JP2004060911A - ヒートパイプ - Google Patents

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Kazutoshi Hirai
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    • F28D15/00Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies
    • F28D15/02Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes
    • F28D15/0233Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes the conduits having a particular shape, e.g. non-circular cross-section, annular

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Abstract

【課題】ヒートパイプ内部の作動液の移動を、毛細管圧力の作用によらずに実現することによって、ヒートパイプの冷却機能を向上させ、更に、飛散によって生ずるヒートパイプの冷却機能の低下を防止する。
【解決手段】発熱部品から吸熱を行う吸熱部と、放熱により内部空間を冷却する放熱部と、コンテナとを備え、そのコンテナ内部空間に作動液と、作動液の蒸発によって発生した蒸気とを封入してなるヒートパイプにおいて、コンテナの内面に複数の凸部を設けることによって、凸部と凸部との間に溝を形成し、更に、前記溝に作動液を入れると共に、前記蒸気の通路に面する側の溝の幅が、溝の高さに比して大きくなるように溝の形状を設定する。更に、コンテナの内部空間に、凸部の頂部と近接或いは当接するように、板状の液体浸透率の無い材料からなる仕切板を備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータ機器に搭載される半導体素子等の冷却に好適な、ヒートパイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンに代表されるコンピュータ機器は小型化と高性能化がますます要求されるようになり、その動向に伴い、前記コンピュータ機器内部に搭載される半導体素子や集積回路の小型化と高性能化にもますます拍車が掛かっている。
【0003】
だが、高性能化に伴い、半導体素子や集積回路から発生する熱量も増大しており、その熱量の効率的な冷却方法をいかにして実現するかが、コンピュータ機器の更なる小型化と高性能化を押し進める上での課題となっている。
【0004】
その冷却方法の一つとして、筒型ヒートパイプを使用した方法が挙げられる。代表的な筒型ヒートパイプの外形を図13に示し、更に、図13の筒型ヒートパイプをD−D一点鎖線で切断し、発熱部品5と放熱部品6を接触させた側断面図を図14に示す。
【0005】
図13及び図14に示すように、従来の筒型ヒートパイプ100は、円筒状のパイプ110の開口部を円盤状の端板113で覆うことによって形成されたコンテナを備えると共に、そのコンテナ内部の密閉された空間に、毛細管圧力の作用によって作動液が染み込んだウィック120を、前記パイプ110の内側円筒側面に取り付けることで形成されている。一般的に、前記コンテナの材料には銅やアルミといった熱伝導率の高いものが用いられ、一方のウィックには金属製のメッシュや不織布、多孔質体といった液体浸透率の高い材料が使用されている。
【0006】
このような筒型ヒートパイプ100をコンピュータ機器に使用したときの作動状態を図14に示す。前記パイプ110の一方の端部に、外部の冷却したい部品5(前記半導体素子や集積回路等の発熱部品)を接触させる。この発熱部品5が発熱するとその熱量がコンテナに熱伝導で伝わり、発熱部品5付近のウィック111を加熱して、そのウィック111に染み込んだ作動液を蒸発させる。発生した蒸気は蒸発の際に、コンテナから気化熱を奪う(吸熱する)ので、前記発熱部品5から発生する熱量も奪われる(吸熱される)ことになる。以上の現象を踏まえて、発熱部品5と前記パイプ100との接触箇所を吸熱部と云うことにする。
【0007】
発生した蒸気は前記コンテナ内部を他方のパイプ110端部まで移動する。そのパイプ110端部には、放熱を行うことにより前記コンテナの内部空間を冷却する放熱部品6(ヒートシンクやフィン、ファンモータなど)が接触されており(以下、放熱が行われるコンテナの箇所を放熱部と云う)、放熱部品6によって前記蒸気が冷却されて凝縮し、再び液相状態に戻る。液相状態に戻った作動液は、前記放熱部に相当する位置のウィック112に染み込む。染み込んだ作動液は、毛細管圧力によりウィック120内部を移動し、前記吸熱部のウィック111まで移動する。
【0008】
以上の様な、作動液及び蒸気の相変態や移動を繰り返す(以下、相変態や移動をまとめて還流と云う)ことにより、前記発熱部品5から発生する熱量を、絶え間無くヒートパイプ100を経由して放熱部品6で放熱する事が可能となり、前記発熱部品5の過度な温度上昇を防止することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明してきたように、従来のヒートパイプ100の構成では、液相状態の作動液は放熱部から吸熱部に向かってウィック120内部を移動し、蒸気は吸熱部から放熱部へと逆方向に移動する(以下、気液対向二相流という)。更に、前記の通りウィック120は高い液体浸透率を有する材料で形成されるため、前記吸熱部以外のウィック表面にも作動液が存在している。この様な場合、液体である作動液と気体である蒸気との相対速度がある値を超えると、液体が気体と結び付いてウィック表面から引きちぎられ、液滴となって蒸気流中を浮遊し、吸熱部まで戻って蒸発するのでは無く、途中から放熱部のウィック112へと戻される現象が起こる。このような現象は一般に飛散と云われている。
【0010】
このような飛散が繰り返し生ずると吸熱部のウィック111へと還流する作動液の流量が減少して、次第に吸熱部のウィック111の作動液の液量が不足するようになる。そして最終的に、吸熱部のウィック111が乾き、発熱部品5の冷却が行われなくなる。これにより、発熱部品5の温度が過度に上昇し、半導体素子や集積回路等と云った発熱部品5の性能低下や故障などを招くことになる。
【0011】
このような気液対向二相流による飛散を緩和するために、パイプの内周面に多数の溝を設け、その溝を液体の流路にすると共に、パイプ内部の空洞部を蒸気通路とすることにより、パイプ内部で気体と液体の通路を分けたものが実用化されている。このような構成のヒートパイプの断面図を図15に示す。
【0012】
図15のヒートパイプ114は蒸気の通路116および液体の流路117の間をスリット115で連結することにより、作動液の蒸発と凝縮の連結を確保しつつ、蒸気と液体の通路を細いスリット115で分ける事によって飛散の緩和を図っている。
【0013】
流路117は、その断面形状が溝状で、しかも溝幅が溝の高さに比べて狭い細長の形状であるため、作動液の流路形成は毛細管圧力の作用を利用することになる。しかし、毛細管圧力の作用を利用して流路を形成するという考えでは、狭い溝の中に作動液を流すという構造になるため、1つ1つの流路内における作動液の流れ抵抗が大きくなる。そのため作動液の移動流量におのずと限界が生じていた。
【0014】
よって、限界移動流量で放熱可能な熱量以上に、発熱部品から熱量が発生すると、ヒートパイプの冷却能力が発熱部品の発生熱量に追いつかなくなるため、やはり発熱部品の温度上昇を招いて、半導体素子や集積回路の性能低下や故障などを招くことになる。
【0015】
本発明は、上記各課題を解決するために為されたものであり、第1の目的は、作動液の移動を毛細管圧力の作用によらずに実現することによって、ヒートパイプの冷却機能を向上させることである。
【0016】
更に、第2の目的は、前記飛散によって生ずるヒートパイプの冷却機能の低下を防止して、長期間に渡って確実な冷却機能を保ち続けるヒートパイプを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の発明は、外部の発熱部品から吸熱を行う吸熱部と、放熱により内部空間を冷却する放熱部と、前記内部空間が中空となるように密閉されたコンテナとを備えると共に、前記コンテナ内部空間に蒸発と凝縮とを繰り返す作動液と、前記作動液の蒸発によって発生した蒸気とが封入されてなるヒートパイプにおいて、前記吸熱部又は前記放熱部を形成する前記コンテナの内面に複数の凸部がそれぞれ設けられることによって、前記凸部と凸部との間に溝が形成され、更に、前記溝に前記作動液が入れられると共に、前記蒸気の通路に面する側の前記溝の幅が、前記溝の高さに比して大きくなるように前記溝の形状が設定されることを特徴とするヒートパイプを提供するものである。
【0018】
更に、請求項2記載の発明は、複数の平面から構成され、前記平面が外部の発熱部品から吸熱を行う吸熱部と放熱により内部空間を冷却する放熱部とを備えると共に、少なくとも1つの開口部を有する箱型部材と、前記開口部を覆う端板と、が接合されることによって、前記内部空間が中空となるように密閉されたコンテナを備えると共に、前記コンテナの内部空間に蒸発と凝縮とを繰り返す作動液と、前記作動液の蒸発によって発生した蒸気とが封入されてなるヒートパイプにおいて、前記吸熱部又は前記放熱部を形成する前記各平面の内面に、複数の凸部がそれぞれ設けられることによって、前記凸部と凸部との間に溝が形成され、更に、前記溝に前記作動液が入れられて流路が設けられると共に、前記蒸気の通路に面する側の前記溝の幅が、前記溝の高さに比して大きくなるように前記溝の形状が設定され、更に、前記吸熱部及び前記放熱部を形成する前記各平面の内面にそれぞれ設けられた流路を一続きにするための溝部が、前記端板に形成されることを特徴とするヒートパイプを提供するものである。
【0019】
更に、請求項3記載の発明は、前記コンテナの内部空間に、前記凸部の頂部と近接或いは当接するように、ウィックが備えられることを特徴とするヒートパイプを提供するものである。
【0020】
更に、請求項4記載の発明は、前記コンテナの内部空間に、前記凸部の頂部と近接或いは当接するように、板状の液体浸透率の無い材料からなる仕切板が備えられると共に、前記仕切板には、コンテナ内部空間に収納された状態で前記コンテナの厚み方向から見て前記吸熱部、及び前記放熱部に相当する位置に、開口部が設けられることを特徴とするヒートパイプ
を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係るヒートパイプのコンテナを形成する箱形部材と端板を示す斜視図であり、図2は図1の箱形部材をA−A一点鎖線で切断したときの断面図であり、図3は図2の凸部間に作動液を入れた状態を示す断面図であり、図4は前記コンテナに収納される仕切板を示す斜視図であり、図5は前記仕切板を前記箱形部材に収納した状態を示す断面図であり、図6は前記コンテナに前記仕切板を収納して形成されたヒートパイプを示す斜視図であり、図7は図6のヒートパイプをB−B一点鎖線で切断したときの側断面図に、発熱部品と放熱部品を接触させた側断面図である。
【0022】
図1及び図2に示す箱形部材1は銅、又はアルミ、若しくはそれらの合金製で、複数の平面1a、1b、1c、1d(以下、1a〜1dと記載)で構成されると共に、2つの開口部11、12を有するように押出し加工によって成形される。平面1a、1bの内面は平面状に形成されると共に、各平面1a、1bにそれぞれ凸部13が箱形部材1の内側に向かって突き出すように複数設けられる。その凸部13と凸部13との間には溝14が形成され、その溝14に作動液7が入れられる。図5に、溝14を作動液7で満たした状態を示す。更に、前記開口部11、12に端板32、33が接合されることで図6に示す通り、内部空間が中空となるように密閉されたコンテナ4が形成される。
【0023】
更に、図4に示す仕切板2も銅、又はアルミ、若しくはそれらの合金製であり、平面部2aには図示の通り2箇所に四角形状の開口部21、22が設けられると共に、平面部2aと面対向する平面部2bには、前記コンテナの厚み方向(矢印a方向)から見たとき、前記開口部22と同一位置に来るように開口部23が設けられる。又、平面部2a及び2bと直交し、なおかつ面対向する1組の平面は開口部24、25となるように成形される。仕切板2は板状の銅、アルミ、又はそれらの合金から形成されるため、液体浸透率(以下、単に浸透率と記す)は無い。
【0024】
この仕切板2がコンテナ4内部に収納され、更にコンテナ4の内部を真空脱気することにより、ヒートパイプ8が形成される(図6参照)。図6のヒートパイプ8をC−C一点鎖線で切断した断面図を図5に示す。図5に示すように、仕切板2はその平面部2a及び2bが、凸部13の頂部131と当接するようにコンテナ4内部に収納され備えられる。
【0025】
このヒートパイプ8をコンピュータ機器に搭載する際は、図7に示すように、前記コンテナ4の平面1a上に外部の半導体素子や集積回路等と云った発熱部品5を接触させ、一方の平面1bにはフィン、ファンモータ、又はヒートシンク等と言った放熱部品6を接触させる(以下、放熱部品6と接触する平面部1bの箇所を放熱部と記す)。
【0026】
なお、前記開口部21、及び22と23を設ける位置は、図7にも示す通り、コンテナ4内部空間に仕切板2が収納された状態において、前記厚み方向aから見て、吸熱部に相当する位置に開口部21が、放熱部に相当する位置に開口部22と23が来るように設定する。
【0027】
次に、溝14に形成され、前記吸熱部と放熱部との間で移動される作動液の流路7について、図3及び図8、図9を参照しながら説明を行う。図8と図9は前記流路7形成のメカニズムを説明するための斜視図であり、説明のため凸部13は1つだけ図示するものとする。
【0028】
図8に示すように、平面1aの内面11aと、凸部13の側面132とで形成される隅部に、作動液7を数滴垂らす。すると、各水滴7は側面132に対する付着力によって、側面132に付着し、前記箱形部材1の長手方向bの前後へと、前記側面132に沿って伸びて行く。各水滴7の伸びた先端同士が触れると図9に示すように、各水滴同士が付着して、1つの作動液流路7が側面132に付着して形成される。この流路7を放熱部品6から発熱部品5まで形成することにより、図7に示すように、発熱部品5と放熱部品6との間を移動する作動液の流路7が形成される。前記各溝14に作動液7を入れると、前記の通り、作動液7は凸部13の側面132に付着力によって付着するため、溝14の間に形成される流路7は図3に示すように略U字型の曲面を形成する。但し、溝14を作動液7で満たした場合は、図5のようになる。
【0029】
次に、上記ヒートパイプ8の冷却動作について図7を参照しながら説明を行う。図7に示すように、ヒートパイプ8の平面1aは発熱部品5と接触しているため、発熱部品5から熱量が発生すると、その熱量が箱形部材1に熱伝導で伝わり(熱伝導の状態を矢印51で示す)、発熱部品5付近の作動液71を加熱して蒸発させる(蒸発の状態を矢印7aで示す)。発生した蒸気は蒸発の際に、気化熱を箱形部材1から奪う(吸熱する)ので、前記発熱部品5から発生する熱量も奪われる(吸熱される)。従って、発熱部品5と平面1aとの接触箇所を吸熱部と呼ぶことにする。平面1aは吸熱部を形成する。
【0030】
次に、発生した蒸気がコンテナ4の他方の端部まで移動すると(蒸気の移動の状態を矢印7bで示す)、コンテナ4の端部には、放熱を行うことによりコンテナ4の内部空間を冷却する放熱部品6(ヒートシンクやフィン、ファンモータなど)と接触されているので(以下、放熱が行われるコンテナの箇所を放熱部と云う)、放熱部品6によって前記蒸気が冷却されて凝縮し、再び液相状態に戻る。凝縮された作動液は、開口部22又は23から、流路7に移動する(この凝縮による移動を矢印7cで示す)。従って、平面1bは放熱部を形成する。
【0031】
この時点で吸熱部では先程蒸発した分、作動液71の液量が減少している。水分子は、1個の酸素原子と2個の水素原子の個々の電荷の中心がずれている極性分子であり、隣接する水分子間には配向効果が働き、水素原子の+と酸素原子の−との間で分子間力が働く。本発明のヒートパイプの流路形成はこの分子間力の原理も利用しており、作動液71中の水分子が、近傍の流路7中の水分子を分子間力により引いてくることにより、作動液71の減少分が補われる。近傍の流路7中の水分子は、作動液71中の水分子に引っ張られた分減少するため、その減少分を補おうと更にその近傍の流路7中の水分子を引いてくる。このような動作が放熱部まで繰り返されることにより、凝縮されて液相状態に戻った作動液が、作動液71まで移動する(この状態を矢印7dで示す)ことが可能となる。平面1b側(放熱部側)の溝間に形成された流路7は、端板33に形成された溝部33aを通って、平面1a側(吸熱部側)の溝間に形成された流路7と一続きになって合流する。
【0032】
以上の様に還流動作が行われることにより、前記発熱部品5から発生する熱量を、絶え間無くヒートパイプ8を経由して放熱部品6で放熱する事が可能となるので、半導体や集積回路等と云った発熱部品5の過度な温度上昇を防止することができる。
【0033】
本発明のヒートパイプは、作動液の流路形成を、前記付着力と、前記分子間力による水分子同士の引き合う力を利用して行っているため、従来のヒートパイプのような毛細管圧力の作用は利用していない。従って、流路を形成する溝14の断面形状を図2に示すように、前記蒸気の通路に面した側の溝14の幅w(隣り合う凸部13の頂部間の幅とも云える)を、溝14の高さtに比して大きく設定することが可能となる。このように溝14の断面形状を設定することにより、箱形部材1の製造が容易になると共に、狭い溝の中に作動液を流すという構造をとらなくても良くなるため、1流路当たりの作動液の流れ抵抗を減少させることが可能となり、流れ抵抗が減少する分、より多くの水量を1流路当たりに流すことができる。従って、作動液の限界移動流量を増加させる事が可能となるため、従来に比べ、ヒートパイプの冷却能力を引き上げることが可能となる。
【0034】
更に、上記効果に加え、流路形成に付着力も利用しているため、本発明に係る箱形ヒートパイプをノートパソコンのような持ち運び可能なコンピュータ機器の内部に使用して、箱形ヒートパイプが持ち運び中に揺らされたとしても、溝14間の流路7は付着力によって凸部側面132に付着しているので、作動液7が開口部21、22、23から仕切板2の内部に散乱することも無い。
【0035】
なお、本発明の箱形部材は流路形成のために、液体が箱形部材の凸部に付着すると共に、なおかつ流路形成のために液体が拡がって行くような材料を選定する必要がある。従って、親水性の特性を示す材料が好ましい。
【0036】
更に、本実施形態では、作動液と蒸気の通路を浸透率が無い仕切板2で区切ったので、高液体浸透率のウィックを備えた従来のヒートパイプに比べ、蒸気の移動に伴う作動液の飛散現象を抑制する事が可能となる。従って、作動液の還流量を一定に保って、吸熱部における作動液の環流不足を防ぎ、安定した冷却機能を有するヒートパイプを提供することが可能となる。
【0037】
無論、仕切板2に換えて、液体浸透率の高い材料からなる一般的なウィックを使用しても良い。
【0038】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るヒートパイプを図10及び図11を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態の説明は、前記第1の実施形態と異なる点のみとし、第1の実施形態と同一な箇所は同一番号を付して、重複する説明は省略する。
【0039】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点はコンテナの構造である。押出し加工によって形成された箱形部材1に換わって、本実施形態では図10に示すように、プレス加工によって形成した板材15、16を接合することで箱形部材1’を形成する。前記箱形部材1はその成形手段が押出し加工なので、加工の都合上、端部に2つの開口部11、12を有する形状にならざるを得ず、そのため端板33が余分に必要であった。しかしプレス加工を用いれば、板材15、16にもう1つの平面1eを一体成型できるため(図10では板材16側の1eのみ図示している)、箱形部材1’において形成される開口部を1つのみとすることが可能となる。この開口部を端板32で覆うことによりコンテナ4’を形成することができる(図11参照)。
【0040】
プレス加工により箱形部材1’を形成すると、凸部13の形状が平面1a、1b上にも現れ、平面1a、1b上に凹部133が形成される。従って、箱形部材1’の平面1a、1b上に発熱部品5及び放熱部品6を接触させて載置する場合は、図11に示すように前記凹部133とはまり合う凸形状を有するはめ部材5a、6aを前記発熱・放熱部品5、6に取り付けると、平面1a、1bとの接触面積を確保する事ができ、より好適である。無論、はめ部材5a、6aは銅、アルミなどの熱伝導率の高い材料で形成される。
【0041】
又、前記平面1eの片側面には、端板33に設けた溝部33aと同じ動作を行わせるための溝部134を設ける。
【0042】
以上説明してきたヒートパイプは、技術的思想により種々変更可能であることは言うまでも無く、例えば本発明に係るヒートパイプはその使用形態により、前記平面1c及び1dに、図12に示すような凸部9、10を設けると共に、前記仕切板2を前記厚み方向(矢印a)に、より薄型化して形成することにより、コンテナに仕切板を収納する際、凸部9、10で平面部2a、2bを支えることによって、平面部2a、2bを頂部131と当接させず近接させるヒートパイプの構造に変更しても良い。
【0043】
更に又、箱形部材1又は1’の平面1a、1bに設ける凸部の形状を、実施形態の矩形状から波形など種々の形状に変更しても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明してきたように、本発明のヒートパイプは、作動液の流路形成を、付着力と、分子間力による水分子同士の引き合う力を利用して行っており、従来のヒートパイプのような毛細管圧力の作用は利用していない。従って、1流路当たりの作動液の流れ抵抗を減少させることが可能となり、流れ抵抗が減少する分、より多くの水量を1流路当たりに流すことができる。従って、作動液の限界移動流量を増加する事が可能となり、従来に比べ、ヒートパイプの冷却能力を引き上げることができる。
【0045】
更に、作動液と蒸気の通路を浸透率が無い仕切板で区切ることにより、高液体浸透率のウィックを備えたヒートパイプに比べ、蒸気の移動に伴う作動液の飛散現象を抑制する事が可能となる。従って、発熱部品付近への作動液の還流量を一定に保ちながら、安定した冷却機能を有するヒートパイプを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るヒートパイプのコンテナを形成する箱形部材と端板を示す斜視図。
【図2】図1の箱形部材をA−A一点鎖線で切断したときの断面図。
【図3】図2の凸部間に作動液を入れた状態を示す断面図。
【図4】コンテナに収納される仕切板を示す斜視図。
【図5】仕切板を箱形部材に収納した状態を示す断面図。
【図6】コンテナに仕切板を収納して形成されたヒートパイプを示す斜視図。
【図7】図6のヒートパイプをB−B一点鎖線で切断したときの側断面図に、発熱部品と放熱部品を接触させた側断面図。
【図8】流路7形成のメカニズムを説明するための斜視図で、作動液を数滴垂らした状態を示す斜視図。
【図9】流路7形成のメカニズムを説明するための斜視図で、図8で垂らした作動液の各水滴同士が付着状態を示す斜視図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るヒートパイプのコンテナを形成する箱形部材と端板を示す斜視図。
【図11】図10のコンテナに発熱部品と放熱部品とを載置する状態を示す斜視図。
【図12】箱形部材の側面に仕切り板保持のための凸部を設けた状態を示す断面図。
【図13】従来の筒型ヒートパイプの外形を示す斜視図。
【図14】図13の筒型ヒートパイプをD−D一点鎖線で切断し、発熱部品と放熱部品を接触させた側断面図。
【図15】別の従来のヒートパイプの内部構造を示す断面図。
【符号の説明】
1、1’・・・箱形部材
2・・・仕切板
4、4’・・・コンテナ
5・・・発熱部品
6・・・放熱部品
7・・・作動液かその水滴又は流路
8・・・ヒートパイプ
13・・・凸部
32、33・・・端板

Claims (4)

  1. 外部の発熱部品から吸熱を行う吸熱部と、放熱により内部空間を冷却する放熱部と、前記内部空間が中空となるように密閉されたコンテナとを備えると共に、前記コンテナ内部空間に蒸発と凝縮とを繰り返す作動液と、前記作動液の蒸発によって発生した蒸気とが封入されてなるヒートパイプにおいて、
    前記吸熱部又は前記放熱部を形成する前記コンテナの内面に複数の凸部がそれぞれ設けられることによって、前記凸部と凸部との間に溝が形成され、更に、前記溝に前記作動液が入れられると共に、
    前記蒸気の通路に面する側の前記溝の幅が、前記溝の高さに比して大きくなるように前記溝の形状が設定されることを特徴とするヒートパイプ。
  2. 複数の平面から構成され、前記平面が外部の発熱部品から吸熱を行う吸熱部と放熱により内部空間を冷却する放熱部とを備えると共に、少なくとも1つの開口部を有する箱型部材と、
    前記開口部を覆う端板と、が接合されることによって、前記内部空間が中空となるように密閉されたコンテナを備えると共に、
    前記コンテナの内部空間に蒸発と凝縮とを繰り返す作動液と、前記作動液の蒸発によって発生した蒸気とが封入されてなるヒートパイプにおいて、
    前記吸熱部又は前記放熱部を形成する前記各平面の内面に、複数の凸部がそれぞれ設けられることによって、前記凸部と凸部との間に溝が形成され、更に、前記溝に前記作動液が入れられて流路が設けられると共に、
    前記蒸気の通路に面する側の前記溝の幅が、前記溝の高さに比して大きくなるように前記溝の形状が設定され、
    更に、前記吸熱部及び前記放熱部を形成する前記各平面の内面にそれぞれ設けられた流路を一続きにするための溝部が、前記端板に形成されることを特徴とするヒートパイプ。
  3. 前記コンテナの内部空間に、前記凸部の頂部と近接或いは当接するように、ウィックが備えられることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートパイプ。
  4. 前記コンテナの内部空間に、前記凸部の頂部と近接或いは当接するように、板状の液体浸透率の無い材料からなる仕切板が備えられると共に、
    前記仕切板には、コンテナ内部空間に収納された状態で前記コンテナの厚み方向から見て前記吸熱部、及び前記放熱部に相当する位置に、開口部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートパイプ。
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