JP2004057142A - 果実袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】イチジクの実に被装する果実袋に関し、害虫が袋内に侵入する隙間を生じることなく開口部を確実に閉じられる機能、及び装着作業の作業性を向上。
【解決手段】合成樹脂フィルム製袋本体aの一辺に設けた開口部2と、該開口部2の一端に接合される封着辺部4とを有し、上記開口部2に沿ってポリチャック3を設けて同開口部2を開閉可能に成し、この開口部2の一端に上記封着辺部4の端部を近接せしめて、封着辺部4の端部と開口部2一端との間に果実bの茎b1を挿通させる挿通口5を形成し、上記ポリチャック3の開閉により同挿通口5を縮小且つ解放可能にする。
【選択図】 図1
【解決手段】合成樹脂フィルム製袋本体aの一辺に設けた開口部2と、該開口部2の一端に接合される封着辺部4とを有し、上記開口部2に沿ってポリチャック3を設けて同開口部2を開閉可能に成し、この開口部2の一端に上記封着辺部4の端部を近接せしめて、封着辺部4の端部と開口部2一端との間に果実bの茎b1を挿通させる挿通口5を形成し、上記ポリチャック3の開閉により同挿通口5を縮小且つ解放可能にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は果実、特にイチジクの害虫被害を効果的に低減する果実袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、果実に被せることにより害虫からの加害を防止する果実袋は果物の種類別に多くのものが開発されているが、本発明の果実袋が特に用いられるイチジク用の果実袋にもいくつかのものが開発されている。
イチジクに害を与える害虫としてはヒラズハナアザミウマ、ハナアザミウマ,キイロハナアザミウマ等のスリップス類、特にミカンキイロアザミウマが、イチジクを収穫までの50日〜60日の時期において、果頂部の開口より侵入して加害するため、果実内部が黄褐色〜黒褐色に変色し、見かけが悪くなり、食味も悪くなる。このように害虫により受ける被害は収穫果実のまさに20%にもおよび、生産者には深刻な問題であった。
従来は上記した如き害虫による被害の対策として、薬剤散布をはじめ圃場周辺の栽培環境を整備し、シロツメクサ、ムラサキツクサ、ネギ、キク等の誘引、増殖植物を少なくすると共に、6月中旬から7月下旬の主たる加害時期(収穫までの約50日〜60日)に防除を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、イチジクの害虫対策として他の果実と同様な果実袋も用いられている。上記した主たる加害時期に合わせてイチジクの実に果実袋を被覆し、果頂に開く開口部から害虫が侵入することを防止するものが多い。
例えば、袋の開口部に輪ゴムを装着し、これをイチジクの実に被せて開口部を輪ゴムの収縮により閉じるものである(実開昭55−17479号,特開昭53−20349号,特開昭63−1213322号)。
しかし、これらの果実袋は、輪ゴムによる密着度が緩く、輪ゴムと果実の間に生じる隙間から害虫が侵入してしまう場合が多い。ちなみに、アザミウマの侵入を防ぐには、隙間若しくは穴の寸法は、0.3mm以下である必要がある。また、ゴムは紫外線による劣化が顕著であり、防護期間が短くなる欠点があった。
【0004】
果実袋の中には、袋の開口部に針金を取付け、イチジクの実に被せた状態で開口部の針金を締め付けて害虫の侵入を防止するものもある(実公昭34−14334号,実開昭54−148235号)。しかし、開口部に針金等を用いた果実袋は、イチジクの実の生長に応じて太くなる茎に針金が食い込んでイチジクの実にダメージを与えることもあった。
また、イチジクの茎を挿通する部位を絞ったポリエチレン等の合成樹脂にて構成した果実袋もあるが、イチジクの生長に対応できず緊張して破れたり果実を圧迫して傷めてしまう欠点があった。
さらに、従来、イチジクに使用する果実袋においては、袋内部に入り込んだ水分を排水する排水機能に劣っており、袋の内部に残る水分によりイチジクの果実が腐ってしまう場合もあった。
【0005】
イチジクに用いる果実袋は上記したように多くの問題に対応する必要があり、他の果実袋とは異なる部分で開発が難しくなる。
その一つとして、害虫となるヒラズハナアザミウマは0.3mm以上の隙間があれば果実袋内に侵入できる。よって、イチジクに果実袋を装着した際に茎と袋の入り口との間に0.3mm以上の間隙ができない様に工夫する必要がある。
また、イチジクの果実一つ一つに果実袋を装着する作業は果実の数が多いために手間がかかってはならず、よって果実袋はイチジクの果実に簡単且つ確実に装着できる良好な作業性を具備する必要がある。
さらに、果実袋内には雨や結露のために水分が溜まることがあるが、この水分が果実を腐らせてしまうこともあるので、イチジクに用いる果実袋には排水性と適度な通気性を兼備えていることが要求される。
【0006】
本発明は、上記した如き従来事情に鑑み成されたものであり、その課題は、果実、特にイチジクの実に被装する果実袋に関し、イチジクの茎部の表面と果実袋の開口部との間にアザミウマ等の害虫が侵入する隙間を生じることなく開口部を確実に閉じられる機能、及び良好な装着作業性を具備せしめることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した如き課題を解決するために、本発明の果実袋は、合成樹脂フィルムから成る袋本体を具備し、この袋本体の開口部にポリチャックを設けて開閉可能に成してある。尚、ここで言うポリチャックとは、多くの場合、断面が略Ω形の線条体(雄側)と断面C形の嵌合溝(雌側)とを嵌脱可能に係合するように構成したものであり、ビニル袋の開口を開閉可能にシールするためなどの用途に広く用いられているものである。
上記開口部の一端には、同袋本体に設けた封着辺部の端部を近接せしめてある。そして、この封着辺部端部と上記開口部一端との間には果実(イチジク)の茎を挿通させる挿通口を形成してある、上記ポリチャックはある程度の圧力により開け閉めできる。またイチジクの生長に合わせて茎や果実そのものが太くなってもポリチャックが徐々に開いて径を増すことにより対応できる。
【0008】
請求項2記載の果実袋は、上記した請求項1記載の果実袋のポリチャックの一辺と、封着辺部とが挟む角度を鈍角としたものである。よって、イチジクの果実に果実袋を被せてポリチャックを閉じた状態(挿通口が閉じた状態)でイチジクの実や茎が生長して徐々に大きく且つ太くなった場合でも、上記挿通口は茎の太さの変化にともなって徐々に開いて対応する。また、イチジクの果実が大きくなっても、上記したように、ポリチャックの一辺と封着辺部とが挟む角度が鈍角に設定してあるので、余裕をもってイチジクの果実を被覆することができる。
【0009】
請求項3記載の果実袋は、上記した請求項1又は2の果実袋にあって、袋本体下部の一部分に不織布から成る水抜き部を設けて成るものである。袋本体内に溜まった雨や結露の水分は、果実を腐らせることがあるため袋本体内から速やかに排出する必要がある。上記した果実袋には不織布から成る水抜き部を設けてあるので、袋内に溜まった水分を通過させて速やかに排出することが可能となる。
また、果実袋内は適度に換気することが望ましいが、上記したように不織布を設けることにより、外気と袋内の空気が入れ替わるので袋内は果実の生長に取って好適な環境となる。さらに、上記した不織布の繊維の間は0.3mm以下にすることが容易であるから、不織布の繊維の間からヒラズハナアザミウマが侵入するのを防止できる。
尚、請求項4又は5記載の果実袋の説明は、発明の実施の形態の欄で合わせて説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2(a),図2(b)にて示した果実袋Aは、本発明を実施したものであり図1はイチジクの果実bに被装した状態、図2(a),(b)は果実袋Aを単体で示している。
果実袋Aの袋本体aは、透明、もしは半透明の熱溶着性の合成樹脂フィルムを用いて成り、例えばLDPE=低密度ポリエチレン、若しくは直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合等のポリエチレンからなるフィルムを使用すると良好な結果が得られる。尚、広義ではボリオレフィンでも使用することができる。
また、果実袋Aの廃棄の手間を考えると、生分解性フィルムにしてもよい。この場合、不織布部分も生分解性にする必要がある。フィルムにも繊維にもなる生分解性合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等芳香剤ポリエステルのジカルボン酸単位の一部をマロン酸、コハク酸、アジヒン酸などのアルキルジカルボン酸で置換した組成を持つポリブレチンサクシネート−テレフタレート等の芳香族−脂肪族ポリエステルが良い。これは繊維に必要な剛直性とフィルムに必要な柔軟性の適度なバランスを持ち、この用途に対して十分な耐加水分解性を持つ。
【0011】
図2(a)にて示す果実袋Aは、筒状に形成したフィルムをプレスして2枚のフィルムが重なり合った状態とする。筒状の袋本体aは上下に開口部を有し、下側の開口は、不織布1を被覆することにより、袋本体aの下部において通水性と通気性とを具備する通気通水口6部を設けてある。
通気通水口6を構成する不織布1は、熱溶着性の合成繊維から成り、袋本体a’下部の開口に装着することにより、袋本体aに適宜な通水性と通気性を確保する。また、アザミウ等の害虫は0.3mm以上の隙間から袋内に侵入してしまうことから、通水性、通気性の他に、繊維密度等を慎重に選択する必要がある。
不織布を用いて通気通水口6を製造する際に図は、不織布1を2枚重ね合わせ、その下辺及び左右両側辺を熱様着して底の浅い袋状に形成し、上辺の開口部を上記袋本体aの下部開口に対して外側から被装し、重なり合う不織布とフィルムとを熱溶着して図2(a),(b)にて示すように図のような袋本体aの下部に通気通水口6として構成してある。
上記した不織布には、防虫効果のある忌避剤を使用してもよい。忌避剤として最も一般的なディートは揮発性が高く効果が持続しないので好ましくない。アレスリンペルメトリン、レスメトリン、フタルスリン等の合成ピレスロイドが好適に使用される。
袋の不織布部分を直接果実に触れないように、図9のような形状とすれば、揮発性の低い忌避剤を使用することにより、果実への忌避剤の残留なしに確実な防虫効果を得ることができる。
一方、袋本体a上辺部の右半部(図2−aにおいて)に設けた開口部2の内面側に沿ってはポリチャック3の雄体3aと雌体3bとを一体に形成してある。ポリチャック3はビニル袋の開口に設ける通常のポリチャックと同様に、断面Ω形に形成した突条の雄体3aと断面略C形に形成した溝状の雌体とから構成し、両者を重ね合わせた状態で嵌係合することにより、開口部2の範囲を開閉自在とし、閉じた状態ではその範囲の気密及び水密が保たれるように構成してある。
【0012】
一方、袋本体aの上辺部の左半部(図2−aにおいて)は左下がりに傾斜するように切断して略30゜程度傾斜する封着辺部4を形成してある。この封着辺部4は熱溶着して水密及び気密を保持してあり、その溶着部4aの上側端部と上記ポリチャック3の端部との間にイチジクbの茎b1を挿通せしめる挿通口5を設けてある。
挿通口5の寸法は生長したイチジクの茎b1とに合わせて設定するが、この実施例では挿通口5の間隔を10mm程度、つまり図2(a)にて示す状態において、ポリチャック3の端部と封着辺部4の溶着部の端部との間が略10mm程度となるように設定してある。即ち円周略20mm,茎の直径略6.3mm程度のものに設定してある。勿論挿通口の円周はイチジクの品種等に伴って任意に変更してもよい。
【0013】
上記した如く構成した果実袋Aをイチジクに装着する際には、ポリチャック3を開いて袋本体aをイチジクの実bに被せ(図3)、再びポリチャック3を絞めることにより、イチジクの実bを果実袋Aにて包むように簡単且つ確実に装着できる(図4)。
袋本体aをイチジクに装着する際、イチジクの実bがまだ小さな時期に果実袋Aの装着を行なう。このため、イチジクの茎b1の部分を挿通させるため、幾分の余裕を持って挿通する状態にある(図3,図5−a,b)。
【0014】
一方、果実の収穫時期から遡って50日〜60日の期間において、果実頂部の開口が開いている間は、上記果実袋の挿通口5とイチジクの茎b1との間を密着させて同挿通口5周囲の隙間からヒラズハナアザミウマ等の害虫が袋本体aの中に侵入するのを防止する必要がある。
上記したように、袋本体aを被せた時にはイチジクの実bも茎b1も幾分小さい状態にあるが、実bと茎b1とが徐々に生長するのに伴って袋本体aの挿通口がイチジクの茎b1の周囲に密着した状態となるように調整する(図6−a,b)。上記した如く挿通口5の間隙はこの意味で重要である。
【0015】
図1にて示すように、イチジクに装着した果実袋Aの中には雨や結露した水分が溜まるが、袋本体aの底辺部の一端が下になるように傾いた状態となるので、袋本体a内に溜まった水分は袋本体a内を流れて下部に至り、不織布1から成る通気通水口6から滴下して排出される。また、上記した袋本体aの下部は通気性のよい不織布1にて構成してあるので、風のある状態では空気が袋本体aの中を通過して換気が成され、袋の内部をイチジクの実の育成に良好な状態に維持できる。
【0016】
また、上記した果実袋Aは、上記した請求項1記載の果実袋のポリチャック3を有する開口部2との一辺と、封着辺部とが挟む角度を鈍角としたものである。この実施例の果実袋の場合略150゜に設定してある。
したがって、イチジクの果実bに果実袋Aを被せてポリチャック3を閉じた状態、即ち挿通口5を閉じた状態からイチジクの果実bや茎b1が生長して徐々に大きく且つ太くなった場合、袋本体aの挿通口5周囲がイチジクの果実により内側から張られるようになる。しかし、袋本体aは上記したように挿通口5を挟む開口部2と封着辺部4との挟む角度が鈍角(150゜程度)となるように設定してあるので、袋本体a内のスペースには十分な余裕が残る。よって、イチジクの果実bが大きく育成しても袋本体aのフィルムが果実から受ける張力により破断してしまうようなこと効果的にを防止できる(図1)。
【0017】
また、イチジクの個体差により、茎b1が標準よりも太くなった場合、挿通口5を構成するフィルムが引っ張られて無理な負荷が加わる状態になる。すると、閉じておいたポリチャック3が端から徐々に開いて挿通口5の口径が実質的に広くなる。これにより、挿通口5周囲のフィルムにかかる張力が増大することを回避し、フィルムが果実の生長により生じる張力により破れるような問題も防止できる。
【0018】
図9にて示す果実袋A2は、袋本体aの下部に設ける不織布1からなる通気通水口61として、袋本体a下部の一側を斜めに裁断し、この裁断部を上記したものと同様な不織布1を被覆することにより、通水及び通気可能な通気通水口61として構成してある。この果実袋A2は、装着状態において上記した如く構成した通水口61が最下部分に位置するので比較的小さな面積であるが、通水性、通気性は良好である。また、上記した通気通水口61は表裏両面を不織布1により被覆しても、若しくは袋本体aの一面若しくは他面の一方に不織布1を被装して構成してもよい。また、上記した如き通気通水口を袋本体aの下部両側に設けても良い。
【0019】
図7にて示す果実袋A3は、袋本体aの下部にミシン目7を横一線に穿設すると共に、同袋本体aの下辺両端部に排水口8を設けて構成したものである。この果実袋a3は排水性とコストの低減を図ったものであり、不織布やその溶着作業がいらないことから安価にて製造でき、しかも良好な排水性を発揮する。尚、上記した如く袋本体aに入れるミシン目の本数や穿設する部位は任意に変更してもよい。
また、上記した排水口は口の長さが1mm〜2mm程度の幅であるが、2枚のフィルムが隙間なくピッタリと重なり合っているのでここから害虫が入り込むことはない。
【0020】
ところで、銀色の反射資材は、特にウィルス病を防止するためにアブラムシの飛来防止用として用いられている。これと同様な目的を持って、挿通口の周囲銀色や金色に光るアルミ面を露呈するとアザミウマが嫌悪して近寄りにくくなるので、アザミウマの侵入防止として利用できることが確かめられている。
上記した如く果実袋A,A2,A3は収穫から出荷するまで使用できるので、包装コストや緩衝材としても機能し、広い意味でコストを低減することができる。さらに、果実袋の装着により薬品散布を殆ど行う必要がないので、食品の安全上、もしくは環境に対する観点からも好ましい。
【0021】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の果実袋は以上の如く説明したように、合成樹脂フィルムから成る袋本体を具備し、この袋本体の一辺に設けた開口部と、該開口部の一端に接合される封着辺部とを有し、上記開口部にて重なり合うフィルムの両縁部内面に沿ってポリチャックの雄体と雌体とを設けて同開口部を開閉可能に成し、該開口部の一端に上記封着辺部の端部を近接せしめて、この封着辺部の端部と開口部一端との間に果実の茎を挿通させる挿通口を形成し、上記ポリチャックの開閉により同挿通口を縮小且つ解放可能に構成したものである。
よって、本発明の果実袋は、特にイチジクの実に装着する際に、開口部のポリチャックを開いてイチジクの果実に被装し、上記ポリチャックを閉じることにより(他端側から一端側に向けて閉じるとよい)挿通口の口径が縮小して果実の茎の回りに隙間無く密着する。また、上記した如き果実袋の装着作業は、イチジクに果実袋を被装しててポリチャックを閉じるだけであるから、作業が簡単であり、且つ、害虫の侵入口となる時期には挿通口の周囲に間隙が生じることなく害虫の侵入を確実に防止することができる。
【0022】
また、上記した如く果実袋を被装した後に果実が生長した場合、挿通口内に挿通される茎が徐々に太く成るに連れてフィルムが伸びると共に、さらなる生長にはポリチャックの一端部が茎の周囲に密着した状態を維持しつつチャックの係合を徐々に開いて対応するので、挿通口回りから害虫が入り込むことを確実に防止でき、且つ、フィルムが破れることや、逆に果実の茎や実が圧迫されて腐ってしまうような不具合も防止できる。
【0023】
請求項2記載の果実袋は、上記した如くポリチャックを設けた開口部縁と、封着辺部の縁とが挟む角度を鈍角としたものであるから、イチジクが生長しても、茎に近い実の部分に十分な余裕を作ることができ、果実が十分に生長した状態においても、茎近傍の実の部分が圧迫されて変形または腐ってしまうような不具合もない。
【0024】
請求項3記載の果実袋は、上記した請求項1又は2記載の果実袋にあって、
袋本体の下部に不織布からなる水抜き部を設けたものであるから、袋内に侵入した雨や結露の水分を袋下部に設けられる不織布から成る水抜き部を通して排出すると共に適度な換気機能も発揮し、袋内の環境を果実の生長に適した状態に維持できる。また、水抜き部に用いる不織布は繊維が密集する構造であるため、通気性,通水性を維持しつつ繊維同士の間隙を0.3mm以下に維持できるので、小さな害虫、例えばヒラズハナアザミウマ等の小さな害虫でも袋の水抜き部の不織布を通過して袋内部に入り込むことはできない。
【0025】
請求項4記載の果実袋は、請求項1乃至3記載の何れか一項の果実袋にあって、袋本体に直径0.3mm以下の排水孔を穿設して成るものであるから、低コストを維持しつつ排水機能と通気機能を具備することができる。また、排水孔を0.3mm以下に設定してあるので、例えばヒラズハナアザミウマ等の小さな害虫でも上記排水孔を通過することはできない。
【0026】
請求項5の果実袋は、袋本体をイチジク用として構成してなるものであるから、各部位の形態や寸法をイチジクの生長形態に合わせて設定できるので作業性がよく、さらに、袋本体や挿通口の大きさ、排水、通気機能を過不足なく具備することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の果実袋をイチジクに被装した状態を示す正面図。
【図2】(a)は本発明を実施した果実袋を示す正面図、(b)は上記(a)図におけるII−II線断面図。
【図3】上記果実袋の開口部を開いて生長初期のイチジクに被装する状態を示す斜視図。
【図4】上記果実袋の装着状態を示す斜視図。
【図5】(a)は生育初期のイチジクと果実袋の挿通口部分を示す正面図、(b)は図5−(a)図におけるV−V 線断面図。
【図6】(a)は生育したイチジクと果実袋の挿通口部分を示す正面図、(b)は図5−(a)図におけるVI−VI 線断面図。
【図7】ミシン目と排水口を設けた果実袋を示す正面図。
【図8】同果実袋の装着状態を示す正面図。
【図9】袋本体の下部一側に不織布からなる通気通水口を設けた果実袋の装着状態を示す正面図。
【符号の説明】
A,A2,A3・・・果実袋
a・・・袋本体
b・・・果実(イチジクの果実)
b1・・・茎(イチジクの茎)
1・・・不織布
2・・・開口部
3・・・ポリチャック
4・・・封着辺部
4a・・・溶着部
5・・・挿通口
6・・・通気通水口
【発明の属する技術分野】
この発明は果実、特にイチジクの害虫被害を効果的に低減する果実袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、果実に被せることにより害虫からの加害を防止する果実袋は果物の種類別に多くのものが開発されているが、本発明の果実袋が特に用いられるイチジク用の果実袋にもいくつかのものが開発されている。
イチジクに害を与える害虫としてはヒラズハナアザミウマ、ハナアザミウマ,キイロハナアザミウマ等のスリップス類、特にミカンキイロアザミウマが、イチジクを収穫までの50日〜60日の時期において、果頂部の開口より侵入して加害するため、果実内部が黄褐色〜黒褐色に変色し、見かけが悪くなり、食味も悪くなる。このように害虫により受ける被害は収穫果実のまさに20%にもおよび、生産者には深刻な問題であった。
従来は上記した如き害虫による被害の対策として、薬剤散布をはじめ圃場周辺の栽培環境を整備し、シロツメクサ、ムラサキツクサ、ネギ、キク等の誘引、増殖植物を少なくすると共に、6月中旬から7月下旬の主たる加害時期(収穫までの約50日〜60日)に防除を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、イチジクの害虫対策として他の果実と同様な果実袋も用いられている。上記した主たる加害時期に合わせてイチジクの実に果実袋を被覆し、果頂に開く開口部から害虫が侵入することを防止するものが多い。
例えば、袋の開口部に輪ゴムを装着し、これをイチジクの実に被せて開口部を輪ゴムの収縮により閉じるものである(実開昭55−17479号,特開昭53−20349号,特開昭63−1213322号)。
しかし、これらの果実袋は、輪ゴムによる密着度が緩く、輪ゴムと果実の間に生じる隙間から害虫が侵入してしまう場合が多い。ちなみに、アザミウマの侵入を防ぐには、隙間若しくは穴の寸法は、0.3mm以下である必要がある。また、ゴムは紫外線による劣化が顕著であり、防護期間が短くなる欠点があった。
【0004】
果実袋の中には、袋の開口部に針金を取付け、イチジクの実に被せた状態で開口部の針金を締め付けて害虫の侵入を防止するものもある(実公昭34−14334号,実開昭54−148235号)。しかし、開口部に針金等を用いた果実袋は、イチジクの実の生長に応じて太くなる茎に針金が食い込んでイチジクの実にダメージを与えることもあった。
また、イチジクの茎を挿通する部位を絞ったポリエチレン等の合成樹脂にて構成した果実袋もあるが、イチジクの生長に対応できず緊張して破れたり果実を圧迫して傷めてしまう欠点があった。
さらに、従来、イチジクに使用する果実袋においては、袋内部に入り込んだ水分を排水する排水機能に劣っており、袋の内部に残る水分によりイチジクの果実が腐ってしまう場合もあった。
【0005】
イチジクに用いる果実袋は上記したように多くの問題に対応する必要があり、他の果実袋とは異なる部分で開発が難しくなる。
その一つとして、害虫となるヒラズハナアザミウマは0.3mm以上の隙間があれば果実袋内に侵入できる。よって、イチジクに果実袋を装着した際に茎と袋の入り口との間に0.3mm以上の間隙ができない様に工夫する必要がある。
また、イチジクの果実一つ一つに果実袋を装着する作業は果実の数が多いために手間がかかってはならず、よって果実袋はイチジクの果実に簡単且つ確実に装着できる良好な作業性を具備する必要がある。
さらに、果実袋内には雨や結露のために水分が溜まることがあるが、この水分が果実を腐らせてしまうこともあるので、イチジクに用いる果実袋には排水性と適度な通気性を兼備えていることが要求される。
【0006】
本発明は、上記した如き従来事情に鑑み成されたものであり、その課題は、果実、特にイチジクの実に被装する果実袋に関し、イチジクの茎部の表面と果実袋の開口部との間にアザミウマ等の害虫が侵入する隙間を生じることなく開口部を確実に閉じられる機能、及び良好な装着作業性を具備せしめることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した如き課題を解決するために、本発明の果実袋は、合成樹脂フィルムから成る袋本体を具備し、この袋本体の開口部にポリチャックを設けて開閉可能に成してある。尚、ここで言うポリチャックとは、多くの場合、断面が略Ω形の線条体(雄側)と断面C形の嵌合溝(雌側)とを嵌脱可能に係合するように構成したものであり、ビニル袋の開口を開閉可能にシールするためなどの用途に広く用いられているものである。
上記開口部の一端には、同袋本体に設けた封着辺部の端部を近接せしめてある。そして、この封着辺部端部と上記開口部一端との間には果実(イチジク)の茎を挿通させる挿通口を形成してある、上記ポリチャックはある程度の圧力により開け閉めできる。またイチジクの生長に合わせて茎や果実そのものが太くなってもポリチャックが徐々に開いて径を増すことにより対応できる。
【0008】
請求項2記載の果実袋は、上記した請求項1記載の果実袋のポリチャックの一辺と、封着辺部とが挟む角度を鈍角としたものである。よって、イチジクの果実に果実袋を被せてポリチャックを閉じた状態(挿通口が閉じた状態)でイチジクの実や茎が生長して徐々に大きく且つ太くなった場合でも、上記挿通口は茎の太さの変化にともなって徐々に開いて対応する。また、イチジクの果実が大きくなっても、上記したように、ポリチャックの一辺と封着辺部とが挟む角度が鈍角に設定してあるので、余裕をもってイチジクの果実を被覆することができる。
【0009】
請求項3記載の果実袋は、上記した請求項1又は2の果実袋にあって、袋本体下部の一部分に不織布から成る水抜き部を設けて成るものである。袋本体内に溜まった雨や結露の水分は、果実を腐らせることがあるため袋本体内から速やかに排出する必要がある。上記した果実袋には不織布から成る水抜き部を設けてあるので、袋内に溜まった水分を通過させて速やかに排出することが可能となる。
また、果実袋内は適度に換気することが望ましいが、上記したように不織布を設けることにより、外気と袋内の空気が入れ替わるので袋内は果実の生長に取って好適な環境となる。さらに、上記した不織布の繊維の間は0.3mm以下にすることが容易であるから、不織布の繊維の間からヒラズハナアザミウマが侵入するのを防止できる。
尚、請求項4又は5記載の果実袋の説明は、発明の実施の形態の欄で合わせて説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2(a),図2(b)にて示した果実袋Aは、本発明を実施したものであり図1はイチジクの果実bに被装した状態、図2(a),(b)は果実袋Aを単体で示している。
果実袋Aの袋本体aは、透明、もしは半透明の熱溶着性の合成樹脂フィルムを用いて成り、例えばLDPE=低密度ポリエチレン、若しくは直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合等のポリエチレンからなるフィルムを使用すると良好な結果が得られる。尚、広義ではボリオレフィンでも使用することができる。
また、果実袋Aの廃棄の手間を考えると、生分解性フィルムにしてもよい。この場合、不織布部分も生分解性にする必要がある。フィルムにも繊維にもなる生分解性合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等芳香剤ポリエステルのジカルボン酸単位の一部をマロン酸、コハク酸、アジヒン酸などのアルキルジカルボン酸で置換した組成を持つポリブレチンサクシネート−テレフタレート等の芳香族−脂肪族ポリエステルが良い。これは繊維に必要な剛直性とフィルムに必要な柔軟性の適度なバランスを持ち、この用途に対して十分な耐加水分解性を持つ。
【0011】
図2(a)にて示す果実袋Aは、筒状に形成したフィルムをプレスして2枚のフィルムが重なり合った状態とする。筒状の袋本体aは上下に開口部を有し、下側の開口は、不織布1を被覆することにより、袋本体aの下部において通水性と通気性とを具備する通気通水口6部を設けてある。
通気通水口6を構成する不織布1は、熱溶着性の合成繊維から成り、袋本体a’下部の開口に装着することにより、袋本体aに適宜な通水性と通気性を確保する。また、アザミウ等の害虫は0.3mm以上の隙間から袋内に侵入してしまうことから、通水性、通気性の他に、繊維密度等を慎重に選択する必要がある。
不織布を用いて通気通水口6を製造する際に図は、不織布1を2枚重ね合わせ、その下辺及び左右両側辺を熱様着して底の浅い袋状に形成し、上辺の開口部を上記袋本体aの下部開口に対して外側から被装し、重なり合う不織布とフィルムとを熱溶着して図2(a),(b)にて示すように図のような袋本体aの下部に通気通水口6として構成してある。
上記した不織布には、防虫効果のある忌避剤を使用してもよい。忌避剤として最も一般的なディートは揮発性が高く効果が持続しないので好ましくない。アレスリンペルメトリン、レスメトリン、フタルスリン等の合成ピレスロイドが好適に使用される。
袋の不織布部分を直接果実に触れないように、図9のような形状とすれば、揮発性の低い忌避剤を使用することにより、果実への忌避剤の残留なしに確実な防虫効果を得ることができる。
一方、袋本体a上辺部の右半部(図2−aにおいて)に設けた開口部2の内面側に沿ってはポリチャック3の雄体3aと雌体3bとを一体に形成してある。ポリチャック3はビニル袋の開口に設ける通常のポリチャックと同様に、断面Ω形に形成した突条の雄体3aと断面略C形に形成した溝状の雌体とから構成し、両者を重ね合わせた状態で嵌係合することにより、開口部2の範囲を開閉自在とし、閉じた状態ではその範囲の気密及び水密が保たれるように構成してある。
【0012】
一方、袋本体aの上辺部の左半部(図2−aにおいて)は左下がりに傾斜するように切断して略30゜程度傾斜する封着辺部4を形成してある。この封着辺部4は熱溶着して水密及び気密を保持してあり、その溶着部4aの上側端部と上記ポリチャック3の端部との間にイチジクbの茎b1を挿通せしめる挿通口5を設けてある。
挿通口5の寸法は生長したイチジクの茎b1とに合わせて設定するが、この実施例では挿通口5の間隔を10mm程度、つまり図2(a)にて示す状態において、ポリチャック3の端部と封着辺部4の溶着部の端部との間が略10mm程度となるように設定してある。即ち円周略20mm,茎の直径略6.3mm程度のものに設定してある。勿論挿通口の円周はイチジクの品種等に伴って任意に変更してもよい。
【0013】
上記した如く構成した果実袋Aをイチジクに装着する際には、ポリチャック3を開いて袋本体aをイチジクの実bに被せ(図3)、再びポリチャック3を絞めることにより、イチジクの実bを果実袋Aにて包むように簡単且つ確実に装着できる(図4)。
袋本体aをイチジクに装着する際、イチジクの実bがまだ小さな時期に果実袋Aの装着を行なう。このため、イチジクの茎b1の部分を挿通させるため、幾分の余裕を持って挿通する状態にある(図3,図5−a,b)。
【0014】
一方、果実の収穫時期から遡って50日〜60日の期間において、果実頂部の開口が開いている間は、上記果実袋の挿通口5とイチジクの茎b1との間を密着させて同挿通口5周囲の隙間からヒラズハナアザミウマ等の害虫が袋本体aの中に侵入するのを防止する必要がある。
上記したように、袋本体aを被せた時にはイチジクの実bも茎b1も幾分小さい状態にあるが、実bと茎b1とが徐々に生長するのに伴って袋本体aの挿通口がイチジクの茎b1の周囲に密着した状態となるように調整する(図6−a,b)。上記した如く挿通口5の間隙はこの意味で重要である。
【0015】
図1にて示すように、イチジクに装着した果実袋Aの中には雨や結露した水分が溜まるが、袋本体aの底辺部の一端が下になるように傾いた状態となるので、袋本体a内に溜まった水分は袋本体a内を流れて下部に至り、不織布1から成る通気通水口6から滴下して排出される。また、上記した袋本体aの下部は通気性のよい不織布1にて構成してあるので、風のある状態では空気が袋本体aの中を通過して換気が成され、袋の内部をイチジクの実の育成に良好な状態に維持できる。
【0016】
また、上記した果実袋Aは、上記した請求項1記載の果実袋のポリチャック3を有する開口部2との一辺と、封着辺部とが挟む角度を鈍角としたものである。この実施例の果実袋の場合略150゜に設定してある。
したがって、イチジクの果実bに果実袋Aを被せてポリチャック3を閉じた状態、即ち挿通口5を閉じた状態からイチジクの果実bや茎b1が生長して徐々に大きく且つ太くなった場合、袋本体aの挿通口5周囲がイチジクの果実により内側から張られるようになる。しかし、袋本体aは上記したように挿通口5を挟む開口部2と封着辺部4との挟む角度が鈍角(150゜程度)となるように設定してあるので、袋本体a内のスペースには十分な余裕が残る。よって、イチジクの果実bが大きく育成しても袋本体aのフィルムが果実から受ける張力により破断してしまうようなこと効果的にを防止できる(図1)。
【0017】
また、イチジクの個体差により、茎b1が標準よりも太くなった場合、挿通口5を構成するフィルムが引っ張られて無理な負荷が加わる状態になる。すると、閉じておいたポリチャック3が端から徐々に開いて挿通口5の口径が実質的に広くなる。これにより、挿通口5周囲のフィルムにかかる張力が増大することを回避し、フィルムが果実の生長により生じる張力により破れるような問題も防止できる。
【0018】
図9にて示す果実袋A2は、袋本体aの下部に設ける不織布1からなる通気通水口61として、袋本体a下部の一側を斜めに裁断し、この裁断部を上記したものと同様な不織布1を被覆することにより、通水及び通気可能な通気通水口61として構成してある。この果実袋A2は、装着状態において上記した如く構成した通水口61が最下部分に位置するので比較的小さな面積であるが、通水性、通気性は良好である。また、上記した通気通水口61は表裏両面を不織布1により被覆しても、若しくは袋本体aの一面若しくは他面の一方に不織布1を被装して構成してもよい。また、上記した如き通気通水口を袋本体aの下部両側に設けても良い。
【0019】
図7にて示す果実袋A3は、袋本体aの下部にミシン目7を横一線に穿設すると共に、同袋本体aの下辺両端部に排水口8を設けて構成したものである。この果実袋a3は排水性とコストの低減を図ったものであり、不織布やその溶着作業がいらないことから安価にて製造でき、しかも良好な排水性を発揮する。尚、上記した如く袋本体aに入れるミシン目の本数や穿設する部位は任意に変更してもよい。
また、上記した排水口は口の長さが1mm〜2mm程度の幅であるが、2枚のフィルムが隙間なくピッタリと重なり合っているのでここから害虫が入り込むことはない。
【0020】
ところで、銀色の反射資材は、特にウィルス病を防止するためにアブラムシの飛来防止用として用いられている。これと同様な目的を持って、挿通口の周囲銀色や金色に光るアルミ面を露呈するとアザミウマが嫌悪して近寄りにくくなるので、アザミウマの侵入防止として利用できることが確かめられている。
上記した如く果実袋A,A2,A3は収穫から出荷するまで使用できるので、包装コストや緩衝材としても機能し、広い意味でコストを低減することができる。さらに、果実袋の装着により薬品散布を殆ど行う必要がないので、食品の安全上、もしくは環境に対する観点からも好ましい。
【0021】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の果実袋は以上の如く説明したように、合成樹脂フィルムから成る袋本体を具備し、この袋本体の一辺に設けた開口部と、該開口部の一端に接合される封着辺部とを有し、上記開口部にて重なり合うフィルムの両縁部内面に沿ってポリチャックの雄体と雌体とを設けて同開口部を開閉可能に成し、該開口部の一端に上記封着辺部の端部を近接せしめて、この封着辺部の端部と開口部一端との間に果実の茎を挿通させる挿通口を形成し、上記ポリチャックの開閉により同挿通口を縮小且つ解放可能に構成したものである。
よって、本発明の果実袋は、特にイチジクの実に装着する際に、開口部のポリチャックを開いてイチジクの果実に被装し、上記ポリチャックを閉じることにより(他端側から一端側に向けて閉じるとよい)挿通口の口径が縮小して果実の茎の回りに隙間無く密着する。また、上記した如き果実袋の装着作業は、イチジクに果実袋を被装しててポリチャックを閉じるだけであるから、作業が簡単であり、且つ、害虫の侵入口となる時期には挿通口の周囲に間隙が生じることなく害虫の侵入を確実に防止することができる。
【0022】
また、上記した如く果実袋を被装した後に果実が生長した場合、挿通口内に挿通される茎が徐々に太く成るに連れてフィルムが伸びると共に、さらなる生長にはポリチャックの一端部が茎の周囲に密着した状態を維持しつつチャックの係合を徐々に開いて対応するので、挿通口回りから害虫が入り込むことを確実に防止でき、且つ、フィルムが破れることや、逆に果実の茎や実が圧迫されて腐ってしまうような不具合も防止できる。
【0023】
請求項2記載の果実袋は、上記した如くポリチャックを設けた開口部縁と、封着辺部の縁とが挟む角度を鈍角としたものであるから、イチジクが生長しても、茎に近い実の部分に十分な余裕を作ることができ、果実が十分に生長した状態においても、茎近傍の実の部分が圧迫されて変形または腐ってしまうような不具合もない。
【0024】
請求項3記載の果実袋は、上記した請求項1又は2記載の果実袋にあって、
袋本体の下部に不織布からなる水抜き部を設けたものであるから、袋内に侵入した雨や結露の水分を袋下部に設けられる不織布から成る水抜き部を通して排出すると共に適度な換気機能も発揮し、袋内の環境を果実の生長に適した状態に維持できる。また、水抜き部に用いる不織布は繊維が密集する構造であるため、通気性,通水性を維持しつつ繊維同士の間隙を0.3mm以下に維持できるので、小さな害虫、例えばヒラズハナアザミウマ等の小さな害虫でも袋の水抜き部の不織布を通過して袋内部に入り込むことはできない。
【0025】
請求項4記載の果実袋は、請求項1乃至3記載の何れか一項の果実袋にあって、袋本体に直径0.3mm以下の排水孔を穿設して成るものであるから、低コストを維持しつつ排水機能と通気機能を具備することができる。また、排水孔を0.3mm以下に設定してあるので、例えばヒラズハナアザミウマ等の小さな害虫でも上記排水孔を通過することはできない。
【0026】
請求項5の果実袋は、袋本体をイチジク用として構成してなるものであるから、各部位の形態や寸法をイチジクの生長形態に合わせて設定できるので作業性がよく、さらに、袋本体や挿通口の大きさ、排水、通気機能を過不足なく具備することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の果実袋をイチジクに被装した状態を示す正面図。
【図2】(a)は本発明を実施した果実袋を示す正面図、(b)は上記(a)図におけるII−II線断面図。
【図3】上記果実袋の開口部を開いて生長初期のイチジクに被装する状態を示す斜視図。
【図4】上記果実袋の装着状態を示す斜視図。
【図5】(a)は生育初期のイチジクと果実袋の挿通口部分を示す正面図、(b)は図5−(a)図におけるV−V 線断面図。
【図6】(a)は生育したイチジクと果実袋の挿通口部分を示す正面図、(b)は図5−(a)図におけるVI−VI 線断面図。
【図7】ミシン目と排水口を設けた果実袋を示す正面図。
【図8】同果実袋の装着状態を示す正面図。
【図9】袋本体の下部一側に不織布からなる通気通水口を設けた果実袋の装着状態を示す正面図。
【符号の説明】
A,A2,A3・・・果実袋
a・・・袋本体
b・・・果実(イチジクの果実)
b1・・・茎(イチジクの茎)
1・・・不織布
2・・・開口部
3・・・ポリチャック
4・・・封着辺部
4a・・・溶着部
5・・・挿通口
6・・・通気通水口
Claims (5)
- 合成樹脂フィルムから成る袋本体を具備し、この袋本体の一辺に設けた開口部と、該開口部の一端に接合される封着辺部とを有し、上記開口部にて重なり合うフィルムの両縁部内面に沿ってポリチャックの雄体と雌体とを設けて同開口部を開閉可能に成し、該開口部の一端に上記封着辺部の端部を近接せしめて、該封着辺部の端部と開口部一端との間に果実の茎を挿通させる挿通口を形成し、上記ポリチャックの開閉により同挿通口を縮小且つ解放可能に構成した果実袋。
- 上記ポリチャックを設けた開口部の縁と、封着辺部の縁とが挟む角度を鈍角とした請求項1記載の果実袋。
- 上記袋本体下部の一部分に不織布から成る水抜き部を設けてなる請求項1又は3記載の果実袋。
- 上記袋本体に直径0.3mm以下の排水孔を穿設してなる請求項1乃至3の何れか一項記載の果実袋。
- 上記袋本体をイチジク用として構成してなる請求項1乃至4記載の何れか1項記載の果実袋。
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2002
- 2002-07-31 JP JP2002223057A patent/JP2004057142A/ja active Pending
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