigue strength and allowable stress due to stress concentration. Therefore, when designing the suspension component 1, the strength calculation is performed in consideration of the decrease in the fatigue strength (allowable stress) due to the concentration of stress in that portion. Here, it is necessary to increase the cross-sectional area (thickness) of the suspension component 1 as the fatigue strength (allowable stress) decreases, in order to avoid insufficient strength at that portion, and the weight of the suspension component 1 increases. Will increase.
[0019]
In the present invention, by limiting the surface roughness of the parting line 12 to a specific range shown below, the stress concentration at that portion is reduced, and as a result, the reduction in fatigue strength at that portion is reduced. Was completed. Therefore, when designing the suspension component 1, a higher fatigue strength (allowable stress) than before can be adopted, and the cross-sectional area of the suspension component 1 can be reduced (the wall thickness can be reduced) as compared with the conventional design. ) Makes it possible to reduce the weight.
[0020]
Based on the above, in the present invention, the surface roughness of the parting line 12 was specified in a range of a maximum height roughness (Rmax) of 10 to 40 μm and a center line average roughness (Ra) of 1 to 2 μm. Since the parting line 12 has a surface roughness within this range, stress concentration on this part is reduced, and the fatigue strength reduction rate in this part is 5% or less, and the conventional fatigue strength reduction rate is 15%. The rate of decrease in fatigue strength is reduced as compared with the case of. Here, when the surface roughness exceeds the maximum height roughness of 40 μm and the center line average roughness exceeds 2 μm, reduction in the fatigue strength reduction rate is not recognized. In the case of a surface roughness having a maximum height roughness of less than 10 μm and a center line average roughness of less than 1 μm, the effect of reducing the rate of reduction in fatigue strength is saturated, and the processing to the roughness is performed by ironing or cutting as described later. General-purpose means such as processing requires a long time, resulting in poor workability.
[0021]
Next, the manufacturing process of such a suspension component 1 will be briefly described.
As a first method,
(1) The cast aluminum alloy material is cut into a predetermined shape, heated to a predetermined temperature, and then hot forged.
(2) Then, the burrs formed by forging are trimmed hot or cold so that burrs of a predetermined length remain. The predetermined length (remaining burr length) is preferably 0.8 to 1.5 mm in consideration of the workability of subsequent ironing and the surface roughness after the processing. As a result, as shown in FIG. 3, a parting line 12, which is a trimming surface of burrs obtained by combining the cut surface 12A by the trimming mold and the forced rupture surface 12B (the remaining length of burrs) is obtained.
(3) The suspension part 1 shown in FIGS. 1 and 2 having the parting line 12 having a specific range of surface roughness is obtained by ironing the forced fracture surface 12B of the parting line 12 hot or cold. Complete. In addition, in consideration of the workability of the ironing, the ironing may be performed not only on the forced fracture surface 12B but also on the cut surface 12A.
[0022]
Further, a die similar to a trimming die is used as a die used for ironing, and as shown in FIGS. 4A and 4B, burrs are taken into consideration in consideration of workability and surface roughness after processing. It is preferable to carry out with a remaining length of 0.5 to 1.0 mm. As a result, the remaining burr of 0.3 to 0.5 mm is bent so as to lie on the parting line 12, and the surface roughness is improved.
[0023]
As a second method,
(A) The cast aluminum alloy material is cut into a predetermined shape, heated to a predetermined temperature, and then hot forged.
(B) Then, the burrs formed by forging are trimmed hot or cold so that burrs of a predetermined length remain. The predetermined length (remaining burr length) is preferably 0.8 to 1.5 mm in consideration of the workability of the subsequent cutting and the surface roughness after the processing. Thereby, as shown in FIG. 3, the parting line 12 in which the cut surface 12A by the trimming mold and the forced fracture surface 12B are combined is obtained.
(C) The forced fracture surface 12B of the parting line 12 is cut to complete the suspension component 1 shown in FIGS. 1 and 2 having the parting line 12 having a specific range of surface roughness. Incidentally, a rotary cutter is preferably used as the cutting process. Further, in consideration of the workability of the cutting process, the cutting process may be performed not only on the forced fracture surface 12B but also on the cut surface 12A.
[0024]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be further described using examples.
An aluminum alloy forging material (A6061 alloy, outer diameter 70 mm) was cut to a length of 300 mm, heated to 400 ° C., and then hot forged into the shape of the suspension component 1 as shown in FIGS.
[0025]
(Example 1)
The forged product is trimmed at 400 ° C. or less (hot or cold) using a trimming die having a burr remaining length of 0.8 to 1.5 mm. Thereafter, using a mold having a burr remaining length of 0.5 to 1.0 mm, the trimming surface of the burr of the trimmed forged product is ironed at 400 ° C. or less (hot or cold), and the surface roughness is reduced to a final value. A suspension component 1 having a smooth parting line 12 within the scope of the invention was prototyped. The surface roughness, the local stress concentration rate, and the fatigue strength reduction rate of the parting line 12 of the suspension component 1 were measured and calculated by the methods described below. The results are shown in Table 1. Next, a design change (thickness reduction) was performed in consideration of the fatigue strength reduction rate, and the suspension part 1 was again manufactured by trimming and ironing from the forged product.
[0026]
(Example 2)
The forged product is trimmed at 400 ° C. or less (hot or cold) by a trimming mold having a burr remaining length of 0.8 to 1.5 mm. Thereafter, the trimmed surface of the burr of the trimmed forged product was cut by a rotary cutter, and a suspension component 1 having a smooth parting line 12 having a surface roughness within the range of the present invention was prototyped. The surface roughness, the local stress concentration rate, and the fatigue strength reduction rate of the parting line 12 of the suspension component 1 were measured and calculated by the methods described below. The results are shown in Table 1. Next, a design change (thickness reduction) was performed in consideration of the fatigue strength reduction rate, and the suspension part 1 was again manufactured by trimming and cutting from the forged product.
[0027]
(Comparative Example 1)
As a comparative example of the above-described embodiment, an uneven parting line obtained by simply trimming the forged product at 400 ° C. or less (hot or cold) using a trimming mold having a burr remaining length of 0.8 to 1.5 mm was used. A conventional suspension component having the same was manufactured. The surface roughness, local stress concentration rate, and fatigue strength reduction rate of the parting line of this suspension component were measured and calculated by the methods described below. The results are shown in Table 1.
[0028]
(Surface roughness)
The maximum height roughness (Rmax) and the center line average roughness (Ra) specified in JIS B0601 were measured using a surface roughness measuring device (Surfcoder SE-40 manufactured by Kosaka Laboratory Co., Ltd.).
[0029]
(Local stress concentration rate)
The profile of the local shape was extracted from the enlarged photograph of the cross section of the burr, stress analysis was performed by the elastic finite element method, and the local stress concentration rate was calculated by the following equation (1).
F = (P / K) × 100 (1)
F: Local stress concentration rate (%)
P: Parting line stress (N)
K: Stress of general part (N)
[0030]
(Fatigue strength reduction rate)
A plate-shaped test piece provided with a processing margin in the sheet thickness direction was cut out from the suspension component by machining to obtain a fatigue strength test piece. The fatigue strength was measured with the test piece, and the fatigue strength reduction rate was calculated by the following equation (2). In addition, the test piece used for the measurement of the fatigue strength of the parting line was cut out so that the parting line was arranged on the end face of the test piece.
H = {(H 0 −H 1 ) / H 0 } × 100 (2)
H: Reduction rate of fatigue strength (%)
H 0 : Fatigue strength of general part (N)
H 1 : Fatigue strength of parting line (N)
[0031]
[Table 1]
[0032]
From the results in Table 1, it was confirmed that Examples 1 and 2 reduced the local stress concentration at the parting line 12 and reduced the reduction in fatigue strength as compared with Comparative Example 1 (conventional example).
[0033]
Further, the suspension part 1 after the design change of the first and second embodiments can be reduced in thickness and lightened by about 6 to 15% in weight as compared with the suspension part of the comparative example 1. Was done.
[0034]
The present invention can be widely applied without being limited to the above embodiments. For example, the suspension component is preferably made of an aluminum alloy, but may be made of another alloy or a steel material. Also, the shape of the suspension component can be changed as appropriate, such as having a through hole instead of the arm portion having a concave portion.
[0035]
【The invention's effect】
As described above, in the present invention, the surface roughness of the parting line is set in the range of 10 to 40 μm in maximum height roughness (Rmax) and in the range of 1 to 2 μm in center line average roughness (Ra). Therefore, it is possible to provide a high-strength fatigue strength in the design of an automobile suspension part, and to provide an automobile suspension part having a reduced thickness and a reduced weight as compared with a conventional design. .
[0036]
Further, in the present invention, a step of trimming the burr generated over the arm portion and the mounting portion at the time of forging leaving a burr of a predetermined length, and a step of ironing the burr after trimming, or By including a step of trimming a burr generated over the arm portion and the mounting portion during forging while leaving a burr of a predetermined length, and a step of cutting the burr after trimming, in designing a suspension component for an automobile. Accordingly, it is possible to provide a method of manufacturing a suspension component for an automobile, which can adopt a high fatigue strength, has a reduced thickness compared to a conventional design, and has a reduced weight.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1A is a plan view of a vehicle suspension component of the present invention, and FIG. 1B is a side view of FIG.
FIG. 2 is a sectional view taken along line AA in FIG.
FIG. 3 is a schematic view showing a parting line after trimming according to the present invention.
4A is a schematic diagram of a cross section taken along line CC of FIG. 3, and FIG. 4B is a schematic diagram of a cross section after ironing of FIG. 3A.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Automobile suspension parts 2, 3, 4 Mounting part 5 Arm part 6 Depression 7 Offset part 8 Upper end surface 9 Lower end surface 10 Stress neutral point 11 Side surface 11A General part 12 Parting line 12A Cutting surface 12B Forced fracture surface