JP2004060348A - 浸水防止用袋体を備えた止水装置及び止水方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】建物の開口部の形状に制約を受けにくく且つ簡単な構造の止水装置を提供すること。
【解決手段】階段部7を備えた開口部5を形成する側壁6に備わった浸水防止用袋体1と、該浸水防止用袋体1にエアーを吹き込むエアー吹き込み手段2と、よりなり、前記浸水防止用袋体1は、エアー吹き込み手段2からのエアーの吹き込みにより膨張し前記開口部5を閉鎖するものである止水装置。
【効果】本発明の止水装置は、簡単な構造であるために設置が容易であり、また、建物の開口部の当接面の形状に制約を受け難く汎用性に富む。また、袋状であるために折り畳んで小さくすることができ、装置全体が小型化される。
更にまた、装置や方法が簡単な構造や原理であるためにコスト的にも安く経済的である。
【選択図】 図7
【解決手段】階段部7を備えた開口部5を形成する側壁6に備わった浸水防止用袋体1と、該浸水防止用袋体1にエアーを吹き込むエアー吹き込み手段2と、よりなり、前記浸水防止用袋体1は、エアー吹き込み手段2からのエアーの吹き込みにより膨張し前記開口部5を閉鎖するものである止水装置。
【効果】本発明の止水装置は、簡単な構造であるために設置が容易であり、また、建物の開口部の当接面の形状に制約を受け難く汎用性に富む。また、袋状であるために折り畳んで小さくすることができ、装置全体が小型化される。
更にまた、装置や方法が簡単な構造や原理であるためにコスト的にも安く経済的である。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水等の流入を防ぐために浸水防止用袋体を備えた止水装置及びそれを使った止水方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特に建物が密集した市街地においては、土地の有効活用の観点から、地下空間の開発が盛んに行われていた。
そのため、地下空間への入口である開口部の数が多くあり、また、今後も増加することが予測される。
このような地下空間は、外部環境(天候や騒音等)に影響されにくく便利であるが、しかし、一方では台風や集中豪雨等による降水で大量の水が発生し、逃げ場を求めて流れ込む。
すなわち、その地下空間への開口部が浸水することで、大量の水等が地下空間に流入することになる。
【0003】
そして、流入水を地下空間から排水する能力が不十分である場合には、地下空間全体が水浸しになる。
こうした問題を解決するため、その開口部の周囲に一定の大きさの土嚢100を積み上げて壁を作り、流入水の浸水を防止する方法(止水方法)が行われてきた(例えば、図13を参照)。
【0004】
このような土嚢を使った旧来の止水方法は、設備投資も殆ど必要なく経済的であるが、しかし、土嚢自体は、内部に土砂等を充填して使用するために、一般に重量が重く、また嵩張って取り扱いが不便である。
さらに、自然災害時等(暴風雨等の天候)においては、例えば、足場が濁流中での運搬となるため危険でもある。
また、このような状況下で、土嚢の積み上げ作業を迅速に且つ効率良く行うには、かなり熟練を要する。
一方では、緊急時に対応するために多数の土嚢を建物の開口部付近の所定場所に常設しておく必要があり、保管場所自体の確保が難しい。
【0005】
以上のようなことから、土嚢自体の取り扱いを改善するために内部に吸水性ポリマーを充填した土嚢が開発されている。
緊急使用時には、吸水性ポリマーが水を吸収することで膨張して体積および重量が増加し、土嚢としての機能を果たすものである。
この土嚢は、通常、水を吸収していない時は、軽量で且つコンパクトであることから可搬性がよく、保管時のスペースも、従来型土嚢に較べて少なくて済む利点がある。
しかし、自然災害等の緊急時の作業では、運搬が必要であり、また積み上げ作業に熟練を要する点では、旧来の土嚢と変わりはない。
【0006】
これに対して運搬する個々の土嚢を使用しないで、水等の侵入を阻止する新しい方法も開発されている(特開2001−132322号公開公報)。
すなわち、建物の開口部に止水壁を形成する装置を配備しておき、緊急時に作動させ流入水を阻止する方法である。
【0007】
この止水装置は、止水壁とこれを押し上げるアクチュエータを建物入り口の通路口の床面に、通路全幅と通路の通行方向に延長した凹部に埋設した構造を有するものである。
止水時には、アクチュエータにより止水壁を建物の開口部の一部を塞ぐように立掛け、密接させることにより、開口部の一部分をほぼ遮断状態にすることができる。
【0008】
しかし、このような止水装置は、構造が複雑で通路口の床面に止水装置を埋設しなければならず比較的大掛かりな工事が必要となる。
また、建物の開口部を構成する両側壁に対して、止水壁を水漏れが無いように密接させるには、止水壁の面が両側壁面に対して正確に合致するようにしなければならず当接面に精密な構造を必要とする。
また、開口部の形に合致した止水壁を個々の開口部に合わせて用意しなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、建物の開口部の形状に制約を受けにくく且つ簡単な構造の止水装置を提供することである。
また、それを使った止水方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、内圧によって浸水防止用袋体を膨張させて開口部を遮断状態にすることで、従来の問題点を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0011】
即ち、本発明は、(1)、階段部を備えた開口部を形成する側壁に備わった浸水防止用袋体と、該浸水防止用袋体にエアーを吹き込むエアー吹き込み手段と、よりなり、前記浸水防止用袋体は、エアー吹き込み手段からのエアーの吹き込みにより膨張し前記開口部を閉鎖するものである止水装置に存する。
【0012】
そして、(2)、浸水防止用袋体が入り口と対向する側壁に備わっている止水装置に存する。
【0013】
そしてまた、(3)、膨張時において浸水防止用袋体の開口部上方への膨出を規制するための押さえシート部材を設けた止水装置存する。
【0014】
そしてまた、(4)、膨張時において側壁に形成された通路口の内方への膨出を規制するための押さえシート部材を設けた止水装置に存する。
【0015】
そしてまた、(5)、エアー吹き込み手段は、注入ボンベ又はブロアーである止水装置に存する。
【0016】
そしてまた、(6)、押さえシート部材は、階段部の入り口と対向する側壁に一端が固定され入り口部に他端が掛止されるものである止水装置に存する。
【0017】
そしてまた、(7)、地下空間への入り口である開口部に対して、浸入水を阻止するための止水方法であって、開口部を形成する側壁に設けられた折り畳み状態の浸水防止用袋体に対してエアーを吹き込むことにより、折り畳み状態から浸水防止用袋体を膨張させ、側壁に開口された通路口を閉鎖するに存する。
【0018】
そしてまた、(8)、地下空間への入り口である開口部に対して、浸入水を阻止するための止水方法であって、開口部を形成する側壁に設けられた折り畳み状態の浸水防止用袋体に対してエアーを吹き込むことにより、折り畳み状態から浸水防止用袋体を膨張させ、前記開口部と側壁に開口された通路口を閉鎖する止水方法に存する。
【0019】
そしてまた、(9)、エアーを吹き込む前に、開口部上方への膨出を規制するための押さえシート部材を張架させる止水方法に存する。
【0020】
そしてまた、(10)、エアーを吹き込む前に、側壁に形成された通路口の内方への膨出を規制するための押さえシート部材を張架させる止水方法に存する。
【0021】
そしてまた、(11)、上方からの水圧を加えることにより、通路口をより確実に閉鎖する止水方法に存する。
【0022】
そしてまた、(12)、建物の開口部が、地下室、地下鉄、地下街又は地下駐車場である止水方法に存する。
【0023】
本発明は、この目的に沿ったものであれば、上記1〜6の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた浸水装置や、上記7〜12を組み合わせた止水方法の構成も当然採用可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
【第1の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態である、地下空間への開口部を形成する側壁に設置された止水装置を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は側面図を示す。この止水装置Aは、浸水防止用袋体1とそれにエアーを吹き込むためのエアー吹き込み手段2とよりなる。
【0025】
この浸水防止用袋体1は、折り畳んだ状態からエアー等を内部に注入することにより、内圧を上昇させ膨張展開させることが可能となっている。
そのため、浸水防止用袋体1の材料としては、エアー等か通気しない可撓性の材料(例えば、ゴムやターポリン、パラシュートクロス等)が使われるが、更に浸水時の止水壁として機能を果たすために十分水圧に耐えるだけの強度がある材料が好ましい。
【0026】
例えば、材料を可撓性を保ったままの多層構造体とすることにより、破損に対して強くしたり、コーティングを施すことでエアー等を通気しないようにしたりする。
浸水防止用袋体1は、通常時、折畳んだ状態で拘束されて収納部4に収納されており、この収納部4は開口部5を形成する側壁に設置される。
【0027】
例えば図2は、地下鉄への入り口の開口部を示す図であり、図3は、その開口部5を上方から見た図である。
入り口には開口部5が3つの側壁6A,6B,6Cで形成されており、この側壁の底には階段部7(ここで階段部とは段がないスロープも含むものである)が設けられている。
階段部7の入り口とは対向する側の側壁6Aには通路口6A1が開口しており、階段部7の延長が水平な床部8となって通路口6A1に続いている。
【0028】
浸水防止用袋体1は、このように開口部5の階段部7の入り口側と対向する側壁6Aに設置されている。
収納蓋41を開けることで、浸水防止用袋体1は折畳み状態から開放されて膨張展開が可能な待機状態なる。
一方、エアー吹き込み手段2であるブロアーは、図示しないフアンを備えており外気を浸水防止用袋体内に送ることできる。
このブロアーは浸水防止用袋体1の両側に装備されている。
【0029】
ところで、止水装置Aは、膨張時において浸水防止用袋体1のある方向への膨出を防止するための押さえシート部材3を備えている。
ここでの押さえシート部材3Aは、開口部上方への膨出を規制するためのもので水平方向に引き出し可能になっており、浸水防止用袋体1の設置側壁6Aから該設置側壁と対向する階段部7の入り口下に渡すことが可能である。
【0030】
この例では、押さえシート部材3Aの先のフック31Aを階段部7に設けられた埋め込みアンカー32Aに掛止することで両者間に張架することができる。
一方、押さえシート部材3Bは、通路内への膨出を規制するためのものであり、垂直方向に引き出し可能になっており、浸水防止用袋体1の設置側壁6Aから床部8に渡すことが可能である。
この場合も、押さえシート部材3Bの先のフック31Bを床部8に設けられた埋め込みアンカー32Bに掛止することで両者間に張架することができる。
図4は、浸水防止用袋体1が膨張展開する前、押さえシート部材3を張架した状態を示し、(A)は、押さえシート部材3Aを水平方向に引き出した状態、(B)は、押さえシート部材3Bを垂直方向に引き出した状態を示す。
【0031】
ところで、浸水防止用袋体1を膨張展開させるためにはエアー吹き込み手段2であるブロアーによって、エアーを発生する。
ブロアーは浸水防止用袋体1の両側近傍に複数個(ここでは2個)設けられているため、一方のブロアーが故障しても他方のブロアーが作動して、エアー吹き込み手段2が確保されることとなる。
【0032】
緊急時にはエアー吹き込み手段2が確実に作動しなければならないことから、好ましくはこのようにフェールセーフが採用される。
参考までに、エアー吹き込み手段2は並列システムとして構成することにより、信頼度Tが以下の式に示すように向上する。
T={1−(1−α)(1−α)}
(単体時のエアー吹き込み手段の信頼度;α)
例えば、αの信頼度を例えば0.95とすると、エアー吹き込み手段2を並列システムとして構成した場合のエアー吹き込み手段全体の信頼度Tは0.9975となり、単体の場合に比べて信頼度が向上する。
なお、エアー吹き込み手段2としてブロアーの代わりに、注入ボンベ(例えば液体窒素入り等)を使ってエアーを発生する方法やエアーバックの如く爆発力を使った瞬時的なエアーブローを使う方法も採用可能である。
【0033】
浸水防止用袋体1を膨張展開させるための吹き込み手段2、例えば、ブロアーや注入ボンベは、浸水防止用袋体1の両側以外のより離れた場所に配備して、これから流路管を介して浸水防止用袋体1にエアー導入するようにすることも可能である。
これらの注入ボンベやブロアー等の開閉や作動は、人手或いは感知センサー等により行うように構成することもできる。
【0034】
以上、止水装置Aの構造を述べたが、この止水装置Aは、構造が簡単であることから、地下室、地下鉄、地下街又は縦坑等の開口部に、必要に応じて容易に設置することが可能である。
【0035】
次に使用時における止水装置Aの作動態様を述べる。
【0036】
浸水防止用袋体1は、予め開口部5の形状を想定して作られている。
今、台風や暴風雨等に降雨量が増え道路から流れた溢れた水は、地下空間への入り口である開口部5に流入していく。
そして、水は、開口部5からより低い部分である地下空間へ流れ込むことになる。
このような状態にならないよう、水が流れ込む前の段階で、或いは流れ込んだ後速やかに、地下空間へ通じる開口部全体を遮断状態にしなければならない。
【0037】
止水装置Aを作動する前の初期状態では、浸水防止用袋体1は、収納部4に折畳み状態で収納されている(図5参照)。
そこで先ず、この収納部4の収納蓋41を開けて折畳み状態にある浸水防止用袋体1を露出させる。
これで浸水防止用袋体1は、エアー吹き込み手段2からエアーの吹き込みにより膨張展開が可能な待機状態となる。
【0038】
次に、浸水防止用袋体1の通路内への膨出を防止するために押さえシート部材3Bを通路口6A1に張架する(図6参照)。
また浸水防止用袋体1の開口部上方への膨出を防止するために押さえシート部材3Aを開口部5に張架する。
そして浸水防止用袋体1の両端に装備されたエアー吹き込み手段2である2台のブロアーを作動させる。
この作動によりエアーが浸水防止用袋体1の中に注入されて浸水防止用袋体1は膨張展開し始める(図7の鎖線参照)。
【0039】
浸水防止用袋体1は、あらゆる方向に膨張展開を始めるが、建物の開口部5を構成している側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対して圧接状態となり、また押さえシート部材3Aにより、上方への膨張展開が規制される。
また、通路口6A1に渡されている押さえシート部材3Bにより通路内への膨張展開が規制される。
この浸水防止用袋体内に更にエアーを吹き込んで加圧すると、浸水防止用袋体1は側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対してより密接した状態となる(図7参照)。
これで止水装置Aの作動が終了する。
【0040】
【第2の実施の形態】
この実施の形態では、上方への突出を水圧により防止し、通路部への膨出を押さえシート部材3により防止するものである。
そのため、浸水防止用袋体1は、側壁6Aの下方位置に設置することが好ましい。
ここでも通路口6A1の内方への膨出するのを規制すべく押さえシート部材3Bが側壁6Aに設けられているが、開口部上方への膨出するのを規制するための押さえシート部材3Aは、必ずしも必要はない。
次に使用時における浸水防止用袋体1の作動態様を述べる。
先ず、止水装置Aを作動する前の初期状態では、浸水防止用袋体1は、収納部4に折畳み状態で収納されており(図8参照)、収納蓋41を外すことで膨張展開の待機状態となる。
【0041】
次に、浸水防止用袋体1の通路内への膨出を防止するために押さえシート部材3Bを通路口上の側壁6Aと階段下の床部8とに渡す(図9参照)。
この場合も、側壁6Aに装備された押さえシート部材3Bを引きずり下ろして床部8の埋め込みアンカー32Bに掛止する。
そして浸水防止用袋体1の両側に装備されたエアー吹き込み手段2である2台のブロアーを作動させる。
この作動によりエアーが浸水防止用袋体1の中に注入されて浸水防止用袋体1は膨張展開し始める(図10鎖線参照)。
【0042】
浸水防止用袋体1は、あらゆる方向に膨張展開を始めるが、建物の開口部5を構成している側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対して圧接状態となり、また押さえシート部材3により、通路内への膨張展開が規制される(図10)。この場合、積極的に開口部5から水を流入させて浸水防止用袋体1の上に浸水させる。
この水圧により、浸水防止用袋体1は側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対してより密接した状態となり、押さえシート部材3Bによって通路内への膨出も防止される(図11参照)。
【0043】
【第3の実施の形態】
この実施の形態では、第1の実施の形態と同じように上方への突出を押さえシート部材3Aで、また通路部への膨出を押さえシート部材3Bにより防止するものである。
この押さえシート部材3Aのフック31A、及び押さえシート部材3Bのフック31Bは、床部8の埋め込みアンカー32B2及び埋め込みアンカー32B1に掛合することができる。
次に使用時における浸水防止用袋体1の作動態様を述べる。
先ず、止水装置Aを作動する前の初期状態では、浸水防止用袋体1は、収納部4に折畳み状態で収納されており(図12参照)、収納蓋41を外すことで膨張展開の待機状態となる。
【0044】
次に、浸水防止用袋体1の通路内への膨出を防止するために押さえシート部材3Bを通路口上の側壁6Aと階段下の床部8とに渡す(図13参照)。
また、浸水防止用袋体1の開口部上方への膨出を防止するために押さえシート部材3Bを通路口上の側壁6Aと階段下の床部8とに渡す(図13参照)。
これらの場合も、側壁6Aに装備された押さえシート部材3Bや押さえシート部材3Aを引きずり下ろして床部8の埋め込みアンカー32B1やアンカー32B2に掛止する。
そして浸水防止用袋体1の両側に装備されたエアー吹き込み手段2である2台のブロアーを作動させる。
この作動によりエアーが浸水防止用袋体1の中に注入されて浸水防止用袋体1は膨張展開し始める(図14の鎖線参照)。
【0045】
浸水防止用袋体1は、あらゆる方向に膨張展開を始めるが、建物の開口部5を構成している側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対して圧接状態となり、また押さえシート部材3Aや押さえシート部材3Bにより、開口部上方や通路内への膨張展開が規制される(図14参照)。
【0046】
【第4の実施の形態】
この実施の形態においては、浸水防止用袋体1は埋め込み状態の収納部4に収納されていなく、保持具9、例えば紐体によって折り畳み状態が維持されているものである。
図15は、地下空間への開口部にある階段部の対壁に設置された止水装置を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は側面図を示す。
そのため、非常時には、この保持具を外すことにより、この折畳み状態から開放され浸水防止用袋体は膨張展開が可能な待機状態となる。
後は、上述した第1の実施の形態と同じような止水装置の作動により、浸水防止用袋体1の膨張展開が行われる。
【0047】
以上、本発明を説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、その目的に則したものであれば種々の変形が可能である。
エアー吹き込み手段2は、ブロアーや注入ボンベの他に空気等を浸水防止袋体1に吹き込むことができる装置であれば種々のものが採用される。
押さえシート部材3は、シート状ではなくても、ベルト状であってもよく、要は浸水防止袋体1の膨出を防止できるものであればよい。
また、その設置位置は浸水防止用袋体1と同様に収納部4の中に収納する構造としてもよい。
建物の開口部5は、実施の形態の地下鉄だけではなく、地下鉄, 地下駐車場, 地下街等の種々の場所ものに適用可能である。
浸水防止袋体1の折り畳み状態は、体積が小さくなる方法であれば、種々の規則的な折り畳みやランダムな折り畳みが採用される。
【0048】
【発明の効果】
本発明の止水装置は、簡単な構造であるために設置が容易であり、また、建物の開口部の当接面の形状に制約を受け難く汎用性に富む。
また、袋状であるために折り畳んで小さくすることができ、装置全体が小型化される。
また、装置が簡単な構造であるためにコスト的にも安く経済的である。
また止水方法も膨張可能な袋を使った簡単な原理であるために方法的に見て、上記と同様な利点を持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態における止水装置を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は側面図を示す。
【図2】図2は、地下鉄への入り口の開口部を示す図である。
【図3】図3は、図2の開口部を上方から見た図である。
【図4】図4は、浸水防止用袋体が膨張展開する前に開口部に押さえシート部材を張架した状態を示す図である。
【図5】図5は、止水装置を作動する前の初期状態を示す図である。
【図6】図6は、浸水防止用袋体が膨張展開する前に開口部及び通路口に押さえシート部材を張架した状態を示す図である。
【図7】図7は、この浸水防止用袋体内にエアーを吹き込んで膨張した状態を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態における止水装置を作動する前の初期状態を示す図である。
【図9】図9は、浸水防止用袋体が膨張展開する前に通路口に押さえシート部材を張架した状態を示す図である。
【図10】図10は、この浸水防止用袋体内にエアーを吹き込んで膨張した状態を示す図である。
【図11】図11は、この水圧が加わった状態を示す図である。
【図12】図12は、第3の実施の形態における止水装置を作動する前の初期状態を示す図である。
【図13】図13は、浸水防止用袋体が膨張展開する前に開口部及び通路口に押さえシート部材を張架した状態を示す図である。
【図14】図14は、この浸水防止用袋体内にエアーを吹き込んで膨張した状態を示す図である。
【図15】図15は、本発明の第4の実施形態における止水装置を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は側面図を示す。
【図16】図16は、旧来法である土嚢た浸水防止用袋体を膨張展開する前の状態を断面図で概略的に示す。
【符号の説明】
1…浸水防止用袋体
2…エアー吹き込み手段
3…押さえシート部材
3A…押さえシート部材
3B…押さえシート部材
4…収納部
41…収納蓋
5…開口部
6…側壁
6A…側壁
6B…側壁
6C…側壁
7…階段部
8…床部
9…保持具
1A…フック
31B…フック
32A…埋め込みアンカー
32B1…埋め込みアンカー
32B2…埋め込みアンカー
100…土嚢
【発明の属する技術分野】
本発明は、水等の流入を防ぐために浸水防止用袋体を備えた止水装置及びそれを使った止水方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特に建物が密集した市街地においては、土地の有効活用の観点から、地下空間の開発が盛んに行われていた。
そのため、地下空間への入口である開口部の数が多くあり、また、今後も増加することが予測される。
このような地下空間は、外部環境(天候や騒音等)に影響されにくく便利であるが、しかし、一方では台風や集中豪雨等による降水で大量の水が発生し、逃げ場を求めて流れ込む。
すなわち、その地下空間への開口部が浸水することで、大量の水等が地下空間に流入することになる。
【0003】
そして、流入水を地下空間から排水する能力が不十分である場合には、地下空間全体が水浸しになる。
こうした問題を解決するため、その開口部の周囲に一定の大きさの土嚢100を積み上げて壁を作り、流入水の浸水を防止する方法(止水方法)が行われてきた(例えば、図13を参照)。
【0004】
このような土嚢を使った旧来の止水方法は、設備投資も殆ど必要なく経済的であるが、しかし、土嚢自体は、内部に土砂等を充填して使用するために、一般に重量が重く、また嵩張って取り扱いが不便である。
さらに、自然災害時等(暴風雨等の天候)においては、例えば、足場が濁流中での運搬となるため危険でもある。
また、このような状況下で、土嚢の積み上げ作業を迅速に且つ効率良く行うには、かなり熟練を要する。
一方では、緊急時に対応するために多数の土嚢を建物の開口部付近の所定場所に常設しておく必要があり、保管場所自体の確保が難しい。
【0005】
以上のようなことから、土嚢自体の取り扱いを改善するために内部に吸水性ポリマーを充填した土嚢が開発されている。
緊急使用時には、吸水性ポリマーが水を吸収することで膨張して体積および重量が増加し、土嚢としての機能を果たすものである。
この土嚢は、通常、水を吸収していない時は、軽量で且つコンパクトであることから可搬性がよく、保管時のスペースも、従来型土嚢に較べて少なくて済む利点がある。
しかし、自然災害等の緊急時の作業では、運搬が必要であり、また積み上げ作業に熟練を要する点では、旧来の土嚢と変わりはない。
【0006】
これに対して運搬する個々の土嚢を使用しないで、水等の侵入を阻止する新しい方法も開発されている(特開2001−132322号公開公報)。
すなわち、建物の開口部に止水壁を形成する装置を配備しておき、緊急時に作動させ流入水を阻止する方法である。
【0007】
この止水装置は、止水壁とこれを押し上げるアクチュエータを建物入り口の通路口の床面に、通路全幅と通路の通行方向に延長した凹部に埋設した構造を有するものである。
止水時には、アクチュエータにより止水壁を建物の開口部の一部を塞ぐように立掛け、密接させることにより、開口部の一部分をほぼ遮断状態にすることができる。
【0008】
しかし、このような止水装置は、構造が複雑で通路口の床面に止水装置を埋設しなければならず比較的大掛かりな工事が必要となる。
また、建物の開口部を構成する両側壁に対して、止水壁を水漏れが無いように密接させるには、止水壁の面が両側壁面に対して正確に合致するようにしなければならず当接面に精密な構造を必要とする。
また、開口部の形に合致した止水壁を個々の開口部に合わせて用意しなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、建物の開口部の形状に制約を受けにくく且つ簡単な構造の止水装置を提供することである。
また、それを使った止水方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、内圧によって浸水防止用袋体を膨張させて開口部を遮断状態にすることで、従来の問題点を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0011】
即ち、本発明は、(1)、階段部を備えた開口部を形成する側壁に備わった浸水防止用袋体と、該浸水防止用袋体にエアーを吹き込むエアー吹き込み手段と、よりなり、前記浸水防止用袋体は、エアー吹き込み手段からのエアーの吹き込みにより膨張し前記開口部を閉鎖するものである止水装置に存する。
【0012】
そして、(2)、浸水防止用袋体が入り口と対向する側壁に備わっている止水装置に存する。
【0013】
そしてまた、(3)、膨張時において浸水防止用袋体の開口部上方への膨出を規制するための押さえシート部材を設けた止水装置存する。
【0014】
そしてまた、(4)、膨張時において側壁に形成された通路口の内方への膨出を規制するための押さえシート部材を設けた止水装置に存する。
【0015】
そしてまた、(5)、エアー吹き込み手段は、注入ボンベ又はブロアーである止水装置に存する。
【0016】
そしてまた、(6)、押さえシート部材は、階段部の入り口と対向する側壁に一端が固定され入り口部に他端が掛止されるものである止水装置に存する。
【0017】
そしてまた、(7)、地下空間への入り口である開口部に対して、浸入水を阻止するための止水方法であって、開口部を形成する側壁に設けられた折り畳み状態の浸水防止用袋体に対してエアーを吹き込むことにより、折り畳み状態から浸水防止用袋体を膨張させ、側壁に開口された通路口を閉鎖するに存する。
【0018】
そしてまた、(8)、地下空間への入り口である開口部に対して、浸入水を阻止するための止水方法であって、開口部を形成する側壁に設けられた折り畳み状態の浸水防止用袋体に対してエアーを吹き込むことにより、折り畳み状態から浸水防止用袋体を膨張させ、前記開口部と側壁に開口された通路口を閉鎖する止水方法に存する。
【0019】
そしてまた、(9)、エアーを吹き込む前に、開口部上方への膨出を規制するための押さえシート部材を張架させる止水方法に存する。
【0020】
そしてまた、(10)、エアーを吹き込む前に、側壁に形成された通路口の内方への膨出を規制するための押さえシート部材を張架させる止水方法に存する。
【0021】
そしてまた、(11)、上方からの水圧を加えることにより、通路口をより確実に閉鎖する止水方法に存する。
【0022】
そしてまた、(12)、建物の開口部が、地下室、地下鉄、地下街又は地下駐車場である止水方法に存する。
【0023】
本発明は、この目的に沿ったものであれば、上記1〜6の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた浸水装置や、上記7〜12を組み合わせた止水方法の構成も当然採用可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
【第1の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態である、地下空間への開口部を形成する側壁に設置された止水装置を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は側面図を示す。この止水装置Aは、浸水防止用袋体1とそれにエアーを吹き込むためのエアー吹き込み手段2とよりなる。
【0025】
この浸水防止用袋体1は、折り畳んだ状態からエアー等を内部に注入することにより、内圧を上昇させ膨張展開させることが可能となっている。
そのため、浸水防止用袋体1の材料としては、エアー等か通気しない可撓性の材料(例えば、ゴムやターポリン、パラシュートクロス等)が使われるが、更に浸水時の止水壁として機能を果たすために十分水圧に耐えるだけの強度がある材料が好ましい。
【0026】
例えば、材料を可撓性を保ったままの多層構造体とすることにより、破損に対して強くしたり、コーティングを施すことでエアー等を通気しないようにしたりする。
浸水防止用袋体1は、通常時、折畳んだ状態で拘束されて収納部4に収納されており、この収納部4は開口部5を形成する側壁に設置される。
【0027】
例えば図2は、地下鉄への入り口の開口部を示す図であり、図3は、その開口部5を上方から見た図である。
入り口には開口部5が3つの側壁6A,6B,6Cで形成されており、この側壁の底には階段部7(ここで階段部とは段がないスロープも含むものである)が設けられている。
階段部7の入り口とは対向する側の側壁6Aには通路口6A1が開口しており、階段部7の延長が水平な床部8となって通路口6A1に続いている。
【0028】
浸水防止用袋体1は、このように開口部5の階段部7の入り口側と対向する側壁6Aに設置されている。
収納蓋41を開けることで、浸水防止用袋体1は折畳み状態から開放されて膨張展開が可能な待機状態なる。
一方、エアー吹き込み手段2であるブロアーは、図示しないフアンを備えており外気を浸水防止用袋体内に送ることできる。
このブロアーは浸水防止用袋体1の両側に装備されている。
【0029】
ところで、止水装置Aは、膨張時において浸水防止用袋体1のある方向への膨出を防止するための押さえシート部材3を備えている。
ここでの押さえシート部材3Aは、開口部上方への膨出を規制するためのもので水平方向に引き出し可能になっており、浸水防止用袋体1の設置側壁6Aから該設置側壁と対向する階段部7の入り口下に渡すことが可能である。
【0030】
この例では、押さえシート部材3Aの先のフック31Aを階段部7に設けられた埋め込みアンカー32Aに掛止することで両者間に張架することができる。
一方、押さえシート部材3Bは、通路内への膨出を規制するためのものであり、垂直方向に引き出し可能になっており、浸水防止用袋体1の設置側壁6Aから床部8に渡すことが可能である。
この場合も、押さえシート部材3Bの先のフック31Bを床部8に設けられた埋め込みアンカー32Bに掛止することで両者間に張架することができる。
図4は、浸水防止用袋体1が膨張展開する前、押さえシート部材3を張架した状態を示し、(A)は、押さえシート部材3Aを水平方向に引き出した状態、(B)は、押さえシート部材3Bを垂直方向に引き出した状態を示す。
【0031】
ところで、浸水防止用袋体1を膨張展開させるためにはエアー吹き込み手段2であるブロアーによって、エアーを発生する。
ブロアーは浸水防止用袋体1の両側近傍に複数個(ここでは2個)設けられているため、一方のブロアーが故障しても他方のブロアーが作動して、エアー吹き込み手段2が確保されることとなる。
【0032】
緊急時にはエアー吹き込み手段2が確実に作動しなければならないことから、好ましくはこのようにフェールセーフが採用される。
参考までに、エアー吹き込み手段2は並列システムとして構成することにより、信頼度Tが以下の式に示すように向上する。
T={1−(1−α)(1−α)}
(単体時のエアー吹き込み手段の信頼度;α)
例えば、αの信頼度を例えば0.95とすると、エアー吹き込み手段2を並列システムとして構成した場合のエアー吹き込み手段全体の信頼度Tは0.9975となり、単体の場合に比べて信頼度が向上する。
なお、エアー吹き込み手段2としてブロアーの代わりに、注入ボンベ(例えば液体窒素入り等)を使ってエアーを発生する方法やエアーバックの如く爆発力を使った瞬時的なエアーブローを使う方法も採用可能である。
【0033】
浸水防止用袋体1を膨張展開させるための吹き込み手段2、例えば、ブロアーや注入ボンベは、浸水防止用袋体1の両側以外のより離れた場所に配備して、これから流路管を介して浸水防止用袋体1にエアー導入するようにすることも可能である。
これらの注入ボンベやブロアー等の開閉や作動は、人手或いは感知センサー等により行うように構成することもできる。
【0034】
以上、止水装置Aの構造を述べたが、この止水装置Aは、構造が簡単であることから、地下室、地下鉄、地下街又は縦坑等の開口部に、必要に応じて容易に設置することが可能である。
【0035】
次に使用時における止水装置Aの作動態様を述べる。
【0036】
浸水防止用袋体1は、予め開口部5の形状を想定して作られている。
今、台風や暴風雨等に降雨量が増え道路から流れた溢れた水は、地下空間への入り口である開口部5に流入していく。
そして、水は、開口部5からより低い部分である地下空間へ流れ込むことになる。
このような状態にならないよう、水が流れ込む前の段階で、或いは流れ込んだ後速やかに、地下空間へ通じる開口部全体を遮断状態にしなければならない。
【0037】
止水装置Aを作動する前の初期状態では、浸水防止用袋体1は、収納部4に折畳み状態で収納されている(図5参照)。
そこで先ず、この収納部4の収納蓋41を開けて折畳み状態にある浸水防止用袋体1を露出させる。
これで浸水防止用袋体1は、エアー吹き込み手段2からエアーの吹き込みにより膨張展開が可能な待機状態となる。
【0038】
次に、浸水防止用袋体1の通路内への膨出を防止するために押さえシート部材3Bを通路口6A1に張架する(図6参照)。
また浸水防止用袋体1の開口部上方への膨出を防止するために押さえシート部材3Aを開口部5に張架する。
そして浸水防止用袋体1の両端に装備されたエアー吹き込み手段2である2台のブロアーを作動させる。
この作動によりエアーが浸水防止用袋体1の中に注入されて浸水防止用袋体1は膨張展開し始める(図7の鎖線参照)。
【0039】
浸水防止用袋体1は、あらゆる方向に膨張展開を始めるが、建物の開口部5を構成している側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対して圧接状態となり、また押さえシート部材3Aにより、上方への膨張展開が規制される。
また、通路口6A1に渡されている押さえシート部材3Bにより通路内への膨張展開が規制される。
この浸水防止用袋体内に更にエアーを吹き込んで加圧すると、浸水防止用袋体1は側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対してより密接した状態となる(図7参照)。
これで止水装置Aの作動が終了する。
【0040】
【第2の実施の形態】
この実施の形態では、上方への突出を水圧により防止し、通路部への膨出を押さえシート部材3により防止するものである。
そのため、浸水防止用袋体1は、側壁6Aの下方位置に設置することが好ましい。
ここでも通路口6A1の内方への膨出するのを規制すべく押さえシート部材3Bが側壁6Aに設けられているが、開口部上方への膨出するのを規制するための押さえシート部材3Aは、必ずしも必要はない。
次に使用時における浸水防止用袋体1の作動態様を述べる。
先ず、止水装置Aを作動する前の初期状態では、浸水防止用袋体1は、収納部4に折畳み状態で収納されており(図8参照)、収納蓋41を外すことで膨張展開の待機状態となる。
【0041】
次に、浸水防止用袋体1の通路内への膨出を防止するために押さえシート部材3Bを通路口上の側壁6Aと階段下の床部8とに渡す(図9参照)。
この場合も、側壁6Aに装備された押さえシート部材3Bを引きずり下ろして床部8の埋め込みアンカー32Bに掛止する。
そして浸水防止用袋体1の両側に装備されたエアー吹き込み手段2である2台のブロアーを作動させる。
この作動によりエアーが浸水防止用袋体1の中に注入されて浸水防止用袋体1は膨張展開し始める(図10鎖線参照)。
【0042】
浸水防止用袋体1は、あらゆる方向に膨張展開を始めるが、建物の開口部5を構成している側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対して圧接状態となり、また押さえシート部材3により、通路内への膨張展開が規制される(図10)。この場合、積極的に開口部5から水を流入させて浸水防止用袋体1の上に浸水させる。
この水圧により、浸水防止用袋体1は側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対してより密接した状態となり、押さえシート部材3Bによって通路内への膨出も防止される(図11参照)。
【0043】
【第3の実施の形態】
この実施の形態では、第1の実施の形態と同じように上方への突出を押さえシート部材3Aで、また通路部への膨出を押さえシート部材3Bにより防止するものである。
この押さえシート部材3Aのフック31A、及び押さえシート部材3Bのフック31Bは、床部8の埋め込みアンカー32B2及び埋め込みアンカー32B1に掛合することができる。
次に使用時における浸水防止用袋体1の作動態様を述べる。
先ず、止水装置Aを作動する前の初期状態では、浸水防止用袋体1は、収納部4に折畳み状態で収納されており(図12参照)、収納蓋41を外すことで膨張展開の待機状態となる。
【0044】
次に、浸水防止用袋体1の通路内への膨出を防止するために押さえシート部材3Bを通路口上の側壁6Aと階段下の床部8とに渡す(図13参照)。
また、浸水防止用袋体1の開口部上方への膨出を防止するために押さえシート部材3Bを通路口上の側壁6Aと階段下の床部8とに渡す(図13参照)。
これらの場合も、側壁6Aに装備された押さえシート部材3Bや押さえシート部材3Aを引きずり下ろして床部8の埋め込みアンカー32B1やアンカー32B2に掛止する。
そして浸水防止用袋体1の両側に装備されたエアー吹き込み手段2である2台のブロアーを作動させる。
この作動によりエアーが浸水防止用袋体1の中に注入されて浸水防止用袋体1は膨張展開し始める(図14の鎖線参照)。
【0045】
浸水防止用袋体1は、あらゆる方向に膨張展開を始めるが、建物の開口部5を構成している側壁6(6A,6B,6C)、階段部7に対して圧接状態となり、また押さえシート部材3Aや押さえシート部材3Bにより、開口部上方や通路内への膨張展開が規制される(図14参照)。
【0046】
【第4の実施の形態】
この実施の形態においては、浸水防止用袋体1は埋め込み状態の収納部4に収納されていなく、保持具9、例えば紐体によって折り畳み状態が維持されているものである。
図15は、地下空間への開口部にある階段部の対壁に設置された止水装置を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は側面図を示す。
そのため、非常時には、この保持具を外すことにより、この折畳み状態から開放され浸水防止用袋体は膨張展開が可能な待機状態となる。
後は、上述した第1の実施の形態と同じような止水装置の作動により、浸水防止用袋体1の膨張展開が行われる。
【0047】
以上、本発明を説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、その目的に則したものであれば種々の変形が可能である。
エアー吹き込み手段2は、ブロアーや注入ボンベの他に空気等を浸水防止袋体1に吹き込むことができる装置であれば種々のものが採用される。
押さえシート部材3は、シート状ではなくても、ベルト状であってもよく、要は浸水防止袋体1の膨出を防止できるものであればよい。
また、その設置位置は浸水防止用袋体1と同様に収納部4の中に収納する構造としてもよい。
建物の開口部5は、実施の形態の地下鉄だけではなく、地下鉄, 地下駐車場, 地下街等の種々の場所ものに適用可能である。
浸水防止袋体1の折り畳み状態は、体積が小さくなる方法であれば、種々の規則的な折り畳みやランダムな折り畳みが採用される。
【0048】
【発明の効果】
本発明の止水装置は、簡単な構造であるために設置が容易であり、また、建物の開口部の当接面の形状に制約を受け難く汎用性に富む。
また、袋状であるために折り畳んで小さくすることができ、装置全体が小型化される。
また、装置が簡単な構造であるためにコスト的にも安く経済的である。
また止水方法も膨張可能な袋を使った簡単な原理であるために方法的に見て、上記と同様な利点を持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態における止水装置を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は側面図を示す。
【図2】図2は、地下鉄への入り口の開口部を示す図である。
【図3】図3は、図2の開口部を上方から見た図である。
【図4】図4は、浸水防止用袋体が膨張展開する前に開口部に押さえシート部材を張架した状態を示す図である。
【図5】図5は、止水装置を作動する前の初期状態を示す図である。
【図6】図6は、浸水防止用袋体が膨張展開する前に開口部及び通路口に押さえシート部材を張架した状態を示す図である。
【図7】図7は、この浸水防止用袋体内にエアーを吹き込んで膨張した状態を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態における止水装置を作動する前の初期状態を示す図である。
【図9】図9は、浸水防止用袋体が膨張展開する前に通路口に押さえシート部材を張架した状態を示す図である。
【図10】図10は、この浸水防止用袋体内にエアーを吹き込んで膨張した状態を示す図である。
【図11】図11は、この水圧が加わった状態を示す図である。
【図12】図12は、第3の実施の形態における止水装置を作動する前の初期状態を示す図である。
【図13】図13は、浸水防止用袋体が膨張展開する前に開口部及び通路口に押さえシート部材を張架した状態を示す図である。
【図14】図14は、この浸水防止用袋体内にエアーを吹き込んで膨張した状態を示す図である。
【図15】図15は、本発明の第4の実施形態における止水装置を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は側面図を示す。
【図16】図16は、旧来法である土嚢た浸水防止用袋体を膨張展開する前の状態を断面図で概略的に示す。
【符号の説明】
1…浸水防止用袋体
2…エアー吹き込み手段
3…押さえシート部材
3A…押さえシート部材
3B…押さえシート部材
4…収納部
41…収納蓋
5…開口部
6…側壁
6A…側壁
6B…側壁
6C…側壁
7…階段部
8…床部
9…保持具
1A…フック
31B…フック
32A…埋め込みアンカー
32B1…埋め込みアンカー
32B2…埋め込みアンカー
100…土嚢
Claims (12)
- 階段部を備えた開口部を形成する側壁に備わった浸水防止用袋体と、該浸水防止用袋体にエアーを吹き込むエアー吹き込み手段と、よりなり、前記浸水防止用袋体は、エアー吹き込み手段からのエアーの吹き込みにより膨張し前記開口部を閉鎖するものであることを特徴とする止水装置。
- 浸水防止用袋体が入り口と対向する側壁に備わっていることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
- 膨張時において浸水防止用袋体の開口部上方への膨出を規制するための押さえシート部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の止水装置。
- 膨張時において側壁に形成された通路口の内方への膨出を規制するための押さえシート部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の止水装置。
- エアー吹き込み手段は、注入ボンベ又はブロアーであること特徴とする請求項1記載の止水装置。
- 押さえシート部材は、階段部の入り口と対向する側壁に一端が固定され入り口部に他端が掛止されるものであることを特徴とする請求項2記載の止水装置。
- 地下空間への入り口である開口部に対して、浸入水を阻止するための止水方法であって、開口部を形成する側壁に設けられた折り畳み状態の浸水防止用袋体に対してエアーを吹き込むことにより、折り畳み状態から浸水防止用袋体を膨張させ、開口部を閉鎖することを特徴とする止水方法。
- 地下空間への入り口である開口部に対して、浸入水を阻止するための止水方法であって、開口部を形成する側壁に設けられた折り畳み状態の浸水防止用袋体に対してエアーを吹き込むことにより、折り畳み状態から浸水防止用袋体を膨張させ、前記開口部と側壁に開口された通路口を閉鎖することを特徴とする止水方法。
- エアーを吹き込む前に、開口部上方への膨出を規制するための押さえシート部材を張架することを特徴とする請求項7記載の止水方法。
- エアーを吹き込む前に、側壁に形成された通路口の内方への膨出を規制するための押さえシート部材を張架させることを特徴とする請求項7記載の止水方法。
- 上方からの水圧を加えることにより、通路口をより確実に閉鎖することを特徴とする請求項8記載の止水方法。
- 建物の開口部が、地下室、地下鉄、地下街又は地下駐車場であることを特徴とする請求項7又は8記載の止水方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20160016117A (ko) * | 2014-08-04 | 2016-02-15 | 최낙영 | 해안 세굴보수보강장치 |
-
2002
- 2002-07-30 JP JP2002222201A patent/JP2004060348A/ja active Pending
Cited By (2)
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KR20160016117A (ko) * | 2014-08-04 | 2016-02-15 | 최낙영 | 해안 세굴보수보강장치 |
KR101663569B1 (ko) * | 2014-08-04 | 2016-10-14 | 최낙영 | 해안 세굴보수보강장치 |
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