JP2004062871A - 資産運用管理支援装置および資産運用管理支援方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】資産の種類とその投資比率を決定すること、および各資産の運用の詳細な方法を決定することを含む資産運用管理を支援する装置であって、前者の決定と後者の決定に依存する両者のリスク配分とリターンの関係を多次元で表示するリスク配分関係表示手段303、それら関係の一つまたは複数に対しユーザの選択入力を受け付けるリスク配分関係選択手段304を備えたものである。また、リスク配分関係選択手段304からユーザが選択したリスク配分関係を満たす運用計画に対し、そのリスク配分関係と実際との相違に従った運用計画変更ルールを入力でき、その運用計画変更ルールに基づいて運用を行ったとした場合の資産価値推移を提示する資産価値シミュレーション手段308を備える。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、資産運用・管理技術に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、資産配分を行うための方法として、分散共分散モデルによる投資金額配分方法が存在する。その内容は、例えば「M.クリッツマン著、数量分析入門、p.164〜p.175、日本経済新聞社、2001」(非特許文献1)に記述されている。
【0003】
また、資産配分の大枠から銘柄選択などの詳細へ至る投資状態決定のシーケンスとしては、アセット・アロケーションからポートフォリオ最適化にいたる段階的な方法が一般的である。その内容は、例えば「榊原茂樹、他3名、証券投資論、p.460〜p.483、日本経済新聞社、2001」(非特許文献2)に紹介されている。
【0004】
一方、各資産種に許容されるリスクを配分するという考え方から資産管理を行う方法が存在する。その内容は、例えば「特集:リスクバジェッティング、証券アナリストジャーナル、p.4〜p.46、第39巻第4号(2001)」(非特許文献3)に紹介されている。
【0005】
【非特許文献1】
M.クリッツマン著、数量分析入門、p.164〜p.175、日本経済新聞社、2001
【非特許文献2】
榊原茂樹、他3名、証券投資論、p.460〜p.483、日本経済新聞社、2001
【非特許文献3】
特集:リスクバジェッティング、証券アナリストジャーナル、p.4〜p.46、第39巻第4号(2001)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
分散共分散モデルでは、最適な投資比率を決定するために、リターンに対してリスクを拒否(または許容)する度合い、いわゆるリスク拒否度(またはリスク許容度)を設定する。このリスク拒否度(またはリスク許容度)を、効用関数に組み込んで、それを最大化することにより、投資比率を求める。然るに、自分のリスク許容度の数値を事前に把握または適切に設定しておくことは一般に困難である。
【0007】
また、アセット・アロケーションでベンチマーク資産に対して資産配分を実施することと、資産配分後にアクティブ運用への投資比率を配分することは、相互にリスク/リターンの関係に影響を及ぼす。このため、最適な投資比率の決定、即ち最適なポートフォリオ作成には反復・調整が必要である。また、ポートフォリオ作成の過程においてリスク/リターン関係の統一的なイメージを形成しにくい。すなわち、リスクをどのように取ると、期待できるリターンがどのように変わるのかという、リスクとリターンの関係の変化の見通しが立てにくい。
【0008】
一方、投資比率に対応したリスク配分をリスクの最適配分状態と定義すると、従来の投資比率最適配分をリスク最適配分と解釈でき、リスク配分の観点からポートフォリオの管理を行うことが可能である。しかし、その場合でも、リスク拒否度を設定して効用関数を最大化する計算は必要である。また、アセット・アロケーションとアクティブ運用資産への投資比率決定の各段階において、リターン/リスクのトレードオフの動的関係を統一的に把握するのが困難である。この場合にも、計算の負荷が大きいという問題と、リスク/リターンの関係の統一的な把握が困難という問題は解消されない。
【0009】
さらに、理論的に最適な配分状態を計算することが可能であっても、実用的ではないという問題がある。実際に資産運用の委託先を選択する実務においては、運用委託先の候補となる運用受託機関は数十〜数百に上る。そのため、これらすべての運用受託期間の組み合わせを評価・検討して投資比率を決定することは実務上現実的でない。一方、個々の運用受託機関の運用成績のみに基いて候補の数を低減することは、複数の運用受託機関の組み合わせによるリスク分散効果を損なう危険性がある。
【0010】
本発明の目的は、資産運用管理において、資産の種類とその投資比率を決定すること、および各資産の運用の詳細な方法を決定することを、両者によるリスク配分関係の変化を考慮しながら効率的に決定することについて支援する技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、特許請求の範囲に記載のとおりであるが、例えば、本発明の一つの特徴は、資産運用管理支援装置において、資産の種類とその投資比率を決定すること、および各資産の運用の詳細な方法を決定することを含む資産運用管理を支援する装置であって、前者の決定と後者の決定に依存する両者のリスク配分とリターンの関係を多次元で表示するリスク配分関係表示手段、それら関係の一つまたは複数に対しユーザの選択入力を受け付けるリスク配分関係選択手段を備えたものである。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、リスク配分関係選択手段からユーザが選択したリスク配分関係を満たす運用計画に対し、そのリスク配分関係と実際との相違に従った運用計画変更ルールを入力でき、その運用計画変更ルールに基づいて運用を行ったとした場合の資産価値推移を提示する資産価値シミュレーション手段を備えたものである。
【0013】
本発明の更に他の特徴は、例えば、前者の決定と後者の決定が、ベンチマーク資産の資産配分を決定することと、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分を決定することである場合には、リスク配分関係表示手段は、前者の決定と後者の決定に依存するベンチマーク・リスク配分と、アクティブ・リスク配分およびリターンとの関係を多次元で表示し、資産運用計画をユーザが所望のリスク配分状態に基づいて作成できるようにしたリスク配分最適化装置となる資産運用管理支援装置にある。
【0014】
本発明の更に他の特徴は、例えば、前者の決定と後者の決定が、ベンチマーク資産の資産配分を決定することと、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分を決定することである場合に、前記アクティブ運用資産の候補となる複数のアクティブ運用資産の運用成績を分析し表示する手段と、前記アクティブ運用資産への配分先を選択してリスク配分計算手段の入力情報とする手段を備えたリスク配分最適化装置となる資産運用管理支援装置にある。
【0015】
また、本発明の更に他の特徴は、リスク配分関係選択手段からユーザが選択したリスク配分関係を満たすベンチマーク資産配分計画とアクティブ運用資産配分計画に対し、運用計画変更ルールは、仮に実運用した場合におけるリスク配分関係の変化に基づく運用計画変更ルールであり、その運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を提示する資産価値シミュレーション手段を備えたリスク配分最適化装置となる資産運用管理支援装置にある。
【0016】
本発明の上記特徴および他の特徴は、以下の記載により、更に説明される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、投資家や運用受託者が資産管理を行うことを支援する方法、および、装置に関する。すなわち、本発明は、投資家、運用受託者に対して、日々変動するベンチマーク資産価値に対して効果的に配分を行うことにより、また、運用委託先やアクティブ・ポートフォリオを適切に選択することにより、リスクを軽減しながらリターンを得ることを目的として資産運用管理を行う。本発明は、このような資産運用管理の支援を、情報処理装置を用いて行うための技術である。
【0018】
図26に、本発明に係る資産運用管理の支援に用いられる情報処理装置のハードウェアシステムの一例を示す。図26に示す情報処理装置は、計算機10と、記憶装置20と、ユーザインタフェース30と、通信制御装置40とを有する。計算機10は、演算処理装置11およびメモリ12を有する。この演算処理装置11は、メモリ12にロードされるプログラムを実行することにより、後述する資産運用管理のための各種機能を実現する。記憶装置20は、演算処理装置11が実行すべきプログラム、演算処理に用いられるデータ等が格納される。また、ユーザインタフェース30は、入力装置31、表示装置32および印刷装置33を有する。
【0019】
本発明に係る資産運用管理装置は、1台の情報処理装置により実現することができる。しかし、本発明は、これに限定されない。複数台の情報処理装置により、資産運用管理を行うための複数の機能を分割して、異なる情報処理装置により分担する構成とすることができる。また、同じ機能を複数の情報処理装置により並行処理する構成とすることもできる。さらに、ネットワークを介して複数の情報処理装置を接続して処理を行う構成とすることもできる。
【0020】
本発明の第1の実施形態である、リスク配分最適化を支援する資産運用管理支援装置の機能構成の概要を図1に示す。図1に示す資産運用管理支援装置は、計算機10上に構成される。この資産運用管理支援装置は、それが実現する基本的な機能として、データベース111、演算処理手段112、および、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)113を有する。
【0021】
記憶装置20には、演算処理の対象となる統計データが格納される。これらの統計データは、逐次更新され、資産運用管理の支援のために、演算処理装置11において後述する種々のプログラムにより用いることができるように管理される。従って、記憶装置20は、統計データ格納手段101として機能する。統計データとしては、例えば、各資産の価格変動の統計データとして、ベンチマーク資産とアクティブ運用資産とについてのリターン変動に対する統計データが格納される。ここで、ベンチマークは、資金運用の成果を比較する場合の収益率の基準である。ベンチマーク資産は、基準に対応する資産である。例えば、市場平均的な代表的資産種別つまり国内株、外国株、国内債券、外国債券といった資産がある。ベンチマーク資産には、特定の投資戦略の下でベンチマーク資産およびそれ以外の各種有価証券および証券化資産を組み合わせることで、構成要素である資産とは異なる収益特性を持たせた代替資産を含めることもできる。アクティブ運用資産は、市場平均より大きいリターンを得ることを目的として積極的運用を行う際の対象となる資産である。リターンは収益率を意味する。ベンチマークリターンとは、その資産全体(市場)の平均的なリターン(=収益率)を意味する。ベンチマークリスクとは、ベンチマークリターンに対するリスク指標をいう。これは、資産のリスクということもできる。代表的なリスク指標として標準偏差がある。アクティブリターンとは、アクティブ運用によって得られた収益率の市場平均との差を意味しており、具体的にはアクティブ運用資産のリターンとベンチマークリターンの差と定義する。また、アクティブリスクとは、アクティブリターンに対するリスク指標をいう。
【0022】
これら統計データの例を、図7、図8にテーブルとして示す。図7は、ベンチマーク資産の価値変動に対する統計データの例を示す。図7に示すデータは、各ベンチマーク資産701、702のリターン時系列間の分散共分散行列である。ここで、例えば704は分散値である。また、703は共分散値である。図7に示される例では、国内株、外国株、国内債および外国債が対象資産なっている。
【0023】
また、図8は、アクティブ運用資産の価値変動に対する統計データの例を示す。図8に示すデータは、各ベンチマーク資産801、802のリターン時系列間の分散共分散行列である。ここで、例えば804は分散値である。また、803は共分散値である。図8に示される例では、アクティブ1からアクティブNまでの複数種の運用手法が対象となっている。
【0024】
また、本発明では、リターンを資産総額と負債総額の差であるサープラスの成長率とした場合にも適用することができる。
【0025】
CPU11は、このデータベース111の機能を用いて、統計データの一部乃至全部をメモリ12上に展開して、データの処理を行う。このデータベース111は、例えば、ベンチマーク資産およびアクティブ運用資産の、過去のリターンデータを管理する。これらのデータは、統計データ格納手段101に格納される。
【0026】
演算処理手段112は、CPU11がプログラムを実行することにより実現する、資産運用管理のためにデータの演算処理を行う機能である。その機能には、典型的な演算を行う機能として、リスク配分計算手段102が含まれる。
【0027】
GUI113は、前述したユーザインタフェース30と計算機10とにより実現される仮想的な装置である。このGUI113は、ユーザに対する情報の表示、例えば、演算処理手段112による処理結果の表示と、ユーザからの指示の入力受付等とを行う。処理内容との関係で表現すれば、例えば、リスク配分関係表示手段103と、リスク配分関係選択手段104と、ポートフォリオ情報出力手段105として機能する。リスク配分関係表示手段103は、ユーザに計算結果を画面表示するプログラムにより実現される。このリスク配分関係表示手段103は、後述する図9に示すようなリターンマップを作成し、これを表示装置32に表示させる。リスク配分関係選択手段104は、表示装置32による表示に基づいて入力装置31により行われるユーザの選択を受け付けるプログラムにより実現される。このリスク配分関係選択手段104は、図9に示されるリターンマップからいずれかのリスク配分関係の選択を受け付ける。ポートフォリオ情報出力手段105は、リスク配分関係選択手段104において受け付けられた、ユーザが選択したリスク配分関係の詳細情報、すなわち、ポートフォリオ情報を表示装置32の表示画面上に表示するプログラムにより実現される。このポートフォリオ情報出力手段105は、後述する図10示すように、ユーザが選択したリスク配分関係の詳細情報を、複数の領域に分けて一覧表示する。もちろん、除法量が多い場合には、一覧表示にならない場合もあり得る。
【0028】
次に、図1に示す資産運用管理支援装置において、演算処理装置11が実行する処理手順の概要を図2に示す。演算処理装置11は、統計データ格納手段101から、各資産の価格変動の統計データをメモリ12上に読み込む(ステップ201)。演算処理装置11は、リスク配分計算手段102として機能し、読み込んだ統計データに基づいて、各資産毎のリスク配分関係と、それに対応する最大期待リターンとを計算し(ステップ202)、メモリ12上に計算結果を格納する。リスク配分関係表示手段103は、メモリ12上に格納された計算済みの各リスク配分と最大期待リターンの関係を、図9に示すような多次元リターンマップとして画面に表示するための整理を行い、得られた結果を画面上に表示させる(ステップ203)。リスク配分関係選択手段104は、マップ上に表示されたリスク配分/リターン関係の内の一つまたは複数に対するユーザからの選択入力を、表示画面上に表示し、入力装置31を介して行われる、表示画面に対応する入力を受け付ける(ステップ204)。ポートフォリオ情報出力手段105は、前記選択入力が受け付けられると、リスク配分/リターン関係に対応したポートフォリオの情報を別の表示画面、例えば、図10に示すような表示画面として出力する(ステップ205)。
【0029】
このように、本実施形態によれば、リスク配分関係と最大期待リターンとが示されるため、ユーザは、自ら取り得るリスクに対応して期待されるリターンの大きさを、種々のリスク関係について知ることが可能となる。そのため、これまで、明瞭でなかったリスク・リターンの関係についての全体的な見通しが、ユーザに明瞭に提供されることとなる。また、詳細なポートフォリオ情報を、それぞれのリスク配分関係から、簡単な操作で表示させることができる。従って、ユーザは、リスク/リターン関係についての全体的な見通しのみならず、詳細な情報について芋提供されることとなる。従って、資産運用におけるリスク、リターンについての判断が容易に行える。
【0030】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態では、ポートフォリオ情報出力手段105に出力される情報として、資産価値の推移情報を含ませることができる。本実施形態の構成例を図3に示す。
【0031】
本実施形態の資産運用管理装置は、図1に示す資産運用管理支援装置に、運用の推移を示す機能と、運用計画変更を行う機能とを追加したものである。すなわち、本実施形態の資産運用管理支援装置は、図1に示す資産運用関知総理と同様に、計算機10上に構成される。本実施形態の資産運用管理装置は、図3に示すように、それが実現する基本的な機能として、データベース311、演算処理手段312、および、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)313を有する。データベース311、演算処理手段312、および、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)313は、それぞれ機能が追加された点を除けば、第1の実施形態のデータベース111、演算処理手段112、および、GUI113と同様である。一方、ハードウェア資源としては、図26に示す情報処理装置を用いることができる。情報処理装置との関係は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0032】
データベース311は、図1に示す統計データ格納手段101に対応する統計データ格納手段301と、運用計画変更ルール格納手段306とを有する。運用計画変更ルール格納手段306は、記憶装置20に、ユーザが入力したシミュレーション期間と運用計画変更ルールを格納する。演算処理手段312は、図1に示すリスク配分計算手段102に対応するリスク配分計算手段302と、資産価値シミュレーション手段308とを有する。資産価値シミュレーション手段308は、ユーザが選択したポートフォリオの資産価値推移を、運用計画変更ルール格納手段306に格納された条件に従って計算し、結果を表示装置32に表示する。また、GUI313は、図1に示すリスク関係表示手段103に対応するリスク関係表示手段303と、図1に示すリスク配分関係選択手段104に対応するリスク配分関係選択手段304と、図1に示すポートフォーリオ情報出力手段105に対応するポートフォーリオ情報出力手段305と、運用計画変更ルール入力手段307とを有する。運用計画変更ルール入力手段307は、表示装置32画面上の表示に対応して、ユーザが入力装置31により行う、シミュレーション期間と運用計画変更ルールの入力を受け付ける。これらの手段は、プログラムを演算処理装置11が実行することにより実現される。
【0033】
図3の資産運用管理支援装置の各手段が実行する処理手順を図4に示す。これらの処理は、前述した第1の実施形態と同様に、計算機10において、演算処理装置11がメモリ12にロードされるプログラムを実行することにより実現される。演算処理装置11は、前述した図2に示すステップ401から405の各処理を実行する。これらのステップ401から405の各処理は、図2に示すステップステップ201から205と同じである。従って、これらのステップにおける処理ついては説明を省略する。本実施形態では、さらに、ステップ406から408を実行する。
【0034】
演算処理装置11は、運用計画変更ルール入力手段307として機能し、表示装置32および入力装置31により、表示装置32の画面表示に対応してポートフォリオの変更条件などの、運用計画変更ルールについての入力を受け付ける。受け付けた運用計画変更ルールは、運用計画変更ルール格納手段306により記憶装置20に格納される(ステップ406)。
【0035】
リスク配分関係選択手段304は、ユーザによる選択を受け付ける(ステップ404)。ポートフォリオ情報出力手段305は、選択された事項に対応して、ポートフォリオ情報の表示を行う。例えば、後述する図10及び図11に示すような画面を表示装置32に表示させる(ステップ405)。表示されたポートフォリオに対して、資産価値シミュレーション手段308は、設定された期間に対して上記運用計画変更ルールに従った運用がなされた場合のポートフォリオ資産価値のシミュレーションを実行する(ステップ407)。ポートフォリオ情報出力手段305は、シミュレーションの結果について、例えば、図12に示すように、そのポートフォリオ資産価値の推移状態として表示する(ステップ408)。
【0036】
このように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、ユーザに対して資産運用管理を支援することができる。また、運用計画変更ルールの入力が可能となるため、運用の仕方を変えて、その結果を見ることが可能となる。
【0037】
次に、前述した第1の実施形態および第2の実施形態の資産運用管理装置について、および、資産運用管理方法について、さらに具体的に説明する。
【0038】
本実施形態において、図1に示す各手段が実行する具体的な処理手順を図5に示す。本図は、図2に示した処理手順において、ステップ201で読み込む統計データを具体的にベンチマーク資産とアクティブ運用資産のリターン変動に対する統計データとし、ステップ2で計算するリスク配分関係と最大期待リターンをベンチマーク資産とアクティブ運用資産のリスク配分関係と最大期待リターンに定めた処理手順の例である。本図に示す処理の目的は、ベンチマーク資産への投資比率の決定と、各資産の運用の詳細な方法、即ち、各資産毎にどのアクティブ運用者にどのような資金と条件で運用をさせるかを決定することである。
【0039】
図5において、リスク配分計算手段102は、統計データ格納手段101からベンチマーク資産とアクティブ運用資産のリターン変動に対する統計データをメモリ12に読み込む(ステップ501)。リスク配分計算手段102は、ベンチマーク資産とアクティブ運用資産のリスク配分と対応する最大期待リターンを計算する(ステップ502)。この計算は次のように行う。
【0040】
ポートフォリオの期待リターンとリスクの計算モデルを(1)式に示す。
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】
(1)式のRはポートフォリオの期待リターン値を、wbはベンチマーク資産の投資比率列ベクトルを、waは各アクティブ運用資産への投資比率列ベクトルを、rは各ベンチマーク資産の期待リターン行ベクトルを、αは各アクティブ運用資産の期待アクティブ・リターン行ベクトルを各々表す。ここで、rおよびαを構成する各ベンチマーク資産の期待リターンおよび各アクティブ運用資産の期待アクティブ・リターンは、例えば、統計データの平均値とすることができる。このほかに、例えば、ビルディングブロック法やブラック−リッターマン法などの金融工学モデルに基づいて計算された推定値を用いることもできる。
【0044】
また、(2a)式2のσtotalはポートフォリオのトータルリスクを、Σbは図7に示すベンチマーク・リターンの分散共分散行列を示す。(2b)式のσaはポートフォリオのトータルアクティブリスクを、モaは図8に示すアクティブ・リターンの分散共分散行列を各々表す。
【0045】
ステップ502における最大期待リターンの計算は、例えば、(2a)式および(2b)式のリスクをあらかじめ指定した制約条件として、(1)式のRを最大化することによりなされる。ここで、期待リターンRを最大化するということは、Rが最大となる投資比率ベクトルを決定することに等しい。しかしながら、(2a)式および(2b)式を制約条件として(1)式のRを最大化することは、解析的には困難である。そこで、ステップ502では、まず、(2a)式および(2b)式のトータルリスクを最小化する計算を複数回実行する。得られた、リスク配分関係と最大リターンとを網羅する解の情報を、計算機10のメモリ12上に蓄積する。その計算結果を基に、(3a)式および(3b)式の制約条件に適合する最大期待リターンを探索する。得られた最大期待リターンを、各リスク配分に対応させてメモリ12上に記憶する。
【0046】
リスク配分関係表示手段103は、計算された各リスク配分と最大期待リターンの関係を、予め定めた表形式で、リターンマップ上に表示させる(ステップ503)。ここで、表形式でマップを形成するプログラムとしては、本実施形態固有のプログラムである必要はない。汎用の表計算プログラムを用いてもよい。
【0047】
ここで、リターンマップの一例を図9に示す。図9に示すリターンマップ900は、多次元マップの例である。ここでは、リスク配分関係として[トータルリスクσtotal −アクティブリスクσa −期待最大リターン]の組み合わせについて表示している。このリターンマップ900は、アクティブリスクとトータルリスクとにリスクとに配分されるリスク配分に応じて期待される最大リターンがどのような値となるかを示す。本実施形態では、表形式で一覧表示する構成となっている。もちろん、表示画面の大きさとの関係で、画面に一覧表示できない場合には、スクロール等により閲覧可能である。画面には、“リターンマップ”という名称900tが付されている。
【0048】
この表示のための処理は、リスク配分関係表示手段103により行われる。図9では、表形式により表示している。すなわち、マップの行方向(901)にトータルリスクが、列方向(902)にトータルアクティブリスクが配置される。それぞれの組み合わせに対応した最大期待リターンが、マップの要素(903)として、当該列と行の交差するセルに表示されている。いずれかの列を取ってみると、トータルリスクがある値に固定された状態での、アクティブリスクの大きさの変化に対応するリターンが示される。例えば、列904では、トータルリスク10.00%の場合における、アクティブリスク0.000%から10.000%間での範囲において取りうる値としてアクティブリスク0.000%から8.500%に対応するリターンの値が表示されている。
【0049】
この図9によるリスク配分関係表示において、リスク配分関係選択手段104は、マップ上に表示されたリスク配分/リターン関係の内の一つまたは複数に対するユーザからの選択入力を受け付ける(ステップ504)。図9の例では、マップの中から、破線で示す1列(904)を選択している。この場合、一つのトータルリスクと複数の異なるトータルアクティブリスクのリスク配分関係と、各リスク配分関係に対応した最大期待リターンおよび対応するポートフォリオを選択したことになる。
【0050】
選択入力を受け付けた場合には、ポートフォリオ情報出力手段105が、リスク配分/リターン関係に対応したポートフォリオの情報を出力する(ステップ505)。ポートフォリオ情報出力手段105は、前述した図9に示すリターンマップから、この表の任意の一列を選択して表示される詳細な情報を示す。図9に示す例では、トータルリスク10.000%の列904が選択されている。
【0051】
ポートフォリオ情報の出力画面の例を図10に示す。図10に示すポートフォリオ情報出力画面1000には、トータルリスクリスク配分とリターンとの関係を示す表1010と、トータルリスクを示すトータルリスク表示領域1020と、有効フロンティアを示す有効フロンティア表示領域1030と、資産の配分を示す資産配分領域1040と、ベンチマーク資産の詳細を示すベンチマーク資産詳細表示領域1050と、アクティブ運用資産の詳細を示すアクティブ運用資産詳細表示領域1060とが、表示装置32の表示画面に配置されて表示される。また、画面には、“有効フロンティア”という名称1000tが表されている。
【0052】
トータルリスク表示領域1020には、図9で選択された1列(904)に対応した一つのトータルリスクの値、“10.000”が表示されている。表1010には、このトータルリスクに対応する、複数の異なるアクティブリスクのリスク配分関係に対し、1011に配分を特定する番号と、1012にアクティブリスクと、1013にベンチマークリスクと、1014に対応するリターンの値が表示されている。この例では、配分を特定する番号1から18までにデータが表示されている。また、1011には、チェックボックス1011aが表示されている。このチェックボックスに対する指示を受け付けると、有効フロンティアのグラフ中に該当するポイントP1の表示がなされると共に、ベンチマーク資産詳細表示領域1050と、アクティブ運用資産詳細表示領域1060とに、対応する詳細なデータが表示される。
【0053】
また、有効フロンティア表示領域1030には、横軸にアクティブリスク1031をとり、縦軸にリターン1032をとって、アクティブリスク/最大リターンの有効フロンティア1034を表示している。この有効フロンティア1034は、アクティブリスクと、最大期待リターンの関係を表している。有効フロンティア1034上の点は、それぞれ一つのポートフォリオに対応している。ここでは、リスク配分状態の選択の前提としてトータルリスクを一定に保ったポートフォリオを提供している。
【0054】
資産配分領域1040には、各リスク配分ごとに、資産の含まれる割合(=投資比率)を帯グラフ1044により表している。図では、ハッチングの付け方を変えて資産の割合示している。表示装置では、カラーにより区別するようにすることができる。なお、横軸はリスク配分の番号1041、縦軸は資産の配分率1042を示す。なお、右側に、資産の区別するための表記の凡例1043を示している。
【0055】
資産詳細表示領域1050とアクティブ運用資産詳細表示領域1060とには、いずれかのチェックボックス1011aに選択指示がなされた場合、選択されたリスク配分、すなわち、有効フロンティア1034上の点P1についての詳細データを表示する。すなわち、資産詳細表示領域1050には、そのベンチマーク資産への投資比率等1052を示す。具体的には、資産の種類1051に対応して、保有率、リスク、リターン、シャープレシオ、リスク寄与度についての数値を表示する。また、アクティブ運用資産詳細表示領域1060には、資産の種類1061に対応して、そのアクティブ運用資産への投資比率等1062を各々表示している。具体的には、保有率、リスク、リターン、情報比、リスク寄与度についての数値を表示する。
【0056】
ここで、シャープレシオとは、リターンとリスクの比である。すなわち、そのリターンを得るためにどれだけのリスクを取るかを表す指標である。情報比とは、アクティブリターンとトラッキングエラー(アクティブリターンの標準偏差)との比である。これは、各運用者がベンチマークを上回るリターンを得るためにどれだけ余分なリスクを取るかを表す指標である。一般に、この値が高い運用者が優秀な運用者とされる。リスク寄与度とは、ポートフォリオ中の個別の資産や運用者のリスクが全体のリスクの中でどれだけ寄与しているかを表す値である。
【0057】
さらに、図11において、その点におけるアクティブ運用資産内の運用種別ごとの詳細情報1100と、シミュレーション条件を設定するための表1150とを表示している。これらは、同一の画面に表示される。もちろん、別の画面としてもよい。
【0058】
詳細情報1100は、具体的には、アクティブリスクの割り当て1110として、資産1111とその運用を割当てているマネージャ1112ごとに、運用の仕様を示す情報1120を表している。すなわち、リスク配分1121、リスク寄与度1122、保有率1123、リスク感応度1124、IR1125およびポートフォリオのトータルアクティブリスクであるアクティブリスクの合計1126が表記されている。
【0059】
シミュレーション条件を設定するための表1150は、期間1151と、統計データ更新期間1152と、ポートフォリオの組み替えを行うためのルール、すなわち、リバランス・ルール1153とに対するデータの入力箇所がある。図11に示す例では、期間1151は、1995年2月10日から1998年10月10日と設定されている。統計データ更新期間1152は、3ヶ月、日次の更新と設定されている。さらに、リバランス・ルールとして、リスク配分1153aを(最適配分−0.2%)よりも大きいか(1153b)、(最適配分+0.2%)(1153c)よりも小さい範囲に管理する、即ち、±0.2%以上ずれた場合にリバランスすると言う条件が設定されている。ここで、リバランスとは再度最適化計算を実行して最適なリスク配分のポートフォリオを作り直すことを意味している。
【0060】
以上述べた計算、設定等に伴う数値は、メモリ12に格納される。それらの数値はメモリ12から読み出されて利用される。この点については後述する実施形態においても同様である。
【0061】
次に、本発明の第2の実施形態の固有の機能について、さらに具体的に説明する。本実施形態の各手段が実行する処理手順を図6に示す。図6のステップ601〜ステップ605は、対応する図5のステップ501〜505と同じである。そこで、ここでは、本実施形態固有の処理について説明する。
【0062】
運用計画変更ルール入力手段307は、ユーザから入力装置31および表示装置32による、ポートフォリオの変更条件などのルールの入力を受け付ける(ステップ606)。運用計画変更ルール格納手段306は、受け付けられた運用計画変更ルールを記憶装置20に格納する(ステップ606)。例えば、本実施形態では、図11に示すように、運用計画変更ルールは、ポートフォリオのアクティブ運用種別への最適リスク配分1121に対するリスク・リバランス・ルールとしている。つまり、図11のリバランス・ルール1153が示すように、各アクティブ運用種別におけるアクティブリスク配分が、現時点での最適リスク配分から±0.2%ずれた場合に、再最適化計算を実行してリバランスを行うというルールを設定している。図11では一例としてアクティブリスク配分にたいするリバランス・ルールを示しているが、それ以外にも、トータルリスクや、個別のアクティブ運用者のリスク管理など、ユーザーのポートフォリオ管理方針に応じて条件を設けリバランス・ルールとして設定することができる。
【0063】
資産価値シミュレーション手段308は、ステップ604において選択され、ステップ605において表示されているポートフォリオに対して、運用計画変更ルール格納手段306に格納されている運用計画変更ルールに基づいて、ポートフォリオ資産価値の推移を計算する(ステップ607)。すなわち、図11に示すシミュレーション条件(期間、統計データ更新期間、リバランス・ルール)に従って、仮に、上記運用計画変更ルールに従って運用されたとした場合のポートフォリオ資産価値の推移を計算する。
【0064】
ポートフォリオ情報出力手段305は、ポートフォリオ資産価値の推移状態を表示装置32に表示させる(ステップ608)。図12に、その出力例を示す。
【0065】
図12では、ポートフォリオ資産価値の推移のグラフ1230と、最適リスク配分1210とを画面に表示している。この例では、同じ画面に表示している。グラフ1230は、横軸に時間の経過1231、縦軸に資産価値1232を取っている。グラフ1230には、ポートフォリオ資産価値の推移が折れ線1234により示される。そして、横軸の下方に三角形マーク1233が付してある。これは、前述したリバランス・ルールが適用されて、再計算が行われた時点を示す。最適リスク配分1210には、各アクティブ運用種別毎の、各リバランス時点での再計算後の最適リスク配分を表示している。すなわち、資産1211を割り当てたマネージャの種別1212と、それに対応するリスク配分1221とが表示される。リスク配分1221は、日付1221a、1221bが付される。なお、図12の例では、二つの時点、即ち最適化時点1995年2月10日と、最初のリバランス時点1995年6月10日についてのみ示しているが、2回目以降のリバランス時のリスク配分について、一画面に入りきれないデータについては、スクロール等の技術を用いて表示させることができる。
【0066】
このような構成とすることにより、作成したポートフォリオの運用成績をシミュレーションして価値の推移を可視化できる。また、リバランス・ルールの適用により、アクティブリスクの拡大が防ぎうる最適なリスク配分となるように、ポートフォリオを組み替えることが可能となる。すなわち、ユーザに対して、資産運用管理の支援が適切に行いうる。
【0067】
前述した実施形態におけるリスク配分関係の計算ステップでは、他の指標に基づいて、リスク配分を計算することができる。その例を図24に示す。図24において、演算処理装置11は、ベンチマーク資産とアクティブ運用資産のリターン変動および負債の金利変動に対する統計データを、記憶装置20から読み込む(ステップ2401)。ベンチマーク資産配分による資産総額と負債総額の差であるポリシーサープラス変動リスクとアクティブ運用リスクの各組み合わせに対応する最大サープラス成長率を計算する(ステップ2402)。次に、リスク配分関係表示ステップでは、例えばトータルサープラス変動リスクとトータルアクティブリスクの組み合わせに対する最大サープラス成長率を多次元マップ上に表示する(ステップ2403)。この後、図5に示す場合と同様に、表示された関係に対するユーザからの選択入力を受け付ける(ステップ2404)。また、選択された関係を満たすベンチマーク資産配分をアクティブ運用資産配分を含むポートフォリオの情報を表示する(ステップ2405)。
【0068】
ところで、(1)式、または、(2a)式、(2b)式中のリスク指標σtotalとσaは、ベンチマークリターンとアクティブリターンの標準偏差である。しかし、各リターンに対する変動シナリオを適当に設定したモンテカルロ・シミュレーション、および、目的関数の定式化の変更により、リスク指標として、VaR、C−VaR、EaR、ショートフォール確率、SaR、および、ファクターエクスポージャーのいずれかを用いて実施することもできる。
【0069】
以上の各実施形態では、リスク配分関係として[トータルリスクσtotal −トータルアクティブリスクσa −期待最大リターン]の組み合わせを例として取り上げている。本発明は、これに限られない。多次元マップの他の例について、図21を参照して説明する。
【0070】
ステップ502における最大期待リターンの計算に関わる3種類のリスクまたはリターン指標の任意の組み合わせを表示できる。そのために、画面上に、表示切り替え機能2110、2120および2130が設けられている。これらはいずれもプルダウンメニュー形式で、選択肢を選べる構成となっている。すなわち、表示切り替え機能2110によって行方向に表示する第1の指標を選択する。表示切り替え機能2120によって列方向に表示する第2の指標を選択する。また、表示切り替え機能2130によって表示する要素部分2103に表示する第3の指標を選択する。ここで、要素部分2103に表示する第3の指標は、行方向および列方向の対応する第1および第2の指標の組み合わせに対応する計算結果が表示される。
【0071】
また、前述した実施形態におけるポートフォリオ情報出力画面の別の実施例を、図22に示すポートフォリオ情報出力画面2200には、トータルリスクリスク配分とリターンとの関係を示す表2210と、トータルリスクを示すトータルリスク表示領域2220と、有効フロンティアを示す有効フロンティア表示領域2230と、資産の配分を示す資産配分領域2240と、ベンチマーク資産の詳細を示すベンチマーク資産詳細表示領域2250と、アクティブ運用資産の詳細を示すアクティブ運用資産詳細表示領域2260とが、表示装置32の表示画面に配置されて表示される。また、画面には、“有効フロンティア”という名称2200tが表されている。この構成は、基本的には、前述した図10に示す、表1010と、トータルリスク表示領域1020と、有効フロンティア表示領域1030と、資産配分領域1040と、ベンチマーク資産詳細表示領域1050と、アクティブ運用資産詳細表示領域1060と対応している。
【0072】
有効フロンティア表示領域1030において、この例では、異なるポートフォリオのリスク/リターン関係を比較表示したものである。すなわち、凡例2233に示されるように、二つの異なるトータルリスクに対応して、二つの有効フロンティア2234と2235とが表示されている。また、点P2は、比較すべきポートフォリオのアクティブリスクに対するリターンを示している。このように本実施例では、ユーザ入力による任意のリスク配分関係または別の条件で計算したリスク配分関係を一つないし複数表示して比較することができる。
【0073】
資産価値シミュレーション結果出力手段による出力画面の他の例について、図23を参照して説明する。図23において、ポートフォリオ資産価値の推移のグラフ2330と、運用種別ごとの最適リスク配分2310とを画面に表示している。この例では、同じ画面に表示している。グラフ2330は、横軸に時間の経過2331、縦軸に資産価値2332を取っている。そして、横軸の下方に三角形マーク2333が付してある。これは、前述したリバランス・ルールが適用されて、再計算が行われた時点を示す。本例では、資産価値の推移を示す折れ線2234と2235とが示されている。これは、リスク配分が異なるポートフォリオの資産価値推移について表示し、比較できるようにしている。ここでは、折れ線2335は、例えば、ユーザが別途作成したポートフォリオ、ベンチマークとなるポートフォリオなど、比較ポートフォリオの資産価値の推移を表す。また、同じまたは異なるポートフォリオに対して異なる運用計画変更ルールに従ってリバランスした場合のポートフォリオ資産価値の推移を示してもよい。
【0074】
最適リスク配分2310には、各アクティブ運用種別毎の、各リバランス時点での再計算後の最適リスク配分を表示している。すなわち、資産2311を割り当てたマネージャの種別2312と、それに対応するリスク配分2321とが表示される。リスク配分2321は、日付2321a、2321bが付される。なお、図23の例では、図12に示す例と同様に、他の日付のデータをスクロールによって見ることが可能である。
【0075】
このような構成とすることにより、リスク配分の異なるポートフォリオや、同じポートフォリオに対して異なる運用計画変更ルールを適用した場合の運用成績を比較することが可能となり、ユーザーに対してリスク配分関係の選択や、運用計画変更ルールの設定支援をより適切に行いうる。
【0076】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本発明は、ネットワーク上で装置を構成することによって、資産運用管理支援を行うことができる。例えば、図3の装置構成を、ネットワークNWに接続される複数の情報処理装置により、資産運用管理支援サービスを行うこともできる。図13にその一例を示す。
【0077】
図13に示す装置は、統計データ格納手段1301と、運用計画変更ルール格納手段1306と、資産価値計算手段1308aと、リスク配分関係計算手段1303aと、ポートフォリオ情報出力手段1305と、価値推移データ表示手段1308bと、関係データ表示手段1303bと、運用計画変更ルール入力手段1307と、リスク配分関係選択手段1304とを有する。
【0078】
図13に示す資産運用管理支援装置について、図3に示す装置と対比すると、次の対応関係にある。すなわち、統計データ格納手段301は統計データ格納手段1301と、運用計画変更ルール格納手段306は運用計画変更ルール格納手段1306と対応する。また、ポートフォリオ情報出力手段305はポートフォリオ情報出力手段1305と、運用計画変更ルール入力手段307は運用計画変更ルール入力手段1307と、リスク配分関係選択手段304はリスク配分関係選択手段1304と対応する。リスク配分関係表示手段303はリスク配分関係計算手段1303aと関係データ表示手段1303bで、資産価値シミュレーション手段308は資産価値計算手段1308aと価値推移データ表示手段1308bで各々構成されている。
【0079】
各手段を、例えばデータベース1311と、演算装置1312とインターフェース1313の3つの装置に実装して、インターネット等、適当なネットワークNW上に配置する。これにより、リスク配分関係計算手段1303aが計算した関係データをネットワークNW上に伝送して、関係データ表示手段1303bにより表示させることができる。また、資産価値計算手段1308aが計算した価値推移データを、ネットワークNW上に伝送して、価値推移データ表示手段1308bにより表示させることができる。
【0080】
次に、前述した各実施形態に機能を追加した実施形態について説明する。以下に述べる実施形態では、図1に示す装置に機能を追加する形で説明するが、実質的に、図3に示す装置、図13に示す装置にも適用することができる。
【0081】
本発明の第4の実施形態について、図14を参照して説明する。本実施形態は、図1に示す資産運用管理支援装置に、統計データ分析表示手段1411、および、資産候補選択手段1412を追加したものである。本発明の資産管理運用支援装置は、統計データ格納手段1401に格納されたデータを分析表示し、その結果に基づいてリスク配分計算手段1402においてリスクを配分する候補となる資産を選択入力することができる。
【0082】
図14に示すように、本実施形態に係る資産運用管理支援装置は、統計データ格納手段1401と、統計データ分析表示手段1411と、資産候補選択手段1412と、リスク配分計算手段1402と、リスク配分関係表示手段1403と、リスク配分関係選択手段1404と、ポートフォリオ情報出力手段1405とを有する。
【0083】
図14の装置が実行する処理手順を図15に示す。符号1501〜1505の各手順は、図1の符号101〜105に対応し、符号1401〜1405の各手段が処理する手順すなわち図15のステップ1501〜ステップ1505は、対応する図2のステップ201〜205と同じである。
【0084】
統計データ分析表示手段1411は、統計データ格納手段1401に格納されたデータを、種々の角度から分析・順位付けして一覧表示する(ステップ1506)。資産候補選択手段1412は、選択入力を受け付けて、リスク配分計算手段1402に渡す(ステップ1507)。ステップ1506における分析とは、例えば、アクティブ運用の候補となる複数のアクティブ運用者の期待リターン、TE、IR、運用者相互の相関係数、共通する指標との相関係数を算出することである。ステップ1507における表示とは、例えば、分析結果である各種指標の大きい順、あるいは小さい順、あるいは絶対値の小さい順に順位付けして一覧表示することである。
【0085】
図16に統計データ分析表示の例を示す。1601は分析対象の資産、1602はその資産のベンチマークである。1611、1612、1613、1614は、分析に用いる共通のインデックス1610である。共通の指標としては、例えば、スタイルインデックスなどをユーザが選択できる。これらは、いずれもプルダウンメニュー形式で用意されている。
【0086】
また、図16に示す表示例では、年率平均αリターン(対ベンチマーク)1620と、4つの表示欄1630−1660が設けられている。年率平均αリターン(対ベンチマーク)1620では、“年率平均αリターン(対ベンチマーク)”というタイトル表示部1621が設けられている。この部分では、マネージャ名1623と、それに対する平均αリターンを示す値1624とが、順位1622と共に表示されている。4つの表示欄では、それぞれ、プルダウンメニューで選ばれた指標等についての表示が行われる。すなわち、ユーザはステップ1506における分析結果の中から任意の分析結果を選択して、一覧表示を指示することができる。図16の例では、トラッキングエラー(昇順)1630と、インデックス1との相関(順相関)1640と、インデックス2との相関(順相関)1650と、マネージャ間相関(順相関)1660とが表示されている。いずれも、マネージャ名と、選択した指標に対応するそれぞれの値と、順位とが示される。ユーザはこの分析結果に基づいて資産の候補を選択し、リスク配分計算手段1402の入力とする。
【0087】
このように、本実施形態によれば、統計データ分析表示手段1411、および、資産候補選択手段1412を追加したことにより、統計データ格納手段1401に格納されたデータを分析表示し、その結果に基づいてリスク配分計算手段1402においてリスクを配分する候補となる資産を選択入力することが可能となる。
【0088】
なお、本実施形態は、図1に示す装置との組合せに限らず、図3、図13の装置に適用することもできる。
【0089】
本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態は、リスクを配分する資産の保有率に対して、ユーザが任意に制約条件を設けることができる例である。その装置構成例を図17に示す。本装置構成例は、図1に示す装置構成に対応する、統計データ格納手段1701と、リスク配分計算手段1702と、リスク配分関係表示手段1703と、リスク配分関係選択手段1704とを有し、これに制約条件入力手段1706が追加されたものである。図17の装置における各手段1701〜1705は、図1に示す手段101〜105に対応する。
【0090】
図17の装置が実行する処理手順を図18に示す。手段1701〜1705が処理する手順、すなわち、図18のステップ1801〜ステップ1805は、対応する図2のステップ201〜205と同じである。
【0091】
制約条件入力手段1706は、リスクを配分する資産の保有率に対して任意の制約条件の入力を受け付け(ステップ1806)、リスク配分計算手段1702にその制約を反映させる。制約条件の例を(3a)式および(3b)式から(5)式に示す。(3a)式および(3b)式は、リスクを配分する各資産への投資し比率の上限または下限制約の例である。(3a)式および(3b)式のwbiは各ベンチマーク資産への投資比率を、wα jは各アクティブ運用資産への投資比率を、Dbi_Lowは各ベンチマーク資産への投資比率の下限値を、Dbi_Upは各ベンチマーク資産への投資比率の上限値を、Dα j_Lowは各アクティブ運用資産への投資比率の下限値を、Dα j_Upは各アクティブ運用資産への投資比率の上限値を、それぞれ表す。各資産への投資は、各々の資産の投資比率の下限値と上限値の範囲内で実施される。
【0092】
(4)式は、リスクを配分する各資産への投資比率の相互関係に対する制約式の例である。(4)式のwb はベンチマーク資産の投資比率列ベクトルを、wa は各アクティブ運用資産への投資比率列ベクトルを、Cb はベンチマーク資産の投資比率の係数ベクトルを、Ca は各アクティブ運用資産への投資比率の係数ベクトルを、C0は定数項を表す。各資産への投資は、(4)式に示すような各資産への投資比率の1次の線形結合の等式または不等式を満たすように実施される。(5)式は、資産を配分した結果であるポートフォリオと特定の指標との相関係数に対する制約の例である。(5)式のρPortfolio、Indexはポートフォリオと特定の指標との相関係数、ρLowは相関係数の下限値、ρUpは相関係数の上限値を表す。
【0093】
【数3】
【0094】
【数4】
【0095】
【数5】
【0096】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態は、投資の対象となる資産およびアクティブ運用者に配分する金額の変更に対するコストを考慮して配分を実施できる。その装置構成例を図25に示す。
【0097】
本実施形態の装置は、図1に示す装置構成例に、金額変更コストデータ格納手段2515が追加されたものである。図25の装置が実行する処理手順は図2に示すとおりである。ステップ201では統計データ格納手段2501から各資産の価格変動の統計データを、金額変更コストデータ格納手段2515から運用する金額の変更に対するコストを読み込む。ステップ202で計算される最大期待リターンは、運用による資産の変化量から金額の変更に対するコストを差し引いた値(コスト調整後リターン)として計算される。
【0098】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態は、リスクを配分する各資産の期待リターンの計算方法を選択することができる。その装置構成例を図19に示す。本装置構成例は図1に示す前述の装置構成例に、リターン計算方法選択手段1913と推定リターン計算手段1914とが追加されたものである。
【0099】
図19の装置が実行する処理手順を図20に示す。符号1901〜1905の各手段は、図1の符号101〜105に対応し、符号1901〜1905の各手段が処理する手順、すなわち、図20のステップ2001〜ステップ2005は、対応する図2のステップ201〜205と同じである。
【0100】
リターン計算方法選択手段1913は、リスクを配分する資産の期待リターンの計算方法についてのユーザによる選択を受け付ける(ステップ2006)。推定リターン計算が選択された場合には、推定リターン計算手段1914は、例えば、ビルディングブロック法、ブラック−リッターマン法などの金融工学モデルに基づいた推定リターンを計算して、リスク配分計算手段1902に渡す(ステップ2007)。推定リターン計算を選択しない場合には、統計データに基づいて算出した平均期待リターンが用いられる。
【0101】
以上に述べたように、本発明は、資産運用管理に際し、運用者に対して、種々の資産種別に対して、リスクの取り方を変えることに対する期待しうる最大リターンを示すことができる。従って、リスク/リターンの関係が見通しをよくすることができ、ポートフォリオの組み替え等の検討に、役立つといえる。以下、前述した実施形態による作用効果について述べる。
【0102】
前述のように分散共分散モデルでは、最適な投資比率を決定するために、自分のリスク許容度の数値(所望のリスク/リターン関係)を事前に把握または適切に設定しておく必要がある。しかし、それは一般に容易ではない。これに対して、本は罪では、リスク配分関係表示手段によりリスク配分関係を網羅的に概観することによって、また、リスク配分関係選択手段によりリスク/リターン関係の候補を選択し詳細情報を提供することによって、さらに資産価値シミュレーション手段がその候補の価値評価を提供することによって、上記所望のリスク/リターン関係を適切に設定することを効率的に支援できる。
【0103】
また、前述のように、アセット・アロケーションでベンチマーク資産に対して資産配分を実施することと、資産配分後にアクティブ運用への投資比率を配分することは、相互にリスク/リターンの関係に影響を及ぼす。従って、従来のように、これを段階的に行った場合、両者の関係を考慮した最適運用計画を作成するための反復・調整の過程において、リスク/リターン間の統一的なイメージを形成しにくい。これに対し、リスク配分関係表示手段によりベンチマーク資産配分によるリスクまたはそれを含むトータルリスクと、その内のアクティブ・リスクを指定して最大期待リターンを計算することにより、ベンチマーク資産配分とアクティブ運用資産配分を同時に行うことができる。これにより、許容リスクの範囲内での最適配分という観点から統一的なイメージを容易に描くことができる。
【0104】
また前述のように、資産運用の委託先を選択する実務においては、運用委託先の候補となる運用受託機関は数十〜数百に上り、これらすべての運用受託期間の組み合わせを評価・検討して投資比率を決定することは実務上現実的でない。しかし、個々の運用受託機関の運用成績のみに基づいて候補の数を低減することは、複数の運用受託機関の組み合わせによるリスク分散効果を損なう危険性がある。これに対し、前述した実施形態によれば、あらかじめ候補となる資産の運用成績を分析してその結果に基づいてリスク配分する運用者の候補を選択することにより、効率良く、且つ、ポートフォリオの特性を損なうことなく資産配分を実施することを支援できる。
【0105】
さらに、リスク配分関係選択手段によるリスク/リターン関係の候補の選択、および資産価値シミュレーション手段によるリスク配分によるリバランス・シミュレーションにより、従来の投資金額配分によるシミュレーションのみによるポートフォリオ評価に比して、多方面(例えばリスク配分と投資配分)から効果的に運用計画を作成することが可能となる。
【0106】
本発明の特徴の一部を纏めて列挙すると次のようになる。
【0107】
1.資産運用管理において、資産の種類とその投資比率を決定すること、および各資産の運用の詳細な方法を決定することを含む資産運用管理を支援する装置であって、前者の決定と後者の決定に依存する両者のリスク配分とリターンとの関係であるリスク配分関係を複数表示するリスク配分関係表示手段と、前記リスク配分関係の一つまたは複数を選択する入力を受け付けるリスク配分関係選択手段と、選択したリスク配分関係に基づきポートフォリオ情報を出力するポートフォリオ情報出力手段とを有する資産運用管理支援装置。
【0108】
2.上記1.において、入力された運用計画変更ルールを格納する運用計画変更ルール格納手段と、前記運用計画変更ルールに基づいて運用を行ったとした場合の資産価値推移を提示する資産価値シミュレーション手段とを有する資産運用管理支援装置。
【0109】
3.上記1.において、前記リスク配分関係表示手段は、少なくともベンチマーク資産の資産配分の決定と、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分の決定に依存するベンチマーク・リスク配分とアクティブ・リスク配分およびリターンとの関係を多次元で表示することを特徴とする資産運用管理支援装置。
【0110】
4.上記2.において、前記資産価値シミュレーション手段は、リスク配分関係選択手段からユーザが選択したリスク配分関係を満たすベンチマーク資産配分計画とアクティブ運用資産配分計画に対し、運用計画変更ルールは、実運用した場合におけるリスク配分関係の変化に基づく運用計画変更ルールであり、その運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を提示することを特徴とする資産運用管理支援装置。
【0111】
5.資産運用管理において、資産の種類とその投資比率を決定するステップ、および各資産の運用の詳細な方法を決定するステップを含む資産運用管理方法であって、前者の決定と後者の決定に依存する両者のリスク配分関係と各関係におけるリターンを計算するステップと、各リスク配分とリターンの関係を多次元マップ上に表示するステップと、し、表示された関係の一つまたは複数を選択させるステップとを有することを特徴とした資産運用管理支援方法。
【0112】
6.上記5.において、選択されたリスク配分関係を満たす運用計画に対し、そのリスク配分関係と実際との相違に従った運用計画変更ルールを入力するステップと、その運用計画変更ルールに基づいて運用を行ったとした場合の資産価値推移を提示するステップとを有する資産運用管理支援方法。
【0113】
7.上記5.において、前者の決定と後者の決定が、ベンチマーク資産の資産配分を決定することと、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分を決定することである場合に、前者の決定と後者の決定に依存するベンチマークリスク配分とアクティブリスク配分およびリターンを計算するステップと、各リスク配分とリターンの関係を多次元マップ上に表示するステップと、表示された関係の一つまたは複数を選択させるステップとを有する資産運用管理支援方法。
【0114】
8.上記6.において、選択されたリスク配分関係を満たすベンチマーク資産配分計画とアクティブ運用資産配分計画に対し、実運用に伴うリスク配分関係の変化に基づく運用計画変更ルールを入力するステップと、その運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を提示するステップとを有する資産運用管理支援方法。
【0115】
9.上記7.において、選択されたリスク配分関係を満たすベンチマーク資産配分計画とアクティブ運用資産配分計画に対し、実運用に伴うリスク配分関係の変化に基づく運用計画変更ルールを入力するステップと、その運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を提示するステップとを有する資産運用管理支援方法。
【0116】
10.上記1.において、リスク配分関係表示手段はリスク配分関係計算手段と関係データ表示手段を有し、資産価値シミュレーション手段は資産価値計算手段と価値推移データ表示手段を有し、また各手段の一つ又は複数が、それぞれネットワークにより結ばれた複数の電子計算機により構成され、リスク配分関係計算手段が計算した関係データをネットワーク上に伝送して関係データ表示手段から表示させ、資産価値計算手段が計算した価値推移データをネットワーク上に伝送して価値推移データ表示手段から表示させるようにした資産運用管理支援装置。
【0117】
11.上記2.において、リスク配分関係表示手段はリスク配分関係計算手段と関係データ表示手段を有し、資産価値シミュレーション手段は資産価値計算手段と価値推移データ表示手段を有し、また各手段の一つ又は複数が、それぞれネットワークにより結ばれた複数の情報処理装置により構成され、リスク配分関係計算手段が計算した関係データをネットワーク上に伝送して関係データ表示手段から表示させ、資産価値計算手段が計算した価値推移データをネットワーク上に伝送して価値推移データ表示手段から表示させるようにした資産運用管理支援装置。
【0118】
12.上記5.において、リスク配分状態を表す指標として、各資産種が個別に保有するリスク割当量または加算してポートフォリオ全体のトータルリスクとなる各資産種のリスク寄与度を用いたことを特徴とする資産運用管理支援方法。
【0119】
13.上記12.において、リスクを表す指標として、リターン変動または資産価値変動の標準偏差またはVaRまたはC−VaRまたはEaRまたはショートフォール確率を用いたことを特徴とする資産運用管理支援方法。
【0120】
14.上記5.の資産運用管理支援方法の各ステップを、計算機上で実行させるためのプログラム。
【0121】
15.上記6.の資産運用管理支援方法の各ステップを、計算機上で実行させるためのプログラム。
【0122】
16.上記5.の資産運用管理支援方法の各ステップを、計算機上で実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0123】
17.上記6.の資産運用管理支援方法の各ステップを、計算機上で実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0124】
18.上記1.において前者の決定と後者の決定が、ベンチマーク資産の資産配分を決定することと、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分を決定することである場合に、前記アクティブ運用資産の候補となる複数のアクティブ運用資産の運用成績を分析して一覧表示する手段と、前記アクティブ運用資産への配分先を選択してリスク配分計算手段の入力情報とする手段を有する資産運用管理支援装置。
【0125】
19.上記1.において前者および後者の配分に関する制約条件の入力を受け付ける制約条件入力手段を有する資産運用管理支援装置。
【0126】
20.上記1.においてリターンを計算するステップで用いるベンチマーク資産およびアクティブ運用資産の期待リターン値の計算方法を選択する手段と、前記ベンチマーク資産およびアクティブ運用資産の実際の運用成績からを元に金融モデルを用いて推定期待リターンを算出する手段とを有する資産運用管理支援装置。
【0127】
21.上記1.において金額の変更に対するコストのデータを格納する手段を有し、リターンは前記金額の変更に対するコストを差し引いた後の収益であることを特徴とする資産運用管理支援方法。
【0128】
22.上記1.において前記リスク配分関係表示手段は、少なくとも2種類以上の前記リスク配分またはリターン指標と、それらの組み合わせに対応する少なくとも1種類以上の前記リスク配分またはリターン指標の関係を多次元で表示し、前記多次元表示するリスク配分またはリターン指標の組み合わせの切り替え機能を有することを特徴とする資産運用管理支援装置。
【0129】
23.上記1.において前記リスク配分関係表示手段は、ユーザ入力による任意のリスク配分関係または別の条件で計算したリスク配分関係を比較表示する機能を有することを特徴とする資産運用管理支援装置。
【0130】
24.上記4.において、前記資産価値シミュレーション手段は、ユーザ入力による任意の別の資産配分計画または任意の別の運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を比較表示する機能を有することを特徴とする資産運用管理支援装置。
【0131】
25.上記5.において後者の配分の候補となるアクティブ運用資産の運用成績を分析表示するステップと、分析結果の基づいて候補を選択して配分比率を決定するステップに入力するステップからなることを特徴とした資産運用管理支援方法。
【0132】
26.上記5.において前者および後者の配分に関する制約条件の入力を受け付ける制約条件入力ステップを有することを特徴とした資産運用管理支援方法。
【0133】
27.上記5.においてリターンの計算方法を選択するステップと、推定リターンを計算するステップを有することを特徴とした資産運用管理支援方法。
【0134】
28.上記5.においてリターンは資産総額と負債総額の差の変化率であって、配分されるリスクは前記リターンの変動リスクを含むことを特徴とした資産運用管理支援方法。
【0135】
【発明の効果】
本発明によれば、資産運用管理において、資産の種類とその投資比率を決定すること、および各資産の運用の詳細な方法を決定することを、両者によるリスク配分関係の変化を考慮しながら効率的に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための装置構成例を示すブロック図。
【図2】図1の各手段が実行する処理手順を示すフローチャート。
【図3】資産価値シミュレーション手段を含む実施例に対する装置構成を示すブロック図。
【図4】図3の各手段が実行する処理手順を示すフローチャート。
【図5】図2のフローチャートをより具体化した示すフローチャート。
【図6】図4のふとーチャートをより具体化して示すふとーチャート。
【図7】ベンチマーク資産の価値変動に対する統計データの例を模式的に示す説明図。
【図8】アクティブ運用資産の価値変動に対する統計データの例を模式的に示す説明図。
【図9】リスク配分関係表示手段による多次元マップの表示例を示す説明図。
【図10】ポートフォリオ情報表示手段によるポートフォリオ情報の表示例を示す説明図。
【図11】ポートフォリオ情報表示および運用計画変更ルール入力の例を示す説明図。
【図12】資産価値シミュレーション手段で計算された資産価値推移結果の表示例を示す説明図。
【図13】本発明をネットワーク上で実施する場合の装置構成例を示すブロック図。
【図14】統計データ分析手段を含む実施例に対する装置構成を示すブロック図。
【図15】図14の各手段が実行する処理手順を示すフローチャート。
【図16】統計データ分析表示例を示す説明図。
【図17】制約条件入力分析手段を含む実施例に対する装置構成を示すブロック図。
【図18】図17の各手段が実行する処理手順を示すフローチャート。
【図19】推定リターン計算手段を含む実施例に対する装置構成を示すブロック図。
【図20】図19の各手段が実行する処理手順を示すフローチャート。
【図21】リスク配分関係表示手段による多次元マップの表示例を示す説明図。
【図22】ポートフォリオ情報表示手段によるポートフォリオ情報の比較表示例を示す説明図。
【図23】資産価値シミュレーション手段で計算された資産価値推移結果の比較表示例を示す説明図。
【図24】リターンを資産総額と負債総額の差の変化率とした場合に対する、図1の各手段が実行する処理手順を示すフローチャート。
【図25】コストデータ格納手段を含む実施例に対する装置構成を示すブロック図。
【図26】本発明に係る資産運用管理の支援に用いられる情報処理装置のハードウェアシステムの一例を示すブロック図。
【符号の説明】
10…計算機、11…演算処理装置、12…メモリ、20…記憶装置、30…ユーザインタフェース。31…入力装置、32…表示装置、33…印刷装置、40…通信制御装置、101…統計データ格納手段、102…リスク配分計算手段、103…リスク配分関係表示手段、104…リスク配分関係選択手段、105…ポートフォリオ情報出力手段、111…データベース、112…演算処理手段、113…グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)。
Claims (29)
- 資産運用管理において、資産の種類とその投資比率を決定すること、および、各資産の運用の詳細な方法を決定することを含む資産運用管理を支援する装置であって、
前者の決定と後者の決定に依存する両者のリスク配分とリターンとの関係であるリスク配分関係を複数表示するリスク配分関係表示手段と、
前記リスク配分関係の一つまたは複数を選択する入力を受け付けるリスク配分関係選択手段と、
選択したリスク配分関係に基づきポートフォリオ情報を出力するポートフォリオ情報出力手段と、を有する資産運用管理支援装置。 - 請求項1において、入力された運用計画変更ルールを格納する運用計画変更ルール格納手段と、前記運用計画変更ルールに基づいて運用を行ったとした場合の資産価値推移を提示する資産価値シミュレーション手段とを有する資産運用管理支援装置。
- 請求項1において、前記リスク配分関係表示手段は、少なくともベンチマーク資産の資産配分の決定と、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分の決定に依存するベンチマーク・リスク配分と、アクティブ・リスク配分およびリターンとの関係を多次元で表示することを特徴とする資産運用管理支援装置。
- 請求項2において、前記資産価値シミュレーション手段は、リスク配分関係選択手段からユーザが選択したリスク配分関係を満たすベンチマーク資産配分計画とアクティブ運用資産配分計画に対し、運用計画変更ルールは、実運用した場合におけるリスク配分関係の変化に基づく運用計画変更ルールであり、その運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を提示することを特徴とする資産運用管理支援装置。
- 資産運用管理において、資産の種類とその投資比率を決定するステップ、および各資産の運用の詳細な方法を決定するステップを含む資産運用管理方法であって、
前者の決定と後者の決定に依存する両者のリスク配分関係と各関係におけるリターンを計算するステップと、各リスク配分とリターンの関係を多次元マップ上に表示するステップと、し、表示された関係の一つまたは複数を選択させるステップとを有することを特徴とした資産運用管理支援方法。 - 請求項5において、選択されたリスク配分関係を満たす運用計画に対し、そのリスク配分関係と実際との相違に従った運用計画変更ルールを入力するステップと、その運用計画変更ルールに基づいて運用を行ったとした場合の資産価値推移を提示するステップとを有する資産運用管理支援方法。
- 請求項5において、前者の決定と後者の決定が、ベンチマーク資産の資産配分を決定することと、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分を決定することである場合に、前者の決定と後者の決定に依存するベンチマーク・リスク配分と、アクティブ・リスク配分およびリターンを計算するステップと、各リスク配分とリターンの関係を多次元マップ上に表示するステップと、表示された関係の一つまたは複数を選択させるステップとを有する資産運用管理支援方法。
- 請求項6において、選択されたリスク配分関係を満たすベンチマーク資産配分計画とアクティブ運用資産配分計画に対し、実運用に伴うリスク配分関係の変化に基づく運用計画変更ルールを入力するステップと、その運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を提示するステップとを有する資産運用管理支援方法。
- 請求項7において、選択されたリスク配分関係を満たすベンチマーク資産配分計画とアクティブ運用資産配分計画に対し、実運用に伴うリスク配分関係の変化に基づく運用計画変更ルールを入力するステップと、その運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を提示するステップとを有する資産運用管理支援方法。
- 請求項1において、リスク配分関係表示手段はリスク配分関係計算手段と関係データ表示手段を有し、資産価値シミュレーション手段は資産価値計算手段と価値推移データ表示手段を有し、また各手段の一つ又は複数が、それぞれネットワークにより結ばれた複数の電子計算機により構成され、リスク配分関係計算手段が計算した関係データをネットワーク上に伝送して関係データ表示手段から表示させ、資産価値計算手段が計算した価値推移データをネットワーク上に伝送して価値推移データ表示手段から表示させるようにした資産運用管理支援装置。
- 請求項2において、リスク配分関係表示手段はリスク配分関係計算手段と関係データ表示手段を有し、資産価値シミュレーション手段は資産価値計算手段と価値推移データ表示手段を有し、また各手段の一つ又は複数が、それぞれネットワークにより結ばれた複数の電子計算機により構成され、リスク配分関係計算手段が計算した関係データをネットワーク上に伝送して関係データ表示手段から表示させ、資産価値計算手段が計算した価値推移データをネットワーク上に伝送して価値推移データ表示手段から表示させるようにした資産運用管理支援装置。
- 請求項5において、リスク配分状態を表す指標として、各資産種が個別に保有するリスク割当量または加算してポートフォリオ全体のトータルリスクとなる各資産種のリスク寄与度を用いたことを特徴とする資産運用管理支援方法。
- 請求項12において、リスクを表す指標として、リターン変動または資産価値変動の標準偏差またはVaRまたはC−VaRまたはEaRまたはショートフォール確率またはSaRまたはファクターエクスポージャーを用いたことを特徴とする資産運用管理支援方法。
- 請求項5記載の資産運用管理支援方法の各ステップを、電子計算機上で実行させるためのプログラム。
- 請求項6記載の資産運用管理支援方法の各ステップを、電子計算機上で実行させるためのプログラム。
- 請求項5記載の資産運用管理支援方法の各ステップを、電子計算機上で実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項6記載の資産運用管理支援方法の各ステップを、電子計算機上で実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項1において、前者の決定と後者の決定が、ベンチマーク資産の資産配分を決定することと、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分を決定することである場合に、前記アクティブ運用資産の候補となる複数のアクティブ運用資産の運用成績を分析して一覧表示する手段と、前記アクティブ運用資産への配分先を選択してリスク配分計算手段の入力情報とする手段を有する資産運用管理支援装置。
- 請求項1において、前者および後者の配分に関する制約条件の入力を受け付ける制約条件入力手段を有する資産運用管理支援装置。
- 請求項1において、リターンを計算するステップで用いるベンチマーク資産およびアクティブ運用資産の期待リターン値の計算方法を選択する手段と、前記ベンチマーク資産およびアクティブ運用資産の実際の運用成績を基に金融モデルを用いて推定期待リターンを算出する手段とを有する資産運用管理支援装置。
- 請求項1において、投資の対象となる資産およびアクティブ運用者に配分する金額の変更に対するコストのデータを格納する手段を有し、リターンは前記金額の変更に対するコストを差し引いた後の収益であることを特徴とする資産運用管理支援方法。
- 請求項1において、前記リスク配分関係表示手段は、少なくとも2種類以上の前記リスク配分またはリターン指標と、それらの組み合わせに対応する少なくとも1種類以上の前記リスク配分またはリターン指標の関係を多次元で表示し、前記多次元表示するリスク配分またはリターン指標の組み合わせの切り替え機能を有することを特徴とする資産運用管理支援装置。
- 請求項1において、前記リスク配分関係表示手段は、ユーザ入力による任意のリスク配分関係または別の条件で計算したリスク配分関係を比較表示する機能を有することを特徴とする資産運用管理支援装置。
- 請求項4において、前記資産価値シミュレーション手段は、ユーザ入力による任意の別の資産配分計画または任意の別の運用計画変更ルールに基づいてリバランスした場合の資産価値推移を比較表示する機能を有することを特徴とする資産運用管理支援装置。
- 請求項5において、前者の決定と後者の決定が、ベンチマーク資産の資産配分を決定することと、各ベンチマーク資産中のアクティブ運用資産への配分を決定することである場合に、後者の配分の候補となるアクティブ運用資産の運用成績を分析表示するステップと、分析結果に基づいて候補を選択して配分比率を決定するステップに入力するステップからなることを特徴とした資産運用管理支援方法。
- 請求項5において、前者および後者の配分に関する制約条件の入力を受け付ける制約条件入力ステップを有することを特徴とした資産運用管理支援方法。
- 請求項5において、リターンの計算方法を選択するステップと、推定リターンを計算するステップを有することを特徴とした資産運用管理支援方法。
- 請求項5において、リターンは資産総額と負債総額の差の変化率であって、配分されるリスクは前記リターンの変動リスクを含むことを特徴とした資産運用管理支援方法。
- 資産管理運用を支援する装置であって、
演算処理を行う計算機と、プログラムおよびデータを記憶する記憶装置と、ユーザに対して処理結果を表示すると共に、ユーザからの指示入力を受け付けるユーザインタフェースとを備え、
前記記憶装置は、資産運用のためのポートフォリオにおける資産の投資比率を変えて、リスク配分の異なる複数のポートフォリオを定め、その際決定されたリスク配分と、それぞれのポートフォリオについて、計算された期待されるリターンとを、関係づけて記憶し、
前記計算機は、前記記憶されているリスク配分とリターンとの関係を可視的に示す形で前記ユーザインタフェースに表示させ、
前記ユーザインタフェースを介して、表示されているリスク配分について選択する入力を受け付けると、選択されたリスク配分についてのポートフォリオ情報を前記ユーザインタフェースに表示させること、を特徴とする資産管理運用支援装置。
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