JP2004068634A - 内燃機関用動弁装置及びそのエンジンバルブへの組付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コッタのビード及びエンジンバルブの環状溝を廃止し、それらの製造コストを低減する。
【解決手段】エンジンバルブ2の上端部に圧入可能な内径を有し、かつ外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす径方向に弾性変形可能なコッタ11と、該コッタ11の外周面が圧入可能なテーパ孔12aを中心に有するスプリングリテーナ12とを備え、コッタ11を、エンジンバルブ2の上端部外周面とスプリングリテーナ12のテーパ孔12aとに圧入することにより、該スプリングリテーナ12を、バルブスプリング6の上端を受支した状態で、エンジンバルブ2の上端部に止着する。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジンバルブ2の上端部に圧入可能な内径を有し、かつ外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす径方向に弾性変形可能なコッタ11と、該コッタ11の外周面が圧入可能なテーパ孔12aを中心に有するスプリングリテーナ12とを備え、コッタ11を、エンジンバルブ2の上端部外周面とスプリングリテーナ12のテーパ孔12aとに圧入することにより、該スプリングリテーナ12を、バルブスプリング6の上端を受支した状態で、エンジンバルブ2の上端部に止着する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用動弁装置、及びそのエンジンバルブへの組付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば4サイクルエンジンにおいて、シリンダヘッドに形成された吸、排気ポートを開閉してシリンダ内のガス交換を行うエンジンバルブは、各種の動弁部品からなる動弁装置により、シリンダヘッドに組付けられる。
【0003】
図10は、従来の一般的な動弁装置(1)と、それにより、エンジンバルブ(2)をシリンダヘッド(3)に組付けた状態の要部の縦断面図で、動弁装置(1)は、スプリングシート(4)、リップシール(5)、バルブスプリング(6)、スプリングリテーナ(7)、及び1対のコッタ(8)(8)からなり、これらの動弁部品は、次のようにして順に組付けられる。
【0004】
まず、シリンダヘッド(3)に圧入したバルブガイド(9)の上端に、リップシール(5)を外嵌したのち、傘部(2a)を下方に向けたエンジンバルブ(2)の軸部(2b)を、シリンダヘッド(3)の下方より、バルブガイド(9)に挿入し、シリンダヘッド(3)を作業台等に載置することにより、軸部(2b)をシリンダヘッド(3)の上方に突出した状態に保持する。
【0005】
ついで、バルブガイド(9)を囲むシリンダヘッド(3)の上面に、スプリングシート(4)を、上向き膨出部(3a)に嵌合して載置したのち、その上面に、バルブスプリング(6)の下端を、軸部(2b)を囲むようにして載置する。
【0006】
ついで、バルブスプリング(6)の上端にスプリングリテーナ(7)を載せ、これを、バルブスプリング(6)を圧縮させながら、バルブ軸端の環状溝(10)の下方まで押圧した状態で、1対のコッタ(8)をスプリングリテーナ(7)のテーパ孔(7a)に挿入し、スプリングリテーナ(7)を徐々に上方に移動させながら、両コッタ(8)の内周面に形成されたビード(8a)を環状溝(10)に嵌合させる。
【0007】
これにより、スプリングリテーナ(7)は、両コッタ(8)のくさび作用によりエンジンバルブ(2)の軸端部に止着され、かつバルブスプリング(6)が圧縮状態に保持されることにより、エンジンバルブ(2)は上向きに付勢され、その傘部(2a)により、シリンダヘッド(3)の下面のポート開口部が閉じられるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の動弁装置のように、内面にビード(8a)を有するコッタ(8)を用いて、スプリングリテーナ(7)をバルブ軸端部に止着するものにおいては、コッタ(8)の製造が面倒であるとともに、エンジンバルブ(2)の軸端部にも、ビード(8a)が嵌合される位置決め用の環状溝(10)を、高精度で形成する必要があるため、それらの製造コストが増大する。
【0009】
また、バルブ軸端部の環状溝(10)部に、応力が集中し、小型のエンジンバルブでは、その部分より折損する恐れがある。
さらに、コッタ(8)にビード(8a)を有しているため、その分、コッタの上下寸法、及びそれが嵌合されるスプリングリテーナ(7)の上下寸法が長くなり、動弁系の重量が大となって、慣性質量が大きくなるという問題もある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、コッタのビード及びエンジンバルブの環状溝を廃止することにより、該コッタやエンジンバルブの製造コストを低減するとともに、エンジンバルブに応力集中部が形成されるのを防止し、かつコッタやスプリングリテーナを小型化して、軽量化が図れるようにし、さらに、コッタとスプリングリテーナとを、エンジンバルブに強固にかつ容易に取付けうるようにした、内燃機関用動弁装置、及びそのエンジンバルブへの組付け方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の動弁装置は、上記課題を次のようにして解決している。
(1)軸部の中間部がシリンダヘッドに上下に摺動可能に支持されたエンジンバルブを、バルブスプリングを圧縮させることにより、常時上向きに付勢した状態で、シリンダヘッドに装着するための内燃機関用動弁装置であって、
前記エンジンバルブの上端部に圧入可能な内径を有し、かつ外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす径方向に弾性変形可能な逆截頭円錐筒形のコッタと、該コッタの外周面が圧入可能なテーパ孔を中心に有するスプリングリテーナとを備え、前記コッタを、エンジンバルブの上端部外周面と、前記スプリングリテーナのテーパ孔とに圧入することにより、該スプリングリテーナを、前記バルブスプリングの上端を受支した状態で、エンジンバルブの上端部に止着する。
【0012】
(2)上記(1)項において、コッタの円周方向の一部を、軸線方向のスリットをもって切断する。
【0013】
(3)軸部の中間部がシリンダヘッドに上下に摺動可能に支持されたエンジンバルブを、バルブスプリングを圧縮させることにより、常時上向きに付勢した状態で、シリンダヘッドに装着するための内燃機関用動弁装置であって、前記エンジンバルブの上端部に圧入可能な内径を有し、かつ外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす半円筒状の1対のコッタと、該両コッタの外周面が圧入可能なテーパ孔を中心に有するスプリングリテーナとを備え、前記両コッタを、エンジンバルブの上端部外周面とスプリングリテーナのテーパ孔との間の隙間に圧入することにより、該スプリングリテーナを、前記バルブスプリングの上端を受支した状態で、エンジンバルブの上端部に止着する。
【0014】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、コッタの内周面とエンジンバルブの上端部外周面との少なくともいずれか一方、及びコッタの外周面とスプリングリテーナのテーパ孔との少なくともいずれか一方を、それぞれ粗面とする。
【0015】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、コッタの上端とエンジンバルブの上端とを面整合させ、それら両方の上端に、タペット又はロッカアームが当接しうるようにする。
また、本発明の動弁装置のエンジンバルブへの組付け方法は、上記課題を次のようにして解決している。
【0016】
(6)上記(1)、(2)、(4)および(5)項のいずれかの動弁装置の組付け方法であって、エンジンバルブの上端部に、スプリングリテーナと、そのテーパ孔に予め圧入して仮固定したコッタとを、該コッタの下端部を軸端部に嵌合することにより保持し、前記スプリングリテーナをバルブスプリングを圧縮させながら押圧することにより、そのテーパ孔よりコッタを離脱させ、かつ該コッタを押圧して、エンジンバルブの上端部に圧入したのち、スプリングリテーナの下方への移動を阻止した状態で、エンジンバルブとコッタの上端とを押圧して、該コッタの外周面をスプリングリテーナのテーパ孔に圧入し、その後、スプリングリテーナとエンジンバルブとコッタの押圧力を解除する。
【0017】
(7)上記(6)項において、バルブスプリングを、そのコイル線同士が互いに当接するまで最大限圧縮することにより、スプリングリテーナの下方への移動を阻止するようにする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、上述した従来例と同様の部材には、それと同じ符号を付して説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用して、エンジンバルブ(2)をシリンダヘッド(3)に組付けた要部の縦断面図を示すもので、エンジンバルブ(2)の軸部(2b)の上端部に形成された小径部(2c)には、コッタ(11)を介して、スプリングリテーナ(12)が止着されている。
【0020】
コッタ(11)は、図2に示すように、外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなすとともに、円周方向の一部を、軸線方向のスリット(11a)をもって切断してなるほぼ逆截頭円錐筒形をなし、径方向に弾性変形しうるようになっている。
【0021】
スプリングリテーナ(12)の上面中央は、若干円皿状に凹ませてあり、かつ中心には、上記コッタ(11)が圧入可能な、その外周のテーパ面と同じ傾斜のテーパ孔(12a)が穿設されている。
【0022】
スプリングリテーナ(12)は、そのテーパ孔(12a)にコッタ(11)の外周面を圧入するとともに、該コッタ(11)を、小径部(2c)に、拡径方向に弾性変形させて圧入することにより、エンジンバルブ(2)の軸端部に、バルブスプリング(6)を圧縮させた状態で止着されている。
【0023】
上記小径部(2c)の外周面とコッタ(11)の内周面は、例えばローレット加工やブラスト処理等により粗面とされ、摩擦力を大として、コッタ(11)が小径部に強固に固定されるようにしてある。
【0024】
また、コッタ(11)の外周面とスプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)のいずれか一方、もしくは両方を、ブラスト処理等により粗面として、コッタ(11)がテーパ孔(12a)より簡単に抜け外れないようにしてもよい。
【0025】
エンジンバルブ(2)の軸端とコッタ(11)の上端には、2点鎖線で示すような有頂円筒形をなすタペット(又はロッカアーム)(13)における内底面中央の下向き突部(13a)が当接し、図示しないカムがタペット(13)の上面を押圧することにより、エンジンバルブ(2)とコッタ(11)、及びコッタ(11)が圧入されているスプリングリテーナ(12)が、バルブスプリング(6)に抗して一体的に押し下げられるようになっている。
【0026】
このように、コッタ(11)を、エンジンバルブ(2)の上端部に圧入により固定し、かつそれらの上端面を同一面に整合させて、タペット(13)により共に押圧するようにすると、従来のような、ビードを有するコッタを用いたり、エンジンバルブ(2)に環状溝を形成したりする必要はなく、それらの製造コストを大幅に低減しうる。
【0027】
また、コッタ(11)とエンジンバルブ(2)との位置決めは、それらの上端面を基準として行われるため、従来のビードと環状溝とにより位置決めを行う際に比して、それらの位置決めは極めて簡単であり、かつ位置決め精度も必然的に高まる。
【0028】
さらに、エンジンバルブ(2)には環状溝が形成されていないので、応力集中個所はなく、バルブが折損したりする恐れはない。
【0029】
コッタ(11)にビードを形成する必要がないので、その上下寸法はもとより、スプリングリテーナ(12)の上下寸法も必要最小限とすることができ、それらが軽量化されて、動弁系の慣性質量を小さくすることが可能となる。
【0030】
コッタ(11)とエンジンバルブ(2)の軸端とが、タペット(13)により同時に押圧されるため、それらの圧入部に、バルブスプリング(6)のばね力による相対荷重は作用せず、従ってコッタ(11)を薄肉としたり、強度の小さな安価な材料により形成したりすることができる。
【0031】
図3〜図6は、上記実施形態の動弁装置のエンジンバルブへの組付け要領を示す。
まず図3に示すように、予めスプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)に圧入して仮固定されたコッタ(11)を、エンジンバルブ(2)における小径部(2c)の上端部に、若干押圧して嵌合することにより、スプリングリテーナ(12)と共に保持する。
【0032】
ついで、図4に示すように、スプリングリテーナ(12)を、適宜の押圧手段により小径部(2c)のやや下方まで押圧し、その位置で、バルブスプリング(6)を圧縮させた状態に保持する。この際、コッタ(11)は、スプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)より離脱し、小径部(2c)の上端部に嵌合されたままの状態として残る。
【0033】
ついで、図5に示すように、コッタ(11)を押圧し、拡径方向に弾性変形させながら、その上端がエンジンバルブ(2)の軸端と整合する位置まで小径部(2c)に圧入する。
【0034】
ついで、図6に示すように、エンジンバルブ(2)とコッタ(11)とを同時に押圧して、エンジンバルブ(2)を下方に押動し、コッタ(11)をスプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)に圧入する。
【0035】
この際の圧入抵抗により、スプリングリテーナ(12)は、バルブスプリング(6)を圧縮させて下降するが、図示するように、バルブスプリング(6)が、そのコイル線同士が互いに当接するまで最大限圧縮されると、スプリングリテーナ(12)はそれ以上下降するのが阻止されるので、コッタ(11)をテーパ孔(12a)に確実に圧入することができる。
【0036】
なお、上記のように、バルブスプリング(6)を最大限圧縮させて、スプリングリテーナ(12)の下降を阻止する以外に、図5の工程の終了後に、スプリングリテーナ(12)の下端を、適宜の治具により受支し、それが、コッタ(11)の圧入抵抗により下降するのを阻止するようにしてもよい。
【0037】
最後に、エンジンバルブ(2)、コッタ(11)、及びスプリングリテーナ(12)の押圧力を解除すれば、図1の状態となり、コッタ(11)及びスプリングリテーナ(12)は、エンジンバルブ(2)の上端部に強固に止着される。
しかも、コッタ(11)には、その外周面とテーパ孔(12a)とのくさび作用により、締付け力が働くので、小径部(2c)に強固に固定される。
【0038】
なお、コッタ(11)及びスプリングリテーナ(12)をバルブ軸端部より取外す際は、まず、スプリングリテーナ(12)を強く押圧して、そのテーパ孔(12a)よりコッタ(11)を離脱させたのち、適宜の工具により、コッタ(11)を拡径させ、小径部(2c)より抜き外せばよい。
【0039】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、円周方向の一部をスリット(11a)をもって切断したコッタ(11)を用いているが、図7に示すような、スリットのない逆截頭円筒形をなす径方向に若干弾性変形しうるコッタ(14)、又は図8に示すような、外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす1対の半円筒状コッタ(15)(15)を用いることもある。
【0040】
図7のコッタ(14)及びスプリングリテーナ(12)は、上記と同様の要領で小径部(2c)に組付けることができる。
【0041】
図8に示す半円筒状のコッタ(15)を用いる際には、両半円筒状コッタ(15)(15)を、互いの対向面を当接させるようにして、スプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)に圧入又は嵌合したのち、スプリングリテーナ(12)と両半円筒状コッタ(15)(15)とを同時に押圧し、半円筒状コッタ(15)を、小径部(2c)に圧入するか、又はスプリングリテーナ(12)を小径部(2c)部まで押圧して嵌合し、それらの間に形成される隙間に、両半円筒状コッタ(15)を圧入すればよい。
【0042】
上記実施形態では、コッタ(11)を小径部(2c)とテーパ孔(12a)に圧入する際、2工程の押圧作業により行っているが、図9に示すように、スプリングリテーナ(12)を、そのテーパ孔(12a)が小径部(2c)に嵌合されるまで押圧するとともに、それ以上スプリングリテーナ(12)が下降するのを阻止した状態で、小径部(2c)の外周面とテーパ孔(12a)との間の隙間に、コッタ(11)又は(14)を上方より1度で圧入することもある。このようにすると、大きな押圧荷重が必要となるが、大型のプレス装置等を用いて対処することができる。
【0043】
上記実施形態では、エンジンバルブ(2)の上端部を小径部(2c)とし、その部分にコッタ(11)を圧入するようにしているが、このような小径部(2c)を設けないで、軸部(2b)全体を等軸径とすることもある。
【0044】
【発明の効果】
請求項1及び3記載の発明によれば、コッタは、エンジンバルブの上端部に圧入により固定され、かつスプリングリテーナのテーパ孔にも圧入されているので、コッタ及びスプリングリテーナを、エンジンバルブの上端部に強固に取付けることができる。
また、従来のように、コッタにビードを形成したり、エンジンバルブに環状溝を設けたりする必要がないので、それらの製造コストは大幅に低減される。
さらに、コッタにビードを形成しない分、その上下寸法はもとより、スプリングリテーナの上下寸法をも、必要最小限とすることができ、それらが軽量化されることにより、動弁系の慣性質量を小さくすることができる。
エンジンバルブに環状溝を設けていないので、応力集中個所が形成されず、バルブが切損したりする恐れはない。
【0045】
請求項2記載の発明によれば、コッタが径方向に弾性変形し易くなるので、エンジンバルブの上端部に小さな押圧力で圧入しうるとともに、取外しも容易となる。
【0046】
請求項4記載の発明によれば、コッタとエンジンバルブの上端部及びスプリングリテーナのテーパ孔との摩擦力が大となるので、コッタが簡単に抜け外れる恐れはない。
【0047】
請求項5記載の発明によれば、コッタとエンジンバルブとの位置決めを、それらの上端を基準として行いうるので、従来のビードと環状溝とにより位置決めを行う際に比して、それらの位置決めは極めて簡単であり、かつ位置決め精度も高い。
また、エンジンバルブとコッタとを、タペット又はロッカアームにより同時に押圧しうるため、それらの圧入部に相対荷重が作用することがなく、従って、コッタを薄肉としたり、強度の小さな安価な材料により形成したりすることができる。
【0048】
請求項6記載の発明によれば、コッタを予めスプリングリテーナに組付け、一体化した状態でエンジンバルブの軸端部に保持しうるので、組付工数が削減される。
また、コッタを、エンジンバルブの軸端部とスプリングリテーナのテーパ孔とに、2工程に分けて圧入しているので、小さな押圧荷重で圧入することができ、小型のプレス装置等を用いることができる。
【0049】
請求項7記載の発明によれば、スプリングリテーナの下降を阻止するための特別な支持治具を用いることなく、コッタをテーパ孔に確実に圧入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動弁装置を適用して、エンジンバルブをシリンダヘッドに組付けた要部の縦断正面図である。
【図2】同じく、コッタの拡大斜視図である。
【図3】同じく、コッタ及びスプリングリテーナのエンジンバルブへの組付け要領を示し、スプリングリテーナとコッタとを軸端部に保持した状態の要部の縦断面図である。
【図4】同じく、スプリングリテーナを押圧して、テーパ孔よりコッタを離脱した状態の要部の縦断面図である。
【図5】同じく、コッタを押圧して軸端部に圧入した状態の縦断面図である。
【図6】同じく、スプリングリテーナとコッタを押圧するとともに、バルブスプリングを最大限圧縮させて、テーパ孔にコッタに圧入した状態の縦断面図である。
【図7】同じく、コッタの変形例を示す斜視図である。
【図8】同じく、コッタの他の変形例を示す斜視図である。
【図9】同じく、コッタ及びスプリングリテーナの他の組付け要領を示す要部の縦断面図である。
【図10】従来の動弁装置及びこれによりエンジンバルブをシリンダヘッドに組付けた状態の中央縦断正面図である。
【符号の説明】
(1)動弁装置
(2)エンジンバルブ
(2a)傘部
(2b)軸部
(2c)小径部
(3)シリンダヘッド
(4)スプリングシート
(5)リップシール
(6)バルブスプリング
(7)スプリングリテーナ
(8)コッタ
(9)バルブガイド
(10)環状溝
(11)コッタ
(11a)スリット
(12)スプリングリテーナ
(12a)テーパ孔
(13)タペット
(13a)下向き突部
(14)コッタ
(15)半円筒状コッタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用動弁装置、及びそのエンジンバルブへの組付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば4サイクルエンジンにおいて、シリンダヘッドに形成された吸、排気ポートを開閉してシリンダ内のガス交換を行うエンジンバルブは、各種の動弁部品からなる動弁装置により、シリンダヘッドに組付けられる。
【0003】
図10は、従来の一般的な動弁装置(1)と、それにより、エンジンバルブ(2)をシリンダヘッド(3)に組付けた状態の要部の縦断面図で、動弁装置(1)は、スプリングシート(4)、リップシール(5)、バルブスプリング(6)、スプリングリテーナ(7)、及び1対のコッタ(8)(8)からなり、これらの動弁部品は、次のようにして順に組付けられる。
【0004】
まず、シリンダヘッド(3)に圧入したバルブガイド(9)の上端に、リップシール(5)を外嵌したのち、傘部(2a)を下方に向けたエンジンバルブ(2)の軸部(2b)を、シリンダヘッド(3)の下方より、バルブガイド(9)に挿入し、シリンダヘッド(3)を作業台等に載置することにより、軸部(2b)をシリンダヘッド(3)の上方に突出した状態に保持する。
【0005】
ついで、バルブガイド(9)を囲むシリンダヘッド(3)の上面に、スプリングシート(4)を、上向き膨出部(3a)に嵌合して載置したのち、その上面に、バルブスプリング(6)の下端を、軸部(2b)を囲むようにして載置する。
【0006】
ついで、バルブスプリング(6)の上端にスプリングリテーナ(7)を載せ、これを、バルブスプリング(6)を圧縮させながら、バルブ軸端の環状溝(10)の下方まで押圧した状態で、1対のコッタ(8)をスプリングリテーナ(7)のテーパ孔(7a)に挿入し、スプリングリテーナ(7)を徐々に上方に移動させながら、両コッタ(8)の内周面に形成されたビード(8a)を環状溝(10)に嵌合させる。
【0007】
これにより、スプリングリテーナ(7)は、両コッタ(8)のくさび作用によりエンジンバルブ(2)の軸端部に止着され、かつバルブスプリング(6)が圧縮状態に保持されることにより、エンジンバルブ(2)は上向きに付勢され、その傘部(2a)により、シリンダヘッド(3)の下面のポート開口部が閉じられるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の動弁装置のように、内面にビード(8a)を有するコッタ(8)を用いて、スプリングリテーナ(7)をバルブ軸端部に止着するものにおいては、コッタ(8)の製造が面倒であるとともに、エンジンバルブ(2)の軸端部にも、ビード(8a)が嵌合される位置決め用の環状溝(10)を、高精度で形成する必要があるため、それらの製造コストが増大する。
【0009】
また、バルブ軸端部の環状溝(10)部に、応力が集中し、小型のエンジンバルブでは、その部分より折損する恐れがある。
さらに、コッタ(8)にビード(8a)を有しているため、その分、コッタの上下寸法、及びそれが嵌合されるスプリングリテーナ(7)の上下寸法が長くなり、動弁系の重量が大となって、慣性質量が大きくなるという問題もある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、コッタのビード及びエンジンバルブの環状溝を廃止することにより、該コッタやエンジンバルブの製造コストを低減するとともに、エンジンバルブに応力集中部が形成されるのを防止し、かつコッタやスプリングリテーナを小型化して、軽量化が図れるようにし、さらに、コッタとスプリングリテーナとを、エンジンバルブに強固にかつ容易に取付けうるようにした、内燃機関用動弁装置、及びそのエンジンバルブへの組付け方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の動弁装置は、上記課題を次のようにして解決している。
(1)軸部の中間部がシリンダヘッドに上下に摺動可能に支持されたエンジンバルブを、バルブスプリングを圧縮させることにより、常時上向きに付勢した状態で、シリンダヘッドに装着するための内燃機関用動弁装置であって、
前記エンジンバルブの上端部に圧入可能な内径を有し、かつ外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす径方向に弾性変形可能な逆截頭円錐筒形のコッタと、該コッタの外周面が圧入可能なテーパ孔を中心に有するスプリングリテーナとを備え、前記コッタを、エンジンバルブの上端部外周面と、前記スプリングリテーナのテーパ孔とに圧入することにより、該スプリングリテーナを、前記バルブスプリングの上端を受支した状態で、エンジンバルブの上端部に止着する。
【0012】
(2)上記(1)項において、コッタの円周方向の一部を、軸線方向のスリットをもって切断する。
【0013】
(3)軸部の中間部がシリンダヘッドに上下に摺動可能に支持されたエンジンバルブを、バルブスプリングを圧縮させることにより、常時上向きに付勢した状態で、シリンダヘッドに装着するための内燃機関用動弁装置であって、前記エンジンバルブの上端部に圧入可能な内径を有し、かつ外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす半円筒状の1対のコッタと、該両コッタの外周面が圧入可能なテーパ孔を中心に有するスプリングリテーナとを備え、前記両コッタを、エンジンバルブの上端部外周面とスプリングリテーナのテーパ孔との間の隙間に圧入することにより、該スプリングリテーナを、前記バルブスプリングの上端を受支した状態で、エンジンバルブの上端部に止着する。
【0014】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、コッタの内周面とエンジンバルブの上端部外周面との少なくともいずれか一方、及びコッタの外周面とスプリングリテーナのテーパ孔との少なくともいずれか一方を、それぞれ粗面とする。
【0015】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、コッタの上端とエンジンバルブの上端とを面整合させ、それら両方の上端に、タペット又はロッカアームが当接しうるようにする。
また、本発明の動弁装置のエンジンバルブへの組付け方法は、上記課題を次のようにして解決している。
【0016】
(6)上記(1)、(2)、(4)および(5)項のいずれかの動弁装置の組付け方法であって、エンジンバルブの上端部に、スプリングリテーナと、そのテーパ孔に予め圧入して仮固定したコッタとを、該コッタの下端部を軸端部に嵌合することにより保持し、前記スプリングリテーナをバルブスプリングを圧縮させながら押圧することにより、そのテーパ孔よりコッタを離脱させ、かつ該コッタを押圧して、エンジンバルブの上端部に圧入したのち、スプリングリテーナの下方への移動を阻止した状態で、エンジンバルブとコッタの上端とを押圧して、該コッタの外周面をスプリングリテーナのテーパ孔に圧入し、その後、スプリングリテーナとエンジンバルブとコッタの押圧力を解除する。
【0017】
(7)上記(6)項において、バルブスプリングを、そのコイル線同士が互いに当接するまで最大限圧縮することにより、スプリングリテーナの下方への移動を阻止するようにする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、上述した従来例と同様の部材には、それと同じ符号を付して説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用して、エンジンバルブ(2)をシリンダヘッド(3)に組付けた要部の縦断面図を示すもので、エンジンバルブ(2)の軸部(2b)の上端部に形成された小径部(2c)には、コッタ(11)を介して、スプリングリテーナ(12)が止着されている。
【0020】
コッタ(11)は、図2に示すように、外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなすとともに、円周方向の一部を、軸線方向のスリット(11a)をもって切断してなるほぼ逆截頭円錐筒形をなし、径方向に弾性変形しうるようになっている。
【0021】
スプリングリテーナ(12)の上面中央は、若干円皿状に凹ませてあり、かつ中心には、上記コッタ(11)が圧入可能な、その外周のテーパ面と同じ傾斜のテーパ孔(12a)が穿設されている。
【0022】
スプリングリテーナ(12)は、そのテーパ孔(12a)にコッタ(11)の外周面を圧入するとともに、該コッタ(11)を、小径部(2c)に、拡径方向に弾性変形させて圧入することにより、エンジンバルブ(2)の軸端部に、バルブスプリング(6)を圧縮させた状態で止着されている。
【0023】
上記小径部(2c)の外周面とコッタ(11)の内周面は、例えばローレット加工やブラスト処理等により粗面とされ、摩擦力を大として、コッタ(11)が小径部に強固に固定されるようにしてある。
【0024】
また、コッタ(11)の外周面とスプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)のいずれか一方、もしくは両方を、ブラスト処理等により粗面として、コッタ(11)がテーパ孔(12a)より簡単に抜け外れないようにしてもよい。
【0025】
エンジンバルブ(2)の軸端とコッタ(11)の上端には、2点鎖線で示すような有頂円筒形をなすタペット(又はロッカアーム)(13)における内底面中央の下向き突部(13a)が当接し、図示しないカムがタペット(13)の上面を押圧することにより、エンジンバルブ(2)とコッタ(11)、及びコッタ(11)が圧入されているスプリングリテーナ(12)が、バルブスプリング(6)に抗して一体的に押し下げられるようになっている。
【0026】
このように、コッタ(11)を、エンジンバルブ(2)の上端部に圧入により固定し、かつそれらの上端面を同一面に整合させて、タペット(13)により共に押圧するようにすると、従来のような、ビードを有するコッタを用いたり、エンジンバルブ(2)に環状溝を形成したりする必要はなく、それらの製造コストを大幅に低減しうる。
【0027】
また、コッタ(11)とエンジンバルブ(2)との位置決めは、それらの上端面を基準として行われるため、従来のビードと環状溝とにより位置決めを行う際に比して、それらの位置決めは極めて簡単であり、かつ位置決め精度も必然的に高まる。
【0028】
さらに、エンジンバルブ(2)には環状溝が形成されていないので、応力集中個所はなく、バルブが折損したりする恐れはない。
【0029】
コッタ(11)にビードを形成する必要がないので、その上下寸法はもとより、スプリングリテーナ(12)の上下寸法も必要最小限とすることができ、それらが軽量化されて、動弁系の慣性質量を小さくすることが可能となる。
【0030】
コッタ(11)とエンジンバルブ(2)の軸端とが、タペット(13)により同時に押圧されるため、それらの圧入部に、バルブスプリング(6)のばね力による相対荷重は作用せず、従ってコッタ(11)を薄肉としたり、強度の小さな安価な材料により形成したりすることができる。
【0031】
図3〜図6は、上記実施形態の動弁装置のエンジンバルブへの組付け要領を示す。
まず図3に示すように、予めスプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)に圧入して仮固定されたコッタ(11)を、エンジンバルブ(2)における小径部(2c)の上端部に、若干押圧して嵌合することにより、スプリングリテーナ(12)と共に保持する。
【0032】
ついで、図4に示すように、スプリングリテーナ(12)を、適宜の押圧手段により小径部(2c)のやや下方まで押圧し、その位置で、バルブスプリング(6)を圧縮させた状態に保持する。この際、コッタ(11)は、スプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)より離脱し、小径部(2c)の上端部に嵌合されたままの状態として残る。
【0033】
ついで、図5に示すように、コッタ(11)を押圧し、拡径方向に弾性変形させながら、その上端がエンジンバルブ(2)の軸端と整合する位置まで小径部(2c)に圧入する。
【0034】
ついで、図6に示すように、エンジンバルブ(2)とコッタ(11)とを同時に押圧して、エンジンバルブ(2)を下方に押動し、コッタ(11)をスプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)に圧入する。
【0035】
この際の圧入抵抗により、スプリングリテーナ(12)は、バルブスプリング(6)を圧縮させて下降するが、図示するように、バルブスプリング(6)が、そのコイル線同士が互いに当接するまで最大限圧縮されると、スプリングリテーナ(12)はそれ以上下降するのが阻止されるので、コッタ(11)をテーパ孔(12a)に確実に圧入することができる。
【0036】
なお、上記のように、バルブスプリング(6)を最大限圧縮させて、スプリングリテーナ(12)の下降を阻止する以外に、図5の工程の終了後に、スプリングリテーナ(12)の下端を、適宜の治具により受支し、それが、コッタ(11)の圧入抵抗により下降するのを阻止するようにしてもよい。
【0037】
最後に、エンジンバルブ(2)、コッタ(11)、及びスプリングリテーナ(12)の押圧力を解除すれば、図1の状態となり、コッタ(11)及びスプリングリテーナ(12)は、エンジンバルブ(2)の上端部に強固に止着される。
しかも、コッタ(11)には、その外周面とテーパ孔(12a)とのくさび作用により、締付け力が働くので、小径部(2c)に強固に固定される。
【0038】
なお、コッタ(11)及びスプリングリテーナ(12)をバルブ軸端部より取外す際は、まず、スプリングリテーナ(12)を強く押圧して、そのテーパ孔(12a)よりコッタ(11)を離脱させたのち、適宜の工具により、コッタ(11)を拡径させ、小径部(2c)より抜き外せばよい。
【0039】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、円周方向の一部をスリット(11a)をもって切断したコッタ(11)を用いているが、図7に示すような、スリットのない逆截頭円筒形をなす径方向に若干弾性変形しうるコッタ(14)、又は図8に示すような、外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす1対の半円筒状コッタ(15)(15)を用いることもある。
【0040】
図7のコッタ(14)及びスプリングリテーナ(12)は、上記と同様の要領で小径部(2c)に組付けることができる。
【0041】
図8に示す半円筒状のコッタ(15)を用いる際には、両半円筒状コッタ(15)(15)を、互いの対向面を当接させるようにして、スプリングリテーナ(12)のテーパ孔(12a)に圧入又は嵌合したのち、スプリングリテーナ(12)と両半円筒状コッタ(15)(15)とを同時に押圧し、半円筒状コッタ(15)を、小径部(2c)に圧入するか、又はスプリングリテーナ(12)を小径部(2c)部まで押圧して嵌合し、それらの間に形成される隙間に、両半円筒状コッタ(15)を圧入すればよい。
【0042】
上記実施形態では、コッタ(11)を小径部(2c)とテーパ孔(12a)に圧入する際、2工程の押圧作業により行っているが、図9に示すように、スプリングリテーナ(12)を、そのテーパ孔(12a)が小径部(2c)に嵌合されるまで押圧するとともに、それ以上スプリングリテーナ(12)が下降するのを阻止した状態で、小径部(2c)の外周面とテーパ孔(12a)との間の隙間に、コッタ(11)又は(14)を上方より1度で圧入することもある。このようにすると、大きな押圧荷重が必要となるが、大型のプレス装置等を用いて対処することができる。
【0043】
上記実施形態では、エンジンバルブ(2)の上端部を小径部(2c)とし、その部分にコッタ(11)を圧入するようにしているが、このような小径部(2c)を設けないで、軸部(2b)全体を等軸径とすることもある。
【0044】
【発明の効果】
請求項1及び3記載の発明によれば、コッタは、エンジンバルブの上端部に圧入により固定され、かつスプリングリテーナのテーパ孔にも圧入されているので、コッタ及びスプリングリテーナを、エンジンバルブの上端部に強固に取付けることができる。
また、従来のように、コッタにビードを形成したり、エンジンバルブに環状溝を設けたりする必要がないので、それらの製造コストは大幅に低減される。
さらに、コッタにビードを形成しない分、その上下寸法はもとより、スプリングリテーナの上下寸法をも、必要最小限とすることができ、それらが軽量化されることにより、動弁系の慣性質量を小さくすることができる。
エンジンバルブに環状溝を設けていないので、応力集中個所が形成されず、バルブが切損したりする恐れはない。
【0045】
請求項2記載の発明によれば、コッタが径方向に弾性変形し易くなるので、エンジンバルブの上端部に小さな押圧力で圧入しうるとともに、取外しも容易となる。
【0046】
請求項4記載の発明によれば、コッタとエンジンバルブの上端部及びスプリングリテーナのテーパ孔との摩擦力が大となるので、コッタが簡単に抜け外れる恐れはない。
【0047】
請求項5記載の発明によれば、コッタとエンジンバルブとの位置決めを、それらの上端を基準として行いうるので、従来のビードと環状溝とにより位置決めを行う際に比して、それらの位置決めは極めて簡単であり、かつ位置決め精度も高い。
また、エンジンバルブとコッタとを、タペット又はロッカアームにより同時に押圧しうるため、それらの圧入部に相対荷重が作用することがなく、従って、コッタを薄肉としたり、強度の小さな安価な材料により形成したりすることができる。
【0048】
請求項6記載の発明によれば、コッタを予めスプリングリテーナに組付け、一体化した状態でエンジンバルブの軸端部に保持しうるので、組付工数が削減される。
また、コッタを、エンジンバルブの軸端部とスプリングリテーナのテーパ孔とに、2工程に分けて圧入しているので、小さな押圧荷重で圧入することができ、小型のプレス装置等を用いることができる。
【0049】
請求項7記載の発明によれば、スプリングリテーナの下降を阻止するための特別な支持治具を用いることなく、コッタをテーパ孔に確実に圧入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動弁装置を適用して、エンジンバルブをシリンダヘッドに組付けた要部の縦断正面図である。
【図2】同じく、コッタの拡大斜視図である。
【図3】同じく、コッタ及びスプリングリテーナのエンジンバルブへの組付け要領を示し、スプリングリテーナとコッタとを軸端部に保持した状態の要部の縦断面図である。
【図4】同じく、スプリングリテーナを押圧して、テーパ孔よりコッタを離脱した状態の要部の縦断面図である。
【図5】同じく、コッタを押圧して軸端部に圧入した状態の縦断面図である。
【図6】同じく、スプリングリテーナとコッタを押圧するとともに、バルブスプリングを最大限圧縮させて、テーパ孔にコッタに圧入した状態の縦断面図である。
【図7】同じく、コッタの変形例を示す斜視図である。
【図8】同じく、コッタの他の変形例を示す斜視図である。
【図9】同じく、コッタ及びスプリングリテーナの他の組付け要領を示す要部の縦断面図である。
【図10】従来の動弁装置及びこれによりエンジンバルブをシリンダヘッドに組付けた状態の中央縦断正面図である。
【符号の説明】
(1)動弁装置
(2)エンジンバルブ
(2a)傘部
(2b)軸部
(2c)小径部
(3)シリンダヘッド
(4)スプリングシート
(5)リップシール
(6)バルブスプリング
(7)スプリングリテーナ
(8)コッタ
(9)バルブガイド
(10)環状溝
(11)コッタ
(11a)スリット
(12)スプリングリテーナ
(12a)テーパ孔
(13)タペット
(13a)下向き突部
(14)コッタ
(15)半円筒状コッタ
Claims (7)
- 軸部の中間部がシリンダヘッドに上下に摺動可能に支持されたエンジンバルブを、バルブスプリングを圧縮させることにより、常時上向きに付勢した状態で、シリンダヘッドに装着するための内燃機関用動弁装置であって、
前記エンジンバルブの上端部に圧入可能な内径を有し、かつ外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす径方向に弾性変形可能な逆截頭円錐筒形のコッタと、該コッタの外周面が圧入可能なテーパ孔を中心に有するスプリングリテーナとを備え、前記コッタを、エンジンバルブの上端部外周面と、前記スプリングリテーナのテーパ孔とに圧入することにより、該スプリングリテーナを、前記バルブスプリングの上端を受支した状態で、エンジンバルブの上端部に止着したことを特徴とする内燃機関用動弁装置。 - コッタの円周方向の一部を、軸線方向のスリットをもって切断してなる請求項1記載の内燃機関用動弁装置。
- 軸部の中間部がシリンダヘッドに上下に摺動可能に支持されたエンジンバルブを、バルブスプリングを圧縮させることにより、常時上向きに付勢した状態で、シリンダヘッドに装着するための内燃機関用動弁装置であって、
前記エンジンバルブの上端部に圧入可能な内径を有し、かつ外周面が上方に向かって漸次拡径するテーパ面をなす半円筒状の1対のコッタと、該両コッタの外周面が圧入可能なテーパ孔を中心に有するスプリングリテーナとを備え、前記両コッタを、エンジンバルブの上端部外周面とスプリングリテーナのテーパ孔との間の隙間に圧入することにより、該スプリングリテーナを、前記バルブスプリングの上端を受支した状態で、エンジンバルブの上端部に止着したことを特徴とする内燃機関用動弁装置。 - コッタの内周面とエンジンバルブの上端部外周面との少なくともいずれか一方、及びコッタの外周面とスプリングリテーナのテーパ孔との少なくともいずれか一方を、それぞれ粗面としてなる請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関用動弁装置。
- コッタの上端とエンジンバルブの上端とを面整合させ、それら両方の上端に、タペット又はロッカアームが当接しうるようにした請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関用動弁装置。
- 請求項1、2、4および5のいずれかに記載の動弁装置を、エンジンバルブの上端部に組付ける組付け方法であって、
エンジンバルブの上端部に、スプリングリテーナと、そのテーパ孔に予め圧入して仮固定したコッタとを、該コッタの下端部を軸端部に嵌合することにより保持し、前記スプリングリテーナをバルブスプリングを圧縮させながら押圧することにより、そのテーパ孔よりコッタを離脱させ、かつ該コッタを押圧して、エンジンバルブの上端部に圧入したのち、スプリングリテーナの下方への移動を阻止した状態で、エンジンバルブとコッタの上端とを押圧して、該コッタの外周面をスプリングリテーナのテーパ孔に圧入し、その後、スプリングリテーナとエンジンバルブとコッタの押圧力を解除することを特徴とする内燃機関用動弁装置のエンジンバルブへの組付け方法。 - バルブスプリングを、そのコイル線同士が互いに当接するまで最大限圧縮することにより、スプリングリテーナの下方への移動を阻止するようにした請求項6記載の内燃機関用動弁装置のエンジンバルブへの組付方法。
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JP2002226008A JP2004068634A (ja) | 2002-08-02 | 2002-08-02 | 内燃機関用動弁装置及びそのエンジンバルブへの組付け方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108691598A (zh) * | 2017-04-11 | 2018-10-23 | 福特环球技术公司 | 包括具有气门弹簧的配气机构的内燃发动机和用于安装此类气门弹簧的方法 |
-
2002
- 2002-08-02 JP JP2002226008A patent/JP2004068634A/ja active Pending
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