JP2004064887A - 永久磁石電動機 - Google Patents
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Abstract
【課題】集中巻きの固定子巻線を施した固定子を備え、運転時における騒音が小さく、電動機効率が低くなってしまうことのない永久磁石電動機を提供する。
【解決手段】6個の磁極歯を有して集中巻きの固定子巻線が施され、4個の極が形成される固定子と、4個の極に対応する永久磁石が配置された回転子26を備えた永久磁石電動機で、回転子26に設けられた永久磁石が、断面形状を回転子26の外周円弧に沿う部分円弧状とした複数の円弧状希土類ボンド磁石30で形成されており、さらに円弧状希土類ボンド磁石30は、弧状形状が回転子26の外周円弧に沿うように該回転子26の所定位置に均等に形成された円弧状孔部29に挿入するようにして配置してある。
【選択図】 図3
【解決手段】6個の磁極歯を有して集中巻きの固定子巻線が施され、4個の極が形成される固定子と、4個の極に対応する永久磁石が配置された回転子26を備えた永久磁石電動機で、回転子26に設けられた永久磁石が、断面形状を回転子26の外周円弧に沿う部分円弧状とした複数の円弧状希土類ボンド磁石30で形成されており、さらに円弧状希土類ボンド磁石30は、弧状形状が回転子26の外周円弧に沿うように該回転子26の所定位置に均等に形成された円弧状孔部29に挿入するようにして配置してある。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術を図18乃至図21を参照して説明する。図18は第1の従来技術の永久磁石電動機を示す正面図であり、図19は第1の従来技術における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図20は第2の従来技術における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図21は第3の従来技術における端板を省略して示す回転子の正面図である。
【0003】
先ず、第1の従来技術の永久磁石電動機を、図18及び図19を参照して説明する。
【0004】
図18及び図19において、永久磁石電動機1は、3n個(nを2以上の整数、以下同じ)、例えば6つの磁極歯2を有する固定子鉄心3に、集中巻きによる固定子巻線4を施した固定子5を備え、運転時に、固定子巻線4が図示しない駆動回路によって励磁されることで、2n個、例えば4つの極が形成されるものとなっている。また、固定子鉄心3の中心開口部分には、図示しない軸受により軸支され、固定子鉄心3との間に所定微小隙間を設けるようにして回転子6が回転可能に支持されている。なお、7は回転子6の回転子鉄心8に形成された孔8aに圧入するようにして設けられた回転軸である。
【0005】
また回転子6は、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心8を備え、この回転子鉄心8の外周部には、断面形状が外周円弧に沿った形状の部分円弧状の断面形状を有し、軸方向に沿って形成された4つの円弧状孔部9が設けられている。さらに、それぞれの円弧状孔部9には、同じく断面形状が部分円弧状の円弧状フェライト磁石10でなる永久磁石が挿入されている。またさらに回転子6には、その両端面に端板11がリベット12により回転子鉄心8に固定されており、円弧状孔部9から円弧状フェライト磁石10が抜け出さないようになっている。
【0006】
そして、固定子巻線4を図示しない駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯2に順次形成することで、円弧状フェライト磁石10の永久磁石を備える回転子6が回転する。
【0007】
このように構成されたものでは、回転子6における電機子反作用磁束が少なく、運転時の騒音は小さなものとなるが、突極性に起因したリラクタンストルクが発生せず、また円弧状フェライト磁石10の残留磁束密度も小さいために、十分な磁束が確保できず、電動機効率が低いものとなっていた。
【0008】
次に、第2の従来技術の永久磁石電動機を、図20を参照して説明する。なお、固定子は第1の従来技術と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0009】
図20において、永久磁石電動機の回転子13は、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心14を備え、この回転子鉄心14の外周部に、断面形状が外周円弧とは逆形状となる部分逆円弧状の断面形状を有し、軸方向に沿って形成された4つの逆円弧状孔部15が形成されている。そして、それぞれの逆円弧状孔部15には、同じく断面形状が部分逆円弧状の逆円弧状フェライト磁石16でなる永久磁石が挿入されている。さらに回転子13には、第1の従来技術と同様に、その両端面に図示しない端板がリベットにより回転子鉄心14に固定されており、逆円弧状孔部15から逆円弧状フェライト磁石16が抜け出さないようになっている。なお、14aは図示しない回転軸を圧入する孔である。
【0010】
このように構成されたものでは、集中巻きの固定子巻線を有する固定子と突極性がある回転子13との組み合わせとなるため、運転時における電機子反作用磁束に起因して騒音が大きなものとなっていた。なお、これは、運転時に形成される集中巻きの固定子での極数と、磁極歯の数とがアンバランスとなることから、磁極の電磁力分布が歪み、固定子鉄心の振動モードが低次となり、騒音が大きなものとなってしまうためである。
【0011】
次に、第3の従来技術の永久磁石電動機を、図21を参照して説明する。なお、固定子は第1の従来技術と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0012】
図21において、永久磁石電動機の回転子17は、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心18を備え、この回転子鉄心18の外周部に、断面形状が回転子鉄心18の外周円弧とは逆形状となる外方に向って開角するV字状の断面形状を有し、軸方向に沿って形成された4つのV字状孔部19が形成されている。そして、それぞれのV字状孔部19には、短冊状の2枚の板状希土類焼結磁石20でなる永久磁石がV字をなすように挿入されている。さらに回転子17には、第1の従来技術と同様に、その両端面に図示しない端板がリベットにより回転子鉄心18に固定されており、V字状孔部19から板状希土類焼結磁石20が抜け出さないようになっている。なお、18aは回転軸7を圧入する孔である。
【0013】
このように構成されたものでは、第2の従来技術におけると同様に、集中巻きの固定子巻線を有する固定子と突極性がある回転子17との組み合わせとなるため、運転時における電機子反作用磁束に起因して騒音が大きなものとなっていた。
【0014】
さらに、図示しないが、永久磁石を希土類焼結磁石とし、これを第1の従来技術のように回転子の回転子鉄心の外周部に、断面形状が外周に沿う部分円弧状となる円弧形に配置した場合には、充分な磁束を確保することができる。しかし、一般的に希土類焼結磁石は金属磁石で電気抵抗が低く、回転子の外周面近くに配置した場合には、運転時、電機子反作用磁束に起因して磁石内部に大きな渦電流損失が発生し、電動機効率が低いものとなってしまう。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところは集中巻きによる固定子巻線を施した固定子を備えたもので、運転時における騒音が小さく、また電動機効率が低いものとなってしまうことのない永久磁石電動機を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の永久磁石電動機は、3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された断面形状を前記回転子の外周円弧に沿う部分円弧状とした複数の円弧状磁石材でなり、さらに前記円弧状磁石材は、弧状形状が前記回転子の外周円弧に沿うようにして該回転子の所定位置にそれぞれ配置してあることを特徴とするものであり、
また、3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された円筒状磁石材でなり、また該円筒状磁石材は、前記回転子の電磁鋼板を積層した鉄心の外周に嵌合してあると共に、該円筒状磁石材の外周には、前記鉄心と同時に打抜き加工され、積層された円筒状の積層筒体が嵌着してあることを特徴とするものであり、
さらに、前記積層筒体は、打抜き加工と積層を加工金型内で行なうと共に、該加工金型内でレーザ溶接により打抜かれた各電磁鋼板を固着して形成したものであることを特徴とするものであり、
また、3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された円筒状磁石材でなり、また前記回転子は、電磁鋼板を積層した内鉄心部と、この内鉄心部より大径で軸中心を同じくする円筒状積層部と、片端部に設けた電磁鋼板でなり、前記内鉄心部と円筒状積層部を連結する連結板とで形成した回転子鉄心の前記内鉄心部と円筒状積層部の間に、前記円筒状磁石材を嵌挿したものであって、且つ前記回転子鉄心が、前記内鉄心部と円筒状積層部の各抜き板をそれぞれ前記電磁鋼板の同一の打抜き加工によって同時に形成し、各打抜き加工での各抜き板を積層し、さらに積層片端部分に前記連結板を固着して一体としたものであることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
先ず第1の実施形態を図1乃至図5により説明する。図1は永久磁石電動機を示す正面図であり、図2は回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図3は端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図4は回転子鉄心の斜視図であり、図5は円弧状希土類ボンド磁石の斜視図である。
【0019】
図1乃至図5において、永久磁石電動機21は、3n個(nを2以上の整数、以下同じ)、例えば6つの磁極歯22を有する電磁鋼板を積層して形成した固定子鉄心23に、集中巻きによる固定子巻線24を施した固定子25を、図示しないフレームに固定するようにして備えており、運転時に、固定子巻線24が図示しない駆動回路によって励磁されることで、2n個、例えば4つの極が形成されるものとなっている。
【0020】
また、固定子鉄心23の中心開口部分には、フレームに固定された図示しないブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心23との間に所定の微小隙間を設けるようにして、回転子26が回転可能に支持されている。なお、27は回転子26の回転子鉄心28に形成された孔28aに圧入するようにして設けられた回転軸である。
【0021】
また回転子26は、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心28を備えており、この回転子鉄心28の外周部には、断面形状が外周円弧に沿った形状の部分円弧状の断面形状を有し、軸方向に沿って形成された4つの円弧状孔部29が周方向に均等に設けられている。これにより、回転子鉄心28には、外周部に、細幅の同幅に形成された外周リング状部28bと内鉄心部28c、両部を接続する接続部28dが形成される。
【0022】
また、それぞれの円弧状孔部29には、同じく断面形状が部分円弧状で、希土類磁石の例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石粉等と、電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合し、所定形状に射出成形等で成形するようにして形成した永久磁石の円弧状磁石材である同形状の円弧状希土類ボンド磁石30が挿入されている。
【0023】
さらに回転子26には、その両端面に端板31がリベット32により回転子鉄心28に固定されており、円弧状孔部29から円弧状希土類ボンド磁石30が軸方向に抜け出さないようになっている。なお、運転時に円弧状希土類ボンド磁石30に加わる遠心力は、接続部28dによって内鉄心部28cに接続されている外周リング状部28bで支えるようになっている。また回転子鉄心28には、回転軸27を圧入する孔28aの他に、図示しないリベット32の打込み孔等が形成されている。
【0024】
また、永久磁石電動機21は、固定子巻線24を図示しない駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯22に順次形成することで、円弧状希土類ボンド磁石30の永久磁石を備える回転子26が回転する。
【0025】
そして、このように構成されたものでは、回転子26に、その外周円弧に沿うよう永久磁石の円弧状希土類ボンド磁石30の円弧形状を合わせて配置するものであるから、回転子鉄心28の外周リング状部28bと内鉄心部28cを接続する各円弧状孔部29間の接続部28dの影響で僅かな突極性は残るものの、全体として、突極性は殆どなくなり、電機子反作用磁束が少なく、運転時の騒音は小さなものとなる。
【0026】
さらに、回転子26の円弧状孔部29に挿入されている円弧状磁石材が円弧状希土類ボンド磁石30で、希土類ボンド磁石の永久磁石であるため、円弧状の分割した永久磁石であっても充分な磁束を得ることができる。またさらに、円弧状希土類ボンド磁石30は、希土類磁石と電気絶縁性の高い合成樹脂とを所定割合で混合して射出成形等によって形成した永久磁石であるので、電気抵抗が高く、運転時に、金属磁石の希土類焼結磁石におけるような大きな渦電流損が内部に発生することもなく、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0027】
次に、第2の実施形態を、図6を参照して説明する。図6は端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。なお、固定子は第1の実施形態と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0028】
図6において、永久磁石電動機の回転子33は、図示しないが固定子の中心開口部分に、ブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心との間に所定微小隙間を設けるようにして回転可能に支持されるもので、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心34を備えている。そして、回転子鉄心34に形成された孔34aには、軸支するための図示しない回転軸が圧入される。
【0029】
さらに、回転子鉄心34の外周部には、内径が回転子鉄心34の外径に対して軽圧入可能な程度の寸法に形成された、例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石等の希土類磁石粉と電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合して、所定形状に射出成形等してなる永久磁石の円筒状磁石材である円筒状希土類ボンド磁石35が嵌着されている。
【0030】
またさらに、回転子33には、その両端面には第1の実施形態と同様に、図示しない端板がリベットにより回転子鉄心34に固定されており、回転子鉄心34から円筒状希土類ボンド磁石35が、軸方向に抜け出さないようになっている。なお、回転子鉄心34には、回転軸を圧入する孔34aの他に、図示しないリベットの打込み孔等が形成されている。
【0031】
また、図示しないが、このような回転子33を設けてなる永久磁石電動機は、固定子巻線を駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯に順次形成することで、円筒状希土類ボンド磁石35の永久磁石を備える回転子33が回転する。
【0032】
そして、このように構成されたものでは、回転子33は、その回転子鉄心34の外周部に、円筒状磁石材の円筒状希土類ボンド磁石35を嵌着してなるものであるから、突極性はなくなり、電機子反作用磁束が、第1の実施形態に比べてさらに少なく、これに基づく運転時の騒音は非常に小さなものとなる。
【0033】
さらに、回転子33の回転子鉄心34の外周部に嵌着されている永久磁石が円筒状磁石材の円筒状希土類ボンド磁石35であるため、第1の実施形態におけるよりも充分な磁束を得ることができ、また第1の実施形態と同様に、運転時に内部に発生する渦電流損が非常に少なく、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0034】
次に、第3の実施形態を、図7を参照して説明する。図7は端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。なお、固定子は第1の実施形態と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0035】
図7において、永久磁石電動機の回転子36は、図示しないが固定子の中心開口部分に、ブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心との間に所定微小隙間を設けるようにして回転可能に支持されるもので、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心37を備えている。そして、回転子鉄心37に形成された孔37aには、軸支するための図示しない回転軸が圧入される。
【0036】
さらに、回転子鉄心37の外周部には、内径が回転子鉄心37の外径に対して軽圧入可能な程度の寸法に形成された、例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石等の希土類磁石粉と電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合して、所定形状に射出成形等してなる永久磁石の円筒状磁石材である円筒状希土類ボンド磁石38が嵌着されている。
【0037】
また嵌着された円筒状希土類ボンド磁石38の外周部には、金属薄板で形成された円筒状補強部材39が緊密に嵌着されており、運転時に円筒状希土類ボンド磁石38に加わる遠心力を、円筒状補強部材39で支えるようになっている。さらに回転子36には、その両端面には第1の実施形態と同様に、図示しない端板がリベットにより回転子鉄心37に固定されており、回転子鉄心37から円筒状希土類ボンド磁石38が、軸方向に抜け出さないようになっている。なお、回転子鉄心36には、回転軸を圧入する孔36aの他に、図示しないリベットの打込み孔等が形成されている。
【0038】
そして、図示しないが、このような回転子36を設けてなる永久磁石電動機は、固定子巻線を駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯に順次形成することで、円筒状希土類ボンド磁石38の永久磁石を備える回転子36が回転する。
【0039】
また、このように構成されたものでは、回転子36は、円筒状希土類ボンド磁石38の外周部に円筒状補強部材39が緊密に嵌着されているので、第2の実施形態よりも、さらに高速の回転に耐えることができる。なお、円筒状補強部材39を金属薄板で形成するようにしたが、強化プラスチック等で形成するようにしてもよい。
【0040】
また、回転子36は、その回転子鉄心37の外周部に、円筒状磁石材の円筒状希土類ボンド磁石39を嵌着してなるものであるから、第2の実施形態と同様に突極性はなくなり、電機子反作用磁束が、第1の実施形態に比べてさらに少なく、これに基づく運転時の騒音は非常に小さなものとなる。
【0041】
さらに、回転子36の回転子鉄心37の外周部に嵌着されている永久磁石が円筒状磁石材の円筒状希土類ボンド磁石38であるため、第2の実施形態におけると同様、充分な磁束を得ることができ、また運転時に円筒状希土類ボンド磁石38の内部に発生する渦電流損が非常に少なく、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0042】
次に、第4の実施形態を、図8乃至図11を参照して説明する。図8は端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図9は回転子鉄心の斜視図であり、図10は円筒状積層体の斜視図であり、図11は円筒状希土類ボンド磁石の斜視図である。なお、固定子は第1の実施形態と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0043】
図8乃至図11において、永久磁石電動機の回転子40は、図示しないが固定子の中心開口部分に、ブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心との間に所定微小隙間を設けるようにして回転可能に支持されるもので、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心41を備えている。そして、回転子鉄心41に形成された孔41aには、軸支するための図示しない回転軸が圧入される。
【0044】
さらに、回転子鉄心41の外周部には、内径が回転子鉄心41の外径に対して軽圧入可能な程度の寸法に形成された、例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石等の希土類磁石粉と電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合して、所定形状に射出成形等してなる永久磁石の円筒状磁石材である円筒状希土類ボンド磁石42が嵌着されている。
【0045】
また嵌着された円筒状希土類ボンド磁石42の外周部には、細幅のリング状の電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円筒状とした積層筒体43が緊密に嵌着された状態になっており、運転時に円筒状希土類ボンド磁石42に加わる遠心力を、積層筒体43で支えるようになっている。さらに回転子40には、その両端面には第1の実施形態と同様に、図示しない端板がリベットにより回転子鉄心41に固定されており、回転子鉄心41から円筒状希土類ボンド磁石42が、軸方向に抜け出さないようになっている。なお、回転子鉄心41には、回転軸を圧入する孔41aの他に、図示しないリベットの打込み孔等が形成されている。
【0046】
また、このような回転子40を設けてなる永久磁石電動機は、図示しないが、固定子巻線を駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯に順次形成することで、円筒状希土類ボンド磁石42の永久磁石を備える回転子40が回転する。
【0047】
また、このような回転子40の回転子鉄心41と積層筒体43とは、次のような加工工程を経て形成されている。すなわち、先ずフープ状の電磁鋼板帯を、所定の金型を用いたプレス加工装置での同一の打抜き加工で、同時に回転子鉄心41を形成する中心部分に回転軸を圧入するための孔41aとリベット打込み孔等が形成された略円板状の抜き板と、積層筒体43を形成する細幅のリング状の抜き板とを形成する。さらに、各抜き板を連続して所定枚数打抜き加工しながら金型内で積層した後、積層した各抜き板を、それぞれに設けたかしめ突起により固着し、あるいは金型内でレーザ溶接によって積層した各抜き板をピンポイントで複数箇所溶着して、回転子鉄心41、積層筒体43を形成する。
【0048】
そして、このような構成の回転子40を設けてなる永久磁石電動機では、回転子40が、円筒状希土類ボンド磁石42の外周部に電磁鋼板で形成された積層筒体43が緊密に嵌着されているので、上記の金属薄板で形成した円筒状補強部材を嵌着した第3の実施形態のものよりも、貫通磁束の変動に起因して発生する渦電流損失が少ないものとなる。
【0049】
そして、第3の実施形態と同様に、高速の回転に耐えることができ、また運転時の騒音が非常に小さなものとなり、円筒状希土類ボンド磁石42の内部に発生する渦電流損が非常に少なくなるために、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0050】
なお、抜き板を積層して積層筒体43を形成する際に、各抜き板をレーザ溶接によってピンポイントで溶着するようにすれば、かしめ突起により固着する場合に比べ、リング状の抜き板の幅をより細いものとすることができ、電動機としての特性をさらに良好なものとすることができる。
【0051】
次に、第5の実施形態を、図12乃至図17を参照して説明する。図12は端板、回転軸を省略して示す回転子の片端部側からの斜視図であり、図13は端板、回転軸を省略して示す回転子の他端部側からの斜視図であり、図14は回転子鉄心の片端部側からの斜視図であり、図15は回転子鉄心の円筒状積層部の斜視図であり、図16は回転子鉄心の内鉄心部の斜視図であり、図17は回転子鉄心の連結板の斜視図である。なお、固定子は第1の実施形態と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0052】
図12乃至図17において、永久磁石電動機の回転子44は、図示しないが固定子の中心開口部分に、ブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心との間に所定微小隙間を設けるようにして回転可能に支持されるもので、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層してなる回転子鉄心45と円筒状希土類ボンド磁石46を備えている。そして、回転子鉄心45に形成された孔45aには、軸支するための図示しない回転軸が圧入される。
【0053】
回転子44を構成する回転子鉄心45は、それぞれ電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層して形成した円柱状の内鉄心部47と、これより大径の円筒状積層部48とを同軸に配し、さらに片端部に同じく電磁鋼板で形成した連結板49を設けて形成されている。すなわち、内鉄心部47は、中心部分に回転軸を圧入するための孔45aとリベット打込み孔等が形成された略円板状の抜き板を積層したものであり、円筒状積層部48は、細幅のリング状の抜き板を積層したものであり、部分閉塞板49は、内鉄心部47の略円板状抜き板と同形状部分49aと、円筒状積層部48の細幅リング状抜き板と同形状部分49bと、これら部分49a,49bを接続する均等に配した複数の接続部分49cとを有するものとなっている。
【0054】
また、このような構成の回転子鉄心45は、次のような加工工程を経て形成されている。すなわち、先ずプレス加工装置で、フープ状の電磁鋼板帯を、所定の金型を用いた同一の打抜き加工で、同時に内鉄心部47を形成する略円板状の抜き板と、円筒状積層部48を形成する細幅のリング状の抜き板とを形成する。そして、1つの内鉄心部47及び円筒状積層部48を形成するのに要する枚数の各抜き板を連続して打抜き加工する。これら各抜き板の所定同一枚数の打抜き加工を行った後、続いて電磁鋼板帯を別の所定の金型を用いた打抜き加工で、1枚の連結板49を形成する。
【0055】
その後、加工された所定の同一枚数の各抜き板と1枚の連結板49を金型から取り出し、同一枚数積層した略円板状の抜き板とリング状の抜き板をそれぞれレーザ溶接等により固着して、略円板状抜き板による積層体と、これと軸方向寸法が同一のリング状抜き板による積層体とを形成する。なお、これらの各積層体は、前記第4の実施形態と同様に、金型内でそれぞれ固着してもよい。さらに両積層体を同軸に位置させ端部を揃えた状態で、両積層体の片端部に連結板49をレーザ溶接等で固着し、片端部が連結板49で部分閉塞され、他端部が開放された状態の回転子鉄心45を形成する。
【0056】
一方、プレス加工装置では、複数の回転子鉄心45を形成するために、先の所定枚数の各抜き板を打抜き加工し、これに同期して1枚の連結板49を打抜き加工する工程を行った後、同様の略円板状の抜き板とリング状の抜き板の所定同一枚数の打抜き加工と、これに同期して行なう1枚の連結板49の打抜き加工の工程が繰り返し実行される。なお、連結板49は、内鉄心部7及び円筒状積層部48とはまった別個に形成してもよい。
【0057】
また、円筒状希土類ボンド磁石46は、例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石等の希土類磁石粉と電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合して、所定形状に射出成形等してなる永久磁石の円筒状磁石材である。そして、その内径が内鉄心部47の外径に対し、また外径が円筒状積層部48の内径に対しそれぞれ軽圧入可能な程度の寸法に形成されており、回転子鉄心45の内鉄心部47と円筒状積層部48との間に他端部側から嵌挿され、片端部の連結板49により片端部方向への抜け止めがなされる。
【0058】
また円筒状希土類ボンド磁石46は、回転子鉄心45の内鉄心部47と円筒状積層部48との間に嵌挿されることで、運転時、円筒状希土類ボンド磁石46に加わる遠心力が、円筒状積層部48で支えられる。さらに、回転子44には、その両端面には第1の実施形態と同様に、図示しない端板がリベットにより回転子鉄心45に固定され、これにより回転子鉄心45からの円筒状希土類ボンド磁石46の軸方向への抜け出しが防止される。
【0059】
また、このような回転子44を設けてなる永久磁石電動機は、図示しないが、固定子巻線を駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯に順次形成することで、円筒状希土類ボンド磁石46の永久磁石を備える回転子44が回転する。
【0060】
そして、このような構成の回転子44を設けてなる永久磁石電動機では、回転子44が、円筒状希土類ボンド磁石46の外周部に電磁鋼板で形成された円筒状積層部48が緊密に嵌着されたものであるので、上記の第4の実施形態と同様に、貫通磁束の変動に起因して発生する渦電流損失が少ないものとなる。また第3の実施形態と同様に、高速の回転に耐えることができ、また運転時の騒音が非常に小さなものとなり、円筒状希土類ボンド磁石46の内部に発生する渦電流損が非常に少なくなるために、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0061】
なお、内鉄心部47と円筒状積層部48を連結板49で連結するため、回転子鉄心45の取り扱いが容易であり、また積層枚数に差が生じることがないため、積層した際の軸方向寸法が同一のものなって端部に段差が生じず、端板を回転軸に正確に直交するようリベットで固定することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、集中巻きによる固定子巻線を施した固定子を備えたものでの運転時における騒音を小さくすることができ、また電動機効率を向上したものとすることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である永久磁石電動機を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における回転子鉄心の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における円弧状希土類ボンド磁石の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図9】本発明の第4の実施形態における回転子鉄心の斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態における筒状積層体の斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態における円筒状希土類ボンド磁石の斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の片端部側からの斜視図である。
【図13】本発明の第5の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の他端部側からの斜視図である。
【図14】本発明の第5の実施形態における回転子鉄心の片端部側からの斜視図である。
【図15】本発明の第5の実施形態における回転子鉄心の円筒状積層部の斜視図である。
【図16】本発明の第5の実施形態における回転子鉄心の内鉄心部の斜視図である。
【図17】本発明の第5の実施形態における回転子鉄心の連結板の斜視図である。
【図18】第1の従来技術の永久磁石電動機を示す正面図である。
【図19】第1の従来技術における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図20】第2の従来技術における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図21】第3の従来技術における端板を省略して示す回転子の正面図である。
【符号の説明】
22…磁極歯
24…固定子巻線
25…固定子
26,33,36,40,44…回転子
28,34,37,41,45…回転子鉄心
29…円弧状孔部
30…円弧状希土類ボンド磁石
35,38,42,46…円筒状希土類ボンド磁石
39…円筒状補強部材
43…積層筒体
47…内鉄心部
48…筒状積層部
49…連結板
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術を図18乃至図21を参照して説明する。図18は第1の従来技術の永久磁石電動機を示す正面図であり、図19は第1の従来技術における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図20は第2の従来技術における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図21は第3の従来技術における端板を省略して示す回転子の正面図である。
【0003】
先ず、第1の従来技術の永久磁石電動機を、図18及び図19を参照して説明する。
【0004】
図18及び図19において、永久磁石電動機1は、3n個(nを2以上の整数、以下同じ)、例えば6つの磁極歯2を有する固定子鉄心3に、集中巻きによる固定子巻線4を施した固定子5を備え、運転時に、固定子巻線4が図示しない駆動回路によって励磁されることで、2n個、例えば4つの極が形成されるものとなっている。また、固定子鉄心3の中心開口部分には、図示しない軸受により軸支され、固定子鉄心3との間に所定微小隙間を設けるようにして回転子6が回転可能に支持されている。なお、7は回転子6の回転子鉄心8に形成された孔8aに圧入するようにして設けられた回転軸である。
【0005】
また回転子6は、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心8を備え、この回転子鉄心8の外周部には、断面形状が外周円弧に沿った形状の部分円弧状の断面形状を有し、軸方向に沿って形成された4つの円弧状孔部9が設けられている。さらに、それぞれの円弧状孔部9には、同じく断面形状が部分円弧状の円弧状フェライト磁石10でなる永久磁石が挿入されている。またさらに回転子6には、その両端面に端板11がリベット12により回転子鉄心8に固定されており、円弧状孔部9から円弧状フェライト磁石10が抜け出さないようになっている。
【0006】
そして、固定子巻線4を図示しない駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯2に順次形成することで、円弧状フェライト磁石10の永久磁石を備える回転子6が回転する。
【0007】
このように構成されたものでは、回転子6における電機子反作用磁束が少なく、運転時の騒音は小さなものとなるが、突極性に起因したリラクタンストルクが発生せず、また円弧状フェライト磁石10の残留磁束密度も小さいために、十分な磁束が確保できず、電動機効率が低いものとなっていた。
【0008】
次に、第2の従来技術の永久磁石電動機を、図20を参照して説明する。なお、固定子は第1の従来技術と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0009】
図20において、永久磁石電動機の回転子13は、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心14を備え、この回転子鉄心14の外周部に、断面形状が外周円弧とは逆形状となる部分逆円弧状の断面形状を有し、軸方向に沿って形成された4つの逆円弧状孔部15が形成されている。そして、それぞれの逆円弧状孔部15には、同じく断面形状が部分逆円弧状の逆円弧状フェライト磁石16でなる永久磁石が挿入されている。さらに回転子13には、第1の従来技術と同様に、その両端面に図示しない端板がリベットにより回転子鉄心14に固定されており、逆円弧状孔部15から逆円弧状フェライト磁石16が抜け出さないようになっている。なお、14aは図示しない回転軸を圧入する孔である。
【0010】
このように構成されたものでは、集中巻きの固定子巻線を有する固定子と突極性がある回転子13との組み合わせとなるため、運転時における電機子反作用磁束に起因して騒音が大きなものとなっていた。なお、これは、運転時に形成される集中巻きの固定子での極数と、磁極歯の数とがアンバランスとなることから、磁極の電磁力分布が歪み、固定子鉄心の振動モードが低次となり、騒音が大きなものとなってしまうためである。
【0011】
次に、第3の従来技術の永久磁石電動機を、図21を参照して説明する。なお、固定子は第1の従来技術と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0012】
図21において、永久磁石電動機の回転子17は、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心18を備え、この回転子鉄心18の外周部に、断面形状が回転子鉄心18の外周円弧とは逆形状となる外方に向って開角するV字状の断面形状を有し、軸方向に沿って形成された4つのV字状孔部19が形成されている。そして、それぞれのV字状孔部19には、短冊状の2枚の板状希土類焼結磁石20でなる永久磁石がV字をなすように挿入されている。さらに回転子17には、第1の従来技術と同様に、その両端面に図示しない端板がリベットにより回転子鉄心18に固定されており、V字状孔部19から板状希土類焼結磁石20が抜け出さないようになっている。なお、18aは回転軸7を圧入する孔である。
【0013】
このように構成されたものでは、第2の従来技術におけると同様に、集中巻きの固定子巻線を有する固定子と突極性がある回転子17との組み合わせとなるため、運転時における電機子反作用磁束に起因して騒音が大きなものとなっていた。
【0014】
さらに、図示しないが、永久磁石を希土類焼結磁石とし、これを第1の従来技術のように回転子の回転子鉄心の外周部に、断面形状が外周に沿う部分円弧状となる円弧形に配置した場合には、充分な磁束を確保することができる。しかし、一般的に希土類焼結磁石は金属磁石で電気抵抗が低く、回転子の外周面近くに配置した場合には、運転時、電機子反作用磁束に起因して磁石内部に大きな渦電流損失が発生し、電動機効率が低いものとなってしまう。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところは集中巻きによる固定子巻線を施した固定子を備えたもので、運転時における騒音が小さく、また電動機効率が低いものとなってしまうことのない永久磁石電動機を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の永久磁石電動機は、3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された断面形状を前記回転子の外周円弧に沿う部分円弧状とした複数の円弧状磁石材でなり、さらに前記円弧状磁石材は、弧状形状が前記回転子の外周円弧に沿うようにして該回転子の所定位置にそれぞれ配置してあることを特徴とするものであり、
また、3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された円筒状磁石材でなり、また該円筒状磁石材は、前記回転子の電磁鋼板を積層した鉄心の外周に嵌合してあると共に、該円筒状磁石材の外周には、前記鉄心と同時に打抜き加工され、積層された円筒状の積層筒体が嵌着してあることを特徴とするものであり、
さらに、前記積層筒体は、打抜き加工と積層を加工金型内で行なうと共に、該加工金型内でレーザ溶接により打抜かれた各電磁鋼板を固着して形成したものであることを特徴とするものであり、
また、3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された円筒状磁石材でなり、また前記回転子は、電磁鋼板を積層した内鉄心部と、この内鉄心部より大径で軸中心を同じくする円筒状積層部と、片端部に設けた電磁鋼板でなり、前記内鉄心部と円筒状積層部を連結する連結板とで形成した回転子鉄心の前記内鉄心部と円筒状積層部の間に、前記円筒状磁石材を嵌挿したものであって、且つ前記回転子鉄心が、前記内鉄心部と円筒状積層部の各抜き板をそれぞれ前記電磁鋼板の同一の打抜き加工によって同時に形成し、各打抜き加工での各抜き板を積層し、さらに積層片端部分に前記連結板を固着して一体としたものであることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
先ず第1の実施形態を図1乃至図5により説明する。図1は永久磁石電動機を示す正面図であり、図2は回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図3は端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図4は回転子鉄心の斜視図であり、図5は円弧状希土類ボンド磁石の斜視図である。
【0019】
図1乃至図5において、永久磁石電動機21は、3n個(nを2以上の整数、以下同じ)、例えば6つの磁極歯22を有する電磁鋼板を積層して形成した固定子鉄心23に、集中巻きによる固定子巻線24を施した固定子25を、図示しないフレームに固定するようにして備えており、運転時に、固定子巻線24が図示しない駆動回路によって励磁されることで、2n個、例えば4つの極が形成されるものとなっている。
【0020】
また、固定子鉄心23の中心開口部分には、フレームに固定された図示しないブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心23との間に所定の微小隙間を設けるようにして、回転子26が回転可能に支持されている。なお、27は回転子26の回転子鉄心28に形成された孔28aに圧入するようにして設けられた回転軸である。
【0021】
また回転子26は、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心28を備えており、この回転子鉄心28の外周部には、断面形状が外周円弧に沿った形状の部分円弧状の断面形状を有し、軸方向に沿って形成された4つの円弧状孔部29が周方向に均等に設けられている。これにより、回転子鉄心28には、外周部に、細幅の同幅に形成された外周リング状部28bと内鉄心部28c、両部を接続する接続部28dが形成される。
【0022】
また、それぞれの円弧状孔部29には、同じく断面形状が部分円弧状で、希土類磁石の例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石粉等と、電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合し、所定形状に射出成形等で成形するようにして形成した永久磁石の円弧状磁石材である同形状の円弧状希土類ボンド磁石30が挿入されている。
【0023】
さらに回転子26には、その両端面に端板31がリベット32により回転子鉄心28に固定されており、円弧状孔部29から円弧状希土類ボンド磁石30が軸方向に抜け出さないようになっている。なお、運転時に円弧状希土類ボンド磁石30に加わる遠心力は、接続部28dによって内鉄心部28cに接続されている外周リング状部28bで支えるようになっている。また回転子鉄心28には、回転軸27を圧入する孔28aの他に、図示しないリベット32の打込み孔等が形成されている。
【0024】
また、永久磁石電動機21は、固定子巻線24を図示しない駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯22に順次形成することで、円弧状希土類ボンド磁石30の永久磁石を備える回転子26が回転する。
【0025】
そして、このように構成されたものでは、回転子26に、その外周円弧に沿うよう永久磁石の円弧状希土類ボンド磁石30の円弧形状を合わせて配置するものであるから、回転子鉄心28の外周リング状部28bと内鉄心部28cを接続する各円弧状孔部29間の接続部28dの影響で僅かな突極性は残るものの、全体として、突極性は殆どなくなり、電機子反作用磁束が少なく、運転時の騒音は小さなものとなる。
【0026】
さらに、回転子26の円弧状孔部29に挿入されている円弧状磁石材が円弧状希土類ボンド磁石30で、希土類ボンド磁石の永久磁石であるため、円弧状の分割した永久磁石であっても充分な磁束を得ることができる。またさらに、円弧状希土類ボンド磁石30は、希土類磁石と電気絶縁性の高い合成樹脂とを所定割合で混合して射出成形等によって形成した永久磁石であるので、電気抵抗が高く、運転時に、金属磁石の希土類焼結磁石におけるような大きな渦電流損が内部に発生することもなく、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0027】
次に、第2の実施形態を、図6を参照して説明する。図6は端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。なお、固定子は第1の実施形態と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0028】
図6において、永久磁石電動機の回転子33は、図示しないが固定子の中心開口部分に、ブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心との間に所定微小隙間を設けるようにして回転可能に支持されるもので、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心34を備えている。そして、回転子鉄心34に形成された孔34aには、軸支するための図示しない回転軸が圧入される。
【0029】
さらに、回転子鉄心34の外周部には、内径が回転子鉄心34の外径に対して軽圧入可能な程度の寸法に形成された、例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石等の希土類磁石粉と電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合して、所定形状に射出成形等してなる永久磁石の円筒状磁石材である円筒状希土類ボンド磁石35が嵌着されている。
【0030】
またさらに、回転子33には、その両端面には第1の実施形態と同様に、図示しない端板がリベットにより回転子鉄心34に固定されており、回転子鉄心34から円筒状希土類ボンド磁石35が、軸方向に抜け出さないようになっている。なお、回転子鉄心34には、回転軸を圧入する孔34aの他に、図示しないリベットの打込み孔等が形成されている。
【0031】
また、図示しないが、このような回転子33を設けてなる永久磁石電動機は、固定子巻線を駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯に順次形成することで、円筒状希土類ボンド磁石35の永久磁石を備える回転子33が回転する。
【0032】
そして、このように構成されたものでは、回転子33は、その回転子鉄心34の外周部に、円筒状磁石材の円筒状希土類ボンド磁石35を嵌着してなるものであるから、突極性はなくなり、電機子反作用磁束が、第1の実施形態に比べてさらに少なく、これに基づく運転時の騒音は非常に小さなものとなる。
【0033】
さらに、回転子33の回転子鉄心34の外周部に嵌着されている永久磁石が円筒状磁石材の円筒状希土類ボンド磁石35であるため、第1の実施形態におけるよりも充分な磁束を得ることができ、また第1の実施形態と同様に、運転時に内部に発生する渦電流損が非常に少なく、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0034】
次に、第3の実施形態を、図7を参照して説明する。図7は端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。なお、固定子は第1の実施形態と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0035】
図7において、永久磁石電動機の回転子36は、図示しないが固定子の中心開口部分に、ブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心との間に所定微小隙間を設けるようにして回転可能に支持されるもので、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心37を備えている。そして、回転子鉄心37に形成された孔37aには、軸支するための図示しない回転軸が圧入される。
【0036】
さらに、回転子鉄心37の外周部には、内径が回転子鉄心37の外径に対して軽圧入可能な程度の寸法に形成された、例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石等の希土類磁石粉と電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合して、所定形状に射出成形等してなる永久磁石の円筒状磁石材である円筒状希土類ボンド磁石38が嵌着されている。
【0037】
また嵌着された円筒状希土類ボンド磁石38の外周部には、金属薄板で形成された円筒状補強部材39が緊密に嵌着されており、運転時に円筒状希土類ボンド磁石38に加わる遠心力を、円筒状補強部材39で支えるようになっている。さらに回転子36には、その両端面には第1の実施形態と同様に、図示しない端板がリベットにより回転子鉄心37に固定されており、回転子鉄心37から円筒状希土類ボンド磁石38が、軸方向に抜け出さないようになっている。なお、回転子鉄心36には、回転軸を圧入する孔36aの他に、図示しないリベットの打込み孔等が形成されている。
【0038】
そして、図示しないが、このような回転子36を設けてなる永久磁石電動機は、固定子巻線を駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯に順次形成することで、円筒状希土類ボンド磁石38の永久磁石を備える回転子36が回転する。
【0039】
また、このように構成されたものでは、回転子36は、円筒状希土類ボンド磁石38の外周部に円筒状補強部材39が緊密に嵌着されているので、第2の実施形態よりも、さらに高速の回転に耐えることができる。なお、円筒状補強部材39を金属薄板で形成するようにしたが、強化プラスチック等で形成するようにしてもよい。
【0040】
また、回転子36は、その回転子鉄心37の外周部に、円筒状磁石材の円筒状希土類ボンド磁石39を嵌着してなるものであるから、第2の実施形態と同様に突極性はなくなり、電機子反作用磁束が、第1の実施形態に比べてさらに少なく、これに基づく運転時の騒音は非常に小さなものとなる。
【0041】
さらに、回転子36の回転子鉄心37の外周部に嵌着されている永久磁石が円筒状磁石材の円筒状希土類ボンド磁石38であるため、第2の実施形態におけると同様、充分な磁束を得ることができ、また運転時に円筒状希土類ボンド磁石38の内部に発生する渦電流損が非常に少なく、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0042】
次に、第4の実施形態を、図8乃至図11を参照して説明する。図8は端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図であり、図9は回転子鉄心の斜視図であり、図10は円筒状積層体の斜視図であり、図11は円筒状希土類ボンド磁石の斜視図である。なお、固定子は第1の実施形態と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0043】
図8乃至図11において、永久磁石電動機の回転子40は、図示しないが固定子の中心開口部分に、ブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心との間に所定微小隙間を設けるようにして回転可能に支持されるもので、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円柱状とした回転子鉄心41を備えている。そして、回転子鉄心41に形成された孔41aには、軸支するための図示しない回転軸が圧入される。
【0044】
さらに、回転子鉄心41の外周部には、内径が回転子鉄心41の外径に対して軽圧入可能な程度の寸法に形成された、例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石等の希土類磁石粉と電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合して、所定形状に射出成形等してなる永久磁石の円筒状磁石材である円筒状希土類ボンド磁石42が嵌着されている。
【0045】
また嵌着された円筒状希土類ボンド磁石42の外周部には、細幅のリング状の電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層することによって円筒状とした積層筒体43が緊密に嵌着された状態になっており、運転時に円筒状希土類ボンド磁石42に加わる遠心力を、積層筒体43で支えるようになっている。さらに回転子40には、その両端面には第1の実施形態と同様に、図示しない端板がリベットにより回転子鉄心41に固定されており、回転子鉄心41から円筒状希土類ボンド磁石42が、軸方向に抜け出さないようになっている。なお、回転子鉄心41には、回転軸を圧入する孔41aの他に、図示しないリベットの打込み孔等が形成されている。
【0046】
また、このような回転子40を設けてなる永久磁石電動機は、図示しないが、固定子巻線を駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯に順次形成することで、円筒状希土類ボンド磁石42の永久磁石を備える回転子40が回転する。
【0047】
また、このような回転子40の回転子鉄心41と積層筒体43とは、次のような加工工程を経て形成されている。すなわち、先ずフープ状の電磁鋼板帯を、所定の金型を用いたプレス加工装置での同一の打抜き加工で、同時に回転子鉄心41を形成する中心部分に回転軸を圧入するための孔41aとリベット打込み孔等が形成された略円板状の抜き板と、積層筒体43を形成する細幅のリング状の抜き板とを形成する。さらに、各抜き板を連続して所定枚数打抜き加工しながら金型内で積層した後、積層した各抜き板を、それぞれに設けたかしめ突起により固着し、あるいは金型内でレーザ溶接によって積層した各抜き板をピンポイントで複数箇所溶着して、回転子鉄心41、積層筒体43を形成する。
【0048】
そして、このような構成の回転子40を設けてなる永久磁石電動機では、回転子40が、円筒状希土類ボンド磁石42の外周部に電磁鋼板で形成された積層筒体43が緊密に嵌着されているので、上記の金属薄板で形成した円筒状補強部材を嵌着した第3の実施形態のものよりも、貫通磁束の変動に起因して発生する渦電流損失が少ないものとなる。
【0049】
そして、第3の実施形態と同様に、高速の回転に耐えることができ、また運転時の騒音が非常に小さなものとなり、円筒状希土類ボンド磁石42の内部に発生する渦電流損が非常に少なくなるために、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0050】
なお、抜き板を積層して積層筒体43を形成する際に、各抜き板をレーザ溶接によってピンポイントで溶着するようにすれば、かしめ突起により固着する場合に比べ、リング状の抜き板の幅をより細いものとすることができ、電動機としての特性をさらに良好なものとすることができる。
【0051】
次に、第5の実施形態を、図12乃至図17を参照して説明する。図12は端板、回転軸を省略して示す回転子の片端部側からの斜視図であり、図13は端板、回転軸を省略して示す回転子の他端部側からの斜視図であり、図14は回転子鉄心の片端部側からの斜視図であり、図15は回転子鉄心の円筒状積層部の斜視図であり、図16は回転子鉄心の内鉄心部の斜視図であり、図17は回転子鉄心の連結板の斜視図である。なお、固定子は第1の実施形態と同じ構成であるため説明を省略して説明する。
【0052】
図12乃至図17において、永久磁石電動機の回転子44は、図示しないが固定子の中心開口部分に、ブラケットに支持された軸受により軸支され、固定子鉄心との間に所定微小隙間を設けるようにして回転可能に支持されるもので、電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層してなる回転子鉄心45と円筒状希土類ボンド磁石46を備えている。そして、回転子鉄心45に形成された孔45aには、軸支するための図示しない回転軸が圧入される。
【0053】
回転子44を構成する回転子鉄心45は、それぞれ電磁鋼板を軸方向に所定枚数積層して形成した円柱状の内鉄心部47と、これより大径の円筒状積層部48とを同軸に配し、さらに片端部に同じく電磁鋼板で形成した連結板49を設けて形成されている。すなわち、内鉄心部47は、中心部分に回転軸を圧入するための孔45aとリベット打込み孔等が形成された略円板状の抜き板を積層したものであり、円筒状積層部48は、細幅のリング状の抜き板を積層したものであり、部分閉塞板49は、内鉄心部47の略円板状抜き板と同形状部分49aと、円筒状積層部48の細幅リング状抜き板と同形状部分49bと、これら部分49a,49bを接続する均等に配した複数の接続部分49cとを有するものとなっている。
【0054】
また、このような構成の回転子鉄心45は、次のような加工工程を経て形成されている。すなわち、先ずプレス加工装置で、フープ状の電磁鋼板帯を、所定の金型を用いた同一の打抜き加工で、同時に内鉄心部47を形成する略円板状の抜き板と、円筒状積層部48を形成する細幅のリング状の抜き板とを形成する。そして、1つの内鉄心部47及び円筒状積層部48を形成するのに要する枚数の各抜き板を連続して打抜き加工する。これら各抜き板の所定同一枚数の打抜き加工を行った後、続いて電磁鋼板帯を別の所定の金型を用いた打抜き加工で、1枚の連結板49を形成する。
【0055】
その後、加工された所定の同一枚数の各抜き板と1枚の連結板49を金型から取り出し、同一枚数積層した略円板状の抜き板とリング状の抜き板をそれぞれレーザ溶接等により固着して、略円板状抜き板による積層体と、これと軸方向寸法が同一のリング状抜き板による積層体とを形成する。なお、これらの各積層体は、前記第4の実施形態と同様に、金型内でそれぞれ固着してもよい。さらに両積層体を同軸に位置させ端部を揃えた状態で、両積層体の片端部に連結板49をレーザ溶接等で固着し、片端部が連結板49で部分閉塞され、他端部が開放された状態の回転子鉄心45を形成する。
【0056】
一方、プレス加工装置では、複数の回転子鉄心45を形成するために、先の所定枚数の各抜き板を打抜き加工し、これに同期して1枚の連結板49を打抜き加工する工程を行った後、同様の略円板状の抜き板とリング状の抜き板の所定同一枚数の打抜き加工と、これに同期して行なう1枚の連結板49の打抜き加工の工程が繰り返し実行される。なお、連結板49は、内鉄心部7及び円筒状積層部48とはまった別個に形成してもよい。
【0057】
また、円筒状希土類ボンド磁石46は、例えばサマリウムコバルト(SmCo5)などの合金磁石等の希土類磁石粉と電気絶縁性を有する合成樹脂とを所定割合で混合して、所定形状に射出成形等してなる永久磁石の円筒状磁石材である。そして、その内径が内鉄心部47の外径に対し、また外径が円筒状積層部48の内径に対しそれぞれ軽圧入可能な程度の寸法に形成されており、回転子鉄心45の内鉄心部47と円筒状積層部48との間に他端部側から嵌挿され、片端部の連結板49により片端部方向への抜け止めがなされる。
【0058】
また円筒状希土類ボンド磁石46は、回転子鉄心45の内鉄心部47と円筒状積層部48との間に嵌挿されることで、運転時、円筒状希土類ボンド磁石46に加わる遠心力が、円筒状積層部48で支えられる。さらに、回転子44には、その両端面には第1の実施形態と同様に、図示しない端板がリベットにより回転子鉄心45に固定され、これにより回転子鉄心45からの円筒状希土類ボンド磁石46の軸方向への抜け出しが防止される。
【0059】
また、このような回転子44を設けてなる永久磁石電動機は、図示しないが、固定子巻線を駆動回路によって励磁して4つの磁極を各磁極歯に順次形成することで、円筒状希土類ボンド磁石46の永久磁石を備える回転子44が回転する。
【0060】
そして、このような構成の回転子44を設けてなる永久磁石電動機では、回転子44が、円筒状希土類ボンド磁石46の外周部に電磁鋼板で形成された円筒状積層部48が緊密に嵌着されたものであるので、上記の第4の実施形態と同様に、貫通磁束の変動に起因して発生する渦電流損失が少ないものとなる。また第3の実施形態と同様に、高速の回転に耐えることができ、また運転時の騒音が非常に小さなものとなり、円筒状希土類ボンド磁石46の内部に発生する渦電流損が非常に少なくなるために、電動機効率が低下してしまうといったこともなく、良好な特性を得ることができる。
【0061】
なお、内鉄心部47と円筒状積層部48を連結板49で連結するため、回転子鉄心45の取り扱いが容易であり、また積層枚数に差が生じることがないため、積層した際の軸方向寸法が同一のものなって端部に段差が生じず、端板を回転軸に正確に直交するようリベットで固定することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、集中巻きによる固定子巻線を施した固定子を備えたものでの運転時における騒音を小さくすることができ、また電動機効率を向上したものとすることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である永久磁石電動機を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における回転子鉄心の斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における円弧状希土類ボンド磁石の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図9】本発明の第4の実施形態における回転子鉄心の斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態における筒状積層体の斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態における円筒状希土類ボンド磁石の斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の片端部側からの斜視図である。
【図13】本発明の第5の実施形態における端板、回転軸を省略して示す回転子の他端部側からの斜視図である。
【図14】本発明の第5の実施形態における回転子鉄心の片端部側からの斜視図である。
【図15】本発明の第5の実施形態における回転子鉄心の円筒状積層部の斜視図である。
【図16】本発明の第5の実施形態における回転子鉄心の内鉄心部の斜視図である。
【図17】本発明の第5の実施形態における回転子鉄心の連結板の斜視図である。
【図18】第1の従来技術の永久磁石電動機を示す正面図である。
【図19】第1の従来技術における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図20】第2の従来技術における端板、回転軸を省略して示す回転子の斜視図である。
【図21】第3の従来技術における端板を省略して示す回転子の正面図である。
【符号の説明】
22…磁極歯
24…固定子巻線
25…固定子
26,33,36,40,44…回転子
28,34,37,41,45…回転子鉄心
29…円弧状孔部
30…円弧状希土類ボンド磁石
35,38,42,46…円筒状希土類ボンド磁石
39…円筒状補強部材
43…積層筒体
47…内鉄心部
48…筒状積層部
49…連結板
Claims (4)
- 3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された断面形状を前記回転子の外周円弧に沿う部分円弧状とした複数の円弧状磁石材でなり、さらに前記円弧状磁石材は、弧状形状が前記回転子の外周円弧に沿うようにして該回転子の所定位置にそれぞれ配置してあることを特徴とする永久磁石電動機。
- 3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された円筒状磁石材でなり、また該円筒状磁石材は、前記回転子の電磁鋼板を積層した鉄心の外周に嵌合してあると共に、該円筒状磁石材の外周には、前記鉄心と同時に打抜き加工され、積層された円筒状の積層筒体が嵌着してあることを特徴とする永久磁石電動機。
- 前記積層筒体は、打抜き加工と積層を加工金型内で行なうと共に、該加工金型内でレーザ溶接により打抜かれた各電磁鋼板を固着して形成したものであることを特徴とする請求項2記載の永久磁石電動機。
- 3n個(nは2以上の整数)の磁極歯を有して集中巻きの巻線が施され、2n個の極が形成される固定子と、前記極に対応する永久磁石が配置された回転子を備えた永久磁石電動機において、前記永久磁石は、希土類ボンド磁石で形成された円筒状磁石材でなり、また前記回転子は、電磁鋼板を積層した内鉄心部と、この内鉄心部より大径で軸中心を同じくする円筒状積層部と、片端部に設けた電磁鋼板でなり、前記内鉄心部と円筒状積層部を連結する連結板とで形成した回転子鉄心の前記内鉄心部と円筒状積層部の間に、前記円筒状磁石材を嵌挿したものであって、且つ前記回転子鉄心が、前記内鉄心部と円筒状積層部の各抜き板をそれぞれ前記電磁鋼板の同一の打抜き加工によって同時に形成し、各打抜き加工での各抜き板を積層し、さらに積層片端部分に前記連結板を固着して一体としたものであることを特徴とする永久磁石電動機。
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2002
- 2002-07-29 JP JP2002219755A patent/JP2004064887A/ja active Pending
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