JP2004070625A - 棒金輸送箱の不正開封防止構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】封印具を抜脱不可に挿着することにより、不正な開放を防止するようにした棒金輸送箱において、本体に設けられた封印具の係止孔50を、開封時に破壊された封印具の下半部を排出できるように、その下端を外部に開放した。また、この開放部分から封印具を壊さずにその係止状態を解除操作できないように、係止孔50を内方において略クランク状に屈曲させた。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨を所定枚数(通常は50枚)棒状に梱包した所謂棒金と称される硬貨単位を所定数、即ち所定金額をユニットとして収納し、主として金融機関同士間の輸送の際に用いられる棒金輸送箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の棒金輸送箱としては、本出願人が先に出願した特開2001−160169に示されるものがある。
【0003】
この棒金輸送箱は、図8に示すように、底板1と左右の側板2,3、前面板5、および蓋板6が連設された後面板4とが展開可能に合成樹脂で一体に成形されたものであり、各板をその隣り合った個所から直角に折立て、箱状に組み立てると、蓋板6の周囲に設けられた係止突縁6aが側板2,3と前面板5の上端外周を取り囲み、側板2,3と前面板5を展開不可に係止し、箱状の形態を維持するようになっている。そして、この状態で図9に矢印で示すように、封印具9を蓋板6の先端に設けられた凹所6c内の突片6d,6dの間から前面板5の前部上端面に設けられた開口5cに差し込めば、封印具9先端の弾性係止片9bがこの開口5cの内部で拡がり、抜け止めされ、この封印具9を壊さない限り、箱を開放することができないようになっていた。
【0004】
ここにおいて、上記従来の棒金輸送箱では、封印具9の先端が挿入される開口5cは、図10の断面図に示すように、その下側が開口5dを介して箱の内部に連通していた。従って、開封時に破壊された封印具9の下半部分は、この開口5dから箱の内部に落下するようになっていた。
【0005】
なお、図11は、上述した封印具9の正面図である。図示したように、この種の棒金輸送箱の封印に用いられる封印具9は、横長の板状部9aの下方に一対の弾性係止片9b,9bを鉤状に連設したものであり、可撓性を有する合成樹脂で一体成形されている。また、上記板状部9aの片側の表面には、金種や金額などを表示した札10が一体的に接合して設けられている。
【0006】
また、図9において符号7は、蓋板6の先端に設けられた係止片6bと係合し、蓋板6を開放不可に係止する係止具、5aは、この係止具7を回動自在に保持する取付部を示す。また、8は吊下用の把手、5bは、封印具の係合部を示す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の棒金輸送箱では、開封時に破壊された封印具の下半部分が箱の内部に落下するようになっていたので、棒金の出し入れの際、一々、これを取り出さなくてはならず、煩わしく、また、これが異物として箱の内部に残った場合には、棒金の収納の邪魔になったり、あるいは棒金の収納高さが変わり、金種の誤りを引き起こすおそれもあった。さらには、この封印具の切れ端が硬貨と共に硬貨計数機などに紛れ込んで、思わぬトラブルを引き起こすおそれもあった。
【0008】
そこで、封印具の切れ端が外部に落下するように、封印具の弾性係止片が係合する個所の下端を外部に開放すると、ここからドライバーやピッキング用具などを差し込み、封印具を壊さずに弾性係止片の係合を解除し、棒金輸送箱が不正に開放されるおそれが生じた。
【0009】
本発明は、上述した従来の棒金輸送箱が有していた問題点の解決を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、封印具を抜脱不可に挿着することにより、不正な開放を防止するようにした棒金輸送箱において、本体に設けられた封印具の係止孔が、開封時に破壊された封印具の下半部を排出できるように、その下端を外部に開放し、かつ、この開放部分から封印具を壊さずにその係止状態を解除操作できないように、内方において略クランク状に屈曲したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施の形態に基づき詳細に説明する。なお、図において従来例に示したものと同一の個所には、同一の符号を附している。
【0012】
図1は、本発明に係る棒金輸送箱の一実施形態を示した正面図、図2は、その要部の拡大図である。この棒金輸送箱は、従来のものと同様に、透明あるいは半透明の合成樹脂で形成されており、底板1と左右の側板2,3、前面板5および後面板(図示せず)で展開可能な上面開放略箱形に組み立てられる本体11と、この本体11の上面を開閉し得るように取り付けられる蓋板6とからなり、閉蓋した際に、この蓋板6で本体11を展開不可に保持するようになっている。そして、閉蓋状態で蓋板6の前端に設けられた挿入孔や係止片などの係止部6e上から、本体11の前面板5に設けられた係合部5bに封印具9(図11参照)を差し込み、蓋板6を本体11に連結することにより、この封印具9を壊さない限り、蓋板6を開放できないようにした点も従来のものと全く同じある。
【0013】
なお、ここで用いられる封印具9も、図11に示したように、下向きに抜止用の弾性係止片9b,9bが一対、鉤形に設けられ、表面に金種表示用の札10が取り付けられた従来公知のものである。
【0014】
また、図1において符号12,13は、蓋板6の前端縁に摺動可能に取り付けられ、前面板5の上部に設けられた係合突起(図示せず)と係合することにより、蓋板6を開放不可に保持するスライドロックを示す。
【0015】
ここにおいて本発明の棒金輸送箱では、封印具9が抜脱不可に係合する係合部5bを、図2の拡大図、並びに図3の平面図に示すように、前面板5の前方(図3において下側)に突出して設け、この係合部5bを上下方向に貫通するように、係止孔50を設けている。この係止孔50は、上方の入口50a側の幅が狭く、内方で拡がって、この拡がった段部51で封印具9の弾性係止片9bを係止するようになっている。また、その下方は、略クランク状に屈曲され、このことにより、下端の開放部分50bが、入口50a側の中心軸線上から外れた位置となるように設定されている。
【0016】
上記係合部5bは、図4並びに図5に示すように前面板5の表面に一体形成された一対の平行なリブ5e,5eの縦溝5f,5f間に、図6並びに図7に示すような形状に成形された入子板14を抜け止め不可に一体的に嵌め込むことにより形成されている。
【0017】
なお、図5において符号5fは、入子板14の前後方向の動きを規制するために前面板5の表面に設けられた略T字形の係合溝、5hは、同じく前面板5の表面に設けられた位置決め孔を示す。また、図7において符号14aは、この係合溝5fに係合するよう入子板14の裏面に設けられた同形状の係合突条、14bは、上記位置決め孔5hに係合する抜け止め突起を示す。
【0018】
次に、上記構成を有する本発明の棒金輸送箱の使用法について述べる。
【0019】
まず、使用に際して本体11を上面が開放された略箱形に組み立てるわけであるが、その組み立て手順は、従来の公知のものと何ら変わるところはないので、その説明を省略する。次に、このように上面が開放された略箱形に組み立てられた本体11内に所定金種の棒金(図示せず)を、所定数、収納する。そして、蓋板6を閉めると、この蓋板6で本体11を構成した前面板5と背面板(図示せず)及び左右の側板2,3が、展開不可に保持されるので、この状態でスライドロック12,13を移動させて、まず蓋板6を開放不可に固定する。次いで、スライドロック12,13間に現れた蓋板6先端の係止部6eに設けられた挿入孔(図示せず)から前面板5の係合部5bに設けられた係止孔50内に封印具9の先端を差し込めば、封印具9の先端に鉤状に設けられた一対の弾性係止片9b,9bが、係止孔50の内部で拡がり、段部51,51で係止されることにより、封印具9が前面板5に抜け落ちないように取り付けられる。このことで蓋板6は、その先端が封印具9の板状部9aで押えられ、前記スライドロック12,13の係合と相まって開放不可に保持されるものである。そして、この状態で万一、封印具9の係止状態を外そうとして、係止孔50の下端開放部分50bから不正にドライバーやピッキング用具等を差し込んだとしても、本発明の不正開封防止構造では、係止孔50が途中でクランク状に曲がり、封印具9の係止個所が、下端開放部分と偏位し、かつ、奥まった位置にあるので、その係止状態を解除することはできない。よって、封印具9を壊さない限り、この棒金輸送箱を開放することはできず、輸送時における棒金のすり替えなどの不正が、確実に防止されるものである。
【0020】
さらにまた、この封印具9は、スライドロック12,13がその係合状態を解除する方向(互いに接近する方向)に移動することも阻止するように機能し、このことでスライドロック12,13の係合状態が外れて蓋板6が不用意に開放されるおそれもない。
【0021】
そして、輸送後、棒金輸送箱を開放するには、封印具9の板状部9aの下側にドライバーなどを差し込み、板状部9aをこじ上げたり、あるいは板状部9aの後側にコインなどを差し込んで、この板状部9aを前方に折り曲げたりすれば良く、このことで封印具9aが壊され、その係止状態が解除されるので、封印具9の上半部を取り除き、スライドロック12,13を互いに接近する方向に移動させ、その係止状態を解除すれば、蓋板6を開放することができる。なお、その際、係止孔50内に切れ残った封印具9の下半部は、係止孔50の下端開放部分50bから箱の外部に落下するので、棒金輸送箱内に紛れ込むおそれがない。よって、その排出の手間が省かれると共に、切れ端が硬貨等に紛れ込むことによる不慮の事故も未然防止される。
【0022】
このように本発明の棒金輸送箱の不正開封防止構造は、機能するものである。
【0023】
なお、図示した実施の形態では、棒金輸送箱として、底板1に前面板5が回動可能に連結されたものを図示したが、本発明の不正開封防止構造が採用される棒金輸送箱は、合成樹脂で展開可能な箱状に形成されたものであれば良く、例えば、前面板5や側板2,3などが柔軟な屈曲部を介して連設されるように、合成樹脂で一体成形されたものであっても良い。
【0024】
また、蓋板6の係止手段としてスライドロック12,13が設けられた棒金輸送箱を例示したが、この係止手段はどのようなものであっても良く、例えば、図9に示したようなフック状の係止具で蓋板6を係止するようにしたものであっても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の棒金輸送箱の不正開封防止構造では、封印具が抜け止め係止される係止孔を、その下端を外部に開放すると共に、この開放部分の内方を略クランク状に屈曲したので、開封時に破壊された封印具の切れ端が箱内に紛れ込むおそれがなく、その排出の手間が省かれると共に、硬貨等に紛れ込んで硬貨計数器等に混入するおそれもなく、このことによる不慮の事故も未然防止される。また、係止孔の下端の開放部分からドライバーやピッキングの器具などを用いて封印具の係止状態を解除操作することができないので、輸送時における棒金のすり替えなどの不正が確実に防止されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る棒金輸送箱の一実施形態を示した平面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】前面板の要部を拡大した正面図である。
【図5】図4のA−A線の断面図である。
【図6】入子板の正面図である。
【図7】入子板の平面図である。
【図8】棒金輸送箱の従来例を示した展開図である。
【図9】図8に示した棒金輸送箱の組立状態の斜視図である。
【図10】従来の棒金輸送箱の断面図である。
【図11】封印具の正面図である。
【符号の説明】
1 底板
2,3 側板
5 前面板
5b 係合部
5e リブ
5f 縦溝
5g 係合溝
6 蓋板
6a 係止突縁
9 封印具
11 本体
12,13 スライドロック
14 入子板
50 係止孔
50a 入口
50b 下端開放部分
51 段部
Claims (1)
- 封印具を抜脱不可に挿着することにより、不正な開放を防止するようにした棒金輸送箱において、
本体に設けられた封印具の係止孔が、開封時に破壊された封印具の下半部を排出できるように、その下端が外部に開放されると共に、この開放部分から封印具を壊さずにその係止状態を解除操作できないように、内方において略クランク状に屈曲されていることを特徴とする棒金輸送箱の不正開封防止構造。
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