JP2004060232A - 地中構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】地中構造物における床版にプレストレスを導入する。
【解決手段】対向状態で設けた土留壁5の間に鉄筋コンクリート造の床版である底版1および頂版2を設け、その床版にプレストレスを導入してなる地中構造物であって、土留壁の対向方向に沿って配設されて床版内に緊張状態で定着されるPC鋼材10aの一端部を一方の土留壁の近傍位置において床版内に定着するとともに、そのPC鋼材の他端部を他方の土留壁側において床版の上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部11に対して定着し、かつそのPC鋼材と左右対称的に他のPC鋼材10bを配設して、それら双方のPC鋼材10a、10bを対としてそれらPC鋼材を床版の中央部においてラップさせる。底版1としての床版と、頂版2としての床版と、それら双方の床版の端部相互間に設けた側壁3とによるトンネル状をなし、かつ側壁を土留壁5の内面側に一体に設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】対向状態で設けた土留壁5の間に鉄筋コンクリート造の床版である底版1および頂版2を設け、その床版にプレストレスを導入してなる地中構造物であって、土留壁の対向方向に沿って配設されて床版内に緊張状態で定着されるPC鋼材10aの一端部を一方の土留壁の近傍位置において床版内に定着するとともに、そのPC鋼材の他端部を他方の土留壁側において床版の上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部11に対して定着し、かつそのPC鋼材と左右対称的に他のPC鋼材10bを配設して、それら双方のPC鋼材10a、10bを対としてそれらPC鋼材を床版の中央部においてラップさせる。底版1としての床版と、頂版2としての床版と、それら双方の床版の端部相互間に設けた側壁3とによるトンネル状をなし、かつ側壁を土留壁5の内面側に一体に設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地中に設けられる各種の土木・建築構造物に係わり、特に、土留壁の間に設ける鉄筋コンクリート造の床版に対してプレストレスを導入する構造の地中構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート造(RC造)のトンネルを開削工法により施工する際には、施工するべきトンネルの両側の位置に仮設の土留壁を対向させて設け、それら土留壁の間を開削して土留壁の間にRC造の躯体、すなわち底版となる床版、側壁、頂版となる床版を順次施工していくという工法が一般的に採用されている。また、頂版となる床版を先行施工した後、その下方を掘削して、側壁、底版となる床版、の順で施工する逆巻き工法も行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
いずれにしても、トンネルを構成するRC造の躯体、特に底版や頂版を構成する床版(スラブ)には多少なりともひび割れが生じることが不可避であり、そのためそれら床版の版厚や強度はひび割れが生じることを想定して余裕を持たせて設定する必要があり、かつ、ひび割れが生じた際にも止水性を確保するために充分な防水工事を行うことが不可欠である。
【0004】
なお、PC工法あるいはPRC工法により床版にプレストレスを導入すればひび割れの発生を抑制できるが、上記のような開削工法により地中に設ける床版に対してプレストレスを導入しようとする場合、特にその床版が土留壁の間に設けられる場合には、PC鋼材の緊張やその端部の定着を必ずしも容易に行うことができるものではなく、そのため従来においてはこの種の地中構造物にプレストレスを導入するようなことは広く普及するに至っていない。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は土留壁の間に設けられる床版に対しても有効にプレストレスを導入することができ、以て、その床版のひび割れを防止することのできる地中構造物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、対向状態で設けた土留壁の間に鉄筋コンクリート造の床版を設け、その床版にプレストレスを導入してなる地中構造物であって、土留壁の対向方向に沿って配設されて床版内に緊張状態で定着されるPC鋼材の一端部を一方の土留壁の近傍位置において床版内に定着するとともに、そのPC鋼材の他端部を他方の土留壁側において床版の上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部に対して定着し、かつそのPC鋼材と左右対称的に他のPC鋼材を配設して、それら双方のPC鋼材を対としてそれらPC鋼材を床版の中央部においてラップさせてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明の地中構造物において、底版としての床版と、頂版としての床版と、それら双方の床版の端部相互間に設けた側壁とによるトンネル状をなし、かつ側壁を土留壁の内面側に一体に設けてなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明をトンネルに適用した場合の実施形態を図1を参照して説明する。本実施形態のトンネルはRC造の矩形断面のもので、底版1としての床版、頂版2としての床版、側壁3、および隔壁4とを主要な躯体として構築されたものである。
【0009】
符号5は土留壁であるが、本実施形態ではその土留壁5としてH形鋼6を芯材とするソイルミキシングウォールを採用して支持層に根入れしており、かつトンネルの側壁3を土留壁5の内面に一体に形成してトンネル完成後も土留壁5をそのまま残置して本設構造物として利用するものとしており、それにより完成後のトンネルに作用する鉛直荷重の一部を土留壁5に負担させ、特に上方への引抜力に対する耐力を土留壁5の芯材6に持たせるものとしている。なお、隔壁4内にはH形鋼からなる中杭7が設けられ、これも土留壁5の芯材6と同様に機能するものとなっている。
【0010】
トンネルを構成している底版1、頂版2、側壁3、隔壁4はいずれもRC造のものであることから当然にこれらには鉄筋8が配筋されているが、底版1および頂版2にはトンネルの長さ方向および幅方向の双方にPC鋼材9,10がそれぞれ所定ピッチで全体として格子状に配設されており、それらPC鋼材9,10が緊張されて定着されることで底版1および頂版2にはそれぞれプレストレスが導入されている。
【0011】
この場合、トンネルの長さ方向へのプレストレスの導入はPC鋼材9を通常の手法で緊張し定着することで支障なく行い得るが、トンネルの幅方向(土留壁5が対向している方向、つまり図1において左右方向)へのプレストレスの導入は必ずしも容易に行えるものではない。つまり、通常であれば底版1や頂版2の幅全体にわたって1本のPC鋼材を配設してその両端部を底版1や頂版2の端部に対してそのまま定着すれば良いのであるが、本実施形態では底版1および頂版2の端部には側壁3が一体に形成されているとともに、さらにその外側には土留壁5が一体に形成されていることから、通常の手法でのPC鋼材の緊張と定着は困難であり、そのため本実施形態では2本のPC鋼材10a、10bを対として用いるようにしている。
【0012】
すなわち、底版1に対してはPC鋼材10aの一端部を底版1の一方の端部(図において左側)に対して定着するとともに、そのPC鋼材10aの他端部を底版1の他方側(図において右側)において上面側に引き出し、ポストテンション工法により緊張して底版1の上面に膨出させて設けた定着部11に対して定着している。そして、上記のPC鋼材10aと左右対称的に他のPC鋼材10bを配設し、それら2本のPC鋼材10a、10bを対としてそれらを少なくとも底版1の中央部においてラップさせることで底版1の幅全体にわたってプレストレスを導入している。底版1に対するPC鋼材10a、10bの配設および緊張作業は、予め一端部に定着具12を取り付けたPC鋼材10a、10bをシース管(図示略)内に挿入して、そのシース管を配筋作業の際に所定位置に配置し、コンクリートを同時して所定強度が発現した後、PC鋼材10a、10bの他端側を緊張して定着部11に対して定着すれば良い。なお、PC鋼材10としてはPC鋼線やピアノ線が好適に採用可能である。定着部11の位置は緊張作業を効率的に行うことができる範囲で側壁3側に接近させた位置に設定することが好ましく、その定着部11は最終的には内巻きコンクリートあるいは舗装等の仕上げ材中に埋設してしまえば良い。
【0013】
また、頂版2に対しても同様に左右対称的に2本のPC鋼材10a、10bを配設し、それらを対としてプレストレスを導入するものとしているが、本実施形態では頂版2の上面に設ける定着部11の位置を底版1におけるそれよりもトンネルの中心側にずらしたものとしている。勿論、頂版2上には埋め戻しがなされるのでそこに定着部11が膨出していても支障はない。
【0014】
なお、PC鋼材10は底版1および頂版2に生じる曲げモーメントを考慮して主として引張力を受ける位置に配設されている。すなわち、本実施形態のトンネルにおける頂版2は鉛直荷重を受けることから側壁3および隔壁4の位置では上面側が引張側となり、側壁3と隔壁4との間では下面側が引張側となるので、PC鋼材10はそれらの引張側となる位置に沿って配設されている。逆に、底版1は浮き上がり荷重を受けることから側壁3および隔壁4の位置では下面側が引張側となり、側壁3と隔壁4との間では上面側が引張側となるので、PC鋼材10はそれらの引張側となる位置に沿って配設されている。
【0015】
上記実施形態のトンネルでは、底版1および頂版2としての床版の幅方向にプレストレスを導入するために、2本のPC鋼材10(10a、10b)を対としてそれらの一端をそれぞれ床版の端部に対して定着するとともに、それらPC鋼材10の他端側を床版の中央部でラップさせて上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部11に対して定着するようにしたので、床版の幅方向に対してプレストレスを有効に導入することが可能となり、したがって床版のひび割れを有効に防止でき、その結果、地中構造物としての耐久性を向上させることができるし、それら床版の版厚を必要最小限にでき、また防水工を軽減することが可能となり、地中構造物の設計および施工の合理化を図ることができる。
【0016】
また、側壁3を土留壁5の内側に一体に設けて土留壁5を本設として利用することにより、側壁3の壁厚を削減することが可能である。さらに、土留壁5による引抜耐力を期待することができるため、底版1および頂版2の部材厚が薄くなり、合理的である。
【0017】
なお、上記実施形態では定着部11を床版の上面に突出させて設けたが、定着部はPC鋼材を床版の上面に対して定着できれば良いので、たとえば床版の上面側に凹部を形成することでそれを定着部とすることも考えられる。また、トンネルの長さ方向に配設するPC鋼材9も、上記のPC鋼材10と同様の手法で定着するようにしても勿論良い。
【0018】
そして、本発明は上記実施形態のようなトンネルに適用するのみならず、床版のひび割れを防止する必要のある各種の地中構造物、たとえばカルバートや地中タンク等の地中構造物全般に広く適用できるものであり、対象とする地中構造物の用途、規模、形態に応じて適宜の設計的な変更を行って最適なプレストレスを導入できるようにPC鋼材を最適に配設すれば良い。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明は、床版の幅方向にプレストレスを導入するために、2本のPC鋼材を対としてそれらの一端をそれぞれ床版の端部に対して定着するとともに、それらPC鋼材の他端側を床版の中央部でラップさせて上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部に対して定着するようにしたので、床版の幅方向に対してプレストレスを有効に導入することが可能であり、したがって床版のひび割れを有効に防止でき、その結果、地中構造物としての耐久性を向上させることができるし、それら床版の版厚を必要最小限にでき、また防水工を軽減することが可能となり、地中構造物の設計および施工の合理化を図ることができる。
【0020】
請求項2の発明は、底版としての床版と、頂版としての床版と、それら双方の床版の端部相互間に設けた側壁とによるトンネル状をなし、かつ側壁を土留壁の内面側に一体に設けたので、土留壁を本設として利用することにより側壁の壁厚を削減することが可能であるし、土留壁による引抜耐力を期待することができ、本発明をトンネルないしカルバートに適用して最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である地中構造物としてのトンネルの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 底版(床版)
2 頂版(床版)
3 側壁
4 隔壁
5 土留壁
6 芯材
7 中杭
8 鉄筋
9 PC鋼材
10(10a、10b) PC鋼材
11 定着部
12 定着具
【発明の属する技術分野】
本発明は地中に設けられる各種の土木・建築構造物に係わり、特に、土留壁の間に設ける鉄筋コンクリート造の床版に対してプレストレスを導入する構造の地中構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート造(RC造)のトンネルを開削工法により施工する際には、施工するべきトンネルの両側の位置に仮設の土留壁を対向させて設け、それら土留壁の間を開削して土留壁の間にRC造の躯体、すなわち底版となる床版、側壁、頂版となる床版を順次施工していくという工法が一般的に採用されている。また、頂版となる床版を先行施工した後、その下方を掘削して、側壁、底版となる床版、の順で施工する逆巻き工法も行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
いずれにしても、トンネルを構成するRC造の躯体、特に底版や頂版を構成する床版(スラブ)には多少なりともひび割れが生じることが不可避であり、そのためそれら床版の版厚や強度はひび割れが生じることを想定して余裕を持たせて設定する必要があり、かつ、ひび割れが生じた際にも止水性を確保するために充分な防水工事を行うことが不可欠である。
【0004】
なお、PC工法あるいはPRC工法により床版にプレストレスを導入すればひび割れの発生を抑制できるが、上記のような開削工法により地中に設ける床版に対してプレストレスを導入しようとする場合、特にその床版が土留壁の間に設けられる場合には、PC鋼材の緊張やその端部の定着を必ずしも容易に行うことができるものではなく、そのため従来においてはこの種の地中構造物にプレストレスを導入するようなことは広く普及するに至っていない。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は土留壁の間に設けられる床版に対しても有効にプレストレスを導入することができ、以て、その床版のひび割れを防止することのできる地中構造物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、対向状態で設けた土留壁の間に鉄筋コンクリート造の床版を設け、その床版にプレストレスを導入してなる地中構造物であって、土留壁の対向方向に沿って配設されて床版内に緊張状態で定着されるPC鋼材の一端部を一方の土留壁の近傍位置において床版内に定着するとともに、そのPC鋼材の他端部を他方の土留壁側において床版の上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部に対して定着し、かつそのPC鋼材と左右対称的に他のPC鋼材を配設して、それら双方のPC鋼材を対としてそれらPC鋼材を床版の中央部においてラップさせてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明の地中構造物において、底版としての床版と、頂版としての床版と、それら双方の床版の端部相互間に設けた側壁とによるトンネル状をなし、かつ側壁を土留壁の内面側に一体に設けてなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明をトンネルに適用した場合の実施形態を図1を参照して説明する。本実施形態のトンネルはRC造の矩形断面のもので、底版1としての床版、頂版2としての床版、側壁3、および隔壁4とを主要な躯体として構築されたものである。
【0009】
符号5は土留壁であるが、本実施形態ではその土留壁5としてH形鋼6を芯材とするソイルミキシングウォールを採用して支持層に根入れしており、かつトンネルの側壁3を土留壁5の内面に一体に形成してトンネル完成後も土留壁5をそのまま残置して本設構造物として利用するものとしており、それにより完成後のトンネルに作用する鉛直荷重の一部を土留壁5に負担させ、特に上方への引抜力に対する耐力を土留壁5の芯材6に持たせるものとしている。なお、隔壁4内にはH形鋼からなる中杭7が設けられ、これも土留壁5の芯材6と同様に機能するものとなっている。
【0010】
トンネルを構成している底版1、頂版2、側壁3、隔壁4はいずれもRC造のものであることから当然にこれらには鉄筋8が配筋されているが、底版1および頂版2にはトンネルの長さ方向および幅方向の双方にPC鋼材9,10がそれぞれ所定ピッチで全体として格子状に配設されており、それらPC鋼材9,10が緊張されて定着されることで底版1および頂版2にはそれぞれプレストレスが導入されている。
【0011】
この場合、トンネルの長さ方向へのプレストレスの導入はPC鋼材9を通常の手法で緊張し定着することで支障なく行い得るが、トンネルの幅方向(土留壁5が対向している方向、つまり図1において左右方向)へのプレストレスの導入は必ずしも容易に行えるものではない。つまり、通常であれば底版1や頂版2の幅全体にわたって1本のPC鋼材を配設してその両端部を底版1や頂版2の端部に対してそのまま定着すれば良いのであるが、本実施形態では底版1および頂版2の端部には側壁3が一体に形成されているとともに、さらにその外側には土留壁5が一体に形成されていることから、通常の手法でのPC鋼材の緊張と定着は困難であり、そのため本実施形態では2本のPC鋼材10a、10bを対として用いるようにしている。
【0012】
すなわち、底版1に対してはPC鋼材10aの一端部を底版1の一方の端部(図において左側)に対して定着するとともに、そのPC鋼材10aの他端部を底版1の他方側(図において右側)において上面側に引き出し、ポストテンション工法により緊張して底版1の上面に膨出させて設けた定着部11に対して定着している。そして、上記のPC鋼材10aと左右対称的に他のPC鋼材10bを配設し、それら2本のPC鋼材10a、10bを対としてそれらを少なくとも底版1の中央部においてラップさせることで底版1の幅全体にわたってプレストレスを導入している。底版1に対するPC鋼材10a、10bの配設および緊張作業は、予め一端部に定着具12を取り付けたPC鋼材10a、10bをシース管(図示略)内に挿入して、そのシース管を配筋作業の際に所定位置に配置し、コンクリートを同時して所定強度が発現した後、PC鋼材10a、10bの他端側を緊張して定着部11に対して定着すれば良い。なお、PC鋼材10としてはPC鋼線やピアノ線が好適に採用可能である。定着部11の位置は緊張作業を効率的に行うことができる範囲で側壁3側に接近させた位置に設定することが好ましく、その定着部11は最終的には内巻きコンクリートあるいは舗装等の仕上げ材中に埋設してしまえば良い。
【0013】
また、頂版2に対しても同様に左右対称的に2本のPC鋼材10a、10bを配設し、それらを対としてプレストレスを導入するものとしているが、本実施形態では頂版2の上面に設ける定着部11の位置を底版1におけるそれよりもトンネルの中心側にずらしたものとしている。勿論、頂版2上には埋め戻しがなされるのでそこに定着部11が膨出していても支障はない。
【0014】
なお、PC鋼材10は底版1および頂版2に生じる曲げモーメントを考慮して主として引張力を受ける位置に配設されている。すなわち、本実施形態のトンネルにおける頂版2は鉛直荷重を受けることから側壁3および隔壁4の位置では上面側が引張側となり、側壁3と隔壁4との間では下面側が引張側となるので、PC鋼材10はそれらの引張側となる位置に沿って配設されている。逆に、底版1は浮き上がり荷重を受けることから側壁3および隔壁4の位置では下面側が引張側となり、側壁3と隔壁4との間では上面側が引張側となるので、PC鋼材10はそれらの引張側となる位置に沿って配設されている。
【0015】
上記実施形態のトンネルでは、底版1および頂版2としての床版の幅方向にプレストレスを導入するために、2本のPC鋼材10(10a、10b)を対としてそれらの一端をそれぞれ床版の端部に対して定着するとともに、それらPC鋼材10の他端側を床版の中央部でラップさせて上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部11に対して定着するようにしたので、床版の幅方向に対してプレストレスを有効に導入することが可能となり、したがって床版のひび割れを有効に防止でき、その結果、地中構造物としての耐久性を向上させることができるし、それら床版の版厚を必要最小限にでき、また防水工を軽減することが可能となり、地中構造物の設計および施工の合理化を図ることができる。
【0016】
また、側壁3を土留壁5の内側に一体に設けて土留壁5を本設として利用することにより、側壁3の壁厚を削減することが可能である。さらに、土留壁5による引抜耐力を期待することができるため、底版1および頂版2の部材厚が薄くなり、合理的である。
【0017】
なお、上記実施形態では定着部11を床版の上面に突出させて設けたが、定着部はPC鋼材を床版の上面に対して定着できれば良いので、たとえば床版の上面側に凹部を形成することでそれを定着部とすることも考えられる。また、トンネルの長さ方向に配設するPC鋼材9も、上記のPC鋼材10と同様の手法で定着するようにしても勿論良い。
【0018】
そして、本発明は上記実施形態のようなトンネルに適用するのみならず、床版のひび割れを防止する必要のある各種の地中構造物、たとえばカルバートや地中タンク等の地中構造物全般に広く適用できるものであり、対象とする地中構造物の用途、規模、形態に応じて適宜の設計的な変更を行って最適なプレストレスを導入できるようにPC鋼材を最適に配設すれば良い。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明は、床版の幅方向にプレストレスを導入するために、2本のPC鋼材を対としてそれらの一端をそれぞれ床版の端部に対して定着するとともに、それらPC鋼材の他端側を床版の中央部でラップさせて上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部に対して定着するようにしたので、床版の幅方向に対してプレストレスを有効に導入することが可能であり、したがって床版のひび割れを有効に防止でき、その結果、地中構造物としての耐久性を向上させることができるし、それら床版の版厚を必要最小限にでき、また防水工を軽減することが可能となり、地中構造物の設計および施工の合理化を図ることができる。
【0020】
請求項2の発明は、底版としての床版と、頂版としての床版と、それら双方の床版の端部相互間に設けた側壁とによるトンネル状をなし、かつ側壁を土留壁の内面側に一体に設けたので、土留壁を本設として利用することにより側壁の壁厚を削減することが可能であるし、土留壁による引抜耐力を期待することができ、本発明をトンネルないしカルバートに適用して最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である地中構造物としてのトンネルの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 底版(床版)
2 頂版(床版)
3 側壁
4 隔壁
5 土留壁
6 芯材
7 中杭
8 鉄筋
9 PC鋼材
10(10a、10b) PC鋼材
11 定着部
12 定着具
Claims (2)
- 対向状態で設けた土留壁の間に鉄筋コンクリート造の床版を設け、その床版にプレストレスを導入してなる地中構造物であって、土留壁の対向方向に沿って配設されて床版内に緊張状態で定着されるPC鋼材の一端部を一方の土留壁の近傍位置において床版内に定着するとともに、そのPC鋼材の他端部を他方の土留壁側において床版の上面側に引き出して床版の上面に設けた定着部に対して定着し、かつそのPC鋼材と左右対称的に他のPC鋼材を配設して、それら双方のPC鋼材を対としてそれらPC鋼材を床版の中央部においてラップさせてなることを特徴とする地中構造物。
- 底版としての床版と、頂版としての床版と、それら双方の床版の端部相互間に設けた側壁とによるトンネル状をなし、かつ側壁を土留壁の内面側に一体に設けてなることを特徴とする請求項1記載の地中構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002218757A JP2004060232A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 地中構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002218757A JP2004060232A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 地中構造物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004060232A true JP2004060232A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31939857
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002218757A Withdrawn JP2004060232A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 地中構造物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004060232A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104727342A (zh) * | 2015-02-11 | 2015-06-24 | 上海市政工程设计研究总院(集团)有限公司 | 加肋空心板型地下通道结构 |
CN106677215A (zh) * | 2017-02-17 | 2017-05-17 | 厦门中平公路勘察设计院有限公司 | 一种后张法预应力混凝土明挖现浇隧道施工工艺 |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002218757A patent/JP2004060232A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104727342A (zh) * | 2015-02-11 | 2015-06-24 | 上海市政工程设计研究总院(集团)有限公司 | 加肋空心板型地下通道结构 |
CN106677215A (zh) * | 2017-02-17 | 2017-05-17 | 厦门中平公路勘察设计院有限公司 | 一种后张法预应力混凝土明挖现浇隧道施工工艺 |
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