JP2004071708A - 半導体評価装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カンチレバー探針15によるFET11の不純物キャリア領域の走査期間中に、キャパシターセンサ19による容量特性の検出、及びSCM処理部22によるSCM信号の生成を繰り返し、この繰り返し生成されたSCM信号に基づいて、不純物キャリア領域のキャリア分布を表示装置24の画面に表示する。このとき、FET11の動作用の直流電圧を供給する各電源の共通ラインにキャリア変調用の交流電圧Vcを印加し、FET11の基板にもキャリア変調用の交流電圧Vcを印加している。このため、不純物キャリア領域の断面とカンチレバー探針15間の電圧が常に安定化し、絶縁破壊や探針の破壊が確実に防止される。
【選択図】図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型容量顕微鏡を用いて半導体デバイスのキャリア分布を解析する半導体評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の走査型容量顕微鏡(SCM装置)は、半導体デバイス断面に絶縁膜を介して探針を接触させ、この探針により半導体デバイス断面を走査しつつ、半導体デバイス断面と探針間の容量を検出し、この容量に基づいて、半導体デバイスのキャリア分布を解析するものであって、この解析により不純物キャリア濃度の2次元プロファイルが得られることから、様々な分野で応用されている。
【0003】
より具体的には、半導体デバイス断面に酸化絶縁膜を生成し、探針を酸化膜に接触させて(MOS構造となる)、探針と不純物キャリア領域が酸化膜を介して対峙する容量を形成し、探針により不純物キャリア領域を走査しつつ、半導体デバイス断面と探針間にキャリア変調用の交流電圧を印加して、両者間の容量を検出している。
【0004】
ところで、探針は、その先端が数十nmと極端に細い。このため、半導体デバイスにバイアス電圧を印加して、半導体デバイスを動作状態に設定し、その上でキャリア分布を解析するときには、探針の細い先端に電界集中が起こって、探針と不純物キャリア領域間の絶縁膜が破壊されたり、探針そのものが破壊されることがある。
【0005】
この様な探針先端の電界集中を防止するために、例えばバイアス電圧を供給する直流電源のアースラインをSCM装置のアースラインに接続していた。あるいは、バイアス回路や半導体デバイスの適宜の位置に交流駆動信号を印加していた(特開2000−146810号公報を参照)。
【0006】
しかしながら、アースラインを共通化するだけでは、探針の電界集中を完全に防止することはできなかった。また、交流駆動信号を印加する場合は、交流駆動信号とキャリア変調用の交流電圧との位相ずれ等を原因として、予想外の高電圧が絶縁膜に印加され、絶縁膜や探針が破壊されることがあった。あるいは、交流駆動信号の印加位置によっては、探針により特定箇所を走査しているときに、高電圧が絶縁膜に印加されて、絶縁膜や探針が破壊されることがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このため、交流駆動信号をキャリア変調用の交流電圧に同期させ、これにより交流駆動信号とキャリア変調用の交流電圧間の電位差が常に一定となり、予想外の高電圧が絶縁膜に印加されずに済む。また、キャリア変調用の交流電圧をバイアス電圧よりも高く設定した場合は、キャリア変調用の交流電圧により探針と不純物キャリア領域間の容量の充放電が繰り返され、絶縁破壊に至る危険性が直流駆動と比較して低下する。
【0008】
また、従来のSCM測定の方法の様に、交流駆動信号を半導体デバイスに印加する場合は、半導体デバイスの評価範囲が制約されてしまった。例えば、半導体デバイスが電界効果型トランジスタ(以下FETと称する)であり、このFETに交流駆動信号を印加する場合は、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性に対する評価や、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性に対する評価を行なうことができなくなった。これらのIV特性は、FETの評価に欠かすことができない。
【0009】
また、上記公報によれば、交流駆動信号をFETの基板とソースに印加しているものの、ゲートやドレインには印加していない。このため、探針がゲートやソースの近傍に接触したときに、絶縁破壊や探針の破壊が発生される危険性が高かった。更に、FETの動作状況をモニターしておらず、FETの評価が該FETの正常動作時になされたか否かを確認することができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、絶縁破壊や探針の破壊を確実に防止することができ、半導体デバイスの評価範囲が制約されず、半導体デバイスの評価のときにその動作状況をモニターすることが可能な半導体評価装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、半導体デバイス断面に絶縁膜を介して探針を接触させ、この探針により半導体デバイス断面を走査しつつ、半導体デバイス断面と探針間の容量を検出し、この容量に基づいて、半導体デバイスのキャリア分布を解析する半導体評価装置において、容量測定用の交流電圧を半導体デバイス動作用の直流電圧のラインに重畳して印加している。
【0012】
この様な構成の本発明よれば、容量測定用の交流電圧を半導体デバイス動作用の直流電圧のラインに重畳して印加している。このため、半導体デバイス断面と探針間の電圧が常に安定化し、絶縁破壊や探針の破壊を確実に防止することができる。また、半導体デバイス動作用の直流電圧を印加するので、例えば電界効果型トランジスタの評価として、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性に対する評価や、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性に対する評価を行なうことができる。
【0013】
また、本発明においては、半導体デバイスが電界効果型トランジスタであり、動作用の直流電圧を抵抗を介して該電界効果型トランジスタのゲート電極に印加している。
【0014】
この抵抗により電界効果型トランジスタのゲート電極に流れる電流が制限されるので、ゲート酸化膜の破壊を防止することができると同時にゲート電極に流れる電流値のモニターが可能となる。
【0015】
更に、本発明においては、半導体デバイスが電界効果型トランジスタであり、動作用の直流電圧を抵抗を介して該電界効果型トランジスタのドレイン電極に印加している。
【0016】
この抵抗により電界効果型トランジスタのドレイン電極に流れる電流を制限すると同時にドレイン電極に流れる電流値のモニターが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、半導体デバイスのキャリア分布が解析される度に、探針による走査に同期して動作用の直流電圧を変更する電圧制御手段を備えている。
【0018】
探針による走査は、X方向の各ラインを繰り返し走査することにより行われ、かつ最初のラインから最終のラインへとY方向に走査することにより行われる。そして、Y方向の走査が一巡したときには、半導体デバイスのキャリア分布の解析が一度行われたことになる。そこで、半導体デバイスのキャリア分布が解析される度に、探針による走査に同期して動作用の直流電圧を変更すれば、動作用の直流電圧の変化に対応する半導体デバイスのキャリア分布の変化を容易に求めることができる。
【0019】
更に、本発明においては、抵抗の電圧降下をモニターするモニター手段を備えている。
【0020】
例えば、電界効果型トランジスタのドレイン電極に付加された抵抗の電圧降下をモニターすれば、電界効果型トランジスタの評価のときにその動作状況をモニターすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明の半導体評価装置の原理について説明する。この半導体評価装置では、走査型容量顕微鏡(以下SCM装置と称する)を用いることを前提としており、半導体デバイスの各箇所の電圧対容量特性(以下CV特性と称する)を測定し、このCV特性に基づいて、半導体デバイスのキャリア分布を解析している。より詳しくは、図1に示す様に導電性の探針1を半導体デバイス断面の酸化絶縁膜2に接触させて(MOS構造となる)、探針1と半導体デバイスの不純物キャリア領域3が酸化絶縁膜2を介して対峙する容量Cを形成し、探針1と不純物キャリア領域3間にキャリア変調用の交流電圧Vcを印加して、この容量Cを検出する。そして、キャリア変調用の交流電圧Vcの変化に対する容量Cの変化の特性を測定し、この特性に基づいて、不純物キャリア濃度を求める。更に、探針1により不純物キャリア領域3をXY方向に走査しつつ、不純物キャリア濃度を繰り返し求めることにより、不純物キャリア領域3のキャリア分布を解析する。
【0023】
一般的には、不純物キャリア濃度が高くなる程、容量Cの変化が小さくなり、逆に不純物キャリア濃度が小さくなる程、容量Cの変化が大きくなる。また、不純物キャリアがp型及びn型のいずれであるかによっても、容量Cの変化が異なる。
【0024】
図2(a)は、p型の不純物キャリアについての交流電圧Vcに対する容量Cの特性を示すグラフであり、不純物濃度が低いときの特性曲線P1及び不純物濃度が高いときの特性曲線P2を示している。このグラフから明らかな様に、p型の不純物キャリアの場合は、交流電圧Vcが高くなる程、容量Cが大きくなり、また不純物キャリア濃度が高くなる程、容量Cの変化が小さくなる。図2(b)は、各特性曲線P1,P2の微分特性を示すそれぞれの特性曲線dP1,dP2を示すグラフであり、縦軸が不純物キャリア濃度を示す。
【0025】
図3(a)は、n型の不純物キャリアについての交流電圧Vcに対する容量Cの特性を示すグラフであり、不純物濃度が低いときの特性曲線N1及び不純物濃度が高いときの特性曲線N2を示している。このグラフから明らかな様に、n型の不純物キャリアの場合は、交流電圧Vcが高くなる程、容量Cが小さくなり、また不純物キャリア濃度が高くなる程、容量Cの変化が大きくなる。図3(b)は、各特性曲線N1,N2の微分特性を示すそれぞれの特性曲線dN1,dN2を示すグラフであり、縦軸が不純物キャリア濃度を示す。
【0026】
SCM装置では、探針1により不純物キャリア領域3をXY方向に走査しつつ、図2(b)又は図3(b)の特性曲線を繰り返し求め、つまり不純物キャリア濃度を繰り返し求め、この不純物キャリア濃度を示すSCM信号を逐次生成し、このSCM信号に基づいて、不純物キャリア領域3のキャリア分布を表示装置の画面に表示する。
【0027】
尚、探針1による走査に際しては、原子間力顕微鏡(AFM)の機能を利用して、不純物キャリア領域3の断面の凹凸を測定し、この断面の凹凸も表示装置の画面に表示すことが好ましい。
【0028】
一方、評価対象となる半導体デバイスのサンプルの形成手順は、半導体デバイスを透明或いは半透明の樹脂により封止し、光学顕微鏡等により観察しながら、ダイヤモンドカッター等により半導体デバイスを適当な大きさに切り出し、研磨により観察すべき半導体デバイス断面を露呈させ、コロイダルシリカ等の研磨剤を用いた最終研磨により該断面を仕上げるというものである。そして、半導体デバイスの動作を確認してから、半導体デバイスをSCM装置の試料搭載ステージに搭載し、この半導体デバイス断面のキャリア濃度の2次元プロファイルを解析する。
【0029】
これまでの装置の原理は、周知のことである。本発明においては、その上で、動作状態の半導体デバイスを評価するために、キャリア変調用の交流電圧Vcを半導体デバイス動作用の直流電圧の供給ラインに重畳して印加している。例えば、半導体デバイスが電界効果型トランジスタ(以下FETと称する)である場合は、キャリア変調用の交流電圧Vcをゲート電圧やソース・ドレイン間の電圧に重畳している。そして、ソース・ドレイン間の電圧を一定にして、ゲート電圧を少しずつ変化させ、この電圧の変化の度に、ゲート近傍の不純物キャリア領域のキャリア分布を解析して、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲート電圧依存のIV特性に対する評価を行なったり、ゲート電圧を一定にして、ソース・ドレイン間の電圧を少しずつ変化させ、この電圧の変化の度に、ゲート近傍の不純物キャリア領域のキャリア分布を解析して、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間電圧依存のIV特性に対する評価を行なっている。
【0030】
また、ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極等には、それぞれの抵抗を直列接続し、各電極に流れる電流を制限している。更に、これらの抵抗の電圧降下をモニターし、半導体デバイスの動作を確認している。
【0031】
図4は、本発明の半導体評価装置の一実施形態を示すブロック図である。本実施形態の半導体評価装置は、評価対象となるFET11を搭載するSCM搭載ステージ12、SCM搭載ステージ12をXYZ方向に移動させる3軸ピエゾスキャナ13、3軸ピエゾスキャナ13を駆動制御するピエゾ駆動信号発生回路14、FET11の断面(ゲート近傍の不純物キャリア領域)の酸化絶縁膜に接触させられるカンチレバー探針15、カンチレバー探針15とFET11の断面間の容量に印加されるキャリア変調用の交流電圧Vcを発生する交流電源16、キャリア変調用の交流電圧Vcにバイアス電圧を重畳させるDCバイアス電源17、動作用の直流電圧をFET11に印加する駆動用電源18、キャリア変調用の交流電圧Vcに対する容量の特性をカンチレバー探針15を通じて検出するキャパシターセンサ19、キャパシターセンサ19の検出出力のノイズ除去及び増幅を行なうロックインアンプ21、キャパシターセンサ19の検出出力に基づいて不純物キャリア濃度を示すSCM信号を生成するSCM処理部22、SCM信号をI/O部23を通じて入力し、このSCM信号に基づいてFET11の断面のキャリア分布を画面に表示する表示装置24、カンチレバー探針15で反射されたレーザ光を受光するフォトセンサ25、このフォトセンサ25の受光出力に基づいてFET11の断面の凹凸を検出するAFM処理部26、AFM処理部26の出力信号をI/O部27を通じて入力し、この出力信号に基づいてFET11の断面の凹凸を表示する表示装置28、及び該半導体評価装置全体の制御を司るシステムコントローラ29を備えている。
【0032】
3軸ピエゾスキャナ13は、ピエゾ駆動信号発生回路14からのZ方向駆動信号に応答して、SCM搭載ステージ12上のFET11をZ方向に移動させ、カンチレバー探針15の先端をFET11の断面の酸化絶縁膜に接触させる。そして、カンチレバー探針15の先端を酸化絶縁膜に接触させた状態で、3軸ピエゾスキャナ13は、ピエゾ駆動信号発生回路14からのX方向駆動信号及びY方向駆動信号に応答して、SCM搭載ステージ12上のFET11をX方向及びY方向に移動させ、カンチレバー探針15の先端によりFET11の断面(ゲート近傍の不純物キャリア領域)を走査させる。例えば、カンチレバー探針15の先端により不純物キャリア領域をX方向に延びる256本のラインに沿って走査する。1ライン目の走査は、Y方向駆動信号及びX方向駆動信号を1ライン目の最初の位置(初期位置)に対応するそれぞれの初期電圧に設定した上で、X方向駆動信号をラインの最初の位置に対応する初期電圧から該ラインの最後の位置に対応する最終電圧まで一定の速度で変化させ、この後にX方向駆動信号を初期電圧に戻すことにより行われ、これに応答して3軸ピエゾスキャナ13によりFET11が移動され、カンチレバー探針15により不純物キャリア領域の1ライン目が走査される。2ライン目の走査は、Y方向駆動信号を2ライン目の最初の位置に対応する電圧に設定した上で、X方向駆動信号を初期電圧から最終電圧まで一定の速度で変化させ、この後にX方向駆動信号を初期電圧に戻すことにより行われ、これに応答して3軸ピエゾスキャナ13によりFET11が移動され、カンチレバー探針15により不純物キャリア領域の2ライン目が走査される。以降同様に、次のラインの走査は、Y方向駆動信号を次のラインの最初の位置に対応する電圧に設定した上で、X方向駆動信号を初期電圧から最終電圧まで一定の速度で変化させ、この後にX方向駆動信号を初期電圧に戻すことにより行われ、これに応答して3軸ピエゾスキャナ13によりFET11が移動され、カンチレバー探針15により不純物キャリア領域の該次のラインが走査される。そして、最終のラインの走査のときに、Y方向駆動信号が最大の電圧に設定され、この最終のラインの走査が終了すると、X方向駆動信号が初期電圧に戻されると共に、Y方向駆動信号が1ライン目の最初の位置に対応する初期電圧に戻され、カンチレバー探針15の先端が不純物キャリア領域の初期位置に戻される。
【0033】
こうしてカンチレバー探針15の先端により不純物キャリア領域をX方向及びY方向に走査している期間中に、キャパシターセンサ19による容量特性の検出、及びSCM処理部22によるSCM信号の生成を繰り返し、この繰り返し生成されたSCM信号に基づいて、不純物キャリア領域のキャリア分布を表示装置24の画面に表示する。また、同時にAFM処理部26による不純物キャリア領域の凹凸の検出を繰り返し、AFM処理部26から繰り返し出力された出力信号に基づいて、不純物キャリア領域の凹凸を表示装置28に表示する。
【0034】
駆動用電源18は、図5に示す様にドレイン用プログラマブル可変DC電源31、ゲート用プログラマブル可変DC電源32、ドレイン電流制限抵抗33、ゲート電流制限抵抗34、ソース用DC電源35、及びドレイン電圧モニター37を備えている。そして、ドレイン用プログラマブル可変DC電源31、ゲート用プログラマブル可変DC電源32、及びソース用DC電源35の共通ラインに、交流電源16からのキャリア変調用の交流電圧Vcを印加している。また、FET11の基板11aにも、キャリア変調用の交流電圧Vcを印加している。
【0035】
ドレイン用プログラマブル可変DC電源31及びソース用DC電源35は、FET11のソース・ドレイン間の電圧を供給するためのものであり、ドレイン用プログラマブル可変DC電源31によりソース・ドレイン間の電圧を変更することができる。また、ゲート用プログラマブル可変DC電源32は、FET11のゲート電圧を供給するためのものであり、ゲート電圧を変更することができる。
【0036】
これらの電源31,32,35からゲート電圧及びソース・ドレイン間の電圧をFET11に供給して、FET11を動作させる。そして、ゲート電圧及びソース・ドレイン間の電圧を制御することによりFET11の動作状態を変化させ、この動作状態の変化の度に、カンチレバー探針15の先端によりFET11の不純物キャリア領域を走査して、不純物キャリア領域のキャリア分布を表示装置24の画面に表示し、かつ不純物キャリア領域の凹凸を表示装置28に表示する。
【0037】
例えば、ドレイン用プログラマブル可変DC電源31によりソース・ドレイン間の電圧を一定にして、ゲート用プログラマブル可変DC電源32によりゲート電圧を少しずつ変化させ、この電圧の変化の度に、不純物キャリア領域のキャリア分布を解析して、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性に対する評価を行なう。あるいは、ゲート用プログラマブル可変DC電源32によりゲート電圧を一定に保持して、ドレイン用プログラマブル可変DC電源31によりソース・ドレイン間の電圧を少しずつ変化させ、この電圧の変化の度に、不純物キャリア領域のキャリア分布を解析して、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性に対する評価を行なう。
【0038】
この様な評価期間中は、各電源31,32,35の共通ラインにキャリア変調用の交流電圧Vcが印加され、FET11の基板11aにもキャリア変調用の交流電圧Vcが印加されている。このため、不純物キャリア領域の断面とカンチレバー探針15間の電圧が常に安定化し、絶縁破壊や探針の破壊を確実に防止することができる。
【0039】
また、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性に対する評価に際し、ゲート用プログラマブル可変DC電源32は、ピエゾ駆動信号発生回路14からのY方向駆動信号を監視し、このY方向駆動信号が初期位置に対応する電圧に設定される度に、ゲート電圧を少しずつ変化させる。これにより、不純物キャリア領域のキャリア分布が解析される度に、ゲート電圧が変化することになり、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性に対する評価を行なうことが容易になる。
【0040】
同様に、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性に対する評価に際し、ドレイン用プログラマブル可変DC電源31は、ピエゾ駆動信号発生回路14からのY方向駆動信号を監視し、このY方向駆動信号が初期位置に対応する電圧に設定される度に、ソース・ドレイン間の電圧を少しずつ変化させる。これにより、不純物キャリア領域のキャリア分布が解析される度に、ソース・ドレイン間の電圧が変化することになり、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性に対する評価を行なうことが容易になる。
【0041】
この様なソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性やゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性は、FET11の評価に欠かすことができない。
【0042】
次に、図6に示す様なp型のFET11のソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性に対する評価を行なうための手順を述べる。
【0043】
まず、ソース用DC電源35によりソース電極のソース電圧を負の電圧Vsに設定し、かつドレイン用プログラマブル可変DC電源31によりドレイン電極のドレイン電圧を負の電圧Vdに設定し、これによりソース・ドレイン間の電圧を一定に保持する。このとき、|Vs|<|Vd|である。
【0044】
この状態で、ゲート用プログラマブル可変DC電源32によりゲート電極のゲート電圧Vgを0Vから負の方に徐々に下降させていく。|Vg|<|Vs|のときには、ゲート電極とソース電極間が逆バイアスとなって、ドレイン電流が流れず、ドレイン電流制限抵抗33で発生する電位差が0Vである。|Vs|<|Vg|<|Vth|<|Vd|になると、ドレイン電流が僅かに流れ、ドレイン電流制限抵抗33に電位差が僅かに発生する。尚、Vthは、FET11に固有の閾値電圧である。
【0045】
更に、ゲート電圧Vgを下降させ、|Vth|≦|Vg|あるいは|Vth|<|Vg|になると、ドレイン電流が急激に増加し、ドレイン電流制限抵抗33に高い電位差が発生する。
【0046】
こうしてゲート用プログラマブル可変DC電源32によりゲート電圧Vgを少しずつ変化させ、このゲート電圧Vgの変化の度に、ゲート近傍の不純物キャリア領域のキャリア分布を解析して、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性に対する評価を行なう。
【0047】
また、ドレイン電流制限抵抗33の電圧をドレイン電圧モニター37により監視し、FET11が正常に動作しているか否かを監視する。
【0048】
また、ゲート電流制限抵抗34は、FET11のゲート電流を制限して、ゲート酸化膜の絶縁破壊を防止する。ドレイン電流制限抵抗33は、FET11のドレイン電流を制限して、過電流が流れることを防止する。
【0049】
図7は、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性を示すグラフである。また、図8(a)、(b)、(c)、及び(d)は、図7のIV特性におけるゲート電圧Vgがa,b,c,dのときに解析されたゲート近傍のキャリア分布を示す図である。
【0050】
図8(a)は、|Vg|<|Vs|のときの不純物キャリア領域のキャリア分布を示しており、ソース・ドレイン間にチャンネルが形成されておらず、ドレイン電流が流れていない様子が分かる。
【0051】
図8(b)は、|Vs|<|Vg|<|Vth|<|Vd|のときの不純物キャリア領域のキャリア分布を示しており、ソース・ドレイン間にチャンネルが形成されつつあるのが分かる。また、空乏層がドレイン電極から伸びてソース電極側の空乏層に接触する様子も確認される。
【0052】
図8(c)及び(d)は、|Vth|≦|Vg|あるいは|Vth|<|Vg|のときの不純物キャリア領域のキャリア分布を示しており、ソース・ドレイン間にチャンネルが形成され、電流ルートが完全に形成されているのが分かる。また、空乏層が完全につながっているのも確認される。
【0053】
次に、図6に示すp型のFET11のゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性に対する評価を行なうための手順を述べる。
【0054】
まず、ゲート用プログラマブル可変DC電源32によりゲート電極のゲート電圧を負の電圧Vgに設定し、この電圧Vgを一定に保持する。
【0055】
この状態で、ソース用DC電源35によりソース電極のソース電圧を0に設定するか、あるいはソース用DC電源35を短絡する。そして、ドレイン用プログラマブル可変DC電源31によりドレイン電極のドレイン電圧Vd(=ソース・ドレイン間の電圧Vsd)を0Vから負の方に徐々に下降させていく。|Vsd|<|Vg|のときには、電圧Vsdの下降に伴い、ドレイン電流が直線的に増大する。
【0056】
引き続いて、|Vsd|=|Vg|になると、ドレイン電流が飽和状態に近くなって、ドレイン電流が僅かに増大するに過ぎない。更に、ソース・ドレイン間の電圧Vsdを下降させ、|Vg|<|Vsd|になると、ドレイン電流が飽和状態になって、ドレイン電流の増大が殆ど見られなくなる。
【0057】
この様なドレイン電流の変化は、ドレイン電流制限抵抗33の電圧変化としてドレイン電圧モニター37により観察することができる。
【0058】
こうしてソース用DC電源35によりソース・ドレイン間の電圧Vsdを少しずつ変化させ、この電圧Vsdの変化の度に、不純物キャリア領域のキャリア分布を解析して、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性に対する評価を行なう。
【0059】
図9は、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性を示すグラフである。また、図10(e)、(f)、及び(g)は、図9のIV特性におけるソース・ドレイン間の電圧Vsdがe,f,gのときに解析されたそれぞれのキャリア分布を示す図である。
【0060】
図10(e)は、|Vsd|<|Vg|のときの不純物キャリア領域のキャリア分布を示しており、不純物キャリア領域が既に形成され、空乏層がつながっている様子が確認される。
【0061】
図10(f)は、|Vsd|=|Vg|のときの不純物キャリア領域のキャリア分布を示しており、ドレイン電流の増加率の変極点での様子である。このときは、ピンチオフの状態であり、チャンネルが切れていることが分かる。
【0062】
図10(g)は、|Vg|<|Vsd|のときの不純物キャリア領域のキャリア分布を示しており、ドレイン電流が飽和しているときの様子である。このときは、チャンネルが切れているものの、一定のドレイン電流が流れている。
【0063】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に多様に変形することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明した様に本発明よれば、容量測定用の交流電圧を半導体デバイス動作用の直流電圧のラインに重畳して印加している。このため、半導体デバイス断面と探針間の電圧が常に安定化し、絶縁破壊や探針の破壊を確実に防止することができる。また、半導体デバイス動作用の直流電圧を印加するので、例えば電界効果型トランジスタの評価として、ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性に対する評価や、ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性に対する評価を行なうことができる。
【0065】
また、動作用の直流電圧を抵抗を介して電界効果型トランジスタのゲート電極に印加しているので、ゲート電極に流れる電流が制限され、ゲート酸化膜の破壊を防止することができる。あるいは、動作用の直流電圧を抵抗を介して電界効果型トランジスタのドレイン電極に印加しているので、ドレイン電極に流れる電流を制限することができる。
【0066】
更に、半導体デバイスのキャリア分布が解析される度に、探針による走査に同期して動作用の直流電圧を変更しているので、動作用の直流電圧の変化に対応する半導体デバイスのキャリア分布の変化を容易に求めることができる。
【0067】
また、電界効果型トランジスタの電極に接続された抵抗の電圧降下をモニターしているので、電界効果型トランジスタの評価のときにその動作状況をモニターすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】探針を半導体デバイス断面の酸化絶縁膜に接触させた状態を示す図である。
【図2】(a)はp型の不純物キャリアについての交流電圧Vcに対する容量Cの特性を示すグラフであり、(b)は(a)の特性曲線の微分特性を示すグラフである。
【図3】(a)はn型の不純物キャリアについての交流電圧Vcに対する容量Cの特性を示すグラフであり、(b)は(a)の特性曲線の微分特性を示すグラフである。
【図4】本発明の半導体評価装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】図4の装置における駆動用電源の構成を示すブロック図である。
【図6】p型のFETの接続状態を示す図である。
【図7】ソース・ドレイン間の電圧を一定にしたときのゲートのIV特性を示すグラフである。
【図8】(a)、(b)、(c)、及び(d)は、図7のIV特性におけるゲート電圧Vgがa,b,c,dのときに解析されたそれぞれのキャリア分布を示す図である。
【図9】ゲート電圧を一定にしたときのソース・ドレイン間のIV特性を示すグラフである。
【図10】(e)、(f)、及び(g)は、図9のIV特性におけるソース・ドレイン間の電圧Vsdがe,f,gのときに解析されたそれぞれのキャリア分布を示す図である。
【符号の説明】
11 FET
12 SCM搭載ステージ
13 3軸ピエゾスキャナ
14 ピエゾ駆動信号発生回路
15 カンチレバー探針
16 交流電源
17 DCバイアス電源
18 駆動用電源
19 キャパシターセンサ
21 ロックインアンプ
22 SCM処理部
23 ,27 I/O部
24,28 表示装置
25 フォトセンサ
26 AFM処理部
29 システムコントローラ
31 ドレイン用プログラマブル可変DC電源
32 ゲート用プログラマブル可変DC電源
33 ドレイン電流制限抵抗
34 ゲート電流制限抵抗
35 ソース用DC電源
37 ドレイン電圧モニター
Claims (5)
- 半導体デバイス断面に絶縁膜を介して探針を接触させ、この探針により半導体デバイス断面を走査しつつ、半導体デバイス断面と探針間の容量を検出し、この容量に基づいて、半導体デバイスのキャリア分布を解析する半導体評価装置において、
容量測定用の交流電圧を半導体デバイス動作用の直流電圧のラインに重畳して印加することを特徴とする半導体評価装置。 - 半導体デバイスが電界効果型トランジスタであり、動作用の直流電圧を抵抗を介して該電界効果型トランジスタのゲート電極に印加することを特徴とする請求項1に記載の半導体評価装置。
- 半導体デバイスが電界効果型トランジスタであり、動作用の直流電圧を抵抗を介して該電界効果型トランジスタのドレイン電極に印加することを特徴とする請求項1に記載の半導体評価装置。
- 半導体デバイスのキャリア分布が解析される度に、探針による走査に同期して動作用の直流電圧を変更する電圧制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体評価装置。
- 抵抗の電圧降下をモニターするモニター手段を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体評価装置。
Priority Applications (1)
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JP2002226293A JP2004071708A (ja) | 2002-08-02 | 2002-08-02 | 半導体評価装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002226293A JP2004071708A (ja) | 2002-08-02 | 2002-08-02 | 半導体評価装置 |
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JP2008215940A (ja) * | 2007-03-01 | 2008-09-18 | Canon Inc | 異物検査装置及びこれを用いた異物検査方法 |
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- 2002-08-02 JP JP2002226293A patent/JP2004071708A/ja active Pending
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