JP2004058956A - 電動ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】動力ケーブルの断線やモータドライバの暴走などのフェール時に制動トルクの軽減を図り車両のコントロールを確実に果すことができる電動ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】電動ブレーキ装置1のモータ10に接続される主動力ケーブル16U,16V,16Wの断線又は短絡等の異常時に、異常検出回路30は、前記異常に伴う電圧変化に基づいて異常を検出し、リレー34を作動して、主動力ケーブル16U,16V,16Wを切り離すと共に、簡易モータドライバ33を閉作動して簡易動力ケーブル40U,40V,40Wを通してモータ10に電力供給し、制動力を解除する方向にモータ10を回転させる。このように異常状態時に制動力を解除するので、異常状態時においても車両の移動が可能になると共に車両運動制御の幅が広くなる。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動アクチュエータの回転力によって制動力を発生させる電動ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの車両の制動装置として、ブレーキ液圧管路を使用せず、電動アクチュエータの出力によって制動力を発生させるようにした、所謂電動ブレーキ装置が知られている。
【0003】
電動ブレーキ装置としては、特開昭60−206766号公報に開示されているように、ピストンによってブレーキパッドをディスクロータに押圧させることにより、制動力を発生させるようにした電動ブレーキ装置がある。この種の電動ブレーキ装置は、運転者によるブレーキペダル踏力(又は変位量)をセンサによって検出し、コントローラによって、この検出に応じてモータ(電動アクチュエータ)の回転を制御して、所望の制動力を得るようにしている。
【0004】
また、上記のような電動ブレーキ装置においては、各種センサを用いて、各車輪の回転速度、車両速度、車両加速度、操舵角、車両横加速度などの車両状態を検出し、これらの検出に基づいてメインコントローラやモータドライバなどのコントローラによってモータの回転を制御することにより、倍力制御、アンチロック制御、トラクション制御及び車両安定化制御などを比較的簡単に組み込むことができる。
【0005】
また、他の電動ブレーキ装置の一例として、特開2001−343036号公報に開示されているものがある。この電動ブレーキ装置は、ディスクの両側に配置される一対のブレーキパッドと、前記一対のブレーキパッドの少なくとも一方に対向させてキャリパ本体内に設けられたピストンと、前記キャリパ本体に設けられ、ロータを回転させるモータと、該モータにより回転するロータの回転運動を直線運動に変換して前記ピストンに伝達する変換機構部と、前記ピストンのストローク位置を検出する位置検出手段と、制動信号の入力と前記位置検出手段の検出結果とに基づいて前記モータを制御する制御回路とを有し、前記ピストンを介してブレーキパッドをディスクに押圧させることで車輪に制動力を発生させるようにしている。この電動ブレーキ装置は、さらに、ブレーキパッドの偏摩耗を検出するパッド偏摩耗検出手段を有し、制御回路は、パッド偏摩耗検出手段の検出結果に応じて、ブレーキパッドとディスクのクリアランスを広げるようにモータを制御するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、モータに接続される動力ケーブルの断線や、制御回路に制御されてモータを駆動するモータドライバの暴走時等には、モータには異常な電圧が印加されてフェール状態になることがある。そして、このようなフェール時には、車両をコントロールする上で、制動トルクを発生しないようにブレーキパッドを戻すことが望まれている。しかしながら、上述した従来技術では、このような対策が施されていないというのが実情であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、動力ケーブルの断線やモータドライバの暴走などのフェール時に制動トルクの軽減を図り車両のコントロールを確実に果すことができる電動ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、車両に搭載された制御回路と、キャリパ内に設けられ前記制御回路からの駆動信号に基づいて作動される電動アクチュエータと、該電動アクチュエータの作動によりブレーキパッドをディスクロータに押し付けて制動力を発生する電動ブレーキ装置において、前記キャリパには、前記駆動信号が異常であるか否かを判定する判定回路と、該判定回路により前記駆動信号が異常と判定されたときに前記電動アクチュエータをフェイルセーフ制御するフェイル制御回路と、を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記フェイルセーフ制御は、前記電動アクチュエータをブレーキ解除作動させる制御であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記キャリパには、前記ブレーキ解除作動をさせるための電動アクチュエータ作動用電源が設けられていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施の形態に係る電動ブレーキ装置を図1ないし図5に基づいて説明する。
【0012】
図1ないし図3に示すように、電動ブレーキ装置1は、車輪(図示せず)とともに回転するディスクロータ2の一側(通常は車体に対して内側)にキャリパ本体3が配置されており、キャリパ本体3には、当該キャリパ本体3と共に略C字形に形成されてディスクロータ2を跨いで反対側へ延びる爪部4が延設されており、キャリパ本体3と共にキャリパ5を構成している。ディスクロータ2の両側、すなわち、ディスクロータ2とキャリパ5本体3との間及び爪部4の先端部との間に、それぞれブレーキパッド6,7が設けられている。
【0013】
ブレーキパッド6,7は、車体側に固定される図示しないキャリヤによってディスクロータ2の軸方向(図1左右方向)に沿って移動可能に支持され、制動トルクがキャリヤで受けられるようになっている。また、キャリパ5は、キャリヤに取付けられたスライドピン(図示省略)によってディスクロータ2の軸方向に沿って摺動可能に案内されている。キャリパ本体3には、有底の円筒状のケース8が設けられており、ケース8の開口部には環状のフランジ部9が設けられている。ケース8内にはモータ10(電動アクチュエータ)が設けられている。
【0014】
モータ10は、ケース8の内周部に固定されたステータ11と、ステータ11の内周側に回転可能に、かつ、軸方向に移動可能に支持されたロータ12と、ロータ12の回転位置を検出する位置検出器13とを備えている。 ステータ11に設けられるY結線されたU相、V相、W相の3相コイル14U,14V,14Wは、動力ケーブル(以下、主動力ケーブルという。)16U,16V,16Wを介してモータドライバ18及び電源(バッテリ)19に接続されており、コイル14U,14V,14Wに電力が供給されることでロータ12が回転するようになっている。U相、V相、W相コイル14U,14V,14Wにそれぞれ接続される主動力ケーブル16U,16V,16Wを以下、適宜、U相、V相、W相主動力ケーブル16U,16V,16Wという。
【0015】
モータ10のステータ11には、このモータ10の回転運動を直線運動に変換するボールねじ機構20が取付けられている。ボールねじ機構20には、ステータ11に固定される略筒状の本体部21が設けられている。ボールねじ機構20の本体部21には、軸部22が挿入されている。軸部22は、一端側がロータ12に連結され、他端側がフランジ部9の孔(符号省略)を通してケース8外に突出し、その他端部には、ブレーキパッド6に対面するピストン23が設けられている。ボールねじ機構20の本体部21の内周側及び軸部22の外周部には相互に螺合するねじ24が形成されており、ロータ12の回転により軸部22ひいてはピストン23が進退動するようになっている。
【0016】
キャリパ本体3のケース8の外周部には、各種電子部品等を搭載し、異常検出回路30(判定回路、フェイル制御回路)及び電源電圧測定部31を有する基板32と、簡易モータドライバ33と、モータ10及びモータドライバ18間における主動力ケーブル16U,16V,16Wに設けられるリレー34とが設けられている。ケース8の外周部には、さらに、基板32及びリレー34を覆うように配置されてこれらを保護するシーリング部材35が設けられている。
【0017】
電源電圧測定部31は、直列接続される抵抗(符号省略)及びダイオード(符号省略)からなり、U相、V相、W相動力ケーブルにそれぞれ分岐接続されたU相、V相、W相線路部36U,36V,36Wを有し、U相、V相、W相線路部36U,36V,36Wのダイオード側の端子部は互いに接続されてコンデンサ37を介して接地されている。電源電圧測定部31が検出する電源(バッテリ)19の電圧信号は、前記異常検出回路30に入力されて、3相コイル14U,14V,14Wの中性点38電圧とともに異常検出回路30による異常電圧の監視のために用いられるようになっている。
【0018】
リレー34は、主動力ケーブル16U,16V,16Wの開閉を行なう開閉部(図示省略)と、この開閉部の開閉を制御するリレー開閉部制御部(図示省略)とからなっている。リレー34の開閉部は、電源電圧測定部31に比して、U相、V相、W相の3相コイル14U,14V,14Wの中性点38に近い側に設けられている。
【0019】
また、主動力ケーブル16U,16V,16Wにおける、リレー34の開閉部より中性点38に近い側には、動力ケーブル(簡易動力ケーブルという。)40U,40V,40Wが分岐接続されている。簡易動力ケーブル40U,40V,40Wの他端部は電源(以下、簡易電源という。)41に接続されている。
前記簡易モータドライバ33は、図4に示す簡易動力ケーブル40U,40V,40Wの開閉を行なうトランジスタブリッジ回路42と、このトランジスタブリッジ回路42の開閉を制御するトランジスタブリッジ回路制御部43とからなっている。
【0020】
トランジスタブリッジ回路42は、図4に示すように、U相、V相、W相の簡易動力ケーブル40U,40V,40Wにそれぞれ対応して設けられるU相、V相、W相ブリッジ44U,44V,44Wからなっている。U相、V相、W相ブリッジ44U,44V,44Wは各2つのnpn型のトランジスタ(U1,U2,V1,V2,W1,W2)を有しており、各トランジスタのベースがトランジスタブリッジ回路制御部43に接続されている。U相ブリッジの1つのトランジスタ(U相第1トランジスタ)U1のエミッタと他のトランジスタ(U相第2トランジスタ)U2のコレクタとの接続部がU相の簡易動力ケーブル40U,40V,40Wに接続されている。V相ブリッジ44Vも、U相ブリッジ44Uと同様に接続される、V相第1、第2トランジスタV1,V2を有している。W相ブリッジ44Wも、U相ブリッジ44Uと同様に接続される、W相第1、第2トランジスタW1,W2を有している。
【0021】
トランジスタブリッジ回路42(U相、V相、W相ブリッジ44U,44V,44W)の各トランジスタは、図5に示す信号が供給されてスイッチング作動する。そして、このスイッチング作動に合わせてU相、V相、W相の簡易動力ケーブル40U,40V,40Wを通してモータ10に電力供給され、モータ10が回転作動されるようになっている。
【0022】
モータドライバ18は、主動力ケーブル16U,16V,16Wの開閉を行なう開閉部(図示省略)と、この開閉部の開閉を制御するモータドライバ開閉部制御部(図示省略)とからなっている。モータドライバ18の開閉部は、前記電源電圧測定部31に比して、3相コイル14U,14V,14Wの中性点38から離間する側に設けられている。
【0023】
モータドライバ18のモータドライバ開閉部制御部にはメインコントローラ45(制御回路)が接続されている。メインコントローラ45は、図示しない踏力センサ、車両状態検出センサ等の検出信号に基づいて駆動信号を生成し、この駆動信号をモータドライバ18に出力する。モータドライバ18は、メインコントローラ45からの駆動信号に基づいて開閉部を開閉制御し、駆動信号に応答してロータ12を所望トルクで所望角度だけ回転させ、ひいてはボールねじ機構20を介してブレーキパッド6,7をディスクロータ2に押圧させて所望の制動力を発生させるようにしている。
【0024】
この実施の形態では、主動力ケーブル16U,16V,16Wがキャリパ5及びモータドライバ18間において断線又は短絡したり、メインコントローラ45又はモータドライバ18が制御不能になった場合には、リレー34が作動されて、主動力ケーブル16U,16V,16Wが開状態とされる(切り離される)。この主動力ケーブル16U,16V,16Wの切り離しは、モータ10に印加される電圧に対する異常検出回路30の監視に基づいて行なわれるものであり、異常検出回路30が異常であると検出した際に、リレー34の開閉部を開作動して実行される。そして、このときの主動力ケーブル16U,16V,16Wの切り離しと同時、又はその後に、簡易モータドライバ33が閉作動されて、簡易電源41が簡易動力ケーブル40U,40V,40Wを介してモータ10に接続されモータ10への電力供給を行なえるようにする。
【0025】
異常検出回路30は、直列接続された複数の抵抗(符号省略)からなり一端側が後述する部分に接続され他端側が接地された6つの抵抗線路(以下、第1〜6抵抗線路という。)51〜56と、4つのコンパレータ(以下、第1〜4コンパレータという。)61〜64と、第1コンパレータ61の出力部に接続されたワンショットマルチバイブレータ65と、ワンショットマルチバイブレータ65の出力信号をリセット端子(R)に入力するフリップフロップ66と、第2〜4コンパレータ62〜64のそれぞれから信号を入力してフリップフロップ66のセット端子(S)に信号を出力するオア回路67と、を備えている。そして、この異常検出回路30は、フリップフロップ66から、主動力ケーブル16U,16V,16W等の状態に応じて異常信号又は異常で無いことを示す信号(非異常信号)を選択的に出力し、これにより簡易モータドライバ33を制御するようにしている。
【0026】
前記第1抵抗線路51は2つの抵抗からなり、その一端部は3相コイル14U,14V,14Wの中性点38に接続されている。2つの抵抗の接続部分は第2コンパレータ62のプラス(+)端子、第3コンパレータ63のマイナス(−)端子、第4コンパレータ64のマイナス端子に接続されている。
第2抵抗線路52は3つの抵抗からなり、その一端部は前記U相線路部36Uのダイオード側の端子部に接続され、接地部から2つ目と3つ目の抵抗の接続部分は、第3コンパレータ63のプラス端子に接続されている。
【0027】
第3抵抗線路53は3つの抵抗からなり、その一端部は前記U相線路部36Uのダイオード側の端子部に接続され、接地部から1つ目と2つ目の抵抗の接続部分は、第2コンパレータ62のマイナス端子に接続されている。第4抵抗線路54は2つの抵抗からなり、その一端部は前記U相線路部36Uのダイオード側の端子部に接続され、2つの抵抗の接続部分は、第1コンパレータ61のプラス端子に接続されている。
【0028】
第5抵抗線路55は2つの抵抗からなり、その一端部は当該異常検出回路30の制御用電源Vccに接続され、2つの抵抗の接続部分は、第1コンパレータ61のマイナス端子に接続されている。第6抵抗線路56は2つの抵抗からなり、その一端部は当該異常検出回路30の制御用電源Vccに接続され、2つの抵抗の接続部分は、第4コンパレータ64のプラス端子に接続されている。
【0029】
この異常検出回路30では、電源電圧測定部31の出力信号により電源(バッテリ)19の電圧を測定する。モータドライバ18が開閉作動(スイッチング)を行なっていて、電源(バッテリ)19の電圧がモータ10にかかるので、モータ10には、短時間でみると、0V又は電源(バッテリ)19の電圧がかかることになり、電源(バッテリ)19の電圧を測定することができる。3相コイル14U,14V,14Wの中性点38の電圧(以下、中性点38の電圧という。)は、モータドライバ18がサーボオン(モータドライバ18のモータドライバ開閉部制御部が開閉部を閉じるように信号出力する状態)のときには、電源(バッテリ)19電圧の1/2又は1/2付近の値になる。
【0030】
一方、主動力ケーブル16U,16V,16Wがキャリパ5及びモータドライバ18間において断線又は短絡したり、メインコントローラ45又はモータドライバ18が制御不能になったような異常状態になると、3相コイル14U,14V,14Wの電圧のバランスが崩れ、中性点38の電圧は、電源(バッテリ)19電圧の1/2又は1/2付近の値からずれてしまう。このように、異常状態時と通常時とで、中性点38の電圧が大きく異なることに基づいて、中性点38の電圧が電源(バッテリ)19電圧の1/2又は1/2付近の値からずれていた場合、異常検出回路30は、前記各部分が異常であるとの判断を行ない、フリップフロップ66から異常信号を簡易モータドライバ33に出力する。なお、第4コンパレータ64の検出により、中性点38の電圧が電源(バッテリ)19電圧の1/2又は1/2付近の値からずれていた場合において、そのうち特に、中性点38の電圧が0であると検出された際には、前記各部分が異常である又はサーボオフ(モータドライバ18のモータドライバ開閉部制御部が開閉部を開くように信号出力する状態)の状態にあるとの判断を行ない、このことを示す信号(異常信号又はサーボオフを示す信号)を出力する。
【0031】
異常検出回路30は、異常信号又はサーボオフを示す信号を入力すると、リレー34をオフする(開く)。一方、異常検出回路30は、上記信号を簡易モータドライバ33に出力する。すると簡易モータドライバ33は、モータ10を、制動力を発生させる回転方向と逆方向に回転させ、ピストン23の推力を無くさせる。このため、制動力は解除されることになる。このように、異常信号又はサーボオフを示す信号が発生されるような異常状態時には、制動力を解除するので、車両の移動が可能になると共に車両運動制御の幅が広くなる。
【0032】
また、上記異常状態が解消された場合、第1コンパレータ61は、U相、V相、W相の主動力ケーブル16U,16V,16Wに通常時の電圧が印加されたことを検出する。すると、ワンショットマルチバイブレータ65の出力パルスにより、フリップフロップ66のリセット端子に信号を出力し、フリップフロップ66をリセットさせる。そして、モータドライバ18がサーボオンしたときには、異常信号に代えて非異常信号が出力されてリレー34がオンされる(閉じられる)。これにより、主動力ケーブル16U,16V,16Wを介してモータ10に電力が供給されて制動力が発生する。
【0033】
異常時発生の際には、簡易モータドライバ33により上述したようにモータ10を通常ブレーキ時とは反対方向に戻すので、モータ10を回転させるために必要とされるトルクは小さくて済む。また、簡易モータドライバ33は、異常状態に対処して制動力を解除する場合、トランジスタブリッジ回路42(U相、V相、W相ブリッジ44U,44V,44W)に送出する信号は、比較的簡易なもので済むので、その分、回路構成を簡易にすることができる。
【0034】
なお、この実施の形態では、上述したように異常状態に対処して制動力を解除するようにしているが、制動力を解除するためのモータ10の回転作動(通常ブレーキ時とは反対方向)は、位置検出器13を用いずに行なっている。このため、位置検出器13が故障したような場合においても、上述した異常状態に対処することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施の形態に係る電動ブレーキ装置1Aを図6及び図7に基づいて説明する。前記第1実施の形態では、簡易モータドライバ33に電力供給するための簡易電源41をキャリパ5外に設けているが、この第2実施の形態では、簡易電源41Aをキャリパ5に設けたことが主に異なっている。
【0036】
この簡易電源41Aは、異常検出回路30に接続されるダイオードD1、抵抗R1及び2次電池B1と、2次電池B1に並列接続されてその過電圧防止を図るツェナーダイオードZ1と、U相線路部36Uのダイオード側の端子部に接続されるダイオードD2と、このダイオードD2に一端側が接続され、他端側が2次電池B1に接続される抵抗R2とから構成されている。この簡易電源41では、異常検出回路30や簡易モータドライバ33の制御電源としても用いている。
【0037】
この簡易電源41では、ダイオードD2及び抵抗R2を介して電源電圧測定部31から電力の供給を受けて2次電池B1が充電される。なお、2次電池B1の充電についてはこの例に限らず、キャリパ5内に設ける温度センサ、ピストン推力センサ(図示省略)に用いられる電源線を用いて2次電池B1を充電するようにしてもよい。この第2実施の形態では、簡易モータドライバ33の電源として簡易電源41Aをキャリパ5内に設けたので、キャリパ5とモータドライバ18間の配線を減らすことができる。
【0038】
次に、本発明の第3実施の形態に係る電動ブレーキ装置1Cを図8に基づき、第1、第2実施の形態を参照して説明する。この第3実施の形態は、異常検出回路30のフリップフロップ66の後段にインバータ80を設け、インバータ80にトランジスタ81を介して2次電池B2を設けている。この2次電池B2は配線82を介してモータドライバ18に接続されており、前記配線82を介して2次電池B2を充電し得るようにしている。モータドライバ18には、主動力ケーブル16U,16V,16Wの開閉を制御するトランジスタからなるスイッチング素子83が設けられている。スイッチング素子83をオンオフさせるためのトランジスタ84がスイッチング素子83のベースに接続されている。トランジスタ84には、フォトカプラ85が接続されている。フォトカプラ85には並列にnpn型のトランジスタ86が接続されている。このトランジスタ86のエミッタに前記配線82が接続されている。
【0039】
そして、前記異常検出回路30からの信号が異常信号である場合、非異常信号(正常信号)とし、この際、インバータ80の後段に設けたトランジスタ81をオンさせる。すると、モータドライバ18から電流が流れ、2次電池B2を充電するようにしている。
【0040】
また、スイッチング素子83を制御する信号は、フォトカプラ85により配線82に電流が流れ、2次電池B2が充電状態でなければスイッチング素子83に伝わらない。つまり、キャリパ5内で異常を検出した場合でも、モータドライバ18の出力を停止することができ安全性が向上する。また、モータドライバ18の立ち上げ時には、トランジスタ86をオン状態にすることによって、フリップフロップ66をリセットし通常運転できるようにしている。
【0041】
モータ10の断線故障に対応するため、図9ないし図11に示すように、モータ10のコイルを2重化し、2重化されたコイルのうち一方のコイル(制動力解除用Aコイルという。)14Aを通常のモータドライバ18に接続し、他方のコイル(制動力解除用Bコイルという。)14Bを簡易モータドライバ33に接続するようにしてもよい(第4実施の形態)。この場合、制動力解除用Bコイル14Bについては、ステータ11のティース部11Tに全て設ける必要はなく、2個以上のティース部11Tに設けるようにしてもよい。
【0042】
この実施の形態では、簡易モータドライバ33は、図10に示すように、簡易動力ケーブル40U,40V,40Wの開閉を行なうトランジスタブリッジ回路42Aと、このトランジスタブリッジ回路42Aの開閉を制御するトランジスタブリッジ回路制御部43Aとからなっている。トランジスタブリッジ回路42Aは、それぞれ直列接続された2つのnpn型のトランジスタTrを有する4つのブリッジ441〜444を有している。そのうち2つのブリッジ441,442が制動力解除用Aコイル14Aに用いられ、他の2つのブリッジ443,444が制動力解除用Bコイル14Bに用いられている。そして、制動力解除用Aコイル14A及び制動力解除用Bコイル14Bには、図11に示すような電流を流すようにしている。
【0043】
【発明の効果】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の発明によれば、判定回路により制御回路からの駆動信号が異常と判定されたときに、フェイル制御回路は、電動アクチュエータをフェイルセーフ制御するので、異常時において車両制御の確保を図ることが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、異常時において電動アクチュエータをブレーキ解除作動させるので、車両制御を確実に行なえるようになる。
請求項3記載の発明によれば、キャリパに、電動アクチュエータのブレーキ解除作動のための電源が設けられているので、前記電源をキャリパ外に設ける場合に比して配線量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態の電動ブレーキ装置を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1の装置の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】図2の異常検出回路を示す回路図である。
【図4】図1の簡易モータドライバを示すブロック図である。
【図5】図4の簡易モータドライバで用いられる信号波形を示す図である。
【図6】本発明の第2実施の形態の電動ブレーキ装置の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【図7】図6の2次電池及びその周囲部分の回路構成を示す図である。
【図8】本発明の第3実施の形態の電動ブレーキ装置の回路構成を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第4実施の形態の電動ブレーキ装置に係るモータのステータを模式的に示す断面図である。
【図10】図9の簡易モータドライバを示すブロック図である。
【図11】図10の簡易モータドライバで用いられる信号波形を示す図である。
【符号の説明】
1 電動ブレーキ装置
5 キャリパ
30 異常検出回路(判定回路、フェイル制御回路)

Claims (3)

  1. 車両に搭載された制御回路と、キャリパ内に設けられ前記制御回路からの駆動信号に基づいて作動される電動アクチュエータと、該電動アクチュエータの作動によりブレーキパッドをディスクロータに押し付けて制動力を発生する電動ブレーキ装置において、
    前記キャリパには、前記駆動信号が異常であるか否かを判定する判定回路と、該判定回路により前記駆動信号が異常と判定されたときに前記電動アクチュエータをフェイルセーフ制御するフェイル制御回路と、を設けたことを特徴とする電動ブレーキ装置。
  2. 前記フェイルセーフ制御は、前記電動アクチュエータをブレーキ解除作動させる制御であることを特徴とする請求項1記載の電動ブレーキ装置。
  3. 前記キャリパには、前記ブレーキ解除作動をさせるための電動アクチュエータ作動用電源が設けられていることを特徴とする請求項2記載の電動ブレーキ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101486275B1 (ko) 2013-05-03 2015-01-28 주식회사 만도 전동식 부스터의 제어 장치 및 그 제어 방법

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