JP2004073412A - 自覚式検眼システム - Google Patents

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Abstract

【課題】自覚式検眼システムにおいて、被検者にストレスを与えることなく、オペレータの検査労力の軽減および検査時間の短縮を図ることができるものとする。
【解決手段】一対の光学素子を相対的に変位可能に重ね合わせ、相対的な変位に応じて球面度数S1を連続的に変化させるアルバレッツレンズ43と、着脱可能に準備された単一の球面度数S2を有するシフト用レンズ45とを備え、屈折特性検出部52が、アルバレッツレンズ43の球面度数S1とシフト用レンズ45の球面度数S2との合成球面度数Sを求めて、表示ユニット50の表示部51が、この合成球面度数Sを表示する。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自覚式検眼システムに関し、詳細には、自覚式検眼ユニットと表示ユニットとを備えた検眼システムの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、眼科医等のオペレータは、他覚式のレフラクトメータや自覚式のピジョンテスター等の検眼装置を用いて、被検眼の各種屈折特性を測定し、得られた屈折特性に基づいて、この被検眼に適合する眼鏡の球面度数S、円柱度数C、円柱軸の軸角度A等の処方値を決定している。
【0003】
ところで近年、上述した自覚式検眼装置として、屈折力が異なる多数のレンズを円周状に配設してなるターレットを筐体内部に備え、ターレットを所定角度回転させることによって、これら多数のレンズのうち任意の一つを選択的に被検眼の正面に配置するとともに、この被検眼の正面に配置されたレンズの屈折特性を検出して外部に出力する自覚式検眼ユニットと、この検眼ユニットから出力された屈折特性や、この屈折特性に基づく処方値を表示する表示ユニットとから構成された自覚式検眼システムが開発されている(特開2001−346762号等)。
【0004】
また、検眼ユニットの内部にモータ駆動装置等を組み込んで、ターレットをこのモータ駆動装置等によって回転駆動とするとともに、モータ駆動装置の駆動制御を行うコントローラを表示ユニットに一体的に設けたリモート式の自覚式検眼システムも開発されている。
【0005】
そして、このようなリモート式の検眼システムによれば、オペレータは、表示ユニットの表示を確認しながら、検眼ユニットのレンズの選択操作を行うことができ、検眼ユニットに近づいてターレットを回転操作する必要がない。
【0006】
したがって、オペレータの検眼作業を軽減することができるとともに、被検者も、オペレータが傍らで検眼ユニットの操作を行わないため、リラックスして受診することができる。
【0007】
ところで、上述した自覚式検眼システムによって屈折特性あるいは処方値を得られるものの、実際に処方する眼鏡の屈折特性としてこの処方値等をそのまま適用するのは、必ずしも好ましいものではない。
【0008】
すなわち、上述した検眼システムで求められる処方値は、被検者が、検眼ユニットの選択されたレンズを介して、例えば5m先の視力検査用チャートに記載された記号や文字を正常に視認できるか否かに基づいて決定されるものであり、遠方視での視力検査いわゆる遠方視検査によるものである。
【0009】
これに対して、実際に処方された眼鏡を用いる環境では、遠方視だけでなく手元にある新聞等の文字を見たり足元の歪みを確認することもあり、このような場合に、目には過度の調整力が要求されて、被検者は目に極度の疲労を感じたり、目眩や頭痛を感じる場合もある。
【0010】
そこで、遠方視と近方視とをある程度バランスさせて矯正することが必要となり、最終的には、眼鏡形のトライアルフレームを被検者の顔面に装用させた上で、処方値に近い屈折特性のレンズを選択的に順次、このトライアルフレームに装着し、遠方や近方の見え方等を聞き取って、最終的な処方値を決定する調整用検査が実施されている。
【0011】
しかし、このように遠方視検査と調整用検査とを行うのは手間がかかるという問題があり、また、検査に要する時間も長時間化している。
【0012】
このような事情に鑑み、本願発明者らは、遠方視検査と近方視検査とを単一の検眼ユニットで行うことができるように、検眼ユニットを従来よりも大幅に小型化した検眼システムを開発した。
【0013】
すなわち、この検眼ユニットは、上記レンズとしてアルバレッツレンズ(ALVAREZ LENZ)を用いたものであり、従来の検眼ユニットに用いられていたターレットが不要となるため、検眼ユニット自体を被検者に装用させることができる程度まで大幅に小型化、軽量化することができる。
【0014】
また、装用可能とすることによって、被検者は首振りなどを自由に行うことができ、拘束からの自由度を向上させることができる。
【0015】
なお、アルバレッツレンズは、一方の面が、x=A{(1/3)y+yz}で表される非球面で、かつ他方の面が平面で形成された光学素子(例えば、位相板等)2枚によって構成されている。
【0016】
そして、これら2枚の光学素子の非球面側を対向させ、互いに180°回転させた位置を保ち、両者を互いに反対方向に同一の変位量(移動量)だけ変位(移動)させることによって、屈折力を連続的に変化させることができる(米国特許3,305,294号)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、検眼ユニットの大きさを、被検者に装用可能とする大きさまで小型化する場合、アルバレッツレンズを構成する2枚の光学素子の変位量をある程度の上限値に抑制する必要がある。
【0018】
一方、アルバレッツレンズの屈折特性のレンジ幅は、一般に、光学素子の変位量に依存する。すなわち、屈折特性のレンジ幅を拡大するには、一般には、変位量を大きく確保する必要があり、その場合、この光学素子を収容する検眼ユニットの筐体が大きくなってしまう。
【0019】
ここで、アルバレッツレンズの非球面形状を工夫することによって、同一の変位量であっても、より広いレンジ幅の屈折特性を得ることも可能であるが、上述したように、アルバレッツレンズの非球面形状は複雑な3次曲面であるため、面形状の精度確保、製造コスト抑制の観点から、現状においては、例えばレンジ−10D(ディオプタ)〜+10Dという20Dのレンジ幅を確保するためには、変位量12mm程度が下限である。
【0020】
この−10D〜+10Dという屈折特性のレンジは、一般的な被検者については十分な屈折特性であり、自覚式検眼システムとして十分な性能である。
【0021】
しかし、特異的にこのレンジの上限を上回り、あるいは下限を下回るレンジを必要とする場合もある。
【0022】
そこで、本願発明者らは、アルバレッツレンズの屈折特性のレンジはそのままで、このレンジを上下に選択的にシフトさせるシフト用レンズを着脱式で付加することにより、検眼ユニット全体としての屈折特性のレンジを拡大する技術を開発した。
【0023】
すなわち、このようなシフト用レンズとして、例えば、−10Dのもの、−5Dのもの、+5Dのもの、+10Dのものを予め準備し、これらのうち1つを選択的に付加することにより、検眼ユニット全体としての屈折特性のレンジを、−20D〜±0D、−15D〜+5D、−5D〜+15D、または±0〜+20Dに変更することができ、全体としてのレンジ幅を実質的に拡大することができる。
【0024】
しかしながら、このようにシフト用レンズを用いた場合、オペレータが、アルバレッツレンズの屈折特性と、シフト用レンズの屈折特性とを紙などに記録等して、両屈折特性の光学的な合成値である合成屈折特性を、オペレータ自らが計算して求める必要がある。
【0025】
また、記録時の誤記や計算間違い等によって、正しい合成屈折特性を得ることができない場合もある。
【0026】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、オペレータの検査労力を軽減するとともに、正確に屈折特性を得ることができる自覚式検眼システムを提供することを目的とするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る自覚式検眼システムは、検眼用のレンズと該レンズの屈折特性を変化させる屈折特性変化手段とを有する自覚式検眼ユニットと、前記レンズの屈折特性を検出する屈折特性検出手段と、前記屈折特性検出手段によって検出された前記屈折特性を表示する表示ユニットとを備えた自覚式検眼システムにおいて、前記レンズは、一対の光学素子が相対的に変位可能に重ね合わされて、前記相対的な変位に応じて前記屈折特性を連続的に変化させるアルバレッツレンズと、着脱可能に準備された単一の屈折特性を有する少なくとも一種類のシフト用レンズとを備え、前記屈折特性検出手段は、前記アルバレッツレンズの屈折特性と前記自覚式検眼ユニットに装着されたシフト用レンズの屈折特性との合成屈折特性を求めるものであり、前記表示ユニットは、前記屈折特性検出手段によって求められた前記合成屈折特性を表示するものであることを特徴とする。
【0028】
ここで、屈折特性とは、眼鏡の球面度数S、円柱度数C、円柱軸の軸角度A等の処方値に係わるものをいうが、これら処方値自体であってもよい。
【0029】
屈折特性検出手段は、自覚式検眼ユニットあるいは表示ユニットに組み込まれていてもよいし、これらとは別体であってもよい。
【0030】
アルバレッツレンズは、一方の面が、x=A{(1/3)y+yz}で表される非球面で、かつ他方の面が平面で形成された光学素子(例えば、位相板等)2枚によって構成されている。
【0031】
そして、これら2枚の光学素子の非球面側を対向させ、互いに180°回転させた位置を保ち、両者を互いに反対方向に同一の変位量だけ移動させることによって、屈折力を連続的に変化させることができる(米国特許3,305,294号)。
【0032】
着脱可能にとは、検眼ユニットに対して着脱自在に、という意味であり、検眼ユニットに装着されている状態においては、シフト用レンズの光軸がアルバレッツレンズの光軸に略一致するように配置されるのが好ましい。
【0033】
単一の屈折特性を有するシフト用レンズとは、例えば+10Dのレンズ、+5Dのレンズ、−5Dのレンズ、−10Dのレンズ、というように屈折特性が変化しないレンズであり、アルバレッツレンズの屈折特性レンジでは補正不可能な被検眼に対して、アルバレッツレンズと併せて補助的に用いるレンズを意味する。
【0034】
このため、上記例示のシフト用レンズの全てを準備する必要はなく、例えば統計的にアルバレッツレンズのレンジから+方向に外れる傾向があれば、+5Dあるいは+10Dのレンズのみ準備しておけばよい。
【0035】
このように構成された本発明の請求項1に係る自覚式検眼ユニットによれば、屈折特性を連続的に変化させることができるアルバレッツレンズを用いており、屈折特性変化手段であるところの変位手段によって、アルバレッツレンズを構成する2枚の光学素子を相対的に変位させることによって、アルバレッツレンズの屈折特性を変化させることができるため、従来のように、多数のレンズが配されていたターレットを備える必要がなく、自覚式検眼ユニットを小型化、軽量化することができる。
【0036】
そして、この小型・軽量化により、被検者は、検眼ユニットを用いて手元や足元を見ることもでき、従来の遠方視検査だけでなく、近方視検査にもそのまま使用することができる。
【0037】
また、検眼ユニットを被検者に装用させることができるため、被検者は首振り動作を自由に行うことができ、拘束の自由度を向上させることができる。
【0038】
したがって、従来は検眼ユニットによる遠方視検査の後にトライアルフレームを用いて行っていた調整用の検査を、この検眼ユニットをそのまま用いて行うことができ、眼科医等のオペレータの検査労力の軽減および検査時間の短縮、並びに被検者のストレス軽減を図ることができる。
【0039】
さらに、アルバレッツレンズは連続的に屈折特性を変化させることができるため、離散的な屈折特性(例えば0.25D間隔)のみしか得られなかった従来の検眼ユニットよりも、きめ細かく屈折特性を得ることができる。
【0040】
また、アルバレッツレンズによる屈折補正レンジの上限を上回り、あるいは下限を下回る屈折補正レンジが必要である場合には、その屈折補正レンジに適合するように、シフト用レンズを検眼ユニットに追加的に装着することによって、所望の屈折補正レンジに対応することができる。
【0041】
そして、このようにシフト用レンズを用いた場合におけるアルバレッツレンズの屈折特性とシフト用レンズの屈折特性との合成屈折特性は、屈折特性検出手段によって求められて、表示ユニットに表示されるため、オペレータ自らが、これら両レンズの合成屈折特性を計算して求める必要がなく、オペレータの作業負担を軽減させるとともに、常に正確に屈折特性(合成値)を得ることができる。
【0042】
また、本発明の請求項2に係る自覚式検眼システムは、請求項1に係る自覚式検眼システムにおいて、前記シフト用レンズは、該シフト用レンズの屈折特性を表す識別部を有し、前記屈折特性検出手段は、前記シフト用レンズが装着される前記自覚式検眼ユニットの装着部に装着されたシフト用レンズの識別部が表す屈折特性を検出するものであることを特徴とする。
【0043】
ここで、識別部は、光学的方式によるもの、電気的方式によるもの、磁気的方式によるもの、あるいは機械的方式によるもの等、いずれの方式によるものであってもよい。
【0044】
このように構成された本発明の請求項2に係る自覚式検眼システムによれば、屈折特性検出手段が、検眼ユニットに装着されたシフト用レンズの識別部に基づいてこのシフト用レンズの屈折特性を自動的に検出するため、オペレータが誤認する余地がなく、シフト用レンズの屈折特性を容易にかつ確実に特定することができる。
【0045】
また、本発明の請求項3に係る自覚式検眼システムは、請求項1または2に係る自覚式検眼システムにおいて、前記屈折特性変化手段は、前記一対の光学素子をモータ駆動により相対的に変位させる変位手段であり、前記屈折特性検出手段は、前記相対的な変位量と前記屈折特性とを予め対応づけてなる参照テーブルと、前記相対的な変位量を検出する変位検出手段とを有し、前記変位検出手段によって検出された相対的な変位量に対応する屈折特性を、前記参照テーブルを参照することにより求めるものであり、前記表示ユニットは、前記変位手段のモータ駆動を制御するコントローラを備えたことを特徴とする。
【0046】
ここで、参照テーブルは、相対的な変位量と、この相対的な変位量に対応して得られる屈折特性とを、例えば予め実験的に求め、得られた実験結果に基づいて作成すればよく、いわゆるルックアップテーブル(LUT)の形式で保持していてもよいし、回帰式の如く関数形式で保持していてもよい。
【0047】
このように構成された本発明の請求項3に係る自覚式検眼システムによれば、表示ユニットに備えられたコントローラを操作することによって、検眼ユニットのアルバレッツレンズの屈折特性を変化させることができ、オペレータが検眼ユニットを操作する必要がなく、被検者に近づくことなく遠隔操作を行うことができる。
【0048】
したがって、被検者にストレスを与えることなく、オペレータの検査労力をさらに軽減し、検査時間をさらに短縮させることができる。
【0049】
また、屈折特性検出手段を構成する変位検出手段によって、光学素子間の相対的な変位を検出し、この検出された相対的な変位を、参照テーブルによって予め対応づけられている相対的な変位と比較対照して、この相対的な変位に対応する屈折特性を容易に得ることができる。
【0050】
なお、上述した本発明に係る各自覚式検眼システムにおいて、アルバレッツレンズの屈折特性レンジ幅を略20D(例えば、レンジを−10D〜+10D)に設定した場合、通常のアルバレッツレンズ製作技術によれば、2枚の光学素子間の相対的な変位量の幅は概略12mm程度であり、この程度の変位量の幅であれば、光学素子の可動範囲を検眼ユニットの筐体で完全に覆った場合にも、筐体の大きさを従来のターレット式の筐体よりも大幅に小さく構成することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る自覚式検眼システムの実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0052】
図1は、本発明に係る自覚式検眼システムの一実施の形態を表す概略構成図である。
【0053】
図示の自覚式検眼システム100は、視力検査用のチャート(以下、検眼チャートという。)11を提示するチャート提示装置10と、被検者とチャート提示装置10との間に介在されるピジョンテスタ(自覚式検眼ユニット)20と、このピジョンテスタ20のヘッドユニット31に設けられたアルバレッツレンズ等の屈折特性に対応する眼鏡用の処方値である球面度数S、円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aを表示する表示ユニット50とを備えた構成である。
【0054】
ここで、チャート提示装置10は、ランドル環チャート、ひらがなチャート、乱視チャート、レッド・グリーンテストチャート等各種屈折特性を検眼するのに対応した複数種類の検眼チャート11を備えており、後述する表示ユニット50に内蔵されたコントローラ53を操作することによって、上記複数種類の検眼チャート11のうち1つまたは2つ以上を任意に切り替えて提示するように構成されている。
【0055】
ピジョンテスタ20は、図2に示すように、被検者80の左右の眼球にそれぞれ対応した左右一対のフォロプタ31a,31bが一体化されて被検者80に装用されるヘッドユニット31と、ヘッドユニット31の装用重量を軽減するためのバランサ32と、ヘッドユニット31およびバランサ32を上方から支持する支持アーム33および支柱34とを備えている。
【0056】
ここで、ヘッドユニット31には、このヘッドユニット31を被検者80の顔に装用するための左右一対のテンプル35および鼻当て36が設けられており、これらのテンプル35および鼻当て36は、被検者80の耳位置や鼻位置に応じて適宜調整可能に構成されている。
【0057】
さらに各テンプル35の後端には、これらの両テンプル35に架け渡されて被検者80の頭部に巻回される長さ調整可能のベルクロストラップ35bが設けられており、ヘッドユニット31を被検者80に装用したときに、ヘッドユニット31が被検者の顔から滑り落ちるのを防止している。
【0058】
ヘッドユニット31の両側部には、ヘッドユニット31を前後方向に回動可能に軸支するとともに、一端にバランサ32が連結された支持ワイヤ38の他端側とスプリング39を介して連結された略半円環帯状の支持枠37が設けられている。
【0059】
また、ヘッドユニット31の各フォロプタ31a,31bには、このヘッドユニット31が被検者80に装用された状態において、被検者80の各眼球位置に対応する位置に、前方に配置されたチャート提示装置10を視認可能とする検眼窓41,42がそれぞれ形成されている。
【0060】
さらに、これらフォロプタ31a,31bの内部には、アルバレッツレンズ43およびVccレンズ44が配設されている。
【0061】
ここで、アルバレッツレンズ43は、図3に示すように、2枚一対の透明な光学素子(例えば、位相板等)43a,43bが互いに重なり合って構成され、これらの重ね合わせ面の表面形状は、x=A{(1/3)y+yz}で表される3次曲面に形成され、これら2枚の光学素子43a,43bを、これらの光軸Xに直交する面内で相対的に上下変位させることにより、両光学素子43a,43bを光学的に合成して得られる屈折力を連続的に変化させることができる。
【0062】
この実施の形態における両光学素子43a,43bの上下方向の最大相対的変位量Lmaxは例えば略12mmである。
【0063】
そして、この変位量12mmによって、フォロプタ31a,31bの検眼窓41,42を介して検眼チャート11に臨まれるアルバレッツレンズ43の球面度数S1を、−10D(ディオプタ)〜+10Dの範囲で連続的に変化させる。
【0064】
また、このアルバレッツレンズ43と同軸X上に配設されたVccレンズ44を構成する2枚のシリンダレンズ44a,44bは、光軸Xを中心に回転させることによって、検眼窓41,42を介して検眼チャート11に臨まれるVccレンズ44の円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aを変化させる。
【0065】
さらに、ヘッドユニット31の内部には、アルバレッツレンズ43の光学素子43a,43bを相対的に上下変位させる変位手段としてのラックアンドピニオンギヤ43cおよびモータ43dと、Vccレンズ44のシリンダレンズ44a,44bをそれぞれ回転変位させるギヤ44cおよびモータ44dと、これら各モータ43d,44dによって変位された光学素子43a,43bの相対的変位量Lおよびシリンダレンズ44a,44bの回転変位量θ1,θ2をそれぞれ所定の基準位置からの回転変位量として検出する検出手段43e,44eが設けられている。
【0066】
これらの検出手段43e,44eとしては、代表的には、ラックアンドピニオンギヤ43cやギヤ44cに設けられたエンコーダとLED/フォトダイオードとからなる検出系などがあるが、その他の公知の種々の検出装置を適用することができる。
【0067】
またエンコーダは、ロータリーエンコーダであってもよいし、リニアエンコーダであってもよい。
【0068】
さらに、検眼窓41,42のチャート提示装置10に対向する面には、球面度数Sを一律にシフトさせるシフト用レンズ45を択一的に着脱可能に装着させることができるシフト用レンズ装着部46が形成されている。
【0069】
そして、このシフト用レンズ装着部46に装着されるシフト用レンズ45としては、球面度数S2が+10Dのレンズ、+5Dのレンズ、±0のレンズ、−5Dのレンズ、および−10Dのレンズ、という5つの種類のものが予め準備されており、これらのうち選択された1つとアルバレッツレンズ43とを組み合わせることによって、検眼窓41,42を介して検眼チャート11に臨まれるアルバレッツレンズ43およびシフト用レンズ45の合成球面度数S(=S1+S2)を−20D〜±0D、−15D〜+5D、−10D〜+10D、−5D〜+15D、±0D〜+20Dのいずれかの範囲に設定することができ、実質的にアルバレッツレンズ43の球面度数Sのレンジ幅を−20D〜+20Dの範囲まで拡大することができる。
【0070】
また、各シフト用レンズ45の、シフト用レンズ装着部46に装着されるタブ部分45aには、それぞれのシフト用レンズ45を光学的に識別するための異なる反射パターン45bが形成されている。
【0071】
そして、シフト用レンズ装着部46には、これに装着されたシフト用レンズ45の反射パターン45bを光学的に読み取る光検出器48が設けられており、読み取って得られた反射パターン45bに応じた球面度数S2を検出する。
【0072】
なお、ヘッドユニット31のフォロプタ31a,31bは、左右の検眼窓41,42に被検者の左右の眼球位置が適合するように、すなわち瞳孔間距離(PD)に適合するように、左右方向への調整が可能となっている。
【0073】
表示ユニット50には、図4に示すように、検出手段43eによって検出された光学素子43a,43bの相対的変位量Lに基づいて、アルバレッツレンズ43の球面度数S1を算出して、光検出器48によって検出されたシフト用レンズ45の球面度数S2との光学的合成値である合成球面度数Sを算出するとともに、検出手段44eによって検出されたシリンダレンズ44a,44bの回転変位量θ1,θ2に基づいて、Vccレンズ44の円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aを算出する屈折特性検出部52と、算出されたこれらの合成球面度数S、円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度A、並びにチャート提示装置10に選択的に提示された検眼チャート11の種類を表す模式図12等をそれぞれ表示する表示部51とを備えている。
【0074】
ここで、屈折特性検出部52は、光学素子43a,43bの相対的変位量Lと、この相対的変位量Lのときの球面度数S1とを予め実験的に求めて、これら求められた両者L,S1を参照テーブル52aとして予め記憶しておき、実際の検眼時に検出された相対的変位量Lに対応する球面度数S1を、参照テーブル52aを参照して求める。
【0075】
同様に、屈折特性検出部52は、シリンダレンズ44a,44bの回転変位量θ1,θ2と、この回転変位量θ1,θ2のときの円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aとを予め実験的に求めて、これら求められた両者θ1およびθ2とCおよびAとを参照テーブル52aとして予め記憶しておき、実際の検眼時に検出された回転変位量θ1,θ2に対応する円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aを、参照テーブル52aを参照して求める。
【0076】
さらに、表示ユニット50には、光学素子43a,43bを変位させるモータ43dおよびシリンダレンズ44a,44bを回転変位させるモータ44dをそれぞれ駆動制御するとともに、チャート提示装置10に提示する検眼チャート11を任意に選択して切り替えて、この提示された検眼チャート11に対応する図柄12を表示部51に表示させるコントローラ53が内蔵されている。
【0077】
なお、上述した支持アーム33および支柱34は、可動の検査用専用デスク60上に固定され、また、この検査用専用デスク60上には表示ユニット50も載置される。
【0078】
次に、本実施の形態に係る自覚式検眼システム100の作用について説明する。
【0079】
まず、被検者80がこの検査用専用デスク60とセットで提供された検査用の椅子61に、デスク60に向かって腰掛け、眼科医等のオペレータ90によって、ヘッドユニット31が装用される。
【0080】
このとき、ヘッドユニット31のフォロプタ31a,31bに形成された左右の検眼窓41,42が被検者80のPDに適合するように、予めオペレータによって、ヘッドユニット31のフォロプタ31a,31bが左右方向に調整される。
【0081】
また、装用に際しては、テンプル35が被検者80の耳位置に合わせて調整され、鼻当て36が鼻位置に合わせて調整され、ベルクロストラップ35bが頭部に巻回されて、ヘッドユニット31は被検者80に装用固定される。
【0082】
このとき、ヘッドユニット31は、スプリング39を介して支持ワイヤ38に連結されたバランサ32で重量バランスがとられているため、被検者80は、装用されたヘッドユニット31を重く感じることはなく、また、装用された状態から自重によって脱落することもない。
【0083】
また、オペレータ90は、図示しないレフラクトメータ等の他覚式検眼装置によって予め検眼した結果に基づいて、被検者80の被検眼に適合すると予測したシフト用レンズ45を1つ選択して、シフト用レンズ装着部46に装着する。
【0084】
このようにしてヘッドユニット31が装用された被検者80は、ヘッドユニット31の検眼窓41,42から、ヘッドユニット31の内部に設けられたアルバレッツレンズ43、Vccレンズ44、およびヘッドユニット31の外部に付加的に装着されたシフト用レンズ45を介して、検査用専用デスク60の前方に配置されたチャート提示装置10に提示されたチャート11(図1)を視認する。
【0085】
ここで、例えばシフト用レンズ45として、シフト量が+5Dのレンズがシフト用レンズ装着部46に装着された場合について説明する。
【0086】
このシフト用レンズ45のタブ部分45aがシフト用レンズ装着部46に装着されると、図3に示すように、光検出器48がこのタブ部分45aに形成された反射パターン45bを光学的に読み取り、この読み取って得られた反射パターン45bに応じた球面度数S2を検出する。
【0087】
このように、シフト用レンズ45の球面度数S2は、光検出器48によって自動的に検出されるため、オペレータ90が、特定のシフト用レンズ45をシフト用レンズ装着部46に装着したときに、オペレータ90がこの装着したシフト用レンズ45の球面度数S2を誤ってメモしたり転記するなどのミスを防止することができる。
【0088】
一方、ヘッドユニット31の内部のアルバレッツレンズ43を構成する2つの光学素子43a,43b間の相対的変位量Lが、検出手段43eによって検出される。
【0089】
なお、初期的には両光学素子間の相対的変位量Lはゼロであり、この値ゼロが、検出手段43eから表示ユニット50の屈折特性検出部52に送出される(図4)。
【0090】
同様に、ヘッドユニット31の内部のVccレンズ44を構成する2つのシリンダレンズ44a,44bの各回転変位量θが検出手段44eによって検出される。
【0091】
なお、初期的にはシリンダレンズの角度変位はゼロであり、この値ゼロが、検出手段44eから表示ユニット50の屈折特性検出部52に送出される。
【0092】
そして、屈折特性検出部52は、検出手段43eから入力された相対的変位量L(=0:初期値)に対応する球面度数Sを、参照テーブル52aを参照して求め、検出手段44eから入力された回転変位量θ1,θ2(=0:初期値)に対応する円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aを、参照テーブル52aを参照して求める。
【0093】
さらに、屈折特性検出部52は、得られたアルバレッツレンズ43の球面度数S1とシフト用レンズ45の球面度数S2との光学的合成値である合成球面度数Sを算出し、算出された合成球面度数S、Vccレンズ44の円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aを表示部51に送出する。
【0094】
このようにして、屈折特性検出部52から表示部51に入力された合成球面度数S、Vccレンズ44の円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aの各値は、図5に示すように、オペレータ90に視認可能な数値等として表示部51に表示される。
【0095】
表示部51に表示された各屈折特性(合成球面度数S、円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aの各値)は、検眼窓41,42の位置におけるアルバレッツレンズ43、Vccレンズ44およびシフト用レンズ45の屈折特性となる。
【0096】
次いで、オペレータ90は、検査用専用デスク60の側方にセッティングされた椅子62に座り、表示ユニット50の表示部52に表示された上記各屈折特性と、チャート提示装置10に選択的に提示されている検眼チャート11を表す図柄12の表示(図5参照)とを見つつ、被検者80がヘッドユニット31の検眼窓41,42を通して、チャート提示装置10に提示されている検眼チャート11の見え方を聞き取りながら、被検者80の被検眼について、遠方視の屈折特性が最適となるように、アルバレッツレンズ43、Vccレンズ44およびシフト用レンズ45の屈折特性を順次変化させ、あるいはチャート提示装置10に提示する検眼チャート11の選択を切り替えるように、コントローラ53を操作する。
【0097】
例えば、アルバレッツレンズ43の球面度数Sを変化させるようにコントローラ53を操作すると、このコントローラ53の駆動制御によってフォロプタ31a,31b内のモータ43dが駆動・停止し、このモータ43dの駆動・停止に応じて、アルバレッツレンズ43を構成する2枚の光学素子43a,43bが相対的に上下方向に変位する。
【0098】
そして、この両光学素子43a,43b間の相対的変位量Lに応じて、検眼窓41,42におけるアルバレッツレンズ43の球面度数S1が変化する。
【0099】
一方、この相対的変位量Lは検出手段43eによって検出され、上述した初期値L=0の場合と同様の作用によって、屈折特性検出手段52が相対的変位量Lに対応した球面度数S1を求め、さらにこの求められた球面度数S1と、シフト用レンズ45の球面度数S2との光学的合成値(合成球面度数)Sが略リアルタイムに求められて、表示部51に表示される。
【0100】
オペレータ90は、検眼チャート11の見え方に対する被検者80の受応えと、上記表示された合成球面度数S等を参考にして分析しながら、最適な合成球面度数Sとなるようにコントローラ53を操作する。
【0101】
同様に、Vccレンズ44の円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aを変化させるようにコントローラ53を操作すると、このコントローラ53の駆動制御によってフォロプタ31a,31b内のモータ44dが駆動・停止し、このモータ44dの駆動・停止に応じて、Vccレンズ44を構成する2枚のシリンダレンズ44a,44bがそれぞれ回転変位する。
【0102】
そして、このシリンダレンズ44a,44bの回転変位量θ1,θ2に応じて、検眼窓41,42におけるVccレンズ44の円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aが変化する。
【0103】
一方、この回転変位量θ1,θ2は検出手段44eによって検出され、上述した初期値θ1,θ2=0の場合と同様の作用によって、屈折特性検出手段52が回転変位量θ1,θ2に対応した円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aを求め、さらにこの求められた円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aが略リアルタイムに、表示部51に表示される。
【0104】
オペレータ90は、検眼チャート11の見え方に対する被検者80の受応えと、上記表示された円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度A等を参考にして分析しながら、最適な円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度Aとなるようにコントローラ53を操作する。
【0105】
以上の操作によって、遠方視についての被検眼の屈折特性の検査(いわゆる遠方視検査)が終了し、この被検眼に最適な仮の処方値(球面度数S、円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度A)が求められる。
【0106】
続いて、手元や足元などの近距離についての被検眼の屈折特性の検査(いわゆる近方視検査)が行われる。
【0107】
この近方視検査では、チャート提示装置10に提示された検眼チャート11を略水平方向に視認して検査するのではなく、被検者80はこのヘッドユニット31を装用したままで首を下方に曲げる等して、被検者80自身の手元や足元の見え方(歪みの確認等)を検査する。
【0108】
すなわち、被検者80に装用されているヘッドユニット31は、被検者80の顔の動きに追従しなければならないが、図2に示すように、ヘッドユニット31を支持している支持枠37は、ヘッドユニット31の両側部を軸支しているため、ヘッドユニット31は前後方向への回動が自在であり、被検者80の首振り動作に対して確実に追従することができる。
【0109】
また、この支持枠37は、上方に凸の半円形状に形成されているため、ヘッドユニット31を装用した被検者80が首を前方に曲げて顔を傾けた場合にも、被検者80の顔の額より上方の部分は、支持枠37の下方をくぐるため、支持枠37に干渉することがなく、この点においても、被検者80の首振り動作の妨げとなることがない。
【0110】
さらに、支持枠37は、一端にバランサ32が連結されたワイヤ38の他端に、スプリング39を介して連結されているが、バランサ32は、ヘッドユニット31の重量感を軽減させる程度の重量であるため、ヘッドユニット31を装用している被検者80がヘッドユニット31ごと顔を下方に下げる動作に対して、上方への大きな引き力を感じることはなく、さらに、バランサ32とヘッドユニット31との間に設けられたスプリング39によって、静止状態から首振りの動作開始時に生じる静止状態の慣性力を緩和することもできる。
【0111】
このようにして、被検者80は、ヘッドユニット31を装用したままで手元や足元等の近距離を視認することになり、オペレータ90は、この近距離を視認している状態で、前述した遠方視検査におけるものと同様の操作、すなわち、表示ユニット50の表示部52に表示された上記各屈折特性を見つつ、被検者80がヘッドユニット31の検眼窓41,42を通して、手元の新聞紙に記載の文字等の見え方を聞き取りながら、被検者80の被検眼について、近方視の屈折特性が最適となるように、アルバレッツレンズ43、Vccレンズ44およびシフト用レンズ45の屈折特性を順次変化させるように、コントローラ53を操作する。
【0112】
以上の操作によって、被検者80の被検眼について近方視検査が終了し、遠方視検査の結果と併せて、この被検眼に最適かつ最終的な処方値(球面度数S、円柱度数Cおよび円柱軸の軸角度A)が求められる。
【0113】
このように、本実施の形態に係る自覚式検眼システム100によれば、ヘッドユニット31が、従来のターレット式レンズ群に代えて、このターレット式レンズ群よりも大幅に重量の軽いアルバレッツレンズ43を用いており、しかも、このアルバレッツレンズ43によって球面度数Sを変化させるのに要するスペースは、大きなスペースを要するターレットも用いたものと比較して、極めて小さくすることができるため(本実施の形態においては、例えば略12mmのストロークにすぎない。)、ヘッドユニット31の大幅な小型化、軽量化を実現することができる。
【0114】
したがって、従来は固定的に配置されていたヘッドユニットを、被検者80に装用させて検査を行うことができ、しかも、遠方視検査だけでなく近方視検査においてもそのままヘッドユニット31を用いて行うことができる。
【0115】
よって、遠方視検査と近方視検査とを各別の方法で行う必要がなく、被検者80にストレスを与えることなく、オペレータ90の検査労力を軽減するとともに、検査時間の短縮を図ることができる。
【0116】
また、アルバレッツレンズ43の球面度数S1のレンジ幅−10D〜+10Dでは十分でない場合にも、シフト量の異なるいずれかのシフト用レンズ45を選択して、アルバレッツレンズ43と併用することにより、測定可能となる球面度数S1のレンジ幅を自在に拡大することができ、小型・軽量を確保しつつ検査性能の低下を防止することができる。
【0117】
そして、このようにシフト用レンズ45を用いた場合におけるアルバレッツレンズ43の球面度数S1とシフト用レンズ45の球面度数S2との合成球面度数Sが自動的に計算されて表示ユニット50に表示されるため、オペレータ90自らが、これら両レンズ43,45の合成球面度数Sを計算して求める必要がなく、オペレータ90の作業負担を軽減させるとともに、正確に合成球面度数Sを得ることができる。
【0118】
さらに、アルバレッツレンズ43は、連続的に球面度数S1を変化させることができるため、例えば0.25D間隔といった離散的な球面度数での切替えしかできない従来のターレット式のものと比べて、よりきめ細かく球面度数Sを得ることができ、精度の高い処方値を提供することができる。
【0119】
また、オペレータ90は、被検者80が装用したヘッドユニット31とは別体の表示ユニット50に備えられたコントローラ53を操作することによって、遠隔的にアルバレッツレンズ43やVccレンズ44の屈折特性(球面度数S,円柱度数C,円柱軸の軸角度A)を変化させることができ、オペレータ90が屈折特性を変化させる都度、被検者80に近づく必要がないため、被検者80にリラックスした状態で受診させることができる。
【0120】
なお、本実施の形態に係る自覚式検眼システム100は、表示部52に表示する屈折特性の1つとして、アルバレッツレンズ43の球面度数S1とシフト用レンズ45の球面度数S2との合成球面度数Sを表示するものとしたが、本発明の自覚式検眼システムはこの形態のものに限るものではなく、この合成球面度数Sとともに、各レンズ43,45の球面度数S1,S2を併せて表示するようにしてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態に係る自覚式検眼システム100は、遠方視検査のためにチャート提示装置10を備えているが、本発明に係る自覚式検眼システムにおいては、このようなチャート提示装置を具備する必要はない。
【0122】
さらに、ヘッドユニット31に設けられたシフト用レンズ45の球面度数S2を識別する構成としては、上述した光学的な識別方法の他、電気的な識別方法、磁気的な識別方法あるいはメカニカルな識別方法等、種々の識別方法を適用することができる。
【0123】
すなわち、電気的な識別方法としては、シフト用レンズ45のタブ部分45aに、球面度数S2に応じて異なるパターンの電気接点を設け、光検出器48に代えて、この電気接点のパターンを電気的に読み取る検出器を設ければよい。
【0124】
同様に磁気的な識別方法としては、球面度数S2に応じて異なるパターンの磁気接点を設け、この磁気接点のパターンを磁気的に読み取る検出器を設ければよい。
【0125】
また、メカニカルな識別方法としては、タブ部分45aを、球面度数S2に応じて異なる形状とし、この形状の違いを機械的、電気的、磁気的あるいは光学的に読み取る検出器を設ければよい。
【0126】
なお、アルバレッツレンズ43を構成する光学素子43a,43bのうち、少なくとも下方に可動する側の光学素子43aについては、図6に示すように、ヘッドユニット31における中央側の下部に面取り43kを施して、この光学素子43aが下方に変位したとき当該光学素子43aの下部(面取り部分)43kとヘッドユニット31の筐体40との干渉を回避し、光学素子43aの可動ストロークを延長し得るようにするのが好ましい。
【0127】
このように変位ストロークを延長することによって、アルバレッツレンズ43の球面度数S1のレンジ幅を拡大し、あるいはヘッドユニット31の筐体をより小型化することができる。
【0128】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の請求項1に係る自覚式検眼ユニットによれば、屈折特性を連続的に変化させることができるアルバレッツレンズを用いており、屈折特性変化手段であるところの変位手段によって、アルバレッツレンズを構成する2枚の光学素子を相対的に変位させることによって、アルバレッツレンズの屈折特性を変化させることができるため、従来のように、多数のレンズが配されていたターレットを備える必要がなく、自覚式検眼ユニットを小型化、軽量化することができる。
【0129】
そして、この小型・軽量化により、被検者は、検眼ユニットを用いて手元や足元を見ることもでき、従来の遠方視検査だけでなく、近方視検査にもそのまま使用することができる。
【0130】
また、検眼ユニットを被検者に装用させることができるため、被検者は首振り動作を自由に行うことができ、拘束の自由度を向上させることができる。
【0131】
したがって、従来は検眼ユニットによる遠方視検査の後にトライアルフレームを用いて行っていた調整用の検査を、この検眼ユニットをそのまま用いて行うことができ、眼科医等のオペレータの検査労力の軽減および検査時間の短縮、並びに被検者のストレス軽減を図ることができる。
【0132】
さらに、アルバレッツレンズは連続的に屈折特性を変化させることができるため、離散的な屈折特性のみしか得られなかった従来の検眼ユニットよりも、きめ細かく屈折特性を得ることができる。
【0133】
また、アルバレッツレンズによる屈折補正レンジの上限を上回り、あるいは下限を下回る屈折補正レンジが必要である場合には、その屈折補正レンジに適合するように、シフト用レンズを検眼ユニットに追加的に装着することによって、所望の屈折補正レンジに対応することができる。
【0134】
そして、このようにシフト用レンズを用いた場合におけるアルバレッツレンズの屈折特性とシフト用レンズの屈折特性との合成屈折特性は、屈折特性検出手段によって求められて、表示ユニットに表示されるため、オペレータ自らが、これら両レンズの合成屈折特性を計算して求める必要がなく、オペレータの作業負担を軽減させるとともに、常に正確に屈折特性(合成値)を得ることができる。
【0135】
また、本発明の請求項2に係る自覚式検眼システムによれば、屈折特性検出手段が、検眼ユニットに装着されたシフト用レンズの識別部に基づいてこのシフト用レンズの屈折特性を自動的に検出するため、オペレータが誤認する余地がなく、シフト用レンズの屈折特性を容易にかつ確実に特定することができる。
【0136】
また、本発明の請求項3に係る自覚式検眼システムによれば、表示ユニットに備えられたコントローラを操作することによって、検眼ユニットのアルバレッツレンズの屈折特性を変化させることができ、オペレータが検眼ユニットを操作する必要がなく、被検者に近づくことなく遠隔操作を行うことができる。
【0137】
したがって、被検者にストレスを与えることなく、オペレータの検査労力をさらに軽減し、検査時間をさらに短縮させることができる。
【0138】
また、屈折特性検出手段を構成する変位検出手段によって、光学素子間の相対的な変位を検出し、この検出された相対的な変位を、参照テーブルによって予め対応づけられている相対的な変位と比較対照して、この相対的な変位に対応する屈折特性を容易に得ることができる。
【0139】
なお、上述した本発明に係る各自覚式検眼システムにおいて、アルバレッツレンズの屈折特性レンジ幅を略20D(例えば、レンジ−10D〜+10D)に設定した場合、通常のアルバレッツレンズ製作技術によれば、2枚の光学素子間の相対的な変位量の幅は概略12mm程度であり、この程度の変位量の幅であれば、光学素子の可動範囲を検眼ユニットの筐体で完全に覆った場合にも、筐体の大きさを従来のターレット式の筐体よりも大幅に小さく構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自覚式検眼システムを表す概略構成図である。
【図2】図1に示した自覚式検眼システムのうちヘッドユニットの詳細を示す斜視図である。
【図3】ヘッドユニットの光学系、駆動系および検出系を示す模式図である。
【図4】表示ユニットの入出力を示すブロック図である。
【図5】表示ユニットの表示を示す図である。
【図6】光学素子の下部を面取りした様子を示すヘッドユニットの正面図である。
【符号の説明】
10 チャート提示装置
11 検眼チャート
12 図柄
20 ピジョンテスタ(自覚式検眼ユニット)
31 ヘッドユニット
31a,31b フォロプタ
32 バランサ
33 支持アーム
34 支柱
35 テンプル
35b ベルクロストラップ
36 鼻当て
37 支持枠
38 ワイヤ
39 スプリング
41,42 検眼窓
43 アルバレッツレンズ(レンズ)
43a,43b 光学素子
43c ラックアンドピニオンギヤ(屈折特性変化手段)
43d,44d モータ(屈折特性変化手段)
43e,44e 検出手段
43k 下部
44 Vccレンズ
44a,44b シリンダレンズ
44c ギヤ
45 シフト用レンズ
45a タブ部分
45b 反射パターン(識別部)
46 シフト用レンズ装着部
48 光検出器
50 表示ユニット
51 表示部
52 屈折特性検出部
52a 参照テーブル
53 コントローラ
60 検査専用デスク
61,62 椅子
80 被検者
90 オペレータ
100 自覚式検眼システム
S  球面度数(合成屈折特性)
C  円柱度数(屈折特性)
A  円柱軸の軸角度(屈折特性)
X  光軸
L  相対的変位量
θ1,θ2 回転変位量

Claims (3)

  1. 検眼用のレンズと該レンズの屈折特性を変化させる屈折特性変化手段とを有する自覚式検眼ユニットと、前記レンズの屈折特性を検出する屈折特性検出手段と、前記屈折特性検出手段によって検出された前記屈折特性を表示する表示ユニットとを備えた自覚式検眼システムにおいて、
    前記レンズは、一対の光学素子が相対的に変位可能に重ね合わされて、前記相対的な変位に応じて前記屈折特性を連続的に変化させるアルバレッツレンズと、着脱可能に準備された単一の屈折特性を有する少なくとも一種類のシフト用レンズとを備え、
    前記屈折特性検出手段は、前記アルバレッツレンズの屈折特性と前記自覚式検眼ユニットに装着されたシフト用レンズの屈折特性との合成屈折特性を求めるものであり、
    前記表示ユニットは、前記屈折特性検出手段によって求められた前記合成屈折特性を表示するものであることを特徴とする自覚式検眼システム。
  2. 前記シフト用レンズは、該シフト用レンズの屈折特性を表す識別部を有し、
    前記屈折特性検出手段は、前記シフト用レンズが装着される前記自覚式検眼ユニットの装着部に装着されたシフト用レンズの識別部が表す屈折特性を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の自覚式検眼システム。
  3. 前記屈折特性変化手段は、前記一対の光学素子をモータ駆動により相対的に変位させる変位手段であり、
    前記屈折特性検出手段は、前記相対的な変位量と前記屈折特性とを予め対応づけてなる参照テーブルと、前記相対的な変位量を検出する変位検出手段とを有し、前記変位検出手段によって検出された相対的な変位量に対応する屈折特性を、前記参照テーブルを参照することにより求めるものであり、
    前記表示ユニットは、前記変位手段のモータ駆動を制御するコントローラを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の自覚式検眼システム。
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