JP2004068342A - 建築用スリーブ及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄筋コンクリート建築物等の床、壁、梁等のコンクリート躯体に配管を通すための開口部を施工する際に、簡単かつ安価な構造によって配管からの発生音を大幅に減衰すると共に、配管を確実に支持し得る構造の建築用スリーブとその施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】建築物のコンクリート躯体に配管を貫装するための開口部に用いられる建築用スリーブ1であって、スリーブ本体2と該スリーブ本体2の外周面に設けられた振動減衰性を有する遮音層3とからなるものである。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート建築物等の床、壁、梁等のコンクリート躯体に配管を貫装するための開口部を施工する際に用いる建築用スリーブ及びその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルやマンション等の鉄筋コンクリート建築物に給排水、電気、温水、ガス等の配管を通すために、床、壁、梁等のコンクリート躯体に開口部を形成する際、厚紙による紙製スリーブのほか、鉄製等による短管、金属板によるスパイラル管、又は金属板によるテーパ管等の金属製スリーブが用いられている。
【0003】
紙製スリーブを用いた場合、該スリーブを型枠に取り付けた後、スリーブの外周にコンクリートを打設し、コンクリートが所定強度まで固まった後、この紙製スリーブを除去することにより形成された開口部に配管を通し、次いで配管と開口部との間にモルタルを充填することによって配管を固定する。この場合、紙製スリーブは除去されているため、配管外周のモルタルと周囲の打設コンクリートとは直接接触した状態になっている。
【0004】
また、金属製スリーブを用いた場合、図8に示すように、該金属製スリーブ20を型枠に取り付けた後、その外周にコンクリート6を打設し、金属製スリーブ20を撤去せずにコンクリート6中に打ち込んでしまい、スリーブ20中に配管4を通してから、配管4との間にモルタル7を充填することによって配管4を固定する。
【0005】
いずれにしても、床、壁、梁等のコンクリート躯体と、開口部にモルタルを充填して固定された配管とは、直接或いは金属製スリーブ等を介して連結されているため、配管中に流体が流れた際に、配管内部で発生した衝撃や振動がコンクリート躯体に伝達され、これがマンションやビル等に騒音を発生させる原因となっていた。
【0006】
そのような騒音を防止するために、従来は、例えば共同住宅等においては、振動音の出る排水管等の位置を、寝室や居間等の居住空間から遠ざけるというような設計上の配慮で対処していた。
【0007】
なお、近年においては、共同住宅等においても遮音性を高める設計がなされているが、外部の騒音を遮断することが、逆に、建物内の音を聞き取りやすくする結果となり、配管等からの発生音をかえって不快に感じさせる結果となっていた。
【0008】
このような配管等からの発生音を防止するために、図9に示すように、配管4の周りにモルタルではなくてロックウール等の遮音効果のある不燃材22を充填することにより、配管4内部からの振動音を直接躯体に伝達しないようにすることが行われている。
【0009】
ところが、このように配管4の周りにロックウール等の不燃材22を充填する方法では、配管4の重量を支持するのに不十分であるため、配管4の外側に溶接等の方法で取り付けた支持ブラケット23を用い、さらに、床や梁との支持面の間に防振ゴム24を挿入して振動音が伝達するのを防止する方法が用いられていた。
【0010】
しかしながら、上記のように支持ブラケット23を用いたり、防振ゴム24を用いたりする方法は、工事に費用と手間を要するうえ、支持ブラケット23の設置スペースを必要とする等の問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、鉄筋コンクリート建築物等の床、壁、梁等のコンクリート躯体に配管を通すための開口部を施工する際に、簡単かつ安価な構造によって配管からの発生音を大幅に減衰すると共に、配管を確実に支持し得る構造の建築用スリーブとその施工方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1の建築用スリーブは、建築物のコンクリート躯体に配管を貫装するための開口部に用いられる建築用スリーブであって、スリーブ本体と該スリーブ本体の外周面に設けられた振動減衰性を有する遮音層とからなり、前記開口部に装着された前記建築用スリーブが前記遮音層を介して前記開口部周囲のコンクリート躯体に接触すると共に、該建築用スリーブとその内部に貫装された配管との間にモルタルが充填された状態で前記配管から伝送される振動音が前記遮音層によって減衰されるようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明における請求項2の建築用スリーブは、請求項1において、前記スリーブ本体と前記遮音層とをテーパ状に形成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明における請求項3の建築用スリーブは、請求項1又は2において、前記遮音層は、振動減衰性を有する弾性ゴムから構成されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明における請求項4の建築用スリーブは、請求項1、2又は3において、前記遮音層が一体又は別体で前記スリーブ本体の上端および下端を包囲するように設けられていることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明における請求項5の建築用スリーブは、請求項1、2、3又は4記載の建築用スリーブにおいて、コンクリートを打設する以前に型枠の上に前記建築用スリーブを取付固定する工程と、コンクリートを充填する工程と、型枠を撤去する工程と、配管を貫装する工程と、スリーブ本体と配管の間の環状部にモルタルを充填する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施例1)
本発明の実施例1による建築用スリーブ1は、図2に示すように、鉄筋コンクリート建築物のコンクリート躯体に配管4を貫装するための開口部5に用いるものであって、スリーブ本体2と該スリーブ本体2の外周面に設けられた振動減衰性を有する遮音層3とからなるものである。
【0019】
このような建築用スリーブについて詳細に述べると、図1に示すように、スリーブ本体2は金属製から成り、その外周面の遮音層3としては、振動減衰性を有する弾性ゴムを用いることが望ましい。また、この弾性ゴムとして、例えばブチルゴムを使用すると、その塗布作業によってスリーブ本体2の外周面に被覆することが可能となる。
【0020】
また、上記の建築用スリーブ1は、上部口径よりも下部口径が小径に形成されたテーパ形状を有するのが望ましい。そのため、少なくともスリーブ本体2は所定のテーパ形状に形成しておき、遮音層3としてブチルゴムを用いた場合、テーパ形状のスリーブ本体2の外周面にブチルゴムを塗布することによって、遮音層3もまた必然的にテーパ形状に形成される。
【0021】
また、遮音層3の弾性ゴム材料としてネオプレンゴムを用いた場合、予めそのゴム材料を用いた成形加工によってテーパ形状の遮音層3を形成しておき、これをスリーブ本体2の外周面に接着材又は弾性装着等の方法で固定する。
【0022】
いずれの材料を用いた場合でも、建築用スリーブ1をテーパ形状に形成すると、図2に示すように、打設コンクリート6の開口部5の内周もまたテーパ形状に形成されるため、コンクリート床等の開口部5を形成した際にも、この開口部5に接触する建築用スリーブ1が抜け出ることがなく、次の作業工程に移ることができる。
【0023】
次の作業工程とは、上記の建築用スリーブ1内に配管4を通し、該配管4と建築用スリーブ1との間にモルタル7を充填することであり、この作業によって、図2に示すような断面を有する施工状況となる。
【0024】
即ち、図2の断面構成は、建築用スリーブ1が遮音層3を介して開口部5周囲の打設コンクリート6に接触すると共に、該建築用スリーブ1とその内部に貫装された配管4との間にモルタル7が充填された状態であり、配管4から伝送される振動音を遮音層3によって減衰するようにしたものである。
【0025】
従って、配管4内を流体が流れるときに発生する流動音は、モルタル7を介してスリーブ本体2に伝わるが、その振動音は遮音層3によって遮断される結果、コンクリート躯体1には伝達されない。
【0026】
また、建築用スリーブ1が下方小径口のテーパ形状に形成されているため、その内部に充填されたモルタルも下方にずり落ちることがなく、テーパ形状のスリーブ本体2の内周面によって保持され、この状態で配管4の荷重が支持される。
【0027】
また、本発明による建築用スリーブ13は一体として取扱えるため、施工に手間がかからず、従来のように周辺にブラケット等のための無駄なスペースを必要とせず、施工費用を大幅に削減することが可能となる。
【0028】
なお、図2に示す建築用スリーブ1においては、その上端部及び下端部に被覆が施されている。これは、建築用スリーブ1の構成材料のうち、遮音層3に弾性ゴムを用いた場合に、この遮音層3をロックウール等の耐火材料8で被覆したものである。
【0029】
(実施例2及び3)
図3に示す実施例2の建築用スリーブ1は、遮音層3が例えば弾性ゴム等で一体的に形成され、スリーブ本体2の上端および下端を包囲するように折り返されて成る(折返部9)ものである。
【0030】
また、図4に示す実施例3の建築用スリーブ1は、スリーブ本体2の外周面の略全体を覆う遮音層3がブチルゴムで形成され、スリーブ本体2の上端および下端を包囲する断面U字形のリング形部材10がネオプレンゴムで予め形成され、このリング形部材10をスリーブ本体2の上端および下端に嵌め込んだ構成としたものである。
【0031】
上記のような実施例2、3の建築用スリーブ1によれば、該建築用スリーブ1内に配管4を挿通したとき、スリーブ本体2の上端又は下端に配管4が接触した場合でも、該配管4の表面に傷がつかず、また作業者の手等を傷つけずに作業ができるという施工上の利点を有する。
【0032】
(実施例4)
さらに、本発明の実施例4として、図5に示すように、スリーブ本体2の外周面に弾性ゴム等の遮音層3を設け、さらにこの遮音層3の外周面に金属製のスリーブ本体2を設けた構成としてもよい。即ち、この構成は、遮音層3の内周面と外周面とを金属製のスリーブ本体2で挟んだ構成としたものであり、弾性ゴム等の遮音層3を両側面から保護し、強度を上げるようにしている。
【0033】
(実施例5)
また、本発明の実施例5として、図6に示すように、型枠に取り付けた建築用スリーブ1の周囲に床コンクリートやモルタルを打設する時、建築用スリーブ1の内部にコンクリートやモルタルの飛散した塊或いはゴミ等が入らないように、建築用スリーブ1内の開口部5を閉塞するように上蓋12及び下蓋13が設けられている。
【0034】
このような構成において、下蓋12は、建築用スリーブ1内にて床コンクリートの打設に使用される型枠11に、釘、ビス等の固定具14で固定され、下蓋13の中心部に固定したナット16にネジ棒15の下端ネジ部を螺入する一方、上蓋12の外周は建築用スリーブ1の上端に係合し、上記のネジ棒15を上蓋12の中心の開孔に挿通して該ネジ棒15の上端ネジ部をナット16で締付けることにより固定した構成としている。
【0035】
上記の本発明の建築用スリーブ1は、その実施例としてテーパ形状に形成されたものを説明しているが、このスリーブ1を円筒形として、スリーブ本体2の外周面に振動減衰性を有する遮音層3を設けるようにしてもよい。
【0036】
本発明の建築用スリーブ1を用いた施工方法は、図7のフロー図に示すように、コンクリート6を打設する以前に型枠の上に建築用スリーブ1を取付固定する第1の工程と、コンクリート6を打設する第2の工程と、型枠を撤去する第3の工程と、配管4を貫装する第4の工程と、スリーブ本体2と配管4の間の環状部にモルタル7を充填する第5の工程とを有し、上記のように耐火上の必要に応じて第6の工程として建築用スリーブ1の上端部及び下端部に耐火材料8を施すようにする。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の建築用スリーブは、鉄筋コンクリート建築物のコンクリート躯体に配管を貫装するための開口部に用いる建築用スリーブであって、スリーブ本体と該スリーブ本体の外周面に設けられた振動減衰性を有する遮音層とからなり、開口部に装着された建築用スリーブが遮音層を介して開口部周囲のコンクリート躯体に接触すると共に、該建築用スリーブとその内部に貫装された配管との間にモルタルが充填された状態で配管から伝送される振動音が遮音層によって減衰されるようにしたものである。
【0038】
従って、上記のような簡単かつ安価に製造し得る構造によって、配管から発生する流動音等は遮音層によって大幅に減衰されるため、配管内部の流動音等の騒音を防止することができ、建物内部を静かに保つことが可能となる。
【0039】
また、本発明の建築用スリーブをテーパ状に形成すると、打設コンクリートの開口部の内周がテーパ形状として形成され、この開口部に接触する建築用スリーブの抜け出しが防止される。
【0040】
また、本発明の建築用スリーブにおいて、遮音層が一体又は別体でスリーブ本体の上端および下端を包囲するように設けられた構成とすると、スリーブ本体上端又は下端に配管が接触した場合でも、該配管の表面に傷がつかず、また作業者の手等を傷つけずに作業ができるという利点を有する。
【0041】
さらに、本発明の建築用スリーブを用いた施工方法によれば、この建築用スリーブは簡単な構成によって一体品として扱うことができるため、施工に手間がかからず、従来例のブラケットのようなスペースも必要とせず、また施工費が大幅に安価となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による建築用スリーブの全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1による建築用スリーブの施工状況を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例2による建築用スリーブの施工状況を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例3による建築用スリーブの施工状況を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例4による建築用スリーブの施工状況を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例5による建築用スリーブの施工状況を示す断面図である。
【図7】本発明による建築用スリーブの施工方法を示すフロー図である。
【図8】従来の建築用スリーブに関する施工状況を示す断面図である。
【図9】従来の他の建築用スリーブに関する施工状況を示す断面図である。
【符号の説明】
1…建築用スリーブ
2…スリーブ本体
3…遮音層
4…配管
5…開口部
6…コンクリート
7…モルタル
8…耐火材料
9…折返部
10…リング形部材
12…上蓋
13…下蓋
11…型枠
14…固定具
15…ネジ棒
16…ナット

Claims (5)

  1. 建築物のコンクリート躯体に配管を貫装するための開口部に用いられる建築用スリーブであって、スリーブ本体と該スリーブ本体の外周面に設けられた振動減衰性を有する遮音層とからなり、前記開口部に装着された前記建築用スリーブが前記遮音層を介して前記開口部周囲のコンクリート躯体に接触すると共に、該建築用スリーブとその内部に貫装された配管との間にモルタルが充填された状態で前記配管から伝送される振動音が前記遮音層によって減衰されるようにしたことを特徴とする建築用スリーブ。
  2. 前記スリーブ本体と前記遮音層とをテーパ状に形成したことを特徴とする請求項1記載の建築用スリーブ。
  3. 前記遮音層は、振動減衰性を有する弾性ゴムから構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の建築用スリーブ。
  4. 前記遮音層が一体又は別体で前記スリーブ本体の上端および下端を包囲するように設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の建築用スリーブ。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の建築用スリーブにおいて、コンクリートを打設する以前に型枠の上に前記建築用スリーブを取付固定する工程と、コンクリートを充填する工程と、型枠を撤去する工程と、配管を貫装する工程と、スリーブ本体と配管の間の環状部にモルタルを充填する工程とを有することを特徴とする建築用スリーブの施工方法。
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FR3083554A1 (fr) * 2018-07-03 2020-01-10 Vinci Construction France Procede de realisation d'une traversee de dalle de plancher

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