JP2004070433A - 人事評価システム、人事評価方法、人事評価プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
人事評価システム、人事評価方法、人事評価プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】人材を選抜する際の客観的な指標となるとともに、中・長期的な従業員の貢献を量的に把握できる人事評価システムを提供する。
【解決手段】複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を、その相対的な重み付けを考慮して評価できるとともに、人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を考慮した評価ができるので、中・長期の人事評価得点の変化の傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを評価できることになる。其の評価結果に応じて、グルーピングして表示を行なうことができる。
【選択図】 図18
【解決手段】複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を、その相対的な重み付けを考慮して評価できるとともに、人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を考慮した評価ができるので、中・長期の人事評価得点の変化の傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを評価できることになる。其の評価結果に応じて、グルーピングして表示を行なうことができる。
【選択図】 図18
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人事評価システムに関し、更に詳しくは、期間業績を評価するのではなく、企業ミッションに真に貢献している人材を抽出し、その人材にマネジメントコストを集中させることにより、一層の人材の強化を図るのに好適な人事評価システム、人事評価方法、人事評価プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多くの企業では、従業員を評価する「人事評価制度」を有し、それに基づいて、賃金処遇、昇進、異動等へ反映させている。
【0003】
しかしながら、IT化の促進により、人事評価の結果としての情報が多く蓄積されてきた今日においても、その情報の取り扱いや活用は、旧来通り、例えば、1年以内といった短期の業績・能力の把握と、その結果を給与・賞与に反映させるという域から脱却できていないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
企業は、創造的価値を生み出す人材を多く集め、中・長期的に企業ミッションに貢献し得る人材の発掘と育成のため、多くの蓄積した人事情報データの有効な活用を必要としてきている。
【0005】
しかしながら、従来の人事評価システムでは、次のような課題がある。
【0006】
先ず、第1にマネジメント手法の選択、人材選抜の基準において、客観的指標がない。すなわち、従業員各人をマネジメントしていくに際して、質的・量的において、すべて均一にしていくことの非効率性が課題となっている。そこで、企業として重点的に育成していきたい人材群、そうでない人材群等にグルーピングさせ、マネジメントの集中と選択を図っていく必要があるが、そのグルーピングに対しての判断基準となる客観的指標がない。
【0007】
第2に、中・長期的な貢献を測定する指標がない。特に企画開発職や事務管理職、また、公的機関、教育機関、病院等は、短期間の業績・能力の評価情報のみで、その従業員の処遇(広義)を決定してしまうことは、企業活動自体が短期指向となり、その企業としてのミッションを推進してくれる人材を少なくしてしまう虞がある。
【0008】
第3に、資本としての人材活用指標がない。単に従業員を個人=1人としてカウントするのではなく、ある個人がその企業に対し、どの程度の貢献をもたらしてくれるかの「期待貢献による調整」を行い、組織の改編、プロジェクトの新設等の局面において、人的投下資本の基準を考慮するニーズがあるが、その際に観測できる客観的指標がない。
【0009】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、人材を選抜する際の客観的な指標となるとともに、中・長期的な従業員の貢献を量的に把握できる人事評価システム、人事評価方法、人事評価プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0011】
すなわち、本発明の人事評価システムは、各期毎の人事評価データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、前記評価期間における各個人の前記人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして評価を行なう評価手段を備えている。
【0012】
本発明によると、複数期に亘る人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして評価を行なうので、中・長期的な評価が可能になるとともに、その中・長期における人事評価データの安定度(ばらつき)を考慮した評価が可能となる。
【0013】
また、本発明の人事評価システムは、各期毎の人事評価データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、前記評価期間における各個人の前記人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして第1の評価を行なう第1の評価手段と、前記第1の評価手段による第1の評価データおよび前記評価期間における各個人の前記人事評価データの傾向に基づき、かつ、前記第1の評価データと前記傾向との相対的な重み付けをして第2の評価を行なう第2の評価手段とを備えている。
【0014】
本発明によると、複数期に亘る人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして第1の評価を行ない、さらに、この第1の評価データおよび人事評価データの傾向に基づき、かつ、第1の評価データと人事評価データの傾向との相対的な重み付けをして第2の評価を行なうので、中・長期的な安定度を考慮した評価ができるのみならず、中・長期の人事評価データの傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを考慮した評価が可能となる。
【0015】
また、本発明の人事評価システムは、各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差に基づき、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けを行なって評価する評価手段を備え、前記評価手段は、前記平均値および前記標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算する演算部を含むものである。
【0016】
本発明によると、複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算するので、この評価値に基づいて、中・長期における人事評価得点の安定度(ばらつき)を考慮した評価が可能となり、しかも、重み係数の選択によって、平均値と安定度との評価の重み付けを選択できる。
【0017】
本発明の一実施態様においては、前記人事評価得点の平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面に、前記演算部で演算された各個人の値を表示するとともに、前記評価関数に基づく前記評価値が等しい等評価曲線を表示する表示手段を備えている。
【0018】
本発明によると、平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面上で、各個人の平均値と安定度(ばらつき)とを一目で把握できるとともに、等評価曲線によって、任意の評価値でグルーピングすることができる。
【0019】
本発明の他の実施態様においては、前記評価関数は、前記平均値をμ、前記標準偏差をσ、前記重み係数をαとしたときに、f(μ,σ;α)で表せるとともに、
【0020】
【数1】
【0021】
を満たす関数である。ここで、重み係数αは、0であってもよい。
【0022】
本発明によれば、前記評価関数に従って数量的な評価を行なうことが可能となる。
【0023】
また、本発明の人事評価システムは、各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差に基づき、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けをして第1の評価を行なう第1の評価手段と、前記第1の評価手段による第1の評価値および前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数に基づき、かつ、前記第1の評価値と前記トレンド係数との相対的な重み付けをして第2の評価を行なう第2の評価手段とを備え、前記第1の評価手段は、前記平均値および前記標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って前記第1の評価値を演算する演算部を含み、前記第2の評価手段は、前記トレンド係数を演算するとともに、前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算する演算部を含むものである。
【0024】
本発明によると、複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って第1の評価値を演算するので、この第1の評価値に基づいて、中・長期における人事評価得点の安定度(ばらつき)を考慮した評価が可能となるのみならず、人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を演算するとともに、前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算するので、この第2の評価値に基づいて、中・長期の人事評価得点の変化の傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを考慮した評価が可能となり、しかも、閾値によって、上昇傾向とみるか下降傾向とみるかの判断の基準を選択できる。
【0025】
本発明の一実施態様においては、前記第1の評価値および前記トレンド係数を座標軸とする座標平面に、前記演算部で演算された各個人の値を表示するとともに、前記第2,第3の評価関数に基づく前記第2の評価値が等しい等評価曲線を表示する表示手段を備えている。
【0026】
本発明によると、平均値と標準偏差とに基づく第1の評価値およびトレンド係数を座標軸とする座標平面上で、各個人の第1の評価値と、上昇(成長)傾向にあるか下降(劣化)傾向にあるかを示すトレンド係数とを一目で把握できるとともに、等評価曲線によって、任意の評価値でグルーピングすることができる。
【0027】
本発明の他の実施態様においては、前記平均値、前記標準偏差および前記トレンド係数を座標軸とする座標空間に、前記演算部で演算された各個人の値を表示する表示手段を備えている。
【0028】
本発明によると、前記平均値、前記標準偏差および前記トレンド係数を座標軸とする座標空間に、各個人の値を表示するので、平均値、標準偏差(安定度)およびトレンド係数(上昇あるいは下降傾向)を、直感的に把握できることになる。
【0029】
本発明の好ましい実施態様においては、前記表示手段は、複数の等評価曲線で区分されるグループを識別表示するものである。
【0030】
本発明によると、複数の等評価曲線で区分されるグループを識別表示、例えば、色分けして表示するので、一目で各グループを把握できることになる。
【0031】
本発明の他の実施態様においては、前記第1の評価関数は、前記平均値をμ、前記標準偏差をσ、前記第1の重み係数をαとしたときに、f(μ,σ;α)で表せるとともに、
【0032】
【数1】
【0033】
を満たす関数であり、前記第1の評価値をpoint、トレンド係数をβ、前記第2の重み係数をg,h、閾値をγとしたときに、第2の評価関数は、
【0034】
【数2】
【0035】
第3の評価関数は、
【0036】
【数3】
【0037】
でそれぞれ表されるとともに、各評価関数は、それぞれ
【0038】
【数4】
【0039】
【数5】
【0040】
を満たす関数である。ここで、重み係数α、g、hは0であってもよい。
【0041】
本発明によると、前記評価関数に従って数量的な評価を行なうことが可能となる。
【0042】
本発明の更に他の実施態様においては、前記第1の評価関数が、
【0043】
【数6】
【0044】
前記第2,第3の評価関数が、
【0045】
【数7】
【0046】
【数8】
である。
【0047】
本発明によると、比較的簡単な前記評価関数に従って数量的な評価を行なうことが可能となる。
【0048】
また、本発明の人事評価方法は、各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価方法であって、前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差を演算し、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算し、前記評価値に基づいて、各個人を評価するものである。
【0049】
本発明によると、複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算するので、この評価値に基づいて、中・長期における人事評価得点の安定度(ばらつき)を考慮した評価が可能となり、しかも、重み係数の選択によって、平均値と安定度との評価の重み付けを選択できる。
【0050】
本発明の一実施態様においては、前記人事評価得点の平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記評価関数に基づく前記評価値が等しい等評価曲線を表示するものである。
【0051】
本発明によると、平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面上で、各個人の平均値と安定度(ばらつき)を一目で把握できるとともに、等評価曲線によって、任意の評価値でグルーピングすることができる。
【0052】
また、本発明の人事評価方法は、各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価方法であって、収集された人事評価得点データから前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値、標準偏差および前記人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を演算し、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み係数である第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って第1の評価値を演算し、前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、前記第1の評価値と前記トレンド係数との相対的な重み係数である第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算し、前記第2の評価値に基づいて、各個人を評価するものである。
【0053】
本発明によると、複数期に亘る人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして第1の評価を行ない、さらに、この第1の評価データおよび人事評価データの傾向に基づき、かつ、第1の評価データと傾向との相対的な重み付けをして第2の評価を行なうので、
中・長期的な安定度を考慮した評価ができるのみならず、中・長期の人事評価データの傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを考慮した評価が可能となる。
【0054】
本発明の一実施態様においては、前記第1の評価値および前記トレンド係数を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記第2,第3の評価関数に基づく前記第2の評価値が等しい等評価曲線を表示するものである。
【0055】
本発明によると、平均値と標準偏差とに基づく第1の評価値およびトレンド係数を座標軸とする座標平面上で、各個人の第1の評価値と、上昇(成長)傾向にあるか下降(劣化)傾向にあるかを示すトレンド係数とを一目で把握できるとともに、等評価曲線によって、任意の評価値でグルーピングすることができる。
【0056】
本発明の人事評価プログラムおよびその人事評価プログラムが記録され記録媒体は、当該人事評価プログラムを、コンピュータに読み取らせて実行させることにより、上述の人事評価方法を実施して同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0058】
図1は、本発明の実施の形態に係る人事評価システムを構成するコンピュータシステムを示す図であり、このコンピュータシステムが、評価手段、評価手段を構成する演算部および表示手段としての機能を有する。
【0059】
ここで、具体的な実施の形態の説明に先立って本発明の人事評価システムの概要について説明する。
【0060】
本発明の人事評価システムでは、人事評価データとしての人事評定値を必要に応じて標準化し、それに基づいて、人事評定値の変化の傾向であるトレンドを考慮しない長期的な人事評価(第1の評価)あるいはトレンドを考慮した長期的な人事評価(第2の評価)を行なうものである。以下、それぞれについて説明する。
【0061】
(1)標準化
被評価者が所属する所属セグメント、例えば、部署、支社、買収先企業によって評価者が異なり、セグメントによって評価の傾向や基準が大きく異なる場合が発生する。また、被評価者は、例えば、複数期といった長期的には、複数のセグメント間を移動するものと考えられるので、個人の人事評定値の時系列は、基準の異なるものによる人事評定値の列となってしまう。
【0062】
このように人事評定値それ自身にバイアスがかかっている恐れがあるときには、各期のセグメント毎に人事評定値を標準化する必要がある。ここでは、正規分布を用いて標準化を行う。このような恐れがないと判断できるときは、以下の手続きは必要ない。
【0063】
先ず、当該個人がある期間に或るセグメントに属していたとする。このセグメントでの人事評定値から、当該セグメント全体(30人以上の規模が望ましい)の人事評定値の平均を差し引き、その値を標準偏差で割って、標準化を行う。この値をzとおく。zは平均がゼロで標準偏差1のサンプルからのデータとなるので、これが標準正規分布に従うものと仮定し、割合(密度関数の面積)が均等になるようにz値の範囲を決めて、それぞれのz値に標準化得点を割り付ける。下記の表1では、それぞれの個人のz値を10段階の標準化得点に割り付けるルールを示している。ただし、オリジナルの人事評定値がゼロのものは標準化得点もゼロとする。
【0064】
【表1】
【0065】
図2に示される標準正規分布の密度関数のz値の範囲に対応する一定(0.1)になるように、z値の範囲を決める。もし100点満点とするならば、面積が0.001になるようにz値のそれぞれの範囲を決めればよい。
【0066】
この方法であると、もともとの人事評定値の満点数が何点であろうとも、またセグメント間で満点数が異なっていても、すべて同一の満点数(この例では10点満点)に標準化することができる。
(2)トレンドを考慮しない長期的評価(第1の評価)
【0067】
必要に応じて上述の標準化を行った後の、第t期(t=1,2、…、T)の第i被評価者(i=1,2、…、n)の(標準化)得点(以下単に得点)を、各個人についてT期間分の得点を収集したと想定し、第T 期末にそれぞれの個人を評価することを想定する。
【0068】
毎期の得点は、個々人のさまざまな業務への適応能力、自身の努力・意欲、さらに評定誤差などによって変化する一種の確率変数と考えることができる。この得点をもとに長期的な個人評価を行うわけであるから、評価それ自身も確率変数となる。したがって、一意的な値として個人評価するには期待(平均)評価値を求めることになる。また、長期間にわたる得点の系列から一定の評価を行うには、たとえば単に平均得点だけではなく、何らかの方法によって得点の確率的変動、つまりリスクも期待評価に組み入れる仕組みを考えなければならない。
【0069】
そこで、長期的な期待評価は、T期までの得点の平均値とT期までの得点の標準偏差とによる関数であると考え、数9式のように定義する。標準偏差は平均値からの乖離の統計的な尺度であり、リスクの評価として望ましいと思われる。
【0070】
【数9】
【0071】
ここで注意すべき点は、前述の標準化とは異なり、セグメント内の平均・標準偏差でなく、個人のT期にわたる得点の平均・標準偏差であるということである。
【0072】
さて、数9式を特定化する必要がある。評価としてはリスク回避型を仮定することが自然である。つまり一定の平均得点に対して、リスクは小さい方が期待評価は高いものと仮定する。そこで、毎期の得点の満点を10点として、リスク回避性を次の境界条件として表現する。
【0073】
【数10】
【0074】
数10式の第一不等式は、平均得点の増加は長期的な期待評価Hの改善を意味している。第二不等式は評価の変動(リスク)の増加は長期的な期待評価に負の効果(リスク回避的)をもたらすことを意味している。第三等式は、平均点がゼロ、つまりT期を通じて常に得点がゼロの個人は当然得点の変動がないので標準偏差はゼロで、そのときの期待評価値をゼロに基準化するための関係式である。
【0075】
数10式の制約を満たすように数9式を特定化すればよい。二次元のユークリッド距離による解釈が可能な次の数11式が一つの候補と考えられる。
【0076】
【数11】
【0077】
さらに、得点の平均値とリスク(標準偏差)の相対的な重要度を測る非負のパラメータを、次の数12式のように導入しても、数10式の制約は満たされる。
【0078】
【数12】
【0079】
第1の評価関数としての数12式において、をゼロとおくと、T期間の平均得点だけで評価することになる。またの値が大きくなるにつれて、リスク(標準偏差)が大きくなるとそれだけ期待評価値が低くなることを意味する。つまり、パラメータには、評価者のリスクに対する態度が反映されるべきであるということができる。ここでは、中立的なが最も自然であると考える。これについては後述することとして、(したがって数11式)を個人Iの(期待)人事評価とする。結局、数12式は、個人の長期にわたる平均的な能力と、それを維持することのリスクを同時に評価したものということができる。
【0080】
ただし、ここでのリスクは、下降傾向の下方リスク(劣化力)と、上昇傾向の上方リスク(成長力)とを意味している。これら二つの内在する力は、次節で分離して評価することができる。
【0081】
さて、一様乱数を用いたシミュレーションによって、5期間分1000人の仮想データを作った。これまでどおり満点を10点とし、横軸に平均、縦軸に標準偏差をとった散布図が図3である。図3のグラフ上の各点がそれぞれの被評価者である。(平均、標準偏差)=(10,0)の点は全期間にわたって最高点を獲得したもっとも優秀な被評価者(期待評価値=100)である。逆に点(0,0)はもっとも評価の低い者を表す。散布図はこれらの二つの点を通り、点(5,5)を頂点とするドーム状の形態をとる。
【0082】
数12式の左辺の期待評価値を一定とする(平均、標準偏差)の組み合わせの軌跡は、点(10,0)を中心とした円の方程式になる。この曲線は期待等評価曲線と呼ぶことができる。つまり、この曲線上の個人はすべて同じ人事評価を受けることとなる。図3の散布図に書き込まれた二本の弧がその例である。北西に位置する弧の方が期待評価値が低いことは言うまでもない。
(3)トレンドを考慮した長期的評価(第2の評価)
【0083】
さて、被評価者の長期的な評価として、毎期毎期の得点の平均値とリスク(標準偏差)とを独立変数とする期待評価関数である数11式を考えた。ここで用いているリスクという言葉は数学的には標準偏差であるので、T期にわたる得点のトレンドが負であっても、正であっても、同一のリスク水準であるということが起こりうる。もし、被評価者の将来性を現時点で評価するという目的も人事評価に加味する必要があるときには、同一のリスク水準であっても、正のトレンドを持つ個人を、成長力(上昇傾向)が高いとしてより高く評価する必要があると思われる。そこで、前節の評価モデルを改良して、T期間の得点を期間tで回帰したトレンド係数βと先の期待評価値を組み合わせて、新たな評価を考える。
【0084】
トレンド係数のβは統計学の最小二乗法の公式から、次のように定義できる。
【0085】
【数13】
【0086】
横軸に、前節で数12式で定義した各個人の期待評価値(これを以下ではポイントと呼ぶことにする)を、縦軸に各個人のβをとった散布図が次の図4である。ただし、横軸はポイント(期待評価値)の平方根を取って10点満点に変換してある。
【0087】
散布図は点(10,0)と点(0,0)を両極としたボール状の形態をとる。横軸に沿って右に行くほど高い能力があることを意味する。また縦軸に沿って上方にあるほど成長力(上昇傾向)が高いことを意味する。
【0088】
ここで、表2のような二つの単純なサンプルを考えてみよう。
【0089】
【表2】
【0090】
それぞれ3期間の得点の評価例である。得点の平均値は8でどちらも同じ、トレンドを示すβ係数も同じ値ゼロである。しかし、標準偏差(リスク)が異なっておりsample1はゼロで、sample2は正の値1.732051である。もし、ポイントを求める際に、リスク評価パラメータをとすると、リスクのないsample1は96ポイントで、リスクの存在するsample2は93ポイントとなり、トレンドは同じでもポイントでより低い評価をsample2は受けることになる。つまり、図4上で、二つのサンプルは異なる座標にプロットされる。このことはごく自然なことと考えることができる。しかし、もしリスク評価パラメータをゼロとすれば、両者のポイントは等しく96になってしまい、トレンドも同じ値であるから、両者はまったく区別がつかなくなってしまう。このように、トレンドβとポイントを組み合わせて将来性を評価する際も、リスク評価パラメータαが効果を発揮する。このことは、横軸に単なる評価の平均値をとるのではなく、リスク評価(α=1.0)を行ったポイント値をとることに意味があることを物語っている。
【0091】
最後に、前節同様に人事評価ボール上の個々人を、単一の数値で評価する方法を述べる。トレンドを考慮しない前節のような、一つの評価関数では評価できない。というのも、トレンドが正(成長傾向)の個人(評価ボールの上半分)と、負(劣化傾向)の個人(ボールの下半分)では評価方法が当然異なってくるからである。また、この段階での評価は、すでにリスク評価が前段階で完了しているので、効用関数を考える必要はない。
【0092】
まず、一つの例として、トレンドが正の個人には、第2の評価関数として次の評価式を適応することができる。
【0093】
【数14】
【0094】
ただし、pointは前節の期待評価値(ポイント:評価ボールの横軸)、βはトレンド(評価ボールの縦軸)である。成長力が一定だとすると、ポイントが高いほどより評価は高くなり、ポイントを一定とすると、成長力が高いほど評価は高くなることを表している。両者の評価の相対的な強度は、第2の重み係数であるパラメータgで表現され、この値が大きいほど相対的に成長力が高く評価されることになる。この値を決定するのは評価者であるので、評価者の態度を評価に反映することができる。この評価法は、満点を100点に固定したものではない、いわば順序評価であるので、基数的な評価が必要な場合は、上述の(1)標準化の項で述べた、標準化法で満点を定め、各個人の得点を計算すればよい。
【0095】
同様に、一つの例として、トレンドが負の個人には、第3の評価関数として次の評価式を適応することができる。
【0096】
【数15】
【0097】
この人たちのトレンドβは負値であるので、その絶対値が小さいほど評価が高くならなければならない(非成長力=劣化力は小さいほど好ましいから)。第2の重み係数であるパラメータhは相対的なポイントの評価パラメータで、1より大きければ劣化力をより小さく評価する評価者の態度を表すことになる。実際には、この値はかなり大きいものと考えることができる。極端に大きくなれば(h→∞)、成長力のみの評価となり、負のトレンドの個人は、いくらポイントが大きくても、評価の対象にならないことになる。尚、基数評価についてはトレンドが正の場合と同様である。
【0098】
以上から、個人の評価は数14式と数15式とをパッチアップすればよい。まとめると、
【0099】
【数16】
となる。
【0100】
図5と図6とは横軸にポイントの平方根を使って10点満点に変換して、等評価曲線を示した例である。左にある等評価曲線ほど、その曲線上の個人は等しく評価が低いことになる。また、パラメータhが大きいほど、トレンドが負の個人を低く評価することがわかる。
【0101】
次の図7は、パラメータがg =1,h =10で、評価値が上位から1位から200位まで、201位から801位まで、802位から1000位までの三つのグループで色分けした例である。図7の(a)は、ルートを取って10点満点に換算したポイントの値とβの値とによる二次元で各個人をプロットしたものである。このグラフによると、負のトレンドを持つ人でもあまり大きな負の傾向をもたなければ、ポイントの大きさによって負のトレンドを償って、高い評価を得られることがわかる。また、図7の(b)及び(c)は、個人に対する数16式による同様の評価を、(μ、σ、β)空間でプロットして可視化したものである。グループ分けも同様である。平均的な評価(μ)、長期的な変動(σ)、成長力(β )が空間上で直感的に理解できる。
【0102】
次の図8は、パラメータがg =1,h =100で、グループ階層は図7と同様である。誤差程度の負の傾向ならば、十分トップグループに評価できていることがわかる。
【0103】
次の図9は、パラメータがg =1,h =1000で、グループ階層は図7と同様である。負のトレンドをより厳しく評価するこの例では、負の傾向を持つ人はトップグループに入ることはできないことがわかる。
【0104】
ここで、本発明は、上述の数12式に限られず、数12式は、次のように一般化できるものである。
【0105】
まず特定化した数12式の性質を調べてみる。数12式を全微分すると、
【0106】
【数17】
となる。数17式でdEui=0とおけば、期待等評価曲線を求めることができる。すなわち、
【0107】
【数18】
となる。不等号の向きは、図3の曲線の傾きに一致しなければならない。
【0108】
さて、数12式を一般化すると、
【0109】
【数19】
と表現できる。ただし、αはパラメータであることを表している。数19式の右辺として、複数の直線あるいは曲線によって定義された方程式も含むものとする。
【0110】
さて、一般化式、数19式における期待等評価曲線が、特定化された数18式と同じ性質を持てば、一般化表現を得ることができる。そのためには、数19式も同様に全微分することで、
【0111】
【数20】
となればよい。ただし、すべてのについて数20式がゼロとなる場合は、平均値だけの評価と同様であり、本発明では、除かれる。
【0112】
以上より、数20式の性質を持つ関数f(μ,σ;α)であれば、どのようなものでも本発明の評価関数として適応可能である。
【0113】
さらに、本発明は、上述の数16式に限られず、数16式は、次のように一般化できるものである。
【0114】
上述の数12式の一般化と同様の考え方が、数16式の一般化にも適応できる。そこで、数16式を一般的な表現で、
【0115】
【数21】
と表す。ただし、上述と同様、右辺のそれぞれの方程式は、複数の直線あるいは曲線によって定義された方程式も含むものとする。また、パラメータは成長と劣化を分ける閾値を表している。上述のように、通常はγ=0で差し支えないであろう。しかし、例えば、ある個人のトレンドβが極わずかな劣化傾向を示していたとすると、本来β=0であるはずなのに、トレンド算出に伴う誤差が原因でわずかに負値となった可能性がある。γを負の値で、絶対値がごく小さなものに設定することで、こういった状態を適切に考慮することができる。
【0116】
以上から、トレンド係数βの値によって場合わけされた、それぞれの関数が満たすべき、等評価曲線の性質は、
【0117】
【数22】
【0118】
【数23】
となる。不等号の向きは、例えば、図5の曲線の傾きに一致する必要がある。ただし、β<γの場合は、マイナス方向に傾きを考える必要がある。これらの性質を満たす関数fp(point,β;g)及びfn(point,β;h)であれば、本発明の評価関数として適応可能である。
【0119】
次に、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0120】
上述の図1において、この実施の形態のコンピュータシステム1は、人事評価データを入力するキーボード/マウス2やCD−ROMドライブ3などの入力手段と、入力された人事評価データ、パラメータあるいはプログラムなどを記憶する記憶手段としてのハードディスク4と、人事評価プログラムに従って人事評価のための運算などを評価処理を行なうCPU5およびRAM等のメモリ6と、評価結果などを表示する表示手段としての液晶ディスプレイ7とを備えている。
【0121】
先ず、人事評価プログラムを起動すると、液晶ディスプレイ7には、例えば、図10に示される画面が表示され、パラメータ設定、セグメント化設定、標準化といった処理項目の設定が可能な状態となる。
【0122】
この状態において、例えば、パラメータ設定を選択すると、例えば、図11に示されるように、上述の各パラメータ、すなわち、第1の重み係数としての期待評価係数α、閾値としての成長下限値γ、第2の重み係数としての成長力係数g、同じく第2の重み係数としての劣化力係数hの設定が可能となる。このパラメータの設定では、図12に示されるように、ハードディスク4のバラメータファイル8を読み込み、図11の操作画面でパラメータを設定することにより、パラメータファイル8に、例えば、図13(c)に示されるようにパラメータが設定される。
【0123】
図14は、必要に応じて行なわれる標準化処理を含む事前計算のフローチャートである。
【0124】
予めハードディスク4に取り込まれた、例えば、図13(a)に示される元の人事評価データを、人事評価データファイル9から読み込み、上述のような標準化処理を必要に応じて行い、個人別に、平均、標準偏差およびトレンド係数を演算し、算出した平均、標準偏差およびトレンド係数を、個人別評価値ファイル10に、例えば、図13(b)に示されるように登録する。
【0125】
図15は、上述の得点ドームと期待等評価曲線の表示のフローチャートである。先ず、パラメータファイル8から設定されたパラメータを読み込み、個人別評価値ファイル10から平均および標準偏差を読み込み、図16の画面に示されるように、得点ドームと期待評価曲線を表示する。
【0126】
図17は、二次元の評価ボールの表示のフローチャートである。先ず、パラメータファイル8から設定されたパラメータを読み込み、個人別評価値ファイル10から平均および標準偏差を読み込み、図18の画面に示されるように、二次元の評価ボールを表示する。
【0127】
なお、この図18では、図19に示されるように、評価点の範囲を、三つのセグメントに区分するセグメント化設定を行なって、三つの区分を、3色で色分け表示している例を示している。
【0128】
図20は、三次元の評価ボールの表示のフローチャートである。先ず、パラメータファイル8から設定されたパラメータを読み込み、個人別評価値ファイル10から平均および標準偏差を読み込み、図21の画面に示されるように、三次元の評価ボールを表示する。
【0129】
図22は、以上の全体的に処理の手順を示すフローチャートである。先ず、パラメータを設定し、セグメント化設定を行ない、標準化し、成長力を考慮するか否か判断し、しない場合には、設定されたパラメータおよびセグメント化に従って得点ドームと期待等評価曲線を表示して終了する。また、成長力を考慮する場合には、設定されたパラメータおよびセグメント化に従って、二次元あるいは三次元の評価ボールを表示して終了する。
【0130】
(その他の実施の形態)
本発明の他の実施の形態として、個々の被評価者の評価値を、ファイル等に出力するように構成してもよい。この場合、成長力も考慮する場合には、評価関数によって得られる期待評価値を、標準化によって、例えば、100点満点に変換して出力すればよい。
【0131】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来よりも長い中・長期的な安定度(ばらつき)を考慮した評価、さらに、中・長期の傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを考慮した評価が可能となる。
【0132】
また、本発明によれば、複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数あるいは人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を独立変数とする評価関数を用いて評価値を算出するので、中・長期の平均、安定度、成長(劣化)傾向を、数量的に評価することができるので、客観的な評価指標となる。
【0133】
これによって、昇格、賃金処遇などの待遇への反映や人材資本の有効配分といった人事施策へ有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る人事評価システムを構成するコンピュータシステムの構成図である。
【図2】標準正規分布の密度関数を示す図である。
【図3】横軸に平均、縦軸に標準偏差をとった散布図である。
【図4】横軸に期待評価値、縦軸にトレンド係数をとった散布図である。
【図5】横軸にポイントの平方根、縦軸にトレンド係数をとって等評価曲線を示した図である。
【図6】横軸にポイントの平方根、縦軸にトレンド係数βをとって等評価曲線を示した図である。
【図7】評価値で三つのグループに色分けした図である。
【図8】評価値で三つのグループに色分けした図である。
【図9】評価値で三つのグループに色分けした図である。
【図10】人事評価システムの表示画面を示す図である。
【図11】パラメータ設定の表示画面を示す図である。
【図12】パラメータ設定のフローチャートである。
【図13】ファイルのデータ構成を示す図である。
【図14】標準化および事前計算のフローチャートである。
【図15】得点ドームと等評価曲線表示のフローチャートである。
【図16】得点ドームと等評価曲線の表示画面を示す図である。
【図17】二次元の評価ボール表示のフローチャートである。
【図18】二次元の評価ボールの表示画面を示す図である。
【図19】セグメント化設定の表示画面を示す図である。
【図20】三次元の評価ボール表示のフローチャートである。
【図21】三次元の評価ボールの表示画面を示す図である。
【図22】全体の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 コンピュータシステム(評価システム)
4 ハードディスク
5 CPU
6 メモリ
7 液晶ディスプレイ
8 パラメータファイル
9 人事評価データファイル
10 個人評価値ファイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、人事評価システムに関し、更に詳しくは、期間業績を評価するのではなく、企業ミッションに真に貢献している人材を抽出し、その人材にマネジメントコストを集中させることにより、一層の人材の強化を図るのに好適な人事評価システム、人事評価方法、人事評価プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多くの企業では、従業員を評価する「人事評価制度」を有し、それに基づいて、賃金処遇、昇進、異動等へ反映させている。
【0003】
しかしながら、IT化の促進により、人事評価の結果としての情報が多く蓄積されてきた今日においても、その情報の取り扱いや活用は、旧来通り、例えば、1年以内といった短期の業績・能力の把握と、その結果を給与・賞与に反映させるという域から脱却できていないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
企業は、創造的価値を生み出す人材を多く集め、中・長期的に企業ミッションに貢献し得る人材の発掘と育成のため、多くの蓄積した人事情報データの有効な活用を必要としてきている。
【0005】
しかしながら、従来の人事評価システムでは、次のような課題がある。
【0006】
先ず、第1にマネジメント手法の選択、人材選抜の基準において、客観的指標がない。すなわち、従業員各人をマネジメントしていくに際して、質的・量的において、すべて均一にしていくことの非効率性が課題となっている。そこで、企業として重点的に育成していきたい人材群、そうでない人材群等にグルーピングさせ、マネジメントの集中と選択を図っていく必要があるが、そのグルーピングに対しての判断基準となる客観的指標がない。
【0007】
第2に、中・長期的な貢献を測定する指標がない。特に企画開発職や事務管理職、また、公的機関、教育機関、病院等は、短期間の業績・能力の評価情報のみで、その従業員の処遇(広義)を決定してしまうことは、企業活動自体が短期指向となり、その企業としてのミッションを推進してくれる人材を少なくしてしまう虞がある。
【0008】
第3に、資本としての人材活用指標がない。単に従業員を個人=1人としてカウントするのではなく、ある個人がその企業に対し、どの程度の貢献をもたらしてくれるかの「期待貢献による調整」を行い、組織の改編、プロジェクトの新設等の局面において、人的投下資本の基準を考慮するニーズがあるが、その際に観測できる客観的指標がない。
【0009】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、人材を選抜する際の客観的な指標となるとともに、中・長期的な従業員の貢献を量的に把握できる人事評価システム、人事評価方法、人事評価プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0011】
すなわち、本発明の人事評価システムは、各期毎の人事評価データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、前記評価期間における各個人の前記人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして評価を行なう評価手段を備えている。
【0012】
本発明によると、複数期に亘る人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして評価を行なうので、中・長期的な評価が可能になるとともに、その中・長期における人事評価データの安定度(ばらつき)を考慮した評価が可能となる。
【0013】
また、本発明の人事評価システムは、各期毎の人事評価データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、前記評価期間における各個人の前記人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして第1の評価を行なう第1の評価手段と、前記第1の評価手段による第1の評価データおよび前記評価期間における各個人の前記人事評価データの傾向に基づき、かつ、前記第1の評価データと前記傾向との相対的な重み付けをして第2の評価を行なう第2の評価手段とを備えている。
【0014】
本発明によると、複数期に亘る人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして第1の評価を行ない、さらに、この第1の評価データおよび人事評価データの傾向に基づき、かつ、第1の評価データと人事評価データの傾向との相対的な重み付けをして第2の評価を行なうので、中・長期的な安定度を考慮した評価ができるのみならず、中・長期の人事評価データの傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを考慮した評価が可能となる。
【0015】
また、本発明の人事評価システムは、各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差に基づき、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けを行なって評価する評価手段を備え、前記評価手段は、前記平均値および前記標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算する演算部を含むものである。
【0016】
本発明によると、複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算するので、この評価値に基づいて、中・長期における人事評価得点の安定度(ばらつき)を考慮した評価が可能となり、しかも、重み係数の選択によって、平均値と安定度との評価の重み付けを選択できる。
【0017】
本発明の一実施態様においては、前記人事評価得点の平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面に、前記演算部で演算された各個人の値を表示するとともに、前記評価関数に基づく前記評価値が等しい等評価曲線を表示する表示手段を備えている。
【0018】
本発明によると、平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面上で、各個人の平均値と安定度(ばらつき)とを一目で把握できるとともに、等評価曲線によって、任意の評価値でグルーピングすることができる。
【0019】
本発明の他の実施態様においては、前記評価関数は、前記平均値をμ、前記標準偏差をσ、前記重み係数をαとしたときに、f(μ,σ;α)で表せるとともに、
【0020】
【数1】
【0021】
を満たす関数である。ここで、重み係数αは、0であってもよい。
【0022】
本発明によれば、前記評価関数に従って数量的な評価を行なうことが可能となる。
【0023】
また、本発明の人事評価システムは、各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差に基づき、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けをして第1の評価を行なう第1の評価手段と、前記第1の評価手段による第1の評価値および前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数に基づき、かつ、前記第1の評価値と前記トレンド係数との相対的な重み付けをして第2の評価を行なう第2の評価手段とを備え、前記第1の評価手段は、前記平均値および前記標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って前記第1の評価値を演算する演算部を含み、前記第2の評価手段は、前記トレンド係数を演算するとともに、前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算する演算部を含むものである。
【0024】
本発明によると、複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って第1の評価値を演算するので、この第1の評価値に基づいて、中・長期における人事評価得点の安定度(ばらつき)を考慮した評価が可能となるのみならず、人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を演算するとともに、前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算するので、この第2の評価値に基づいて、中・長期の人事評価得点の変化の傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを考慮した評価が可能となり、しかも、閾値によって、上昇傾向とみるか下降傾向とみるかの判断の基準を選択できる。
【0025】
本発明の一実施態様においては、前記第1の評価値および前記トレンド係数を座標軸とする座標平面に、前記演算部で演算された各個人の値を表示するとともに、前記第2,第3の評価関数に基づく前記第2の評価値が等しい等評価曲線を表示する表示手段を備えている。
【0026】
本発明によると、平均値と標準偏差とに基づく第1の評価値およびトレンド係数を座標軸とする座標平面上で、各個人の第1の評価値と、上昇(成長)傾向にあるか下降(劣化)傾向にあるかを示すトレンド係数とを一目で把握できるとともに、等評価曲線によって、任意の評価値でグルーピングすることができる。
【0027】
本発明の他の実施態様においては、前記平均値、前記標準偏差および前記トレンド係数を座標軸とする座標空間に、前記演算部で演算された各個人の値を表示する表示手段を備えている。
【0028】
本発明によると、前記平均値、前記標準偏差および前記トレンド係数を座標軸とする座標空間に、各個人の値を表示するので、平均値、標準偏差(安定度)およびトレンド係数(上昇あるいは下降傾向)を、直感的に把握できることになる。
【0029】
本発明の好ましい実施態様においては、前記表示手段は、複数の等評価曲線で区分されるグループを識別表示するものである。
【0030】
本発明によると、複数の等評価曲線で区分されるグループを識別表示、例えば、色分けして表示するので、一目で各グループを把握できることになる。
【0031】
本発明の他の実施態様においては、前記第1の評価関数は、前記平均値をμ、前記標準偏差をσ、前記第1の重み係数をαとしたときに、f(μ,σ;α)で表せるとともに、
【0032】
【数1】
【0033】
を満たす関数であり、前記第1の評価値をpoint、トレンド係数をβ、前記第2の重み係数をg,h、閾値をγとしたときに、第2の評価関数は、
【0034】
【数2】
【0035】
第3の評価関数は、
【0036】
【数3】
【0037】
でそれぞれ表されるとともに、各評価関数は、それぞれ
【0038】
【数4】
【0039】
【数5】
【0040】
を満たす関数である。ここで、重み係数α、g、hは0であってもよい。
【0041】
本発明によると、前記評価関数に従って数量的な評価を行なうことが可能となる。
【0042】
本発明の更に他の実施態様においては、前記第1の評価関数が、
【0043】
【数6】
【0044】
前記第2,第3の評価関数が、
【0045】
【数7】
【0046】
【数8】
である。
【0047】
本発明によると、比較的簡単な前記評価関数に従って数量的な評価を行なうことが可能となる。
【0048】
また、本発明の人事評価方法は、各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価方法であって、前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差を演算し、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算し、前記評価値に基づいて、各個人を評価するものである。
【0049】
本発明によると、複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算するので、この評価値に基づいて、中・長期における人事評価得点の安定度(ばらつき)を考慮した評価が可能となり、しかも、重み係数の選択によって、平均値と安定度との評価の重み付けを選択できる。
【0050】
本発明の一実施態様においては、前記人事評価得点の平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記評価関数に基づく前記評価値が等しい等評価曲線を表示するものである。
【0051】
本発明によると、平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面上で、各個人の平均値と安定度(ばらつき)を一目で把握できるとともに、等評価曲線によって、任意の評価値でグルーピングすることができる。
【0052】
また、本発明の人事評価方法は、各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価方法であって、収集された人事評価得点データから前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値、標準偏差および前記人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を演算し、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み係数である第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って第1の評価値を演算し、前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、前記第1の評価値と前記トレンド係数との相対的な重み係数である第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算し、前記第2の評価値に基づいて、各個人を評価するものである。
【0053】
本発明によると、複数期に亘る人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして第1の評価を行ない、さらに、この第1の評価データおよび人事評価データの傾向に基づき、かつ、第1の評価データと傾向との相対的な重み付けをして第2の評価を行なうので、
中・長期的な安定度を考慮した評価ができるのみならず、中・長期の人事評価データの傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを考慮した評価が可能となる。
【0054】
本発明の一実施態様においては、前記第1の評価値および前記トレンド係数を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記第2,第3の評価関数に基づく前記第2の評価値が等しい等評価曲線を表示するものである。
【0055】
本発明によると、平均値と標準偏差とに基づく第1の評価値およびトレンド係数を座標軸とする座標平面上で、各個人の第1の評価値と、上昇(成長)傾向にあるか下降(劣化)傾向にあるかを示すトレンド係数とを一目で把握できるとともに、等評価曲線によって、任意の評価値でグルーピングすることができる。
【0056】
本発明の人事評価プログラムおよびその人事評価プログラムが記録され記録媒体は、当該人事評価プログラムを、コンピュータに読み取らせて実行させることにより、上述の人事評価方法を実施して同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0058】
図1は、本発明の実施の形態に係る人事評価システムを構成するコンピュータシステムを示す図であり、このコンピュータシステムが、評価手段、評価手段を構成する演算部および表示手段としての機能を有する。
【0059】
ここで、具体的な実施の形態の説明に先立って本発明の人事評価システムの概要について説明する。
【0060】
本発明の人事評価システムでは、人事評価データとしての人事評定値を必要に応じて標準化し、それに基づいて、人事評定値の変化の傾向であるトレンドを考慮しない長期的な人事評価(第1の評価)あるいはトレンドを考慮した長期的な人事評価(第2の評価)を行なうものである。以下、それぞれについて説明する。
【0061】
(1)標準化
被評価者が所属する所属セグメント、例えば、部署、支社、買収先企業によって評価者が異なり、セグメントによって評価の傾向や基準が大きく異なる場合が発生する。また、被評価者は、例えば、複数期といった長期的には、複数のセグメント間を移動するものと考えられるので、個人の人事評定値の時系列は、基準の異なるものによる人事評定値の列となってしまう。
【0062】
このように人事評定値それ自身にバイアスがかかっている恐れがあるときには、各期のセグメント毎に人事評定値を標準化する必要がある。ここでは、正規分布を用いて標準化を行う。このような恐れがないと判断できるときは、以下の手続きは必要ない。
【0063】
先ず、当該個人がある期間に或るセグメントに属していたとする。このセグメントでの人事評定値から、当該セグメント全体(30人以上の規模が望ましい)の人事評定値の平均を差し引き、その値を標準偏差で割って、標準化を行う。この値をzとおく。zは平均がゼロで標準偏差1のサンプルからのデータとなるので、これが標準正規分布に従うものと仮定し、割合(密度関数の面積)が均等になるようにz値の範囲を決めて、それぞれのz値に標準化得点を割り付ける。下記の表1では、それぞれの個人のz値を10段階の標準化得点に割り付けるルールを示している。ただし、オリジナルの人事評定値がゼロのものは標準化得点もゼロとする。
【0064】
【表1】
【0065】
図2に示される標準正規分布の密度関数のz値の範囲に対応する一定(0.1)になるように、z値の範囲を決める。もし100点満点とするならば、面積が0.001になるようにz値のそれぞれの範囲を決めればよい。
【0066】
この方法であると、もともとの人事評定値の満点数が何点であろうとも、またセグメント間で満点数が異なっていても、すべて同一の満点数(この例では10点満点)に標準化することができる。
(2)トレンドを考慮しない長期的評価(第1の評価)
【0067】
必要に応じて上述の標準化を行った後の、第t期(t=1,2、…、T)の第i被評価者(i=1,2、…、n)の(標準化)得点(以下単に得点)を、各個人についてT期間分の得点を収集したと想定し、第T 期末にそれぞれの個人を評価することを想定する。
【0068】
毎期の得点は、個々人のさまざまな業務への適応能力、自身の努力・意欲、さらに評定誤差などによって変化する一種の確率変数と考えることができる。この得点をもとに長期的な個人評価を行うわけであるから、評価それ自身も確率変数となる。したがって、一意的な値として個人評価するには期待(平均)評価値を求めることになる。また、長期間にわたる得点の系列から一定の評価を行うには、たとえば単に平均得点だけではなく、何らかの方法によって得点の確率的変動、つまりリスクも期待評価に組み入れる仕組みを考えなければならない。
【0069】
そこで、長期的な期待評価は、T期までの得点の平均値とT期までの得点の標準偏差とによる関数であると考え、数9式のように定義する。標準偏差は平均値からの乖離の統計的な尺度であり、リスクの評価として望ましいと思われる。
【0070】
【数9】
【0071】
ここで注意すべき点は、前述の標準化とは異なり、セグメント内の平均・標準偏差でなく、個人のT期にわたる得点の平均・標準偏差であるということである。
【0072】
さて、数9式を特定化する必要がある。評価としてはリスク回避型を仮定することが自然である。つまり一定の平均得点に対して、リスクは小さい方が期待評価は高いものと仮定する。そこで、毎期の得点の満点を10点として、リスク回避性を次の境界条件として表現する。
【0073】
【数10】
【0074】
数10式の第一不等式は、平均得点の増加は長期的な期待評価Hの改善を意味している。第二不等式は評価の変動(リスク)の増加は長期的な期待評価に負の効果(リスク回避的)をもたらすことを意味している。第三等式は、平均点がゼロ、つまりT期を通じて常に得点がゼロの個人は当然得点の変動がないので標準偏差はゼロで、そのときの期待評価値をゼロに基準化するための関係式である。
【0075】
数10式の制約を満たすように数9式を特定化すればよい。二次元のユークリッド距離による解釈が可能な次の数11式が一つの候補と考えられる。
【0076】
【数11】
【0077】
さらに、得点の平均値とリスク(標準偏差)の相対的な重要度を測る非負のパラメータを、次の数12式のように導入しても、数10式の制約は満たされる。
【0078】
【数12】
【0079】
第1の評価関数としての数12式において、をゼロとおくと、T期間の平均得点だけで評価することになる。またの値が大きくなるにつれて、リスク(標準偏差)が大きくなるとそれだけ期待評価値が低くなることを意味する。つまり、パラメータには、評価者のリスクに対する態度が反映されるべきであるということができる。ここでは、中立的なが最も自然であると考える。これについては後述することとして、(したがって数11式)を個人Iの(期待)人事評価とする。結局、数12式は、個人の長期にわたる平均的な能力と、それを維持することのリスクを同時に評価したものということができる。
【0080】
ただし、ここでのリスクは、下降傾向の下方リスク(劣化力)と、上昇傾向の上方リスク(成長力)とを意味している。これら二つの内在する力は、次節で分離して評価することができる。
【0081】
さて、一様乱数を用いたシミュレーションによって、5期間分1000人の仮想データを作った。これまでどおり満点を10点とし、横軸に平均、縦軸に標準偏差をとった散布図が図3である。図3のグラフ上の各点がそれぞれの被評価者である。(平均、標準偏差)=(10,0)の点は全期間にわたって最高点を獲得したもっとも優秀な被評価者(期待評価値=100)である。逆に点(0,0)はもっとも評価の低い者を表す。散布図はこれらの二つの点を通り、点(5,5)を頂点とするドーム状の形態をとる。
【0082】
数12式の左辺の期待評価値を一定とする(平均、標準偏差)の組み合わせの軌跡は、点(10,0)を中心とした円の方程式になる。この曲線は期待等評価曲線と呼ぶことができる。つまり、この曲線上の個人はすべて同じ人事評価を受けることとなる。図3の散布図に書き込まれた二本の弧がその例である。北西に位置する弧の方が期待評価値が低いことは言うまでもない。
(3)トレンドを考慮した長期的評価(第2の評価)
【0083】
さて、被評価者の長期的な評価として、毎期毎期の得点の平均値とリスク(標準偏差)とを独立変数とする期待評価関数である数11式を考えた。ここで用いているリスクという言葉は数学的には標準偏差であるので、T期にわたる得点のトレンドが負であっても、正であっても、同一のリスク水準であるということが起こりうる。もし、被評価者の将来性を現時点で評価するという目的も人事評価に加味する必要があるときには、同一のリスク水準であっても、正のトレンドを持つ個人を、成長力(上昇傾向)が高いとしてより高く評価する必要があると思われる。そこで、前節の評価モデルを改良して、T期間の得点を期間tで回帰したトレンド係数βと先の期待評価値を組み合わせて、新たな評価を考える。
【0084】
トレンド係数のβは統計学の最小二乗法の公式から、次のように定義できる。
【0085】
【数13】
【0086】
横軸に、前節で数12式で定義した各個人の期待評価値(これを以下ではポイントと呼ぶことにする)を、縦軸に各個人のβをとった散布図が次の図4である。ただし、横軸はポイント(期待評価値)の平方根を取って10点満点に変換してある。
【0087】
散布図は点(10,0)と点(0,0)を両極としたボール状の形態をとる。横軸に沿って右に行くほど高い能力があることを意味する。また縦軸に沿って上方にあるほど成長力(上昇傾向)が高いことを意味する。
【0088】
ここで、表2のような二つの単純なサンプルを考えてみよう。
【0089】
【表2】
【0090】
それぞれ3期間の得点の評価例である。得点の平均値は8でどちらも同じ、トレンドを示すβ係数も同じ値ゼロである。しかし、標準偏差(リスク)が異なっておりsample1はゼロで、sample2は正の値1.732051である。もし、ポイントを求める際に、リスク評価パラメータをとすると、リスクのないsample1は96ポイントで、リスクの存在するsample2は93ポイントとなり、トレンドは同じでもポイントでより低い評価をsample2は受けることになる。つまり、図4上で、二つのサンプルは異なる座標にプロットされる。このことはごく自然なことと考えることができる。しかし、もしリスク評価パラメータをゼロとすれば、両者のポイントは等しく96になってしまい、トレンドも同じ値であるから、両者はまったく区別がつかなくなってしまう。このように、トレンドβとポイントを組み合わせて将来性を評価する際も、リスク評価パラメータαが効果を発揮する。このことは、横軸に単なる評価の平均値をとるのではなく、リスク評価(α=1.0)を行ったポイント値をとることに意味があることを物語っている。
【0091】
最後に、前節同様に人事評価ボール上の個々人を、単一の数値で評価する方法を述べる。トレンドを考慮しない前節のような、一つの評価関数では評価できない。というのも、トレンドが正(成長傾向)の個人(評価ボールの上半分)と、負(劣化傾向)の個人(ボールの下半分)では評価方法が当然異なってくるからである。また、この段階での評価は、すでにリスク評価が前段階で完了しているので、効用関数を考える必要はない。
【0092】
まず、一つの例として、トレンドが正の個人には、第2の評価関数として次の評価式を適応することができる。
【0093】
【数14】
【0094】
ただし、pointは前節の期待評価値(ポイント:評価ボールの横軸)、βはトレンド(評価ボールの縦軸)である。成長力が一定だとすると、ポイントが高いほどより評価は高くなり、ポイントを一定とすると、成長力が高いほど評価は高くなることを表している。両者の評価の相対的な強度は、第2の重み係数であるパラメータgで表現され、この値が大きいほど相対的に成長力が高く評価されることになる。この値を決定するのは評価者であるので、評価者の態度を評価に反映することができる。この評価法は、満点を100点に固定したものではない、いわば順序評価であるので、基数的な評価が必要な場合は、上述の(1)標準化の項で述べた、標準化法で満点を定め、各個人の得点を計算すればよい。
【0095】
同様に、一つの例として、トレンドが負の個人には、第3の評価関数として次の評価式を適応することができる。
【0096】
【数15】
【0097】
この人たちのトレンドβは負値であるので、その絶対値が小さいほど評価が高くならなければならない(非成長力=劣化力は小さいほど好ましいから)。第2の重み係数であるパラメータhは相対的なポイントの評価パラメータで、1より大きければ劣化力をより小さく評価する評価者の態度を表すことになる。実際には、この値はかなり大きいものと考えることができる。極端に大きくなれば(h→∞)、成長力のみの評価となり、負のトレンドの個人は、いくらポイントが大きくても、評価の対象にならないことになる。尚、基数評価についてはトレンドが正の場合と同様である。
【0098】
以上から、個人の評価は数14式と数15式とをパッチアップすればよい。まとめると、
【0099】
【数16】
となる。
【0100】
図5と図6とは横軸にポイントの平方根を使って10点満点に変換して、等評価曲線を示した例である。左にある等評価曲線ほど、その曲線上の個人は等しく評価が低いことになる。また、パラメータhが大きいほど、トレンドが負の個人を低く評価することがわかる。
【0101】
次の図7は、パラメータがg =1,h =10で、評価値が上位から1位から200位まで、201位から801位まで、802位から1000位までの三つのグループで色分けした例である。図7の(a)は、ルートを取って10点満点に換算したポイントの値とβの値とによる二次元で各個人をプロットしたものである。このグラフによると、負のトレンドを持つ人でもあまり大きな負の傾向をもたなければ、ポイントの大きさによって負のトレンドを償って、高い評価を得られることがわかる。また、図7の(b)及び(c)は、個人に対する数16式による同様の評価を、(μ、σ、β)空間でプロットして可視化したものである。グループ分けも同様である。平均的な評価(μ)、長期的な変動(σ)、成長力(β )が空間上で直感的に理解できる。
【0102】
次の図8は、パラメータがg =1,h =100で、グループ階層は図7と同様である。誤差程度の負の傾向ならば、十分トップグループに評価できていることがわかる。
【0103】
次の図9は、パラメータがg =1,h =1000で、グループ階層は図7と同様である。負のトレンドをより厳しく評価するこの例では、負の傾向を持つ人はトップグループに入ることはできないことがわかる。
【0104】
ここで、本発明は、上述の数12式に限られず、数12式は、次のように一般化できるものである。
【0105】
まず特定化した数12式の性質を調べてみる。数12式を全微分すると、
【0106】
【数17】
となる。数17式でdEui=0とおけば、期待等評価曲線を求めることができる。すなわち、
【0107】
【数18】
となる。不等号の向きは、図3の曲線の傾きに一致しなければならない。
【0108】
さて、数12式を一般化すると、
【0109】
【数19】
と表現できる。ただし、αはパラメータであることを表している。数19式の右辺として、複数の直線あるいは曲線によって定義された方程式も含むものとする。
【0110】
さて、一般化式、数19式における期待等評価曲線が、特定化された数18式と同じ性質を持てば、一般化表現を得ることができる。そのためには、数19式も同様に全微分することで、
【0111】
【数20】
となればよい。ただし、すべてのについて数20式がゼロとなる場合は、平均値だけの評価と同様であり、本発明では、除かれる。
【0112】
以上より、数20式の性質を持つ関数f(μ,σ;α)であれば、どのようなものでも本発明の評価関数として適応可能である。
【0113】
さらに、本発明は、上述の数16式に限られず、数16式は、次のように一般化できるものである。
【0114】
上述の数12式の一般化と同様の考え方が、数16式の一般化にも適応できる。そこで、数16式を一般的な表現で、
【0115】
【数21】
と表す。ただし、上述と同様、右辺のそれぞれの方程式は、複数の直線あるいは曲線によって定義された方程式も含むものとする。また、パラメータは成長と劣化を分ける閾値を表している。上述のように、通常はγ=0で差し支えないであろう。しかし、例えば、ある個人のトレンドβが極わずかな劣化傾向を示していたとすると、本来β=0であるはずなのに、トレンド算出に伴う誤差が原因でわずかに負値となった可能性がある。γを負の値で、絶対値がごく小さなものに設定することで、こういった状態を適切に考慮することができる。
【0116】
以上から、トレンド係数βの値によって場合わけされた、それぞれの関数が満たすべき、等評価曲線の性質は、
【0117】
【数22】
【0118】
【数23】
となる。不等号の向きは、例えば、図5の曲線の傾きに一致する必要がある。ただし、β<γの場合は、マイナス方向に傾きを考える必要がある。これらの性質を満たす関数fp(point,β;g)及びfn(point,β;h)であれば、本発明の評価関数として適応可能である。
【0119】
次に、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0120】
上述の図1において、この実施の形態のコンピュータシステム1は、人事評価データを入力するキーボード/マウス2やCD−ROMドライブ3などの入力手段と、入力された人事評価データ、パラメータあるいはプログラムなどを記憶する記憶手段としてのハードディスク4と、人事評価プログラムに従って人事評価のための運算などを評価処理を行なうCPU5およびRAM等のメモリ6と、評価結果などを表示する表示手段としての液晶ディスプレイ7とを備えている。
【0121】
先ず、人事評価プログラムを起動すると、液晶ディスプレイ7には、例えば、図10に示される画面が表示され、パラメータ設定、セグメント化設定、標準化といった処理項目の設定が可能な状態となる。
【0122】
この状態において、例えば、パラメータ設定を選択すると、例えば、図11に示されるように、上述の各パラメータ、すなわち、第1の重み係数としての期待評価係数α、閾値としての成長下限値γ、第2の重み係数としての成長力係数g、同じく第2の重み係数としての劣化力係数hの設定が可能となる。このパラメータの設定では、図12に示されるように、ハードディスク4のバラメータファイル8を読み込み、図11の操作画面でパラメータを設定することにより、パラメータファイル8に、例えば、図13(c)に示されるようにパラメータが設定される。
【0123】
図14は、必要に応じて行なわれる標準化処理を含む事前計算のフローチャートである。
【0124】
予めハードディスク4に取り込まれた、例えば、図13(a)に示される元の人事評価データを、人事評価データファイル9から読み込み、上述のような標準化処理を必要に応じて行い、個人別に、平均、標準偏差およびトレンド係数を演算し、算出した平均、標準偏差およびトレンド係数を、個人別評価値ファイル10に、例えば、図13(b)に示されるように登録する。
【0125】
図15は、上述の得点ドームと期待等評価曲線の表示のフローチャートである。先ず、パラメータファイル8から設定されたパラメータを読み込み、個人別評価値ファイル10から平均および標準偏差を読み込み、図16の画面に示されるように、得点ドームと期待評価曲線を表示する。
【0126】
図17は、二次元の評価ボールの表示のフローチャートである。先ず、パラメータファイル8から設定されたパラメータを読み込み、個人別評価値ファイル10から平均および標準偏差を読み込み、図18の画面に示されるように、二次元の評価ボールを表示する。
【0127】
なお、この図18では、図19に示されるように、評価点の範囲を、三つのセグメントに区分するセグメント化設定を行なって、三つの区分を、3色で色分け表示している例を示している。
【0128】
図20は、三次元の評価ボールの表示のフローチャートである。先ず、パラメータファイル8から設定されたパラメータを読み込み、個人別評価値ファイル10から平均および標準偏差を読み込み、図21の画面に示されるように、三次元の評価ボールを表示する。
【0129】
図22は、以上の全体的に処理の手順を示すフローチャートである。先ず、パラメータを設定し、セグメント化設定を行ない、標準化し、成長力を考慮するか否か判断し、しない場合には、設定されたパラメータおよびセグメント化に従って得点ドームと期待等評価曲線を表示して終了する。また、成長力を考慮する場合には、設定されたパラメータおよびセグメント化に従って、二次元あるいは三次元の評価ボールを表示して終了する。
【0130】
(その他の実施の形態)
本発明の他の実施の形態として、個々の被評価者の評価値を、ファイル等に出力するように構成してもよい。この場合、成長力も考慮する場合には、評価関数によって得られる期待評価値を、標準化によって、例えば、100点満点に変換して出力すればよい。
【0131】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来よりも長い中・長期的な安定度(ばらつき)を考慮した評価、さらに、中・長期の傾向、すなわち、上昇(成長)傾向であるか、下降(劣化)傾向であるかを考慮した評価が可能となる。
【0132】
また、本発明によれば、複数期に亘る評価期間の人事評価得点の平均値および標準偏差を独立変数とし、かつ、相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数あるいは人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を独立変数とする評価関数を用いて評価値を算出するので、中・長期の平均、安定度、成長(劣化)傾向を、数量的に評価することができるので、客観的な評価指標となる。
【0133】
これによって、昇格、賃金処遇などの待遇への反映や人材資本の有効配分といった人事施策へ有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る人事評価システムを構成するコンピュータシステムの構成図である。
【図2】標準正規分布の密度関数を示す図である。
【図3】横軸に平均、縦軸に標準偏差をとった散布図である。
【図4】横軸に期待評価値、縦軸にトレンド係数をとった散布図である。
【図5】横軸にポイントの平方根、縦軸にトレンド係数をとって等評価曲線を示した図である。
【図6】横軸にポイントの平方根、縦軸にトレンド係数βをとって等評価曲線を示した図である。
【図7】評価値で三つのグループに色分けした図である。
【図8】評価値で三つのグループに色分けした図である。
【図9】評価値で三つのグループに色分けした図である。
【図10】人事評価システムの表示画面を示す図である。
【図11】パラメータ設定の表示画面を示す図である。
【図12】パラメータ設定のフローチャートである。
【図13】ファイルのデータ構成を示す図である。
【図14】標準化および事前計算のフローチャートである。
【図15】得点ドームと等評価曲線表示のフローチャートである。
【図16】得点ドームと等評価曲線の表示画面を示す図である。
【図17】二次元の評価ボール表示のフローチャートである。
【図18】二次元の評価ボールの表示画面を示す図である。
【図19】セグメント化設定の表示画面を示す図である。
【図20】三次元の評価ボール表示のフローチャートである。
【図21】三次元の評価ボールの表示画面を示す図である。
【図22】全体の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 コンピュータシステム(評価システム)
4 ハードディスク
5 CPU
6 メモリ
7 液晶ディスプレイ
8 パラメータファイル
9 人事評価データファイル
10 個人評価値ファイル
Claims (23)
- 各期毎の人事評価データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、
前記評価期間における各個人の前記人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして評価を行なう評価手段を備えることを特徴とする人事評価システム。 - 各期毎の人事評価データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、
前記評価期間における各個人の前記人事評価データの平均および安定度に基づき、かつ、前記平均と前記安定度との相対的な重み付けをして第1の評価を行なう第1の評価手段と、
前記第1の評価手段による第1の評価データおよび前記評価期間における各個人の前記人事評価データの傾向に基づき、かつ、前記第1の評価データと前記傾向との相対的な重み付けをして第2の評価を行なう第2の評価手段と、
を備えることを特徴とする人事評価システム。 - 各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、
前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差に基づき、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けを行なって評価する評価手段を備え、
前記評価手段は、前記平均値および前記標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算する演算部を含むことを特徴とする人事評価システム。 - 請求項3記載の人事評価システムにおいて、
前記人事評価得点の平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面に、前記演算部で演算された各個人の値を表示するとともに、前記評価関数に基づく前記評価値が等しい等評価曲線を表示する表示手段を備えることを特徴とする人事評価システム。 - 各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価システムであって、
前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差に基づき、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けをして第1の評価を行なう第1の評価手段と、
前記第1の評価手段による第1の評価値および前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数に基づき、かつ、前記第1の評価値と前記トレンド係数との相対的な重み付けをして第2の評価を行なう第2の評価手段とを備え、
前記第1の評価手段は、前記平均値および前記標準偏差を演算するとともに、前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って前記第1の評価値を演算する演算部を含み、
前記第2の評価手段は、前記トレンド係数を演算するとともに、前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、前記相対的な重み付けのための第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算する演算部を含むことを特徴とする人事評価システム。 - 請求項6記載の人事評価システムにおいて、
前記第1の評価値および前記トレンド係数を座標軸とする座標平面に、前記演算部で演算された各個人の値を表示するとともに、前記第2,第3の評価関数に基づく前記第2の評価値が等しい等評価曲線を表示する表示手段を備えることを特徴とする人事評価システム。 - 請求項6記載の人事評価システムにおいて、
前記平均値、前記標準偏差および前記トレンド係数を座標軸とする座標空間に、前記演算部で演算された各個人の値を表示する表示手段を備えることを特徴とする人事評価システム。 - 請求項7または8記載の人事評価システムにおいて、
前記表示手段は、複数の等評価曲線で区分されるグループを識別表示することを特徴とする人事評価システム。 - 各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価方法であって、
前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差を演算し、
前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算し、
前記評価値に基づいて、各個人を評価することを特徴とする人事評価方法。 - 請求項12記載の人事評価方法において、
前記人事評価得点の平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記評価関数に基づく前記評価値が等しい等評価曲線を表示することを特徴とする人事評価方法。 - 各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価方法であって、
収集された人事評価得点データから前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値、標準偏差および前記人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を演算し、
前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み係数である第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って第1の評価値を演算し、
前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、前記第1の評価値と前記トレンド係数との相対的な重み係数である第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算し、
前記第2の評価値に基づいて、各個人を評価することを特徴とする人事評価方法。 - 請求項14記載の人事評価方法において、
前記第1の評価値および前記トレンド係数を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記第2,第3の評価関数に基づく前記第2の評価値が等しい等評価曲線を表示することを特徴とする人事評価方法。 - 各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価プログラムであって、
前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差を演算するステップと、
前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算するステップとを、
コンピュータに実行させることを特徴とする人事評価プログラム。 - 請求項16記載の人事評価プログラムにおいて、
前記人事評価得点の平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記評価関数に基づく前記評価値が等しい等評価曲線を表示するステップを、
コンピュータに実行させることを特徴とする人事評価プログラム。 - 各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価プログラムであって、
収集された人事評価得点データから前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値、標準偏差および前記人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を演算するステップと、
前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み係数である第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って第1の評価値を演算するステップと、
前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、前記第1の評価値と前記トレンド係数との相対的な重み係数である前記第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算するステップとを、
コンピュータに実行させることを特徴とする人事評価プログラム。 - 請求項14記載の人事評価プログラムにおいて、
前記第1の評価値および前記トレンド係数を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記第2,第3の評価関数に基づく前記第2の評価値が等しい等評価曲線を表示するステップを、
コンピュータに実行させることを特徴とする人事評価プログラム。 - 各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価プログラムが記録された記録媒体であって、前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値および標準偏差を演算するステップと、
前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み付けのための重み係数をパラメータとする評価関数に従って評価値を演算するステップとを、
コンピュータに実行させる人事評価プログラムが記録された記録媒体。 - 請求項20記載の人事評価プログラムが記録された記録媒体において、
前記人事評価得点の平均値および標準偏差を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記評価関数に基づく前記評価値が等しい等評価曲線を表示するステップを、
コンピュータに実行させる人事評価プログラムが記録された記録媒体。 - 各期毎の人事評価得点データを、複数期の評価期間に亘って収集して各個人を評価する人事評価プログラムが記録された記録媒体であって、収集された人事評価得点データから前記評価期間における各個人の前記人事評価得点の平均値、標準偏差および前記人事評価得点の変化の傾向を示すトレンド係数を演算するステップと、
前記平均値および前記標準偏差を独立変数とし、かつ、前記平均値と前記標準偏差との相対的な重み係数である第1の重み係数をパラメータとする第1の評価関数に従って第1の評価値を演算するステップと、
前記トレンド係数が予め定めた閾値以上であるか否かに応じて、前記第1の評価値および前記トレンド係数を独立変数とし、かつ、前記第1の評価値と前記トレンド係数との相対的な重み係数である第2の重み係数をパラメータとする第2,第3の評価関数のいずれかの評価関数に従って第2の評価値を演算するステップとを、
コンピュータに実行させる人事評価プログラムが記録された記録媒体。 - 請求項22記載の人事評価プログラムが記録された記録媒体において、
前記第1の評価値および前記トレンド係数を座標軸とする座標平面に、演算された各個人の値を表示するとともに、前記第2,第3の評価関数に基づく前記第2の評価値が等しい等評価曲線を表示するステップを、
コンピュータに実行させる人事評価プログラムが記録された記録媒体。
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JP6236570B1 (ja) * | 2017-08-19 | 2017-11-22 | ミツエ 福永 | 人の行為若しくは能力に関する評価又は企業若しくは物の価値に関する評価の妥当性若しくは信用度判定システム、及び人の行為若しくは能力に関する評価又は企業若しくは物の価値に関する評価を行った評価者の評価能力判定システム |
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2002
- 2002-08-01 JP JP2002225242A patent/JP2004070433A/ja active Pending
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JP2018206133A (ja) * | 2017-06-06 | 2018-12-27 | ミツエ 福永 | 人物若しくは人事評価としての自己評価の妥当性若しくは信用度判定システム、及び自己評価を行った評価者の評価能力判定システム |
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