JP2004064239A - 発光出力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、発光出力パワーに係るAPC回路のフィードバックループの安定性を維持しつつ、かつ短距離ファイバ通信接続時にも、トーン信号の送受信機能を確実に実行できる発光出力制御装置を提供する。
【解決手段】APC回路は、発光ダイオードLDの発光出力を検出したフォトダイオード出力電流Ipdに基づいて、トランジスタQ1を動作させて発光出力を制御する。トランジスタQ3のエミッタに、光通信時のトーン信号に対する反転パルス信号を印加し、トランジスタQ3をオン動作にすることにより、トーン信号の無変調期間のベース電流Ibを生成する。APC回路は、発光出力の信号における無変調期間のみにおいて、フォトダイオード出力電流Ipd及びベース電流Ibに基づき発光出力を低下する制御を行い、受信側での無変調期間におけるノイズレベルを低減して、トーン信号を判別しやすくする。
【選択図】 図1
【解決手段】APC回路は、発光ダイオードLDの発光出力を検出したフォトダイオード出力電流Ipdに基づいて、トランジスタQ1を動作させて発光出力を制御する。トランジスタQ3のエミッタに、光通信時のトーン信号に対する反転パルス信号を印加し、トランジスタQ3をオン動作にすることにより、トーン信号の無変調期間のベース電流Ibを生成する。APC回路は、発光出力の信号における無変調期間のみにおいて、フォトダイオード出力電流Ipd及びベース電流Ibに基づき発光出力を低下する制御を行い、受信側での無変調期間におけるノイズレベルを低減して、トーン信号を判別しやすくする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光リンク用トランシーバ装置などに使用される発光出力制御装置に関し、特に、光通信接続確認のためのトーン信号を安定して生成できる発光出力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバを用いて、情報を光信号の形で送受信することが行われ、長距離、大容量の通信方式を実現している。さらには、短距離通信においても、パソコンの高速化に伴い、例えば、パソコンと他の周辺機器との接続にも、光リンクによる送受信モジュールを利用した光伝送チャネルの形成が行われている。
【0003】
その光リンクにおいては、通常、パソコン内では電気信号で処理されているので、パソコンから他の周辺機器へ信号を伝送しようとすれば、パソコンの周辺機器へのインタフェースとして光リンク用トランシーバ装置が必要となる。
【0004】
そこで、従来から用いられている光リンク用トランシーバ装置の概略構成を図3に示す。
【0005】
同図に示されているように、光リンク用トランシーバ装置1は、光送信部2、発光駆動部3、受光部4及び光受信処理部5により構成される。光送信部2と受光部4とには光ケーブルが接続されており、光送信部2から光出力Loを送信し、また、受光部4が他からの光入力Liを受光する。この光出力Loと光入力Liとによって、例えば、パソコンと他の周辺機器との間で、シリアル通信が行われる。
【0006】
光送信回路は、光送信部2と発光駆動部3からなり、光送信部2は、発光素子としてレーザダイオードLDと、モニタ用のフォトダイオードPDとを有する。レーザダイオードLDは、LD駆動回路31でその発光を駆動され、光出力Loを出力する。そして、モニタ用フォトダイオードPDは、レーザダイオードLDの発光駆動状況をモニタし、光出力パワーを一定にする自動パワーコントロール(APC)回路32にモニタ信号を供給する。
【0007】
一方、光受信回路は、受光部4と光受信処理部5からなる。光入力Liが、受光部4に備えられている受光素子のフォトダイオードPDに入射され、光入力Liの光信号が電気信号に変換される。変換された電気信号は、増幅器TIAで増幅され、光受信処理部5に供給される。光受信処理部5には、2R回路とSD回路とが備えられており、光受信信号から取り出した電気信号であるデータ出力信号Soとシグナル検出信号Ssdをパソコンに出力する。
【0008】
なお、パソコンと他の周辺機器との間で、シリアル通信を行う場合には、パソコンに接続される他の周辺機器側にも、同様の機能を持つ光リンク用トランシーバ装置を備えておく。
【0009】
ここで、図3に示される従来構成による光リンク用トランシーバ装置の発光動作について、図4に示したタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0010】
図4において、(a)は、LDディセーブル信号Sdを表している。LDディセーブル信号SdがLD駆動回路31に供給され、レーザダイオードLDの発光動作の制御を行うものであり、レーザダイオードLDのバイアス及び変調電流をオン・オフするものである。(b)は、フォトダイオードPDからのモニタ信号に基づくAPC回路32のAPC制御信号Saを表し、(c)は、レーザダイオードLDから出力される光出力Loを表している。
【0011】
光リンク用トランシーバ装置1が、データ入力信号Siを他の周辺機器に送信するためにレーザダイオードLDを立ち上げ、発光駆動するときを説明する。
【0012】
先ず、時間t1において、LDディセーブル信号Sdをハイレベルとして、光出力のディセーブルをオフにする。このとき、LD駆動回路31は、レーザダイオードLDの発光駆動を開始する。
【0013】
しかし、発光駆動部3には、レーザダイオードLDの温度変動等に対応して安定し、一定の発光出力に制御するAPC回路32が設けられている。具体的には、フォトダイオードPDからのモニタ信号をフィードバックし、APC回路32が、LD駆動回路31によるレーザダイオードLDのバイアス電流を調整している。
【0014】
ところが、通常、レーザダイオードLDへのAPC回路を含むフィードバック回路が安定するまでの安定化時間が設定されている。そのため、この安定化時間の間では、レーザダイオードLDの発光出力も安定しないため、この光出力Loを出力しないようにしている。
【0015】
LDディセーブル信号Sdがオフとなる時間t1から、フィードバック回路が安定する時間t2までの時間は、通常、数ms、例えば、4ms程度に設定されているので、時間t2までは光出力Loは出力されない。時間t2を経過すれば、光出力Loが出力され、そして、時間t3に、LDディセーブル信号Sdがオン、つまりローレベルになると、光出力Loも出力されなくなる。
【0016】
この様に、従来の光リンク用トランシーバ装置1において、レーザダイオードLDに関する発光動作をオン・オフするためのLDディセーブル信号Sdがオフになっているにも拘わらず、レーザダイオードLDから光出力されず、一定パワーを有する光出力が送出されるまでには、大きなディレイが発生することとなる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、IEEE1394bの規格では、通信相手との通信接続確認の際に、トーン信号と呼ばれるパルス信号を通信データの送信の前に付加することを要求している。従って、IEEE1394bに基づく通信を行うには、IEEE1394に対応した光リンク用トランシーバ装置は、この規定を満たしたトーン信号の送信ができなければならない。
【0018】
ここで、IEEE1394bの規定に従ったトーン信号は、図5(a)及び(b)に示される構造を持っている。IEEE1394bの規定による光通信では、666μsの期間内に、図5(b)のような「1、0」を示すパルス列が含まれる複数のトーン信号T1〜T3が、通信しようとしているデータ信号Dの送信前に、送信されるようになっている。この「1、0」の配列自体には、信号の意味が無く、受信側の光リンク用トランシーバ装置1では、666μs幅のパルス列が42.67ms毎に送信されるトーン信号T1〜T3の到来によって、通信接続を確認するようになっている。そのため、送信側の光リンク用トランシーバ装置1のレーザダイオードLDは、通信開始時に、図5(a)及び(b)に示されるトーン信号を光出力Loとして送出しなければならない。
【0019】
一方、レーザダイオードLDを発光素子に用いた光トランシーバ装置では、前述したように、光送信部2内に実装されたフォトダイオードPDの出力電流をモニタリングし、LD駆動回路にフィードバックをかけるAPC回路を用いて発光パワーを一定に保つようにしている。
【0020】
ここで、図6に、光送信部に接続される従来のAPC回路の基本構成を示した。光送信部2は、レーザダイオードLDとフォトダイオードPDで構成されている。レーザダイオードLDは、トランジスタQ1の動作によって駆動され、光出力Loを送出する。フォトダイオードPDは、レーザダイオードLDの動作をモニタリングし、抵抗R2に、モニタリング電流に応じた電圧Vmを発生させる。
【0021】
増幅器AMPの非反転入力に電圧Vmが入力され、そして、その反転入力には、予め設定された基準電圧Vrefが印加されている。APC回路として、増幅器AMPは、電圧Vmと基準電圧Vrefに基づいてトランジスタQ1を動作させ、温度に影響して光出力Loが変動しないように、レーザダイオードLDの発光パワーを制御している。APC回路中の抵抗R2の値を増やすと、レーザダイオードLDの発光出力パワーは低下することになる。
【0022】
APC回路のフィードバックを安定させ、乱れのない出力波形を得るには、フィードバックループの時定数を大きくする必要がある。しかし、ループ時定数を大きくすると、レーザダイオードLDの発光ディレイが大きくなる。図4で説明したように、レーザダイオードLDの発光が安定してから光出力を送出するようにすると、IEEE1394bの規定を満たすトーン信号の各パルス幅は狭いので、トーン信号を送信ができないことになる。
【0023】
そこで、発光パワーを一定とし、変調信号のみをON、OFFすることで、トーン信号の送信機能を実現することが提案されている。この機能を実現する構成として、図3の光リンク用トランシーバ装置1では、データ入力信号Siがデータ変調回路6を介して発光駆動部3に供給されるようにし、データ変調回路6を変調制御信号Scによって制御することにより、図5(b)に示されるトーン信号パルス列を生成している。
【0024】
そして、トーン動作モードと通常動作モードを有するLDディセーブル信号Sdが発光駆動部3に供給されるようになっている。図5(c)に示すように、トーン動作モード時には、42.67ms毎に信号幅666μsのLDディセーブル信号Sd1〜Sd3が供給されて、上述した規定のトーン信号が光出力Loの信号として送出される。
【0025】
しかし、信号を変調することによりトーン信号を生成する場合、短距離ファイバを用いて接続したときには、受信側の光リンク用トランシーバ装置へ入力される光出力パワーが大きくなると、トーン信号送信時において、該信号の無変調部分にノイズが多く重畳される結果、このノイズがトーン信号と誤認されることがある。従って、この場合には、正常なトーン信号の受信ができないという問題が発生する。
【0026】
この様な問題に対処するため、図7に示される発光パワー制御回路が提案されている。この発光パワー制御回路では、トーン信号送信時における無変調部分のノイズを低減するため、このノイズがトーン信号のパルスと誤認されない大きさとなるように、該無変調部分のみについて、レーザダイオードLDの発光出力パワーを低下させるというものである。
【0027】
ところで、無変調時のみにおいて、レーザダイオードLDの発光出力パワーを低下させるには、抵抗R2の値を変える必要がある。そこで、図7の発光パワー制御回路は、図6に示したAPC回路を基本としているが、さらに、抵抗R3とトランジスタQ2の直列回路が、抵抗R2に並列に接続されている。トランジスタQ2がオン・オフされることによって、増幅器AMPの非反転入力に接続された抵抗値を可変としている。
【0028】
トランジスタQ2のオン・オフの動作が、変調時と無変調時とに対応する必要があるところから、トランジスタQ2のベースには、トーン信号パルスが供給される。無変調時には、トランジスタQ2がオフとなるので、抵抗R3が抵抗R2に接続されなくなるので、電圧Vmが高くなり、結果として、レーザダイオードLDの光出力パワーが低くなる。逆に、変調時には、トランジスタQ2がオンとなって、抵抗R2と抵抗R3が並列接続されると、電圧Vmが低くなるため、レーザダイオードLDの光出力は増大する。
【0029】
この様に、トーン信号の送信時において、無変調時の期間のみ、レーザダイオードLDの光出力パワーを低下させ、トーン信号のパルスとノイズを区別し易くなるが、図7のような回路構成によると、通常動作モード時においては、トランジスタQ2がオン状態になるため、該トランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧Vceの温度変化に影響されることによって、レーザダイオードLDの光出力パワーが変化してしまうという問題がある。
【0030】
また、光送信部2を構成するフォトダイオードPDに流れる出力電流は、例えば、レーザダイオードLDが、1mWで発光出力しているとき、約50μA程度であり、微小電流である。この微小電流が、トランジスタQ2のコレクタ電流Icとして流れることになる。
【0031】
ところが、実際のトランジスタのコレクタ電流Icは、mAオーダの大きさであり、フォトダイオードPDに流れる電流は、このコレクタ電流Icに比較して少なすぎるものである。このことにより、図7の発光パワー制御回路の構成にして、レーザダイオードLDの発光出力パワーを制御しようとすると、トランジスタがこの微小電流を安定して供給できないため、変調時におけるレーザダイオードLDの発光出力パワーを一定に制御することを難しくするという問題がある。
【0032】
そこで、本発明は、APC回路のフィードバックループの安定性を維持しつつ、かつ短距離ファイバによる通信接続時においても、トーン信号の送受信機能を実現する発光出力制御装置を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明では、光リンク用トランシーバ装置などの発光出力制御装置において、発光ダイオードの発光出力を検出したフォトダイオード出力電流に基づいて、該発光出力を制御する制御回路と、前記発光出力の信号における無変調期間のみに前記フォトダイオード出力電流に微小電流を付加する電流付加回路とを備え、前記制御回路が、前記無変調期間において、前記フォトダイオード出力電流及び前記微小電流に基づいて前記発光出力を低下する制御を行うようにした。
【0034】
そして、前記制御回路が、前記発光出力を一定に制御する自動パワーコントロール回路であり、前記発光出力の信号が、変調又は無変調によって生成された光通信におけるトーン信号であり、前記微小電流が、前記トーン信号の無変調期間に応じて動作するトランジスタのベース電流であることとした。
【0035】
また、前記トランジスタのエミッタに、前記トーン信号の反転パルス信号を印加して、前記トランジスタをオン動作にすることにより、前記無変調期間の前記ベース電流を生成することとした。
【0036】
以上のように、発光出力制御装置を構成することにより、光通信のトーン信号における無変調期間に検出されたフォトダイオード電流に微小電流が付加され、該無変調期間の発光出力パワーを低下させることができるので、発光出力パワーを一定制御するAPC回路のフィードバックループの安定性を維持しつつ、かつ短距離ファイバによって通信接続された場合においても、トーン信号の送受信機能が確実に実行されるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の発光出力制御装置の実施形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0038】
本実施形態による発光出力制御装置は、図6に示した光リンク用トランシーバ装置のAPC回路を基本とした発光パワー制御回路で構成されており、トーン信号の送信時において、無変調時の期間のみ、レーザダイオードLDの光出力パワーを低下させ、受信側の光リンク用トランシーバ装置でトーン信号のパルスとノイズを区別し易くすることを実現するものである。
【0039】
トーン信号の送信時において、無変調時の期間のみ、レーザダイオードLDの光出力パワーを低下させることについて、提案されている図7の発光パワー制御回路によって行い得ることは、既に説明した。しかし、図7の発光パワー制御回路では、上述したように、光出力パワーにトランジスタQ2による温度変化が影響すること、そして、トランジスタQ2のコレクタ電流IcがフォトダイオードPDの微小電流に対応できないことの問題があった。
【0040】
そこで、本実施形態の発光出力制御装置では、これらの問題を解決するために、図7の発光パワー制御回路のように、トランジスタQ2の動作によって無変調時のみ抵抗値を変更するという手段の代わりに、APC回路の抵抗R2に流れる電流を、無変調時のみに増加させるようにして、増幅器AMPの非反転入力に供給される電圧Vmを高くするという手段を採用し、特に、トーン信号パルスに応じて動作するトランジスタの接続の仕方を工夫した。
【0041】
図1に、本実施形態による発光パワー制御回路の構成を示した。この発光パワー制御回路は、図6のAPC回路を基本としているので、同じ部分には、同じ符号を付してある。図1に示した回路例では、APC回路の抵抗R2に流れる電流をトーン信号における無変調時のみ増加させる付加回路は、反転増幅器INV、トランジスタQ3、抵抗R4及びR5を備えている。
【0042】
ここで、この付加回路は、トランジスタQ3のベースが、抵抗R2及び増幅器AMPの非反転入力端子に接続され、そのエミッタが、反転増幅器INVの出力端子に接続されていることを特徴としている。なお、トランジスタQ3には、PNP型トランジスタが使用され、抵抗R4及びR5は、トランジスタQ3の動作に対するバイアス用に接続されている。
【0043】
反転増幅器INVの入力には、トーン信号のトーンパルスが入力される。その出力からは、入力されたトーンパルスに対して反転したパルスが出力され、トランジスタQ3のエミッタに供給されるようになっている。トーン信号のトーンパルスがないとき、つまり、無変調時のときには、トランジスタQ3のエミッタにパルス電圧Vpが供給されることになる。電圧Vpの大きさが、電圧Vmより大きくなるように設定される。
【0044】
ここで、トランジスタQ3のエミッタに、電圧Vpが印加されると、トランジスタQ3がオン動作状態となる。このとき、トランジスタQ3のエミッタ−コレクタ間に、コレクタ電流Icが流れることになり、抵抗R2には、このコレクタ電流Icが流れることによるベース電流Ibが供給される。ベース電流Ibは、コレクタ電流Icの大きさに比較して、微小なものであり、一定電流である。結果的に、無変調時には、抵抗R2に、フォトダイオード電流Ipdにベース電流Ibが付加された大きさの電流が流れることになる。
【0045】
ここで、本実施形態の発光パワー制御回路における動作を、図2のタイムチャートを参照しながら説明する。図2において、(a)は、トーン信号のトーンパルスの波形を、(b)は、レーザダイオードLDの発光出力パワーPを、(c)は、フォトダイオードPDに流れるフォトダイオード電流Ipdを、そして、(d)は、ベース電流Ibをそれぞれ表しており、トーンパルスにおける無変調時と変調時とが切り換わるタイミングtを中心にして、部分的に示している。図では、このタイミングtにおいて、急峻な変化で示したが、これは、説明の都合上、模式的に示したもので、実際には、この変化は、少し滑らかなものとなっている。
【0046】
トーン信号が無変調時であるとき、つまり、トーンパルスが0レベルにあるときには、トランジスタQ3がオン動作状態になることによって、抵抗R2に、トランジスタQ3からベース電流Ibが供給される。抵抗R2に、フォトダイオード電流Ipdmaxが流れているところに、このベース電流Ibが付加されることになる。そこで、電圧Vmが上昇することになるので、増幅器AMPは、トランジスタQ1を制御して、レーザダイオードLDの発光出力パワーをPmaxからPに低下させる。
【0047】
このとき、レーザダイオードLDの発光出力パワーがPに低下することに従って、フォトダイオードPDに流れるフォトダイオード電流は、IpdmaxからIpdに低減されたものとなる。つまり、トーン信号の無変調時には、ベース電流Ibが付加されることにより、フォトダイオード電流としては、Ipdmaxからベース電流Ib分だけ低い電流Ipdが流れることになる。
【0048】
タイミングtにおいて、トーン信号が無変調状態から変調状態に変化すると、トランジスタQ3がオフ状態になるので、ベース電流Ibが供給されなくなる。そのため、設定された発光出力パワーPmaxとなるように制御され、フォトダイオード電流は、IpdからIpdmaxに回復する。
【0049】
以上のように、本実施形態の発光パワー制御回路によれば、レーザダイオードLDの発光出力パワーを下げる手法は、フォトダイオードPD電流の出力ラインに、別の付加回路から一定電流を流すことにより、APC回路に対して発光出力パワーが上昇したように検知させるものである。発光出力パワーの上昇を検知したAPC回路は、レーザダイオードLDの発光出力パワーを下げる方向に制御するため、結果的に、発光出力パワーが低下するというものである。
【0050】
トーン信号の送信時において、無変調部分のみの発光出力パワーを下げることにより、例えば、パソコンと周辺機器とが短距離ファイバによって接続されている時にも、安定したトーン信号の送受信機能を確保することができる。
【0051】
また、本実施形態の発光パワー制御回路の付加回路は、トーン信号の送受信時のみに必要なものであり、この回路を付加したことによって、通常信号の送受信時に影響を及ぼしてはならない。従来の発光パワー制御回路のように、レーザダイオードLDに係る発光出力パワーの設定値を変えて、発光出力パワーを下げる回路による場合には、通常動作時に、トランジスタの動作がオンになるため、このトランジスタ自体の温度特性による影響を与えてしまうが、本実施形態の発光パワー制御回路では、通常動作時には、トランジスタの動作がオフとなるため、影響を及ぼすことがない。
【0052】
さらに、従来の発光パワー制御回路では、上述したように、レーザダイオードLDの発光出力パワーが1mWであるとき、フォトダイオードPDの出力電流は50μAと微小電流であり、この微小電流として、トランジスタのコレクタ電流IcをフォトダイオードPDの電流出力ラインに流す手法を採ると、通常、コレクタ電流Icに流す電流値(数mA)に比べて、微小電流の大きさが少なすぎるため、安定した電流を供給できないものであった。これに対して、本実施形態の発光パワー制御回路における付加回路では、トーン信号の無変調時にオンとなるトランジスタには、数mAの大きさのコレクタ電流Icが流れるものの、フォトダイオードPDの電流出力ラインには、元々微小電流であるトランジスタのベース電流Ibを付加して流す手法を用いたので、安定した電流の供給を実現した。
【0053】
【発明の効果】
したがって、本発明の光リンク用トランシーバ装置の発光出力制御装置によれば、トーン信号の無変調時のみの期間において、フォトダイオードの電流出力ラインに微小電流を付加するようにしたので、発光出力制御装置におけるAPC回路のフィードバックループの安定性を維持しつつ、かつ複数の光リンク用トランシーバ装置間を短距離ファイバで接続した時でも、受信側において、ノイズが低減されることにより、トーン信号の判別がしやすくなり、トーン信号の送受信が確実に行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態による光リンクトランシーバ装置の発光パワー制御回路の構成を示
す図である。
【図2】本実施形態の発光パワー制御回路における動作を説明する図である。
【図3】従来の光リンク用トランシーバ装置の概略ブロック構成を説明する図である。
【図4】従来の光リンク用トランシーバ装置における発光動作のタイミングチャートを
示す図である。
【図5】光リンク用トランシーバ装置におけるトーン信号の生成について説明する図で
ある。
【図6】光送信部に接続される従来のAPC回路の基本構成を説明する図である。
【図7】図6のAPC回路に発光パワー制御回路を接続した従来の光送信部の回路構成
を説明する図である。
【符号の説明】
1…光リンク用トランシーバ装置
2…光送信部
3…発光駆動部
31…LD駆動回路
32…APC回路
4…受光部
5…光受信処理部
6…データ変調回路
AMP…増幅器
INV…反転増幅器
PD…フォトダイオード
LD…レーザダイオード
Q1〜Q3…トランジスタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光リンク用トランシーバ装置などに使用される発光出力制御装置に関し、特に、光通信接続確認のためのトーン信号を安定して生成できる発光出力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバを用いて、情報を光信号の形で送受信することが行われ、長距離、大容量の通信方式を実現している。さらには、短距離通信においても、パソコンの高速化に伴い、例えば、パソコンと他の周辺機器との接続にも、光リンクによる送受信モジュールを利用した光伝送チャネルの形成が行われている。
【0003】
その光リンクにおいては、通常、パソコン内では電気信号で処理されているので、パソコンから他の周辺機器へ信号を伝送しようとすれば、パソコンの周辺機器へのインタフェースとして光リンク用トランシーバ装置が必要となる。
【0004】
そこで、従来から用いられている光リンク用トランシーバ装置の概略構成を図3に示す。
【0005】
同図に示されているように、光リンク用トランシーバ装置1は、光送信部2、発光駆動部3、受光部4及び光受信処理部5により構成される。光送信部2と受光部4とには光ケーブルが接続されており、光送信部2から光出力Loを送信し、また、受光部4が他からの光入力Liを受光する。この光出力Loと光入力Liとによって、例えば、パソコンと他の周辺機器との間で、シリアル通信が行われる。
【0006】
光送信回路は、光送信部2と発光駆動部3からなり、光送信部2は、発光素子としてレーザダイオードLDと、モニタ用のフォトダイオードPDとを有する。レーザダイオードLDは、LD駆動回路31でその発光を駆動され、光出力Loを出力する。そして、モニタ用フォトダイオードPDは、レーザダイオードLDの発光駆動状況をモニタし、光出力パワーを一定にする自動パワーコントロール(APC)回路32にモニタ信号を供給する。
【0007】
一方、光受信回路は、受光部4と光受信処理部5からなる。光入力Liが、受光部4に備えられている受光素子のフォトダイオードPDに入射され、光入力Liの光信号が電気信号に変換される。変換された電気信号は、増幅器TIAで増幅され、光受信処理部5に供給される。光受信処理部5には、2R回路とSD回路とが備えられており、光受信信号から取り出した電気信号であるデータ出力信号Soとシグナル検出信号Ssdをパソコンに出力する。
【0008】
なお、パソコンと他の周辺機器との間で、シリアル通信を行う場合には、パソコンに接続される他の周辺機器側にも、同様の機能を持つ光リンク用トランシーバ装置を備えておく。
【0009】
ここで、図3に示される従来構成による光リンク用トランシーバ装置の発光動作について、図4に示したタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0010】
図4において、(a)は、LDディセーブル信号Sdを表している。LDディセーブル信号SdがLD駆動回路31に供給され、レーザダイオードLDの発光動作の制御を行うものであり、レーザダイオードLDのバイアス及び変調電流をオン・オフするものである。(b)は、フォトダイオードPDからのモニタ信号に基づくAPC回路32のAPC制御信号Saを表し、(c)は、レーザダイオードLDから出力される光出力Loを表している。
【0011】
光リンク用トランシーバ装置1が、データ入力信号Siを他の周辺機器に送信するためにレーザダイオードLDを立ち上げ、発光駆動するときを説明する。
【0012】
先ず、時間t1において、LDディセーブル信号Sdをハイレベルとして、光出力のディセーブルをオフにする。このとき、LD駆動回路31は、レーザダイオードLDの発光駆動を開始する。
【0013】
しかし、発光駆動部3には、レーザダイオードLDの温度変動等に対応して安定し、一定の発光出力に制御するAPC回路32が設けられている。具体的には、フォトダイオードPDからのモニタ信号をフィードバックし、APC回路32が、LD駆動回路31によるレーザダイオードLDのバイアス電流を調整している。
【0014】
ところが、通常、レーザダイオードLDへのAPC回路を含むフィードバック回路が安定するまでの安定化時間が設定されている。そのため、この安定化時間の間では、レーザダイオードLDの発光出力も安定しないため、この光出力Loを出力しないようにしている。
【0015】
LDディセーブル信号Sdがオフとなる時間t1から、フィードバック回路が安定する時間t2までの時間は、通常、数ms、例えば、4ms程度に設定されているので、時間t2までは光出力Loは出力されない。時間t2を経過すれば、光出力Loが出力され、そして、時間t3に、LDディセーブル信号Sdがオン、つまりローレベルになると、光出力Loも出力されなくなる。
【0016】
この様に、従来の光リンク用トランシーバ装置1において、レーザダイオードLDに関する発光動作をオン・オフするためのLDディセーブル信号Sdがオフになっているにも拘わらず、レーザダイオードLDから光出力されず、一定パワーを有する光出力が送出されるまでには、大きなディレイが発生することとなる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、IEEE1394bの規格では、通信相手との通信接続確認の際に、トーン信号と呼ばれるパルス信号を通信データの送信の前に付加することを要求している。従って、IEEE1394bに基づく通信を行うには、IEEE1394に対応した光リンク用トランシーバ装置は、この規定を満たしたトーン信号の送信ができなければならない。
【0018】
ここで、IEEE1394bの規定に従ったトーン信号は、図5(a)及び(b)に示される構造を持っている。IEEE1394bの規定による光通信では、666μsの期間内に、図5(b)のような「1、0」を示すパルス列が含まれる複数のトーン信号T1〜T3が、通信しようとしているデータ信号Dの送信前に、送信されるようになっている。この「1、0」の配列自体には、信号の意味が無く、受信側の光リンク用トランシーバ装置1では、666μs幅のパルス列が42.67ms毎に送信されるトーン信号T1〜T3の到来によって、通信接続を確認するようになっている。そのため、送信側の光リンク用トランシーバ装置1のレーザダイオードLDは、通信開始時に、図5(a)及び(b)に示されるトーン信号を光出力Loとして送出しなければならない。
【0019】
一方、レーザダイオードLDを発光素子に用いた光トランシーバ装置では、前述したように、光送信部2内に実装されたフォトダイオードPDの出力電流をモニタリングし、LD駆動回路にフィードバックをかけるAPC回路を用いて発光パワーを一定に保つようにしている。
【0020】
ここで、図6に、光送信部に接続される従来のAPC回路の基本構成を示した。光送信部2は、レーザダイオードLDとフォトダイオードPDで構成されている。レーザダイオードLDは、トランジスタQ1の動作によって駆動され、光出力Loを送出する。フォトダイオードPDは、レーザダイオードLDの動作をモニタリングし、抵抗R2に、モニタリング電流に応じた電圧Vmを発生させる。
【0021】
増幅器AMPの非反転入力に電圧Vmが入力され、そして、その反転入力には、予め設定された基準電圧Vrefが印加されている。APC回路として、増幅器AMPは、電圧Vmと基準電圧Vrefに基づいてトランジスタQ1を動作させ、温度に影響して光出力Loが変動しないように、レーザダイオードLDの発光パワーを制御している。APC回路中の抵抗R2の値を増やすと、レーザダイオードLDの発光出力パワーは低下することになる。
【0022】
APC回路のフィードバックを安定させ、乱れのない出力波形を得るには、フィードバックループの時定数を大きくする必要がある。しかし、ループ時定数を大きくすると、レーザダイオードLDの発光ディレイが大きくなる。図4で説明したように、レーザダイオードLDの発光が安定してから光出力を送出するようにすると、IEEE1394bの規定を満たすトーン信号の各パルス幅は狭いので、トーン信号を送信ができないことになる。
【0023】
そこで、発光パワーを一定とし、変調信号のみをON、OFFすることで、トーン信号の送信機能を実現することが提案されている。この機能を実現する構成として、図3の光リンク用トランシーバ装置1では、データ入力信号Siがデータ変調回路6を介して発光駆動部3に供給されるようにし、データ変調回路6を変調制御信号Scによって制御することにより、図5(b)に示されるトーン信号パルス列を生成している。
【0024】
そして、トーン動作モードと通常動作モードを有するLDディセーブル信号Sdが発光駆動部3に供給されるようになっている。図5(c)に示すように、トーン動作モード時には、42.67ms毎に信号幅666μsのLDディセーブル信号Sd1〜Sd3が供給されて、上述した規定のトーン信号が光出力Loの信号として送出される。
【0025】
しかし、信号を変調することによりトーン信号を生成する場合、短距離ファイバを用いて接続したときには、受信側の光リンク用トランシーバ装置へ入力される光出力パワーが大きくなると、トーン信号送信時において、該信号の無変調部分にノイズが多く重畳される結果、このノイズがトーン信号と誤認されることがある。従って、この場合には、正常なトーン信号の受信ができないという問題が発生する。
【0026】
この様な問題に対処するため、図7に示される発光パワー制御回路が提案されている。この発光パワー制御回路では、トーン信号送信時における無変調部分のノイズを低減するため、このノイズがトーン信号のパルスと誤認されない大きさとなるように、該無変調部分のみについて、レーザダイオードLDの発光出力パワーを低下させるというものである。
【0027】
ところで、無変調時のみにおいて、レーザダイオードLDの発光出力パワーを低下させるには、抵抗R2の値を変える必要がある。そこで、図7の発光パワー制御回路は、図6に示したAPC回路を基本としているが、さらに、抵抗R3とトランジスタQ2の直列回路が、抵抗R2に並列に接続されている。トランジスタQ2がオン・オフされることによって、増幅器AMPの非反転入力に接続された抵抗値を可変としている。
【0028】
トランジスタQ2のオン・オフの動作が、変調時と無変調時とに対応する必要があるところから、トランジスタQ2のベースには、トーン信号パルスが供給される。無変調時には、トランジスタQ2がオフとなるので、抵抗R3が抵抗R2に接続されなくなるので、電圧Vmが高くなり、結果として、レーザダイオードLDの光出力パワーが低くなる。逆に、変調時には、トランジスタQ2がオンとなって、抵抗R2と抵抗R3が並列接続されると、電圧Vmが低くなるため、レーザダイオードLDの光出力は増大する。
【0029】
この様に、トーン信号の送信時において、無変調時の期間のみ、レーザダイオードLDの光出力パワーを低下させ、トーン信号のパルスとノイズを区別し易くなるが、図7のような回路構成によると、通常動作モード時においては、トランジスタQ2がオン状態になるため、該トランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧Vceの温度変化に影響されることによって、レーザダイオードLDの光出力パワーが変化してしまうという問題がある。
【0030】
また、光送信部2を構成するフォトダイオードPDに流れる出力電流は、例えば、レーザダイオードLDが、1mWで発光出力しているとき、約50μA程度であり、微小電流である。この微小電流が、トランジスタQ2のコレクタ電流Icとして流れることになる。
【0031】
ところが、実際のトランジスタのコレクタ電流Icは、mAオーダの大きさであり、フォトダイオードPDに流れる電流は、このコレクタ電流Icに比較して少なすぎるものである。このことにより、図7の発光パワー制御回路の構成にして、レーザダイオードLDの発光出力パワーを制御しようとすると、トランジスタがこの微小電流を安定して供給できないため、変調時におけるレーザダイオードLDの発光出力パワーを一定に制御することを難しくするという問題がある。
【0032】
そこで、本発明は、APC回路のフィードバックループの安定性を維持しつつ、かつ短距離ファイバによる通信接続時においても、トーン信号の送受信機能を実現する発光出力制御装置を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明では、光リンク用トランシーバ装置などの発光出力制御装置において、発光ダイオードの発光出力を検出したフォトダイオード出力電流に基づいて、該発光出力を制御する制御回路と、前記発光出力の信号における無変調期間のみに前記フォトダイオード出力電流に微小電流を付加する電流付加回路とを備え、前記制御回路が、前記無変調期間において、前記フォトダイオード出力電流及び前記微小電流に基づいて前記発光出力を低下する制御を行うようにした。
【0034】
そして、前記制御回路が、前記発光出力を一定に制御する自動パワーコントロール回路であり、前記発光出力の信号が、変調又は無変調によって生成された光通信におけるトーン信号であり、前記微小電流が、前記トーン信号の無変調期間に応じて動作するトランジスタのベース電流であることとした。
【0035】
また、前記トランジスタのエミッタに、前記トーン信号の反転パルス信号を印加して、前記トランジスタをオン動作にすることにより、前記無変調期間の前記ベース電流を生成することとした。
【0036】
以上のように、発光出力制御装置を構成することにより、光通信のトーン信号における無変調期間に検出されたフォトダイオード電流に微小電流が付加され、該無変調期間の発光出力パワーを低下させることができるので、発光出力パワーを一定制御するAPC回路のフィードバックループの安定性を維持しつつ、かつ短距離ファイバによって通信接続された場合においても、トーン信号の送受信機能が確実に実行されるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の発光出力制御装置の実施形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0038】
本実施形態による発光出力制御装置は、図6に示した光リンク用トランシーバ装置のAPC回路を基本とした発光パワー制御回路で構成されており、トーン信号の送信時において、無変調時の期間のみ、レーザダイオードLDの光出力パワーを低下させ、受信側の光リンク用トランシーバ装置でトーン信号のパルスとノイズを区別し易くすることを実現するものである。
【0039】
トーン信号の送信時において、無変調時の期間のみ、レーザダイオードLDの光出力パワーを低下させることについて、提案されている図7の発光パワー制御回路によって行い得ることは、既に説明した。しかし、図7の発光パワー制御回路では、上述したように、光出力パワーにトランジスタQ2による温度変化が影響すること、そして、トランジスタQ2のコレクタ電流IcがフォトダイオードPDの微小電流に対応できないことの問題があった。
【0040】
そこで、本実施形態の発光出力制御装置では、これらの問題を解決するために、図7の発光パワー制御回路のように、トランジスタQ2の動作によって無変調時のみ抵抗値を変更するという手段の代わりに、APC回路の抵抗R2に流れる電流を、無変調時のみに増加させるようにして、増幅器AMPの非反転入力に供給される電圧Vmを高くするという手段を採用し、特に、トーン信号パルスに応じて動作するトランジスタの接続の仕方を工夫した。
【0041】
図1に、本実施形態による発光パワー制御回路の構成を示した。この発光パワー制御回路は、図6のAPC回路を基本としているので、同じ部分には、同じ符号を付してある。図1に示した回路例では、APC回路の抵抗R2に流れる電流をトーン信号における無変調時のみ増加させる付加回路は、反転増幅器INV、トランジスタQ3、抵抗R4及びR5を備えている。
【0042】
ここで、この付加回路は、トランジスタQ3のベースが、抵抗R2及び増幅器AMPの非反転入力端子に接続され、そのエミッタが、反転増幅器INVの出力端子に接続されていることを特徴としている。なお、トランジスタQ3には、PNP型トランジスタが使用され、抵抗R4及びR5は、トランジスタQ3の動作に対するバイアス用に接続されている。
【0043】
反転増幅器INVの入力には、トーン信号のトーンパルスが入力される。その出力からは、入力されたトーンパルスに対して反転したパルスが出力され、トランジスタQ3のエミッタに供給されるようになっている。トーン信号のトーンパルスがないとき、つまり、無変調時のときには、トランジスタQ3のエミッタにパルス電圧Vpが供給されることになる。電圧Vpの大きさが、電圧Vmより大きくなるように設定される。
【0044】
ここで、トランジスタQ3のエミッタに、電圧Vpが印加されると、トランジスタQ3がオン動作状態となる。このとき、トランジスタQ3のエミッタ−コレクタ間に、コレクタ電流Icが流れることになり、抵抗R2には、このコレクタ電流Icが流れることによるベース電流Ibが供給される。ベース電流Ibは、コレクタ電流Icの大きさに比較して、微小なものであり、一定電流である。結果的に、無変調時には、抵抗R2に、フォトダイオード電流Ipdにベース電流Ibが付加された大きさの電流が流れることになる。
【0045】
ここで、本実施形態の発光パワー制御回路における動作を、図2のタイムチャートを参照しながら説明する。図2において、(a)は、トーン信号のトーンパルスの波形を、(b)は、レーザダイオードLDの発光出力パワーPを、(c)は、フォトダイオードPDに流れるフォトダイオード電流Ipdを、そして、(d)は、ベース電流Ibをそれぞれ表しており、トーンパルスにおける無変調時と変調時とが切り換わるタイミングtを中心にして、部分的に示している。図では、このタイミングtにおいて、急峻な変化で示したが、これは、説明の都合上、模式的に示したもので、実際には、この変化は、少し滑らかなものとなっている。
【0046】
トーン信号が無変調時であるとき、つまり、トーンパルスが0レベルにあるときには、トランジスタQ3がオン動作状態になることによって、抵抗R2に、トランジスタQ3からベース電流Ibが供給される。抵抗R2に、フォトダイオード電流Ipdmaxが流れているところに、このベース電流Ibが付加されることになる。そこで、電圧Vmが上昇することになるので、増幅器AMPは、トランジスタQ1を制御して、レーザダイオードLDの発光出力パワーをPmaxからPに低下させる。
【0047】
このとき、レーザダイオードLDの発光出力パワーがPに低下することに従って、フォトダイオードPDに流れるフォトダイオード電流は、IpdmaxからIpdに低減されたものとなる。つまり、トーン信号の無変調時には、ベース電流Ibが付加されることにより、フォトダイオード電流としては、Ipdmaxからベース電流Ib分だけ低い電流Ipdが流れることになる。
【0048】
タイミングtにおいて、トーン信号が無変調状態から変調状態に変化すると、トランジスタQ3がオフ状態になるので、ベース電流Ibが供給されなくなる。そのため、設定された発光出力パワーPmaxとなるように制御され、フォトダイオード電流は、IpdからIpdmaxに回復する。
【0049】
以上のように、本実施形態の発光パワー制御回路によれば、レーザダイオードLDの発光出力パワーを下げる手法は、フォトダイオードPD電流の出力ラインに、別の付加回路から一定電流を流すことにより、APC回路に対して発光出力パワーが上昇したように検知させるものである。発光出力パワーの上昇を検知したAPC回路は、レーザダイオードLDの発光出力パワーを下げる方向に制御するため、結果的に、発光出力パワーが低下するというものである。
【0050】
トーン信号の送信時において、無変調部分のみの発光出力パワーを下げることにより、例えば、パソコンと周辺機器とが短距離ファイバによって接続されている時にも、安定したトーン信号の送受信機能を確保することができる。
【0051】
また、本実施形態の発光パワー制御回路の付加回路は、トーン信号の送受信時のみに必要なものであり、この回路を付加したことによって、通常信号の送受信時に影響を及ぼしてはならない。従来の発光パワー制御回路のように、レーザダイオードLDに係る発光出力パワーの設定値を変えて、発光出力パワーを下げる回路による場合には、通常動作時に、トランジスタの動作がオンになるため、このトランジスタ自体の温度特性による影響を与えてしまうが、本実施形態の発光パワー制御回路では、通常動作時には、トランジスタの動作がオフとなるため、影響を及ぼすことがない。
【0052】
さらに、従来の発光パワー制御回路では、上述したように、レーザダイオードLDの発光出力パワーが1mWであるとき、フォトダイオードPDの出力電流は50μAと微小電流であり、この微小電流として、トランジスタのコレクタ電流IcをフォトダイオードPDの電流出力ラインに流す手法を採ると、通常、コレクタ電流Icに流す電流値(数mA)に比べて、微小電流の大きさが少なすぎるため、安定した電流を供給できないものであった。これに対して、本実施形態の発光パワー制御回路における付加回路では、トーン信号の無変調時にオンとなるトランジスタには、数mAの大きさのコレクタ電流Icが流れるものの、フォトダイオードPDの電流出力ラインには、元々微小電流であるトランジスタのベース電流Ibを付加して流す手法を用いたので、安定した電流の供給を実現した。
【0053】
【発明の効果】
したがって、本発明の光リンク用トランシーバ装置の発光出力制御装置によれば、トーン信号の無変調時のみの期間において、フォトダイオードの電流出力ラインに微小電流を付加するようにしたので、発光出力制御装置におけるAPC回路のフィードバックループの安定性を維持しつつ、かつ複数の光リンク用トランシーバ装置間を短距離ファイバで接続した時でも、受信側において、ノイズが低減されることにより、トーン信号の判別がしやすくなり、トーン信号の送受信が確実に行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態による光リンクトランシーバ装置の発光パワー制御回路の構成を示
す図である。
【図2】本実施形態の発光パワー制御回路における動作を説明する図である。
【図3】従来の光リンク用トランシーバ装置の概略ブロック構成を説明する図である。
【図4】従来の光リンク用トランシーバ装置における発光動作のタイミングチャートを
示す図である。
【図5】光リンク用トランシーバ装置におけるトーン信号の生成について説明する図で
ある。
【図6】光送信部に接続される従来のAPC回路の基本構成を説明する図である。
【図7】図6のAPC回路に発光パワー制御回路を接続した従来の光送信部の回路構成
を説明する図である。
【符号の説明】
1…光リンク用トランシーバ装置
2…光送信部
3…発光駆動部
31…LD駆動回路
32…APC回路
4…受光部
5…光受信処理部
6…データ変調回路
AMP…増幅器
INV…反転増幅器
PD…フォトダイオード
LD…レーザダイオード
Q1〜Q3…トランジスタ
Claims (5)
- 発光ダイオードの発光出力を検出したフォトダイオード出力電流に基づいて、該発光出力を制御する制御回路と、
前記発光出力の信号における無変調期間のみに前記フォトダイオード出力電流に微小電流を付加する電流付加回路と、を有し、
前記制御回路は、前記無変調期間において、前記フォトダイオード出力電流及び前記微小電流に基づいて前記発光出力を低下する制御を行うことを特徴とする発光出力制御装置。 - 前記制御回路が、前記発光出力を一定に制御する自動パワーコントロール回路であることを特徴とする請求項1に記載の発光出力制御装置。
- 前記発光出力の信号が、変調又は無変調によって生成された光通信におけるトーン信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光出力制御装置。
- 前記微小電流は、前記トーン信号の無変調期間に応じて動作するトランジスタのベース電流であることを特徴とする請求項3に記載の発光出力制御装置。
- 前記トランジスタのエミッタに、前記トーン信号の反転パルス信号を印加して、前記トランジスタをオン動作にすることにより、前記無変調期間の前記ベース電流を生成することを特徴とする請求項4に記載の発光出力制御装置。
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