JP2004068657A - チューブポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】チューブポンプのロータに設けられたスライド式又は揺動式の上部カバーを廃止することによってカバー開放時の占有空間を不要とし、チューブを装着したり取外したりする際の取扱い操作を安全かつ容易に行い、さらにはポンプ内部の容易な清掃を可能とすることによって衛生管理面での利便性を確保するようにしたチューブポンプを提供する。
【解決手段】ロータ5の外周複数位置の上下箇所に設けられた側幅制限ローラ34、34間に軟質チューブ7を収めて該チューブをローラ6、6の外周に添わせ、モータ3の駆動軸12の外周に形成された螺旋状の案内溝11に沿ってロータ5が固定壁13内に案内されることにより、チューブ7が固定壁13とローラ6、6間に狭圧され、この状態でロータ5の上部カバー15が固定壁13の内周を閉塞するようにした。
【選択図】図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工透析装置、血液処理装置等の体液又は補充液等を装置回路の系統内に流通する際、回転するローラで軟質チューブを圧迫することによってチューブ内の液を輸送するようにしたチューブポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人工透析装置、血液処理装置等の体液又は補充液を装置回路の系統内に流通する際に使用するチューブポンプの構成例としては、周状の固定壁と、その中心に設けられたモータの駆動軸に連結して回転するロータと、ロータに配設された数個のローラとから成り、液回路中のチューブを固定壁とローラとの隙間に挿入し、該ローラでチューブに対する圧閉部所を作りながら固定壁に沿って移動させることにより、チューブ内の液を輸送するものである。
【0003】
上記のようなチューブポンプの構造においては、固定壁とローラとの間にチューブを挿着するための隙間が設けられているが、この隙間に挟まれた手の指を回転中のローラで傷つけたり、装置に構成された別回路の余裕寸法を有して延長された回路チューブをこの隙間に巻き込んで切断するという問題があった。
【0004】
このため、従来のチューブポンプにおいては、固定壁内周とローラとの隙間の上方をスライド式又は揺動式の上部カバーで覆うことによってその隙間に対する外方からの侵入を防止するようにしたものがある。
【0005】
ところが、チューブの挿入または取り外しを行なう際に上部カバーを開くと、上部カバーが開いた分だけ装置の前方に突出したり、横方向に移動したりするため、医療作業の邪魔になり、あるいは作業者に接触して上部カバーが破損するという問題があった。
【0006】
また、装置の目立つ場所にポンプを配置する必要があるため、複数個のポンプを装置の前面に集中的に配置せざるを得ず、他の機能の合理的配置に悪影響を及ぼしたり、操作を困難にしたり、使用上の安全性を損ねたりするという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、チューブポンプのロータに設けられたスライド式又は揺動式の上部カバーを廃止することによってカバー開放時の占有空間を不要とし、チューブを装着したり取外したりする際の取扱い操作を安全かつ容易に行い、さらにはロータの構成物をポンプ本体から取り外してポンプ内部の清掃を容易にすることによって衛生管理面での利便性を確保するようにしたチューブポンプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明における請求項1のチューブポンプは、ポンプ本体に設けられたモータの駆動軸に連結して回転するロータの周部に複数個のローラが配設されると共に、各ローラの周軌道の外周に軟質チューブを狭圧する固定壁が設けられ、前記ロータの回転駆動によって少なくとも1個のローラがチューブを圧迫しつつ回動することにより前記チューブ内の液を移送するチューブポンプにおいて、前記ロータの外周複数位置の上下箇所に設けられた側幅制限ローラ間に軟質チューブを収めて該チューブを前記ローラの外周に添わせ、前記モータの駆動軸の外周に形成された螺旋状の案内溝に沿って前記ロータが前記固定壁内に案内されることにより、前記チューブが前記固定壁と前記ローラ間に狭圧され、この状態で前記ロータの上部カバーが前記固定壁の内周を閉塞するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明における請求項2のチューブポンプは、請求項1において、前記ロータの中心位置に形成された円筒穴を前記モータの駆動軸に被嵌すると共に前記円筒穴の内周に突出させた係合部材を前記駆動軸の案内溝に係合した構造とすることにより、用手により又はモータ駆動によって回動した前記ロータが駆動軸の案内溝に沿って回動しつつ上方又は下方に移動するようにしたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明における請求項3のチューブポンプは、請求項1又は2において、前記ローラの中心軸を上下から支持する上側及び下側円弧板の側方に突出した支持片の所定箇所に側幅制限ローラを回動自在に設けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0012】
本発明によるチューブポンプの基本構造としては、図1又は図2に示すように、
ポンプ本体2に設けられたモータ3(図5参照)の駆動軸12に連結して回転するロータ5の周部に複数個のローラ6、6が配設されると共に、各ローラ6、6の周軌道の外周に軟質チューブ7を狭圧する固定壁13が設けられ、ロータ5の回転駆動で少なくとも1個のローラ6、6がチューブ7を圧迫しつつ回動することによってチューブ7内の液を移送するようにしたものである。
【0013】
このような構造についてより詳細に述べると、図1に示すように、ロータ5はポンプ本体2とは別体に構成され、後述するようにポンプ本体2の駆動軸12から取り外すことができる構造としてある。
【0014】
ポンプ本体2は、図5に示すように、その底板9の下部にモータ3を固定してあり、底板9の円筒穴10から上方に突出されたモータ軸4には駆動軸12が固定され、該駆動軸12の外周には螺旋状の案内溝11が形成されている。
【0015】
また、ポンプ本体2の底板9には、駆動軸12から所定距離をあけた外周に沿って所定高さの固定壁13が形成されている。この固定壁13の上端内周には傾斜状の当たり面14が形成され、図6に示すように、後述するロータ5側の上部カバー15の外周端部に設けられたゴムリング16を当たり面14に当接させる構造とすることによって、固定壁13とローラ6、6間の隙間を閉塞し、この隙間に指先や他の回路チューブ等が入らない安全構造としている。
【0016】
また、図1(図4参照)に示すように、ポンプ本体2には周状の固定壁13から平行に延長する通路17、17が形成され、両側の通路17、17の各端部に形成された凹部18、18にチューブ7の固定端19、19を嵌め込むようにしている。
【0017】
ロータ5は、図5又は図6に示すように、ロータ本体8とその上部にて水平外周に延びた延長部20と中心上方に突出された凸部21とを有し、凸部21の外周に大径の用手抓み22の円筒穴23を嵌合すると共に、用手抓み22の横穴24から挿入した固定ネジ25の先端をロータ本体8の凸部21の周溝21aに捻じ込んで係止することにより、用手抓み22をロータ本体8に固定している。この用手抓み22の上端中心には文字盤26が付設され、該文字盤26にはロータ5の回転方向等の案内(図4(a)参照)が表示されている。
【0018】
さらに、図5に示すように、用手抓み22の下面周部には段状凹部27が形成され、該段状凹部27と同径に、ロータ本体8の延長部20の外周上部に段状凹部28が形成され、これらの段状凹部27、28とを合致させてなる外周溝29の奥部には弾性ゴムリング32を嵌合した小径溝30が形成されている。
【0019】
また、この外周溝29には上部カバー15の大径の中心穴15aが嵌合されている。この上部カバー15は透明プラスチックにより形成され、その外周を傘状に下げた形状とし、外周溝29には波状に屈曲されて成るリング状板バネ31が嵌められ、この板バネ31の弾性によって上部カバー15が上方に付勢された状態に取り付けられている。ただし、上部カバー15の中心穴15aの内周付近には滑動用オイルが塗布され、上部カバー15は板バネ31で上方へ付勢された状態で外周溝29内を自在に摺動することができる。
【0020】
さらに、本発明においては、図1又は図3に示すように、ロータ本体8の上下に左右に配分された上側円弧板35、35と下側円弧板36、36とを軸8a、8a…で結合すると共に、左右の上側円弧板35、35と下側円弧板36、36との間にローラ6、6を軸6a、6aで回動自在に結合している。
【0021】
また、左右に配分した上側円弧板35、35と下側円弧板36、36との夫々から四方に突出した支持片33、33…に側幅制限ローラ34、34…が回動自在に設けられている。図3に示すように、各支持片33、33…は端部の幅がやや拡大された形状を有するため、各支持片33、33…に嵌め込んだ環状の側幅制限ローラ34、34…の離脱を防止した状態で回動自在としている。
【0022】
さらに、図5に示すように、ロータ本体8の中心には円筒穴23が形成され、該円筒穴23をモータ3の駆動軸12に被嵌すると共に、ロータ本体8の外周からネジ穴37に螺入したネジ部材38の先端を円筒穴23内に突出させてあり、このネジ部材38を駆動軸12の螺旋溝11に係合するようにしている。
【0023】
なお、本実施例においては駆動軸12の螺旋溝11に係合する係合部材としてネジ部材38を用いているが、他の部材として円筒穴23内に球状の突出部を形成してもよい。このような構成によって、用手抓み22を手で握ってロータ5をモータ3の逆転方向に用手で回動すると、駆動軸12の螺旋溝11に従って上方に移動することにより、ロータ5は駆動軸12から離脱する。
【0024】
また、ロータ5をモータ3の正転方向に用手で回動すると、図6に示すように、ロータ5は駆動軸12の螺旋溝11の下端部に当接するまで回動し、ポンプ本体2へのセット状態となる。このとき、軟質チューブ7はロータ8の上部カバー15に閉塞された状態にあり、上下の側幅制限ローラ34、34間におけるローラ6、6の外周にて固定壁13との間で狭圧される。そして、モータ3の駆動によってロータ5が回転すると、少なくとも1個のローラ6がチューブ7を圧迫しつつ回動することによってチューブ7内の液を移送する。
【0025】
本発明のチューブポンプは、上記のように構成されているため、図1に示すように、チューブを取り外した状態にして、ロータ5を駆動軸12から用手で引き出して取り外すことができ、この状態で、ポンプ本体2の内部やロータ5を目視下で清掃したり、消毒材の塗布処理等を行うことができる。また、消耗品の管理や交換等のメンテナンスも容易に行うことができ、近年において要求されている治療装置の徹底した衛生管理に適するものである。
【0026】
また、図2に示すように、ロータ5を駆動軸12から上方に移動した状態にして、軟質チューブ7をロータ8の上部カバー15の下部外周、即ち上下の側幅制限ローラ34、34間におけるローラ6、6の外周に廻して通路17、17に収納すると共に、チューブ7の両側の固定端19、19を凹部18、18に嵌め込む。
【0027】
そして、ロータ5を用手で回動しながら駆動軸12の螺旋溝11に沿って押し下げると、軟質チューブ7が固定壁13とローラ6、6間に狭圧された状態にセットされる。このセット状態でロータ5の上部カバー15が固定壁13の内周を閉塞するため、固定壁13とローラ6、6間に指を突っ込んだり、他のチューブを絡ませたりすることから防止できる。
【0028】
また、上記のように軟質チューブ7を固定壁13とローラ6、6との隙間に挿入した状態でモータ3を駆動すると、夫々のローラ6、6で軟質チューブ7に対する圧閉部所を作りながら固定壁13に沿って移動することにより、チューブ7内の液を輸送することができる。また、モータ3の回転速度を変えることによって血液の移送量を調整することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のチューブポンプによれば、ロータの外周に設けられた側幅制限ローラ間に軟質チューブを収め、該チューブをローラの外周に添わせた状態にして、ロータを駆動軸の案内溝に沿って用手で下方へ回動すると、軟質チューブを固定壁とローラ間に狭圧しつつ固定壁内に収めることができる。
【0030】
この状態で、ロータの上部カバーが固定壁の内周を閉塞した状態とすることにより、固定壁とローラ間に指を突っ込んだり、他のチューブを絡ませたりすることがなく、操作上の安全性を確保すると共に、軟質チューブを装着したり取外したりする作業を容易且つ確実に遂行することができ、装置の臨床使用にすばやく対応することができる。
【0031】
また、本発明によるチューブポンプのロータには、横スライドしたり開閉したりするカバーが設けられていないため、従来のようにカバーが開いて装置から突出したり、カバーが破損したりすることがない。また、カバー開放時の占有空間を不要とするため、チューブポンプの合理的配置と操作上の容易さとを達成することが可能となる。
【0032】
さらに、ポンプ本体からロータを用手で簡単に取り外すことができるため、ポンプ内部の清掃が容易になり、消毒材の塗布処理等を行ったり、消耗品の管理や交換等のメンテナンスも容易に行うことができ、近年要求されている治療装置の衛生管理面での利便性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるチューブポンプの分解斜視図である。
【図2】本発明によるチューブポンプの組立て途中の斜視図である。
【図3】本発明によるチューブポンプの平面図である。
【図4】(a)は本発明によるチューブポンプのロータを示す平面図であり、(b)は側面図である。
【図5】本発明によるチューブポンプの組立て途中の断面図である。
【図6】本発明によるチューブポンプの組立て状態を示す断面図である。
【符号の説明】
2…ポンプ本体
3…モータ
4…モータ軸
5…ロータ
6…ローラ
7…軟質チューブ
8…ロータ本体
9…底板
10…円筒穴
11…案内溝
12…駆動軸
13…固定壁
14…当たり面
15…上部カバー
16…ゴムリング
17…通路
18…凹部
19…固定端
20…延長部
21…凸部
22…用手抓み
23…円筒穴
24…横穴
25…固定ネジ
26…文字盤
27、28…段状凹部
29…外周溝
30…小径溝
31…リング状板バネ
32…弾性ゴムリング
33…支持片
34…側幅制限ローラ
35…上側円弧板
36…下側円弧板
37…ネジ穴
38…ネジ部材

Claims (3)

  1. ポンプ本体に設けられたモータの駆動軸に連結して回転するロータの周部に複数個のローラが配設されると共に、各ローラの周軌道の外周に軟質チューブを狭圧する固定壁が設けられ、前記ロータの回転駆動によって少なくとも1個のローラがチューブを圧迫しつつ回動することにより前記チューブ内の液を移送するチューブポンプにおいて、前記ロータの外周複数位置の上下箇所に設けられた側幅制限ローラ間に軟質チューブを収めて該チューブを前記ローラの外周に添わせ、前記モータの駆動軸の外周に形成された螺旋状の案内溝に沿って前記ロータが前記固定壁内に案内されることにより、前記チューブが前記固定壁と前記ローラ間に狭圧され、この状態で前記ロータの上部カバーが前記固定壁の内周を閉塞するようにしたことを特徴とするチューブポンプ。
  2. 前記ロータの中心位置に形成された円筒穴を前記モータの駆動軸に被嵌すると共に前記円筒穴の内周に突出させた係合部材を前記駆動軸の案内溝に係合した構造とすることにより、用手により又はモータ駆動によって回動した前記ロータが駆動軸の案内溝に沿って回動しつつ上方又は下方に移動するようにしたことを特徴とする請求項1記載のチューブポンプ。
  3. 前記ローラの中心軸を上下から支持する上側及び下側円弧板の側方に突出した支持片の所定箇所に側幅制限ローラを回動自在に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のチューブポンプ。
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