JP2004074794A - 冷間成形用樹脂シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂容器と固着する保形性を有する冷間成形加工品を得ることができ、加熱装置を不要とし、高速連続成形を可能とし、特に、耐衝撃性に優れた冷間成形加工品の成形を可能とする冷間成形用樹脂シートを提供する。
【解決手段】樹脂成形品に固着する冷間成形加工品の作製に使用する樹脂シートであり、樹脂シートから作製される冷間成形加工品が保形性を有する。樹脂シートがポリスチレン系樹脂を含有し、基材層又は機能層が両面若しくは一方の片面に積層された基材層を有し、機能層としてシーラント層、帯電防止層、印刷層、バリア層等を有するものが好ましい。樹脂成形品と冷間成形加工品との間の剥離強度が180°剥離試験において6〜20N/15mm幅であり、基材層とシーラント層との間の剥離強度が3N/15mm幅以上であることが好ましい。

Description

 本発明は、冷間成形用樹脂シートに関し、より詳しくは、冷間成形により保形性を有する二次形成加工品を得るための冷間成形用樹脂シートに関する。
 従来から、飲料容器、ヨーグルト容器、ポーション容器、カップ麺等の食品用容器や、使い捨てタイプの医療用品等を充填する合成樹脂製容器としては、引張り強さ、耐熱性、耐光性、成形性、表面光沢性に優れたスチレンホモポリマー等のいわゆる一般用ポリスチレン系樹脂(GPPS;General Purpose Polystyrene)や、GPPSにSBR、BR等のゴムを配合し、その脆さを改善した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS;High Impact Polystyrene)が多用されている。このようなポリスチレン系樹脂容器の開口部に貼り合わせ密閉するための蓋材として、アルミニウム箔を基材とし、その表面に容器との接着のためのシーラント層等を設けたアルミニウム積層体が使用されている。このようなアルミニウム積層体から蓋の展開形に打ち抜かれた小片のアルミニウム蓋材が、端部が折り返されスカートが付いた形状に成形され、容器の開口部にシールされるアルミニウム製蓋は、シール性に優れ、耐ピール性を有し、ピール時の安定性に優れ、容器の開口部に供給されるとき、静電気による付着が少なく枚葉供給性が良好であるため、常用されている。また、アルミニウム製蓋は、周縁部を折り曲げて成形されるスカートが設けられたとき、折り曲げられて変形された形態を維持する性質、いわゆる保形性を有する。このため、充填された飲料を直接容器から飲用する場合に、容器の開口近傍の口に接触する部分が蓋の端部で被覆された状態が保持され、容器の開口近傍が汚れるのを防止することができ、衛生上、また、外観上も優れているため、好適に用いられている。
 しかしながら、昨今、加工食品容器内に異物が混入する事故が多発しており、安全対策が課題となっているが、このようなアルミニウム製蓋を使用した容器においては、金属探知機が使用できないため、釘、ホッチキス針、成形品抜き刃の毀れた破片、ボルトやナット、針金、スプリング等々混入するおそれがある金属類の検出ができないという問題がある。また、これらのアルミニウム製蓋を有する容器は、アルミニウム製蓋とポリスチレン等の合成樹脂製容器本体をそれぞれ分別回収する必要があり、リサイクル性に劣るという欠点を有する。
 このような従来のアルミニウム製蓋の代替として、全体がプラスチックからなる蓋が提案されている。例えば、高密度ポリエチレンとポリプロピレン系重合体からなる中心層と、この中心層の両側に高密度ポリエチレンからなる被覆層を設けた共押出フィルムの基材の両側に、耐熱性フィルムを積層した積層基材の下面に、シーラント層を設けた積層材料を、所定の形状に打ち抜いてなる蓋材が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、これらのプラスチック製蓋は容器の端部と接着され、接着面の外周部分が折り返されずに接着面からそのまま延長された平坦な形態となっており、容器に充填された飲料を直接容器から飲用する場合には、衛生上問題である。また、容器がGPPSや、HIPS等のポリスチレン系樹脂製の場合、蓋と容器本体の材質が異なるものとなり、廃棄する際に蓋と容器の分別が必要である。
 一方、このような容器に飲料等の液体を充填する装置において、成形及び充填シール工程のラインでトラブルが生じたとき、容器の蓋を成形用樹脂シートを加熱して成形する場合には、加熱ゾーン内に溜まった成形用樹脂シートを総て廃棄しなければならないという不都合があり、かかる加熱状態となることを回避するためには加熱装置を待避させる手段が別途必要である。また、装置の駆動時には、一定温度に昇温するのに時間を要し、容器材料シート及び時間のロスが避けられない。
 アルミニウム製蓋の製造においては、アルミニウム箔材を加熱せず室温で雌雄の金型で挟んで成形を行う、いわゆる冷間成形によっており、成形されたアルミニウム製蓋はその変形を保持する保形性を有するが、プラスチック製蓋の場合は、応力が付加されたとき、分子の形状変化は熱力学的な挙動に強く支配されるため、ガラス転移点未満の温度のプレス成形では形状が復元する傾向が強い。このため、成形加工直後の離型時においては弾性回復して成形精度が得られず、加工後の経時的な変化も相俟って、ガラス転移点未満における冷間成形によっては、金型形状に忠実に端部が折り曲げられた状態が維持される保形性を有するプラスチック製蓋は得られていない。また、冷間成形による蓋の保形性を得るため、蓋材として厚いシートを用いたり、硬い材質を使用するという試みがなされてはいたが、満足な保形性を有する蓋は得られないばかりか、上蓋のピール性が悪化するという不都合がある。
 その他、ベース部の一部もしくは全部に施す物理的塑性変形処理又は物理的減圧処理を、剣山状治具による押打、押し付け動作により行う樹脂フィルム製キートップ板が提案され(特許文献2参照)、シート状に連続的に押出成形により予備成形されたゴムあるいは樹脂材料に加熱しながら応力を加え塑性変形させた塑性変形加工品が提案され(特許文献3参照)、帯状金属板から形成されるインサートの形成工程と、インサートを芯材として、ゴム又は樹脂を共押出して被覆することにより被覆帯状体を成形する押出成形工程と、被覆帯状体を所定形状に塑性変形させてウエザストリップを成形する塑性変形工程等を備えたウエザストリップの製造方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、上記特許文献2記載の発明においては樹脂フィルムの塑性変形は、剣山状治具の先端を樹脂フィルムのガラス転移点以上かつ軟化点以下の温度に加熱することにより行っており、上記特許文献3記載の発明においてはゴムあるいは樹脂材料を加熱することが必要であり、上記特許文献4記載の発明においては金属体が芯材となっている樹脂の塑性変形であって、これら公報に記載される発明は金属を含まない樹脂シートのみをいわゆる冷間成形して得られる加工品や、その製造方法に関するものではない。
 他方、HIPSにおいては、ポリスチレンに配合されるゴムの含量が増加するほど耐衝撃性は増大するが、引張り強さ、耐熱性、耐光性、成形性、表面光沢性、透明性等は低減するため、一般的にはゴムの含量が5〜20重量%のものが知られている。ポリスチレンにゴムを配合する方法としては、スチレンモノマーにゴムを溶解してスチレンモノマーを重合させる方法、あるいは、ゴムとポリスチレン、つまりポリマー同士を機械的にブレンドするか又は両者をラテックス状で混合する方法が挙げられるが、前者の重合させる方法によると、ゴムにポリスチレンの側鎖がついたグラフト共重合体が得られ、耐衝撃性が著しく向上することから多用されている。例えば、(a)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体5〜97重量%、(b)スチレン成分を含有するゴム状弾性体97〜10重量%とシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体3〜90重量%とのブレンド物3〜95重量%、及び(c)スチレン成分及び極性基を有するゴム状弾性体0〜10重量%、からなる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物等が提案され、シンジオタクチック構造のポリスチレンが本来有する耐熱性、耐薬品性、機械的強度等の特性を保持しつつ、耐衝撃性及び伸び等を向上させた耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献5参照)。
特開平11−10810号公報 特開2001−76581号公報 特開2000−135744号公報 特開平5−237904号公報 特開平9−100377号公報
 本発明の課題は、冷間成形により保形性を有する加工品を作製することができる冷間成形用樹脂シート、特に、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂シート等の冷間成形用樹脂シートを提供することにある。
 本発明者らは、蓋材の加熱成形装置を備えていないアルミニウム製蓋材を使用する従前の充填機に適用しうること、すなわち樹脂シートの冷間成形加工品とすることを基本コンセプトとして、保形性と耐衝撃性とを有し、衛生面や外観上に優れ、充填物の漏洩を防止し、金属異物の検査に金属探知機を使用することを可能とし、しかも、容器と同一の材質で構成することにより、ポリスチレン製容器との分別処理が不要となってリサイクル性が向上する、開蓋時のピール性に優れ、容器内の充填物の変質・劣化を防止することができるポリスチレン樹脂製の蓋の開発に着手した。かかる樹脂製蓋を用いると、充填機の大型化・複雑化・低速化を防止し得るばかりでなく、従前の加熱成形装置を備えていない充填機をそのまま使用することができる。そこで、蓋の素材として、ポリスチレン製容器と同じくポリスチレン系樹脂を選択し、冷間成形により保形性に優れた蓋とすることができる樹脂シートの素材、特に耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)について鋭意研究し、所定の耐衝撃性ポリスチレンと所定のスチレン−ブタジエン共重合体とを所定の割合で混合した樹脂組成物から樹脂シートを作製し、この樹脂シートから冷間成形により蓋を作製したところ、保形性に優れ、実用に供しうることを確認し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、樹脂成形品に固着する冷間成形加工品の作製に使用する、基材層又は機能層が積層された基材層からなる樹脂シートであって、前記冷間成形加工品が保形性を有することを特徴とする冷間成形用樹脂シート(請求項1)や、基材層が、ポリスチレン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の冷間成形用樹脂シート(請求項2)や、ポリスチレン系樹脂が、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS;High Impact Polystyrene)、又は耐衝撃性ポリスチレンとスチレン−ブタジエン共重合体とからなる組成物を含有することを特徴とする請求項2記載の冷間成形用樹脂シート(請求項3)や、耐衝撃性ポリスチレンが、ゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマーを重合して得られ、マトリクスの重量平均分子量が15万〜30万であって、スチレン含量が82〜94重量%、ゴム含量が6〜15重量%、流動パラフィン量が0〜3.0重量%である耐衝撃性ポリスチレン(A)であることを特徴とする請求項3記載の冷間成形用樹脂シート(請求項4)や、耐衝撃性ポリスチレン(A)が、30以下の膨潤度と0.5〜10μmの範囲の平均粒子径とを有する軟質成分粒子を有することを特徴とする請求項4記載の冷間成形用樹脂シート(請求項5)や、スチレン−ブタジエン共重合体が、スチレン含量が30〜90重量%、ブタジエン含量が10〜70重量%であるスチレン−ブタジエン共重合体(B)であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項6)や、耐衝撃性ポリスチレン(A)100〜70重量%とスチレン−ブタジエン共重合体(B)0〜30重量%とからなる組成物を含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項7)に関する。
 また、本発明は、機能層が、基材層の両面又は一方の片面に、1又は2層以上積層されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項8)や、機能層が、シーラント層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項9)や、シーラント層が、熱可塑性エラストマー及び/又はエチレン系共重合体を含有することを特徴とする請求項9記載の冷間成形用樹脂シート(請求項10)や、機能層が、帯電防止層であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項11)や、機能層が、印刷層であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項12)や、機能層が、バリア層であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項13)や、機能層が、強度補強層であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項14)や、強度補強層が、シーラント層と基材層との間に設けられていることを特徴とする請求項14記載の冷間成形用樹脂シート(請求項15)や、強度補強層が、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする請求項15記載の冷間成形用樹脂シート(請求項16)や、ポリオレフィン系樹脂が、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)であることを特徴とする請求項16記載の冷間成形用樹脂シート(請求項17)や、機能層が、表層として形成された耐摩耗層であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項18)や、耐摩耗層が、ポリオレフィン系樹脂及び/又はナイロン樹脂を含有する層であることを特徴とする請求項18記載の冷間成形用樹脂シート(請求項19)や、ポリオレフィン系樹脂が、CPP(無延伸ポリプロピレン)であることを特徴とする請求項19記載の冷間成形用樹脂シート(請求項20)や、機能層が、基材層と同種の樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項21)や、基材層と同種の樹脂が、一般用ポリスチレン(GPPS;General Purpose Polystyrene)及び/又はスチレン−ブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項21記載の冷間成形用樹脂シート(請求項22)に関する。
 さらに、本発明は、少なくとも一方の表面の表面固有抵抗値が、106〜1014Ωの範囲であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項23)や、少なくとも一方の表面の表面静摩擦係数が、0.1〜0.4の範囲であることを特徴とする請求項1〜23のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項24)や、白着色されたことを特徴とする請求項1〜24のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項25)や、50μm〜1mmの厚さの樹脂シートであることを特徴とする請求項1〜25のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項26)や、樹脂成形品と冷間成形加工品とが、同種の樹脂を主成分として含有することを特徴とする請求項1〜26のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項27)や、同種の樹脂が、ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項27記載の冷間成形用樹脂シート(請求項28)や、樹脂成形品と冷間成形加工品との間の剥離強度が、180°剥離試験において6〜20N/15mm幅であることを特徴とする請求項1〜28のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート(請求項29)や、基材層とシーラント層又は強度補強層との間の接着強度が、3N/15mm幅以上であることを特徴とする請求項29記載の冷間成形用樹脂シ−ト(請求項30)に関する。
 本発明の冷間成形用樹脂シートを用いることにより、樹脂容器と固着する保形性を有する冷間成形加工品を得ることができ、加熱装置を不要とし装置の小型化を図ると共に、高速連続成形が可能である。特に、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂シートは、耐衝撃性に優れ且つ保形性を有する冷間成形加工品を得ることができる。
 また、本発明の冷間成形用樹脂シートから冷間成形によって得られた冷間成形加工品としての蓋や、その蓋を適用した密封容器を使用することにより、金属探知機による検査が実施できるため異物混入を未然に察知することができる。蓋と樹脂容器を分別することなく回収処理することができ、容器内に充填する充填物の充填装置にトラブルが生じたときであっても、加工エリアに供給された樹脂シートの軟化が生じることがなく、樹脂シートの破棄を回避することができ、また、蓋を容器から指で剥離することができ、且つ、自然落下によっても剥離が生じることがない。
 本発明の冷間成形用樹脂シートとしては、樹脂成形品に固着する冷間成形加工品の作製に使用する、基材層(単層体)又は機能層が積層された基材層(積層体)からなる樹脂シートであって、冷間成形加工品が保形性を有する冷間成形用樹脂シートであれば特に限定されるものではなく、基材層のみで構成される単層構造であっても、また、かかる基材層の両面又は一方の片面に機能層が積層された積層構造であってもよく、前記機能層としては、接着機能を有するシーラント層、帯電防止機能を有する帯電防止層、ガス浸透遮断機能を有するバリア層、表示機能を有する印刷層、印刷層の保護機能を有する保護層、エッジ切れ防止機能を有する強度補強層、損傷防止機能を有する耐摩耗層などを挙げることができる。
 本発明において、冷間成形とは、樹脂のガラス転移点(Tg)未満の温度雰囲気下で行う成形をいう。かかる冷間成形はアルミニウム箔等の成形に用いられる冷間成形機を用いて、シート材料を雌金型に対して雄金型で押し込み、高速でプレスすることにより行うことが好ましく、かかる冷間成形によると、加熱することなく型付け、曲げ、剪断、絞り等の塑性変形を生じさせることができる。
 また、上記塑性変形とは、弾性限度を超えたときに生じる変形をいい、材料に降伏点以上の応力を負荷することにより変形が著しくなり、例えば、ポリスチレン系樹脂シートの場合、シートを構成するポリスチレン系樹脂のガラス転移点(Tg)未満の温度、通常、10〜60℃の温度、好ましくは、室温又は常温下で塑性変形を行うと、シートが白化することから、塑性変形が生じているかどうかを確認するには、シートに白化が生じているかどうかを目視で判断することができる。なお、各樹脂のガラス転移点(Tg)は、表1に示すとおりである。
Figure 2004074794
 本発明の冷間成形用樹脂シートの基材層は、シートの冷間成形による塑性変形によって保形性を有する二次加工品を成形することを可能とする冷間成形性を有する層であり、かかる基材層の材質としては、特に制限されるものではなく、例えば、PS(ポリスチレン)樹脂、AS(スチレン−アクリロニトリル共重合体)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)系樹脂、AXS(アクリロニトリルとスチレン成分を有するターポリマー)樹脂等のPS系樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂等のPET系樹脂や、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)樹脂等のポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂、その他のポリオレフィン系樹脂や、ポリアセタール系樹脂や、ポリカーボネート樹脂等を含有するものを例示することができ、これらの1種又は2種以上を含有するものであってもよい。これらのうち、PS系樹脂、ABS系樹脂、PET系樹脂を含有するものが好ましいが、樹脂成形品と同種の樹脂を主成分として含有することが、リサイクル性を向上することができるため特に好ましく、樹脂成形品がポリスチレン系樹脂、特に、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を主成分とする場合は、これと同種のポリスチレン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を主成分として含有することがより好ましい。また、これらの樹脂には、適宜、可塑剤、安定剤、難燃剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の添加剤や、強化剤、充填剤等の副資材添加剤が加えられていてもよい。
 本発明の冷間成形用樹脂シートの基材層に含有される上記ポリスチレン系樹脂としては、いわゆる一般用ポリスチレン系樹脂や、ゴム変性ポリスチレン系樹脂や、これらの混合物を挙げることができるが、これらの中でも、ゴム変性ポリスチレン系樹脂が好ましく、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の中でも耐衝撃性ポリスチレン系樹脂が好ましく、特に耐衝撃性ポリスチレン系樹脂にスチレン−ブタジエン共重合体を所定の割合で混合・混練したものがより好ましい。
 上記一般用ポリスチレン系樹脂は、GPPSとも呼ばれ、通常はスチレンホモポリマーであるが、基材層に用いられる樹脂としてはスチレンホモポリマーに限定されるものではない。かかる一般用ポリスチレン系樹脂のスチレン系モノマーとしては、スチレンの他、アルキル基、フェニル基等の置換基を1又は複数有するスチレンを挙げることができる。かかるスチレンモノマーとして、具体的には、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−n−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−n−ブチルスチレン、α−t−ブチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−イソプロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキル置換スチレンを例示することができ、ポリスチレン系樹脂としては、これらのモノマーの単独ポリマーや、又は2種以上の共重合体であってもよく、共重合体としてはランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれのものであってもよい。
 また、上記ゴム変性ポリスチレン系樹脂としては、合成ゴムをポリスチレンに配合したいわゆる耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)と呼ばれるものであればどのようなものでもよく、その配合方法も、ゴムとポリスチレン、すなわちポリマー同士を機械的にブレンドするか、あるいは両者をラテックス状で混合する方法や、スチレンモノマーにゴムを溶解して重合させる方法等いずれの方法によってもよいが、ゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマーを重合する方法が好ましい。このようなゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマーを重合する方法により得られる耐衝撃性ポリスチレンは、ゴムにポリスチレンの側鎖がついたグラフト共重合体であり、かかる耐衝撃性ポリスチレンはマトリクスを形成するポリスチレン中に軟質成分粒子が分散して存在する構造を有し、軟質成分粒子としては、一般にサラミ構造又は単一オクルージョン構造と呼ばれるゴム状重合体にポリスチレンがオクルードされた構造を有するものが好ましいが、これらに限定されるものではない。
 また、スチレン系モノマーとしては、上記のGPPSと同様のスチレン系モノマーを例示することができ、ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン等を例示することができ、中でも、スチレン−ブタジエン共重合体が特に好ましい。かかるスチレン−ブタジエン共重合体としては、SBR系の熱可塑性ゴムを挙げることができ、SB又はSBSの構造をもつスチレン−ブタジエンブロック共重合体、又はこれらを完全又は部分水素添加したSEBS等も用いることができる。
 基材層に含有されるゴム変性ポリスチレン系樹脂として、耐衝撃性ポリスチレン単独、又は、耐衝撃性ポリスチレンとスチレン−ブタジエン共重合体とからなる組成物、中でも、耐衝撃性ポリスチレン100〜70重量%とスチレン−ブタジエン共重合体0〜30重量%とからなる組成物、特に、ゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマーを重合して得られ、マトリクスの重量平均分子量が15万〜30万であって、スチレン含量が82〜94重量%、ゴム含量が6〜15重量%、流動パラフィン量が0〜3.0重量%である耐衝撃性ポリスチレン(以下、「耐衝撃性ポリスチレン(A)」という)100〜70重量%と、スチレン含量が30〜90重量%、ブタジエン含量が70〜10重量%であるスチレン−ブタジエン共重合体(以下、「スチレン−ブタジエン共重合体(B)」という)0〜30重量%とからなる組成物を含有するものは、シートの冷間成形による塑性変形を可能とし、シートの冷間成形により得られる二次成形加工品が優れた耐衝撃性と保形性とを兼備することから特に好ましい。
 上記耐衝撃性ポリスチレン(A)のゴム含量が6重量%以上、好ましくは9重量%以上であれば、冷間成形時にシートが破断することがなく、ゴム含量が15重量%以下であれば、冷間成形によりシートが一層塑性変形し易くなり、得られる二次成形加工品が十分な保形性を有するものとなることから好ましい。また、耐衝撃性ポリスチレンのゴム量は、製造時に使用したゴム量から計算する方法、あるいは、既知のゴム量を含有する耐衝撃性ポリスチレンを標準サンプルとして、赤外吸収スペクトル(IR)法により検量線を作成して、評価する方法によって求めることができる。
 また上記耐衝撃性ポリスチレン(A)の流動パラフィンの含量が、3.0重量%以下、好ましくは2.0重量%以下であれば、冷間成形によりシートが一層塑性変形し易くなり、得られる二次成形加工品が十分な保形性を有するものとなることから好ましい。かかる流動パラフィンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等のシクロパラフィンなどを具体的に例示することができるが、食品包装材料に使用可能な白色鉱油(アルキルナフテン炭化水素の混合物で平均重量分子量300〜600程度の鉱油)を好適に例示することができる。
 上記耐衝撃性ポリスチレン(A)の中でも、マトリクスの重量平均分子量が15万〜30万、特に20万〜25万の範囲のもが好ましく、マトリクスの重量平均分子量が15万以上であれば、冷間成形されて得られる二次成形加工品が、より適切な強度を有する成形品となり、30万以下であれば、冷間成形によりシートが一層塑性変形し易くなり、得られる二次成形加工品が十分な保形性を有するものとなることから好ましい。
 上記耐衝撃性ポリスチレン(A)のマトリクスの分子量は、次の方法により測定することができる。すなわち、耐衝撃性ポリスチレン1gをメチルエチルケトン/メタノール混合溶媒(20/3体積比)30mlに溶解させる。次に遠心分離でマトリクス部分と不溶成分である軟質成分粒子とを分離し、不溶成分以外の上澄み液をデカンテーションにより取り出し、それをメタノール約500mlに攪拌しながら徐々に入れ、ポリマー部分を沈殿させる。ポリマー部分をろ過分別し、乾燥によりメタノールを除去し、得られた乾燥サンプルを濃度が2mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、溶解液をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いてマトリクスの分子量を測定する。使用するGPCは検出器として示差屈折率計(RI検出器)を備えたものとし、分子量は市販の単分散ポリスチレンを用いて求めた検量線によって算出することができる。
 また、上記耐衝撃性ポリスチレン(A)の中でも、含有される軟質成分粒子の膨潤度が30以下のものが好ましい。軟質成分粒子の膨潤度が30以下であれば、冷間成形によりシートが一層塑性変形し易くなり、得られる二次成形加工品が十分な保形性を有するものとなる。
 上記膨潤度は次の方法により測定することができる。すなわち、耐衝撃性ポリスチレン0.4gを18mlのトルエンに溶解し、2時間以上放置する。得られたトルエン溶液を遠心分離機(4500rpm×2時間)にかけ、不溶分を分離する。上澄み液を捨て、不溶分を秤量し、その重量をaとする。次に、該不溶分を真空乾燥機にて乾燥し、乾燥後の重量をbとする。膨潤度はa/bにより求めることができる。
 さらに、上記耐衝撃性ポリスチレン(A)の中でも、含有される軟質成分粒子の平均粒子径が0.5〜10μm、特に1〜5μmのものが好ましい。0.5μm以上、好ましくは1μm以上であれば、シートの冷間成形時にシートが破断することがなく、10μm以下、好ましくは5μm以下であれば、冷間成形によりシートが一層塑性変形し易くなり、得られる二次成形加工品が十分な保形性を有するものとなる。
 上記軟質成分粒子の平均粒子径は次の方法により測定することができる。すなわち、耐衝撃性ポリスチレンをメチルエチルケトンに濃度が約1%となるように溶解させる。この試料溶液をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所株式会社製 SALD1100)を用いてレーザー光を照射し、発生した回折光及び散乱光の像を検出し、像のパターンと強度により粒子の大きさ及び量を計算する。平均粒子径は積算体積分布において、50%の粒子径を用いることができる。
 他方、上記スチレン−ブタジエン共重合体(B)の中でも、スチレンの含量が30〜90重量%、ブタジエンの含量が10〜70重量%のものが、シートの冷間成形加工品に、より優れた保形性と耐衝撃性とを付加しうる点で好ましい。
 本発明の樹脂シートにおける基材層には、必要に応じて、各種添加剤、例えば酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、カーボンブラック、帯電防止剤などの添加剤を配合することや、基材層の性能を損なわない範囲で、有機系微粒子や無機系微粒子を添加することもできる。また、本発明の樹脂シートにおける基材層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、開口容器等の樹脂成形品との間において剥離が必要となる蓋等の冷間成形加工品を作製するポリスチレン系樹脂シートの場合、50μm〜1mmの範囲が好ましい。
 本発明の樹脂シートにおける基材層の一方の片面又は両面に積層される機能層は、接着性、帯電防止性、耐磨耗性、美観性、耐候性、耐ガスバリア性、耐超音波振動性(超音波シールに際して、その振動・圧力により成形物の脆弱部分(成形時に生じた表面の損傷等)があると、その脆弱部分に孔あきや破れ等の破損が生じるので、この振動による破損に対する耐性)、耐エッジ切れ性(超音波シールに際して、その振動・圧力によりシールヘッドのエッジに当接する部分が損傷を受けて、ピール時に切断しやすくなることに対する耐性)等を向上させる種々の機能を付与するために設けられ、例えば、シーラント層、帯電防止層、印刷層、バリア層、強度補強層、耐摩耗層等を挙げることができる。機能層は各機能をそれぞれ有する多層で構成されるものであっても、また、複数の機能を兼備する一層で構成されるものであってもよく、これらの機能層を備えた樹脂シートとして、例えば、基材層の両面又は一方の片面にシーラント層が積層されたもの、基材層の表裏にシーラント層と帯電防止層とがそれぞれ積層されたもの、基材層の一方の面にシーラント層が積層され、他方の面に印刷層、帯電防止層が順次設けられたもの、基材層の一方の面にシーラント層が積層され、他方の面に印刷層、耐摩耗層が順次設けられたもの、シーラント層と基材層との間にバリア層が積層されたもの、シーラント層と基材層との間に強度補強層が積層されたもの等を例示することができる。また、これらの機能層には、必要に応じて、適宜酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、ミネラルオイル、外潤剤等の添加剤を配合してもよく、本性能を損なわない範囲で、有機系微粒子や無機系微粒子を添加することもできる。
 上記シーラント層や帯電防止層等の機能層の作製方法としては、各機能に応じた成分、例えば接着成分や帯電防止剤等を含有する塗布液を基材層の片面あるいは両面に塗布し、乾燥する方法や、これらの成分を樹脂原料に混練したフィルムを作製し、これをラミネートする方法等が挙げられる。塗布方法としてはロールコーター、ナイフコーター、グラビアナイフコーター、噴霧等の方法を採用することができ、予め基材層表面をコロナ放電処理法、オゾン処理法、プラズマ処理法等で改質してもよい。また、ラミネート用機能性フィルムの場合、リサイクル性の観点から、基材層と同種の樹脂を含有するものが好ましく、例えば基材層が上述のポリスチレン系樹脂を含有する場合、GPPS及び/又はスチレン−ブタジエン共重合体を含有するものが好ましい。
 上記機能層としてのシーラント層は、本発明の樹脂シートから成形される冷間成形加工品と樹脂成形品との固着強度を調整するために、基材層の両面又は片面に直接的又は間接的に積層される。樹脂成形品と冷間成形加工品間において指で剥離する必要がある場合等、固着強度の調整を図る必要がある場合には、シーラント層を設けることが好ましいが、樹脂成形品と冷間成形加工品とが同種の樹脂から作製され、高い固着強度が好ましい成形加工品の場合など、固着強度の調整を図る必要がない場合には、とりわけ設けなくともよい。シーラント層の構成成分やその厚み等は、シーラント層を介して固着される冷間成形加工品と樹脂成形品の成分やその固着方法(例えば、物理的熱融着や化学的接着等)に応じて適宜選択することができる。化学的接着における接着剤成分としては、澱粉、にかわ、デキストリン、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等のビニル系ポリマー、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等のゴム、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド等を挙げることができるが、かかる接着剤成分の塗布により形成したシーラント層による化学的接着よりも、固着部位を調節する必要がないラミネート用シーラントフィルムによる物理的熱融着が好ましい。また、一般にシーラント層の厚さとしては、10〜50μmの範囲にあることが好ましい。
 シーラント層が積層された樹脂シートでは、ロール状に巻かれて保管、運搬する場合に、シート同士が接着したり、ブロッキングしたりすることがある。これを防止するために、接着機能を有する接着層と、接着しにくいLDPE(低密度ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂層とを、溶融共押出して積層させることが知られている(特開平6−31866号公報参照)。本発明におけるシーラント層には、上記接着機能を有する接着層単層のものと、接着層と接着しにくい熱可塑性樹脂層とが積層された二層状のものが便宜上含まれ、上記ラミネート用シーラントフィルムとしても、接着層単層のものと、接着層と別の接着しにくい熱可塑性樹脂層とが積層された二層状のものが便宜上含まれる。なお、本発明においては、上記接着層と以下に説明する強度補強層とが溶融共押出して積層されたフィルムを補強シーラントフィルムという。
 上記ラミネート用シーラントフィルムにより固着する場合、例えば、ポリスチレン系樹脂を主成分として含有する樹脂成形品と冷間成形加工品を超音波溶接する場合におけるシーラント層としては、基材層と同種の樹脂を主成分として含有するシーラントフィルムを好適に例示することができ、樹脂成形品や基材層と同種のポリスチレン系樹脂に他の熱可塑性樹脂を混合させると、その混合量により剥離強度を調節することができる。また、熱可塑性エラストマーやエチレン系共重合体等の粘着性に優れるものを主体としたシーラントフィルムを好適に例示することができる。上記エチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体等を挙げることができる。シーラント層には、必要に応じて、各種添加成分、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、顔料、カーボンブラック、ミネラルオイル、外潤剤等の添加剤を配合することができる。また、シール機能を損なわない範囲で、有機系微粒子や無機系微粒子を添加することもできる。
 上記機能層としての帯電防止層は、摩擦帯電を抑制し本発明の樹脂シートから成形加工品の連続成形を可能とするために設けられる。かかる帯電防止層は、通常、上記シーラント層の積層面と反対側表面に、基材層に対して直接的又は間接的に積層される。かかる機能層が備えられた本発明のシートは、連続冷間成形を行う場合、金型部において、シートと金型が摩擦され成形加工品が著しく帯電し、その結果、得られた成形加工品が金型に付着して離型されず次に供給されるシート等と成形加工品が重なったり、金型周辺部やシュター部分に帯電付着したり、成形直後の成形加工品が宙を舞うこと等により、成形加工品の取出し・送りが困難で搬送が不可能となることを防止することができる。このような成形加工品の帯電は、シートの表面の導電性を改良すること、及び/又は、シート表面の滑り性をよくすることにより防止することができる。導電性の改良として、JIS−K6911に準拠して測定した本発明のシート表面の表面固有抵抗値を106〜1014Ωとすることが好ましく、また、滑り性をよくすることとして、JIS−K7125に準拠し測定した本発明のシート表面の静摩擦係数を0.1〜0.4とすることが好ましい。
 本発明のシート表面の表面固有抵抗値を106〜1014Ωとするには、例えば、帯電防止層として、帯電防止剤や防曇剤等の界面活性剤、親水性高分子等の導電性物質をシートの表面に塗布して作製するか、あるいは、帯電防止剤や防曇剤等を樹脂に練り込んでシートとして作製することができる。例えば、ポリスチレン系樹脂シートの場合、ポリスチレン系樹脂の基材層表面に導電性物質等を塗布して帯電防止層を形成する場合は、塗布量は20〜500mg/m2の範囲が好ましく、ポリスチレン系樹脂シートの表面固有抵抗値が1014Ωより大きいと、前記のように、連続成形時の摩擦帯電が著しく、成形品が金型部に付着し、取り出し・送りが困難となる可能性がある。また、シート表面の静摩擦係数を0.1〜0.4とするには、例えば、機能層として、ポリシロキサン樹脂等の表面滑性剤をシートの表面に塗布して作製するか、表面滑性剤等を樹脂に練り込んでシートとして作製することができる。機能層の作製にあたり、ポリシロキサン樹脂はオイルであっても水性エマルジョンのどちらの形態でも使用でき、塗布する場合は0.1〜50mg/m2の範囲の塗布量が好ましい。なお、前記のように、帯電防止剤や表面滑性剤等を基材層の原料樹脂に直接練り込むことにより、所定の表面固有抵抗値や静摩擦係数を有する帯電防止効果を備えた帯電防止層に代えることができる。
 上記機能層としての印刷層は、冷間成形加工品の商品表示や、表面装飾のために設けられ、基材層の表面に設けられるものであっても、基材層に積層される他の機能層との間に設けられるものであってもよいが、基材層の両面又は一方の片面に他の機能層を有する場合は、基材層と他の機能層との間に設けることが、冷間成形時のシートと金型等との摩擦による印刷面の脱落・損傷がなく好ましい。印刷層の形成方法としては、基材層の表面に印刷を施すことにより形成する方法や、基材層の表面に施された印刷面上に他の機能層を積層することにより形成する方法や、フィルムとして作製された他の機能層の裏面に印刷を施し印刷層をも兼用させ、この印刷層兼用フィルムを印刷面が基材層に接触するように積層して形成する方法や、また、別途フィルムに印刷を施したものを印刷層とし、このフィルムを基材層と他の機能層との間にラミネートして形成する方法等が挙げられる。また、印刷層は金属光沢を加飾したものであってもよい。
 上記機能層としてのバリア層は、本発明のシートに光やガス等に対する耐候性、ガスバリア性等を付与し、本発明のシートから成形される加工品が容器やその蓋、包装材等の場合、その収納物の変質を防止するため、保香性機能や、水蒸気・有害ガスの透過防止機能を付加するために設けられる。バリア層は、通常、ガス不透過性のフィルムとして作製され、基材層の表面や、基材層の両面又は一方の片面に他の機能層が設けられる場合は、他の機能層と基材層との間、例えば、シーラント層と基材層との間に設けられる。上記ガス不透過性のフィルムとしては、基材層を構成する樹脂成分を含む樹脂から作製される樹脂フィルムが好ましく、必要に応じて、紫外線吸収剤等を含有させることもできる。かかるバリア層を形成するガス不透過性のフィルムの厚さは、通常10〜100μmの範囲のものである。
 上記機能層としての強度補強層は、例えば、ポリスチレン系樹脂を主成分として含有する容器等の樹脂成形品と蓋等の冷間成形加工品とを超音波溶接したとき、この樹脂成形品に固着された冷間成形加工品を指で剥離する際に、溶接部に相当する蓋の天面のコーナー部(エッジ部分)が損傷する、すなわちエッジ切れが生じることに対する耐性を付与するために設けられ、かかる強度を補強する機能を有する強度補強層を、基材層とシーラント層との間に設けることで、前記エッジ切れを抑制することができる。上記強度補強層としては、ポリオレフィン系樹脂を含有するものが好ましく、かかるポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)樹脂等のポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂を挙げることができるが、中でも低密度ポリエチレンが好ましく、特にLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)が好ましい。また、一般に強度補強層の厚さとしては、10〜100μmの範囲にあることが好ましく、20〜45μmの範囲にあることが特に好ましい。
 上記機能層としての耐摩耗層は、例えば、基材層が耐摩性に劣るポリスチレン系樹脂を主成分とする場合、冷間成形時に表面が損傷を受けたり、樹脂成形品と冷間成形加工品を超音波溶接するとき、前記表面の損傷部に超音波の振動が影響して、蓋のスカート部に孔あきや破れ等の破損が発生することに対する耐性を付与するために設けられ、かかる耐摩耗層を最外面となる表面に設けることで、冷間成形時や超音波溶接時の損傷を防止することができる。上記耐摩耗層としては、耐摩耗性のある樹脂を含有する層であれば特に制限されず、ポリオレフィン系樹脂及び/又はナイロン樹脂を含有する層、特にラミネート用フィルムを好適に例示できる。上記ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)樹脂等のポリエチレン系樹脂や、CPP(無延伸ポリプロピレン)、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)等のポリプロピレン系樹脂を例示することができるが、特にCPPは、冷間成形による蓋の保形性に優れることから好ましい。
 上記機能層としてのシーラント層と基材層との接着強度、又は、上記機能層としての強度補強層と基材層との接着強度は、3N/15mm幅以上、特に5〜8N/15mm幅が好ましい。かかるシーラント層と基材層又は強度補強層と基材層との接着強度が3N/15mm幅以上であれば、樹脂成形品に固着された冷間成形加工品を指で剥離するとき、シーラント層と基材層又は強度補強層と基材層間のデラミネーションの発生を抑制することができ、樹脂成形品と冷間成形加工品との間において剥離され、基材層とシーラント層又は強度補強層と基材層との間におけるデラミネーションに起因するシーラント層の裂片が樹脂成形品に付着して残存することを回避することができ、5〜8N/15mm幅以上であればより顕著な効果が得られる。接着強度は、JIS−K6854に準拠した次の方法により測定することができる。すなわち、引張試験機を用いて、基材層とシーラント層又は強度補強層と基材層のそれぞれの未接着部分をチャックで挟み、両層の開度を180°として、引張速度300mm/分で引張り、そのときの荷重を測定する。その荷重を接着幅15mmあたりに換算することにより、接着強度を求めることができる。また、樹脂成形品と冷間成形加工品間とのより一層良好な剥離性が要求される場合は、快適なピール性を得るために、機能層の可撓性を基材層のそれより大きく、硬度を基材層のそれより小さくすることが好ましい。
 ところで、前記のように、本発明の冷間成形用樹脂シートには、加熱することなく通常室温で、雌金型に対して雄金型で押し込み、高速でプレスすることにより、型付け、曲げ、剪断、絞り等の塑性変形を伴う冷間成形加工が施されるが、このときの樹脂シートの塑性変形をモデル的に評価する手法として、室温における高速衝撃試験が有効であると考えられ、かかる観点からして、本発明の冷間成形用樹脂シートは、ASTM−D3763に準拠した落錘衝撃試験方法で測定した際の伝播エネルギーや最大荷重時変位が特定の値を有することが好ましい。
 例えば、本発明の冷間成形用シートがポリスチレン系樹脂を含有する場合、ASTM−D3763に準拠した落錘衝撃試験方法で測定した150μm厚みシートにおける伝播エネルギーが、0.015J以上、特に0.02J以上であることが好ましい。伝播エネルギーが0.015J以上であれば、シート材料が破断することなく十分に塑性変形し得られる冷間成形加工品が均一な形状となり保形性を有するものとなり、0.02J以上であればかかる効果がより顕著なものとなる。ここで、落錘衝撃試験の伝播エネルギーとは、落錘衝撃試験で得られる破壊に要する全吸収エネルギーのうち、最大荷重時変位から破断時変位までの間の吸収エネルギーのことである。なお、落錘衝撃で得られた測定値は、ホルダーはφ45mm、撃芯はφ13mmの錘型を用い、撃芯の落下速度5.0M/secで測定した値である。
 同様に、本発明の冷間成形用シートがポリスチレン系樹脂を含有する場合、ASTM−D3763に準拠した落錘衝撃試験方法で測定した150μm厚みシートにおける最大荷重時変位が10.0mm以下、特に9.5mm以下であることが好ましい。最大荷重示変位が、10.0mm以下であればシート材料が破断することなく十分に塑性変形し得られる冷間成形加工品が均一な形状となり保形性を有するものとなり、9.5mm以下であればかかる効果がより顕著なものとなる。ここで、落錘衝撃試験における最大荷重時変位とは、荷重が最大になる時点の変位量(落錘先端と試験片シート表面の間の変位量)のことである。なお、落錘衝撃で得られた測定値は、ホルダーはφ45mm、撃芯はφ13mmの錘型を用い、撃芯の落下速度5.0M/secで測定した値である。
 本発明の冷間成形用樹脂シートを、白着色等着色することもできる。特に、本発明のシートがポリスチレン系樹脂を含有する場合、基材層や機能層のいずれか一方、あるいは双方が白着色されたものが好ましい。ポリスチレン系樹脂を含有するシートを成形加工した場合、塑性変形を生じた折れ曲がり部分は白化するため、これらの層自体が予め白着色されたものは塑性変形による折れ曲がり部分の白化を不鮮明化できる。これらの層を白着色するにはチタニウムオキサイドや、ジンクオキサイド等の白色顔料、染料を原料樹脂に0.5〜8重量%の範囲で添加してシートを作製することができる。
 本発明の冷間成形用樹脂シートは、シート押出装置やプレス加工装置等を用いて公知の方法により製造することができる。例えば、基材層と機能層とをシート押出装置を用いて同時に共押出する方法や、基材層と機能層とを2液反応接着剤等を用いてドライラミネートする方法や、基材層と機能層とを熱ラミネート方式(thermal lamination)によりラミネートする方法や、基材層上に機能層を押出しコーティングする方法や、基材層上や機能層上に印刷を施す方法により、あるいは、これら方法を適宜併用することにより、基材層単層として又は基材層と1又は2以上の機能層との積層体として製造することができる。
 以上本発明の冷間成形用樹脂シートについて詳細に説明したが、本発明の冷間成形用樹脂シートの厚さは、冷間成形加工品等の種類・形状によって異なり、特に限定されるものではなく、通常、フィルムとして認識されている厚さ0.2mm以下のものや、薄板として認識されている厚さ1mm以上のものも本発明の冷間成形用樹脂シートに含まれる。そして、本発明の冷間成形用樹脂シートがポリスチレン系樹脂を含有するシートの場合、厚さが50μm〜1mm、中でも80μm〜300μmのものが好ましい。シートの厚さが50μm以上であれば、ポリスチレン系樹脂シートから強度を備えた容器の蓋等の成形加工品を作製することができ、80μm以上であればその効果がより顕著なものとなり、1mm以下であれば、冷間成形時シート材料が塑性変形し保形性を有する成形品を得ることができ、300μm以下であればその効果がより顕著なものとなる。
 本発明の冷間成形用樹脂シートから冷間成形することによって作製される冷間成形加工品は、後述の樹脂成形品に固着し、保形性を有するものであれば特に制限はない。ここで保形性を有するとは、上述のように、折り曲げられて塑性変形された形態を維持する性質を有することをいい、冷間成形加工品が保形性を有するものであれば、その形状・形態は特に制限されず、開口容器やその蓋などの各種成形品を挙げることができる。例えば、ポリスチレン製の樹脂成形品である開口容器の蓋として、上述のゴム変性ポリスチレン系樹脂シートを用いて冷間成形により作製した蓋の場合、天面Tに対して垂直(α=90°)に形成されたスカート部分Sが、天面Tに対してα=130°を保持することができる場合(図6)を好適に例示することができる。
 また、一般に、本発明の冷間成形用樹脂シートを用いて冷間成形加工品を作製するには、真空成形や圧縮空気圧成形等の空気の流れにより、樹脂シートをキャビティに押し付け、あるいはロールにより押圧してシボ付け等の成形を行う圧縮成形方法等であってもよいが、特に、一対の雄金型と雌金型の間に樹脂シートを挟み、シートを雌金型に対して雄金型で押し込み、高速でプレスすることによって、樹脂シートを塑性変形させ賦型させる、いわゆるプレス成形方法を適用することが好ましい。特に、アルミニウム箔等の成形に汎用されている冷間成形機を用いて、雄雌金型により樹脂シートを室温又は常温で高速プレスし、シートにせん断、曲げ、絞りや型付け等塑性変形を生じさせ、賦型することにより成形加工を行う方法が好ましい。塑性変形は材料が弾性限度を超えたときに生じる変形であり、材料に降伏点以上の応力を負荷することにより変形が著しくなり、保形性を有する成形加工品を得ることができ、成形圧力は樹脂シートの種類や、成形加工品の形状等により適宜選択することができ、特に制限されない。
 上記のように、高速でのプレスは通常加熱することなく室温又は常温で実施されるが、場合によっては、低温加熱下、実質的に樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移点(Tg)未満の温度で行うこともでき、例えば、樹脂シートがポリスチレン系樹脂シートの場合は、80℃未満、好ましくは、10〜60℃の温度範囲、更には、常温又は室温で行うことができる。
 特にポリスチレン系樹脂シートを、アルミニウム箔の冷間成形機を用いて冷間成形し、飲料用容器の蓋を作製する場合、雄金型と雌金型のクリアランスが樹脂シートの厚さに対し、1.3〜4.0倍に調整された金型を使用して成形加工することが好ましく、更に、1.5倍〜3.5倍に調整された金型を使用することが好ましい。雄金型と雌金型のクリアランスが1.3倍以上であれば樹脂シートが成形中に破壊することがなく、雄金型と雌金型のクリアランスが4.0倍以下であれば、樹脂シートが塑性変形され、保形性を有する成形品を作製することができる。
 上記冷間成形加工品が固着される樹脂成形品は、材質、形状・形態等何ら制限されるものではない。樹脂成形品の材質としてはどのようなものでもよいが、冷間成形加工品と同種の樹脂が好ましく、例えば、PS(ポリスチレン)樹脂、AS(スチレン−アクリロニトリル共重合体)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)系樹脂、AXS(アクリロニトリルとスチレン成分を有するターポリマー)樹脂等のPS系樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂等のPET系樹脂や、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)樹脂等のポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂、その他のポリオレフィン系樹脂や、ポリアセタール系樹脂や、ポリカーボネート樹脂等を含有するものを例示することができ、これらの1種又は2種以上を含有するものであってもよく、これらのうち、特に、PS系樹脂、ABS系樹脂、PET系樹脂を含有するものが好ましい。また、これらの樹脂には、適宜、可塑剤、安定剤、難燃剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の添加剤や、強化剤、充填剤等の副資材添加剤が加えられていてもよい。かかる樹脂を含有する樹脂成形品の形状・形態としては、フィルム、シート、板、棒、パイプ、ラミネート体、繊維、ネット、不織布、各種容器、包装用材、各種機器の部品等、いずれのものであってもよく、その成形方法も、圧縮成形、トランスファ成形、積層成形、射出成形、押出成形、吹込成形、カレンダ加工、注型等、いずれの方法によってもよい。
 上記樹脂成形品に前記冷間成形加工品を固着する方法としては、接着や溶接(融着)等、いずれの方法によってもよく、溶接方法としては、熱板溶接、熱風溶接、インパルス溶接、超音波溶接等の方法を例示することができるが、これらのうち、より均一かつ高速で溶接しうる点で超音波溶接方法が好ましい。例えば、開口樹脂容器と、シーラント層を有する樹脂シートから作製した蓋との超音波溶接としては、通常の超音波溶接機の他、特定の用途向けの特定仕様の超音波溶接機を用いて行うことができ、周波数15〜50kHz、好ましくは、20〜40kHz、振幅16〜126μmpp、好ましくは、40〜80μmppの超音波を接着面に与えることにより行うことができる。かかる超音波溶接の条件としては、例えば、ポリスチレン系樹脂容器開口に冷間成形された蓋を密封し密封容器とする場合、周波数20〜40kHz、出力50〜100w/個、照射時間0.2〜1秒等が好ましく、このような条件下で溶接された飲料容器等の樹脂容器の蓋は指で剥離することができ、かつ密封容器を不注意により落下させても蓋が剥離しない剥離強度が得られる。また、接着方法としては、各種接着剤を冷間成形加工品又は樹脂成形品の所定表面に塗布したり、冷間成形用樹脂シートに接着剤成分を含有したシーラント層を設け、例えば、冷間成形加工品を樹脂成形品から指で剥離することができる程度の固着強度が得られるようなシーラント層とすることにより、固着強度を調整して適宜加圧、溶着する方法等を例示することができる。
 かかる樹脂成形品と冷間成形加工品間の固着強度としては、剥離強度が、JIS−K6854による180°剥離試験において6〜20N/15mm幅の範囲であることが好ましく、更に8〜15N/15mm幅の範囲であることがより好ましい。剥離強度は、樹脂成形品と同種の組成の樹脂原料から作製したシートと本発明のシートとを、例えば超音波溶接法で溶接し、両シートの開度を180°として剥離強度(180°剥離)を測定したときの値であり、剥離強度が6N/15mm幅以上であれば、樹脂成形品として飲料容器、冷間成形加工品としてその蓋等の場合、内容物が充填された状態で落下しても、蓋が容器から剥がれ、内容物が漏れることがなく、また、剥離強度が20N/15mm幅以下であれば蓋を手で剥離することが困難になるということがない。剥離強度が、8〜15N/15mm幅の範囲であると、上述の効果がより確実に得られるためより好ましい。
 本発明の冷間成形用樹脂シートから作製した冷間成形加工品としての容器の蓋は、基本的には冷間成形用樹脂シートが保有する形態や物性を有している。すなわち、単層構造として基材層のみで構成されるものであってもよいが、基材層の両面又は一方の片面に積層される機能層を有するものであってもよく、機能層として、接着機能を有するシーラント層や、帯電防止機能を有する帯電防止層や、その他、印刷層、バリア層や、強度補強層等を挙げることができる。上記基材層としては、耐衝撃性ポリスチレン(A)100〜70重量%と、スチレン−ブタジエン共重合体(B)0〜30重量%とからなる組成物を含有するものが好ましく、更に、耐衝撃性ポリスチレン(A)が、30以下の膨潤度と0.5〜10μmの範囲の平均粒子径とを有する軟質成分粒子を有することが、優れた保形性を有する蓋を得ることができるため、好ましい。また、上記機能層として積層されるシーラント層、帯電防止層、印刷層、バリア層、強度補強層等は、冷間成形用樹脂シートにおけるこれら機能層と同様の機能、構成を有するものである。
 本発明の冷間成形用樹脂シートを冷間成形して作製された容器の蓋を備えた具体例として密封容器を挙げることができ、かかる密封容器は、蓋と樹脂容器が同種の樹脂を主成分として含有することが、リサイクル性の向上の点で好ましい。特に、蓋と樹脂容器が共にポリスチレン系樹脂を主成分として含有するものは、引張り強さ、耐熱性、耐光性、成形性、表面光沢性に優れ好ましく、更に、耐衝撃性ポリスチレンを主成分として含有する樹脂シートを用いて作製されたものは、容器を不注意で落下させても傷が生じることがなく耐衝撃性に優れるため好ましい。また、超音波溶接法等によって、蓋と開口樹脂容器との間の剥離強度が、180°剥離試験において6〜20N/15mm幅に相当する範囲にあると、ストローで蓋を突き刺したとき、蓋と樹脂容器との間に剥離を生じることがなく、樹脂容器内に収納される飲料を飲用することができる。
 かかる密封容器としては、液体充填容器、飲料充填容器又は食品充填容器であることが好ましく、特に、乳酸菌飲料容器等の飲料充填容器や、乳製品容器等の食品容器であることが、液体を充填する装置において加熱工程を不要とし、装置の小型化を図り、トラブルが発生したときであっても、蓋の素材の樹脂シートを破棄する必要がないため好ましい。
 上記密封容器の製造方法としては、樹脂シートから蓋の展開形の蓋材を打ち抜くとほとんど同時に冷間成形して蓋を作製した後、蓋を樹脂容器の開口に供給し、樹脂容器と蓋とを固着する方法等を具体的に挙げることができる。
 蓋材の冷間成形は金型を用い、樹脂のガラス転移点(Tg)未満の温度雰囲気下で成形を行うことができる。例えば、アルミニウム箔等の成形に汎用されている冷間成形機を用いて、雄金型と雌金型の間に挟み、加熱せずに室温で蓋材の弾性限度を超えて樹脂の降伏点以上の加圧をすることにより、蓋材にせん断、曲げ、絞りや型付け等塑性変形を生じさせ、賦型することにより保形性を有する蓋を成形することができる。
 密封容器の蓋がポリスチレン系樹脂の場合、例えば、アルミニウム箔の冷間成形機を用いて冷間成形をするには、雄金型と雌金型のクリアランスは、蓋材の厚さ、例えば、50μm〜1mmに対し、1.3〜4.0倍に調整された金型を使用することが好ましい。更に、1.5倍〜3.5倍に調整された金型を使用することが好ましい。雄金型と雌金型のクリアランスが1.3倍以上であれば蓋材が成形中に破壊されることがなく、雄金型と雌金型のクリアランスが4.0倍以下であれば、蓋材が塑性変形され、保形性を有する成形品を作製することができる。このときの成形条件としては、10〜60℃、特に室温又は常温の温度下で加圧することが好ましい。蓋の成形後、収納物が充填された樹脂容器の開口に蓋材を供給し、上記の剥離強度を有するように超音波溶接機により20〜40kHzの超音波を0.2〜1秒蓋上から当て樹脂容器と溶接し密封することができる。
 以下、本発明の冷間成形用樹脂シートを適用したシートを作製し、作製したシートを冷間成形して得られた蓋及びこれを適用した密封容器の実施例について、図面を参照して詳述するが、本発明はこれら実施例により何等限定をされるものではない。
[シートの作製]
 65mmφTダイ押出機を用いて、樹脂を溶融押出し、以下の具体例1〜12の厚さ150μmのシートを製造した。
具体例1
 重量平均分子量23万、ゴム量12重量%、流動パラフィン量1.0重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が3.4μmである耐衝撃性ポリスチレンを溶融押出し、図1に示すように、基材層1のシートを得た。その後、片面に30μmのシーラントフィルム(LDPE層15μm+接着層15μm;ジェイフィルム株式会社製ZH−41)をドライラミネーション法で積層し、シーラント層2を作製した。ポリスチレン系樹脂シートとシーラントフィルムの剥離強度は4N/15mm幅であった。シーラント層2が積層された面と反対側の基材層1の表面に、ロールコーターを用いて、界面活性剤(花王株式会社製 エレクトロストリッパーAC)を30%濃度に希釈した水溶液を塗布し、シート表面に帯電防止層3を作製した。
具体例2
 重量平均分子量23万、ゴム量12重量%、流動パラフィン量1.0重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が3.4μmである耐衝撃性ポリスチレン、及びスチレン−ブタジエン共重合体(JSR株式会社製 TR2003;スチレン含量40重量%、ブタジエン含量60重量%)を90/10重量%の比率でブレンドした後、溶融押出し、基材層1のシートを得た。その後、片面に30μmのシーラントフィルム(LDPE層15μm+接着層15μm;ジェイフィルム株式会社製ZH−41)をドライラミネーション法で積層し、シーラント層2を作製した。シーラント層2が積層された面と反対側の基材層1の表面に、ロールコーターを用いて、界面活性剤(花王株式会社製 エレクトロストリッパーAC)を30%濃度に希釈した水溶液を塗布し、シート表面に帯電防止層3を作製し、図1に示す樹脂シートを得た。
具体例3
 重量平均分子量23万、ゴム量12重量%、流動パラフィン量1.0重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が3.4μmである耐衝撃性ポリスチレン、及びスチレン−ブタジエン共重合体(JSR株式会社製 TR2003)を90/10重量%の比率でブレンドした後、溶融押出し、図2に示すように、基材層1のシートを得た。その後、片面に30μmのシーラントフィルム(LDPE層15μm+接着層15μm;ジェイフィルム株式会社製ZH−41)をドライラミネーション法で積層し、シーラント層2を作製した。シーラント層2が積層された面と反対側の基材層1の表面に20μmの裏印刷したポリスチレン系樹脂フィルムをドライラミネーション法で積層し、印刷層4を作製した。この印刷層4のポリスチレン系樹脂フィルムの表面に、グラビアコーターを用いて、界面活性剤(花王株式会社製 エレクトロストリッパーAC)を30%濃度に希釈した水溶液を塗布し、シート表面に帯電防止層3を作製した。
具体例4
 重量平均分子量22万、ゴム量8重量%、流動パラフィン量0.5重量%、軟質成分粒子の膨潤度が11、軟質成分粒子の平均粒子径が1.0μmである耐衝撃性ポリスチレンを溶融押出し、基材層1のシートを得た。それ以外は具体例1と同様にして図1に示すシートを得た。
具体例5
 重量平均分子量24万、ゴム量6.6重量%、流動パラフィン量2.5重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が3.5μmである耐衝撃性ポリスチレンを溶融押出し、厚さ150μmの基材層1のシートを得た。それ以外は具体例1と同様にして図1に示すシートを得た。
具体例6
 重量平均分子量25万、ゴム量9.7重量%、流動パラフィン量0重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が2.7μmである耐衝撃性ポリスチレンを溶融押出し、基材層1のシートを得た。それ以外は具体例1と同様にして図1に示すシートを得た。
具体例7
 重量平均分子量16万、ゴム量14重量%、流動パラフィン量0重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が3.6μmである耐衝撃性ポリスチレンを溶融押出し、基材層1のシートを得た。それ以外は具体例1と同様にして図1に示すシートを得た。
具体例8
 重量平均分子量23万、ゴム量12重量%、流動パラフィン量1.0重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が3.4μmである耐衝撃性ポリスチレンを溶融押出し、基材層1のシートを得た。その後、片面に30μmのシーラントフィルム(LDPE層15μm+接着層15μm;ジェイフィルム株式会社製ZH−41)を積層し、シーラント層2を作製した後、シーラント層2が積層された面と反対側の基材層1の表面に、ポリジメチルシロキサンの水性エマルジョン(信越化学株式会社製 KM787)を30%濃度に希釈した水溶液をシート表面にグラビアコーターを用いて塗布し、帯電防止層3を作製し、図1に示すシートを得た。
具体例9
 重量平均分子量23万、ゴム量12重量%、流動パラフィン量1.0重量%の耐衝撃性ポリスチレンを溶融押出し、基材層1のシートを得た。その後、片面に30μmのシーラントフィルム(LDPE層15μm+接着層15μm;ジェイフィルム株式会社製ZH−41)を積層し、シーラント層2を作製した後、シーラント層2が積層された面と反対側の基材層1の表面に、界面活性剤(花王株式会社製 エレクトロストリッパーAC)とポリジメチルシロキサン(信越化学株式会社製 KM787)の混合液を塗布し、帯電防止層3を作製し、図1に示すシートを得た。
具体例10
 重量平均分子量23万、ゴム量12重量%、流動パラフィン量1.0重量%の耐衝撃性ポリスチレンに界面活性剤(花王株式会社製 エレクトロストリッパーAC)を1重量部添加し溶融押出し、基材層1のシートを得た。その後、片面に30μmのシーラントフィルム(LDPE層15μm+接着層15μm;ジェイフィルム株式会社製ZH−41)を積層し、シーラント層2を作製し、図3に示すシートを得た。
具体例11
 重量平均分子量23万、ゴム量12重量%、流動パラフィン量1.0重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が3.4μmである耐衝撃性ポリスチレン、及びスチレン−ブタジエン共重合体(JSR株式会社製 TR2003;スチレン含量40重量%、ブタジエン含量60重量%)を90/10重量%の比率でブレンドした後、溶融押出し、基材層1のシートを得た。その後、片面に50μmの補強シーラントフィルム(LLDPE層35μm+シーラント層(接着層)15μm)を積層し、補強シーラントフィルムが積層された面と反対側の基材層1の表面に、グラビアコーターを用いて、界面活性剤(花王株式会社製 エレクトロストリッパーAC)を30%濃度に希釈した水溶液を塗布し、帯電防止層3を作製し、図4に示すシートを得た。
具体例12
 重量平均分子量23万、ゴム量12重量%、流動パラフィン量1.0重量%、軟質成分粒子の膨潤度が12、軟質成分粒子の平均粒子径が3.4μmである耐衝撃性ポリスチレン、及びスチレン−ブタジエン共重合体(JSR株式会社製 TR2003;スチレン含量40重量%、ブタジエン含量60重量%)を90/10重量%の比率でブレンドした後、溶融押出し、基材層1のシートを得た。その後、片面に65μmの補強シーラントフィルム(LLDPE層50μm+シーラント層(接着層)15μm)を積層し、補強シーラントフィルムが積層された面と反対側の基材層1の表面に、30μmの裏印刷したCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム6を積層した。このCPPフィルム6の表面に界面活性剤(花王株式会社製 エレクトロストリッパーAC)を30%濃度に希釈した水溶液をグラビアコーターを用いて塗布し、帯電防止層3を作製し、図5に示すシートを得た。
参考例
 蓋用シートに厚み60μmのアルミニウム箔を用いた。
[蓋の作製]
 具体例1〜10の各種シートを23℃雰囲気下において冷間成形機により、折り目を付けた蓋を23℃雰囲気下において雌金型に対して雄金型で押し込みプレスし、図6に示すキャップ形状の蓋7を得た。雄金型と雌金型のクリアランスは0.3mmとし、連続成形を行った。蓋7の平坦部をφ24.5mm、折り目部分(スカートS)の長さを5mmとした。なお、参考例の厚み60μmのアルミニウム箔においては、冷間成形機の雄金型と雌金型のクリアランスを1.0mmとし、それ以外は具体例と同様に行った。
[密封容器の作製]
 射出ブロー成形法により、図7に示す容器8を作製した。容器8のフランジ口径をφ24.0mm、容量を65ccとした。樹脂は耐衝撃性ポリスチレン(日本ポリスチレン株式会社製 H440X)を用いた。容器と蓋を超音波溶接法にて周波数20kHz、振幅100μmpp、0.5秒の条件下で溶接し、図8に示す密封容器を得た。
[特性試験]
 実施例1で得られたシートについて、以下の方法により落錘衝撃試験を行い、表面固有抵抗及び静摩擦係数を測定し、実施例2で得られた蓋及び実施例3で得られた密封容器について、性能、及び成形性の評価を、4段階評価(◎,○,△,×)により行った。結果を表2に示す。
(1)落錘衝撃試験
 ASTM D3763に準拠した。測定器には株式会社東洋精機製作所製GRAPHIC IMPACT TESTERを使用し、伝播エネルギー、最大荷重時の変位を測定した。ホルダーはφ45mm、撃芯はφ13mmの錘型を用い、撃芯の落下速度は5.0M/secとした。ロードセル荷重は5000lb、荷重アンプレンジ1Kunit、サンプリングタイム2μ秒、荷重の入力感度5Vで行った。
(2)表面固有抵抗の測定
 JIS−K6911に準拠した。測定器には株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微小電流計を使用した。
(3)静摩擦係数の測定
 JIS−K7125に準拠した。測定器には株式会社東洋精機製作所製摩擦測定器TRを使用した。
(4)成形時の蓋強度
 冷間成形機を用い1時間あたり13000ショット成形した。成形された蓋に破損がないか目視で確認した。
(5)連続冷間成形性
 冷間成形機を用い1時間あたり13000ショット成形した。成形された蓋が金型部に付着しないか確認した。
(6)超音波溶接時の蓋強度
 冷間成形された蓋をフランジ口径φ24.0mmの65cc容器に超音波溶接法にて溶接した。溶接された密封容器の蓋に破損(穴開き、破れ)がないか目視で確認した。
(7)保形性
 成形した蓋について平坦部と折り目のなす角度αを求め、次のように判定した。判定は成形直後及び2時間経過後に実施した。折れ角度αとして、表中、○:130°以下、△:130°を超えて150°以下、×:150°を超えたものとして表示した。
(8)シール性
 溶接された密封容器の蓋を指先で軽くたたき、蓋が容器に接着しているかどうか確認した。
(9)シーラント層の剥離性
 密封容器の蓋を手で剥がし、容器にシーラント層が残存しないか目視で確認した。
(10)開封時の蓋強度
 密封容器の蓋を手で剥がした際に、蓋に破れ(エッジ切れ)が発生しないか確認した。
(11)落下時の蓋強度
 密封容器を100cm高さから自然落下させ、蓋に破れが発生しないか確認した。
(12)蓋と容器の間の剥離性
 蓋用樹脂シートと、容器用原料を用いて作製したシートを超音波溶接法により溶接した。両シートの開度を180度として180°における剥離強度を測定し、判定した。試験機は島津製作所株式会社製オートグラフAG−500Bを使用し、剥離速度は300mm/分とした。表中、○:6〜20N/15mm幅、△:6N/15mm幅未満、20N/15mm幅を超えるものとして表示した。
(13)リサイクル性
 蓋と容器の分別が必要か評価した。表中、○:分別不要、×:分別必要として表示した。
(14)金属検知可否
 金属検知器を用いて検査が可能か評価した。表中、○:検査可能、×:検査不能として表示した。
Figure 2004074794
本発明の冷間成形用樹脂シートの一実施例を示す図である。 本発明の冷間成形用樹脂シートの一実施例を示す図である。 本発明の冷間成形用樹脂シートの一実施例を示す図である。 本発明の冷間成形用樹脂シートの一実施例を示す図である。 本発明の冷間成形用樹脂シートの一実施例を示す図である。 本発明の冷間成形用樹脂シートから得られた密封容器の蓋を示す図である。 本発明の冷間成形用樹脂シートから得られた密封容器の容器を示す図である。 本発明の冷間成形用樹脂シートから得られた密封容器を示す図である。
符号の説明
1……基材層
2……シーラント層(機能層)
3……帯電防止層(機能層)
4……印刷層(機能層)
5……強度補強層(機能層)
6……表面層(機能層)
7……蓋
8……容器

Claims (30)

  1. 樹脂成形品に固着する冷間成形加工品の作製に使用する、基材層又は機能層が積層された基材層からなる樹脂シートであって、前記冷間成形加工品が保形性を有することを特徴とする冷間成形用樹脂シート。
  2. 基材層が、ポリスチレン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の冷間成形用樹脂シート。
  3. ポリスチレン系樹脂が、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS;High Impact Polystyrene)、又は耐衝撃性ポリスチレンとスチレン−ブタジエン共重合体とからなる組成物を含有することを特徴とする請求項2記載の冷間成形用樹脂シート。
  4. 耐衝撃性ポリスチレンが、ゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマーを重合して得られ、マトリクスの重量平均分子量が15万〜30万であって、スチレン含量が82〜94重量%、ゴム含量が6〜15重量%、流動パラフィン量が0〜3.0重量%である耐衝撃性ポリスチレン(A)であることを特徴とする請求項3記載の冷間成形用樹脂シート。
  5. 耐衝撃性ポリスチレン(A)が、30以下の膨潤度と0.5〜10μmの範囲の平均粒子径とを有する軟質成分粒子を有することを特徴とする請求項4記載の冷間成形用樹脂シート。
  6. スチレン−ブタジエン共重合体が、スチレン含量が30〜90重量%、ブタジエン含量が10〜70重量%であるスチレン−ブタジエン共重合体(B)であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  7. 耐衝撃性ポリスチレン(A)100〜70重量%とスチレン−ブタジエン共重合体(B)0〜30重量%とからなる組成物を含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  8. 機能層が、基材層の両面又は一方の片面に、1又は2層以上積層されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  9. 機能層が、シーラント層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  10. シーラント層が、熱可塑性エラストマー及び/又はエチレン系共重合体を含有することを特徴とする請求項9記載の冷間成形用樹脂シート。
  11. 機能層が、帯電防止層であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  12. 機能層が、印刷層であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  13. 機能層が、バリア層であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  14. 機能層が、強度補強層であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  15. 強度補強層が、シーラント層と基材層との間に設けられていることを特徴とする請求項14記載の冷間成形用樹脂シート。
  16. 強度補強層が、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする請求項15記載の冷間成形用樹脂シート。
  17. ポリオレフィン系樹脂が、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)であることを特徴とする請求項16記載の冷間成形用樹脂シート。
  18. 機能層が、表層として形成された耐摩耗層であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  19. 耐摩耗層が、ポリオレフィン系樹脂及び/又はナイロン樹脂を含有する層であることを特徴とする請求項18記載の冷間成形用樹脂シート。
  20. ポリオレフィン系樹脂が、CPP(無延伸ポリプロピレン)であることを特徴とする請求項19記載の冷間成形用樹脂シート。
  21. 機能層が、基材層と同種の樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  22. 基材層と同種の樹脂が、一般用ポリスチレン(GPPS;General Purpose Polystyrene)及び/又はスチレン−ブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項21記載の冷間成形用樹脂シート。
  23. 少なくとも一方の表面の表面固有抵抗値が、106〜1014Ωの範囲であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  24. 少なくとも一方の表面の表面静摩擦係数が、0.1〜0.4の範囲であることを特徴とする請求項1〜23のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  25. 白着色されたことを特徴とする請求項1〜24のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  26. 50μm〜1mmの厚さの樹脂シートであることを特徴とする請求項1〜25のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  27. 樹脂成形品と冷間成形加工品とが、同種の樹脂を主成分として含有することを特徴とする請求項1〜26のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  28. 同種の樹脂が、ポリスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項27記載の冷間成形用樹脂シート。
  29. 樹脂成形品と冷間成形加工品との間の剥離強度が、180°剥離試験において6〜20N/15mm幅であることを特徴とする請求項1〜28のいずれか記載の冷間成形用樹脂シート。
  30. 基材層とシーラント層又は強度補強層との間の接着強度が、3N/15mm幅以上であることを特徴とする請求項29記載の冷間成形用樹脂シ−ト。
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