JP2004066088A - 破砕機およびそれを搭載した自走式破砕装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カッタ間隙間調整間隔時間を長くできて、稼働率を高くできる破砕機およびそれを搭載した自走式破砕装置を提供する。
【解決手段】第1、第2軸(10,11)に複数個のカッタ(20)とスペーサ(21)とを交互に嵌入し、第1、第2軸(10,11)に設けた段付部(12)に当接させて軸端部からカッタ間隙間防止機構(30)で締付ける。カッタ間隙間防止機構(30)による締め付けは、軸受(3)の外側から座金(31)と、円筒部(33)及びフランジ部(34)を有する締付部材(32)とを嵌入し、座金(31)とフランジ部(34)との間に皿ばね(37)を設ける。軸端に締着したプレート(40)にねじ込んだ調整ボルト(42)の先端部でフランジ部(34)を押して、カッタ(20)及びスペーサ(21)を締付部材(32)と皿ばね(37)との力の和で締め付ける。
【選択図】 図2
【解決手段】第1、第2軸(10,11)に複数個のカッタ(20)とスペーサ(21)とを交互に嵌入し、第1、第2軸(10,11)に設けた段付部(12)に当接させて軸端部からカッタ間隙間防止機構(30)で締付ける。カッタ間隙間防止機構(30)による締め付けは、軸受(3)の外側から座金(31)と、円筒部(33)及びフランジ部(34)を有する締付部材(32)とを嵌入し、座金(31)とフランジ部(34)との間に皿ばね(37)を設ける。軸端に締着したプレート(40)にねじ込んだ調整ボルト(42)の先端部でフランジ部(34)を押して、カッタ(20)及びスペーサ(21)を締付部材(32)と皿ばね(37)との力の和で締め付ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、破砕機に関し、特には多層にしたカッタの、カッタ間の隙間発生防止機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設廃材、廃木材、廃プラスチック、廃家電品および廃薄鋼板等を破砕するために、回転式のせん断破砕機が使用されている。その従来技術としては、例えば米国特許US−5205495A公報に示されたものがある。図5は一例の破砕機60の平面一部断面図であり、図6は図5のX−X矢視の正面一部断面図である。図5、図6において、ケース2には第1軸61及び第2軸62が並列に配置されている。第1軸61及び第2軸62にはそれぞれ段付部12,12が設けられ、複数個のカッタ20とスペーサ21とが交互に積層されて嵌入され、軸端部に設けられたカッタ間隙間防止機構70と段付部12との間で締め付けられている。第1軸61は段付部12の外側に第1歯車13を有し、更にその外側の軸端部に入力部14を備えている。第1軸61は軸受3,4,5によりケース2に回転自在に支持されている。第2軸62は段付部12の外側に第2歯車15を有し、第1軸61と同様の軸受3,4,5によりケース2に回転自在に支持されている。第1歯車13と第2歯車15とは噛み合っており、第1軸61と第2軸62のカッタ20の先端部は相互に相手のスペーサ21の位置に挿入され、重なり合うようになっている。又、第1軸61と第2軸62のそれぞれ隣接するカッタ20の間には、クリーニングフィンガ22が配置されている。
【0003】
図7は図5のQ部詳細図であり、カッタ間隙間防止機構70の構成を示している。図7において、第1軸61及び第2軸62の、段付部12と反対側の端部には、スペーサ21、リング23、カラー24、軸受3、座金71、リテーナ72が順次嵌入されている。第1軸61及び第2軸62の軸端部の外周面には環状の溝63が形成されており、該溝63には2つ割りリング73が係合して取付けられている。この2つ割りリング73の外周縁部には前記リテーナ72に形成された凹部74が係合し、2つ割りリング73が溝63から脱落しないように取り付けてある。リテーナ72には周方向に複数個の調整ボルト42が貫通して締め込まれ、その先端部は前記座金71に当接している。すなわち、調整ボルト42を締め込むことにより、座金71、軸受3、カラー24及びリング23を介してカッタ20とスペーサ21とは前述の第1軸61及び第2軸62の段付部12に押し付けられる。調整ボルト42は所定の力で締付けられた後、ロックナット43で固定される。
【0004】
次に破砕機60の作動について説明する。図5において、入力部14からの動力により第1軸61が回転駆動されると、第2軸62は第1歯車13および第2歯車15を介して回転駆動される。その結果、図6に示すように、カッタ20,20は矢印方向に回転する。被破砕物をケース2内に白矢印の方向から投入すると、被破砕物はカッタ20,20により破砕され、下方に排出される。その間、隣接するカッタ20,20の間に付着した被破砕物はクリーニングフィンガ22により排除される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては以下のような問題点がある。図8はカッタ間隙間防止機構70の調整ボルト42の締付力を示すグラフである。図8において、縦軸は締付力であり、横軸は時間である。当初の締付力はFAである。FAは装置の強度上から得られる最大の値に定められる。すなわち各カッタ20とスペーサ21との間には締付力FAが発生し、隙間はない。この状態で破砕作業を行うと、時間が経過するにつれて、破砕時の反力による第1、第2軸61,62の撓み等によりカッタ20とスペーサ21との間にヘタリや磨耗が生じる。その結果、調整ボルト42の締付力はグラフに示すように急激に低下し、カッタ20とスペーサ21との間の締付力が低下し、遂には0になって隙間が発生する。その隙間に破砕屑や塵埃等が侵入し、磨耗してガタを生じ、カッタ20同士が干渉したり、切れ味が落ちたりする。さらには第1軸61や第2軸62が磨耗し、機械の寿命を低下させる。それを防止するため、締付力が図8に示す所定値FB(<FA)に達すると増し締めを行う。増し締めは時間T1を定めて定期的に行われ、例えばT1=500時間である。すなわち、短期間で機械を停止して増し締めを行わなければならないので、メンテナンスに多大の工数を要すると共に、破砕機を含む全体の装置の稼働率を低下させるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、カッタ間隙間調整間隔時間を長くできて、稼働率を高くできる破砕機およびそれを搭載した自走式破砕装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、破砕機において、ケースと、多層にしたカッタを貫通し、前記ケースに軸受を介して回転自在に支持された軸と、前記カッタを軸方向に締め付けるとともに、カッタ間の軸方向隙間を防止するカッタ間隙間防止機構とを備え、前記カッタ間隙間防止機構は、前記カッタに軸方向の締付力を付与する弾性体を有する構成としている。
【0008】
第1発明によると、カッタ間隙間防止機構に、カッタに軸方向の締付力を付与する弾性体を設けたためばね定数を小さくすることができ、カッタ間が磨耗しても所定のストロークの間、軸方向の締付力が付与されているので、所定の締付力を保持することができる。そのため、締付力が所定の値に低下するまでの時間を延長することができ、増し締め調整間隔を長くして稼働率の向上を図ることができる。
【0009】
第2発明は、第1発明において、前記弾性体は鋼製ばね体である構成としている。
【0010】
第2発明によると、弾性体を鋼製ばね体としたため、小型で所定のストロークの間、大きな力を発生させることができ、耐久性も高い。
【0011】
第3発明は、第2発明において、前記鋼製ばね体は皿ばねである構成としている。
【0012】
第3発明によると、鋼製ばね体を皿ばねにしたため、更に小さい場積で大きなストロークと力とを得ることができ、カッタ間隙間防止機構をコンパクトにすることができる。
【0013】
第4発明は、第2、第3発明において、前記カッタ間隙間防止機構は、前記カッタを軸方向に前記軸受を介して締め付ける締付部材および鋼製ばね体と、前記軸受と前記締付部材および鋼製ばね体との間に介装される座金とを有する構成としている。
【0014】
第4発明によると、締付部材および鋼製ばね体と軸受との間に座金を介装したため、座金と軸受との接触面積を十分に確保でき、接触面圧が低くなって耐久性が向上する。
【0015】
第5発明は、自走式破砕装置において、ケースと、多層にしたカッタを貫通し、前記ケースに軸受を介して回転自在に支持された軸と、前記カッタを軸方向に締め付けるとともに、カッタ間の軸方向隙間を防止するカッタ間隙間防止機構とを備え、前記カッタ間隙間防止機構は、前記カッタに軸方向の締付力を付与する弾性体を有する破砕機を搭載した構成としている。
【0016】
第5発明によると、カッタ間隙間防止機構に、カッタに軸方向の締付力を付与する弾性体を設け、増し締め調整間隔を長くした破砕機を自走式破砕装置に搭載した。そのため、任意の場所で破砕作業を行うことができ、しかも増し締め調整間隔が長いため、作業の効率化と稼働率の向上を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る破砕機およびそれを搭載した自走式破砕装置の実施形態について図面を参照して詳述する。
【0018】
図1は破砕機1の平面一部断面図である。図5に示す従来のものと同一部材には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図1において、ケース2には第1軸10及び第2軸11が並列に配置され、軸受3,4,5を介して回転自在に支承されている。第1軸10及び第2軸11の一端側にはそれぞれ段付部12,12が形成されており、該段付部12の小径側には複数個のカッタ20とスペーサ21とが交互に積層されて嵌入されている。そして、段付部12と反対側の軸端部に設けられたカッタ間隙間防止機構30と段付部12との間で、所定の締付力で締め付けられている。
【0019】
図2は本発明のカッタ間隙間防止機構30の詳細図であり、図1のP部詳細図である。第1軸10及び第2軸11の、段付部12と反対側の端部には、スペーサ21に当接するリング23と、カラー24と、軸受3とが順次嵌入され、軸受3の外側に座金31及び締付部材32が直列に、それぞれ当接して配置されている。締付部材32は筒状部33とフランジ部34とからなり、座金31と締付部材32のフランジ部34との間には筒状部33の外周部に、弾性体35の一例である鋼製ばね体36を構成する皿ばね37が装着されている。また、第1軸10及び第2軸11の軸端部にはそれぞれプレート40がボルト41により締着されており、プレート40に貫通して取付けられた調整ボルト42の先端部は締付部材32のフランジ部34の端面に当接している。調整ボルト42は締め付け後、ロックナット43によりロックされる。
【0020】
次にカッタ20の締着方法について説明する。図1及び図2において、第1軸10及び第2軸11に所定個数のカッタ20及びスペーサ21を交互に嵌入し、端部を第1、第2軸10,11の段付部12に当接させる。次に段付部12と反対側の軸端部にリング23、カラー24、軸受3、座金31、皿ばね37及び締付部材32を順次嵌入する。次に、その軸端にプレート40をボルト41により締着し、調整ボルト42で締付部材32を締め付ける。この時、皿ばね37は所定量撓むと共に、締付部材32は座金31に当接してカッタ20及びカラー23を所定の締付力で締め付ける。すなわち、締付力は締付部材32による締付力と皿ばね37による締付力との和になる。
【0021】
破砕機1の作動については従来のものと同一なので説明は省略する。
【0022】
次に効果について説明する。図3はカッタ間隙間防止機構30による締付力を示すグラフである。図3において、縦軸は締付力であり、横軸は時間である。調整ボルト42の当初の締付力はFAであり、FAの値は装置の強度上から定められ、従来のものと同一である。FAは前述のように、締付部材32による締付力FCと皿ばね37による締付力FDとの和である。この状態で作業を行うと、時間の経過に伴って締付部材32による締付力は急激に低下し、図示のM点で皿ばね37の締付力FD1となる。以降締付力の低下は皿ばね37のばね定数に従って緩やかになる。このため、締付力が増し締めを必要とするFBになるまでの時間T2が従来の増し締めする時間間隔T1よりも長くなり、本出願人の実験例では例えば1000時間以上になり、整備に要する時間及び工数を低減して稼動率を向上できる。なお、図中の2点鎖線は従来のものの締付力の線図である。
【0023】
本実施形態においては、弾性体35を鋼製ばね体36である皿ばね37とした例で示しているが、弾性体35は例えばゴム、合成樹脂等でもよく、また鋼製ばね体36は例えばコイルばね等であっても構わない。また、皿ばねの配置、個数は上記実施形態に限定されない。さらに、2軸せん断破砕機を例に説明したが、1軸、または3軸以上のせん断破砕機であっても構わない。
【0024】
図4は本発明のカッタ間隙間防止機構30を有する破砕機1を搭載した自走式破砕装置50の側面図である。この自走式破砕装置50は、下部に履帯式走行装置51を有する本体フレーム52の前後方向一側に破砕機1を搭載し、該破砕機1の上部に被破砕物を投入するホッパ53を設けている。破砕機1の下方には、破砕物(製品)を外部に搬出する搬出用コンベア54が設けられている。また、破砕機1と反対側の本体フレーム52には、エンジン等の動力発生源55が搭載されている。
【0025】
自走式破砕装置50は、作業時に任意の作業現場に自走して移動することができる。被破砕物をホッパ53に投入し、破砕機1で破砕して製品化し、搬出用コンベア54で機外に製品を搬出する。
【0026】
上記構成によれば、前述のように破砕機1のカッタ間隙間調整のための整備時間、整備工数が少なく、メンテナンスが容易で、かつ作業効率の良い破砕機1を自走式破砕装置50に搭載したため、破砕装置全体の稼働率を向上できる。また、任意の作業現場等で作業できるので、その場で製品化して使用することも可能であり、破砕機の作業性及び汎用性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカッタ間隙間防止機構を有する破砕機の平面一部断面図である。
【図2】図1のP部詳細図である。
【図3】本発明のカッタ間隙間防止機構の締付力を示すグラフである。
【図4】本発明に係る破砕機を搭載した自走式破砕装置の側面図である。
【図5】従来のカッタ間隙間防止機構を有する破砕機の平面一部断面図である。
【図6】図5のX−X矢視図である。
【図7】図5のQ部詳細図である。
【図8】従来のカッタ間隙間防止機構の締付力を示すグラフである。
【符号の説明】
1…破砕機、2…ケース、3,4,5…軸受、10…第1軸、11…第2軸、12…段付部、13…第1歯車、15…第2歯車、20…カッタ、21…スペーサ、22…クリーニングフィンガ、23…リング、24…カラー、30…カッタ間隙間防止機構、31…座金、32…締付部材、33…筒状部、34…フランジ部、35…弾性体、36…鋼製ばね体、37…皿ばね、50…自走式破砕装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、破砕機に関し、特には多層にしたカッタの、カッタ間の隙間発生防止機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設廃材、廃木材、廃プラスチック、廃家電品および廃薄鋼板等を破砕するために、回転式のせん断破砕機が使用されている。その従来技術としては、例えば米国特許US−5205495A公報に示されたものがある。図5は一例の破砕機60の平面一部断面図であり、図6は図5のX−X矢視の正面一部断面図である。図5、図6において、ケース2には第1軸61及び第2軸62が並列に配置されている。第1軸61及び第2軸62にはそれぞれ段付部12,12が設けられ、複数個のカッタ20とスペーサ21とが交互に積層されて嵌入され、軸端部に設けられたカッタ間隙間防止機構70と段付部12との間で締め付けられている。第1軸61は段付部12の外側に第1歯車13を有し、更にその外側の軸端部に入力部14を備えている。第1軸61は軸受3,4,5によりケース2に回転自在に支持されている。第2軸62は段付部12の外側に第2歯車15を有し、第1軸61と同様の軸受3,4,5によりケース2に回転自在に支持されている。第1歯車13と第2歯車15とは噛み合っており、第1軸61と第2軸62のカッタ20の先端部は相互に相手のスペーサ21の位置に挿入され、重なり合うようになっている。又、第1軸61と第2軸62のそれぞれ隣接するカッタ20の間には、クリーニングフィンガ22が配置されている。
【0003】
図7は図5のQ部詳細図であり、カッタ間隙間防止機構70の構成を示している。図7において、第1軸61及び第2軸62の、段付部12と反対側の端部には、スペーサ21、リング23、カラー24、軸受3、座金71、リテーナ72が順次嵌入されている。第1軸61及び第2軸62の軸端部の外周面には環状の溝63が形成されており、該溝63には2つ割りリング73が係合して取付けられている。この2つ割りリング73の外周縁部には前記リテーナ72に形成された凹部74が係合し、2つ割りリング73が溝63から脱落しないように取り付けてある。リテーナ72には周方向に複数個の調整ボルト42が貫通して締め込まれ、その先端部は前記座金71に当接している。すなわち、調整ボルト42を締め込むことにより、座金71、軸受3、カラー24及びリング23を介してカッタ20とスペーサ21とは前述の第1軸61及び第2軸62の段付部12に押し付けられる。調整ボルト42は所定の力で締付けられた後、ロックナット43で固定される。
【0004】
次に破砕機60の作動について説明する。図5において、入力部14からの動力により第1軸61が回転駆動されると、第2軸62は第1歯車13および第2歯車15を介して回転駆動される。その結果、図6に示すように、カッタ20,20は矢印方向に回転する。被破砕物をケース2内に白矢印の方向から投入すると、被破砕物はカッタ20,20により破砕され、下方に排出される。その間、隣接するカッタ20,20の間に付着した被破砕物はクリーニングフィンガ22により排除される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては以下のような問題点がある。図8はカッタ間隙間防止機構70の調整ボルト42の締付力を示すグラフである。図8において、縦軸は締付力であり、横軸は時間である。当初の締付力はFAである。FAは装置の強度上から得られる最大の値に定められる。すなわち各カッタ20とスペーサ21との間には締付力FAが発生し、隙間はない。この状態で破砕作業を行うと、時間が経過するにつれて、破砕時の反力による第1、第2軸61,62の撓み等によりカッタ20とスペーサ21との間にヘタリや磨耗が生じる。その結果、調整ボルト42の締付力はグラフに示すように急激に低下し、カッタ20とスペーサ21との間の締付力が低下し、遂には0になって隙間が発生する。その隙間に破砕屑や塵埃等が侵入し、磨耗してガタを生じ、カッタ20同士が干渉したり、切れ味が落ちたりする。さらには第1軸61や第2軸62が磨耗し、機械の寿命を低下させる。それを防止するため、締付力が図8に示す所定値FB(<FA)に達すると増し締めを行う。増し締めは時間T1を定めて定期的に行われ、例えばT1=500時間である。すなわち、短期間で機械を停止して増し締めを行わなければならないので、メンテナンスに多大の工数を要すると共に、破砕機を含む全体の装置の稼働率を低下させるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、カッタ間隙間調整間隔時間を長くできて、稼働率を高くできる破砕機およびそれを搭載した自走式破砕装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、破砕機において、ケースと、多層にしたカッタを貫通し、前記ケースに軸受を介して回転自在に支持された軸と、前記カッタを軸方向に締め付けるとともに、カッタ間の軸方向隙間を防止するカッタ間隙間防止機構とを備え、前記カッタ間隙間防止機構は、前記カッタに軸方向の締付力を付与する弾性体を有する構成としている。
【0008】
第1発明によると、カッタ間隙間防止機構に、カッタに軸方向の締付力を付与する弾性体を設けたためばね定数を小さくすることができ、カッタ間が磨耗しても所定のストロークの間、軸方向の締付力が付与されているので、所定の締付力を保持することができる。そのため、締付力が所定の値に低下するまでの時間を延長することができ、増し締め調整間隔を長くして稼働率の向上を図ることができる。
【0009】
第2発明は、第1発明において、前記弾性体は鋼製ばね体である構成としている。
【0010】
第2発明によると、弾性体を鋼製ばね体としたため、小型で所定のストロークの間、大きな力を発生させることができ、耐久性も高い。
【0011】
第3発明は、第2発明において、前記鋼製ばね体は皿ばねである構成としている。
【0012】
第3発明によると、鋼製ばね体を皿ばねにしたため、更に小さい場積で大きなストロークと力とを得ることができ、カッタ間隙間防止機構をコンパクトにすることができる。
【0013】
第4発明は、第2、第3発明において、前記カッタ間隙間防止機構は、前記カッタを軸方向に前記軸受を介して締め付ける締付部材および鋼製ばね体と、前記軸受と前記締付部材および鋼製ばね体との間に介装される座金とを有する構成としている。
【0014】
第4発明によると、締付部材および鋼製ばね体と軸受との間に座金を介装したため、座金と軸受との接触面積を十分に確保でき、接触面圧が低くなって耐久性が向上する。
【0015】
第5発明は、自走式破砕装置において、ケースと、多層にしたカッタを貫通し、前記ケースに軸受を介して回転自在に支持された軸と、前記カッタを軸方向に締め付けるとともに、カッタ間の軸方向隙間を防止するカッタ間隙間防止機構とを備え、前記カッタ間隙間防止機構は、前記カッタに軸方向の締付力を付与する弾性体を有する破砕機を搭載した構成としている。
【0016】
第5発明によると、カッタ間隙間防止機構に、カッタに軸方向の締付力を付与する弾性体を設け、増し締め調整間隔を長くした破砕機を自走式破砕装置に搭載した。そのため、任意の場所で破砕作業を行うことができ、しかも増し締め調整間隔が長いため、作業の効率化と稼働率の向上を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る破砕機およびそれを搭載した自走式破砕装置の実施形態について図面を参照して詳述する。
【0018】
図1は破砕機1の平面一部断面図である。図5に示す従来のものと同一部材には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
図1において、ケース2には第1軸10及び第2軸11が並列に配置され、軸受3,4,5を介して回転自在に支承されている。第1軸10及び第2軸11の一端側にはそれぞれ段付部12,12が形成されており、該段付部12の小径側には複数個のカッタ20とスペーサ21とが交互に積層されて嵌入されている。そして、段付部12と反対側の軸端部に設けられたカッタ間隙間防止機構30と段付部12との間で、所定の締付力で締め付けられている。
【0019】
図2は本発明のカッタ間隙間防止機構30の詳細図であり、図1のP部詳細図である。第1軸10及び第2軸11の、段付部12と反対側の端部には、スペーサ21に当接するリング23と、カラー24と、軸受3とが順次嵌入され、軸受3の外側に座金31及び締付部材32が直列に、それぞれ当接して配置されている。締付部材32は筒状部33とフランジ部34とからなり、座金31と締付部材32のフランジ部34との間には筒状部33の外周部に、弾性体35の一例である鋼製ばね体36を構成する皿ばね37が装着されている。また、第1軸10及び第2軸11の軸端部にはそれぞれプレート40がボルト41により締着されており、プレート40に貫通して取付けられた調整ボルト42の先端部は締付部材32のフランジ部34の端面に当接している。調整ボルト42は締め付け後、ロックナット43によりロックされる。
【0020】
次にカッタ20の締着方法について説明する。図1及び図2において、第1軸10及び第2軸11に所定個数のカッタ20及びスペーサ21を交互に嵌入し、端部を第1、第2軸10,11の段付部12に当接させる。次に段付部12と反対側の軸端部にリング23、カラー24、軸受3、座金31、皿ばね37及び締付部材32を順次嵌入する。次に、その軸端にプレート40をボルト41により締着し、調整ボルト42で締付部材32を締め付ける。この時、皿ばね37は所定量撓むと共に、締付部材32は座金31に当接してカッタ20及びカラー23を所定の締付力で締め付ける。すなわち、締付力は締付部材32による締付力と皿ばね37による締付力との和になる。
【0021】
破砕機1の作動については従来のものと同一なので説明は省略する。
【0022】
次に効果について説明する。図3はカッタ間隙間防止機構30による締付力を示すグラフである。図3において、縦軸は締付力であり、横軸は時間である。調整ボルト42の当初の締付力はFAであり、FAの値は装置の強度上から定められ、従来のものと同一である。FAは前述のように、締付部材32による締付力FCと皿ばね37による締付力FDとの和である。この状態で作業を行うと、時間の経過に伴って締付部材32による締付力は急激に低下し、図示のM点で皿ばね37の締付力FD1となる。以降締付力の低下は皿ばね37のばね定数に従って緩やかになる。このため、締付力が増し締めを必要とするFBになるまでの時間T2が従来の増し締めする時間間隔T1よりも長くなり、本出願人の実験例では例えば1000時間以上になり、整備に要する時間及び工数を低減して稼動率を向上できる。なお、図中の2点鎖線は従来のものの締付力の線図である。
【0023】
本実施形態においては、弾性体35を鋼製ばね体36である皿ばね37とした例で示しているが、弾性体35は例えばゴム、合成樹脂等でもよく、また鋼製ばね体36は例えばコイルばね等であっても構わない。また、皿ばねの配置、個数は上記実施形態に限定されない。さらに、2軸せん断破砕機を例に説明したが、1軸、または3軸以上のせん断破砕機であっても構わない。
【0024】
図4は本発明のカッタ間隙間防止機構30を有する破砕機1を搭載した自走式破砕装置50の側面図である。この自走式破砕装置50は、下部に履帯式走行装置51を有する本体フレーム52の前後方向一側に破砕機1を搭載し、該破砕機1の上部に被破砕物を投入するホッパ53を設けている。破砕機1の下方には、破砕物(製品)を外部に搬出する搬出用コンベア54が設けられている。また、破砕機1と反対側の本体フレーム52には、エンジン等の動力発生源55が搭載されている。
【0025】
自走式破砕装置50は、作業時に任意の作業現場に自走して移動することができる。被破砕物をホッパ53に投入し、破砕機1で破砕して製品化し、搬出用コンベア54で機外に製品を搬出する。
【0026】
上記構成によれば、前述のように破砕機1のカッタ間隙間調整のための整備時間、整備工数が少なく、メンテナンスが容易で、かつ作業効率の良い破砕機1を自走式破砕装置50に搭載したため、破砕装置全体の稼働率を向上できる。また、任意の作業現場等で作業できるので、その場で製品化して使用することも可能であり、破砕機の作業性及び汎用性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカッタ間隙間防止機構を有する破砕機の平面一部断面図である。
【図2】図1のP部詳細図である。
【図3】本発明のカッタ間隙間防止機構の締付力を示すグラフである。
【図4】本発明に係る破砕機を搭載した自走式破砕装置の側面図である。
【図5】従来のカッタ間隙間防止機構を有する破砕機の平面一部断面図である。
【図6】図5のX−X矢視図である。
【図7】図5のQ部詳細図である。
【図8】従来のカッタ間隙間防止機構の締付力を示すグラフである。
【符号の説明】
1…破砕機、2…ケース、3,4,5…軸受、10…第1軸、11…第2軸、12…段付部、13…第1歯車、15…第2歯車、20…カッタ、21…スペーサ、22…クリーニングフィンガ、23…リング、24…カラー、30…カッタ間隙間防止機構、31…座金、32…締付部材、33…筒状部、34…フランジ部、35…弾性体、36…鋼製ばね体、37…皿ばね、50…自走式破砕装置。
Claims (5)
- 破砕機において、
ケース(2)と、
多層にしたカッタ(20)を貫通し、前記ケース(2)に軸受(3,4)を介して回転自在に支持された軸(10,11)と、
前記カッタ(20)を軸方向に締め付けるとともに、カッタ間(20)の軸方向隙間を防止するカッタ間隙間防止機構(30)とを備え、
前記カッタ間隙間防止機構(30)は、前記カッタ(20)に軸方向の締付力を付与する弾性体(35)を有する
ことを特徴とする破砕機。 - 請求項1記載の破砕機において、
前記弾性体(35)は鋼製ばね体(36)である
ことを特徴とする破砕機。 - 請求項2記載の破砕機において、
前記鋼製ばね体(36)は皿ばね(37)である
ことを特徴とする破砕機。 - 請求項1又は2記載の破砕機において、
前記カッタ間隙間防止機構(30)は、
前記カッタ(20)を軸方向に前記軸受(3)を介して締め付ける締付部材(32)および鋼製ばね体(36)と、
前記軸受(3)と前記締付部材(32)および鋼製ばね体(36)との間に介装される座金(31)とを有する
ことを特徴とする破砕機。 - 自走式破砕装置において、
ケース(2)と、
多層にしたカッタ(20)を貫通し、前記ケース(2)に軸受(3,4)を介して回転自在に支持された軸(10,11)と、
前記カッタ(20)を軸方向に締め付けるとともに、カッタ(20)間の軸方向隙間を防止するカッタ間隙間防止機構(30)とを備え、
前記カッタ間隙間防止機構(30)は、前記カッタ(20)に軸方向の締付力を付与する弾性体(35)を有する破砕機(1)を搭載した
ことを特徴とする自走式破砕装置。
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JP2002227904A JP2004066088A (ja) | 2002-08-05 | 2002-08-05 | 破砕機およびそれを搭載した自走式破砕装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR101110346B1 (ko) | 2010-03-18 | 2012-04-05 | 주식회사 에버다임 | 유격조절장치 및 이를 포함하는 철재절단장치 |
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- 2002-08-05 JP JP2002227904A patent/JP2004066088A/ja active Pending
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