JP2004065398A - 永久磁石と電磁石から成るハイブリット型磁石を有する磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

永久磁石と電磁石から成るハイブリット型磁石を有する磁気共鳴イメージング装置 Download PDF

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八尾 武
Tsutomu Suzuki
鈴木 力
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Abstract

【課題】MRI画像撮影時も、非撮影の手術時も、患者を移動させずにすむIVRに適したかつ小型の磁石を有するMRI装置を提供すること。
【解決手段】MRI装置用磁石を永久磁石(12)と電磁石(16)のハイブリット型に構成し、MRI画像撮影時は電磁石(16)を0を含む増磁方向に励磁し、非撮影の手術時には電磁石(16)を0を含む減磁方向に励磁するように構成する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置(以下MRI装置という)に関し、特にIVR(Interventional Radiology,外科的介入放射療法)に適した永久磁石と電磁石から成るハイブリット型磁石を有するMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置の医療分野での一応用の例として、手術の途中で患者の患部のMRI画像撮影を行い、経過を確認しながら手術を遂行するIVRが普及しつつある。このIVRにおいては、MRI画像撮影時を除く非撮影時には磁石による静磁場は不要なものである。即ち、手術という一連の流れの中でMRI装置を使用するのは、その一部であり、それ以外の時間では磁場は手術の妨げとなる。磁場が有ると、従来の手術器具や機材は磁場に引きつけられてしまうため使用できない。
【0003】
これを回避するために、従来は、磁石もしくは患者を移動して、撮影磁場空間と手術を行う空間,手術野,を分離するか、磁場があっても使用可能な手術器具や機材を用いるか、いずれかの方法が取られてきた。しかし、撮影磁場空間と手術を行う空間を分離するために、患者を動かすか、もしくは、磁石を動かすという作業は、手術時間を引き伸ばし、さらに様々な器具を取り付けている状態でいづれかを動かすのはリスクも大きい。また、例えば、特開平6−165769、特開平10−14924に開示されているような、MRI装置に対応した高磁場中で使用可能な手術器具、機材は非常に高価であるのに加えて、通常の磁場が無い時の手術と異なる環境を医師に強いることになる。また、IVRの遂行に際しては、従来の様に全身を検査する訳ではなく、手術部位のみを観察できれば良いので、手術部位に見合った大きさの撮影空間が取れればよく、さらには、手術用器具の多く配置してある手術室で用いるためには、なるべく小形であることが望ましい。また、手術時の患者へのアクセスを妨げない開放性も必要である。
【0004】
このような小形の磁石として、例えば、米国特許6157278は、永久磁石と電磁石を組み合わせた、小形の脳手術用磁石を提案している。また、特開昭61−196145では、永久磁石と超電導磁石を組み合わせることにより、装置を小型化することを提案している。同様に特開平4−28349では超電導磁石と常電導磁石あるいは永久磁石を組み合わせることにより、磁石を小型化することを提案している。
【0005】
なお、超電導磁石のみ、あるいは常電導磁石のみを使って、MRI画像撮影時には手術野としても働く撮影領域に高い静磁場を発生し、非撮影時には磁石への励磁電流を切ることによりIVRに適用可能なMRI装置の磁石が実現可能と思われるが、前者の場合は装置を大型化すると共に頻繁な励磁電流のオン,オフには不向であり、後者の場合には常電導コイルの発熱によってコイルおよび周辺部材に熱膨張が生じ、これに帰因して磁場の時間的安定性の確保が難しく実用化されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は患者を動かさずにMRI画像撮影領域でそのまま手術が行えるIVRに適した永久磁石と電磁石から成るハイブリット型磁石を有するMRI装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の磁場発生源を備えたMRI装置において、磁場発生源の中、少なくとも1つはその磁場発生強度が外部から制御可能であり、MRI装置は撮影時とそれ以外の時の2つの状態に応じて外部から制御可能な磁場発生源のうち幾つかの磁場発生強度を変化させることを特徴とする。
【0008】
つまり、撮影時には磁場の強度を上げ、手術時には磁場の強度を落とす。従来技術が空間即ち場所を変えることで解決していたのに対し、本発明では、これを複数の磁場発生源を組み合わせて、撮影時と非撮影時について、時間的に同一空間の磁場強度を変えることにより解決することとした。
【0009】
具体的には永久磁石と電磁石を備えたハイブリッド型のMRI装置において、撮影時には電磁石への通電量は0であり、非撮影時には、永久磁石と逆向きの磁場を電磁石が発生することを特徴とする。
【0010】
即ち、撮影時には永久磁石のみの磁場で従来の永久磁石を用いた装置並みの磁場強度を得て、手術時には電磁石により永久磁石の磁場を打ち消す。この場合、電磁石の磁場は撮影に用いないので、磁場の安定性については特に考慮を払う必要がないので、より単純な構造の電源で駆動することが可能となる。
【0011】
更に、具体的には、永久磁石と電磁石を備えたハイブリッド型のMRI装置において、撮影時には永久磁石と同じ向きの磁場を電磁石が発生し、非撮影時には電磁石への通電量は0であることを特徴とする。
【0012】
即ち、手術時に許容できる程度の磁場を永久磁石で発生しておいて、非撮影時には磁場強度を低く押えておき、撮影時には永久磁石の磁場を増強する向きの磁場を電磁石により発生させる。この場合、より強い磁場を撮影時には得ることが出来るので画質の向上が可能となる。
【0013】
換言すれば、本発明により、時間に応じてアクティブに増減磁する永久磁石と電磁石から成るハイブリット型磁石を有するMRI装置が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例であるハイブリット型磁石の概略図を示しており、患者の患部が受け入れられ手術野としても働く撮影領域10を挟んで一対の永久磁石12が対向しており、これら一対の永久磁石12はこれらを磁気的に接続する磁気回路を構成する強磁性体から成るC字型の継鉄14によって支持されておりさらにこれら一対の永久磁石12のそれぞれ外周には同様に対をなす電磁石コイル16がそれぞれの永久磁石12と同軸に配設されており、これら電磁石コイル16はそれぞれ切り換えスイッチ18を介して直流電源20に接続されるように構成されている。直流電源と並列に停電時に備えて無停電電源22が接続されている。
【0016】
一対の永久磁石12、一対の電磁石コイル16、これらを支持するC字型継鉄14から構成されるハイブリット型磁石は矢印で示すように退避可能に支持されている。
【0017】
MRI装置を構成するためには図示しているほかに、傾斜磁場コイル、RF送信コイル、受信コイル、画像再構成装置、各電源等が必要であるが、図では簡単のため図示していない。
【0018】
一対の永久磁石12によって発生される静磁場の強度が、それ単独でMRI画像撮影を可能とするレベルに選ばれている場合には、撮影時には切り換えスイッチ18を中立の位置に保持して、一対の電磁石コイル16への励磁電流は0とし、非撮影時には、一対の電磁石コイル16が一対の永久磁石12による静磁場を打消す方向の磁場を発生するようにこの切り換えスイッチ18を切り換える。
【0019】
一対の永久磁石12によって発生される静磁場の強度が低く押えられている場合には、撮影時には一対の電磁石コイル16が一対の永久磁石12による静磁場を補う方向の磁場を発生するようにこの切換スイッチ18を切り換え、非撮影時にはこの切り換えスイッチ18を中立位置に保持して、一対の電磁石コイル16への励磁電流を0とするかあるいは必要に応じて一対の電磁石コイル16が一対の永久磁石12が発生している静磁場を打消す方向の磁場を発生するようにこの切り換えスイッチ18を反対方向に切り換える。
【0020】
非撮影時、一対の電磁石コイル16に電流を流して一対の永久磁石12による静磁場を打ち消しながら手術を行っている場合には、停電等により電磁石16への電源供給が止まると、急に永久磁石12のみの磁場が出現することになる。手術中は、磁場がないことを前提として作業をしているところで突然磁場が発生することになるので、このような事態を回避するため、電源20と並列に、無停電電源22が接続されている。代案として十分にゆっくりとしたスピードで電流が変化するように、電磁石16と並列に大きなインダクタンスを接続しておくことによっても対策できる。
【0021】
なお、撮影時には、手術野であったところに磁場が生じるわけであるから、手術野に磁性体の術具を留置することは出来ない。該当する術具については、従来と同様に退避するか、非磁性の術具としておく必要がある。
【0022】
図2,3は図1の実施例の変形例で電磁石コイル16の配置を変更したものである。
【0023】
図2では、永久磁石12の磁気回路中に電磁石コイル16を挿入した例である。この場合、永久磁石12と電磁石コイル16とが離れているために、永久磁石12の磁場を均一に打ち消すのは難しくなるが、空間的に余裕がある磁気回路部14に電磁石16を持ってくることにより、図1の実施例のように、大径の電磁コイル16で開放性を妨げることは無い。
【0024】
図3では、永久磁石12の反対向側に電磁石16を配置した例である。この場合、撮影領域の磁場をうまく打ち消すのは困難であるが、外部に漏れる漏洩磁場は効果的に抑制することが可能となる。なお、本変形例のハイブリット磁石は図示のように継鉄14の脚部を通る軸のまわりに回転可能に支持されており、非撮影時にはこの磁石は手術野から退避可能である。
【0025】
図1の実施例、図2,3の変形例で電磁石コイル16の3つの配置例を示したが、これらはそのまま単独で実施してもよいし組合せて実施してもよい。
【0026】
以上述べた実施例、変形例の電磁石コイルは常電導磁石、超電導磁石のいづれでも良いが、それらに必要な冷却手段の図示は省略した。
【0027】
上記の実施例、変形例では、C型のMRI装置用磁石について記述したが、本発明は、磁石の形態に依存しない。よって、あらゆる形態の磁石について実施することが可能であり、例えば、従来の円筒形状の磁石でも適用できるし、平板形状の磁石であっても同様に適用可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明した本発明によると、MRI画像撮影も、手術も、患者を移動させることなく行えるIVRに適したかつ小型の永久磁石と電磁石からなるハイブリット型MRI装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の永久磁石と電磁石からなるハイブリット型磁石を有するMRI装置の一実施例のハイブリット磁石部分の概略図。
【図2】図1の実施例の一変形例。
【図3】図1の実施例のもう1つの変形例。
【符号の説明】
10・・・撮影領域
12・・・永久磁石
14・・・C字型継鉄
16・・・電磁石コイル
18・・・切り換えスイッチ
20・・・直流電源
22・・・無停電電源

Claims (2)

  1. 患者の患部が受入れられ手術野としても働く撮影領域に静磁場を生成する永久磁石と電磁石から成るハイブリット型磁石を有する磁気共鳴イメージング装置において、上記電磁石は、磁気共鳴イメージング画像撮影時には上記永久磁石によって生成されている静磁場を0を含む増磁方向に励磁され、磁気共鳴イメージング画像非撮影時には上記永久磁石によって生成されている静磁場を0を含む減磁方向に励磁されることを特徴とする永久磁石と電磁石から成るハイブリット型磁石を有する磁気共鳴イメージング装置。
  2. 上記ハイブリット型磁石は、上記手術野としても働く撮影領域を挟んで対向する一対の永久磁石、上記一対の永久磁石を支持しかつ両者間の磁路を形成する磁性体部材および上記磁性体部材に支持された電磁石コイルから構成されておりかつ上記ハイブリット型磁石は非撮影時上記手術野としても働く撮影領域から退避可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石と電磁石から成るハイブリット型磁石を有する磁気共鳴イメージング装置。
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