JP2004064807A - 風力発電装置及びその運転方法 - Google Patents

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Kazuya Hirata
平田 和也
Kazuyoshi Yamamoto
山本 和義
Noboru Aoki
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Abstract

【課題】風速の変化により発電機の発電電圧が蓄電池の適正な充電電圧範囲外になることを防止し、広い風力範囲において発電電圧を適正な充電電圧の範囲内に収めることができ、発電機で発電した電力を効率よく蓄電池に充電できる風力発電装置を提供すること。
【解決手段】風車と、永久磁石式発電機と、整流回路と、蓄電池を具備する風力発電装置において、発電機は各相の巻線L、L、Lの途中に、複数個のタップU、U’、V、V’、W、W’を有し、該タップを切り替えることにより、1相あたりの巻線を1個の巻線又は複数個の並列巻線とする切替手段を設け、1相あたりの巻線を風速に応じて1個又は複数個の並列巻線とすることにより、発電機の発電電圧を蓄電池の適正な充電電圧範囲になるように制御できる。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然エネルギーの一種である風力を電気エネルギー(電力)に変換し、負荷へ供給したり、蓄電池に蓄電する風力発電装置とその運転方法に関し、特に商用電源の引き込みが難しい場所に設置するのに好適な風力発電装置とその運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
公園等の夜間照明装置、時計、表示板等の駆動電源、即ち商用電源の引き込みが難しい場所での駆動電源として、風力発電装置と太陽光発電装置からなるハイブリット電源が普及しつつある。一方、これまでの風力発電装置においては風速の変化による風車回転速度の変化のため発電機の出力電圧が大幅に変化して蓄電池への充電電圧が適正でなくなり、風速の低速又は高速時の発電電力を蓄電池の適正な電圧で充電できなかった。
【0003】
一般に発電機の回転速度の上昇に伴って発電電圧は図1(a)に示すように定格回転数nまで比例的に上昇し、低速回転時の発電電圧を蓄電池の適正充電電圧範囲内になるように設計すれば、高速回転時の発電電圧は高すぎて充電できない。また、この逆も成り立つ。従って、適正な充電電圧の範囲が狭くなり、風力エネルギーを有効に電力に変換し、蓄電池に充電しにくいという問題があった。このような風力発電装置において、蓄電池の充電電圧を適正な充電電圧に保つことは蓄電池の寿命を延ばすのに不可欠な条件である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記のように風速の変化により発電機の発電電圧が蓄電池の適正な充電電圧範囲外になることを防止し、簡単な構成で風速が変化しても発電機の発電電圧を適正な充電電圧の範囲内に収めることができ、発電機で発電した電力を効率よく蓄電池に充電できる風力発電装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、風車と、回転軸が該風車の回転軸と直接又は間接的に連結される永久磁石式発電機と、該永久磁石式発電機で発電された交流電力を直流電力に変換する整流回路と、該直流電力を充電する蓄電池を具備する風力発電装置において、発電機は各相の巻線の途中に、複数個のタップを有し、該タップを切り替えることにより、1相あたりの巻線を1個の巻線又は複数個の並列巻線とする切替手段を設けたことを特徴とする。
【0006】
上記のように、発電機は各相の巻線の途中に、複数個のタップを有し、該タップを切り替えることにより、1相あたりの巻線を1個の巻線又は複数個の並列巻線とする切替手段を設けたことにより、風速が所定の速度以下の場合は該切替手段により1相あたりの巻線を1個とし、風速が該所定の速度を越えて速くなった場合、1相あたりの巻線を風速に応じて複数個の並列巻線とすることにより、発電機の発電電圧を蓄電池の適正な充電電圧範囲になるように制御できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の風力発電装置の運転方法において、切替手段は、風速が所定速度以下の場合1相あたりの巻線を1個の巻線とし、風速が該所定速度を越えて速くなるとその速度に応じて1相あたりの巻線を複数個の並列巻線とし、発電機の発電電圧を蓄電池の適正な充電電圧の範囲内に保つことを特徴する。
【0008】
上記のように発電機の発電電圧を蓄電池の1相あたりの巻線を風速に応じて1個の巻線、複数個の並列巻線とすることにより、適正な充電電圧の範囲内に保つことができ、低速から高速の広い風速範囲で発電機が発電した電力を効率よく蓄電池に充電できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図2は本発明に係る風力発電装置のシステム構成例を示す図である。図2において、1は風車であり、該風車1の回転軸は直接又は変速機(図示せず)等を介して間接的に発電機2の回転軸に機械的に結合されている。発電機2で発電された交流電力は整流回路3により直流電力に変換され、蓄電池4に充電される。
【0010】
発電機2は永久磁石式発電機であり、図3に示すように、各相の巻線L、L、Lの途中に複数(図では2個)のタップU、U’、V、V’、W、W’を有している。そして風速が所定の速度以下の場合は、図3に示すようにタップUとU’、タップVとV’、タップWとW’とをそれぞれ接続し、1相あたりの巻線L、L、Lを1個の巻線とし、風速が該所定の速度を越えた場合は、図4に示すように端子UとタップU’、中性点端子NとタップU、端子VとタップV’、タップVと中性端子N、端子WとタップW’、中性点端子NとタップWとをそれぞれ接続し、1相あたりの巻線L、L、L
複数個(図では2個)の並列巻線とする。
【0011】
上記巻線L、L、Lを図3から図4に、またその逆に切り替えるのは図示しない切替スイッチ等の切替手段で行う。各相巻線L、L、LのタップU、U’、V、V’、W、W’を巻数半分の位置に設ければ、図3の1個の巻線から、図4の2個の並列巻線とすることにより、各相で発電された電圧Etは図1(b)に示すように半分となる。これにより、発電機2の各相巻線L、L、Lを図3の1個の巻線として運転していた場合に、風速が速くなり各相の発電電圧が適正な充電電圧範囲を越えた場合、図4の2個の並列巻線とすることにより、発電電圧を再び適正な充電電圧範囲内に戻すことができる。なお、上記例では1相あたりの並列巻線の個数を2個とする例を示したが、1相あたりの巻線の並列巻線の個数はこれに限定されるものではなく、3、4、5・・個としてもよい。
【0012】
ここで発電機2の最大出力を1相分の回路である図5を用いて検討する。発電機の最大出力Pmaxは、
max=m×Et×Imax×cos(φ)
で決まる。ここで、Pは出力、mは相数、Imaxはその巻数における最大許容電流、φは内部相差角、φ=tan−1(X/r)、cos(φ)は負荷力率、Etは端子電圧、Xはリアクタンス、rは抵抗である。
【0013】
誘起起電力はEは、
=K×n
となる。ここで、nは回転速度、Kは誘起電圧定数である。
【0014】
端子電圧Etをベクトル表示すれば数1のようになる。
【数1】
Figure 2004064807
ここで、・印を付してベクトル表示したZは内部インピーダンスである。
【0015】
次に各巻線の最大許容電流Imaxは完全短絡電流I、短絡電流Iより、
=E/X
=I×sin(φ
max=I/{2cos((φ−φ)/2)}
で示される。
【0016】
従って、発電機2の出力は負荷インピーダンスZ、及び負荷力率cos(φ)が一定であれば、最大許容電流Imax、即ち短絡電流Iに比例する。又、抵抗rは巻線の巻回数wに比例し、リアクタンスXは二乗に比例する。一例で1相あたりの巻線の並列巻線数aをパラメータとして計算してみると、図6、図7に示すように、並列巻線数aの増加に従い端子電圧Etは其々の巻線数で最大回転速度で一定にでき(図6菱形印◆参照)、且つ風車1の回転速度が大きくなると最大許容電流Imaxは大きくなり、最大出力Pmaxも大きくなることが解る(図6の四角印■参照)。また、並列巻線数aを増加することにより結果として抵抗r、リアクタンスXも小さくなる(図7の四角印■、菱形印◆参照)ので、発電機の効率Eff(図6の三角印▲参照)が大きくできることが解る。
【0017】
一方、他の効果として並列巻線数aの増加は、その巻線の断面積Qは1個の巻線の場合のa倍大きくなるので、電流密度σ=Imax/Qは略一定となって(図7の三角印▲参照)、広い回転速度範囲で巻線の経済的設計が可能となる。このように多段の巻線のタップを設け、風速に応じて順次切替て運転することで、発電電圧、負荷の制御が効率的にできる。
【0018】
図8は風車の特性、即ち風車又は発電機の回転数と風車出力又は発電機負荷の関係を示す図である。図8において、曲線Aは風速をパラメータとして表した風車出力を示し、曲線Bは発電機負荷曲線を示す。本発明に係る風力発電装置は、発電機2の各相巻線L、L、Lの途中にタップU、U’、V、V’、W、W’を設け、発電機2の回転速度に応じて切り替え並列巻線数を増減させて発電機2の出力電圧、出力を調整するので蓄電池7の充電電圧の適正化を図ることができる。これに併せて風車1の負荷を該風車1の最大出力まで運転することが可能となる。即ち、風車1の各風速における出力は図8の曲線Aで示す通りで、各風速における風車出力曲線Aの右側の最大出力点で作動させることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように各請求項に記載の発明によれば下記のような優れた効果が得られる。
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、切替手段により、発電機の1相あたりの巻線を風速に応じて1個又は複数個の並列巻線とすることにより、発電機の発電電圧を蓄電池の適正な充電電圧範囲内にすることができ、簡単な構成で広い風速範囲で発電された発電電力を蓄電池に充電できる高効率の風力発電装置を提供できる。また発電機の巻線の電流密度も略一定値以内に抑えることができるので、発電機の出力増加に従って内部抵抗も小さくなるため更に効率を向上させることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、発電機の発電電圧を蓄電池の1相あたりの巻線を風速に応じて1個の巻線、複数個の並列巻線とすることにより、適正な充電電圧の範囲内に保つことができ、低速から高速の広い風速範囲で発電機が発電した電力を効率よく蓄電池に充電できる運転方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発電機の回転速度と端子電圧の関係を示す図である。
【図2】本発明に係る風力発電装置のシステム構成を示す図である。
【図3】本発明に係る風力発電装置の巻線構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る風力発電装置の巻線構成例を示す図である。
【図5】発電機の等価回路を示す図である。
【図6】本発明に係る風力発電装置の発電機の等価回路定数の計算例を示す図である。
【図7】本発明に係る風力発電装置の発電機の等価回路定数の計算例を示す図である。
【図8】風車又は発電機の出力特性を示す図である。
【符号の説明】
1      風車
2      発電機
3      整流回路
4      蓄電池
     発電機のU相巻線
     発電機のV相巻線
     発電機のW相巻線
,U’  タップ
,V’  タップ
,W’  タップ

Claims (2)

  1. 風車と、回転軸が該風車の回転軸と直接又は間接的に連結される永久磁石式発電機と、該永久磁石式発電機で発電された交流電力を直流電力に変換する整流回路と、該直流電力を充電する蓄電池を具備する風力発電装置において、
    前記発電機は各相の巻線の途中に、複数個のタップを有し、該タップを切り替えることにより、1相あたりの巻線を1個の巻線又は複数個の並列巻線とする切替手段を設けたことを特徴とする風力発電装置。
  2. 請求項1に記載の風力発電装置の運転方法において、
    前記切替手段は、風速が所定速度以下の場合前記1相あたりの巻線を1個の巻線とし、風速が該所定速度を越えて速くなるとその速度に応じて1相あたりの巻線を複数個の並列巻線とし、発電機の発電電圧を前記蓄電池の適正な充電電圧の範囲内に保つことを特徴とする風力発電装置の運転方法。
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