JP2004073196A - 渋味ないし収斂味改善剤および渋味ないし収斂味の改善された経口組成物又は口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

 【課題】本発明は甘味料等の甘味に頼らず、少量添加でも極めて有効に渋味ないし収斂味を改善することの可能な渋味ないし収斂味改善剤、および渋味ないし収斂味の改善された経口組成物及び口腔用組成物を提供しようとするものである。
 【解決手段】大豆ホエー中の分子量800〜2000の非蛋白質性成分を含有することを特徴とする渋味ないし収斂味改善剤であり、また該改善剤を含有することを特徴とする渋味ないし収斂味の改善された経口組成物又は口腔用組成物。
【選択図】なし

Description

 本発明は渋味ないし収斂味改善剤および渋味ないし収斂味の改善された経口組成物又は口腔用組成物に関するものである。
 植物系の食品には渋味や収斂味といった不快味を呈する成分が多く存在している。代表的な物質はポリフェノール類であり、タンニン酸、カテキン、クロロゲン酸等が特に不快味(渋味)を有する成分として知られている。これらの成分は赤ワイン、柿、小豆、麦芽、西洋なし、ぶどう、ベリー類、バナナ、緑茶、ウーロン茶、紅茶、カカオ豆、オリーブ、コーヒー、サツマイモ、ウド、ゴボウ、シュンギク、ヤーコン、リンゴ、ウコン等広く食品中に存在している。また鉄や亜鉛等の重金属イオンも含有量が多いと渋味を感ずるようになる。
 渋味や収斂味は強すぎると不快なものであるが、特にポリフェノール類は近年抗酸化効果等の機能性に関心が高まっており、これらの成分を添加した植物由来の飲料が多く市販されてきており、その摂取が積極的に行なわる傾向にあることも事実である。したがって益々渋味や収斂味のマスキングについての要求が高まりつつある。
 この食品中の渋味や収斂味を改善するために、伝統的にはあく抜き等の手順がとられているが、製造上そのような手順がとれない、あるいは充分に実施できない場合や、栄養強化目的でポリフェノールを添加する場合は、それ自体が流出してしまうため、あく抜きは不適であり、マスキング剤の添加が有力手段となる。
 渋味を低減するものとしては、甘蔗由来抽出物(特許文献1)、高甘味度甘味剤(特許文献2)、プロタミンやその塩(特許文献3)、ヘスペリジン(特許文献4)などが知られている。
 その他では特許文献5に記載されるように、キシロース等のペントース、グルコース等のヘキソース、砂糖や麦芽糖等の二糖類あるいはオリゴ糖などの甘味を呈する糖類をタンニン類等(渋味物質)に添加して加熱処理を行い、甘味を増大させることによって相対的に渋味を低下させる方法が慣用されている。しかしこの方法では糖類を渋味物質に対して20重量倍程度の多量の添加が必要であり、カロリー低下が求められる昨今ではより少量でマスキングできるものが望まれる。該公報においては少量添加でも渋味や収斂味を改善するという課題について全く触れられていない。本発明はこのような糖類の甘味に頼る方法ではなく、また加熱処理を必要とするものでもなく、有効成分自身が少量でも強い不快味改善作用を発揮する点で、全く異なる技術的思想に基づいたものである。
 一方、大豆は栄養価の高い食品原料であり、高蛋白質食品として、豆乳、納豆、豆腐等に使用されているだけでなく、生理活性物質であるイソフラボンやサポニンの原料としても利用されている。また食品の物性の改善を目的に分離大豆蛋白として利用されている。
 この大豆中には、イソフラボン、サポニン、フェノール酸、酸化フォスファチジルコリン、酸化脂肪酸、疎水性ペプチド等の種々の不快味成分が含まれていることが知られている(非特許文献1)。
 しかしながら、大豆中に渋味や収斂味を改善する成分が含まれていることは全く知られていない。特許文献6には、プロアントシアニジンに豆乳や粉末状分離大豆蛋白を添加し、渋味を低減する方法が記載されている。しかしこれらはプロアントシアニジンに対し、1〜100倍重量を添加しなければならないと記載されているように、渋味物質に対して大量の有効成分の添加が必要であり、プロアントシアニジン自体の純度を下げてしまうという問題がある。しかも分離大豆蛋白や豆乳ではなく、むしろそれらの副産物に強い渋味ないし収斂味改善効果を有するという本発明者の知見を教えるような記載は全くない。
特開2002-34471号公報 特開平10-248501号公報 特開平5-328935号公報 特開平11-318379号公報 特開2000-287630号公報 特開2001-46037号公報 大久保一良:日本食品工業学会誌、35、866-874、1988.
 本発明は甘味料等の甘味に頼らず、少量添加でも極めて有効に渋味ないし収斂味を改善することの可能な渋味ないし収斂味改善剤および渋味ないし収斂味の改善された経口組成物及び口腔用組成物を提供しようとするものである。
 本発明者は鋭意研究の結果、大豆ホエーが飲食品の渋味や収斂味を改善することを見出した。さらに大豆ホエー中のいかなる物質が渋味ないし収斂味を改善するのかを追求した結果、大豆ホエー中の分子量1600近辺の糖類を主体とする非蛋白質性成分が極めて微量でも渋味ないし収斂味を改善する効果を有する知見を得て、本発明を完成させるに到った。
 すなわち本発明は、
(1)大豆ホエー中の分子量800〜2000の非蛋白質性成分を含有することを特徴とする渋味ないし収斂味改善剤、
(2)大豆ホエーが、大豆煮汁、分離大豆たん白ホエー、濃縮大豆たん白ホエー及びミネラル添加凝固ホエーからなる群より選ばれる上記(1)の渋味ないし収斂味改善剤、
(3)非蛋白質性成分の主体が糖である上記(1)又は(2)の渋味ないし収斂味改善剤、
(4)上記(1)〜(3)の何れかに記載の渋味ないし収斂味改善剤を含有することを特徴とする不快味ないし収斂味の改善された経口組成物又は口腔用組成物などを提供するものである。
 以上のように、大豆ホエーや大豆ホエー中の分子量800〜2000の非蛋白質性成分を経口組成物や口腔用組成物に添加することにより、少量で極めて良好に不快味を改善することが可能である。また本発明の不快味改善剤は大豆から抽出された天然抽出物であるので、副作用等の問題もない。さらに本発明には各種大豆製品の副産物を有効利用することができるので、環境の側面においても非常に有益なものである。
 本発明の渋味ないし収斂味改善剤は、大豆ホエー中の分子量800〜2000の非蛋白質性成分を含有することを特徴とするものである。
 本発明において、大豆ホエーは広義に解するものとし、各種大豆製品(豆乳、豆腐、納豆、醤油、味噌、テンペ、乳腐、豆腐様、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白等)を製造する際に副産物として得ることができる。水性副産物としては大豆煮汁、分離大豆蛋白ホエー、濃縮大豆蛋白ホエー、ミネラル添加凝固ホエー等が例示できる。以下に水性副産物の態様を挙げる。
◎副産物1(大豆煮汁)
 丸大豆を脱皮脱胚軸し、これに70℃以上、好ましくは80〜100℃の熱水で浸漬、撹拌抽出、向流抽出又は煮沸し、大豆煮汁と丸大豆を分離する。丸大豆は豆乳、豆腐、味噌、醤油、納豆、テンペ、乳腐、豆腐様等の製造に供する。大豆煮汁が副産物として得られる。
◎副産物2(分離大豆蛋白ホエー)
 脱脂大豆フレークを水又は希アルカリ水溶液(約pH8〜9)で抽出し、遠心分離により残渣を除去し、上清を回収して脱脂豆乳を得る。これに塩酸を加えてpH4.5前後に調整し、遠心分離によりホエー画分と酸沈殿画分に分離する。得られた酸沈殿画分を水分散させ、アルカリ水溶液で中和後、噴霧乾燥して分離大豆蛋白を得る。副産物としてホエー画分である分離大豆蛋白ホエーを得る。
◎副産物3(濃縮大豆蛋白ホエー)
 (1)アルコール洗浄法
 脱脂大豆を濃度50〜70%エタノール水溶液を添加して洗浄し、不溶性画分を回収し、乾燥粉砕し、アルコール洗浄による濃縮大豆蛋白(アルコールコンセントレート)を得る。副産物として可溶性画分である濃縮大豆蛋白ホエーを得る。この際、アルコール濃度が高すぎると渋味除去成分は溶出されない恐れがある点には留意すべきである。
 (2)希酸洗浄法
 脱脂大豆に水を加え、塩酸でpH4.5前後に調整しつつ洗浄し、不溶性画分を回収して中和後、乾燥粉砕し、希酸洗浄による濃縮大豆蛋白(酸コンセントレート)を得る。副産物として可溶性画分である濃縮大豆蛋白ホエーを得る。
 (3)湿熱・水洗法
 脱脂大豆を予めオートクレーブ等で100℃以上に加熱し、水蒸気による湿熱加熱を行い、蛋白質を不溶化する。或いは脱脂大豆を用いて例えばエクストルーダーなどにより、加熱及び加圧処理をして組織構造物を調製する。次いで、それらを水洗浄し、不溶性画分を回収して、乾燥粉砕し、濃縮大豆蛋白を得る。副産物として可溶性画分である濃縮大豆蛋白ホエーを得る。
◎副産物4(ミネラル添加凝固ホエー)
 豆乳に塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトン等の凝固剤を加えて、豆乳を凝固させる。次に凝固物の組織を崩すか、又は圧搾して「ゆ」を除去する。次に成形してもめん豆腐、油揚げ、がんもどき等に加工する。副産物として「ゆ」と呼ばれるミネラル添加凝固ホエーを得られる。
 本発明の大豆ホエーの調製において、大豆の品種は特に限定されることはなく、何れの品種も使用することができる。蛋白質及び脂質含量の低い品種を使用することは効率的に有効成分を得る点において好ましい。
 大豆ホエーは上記大豆製品の大豆水性副産物として得ることが効率良く、環境面においても好ましいが、大豆から下記のように主体的に抽出することによっても得ることは可能である。
 第1に、適当に選択した大豆を極性溶媒で抽出する。抽出に供する大豆は丸大豆、脱皮大豆、脱皮脱胚軸大豆、大豆粉、脱脂丸大豆、脱脂大豆粉のいずれをも使用できる。特にイソフラボンやサポニン等の渋味ないし収斂味を有する成分含量の高い胚軸部分は必要であれば除去すればよい。
 抽出溶媒である極性溶媒としては、水、極性アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)を用いることができる。特に、食品工業上多用されている水又はエタノールを使用することが好ましい。水は純水のままでも良いし、酸水溶液(塩酸水溶液、炭酸水溶液、クエン酸水溶液等)、アルカリ水溶液(水酸化ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム等)等を使用することもできる。
 水やアルカリ水溶液で抽出する場合は、未粉砕大豆を使用するか、粉砕大豆使用の場合は予め大豆を水蒸気で湿熱加熱し、蛋白質を不溶化しておくことができる。未粉砕大豆では細胞が破壊されておらず、プロテインボディー中に蛋白質が存在するため、蛋白質が抽出されにくい状態にあるが、粉砕大豆は細胞が破壊されているために、容易に蛋白質が抽出されるためである。
 このようにして得られた大豆ホエーは、蛋白質があまり抽出されないため、除蛋白質の工程を行っても良いが、必ずしも必須ではない。
 一方、未湿熱加熱の粉砕大豆から水抽出又はアルカリ抽出する場合は、蛋白質が多く抽出され、いわゆる白濁状の「豆乳」となる。この場合、抽出液の乾燥固形分中の粗蛋白質含量が約40重量%以上となり、不快味改善成分の純度が低くなり、その効果も希釈されてしまうため、可及的に蛋白質成分(β−コングリシニン及びグリシニンを主成分とする)を除去する工程が必須となる。
 酸水溶液やアルコール(又はアルコール水溶液)で抽出する場合は、蛋白質が不溶化され溶出されにくいため、これらの大豆蛋白を除去する工程は行っても良いが、必ずしも必須ではない。
 以上のようにして得られた大豆ホエーは必要により蛋白質成分を除去するとよい。前記したように、未湿熱加熱の粉砕大豆から水抽出又はアルカリ抽出した場合は、除蛋白処理が必須である。除蛋白方法としては、塩酸等の酸を添加し、pH4.5付近に調整し、等電点沈殿させる方法や、凝固剤(カルシウム塩、マグネシウム塩等)を添加して、蛋白質を凝集させる方法を用いることができる。大豆ホエーは貯蔵蛋白質の主成分である7S、11S等大豆グロブリンが主に除去されたものが好ましく、具体的には粗蛋白質量(ケルダール法)として乾燥固形分中30重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
 本発明の渋味ないし収斂味改善剤には大豆ホエー中の分子量800〜2000、好ましくは1200〜2000、より好ましくは1400〜1800の非蛋白質性成分を含有しておればよく、当該改善剤としては、大豆ホエーの原液ないし大豆ホエーから分子量800〜2000の非蛋白質性成分を含む画分に精製したものまで、いずれの精製段階のものも使用できる。例えば大豆ホエーから粗蛋白質をさらに除去したり、さらにそれらの中の大豆低分子の糖(スクロース、ラフィノース等)のみを除いたもの、または蛋白質を大部分除いたものなど、目的に合わせて精製度を変えればよい。
 精製方法の一態様として、大豆ホエーにエタノールを添加し、抽出物中のエタノール濃度を45〜85容量%、好ましくは55〜75容量%に調整すれば、この際に生じる沈殿画分は強い渋味改善効果を示す。本操作により上清画分にはエタノールに可溶な主に四糖類以下の糖類(単糖、スクロース、ラフィノース、スタキオース等)が含まれ、除去される。得られた沈殿画分の乾燥固形分中の成分組成は蛋白質30〜60%、糖質30〜70%である。例えば67容量%エタノールで分画した場合の沈殿画分は蛋白質46%、糖質42%であり、ホエーからの固形分回収率は約7%であった。この沈殿画分は0.1%タンニン酸溶液に微量(100ppm)に含まれているだけで十分に渋味改善効果が得られる。
 大豆ホエー原液ないしその精製画分の蛋白質はβ−コングリシニン及びグリシニン等の主要な貯蔵蛋白質をほとんど含まず、主に主要大豆蛋白質以外のレクチン、トリプシンインヒビターなどのマイナーな蛋白質が主体である。精製方法は、上記エタノール沈殿法のほかに、陽イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、膜ろ過等の公知の手段を単独又は組合せて行うことができる。
 当該非蛋白質成分について本発明者らは大豆ホエー原液から渋味改善効果を示す画分を詳細に精製していったところ、ゲルろ過により最終的に分取された渋味改善効果を示す画分は、糖分解物の分子量マーカーを参照すれば、分子量は800〜2000程度(より詳細には1200〜2000、さらに詳細には1400〜1800)を示し、糖含量はフェノール硫酸法で80%以上(グルコース換算)を示した。すなわち、この非蛋白質性成分は糖を主体とするものであり、二糖のスクロース(分子量約342)や三糖のラフィノース(分子量約504)、四糖のスタキオース(分子量約666)以上に高い分子量を有するものである。
 上記非蛋白質成分を含有する大豆ホエー原液ないしその精製画分をそのまま使用するか、又は適当な製剤原料(賦形剤、乳化剤、甘味料等)を添加して製剤に調製することにより、経口組成物又は口腔用組成物の渋味ないし収斂味を改善する効果を有する渋味ないし収斂味改善剤とすることができる。
 前記渋味ないし収斂味改善剤を経口組成物又は口腔用組成物に適当量添加することにより、渋味ないし収斂味の改善された経口組成物又は口腔用組成物を得る。添加量は、渋味ないし収斂味改善剤の精製度及び組成物の種類、渋味や収斂味の度合いにより適宜調整すればよいが、大豆ホエー原液の場合は食品組成物に対して0.1〜1重量%添加すればよく、精製画分の場合は大豆ホエー原液からの固形分回収率に応じて減じた量を添加すれば十分である。例えば大豆ホエー原液からの回収率が10%の精製画分を添加し、大豆ホエー原液を1重量%添加するのと同等の効果を得るには、その添加量は1重量%×10/100=0.1%添加すれば十分である。
 経口組成物は飲食品又は医薬品であり、飲食品の例としては、渋味や収斂味を呈するあらゆる飲食品に適用可能である。特に前記した、茶類、コーヒー、ワイン、野菜類、くだもの類等の渋味成分を含有する飲食品及びそれを材料とする各種加工食品やポリフェノールを含有する各種加工食品が例示できる。医薬品には合成薬剤の他、イチョウエキスや甜茶エキス、プロポリス等の各種生薬類も含む。口腔用組成物の例としては、歯磨き粉、液体歯磨き、マウスウォッシュ、口中清涼剤等が挙げられる。これら経口組成物や口腔用組成物の製造は公知の手段・装置を用いればよい。
 上記組成物中の渋味や収斂味を改善するため、本願発明の渋味ないし収斂味改善剤と、従来の技術の項に例示した渋味ないし収斂味改善剤を組合せて使用し、より効果を高めることはもちろん可能である。
 以下に本発明の実施例を記載するが、本発明は、この実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
◎調製例1(濃縮大豆蛋白ホエーの調製)
 脱脂大豆2kgに10倍の水(20L)を加え、攪拌しながら塩酸にてpHを4.3に調整後、遠心分離して不溶物を除き、上清16Lを回収した。
 次に消石灰を加えて、pHを5.3に調整し、95℃に加熱して不溶化凝集するタンパク質分を遠心分離にて除去した。得られた上清(「WS」と記載する。糖度3.5Brix)15Lを濃縮機により濃縮し、1.5L、26.5Brixの液を得た。発生したおりを遠心分離で除去後、上澄液1Lを電気透析装置にかけ、脱塩した(26.5Brix 31mS/cm → 23.2Brix 2.6mS/cm)。脱塩した液を凍結乾燥して、濃縮大豆蛋白ホエー(「W-CD」と記載する。)を得た。
◎調製例2(W-50P、W-67P、W-80Pの調製)
 調製例1のWS溶液にエタノールを加えて50容量%濃度において生成する沈澱物(「W-50P」と記載する。)を遠心分離(1000G×5分)で回収除去した。
 この上清画分(「W-50S」と記載する。)にさらにエタノールを加えて67容量%濃度において生成する沈澱画分(「W-67P」と記載する。)を遠心分離(1000G×5分)で回収除去した。
 この上清画分(「W-67S」と記載する。)にさらにエタノールを加えて80容量%濃度において生成する沈澱画分(「W-80P」と記載する。)を遠心分離(1000G×5分)で回収除去した。
 これら沈澱画分をそれぞれ加熱減圧してアルコール分を除去し、水に溶解後、凍結乾燥した。
◎実験例1
 調製例1、2で得られた画分(W-CD,W-50P、W-67P、W-80P)の渋味低減効果を確認すべく、精製されたタンニン酸を用いて0.1%タンニン酸溶液を調製し、これに調製物を表1に示す各濃度になるように添加した。それらを、5名のパネラーによる官能評価にて渋味低減効果を確認した。5名中4名以上が渋味無しの場合は○、5名中2〜3名が渋味無しと答えた場合は△、5名中渋味無しと答えた者が1名以下の場合は×とした。比較例として、市販の乳果オリゴ糖「オリゴのおかげ」(塩水港製糖(株)製)を試験に供した。得られた結果を表1に示す。
(表1)各大豆ホエー画分の組成・回収率及び各画分の濃度と渋味低減効果
Figure 2004073196
 実験結果より、濃縮大豆蛋白ホエー原液であるW-CDと67%エタノール沈殿画分であるW-67Pは低濃度においても、タンニン酸の渋味を低減した。その効果は、W-67PがW-CDの10分の1の濃度でも低減効果を示すことから、W-67Pの効力はW-CDの10倍あると考えられる。W-50PとW-80Pにも低減効果は見られたものの、その効果はW-CDと大きな差はなく、WSから渋味低減物質が主体として濃縮された画分ではなかった。一方、市販乳果オリゴ糖では全く効果が見られなかった。以上の結果から、渋味低減効果を有する物質は67%エタノールで沈殿する画分中に主に存在することが判明した。
◎調製例3(W-67P画分の分画)
 調製例2で得られたW-67P画分をさらに細かく分画した。
 W-67P (0.2g)に対して30%の炭酸Naを加え、バッファーA(50容量%エタノール、水溶液側5mMクエン酸リン酸バッファー)10mlに分散させた(pH10.8)。これを0.1N HCl 0.6mlで中和して遠心分離(1000Gx5分)を行い、上澄画分を3A画分とした。さらに沈澱物に容量10mlになるようにバッファーAに分散し、炭酸Naを加え、pH10.5に調整後、遠心分離(1000Gx5分)して得られた上澄画分を3B画分とした。次いで沈澱物に蒸留水を10mlになるように加えて分散し、遠心分離(1000Gx5分)後の上澄画分を3C画分とした。次いで、沈澱物に水を10mlになるように加え、塩酸でpHを3.0に調整するとすべて溶解した。この画分を3D画分とした。
 得られた3A,3B,3C,3D画分0.2mlをそれぞれ0.1%タンニン酸溶液10mlに加えて渋味低減効果を確認したところ、3A画分にのみ効果があることを確認した。
◎調製例4(3A画分のゲル濾過による分画)
 調製例3で得られた3A画分について表2の条件にてゲル濾過(FPLC)による分析を行い、Fr-I(42-54分)、Fr-II(54-66分)、Fr-III(66-78分)の3画分に分画した。FPLCによる溶出パターンを図1に示した。
(表2)
──────────────────────────────
 ゲル濾過分析条件
──────────────────────────────
 分析システム:ファルマシアFPLCシステム
 カラム   :Sephadex−LH20(サイズ:φ2.2×80mm)
 溶 媒   :50容量%エタノール
        10mMリン酸、5mMクエン酸バッファー(pH6.3)
 流 速   :2ml/分
 検 出   :吸光度280nm、感度レンジ0.2
──────────────────────────────
 得られたFr-I、Fr-II、Fr-III画分のW-67P画分からの回収率、渋味低減効果及びアミノ酸含量を表3に示した。渋味低減効果はFr-II画分にのみみられた。アミノ酸含量はFr-I、Fr-II、Fr-III画分の順に急激に低下していた。
(表3)
───────────────────────
          Fr-I   Fr-II  Fr-III
───────────────────────
 回収率      9.8%   5.3%  15.5%
 渋味低減効果   なし   あり   なし
 アミノ酸含量  90.8%  44.8%  13.6%
───────────────────────
 ※アミノ酸含量はアミノ酸分析によった。
◎調製例5(Fr-II画分の精製)
 調製例4にて得られた渋味低減効果を有するFr-II画分から、2ステップHPLCを用いて渋味低減物質(NT物質)を精製した。
 まず、Fr-II画分の凍結乾燥粉末1%溶液を表4の条件にて1st HPLCに供し、図2の溶出パターンに示す通り、RI検出器で検出されたII-A(7.046分)、II-B(7.378分)、II-C(8.025分)の3ピークを分取した。これらの3画分0.1mlをそれぞれ0.1%タンニン酸溶液10mlに添加し、官能評価を行ったところ、II-A画分にのみ渋味低減効果が確認された。よってNT物質はII-A画分に存在するものと判明した。図2に示す通り、II-A画分はRIでは検出されたが、UV228nmでは検出されなかったことから、非蛋白質成分である可能性が高いと考えられる。
(表4)
────────────────────────────
 1st HPLC分析条件
────────────────────────────
 カラム:Shodex Sugar SH-1821 (φ4.6×300mm)/40℃
 溶 媒:5/1000N 硫酸
 流 速:1.0ml/分
 検 出:RI(range:1E-5), UV(228nm)
 注入量:100μl
────────────────────────────
 次に、1st HPLCで得られたII-A画分を表5の条件にてさらに2nd HPLCに供し、図3の溶出パターンに示す通り、RI検出器で検出されたII-A1(6.538分)、II-A2(6.911分)、II-A3(7.516分)の3ピークを分取した。これら4画分0.1mlをそれぞれ0.1%タンニン酸溶液10mlに添加し、官能評価を行ったところ、II-A1画分のみに渋味低減効果が確認された。よってNT物質はII-A1画分に存在するものと判明した。
(表5)
────────────────────────────
 2nd HPLC分析条件
────────────────────────────
 カラム:TSKgel G-2500PWxl Shodex Sugar SH-1821/40℃
 溶 媒:50mM 酢酸ナトリウム(pH4.5)
 流 速:1.0ml/分
 検 出:RI(range:1E-5)
 注入量:100μl
────────────────────────────
 2nd HPLCはゲルろ過であり、デキストリン加水分解物から求められた糖の分子量マーカー(G2〜G5,G7,G10)から、保持時間と分子量の関係は表6のようになり、II-A1画分の分子量は1600程度であることが判明した。
(表6)2nd HPLCにおける保持時間と分子量の関係
──────────────────
試料(分子量)  保持時間(分)
──────────────────
 G2 ( 342)      8.7
 G3 ( 504)      8.5
 G4 ( 666)      8.1
 G5 ( 828)      7.6
 G7 (1152)      7.0
 G10(1638)      6.5
------------------------------------
 II-A1画分      6.5
──────────────────
 得られたII-A1画分についてフェノール硫酸法による糖分析(O.D.490nm)を行ったところ、II-A1画分200ppm溶液は、グルコース換算で174ppmを示したことから、II-A1画分中の87%が糖であることが示された。
 以上の結果より、NT物質精製画分であるII-A1画分は、ほとんど228nmの吸収を示さず、分子量が1600程度であり、フェノール硫酸法によりそのほとんどが糖であることが示唆された。
◎実施例1(アイスレモンティー)
 市販の紅茶を1バックに対し170mlの熱湯で抽出した。4バックに680mlの熱湯を加え、10分間抽出した。
(テスト区)
 上記紅茶100mlに対し、W-CDを25mg、レモン果汁0.33mlを添加し、アイスレモンティーを調製した。
(対照区)
 紅茶100mlに対し、市販オリゴ糖シロップ「オリゴのおかげ」0.04ml(固形分28mg)、レモン果汁0.33mlを添加し、アイスレモンティーを調製した。
 テスト区及び対照区の紅茶の渋味を10名のパネラーに比較してもらったところ、10名中9名がテスト区の方が渋味が少なく、飲みやすいとの回答得た。
◎実施例2(アップルジュース)
 りんご濃縮果汁を5倍の水に薄めて、アップルジュースを調製した。このアップルジュースにW-67Pを200ppmになるように添加した。
 上記のアップルジュースと無添加のアップルジュースの渋味を10名のパネラーに比較してもらったところ、10人中6人が無添加のものに比べて、収斂するような舌への刺激が低下したとの評価を得た。
◎実施例3(ウーロン茶)
 市販ウーロン茶(缶飲料)にW-67Pを100ppmになるように添加した。このウーロン茶と無添加のウーロン茶の渋味を10名のパネラーに比較してもらったところ、10人中8人が無添加のものに比べて、渋味が少ないとの評価を得た。
調製例4の3A画分のゲルろ過(FPLC)による溶出パターンである。 調製例5のFr-II画分の1st HPLCによる溶出パターンである。 調製例5のFr-II画分の2nd HPLCによる溶出パターンである。

Claims (4)

  1. 大豆ホエー中の分子量800〜2000の非蛋白質性成分を含有することを特徴とする渋味ないし収斂味改善剤。
  2. 大豆ホエーが、大豆煮汁、分離大豆たん白ホエー、濃縮大豆たん白ホエー及びミネラル添加凝固ホエーからなる群より選ばれる請求項1の渋味ないし収斂味改善剤。
  3. 非蛋白質性成分の主体が糖である請求項1又は請求項2の渋味ないし収斂味改善剤。
  4. 請求項1〜請求項3の何れかに記載の渋味ないし収斂味改善剤を含有することを特徴とする渋味ないし収斂味の改善された経口組成物又は口腔用組成物。
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