【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子銃部品の製造方法に関し、特に熱による変形が少ない信頼性の高い電子銃部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、CRT等に使用される電子銃の電極(電子銃部品)を製造する方法として、コイニングによって形成するプレス加工方法が知られている。その中でも特に、特開平11−31455号公報には、電子銃の電極を高い寸法精度で製造する方法が開示されている。図3は特開平11−31455号公報に開示されている電子銃部品の従来の製造方法を示した図である。
【0003】
この従来の製造方法によると、まず図3(a)に示されるように、例えばステンレス鋼板よりなる板状母材にコイニング加工を施し、半薄肉部1112が形成された母材1101を製造する。この図3(a)の工程において、母材1101の加工部分の材料は、半薄肉部1112の外周方向にだけ流れる。これにより、半薄肉部1112の外周に沿ってやや盛り上がった部分1101Aが形成される。
【0004】
上記図3(a)の工程では、最終的な電子銃部品1100に形成される薄肉部1114(図3(d)に表示)より厚い半薄肉部1112を形成するので、母材1101の加工量は大きくなく、加工硬化も小さいものに抑制できる。この従来の製造方法では、仕上げ段階の薄肉部1114の板厚を、電子銃部品1100の板厚に対して3分の1以下に加工するものであり、半薄肉部1112は仕上げ段階の薄肉部1114に比べて2倍程度の板厚で形成しているのが特徴である。例えば、電子銃部品1100の板厚は0.2mm〜0.4mm、半薄肉部1112の板厚は0.10mm〜0.20mm、薄肉部1114の板厚は0.07mm〜0.15mmというような部品寸法を想定するものであった。
【0005】
次に、図3(b)に示すように、母材1101の半薄肉部1112の中心部に下孔1122をプレス加工によって孔あけし母材1102を形成する。従来例では、下孔1122の径を0.7mm〜0.8mm程度に加工し、この下孔1122を後述する図3(c)の工程によって約0.28mmの残り径を有する下孔1122’に変形させている。なお、最終的な仕上げ孔1124の径は約0.3mmを想定している。
【0006】
次に、図3(c)に示すように、半薄肉部1112をコイニング加工し、半薄肉部1112が薄肉部1114に変形した母材1103を形成する。この工程において、半薄肉部1112の材料は、下孔1122により中心方向に流れるとともに、薄肉部1114の外周方向に流れるため、容易に変形できる。この工程によって直径0.7〜0.8mmの下孔1122が直径0.28mmの下孔1122’に変形される。
【0007】
したがって、加工硬化の影響を抑えて容易に加工を行うことができ、また下孔1122の安定した変形状態を得ることができる。また、半薄肉部1112から薄肉部1114への加工量が小さいため、下孔1122の変形量も小さくなり、残り径を有効に制御できるとのことである。
【0008】
この後、図3(d)に示すように、仕上げ孔加工工程により、薄肉部1114に直径約0.3mmの仕上げ孔1124をプレス加工によって形成する。
【0009】
以上のようなプレス加工法によって、板厚の3分の1程度の0.07mm〜0.15mmの厚みからなる薄肉部1114を備え、直径が約0.3mmの仕上げ孔1124があけられた電子銃部品1100を製造していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年、CRTには高解像度化の要求が非常に高まっており、そうした状況の中でCRTに搭載される電子銃は電子をより正確に制御しなくてはならなくなりつつある。そこで電子を正確に制御する手段として、電子を制御するための電子銃部品(一般にグリッド電極と呼ばれる電子制御部品)を電子放出源であるカソードに近づけて、カソード近傍の電子の拡散が少ない状態で電子を制御するといった方法が考えられている。
【0011】
図2は従来の電子銃において電子制御部品とカソードとの距離を変えた場合の電子の挙動を比較した図である。従来の電子銃は、熱を発生させるヒーター400に接してカソード300が構成されており、そのカソード300が熱せられることによって、電子が放出される。放出した電子は陽極電極200とカソード300の間に電圧を加えることによって、電子銃の外に向かって引っ張り出される。陽極電極200とカソード300との間に配置される電子制御部品100には、陽極電極200にかかる電圧とは逆の電圧がかけられ(一般にこのような加電方法を逆バイアスと呼ぶ。)、この逆バイアスの電圧量を制御して、図2に示すように電子を収束させている。
【0012】
こうした一般的な電子銃構造において、電子の制御を行う電子制御部品100とカソード300との位置関係(距離)は、電子の挙動に大きな影響を与える要因の一つに挙げられる。図2は電子制御部品100とカソード300との距離を変えた場合の電子の挙動を比較した図であるが、図2(a)に示すように、電子制御部品100とカソード300との距離を広げたときに比べて、図2(b)に示すように、電子制御部品100とカソード300との距離を狭めたときの方が、より電子を絞ることができ、明るく高精細な電子スポットを達成することが可能になる。
【0013】
しかしながら従来のプレス加工法によって製造された電子銃部品(電子制御部品100)をカソード300に近づけると、カソード300から発生する高熱の影響で電子制御部品100が変形してしまうといった問題が多く発生してしまった。
【0014】
従来のプレス加工法で製造した電子銃部品は、プレス加工時に内部に応力がたまりやすく、その内部応力が加熱時に変形を生じさせる原因になっていると考えられている。
【0015】
本発明の目的は、電子銃部品をカソードに近づけた高温状況下においても熱変形の少ない電子銃部品を達成する製造方法を提供することにある。さらにその結果、電子の高精度制御が可能な電子銃を達成することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電子銃部品の製造方法は、電子を制御するための電子銃部品であって、金属粉末が混練された樹脂を射出成形法によって成形し成形品を形成する射出成形工程と、加熱処理によって成形品から樹脂を加熱分解させる脱脂工程と、脱脂された成形品を電子銃部品の使用時に電子銃部品にかかる温度以上の温度で加熱して金属粉末を焼結する焼成工程とを有している。
【0017】
さらには、金属粉末の粒径が0.1μm以上20μm以下の範囲にあるのが望ましい。
【0018】
また、焼成工程での加熱温度が700℃以上1500℃以下であるのが望ましい。
【0019】
さらに、金属粉末がTi、W、FeもしくはNi、またはTi、W、FeもしくはNiを含む材料であることが望ましい。
【0020】
(作用)
本発明の上記手段では、射出成形工程によって金属粉末と樹脂とからなる所望の形状の成形品をまず形成する。成形品の寸法精度は射出成形工程で使用される金型の精度に決定されるが、従来のプレス加工法においても同様に金型を利用しており、少なくともプレス加工法での金型の精度と同等以上の精度を得られることは明らかである。よって本発明の製造方法によって製造される電子銃部品は、少なくとも従来の電子銃部品と同等以上の寸法精度を有している。
【0021】
次に、脱脂工程において、樹脂の大半は加熱分解し(これを一般に脱脂と呼ぶ。)、その結果、ほとんど金属粉末からなる脱脂後の成形品ができあがる。この時、今まで樹脂が存在していた部分が空間になるので、成形品内部での応力はまったくない状態にある。
【0022】
その後、焼成工程によって、徐々に熱せられることによって、最も安定した状態になるようにして金属粉末が再配置させられる。さらに高温になると、安定した状態のまま密な状態で金属粉末が焼結される。
【0023】
このように、本発明の製造方法によって製造される電子銃部品は、高温での熱処理を行いながら完成に至るため、熱に対して最も安定した状態で完成に至る。
特に本発明では焼成工程において、使用時に電子銃部品にかかる温度以上の高温で焼成を行うことによって、使用時の高温雰囲気下での熱変形や再結晶化を防いでいる。その結果、本発明で製造した電子銃部品は、高熱にさらされるカソードの近くで使用しても熱変形が起こりにくく、安定した電子の制御が可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の電子銃部品の製造方法を示した図である。一般に電子の制御を行う電子銃部品は、電子を正確に精度良く制御するために、板厚を薄くかつ孔径を小さくする方向で設計が行われている。
【0025】
本実施形態では、図1(a)の成形工程によって、金属粉末と樹脂とからなる120μmの肉厚の薄肉部を有する成形品11を形成した。こうした非常に薄い薄肉部を射出成形法で形成するには、図1(a)に表示された矢印のごとく、金型50で囲われた非常に狭い部分(120μmの隙間部)に金属粉末と樹脂からなる材料を隙間無く流し込まなくてはならない。本発明のように肉厚の薄い薄肉部を必要とする電子制御部品を製造する場合、使用する金属粉末は微細な粒径のものでなくてはならず、本発明においては、粒径が20μm以下の微小な金属粉末を使用するのが望ましい。なお金属粉末の粒径が0.1μmより小さくなると、金属粉末同士が密に密着しすぎてしまい、その結果、流動性が悪くなるので、射出成形法には向いていない。以上のような理由から、本発明の電子銃部品の製造方法においては、粒径が0.1μm以上20μm以下の金属粉末を使用するのが望ましい。本実施形態では直径2μmの鉄(Fe)粉末を用い、この鉄粉末100重量部に対して、パラフィンワックス、エチレン酢酸ビニルおよびアタクチックポリプロピレン等を含んだ樹脂(一般に有機バインダと称する。)を15重量部の割合で添加し混練したものを使って成形した。
【0026】
次に金型50から成形品11をはずし(図1(b))、樹脂(有機バインダ)を加熱分解させる脱脂工程と、残った金属粉末を焼結させる焼成工程を順次行った。
【0027】
脱脂工程ではこの成形品を窒素雰囲気中で、室温から150℃まで3℃/minで昇温させ、続いて250℃まで0.4℃/minで昇温させ、さらに続いて350℃まで0.6℃/minで昇温させ、続いて500℃まで0.6℃/minで昇温させ、最後に500℃で1時間保持して、有機バインダの95〜97%を加熱分解させた。なお脱脂後のこの状態の成形品のことを一般に脱脂体と称している。この脱脂体は成形後の形状を保ってはいるが、樹脂分(有機バインダ分)が分解し除去されているので、鉄粉末同士の間に空間ができた状態にある。そのため、この脱脂体状態において内部での応力はまったくない。
【0028】
続く焼成工程では、この脱脂体を400℃まで10℃/minで昇温させ、続いて800℃まで2℃/minで昇温させ、さらに続いて1200℃まで10℃/minで昇温させ、最後に1200℃で2時間保持させることにより、金属粉末(本実施形態では鉄粉末)を焼結させ、最終的に図1(c)に示すような、薄肉部1110を備え、薄肉部1110の中心付近に開口部1120があけられた、鉄(Fe)を主成分とする電子銃部品10を完成させた。
【0029】
この焼成工程において、一定のスピードで徐々に昇温させることによって、脱脂体は内部応力の無い状態のまま焼結が進み、最終的に内部応力の無い電子銃部品10を完成させることができる。本発明ではこのように内部応力のかかっていない電子銃部品10を製造することによって、高温状況下においても熱変形の少ない電子銃部品10を達成させた。
【0030】
なお、脱脂体を焼成工程によって焼結させると、成形時に有機バインダが存在していた空間部分が金属粉末によって埋められてゆき、その結果、焼成後の電子銃部品10は成形品11の状態よりも約20%程度縮まってしまう。これを利用することで、本発明の電子銃部品10では、成形品では120μmの厚みであった薄肉部をより薄くすることができた。最終完成品である電子銃部品10の薄肉部1110の厚みは100μmにすることができた。このように微細な形状を形成し易いという点も本発明の特徴の一つである。
【0031】
実際に本実施形態で製造した電子銃部品と従来のプレス加工法で製造した電子銃部品を、表面温度が1200℃のカソードの上方60μm離れた位置に配置させ、電子銃部品を900℃まで加熱させた状態で1時間保持し、そのときの電子銃部品の熱変形の起こり具合を調べた。なお以上の実験条件は実際に電子銃部品を使用するときの使用条件の一例である。その結果、本発明の製造方法で製造した電子銃部品では熱変形はほとんど生じなかったが、従来のプレス加工法で製造した電子銃部品では電子銃部品がカソードと接してしまい、非常に大きな熱変形が生じてしまった。このように、本発明の製造方法で製造した電子銃部品は、高温状況下においても熱変形が起こりにくいことが確認された。
【0032】
また別の実験では、本発明の製造方法によって焼成温度800℃で焼結させて製造した電子銃部品を、上記条件と同じ900℃まで加熱し1時間保持する条件で実験してみたところ、熱変形が生じてしまった。
【0033】
以上の結果が示すように本発明は従来に比べて、熱変形が起こりにくい点が大きな特徴であるが、この効果は本発明においては、焼成工程時の加熱温度を使用時に電子銃部品にかかる温度以上にした場合にのみ得られるものである。一般に電子銃部品の使用時にかかる温度は、電子銃の設計思想によって異なるが(一般に低消費電力化を狙った電子銃では低い温度で使用され、高輝度化を狙った電子銃では高い温度で使用される傾向にある。)、だいたいは400℃〜1200℃の範囲である。焼成工程における加熱温度は、それぞれの電子銃において使用時に電子銃部品にかかる温度に応じて決定すればよい。ただし、焼成工程における加熱温度が高すぎると処理時間が長くなり生産性が悪くなるので、焼成工程における加熱温度は1500℃以下に設定するのがよい。また、焼成工程における加熱温度の低限は少なくとも金属粉末が焼結される必要があるので、たとえ使用時の電子銃部品の温度が400℃であっても、焼成温度は700℃以上に設定したほうがよい。
【0034】
なお、本実施形態では、金属粉末として鉄(Fe)粉末を選択したが、本発明の製造方法に使用できる金属粉末はFeに限られるわけではない。この他にチタン(Ti)やタングステン(W)のような耐熱性のある材料、またはニッケル(Ni)のような磁性材料も使用可能である。さらには鉄(Fe)やチタン(Ti)やタングステン(W)またはニッケル(Ni)等を含んだ合金材料を選択しても何ら問題はない。
【0035】
【発明の効果】
本発明の電子銃部品の製造方法によれば、カソードに近づけた高温状況下においても熱変形の少ない電子銃部品を達成することができた。さらにその結果、電子の高精度制御が可能な電子銃を達成できた。
【0036】
また本発明の電子銃部品の製造方法によれば、従来のプレス加工法による電子銃部品の製造方法と同様に金型を用いて成形を行うが、脱脂工程、焼成工程を経ることで、成形後の形状寸法からさらに約20%程度、寸法を小さくすることができるので、その結果、従来よりも微細な形状を形成しやすくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子銃部品の製造方法を示した図である。
【図2】従来の電子銃における電子制御部品とカソードとの距離を変えた場合の電子の挙動を比較した図である。
【図3】従来の電子銃部品の製造方法を示した図である。
【符号の説明】
10 電子銃部品
11 成形品
50 金型
100 電子制御部品
200 陽極電極
300 カソード
400 ヒーター
1100 電子銃部品
1110 薄肉部
1112 半薄肉部
1114 薄肉部
1120 開口部
1122 下孔
1124 仕上げ孔
1101、1102、1103 母材
1101A 盛り上がり部分[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing an electron gun component, and more particularly to a method for manufacturing a highly reliable electron gun component that is less likely to be deformed by heat.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, as a method for manufacturing an electrode (electron gun part) of an electron gun used for a CRT or the like, a press working method formed by coining has been known. Among them, Japanese Patent Application Laid-Open No. H11-31455 discloses a method of manufacturing an electrode of an electron gun with high dimensional accuracy. FIG. 3 is a view showing a conventional method for manufacturing an electron gun component disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-31455.
[0003]
According to this conventional manufacturing method, first, as shown in FIG. 3A, a plate-shaped base material made of, for example, a stainless steel plate is subjected to coining to manufacture a base material 1101 having a semi-thin portion 1112 formed thereon. In the step of FIG. 3A, the material of the processed portion of the base material 1101 flows only in the outer peripheral direction of the semi-thin portion 1112. As a result, a slightly raised portion 1101A is formed along the outer periphery of the semi-thin portion 1112.
[0004]
In the step of FIG. 3A, a semi-thin portion 1112 thicker than the thin portion 1114 (shown in FIG. 3D) formed on the final electron gun component 1100 is formed. Is not large and work hardening can be suppressed to a small value. In this conventional manufacturing method, the thickness of the thin portion 1114 in the finishing stage is processed to be one third or less of the thickness of the electron gun component 1100, and the semi-thin portion 1112 is processed in the finishing stage. It is characterized in that it is formed with a plate thickness about twice that of 1114. For example, the thickness of the electron gun component 1100 is 0.2 mm to 0.4 mm, the thickness of the semi-thin portion 1112 is 0.10 mm to 0.20 mm, and the thickness of the thin portion 1114 is 0.07 mm to 0.15 mm. It was assumed that the size of the parts was large.
[0005]
Next, as shown in FIG. 3B, a base hole 1102 is formed by pressing a prepared hole 1122 in the center of the semi-thin portion 1112 of the base material 1101 by press working. In the conventional example, the diameter of the pilot hole 1122 is processed to about 0.7 mm to 0.8 mm, and the pilot hole 1122 is formed into a pilot hole 1122 ′ having a remaining diameter of about 0.28 mm by a process of FIG. Has been transformed. The diameter of the final finishing hole 1124 is assumed to be about 0.3 mm.
[0006]
Next, as shown in FIG. 3C, the semi-thin portion 1112 is coined to form a base material 1103 in which the semi-thin portion 1112 is transformed into a thin portion 1114. In this step, the material of the semi-thin portion 1112 flows in the center direction by the prepared hole 1122 and also flows in the outer peripheral direction of the thin portion 1114, so that it can be easily deformed. By this step, the prepared hole 1122 having a diameter of 0.7 to 0.8 mm is transformed into a prepared hole 1122 ′ having a diameter of 0.28 mm.
[0007]
Therefore, processing can be easily performed while suppressing the influence of work hardening, and a stable deformation state of the pilot hole 1122 can be obtained. Further, since the amount of processing from the semi-thin portion 1112 to the thin portion 1114 is small, the amount of deformation of the pilot hole 1122 is also small, and the remaining diameter can be effectively controlled.
[0008]
Thereafter, as shown in FIG. 3D, a finishing hole 1124 having a diameter of about 0.3 mm is formed in the thin portion 1114 by a finishing process in a finishing hole forming step.
[0009]
By the above-described press working method, an electron having a thin portion 1114 having a thickness of about 0.03 mm to 0.15 mm, which is about one third of the plate thickness, and having a finished hole 1124 having a diameter of about 0.3 mm is provided. A gun part 1100 was manufactured.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
In recent years, there has been a great demand for higher resolution of CRTs. Under such circumstances, an electron gun mounted on the CRT has to control electrons more accurately. Therefore, as a means for accurately controlling electrons, an electron gun component for controlling electrons (generally an electronic control component called a grid electrode) is brought close to a cathode, which is an electron emission source, so that diffusion of electrons near the cathode is small. Methods such as controlling electrons have been considered.
[0011]
FIG. 2 is a diagram comparing the behavior of electrons when the distance between the electronic control component and the cathode is changed in the conventional electron gun. In the conventional electron gun, a cathode 300 is formed in contact with a heater 400 that generates heat. When the cathode 300 is heated, electrons are emitted. The emitted electrons are pulled out of the electron gun by applying a voltage between the anode electrode 200 and the cathode 300. A voltage opposite to the voltage applied to the anode electrode 200 is applied to the electronic control component 100 disposed between the anode electrode 200 and the cathode 300 (generally, such a charging method is called reverse bias). The voltage of the reverse bias is controlled to converge the electrons as shown in FIG.
[0012]
In such a general electron gun structure, the positional relationship (distance) between the electronic control component 100 that controls electrons and the cathode 300 is one of the factors that greatly affects the behavior of electrons. FIG. 2 is a diagram comparing the behavior of electrons when the distance between the electronic control component 100 and the cathode 300 is changed. As shown in FIG. As shown in FIG. 2B, when the distance between the electronic control component 100 and the cathode 300 is narrowed, the electrons can be narrowed more, and a bright and high-definition electron spot can be formed, as shown in FIG. Can be achieved.
[0013]
However, when an electron gun component (electronic control component 100) manufactured by a conventional press working method is brought close to the cathode 300, there are many problems that the electronic control component 100 is deformed by the influence of high heat generated from the cathode 300. I have.
[0014]
Electron gun parts manufactured by the conventional press working method tend to accumulate stress inside during press working, and it is considered that the internal stress causes deformation during heating.
[0015]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to provide a manufacturing method for achieving an electron gun component having less thermal deformation even under a high temperature condition in which the electron gun component is close to a cathode. It is another object of the present invention to achieve an electron gun capable of controlling electrons with high precision.
[0016]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, a method for manufacturing an electron gun component of the present invention is an electron gun component for controlling electrons, and forms a molded product by molding a resin mixed with metal powder by an injection molding method. An injection molding process, a degreasing process for thermally decomposing the resin from the molded product by a heat treatment, and heating the degreased molded product at a temperature higher than the temperature applied to the electron gun component when the electron gun component is used to burn the metal powder. Baking process.
[0017]
Further, it is desirable that the particle diameter of the metal powder be in the range of 0.1 μm or more and 20 μm or less.
[0018]
Further, the heating temperature in the firing step is desirably 700 ° C. or more and 1500 ° C. or less.
[0019]
Further, it is desirable that the metal powder is Ti, W, Fe or Ni, or a material containing Ti, W, Fe or Ni.
[0020]
(Action)
In the above means of the present invention, a molded article having a desired shape composed of a metal powder and a resin is first formed by an injection molding step. The dimensional accuracy of the molded product is determined by the accuracy of the mold used in the injection molding process.However, the conventional press working method also uses the mold, and at least the accuracy of the mold in the press working method It is clear that the same or better accuracy can be obtained. Therefore, an electron gun component manufactured by the manufacturing method of the present invention has dimensional accuracy at least equal to or higher than that of a conventional electron gun component.
[0021]
Next, in the degreasing step, most of the resin is thermally decomposed (generally referred to as degreasing), and as a result, a degreasing molded product substantially composed of metal powder is completed. At this time, since the portion where the resin was present becomes a space, there is no stress inside the molded product.
[0022]
Thereafter, the metal powder is rearranged so as to be in the most stable state by being gradually heated in the firing step. When the temperature further rises, the metal powder is sintered in a dense state while maintaining a stable state.
[0023]
As described above, since the electron gun component manufactured by the manufacturing method of the present invention is completed while performing the heat treatment at a high temperature, it is completed in the most stable state against heat.
In particular, in the present invention, in the firing step, firing at a temperature higher than the temperature applied to the electron gun parts during use prevents thermal deformation and recrystallization in a high temperature atmosphere during use. As a result, the electron gun component manufactured according to the present invention hardly undergoes thermal deformation even when used near a cathode exposed to high heat, and stable electron control is possible.
[0024]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
FIG. 1 is a view showing a method for manufacturing an electron gun component of the present invention. In general, electron gun components for controlling electrons are designed in a direction of reducing the plate thickness and the hole diameter in order to accurately and accurately control electrons.
[0025]
In the present embodiment, a molded product 11 having a thin portion having a thickness of 120 μm and made of a metal powder and a resin was formed by the molding process of FIG. In order to form such a very thin thin portion by the injection molding method, as shown by an arrow shown in FIG. 1A, a metal powder is applied to a very narrow portion (a gap of 120 μm) surrounded by a mold 50. The resin material must be poured without gaps. In the case of manufacturing an electronic control component requiring a thin portion having a small thickness as in the present invention, the metal powder to be used must have a fine particle size, and in the present invention, the particle size is 20 μm. It is desirable to use the following fine metal powder. If the particle size of the metal powder is smaller than 0.1 μm, the metal powders are too closely adhered to each other, resulting in poor fluidity, which is not suitable for the injection molding method. For the above reasons, in the method for manufacturing an electron gun component of the present invention, it is desirable to use metal powder having a particle size of 0.1 μm or more and 20 μm or less. In the present embodiment, iron (Fe) powder having a diameter of 2 μm is used, and a resin containing paraffin wax, ethylene vinyl acetate, atactic polypropylene and the like (generally referred to as an organic binder) is used for 15 parts by weight of the iron powder. Molding was performed using a mixture which was added and kneaded at a ratio of parts by weight.
[0026]
Next, the molded article 11 was removed from the mold 50 (FIG. 1B), and a degreasing step of thermally decomposing the resin (organic binder) and a firing step of sintering the remaining metal powder were sequentially performed.
[0027]
In the degreasing step, the temperature of the molded product is increased from room temperature to 150 ° C. at a rate of 3 ° C./min in a nitrogen atmosphere, subsequently, to 250 ° C. at a rate of 0.4 ° C./min. The temperature was increased at 6 ° C./min, subsequently increased to 500 ° C. at 0.6 ° C./min, and finally kept at 500 ° C. for 1 hour to thermally decompose 95 to 97% of the organic binder. The molded article in this state after degreasing is generally called a degreased body. Although this degreased body maintains the shape after molding, since the resin component (organic binder component) is decomposed and removed, a space is formed between the iron powders. Therefore, there is no internal stress in this degreased body state.
[0028]
In the subsequent firing step, the temperature of the degreased body is raised to 400 ° C. at 10 ° C./min, then to 800 ° C. at 2 ° C./min, and further to 1200 ° C. at 10 ° C./min. Lastly, by holding at 1200 ° C. for 2 hours, the metal powder (iron powder in this embodiment) is sintered, and finally a thin portion 1110 is provided as shown in FIG. The electron gun component 10 having iron (Fe) as a main component and having an opening 1120 near the center was completed.
[0029]
In this firing step, by gradually increasing the temperature at a constant speed, sintering of the degreased body proceeds without any internal stress, and finally the electron gun component 10 having no internal stress can be completed. In the present invention, by manufacturing the electron gun component 10 in which no internal stress is applied in this manner, the electron gun component 10 with less thermal deformation even under a high temperature condition is achieved.
[0030]
When the degreased body is sintered in the firing step, the space where the organic binder was present at the time of molding is filled with the metal powder, and as a result, the fired electron gun component 10 becomes Also shrink about 20%. By utilizing this, in the electron gun component 10 of the present invention, the thin portion having a thickness of 120 μm in the molded product could be made thinner. The thickness of the thin portion 1110 of the electron gun component 10, which is the final product, could be reduced to 100 μm. It is one of the features of the present invention that such a fine shape is easily formed.
[0031]
The electron gun component actually manufactured in the present embodiment and the electron gun component manufactured by the conventional pressing method are arranged at a position 60 μm above the cathode having a surface temperature of 1200 ° C., and the electron gun component is heated to 900 ° C. This state was maintained for one hour, and the degree of thermal deformation of the electron gun component at that time was examined. The experimental conditions described above are examples of operating conditions when actually using electron gun parts. As a result, thermal deformation hardly occurred in the electron gun component manufactured by the manufacturing method of the present invention, but in the electron gun component manufactured by the conventional press working method, the electron gun component came into contact with the cathode, resulting in a very large heat. Deformation has occurred. As described above, it was confirmed that the electron gun component manufactured by the manufacturing method of the present invention hardly undergoes thermal deformation even under a high temperature condition.
[0032]
In another experiment, an electron gun component manufactured by sintering at a firing temperature of 800 ° C. by the manufacturing method of the present invention was heated to 900 ° C., which is the same as the above condition, and held for 1 hour. Deformation has occurred.
[0033]
As shown by the above results, the present invention has a great feature in that thermal deformation is less likely to occur as compared with the related art. However, in the present invention, the effect of the present invention is that the heating temperature during the firing step is applied to the electron gun parts when used. It is obtained only when the temperature is increased. In general, the temperature required when using electron gun components depends on the design concept of the electron gun. (Generally, electron guns aiming at lower power consumption are used at lower temperatures, and electron guns aiming at higher brightness are used at higher temperatures. In the range of about 400 ° C. to about 1200 ° C. The heating temperature in the firing step may be determined according to the temperature applied to the electron gun parts when used in each electron gun. However, if the heating temperature in the firing step is too high, the processing time becomes longer and the productivity becomes worse. Therefore, the heating temperature in the firing step is preferably set to 1500 ° C. or lower. In addition, since the lower limit of the heating temperature in the firing step requires at least the sintering of the metal powder, the firing temperature was set to 700 ° C. or higher even if the temperature of the electron gun parts during use was 400 ° C. Better.
[0034]
In this embodiment, iron (Fe) powder is selected as the metal powder, but the metal powder that can be used in the production method of the present invention is not limited to Fe. In addition, a heat-resistant material such as titanium (Ti) or tungsten (W), or a magnetic material such as nickel (Ni) can be used. Further, there is no problem even if an alloy material containing iron (Fe), titanium (Ti), tungsten (W), nickel (Ni), or the like is selected.
[0035]
【The invention's effect】
According to the method for manufacturing an electron gun component of the present invention, it is possible to achieve an electron gun component with less thermal deformation even under a high temperature condition close to the cathode. Furthermore, as a result, an electron gun capable of controlling electrons with high precision was achieved.
[0036]
According to the method for manufacturing an electron gun component of the present invention, molding is performed using a mold in the same manner as a conventional method for manufacturing an electron gun component by a press working method. Since the size can be further reduced by about 20% from the subsequent shape and size, as a result, it is easier to form a finer shape than before.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a view showing a method for manufacturing an electron gun component of the present invention.
FIG. 2 is a diagram comparing the behavior of electrons when the distance between an electronic control component and a cathode in a conventional electron gun is changed.
FIG. 3 is a view showing a conventional method for manufacturing an electron gun component.
[Explanation of symbols]
REFERENCE SIGNS LIST 10 electron gun component 11 molded product 50 mold 100 electronic control component 200 anode electrode 300 cathode 400 heater 1100 electron gun component 1110 thin portion 1112 semi-thin portion 1114 thin portion 1120 opening 1122 pilot hole 1124 finishing hole 1101, 1102, 1103 mother Lumber 1101A