JP2004069140A - 低NOx燃焼装置 - Google Patents

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Toshihiro Kayahara
茅原 敏広
Noboru Takubo
田窪 昇
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Abstract

【課題】排出NOx値が10ppmを下回る超低NOx化を容易に実現できる低NOxおよび低CO燃焼方法とその装置を提供すること。
【解決手段】排ガス再循環通路8を通して排ガスを燃焼ガスの燃焼反応領域20へ再循環させることにより燃焼ガスを抑制する抑制手段を含み、排出CO値の低減に優先して生成NOx値を10ppm以下とする低NOx化を行う低NOx化手段と、排ガス通路7に設けられ低NOx化手段からの排出CO値を低減する低CO化手段27とを備え、排ガス再循環通路8を排ガス通路7の低CO化手段27の後流位置から分岐する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水管ボイラ,吸収式冷凍機の再熱器などに適用される低NOx燃焼方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、NOxの発生の抑制原理として、▲1▼火炎(燃焼ガス)温度の抑制,▲2▼高温燃焼ガスの滞留時間の短縮,▲3▼酸素分圧を低くすることなどが知られている。そして、これらの原理を応用した種々の低NOx化技術がある。たとえば、2段燃焼法,濃淡燃焼法,排ガス再循環燃焼法,水添加燃焼法,蒸気噴射燃焼法,水管群による火炎冷却燃焼法などが提案され実用化されている。
【0003】
ところで、水管ボイラなどの比較的容量の小さいNOx発生源に対しても時代と共に排ガス規制が厳しくなり、一層の低NOx化が求められるようになってきている。出願人は、これらの要請に対する低NOx化技術を特開平11−132404号公報(米国特許第6029614号明細書)などにて提案した。
【0004】
しかしながら、これらの先行技術によるNOx低減は、現実には25ppm程度にとどまり、10ppmを下回る低NOx化技術はいまだ実用化されていない。以下、生成NOx値を10ppm以下とする低NOx化を超低NOx化という。
【0005】
その原因は、低NOx化と低CO化とが相反する技術的課題であることにある。すなわち、低NOxを推し進めるために燃焼ガス温度を急激に低下させ、900℃以下の低い温度に抑制すると、COが多量に発生すると共に発生したCOが酸化されないまま排出され、CO排出量が増大してしまう。逆に、COの排出量を少なくするために、燃焼ガス温度を高めに抑制すると、NOxの生成量の抑制が不十分となる。
【0006】
前記先行技術にて提案の低NOx化技術も、低NOx化に伴い発生するCO量をできるだけ少なくするように、また発生したCOが酸化するように燃焼ガス温度を抑制するものである。その結果、前記先行技術は、低NOx化のための手段の選択が限定され、かつ燃焼ガス温度の抑制が不十分であり、前記超低NOx化を実現するものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、COの発生を考慮することなく低NOx化を推し進めることができると共に、排出NOx値が10ppmを下回るような低NOx化を容易に実現でき、しかも低CO化をも同時に実現できる低NOx燃焼装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、排ガス再循環通路を通して排ガスを燃焼ガスの燃焼反応領域へ再循環させることにより燃焼ガスを抑制する抑制手段を含み、NOx発生の抑制を排出CO値の低減に優先するように燃焼ガス温度を抑制してNOx値を所定値以下とする低NOx化手段と、排ガスが流通する通路に設けられ前記低NOx化手段からの排出CO値を低減する低CO化手段とを備え、前記排ガス再循環通路を前記排ガスが流通する通路の前記低CO化手段の後流位置から分岐することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、燃焼反応領域に設けた吸熱体群により燃焼ガス温度を抑制する第一抑制手段、排ガス再循環通路を通して排ガスを燃焼ガスの燃焼反応領域へ再循環させることにより燃焼ガス温度を抑制する第二抑制手段および前記バーナの燃焼用空気への水または蒸気添加により燃焼ガス温度を抑制する第三抑制手段を含み、NOx発生の抑制を排出CO値の低減に優先するように燃焼ガス温度を抑制してNOx値を所定値以下とする低NOx化手段と、排ガスが流通する通路に設けられ前記低NOx化手段からの排出CO値を低減する低CO化手段とを備え、前記排ガス再循環通路を前記排ガスが流通する通路の前記低CO化手段の後流位置から分岐することを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記低CO化手段が、CO酸化触媒体であることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を説明する前に、本明細書において使用する用語について説明する。燃焼ガスは、燃焼反応中(燃焼過程)の燃焼ガスと燃焼反応が完結した燃焼ガスとを含む。そして、燃焼反応中ガスは燃焼反応中の燃焼ガスを意味し、燃焼完結ガスは燃焼反応が完結した燃焼ガスを意味する。また、燃焼反応中ガスは、物質概念であるが、一般的には目視可能な火炎を含み火炎状態であるので、状態概念として火炎と称することもできる。よって、本明細書においては、燃焼反応中ガスを火炎または燃焼火炎と称する場合もある。また、排ガスとは伝熱管などによる吸熱作用を受けて温度低下した燃焼完結ガスをいう。
【0012】
また、燃焼ガス温度は、特に断らなければ、燃焼反応中ガスの温度を意味し、燃焼温度あるいは燃焼火炎温度と同義である。さらに、燃焼ガス温度の抑制とは、燃焼ガス(燃焼火炎)温度の最高値を低く抑えることを意味する。なお、通常、燃焼反応は、燃焼完結ガス中においても極微量であるが継続しているので、燃焼完結とは、燃焼反応の100%完結を意味するものではない。
【0013】
さらに、空気比は、実際燃焼空気量/理論燃焼空気量であるが、排ガスO(%)(排ガス中の酸素濃度)と所定の関係で対応しているので、排ガスO(%)にて表示する。また、NOx値は、排ガス0%O換算の値を示し、CO値は、換算値でなく読取値を示す。
【0014】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、小型貫流ボイラなどの水管ボイラ,給湯器,吸収式冷凍機の再熱器などの熱機器(燃焼機器と称しても良い。)に適用される。この熱機器は、バーナとこのバーナからの燃焼ガスによって加熱される吸熱体群を有する。
【0015】
この発明の実施の形態は、排ガス再循環通路を通して排ガスを燃焼ガスの燃焼反応領域へ再循環させることにより燃焼ガスを抑制する抑制手段を含み、NOx発生の抑制を排出CO値の低減に優先するように低NOx化を行う低NOx化手段と、排ガスが流通する通路に設けられ前記低NOx化手段からの排出CO値を低減する低CO化手段とを備え、前記排ガス再循環通路を前記排ガスが流通する通路の前記低CO化手段の後流位置から分岐する低NOx燃焼装置に関する。
【0016】
この実施の形態は、NOxが一度生成するとその後は殆ど消滅しないのに対して、COが生成後に容易に低減できるという特性に着目してなされたものである。
【0017】
前記低NOx化手段は、燃焼ガス温度を抑制し、生成NOx値を所定値以下に低減する。前記所定値は、従来達成されていたNOx値以下であり、好ましくは10ppm以下である。この低NOx化においては、排出CO値の低減,すなわちCOの生成の抑制とCOの酸化の促進に優先して低NOx化を進める。この優先とは、燃焼の継続を条件に可及的に燃焼ガス温度を抑制し、まずはNOx低減化を低CO化に先だって行い、NOx低減化の後にCOの低減化を行うことを意味し、また相反する技術的課題である低NOx化と低CO化のうち低CO化を犠牲あるいは無視して低NOx化を進めることを意味する。
【0018】
前記低NOx化手段は、前記バーナの空気比の増加に従い生成NOx値が減少する空気比対NOx特性と前記空気比の増加に従い排出CO値が増加する空気比対CO特性とを有している。前記低NOx化手段は、同手段が有する空気比対NOx特性において、NOx値がNOx低減目標値以下となる空気比を求め、この空気比にて前記バーナを燃焼させて低NOx化を行う。この空気比を求める際には前記低NOx化手段が有する空気比対CO特性は考慮しない。
【0019】
ついで、前記低CO化手段の構成につき説明する。この低CO化手段は、前記低NOx化手段において発生し、排出されたCO値をCO低減目標値である所定値以下に低減する。前記所定値は、50ppmであり、好ましくは20〜30ppmである。
【0020】
前記低CO化手段は、好ましくは燃焼ガスの温度が900℃以下の領域に配置される。COは、燃焼ガス温度が900℃〜1400℃の範囲で、かつ必要な滞留時間を与えると、COに酸化することが知られている。しかしながら、この温度を維持しようとすると、低NOx化を優先して行うことに対する束縛になる。しかしながら、燃焼ガスの温度が900℃以下の領域において行うことによりこの束縛を外すことができる。また、前記低CO化手段を選定するに際して、耐熱性の条件が緩和され、選定が容易となる。
【0021】
そして、前記排ガス再循環通路は、前記排ガスが流通する通路の前記低CO化手段の後流位置において分岐され、排ガス再循環通路には、低CO化手段によりCO値を低減した後の排ガスが供給される。前記排ガスが流通する通路とは、通常煙突または排気ダクトと称される排ガス通路のみならず、蒸気ボイラなどの缶体内における排ガスが流通する部分を含む。この構成により、前記排ガス再循環通路からバーナに至る経路における排ガス漏れによる危険性を防止できる。
【0022】
前記CO低減目標値をクリアするために前記CO酸化触媒体の処理容量は、つぎのようにして設定される。まず、NOx低減目標値と前記低NOx化手段の空気比対NOx特性とから所定空気比を求め、この所定空気比と空気比対CO特性とから、前記低NOx化手段からの排出CO値を求める。そして、この排出CO値とCO低減目標値とに基づき、前記CO酸化触媒体の処理容量を前記CO酸化触媒体を出た後の排出CO値が前記CO低減目標値以下となるように設定する。
【0023】
前記低CO化手段としては、COをCOに酸化させるCO酸化手段を用い、好ましくはCO酸化触媒体を用いる。このCO酸化触媒体は、COの酸化だけでなく、未燃分の酸化を行う。前記CO酸化触媒体は、ボイラなどの熱機器への取付け易さ,メンテナンス性,コストの観点から好ましい手段である。
【0024】
前記CO酸化触媒体は、100℃〜1000℃で酸化触媒作用をなすものが選ばれる。下限の100℃は、前記CO酸化触媒体の活性化温度,すなわち有効な酸化触媒作用を発揮する温度であり、上限の1000℃は、前記CO酸化触媒体の耐熱性により決まる温度である。結局、前記CO酸化触媒体は、前記バーナからの燃焼ガスが流通する通路において、燃焼ガス温度が、低NOx化を優先する点から900℃以下で、前記CO酸化触媒体の活性化温度の点から100℃以上の領域に配置される。具体的な前記CO酸化触媒体の配置位置は、さらに熱機器の缶体構造などを考慮して決定される。
【0025】
また、前記CO酸化触媒体は、通気性を有する基材に酸化触媒を塗布した構成とする。前記基材としては、ステンレスなどの金属,セラミックが用いられ、排ガスとの接触面積を広くするような表面処理が施される。酸化触媒としては、一般的に白金が用いられるが、実施に応じて、白金族の貴金属またはクロム,マンガン,鉄,コバルト,ニッケルなどの金属酸化物を用いることができる。
【0026】
ここで、前記低NOx化手段の好ましい形態は、完全予混合式のバーナを高空気比で燃焼させることによる燃焼ガス温度の抑制手段(以下、「第一抑制手段」という。)と、吸熱体群による燃焼ガス温度の抑制手段(以下、「第二抑制手段」という。)と、燃焼完結ガスを燃焼反応領域へ再循環させることによる燃焼ガス温度の抑制手段(以下、「第三抑制手段」という。)と、前記燃焼反応領域への水添加または蒸気添加(以下、「水/蒸気添加」という。)による燃焼ガス温度の抑制手段(以下、「第四抑制手段」という。)とを組み合わせたものとする。前記燃焼反応領域とは、燃焼反応中ガスが存在する領域である。
【0027】
前記第一抑制手段は、つぎの原理に基づく。前記バーナを高空気比にて燃焼させると、燃焼ガス温度が抑制され、NOx値が低減する。ここにおける高空気比とは、排ガス中に含まれるO(%):5以上であり、好ましくは5.5以上である。この抑制作用は、前記バーナにより形成される燃焼反応領域全体にほぼ均一に作用する。
【0028】
前記第二抑制手段は、つぎの原理に基づく。前記バーナからの燃焼反応中ガス中,すなわち前記燃焼反応領域に吸熱体を多数配置して構成した吸熱体群の冷却作用により燃焼ガス温度を抑制して、NOx値を低減する。この第二抑制手段は、前記吸熱体群を配置して燃焼反応中ガスを冷却するので、不均一冷却である。そして、前記燃焼反応領域の吸熱体間の隙間においては燃焼が活発に行われている部位もある。特に、前記吸熱体の後流においては、渦流が形成されて、燃焼火炎は伝熱管により保炎される。前記吸熱体は、水管などの伝熱管にて構成されるが、これに限定されるものではない。
【0029】
燃焼反応中ガスの流れに対してどのように前記吸熱体群を配置するかの配置構成として、つぎの2つの形態を含む。その一つは、前記バーナから排ガス出口までほぼ直線状に燃焼ガスが流通する燃焼ガス通路を形成し、前記バーナからの燃焼反応中ガスと交叉するように前記吸熱体群を互いに燃焼ガスの流通を許容する間隙を存して配置する構成である。他の一つは、吸熱体群を互いに燃焼ガスの流通を許容する間隙を存して環状に配列し、前記バーナからの燃焼ガスを前記環状吸熱体群の内側から前記吸熱体群に向けて放射方向に流通させるように構成して、前記バーナからの燃焼反応中ガス中に前記吸熱体群に配置する構成である。後者の構成は、前記特開平11−132404号公報(米国特許第6029614号明細書)に示されるものと同様である。
【0030】
前記第三抑制手段は、所謂排ガス再循環燃焼法と称されるもので、前記吸熱体群による吸熱作用を受けて温度低下した後大気へ放出される排ガスの一部が、排ガス再循環通路を介して燃焼用空気に混入される。混入した排ガスの冷却効果により、燃焼ガス温度を抑制して、NOx値を低減する。この第三抑制手段は、燃焼ガスの均一冷却である。
【0031】
前記第四抑制手段は、前記燃焼反応領域への水/蒸気添加である。この水/蒸気添加により、燃焼反応中ガスが冷却され、燃焼ガス温度が抑制され、NOx値が低減する。この第四抑制手段も燃焼ガスの均一冷却である。前記水/蒸気添加は、実施に応じて前記排ガス循環通路において行うことができる。さらには、前記バーナを完全予混合式バーナとし、送風機により燃焼用空気と燃料ガスとの混合気を前記バーナへ送る実施の形態においては、前記バーナと前記送風機との間において蒸気添加を行うことができる。なお、水添加は、水を霧状として添加する。
【0032】
前記第一抑制手段〜前記第四抑制手段の組合せによる効果はつぎの通りである。個々の抑制手段の機能を単独に強化すると、各抑制手段の有する欠点が問題化してくるが、4つの抑制手段を組み合わせることで、これらの欠点を問題化することなく、比較的簡単に超低NOxを実現できる。特に、前記第四抑制手段よる不安定特性を緩和して安定した低NOx化を実現できる。
【0033】
前記低NOx化手段は、少なくとも前記第三抑制手段(排ガス再循環)を有するつぎの3つの変形例を含む。▲1▼前記第一抑制手段(予混合高空気比燃焼)を除き、前記第二抑制手段(吸熱体群冷却)と前記第三抑制手段(排ガス再循環)と前記第四抑制手段(水/蒸気添加)との3つの抑制手段を組み合せた形態。▲2▼前記第一抑制手段(予混合高空気比燃焼)と前記第二抑制手段(吸熱体群群冷却)と前記第三抑制手段(排ガス再循環)との3つの抑制手段を組み合せた形態。▲3▼前記第二抑制手段(吸熱体群冷却)と前記第三抑制手段(排ガス再循環)との2つの抑制手段を組み合せた形態。なお、前記低NOx化手段は、少なくとも前記第三抑制手段(排ガス再循環)を含めばよく、この変形例に限定されない。また、これらの変形例において、前記低NOx化手段の前記バーナの種類および形式については特定のものに限定されるものではない。
【0034】
さらに、前記実施の形態においては、好ましくは、前記空気比を所定高空気比に制御する空気比制御手段を付加する。より具体的には、排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段を設け、この酸素濃度検出手段による検出酸素濃度が前記所定高空気比に対応する設定値となるように、前記バーナへ燃焼用空気を送風する送風機の回転数を制御する。前記の所定高空気比は、前記のように前記低NOx化手段の空気比対NOx特性において前記NOx低減目標値に対応する空気比である。
【0035】
【実施例】
この発明の低NOx燃焼方法とその装置を水管ボイラの一種である貫流式の蒸気ボイラに適用した実施例について、以下に図面に従い説明する。図1は、この発明の一実施例を適用した蒸気ボイラの縦断面の説明図であり、図2は、図1のII−II線に沿う断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿う横断面図であり、図4および図5は、それぞれ図1に示す実施例における高燃焼時,低燃焼時の空気比対NOx特性および空気比対CO特性を示す図であり、図6は、図1に示す実施例の要部制御回路図であり、図7は、図1に示す実施例のCO酸化触媒体を排ガスの流れ方向から見た要部構成を示す図である。
【0036】
以下に、この実施例のボイラの全体構成を説明し、ついで特徴部分の構成につき説明する。特徴部分とは、完全予混合式のバーナを高空気比で燃焼させることによる燃焼ガス温度の抑制手段(第一抑制手段),多数の伝熱管による燃焼ガス温度の抑制手段(第二抑制手段),燃焼完結ガスを燃焼反応領域へ再循環させることによる燃焼ガス温度の抑制手段(第三抑制手段)および前記燃焼反応領域への水添加または蒸気添加による燃焼ガス温度の抑制手段(第四抑制手段)を組み合わせて行う低NOx化手段と、前記バーナの空気比を所定の高空気比に維持すべく制御する空気比制御手段と、前記低NOx化手段から排出されるCOを酸化させて排出CO値を所定値以下とする低CO化手段である。
【0037】
まず、前記蒸気ボイラの全体構成につき説明する。この蒸気ボイラは、高燃焼と低燃焼とを切替えて運転できる。そして、平面状の燃焼面(予混合気の噴出面)を有する完全予混合式のバーナ1および多数の熱吸収用の伝熱管2,2,・・・を有する缶体3と、前記バーナ1へ燃焼用空気を送る送風機4および給気通路5と、ガス燃料供給管6と、前記缶体3から排出される排ガスを排出する排ガス通路(通常「煙突」と称される。)7と、この排ガス通路7を流通するの排ガスの一部を燃焼用空気へ混入させて前記バーナ1へ供給する排ガス再循環通路8と、燃焼用空気へ蒸気を添加する蒸気添加管9(図3参照)とを備えている。なお、前記各伝熱管2の外径は、60.5mmである。
【0038】
前記缶体3は、上部管寄せ10および下部管寄せ11を備え、この両管寄せ10,11間に複数の前記各伝熱管2を配置している。図2において、前記缶体3の長手方向の両側部に外側伝熱管12,12,・・・を連結部材13,13・・・で連結して構成した一対の水管壁14,14を設け、この両水管壁14,14と前記上部管寄せ10および下管寄せ11との間に前記バーナ1からの燃焼反応中ガスおよび燃焼完結ガスがほぼ直線的に流通する燃焼ガス通路15を形成している。
【0039】
つぎに、前記各要素間の接続関係を説明する。図1に示すように、前記燃焼ガス通路15の一端には前記バーナ1が設けられ、他端の排ガス出口16には排ガス通路7が接続されている。前記バーナ1には前記給気通路5が接続され、前記給気通路5には前記ガス燃料供給管6が燃料ガスを前記給気通路5内へ噴出するように接続されている。前記ガス燃料供給管6には、高燃焼と低燃焼とで燃料流量を調整する燃料流量調整手段としての第一弁17を備えている。なお、前記給気通路5には、前記燃料ガスと燃焼用空気との混合性を良くするためのベンチュリーと称される絞り部(図示しない)を設けているが、圧損を減じるために実施に応じて、省略できる。
【0040】
さらに、図3に示すように、前記送風機4の吸込口18には吸気通路19が接続され、この吸気通路19と前記排ガス通路7との間に前記排ガス再循環通路8が接続されている。前記吸気通路19内には、前記蒸気添加管9が挿入されている。
【0041】
以上の構成に基づく、前記蒸気ボイラの概略動作は、以下の通りである。前記吸気通路19から供給される燃焼用空気(外気)は、前記ガス燃料供給管6から供給される燃料ガスと前記給気通路5内において予混合され、この予混合気は、前記バーナ1から前記缶体3内へ向けて噴出される。予混合気は着火手段(図示しない)により着火され、燃焼する。この燃焼に伴い生ずる燃焼反応中ガスは、上流側の伝熱管2群と交叉して冷却された後、燃焼完結ガスとなり下流側の伝熱管2群と熱交換して吸熱されて排ガスとなる。この排ガスは、前記排ガス通路7から大気中へ排出される。そして、排ガスの一部は、前記排ガス再循環通路8を経て前記バーナ1へ供給され、燃焼ガス温度の抑制に用いられる。
【0042】
また、前記各伝熱管2中の水は、燃焼ガスとの熱交換により加熱され、蒸気化される。この蒸気は、前記上部管寄せ10に接続される蒸気取出手段(図示しない)から蒸気使用設備(図示しない)へ供給されると共に、その一部が前記蒸気添加管9へ供給され、燃焼反応中ガスの冷却に用いられる。
【0043】
つぎに、この実施例の前記特徴部分につき説明する。まず、前記低NOx化手段について、前記第一抑制手段につき説明する。この第一抑制手段は、前記完全予混合式のバーナ1を高空気比で燃焼させる構成である。前記バーナ1を高空気比にて燃焼させると、燃焼ガス温度が抑制され、NOx値が低下する。前記バーナ1は、大きさ縦60cm,横18cmの矩形状のバーナであり、多数の予混合気噴出口(図示しない)がほぼ均等に形成されている。
【0044】
前記第二抑制手段は、多数の前記伝熱管2を前記バーナ1により形成される燃焼反応領域(燃焼ガス温度が約900℃以上の領域)20のほぼ全域に互いに燃焼ガスが流通する間隙を存して配設した構成である。前記バーナ1からの燃焼反応中ガスは、これら伝熱管2群により冷却される。この冷却により、燃焼ガス温度が抑制され、NOx値が下がる。燃焼ガスの冷却度合いに影響を与える前記伝熱管2群の配列ピッチは、時間当りの燃焼量および圧損などを考慮して決めている。
【0045】
前記第三抑制手段は、前記排ガス通路7と前記排ガス再循環通路8と前記給気通路5と前記バーナ1とから構成される排ガス再循環手段である。前記排ガス再循環通路8内の適所には、再循環される排ガス量(排ガス再循環量)を所定量に調整する排ガス流量調整手段としての第一ダンパ21を設けている。前記バーナ1へ供給される予混合気に排ガスを混入させることで、燃焼ガス温度が抑制され、NOx値が下がる。排ガス再循環量と燃焼用空気量(実際燃焼空気量)との比率は、前記第一ダンパ21により調整される。
【0046】
前記第四抑制手段は、図3に示すように、前記蒸気添加管9と前記吸気通路19と前記送風機4と前記給気通路5と前記バーナ1とから構成される。この蒸気添加管9の上流端(反添加側端)は、蒸気添加量を調整する蒸気流量調整手段としての第二弁22を介して前記上部管寄せ10に接続され、前記蒸気ボイラにて生成される蒸気がそのまま利用されるよう構成されている。前記第二弁22と前記上部管寄せ10との間にはオリフィスなどの減圧機構(図示しない)を設ける。蒸気は、前記バーナ1へ供給される燃焼用空気に均一に混入され、前記バーナ1の多数の予混合気噴出口(図示しない)からほぼ均一に前記缶体3内へ噴出される。その結果、広がって形成される予混合燃焼火炎に対し効果的な冷却がなされる。
【0047】
この実施例の蒸気ボイラは、前記のように高燃焼と低燃焼とを切替えて行うことができる。そして、この蒸気ボイラの前記低NOx化手段は、図4および図5に示す高燃焼時と低燃焼時の空気比対NOx特性および空気比対CO特性を有する。この空気比対NOx特性および空気比対CO特性について以下に説明する。
【0048】
まず、高燃焼時の空気比対NOx特性および空気比対CO特性は、ある運転条件にて空気比を変化させることでそれぞれ図4の曲線Aおよび曲線Bのように求められる。前記運転条件は、燃料がLPGであり、前記バーナ1の燃焼量が50Nm/h(前記蒸気ボイラの高燃焼時の燃焼量)であり、排ガス再循環率が4%(排ガス再循環量/実際燃焼空気量)であり、蒸気添加量が17kg/hである。そして、排ガス再循環率4%における実際燃焼空気量および排ガス再循環量は、たとえばO(%):6において、それぞれ1669Nm/h,67Nm/hとなる。
【0049】
空気比の変化は、実際燃焼空気量を変化させることで行われる。この実際燃焼空気量の変化は、前記送風機4のファン23を駆動する電動機24(図3参照)の回転数を制御することにより行われる。
【0050】
この高燃焼時の低NOx化手段の空気比対NOx特性は、曲線Aに示すように、空気比の増加に対してNOx値が減少するものとなっている。また、空気比対CO特性は、曲線Bに示すように空気比の増加に従い排出CO値が増加し、特にO(%):5以上で急激に排出CO値が増加するものとなっている。なお、図4の曲線Cおよび曲線Dは、前記第三抑制手段および第四抑制手段による燃焼ガス温度の抑制を行わない対比例の空気比対NOx特性および空気比対CO特性であって、この実施例の曲線Aおよび曲線Bと対比するためのものである。
【0051】
つぎに、低燃焼時の低NOx化手段の空気比対NOx特性および空気比対CO特性について説明する。これらの特性は、高燃焼時のものと同様にそれぞれ図5の曲線Eおよび曲線Fのように求められる。低燃焼時の運転条件は、燃料がLPGであり、前記バーナの燃焼量が25Nm/h(前記蒸気ボイラの低燃焼時の燃焼量)であり、排ガス再循環率が4%(排ガス再循環量/実際燃焼空気量)であり、蒸気添加量が8.5kg/hである。そして、排ガス再循環率4%における実際燃焼空気量および排ガス再循環量は、たとえばO(%):6において、それぞれ834Nm/h,33Nm/hとなる。
【0052】
この低燃焼時の低NOx化手段の空気比対NOx特性も、曲線Eに示すように、空気比の増加に対してNOx値が減少するものとなっている。また、空気比対CO値特性は、曲線Fに示すように空気比の増加に従い排出CO値が増加し、特にO(%):5.5以上で急激に排出CO値が増加するものとなっている。なお、図5の曲線Gおよび曲線Hは、前記第三抑制手段および第四抑制手段による燃焼ガス温度の抑制を行わない対比例の空気比対NOx特性および空気比対CO特性であって、この実施例の曲線Eおよび曲線Fと対比するためのものである。
【0053】
前記空気比制御手段は、図6に示すように、前記排ガス通路7に設けた前記酸素濃度検出手段としての酸素濃度センサ25と、この酸素濃度センサ25の出力を入力して、前記電動機24の回転数を制御する制御回路26とから構成される。前記電動機24は、インバータ制御による回転数制御可能なように構成される。前記ファン23の回転数を前記バーナ1の空気比が所定の高空気比(所定値)となるように制御することで、外気温の変化に対して所定の低NOx効果を維持する。
【0054】
この実施例においては、前記所定値は、NOx低減目標値を10ppmとした場合、高燃焼時は図4の曲線Aと10ppmとから、O(%):5.8として求められる。勿論、5.8%以上であれば、低減目標値をクリアできるので、前記所定値をたとえば6%とすることもできる。低燃焼時は、図5の曲線Eと10ppmとから、O(%):6.25として求められる。
【0055】
ついで、前記低CO化手段につき説明する。この低CO化手段は、前記低NOx化手段から排出されるCOを酸化し、CO低減目標値以下に低減するものである。前記低CO化手段は、前記伝熱管2群の後流に配置される。
【0056】
この実施例の低CO化手段は、CO値を約1/10に低減するCO酸化触媒体27にて構成される。このCO酸化触媒体27によるCO低減特性は、図4の曲線M、図5の曲線Nにて示される。結局、曲線Dおよび曲線Eにて示される排ガス中のCOは、曲線Mおよび曲線Nのように低減される。
【0057】
前記CO酸化触媒体27の処理容量は、つぎのようにして設定される。NOx低減目標値と空気比対NOx特性とから求めた所定空気比における前記低NOx化手段の排出CO値を空気比対CO特性から求める。所定空気比は、前記のように高燃焼時はO(%):5.8であり、低燃焼時はO(%):6.25である。この空気比と図4の曲線B(高燃焼時)および図5の曲線Fから、高燃焼時および低燃焼時の排出CO値は、それぞれ約400ppm、約100ppmとなる。従って、前記CO酸化触媒体の処理容量は、この排出CO値とCO低減目標値50ppmとから少なくとも1/8に低減できる容量に設定する必要がある。しかしながら、実施例では余裕をみて1/10に低減するように設定している。なお、必要以上に処理容量に余裕を持たせると、前記CO酸化触媒体27を排ガスが流通するときに生ずる圧力損失が増大する。
【0058】
このCO酸化触媒体27は、図7に示すような構造のもので、たとえば、つぎのようにして形成される。前記基材としての共にステンレス製の平板28および波板29のそれぞれの表面に多数の微小凹凸を形成し、その表面に酸化触媒を塗布する。ついで、所定幅の前記平板26および波板27を重ね合わせたうえで、螺旋状に巻回してロール状に形成している。このロール状のものを側板30にて包囲し固定している。こうして図7に示すような前記CO酸化触媒体27が形成される。前記酸化触媒としては、白金を用いている。なお、図7においては、前記平板28および前記波板29の一部のみを示している。
【0059】
前記CO酸化触媒体27は、図1に示すように、前記排ガス出口16部に着脱自在に装着される。前記排ガス出口16部における燃焼ガス温度は、約250℃〜350℃である。
【0060】
そして、前記排ガス再循環通路8は、前記排ガス通路7の前記CO酸化触媒体27装着位置よりも下流において分岐されている。
【0061】
さらに、前記低NOx化手段は、図2に示すように、前記CO酸化触媒体27と別の低CO化手段を含んでいる。この低CO化手段は、伝熱管2群中に形成される断熱空間と称される伝熱管除去空間31である。そして、図2に示すように、前記伝熱管2群の一部(この実施例では4本の前記伝熱管2)を除去して燃焼ガス温度が1400℃以下で、900℃以上の温度範囲となる前記伝熱管除去空間31を形成している。
【0062】
前記伝熱管除去空間31は、高燃焼時に、ほぼ前記温度範囲となるが、低燃焼時には燃焼火炎が短い,すなわち燃焼反応領域が狭くなるので、前記温度範囲に入らなくなる。したがって、高燃焼時は、前記CO酸化触媒体27と前記伝熱管除去空間31が低CO化手段として機能し、低燃焼時は、前記伝熱管除去空間31は低CO化手段として機能せず、前記CO酸化触媒体27が低CO化手段として機能する。
【0063】
前記構成の実施例の動作および作用を以下に説明する。前記バーナ1からの燃焼反応中ガスは、低NOx化作用,すなわち前記の第一抑制手段〜第四抑制手段による燃焼ガス温度抑制作用を同時に受け、しかも前記空気比制御手段によりO(%)を高燃焼時5.8,低燃焼時6.25とする定空気比制御を受ける。この実施例の燃焼ガス温度抑制作用により、燃焼ガス温度は、前記第三抑制手段および第四抑制手段の作用を受けない前記対比例と比較して、約100℃程度平均的に低下する。その結果、上流側伝熱管2群から流出する燃焼ガス中のNOx値は、図4および図5の曲線Aおよび曲線Eに示すように、10ppm程度に抑制される。
【0064】
前記の低NOx化の際に生成されるCOは、つぎのようにして低減化される。生成されたCOは、高燃焼時においてはまず伝熱管除去空間31にてその一部が酸化され、低燃焼時にはほとんど酸化されない。このCOの酸化は、燃焼ガス温度が900℃以下では、ほとんど行われないので、前記排ガス出口16における排ガス中のCO値は、図4および図5の特性曲線Bおよび曲線Fに示されるように、高燃焼時は約400ppmで、また低燃焼時は約100ppm程度となる。この排ガス中に残存するCOは、前記CO酸化触媒体27により酸化され、図4および図5の特性曲線MおよびNに示されるように、CO値が約1/10に低減される。
【0065】
この実施例によれば、つぎの作用効果を奏する。低NOx化を優先して行い、その後に低CO化を行うので、CO値を考慮することなく、低NOx化を推進でき、低NOx化手段の選択が容易となる。その結果、生成NOx値を10ppm以下とする低NOx化を容易に実現でき、しかも低CO化を確実に実現できる。
【0066】
また、前記排ガス再循環通路8を前記排ガス通路7の前記CO酸化触媒体27の後流位置から分岐しているので、前記低NOx化手段より排出される排ガス中の高濃度のCOは前記CO酸化触媒体27により処理され、低COとなった排ガスが前記排ガス再循環通路7、前記送風機4へと供給される。その結果、前記排ガス再循環通路8の分岐位置を前記CO酸化触媒体27の上流位置としたものと比較して、高濃度のCOが前記排ガス再循環通路8や前記送風機4から前記蒸気ボイラ外へ漏れ出す危険を回避できる。
【0067】
また、排出CO値とCO低減目標値とに基づきCO酸化触媒体27の処理容量を設定しているので、CO酸化触媒体27の処理容量設定を容易に行うことができると共に、確実にCO低減目標値を達成できる。
【0068】
また、前記空気比制御手段により空気比をほぼ一定の高空気比に制御するので、外気温が変動しても安定した低NOx効果を得ることができる。その結果、1日および年間の広範な運転点においてNOx低減目標値を達成できる。
【0069】
また、前記定空気比制御により、前記低NOx化手段からの排出のCO値も一定に制御される。その結果、空気比変動により排出CO値が増加して、前記CO酸化触媒体27の処理能力を超えるということがなくなり、安定した低CO化をも実現できる効果を奏する。特に、NOx低減目標値を10ppm以下とするような低NOx化手段においては、10ppm近傍では、排出CO値が急激に増加するので、定空気比制御は、CO低減目標値の達成および前記CO酸化触媒体27の容量の設計を容易にする点においてに非常に効果が大きい。
【0070】
前記CO酸化触媒体27の容量の設計を容易にする点について、さらに説明する。前記CO酸化触媒体27は、容量を大きくすると圧力損失が増加するので、CO低減目標値をぎりぎりでクリアできるように設計される。定空気比制御を行わないと、前記CO酸化触媒体27の処理容量を余裕をもって設計する必要が生ずる。また、処理容量を大きくすると、圧力損失が増大する。その結果、前記蒸気ボイラ自体の圧力損失が増大し、前記送風機4や前記缶体3を設計し直す必要が生ずる。この実施例のように、定空気比制御を行うことで、これらの問題を解決できる効果を奏する。
【0071】
また、低燃焼時は、前記伝熱管除去空間31は低CO化手段として有効に機能しないが、前記CO酸化触媒体27によりCOが酸化されるので、高燃焼時,低燃焼時に拘わらず、低CO化を実現できる。
【0072】
また、この実施例によれば、前記第一抑制手段〜前記第四抑制手段を組合せて低NOx化手段を構成しているので、つぎの作用効果を奏する。個々の抑制手段の機能を単独に強化すると、各抑制手段の有する欠点が問題化してくるが、4つの抑制手段を組み合わせることで、これらの欠点を問題化することなく、比較的簡単に超低NOx化を実現できる。特に、後述する前記第四抑制手段よる不安定特性を緩和して安定した超低NOx化を実現できる。以下に、これについて詳述する。
【0073】
前記第一抑制手段(予混合高空気比燃焼)の機能強化は、空気比を増加させることである。この機能強化により燃焼反応の停止および前記バーナ1の不安定燃焼が発生する。
【0074】
また、前記第二抑制手段(吸熱体群冷却)の機能強化は、前記伝熱管2を前記バーナ1と接触して設けたり、前記伝熱管2群の伝熱面密度を増加することである。この機能強化により、圧力損失が増大したり、振動燃焼などの不安定燃焼を生ずる。
【0075】
また、前記第三抑制手段(排ガス再循環)の機能強化は、排ガス循環量を増加させることである。この機能強化により、前記第二抑制手段が有する不安定特性を増幅する。すなわち、排ガス再循環は、燃焼量の変化や負荷の変化により、排ガス流量や温度が変化する特性を有している。排ガス再循環量を増大させると、これらの不安定特性が増幅される結果、安定した低NOx化を実現できない。また、前記第三抑制手段の機能強化により、燃焼反応が抑制され、COおよび未燃分の排出増加をもたらすと共に、熱的ロスの増大を招く。また、排ガス再循環量を増大させると、送風機負荷が増加する。
【0076】
また、前記第四抑制手段(蒸気添加)の機能強化は、付加する水分量を増加させることである。この機能強化により、熱的ロスが増大すると共に、結露量が増加し、特に前記伝熱管2へ供給する水を排ガスにより予熱する給水予熱器を有するボイラにおいては、前記給水予熱器の結露による腐食が問題となる。
【0077】
前記実施例によれば、前記第一抑制手段〜第四抑制手段を組み合わせているので、前記各抑制手段の機能を単独に強化することによる問題点の表面化を防止できる。
【0078】
なお、この発明は前記実施例に限定されるものではなく、つぎの変形例を含む。前記実施例においては、前記第一抑制手段を完全予混合式のバーナとしているが、実施に応じて部分予混合式のバーナとすることができる。
【0079】
また、前記実施例においては、前記第二抑制手段の前記各伝熱管2を垂直水管により構成しているが、水平あるいは傾斜して配置される水管により構成することができる。さらに、前記各伝熱管2の形状も前記実施例の真円に限定されるものではなく、実施に応じて楕円などの形状とすることができる。
【0080】
また、前記実施例においては、前記第二抑制手段の前記各伝熱管2を裸管としているが、実施に応じて、前記伝熱管除去空間21の下流の前記各伝熱管2に水平のヒレ状フィンや全周フィン(いずれも図示しない)を取り付けて、熱回収率を向上させるようにすることができる。
【0081】
また、前記実施例においては、前記第四抑制手段の前記蒸気添加管9の蒸気を前記吸気通路19中へ噴出するように構成しているが、実施に応じて、前記蒸気添加管9を前記バーナ1と前記送風機4との間に蒸気を噴出するように取り付けることができる。この変形例によれば、前記送風機4の下流側にて蒸気を供給しているので、上流側にて供給する前記実施例と比較して前記送風機4の送風負荷の増大を少なくできると共に、結露による前記送風機4の腐食を防止できる。
【0082】
また、実施に応じて、前記蒸気添加管9を前記排ガス再循環通路8に蒸気を噴出するように取り付けることができる。蒸気を前記排ガス再循環通路8に噴出させることにより、結露がしにくくなり、錆の発生を少なくできると共に、蒸気と燃焼用空気との混合の均一化がなされるなどの効果を発揮する。
【0083】
また、前記実施例においては、前記空気比制御手段を前記送風機4の回転数を制御するように構成しているが、実施に応じて、前記送風機4の下流側に設けたダンパなどの燃焼用空気流量調整手段(図示しない)により空気比を制御するように構成できる。
【0084】
また、前記実施例においては、前記空気比制御手段を前記酸素濃度センサ26の信号により制御するものとしているが、実施に応じて、前記送風機4の吸気温度を検出する前記外気温検出手段としての外気温センサ(図示しない)を設けこの外気温センサ出力により、空気比を制御するように構成することができる。この場合、所定燃焼量および所定排ガス再循環量において、外気温と空気比との関係を実験にて予め求め、外気温対送風機回転数の対比テーブル(図示しない)を作成する。そして、この対比テーブルを制御回路のメモリ(いずれも図示しない)に記憶させておき、このテーブルに基づき空気比がほぼ一定となるように、前記送風機4の前記電動機25を制御するように構成することができる。
【0085】
また、前記実施例においては、前記低NOx化手段に前記伝熱管除去空間31を含ませているが、実施に応じて、前記伝熱管除去空間31を省略する,すなわち前記伝熱管2を除去しないよう構成することができる。
【0086】
また、前記実施例の蒸気ボイラは、燃焼量を高燃焼と低燃焼とに切替え可能なように構成しているが、実施に応じて、燃焼量の切替の無い蒸気ボイラとすることもできる。
【0087】
さらに、前記実施例においては、前記CO酸化触媒体27を前記排ガス出口16部に取り付けているが、給水予熱器(エコノマイザ)を前記排ガス通路7に設けるものおいては、前記給水予熱器を収容する室において前記給水予熱器の上流側に配置することができる。
【0088】
【発明の効果】
この発明によれば、COの発生を考慮することなく低NOx化を推し進めることができると共に、排出NOx値が10ppmを下回るような低NOx化を容易に実現でき、しかも低CO化を共に実現でき、時代のニーズに適応した低NOx燃焼装置を提供できる。また、高濃度のCOの漏れを防止でき、安全性をも担保した低NOx燃焼装置を提供できるなど産業的価値は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施例を適用した蒸気ボイラの縦断面の説明図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿う断面説明図である。
【図3】図3は、図1のIII−III線に沿う横断面説明図である。
【図4】図4は、図1に示す蒸気ボイラの高燃焼時の空気比対NOx特性および空気比対CO特性曲線を示す図である。
【図5】図5は、図1に示す蒸気ボイラの低燃焼時の空気比対NOx特性および空気比対CO特性曲線を示す図である。
【図6】図6は、図1に示す蒸気ボイラの要部制御回路図である。
【図7】図7は、図1に示す蒸気ボイラのCO酸化触媒体の要部構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1 バーナ
2 伝熱管
3 缶体
4 送風機
7 排ガス通路
8 排ガス再循環通路
27 CO酸化触媒体

Claims (3)

  1. 排ガス再循環通路を通して排ガスを燃焼ガスの燃焼反応領域へ再循環させることにより燃焼ガスを抑制する抑制手段を含み、NOx発生の抑制を排出CO値の低減に優先するように燃焼ガス温度を抑制してNOx値を所定値以下とする低NOx化手段と、排ガスが流通する通路に設けられ前記低NOx化手段からの排出CO値を低減する低CO化手段とを備え、前記排ガス再循環通路を前記排ガスが流通する通路の前記低CO化手段の後流位置から分岐することを特徴とする低NOx燃焼装置。
  2. 燃焼反応領域に設けた吸熱体群により燃焼ガス温度を抑制する第一抑制手段、排ガス再循環通路を通して排ガスを燃焼ガスの燃焼反応領域へ再循環させることにより燃焼ガス温度を抑制する第二抑制手段および前記バーナの燃焼用空気への水または蒸気添加により燃焼ガス温度を抑制する第三抑制手段を含み、NOx発生の抑制を排出CO値の低減に優先するように燃焼ガス温度を抑制してNOx値を所定値以下とする低NOx化手段と、排ガスが流通する通路に設けられ前記低NOx化手段からの排出CO値を低減する低CO化手段とを備え、前記排ガス再循環通路を前記排ガスが流通する通路の前記低CO化手段の後流位置から分岐することを特徴とする低NOx燃焼装置。
  3. 前記低CO化手段が、CO酸化触媒体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の低NOx燃焼装置。
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