JP2004067610A - アシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法 - Google Patents
アシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】医薬、農薬、動物薬などの原料として非常に有用な、アシルテトラヒドロフラン誘導体の高収率かつ高光学純度な新規な合成法を提供する。
【解決手段】テトラヒドロフランカルボン酸誘導体とハロゲン化剤とを混合する等の方法から調製したテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を、ジアルキル銅リチウム、ジアルキル亜鉛、アルキル銅などのアルキル遷移金属錯体を添加する事により高収率でアシルテトラヒドロフラン誘導体を得ることができる。また、光学活性なテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を用いれば、光学純度を保持したまま光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体を得ることが出来る。
【選択図】なし
【解決手段】テトラヒドロフランカルボン酸誘導体とハロゲン化剤とを混合する等の方法から調製したテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を、ジアルキル銅リチウム、ジアルキル亜鉛、アルキル銅などのアルキル遷移金属錯体を添加する事により高収率でアシルテトラヒドロフラン誘導体を得ることができる。また、光学活性なテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を用いれば、光学純度を保持したまま光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体を得ることが出来る。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体から、アルキル遷移金属錯体を作用させ、アシルテトラヒドロフラン誘導体を製造する方法に関するものである。アシルテトラヒドロフラン誘導体は、医薬、農薬の中間原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
アシルテトラヒドロフラン誘導体を製造する方法としてはラセミ体では知られているが、光学活性体の製造方法は知られていない。ラセミ体のアシルテトラヒドロフランの製造方法は、2−テトラヒドロフランカルボン酸を酸クロライドに変換しアルキルグリニアでアルキル化する方法(特開平8−283264号公報)が存在し、この公報の参考例3および参考例4に臭化メチルマグネシウムを用いてアシルテトラヒドロフラン誘導体を得た例が記載されている。この方法で得られるアシルテトラヒドロフランの収率は高々30%である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法では、過剰のアルキル化が進行し、2−(1−メチル−1−ヒドロキシエチル)テトラヒドロフランが生成してしまうため収率が低い。また、上記の反応では、過剰のアルキル化を抑えるために、−78℃で反応させるため、実際に製造を行うには、非常に困難な操作が必要になる。
【0004】
また、光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体を合成する方法としては、上記のような条件で製造を行うとアルキル化剤が強塩基としての作用も起こし、部分ラセミ化を起こす可能性がある。そのため、新規なアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造法を開発する必要があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、アシルテトラヒドロフラン誘導体の効率的合成法を見出した。
【0006】
即ち本発明は、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体にアルキル遷移金属錯体を作用させることを特徴とするアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施方法を詳細に説明する。
【0008】
本発明における、アシルテトラヒドロフラン誘導体とは、テトラヒドロフラン誘導体にアシル基が結合した化合物であり、好ましくは、
一般式(3)または一般式(4)
【0009】
【化4】
【0010】
で示される化合物である。式中R1、R2、R3は、水素、アルキル基、ハロゲン、エーテル基のいずれかであり、同一であっても異なっていても良い。
【0011】
より好ましくは、式中R1、R2、R3が水素または炭素数1から4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素である。
【0012】
式中R4は、炭素数1から4のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基である。
【0013】
具体的には、2−アセチルテトラヒドロフラン、3−アセチルテトラヒドロフラン、4−メトキシ−2−アセチルテトラヒドロフラン、3−クロロ−2−アセチルテトラヒドロフラン、3−メチル−2−アセチルテトラヒドロフラン、(2−テトラヒドロフリル)エチルケトンなどがあげられ、特に2−アセチルテトラヒドロフランを得る際に好ましく使用される。
【0014】
さらに、本発明の方法は、得られるアシルテトラヒドロフラン誘導体が光学活性体である場合に好ましく使用される。
【0015】
また、本発明における、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体とは、テトラヒドロフラン誘導体に酸ハライド基が結合した化合物であり、好ましくは、一般式(1)または(2)
【0016】
【化5】
【0017】
で示される化合物である。式中R1、R2、R3は、水素、アルキル基、ハロゲンまたはエーテル基のいずれかであり、同一であっても異なっていても良い。
【0018】
より好ましくは、式中R1、R2、R3は水素または炭素数1から4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素である。
【0019】
式中Xは、ハロゲンを表し、好ましくは、塩素または臭素であり、より好ましくは塩素である。
【0020】
具体的には、2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド、2−テトラヒドロフランカルボン酸ブロマイド、3−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド、3−テトラヒドロフランカルボン酸ブロマイド、4−メトキシ−2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド、3−クロロ−2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド、3−メチル−2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライドなどがあげられ、特に2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライドが好ましく使用される。
【0021】
本発明のテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体は、テトラヒドロフランカルボン酸誘導体に、ハロゲン化剤を作用させて得られたものを使用するのが好ましい。
【0022】
ここで、本発明におけるテトラヒドロフランカルボン酸誘導体とは、テトラヒドロフラン誘導体にカルボキシル基がついた化合物であり、好ましくは一般式(5)または(6)
【0023】
【化6】
【0024】
で示される化合物である。式中R1、R2、R3は、水素、アルキル基、ハロゲン、エーテル基のいずれかであり、同一であっても異なっていても良い。
【0025】
より好ましくは、式中R1、R2、R3は水素、炭素数1から4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素である。
【0026】
本発明における、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体は、テトラヒドロフランカルボン酸誘導体を酸ハライドに変換するなどの方法で得られ、公知の酸ハライドを合成する方法で行われる。
【0027】
ハロゲン化剤としては、塩化チオニル、3塩化リン、5塩化リン、3臭化リンなどが使用できる。
【0028】
アシルテトラヒドロフラン誘導体を得るには、まず、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を溶媒に溶かすのが好ましい。
【0029】
このときの溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から、少なくとも一種から選ばれる溶媒で、好ましくは、エーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から少なくとも一種から選ばれる溶媒であり、さらに好ましくは、エーテル、テトラヒドロフランの中から少なくとも一種選ばれる溶媒である。
【0030】
溶媒にテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を溶解させる際、収率を向上させるために、反応容器内を窒素またはアルゴン等の不活性気体で充填させる方が好ましい。
【0031】
次にこの溶液に、アルキル遷移金属錯体を添加する。本発明では、アルキル遷移金属錯体を使用するのが重要である。
【0032】
本発明におけるアルキル遷移金属錯体とは、アルキル基が遷移金属と結合した錯体のことである。錯体に遷移金属でない金属が含まれていてもよい。
【0033】
ここでいうアルキル基とは、好ましくは炭素数1から4のアルキル基であり、より好ましくは、エチル基、メチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、さらに好ましくは、メチル基である。
【0034】
ここでいう遷移金属とは、周期律表でいう第3周期以下の金属元素であり、好ましくはチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリビウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、鉛、ビスマス、ポロニウムであり、より好ましくは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、スズ、ハフニウム、白金、金、水銀、鉛であり、さらに好ましくは、銅、亜鉛、マンガン、カドミウムであり、極めて好ましくは、銅である。
【0035】
アルキル遷移金属錯体類は、従来より知られている方法で合成することができる。
【0036】
このアルカリ遷移金属錯体は、単離品でも溶媒に溶解した状態でもどちらでもよいが、好ましくは、溶媒に溶解した状態の方が良い。
【0037】
溶媒に溶解した状態の方が、アルキル遷移金属錯体を分解させることなく取り扱うことができるので、収率が向上する。
【0038】
このときの溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から、少なくとも一種から選ばれる溶媒で、好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒および、エーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から少なくとも一種から選ばれる溶媒であり、さらに好ましくは、ヘキサン、エーテル、テトラヒドロフランの中から少なくとも一種選ばれる溶媒である。
【0039】
アルキル遷移金属錯体種としては、好ましくはジアルキル亜鉛、アルキル亜鉛、ジアルキル銅リチウム、アルキル銅、アルキルマンガン、ジアルキルカドミウムであり、より好ましくは、ジアルキル銅リチウム、ジアルキル亜鉛、アルキル銅などであり、さらに好ましくは、ジアルキル銅リチウム、ジアルキル亜鉛であり、極めて好ましくはジアルキル銅リチウムである。特にジメチル銅リチウムが好ましい。
【0040】
アルキル遷移金属錯体を添加する温度としては、−78℃〜30℃、好ましくは、−20℃〜30℃、さらに好ましくは、−10℃〜20℃である。
【0041】
アルキル遷移金属錯体は、一括で添加しても、滴下してもどちらでも良いが、好ましくは滴下する方が好ましい。
【0042】
アルキル遷移金属錯体の滴下時間としては、5分から10時間、好ましくは、5分から3時間、さらに好ましくは、30分から2時間の範囲である。この範囲で滴下すると収率が向上する。
【0043】
アルキル遷移金属錯体を入れた反応液を、アルキル遷移金属錯体を添加した後、5分から24時間、好ましくは、5分から10時間、さらに好ましくは5分から3時間攪拌する。
【0044】
以上のようにして得られた反応液は、水と混合して反応を停止させる。反応を停止させた後、濾過、分液、蒸留、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、などで精製を行い、アシルテトラヒドロフラン誘導体を得る。
【0045】
本発明を用いれば、アシルテトラヒドロフラン誘導体を高収率で得ることができる。
【0046】
本発明は、出発原料を光学活性テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を用いれば、その立体配置を維持しながら、高い光学純度の光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体を合成することができる。
【0047】
光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体の合成方法は、これまで全く知られておらず、本方法は、その高い光学純度のアシルテトラヒドロフラン誘導体を得る方法としても非常に価値のある方法である。
【0048】
アシルテトラヒドロフラン誘導体または光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体は、医薬、農薬、動物薬などの中間体として非常に有用な化合物である。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定されるものではない。
【0050】
本実施例では、アシルテトラヒドロフラン誘導体の定量分析及び光学純度分析を以下の方法で実施した。
【0051】
定量分析法
ガスクロマトグラフ法を用い、内部標準法にて算出した。
使用機器:パックドガスクロマトグラフ GC−14A(株式会社島津製作所製)
カラム:Unisole 30T 5% Chromosorb WAW DMCS 80/100 mesh
温度条件:80℃(10分)→4℃/min→200℃(10分)
検出:FID
検出温度:250℃
内部標準物質:ジフェニルエーテル
アシルテトラヒドロフラン誘導体の光学純度分析法
ガスクロマトグラフ法を用いた。
使用機器:キャピラリーガスクロマトグラフ GC−14A(株式会社島津製作所製)
カラム:Chiraldex B−TA 0.25mmI.D.×30m×0.125μm film thickness(東京化成株式会社製)
温度:60℃(一定)
検出:FID
注入温度:150℃
検出温度:150℃
【0052】
参考例1
(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸クロライドの合成(テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体の合成)
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却管、蒸留装置を備えた300mlのナスフラスコに、(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸(東レ株式会社製、99%e.e.以上)58.05gを加えた。この反応器にシリンジで塩化チオニル81.07gを50分かけて滴下した。この反応溶液を室温にて30分攪拌し、引き続き反応溶液を徐々に50℃まで加熱し、3時間加熱した。加熱熟成した反応液を30Torrまで減圧し、過剰の塩化チオニル、二酸化硫黄、塩酸等を留去し、(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸クロライドの粗生成物を63.3gを得た。純度88.5%。以下、この粗生成物を出発原料として用いた。本酸クロライドをメチルエステル化し、光学純度分析を行ったところ99%e.e.以上であった。
【0053】
参考例2
ジメチル銅リチウムの合成(アルキル遷移金属錯体の合成)
新実験化学講座12有機金属化学P264(日本化学会編、1976発刊)の方法に従って合成を行った。
【0054】
窒素雰囲気下にした30mlナスフラスコにヨウ化銅(関東化学社製)0.95g、ジエチルエーテル(関東化学社製、無水グレード)10mlを加え、反応溶液−18℃にした。この反応溶液にメチルリチウム1.1M(関東化学社製)を9.1ml加えた。反応溶液は黄色の均一溶液になった。これを実施例3での光学活性2−アシルテトラヒドロフラン製造のアルキル遷移金属錯体として使用した。
【0055】
実施例1(アシルテトラヒドロフラン誘導体の合成)
窒素雰囲気下、30mlナスフラスコにテトラヒドロフラン10ml、実施例1で合成した(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド1.55g(10mmol)を加えた。この反応溶液に対して、実施例2で合成したジメチル銅リチウム・ジエチルエーテル溶液を室温下30分かけて滴下した。この反応溶液を2時間攪拌した後に、水10ml加え反応を停止した。得られた反応液に内部標準物質ジフェニルエーテルを加え、ガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、収率64%で(2R)−アセチルテトラヒドロフランが得られた。反応液に酢酸エチルを加え、不溶分を濾過により除去し、残った有機層を水で洗浄し、光学純度分析を行ったところ、生成物の光学純度は99%e.e.以上であった。
【0056】
実施例2(アシルテトラヒドロフラン誘導体の合成)
窒素雰囲気下、30mlナスフラスコにテトラヒドロフラン10ml、(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド1.54g(10mmol)を加えた。この反応溶液に対して、ジメチル亜鉛のヘキサン溶液1M(関東化学社製)5mlを室温下30分かけて滴下した。滴下終了後この反応溶液を2時間攪拌した後に、水10ml加え反応を停止した。得られた反応液に内部標準物質ジフェニルエーテルを加え、ガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、収率32%で(2R)−アセチルテトラヒドロフランが得られた。反応液に酢酸エチルを加え、不溶分を濾過により除去し、残った有機層を水で洗浄し、光学純度分析を行ったところ、生成物の光学純度は99%e.e.以上であった。
【0057】
【発明の効果】
本発明を用いれば、医薬、農薬、動物薬などの原料として有用な、アシルテトラヒドロフラン誘導体を高収率で得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体から、アルキル遷移金属錯体を作用させ、アシルテトラヒドロフラン誘導体を製造する方法に関するものである。アシルテトラヒドロフラン誘導体は、医薬、農薬の中間原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
アシルテトラヒドロフラン誘導体を製造する方法としてはラセミ体では知られているが、光学活性体の製造方法は知られていない。ラセミ体のアシルテトラヒドロフランの製造方法は、2−テトラヒドロフランカルボン酸を酸クロライドに変換しアルキルグリニアでアルキル化する方法(特開平8−283264号公報)が存在し、この公報の参考例3および参考例4に臭化メチルマグネシウムを用いてアシルテトラヒドロフラン誘導体を得た例が記載されている。この方法で得られるアシルテトラヒドロフランの収率は高々30%である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法では、過剰のアルキル化が進行し、2−(1−メチル−1−ヒドロキシエチル)テトラヒドロフランが生成してしまうため収率が低い。また、上記の反応では、過剰のアルキル化を抑えるために、−78℃で反応させるため、実際に製造を行うには、非常に困難な操作が必要になる。
【0004】
また、光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体を合成する方法としては、上記のような条件で製造を行うとアルキル化剤が強塩基としての作用も起こし、部分ラセミ化を起こす可能性がある。そのため、新規なアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造法を開発する必要があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、アシルテトラヒドロフラン誘導体の効率的合成法を見出した。
【0006】
即ち本発明は、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体にアルキル遷移金属錯体を作用させることを特徴とするアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施方法を詳細に説明する。
【0008】
本発明における、アシルテトラヒドロフラン誘導体とは、テトラヒドロフラン誘導体にアシル基が結合した化合物であり、好ましくは、
一般式(3)または一般式(4)
【0009】
【化4】
【0010】
で示される化合物である。式中R1、R2、R3は、水素、アルキル基、ハロゲン、エーテル基のいずれかであり、同一であっても異なっていても良い。
【0011】
より好ましくは、式中R1、R2、R3が水素または炭素数1から4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素である。
【0012】
式中R4は、炭素数1から4のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基である。
【0013】
具体的には、2−アセチルテトラヒドロフラン、3−アセチルテトラヒドロフラン、4−メトキシ−2−アセチルテトラヒドロフラン、3−クロロ−2−アセチルテトラヒドロフラン、3−メチル−2−アセチルテトラヒドロフラン、(2−テトラヒドロフリル)エチルケトンなどがあげられ、特に2−アセチルテトラヒドロフランを得る際に好ましく使用される。
【0014】
さらに、本発明の方法は、得られるアシルテトラヒドロフラン誘導体が光学活性体である場合に好ましく使用される。
【0015】
また、本発明における、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体とは、テトラヒドロフラン誘導体に酸ハライド基が結合した化合物であり、好ましくは、一般式(1)または(2)
【0016】
【化5】
【0017】
で示される化合物である。式中R1、R2、R3は、水素、アルキル基、ハロゲンまたはエーテル基のいずれかであり、同一であっても異なっていても良い。
【0018】
より好ましくは、式中R1、R2、R3は水素または炭素数1から4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素である。
【0019】
式中Xは、ハロゲンを表し、好ましくは、塩素または臭素であり、より好ましくは塩素である。
【0020】
具体的には、2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド、2−テトラヒドロフランカルボン酸ブロマイド、3−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド、3−テトラヒドロフランカルボン酸ブロマイド、4−メトキシ−2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド、3−クロロ−2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド、3−メチル−2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライドなどがあげられ、特に2−テトラヒドロフランカルボン酸クロライドが好ましく使用される。
【0021】
本発明のテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体は、テトラヒドロフランカルボン酸誘導体に、ハロゲン化剤を作用させて得られたものを使用するのが好ましい。
【0022】
ここで、本発明におけるテトラヒドロフランカルボン酸誘導体とは、テトラヒドロフラン誘導体にカルボキシル基がついた化合物であり、好ましくは一般式(5)または(6)
【0023】
【化6】
【0024】
で示される化合物である。式中R1、R2、R3は、水素、アルキル基、ハロゲン、エーテル基のいずれかであり、同一であっても異なっていても良い。
【0025】
より好ましくは、式中R1、R2、R3は水素、炭素数1から4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素である。
【0026】
本発明における、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体は、テトラヒドロフランカルボン酸誘導体を酸ハライドに変換するなどの方法で得られ、公知の酸ハライドを合成する方法で行われる。
【0027】
ハロゲン化剤としては、塩化チオニル、3塩化リン、5塩化リン、3臭化リンなどが使用できる。
【0028】
アシルテトラヒドロフラン誘導体を得るには、まず、テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を溶媒に溶かすのが好ましい。
【0029】
このときの溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から、少なくとも一種から選ばれる溶媒で、好ましくは、エーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から少なくとも一種から選ばれる溶媒であり、さらに好ましくは、エーテル、テトラヒドロフランの中から少なくとも一種選ばれる溶媒である。
【0030】
溶媒にテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を溶解させる際、収率を向上させるために、反応容器内を窒素またはアルゴン等の不活性気体で充填させる方が好ましい。
【0031】
次にこの溶液に、アルキル遷移金属錯体を添加する。本発明では、アルキル遷移金属錯体を使用するのが重要である。
【0032】
本発明におけるアルキル遷移金属錯体とは、アルキル基が遷移金属と結合した錯体のことである。錯体に遷移金属でない金属が含まれていてもよい。
【0033】
ここでいうアルキル基とは、好ましくは炭素数1から4のアルキル基であり、より好ましくは、エチル基、メチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、さらに好ましくは、メチル基である。
【0034】
ここでいう遷移金属とは、周期律表でいう第3周期以下の金属元素であり、好ましくはチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリビウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、鉛、ビスマス、ポロニウムであり、より好ましくは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、スズ、ハフニウム、白金、金、水銀、鉛であり、さらに好ましくは、銅、亜鉛、マンガン、カドミウムであり、極めて好ましくは、銅である。
【0035】
アルキル遷移金属錯体類は、従来より知られている方法で合成することができる。
【0036】
このアルカリ遷移金属錯体は、単離品でも溶媒に溶解した状態でもどちらでもよいが、好ましくは、溶媒に溶解した状態の方が良い。
【0037】
溶媒に溶解した状態の方が、アルキル遷移金属錯体を分解させることなく取り扱うことができるので、収率が向上する。
【0038】
このときの溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から、少なくとも一種から選ばれる溶媒で、好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒および、エーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から少なくとも一種から選ばれる溶媒であり、さらに好ましくは、ヘキサン、エーテル、テトラヒドロフランの中から少なくとも一種選ばれる溶媒である。
【0039】
アルキル遷移金属錯体種としては、好ましくはジアルキル亜鉛、アルキル亜鉛、ジアルキル銅リチウム、アルキル銅、アルキルマンガン、ジアルキルカドミウムであり、より好ましくは、ジアルキル銅リチウム、ジアルキル亜鉛、アルキル銅などであり、さらに好ましくは、ジアルキル銅リチウム、ジアルキル亜鉛であり、極めて好ましくはジアルキル銅リチウムである。特にジメチル銅リチウムが好ましい。
【0040】
アルキル遷移金属錯体を添加する温度としては、−78℃〜30℃、好ましくは、−20℃〜30℃、さらに好ましくは、−10℃〜20℃である。
【0041】
アルキル遷移金属錯体は、一括で添加しても、滴下してもどちらでも良いが、好ましくは滴下する方が好ましい。
【0042】
アルキル遷移金属錯体の滴下時間としては、5分から10時間、好ましくは、5分から3時間、さらに好ましくは、30分から2時間の範囲である。この範囲で滴下すると収率が向上する。
【0043】
アルキル遷移金属錯体を入れた反応液を、アルキル遷移金属錯体を添加した後、5分から24時間、好ましくは、5分から10時間、さらに好ましくは5分から3時間攪拌する。
【0044】
以上のようにして得られた反応液は、水と混合して反応を停止させる。反応を停止させた後、濾過、分液、蒸留、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、などで精製を行い、アシルテトラヒドロフラン誘導体を得る。
【0045】
本発明を用いれば、アシルテトラヒドロフラン誘導体を高収率で得ることができる。
【0046】
本発明は、出発原料を光学活性テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体を用いれば、その立体配置を維持しながら、高い光学純度の光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体を合成することができる。
【0047】
光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体の合成方法は、これまで全く知られておらず、本方法は、その高い光学純度のアシルテトラヒドロフラン誘導体を得る方法としても非常に価値のある方法である。
【0048】
アシルテトラヒドロフラン誘導体または光学活性アシルテトラヒドロフラン誘導体は、医薬、農薬、動物薬などの中間体として非常に有用な化合物である。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定されるものではない。
【0050】
本実施例では、アシルテトラヒドロフラン誘導体の定量分析及び光学純度分析を以下の方法で実施した。
【0051】
定量分析法
ガスクロマトグラフ法を用い、内部標準法にて算出した。
使用機器:パックドガスクロマトグラフ GC−14A(株式会社島津製作所製)
カラム:Unisole 30T 5% Chromosorb WAW DMCS 80/100 mesh
温度条件:80℃(10分)→4℃/min→200℃(10分)
検出:FID
検出温度:250℃
内部標準物質:ジフェニルエーテル
アシルテトラヒドロフラン誘導体の光学純度分析法
ガスクロマトグラフ法を用いた。
使用機器:キャピラリーガスクロマトグラフ GC−14A(株式会社島津製作所製)
カラム:Chiraldex B−TA 0.25mmI.D.×30m×0.125μm film thickness(東京化成株式会社製)
温度:60℃(一定)
検出:FID
注入温度:150℃
検出温度:150℃
【0052】
参考例1
(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸クロライドの合成(テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体の合成)
窒素雰囲気下、温度計、還流冷却管、蒸留装置を備えた300mlのナスフラスコに、(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸(東レ株式会社製、99%e.e.以上)58.05gを加えた。この反応器にシリンジで塩化チオニル81.07gを50分かけて滴下した。この反応溶液を室温にて30分攪拌し、引き続き反応溶液を徐々に50℃まで加熱し、3時間加熱した。加熱熟成した反応液を30Torrまで減圧し、過剰の塩化チオニル、二酸化硫黄、塩酸等を留去し、(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸クロライドの粗生成物を63.3gを得た。純度88.5%。以下、この粗生成物を出発原料として用いた。本酸クロライドをメチルエステル化し、光学純度分析を行ったところ99%e.e.以上であった。
【0053】
参考例2
ジメチル銅リチウムの合成(アルキル遷移金属錯体の合成)
新実験化学講座12有機金属化学P264(日本化学会編、1976発刊)の方法に従って合成を行った。
【0054】
窒素雰囲気下にした30mlナスフラスコにヨウ化銅(関東化学社製)0.95g、ジエチルエーテル(関東化学社製、無水グレード)10mlを加え、反応溶液−18℃にした。この反応溶液にメチルリチウム1.1M(関東化学社製)を9.1ml加えた。反応溶液は黄色の均一溶液になった。これを実施例3での光学活性2−アシルテトラヒドロフラン製造のアルキル遷移金属錯体として使用した。
【0055】
実施例1(アシルテトラヒドロフラン誘導体の合成)
窒素雰囲気下、30mlナスフラスコにテトラヒドロフラン10ml、実施例1で合成した(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド1.55g(10mmol)を加えた。この反応溶液に対して、実施例2で合成したジメチル銅リチウム・ジエチルエーテル溶液を室温下30分かけて滴下した。この反応溶液を2時間攪拌した後に、水10ml加え反応を停止した。得られた反応液に内部標準物質ジフェニルエーテルを加え、ガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、収率64%で(2R)−アセチルテトラヒドロフランが得られた。反応液に酢酸エチルを加え、不溶分を濾過により除去し、残った有機層を水で洗浄し、光学純度分析を行ったところ、生成物の光学純度は99%e.e.以上であった。
【0056】
実施例2(アシルテトラヒドロフラン誘導体の合成)
窒素雰囲気下、30mlナスフラスコにテトラヒドロフラン10ml、(2R)−テトラヒドロフランカルボン酸クロライド1.54g(10mmol)を加えた。この反応溶液に対して、ジメチル亜鉛のヘキサン溶液1M(関東化学社製)5mlを室温下30分かけて滴下した。滴下終了後この反応溶液を2時間攪拌した後に、水10ml加え反応を停止した。得られた反応液に内部標準物質ジフェニルエーテルを加え、ガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、収率32%で(2R)−アセチルテトラヒドロフランが得られた。反応液に酢酸エチルを加え、不溶分を濾過により除去し、残った有機層を水で洗浄し、光学純度分析を行ったところ、生成物の光学純度は99%e.e.以上であった。
【0057】
【発明の効果】
本発明を用いれば、医薬、農薬、動物薬などの原料として有用な、アシルテトラヒドロフラン誘導体を高収率で得ることができる。
Claims (8)
- テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体にアルキル遷移金属錯体を作用させることを特徴とするアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法。
- テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体が光学活性体であり、得られる生成物が同じ立体配置を持つ光学活性体であることを特徴とする請求項1または2記載のアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法。
- アルキル遷移金属錯体が、ジアルキル銅リチウム、ジアルキル亜鉛、アルキル銅のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法。
- アルキル遷移金属錯体が、ジアルキル銅リチウムであることを特徴とする請求項4項記載のアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法。
- アルキル遷移金属錯体が、ジメチル銅リチウムであることを特徴とする請求項5項記載のアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法。
- テトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体が、テトラヒドロフランカルボン酸誘導体にハロゲン化剤を作用させて得られたテトラヒドロフランカルボン酸ハライド誘導体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のアシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法。
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JP2002230985A JP2004067610A (ja) | 2002-08-08 | 2002-08-08 | アシルテトラヒドロフラン誘導体の製造方法 |
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CN105669606A (zh) * | 2016-01-04 | 2016-06-15 | 成都丽凯手性技术有限公司 | 一种高光学纯度1-[四氢-2-呋喃基]乙酮的工业化制备方法 |
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2002
- 2002-08-08 JP JP2002230985A patent/JP2004067610A/ja active Pending
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