JP2004061638A - 光ファイバーケーブル用テンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバーケーブルに用いられた場合に良好な施工性を有する樹脂製のテンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブルを提供する。
【解決手段】引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなる(好ましくは延伸倍率13〜40倍の延伸オレフィン系樹脂シートの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる)光ファイバーケーブル用テンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブル。
【選択図】 図1
【解決手段】引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなる(好ましくは延伸倍率13〜40倍の延伸オレフィン系樹脂シートの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる)光ファイバーケーブル用テンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブル。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバーケーブル用テンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の情報通信手段としては、電話線や無線による通信が主流であるが、近年は光ファイバーケーブル(以下、単に「ケーブル」ともいう)を用いた情報通信などギガビット(Gbps)レベルの高速通信まで対応できる情報通信技術が次世代の有力な通信手段とされている。
【0003】
上記のような光ファイバーケーブルに用いられるテンションメンバーは、ケーブルに生じる張力や曲げなどの外力に対する変形を抑制し、ケーブルに耐久性を付与するなどケーブルの通信安定性に重要な役割を果たすものであり、高度な性能が要求されている。
【0004】
従来、上記テンションメンバーとしては種々の繊維が用いられ、例えば、金属製繊維、ガラス繊維などが多用されていた。
しかしながら、金属繊維の場合には電磁誘導の問題や、重量が大きくなる問題があり、また、ガラス繊維の場合には耐衝撃性や可撓性に乏しいなどの問題があった。
【0005】
近年、上記問題を解決するため、合成繊維などの樹脂繊維を用いたものが検討され、例えば、特開2001−147357号公報には、オレフィンと一酸化炭素との共重合ポリマーより構成されたポリケトン繊維を含む光ファイバー用テンションメンバーなどが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記金属繊維、ガラス繊維、樹脂繊維などの繊維をテンションメンバーとして用いたケーブルは、張力などの外力に対する強度は得られるものの、曲げなどの外力に対して柔軟になり過ぎて、いわゆる「腰」がない状態になり易く、施工性が悪くなると共に、曲がり過ぎて光ファイバーを傷め易いという問題があった。
特に、光ファイバーケーブルを敷設する際に、既設管路などの管路内にケーブルを送り込んだり引き込んだりして敷設する際に、ケーブルに「腰」がない場合は、ケーブルが詰まったり、光ファイバーを傷めたりし易いという施工性の問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来のテンションメンバーの問題点に鑑み、光ファイバーケーブルに用いられた場合に良好な施工性を有する樹脂製のテンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーは、引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなることを特徴とする。
請求項2記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーは、請求項1記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーであって、樹脂シートが、延伸倍率13〜40倍の延伸オレフィン系樹脂シートであることを特徴とする。
請求項3記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーは、請求項2記載の延伸オレフィン系樹脂シートの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなることを特徴とする。
請求項4記載の光ファイバーケーブルは、光ファイバーと、請求項1〜3の何れか1項記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーとからなるロッド状物と、ロッド状物を被覆する被覆層とからなり、上記テンションメンバーが、光ファイバーの変形を抑制するように配置されてなることを特徴とする。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光ファイバーケーブル用テンションメンバー(以下、単に「テンションメンバー」ともいう)は、引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなるものである。
引張弾性率が低すぎる場合は、ケーブルに生じる引張などの外力に対する強度が不充分となりやすく、また、樹脂シートとしての曲げ剛性が低下し過ぎて「腰」がなくなり易く施工し難くなるので、引張弾性率は10GPa以上とされる。また、引張弾性率の上限は特に認められないが、70GPaを越える場合は、シートの剛性が大きくなり過ぎて割れ等が発生し易くなる傾向があるので注意を要する。
【0010】
上記樹脂シートの引張降伏強さは、ケーブルに生じる張力や曲げなどの外力に対する変形を抑制し易い点で、300MPa以上であることが好ましい。
また、上記樹脂シートは、薄くなると機械的強度が低下し、厚くなると延伸方向に割れやすくなるため、その厚みは一般に0.03〜1.5mmであり、好ましくは0.05〜0.7mmである。
【0011】
上記樹脂シートに用いられる樹脂としては、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アラミド系樹脂などが挙げられる。中でもオレフィン系樹脂が用いられた樹脂シートが、廃棄時の環境負荷が小さいことや、有害物が発生し難いなどの点で好ましい。
【0012】
上記オレフィン系樹脂シートは、請求項2に記載のように延伸オレフィン系樹脂シートであると、樹脂シートが適度な形状保持性を生じ易くなり、施工性が向上する点でより好ましい。
上記延伸オレフィン系樹脂シートの延伸倍率は、低すぎると弾性率や形状保持性が不充分となり易く、高すぎると横裂けしやすくなるので13〜40倍であることが好ましく、より好ましくは20〜35倍である。
【0013】
上記延伸オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン―塩化ビニル共重合体、エチレン―プロピレン―ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂が好適に使用される。
【0014】
上記高密度ポリエチレン樹脂の密度は小さくなると延伸しても弾性率や形状保持性が向上しなくなるので、0.94g/cm3以上が好ましい。
又、高密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、小さくなり過ぎると延伸しても弾性率や形状保持性があまり向上せず、大きくなり過ぎるとフィルム成形や延伸がしにくくなるので、20万〜50万が好ましく、メルトインデックス(MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20が好ましく、より好ましくは0.2〜10である。
【0015】
本発明においては、上記高密度ポリエチレンを単独で用いてもよいが、他のポリオレフィンを高密度ポリエチレン100重量部に対し30重量部以下の割合で混入させてもよい。併用される他のポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルなどを挙げることができる。
【0016】
更に上記高密度ポリエチレンは架橋されたものが用いられてもよい。この場合得られるテンションメンバーのゲル分率は20%以上であることが好ましい。
【0017】
本発明におけるオレフィン系樹脂シートの延伸方法は従来公知の任意の方法が採用されてよいが、13〜40倍と高度に延伸するのであるから、オレフィン系樹脂シートを圧延した後、延伸又は延伸を複数回繰り返す多段延伸する方法が好ましい。
【0018】
上記圧延は、オレフィン系樹脂シートを一対の反対方向に回転するロールに供給し、押圧してシートの厚みを薄くすると共に伸長する方法であり、圧延されたシートは延伸シートとは異なり、オレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になっているので、高度に延伸しやすくなっている。
【0019】
圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。
【0020】
尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
【0021】
又、圧延倍率は小さいと後の延伸に負担がかかり、大きくするのは圧延が困難になるので4〜10倍が好ましい。尚、本発明において、圧延倍率及び延伸倍率は、圧延又は延伸前のシートの断面積を圧延又は延伸後のシートの断面積で徐した値である。
【0022】
上記延伸は、従来公知の任意の方法でよく、例えば、ロール延伸法、ゾーン延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
【0023】
延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
【0024】
又、延伸倍率は、全体の延伸倍率が13〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、全体の延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、2倍以上が好ましく、より好ましくは3倍以上である。尚、全体の延伸倍率は圧延倍率と延伸倍率を乗じた数値である。
【0025】
本発明のテンションメンバーは、請求項3に記載のように上記延伸オレフィン系樹脂シートからなる帯状物の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなるものであると、延伸オレフィン系樹脂シートの割れを防止し得る点で好ましい。
【0026】
上記熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、延伸オレフィン系樹脂シートと強固に接着されるものが好ましいので、前述のオレフィン系樹脂が好適に使用できる。
【0027】
上記熱可塑性樹脂が、延伸オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂の融点より低い融点を有し、且つ該オレフィン系樹脂に接着しうる樹脂であると、例えば熱融着などの接着手段により熱可塑性樹脂フィルムを積層する際に、延伸オレフィン系樹脂シートが実質的に熱収縮することなく接着しうる点で好ましい。より好ましくは、上記熱可塑性樹脂の融点が上記オレフィン系樹脂の融点より5〜50℃低い融点を有するものである。
【0028】
従って、例えば上記オレフィン系樹脂が高密度ポリエチレン樹脂の場合、上記熱可塑性樹脂は線状低密度ポリエチレン樹脂又は低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
【0029】
上記熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、特に限定されないが、厚過ぎると得られるテンションメンバーの変形に対する弾性率や形状保持性が低下しやすくなるので、一般に0.01〜0.3mmであり、好ましくは0.02〜0.1mmである。
【0030】
上記熱可塑性フィルムは、延伸オレフィン系樹脂シートの片面に積層されたものであってもよいし、両面に積層されたものであってもよい。また、上記熱可塑性フィルムと延伸オレフィン系樹脂シートが複数用いられ、例えば交互に積層された多層構成であってもよい。
【0031】
本発明の光ファイバーケーブルは、請求項4に記載のように、光ファイバーと、上記テンションメンバーとからなるロッド状物と、ロッド状物を被覆する被覆層とからなり、上記テンションメンバーが、光ファイバーの変形を抑制するように配置されてなるものであり、例えば、図1に例示するように、光ファイバー1がテンションメンバー2によって包み込まれるように被覆されテンションメンバー2の端部が重ね合わされて形成されたロッド状物の周囲に被覆層3を有するものである。
上記被覆層3は、例えば樹脂製の被覆層であり、用いられる樹脂としてはオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂など特に限定されない。上記被覆層3と、上記ロッド状物との間は空隙であってもよいし他の樹脂などが充填されたものであってもよい。また、図2に示すように被覆層3がロッド状物に接するように充填されて形成されたものであってもよい。
【0032】
本発明に係る光ファイバーケーブル4の他の例として、例えば図3に例示するようにシート状のテンションメンバー2が二つ折り状に折り曲げられて光ケーブル1を包み込んだものであってもよい。
【0033】
また、光ファイバー1を包み込むように被覆されたテンションメンバー2の端部は必ずしも固着しなくてもよいが、固着が必要な場合には、例えば、厚み部分を付き合わせて熱融着されてもよいし、重ね合わせて熱融着や接着剤により接着されてもよいし、図4に示すように端部を向き合わせて熱融着や接着剤により接着されてもよい。
【0034】
更に、本発明に係る光ファイバーケーブル4においては、例えば図5に示すように、複数の光ファイバー1,1・・がそれぞれテンションメンバー2によって包み込まれるように形成されたロッド状物の周囲に被覆層3を有する、いわゆる2芯以上の多芯ケーブルであってもよい。
【0035】
上記光ファイバーケーブル4の製造方法としては、特に限定されず、例えば光ファイバー1の周囲を包み込むようにテンションメンバー2を多段のガイドロールなどを用いて被覆し、得られたロッド状物を引き取りつつ、例えば押出機に取り付けられたクロスヘッドダイに導入して被覆層3を押出被覆する方法などが挙げられる。
【0036】
(作用)
本発明の光ファイバーケーブル用テンションメンバーは、引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなることを特徴とするので、それを用いた光ファイバーケーブルは、張力などの外力に対する強度が得られるとともに、曲げなどの外力に対して良好な「腰」を有するものとなり、優れた施工性を発揮し、また曲がり過ぎによる光ファイバーの伝送性能などの損傷を防止し易いものとなる。
【0037】
上記樹脂シートが、延伸倍率13〜40倍の延伸オレフィン系樹脂シートからなるものであると、高度に延伸されたオレフィン系樹脂が曲げなどの変形に対して形状を保持し易くなるので、上記効果は更に確実なものとなる。
上記形状保持性の発生機構については必ずしも明らかではないが、オレフィン系樹脂が高度に延伸されることによって、延伸方向に対する分子強度が高くなるとともに横方向(延伸方向と直角方向)の分子間の親和力が低くなり剪断によるずれが不可逆的になりやすいためと推定される。
【0038】
上記テンションメンバーが、延伸オレフィン系樹脂シートの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなるものであると、熱可塑性樹脂フィルムによる補強効果によってシートが割れ難くなり、上記効果は更に確実なものとなる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示すことにより、本発明を具体的に説明する。
尚、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
重量平均分子量(Mw)3.3×105、融点135℃の高密度ポリエチレン(日本ポリケム社製)を押出機に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、Tダイを用いてシート状に吐出し、吐出されたシート状の溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて幅340mm、厚さ4.0mmのシートに成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
【0040】
得られたポリエチレン樹脂シートを120℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率9.4倍に圧延し、幅340mm、厚み420μmの圧延シートを得た。
【0041】
得られた圧延シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて倍率が3.0倍の多段延伸を行い、総延伸倍率28.2倍、幅200mm、厚さ240μmの延伸樹脂シートを得た。
【0042】
上記延伸樹脂シートをテンションメンバーとして用い、図1に示すような構成の光ファイバーケーブル4を作製した。光ファイバー1としてはコア径50μm、クラッド径125μmのものを用い、被覆層3としてはポリエチレン系樹脂をクロスヘッドダイにより押出被覆(被覆層厚み200μm)した。
【0043】
(実施例2)
ポリエチレン樹脂シートの厚みを5.0mmとし、厚み530μmの圧延シートを得たこと以外は実施例1と同様にして、総延伸倍率28.2倍、幅200mm、厚さ300μmの延伸樹脂シートを得た。
得られた延伸樹脂シートをテンションメンバー2として用い、実施例1と同様の構成の光ファイバーケーブル4を作製した。
【0044】
(実施例3)
重量平均分子量(Mw)3.0×105、融点172℃のポリプロピレン(日本ポリケム社製)を押出機に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、Tダイを用いてシート状に吐出し、吐出されたシート状の溶融混練物をロール温度115℃に制御したカレンダー成形機にて幅200mm、厚さ3.0mmのシートに成形してポリプロピレン樹脂シートを得た。
【0045】
得られたポリプロピレン樹脂シートを150℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率6.2倍に圧延し、幅200mm、厚み480μmの圧延シートを得た。
【0046】
得られた圧延シートを150℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて倍率が3.5倍の多段延伸を行い、総延伸倍率21.7倍、幅130mm、厚さ240μmの延伸樹脂シートを得た。
【0047】
得られた延伸樹脂シートをテンションメンバー2として用い、実施例1と同様の構成の光ファイバーケーブル4を作製した。
【0048】
(比較例1)
図5に示すように、樹脂繊維(東レ・デュポン社製「KEVLAR29」、引張強度2920MPa、引張弾性率70.5GPa)を約1,000本束ねてテンションメンバー用繊維束5を作製し、この繊維束5を図1に示すテンションメンバー2の代わりに用いたこと以外は実施例1と同様にして、図5に示すような光ファイバーケーブル4を作製した。
【0049】
上記実施例及び比較例について以下の評価を行った。評価結果は表1に示した。
(引張降伏強さ及び引張弾性率)
実施例におけるテンションメンバーについて、JIS K7127に準じ、チャック間距離100mm、試験速度100mm/分にて引張試験を行い、引張降伏強さ及び引張弾性率を求めた。
【0050】
(形状保持性)
図7(a)に示すように光ファイバーケーブル4を型(曲げ角度90度、角部曲率半径30mm)に沿わせて折り曲げ、その後、力を解放し、図7(b)に示すように、力が解放された光ファイバーケーブル4の内角θを形状保持角として測定した。
(施工性)
実施例及び比較例により得られた光ファーバーケーブル4を用いて、管路内通線テスト(口径13mm塩化ビニル樹脂管、管路長5m、管路最大曲率半径30mm)を行い、通線性及びテスト後のケーブルにおける伝送性能について異常の有無を評価した。
【0051】
【表1】
表1より明らかなように、本発明における実施例においては、テンションメンバーの引張特性、形状保持性が良好で、それを用いた光ファイバーケーブルは優れた施工性を発揮すること判明した。
【0052】
【発明の効果】
本発明の光ファイバーケーブル用テンションメンバーによれば、張力などの外力に対して充分な強度を有しつつも、曲げなどの外力に対して良好な剛性を有し施工性に優れた光ファイバーケーブルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの構成例を示す模式断面図である。
【図2】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの他の構成例を示す模式断面図である。
【図3】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの他の構成例を示す模式断面図である。
【図4】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの他の構成例を示す模式断面図である。
【図5】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの他の構成例を示す模式断面図である。
【図6】テンションメンバー用繊維束を用いた従来の光ファイバーケーブルの構成例を示す模式断面図である。
【図7】形状保持角の評価方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 光ファイバー
2 テンションメンバー
3 被覆層
4 光ファイバーケーブル
5 テンションメンバー用繊維束
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバーケーブル用テンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の情報通信手段としては、電話線や無線による通信が主流であるが、近年は光ファイバーケーブル(以下、単に「ケーブル」ともいう)を用いた情報通信などギガビット(Gbps)レベルの高速通信まで対応できる情報通信技術が次世代の有力な通信手段とされている。
【0003】
上記のような光ファイバーケーブルに用いられるテンションメンバーは、ケーブルに生じる張力や曲げなどの外力に対する変形を抑制し、ケーブルに耐久性を付与するなどケーブルの通信安定性に重要な役割を果たすものであり、高度な性能が要求されている。
【0004】
従来、上記テンションメンバーとしては種々の繊維が用いられ、例えば、金属製繊維、ガラス繊維などが多用されていた。
しかしながら、金属繊維の場合には電磁誘導の問題や、重量が大きくなる問題があり、また、ガラス繊維の場合には耐衝撃性や可撓性に乏しいなどの問題があった。
【0005】
近年、上記問題を解決するため、合成繊維などの樹脂繊維を用いたものが検討され、例えば、特開2001−147357号公報には、オレフィンと一酸化炭素との共重合ポリマーより構成されたポリケトン繊維を含む光ファイバー用テンションメンバーなどが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記金属繊維、ガラス繊維、樹脂繊維などの繊維をテンションメンバーとして用いたケーブルは、張力などの外力に対する強度は得られるものの、曲げなどの外力に対して柔軟になり過ぎて、いわゆる「腰」がない状態になり易く、施工性が悪くなると共に、曲がり過ぎて光ファイバーを傷め易いという問題があった。
特に、光ファイバーケーブルを敷設する際に、既設管路などの管路内にケーブルを送り込んだり引き込んだりして敷設する際に、ケーブルに「腰」がない場合は、ケーブルが詰まったり、光ファイバーを傷めたりし易いという施工性の問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来のテンションメンバーの問題点に鑑み、光ファイバーケーブルに用いられた場合に良好な施工性を有する樹脂製のテンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーは、引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなることを特徴とする。
請求項2記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーは、請求項1記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーであって、樹脂シートが、延伸倍率13〜40倍の延伸オレフィン系樹脂シートであることを特徴とする。
請求項3記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーは、請求項2記載の延伸オレフィン系樹脂シートの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなることを特徴とする。
請求項4記載の光ファイバーケーブルは、光ファイバーと、請求項1〜3の何れか1項記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーとからなるロッド状物と、ロッド状物を被覆する被覆層とからなり、上記テンションメンバーが、光ファイバーの変形を抑制するように配置されてなることを特徴とする。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光ファイバーケーブル用テンションメンバー(以下、単に「テンションメンバー」ともいう)は、引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなるものである。
引張弾性率が低すぎる場合は、ケーブルに生じる引張などの外力に対する強度が不充分となりやすく、また、樹脂シートとしての曲げ剛性が低下し過ぎて「腰」がなくなり易く施工し難くなるので、引張弾性率は10GPa以上とされる。また、引張弾性率の上限は特に認められないが、70GPaを越える場合は、シートの剛性が大きくなり過ぎて割れ等が発生し易くなる傾向があるので注意を要する。
【0010】
上記樹脂シートの引張降伏強さは、ケーブルに生じる張力や曲げなどの外力に対する変形を抑制し易い点で、300MPa以上であることが好ましい。
また、上記樹脂シートは、薄くなると機械的強度が低下し、厚くなると延伸方向に割れやすくなるため、その厚みは一般に0.03〜1.5mmであり、好ましくは0.05〜0.7mmである。
【0011】
上記樹脂シートに用いられる樹脂としては、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アラミド系樹脂などが挙げられる。中でもオレフィン系樹脂が用いられた樹脂シートが、廃棄時の環境負荷が小さいことや、有害物が発生し難いなどの点で好ましい。
【0012】
上記オレフィン系樹脂シートは、請求項2に記載のように延伸オレフィン系樹脂シートであると、樹脂シートが適度な形状保持性を生じ易くなり、施工性が向上する点でより好ましい。
上記延伸オレフィン系樹脂シートの延伸倍率は、低すぎると弾性率や形状保持性が不充分となり易く、高すぎると横裂けしやすくなるので13〜40倍であることが好ましく、より好ましくは20〜35倍である。
【0013】
上記延伸オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン―塩化ビニル共重合体、エチレン―プロピレン―ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂が好適に使用される。
【0014】
上記高密度ポリエチレン樹脂の密度は小さくなると延伸しても弾性率や形状保持性が向上しなくなるので、0.94g/cm3以上が好ましい。
又、高密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、小さくなり過ぎると延伸しても弾性率や形状保持性があまり向上せず、大きくなり過ぎるとフィルム成形や延伸がしにくくなるので、20万〜50万が好ましく、メルトインデックス(MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20が好ましく、より好ましくは0.2〜10である。
【0015】
本発明においては、上記高密度ポリエチレンを単独で用いてもよいが、他のポリオレフィンを高密度ポリエチレン100重量部に対し30重量部以下の割合で混入させてもよい。併用される他のポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルなどを挙げることができる。
【0016】
更に上記高密度ポリエチレンは架橋されたものが用いられてもよい。この場合得られるテンションメンバーのゲル分率は20%以上であることが好ましい。
【0017】
本発明におけるオレフィン系樹脂シートの延伸方法は従来公知の任意の方法が採用されてよいが、13〜40倍と高度に延伸するのであるから、オレフィン系樹脂シートを圧延した後、延伸又は延伸を複数回繰り返す多段延伸する方法が好ましい。
【0018】
上記圧延は、オレフィン系樹脂シートを一対の反対方向に回転するロールに供給し、押圧してシートの厚みを薄くすると共に伸長する方法であり、圧延されたシートは延伸シートとは異なり、オレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になっているので、高度に延伸しやすくなっている。
【0019】
圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。
【0020】
尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
【0021】
又、圧延倍率は小さいと後の延伸に負担がかかり、大きくするのは圧延が困難になるので4〜10倍が好ましい。尚、本発明において、圧延倍率及び延伸倍率は、圧延又は延伸前のシートの断面積を圧延又は延伸後のシートの断面積で徐した値である。
【0022】
上記延伸は、従来公知の任意の方法でよく、例えば、ロール延伸法、ゾーン延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
【0023】
延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
【0024】
又、延伸倍率は、全体の延伸倍率が13〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、全体の延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、2倍以上が好ましく、より好ましくは3倍以上である。尚、全体の延伸倍率は圧延倍率と延伸倍率を乗じた数値である。
【0025】
本発明のテンションメンバーは、請求項3に記載のように上記延伸オレフィン系樹脂シートからなる帯状物の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなるものであると、延伸オレフィン系樹脂シートの割れを防止し得る点で好ましい。
【0026】
上記熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、延伸オレフィン系樹脂シートと強固に接着されるものが好ましいので、前述のオレフィン系樹脂が好適に使用できる。
【0027】
上記熱可塑性樹脂が、延伸オレフィン系樹脂シートを構成するオレフィン系樹脂の融点より低い融点を有し、且つ該オレフィン系樹脂に接着しうる樹脂であると、例えば熱融着などの接着手段により熱可塑性樹脂フィルムを積層する際に、延伸オレフィン系樹脂シートが実質的に熱収縮することなく接着しうる点で好ましい。より好ましくは、上記熱可塑性樹脂の融点が上記オレフィン系樹脂の融点より5〜50℃低い融点を有するものである。
【0028】
従って、例えば上記オレフィン系樹脂が高密度ポリエチレン樹脂の場合、上記熱可塑性樹脂は線状低密度ポリエチレン樹脂又は低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
【0029】
上記熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、特に限定されないが、厚過ぎると得られるテンションメンバーの変形に対する弾性率や形状保持性が低下しやすくなるので、一般に0.01〜0.3mmであり、好ましくは0.02〜0.1mmである。
【0030】
上記熱可塑性フィルムは、延伸オレフィン系樹脂シートの片面に積層されたものであってもよいし、両面に積層されたものであってもよい。また、上記熱可塑性フィルムと延伸オレフィン系樹脂シートが複数用いられ、例えば交互に積層された多層構成であってもよい。
【0031】
本発明の光ファイバーケーブルは、請求項4に記載のように、光ファイバーと、上記テンションメンバーとからなるロッド状物と、ロッド状物を被覆する被覆層とからなり、上記テンションメンバーが、光ファイバーの変形を抑制するように配置されてなるものであり、例えば、図1に例示するように、光ファイバー1がテンションメンバー2によって包み込まれるように被覆されテンションメンバー2の端部が重ね合わされて形成されたロッド状物の周囲に被覆層3を有するものである。
上記被覆層3は、例えば樹脂製の被覆層であり、用いられる樹脂としてはオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂など特に限定されない。上記被覆層3と、上記ロッド状物との間は空隙であってもよいし他の樹脂などが充填されたものであってもよい。また、図2に示すように被覆層3がロッド状物に接するように充填されて形成されたものであってもよい。
【0032】
本発明に係る光ファイバーケーブル4の他の例として、例えば図3に例示するようにシート状のテンションメンバー2が二つ折り状に折り曲げられて光ケーブル1を包み込んだものであってもよい。
【0033】
また、光ファイバー1を包み込むように被覆されたテンションメンバー2の端部は必ずしも固着しなくてもよいが、固着が必要な場合には、例えば、厚み部分を付き合わせて熱融着されてもよいし、重ね合わせて熱融着や接着剤により接着されてもよいし、図4に示すように端部を向き合わせて熱融着や接着剤により接着されてもよい。
【0034】
更に、本発明に係る光ファイバーケーブル4においては、例えば図5に示すように、複数の光ファイバー1,1・・がそれぞれテンションメンバー2によって包み込まれるように形成されたロッド状物の周囲に被覆層3を有する、いわゆる2芯以上の多芯ケーブルであってもよい。
【0035】
上記光ファイバーケーブル4の製造方法としては、特に限定されず、例えば光ファイバー1の周囲を包み込むようにテンションメンバー2を多段のガイドロールなどを用いて被覆し、得られたロッド状物を引き取りつつ、例えば押出機に取り付けられたクロスヘッドダイに導入して被覆層3を押出被覆する方法などが挙げられる。
【0036】
(作用)
本発明の光ファイバーケーブル用テンションメンバーは、引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなることを特徴とするので、それを用いた光ファイバーケーブルは、張力などの外力に対する強度が得られるとともに、曲げなどの外力に対して良好な「腰」を有するものとなり、優れた施工性を発揮し、また曲がり過ぎによる光ファイバーの伝送性能などの損傷を防止し易いものとなる。
【0037】
上記樹脂シートが、延伸倍率13〜40倍の延伸オレフィン系樹脂シートからなるものであると、高度に延伸されたオレフィン系樹脂が曲げなどの変形に対して形状を保持し易くなるので、上記効果は更に確実なものとなる。
上記形状保持性の発生機構については必ずしも明らかではないが、オレフィン系樹脂が高度に延伸されることによって、延伸方向に対する分子強度が高くなるとともに横方向(延伸方向と直角方向)の分子間の親和力が低くなり剪断によるずれが不可逆的になりやすいためと推定される。
【0038】
上記テンションメンバーが、延伸オレフィン系樹脂シートの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなるものであると、熱可塑性樹脂フィルムによる補強効果によってシートが割れ難くなり、上記効果は更に確実なものとなる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示すことにより、本発明を具体的に説明する。
尚、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
重量平均分子量(Mw)3.3×105、融点135℃の高密度ポリエチレン(日本ポリケム社製)を押出機に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、Tダイを用いてシート状に吐出し、吐出されたシート状の溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて幅340mm、厚さ4.0mmのシートに成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
【0040】
得られたポリエチレン樹脂シートを120℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率9.4倍に圧延し、幅340mm、厚み420μmの圧延シートを得た。
【0041】
得られた圧延シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて倍率が3.0倍の多段延伸を行い、総延伸倍率28.2倍、幅200mm、厚さ240μmの延伸樹脂シートを得た。
【0042】
上記延伸樹脂シートをテンションメンバーとして用い、図1に示すような構成の光ファイバーケーブル4を作製した。光ファイバー1としてはコア径50μm、クラッド径125μmのものを用い、被覆層3としてはポリエチレン系樹脂をクロスヘッドダイにより押出被覆(被覆層厚み200μm)した。
【0043】
(実施例2)
ポリエチレン樹脂シートの厚みを5.0mmとし、厚み530μmの圧延シートを得たこと以外は実施例1と同様にして、総延伸倍率28.2倍、幅200mm、厚さ300μmの延伸樹脂シートを得た。
得られた延伸樹脂シートをテンションメンバー2として用い、実施例1と同様の構成の光ファイバーケーブル4を作製した。
【0044】
(実施例3)
重量平均分子量(Mw)3.0×105、融点172℃のポリプロピレン(日本ポリケム社製)を押出機に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、Tダイを用いてシート状に吐出し、吐出されたシート状の溶融混練物をロール温度115℃に制御したカレンダー成形機にて幅200mm、厚さ3.0mmのシートに成形してポリプロピレン樹脂シートを得た。
【0045】
得られたポリプロピレン樹脂シートを150℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率6.2倍に圧延し、幅200mm、厚み480μmの圧延シートを得た。
【0046】
得られた圧延シートを150℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて倍率が3.5倍の多段延伸を行い、総延伸倍率21.7倍、幅130mm、厚さ240μmの延伸樹脂シートを得た。
【0047】
得られた延伸樹脂シートをテンションメンバー2として用い、実施例1と同様の構成の光ファイバーケーブル4を作製した。
【0048】
(比較例1)
図5に示すように、樹脂繊維(東レ・デュポン社製「KEVLAR29」、引張強度2920MPa、引張弾性率70.5GPa)を約1,000本束ねてテンションメンバー用繊維束5を作製し、この繊維束5を図1に示すテンションメンバー2の代わりに用いたこと以外は実施例1と同様にして、図5に示すような光ファイバーケーブル4を作製した。
【0049】
上記実施例及び比較例について以下の評価を行った。評価結果は表1に示した。
(引張降伏強さ及び引張弾性率)
実施例におけるテンションメンバーについて、JIS K7127に準じ、チャック間距離100mm、試験速度100mm/分にて引張試験を行い、引張降伏強さ及び引張弾性率を求めた。
【0050】
(形状保持性)
図7(a)に示すように光ファイバーケーブル4を型(曲げ角度90度、角部曲率半径30mm)に沿わせて折り曲げ、その後、力を解放し、図7(b)に示すように、力が解放された光ファイバーケーブル4の内角θを形状保持角として測定した。
(施工性)
実施例及び比較例により得られた光ファーバーケーブル4を用いて、管路内通線テスト(口径13mm塩化ビニル樹脂管、管路長5m、管路最大曲率半径30mm)を行い、通線性及びテスト後のケーブルにおける伝送性能について異常の有無を評価した。
【0051】
【表1】
表1より明らかなように、本発明における実施例においては、テンションメンバーの引張特性、形状保持性が良好で、それを用いた光ファイバーケーブルは優れた施工性を発揮すること判明した。
【0052】
【発明の効果】
本発明の光ファイバーケーブル用テンションメンバーによれば、張力などの外力に対して充分な強度を有しつつも、曲げなどの外力に対して良好な剛性を有し施工性に優れた光ファイバーケーブルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの構成例を示す模式断面図である。
【図2】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの他の構成例を示す模式断面図である。
【図3】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの他の構成例を示す模式断面図である。
【図4】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの他の構成例を示す模式断面図である。
【図5】本発明のテンションメンバーを用いた光ファイバーケーブルの他の構成例を示す模式断面図である。
【図6】テンションメンバー用繊維束を用いた従来の光ファイバーケーブルの構成例を示す模式断面図である。
【図7】形状保持角の評価方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 光ファイバー
2 テンションメンバー
3 被覆層
4 光ファイバーケーブル
5 テンションメンバー用繊維束
Claims (4)
- 引張弾性率が10GPa以上の樹脂シートからなることを特徴とする光ファイバーケーブル用テンションメンバー。
- 樹脂シートが、延伸倍率13〜40倍の延伸オレフィン系樹脂シートであることを特徴とする請求項1記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバー。
- 請求項2記載の延伸オレフィン系樹脂シートの少なくとも片面に、熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなることを特徴とする光ファイバーケーブル用テンションメンバー。
- 光ファイバーと、請求項1〜3の何れか1項記載の光ファイバーケーブル用テンションメンバーとからなるロッド状物と、ロッド状物を被覆する被覆層とからなり、上記テンションメンバーが、光ファイバーの変形を抑制するように配置されてなることを特徴とする光ファイバーケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002216830A JP2004061638A (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 光ファイバーケーブル用テンションメンバー及びそれを用いた光ファイバーケーブル |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007153361A (ja) * | 2005-12-02 | 2007-06-21 | Mitsui Chemicals Inc | 容器用蓋材および容器 |
JP2012234122A (ja) * | 2011-05-09 | 2012-11-29 | Fujikura Ltd | 光ユニット |
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2002
- 2002-07-25 JP JP2002216830A patent/JP2004061638A/ja active Pending
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