【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体噴射記録装置等に使用されるアクチュエータおよび液体噴射ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンなどの印刷装置として、液体噴射記録装置を用いたプリンタが、印字性能がよく取り扱いが簡単でかつ低コストである等の理由から広く普及している。この液体噴射記録装置には、熱エネルギーによってインク等の液体中に気泡を発生させ、その気泡による圧力波により液滴を吐出させるもの、静電力により液滴を吸引吐出させるもの、圧電素子のような振動子による圧力波を利用したもの等、種々の方式がある。
【0003】
一般に、圧電素子を用いたものは、例えば、液体供給室に連通した圧力室(液室)とその圧力室に連通した液吐出口とを備え、その圧力室に圧電素子が接合された振動板が設けられて構成されている。このような構成において、圧電素子に所定の電圧を印加して圧電素子を伸縮させることにより、たわみ振動を起こさせて圧力室内の液体を圧縮することにより液吐出口から液滴を吐出させている。
【0004】
近時カラーの液体噴射装置が普及してきたが、その印字性能の向上、特に高解像度化および高速印字さらには液体噴射ヘッドの長尺化が求められている。そのため液体噴射ヘッドを微細化したマルチノズルヘッド構造を用いて高解像度および高速印字を実現することが試みられている。液体噴射ヘッドを微細化するためには、液体を吐出させるための圧電素子を小型化することが必要になる。
【0005】
圧電素子を用いたアクチュエータおよび液体噴射ヘッドにおいて、圧電素子を小型化するためには、圧電体自身がより緻密であり、小型化しても駆動能力が低くならないような高い圧電定数を持つ必要がある。
【0006】
このためには、圧電体を構成する薄膜が結晶性の優れた膜であることが必要である。結晶性が優れた膜とは、同一方向に配向した単一配向結晶薄膜や、単結晶薄膜である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の圧電素子の圧電膜は、PbO、ZrO2 およびTiO2 の粉末のペーストをシート状に成型加工したグリーンシートを焼結することにより形成する方法が採用されていたことから、圧電膜を例えば10μm以下に薄く形成することが困難であった。
【0008】
また、グリーンシートの焼結には1000℃以上の温度で行うため、圧電体が収縮してしまうという問題があった。このため、圧電体と液室等の構造体とを数ミクロンオーダーでの寸法精度で位置合わせをすることは困難であり、これが、圧電素子自体の小型化を阻む一因となっていた。
【0009】
また、グリーンシートを焼結することにより形成されたセラミックス圧電膜は、その厚さが薄くなるにしたがって、結晶粒界の影響が無視できないようになり、良好な圧電特性を得ることができなかった。その結果、グリーンシートを焼結することにより形成された圧電膜は、10μm以下になると記録液を吐出させるための充分な圧電特性を得ることができないという問題点があった。
【0010】
このため、充分な記録液の吐出に必要な特性を有する小型の液体噴射ヘッドをこれまで実現することができなかった。
【0011】
現在報告されている圧電体薄膜の作製方法としてCVD法やゾル−ゲル法などの方法がある。しかし、これらの方法によって作製した圧電体も、その密度が低いために、微細化加工が非常に困難である。また、圧電体の能力を表す圧電定数も小さいため、小型化すると、一定電圧に対する変位量も小さくなるため、上記のCVD法等を小型のアクチュエータおよび液体噴射ヘッドの圧電体薄膜の作製に用いることは困難である。
【0012】
さらに、従来技術では、圧電体薄膜とこれに接合される電極との間の密着性が低いという問題がある。アクチュエータおよび液体噴射ヘッドの圧電体としての繰り返し応力に耐え得るためには、電極と圧電体薄膜との間に高い密着性が必要である。
【0013】
また、スパッタ法を用いた半導体プロセスでの微細加工による液体噴射ヘッドの構成とその製造方法は、特開平11−348285号公報に提案されている。この液体噴射ヘッドは、単結晶のMgO上に白金を配向成膜して、その上にZr層を含まないペロブスカイトの層とPZTの層の積層体とすることを特徴としている。
【0014】
しかし、前記公報に記載の製造方法では、再現性よく安定した単一配向結晶あるいは単結晶のPZTが得られない。さらに、単結晶のMgO等の非常に高価な単結晶基板上にしか配向したPZT層が得られず、非常に高価なプロセスとなってしまう。しかも、MgOの単結晶基板は大きさに限界があり、大面積の基板を得ることができない。
【0015】
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、膜厚が薄くても大きな圧電特性を有する圧電体を有し、これと密着性のよい酸化物薄膜を電極とする積層構造を用いることで、半導体プロセスで一般に用いられている微細加工によるアクチュエータの製作を可能とし、高密度に形成された液吐出口を有し、しかも性能が安定した信頼性の高い液体噴射ヘッドを実現できるアクチュエータおよび液体噴射ヘッドを提供することを目的とするものである。
【0016】
本発明の目的は、アクチュエータを構成する単一配向結晶あるいは単結晶の圧電体薄膜を再現性よく安定して製作可能にすることである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は圧電体薄膜と電極との密着性を向上させることで、耐久性にすぐれたアクチュエータおよび液体噴射ヘッドを実現することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のアクチュエータは、基体上に振動板、下部電極、圧電体および上部電極を順次積層した積層構造を有し、前記圧電体に接合される前記2つの電極のうちの少なくとも一方が、単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜であることを特徴とする。
【0019】
圧電体と下部電極が、それぞれ、単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜であるとよい。
【0020】
圧電体の膜厚が500nm以上10μm以下であるとよい。
【0021】
また、基体上に振動板、下部電極、圧電体および上部電極を順次積層した積層構造を有し、前記圧電体が、Zr、Ti、Ni、Mg、Nb、Zn、Scのうちの少なくとも1つと、Pbを含む単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜であることを特徴とするアクチュエータでもよい。
【0022】
本発明の液体噴射ヘッドは、液吐出口に連通され一部に開口部が形成された圧力室を有する本体基板部と、前記開口部をふさぐように前記圧力室に接合されたアクチュエータとを備える液体噴射ヘッドにおいて、前記アクチュエータは、前記本体基板部に振動板、下部電極、圧電体および上部電極を順次積層した積層構造を有し、前記圧電体に接合される前記2つの電極のうちの少なくとも一方が、単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜であることを特徴とする。
【0023】
【作用】
アクチュエータを小型化し、半導体プロセスで用いる微細加工の技術を用いて液体噴射ヘッドを製造可能にするためには、膜厚が薄くても大きな圧電特性を有する圧電体として単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜を用いることが必要である。また、圧電体に接合される下部電極や上部電極との密着性が良好であることも要求される。
【0024】
そこで、緻密で圧電特性にすぐれた単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜の圧電体を再現性よく安定して製作することを可能にするとともに、電極との密着性や電極自身の強度向上のために、少なくとも一方の電極として単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜を用いる。
【0025】
特に、圧電体の下層である下部電極が単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜であれば、その上に成膜される圧電体が結晶化しやすい状況となり、圧電体を、配向性の高い単結晶または単一配向結晶に再現性よく安定して成膜することができる。
【0026】
また、アクチュエータの圧電体、上下電極に加えて、振動板も結晶性の高い酸化物薄膜とすることで、極めて密着性が良好で電極強度も十分である積層構造となり、耐久性や吐出性能にすぐれた高密度な液体噴射ヘッドを実現できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1ないし図3は一実施の形態による液体噴射ヘッドを示すもので、この液体噴射ヘッドEは、基体である本体基板部1に設けられた複数の液吐出口(ノズル)2と、各液吐出口2に対応する複数の圧力室(液室)3と、各圧力室3にそれぞれ対応するように設けられたアクチュエータ10とから構成されている。圧力室3は、本体基板部1に液吐出口2にそれぞれ対応するように並列して形成されている。本実施の形態では、液吐出口2が下面側に設けられているが、側面側に設けることもできる。また、本体基板部1の上面には各圧力室3にそれぞれ対応した開口部4が形成され、本体基板部1の上面において開口部4をふさぐようにアクチュエータ10が位置付けられている。
【0029】
アクチュエータ10は、振動板11と圧電体である圧電膜12を有し、圧電膜12の下に下部電極13、圧電膜12の上には上部電極14が積層されており、2つの電極13、14のうちの少なくとも一方に単一配向結晶あるいは単結晶の酸化物薄膜を用いている。
【0030】
このように電極に酸化物薄膜を用いているため、機械的変位を繰り返して微小な亀裂が発生しても電極自身強度や、圧電膜との密着性が保持される。
【0031】
また、下部電極13の上に成膜されている圧電膜12も単一配向結晶あるいは単結晶の酸化物薄膜であり、電極薄膜との格子定数のマッチングが良い材料を選ぶことができる。加えて、振動板11も、本体基板部1上に成膜された単一配向結晶あるいは単結晶の酸化物薄膜である。アクチュエータ10は、このような薄膜の積層構造によって構成されているため、各薄膜11〜14どうし、および本体基板部1との密着力が劣化せず、耐久性にすぐれたアクチュエータ10を実現できる。
【0032】
振動板11と圧電膜12との間に、双方に対して格子マッチングがよく、かつ単一配向結晶または単結晶の薄膜による下部電極13を用いることで、圧電膜12を配向度の高い単一配向結晶または単結晶にすることが可能となる。
【0033】
単一配向結晶あるいは単結晶とは、XRD(X線回折)のθ−2θ測定により膜の優先配向度が80%以上あるものであり、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上のものである。
【0034】
特に96%以上の場合は、酸化物薄膜の導電性が良好となり、アクチュエータとしての駆動電圧を十分に供給することができる。
【0035】
また、圧電膜12の上に設けられる上部電極14も単一配向結晶あるいは単結晶の薄膜であるとよい。
【0036】
このように、本体基板部に順次、結晶配向の方位のそろった膜を成膜することで、液体噴射ヘッドの各ノズル毎のアクチュエータの性能のばらつきが少なくかつ密着強度の強いデバイスを得ることができ、加えて、アクチュエータの小型化に充分な圧電特性および機械特性をも得ることができる。
【0037】
また、単一配向結晶あるいは単結晶の酸化物薄膜を圧電膜に用いることで、圧電膜自体の耐久性を向上させることができる。
【0038】
下部電極13および上部電極14を構成する薄膜材料としては、例えば、SrおよびRuを含む酸化物(SRO)が好ましい。
【0039】
さらに上記の酸化物薄膜がペロブスカイト構造であるとよい。
【0040】
本発明で使用する圧電膜としては以下の物質が選択できる。
【0041】
例えば、PZT[Pb(Zrx Ti1−x )O3 ]、PMN[Pb(Mgx Nb1−x)O3 ]、PNN[Pb(Nbx Ni1−x )O3 ]、PSN[Pb(ScxNb1−x )O3 ]、PZN[Pb(Znx Nb1−x )O3 ]、PMN−PT{(1−y)[Pb(Mgx Nb1−x )O3 ]−y[PbTiO3 ]}、PSN−PT{(1−y)[Pb{Scx Nb1−x }O3 ]−y[PbTiO3 ]}、PZN−PT{(1−y)[Pb(Znx Nb1−x )O3 ]−y[PbTiO3 ]}である。ここで、xおよびyは1以下で0以上の数である。例えば、PZTの場合、xは0.3〜0.7で、PMNでは、xは0.2〜0.5で、PSNでは、xは0.4〜0.7が好ましく、PMN−PTのyは0.2〜0.4、PSN−PTのyは0.35〜0.5、PZN−PTのyは0.03〜0.35が好ましい。
【0042】
圧電膜は単一組成であってもよいし、2種類以上の組み合わせでもよい。また、結晶構造制御のために異種の組成のアンカー層を成膜したのちに成膜してもよい。例えばPZTを単結晶成膜させる場合などはZr成分が最初析出しやすくなるためにPbTiO3 のアンカー層を成膜したのちに成膜することが望ましい。
【0043】
さらに圧電膜の膜厚は、500nmから10μmで好ましくは1μmから5μmである。
【0044】
また、上記主成分に微量の元素をドーピングした組成物であってもよい。
【0045】
次にアクチュエータの具体的な層構成と各層の結晶方位を列挙する。層構成の表示は、上部電極//圧電膜//下部電極/振動板となっている。
例1 Pt//PZT(001)/PT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100)
例2 Au//PZT(001)/PT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100)
例3 SRO(100)//PZT(001)/PT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100)
例4 SRO(111)//PZT(111)/PT(111)//Pt (111) //YSZ(100)/Si(100)
例5 Pt//PZT(001)/PT(001)//SRO(100)//STO(100)/Si(100)
例6 Au//PZT(001)/PT(001)//SRO(100)//STO(100)/Si(100)
例7 SRO(100)//PZT(001)/PT(001)//SRO(100)//STO(100)/Si(100)
例8 SRO(100)//PZT(001)/PT(001)//Pt//STO(100)/Si(100)
例9 Pt//PZT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100)
例10 Au//PZT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100)
例11 SRO(100)//PZT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100)
例12 Pt//PZT(001)//SRO(100)//STO(100)/Si(100)
例13 Au//PZT(001)//SRO(100)//STO(100)/Si(100)
例14 SRO(100)//PZT(001)//SRO(100)//STO(100)/Si(100)
例15 SRO(100)//PZT(001)//Pt//STO(100)/Si(100)
【0046】
上記具体例としては圧電膜をPZTあるいはPZT/PTの積層構造を例示したが、これらが前述のPMN、PZN、PSN、PNN、PMN−PT、PSN−PT、PZN−PTに適宜変更させた層構成でもよい。
【0047】
例えば、Pt//PMN(001)/PT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100)、
Au//PMN−PT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100) 、
SRO(100)//PMN−Pt(001)/PT(001)//SRO(100)//YSZ(100)/Si(100)
等のようにである。
【0048】
( )内の数字で示した結晶方位は前述したように80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは95%以上の優先配向する結晶配向を示している。
【0049】
上記の液体噴射ヘッドにおいては、圧電膜の圧電係数をさらに高めるために、前記第2層におけるジルコニウム/チタン比が、30/70以上70/30以下に設定されていることが好ましい。
【0050】
この液体噴射ヘッドは、液吐出口に接続された圧力室を有する本体基板部の開口部をふさぐように設けられた鉛およびチタン、ジルコニウム等を含有する圧電膜をたわみ振動させることにより、前記液吐出口から記録液を吐出させる。
【0051】
圧電膜等の成膜は、成膜時の温度を500℃以上とし、成膜時の温度から少なくとも450℃までの間を30℃/min以上の冷却速度で急速冷却して成膜する。
【0052】
上記の液体噴射ヘッドにおいては、圧電膜を10μm以下の厚さに形成することができ、圧電膜等の形状を微細に加工することを可能にする。さらに、圧電膜を1μm以上5μm以下の厚さに形成することにより、アクチュエータを半導体プロセスによって微細に加工することが可能になるとともに、充分な液吐出力および充分な圧電素子としての信頼性が得られる。
【0053】
特に、薄膜形成時の温度を500℃以上とし、その冷却速度を成膜時の温度から450℃までの間を30℃/min以上の冷却速度で急速冷却することで、液体噴射ヘッドとしての圧電定数を低下させることのない極めて薄い圧電膜を得ることができる。
【0054】
また、振動板が、Ni、Cr、Al、Ti、Zr、Y、Siおよびそれらの酸化物や窒化物、酸化物、および高分子有機物からなる群から選ばれた少なくとも1つの材料の薄膜あるいはそれらの積層体からなることが好ましい。さらに、それらがスパッタリングにより形成されることが好ましい。
【0055】
上記の液体噴射ヘッドの製造方法は、▲1▼シリコン基板上に振動板、下部電極、圧電膜、上部電極を成膜する工程、▲2▼圧電膜を分割する工程、▲3▼圧力室を形成する工程、▲4▼ノズルを形成する工程、を含む。
【0056】
上記工程にある▲2▼圧電膜を分割する工程とは、上記工程▲1▼で成膜した圧電膜をパターニングする工程である。パターニングは各ノズル/各圧力室に対応した分割であっても、そうでなくてもよい。パターニング方法としては、ウェットエッチング、ドライエッチングあるいは機械的切断等がある。ウェットエッチングおよびドライエッチングにおいては、パターニングのためにレジスト処理を施す。また、分割された圧電膜の間に圧電膜の伸縮を阻害しない剛性の低い樹脂等を充填してもよい。
【0057】
圧力室の形状は、長方形、円形、楕円形等各種選択することができる。また、サイドシューターの場合の圧力室の断面形状をノズル方向に絞った形状にすることもできる。
【0058】
▲4▼のノズル形成工程は、ノズルが空けられたノズルプレートを各圧力室部に対応して接合してもよいし、レジスト材料等でノズルを形成してもよい。また、ポリマー基板を張り合わせた後にレーザー加工により各圧力室に対応してノズルを形成してもよい。レジスト材料でノズルを形成する方法では、上記▲2▼の工程と同時に行う方法でもよい。▲2▼、▲3▼、▲4▼の工程の順序は、順不同であり、最後に▲2▼の圧電膜の分割工程を行う等の方法を採用してもよい。
【0059】
上記のように圧電膜が単一配向結晶あるいは単結晶であるアクチュエータを用いることで、高密度で吐出力の大きい、かつ高周波数に対応できる液体噴射ヘッドを実現できる。
【0060】
以下に実施例を説明する。
【0061】
〔実施例1〜3〕
図4ないし図6に実施例1〜3によるアクチュエータの膜構成を示す。各膜の膜厚は、上部電極0.5μm/圧電膜3μm/下部電極0.5μm/振動板2μm/基板600μmである。
【0062】
作製は、まず、基板にスパッタ法などで振動板を成膜した。このとき、基板を加熱し、500℃以上の温度を保持しながら、成膜することによって、振動板はエピタキシャル成長し、単結晶化することができた。さらに、同様の方法で、下部電極を振動板に成膜することで、単結晶薄膜を得ることができた。さらに、同様の方法で、圧電膜を下部電極に成膜することで、圧電膜を単結晶薄膜にすることができた。上部電極も、同様の方法で単結晶薄膜を得ることができた。
【0063】
実施例1〜3によるアクチュエータの各層の材料の構成とそれらに20V印加したときの変位量を表1に示す。それぞれの層構成で0.3〜0.4μmの変位を得ることができた。また、下部電極の結晶性はXRDにより、いずれも96%以上であった。
【0064】
【表1】
【0065】
〔実施例4〜6〕
実施例4〜6は、それぞれ実施例1〜3のアクチュエータを用いた液体噴射ヘッドである。
【0066】
各アクチュエータの各膜の膜厚は、前述のように、上部電極0.5μm/圧電膜3μm/下部電極0.5μm/振動板2μm/基板600μm/である。また、180dpiを実現するために圧力室の幅は90μm、圧力室壁は50μmとした。
【0067】
また、実施例4〜6の各アクチュエータの作製方法は、実施例1〜3において説明した通りである。
【0068】
表2に各層の材料の構成とアクチュエータに20V、10kHzで印加したときの液体噴射ヘッドの液滴の吐出量と吐出速度を示す。実施例4ないし実施例6の液体噴射ヘッドにおいて、吐出量12〜15pl、吐出速度10〜12m/secを得ることができた。
【0069】
【表2】
【0070】
表2における比較例は、下部電極にSROの多結晶(poly)を用いた膜構成のアクチュエータを用いた液体噴射ヘッドである。膜厚は実施例4、5、6と同様に、上部電極0.5μm/圧電膜3μm/下部電極0.5μm/振動板2μm/基板600μmである。
【0071】
比較例のアクチュエータの作製は、まず、基板にスパッタ法などで振動板を成膜した。このとき、基板を加熱し、500℃以上の温度を保持しながら、成膜することによって、振動板はエピタキシャル成長し、単結晶化することができた。次に、下部電極であるSROを室温で振動板に成膜すると、多結晶の薄膜となった。さらに、振動板の成膜と同様の方法で圧電膜を下部電極に成膜すると、圧電膜は多結晶薄膜となった。上部電極も、同様の方法で成膜すると多結晶薄膜となった。
【0072】
このアクチュエータを用いた液体噴射ヘッドの吐出量と吐出速度の評価結果は、表2に示すように、吐出量は10pl、吐出速度は8m/secとなり、実施例4、5、6よりも小さい値となった。また、実施例4〜6と同様の吐出量、吐出速度を得るためには駆動電圧を2〜3倍にする必要があった。
【0073】
【発明の効果】
本発明は上述のとおり構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0074】
アクチュエータの上下電極の少なくとも一方に結晶性の高い酸化物薄膜を用いることで、圧電膜を、電極との密着性にすぐれた単一配向結晶または単結晶の酸化物薄膜にすることが可能となり、薄くてしかも必要な圧電特性を備えた圧電膜を有し、しかも密着性のよい積層構造を実現できる。
【0075】
圧電膜を例えば4μm以下の薄膜にすることによって、アクチュエータの製造工程に半導体プロセスを用いた微細加工を適用することが可能となり、より一層精細化された高性能な液体噴射ヘッドを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形例による液体噴射ヘッドを示す斜視図である。
【図2】図1のアクチュエータの内部構成をA−A線に沿ってとった断面で示す模式図である。
【図3】図1の液体噴射ヘッドの一部分を破断し、拡大して示す一部断面拡大斜視図である。
【図4】実施例1によるアクチュエータの膜構成を示す図である。
【図5】実施例2によるアクチュエータの膜構成を示す図である。
【図6】実施例3によるアクチュエータの膜構成を示す図である。
【符号の説明】
1 本体基板部
2 液吐出口
3 圧力室
4 開口部
10 アクチュエータ
11 振動板
12 圧電膜
13 下部電極
14 上部電極[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an actuator and a liquid jet head used for a liquid jet recording apparatus and the like.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art In recent years, printers using a liquid jet recording apparatus have become widespread as printing apparatuses such as personal computers because of their good printing performance, easy handling, and low cost. Such a liquid jet recording apparatus generates bubbles in a liquid such as ink by thermal energy, and discharges droplets by a pressure wave generated by the bubbles, a device that suctions and discharges droplets by electrostatic force, and a piezoelectric element. There are various systems such as those utilizing pressure waves generated by various vibrators.
[0003]
In general, a diaphragm using a piezoelectric element includes, for example, a diaphragm having a pressure chamber (liquid chamber) communicating with a liquid supply chamber and a liquid discharge port communicating with the pressure chamber, and the piezoelectric element being joined to the pressure chamber. Is provided. In such a configuration, by applying a predetermined voltage to the piezoelectric element to expand and contract the piezoelectric element, a flexural vibration is caused to compress the liquid in the pressure chamber, thereby discharging the liquid droplet from the liquid discharge port. .
[0004]
2. Description of the Related Art Recently, color liquid ejecting apparatuses have become widespread, but there is a demand for improved printing performance, particularly for higher resolution and high-speed printing, and for longer liquid ejecting heads. Therefore, it has been attempted to realize high resolution and high speed printing using a multi-nozzle head structure in which a liquid jet head is miniaturized. In order to miniaturize the liquid jet head, it is necessary to reduce the size of a piezoelectric element for discharging liquid.
[0005]
In an actuator and a liquid ejecting head using a piezoelectric element, in order to reduce the size of the piezoelectric element, the piezoelectric body itself must be denser and have a high piezoelectric constant such that the driving capability does not decrease even when the size is reduced. .
[0006]
For this purpose, the thin film constituting the piezoelectric body needs to be a film having excellent crystallinity. The film having excellent crystallinity is a single-oriented crystal thin film oriented in the same direction or a single-crystal thin film.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, a conventional method of forming a piezoelectric film of a piezoelectric element by sintering a green sheet formed by molding a paste of powder of PbO, ZrO 2 and TiO 2 into a sheet has been adopted. For example, it was difficult to form a thin film having a thickness of 10 μm or less.
[0008]
Further, since the sintering of the green sheet is performed at a temperature of 1000 ° C. or more, there is a problem that the piezoelectric body contracts. For this reason, it is difficult to align the piezoelectric body and a structure such as a liquid chamber with a dimensional accuracy on the order of several microns, and this has been a factor that hinders downsizing of the piezoelectric element itself.
[0009]
In addition, as the thickness of the ceramic piezoelectric film formed by sintering the green sheet becomes smaller, the influence of the crystal grain boundaries cannot be ignored and good piezoelectric characteristics cannot be obtained. . As a result, when the thickness of the piezoelectric film formed by sintering the green sheet is 10 μm or less, there is a problem that sufficient piezoelectric characteristics for discharging the recording liquid cannot be obtained.
[0010]
For this reason, it has not been possible to realize a small-sized liquid ejecting head having characteristics necessary for discharging the recording liquid sufficiently.
[0011]
Currently reported methods for producing a piezoelectric thin film include methods such as a CVD method and a sol-gel method. However, piezoelectric materials manufactured by these methods are also very difficult to miniaturize due to their low density. In addition, since the piezoelectric constant representing the capability of the piezoelectric body is also small, when the size is reduced, the amount of displacement with respect to a constant voltage is also reduced. Therefore, the above-described CVD method or the like is used for manufacturing a small actuator and a piezoelectric thin film of a liquid jet head. It is difficult.
[0012]
Further, in the related art, there is a problem that adhesion between the piezoelectric thin film and an electrode bonded thereto is low. In order to withstand the repetitive stress of the actuator and the liquid ejecting head as a piezoelectric body, high adhesion is required between the electrode and the piezoelectric thin film.
[0013]
Further, a configuration of a liquid ejecting head by fine processing in a semiconductor process using a sputtering method and a method of manufacturing the same are proposed in Japanese Patent Application Laid-Open No. H11-348285. This liquid jet head is characterized in that platinum is oriented and deposited on single-crystal MgO, and a stacked body of a perovskite layer and a PZT layer not including a Zr layer is formed thereon.
[0014]
However, according to the production method described in the above publication, PZT of a single-oriented crystal or a single crystal that is stable with good reproducibility cannot be obtained. Furthermore, an oriented PZT layer can be obtained only on a very expensive single crystal substrate such as a single crystal MgO, resulting in a very expensive process. Moreover, the size of the MgO single crystal substrate is limited, and a large-area substrate cannot be obtained.
[0015]
The present invention has been made in view of the above-mentioned unresolved problems of the related art, and has a piezoelectric body having a large piezoelectric characteristic even when the film thickness is small, and an oxide thin film having good adhesion to the piezoelectric body. By using a laminated structure as electrodes, it is possible to manufacture actuators by micromachining generally used in semiconductor processes, have a liquid discharge port formed at high density, and have stable performance and high reliability An object of the present invention is to provide an actuator and a liquid ejecting head that can realize a liquid ejecting head.
[0016]
An object of the present invention is to make it possible to stably produce a single-oriented crystal or a single-crystal piezoelectric thin film constituting an actuator with good reproducibility.
[0017]
Still another object of the present invention is to realize a highly durable actuator and liquid ejecting head by improving the adhesion between a piezoelectric thin film and an electrode.
[0018]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the actuator of the present invention has a laminated structure in which a vibration plate, a lower electrode, a piezoelectric body, and an upper electrode are sequentially laminated on a base, and among the two electrodes joined to the piezoelectric body, At least one of them is a single-oriented crystal or a single-crystal oxide thin film.
[0019]
Preferably, the piezoelectric body and the lower electrode are each a single-oriented crystal or a single-crystal oxide thin film.
[0020]
The thickness of the piezoelectric body is preferably 500 nm or more and 10 μm or less.
[0021]
The piezoelectric device has a laminated structure in which a vibration plate, a lower electrode, a piezoelectric material, and an upper electrode are sequentially laminated on a base, wherein the piezoelectric material is made of at least one of Zr, Ti, Ni, Mg, Nb, Zn, and Sc. , Pb-containing single-oriented crystal or single-crystal oxide thin film.
[0022]
The liquid ejecting head of the present invention includes a main body substrate portion having a pressure chamber which is communicated with a liquid discharge port and has an opening formed in a part thereof, and an actuator which is joined to the pressure chamber so as to cover the opening. In the liquid jet head, the actuator has a laminated structure in which a vibration plate, a lower electrode, a piezoelectric body, and an upper electrode are sequentially laminated on the main body substrate, and at least one of the two electrodes joined to the piezoelectric body. One is a single-oriented crystal or single-crystal oxide thin film.
[0023]
[Action]
In order to reduce the size of the actuator and make it possible to manufacture a liquid ejecting head using the microfabrication technology used in the semiconductor process, a single-oriented crystal or a single crystal as a piezoelectric body having a large piezoelectric property even if the film thickness is small. It is necessary to use an oxide thin film. It is also required that the adhesion between the lower electrode and the upper electrode bonded to the piezoelectric body be good.
[0024]
Therefore, it is possible to stably produce high-density piezoelectric materials of single-oriented crystals or single-crystal oxide thin films with excellent piezoelectric characteristics with good reproducibility, and to improve the adhesion to the electrodes and the strength of the electrodes themselves. Therefore, a single-oriented crystal or a single-crystal oxide thin film is used as at least one electrode.
[0025]
In particular, if the lower electrode, which is the lower layer of the piezoelectric body, is a single-oriented crystal or a single-crystal oxide thin film, the piezoelectric body formed thereon tends to be easily crystallized, and the piezoelectric body has high orientation. A film can be stably formed with good reproducibility on a single crystal or a single orientation crystal.
[0026]
Also, in addition to the piezoelectric body and upper and lower electrodes of the actuator, the diaphragm is made of an oxide thin film with high crystallinity, resulting in a laminated structure with extremely good adhesion and sufficient electrode strength, which improves durability and ejection performance. An excellent high-density liquid jet head can be realized.
[0027]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
An embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0028]
FIGS. 1 to 3 show a liquid ejecting head according to an embodiment. The liquid ejecting head E includes a plurality of liquid ejection ports (nozzles) 2 provided in a main body substrate 1 serving as a base, It comprises a plurality of pressure chambers (liquid chambers) 3 corresponding to the discharge ports 2 and actuators 10 provided to correspond to the respective pressure chambers 3. The pressure chambers 3 are formed in parallel in the main body substrate portion 1 so as to correspond to the liquid discharge ports 2 respectively. In the present embodiment, the liquid discharge port 2 is provided on the lower surface side, but may be provided on the side surface side. Openings 4 corresponding to the respective pressure chambers 3 are formed on the upper surface of the main substrate 1, and the actuator 10 is positioned so as to cover the openings 4 on the upper surface of the main substrate 1.
[0029]
The actuator 10 has a vibration plate 11 and a piezoelectric film 12 which is a piezoelectric body. A lower electrode 13 is provided below the piezoelectric film 12, and an upper electrode 14 is provided on the piezoelectric film 12. A single oriented crystal or a single crystal oxide thin film is used for at least one of the fourteen.
[0030]
Since the oxide thin film is used for the electrode as described above, the strength of the electrode itself and the adhesion to the piezoelectric film are maintained even if a minute crack is generated due to repeated mechanical displacement.
[0031]
Further, the piezoelectric film 12 formed on the lower electrode 13 is also a single-oriented crystal or single-crystal oxide thin film, and a material having a good lattice constant matching with the electrode thin film can be selected. In addition, the diaphragm 11 is also a single-oriented crystal or a single-crystal oxide thin film formed on the main body substrate 1. Since the actuator 10 is constituted by such a laminated structure of thin films, the adhesion between the thin films 11 to 14 and the main substrate 1 is not deteriorated, and the actuator 10 having excellent durability can be realized.
[0032]
By using the lower electrode 13 made of a single-oriented crystal or a single-crystal thin film between the vibration plate 11 and the piezoelectric film 12 with good lattice matching, It becomes possible to make an oriented crystal or a single crystal.
[0033]
A single-orientation crystal or single-crystal is a crystal having a preferred orientation degree of 80% or more, preferably 95% or more, more preferably 96% or more as measured by XRD (X-ray diffraction) θ-2θ. It is.
[0034]
In particular, when it is 96% or more, the conductivity of the oxide thin film becomes good, and a sufficient driving voltage as an actuator can be supplied.
[0035]
Also, the upper electrode 14 provided on the piezoelectric film 12 is preferably a single-oriented crystal or a single-crystal thin film.
[0036]
In this manner, by sequentially forming a film having a uniform crystal orientation on the main body substrate, it is possible to obtain a device having a small variation in the performance of the actuator for each nozzle of the liquid jet head and a strong adhesion strength. In addition, it is possible to obtain piezoelectric characteristics and mechanical characteristics sufficient for miniaturization of the actuator.
[0037]
In addition, by using a single-oriented crystal or a single-crystal oxide thin film for the piezoelectric film, the durability of the piezoelectric film itself can be improved.
[0038]
As a thin film material constituting the lower electrode 13 and the upper electrode 14, for example, an oxide containing Sr and Ru (SRO) is preferable.
[0039]
Further, the above oxide thin film preferably has a perovskite structure.
[0040]
The following substances can be selected as the piezoelectric film used in the present invention.
[0041]
For example, PZT [Pb (Zr x Ti 1-x) O 3], PMN [Pb (Mg x Nb 1-x) O 3], PNN [Pb (Nb x Ni 1-x) O 3], PSN [Pb (Sc x Nb 1-x) O 3], PZN [Pb (Zn x Nb 1-x) O 3], PMN-PT {(1-y) [Pb (Mg x Nb 1-x) O 3] - y [PbTiO 3]}, PSN -PT {(1-y) [Pb {Sc x Nb 1-x} O 3] -y [PbTiO 3]}, PZN-PT {(1-y) [Pb (Zn x Nb 1-x) O 3 ] is a -y [PbTiO 3]}. Here, x and y are numbers of 1 or less and 0 or more. For example, in the case of PZT, x is 0.3 to 0.7, in PMN, x is 0.2 to 0.5, and in PSN, x is preferably 0.4 to 0.7. y is preferably 0.2 to 0.4, y of PSN-PT is preferably 0.35 to 0.5, and y of PZN-PT is preferably 0.03 to 0.35.
[0042]
The piezoelectric film may have a single composition or a combination of two or more types. Further, the film may be formed after forming the anchor layer having a different composition for controlling the crystal structure. For example, in the case of forming a single crystal film of PZT, it is preferable to form the film after forming the anchor layer of PbTiO 3 because the Zr component is likely to be deposited first.
[0043]
Further, the thickness of the piezoelectric film is from 500 nm to 10 μm, preferably from 1 μm to 5 μm.
[0044]
Further, a composition in which the above main component is doped with a trace element may be used.
[0045]
Next, the specific layer configuration of the actuator and the crystal orientation of each layer will be listed. The indication of the layer configuration is: upper electrode // piezoelectric film // lower electrode / diaphragm.
Example 1 Pt // PZT (001) / PT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100)
Example 2 Au // PZT (001) / PT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100)
Example 3 SRO (100) // PZT (001) / PT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100)
Example 4 SRO (111) // PZT (111) / PT (111) // Pt (111) // YSZ (100) / Si (100)
Example 5 Pt // PZT (001) / PT (001) // SRO (100) // STO (100) / Si (100)
Example 6 Au // PZT (001) / PT (001) // SRO (100) // STO (100) / Si (100)
Example 7 SRO (100) // PZT (001) / PT (001) // SRO (100) // STO (100) / Si (100)
Example 8 SRO (100) // PZT (001) / PT (001) // Pt // STO (100) / Si (100)
Example 9 Pt // PZT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100)
Example 10 Au // PZT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100)
Example 11 SRO (100) // PZT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100)
Example 12 Pt // PZT (001) // SRO (100) // STO (100) / Si (100)
Example 13 Au // PZT (001) // SRO (100) // STO (100) / Si (100)
Example 14 SRO (100) // PZT (001) // SRO (100) // STO (100) / Si (100)
Example 15 SRO (100) // PZT (001) // Pt // STO (100) / Si (100)
[0046]
As the specific example, the piezoelectric film has a laminated structure of PZT or PZT / PT, which is a layer obtained by appropriately changing the above-mentioned PMN, PZN, PSN, PNN, PMN-PT, PSN-PT, PZN-PT. A configuration may be used.
[0047]
For example, Pt // PMN (001) / PT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100),
Au // PMN-PT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100),
SRO (100) // PMN-Pt (001) / PT (001) // SRO (100) // YSZ (100) / Si (100)
And so on.
[0048]
As described above, the crystal orientation indicated by the number in parentheses indicates a preferred crystal orientation of 80% or more, preferably 85% or more, more preferably 95% or more.
[0049]
In the above-described liquid jet head, it is preferable that the zirconium / titanium ratio in the second layer is set to 30/70 or more and 70/30 or less in order to further increase the piezoelectric coefficient of the piezoelectric film.
[0050]
The liquid ejecting head flexes and vibrates a piezoelectric film containing lead, titanium, zirconium, and the like, which is provided so as to cover an opening of a main body substrate having a pressure chamber connected to a liquid discharge port. The recording liquid is discharged from the discharge port.
[0051]
When forming a piezoelectric film or the like, the temperature at the time of film formation is set to 500 ° C. or higher, and the film is rapidly cooled at a cooling rate of 30 ° C./min or more from the temperature at the time of film formation to at least 450 ° C.
[0052]
In the above-described liquid ejecting head, the piezoelectric film can be formed with a thickness of 10 μm or less, and the shape of the piezoelectric film or the like can be finely processed. Further, by forming the piezoelectric film to a thickness of 1 μm or more and 5 μm or less, the actuator can be finely processed by a semiconductor process, and a sufficient liquid discharging force and a sufficient reliability as a piezoelectric element can be obtained. Can be
[0053]
In particular, the temperature at the time of forming a thin film is set to 500 ° C. or more, and the cooling rate is rapidly cooled at a cooling rate of 30 ° C./min or more from the temperature at the time of film formation to 450 ° C. An extremely thin piezoelectric film without decreasing the constant can be obtained.
[0054]
Further, the diaphragm is a thin film of at least one material selected from the group consisting of Ni, Cr, Al, Ti, Zr, Y, Si and their oxides, nitrides, oxides, and high-molecular organic materials, or a thin film thereof. It is preferred to be composed of a laminate of Furthermore, they are preferably formed by sputtering.
[0055]
The method for manufacturing the above liquid ejecting head includes: (1) a step of forming a vibration plate, a lower electrode, a piezoelectric film, and an upper electrode on a silicon substrate; (2) a step of dividing the piezoelectric film; and (3) a pressure chamber. Forming step, and (4) forming a nozzle.
[0056]
The step (2) of dividing the piezoelectric film in the above step is a step of patterning the piezoelectric film formed in the step (1). The patterning may or may not be a division corresponding to each nozzle / pressure chamber. Examples of the patterning method include wet etching, dry etching, and mechanical cutting. In wet etching and dry etching, a resist process is performed for patterning. Further, a resin or the like having low rigidity that does not hinder expansion and contraction of the piezoelectric film may be filled between the divided piezoelectric films.
[0057]
The shape of the pressure chamber can be selected from various shapes such as a rectangle, a circle, and an ellipse. Further, in the case of a side shooter, the cross-sectional shape of the pressure chamber can be made narrow in the nozzle direction.
[0058]
In the nozzle forming step of (4), the nozzle plate with the nozzle opened may be joined to each pressure chamber, or the nozzle may be formed of a resist material or the like. Alternatively, nozzles may be formed corresponding to each pressure chamber by laser processing after bonding the polymer substrates. In the method of forming the nozzle from the resist material, a method of performing the step (2) simultaneously may be employed. The order of the steps (2), (3) and (4) is not limited, and a method of finally performing the step (2) of dividing the piezoelectric film may be employed.
[0059]
By using an actuator in which the piezoelectric film is a single-oriented crystal or a single crystal as described above, it is possible to realize a liquid ejecting head that has a high density, a large ejection force, and can handle a high frequency.
[0060]
Examples will be described below.
[0061]
[Examples 1 to 3]
4 to 6 show a film configuration of the actuator according to the first to third embodiments. The thickness of each film is: upper electrode 0.5 μm / piezoelectric film 3 μm / lower electrode 0.5 μm / diaphragm 2 μm / substrate 600 μm.
[0062]
First, a diaphragm was formed on a substrate by a sputtering method or the like. At this time, by heating the substrate and forming a film while maintaining the temperature at 500 ° C. or higher, the diaphragm could be epitaxially grown and monocrystallized. Furthermore, a single-crystal thin film could be obtained by forming a lower electrode on the diaphragm in the same manner. Further, by forming a piezoelectric film on the lower electrode in the same manner, the piezoelectric film could be made into a single crystal thin film. For the upper electrode, a single-crystal thin film could be obtained in the same manner.
[0063]
Table 1 shows the composition of the material of each layer of the actuators according to Examples 1 to 3 and the amount of displacement when 20 V was applied to them. In each layer configuration, a displacement of 0.3 to 0.4 μm could be obtained. The crystallinity of the lower electrode was 96% or more by XRD.
[0064]
[Table 1]
[0065]
[Examples 4 to 6]
Embodiments 4 to 6 are liquid jet heads using the actuators of Embodiments 1 to 3, respectively.
[0066]
As described above, the thickness of each film of each actuator is 0.5 μm for the upper electrode, 3 μm for the piezoelectric film, 0.5 μm for the lower electrode, 2 μm for the diaphragm, and 600 μm for the substrate. Further, in order to realize 180 dpi, the width of the pressure chamber was 90 μm, and the pressure chamber wall was 50 μm.
[0067]
The method of manufacturing each of the actuators of Examples 4 to 6 is as described in Examples 1 to 3.
[0068]
Table 2 shows the composition of the material of each layer and the ejection amount and ejection speed of the droplets of the liquid ejecting head when 20 V and 10 kHz are applied to the actuator. In the liquid jet heads of Examples 4 to 6, a discharge amount of 12 to 15 pl and a discharge speed of 10 to 12 m / sec could be obtained.
[0069]
[Table 2]
[0070]
The comparative example in Table 2 is a liquid ejecting head using an actuator having a film configuration using SRO polycrystal (poly) for the lower electrode. As in Examples 4, 5 and 6, the film thickness was 0.5 μm for the upper electrode / 3 μm for the piezoelectric film / 0.5 μm for the lower electrode / 2 μm for the diaphragm / 600 μm for the substrate.
[0071]
In manufacturing the actuator of the comparative example, first, a diaphragm was formed on a substrate by a sputtering method or the like. At this time, by heating the substrate and forming a film while maintaining the temperature at 500 ° C. or higher, the diaphragm could be epitaxially grown and monocrystallized. Next, when SRO as the lower electrode was formed on the diaphragm at room temperature, a polycrystalline thin film was formed. Further, when a piezoelectric film was formed on the lower electrode by the same method as that for forming the diaphragm, the piezoelectric film became a polycrystalline thin film. When the upper electrode was formed by the same method, a polycrystalline thin film was obtained.
[0072]
As shown in Table 2, the evaluation results of the ejection amount and the ejection speed of the liquid ejecting head using this actuator show that the ejection amount is 10 pl and the ejection speed is 8 m / sec, which are smaller values than those in Examples 4, 5, and 6. It became. In addition, in order to obtain the same ejection amount and ejection speed as those in Examples 4 to 6, the driving voltage had to be increased by two to three times.
[0073]
【The invention's effect】
Since the present invention is configured as described above, the following effects can be obtained.
[0074]
By using an oxide thin film having high crystallinity for at least one of the upper and lower electrodes of the actuator, it becomes possible to make the piezoelectric film a single-oriented crystal or a single crystal oxide thin film having excellent adhesion to the electrode, It is possible to realize a laminated structure which has a thin piezoelectric film having necessary piezoelectric characteristics and has good adhesion.
[0075]
By making the piezoelectric film a thin film having a thickness of, for example, 4 μm or less, it becomes possible to apply microfabrication using a semiconductor process to the manufacturing process of the actuator, and it is possible to realize a liquid jet head with higher definition and higher performance.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing a liquid jet head according to an embodiment.
FIG. 2 is a schematic diagram showing a cross-section taken along line AA of the internal configuration of the actuator of FIG. 1;
FIG. 3 is a partially enlarged cross-sectional perspective view showing a part of the liquid ejecting head of FIG.
FIG. 4 is a diagram illustrating a film configuration of an actuator according to the first embodiment.
FIG. 5 is a diagram illustrating a film configuration of an actuator according to a second embodiment.
FIG. 6 is a diagram illustrating a film configuration of an actuator according to a third embodiment.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Main-substrate part 2 Liquid discharge port 3 Pressure chamber 4 Opening 10 Actuator 11 Vibration plate 12 Piezoelectric film 13 Lower electrode 14 Upper electrode